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石野委員 私は先日、福島の第一原発一号炉の修理の実況を炉心のところまで行きまして見てまいりました。炉心には入りませんでしたが、あそこに三、四十分入っておる間の私自身の被曝は三・六ミリレムでございました。中に入りました吉田参議院議員は、十分間で大体十八ミリレムの被曝をしてきております。この計算でいきますると、一時間じっとしておれば百十ミリぐらいの被曝になるわけでございまして、
作業の実情から見まして――吉田参議院議員は、ただ中に入って、できるだけ安全に見てきたわけですけれ
ども、
作業する方々は、あの中でいろいろな仕事をするわけです。
数年前に島根の発電所で、やはりノズルのひび割れの問題からの
作業がありました。その後福島でもあって、たびたびやっておった修復工事も、今度GEから切削機械などが入っておりまして、自動化した切削の
方法になり、
作業方法もずいぶん変わっておりますから、若干被曝度は少ないだろうと思いますけれ
ども、上から見ておっても、吉田君自身の話を聞いても、あの炉の中では、せいぜい四人か五人くらいしか仕事はできないですよね。ことに切削機械のこのくらいのものが置いてありましたけれ
ども、あんなものが置いてあったりしたら、とても動けない。吉田議員の話によりますと、身動きできない、動くとぶつかっちゃう、こういう状態ですから、
作業している方々の被曝を低位に抑えようたって、とても抑え切れないものがあると思います。
炉内の状態をずっといろいろカウントさせますと、ノズルの
中心部門では六百五十ミリくらいのものが、そっと当てただけでやはり線量が出るそうです。大体中は百ミリレムくらいの空中汚染度というものになっているのだと思います、が、いずれにしましても、下に鉛のプレートが張ってあるわけですから、下から出てくるストリームのなになんか見ますると、相当な量が当然出てくるわけですね。上で私
ども、ちょうど給水スパージャーの取り外したものを、貯水所の中に入れてあるやつを見ました。その方向へずっと線量計を入れますと、それが大体五ミリレムから六ミリレムくらいでございますけれ
ども、今度は炉の方へ向けますと、これはもう二十ミリくらいになる。下へ向けると五十ミリ超えちゃうのですよ。上でちょっと下へ向けただけで五十ミリ超えますから、中に入っている方々は、想像以上の被曝をするものと思われます。
そこで、その
作業者の被曝を抑えようとすれば、当然労働時間を詰めなければならぬわけですよね。しかし、仕事の性質上、なかなかそれは十分や二十分で切るわけにいきませんから、一時間、二時間、場合によれば五時間、七時間という時間を働かすということになれば、三カ月三レムというこの限界を一日、二日のうちに乗り越えてしまうという、これが実情だと思うんですよ。しかも、そういうことをやる方々は、もちろん熟練の方々もおりましょうけれ
ども、下請の方が多いということになりますと、先ほど申しました、そして皆さんから出ているこの資料によりましても、請負業務をやっておる方々の被曝線量というのは非常に多いわけです、一般の電力会社の社員の倍なんですから。また、これは平均ですから、多い人になればうんと出てくる。
児玉審議官が参議院の吉田
質問に対して答えたときの答えと、それから吉田参議院議員が内閣に対して
答弁を求める
質問書の中でお答えいただいたときの事情を勘案しましても、労働者一人当たりの被曝一日千ミリレムを超えることは、ずいぶん数多くあるものと私は想像します。この場合、労働省はこの監督をどのようにするのか。監督官庁である
通産省は、どういうふうにしてこのICRPの基準に沿うような監督を具体的にやるかという問題が、われわれにとって問われる問題なんです。これはどういうようになさるのかということが
一つ。
それから、こういう形で被曝をした方々は、やはりなかなか――ちょうど昨日の朝日新聞の記事にもありまするように、労災補償を受けることはなかなかできないんですよね。これは労働省がもっと積極的にめんどうを見なければならない問題だと思うんですよ。こういうことで、被曝をした方々が症状が悪くなった場合に労災の手当てを受けないようなことでは、とてもこれは安心して入ることはできないと思う。
だから、そういう被曝が増加することについての対策をどのようにするかということ、管理することについて労働者の被曝をどのようにして少なくし、あるいは被曝した者に対して、どういうふうに与えられた保護的な処置をするかという問題、これをひとつしっかりと聞かしておいてもらわなければいけないし、対策を立ててもらわなければいかぬと思います。私の見るところでは、電力会社は、やはり室内で被曝を少なくするためのできる限りの手当てはそれぞれしていると思うのです。しかし、炉の性格上、
原子力の性格上、限界があるのだと思うのです。一生懸命にやっておるけれ
ども、どうしても被曝をするし、それから、もうこれを避けようとすれば、労働時間を短縮して、労働延べ人員をやはりうんとふやす企業の側の構えがない限りは、とても被曝を防ぐことができないのじゃないか、こう思いますが、そういう問題等についての
一つの所見を聞かしてほしい。