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1980-04-16 第91回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月十六日(水曜日)     午後二時四分開議  出席委員    委員長 瀬野栄次郎君    理事 伊藤宗一郎君 理事 小沢 一郎君   理事 小宮山重四郎君 理事 石野 久男君    理事 上坂  昇君 理事 貝沼 次郎君    理事 中林 佳子君       玉沢徳一郎君    中村 弘海君       船田  元君    保利 耕輔君       田畑政一郎君    日野 市朗君       木内 良明君    榊  利夫君       林  保夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      長田 裕二君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     下邨 昭三君         科学技術庁計画         局長      園山 重道君         科学技術庁研究         調整局長    勝谷  保君         科学技術庁原子         力局長     石渡 鷹雄君  委員外出席者         環境庁大気保全         局交通公害対策         室長      加藤 三郎君         環境庁大気保全         局自動車公害課         長       松波 正壽君         国土庁大都市圏         整備局筑波研究         学園都市建設推         進室長     井上 良藏君         通商産業大臣官         房臨時エネルギ         ー関係法制審議         室長      川田 洋輝君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      大高 英男君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     横山 太蔵君         通商産業省生活         産業局住宅産業         課長      中田 哲雄君         工業技術院総務         部総括研究開発         官       高田 利男君         資源エネルギー         庁長官官房エネ         ルギー企画官  深沢  亘君         資源エネルギー         庁公益事業部水         力課長     飯島  滋君         郵政大臣官房電         気通信参事官  水町 弘道君         特別委員会第二         調査室長    曽根原幸雄君     ————————————— 委員の異動 四月十六日  辞任         補欠選任   瀬崎 博義君     榊  利夫君 同日  辞任         補欠選任   榊  利夫君     瀬崎 博義君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件      ————◇—————
  2. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君。
  3. 日野市朗

    日野委員 何か日本がまたアメリカイランに対する経済制裁に加担をしそうだということで、私は、非常に気をもんでいるわけであります。何しろ日本は、イランから膨大なエネルギー源としての石油供給を仰がなければならないという立場でありますから、私としても非常に気がもめているところなんであります。ここ数年、日本に対する海外からのエネルギー供給というものは、どんどん非常に厳しい情勢になってまいっております。  通産省としても、いままでずいぶんエネルギーに関するいろいろな見通しを立てられた、そして総合エネルギー調査会基本問題懇談会ですか、そんなところといろいろ意見の交換をされ、また、いろいろな答申を求められるというようなことをやってこられたわけですが、この間の通産省のこういったエネルギー供給に対する見通しの大まかな流れをちょっと述べていただきたいと思います。
  4. 深沢亘

    深沢説明員 お答え申し上げます。  先生すでに御承知のとおり、四十八年、あそこでもって大変なオイルショックが起こったわけでございます。その後、御承知のとおり、日本を含めまして世界的にいろいろ経済的な混乱等もあったわけでございますけれども、またよくなってきたと思いきや、先般のイラン政変ということでございます。  通産省といたしましては、従来から総合的なエネルギー対策を進めていくというところでやってきたわけでございますが、オイルショック後の状況を踏まえまして、中長期的に見ましても、従来のように石油に大幅に依存をしていくというところについては非常に問題がある、それは石油をめぐりますいろいろな状況を踏まえましても、そういうようなことでございます。  特にイラン政変後、先生承知のとおりの事態でございますけれども、現在、五十二年度分くらいのところにまいりますと、わが国エネルギー供給構造、これは一エネルギー供給に占めますウエートでございますけれども、約四分の三ぐらいが石油ということでございます。そんな実態を踏まえまして、今後のエネルギー情勢の厳しさというものを踏まえまして、一つの点でいきますと、まず省エネルギーということをやはり徹底的に進めていかなければならない。それからもう一つは、石油にかわりますエネルギー開発し、導入していくという側面でございます。  しかしながら、先生も御承知のとおりでございますけれども、当方、「長期エネルギー需給暫定見通し」というものに基づいたかっこうで、いろいろな考え方を展開しているわけでございますけれども、六十五年段階におきましても、なおかつまだ五〇%というものを、ほかの努力をいろいろするにしましても、石油に依存しなければならない。そういう側面からまいりまして、やはりなお中長期にわたりましても石油安定供給確保ということも必要になってまいります。そのような情勢の変化に応じた考え方取り組みということをいたしておるわけでございます。
  5. 日野市朗

    日野委員 これは石油から抜け出ていくという方向も大事でありますが、どっちにしても、石油供給ということは、これから厳しくなるということを考えなければならないのであって、これから緩やかになっていくということは考えられないというふうに考えてよろしいのではないかと思うのです。     〔委員長退席貝沼委員長代理着席〕  従来通産省も、これからのエネルギー需給の問題を考えるに当たっては、常に最悪のケースを予想しながらエネルギー需給見通しを立ててこられたというふうに思うのですが、これは間違いございませんね。
  6. 深沢亘

    深沢説明員 石油をめぐりますいろいろな情勢につきましては、わが国もそうでございますけれども、国際的にIEAとかそれから先般の東京サミットとか、またことしにおきましては、ベネチアサミットなんか予想されておるわけでございますけれども、そういったところでいろいろ情報交換方向性等について御議論なさると思います。そういったところを踏まえましてやはり対応していかなければならない、こういうふうに考えております。
  7. 日野市朗

    日野委員 通産省の側としては、五十二年六月六日に長期エネルギー需給暫定見通しを一応立てられたわけでございますね。それから余りにも多くのことが国際的にも次から次へと発生してきて、昭和五十四年八月三十一日には、この見通しについての中間報告総合エネルギー調査会需給部会の方から得ておられるわけですね。これらの報告とか中期見通しというのは、二十一世紀へのエネルギー戦略として出されている昭和五十三年十月二十五日の総合エネルギー調査会基本問題懇談会報告に基づく通産省の将来のエネルギー需給見通しに対して、これを訂正したというふうに理解してよろしゅうございましょうか。
  8. 深沢亘

    深沢説明員 お答えいたします。  五十二年度に中間的に報告を出してございます。それから十月段階で、これまた先生指摘になりましたように、中間報告という名前でございますけれども、以前の報告も踏まえながら、その後の情勢も踏まえながら取りまとめたものでございます。したがいまして、修正したといいますか、その辺のところ総合的に取り組んだ報告ということでございます。
  9. 日野市朗

    日野委員 エネルギー危機ということが言われ出してからもうすでに数年というような規模じゃございませんね、それ以上長い前からエネルギー危機ということは言われていて、これはかなり長期見通しを立てなければいかぬだろうし、特に石油については非常に厳しいものになる、だから、長期エネルギー源開発ということは、言われてすでにかなりの日月を経ているわけでございますが、私から言わせていただけば、五十二年六月段階で出された暫定見通しというようなものは、非常に甘いのではないかという見通しを当初から持っていたわけであります。大体いまごろ——いまごろと言うと語弊がありますが、五十四年の八月ごろに暫定見通し数字的にもさらに訂正せざるを得なかったというような事態について、非常に遺憾なことだと思っているわけであります。そうは思っていても、いまこういう状況になってしまった以上、これは将来のことに向けて前向きに考えなくてはいけない問題であろうかと思います。  それで、お伺いをしたいわけなのでありますが、従来出されていた五十二年六月あたりにつくられた暫定見通しと五十四年の八月に出された見通しとを比較してみますと、省エネルギー率を見込んでも、需要の方はそのままずっと据え置いて、結局、需要の方をまず立てて後から供給の方を数字で無理をしながら上げていったような感じがするんですね。どうでしょう、ここらについての御感想を伺いたいのです。
  10. 深沢亘

    深沢説明員 お答え申し上げます。  先生、いま五十二年六月段階での見通しと、それから昨年の八月の見通し比較なさっているわけでございますけれども、需要面につきましては、あの段階におきまして、経済社会七カ年計画とか日本の経済的な道しるべが新しくできているわけでございまして、そういったもの等に応じたかっこうでやはり見直してございます。その段階におきましては、やはり省エネルギー状況なんかにつきましても、五十二年段階のときには、たとえば六十年度で申し上げますと、省エネルギー率は一一%弱でございました。それが先般の見通しにつきましては、これは一二%ぐらいということで、その後の法律の成立等を踏まえたかっこう見通しておるわけでございますけれども、そんなこともこれあり、省エネルギー後の事情では、たとえば六十年段階でいきますと、前の見通しが六億六千万キロリットル、それから最近の時点のあれが五億八千二百万キロリットル、こういうことでございます。  それで、先生すでに御承知のところでございますけれども、一番変わりましたのが、やはり石油をめぐりますいろいろな情勢でございます。したがって、先般の見通しにつきましては、すでに御承知のとおり、東京サミットでやはり世界主要各国輸入目標というものを掲げていったわけでございます。そういったものを背景に、石油輸入でまいりますと、五十二年段階見通しでは四億三千二百万キロリットルぐらい石油に依存し得るであろうかと考えておったわけでございますけれども、東京サミットで三億六千六百万、大体六百三十万BDから六百九十万BDの下っ端の方を目標にせざるを得ないというような背景でございました。  需要につきまして、やはり省エネルギー努力をすること、それから供給サイドでいきますと、石油輸入の落ち込みということで、やはりそれ以外の代替エネルギー開発努力の方にかなり力を上げていかなければいかぬわけでございますけれども、簡単にその比較を申し上げますと、水力につきましては、それほどの違いはございません。それから特に変わりましたのが、原子力のところでございますけれども、五十二年六月段階では、三千三百万キロワット六十年度見越してございました。それが前回では、三千万キロワットというようなところになってきてございます。そして、ふえている方でまいりますと、一般炭、特に海外石炭の中での一般炭でございますけれども、IEA等での御議論も、すでに先生御案内のところでございますけれども、石炭火力等方向へのシフトということがよく言われておりますけれども、そういった方向等を踏まえまして、やはり海外炭の中での一般炭に対する期待というものを今回の方が大きくしてございます。それから新しいエネルギーというものについての期待も、六十年段階でわずかではございますけれども、ふえる方向で考えてございます。  以上でございます。
  11. 日野市朗

    日野委員 結局、輸入石油はずっと頭打ちで抑えざるを得なかった、そうして省エネの方で一生懸命努力をするのだ、そこからどうしても出てくるギャップをうまくばらまいたような感じ長期エネルギー需給暫定見通しというのが私の感想なんでございますが、いま上がったものとしては、数字を上げたものとしては、原子力一般炭、それからLNGかなり上がっておりますね、こういったのを見てみまして、どうなのですか、原子力にしても、これは稼働率の推移なんかを見ても、これだけの数字に上げていくには、どっかでかなり無理をしなくちゃいかぬというような感じを私、持つのですが、どうでしょう。それから原子力にしても、当面の原子力燃料なんかのストックはあるかもしれません。しかし、私の方なんかでいろいろ調べてみますと、原子力燃料というのも、かなりメジャーあたりに支配されていて、メジャーあたりの人なんかと話をしてみると、ぬけぬけとこんなことを言っております。もうかなり押さえました、ただ、いまこの燃料を市場に放出したのじゃウランの値段が暴落する、だから抑えておりますというようなことをぬけぬけと言っておられるような状況なんですが、こういう状況を十分踏まえた上でのこのような数字が出ているのでしょうか。  以上の二点、ちょっと問題の違った二点を、ちょっと括弧の中にくくって質問するようで申しわけありませんが、聞かしてください。
  12. 深沢亘

    深沢説明員 ちょっと先ほどの比較数字だけもう一回私、申し上げさせていただきますが、落ちてるものでは、主要なところだけ申し上げます。原子力では三千三百万キロワットが三千万キロワットぐらいに相なってございます。それから上がっているもので申し上げますと、一般炭で前は千六百万トンぐらい、こう見てございましたけれども、それを前回見通しでは二千二百万トンぐらい期待していこう、それからLNGはほぼ同じような数量でございます。三千万トンに対しまして若干小さいのですが、二千九百万トン、こんな数字に相なってございます。  それは別にいたしまして、原子力稼働率、確かに実績等見てまいりましたときにいろいろな数字がございますが、見通しの中で期待してございますのは、六十年度段階には大体六〇%程度ぐらいのところまでねらっていこう、それから六十五年、七十年度、その辺のところにまいりますと、それを六五%ぐらい期待したい、その辺のところにつきましては、日本型のいろいろなタイプの改良というようなことも加えながら、いろいろなあれを行っていきたいということでございます。  それから、たとえば資源の問題、先生指摘になりましたけれども、大体濃縮あたりにつきましても、現在、アメリカとかフランスとかに委託してやっておるわけでございますけれども、六十五年度段階ぐらいの六千万キロワット程度分ぐらいの契約といいますか、確保はしてございます。  以上でございます。
  13. 日野市朗

    日野委員 いま深沢さんは、たとえば原子力三千三百万キロワット、こうおっしゃって、新たな見通しとのギャップはそうないというようなお話をされましたけれども、六十年度でこの三千三百万キロワットというのは、これは対策促進したケース、それがうまくいった場合のケースなんで、対策現状維持ケースというところを見ると、二千八百万キロワットなんですね。そこらの数字ギャップはまあまあとしても、これは、かなり新しい数字を見ると、どうも現状のままで対策が進んでいく、それにつけ焼き刃的にいろんな対策促進した場合でも、かなり無理ではないかと思われるものも大分あるような気がいたします。  そこで、それぞれの項目のそれぞれの科学技術がどのように進められているか、対策がどのように進められていくかということについて、あと順を追って逐次伺っていくことにいたします。  私、この中で非常に納得できない数字は、従来の数字では項目の中で新エネルギーとして、対策促進をした場合に二百三十万キロリットル分の石油ということでしょう、構成比〇・四、それが今度は六十年ケースで新しい数字では五百二十万キロリットル、〇・九%というような数字が「新燃料油、新エネルギー、その他」という形で出ているわけです。従来の新エネルギーというのと、新しい見通しの中に出てくる「新燃料油、新エネルギー、その他」、これとの違い、これをちょっと詳細に説明をいただきたいと思います。そして、その詳細の中で、それぞれのエネルギー別にどの程度数字が見込まれているのか、それを詳しくお聞かせいただけませんでしょうか。
  14. 深沢亘

    深沢説明員 お答え申し上げます。  五十二年段階見通しにおきましては、先生指摘になりましたように、新エネルギー等につきましては二百三十万キロリットルでございました。それが今回は五百二十万キロリットルぐらい、倍以上になっているわけでございます。  それで、ちょっと細かい資料が手元にございませんものですから、あれでございますが、要するに太陽ソーラーとかそういうもの等が中心になっているかと思いますけれども、今回のあれにおきましては、五百二十万キロリットルで、全体での構成比は一%弱の〇・九でございますけれども、これの主要なところを占めますのは、やはりソーラー、これが大体二百万キロリットル強ぐらいでございます。それからもう一つは、アルコールなんかに期待していきたいところでございまして、これも百六、七十万ぐらいのところでございます。それ以外ちょぼちょぼしたものを集めまして、全体で五百二十万キロリットルということに相なってございます。
  15. 日野市朗

    日野委員 現在の見通しを見ますと、六十年度で五百二十万キロリットル、それが六十五年になると三千八百五十万キロリットル、それから五年後の七十年になりますとそれが六千百万キロリットル、そして構成比は七・六ぐらいというところで落ちつくのですが、少なくとも私がいままで見てきた範囲では、ここいらの分野については、通産省科学技術庁あたりも余り関心を示さなかったということが言えるのではないかというふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。  この点については、科学技術庁の方からもお答えをしていただきたいと思います。
  16. 深沢亘

    深沢説明員 お答え申し上げます。  これは今後のエネルギー情勢を考えました場合に、やはり長期的に増加する部分をずっと石油期待はできないということで、石油代替エネルギー開発ということを進め、そしてまた、その導入を図っていかなければならないというところでございますけれども、その中に、やはり量的にまいりますと原子力とか石炭とかLNGとかそういったものもございますが、しかしそれだけでも、また今後のいろいろな情勢を考えた場合に、どうしても足らないという側面がございます。その場合に、この新エネルギー等で申し上げているわけでございますけれども、石炭の液化とかアルコールとか太陽エネルギーとか、そういった新しいエネルギーに、言うなれば日本としてチャレンジしていかなければならない、それが従来は研究段階でございましたけれども、今度はそれを加速して早めていこうというような体制づくりも含めまして検討しておるわけでございます。
  17. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  ただいま御質問の今後の新しいエネルギー関係でございますが、先生指摘のように、いろいろ技術的な問題点あるいは経済性点等、種々問題があろうかとは思っております。しかし、いま通産省の方からも御説明のように、石油代替エネルギーを何とか確保していくという観点から、特に今後の研究開発におきまして努力をしていくべき目標かと思っておるわけでございます。
  18. 日野市朗

    日野委員 この点については、いわゆる自然エネルギーというのは、密度が低いこともよくわかりますし、その技術開発についても、石油とか原子力などのように、はでさもないというようなこともよくわかります。しかし、従来の化石燃料を使う、それから原子力のような全く新しい熱源を使うというようなことになっても、いずれもそれは有限であるわけです。人類の永遠の生存を考えるならば、何らかの方法をとらなくてはいけない。当面の問題はどうなんだという、当面の短い時間帯の中でエネルギーの問題をどう克服するかというような問題はあるにしても、いずれは再生産が可能な、自然のサイクルの中で獲得できるエネルギー源を使わなければならないということについては、われわれは従来からずっと主張を続けてきたところなのですが、科学技術庁通産省方向もやっとそっちに向きかけたというふうに私としては希望的に理解したいところでございますが、いかがでございましょう。
  19. 川田洋輝

    川田説明員 お答えいたします。  おっしゃるとおりでございまして、石油代替エネルギー開発導入を進めます場合に、原子力とか石炭LNGといったようなもののほかに、少なくとも当面はこれらを補完するという形であろうかと思いますが、従来、未利用の状態にございました太陽とか地熱、中小水力等エネルギー資源につきましても、地域のエネルギー需給実態に応じまして積極的に開発利用促進を図っていく必要があるだろうと思っております。  ただ、これらのエネルギーにつきましては、潜在的な利用可能性につきましては先生お話のとおりでございますけれども、エネルギー密度が概して低いものが多うございます。それから地理的なあるいは時間的な偏在性が大きいこと、コスト面割り高であるということなどから、将来、信頼性のある安定的なエネルギー源として期待いたしますためには、一層息の長い技術開発というものについて、ぜひいまから一生懸命取りかかる必要があるだろうと考えまして、現在までそれなりの努力はしてきたわけでございますけれども、一段と力を入れて進めてまいりたい、こういうふうに思っでおるわけでございます。
  20. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  ただいま通産省の方から言われたとおりでございますが、特に先生も御指摘のように、非常に密度が薄いエネルギー源というようなこともございまして、これからの研究開発に負うところが非常に大きいと思っております。しかも、経済性がよくなるためには、相当長いリードタイムを必要とするというようなこともございますので、できるだけ幅広くいろいろな可能性につきまして研究を推進していきたい、こう考えておるところでございます。
  21. 日野市朗

    日野委員 そろそろ大臣お答えをいただく番になりますから、大臣、よく聞いていてください。  科学技術庁は、科学技術会議に対して科学技術政策基本についての諮問をいろいろされて答申をずっと得てこられているわけですが、現在のところ、特にエネルギーの問題に関しては、五十二年の五月に答申された諮問六号、これがほぼ基本になっているだろうというふうに私は思うのです。もし違っていたら御指摘いただいて結構ですが、ただ、この諮問の内容を見ますと、これは現在の科学技術政策根本、特にエネルギー問題については根本になっている。私は、この構成などを見て、これは資源とかエネルギー問題に対する取り組みの必要というものをこの答申がきちんと踏まえて、一番最初にこれを乗っけて、エネルギーに関する科学技術開発についての努力を一応しょうという態度、これについては評価をいたします。ただ、それにしても、何とも依然として原子力開発に最大の重点を置いていることについては、私、実は不満でありますが、ここらはしようがないところとして受けとめて、ただこの中で、私、考えてみまして、いわゆる自然エネルギーと言われるもの、再生可能なエネルギーと言われるものに対する評価というものは、この諮問六号の中で見る限りでは非常に低いような感じがいたします。  そこで現在、科技庁の方と資源エネルギー庁の方双方から、自然エネルギーに対する評価の見直しというふうなお話がありましたが、この諮問六号に見られるような科学技術政策、これが特に自然エネルギーの分野においてこれで十分なものでしょうか、いかがにお考えになりますか。まず大臣の方からお答えをいただきましょう。
  22. 長田裕二

    ○長田国務大臣 ただいま御指摘エネルギー開発につきましての諮問に対する答申、こういうものは、その時期の次第などもございまして、エネルギー需給ギャップをどうして埋めていくかというような観点に重点が置かれておるような感じもいたします。先ほど通産省の方からも答弁がございましたように、今後、大都市とかあるいは重要産業とかそういうようなものへエネルギー供給するというような立場からは、エネルギーの量というものが非常に問題になるわけでございます。しかし、先ほどから委員の御指摘自然エネルギーというような点につきましては、気持ちとしては政府としても相当しっかりした取り組みをしてまいらなければと思っておりますけれども、それがまだ十分に開発され、育っておらない、エネルギーの量としては十分な期待がなし得るところまで至っていないというようなところからしまして、あるいはこの自然エネルギーに対する諮問に対する答申は、その点が十分でないというお気持ちを抱かれたのかも存じませんが、私どもとしては、再生可能である、副作用、環境汚染が非常に少ないというようなことから、地域あるいはコミュニティーあるいは離島、山の上とか、そういうようなところなどへの、あるいは普通の社会生活の中の若干の取っつきやすい部門、たとえば風力なり何なり充電等にはすぐそのまま使いやすいとか、そういうような特徴、使いやすい部面を一つの糸口にしまして、その口をさらに広めていく、技術開発につきましても相当力を込めてやってまいりたい、そのように思っておるところでございます。
  23. 園山重道

    園山政府委員 若干事務的な補足をさせていただきたいと思いますが、ただいま先生の御指摘になりました科学技術会議に対する第六号諮問に対する答申でございますが、これは先生の御指摘のように、科学技術政策基本についての総合的な御答申をいただいているわけでございます。その中に御指摘のように、資源及びエネルギーに関する研究開発等についての御指摘が出ておるわけでございますが、そのほかに、第六号答申の中におきましては、重要な分野については、個別に基本計画のさらに具体的なものを作成せよということが指摘されておりまして、この御指摘を受けまして、やはり重要分野の最も急ぐものといたしまして、エネルギー開発基本計画といいますものを五十三年の八月に、やはり科学技術会議の御答申を得まして、内閣総理大臣エネルギー研究開発基本計画として定めたものがあるわけでございますが、このエネルギー研究開発基本計画におきましては、四つの分野につきましてプロジェクト化して進めるべきものということで二十七の課題を挙げておるわけでございます。  ただこの中でも、先生指摘のように、やはり当面の問題として原子力等がプロジェクトの数等においては大きくなっておるわけでございますが、これは先ほども申し上げましたように、自然エネルギーにつきましては、地熱その他当面すでに実用化しておるというものもございますけれども、やはりまだ相当な研究段階というものがございますので、いきなりプロジェクト化いたしまして、目標年度を定めてという段階に至っていないものも多いわけでございますので、プロジェクト化という数は少ないわけでございますけれども、しかし、将来における有望な分野という位置づけをいたしまして、この自然エネルギーについても研究を推進していくということを、この基本計画では述べているところでございます。
  24. 日野市朗

    日野委員 一応事務的には、そのとおりでございましょうし、大臣の言われたことも、一般的にはそのとおりと言えるかもしれませんけれども、これはこの間の委員会でも、私と大臣との間の哲学の違いかなという話をしましたが、私は、これからのエネルギー問題の課題を考えるときには、やはり自然をうまく生かすエネルギー方向に進むしかないと思っております。化石エネルギーというのは、古い昔からの太陽エネルギーを集積したものでして、これをわずかな時間の間にばっと燃やしてしまうということになったら、地球の熱バランスをすっかり崩してしまうということにもなるでしょうし、また炭酸ガスがたまって、地球の温室効果だなんていって北極の氷が解けてくるのじゃないかなという心配もあるし、それに何よりも、こういったものをいま使い尽くしてしまったら、将来の人類はどうなるのだということを考えなくてはいけない。そのことを考えてみますと、やはりこれはもういやでも自然エネルギー々使いこなしていく、これを人類のエネルギーの究極的な姿としてとらえざるを得ないと私は思うのです。核融合だなんて、やっている人には失礼だが、いまだ夢の段階ですからね。それから核融合をやるにしたって、これは熱代謝の問題から言えば、やはり大変な問題があるのでありまして、そういった意味から言えば、もっともっとこの自然エネルギーに対する努力というのはなされなければならないと私は思う。自然エネルギーだけでかなりの量のエネルギーを賄い得る、しかも生活の程度を下げなくたっていいというような理解をしている人たちもいて、このソフトパスと言われる考え方については、もう世界的に市民権を得た考え方だと思うので、この方向に大きく踏み出していくことが必要じゃないかというふうに私はいま思っているのです。  いまエネルギー研究開発基本計画について言及もされましたが、私もそれを持っております。しかし、これを見ますと、依然としてその中心に似るのは原子力から取り出すエネルギーの問題ですね。そして自然エネルギーに対する評価というのは、地熱であるとか、いわゆるいままでサンシャイン計画の中で重点プロジェクトとされてきたような問題だけに依然として偏っているような感じがしてならないわけです。科学技術庁の見識として、この自然エネルギー利用技術をもっと積極的に推進するというお考えになれませんか。
  25. 長田裕二

    ○長田国務大臣 私は、気持ちにおきまして、ただいま御指摘のような点、哲学の問題になるとかいうお話もございましたが、そう大きな違いは日野委員とないというふうに思っております。ただ、現実の社会生活、経済生活を根本的に変えていくか、いまの状態を維持し、少しずつでも改善といいますか発展させていく必要があるかないかというような観点から見ますと、どうしても当面エネルギーの量の問題に相当重点を置かなければならない。自然エネルギーの活用、まだまだ量的にも拡大の余地はございますけれども、量的にいまのエネルギー消費量の中での相当大きな部分を占めるまでには、技術的にもまだ相当の期間努力を払っていかなければならない。そのような観点からしまして、私どもは、いま原子力開発利用ということに力を入れていかなければならない、そう思っているわけでございます。  先ほどお答えするのをちょっと失念いたしましたが、バイオマスの問題などにつきましても、まだ萌芽の段階ではございますけれども、着々発展の道を歩んでいるというふうに思いますし、私どもは、そういうものの将来にも大きな期待をかけておることは、もうはっきり申し上げてよろしいと思うわけでございます。
  26. 日野市朗

    日野委員 私と大臣との間にそんなに大きな哲学的な意見の違いがないということを聞いて安心したような感じもするのですが、一方では、それにしてはちょっと努力が足りなさ過ぎるじゃないかというふうに思うのです。これは二律背反じゃないんですよ。原子力をお考えになることは原子力をお考えになるでよろしかろう、しかし、それと同時に、どうしてもわれわれが進まざるを得ない方向であれば、これに対する国の投資ということも当然なされなければならないし、それから、このエネルギーを使うについては、いろんな周辺のローカリティーを含めての整備も必要であります。そういった研究も当然なされなければならない。しかし、いま現在、少なくとも政府から公表されている基本計画なり科学技術政策なり、それから現在、通産省あたりが取り組んでいるプロジェクトなど拝見しても、そう大きい熱意が見られないというのが、私は非常に残念だと思うのです。  どうですか、これは二律背反ではない、そっちの方向に大きく進めようという御決意でぜひともいまの段階でやっていただかなければ、全人類の生存、日本の民族の生存、この狭い日本列島の中での生存について、将来に大きな不安を抱かざるを得ないと思うのです。ぜひともここでその決意を言ってください。いかがでしょう。
  27. 長田裕二

    ○長田国務大臣 現実の問題として、たとえばでは五十六年度予算にその気持ちをどうあらわしていくかというようなことがございますが、私は、やはり総体として量の問題、先ほどもあの暫定見通しにつきましての疑念を御提示になりましたけれども、量の問題をしっかり確保していくということも、当面非常に重要な問題でございまして、そういう面にいま国として、五十五年度予算などでも財政乏しい中でも、かなりの財政支出がなされるような予算が組まれているわけでございます。  いまお話自然エネルギーに対する気持ちを予算の面でどういうふうに展開させていくことができるかどうかということにつきましては、量の問題とも関連しまして、私どもの今後の一つ努力を要するところだというふうに考えているわけでございます。気持ちといたしましては、その面への力の入れ方、予算面での数字にあらわれた面、そういうところにもその気持ちを相当あらわしてまいらなければと、そのように思っているところであります。
  28. 園山重道

    園山政府委員 予算についてのお尋ねがございましたので、去年、ことしの自然エネルギー関係の予算について若干申し上げたいと思いますが、いわゆる自然エネルギー太陽エネルギー、地熱、バイオマス、波力、風力等につきまして、研究開発費が五十四年度八十億でございましたが、五十五年度予算におきましては、特に通産省のサンシャイン等で非常な伸びがございまして、百九十二億、前年度に比べて二三八%という、全体のエネルギー関係研究開発予算に対しましては六%程度でございますが、金額そのものでは相当大幅な伸びの努力がなされておるところでございます。
  29. 日野市朗

    日野委員 大臣の答弁を聞いておりますと、やる気はあるのだというようなことを言っておられるが、どうも腹の中では、まだまだ、あんなものをという気持ちが抜けないのじゃないかと思うのです。  これはどうですか、通産省の方でもあんなものをというふうな感じで仕事をされておるのじゃないですか。あんなものやってみたところで、当分手柄にもなりそうもないし、日本列島にばらまかれたエネルギー源を集めるなんて、そんな間延びのした仕事なんかやってられるかぐらいの、腹の中じゃそんなこと考えておられるのじゃないですか、いかがでしょう。
  30. 深沢亘

    深沢説明員 お答え申し上げます。  先生そういうふうにおっしゃられるわけでございますけれども、取り組みは全く別でございます。  たとえば自然エネルギーとしまして、太陽とか地熱とか中小水力とか風力とかいろいろございますが、要するにわれわれの身の回りで従来未利用であったエネルギーというものにつきまして、こういうエネルギー実態、先行きの実態を見ましたときに、少しでも実現化して、現実のエネルギーとして使っていくという方向性につきましては、どうしてもやっていかなければならない方向だと思います。  そういうこともございまして、五十五年度の予算といたしまして、各地方公共団体が中心でございますが、各地域におきましてどういうような資源があるだろうか、それがどのような量で賦存しているだろうか、それを一体どんなふうに利用できるだろうか、そういった具体的な調査を進めていただく、その場合に、具体的に言いますと、予算では大体十八件分ぐらいとってございますが、一件当たり二千万円ぐらいの事業規模といたしまして、その半分ぐらいを補助して、そういった調査を進めていただいて、具体的な、ローカリティーの高いローカル・エネルギー・システムというものを確立していく方向での支援をしようとしているわけでございます。それから、これにつきましては、ソーラーにいたしましても、地熱にいたしましても、中小水力にいたしましても、それぞれ所要の助成措置もやっているわけでございます。  それから、先ほど来御議論ございますように、それにつきましては、いま大規模に大々的に使っていくには、やはりある意味で問題がございます。密度が低いこと、それから時間的、地理的な制約があること等々、いろいろ問題がございます。まず、そこに対する研究開発的な、いろいろなシステムづくり的な対応ということも、それぞれの予算の中で措置しておるわけでございます。
  31. 日野市朗

    日野委員 大臣にひとつ、ある研究の結果を御披露しておきたいのです。これはいいかげんな著書ではありません。通産省の委託で松下技研がやった「エネルギー需要と地域整備についての総合的研究」というりっぱな研究です。ここの中で、研究に当たった方々が、まとめとしてこんなことを言っているのです。  まず、教育の仕方が問題だ、こう言うのです。「義務教育のレベルから「日本には人的資源しかない資源小国であり、外国のエネルギー資源輸入して工業製品を輸出する加工貿易立国で進まなければならない。」というのがいままでの教育だ、しかし、これからの教育はそうじゃないと言うのです。「日本には日本の気候風土に合致したエネルギー資源が存在し、それらを利用することにより日本には日本独自の文明が生まれる。一倍二千万人の日本人がこの三十七万平方キロメートルの土地にその資源を使って生存してみせること、このこと自体が人口増加の続く世界に対して何よりの貢献なのだ。そしてそのような文明を創り上げてゆく過程で生まれる自律化のための技術商品が、他国の自律化にも貢献することにより、貿易と国際協力が盛んになり日本の新しい繁栄をもたらす」、こう教えろ、こう言っているのですな。  私、この点、非常に示唆に富んだ立言だなというふうに読んでいるのですが、どうですか、御感想大臣
  32. 長田裕二

    ○長田国務大臣 結局どういう生活をするかということだろうと思います。私どもの子供のころは、付近の土地なり山なりそういうところから出てくるもので大部分を賄って、かなり自給自足的に暮らしておったことも事実でございます。そういうようなものから、今日、原料の大部分を海外から輸入し、こちらはそれに対応するものを輸出してやっていくような、人口もいまや一億二千万に近づこう、そういうような社会になっているわけでございます。私どもも、昔のような生活に郷愁を感ずる点もずいぶんございます。燃料なんかにしましても、ちょっと個人的な感懐で恐縮ですが、私なども、年をとったら田舎の生活をして、ふろに薪などをたきながら、その炎を静かに夕暮れの中でながめながら、ひとつ来し方行く末なども考えるような時間も持ちたいな、そういう気持ちなどもありまして、そういうものに対するあこがれがないわけでもありませんけれども、日本全体をそうしてしまっていいかどうかということにつきましては、多くの人が非常に努力をして戦後の廃墟から今日までやってきた、この成果も失いたくない、こういう生活も若干発展をさせていかなければならない、そういうような気持ちも、国の政策としてはやはり捨てることができないという感じもいたすわけでございます。  しかし、いまの自然エネルギーに関連いたしまして、自分たちの身の回りのものに目をつけて、それらをことごとく有効に生かしていくという考え方は、あらゆる時代を通じて持っていかなければならないところでございましょうし、そういう面での開発が、いままで巨大産業あるいは新しい物質、そういうものになじんでいる間に若干忘れられ過ぎているのではないか。そういう面の反省をも込めましての自然エネルギーへの取り組み方につきましては、私どもも、考え方としても、また政策といたしましても、もう少し強力に取り進めていく必要があろう、そのように思っている次第でございます。
  33. 日野市朗

    日野委員 そういう話になってしまうと、どうも議論が非常に平和的に流れてしまって困るんですがね。  実は、生活の質を落とさずに、いかにこれらのエネルギーを使いながらやっていくかというところに悩みがあるのでして、いわゆるソフト・エネルギー・パスと言われるものにしても、ここにいま私が挙げた研究の成果にしても、生活の質を落とさずにやっていけるのだ、レベルを落とさずにやっていけるのだという研究ですから、そこらはひとつ誤解なきように。何もふろを薪でたかなくちゃいかぬという話ではございませんので……。いま私が読み上げただけで、そこら大臣に十分な御理解をいただけなかったとしたら残念ですが、これはすぐれた研究ですので、こういったものは科学技術庁なんかでも十分取り上げるような方策を講じていただきたいと思うのです。  私、いままでのエネルギーの政策を見ていて、一つのものに非常に片寄り過ぎるという感がしてならないのです。エネルギー、じゃ原子力だと言えば、ばっと原子力の方にばかり突っ込み過ぎて、大臣がいま言われたように、ほかのものを忘れ過ぎた。これは非常に進歩が激しかった科学技術にとって、ある程度宿命的であったかもしれません、そういった現象は。しかし、これから地球そのものの有限性というものを考えてみますと、そういうことではいけないので、全般に広く目を向けるということも必要だし、これはやらなければならないということであれば、大きいプロジェクトを組んでみるとか、一つの機構をつくり出して、そこに責任を持った開発を任して、責任体制をきちんとしいてやっていくとか、そういったことも必要ではなかろうかというふうに思うのです。  本来であるならば、この自然エネルギー利用開発というようなことについては、やはり何か一つの機構を、きちんとしたものをつくって、そこで情報をきちんと収集し、さらに計画を進めていくというようなことが組織論的にも必要なのではなかろうかというふうに私は思っているわけなんです。  今度、石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律案が提出をされているわけでありまして、ここの中に新しい機構をひとつつくろうということで、新エネルギー総合開発機構というものをつくるという構想が打ち出されているのであります。商工委員会の方の議論はよくわかりませんけれども、こういう一つの機構をつくっていくということについては、一歩の前進ではあるだろうと思います。将来のエネルギー開発機構の問題について、この新エネルギー総合開発機構というのはどういう役割りを果たすのかについて、これは通産から聞いた方がよろしいのでありましょうが、ちょっと伺っておきたいのですが、この総合開発機構ができますと、従来のサンシャイン計画なんかはどういうふうになるのでしょうか。
  34. 川田洋輝

    川田説明員 お答えいたします。  新エネルギー総合開発機構は、石油代替エネルギー開発を総合的に推進するための中核体として設立を予定いたしておるものでございます。その主要な業務は、石炭の液化でございますとか、深部地熱開発太陽光発電等の大型の技術開発、これが一つの主要な業務でございます。それから地熱資源海外炭開発の助成、調査といった代替エネルギー資源開発ということを、もう一つの柱といたしております。  第二点の、従来進めてまいっておりますサンシャイン計画との関連でございますけれども、この機構におきましては、サンシャイン計画などを中心といたしまして進めてまいっております研究開発成果というものを踏まえまして、この企業化を目指してプラント開発を行うということを業務の柱といたしておるわけでございます。先ほど申し上げました技術開発の具体的な姿としては、企業化に結びつけるためのプラント開発を行うこと、こういうことでございます。したがいまして、サンシャイン計画をこれから飛躍的に推進していくための機能を果たすということにもこの機構は相なるわけでございます。
  35. 日野市朗

    日野委員 科学技術庁も、その傘下に動燃、原研等々のやはりエネルギー開発のための一つの組織を抱いているわけですが、これらの科技庁傘下のものとこの開発機構との関係はどうなりますか。
  36. 川田洋輝

    川田説明員 お答えいたします。  新エネルギー総合開発機構で進めます石油代替エネルギー開発は、石油代替エネルギーのうち、従来はまだ研究開発が必ずしも十分進められておらなかったというような石油代替エネルギーを総合的に進めるということでございます。  一方、原子力につきましては、従来からすでに原子力研究所あるいは動燃事業団というしっかりした体制で進んでまいっておりまして、これは今後ともこういう体制で進めていただきたいということで、法案の業務範囲の中でそういうことを明確にさせていただいておるところでございます。
  37. 日野市朗

    日野委員 私は、本来であれば、このような機構を科技庁の中に持つべきだと思うのです。科技庁の機能というのは、まさにそのような機能なのではないかというふうに思うのです。特に科学技術庁設置法四条十一号なんかの予定しているところは、本来このような業務は、科学技術庁できちんとやりなさいよということではないかと思うのです。私、こういうのを通産でやることにあえて異を唱えるものではありませんけれども、通産というのは、どうしても企業ベースに流れがちですわね。この企業ベースに流れるというのは、いいことも悪いことも全部しょい込むということでして、私は、本当はこれは科学技術庁あたりがやらなければいかぬのだと思うのです。科技庁あたりがこういう仕事をどんどん通産あたりにお譲りしていますと、そのうちに科技庁というのは一体何だ、原子力局と安全局があればいいのじゃないかなんという話にもひょっとするとなりかねないような感じすらするのですが、どうですか。こういう機構が今度できるに当たって、これはできてしまったら、すぐに朝令暮改というわけにもいきませんで、新しいものをつくるというわけにもいかぬでしょうけれども、特にこのエネルギーに関するセンターのようなものを科技庁で持つというような将来に向けての構想をお持ちになれませんか。
  38. 園山重道

    園山政府委員 先生指摘の問題、大変むずかしい問題でございますけれども、科技庁といたしましては、やはり研究開発全般にわたりまして、企画、調整、推進といった仕事をいたしておるわけでございます。したがいまして、エネルギーに関しましても、先ほど来原子力お話がございますが、これはもう非常に古い伝統を持ちましてやっておるわけでございますし、そのほか、いまいろいろ御指摘がございます自然エネルギー等につきましても、やはりこれは一つ研究開発がある段階まで達しまして、まさに企業化するという段階になりますと通産省でお扱いになるという、これも一つの割り切り方である、こう思っておるわけでございます。ただそれ以前に、やはり先ほどからも申し上げておりますように、自然エネルギー研究段階におきましては、たとえばいま科技庁傘下の海洋科学技術センターで波力の研究開発をいたしておりますし、また理化学研究所におきまして、植物の光合成機能を何とか人工的にできないかとか、あるいは注目されておりますアオサンゴ等の炭化水素を出しますような植物の研究でございますとか、あるいは金属材料研究所等におきまして、省エネルギーその他に必要な材料の研究、これらは一つエネルギーということでまとめるよりも、やはりそれぞれの研究所なり研究開発機関というものが、その得意とする分野におきまして、その技術を総合して研究に当たるということも必要でございますので、いわゆる相当な成果が上がりまして、先ほど通産省の御説明にもありましたように、プラン下化する、企業化するという段階以前につきましては、それぞれのところが得意とする分野の中で研究するということも必要かと思っております。  また、科技庁といたしましては、いわゆる総合調整という立場から、先ほど御紹介申し上げましたようなエネルギー研究開発基本計画というものを策定いたしておるわけでございます。お話にございました今度の新エネルギー総合開発機構におかれましても、いわゆる研究開発という問題につきましては、このエネルギー研究開発基本計画に従ってやっていくということになっているわけでございまして、すべての機関を、科学技術に関連するものは科学技術庁にということは、また一つの理想であるかもしれませんけれども、必ずしも現段階において直ちに可能性があるわけではございませんし、また、それが果たしていいかどうか、この辺は十分に検討しなければならない問題ではないか、このように考えておるところでございます。
  39. 日野市朗

    日野委員 あなたのお立場としては、そういう答弁になろうかとも思いますが、ある一人の委員がこういうことを言っていたということだけは忘れないでいただきたいですね。今度常任委員会になるらしいですけれども、この委員会が常任委員会になって何をやるのですか。エネルギーのことだと言えば、じゃ通産に聞いてくれという調子では、一体科学技術常任委員会は何をやるのだということになっちゃいますよ。私、そういった点からも、特に新エネルギー開発研究といったものについては、動燃事業団が果たしてきたと同じような役割りを果たせるような一つの組織というものがきちんと誕生するように心から祈りたいと思うわけです。  余り総論的なところばかりをやっていますと、いろいろな問題、もっともっと聞きたい点がありますが、その時間がなくなってくると困りますので、自然エネルギーについて、これらの部分については特におくれているのではないかという点からちょっと指摘をしてまいりたいと思います。これはもう太陽熱から包括的にやろうかと思ったのですが、全部やっている時間がなさそうですから、幾つかの点について重点的に伺いたいと思います。  まず、水力の問題です。  水力資源については、従来からもう水力発電なんかやる場所は日本にはないのだということがずっとささやかれ続けてきた。場合によっては声を大きくして言った人もいます。だから、火力に切りかえろ、火力の方がずっといいのだということでどんどん火力に切りかえてきて、言葉は悪いが、いまこのざまでございますね。  水力資源というものをどのようにとらえておられるか、この点については、科学技術庁資源調査会が一九七三年十一月二十七日に勧告を出しておられますね、その勧告の内容を御説明いただきたい。
  40. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、資源調査会が昭和四十八年十一月に「水力の合理的開発に関する勧告」というものを出しておられます。この勧告は、エネルギー需要の動向、さらには水資源需要の増大といった事情から出たものでございまして、一つには、わが国の未利用水力資源開発を推進する必要があるという基本的な考え方、それから、これにあわせて今後不足が予想される都市用水の確保のために、水資源の広域多角的な開発、それから河川の再開発などを強力に行う必要があるという御指摘があるわけでございます。  この勧告の概要は、大体以上のようなところでございます。
  41. 日野市朗

    日野委員 その勧告は、どのように生かされたでしょうか。
  42. 園山重道

    園山政府委員 この勧告に関連いたしますことで各省庁でやっておりますことということで私どもの理解いたしておりますのは、一つは、国土庁におかれまして水資源供給可能調査といった水の開発利用に関する基礎調査を五十一年から五十三年度にかけて行っておられます。また、建設省におかれましては、ダム周辺の環境整備事業というのを五十年度以来進めておられる。また科学技術庁におきましては、こういった水の問題、特に水力発電ということ、直接の問題ではございませんけれども、地下水の水収支の解析手法に関する総合研究というものを、特別研究促進調整費によりまして、建設省、農林省、通産省科学技術庁共同で五十一年から五十三年度に実施しておるところでございます。
  43. 日野市朗

    日野委員 いま伺いますと、ずいぶんそっちでもこっちでもいろんな調査をしたり何かやっているようですが、その成果というのは水力発電の上で生かされておりますか。
  44. 飯島滋

    ○飯島説明員 いま御説明ございましたような勧告等勘案いたしまして、こういった小水力開発をできるだけ積極的に進めていきたいというように考えております。  ただ、いま科学技術庁の方から御答弁ございすしたようないろいろな調査をもとにいたしまして、通産省といたしましても、現在、百ダム調査と通称言っておりますけれども、百の総合開発ダムに水力発電所をつくれないかということで、それぞれ個別の地点の計画をまとめるとか、そういう調査をやっております。そういう具体化を図るべく、そのうち幾つかは具体化しておりますが、ある程度時間がかかる、地元との調整だとかあるいは環境の調査をしなくちゃいけない、こういうことで、少しずつではございますが、そういったものについての実現をいま図っているところでございます。
  45. 日野市朗

    日野委員 どうも私、通産省にしても電力業界にしても、気になるのは、ある程度のスケールも持たないと、ある程度の規模を持たないと、みんなそれに飛びつかないという傾向があるのじゃないかという感じがするんですね。それは、ある程度の規模まではスケールメリットということは確かにありますけれども、現在は逆にスケールデメリットということが非常にささやかれている時代で、特に水力の場合はスケールメリットを追い求めていくと失敗する。それは立地問題からいろんな設備の問題で、スケールメリットを追求するということは、必ずしもうまくいっていないような感じがするのであります。  それで私、小型水力ということにもっと積極的になるべきだという感じがいたします。特に日本の場合、電力会社あたりが小型水力と言う場合は、大体二万五千キロワットぐらいを基準にして小規模かどうかを決めるということで、大体、二万五千キロワットなんといったら、かなりの大規模なものというふうにイメージとして持った方がいいのじゃなかろうか。もっと小型化をしていく方向でこれはいろいろ指導すべきでなかろうかと思いますが、その点についていかがでしょう。
  46. 飯島滋

    ○飯島説明員 現在のようなエネルギー事情でございますので、当然、先生指摘のとおりの方向で進めていかなければいけないというように考えております。  電力会社はなかなか小さいものに手をつけないではないかという御指摘もございましたが、一般的に申し上げまして、水力発電所の場合、規模が小さくなるほど経済性が悪くなるということで、できるだけ安いエネルギー供給しようということを考えますと、ある程度の規模のものに手をつけざるを得ないということが従来の行き方だったかと思います。しかし、現在のような情勢では、できるだけその小さいものも数多く開発して、多少なりとも純国産エネルギーであり、循環エネルギー資源である水力の活用を図っていかなければいけない、こういう立場から、小水力開発促進について五十五年度からはいろいろ新しい助成政策を考えているところでございます。たとえば五千キロ以下の発電所については建設費の一五%の補助をするとか、五千から二万については一〇%、二万以上については五%、こういうように経済性に応じて小さい方について厚い助成を行うということを考えておりますし、あるいは開銀の融資にいたしましても、従来は五千キロ以上のものにしか融資していなかったのを一千キロ以上のものまで対象を広げるとか、あるいは地元交付金にいたしましても、従来五千キロまでのものにしか交付金が出ていなかったのを千キロのものまで広げるということで、中小のものにできるだけ開発しやすいような環境をつくっていこうということで、新しい制度を考えているところでございます。
  47. 日野市朗

    日野委員 水力の場合、ある程度のスケールを持った方が安いというのは、一つは、送電コストとか建設コスト、それからタービンの性能などの問題等いろいろあるのでしょうが、関西電力の赤尾発電所というところですか、これなんかは、チューブラー水車という水車を使って、かなり小型化に成功している例があるようにも聞くのですが、こういった面での技術的な開発努力というものは進んでいるのでしょうか。
  48. 飯島滋

    ○飯島説明員 御指摘のとおり、中小水力経済性に一番大きな影響を及ぼすのは、水車とか発電機のコストではないかというように考えております。したがいまして、中小水力を経済的に成り立つようにするためには、そういった水車発電機、特にチューブラーなどを含めまして、小型化された水車のコストをいかに下げるかという研究開発を進めなければいけないと思っております。五十五年度に当たりましては、工業技術院のエネルギー関係技術振興の補助金制度がございますが、そういった一部を活用いたしまして、中小水カシステムの技術開発ということを行い、チューブラーに限らずクロスフローの水車だとかいろいろございますので、そういったようなものを経済的に製作できるような技術開発しよう、あるいはそういった小型の水車などを標準化とか規格化することによりまして量産体制をつくり、コストダウンを図っていく、そういったような研究開発をこれから進めていきたいということを考えているところでございます。
  49. 日野市朗

    日野委員 自然エネルギーと言うと、どうしても小型化、小型化へ行く傾向にならざるを得ないかとも思うのです。特に水力ですが、これは企業としてやると、やはりある程度のスケールということになってこようかと思います。しかし、世界的な規模でいろいろ見てみますと、特に田舎で沢があるところなんかで、これは幾らでも利用できるぞというようなところがあるんですね。それから砂防ダムなんというのは、全国至るところにあるわけですから、そのダムを利用して、落差、流量を利用して幾らでも小さいものをやっていけるだろうと思うのです。  たとえばアメリカのジェームズレファル社なんというのは、五百ワットぐらいから発電する発電機をわりと安くつくるとか、ソ連の、クロゲスという発電機なんかは非常に小さくて、高性能。それからイギリスのギルバート・ギルコックス・ゴードン社なんというのは十キロから二十キロぐらい。こんなものをずっと拾い上げてみると、小さなものをつくっているところが現にいっぱいあるし、それで商売になって、そういう電力が生きているわけですね。ですから、そういう方向への開発というものは考えられないものでしょうかね。
  50. 飯島滋

    ○飯島説明員 そういう方向での開発は、ぜひ考えていかなければいけないというように考えております。  従来日本では、そういった小型のものにつきましては、当面維持するための人件費がわりあい高くかかる、したがいまして、そういうものをかなり自動化していくとか、一日一回ぐらいの見回りで済むようにするとか、そういうようなことで経費の節減を図っていかないとできないということで、なかなかそういう方向に進みにくい状況にあったわけでございますが、現在は、そういう研究開発を進めることによって、自動的に運転していく、あるいはごみが詰まるようなものも自動的な除じん装置を考案するとか、そういうような対策を考えながら、そういうものが経済的にも成り立っていくようにということ、そういうための研究を進めていきたいというように考えております。
  51. 日野市朗

    日野委員 波力で、きのうあたり山形県で何か試験をしたものがありましたね、ついでですから、その成果をちょっとお聞かせいただけませんか。
  52. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 昨日の東京新聞の夕刊で、私どもが進めております「波力発電の実用化についてめど」というタイトルで新聞発表がされております。これは別に新聞発表したわけではございませんで、東京新聞で、十五日に実験が終わりましたので、記事にしていただいたわけでございます。  実は、海洋エネルギー開発のうち、波力発電につきましては、五十四年八月から本年四月までに第二次実験が行われまして、この第二次実験におきましては、発生電力の一部を東北電力の商用系統線に入れる実験がされておりまして、実験の成果が上がったわけでございます。その結果が発表されております。
  53. 日野市朗

    日野委員 最近、ソフト・エネルギー・パスの論争をめぐって、反対論者の側から、波力発電なんというのは、電気を取り出す技術なんというのは全然手づかずだというような議論がなされまして、これは何のことを言っているのだろうなというふうに思ったのですけれども、きょう持ってくればよかったのですが、実は今週号の「朝日ジャーナル」に載っているのですけれども、波力発電でエネルギーを受けとめる、そして発電をする、それから電気を引っ張ってくるところに問題があるのかなというふうに思ったのですが、その点について何かおわかりになりますか。
  54. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 お答えいたします。  現時点の私どもの実海域における実験は「海明」で発電をいたしました電力を東北電力につなぐ実験に一応成功いたしております。したがいまして、一応利用できるという点につきましては、成功したという確信を持っております。しかしながら、あくまでも小規模でございますので、これを商業用にちゃんと実利用できるかどうかという結果は、五十五年度の評価解析を待って、初めて証明できるということになろうかと思いますが、私どもとしては、一応実利用ができるという方向での実験を進めておるわけでございます。
  55. 日野市朗

    日野委員 マスコミなんかで活字になって、一方的にこちらに送られてくると、いや、そういうものかななどというふうに思うのですが、自然エネルギーというのは、そういうわからないことがこっちには余りにも多過ぎて、一方的な送り手側の意思だけが世上ばらまかれるというようなことがややもすればあるかと思うのです。  これは私の一つ感想ですが、風力なんかについても、評判が余りよくないような感じがするのです。風力というのは、風の息があって恒常的なエネルギーにならないとか、それから土台のところが意外ともろいものだとかなんとか、いろいろと言われているわけなんですが、風力については、たしかサンシャイン計画でも、六十五年あたりから何か利用する計画になっていたんじゃなかったでしょうかね。風力についての見通しはいかがなんでしょうか。
  56. 高田利男

    ○高田説明員 お答えいたします。  サンシャイン計画で進めております風力エネルギー利用研究開発でございますが、私どもといたしましては、大規模、千キロワットクラスの風力発電を目指して研究開発を現在進めているところでございます。まだ非常に基礎的な段階でございまして、さしあたって百キロワットクラスのパイロットプラントをつくるという方向で考えてまいりたいというふうに考えております。  一応、現状はそういう状況でございます。
  57. 日野市朗

    日野委員 この風力についても、世界には実に豊富な実績があるようですね。これらの世界ですでに用いられている技術を参考にするということは十分やっておられると思うのですが、これらの風力の実績を見ますと、これはかなり使われているので、もっと早い時期に研究体制を整えさえずれば、これはできるのじゃないかというような感じがするわけです。たとえばフランスのエアロワット社であるとか、スイスのエレクトロケーエムベーハー社というのですか、それからデンマークなんかでも科学アカデミーの風力委員会なんかが非常に貴重な発言もしている。それからアメリカなんかでは特に西部あたりを中心にべーカー水車だとかバイスクルファンであるとか、特にバイスクルファンなんというのは、やはり高電圧を安定して供給できるというようなことも報告されていますし、また日本でもNHKが中継局に使ったりなんかもしている、それからNASAなんかでもかなり大がかりの研究を進めてかなりの実績を上げている、こういうのを見ると、これがおくれるのは、日本研究体制のおくれではないかという感じがするのですが、いかがでしょう。
  58. 園山重道

    園山政府委員 風エネルギーの活用につきまして、先生指摘のように、各方面、諸外国でも、いろいろな試みあるいはある程度の実用化というのが行われているということを私どもも承知しております。  日本におきましても、先ほどサンシャイン計画の御説明がございましたが、私ども科学技術庁といたしましては、ここ二、三年、いわゆる小型の一キロワットクラスぐらいのものをどんどん実用化していくことができないかということで、風エネルギーの有効利用技術調査ということを二カ年間にわたってやってきたわけでございます。その経験、あるいはその間におきましていろいろ調査等もいたしてきたわけでございますけれども、御指摘のように、非常に手軽に家庭でも使えるではないかという感じで取り組んでみたわけでございますけれども、やはりいろいろな問題が存在いたしますことがだんだんとわかってきたわけでございます。  一つには、御指摘のように、もともと非常に密度が薄い、しかも風が吹いたりやんだりする、あるときには台風のように非常な暴風が来るというような中で、いかに効率的にかつ安全にこれを取りつけ、稼働させるかということが一つの大きな問題でございます。  私どもの聞いておりますところによりますと、先生指摘のように、アメリカではNASAにおきまして相当大がかりなものの研究をやっておる、あるいはカナダ等でもそういう実験を行った、しかし、やはり強い風のときに壊れるということも相当あるようでございます。現に、私どもが非常に小さな風車をやっております段階におきましても、羽根が折れて飛ぶというようなことも一回ございました。したがいまして、いかにその効率がよく、安全な風車を、しかも、これは小型のものをつくります場合には安価なものでなければならない、その辺が風車自体に関します一つの問題かと思っております。  それからさらに、これを電力に変換する発電機を回しました場合に、その貯蔵の問題というのが相当問題でございまして、御承知のように、いま一般的にはバッテリーの充電ということで行っているわけでございますが、バッテリーの充放電の特性等から見まして、過充電になっても困りますし、その辺をうまく利用の形態と結びつけていかなければいけない。たまたま私どもは、一つの風車で電気自動車のバッテリーの充電ということをやってみたわけでございますが、これはまだいわゆる実用にはちょっとほど遠いわけでございますけれども、充電してすぐ車が走っていくということになりますとわりあい効率よく使える、しかし、先ほどのお話にもございましたように、たとえば無線局の中継所でバッテリーを置いて、それを風車で充電するというようなことをやっておられるところがあるわけでございますが、やはりその風の息、無風状態が長く続くということを考えますと、相当大量のバッテリーを用意しなければならないというようなことで、いろいろ実用化に向かっては問題があるというようなことを聞いておるわけでございます。したがいまして、私どもは、これからの問題といたしましては、どういう用途に、どういう場所に置いて、どういう規模の風車が適当であるか、それをまた通常の発電機、バッテリーという組み合わせでやるのが適当であるのか、その辺のシステムの検討が重要かと思っておるわけでございます。  なおちなみに、私どもといたしましては、この二年間にわたってやりました調査の結果を踏まえまして、さらに風エネルギーを、ただいま申し上げましたような方向でより有効につくっていくシステムの総合研究というものを、特別研究促進調整費で今年度からやろうという予定になっておるところでございます。
  59. 日野市朗

    日野委員 これはかなり世界的な研究の成果があるところでありますし、私なんか見ても、このウインドルミル社のバイスクルファンなんというものは、かなり安定した周波数で電気がつくれているというところなんかにもかなり注目をしたいというふうに思いますので、これらについてもぜひ進めていただきたいというふうに思っています。  それから、バイオマスについてちょっと伺いたいと思います。バイオマスと言っても、これは範囲が非常に広いのですが、さっき調整局長さんの方からアオサンゴの話でしたかな、ホテイアオイの話が出たんですか、まず石油と似た成分の炭化水素をつくり出す生物の研究というものは、日本でどの程度のものがいまやられていましょうか。
  60. 園山重道

    園山政府委員 先生指摘石油に似た炭化水素を樹液に含んでおるという植物が注目されておるわけでございますけれども、これにつきましては、私どもの特別研究促進調整費によりまして、理化学研究所を中心にエネルギー植物利用のフィージビリティーに関する研究ということをいま行っておるところでございます。これは先ほど申し上げましたアオサンゴ、これは熱帯植物でございますけれども、ユーカリその他とも似たようなものらしゅうございますが、このアオサンゴにどういう生育環境条件を与えたらいいか、それから成分の抽出、分析等を行いまして、将来、エネルギー源として使う可能性があるかどうか、使えるとするならばどういうシステム、方策が必要かというようなことを現在行っておるところでございます。
  61. 日野市朗

    日野委員 特にこの分野の研究というのは、農業技術と切り離しては考えられないと思いますが、そこらの連係プレーはできておるのですか。
  62. 園山重道

    園山政府委員 御指摘のとおりでございまして、農林省の熱帯農業研究センターの御協力をいただいております。
  63. 日野市朗

    日野委員 それから、いわゆるC4植物と言われるもの、太陽エネルギーを固定する能力が非常にすぐれているこういった植物についての研究、これはいかがでしょうか。
  64. 園山重道

    園山政府委員 御指摘のような光合成機能によりまして、その機能が非常にすぐれた植物というものの研究、これも理化学研究所でやっておりまして、光合成機能の解明等を中心に研究が行われていると聞いております。
  65. 日野市朗

    日野委員 植物をエネルギーとして用いる場合、これをどのようにしてメタンガスなりアルコールに変換をさせていくか、いかに効率よくやっていくかということについての研究がどのように進んでいるかという点についてお伺いしたいと思います。  特にアルコール分野については、ブラジルあたりを中心にかなり進んでいるだろうと思うし、アルコール利用方法についても、ブラジルでもやっているし、アメリカあたりもNASAなんかを中心にしてずいぶんやっているようでありますが、こういった経験をかなりくみ取ることができるのじゃないかと思います。  それからまた、メタンガスに転化する方法、これは原始的な手法がかなり生かされるはずですね、特にインドなんかでは、ゴバーという装置をつくって、一九七四年には、もうすでにこのゴバーの開発について第五次五カ年計画に入っておる、膨大な数のゴバーを各家庭に据えつけさせるというような新しいエネルギー利用の手法が進んでいるということです。  どうもかん詰めみたいに一緒くたに質問して済みませんけれども、時間がなくなってきたので、そこらをどういうようにやっておられるか教えてください。
  66. 大高英男

    ○大高説明員 お答え申し上げます。  通産省関係のバイオマスの関係の研究についての御説明をさせていただきたいと存じます。  通産省におきましては、本年度からバイオマスの関係に積極的に取り組むことといたしておりまして、バイオマス連絡会というものを設置いたしまして、国内外の、先ほど先生から御指摘がございましたブラジルでございますとかアメリカ、そういった諸外国の研究の情報等の交換を行うとともに、日本におきます研究開発の具体的な進め方についての検討を行うことといたしておる次第でございます。  また、新燃料油技術開発補助金という予算項目の中におきまして、セルローズ等でん粉等から低コストで大量のアルコールを生産する技術開発を行うことといたしております。また新燃料油調査委託費という項目の中におきまして、国内外におけるバイオマス資源の大量生産プロジェクトに関しますフィージビリティースタディーを行うこととしております。こういった予算を総合いたしますと、通算省のバイオマス関連予算は四億六千四百万になります。  また、先ほどお話石油植物につきましても、本年度は基礎的なデータの収集等行いまして、今後の実用化の可能性等の検討を行いまして、できれば来年度から具体的な取り組みをいたしたい、かように考えてございます。
  67. 日野市朗

    日野委員 NASAあたりで非常に繁殖力の強い植物の研究が進められているわけですね。何と言っても太陽エネルギーを固定する、それが一番うまいのは植物だという発想からこれらはやっているのでしょうけれども、NASAでやっているのはホテイアオイという植物のようであります。ホテイアオイというのは、非常に繁殖の速い水の上に浮いている草なんですが、そういうのに注目をして、それからエネルギーを引っ張り出すという工夫をやっている。これはNASAあたりのやっているのと日本のとを比較するのも、ちょっと酷だと言えば酷ですけれども、やはり着眼としてはおもしろいと思うんですね、どうでしょう、日本ではそういう研究のアプローチをやっておられますか。
  68. 園山重道

    園山政府委員 先ほど通産省の方からフィージビリティー調査お話がございましたけれども、私どもの方でも、ただいま先生指摘のような、研究へのアプローチという段階におきまして、資源調査所でやはりことしバイオマス資源エネルギー的総合利用に関する調査というのをやっておるわけでございます。この中で、御指摘のような非常に成長力の速い植物、ホテイアオイでありますとか、従来からよく言われておりますキャッサバとかマンジョカとかいうものもございますけれども、さらにはまた、よく言われます非常に巨大なコンブ、ジャイアントケルプというようなもの、そういったような非常に成長の速いものをいろいろ洗い出しまして、それについての研究の必要性、可能性というようなことも調査したい、こう思っておるところでございます。
  69. 日野市朗

    日野委員 少し駆け足になってしまって申しわけないのですが、何と言っても太陽熱というのは、非常に注目を浴びているところであります。ただ、太陽の熱をとらえる、そして、それを直接電気にかえていくというような方向は、かなり技術的な難点もあることばよくわかるのですが、まずこれが利用できるのは、ソーラーハウスと言われるたぐいのいわゆる省エネルギー的な利用の仕方というのは、非常に有効に働くのではないかと思われます。特に長期エネルギー暫定見通しを見ますと、省エネルギー率に非常に大きな期待を込めた数字がつづられているわけですが、ソーラーハウスの現在の開発状況はいかがでしょう。世上伝えられるところ、新聞なんかでの記事をよく見ると、どこかの建築の先生が非常にうまいソーラーハウスをつくって、非常に居心地のいい生活をしているというようなことが書かれたり何かしているわけですが、現実の段階をお教えいただきたいと思います。
  70. 高田利男

    ○高田説明員 お答えいたします。  サンシャイン計画におきましては、昭和四十九年からソーラーハウスシステムに関します研究開発を進めているところでございます。主として材料面の研究あるいは装置の研究、こういう研究開発を進め、あるいは要素技術開発を進めてきたわけでございます。一方では、デモンストレーションシステムの建設等を終わりまして、一応、現状といたしましては、民生用ソーラーシステムにつきまして、ほぼ実用化し得る段階に立ち至っているというふうに考えておるわけでございます。  ただ、長期蓄熱等の蓄熱技術開発で、まだ今後進めていくべきであろうという面もございますので、効率の向上あるいはコストダウンというものを、こういう面の研究開発でもって進めてまいりたいというふうに考えております。
  71. 日野市朗

    日野委員 民生用のいわゆるソーラーハウスで、ある程度実用にたえるものができたということは、私も非常に喜ばしいことだと思うのですが、それを具体的に建築する人たちに、その技術を受け取ってもらう、そして、それをどんどん普及するというような方法としてどういう方法を考えておられるか。
  72. 中田哲雄

    ○中田説明員 ソーラーハウスの普及につきましては、私ども天変重要な課題であるというふうに考えておるわけでございまして、昭和五十五年度におきましては、総額五十三億円の予算措置を講じまして、これの総合的な普及対策をやろうというふうに考えております。このうち住宅につきましては、市中金融機関を通じます低利融資事業ということで強力にこれを普及させていきたいと考えておりまして、初年度でございますので、とりあえず融資規模は八十億円程度ということで、年利五分五厘ほどの融資を行う、かように考えております。
  73. 日野市朗

    日野委員 もう一つ太陽熱温水製造器ですが、これは毀誉褒貶とどまるところを知らずというような感じです。われわれがソフトでいこう、あれをやると太陽熱の温水器でもかなりのものは節約できるはずだよということを言いますと、いや、あれは技術的に未完成だ、あんなものはとても経済的に合わないというような返事がすぐにハード論者の方から返ってくるということなんですが、ここらについて現在、技術的にどの程度進んでいるか、経済性としてどうなのか、おわかりだったら教えてください。
  74. 高田利男

    ○高田説明員 太陽熱温水器につきましては、これが非常に簡便な機器である、価格的にも安いということもございまして、農村部を中心に非常に普及しておりまして、現在、二百万台ないし三百万台のものが使われておると言われておるわけでございます。  御指摘のとおり、機器の品質の問題がかつてございまして、たとえば温水器の中にコケが生えてしまう、あるいは日射によります劣化が激しいというような問題があったわけでございますけれども、昨今の機器を私ども見ておりますと、性能あるいは耐久性とも非常にすぐれたものが出てきておりまして、昨年からJISも制定されておりますし、ぼつぼつJIS規格のものも販売されておるわけでございます。  こういうことがございまして、品質的にも非常に向上してきておるわけでございまして、今年度、五十五年度から住宅公庫の割り増し融資の対象にもなるということで、私ども温水器につきましても普及を図っていきたい、かように考えておるわけでございます。
  75. 日野市朗

    日野委員 この温水器については、イスラエルあたりでは、政府の政策としてこれを各戸に備えつけさせるというようなことをやってみたり、オーストラリアでもダーウィン市などは、市の方針として、まず市の所有する建物には全部これをつけるというような方針になっているというふうに聞くのですが、これからこのソーラーによる冷暖房、それから温水器をつけてエネルギーの節約をするということを、まず政府筋の建物あたりからどんどん進めることも、これはPR上の効果もこれあり、かなり有効なことではないかと思いますが、どうでしょうね、そういう試みはあるのでしょうか。
  76. 高田利男

    ○高田説明員 公的な施設に対しますソーラー施設の設置、普及というのは、先生がおっしゃいますように、デモンストレーション効果もございますし、私どもも、大変重要な対策であろうというふうに考えております。  先ほど申し上げましたように、今年度五十二、三億の予算があるわけでございますけれども、このうちの三十億円が、県や市町村の施設でございますとか学校や病院、老人ホームでございますとか、このような公的施設に対します設置の補助金でございます。全体で百五十件ほどのものに設置することを計画しておるわけでございますけれども、そのための費用六十億のうちの二分の一補助で三十億、こういうことで公的施設に対する設置の促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  77. 日野市朗

    日野委員 もっと細かくそれぞれの自然エネルギー利用状況について体系的にいろいろ伺おうかと思ったのですが、どうもその質問の試みは失敗をしたようであります。非常に散漫な聞き方になって、お答えの方もお答えにくかったと思うのですが、また整理していろいろお話を伺いたいと思います。  いずれにしても、いろいろな可能性を追求していくということは必要なことだろうと私、思うのです。それは甲論乙駁いろいろな議論というのはどこの世界でもあるもので、特に自然エネルギーなんというのはいままで冷遇されてきた、その発想から考えてみれば、そんなごみみたいなものというような表現をなさる方もいるくらい、従来の価値観から見るならば、余り効果はなかったろうと思うのですが、将来の問題としてエネルギーの問題を考えるときは、やはり全人類の生存という方向に向けて考えざるを得ない、そういう問題だと思いますので、これからもこの自然エネルギー開発するという方向がますます強まっていくように希望したいわけであります。  科学技術庁の長官としても、自然エネルギーを大事にする方向に向かってぜひ進んでいただきたいと思うのですが、その基本的な立場として、将来は化石エネルギーにしてもウラン資源のようなものにしても、いずれは底をつく、そういう時代は必ず来るのだ、そのためにいまのうちから自然エネルギー開発、再生産可能なエネルギー研究にどんどん力を注いでいかなくてはいけないということについては御賛同いただけますな。念を押すようですが……。
  78. 長田裕二

    ○長田国務大臣 自然エネルギー開発利用につきまして、単に考え方としてだけでなく、さらに努力を積み重ね、力を注いでいくという点につきましては全く同感でございます。
  79. 日野市朗

    日野委員 それでは私の質問を終わります。
  80. 貝沼次郎

    貝沼委員長代理 中林佳子君。
  81. 中林佳子

    ○中林委員 四月十日の質問の続きをさせていただきます。  十日の質問では、筑波研究学園都市建設の問題の途中だったわけです。ですから、質問に入る前に若干重複させていただくわけですけれども、筑波研究学園都市は概成にやっとこぎつけ、いよいよ後期の計画のスタートとなったわけです。そこで、これまでの反省点として、筑波研究学園都市建設法に基づく研究学園地区計画、また附帯決議の年次計画が立てられていない、また同法に基づく周辺開発地区整備計画が承認されていないことがこの十日の私の質疑の中で明らかになったわけです。この計画性の問題については、井上室長の方から、十分尊重して検討しますという御答弁もいただいているわけなんです。ですから、後期計画にはこれを十分反省点として生かしていただく、これを前提にして私は質問に入らせていただきます。  四月十日の日に、筑波の研究交流センターの問題で質問し、御答弁をいただいていた途中だったわけですが、その御答弁の中で、五十四年度にこの研究交流センターには、延べ人数で二万五千人の利用者があった、見学者も含めてですが、あった、こういうお話があったわけです。ですから、非常にたくさんの利用者あるいは見学者もある、そういう利用度の高いところでございますので、私が提起をいたしました科学者会館というようなものを早期に建設する必要があるのではないか、これを再度お願いしたい、こういうふうに思うわけですけれども、その具体的なスケジュールだとかあるいは建設計画があるのかないのか、その点についてお答えを願います。
  82. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  先般の御質問で私からお答え申し上げましたが、交流センターについて、ただいま御指摘のように、非常にたくさんの方が利用していただいておる、それに関連いたしまして、先生からいま御質問のような科学者会館といったものの計画があるかということでございますが、私、お答え申し上げましたように、現在、具体的な計画を持っているわけではございません。しかしながら、これからまさに四十三の機関が集まりまして、科学者、研究者相互の交流、あるいは国際的な外国からの留学生、研究者等も多うございますので、そういった交流の場というものをつくることは、私どもも一つの理想として、願いとして考えておることを申し上げたわけでございます。  さらに、非常に財政厳しい折でございますけれども、私どもは、昭和六十年に国際科学技術博覧会を筑波学園都市で開催しようということで、閣議了解もいただきまして、準備を始める段階になっておりますので、こういった博覧会というものを一つの契機といたしまして、こういった計画をできるだけ実現していきたい、こういう気持ちでおるということを御答弁申し上げたところでございまして、ただいまもそのように考えておるところでございます。
  83. 中林佳子

    ○中林委員 年次計画も立てられていないわけですから、スケジュール的には大変困難だろうと思いますが、ぜひとも年次計画の中に、いつ幾日くらいにはできるという見通しを立てて入れていただきたい、このように思うわけです。  さらに、後期計画の中で充実を望まれるものとして、移転が終わり、これから本格的に研究活動に専念して本領を発揮していただくために、特に大切なことは、研究体制、研究条件の整備拡充の問題があるわけです。そこで、移転機関の施設は大型化し、近代化されて、特にことしは光熱費も大幅アップする予定の中では、研究費の大半がこういったものに食われる可能性もあるわけで、研究に支障を来すおそれが出ているわけです。  五十五年度予算で人当研究費が一律二万円アップしまして、実験系Iで百三十九万円になっているものの、通産省工技院関係の研究機関では、五十四年度で三〇%から四〇%しか経常研究費にならないという試算もあるわけなんです。科技庁としてこれに特別な措置をとらなければ、十分な研究ができないという状態が出ると思うわけですが、どういう具体的な手立てをとられるのか、その点についてお伺いします。
  84. 園山重道

    園山政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、人当研究費というものがございまして、御指摘のような金額でございますが、これはいわゆる経常研究費と申しますか、個個の項目を挙げての要求以外の一般的な研究を遂行するための経費でございます。その中で御指摘のように、光熱費その他もこれは当然含まれるわけでございますが、特に大型の施設等ができてまいりますと、その光熱水料費等にこれが食われてしまうということは、本来の趣旨から言って望ましいことではございませんので、私どもは、予算要求の段階におきまして、人当研究費というものがございますが、そのほかに特殊経費という形で一件の機械等につきまして百万円以上、あるいは一件の、ただいま御指摘のような光熱費等で年間百万円を超すというようなものにつきましては、別途これを特殊経費という形で要求するという方針を持っておりまして、各省にその旨を申し上げておるわけでございますし、また財政当局にも、そういうことの要望をいたしておるわけでございます。現に相当なものが、この特殊経費ということで認められている、このように聞いておるわけでございます。  特に筑波に移りまして、施設が新しくなりまして、近代的な大型の施設等ができてまいりますので、この線は今後とも十分、私ども財政当局にも話をいたしまして、人当研究費がこういったものに過大に食われるということがないように努力をしていきたい、こう考えておるところでございます。
  85. 中林佳子

    ○中林委員 大型な研究あるいは大きな機械で百万円以上の場合は、特殊経費ということで別枠にとれるというお話があったわけですが、実際にそこで研究なさっていらっしゃる方は人当研究費として来るけれども、そういう百万円に満たない場合にはずいぶん研究費としてとられる。先ほど数字も挙げましたけれども、そういうことで経常研究費というのが五〇%にも満たない部分しか割り当てられない、これでは十分研究ができないという声があるわけです。  そこで、科技庁にお尋ねするわけですけれども、一体、それぞれの研究機関で経常研究費として純然として使えるのがどのくらいあるのか、経費はどのくらいかかっているか、こういうことを調査されたことがあるのかどうか、そして調査をされていないのだったら今後するお考えがあるのかどうか、その点についてお伺いします。
  86. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  ただいま御質問の人当研究費の中で何%がいわゆる経常研究費に使われているかという御質問でございますが、これは結論的に申し上げますと、私どもそういう数字を把握いたしておりません。これはやはり経常研究費という言葉そのものが、どこまでをそう言うのかというような問題も非常にむずかしゅうございまして、この人当研究費の運用につきましては、それぞれの機関の御努力ということに私どもはお任せいたしておりまして、数字として把握しておるわけではございません。  ただ、先ほど申し上げました特殊経費につきましては、筑波に移転しました機関の移転前と申しますか、五十三年度と五十四年度の特殊経費の金額というものは、およそ把握いたしておりまして、これは相当増加いたしておりまして、五十三年度に対して五十四年度は、総体的に申し上げますと五〇%以上伸びているということで、特殊経費によって獲得することの努力は相当に行われている、このように考えておるところでございます。
  87. 中林佳子

    ○中林委員 特殊経費が伸びているということは、実はそれに当たらないいわば経費も伸びていることの裏書きだ、このように思うわけです。ですから、いよいよ研究を充実させるという年になったわけですから、ここで科技庁としても、大体どのくらいが研究費になり経費になっているのか、その辺の、微妙なところがあるということは、私もわかるわけですけれども、おおよそのところは調査し、研究者の方々の意向に沿って、科技庁としても、特別な措置を講ずる一つの基礎になるのではないか、こう思いますので、何とか調査をしていただけませんか。
  88. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘のようなところで、できるだけの努力をしてみたいと思います。
  89. 中林佳子

    ○中林委員 せっかく移転して施設が大型化し、近代化されても、人がいないために施設が遊んでいるものがある、こういうふうにも聞いているわけなんですね。ですから、そういう事実があるならば、人を確保して速やかに稼働して研究を活発にしていく、こういうことが国民の期待に沿う研究学園都市の役割りだと思うわけですが、科技庁として、臨時も含めて何とか人を確保していく方向、こういう計画がおありなのでしょうか。
  90. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、やはり研究を充実していくためには、優秀な研究者を量、質ともに確保していくということが非常に重要なことであることは御指摘のとおりかと思っております。しかしながら、御承知のように、いま公務員の定員削減という厳しい状況にございまして、増員を図るということが非常にむずかしいという現状にございますことは、ひとつ御理解をいただきたいと思っております。  ちなみに、これは筑波だけではございませんけれども、国立試験研究機関全体の定員というのは、このところ漸減の状態にございまして、五十四年度から五十五年度につきましては、五十四年度一万六千二百九十六人でございましたのが、百十七人の減で五十五年度には一万六千百七十九人という数字になっておるわけでございます。これは一律の定員削減というものの結果でございますが、ただこれは、あるいはそれぞれの機関の中外努力しておられまして、いわゆる研究職の数はほとんど横ばい、微減という形になっておるわけでございます。  なお、今後におきましては、こういう定員の窮屈な状態というのはにわかに改善されるということではないと思いますので、いろいろな手だてを考えていかなければならないかと思っております。いわゆる研究者の官学民の間におきます流動性をふやすとか、あるいは特に研究補助者につきまして、そういった研究補助的な事業をやる企業の台頭を期待するとか、いろいろ方法があるかと思いますが、これらにつきましては、現在私ども一生懸命考えておるところでございます。
  91. 中林佳子

    ○中林委員 いわば公共投資という形で大きな国費がこの筑波研究学園都市につぎ込まれた、そのためには、つぎ込んだけれども、後いよいよ内容を充実させていくための人の配置、これが国の財政が厳しいということで十分になされない、こういう方向では国民は納得できないと思うのです。  ですから、いまの厳しい状況の中でも、先ほど言いましたように、私たちは正式な職員だとか研究者が必要だと思うのですけれども、臨時も含めて何とか設備が稼働できるような状況、これを生み出していただくわけにいかないのでしょうか。
  92. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、現在不足している人を賃金で雇うとか、あるいは大学の学生にいわゆる研究を兼ねての応援を求めるとか、いろいろ工夫をして、それぞれの機関で努力しておられると聞いております。  私ども科学技術庁といたしましては、その点につきまして、これが円滑に行えるように、もし制度上あるいは予算上におきます制約がございますならば、これを何とか解きほぐしていくという努力を根強く続けなければならぬ、こう考えておるところでございます。
  93. 中林佳子

    ○中林委員 ぜひ研究が実るように、これは人が配置できなければできないと思いますので、充実の方向でお願いしたいと思うわけです。  それで、本格的な研究をさらに進めていくためには、東京の大学だとかあるいは学会とか、そういうところに電話をかけて、意見交換や各種連絡が増加することが考えられるわけですね。そこで、学問研究の発展に寄与するということで、四十三研究機関に限ってですが、東京の市外局番〇三のブランチにするようなことはできないのか。してほしいという要望が非常に強いわけなんですね。これは都内通話は十円で百八十秒、東京と筑波学園都市間では十円で二十一秒と、九倍の料金がかかるようになっているわけなんです。ですから市外局番、これを外して都内局番にしていく、こういうことがいま非常に求められているわけなんです。郵政省でぜひ検討していただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
  94. 水町弘道

    ○水町説明員 電話の料金でございますが、これは公衆電気通信法で料金の額が定められておりまして、通話区間の距離に応じて決められておるわけでございます。この通話区間の距離を測定するための単位となる区域というものを設けようということで、現在、単位料金区域というものが設けられてございまして、全国に五百六十七あるわけでございます。東京二十三区の場合は東京の単位料金区域、それから筑波学園研究都市の場合におきましては茨城県の土浦の料金区域に含まれておるわけでございます。これは一部隣の水海道の区域に含まれておるものもございます。  そこで、ただいま申し上げましたように、料金区域を設けました趣旨は、この通話区間の距離に応じて料金をいただくのが、やはり一番合理的であろうという考えに立ちまして、その単位となる区域を定めるために、こういった区域を設けまして、その区域と区域の間の距離をはかって料金を課金するということになっておるわけでございます。  このうちで研究機関あるいはそれの職員の方々がお使いになる電話に限りまして、東京の区域と同じような扱いにするということは、ただいま申し上げましたような公衆電気通信法の趣旨からいたしまして、できないというのが現状でございます。
  95. 中林佳子

    ○中林委員 首都圏の研究機関を移転させたということもありますし、世界の筑波ということで研究学園都市としての成果を充実させていくという意味から、学問や研究の発展に寄与するということで四十三機関に限ってと言っているわけでして、長官として、研究に寄与するという立場から、こうした検討をしていくということについてのお考えはいかがでしょうか。
  96. 長田裕二

    ○長田国務大臣 いろいろなたてまえなどもありまして、ただいま郵政省からお答えいたしましたようなことなどが、一番中心となる問題点だろうと思うわけでございます。同時に、研究機関が便利に通信を利用できるということも、非常に大事だと思いますが、その目的をどういう形で果たすことができるか、あるいは専用線とかそういう形でやり得るのかどうなのか、私どもの研究問題の一つにさせていただきたいと存じます。
  97. 中林佳子

    ○中林委員 ぜひ検討、研究を重ねていただいて、研究者の方々の御要望にこたえていただきたいと思います。  後期計画では、筑波学園都市の都市づくり、つまり環境整備にも力を入れることになっているわけなんですね、研究者だとかあるいはその家族及び住民の要望をくみ尽くしていかなければならないわけですが、これまでの過程では、国会質問でも、国土庁が窓口として確認されているわけですね、そういう要望を聞き入れる場所が。そこで今後も、この国土庁が窓口として再確認されるのかどうか、こういうことが一点。  それから、具体的に周辺住民からさまざまな要望が出ているわけですが、それを四点ばかり挙げたいと思います。そのそれぞれについてもお答え願いたいのですが、一つは、周辺地域の下水道網の一層の整備促進。二つ目は、常磐線の我孫子−土浦間、これの電車の便、汽車の便、これをふやす計画があるのかどうか。一説では、常磐線の土浦駅で急行を切り離すので、その車両を利用して我孫子−土浦間の便をふやしてもらえるように有効利用していただくことができないか、こういう要望も出ているわけです。三つ目は、学園都市内の循環路線の新設を含む都市交通網の整備、特に家族の人、奥さんが主ですけれども、たとえば桜村の役場に行こうと思ってもバスがない、こういう状況があるわけです。ですから、特に要望が強いのは循環路線、これの新設なのですが、それの計画があるのかどうか。それから四点目は、高校建設の計画があと残り二校あるわけですけれども、それの計画はどうなっているのか、その点についてお答えいただきたいと思います。
  98. 井上良藏

    ○井上説明員 お答え申し上げます。  従来から地元の住民の方々の御意見等につきましては、たとえば研究者につきましては、科学技術庁が中心となって推進しておられます研究交流推進連絡会議というのがございます。また各省直轄研究所長連絡協議会というものがございますが、そういうところで要望が取りまとめられまして、科学技術庁を通じまして、われわれも聞いて、いろいろそれの対策を進めているところでございます。  また、都市の住民そのものにつきましては、茨城県あるいは地元の町村と、いろいろなことでたびたび折衝、意見交換をやっておりますが、そういうものを通じまして、御意見を聞きながら進めさせていただいている、また研究関係の労働組合等もございまして、そういうところからも直接の御意見をいただいて対策をやってきているわけでございまして、こういう方法でもって、今後ともひとつ、国土庁が中心になりまして、進めさせていただきたいというふうに考えておるところでございます。  それから、二点目にございましたいろいろな御要望でございますが、たとえば下水道の問題、常磐線の強化の問題、バス循環路線の問題、高校の問題、それぞれ監督官庁がございまして、そこがお答え申し上げるのがいいのでございましょうが、きょうは来ておられませんので……。  下水道につきましては、確かに住民の要望も非常に強いようでございます。これは県におきまして、現在、具体的な詰めをある程度進めつつあるようでございますが、その結果を待ちまして、私どもも協力してまいりたいというふうに考えております。  また、常磐線の強化につきましては、首都との交通の利便という面で非常に重要でございます。われわれ運輸省等にも、そういう要望をやっていっておるわけでございますが、今後とも、この都市の利便のために、ぜひひとつ努力をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、循環バスでございますが、現在、循環バス構想というものは、具体的にはできておりません。しかし、この足の確保といいますのは、非常に重要でございますので、いろいろな形で努力いたしてまいったところでございまして、たとえば、いま研究学園地区に関連いたしますバスの路線は三十二系統ございまして、この一年間にも、そのうちの九系統を増加いたしておりまして、そういう面で努力をさせていただいております。ただ、まだ十分とは申し上げられませんので、この面につきましても、努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。  それから、高校の二校でございますが、すでに県立と私立の二校ができております。あと二校につきましては、一つ研究学園地区内にでき、残りは周辺地区ということになっておりますが、研究学園地区内にできるものにつきましては、公団の事業の中で用地の確保をいたしております。これは県からその事業の予定が出てまいりますれば、用地提供等によりまして建設が可能と考えております。
  99. 中林佳子

    ○中林委員 一番初めの御回答ですが、私が聞きましたのは、この分野は科技庁へ、この分野は何省へということは、そこへ住んでいる住民や家族には非常にむずかしいんですよ。ですから、その窓口として国土庁が当たるということは、五十年二月十四日のわが党の瀬崎議員の質問に、国土庁が窓口として当たる、こういう御答弁があって、今日までそうきているのですから、今後も、そういう住民の要望の窓口には国土庁が当たることを再確認していただきたい、このように思うわけなんです。  その点をさらに回答していただくということと、つけ加えまして、福祉厚生施設の充実が大変急がれているわけです。特にことしは、大変かぜがはやって、かぜの診察にも東京まで通わなければならなかったとか、あるいは土浦まで行かなければならなかったとか、私はたくさんの要望を聞いているのです。特にあそこには筑波大学の病院があるのにもったいない話だ、あそこでは一時応需をやってくれないということになっているわけです。そこで病院などが整うまでは筑波大学の病院で一時応需ができるような道を開いていただけないものかどうか。特に夜間は全くの無医地区になるという話も出ているわけなんです。ですから、本当に都市として機能していくために筑波大学の病院が一時応需できるように、せめてそういう道を開いていただけないか、その点についてお伺いいたします。
  100. 井上良藏

    ○井上説明員 研究学園都市の医療施設につきましても、従来から関係機関ともども努力してまいったわけでございますが、御指摘のとおり、まだ十分ではない状況でございます。御指摘の筑波大学につきましては、文部省さんの主管でございますので、その旨十分お伝え申し上げまして、われわれの方でもできるだけお願いしてまいりたいというふうに考えております。  窓口といたしましては、この大学の施設だけではなく、いろいろな形で病院その他の診療施設の強化というような面で、関係機関ともども努力していきたいと考えております。
  101. 中林佳子

    ○中林委員 国土庁が窓口になるわけですね。
  102. 井上良藏

    ○井上説明員 先般、瀬崎議員に対しまして国土庁とお答えいたしております方向で、今後とも各省と協議しながら努力いたしてまいりたいと考えます。
  103. 中林佳子

    ○中林委員 最後ですが、関係町村が共同して行う周辺開発地域の整備のための予算が五億円ずつついているわけです。それが六十年までということになっているわけですが、後期の計画完成が六十五年くらいまではかかるだろう、こういうふうに言われているわけです。ですから、これをさらに五年間くらいは延長していく必要があるのではないか。あと五年間はやはり五億円ずつか、あるいは物価にスライドして延ばしていくか、何らかの形で予算はつけていく必要がありはしないかと思うわけですが、いかがでしょう。
  104. 井上良藏

    ○井上説明員 御指摘の交付金でございますが、六十年までの十年間、毎年五億ずつということが決まっております。これは地元の財政状況を勘案しながら対処すべきものであろうと考えておりますので、まだ五年間ございますので、その間、財政強化の施策をいろいろ打ちながら、財政状況を見て検討してまいりたいと考えます。
  105. 中林佳子

    ○中林委員 十万人口構想が現在二万数千人、しかも通勤者がそのうち約二割だとか単身赴任者が三割だとか言われているんですね。住みにくいということがあそこに定着しない最大の原因だろうと私は考えるわけです。本当に安心してあそこで研究活動ができるように、あるいは研究学園都市としての成果が上がるように、今後、後期の計画の中では、環境整備初め一層の充実を図らなければ、いまさまざま言われているプランは本当に実行できるのかどうか、夢物語に終わってしまうのではないか、こういう懸念さえするわけですので、大臣の今後の決意をお伺いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  106. 長田裕二

    ○長田国務大臣 筑波研究学園都市は、日本の今後にとりましても非常に重要な存在でありますし、また世界全体を考えましても、非常にユニークなものでございます。その当初の目的が十分達せられ、機能が発揮できるようにすることは、私ども関係省庁とともに大きな重大な関心事でございます。昭和六十年に開かれる予定になっております国際科学技術博覧会の副次的な一つの作用といいますか目的と申しますか、そういうものも、筑波研究学園都市に肉をつけ、暮らしやすいような状況というものをつくり上げていくということ、そういうこともその目的の一つに私どもはひそかに数えながら、博覧会を推進しているところでございます。
  107. 貝沼次郎

    貝沼委員長代理 榊利夫君。
  108. 榊利夫

    ○榊委員 私は、外務委員会所属の者でございますけれども、どうしても伺いたいことがございまして、無理してきょうここで質問させていただくのでございます。  クリーンエネルギー、いわゆる適正科学あるいは適正技術の問題でございますけれども、ちょうど四月十四日から科学技術週間が行われておりますし、折りしも地域や国土の条件に根差した、そしてまた資源浪費や環境破壊を伴わない科学技術への声が非常に高まっております。  その点で無公害の代替エネルギー、先ほども日野さんの方から、風力、水力太陽熱、その他のソフトエネルギーの問題が出されておりましたけれども、クリーンエネルギーという観点から見まして、幾つかの問題で率直に質問させていただきたいと思います。  以上が前置きですが、太陽電池の問題です。御存じかと思いますが、このほど東北大学の電気通信研究所が、光を電気に変える太陽電池用の半導体、いわゆるシリコン、この製造技術開発に糸口をつくりました。この新技術が実現をいたしますと、これまでの太陽電池製造法に比べて千分の一以下のコストで大量生産ができるようになります。日本の国土面積のほぼ一・二%、たとえば海岸その他にシリコンのテープを引きますと、これで五千四百億キロワット時、つまり日本の総電力需要量に匹敵するものをつくり出すことができる、賄うことができる。すでにマスコミでも画期的だと騒がれておりますけれども、私ども聞いたところによりますと、東北大学のこの研究チームは、大学のささやかな講座費の中からやりくりしながらこの研究を行ってこられたそうでございます。科学技術庁及び工業技術院は、この研究のことを知っておられたでしょうか。
  109. 園山重道

    園山政府委員 御質問の太陽電池、非常に高能率かつ製造価格が非常に安くなるというものの研究、これは私ども直接に東北大学の先生方の研究を詳細にお聞きしておったということではございませんけれども、全般的にそういった問題が、これからの、特に太陽光発電については、研究開発一つの非常に大きな問題であるということは承知いたしておりました。
  110. 榊利夫

    ○榊委員 聞いたところによりますと、工業技術院の方からも、新聞で報道されて、研究発表後に、初めて問い合わせがあったというふうに聞いております。こういうことでは、やはりかわいそうでありまして、また惜しいことであります。たとえば新エネルギー技術研究開発計画、いわゆるサンシャイン計画でも、二兆数千億円がつぎ込まれることになっております。研究費につきましても、この面で中央、地方の大学を問わず、あるいはまた官学、私学を問わず、実力のある研究機関に光を当てる、そのことによって研究の実を上げるということが必要ではなかろうかということを、この東北大学の例からも痛切に感じるわけでありますけれども、その点どうでしょうか。
  111. 園山重道

    園山政府委員 優秀な研究をやっておられるところに、それ相応の予算がつくということは、きわめて重要なことと考えている次第でございます。  先ほども御答弁申し上げておったわけでございますが、私どもは、全般的にはエネルギー研究開発基本計画というものを、これは科学技術会議の議を経まして総理に決めていただくという形でつくってきたわけでございますが、科学技術庁といたしましては、個々の研究につきまして、大学において行われておられます研究に予算を出すという立場にございませんので、この点につきましては、文部省が大学の研究費あるいは科学技術研究補助金といったような制度の中で運営をしておられる、このように聞いておるところでございます。
  112. 榊利夫

    ○榊委員 私は、文部省云々ということではなくて、すべからくそういう実力のある研究機関ですね、もちろん大学、そういうところが、ふたをあけてみて、ああ、こういうりっぱな研究をやっていたとあわてるのじゃなくて、やはり常日ごろからちゃんと目を配っておいてしかるべく力を入れていく、このことが必要だろうというふうに思うわけであります。  すでに東北大学には、御承知のように、この報道が行われた以後、アメリカのGE、ゼネラルエレクトリックとかあるいは石油メジャーなどからの問い合わせも来ているわけであります。これまでも、御存じのように頭脳の海外流出ということがいろいろ取りざたされてまいりました。せっかくすぐれた頭脳あるいは発見があるにもかかわらず、それが日本で生かされない、海外にと、こういうことがあったわけであります。今度の東北大学のこの貴重な太陽電池の研究成果、これが海外流出にといった運命をたどらないように、ぜひともひとつ——これは文部省だと、こういうことじゃなくて、日本科学技術の問題としてしかるべき研究援助を行うとか政府が責任を持つ、こういうことをぜひひとつやっていただきたい、こう思うわけでありますが、どうでしょう。
  113. 長田裕二

    ○長田国務大臣 先ほど計画局長お答え申しましたのは、いまの科学技術庁のたてまえ、大学との関係について申し上げたわけでございます。  榊委員の御指摘の点は、まことにごもっともでございまして、政府、関係各省庁よく連絡をとりまして、そういうものが日本の国内でも十分に発展を遂げていくように心がけたい、そのように思っております。
  114. 榊利夫

    ○榊委員 やはり日本の国土や条件に合った科学技術の発展、しかもソフトエネルギー——いま石油資源の厳しさ等々から、改めてソフトエネルギー、クリーンエネルギーの問題が注目されているわけでありますけれども、そういう点では、太陽電池の東北大学の研究、これは画期的なものでありまして、本当にこれが実用化されましたら、まさに日本の電気は全部それで賄えるくらいの自力を持っているわけであります。それだけ言えばいいということじゃありませんけれども、やはり総合的なエネルギー開発研究、この面での重視をぜひともお願いしたい。  それとあわせてですが、風力発電の問題もやはり同様の意味を持っております。  実は私、一昨年の十二月に、同僚の瀬崎議員と一緒に風力発電の問題で科学技術庁長官、その当時は金子長官でございましたけれども、お訪ねいたしまして、伊豆七島など島ではしょっちゅう風が吹いている、そういう点で一番安価な風力発電ができる、適地であり、しかも島民が希望している、そういうところに実験施設を積極的につくってほしいということを要望いたしました。その当時の長官からは、フートピア計画による設置は終わっているので、次の計画のときはまず東北でやろう、自分も長崎県の五島列島を控えたところであるし、ぜひそういうふうに努力をしたいという返事をいただいたわけでございます。  長官はかわられましたけれども、大澤弘之計画局長ですか、その方も同席していただきましたし、その後、風力発電の計画はどういうふうになっておりますでしょうか。
  115. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、フートピア計画というニックネームで呼んでおりますけれども、科学技術庁におきまして、二カ年、風力エネルギーの有効利用技術調査ということで実施をしたわけでございます。これは三カ所に設置をいたしまして、五十四年度末で終わって、ただいま結果の整理をいたしておるところでございます。  私どもといたしましては、今回のこのフートピア計画におきまして、いろいろな経験、知見、問題点の把握等ができたものと思っておるところでございます。  先ほども御答弁申し上げたわけでございますが、今回のフートピア計画で使いました風車は、ごく小型のものでございまして、直径四メートル程度のものでございまして、発電機を回しまして、大体一キロワットから二キロワットというクラスのものでございます。しかしながら、これの実験、試験の中におきましても、場合によって風車が折れるというようなこともございますので、非常に堅牢な——少し大型のものになりますと、当然のことでございますが、弱い風では動き出さないというようなこともございます。したがいまして、私どもは、これからこの風車、特に小型のものを一般家庭その他で使うというようなことを考えました場合に、安全でかつ効率のいいという風車の開発一つの問題であります。  それからもう一つは、この風車を使いまして発電しました電力あるいは何らかのエネルギーというものをどう貯蔵していくかということでございまして、バッテリーを使って貯蔵いたしますと、バッテリーの扱いそのものにいろいろむずかしい技術的な問題もあるというようなことでございます。したがいまして、これから小型の風車を使っていくというためには、どういう用途で、どういう場所で、どういうシスアムで、貯蔵も含めましたシステムでやったらいいかということをよく検討しなければならない、こう考えているところでございます。  私どもは、フートピア計画の結果を踏まえまして、特別研究促進調整費によりまして、やや本格的にフォローアップをする予定でございます。また通産省におかれましても、サンシャイン計画におきまして大型風車の計画を立てておられるところでございます。
  116. 榊利夫

    ○榊委員 五十四年度、五十五年度は、この風力発電は予算が組まれたのでしょうか。
  117. 園山重道

    園山政府委員 フートピア計画そのものの予算は、五十三年度、五十四年度二カ年計画でございまして、五十五年度は、このフートピア計画の予算はございません。ただ、先ほど申し上げましやように、特別研究促進調整費、これは今後額は確定いたしますが、これで二年ないし三年のやや本格的な総合研究を推進していく、こう考えているところでございます。
  118. 榊利夫

    ○榊委員 どうも熱意と申しますか、余り力が込もっていないように思うんですね。たとえば漁船用の風力発電問題にいたしましても、これは民間の松下その他でやっているようでありますが、これは船が走れば風が出る、それで風を起こして雨気を起こす、大変合理的なものです。それから自動車の動力源としても、同じような原理で有望視されるわけでありますけれども、どうもそういう点での前向きでの積極的なてこ入れと申しますか、研究開発がおくれているように思うのです。アメリカなんか、石油資源には日本以上に恵まれているわけですけれども、そこでも御存じのように、NASA計画では、私の記憶では、たしか二十世紀の終わりには全発電量の二〇%ですか、これを風力でやろうという計画を持っているわけでありまして、ましていわんや日本の場合は、大変石油資源が乏しいわけで、相当このあたりでは力こぶを入れてほしい、また入れなくちゃいけないということじゃないかと思うのですけれども、その点どういう御認識でしょう。
  119. 園山重道

    園山政府委員 お答えいたします。  風力につきましては、確かに非常にクリーンなエネルギーであるということでございますが、何と申しましても、賦存密度エネルギー密度が小さいということがございまして、これをどう活用していくかということは、システム的にもいろいろむずかしい問題だと思っております。  御指摘のNASAにおきましても、非常に大型のものあるいは小型のもの、いろいろ研究をしているようでございますが、現在まだ、いわゆる一般的実用にどんどん使っているという段階ではないというように聞いております。また世界じゅうでの研究、実験の過程におきましても、先ほどもちょっと触れましたが、風車が強風で壊れるというようなこともございまして、安全性を確保しながらかつ効率のいいものをどういう用途に、どういうシステムで使っていくかということは、相当研究と申しますか、研究調査をしなければならない、こう考えておるところでございます。  決して力を入れてないわけではございませんけれども、これがやはり経済性を持って十分実用に供せられるということのためには、大型のものというのはまだ相当時間がかかるだろう、小型のものにつきましては、先生から島での利用ということがございましたけれども、いろいろローカルエネルギーとしての活用の道ということを考えていく必要があるかと思っておりますが、その場合にも、やはり効率、安全性、経済性といった問題を考えなければならない、こう思っておるところでございます。
  120. 榊利夫

    ○榊委員 NASAの計画だと、御承知のように一九七五年、これは風車による百キロワット発電のテストをやっております。それから七九年に二千キロワット、八〇年に二千五百キロワット、こういうふうにだんだん上げているわけなんですね。それだけやっぱり系統性があるわけであります。ところが、わが国の場合には、フートピア計画でちょっと研究をやられた、幾つかの実験施設もつくられた、三カ所ですか……。だけれども、それが前に向かって継起的に伸びていくといいますか、そして高まっていく、こういうふうになっていないということを大変残念に思うわけです。ぜひひとつ、そういうクリーンエネルギー開発——しかも、これは一般家庭とか軽工業、農林水産部門の小規模事業に適しているわけでありまして、特に島なんかに行きますと、風なんというのはきらわれものですけれども、このきらわれものが福の神になるわけですよ。  そういう点では、一般的に言いまして、ちょっと酷かもしれませんけれども、大工業資本の声があると急いでやるけれども、それがないと余り力が入らぬということもなきにしもあらずであります。そうでなくて、やはり国民的な観点で風力発電に力を入れてもらいたい。  そういう点で、行政面でも、島部とか海岸部とか山頂、そういった適地を積極的に探しながら、そういうところで重点的にまず施設をつくっていく。それは非常に歓迎されるでありましょうし、それがまた大きな科学技術の積み重ねにもなっていくというふうに思うわけであります。ぜひひとつこの点、概括的に長官のお考え、姿勢をお聞かせ願えればと思います。
  121. 長田裕二

    ○長田国務大臣 自然エネルギー、波力とか風力とかそういうようなもの、ただいま風力についての御指摘でございますけれども、最も適しているような場所等をも選びまして、そういうところを糸口といいますか、突破口といいますか、実用化の面に新しい境地を開き、それを押し広げていく、そういうようなことに努力してまいりたい、そのように思っております。私、個人的にもそのような気持ちを持っているところでございます。
  122. 榊利夫

    ○榊委員 ぜひひとつ御努力をお願いいたします。  次は、電気自動車の問題でございます。これはエネルギー利用するという面でございますが、東京を初め大都市住民の命と健康という点から見まして、大気汚染、公害病、この大きな原因の一つであるのが自動車の排ガスでございます。この排ガスを除去するということは切実な願いでありまして、私どもも大都市に住んでいて、子供がぜんそくでぜいぜいして夜も眠れない、そういう訴えを聞くにつけ、本当に胸が痛くなるわけでありますけれども、そういう点からも、いかに公害発生源をなくしていくか、除去していくかということは、政治の大問題であります。  近年、これらの点で電気自動車が注目を集めていることは御承知のとおりでありますが、やはりこの利点というものは、排ガス、騒音、振動といった車公害の除去という点と、もう一つは、やはりいま申し上げました石油資源の厳しさからくる省エネルギーでありますが、それともう一つ、ぜひ注目しなければいけないと思っておりますのは都市防災ですね。東京なんかの場合ですと、大震災が起こりましたときに、ガソリンカーだとかプロパンの爆発で火災になることが当然予想されるわけでありますけれども、そういう点では、電気自動車の場合、そういう公害あるいは災害時の火災等々、心配しなくていいわけであります。  そういう点では、総合的に見まして、ガソリン車に比べて数十倍の利点がある。これは、その道の専門家はすべて言われるわけでございますけれども、国道に車がひしめいている日本に適したものといたしまして、電気自動車の開発普及といった問題に、政府としてはどういうふうなお考えをお持ちなのか、科学技術庁あるいは工業技術院、どちらでも結構でございますけれども、御認識をお聞かせ願いたいと思います。
  123. 横山太蔵

    ○横山説明員 お答え申し上げます。  先生指摘ございましたように、電気自動車には非常に多々利点がございます。公害がきわめて少ないという点につきましても、私ども昭和四十六年、いわゆるエネルギーショックの前から電気自動車の研究開発取り組みまして、そのときはもっぱら低公害性ということに着目をして始めたわけでございますので、そういった多面的な電気自動車の利点に着目をいたしまして、その後も引き続きまして、これの研究開発、普及促進に努めてまいったわけでございます。  現在のところ、大きく分けまして、私どもは二つの方策をとっております。  一つは、研究開発でございます。研究開発は、一応通産省の工業技術院の方で持っております大型プロジェクト制度というものでの研究開発が一段落しておりますので、現在は、これを実用化する上に必要と思われます電気自動車のいろんな部品につきましての標準化ということを中心にした研究開発を行っておる段階でございます。これは関係メーカーが技術研究組合をつくりまして、推進をしておるところでございます。  それからもう一つは、現実に電気自動車を普及させるということでございます。これにつきましては、PRでございますとか、その他一般的ないわゆる普及制度のほかに、試用制度と申しまして、電気自動車をリースいたしまして、しかるべき方々に御利用いただく、もちろん、その過程を通じまして、諸データを収集いたしまして、よりよい電気自動車をつくっていこうということでございますけれども、このリース制度を中心といたします普及促進の方策をとっております。  この二つが具体的な措置でございますが、これらを計画的、総合的に行いますために、普及基本計画というものを定めまして、これにさらに各年度の実施計画というものをつくりまして、両者を総合的、計画的に推進をしていきたい、こういう体制をとっておるのが現状でございます。
  124. 榊利夫

    ○榊委員 ちょっと角度を変えまして、環境庁の方、いらしたらお答え願いたいのです。  いま大型トラックディーゼル車の排ガス規制、騒音対策、いろいろとられているわけでありますけれども、現在NOx、特にN02の環境基準をオーバーした地区というのは、東京二十三区初め全国に幾つくらいあるか。それから、それとの関連で、ガソリン、ディーゼル車など石油で走っている自動車の台数を仮にそれから三〇%カットした、つまり三〇%が電気自動車に変わったと仮定した場合に、どれくらいNOxの排出が減るか、もし計算ございましたら教えていただきたいと思います。
  125. 松波正壽

    ○松波説明員 お答えいたします。  まず、最初の御質問の二酸化窒素の環境基準をオーバーしている測定局の現状はどうなっているか、これから御説明を申し上げたいと思います。  昭和五十三年度の二酸化窒素測定結果について環境基準の先生御案内のゾーンの上限、日平均値〇・〇六PPmを超える測定局の数あるいは都市の数を御説明申し上げたいと思いますが、二つに分かれておりまして、一つは、一般環境大気測定局について見てまいりますと、測定局数は全国で九百八十一局ございますが、そのうち超えておるのが七十五局、七・六%でございます。また都市の数につきましては、全国四百六十九都市中四十一都市、八・七%でございます。  もう一つは、自動車排出ガス、沿道に備えておりますところのいわゆる自動車排ガス測定局について見てまいりますと、全国百九十局中七十七局、四〇・五%でございまして、都市の数で見てまいりますと、全国百二十一都市中四十七都市、三八・八%が超えておる、こういう現状でございます。  それから、後段の御質問でございますけれども、自動車の量を減らして、そして電気自動車に変えた場合にどうなるか、こういう御質問かと思いますが、これにつきまして御説明を申し上げたいと思います。  自動車から出てまいりますNOxの排出量の面でございますけれども、これを試算する場合には、車種ごとの保有台数、あるいは交通量、あるいは車の登録の状況、あるいはそれぞれの車の排出係数といいましょうか、そういうデータをもとにいたしまして試算をすることによって出てまいるわけでございますけれども、いま申し上げましたこれらの要件は、それぞれ車種だとか、排出ガスの規制レベルだとか、あるいは車齢だとか、車種別の保有状況とかいろいろ条件がございまして、これによって異なって、一概にはその削減量がどれだけ出たかというような推定は大変困難かと思います。しかし、一般的に言えますことは、車両数が減少いたしまして交通量が減るということになれば、自動車から排出されますその排出ガスの量は削減されると推定できると思われます。
  126. 榊利夫

    ○榊委員 具体的な計算をやってみられたことはないのでしょうか。
  127. 松波正壽

    ○松波説明員 お答え申し上げます。  いま具体的にどうかといいますと、大変条件がむずかしゅうございますので、現時点では、先生の御指摘のような中身についての具体的なケースについて計算はしておりません。
  128. 榊利夫

    ○榊委員 これはぜひやっていただきたいと思います。  私たち素人なりの計算ですけれども、それをしたところでも、いま走っている車が一〇%減りましても、大体いまの公害病発生地域というのはなくなる。したがって、二〇%とか三〇%やりますと、どうでしょうか、戦後、昭和三十年くらいの空気のきれいさになるのじゃないかなというふうに、これはあくまでも素人なりの予測ですけれども、それくらいやはり大きな意味を持ってくるのです。  したがって、東京などの大都市の場合、ここにいらっしゃる皆さんは、みんな東京に関係があるので切実にお感じだろうと思いますが、私も実はそうでありますけれども、科学技術の成果をどう生かすかということによって、すっかり生活環境が健康化する、これができるわけであります。そういう点で、普及の点につきましても、もう本当に積極的にやる必要がある。  そこで質問ですが、昭和五十二年十一月二十五日の商工委員会で、当時の森山機械情報産業局長が、電気自動車の開発普及について、こういうふうに答弁されています。「電気自動車の特定地区導入計画あるいは調査等を実施いたしたい」、つまり特定地区導入ですね。それから二年半たっているわけでございますけれども、こういう方向で何か行われたのでしょうか。
  129. 横山太蔵

    ○横山説明員 先生からいま御指摘のありました私どもの前の局長の答弁にございますように、私どもといたしまして、いろいろな条件の地区を選定いたしまして、電気自動車を導入した場合に、どういう問題があるかということの調査は行ってまいっております。
  130. 榊利夫

    ○榊委員 時間がなくなりましたので、大変恐縮でありますけれども、去る四月七日、土屋環境庁長官が、交通公害問題に関する懇話会の提言を受けて、無公害車として電気自動車普及の方針を決めたという報道がありますが、この普及方法という点ではどういうふうなことをお考えなんでしょうか。簡単でいいです。
  131. 加藤三郎

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘の交通公害問題に関する懇話会と申しますのは、環境庁長官が交通公害行政及びこれをめぐるいろいろな問題につきまして、学識経験者五人の先生でございますけれども、その先生をお招きいたしまして、御意見を拝聴するものでございます。この席で多岐にわたる有益ないろいろな御意見がございました。ただいま事務局で取りまとめておるところでございまして、先生方の御了解を得て、具体的な提言として公表いただくことを予定しております。  それで、懇話会における御提言の一つに、電気自動車の開発利用促進が挙げられております。電気自動車は、先生も御指摘になりましたように、それ自身排出ガスがなく、また騒音もかなり低いものでございますが、まだまだ技術開発の余地はございます。少なくとも道路周辺の交通公害の防止の一助になるのではないかという観点からの御意見でございました。  このような御意見を受けまして、環境庁長官から私ども事務当局に対しまして、電気自動車開発可能性なり、それから普及の是非、また普及するための方途、さらには、これが普及した場合のいろんな問題につきまして、検討会を設けて、早急に勉強するようにという指示が出されたところでございまして、ただいまその準備をいたしておるところでございます。
  132. 榊利夫

    ○榊委員 時間が参りましたので、最後に一言だけですが、外国では電気自動車研究開発普及法といった法律をつくって、米国がそうでありますけれども、そういう積極策をとっているところもあるわけです。むしろこういう点ではフランス、イギリスなんというのは、電気自動車の先進国だと聞いておりますけれども、政府としても、そういう積極策をとることを含めて、ぜひともひとつ前向きの普及策を御検討願いたい、こう思います。もしお答えなければ何ですが、一言だけ言っていただけますか。
  133. 長田裕二

    ○長田国務大臣 関係省庁いろいろな面にわたると存じますが、連絡をよくとりまして、御趣旨の点をよく検討をしてもらい、できますならば前向きに施策を進めたい、そのように考えております。
  134. 貝沼次郎

    貝沼委員長代理 次回は、明十七日木曜日午後三時委員会、午後三時十分理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三分散会