○塚本
政府委員 御
指摘をいただきました昨日付の朝日新聞の記事に対する今後のわが方の
対応ぶりいかんということでございますが、せっかくの機会でございますので、この機会にそのバックグラウンドを若干御説明申し上げたいと思います。
御案内のとおり、ブラジル移住始まって以来七十有余年たっておるわけでございますが、これに対しまして、わが方の援護機関といたしましては、当初
海外移住振興株式会社、それから移住事業団、下って四十九年以降
国際協力事業団が中心になってこれの援護をしてまいったわけでございます。これに対する現地の援護機関として、新聞報道にもございましたJAMIC、JEMIS――JAMICというのは現地の援護機関、主として入植地の取得、営農指導その他をやります援護機関でございまして、JEMISというのはこれに対する金融機関で、既往二十有余年にわたってわが方の移住者に対し援護の全きを期してまいったわけでございます。
しかるところ、ブラジル側から、日伯両サイドの移住者に対する、ブラジル側は受け入れ国、わが方はこれに対する送出国の事態が変わった。そのゆえんのものは、経済社会情勢の変革に伴いまして、ブラジルももうレギュラリーに
日本を初めとするところの移住者を受け入れる国ではなくなったし、
日本ももう何万というような数の農業移住者を出す国ではなくなったではありませんか、そういうゆえんのもとに、昨年八月園田外務大臣がブラジル訪問の際、日伯外相
会議の席上、
昭和三十五年に
署名いたしまして三十八年以降このバックボーンになっておりました日伯移植民協定の見直しをしようということがございまして、その席上で園田外務大臣がそれを受けまして、そういたしましょう、そこで、協定の条項に混合
委員会がございまして、その混合
委員会の席上、それでは協定の見直し、並びにかねてここ両三年来先方ブラジル
政府が
指摘しておりました、先ほど申しましたJAMIC、JEMISという
日本政府の代行機関みたいのが現地に非常にパワフルな人員とスタッフを持って強力な援護政策をしている、これがブラジル側の国内法、民法に違反するのでこれをやめてほしい、こういう申し入れがございました。
したがいまして、これを受けまして、実は私自身これの代表で参ったわけでございますが、昨年の十二月、日伯移植民協定の条項に基づく混合
委員会が開かれまして、その席上、先方からぜひこのJAMIC、JEMISという二つの機関を廃止してほしい、早急にやめてほしいというプロポーザルが正式にあったわけでございます。
しかしながら、わが方といたしましては、ただいま申しましたとおり、伝統的なわが方の対ブラジル移住者に対してただいままで融資を含む非常に強力な援護をしてまいったわけでございますので、これらの援護の今後の継続及びJAMIC及びJEMISの廃止、清算、さらに経過
期間の問題等、これに伴ういろいろな問題があるわけでございまして、それらの根本的な方針、原則をことしの秋にでも最終的にブラジル側と合意しなくてはなりませんので、ただいま私の方の移住
課長が
国際協力事業団と緊密なる
協力のもとに、ただいま申したようなこれの清算、引き揚げに対するところのいろいろな問題、それから今後の移住の重点をどうするか、援護をどう
強化していくかというような点を協議するために現地に参っておるわけでございます。これがそのような新聞の報道となったわけでございまして、低利廃止とか援護は変わるとかというような記事が一部にございますけれ
ども、私
どもといたしましては、引き続きこれに代替する機関に何らかの形において融資して従来どおりの援護の完全を期したい、かように考えている次第でございます。