運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1980-04-16 第91回国会 衆議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月十六日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 古屋  亨君    理事 加藤 六月君 理事 佐藤 守良君    理事 関谷 勝嗣君 理事 保岡 興治君    理事 田畑政一郎君 理事 吉原 米治君    理事 西中  清君 理事 三浦  久君    理事 青山  丘君       相沢 英之君    江藤 隆美君       瓦   力君    三枝 三郎君       辻  英雄君    中村 弘海君       福家 俊一君    三原 朝雄君       久保 三郎君    斉藤 正男君       新盛 辰雄君    関  晴正君       石田幸四郎君    草野  威君       伏屋 修治君    四ツ谷光子君       永江 一仁君    渡部 正郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 地崎宇三郎君  出席政府委員         運輸省港湾局長 鮫島 泰佑君         運輸省鉄道監督         局長      山地  進君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         運輸省自動車局         整備部長    小林 育夫君         運輸省航空局長 松本  操君         海上保安庁長官 真島  健君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局経済部調         整課長     厚谷 襄児君         警察庁交通局交         通指導課長   矢部 昭治君         警察庁交通局交         通規制課長   広谷 干城君         警察庁交通局運         転免許課長   越智 俊典君         防衛庁経理局施         設課長     平   晃君         防衛施設庁施設         部連絡調整官  大場  昭君         大蔵省主計局主         計官      保田  博君         大蔵省主税局税         制第二課長   大山 綱明君         水産庁研究部漁         場保全課長  伊賀原弥一郎君         通商産業省立地         公害局工業再配         置課長     高橋 達直君         資源エネルギー         庁石油部精製課         長       加藤 昭六君         気象庁観測部長 末広 重二君         自治省財政局財         政課長     津田  正君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     吉武 秀夫君         日本国有鉄道常         務理事     藤田 義人君         日本国有鉄道常         務理事     吉井  浩君         日本国有鉄道常         務理事     半谷 哲夫君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ————————————— 委員の異動 四月十六日  辞任         補欠選任   宇野  亨君     瓦   力君   北川 石松君     辻  英雄君   山村治郎君     中村 弘海君   薮仲 義彦君     伏屋 修治君 同日  辞任         補欠選任   瓦   力君     宇野  亨君   辻  英雄君     北川 石松君   中村 弘海君     山村治郎君   伏屋 修治君     薮仲 義彦君     ————————————— 四月十五日  国内用船外機検査免除に関する請願足立篤  郎君紹介)(第四〇〇八号)  同(足立篤郎紹介)(第四一一三号)  国鉄運賃値上げ反対等に関する請願吉原米  治君紹介)(第四〇〇九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  船舶トン数測度に関する法律案内閣提出  第六五号)  陸運に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件  港湾に関する件  海上保安に関する件  気象に関する件      ————◇—————
  2. 古屋亨

    古屋委員長 これより会議を開きます。  内閣提出船舶トン数測度に関する法律案議題といたします。  本案に対する質疑は、昨十五日終了いたしております。  これより討論に入るのでありますが、討論申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出船舶トン数測度に関する法律案について採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  3. 古屋亨

    古屋委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  4. 古屋亨

    古屋委員長 この際、本案に対し、佐藤守良君外四名から、自由民主党・自由国民会議日本社会党、公明党・国民会議日本共産党革新共同及び民社党・国民連合共同提案による附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  まず、提出者から趣旨説明を求めます。佐藤守良君。
  5. 佐藤守良

    佐藤(守)委員 ただいま議題となりました本案に対し、附帯決議を付すべしとの動議につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  案文につきましては、お手元に配付してありますので、その朗読は省略いたします。  御案内のように、今回のトン数測度の、基準の改正によって、従来、船舶トン数から除外されておりました船員居住区域作業区域の一部が船舶トン数に入ることになりました。その結果、船舶トン数を小さくする目的から、船員居住区域等が圧縮され、居住性等しわ寄せが来るような事態の生ずることが懸念されるのであります。  したがいまして、本附帯決議は、かかる事態が生じないよう、政府において、船内船員設備に十分の配慮を払い、今回のトン数測度基準変更に伴い居住区域作業区域が圧縮され、設備面から船内居住設備作業環境が悪化することのないよう、船舶設備規程整備など所要措置を考慮すべきであるというのであります。  以上をもって、本動議趣旨説明を終わります。  何とぞ御賛成を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)     —————————————    船舶トン数測度に関する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法施行に当たり、トン数測度基準変更に伴い、船内居住設備作業環境が悪化することのないよう、所要措置を考慮すべきである。  右決議する。     —————————————
  6. 古屋亨

    古屋委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  佐藤守良君外四名提出動議賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  7. 古屋亨

    古屋委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。     —————————————
  8. 古屋亨

    古屋委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 古屋亨

    古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  10. 古屋亨

    古屋委員長 この際、地崎運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。地崎運輸大臣
  11. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 ただいま船舶トン数測度に関する法律案を慎重御審議の上、御可決いただきましたことを心から厚く御礼を申し上げます。また、決議されました附帯決議につきましては、御趣旨を尊重し、今後その推進に努力してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。(拍手)      ————◇—————
  12. 古屋亨

    古屋委員長 次に、陸運、海運、航空及び日本国有鉄道経営に関する件等について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。吉原米治君。
  13. 吉原米治

    吉原委員 きょうは御承知のように国鉄が現在ストライキに突入をして、全国ネットワークで実は国民の足が奪われておる当日でございますが、春闘の賃上げの事実上の額を決定するとでもいいますか、本年度の春闘相場づくり役割りを果たすと言われております私鉄の大手の解決けさ方つきました。新聞報道によりますと、国鉄側公労委の方で調停作業が昨晩はどうも中断されておったようでございますが、けさ方からまた始まっておるようでございます。少なくとも国民の足である国鉄がいまとまっておる状況下で、担当運輸大臣としてはどういう状況把握をなさっていらっしゃるのか、あるいはまたいっときでも早く円満解決を図って正常な運行に早く戻すべきだと思っておりますけれども、担当大臣としてはどういう現状把握をなさっていらっしゃるのか、公労委における調停作業進捗状況あるいはその見通し、こういった問題について大臣最初お尋ねをしておきます。
  14. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 残念ながら国鉄ストに入っておる状態でございます。早く収束されることを望んでおるわけでございます。また、公労委の内容については申し上げる立場ではございませんが、現在鋭意裁定の交渉中というふうに考えられるわけでございます。一刻も早く話し合いがつきましてストが解除されることを期待しております。
  15. 吉原米治

    吉原委員 大臣はいまこういった緊急事態になっておって国民の足がとまっておる、にもかかわらず一向にこの見通し等も持っていらっしゃらないようでございますが、本日じゅうに片がつきますか、全然見通しは持っていらっしゃいませんか。
  16. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 全く私の私見になるわけでありますが、今日中には大体解決をするのではないだろうかというふうに判断をしております。
  17. 吉原米治

    吉原委員 きょうは国鉄総裁見えになっておりませんので、したがって大臣に聞くわけでございますが、自分の私見だと前置きをして本日じゅうには片がつくんじゃなかろうか、これは希望的な観測だろうと思いますが、単なる希望的な観測だけじゃなくて、やはり労使が円満に話し合いがついて、そしてまた公労委調停作業も円滑に進めていけるようなそういう、何も労使間の仲に介入する必要はございませんけれども、調停作業を早く円滑に進めていくという担当大臣としては当然そういう努力をなさるべきだと私は思っておりますが、そういうお考え方はございますか。
  18. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 公労委調停に対して介入する立場ではございませんが、できるだけ早く解決ができますように期待をしておるところでございます。
  19. 吉原米治

    吉原委員 それじゃ大臣に、大臣としてなし得る最大の円満解決のための御努力をひとつ最初に強く要請をして、この問題はおきます。  さて、きょうはハイタク問題に実は集中して質疑を行いたいと思います。最近のハイタク中心にして、バスにしてもトラックにしてもそうでございますが、大変違法行為が横行しておる。特にいまから具体例を申し上げて、関係各省、きょうはお呼びしておりますから、それぞれの立場でひとつ具体的な取り締まり対策、この問題についてお答えを願いたい。  一つは、瀬戸内海に淡路島という島がございますが、この淡路島島内におけるタクシーの違法な行為については目に余るものがある。過般、大阪の陸運局にも電話で私は抗議をしたところでございますが、常識では考えられない違法行為が行われておる。たとえば港の船舶発着所といいますかその周辺、あるいはバスの停留所の周辺でお客を、何といいますか比較的割り安に運ぶからという積極的な、俗な表現を使いますと客引き、こういうものが競って行われておる。あの狭い島内、十何社の小さな企業がたくさんございますけれども、その半数以上は実はそういう違法行為をやっておる。しかもこれがためにもう二年間も実は運賃値上げもできずに、正常な運営をしておる企業立場からいきますと、運賃値上げは二年ローテーションで行われているのにもかかわらず、まじめにやっておるところは運賃値上げ申請をしたい、そう思っておるけれども、どうも島内半数業者が実は運賃値上げをしなくてもいいのだ。利用者立場になりますと、運賃値上げをせずに安い運賃で実はやってもらった方がいいわけでございますが、いまの島内におけるハイタク業者実態を見てみますと、いまの資本主義の時代でございますから、競争原理は当然私も否定をいたしません。しかし同じ条件下で競うというのは、これは私は当然のことだと思っておりますけれども、いま淡路島内実情、これは淡路島だけじゃなくて離島にはえてしてこういう状況全国的にもいまあるようでございますが、何といいますか、まさに無法地帯にでも入ったような感じのするそういうタクシーが運行しておる。実はこの実情を、運輸省自動車局長見えになっていると思いますが、ひとつどのような現状把握をなさっていらっしゃるのか、また当該陸運局としてはどういう行政指導をなさっていらっしゃるのか、まず最初にそのことをお尋ねをしたいと思います。
  20. 飯島篤

    飯島政府委員 お答えいたします。  淡路島タクシー業界現状は、確かに先生が御指摘になるような実態があるようでございます。淡路島タクシー事業者につきまして、五十年の十月から五十四年の八月にかけまして、兵庫県の陸運事務所が全事業者十六業者について監査を実施いたしました。この監査の結果、九業者につきまして運賃料金の不適正収受等の違反が見られましたので、その是正について文書警告を出した次第でございます。  しかしながら、その後におきましても先生がいま御指摘になりましたように、ターミナル等におきまして深夜割り増しの不収受、違法な乗り合い行為等運賃の不適正な収受等の発生が伝えられましたので、去る三月八日付で兵庫県の陸運事務所長から業界団体に対しまして、文書によりましてその是正を厳重に指導したところでございます。業界団体におきましてはこの指導を受けまして、先ほどお話がありました運賃改定申請をしていない四社を含む淡路島内の関係事業者のすべてが集まりまして、輸送秩序を確立し正常化を図るという旨の確認を行ったというふうに報告を受けております。今後は業界団体におきますこの輸送秩序確立のための自主的な努力を見守りながら、状況に即応して現地監査等によりまして指導徹底を図っていく所存でございます。
  21. 吉原米治

    吉原委員 三月八日付の兵庫陸運事務所長名で出されておる文書を私も手元に持っておるのですが、この種の問題というのは一片の通達というか文書関係業界に発送しただけではなかなか徹底をしない。  そこで、私は一つ提案の形で申し上げるのですが、トラックの方は実は貨物輸送監理官というふうな制度がございまして、全国の各陸運事務所内に一ないし二名ずつ配置をされておるやに承っておりますが、特にタクシーあるいは白バスと称する分野については、この種の専門とまではいかなくてもそれは兼務でもいいのですけれども、一たんそういう情報が入ったら直ちに、いま局長おっしゃった現地調査という表現もございましたけれども、直ちに出向いて行って俗に言う覆面監査といいますかそういうものでもやって、現実を把握するといいますか具体的な事案をキャッチするというか、そういう対応の仕方をしないと実はこの業界正常化というものはできないと思っておりますが、そういう意味で出先のそれぞれの陸運事務所陸運局というサイドでもいいのですが、それによって新たに増員するということになるとまた大変でございましょうけれども、比較的対応のできる職種が中にはあるかと思います。そういう意味で、そういう事案がうわさでもいいから流れてきた場合には直ちに調査に出向かせる、そういう内部制度をつくる、こういうお考え方はございませんか。
  22. 飯島篤

    飯島政府委員 バスハイタク等に関しまして違法な行為を行っているという情報がありますれば、その通報に基づきまして調査をする、あるいは関係機関、主として警察でございますが、と連携しながら街頭監査をやるというようなことで、違法行為是正に努めているのが現状でございます。先生が御指摘のように、貨物につきましては、全国に十七名の貨物輸送監理官を配置いたしまして、営業用トラック内部違法行為是正とあわせまして、白トラ取り締まりに従事をさせておるわけでございます。  バスタクシーにつきましてこれと同様にできないかというお話でございますけれども、先生もいまお話しになりましたように、定員増の抑制という非常に厳しい客観情勢がございまして、旅客関係についてはいまだに実現を見ていない次第でございます。  それで、それではどうしているかということでございますが、旅客関係の職員の既存の定員を活用いたしまして、監査をいたします場合は、チームを編成して責任者を決めて実施をするわけでございます。したがいまして、はっきり輸送監理官という名前はついておりませんけれども、担当官責任者としてチーム中心になって実施いたしておるわけでございます。しかしながら、先生提案のように、はっきり何か取締官というような体制を常時整備することを検討するということにつきましても、今後なお研究さしていただきたいと思っております。
  23. 吉原米治

    吉原委員 それで、結局この淡路運賃値上げ申請は、業者の方から十何社あっておると思いますが、関係陸運事務所はどういう措置をなさっていらっしゃるのか、行政指導として、全部歩調が合わなければ、各業者間の歩調が合わない限り、それを受けつけないという態度でございますか、どうでございますか、把握していらっしゃいませんか。
  24. 飯島篤

    飯島政府委員 淡路島タクシー運賃につきましては、五十一年の二月に改定されて以来約四年二カ月の間改定されておらない状態のままでございます。先ほどお話がありましたように、通常タクシー運賃は二年目ローテーション改定をいたしているのでございますが、それに比べまして非常に特異な状況になっておるわけでございます。  現在運賃改定申請は、十六業者のうち十二業者から出されております。両数で全体で百九十一両でございますが、申請が出ておる十二業者の分は百六十二両でございます。したがいまして、出ていないのは四事業者でありまして、両数で二十九両、両数では一五%のシェアを持つ業者申請をしていない状況でございます。これにつきまして、現在の状況下で早く改定を実施してほしいという事業者は、いま申し上げた十二社のうち六社であるようでありまして、その他の業者は、百八両持っておるわけですが、これは二重運賃になるということは問題があるということで、やはり同一地域同一運賃という原則との関連で、申請が出そろうまで待ってほしいというような意向のようでございます。  こういった場合に、申請を出すように私どもの方で慫慂するというわけにはちょっとまいりません。また業界の方でも、表立って調整をするということは、独禁法の関係がありましてなかなかむずかしい事情にございますが、そうは言いましても、業界実態調査をするということで、いろいろ未申請業者意向の打診を現在いたしている状況でございます。それで陸運局といたしましては、こういった現地事情十分調査をいたしながら、でき得れば全体の事業者調整がされるのが望ましいのでございますが、場合によっては、いましばらく様子を見て見切り発車ということも検討せざるを得ないかというふうに考えているようでございます。
  25. 吉原米治

    吉原委員 この問題だけに長く時間をかけるわけにまいりませんけれども、いま申し上げました四業者、四年も五年も運賃据え置きで十分やっていけますというような業者はまことに結構でございますが、そのしわ寄せは、結局全部タクシー運転手の方に過酷な労働条件を強いる結果になるわけでございまして、その結果がまた違法行為につながる、そういう懸念が持たれるこの四業者だと私は思うのです。ですから、今後行政指導なりあるいは現地監査等をやられる場合でも、大体焦点をしぼって——同じLPGのガスをたいて走って、車両の価格も同じなのに、片一方は、この運賃ではもう倒産寸前だと言う、片一方は、これで十分黒字が出ておりますから運賃値上げ申請する必要はございませんと、なぜそこまでの格差が出るのかというのが、大変疑問に感じられるところでございますので、そういう点で、監査に当たってもよく焦点をしぼって監査を進めていただきたい、このことだけをお願いをしておきます。  それから具体的な例の二番目に、東京都下国分寺市に有限会社国分寺交通というタクシー会社がある。これは三十四両ばかり持っておって、賃金体系完全リース制運営がなされておる。しかも、聞くところによりますと、このタクシー会社には車庫がないという。実は青空で営業しておる。恐らく青空のままで車庫がないような業者認可がおりるはずはないと思いますが、認可時には認可条件は整っておった、しかし、その後企業が何かの都合で持っておった用地を他に売却をしたとか、つまり認可時の条件と変わってきているのじゃないかと考えられるわけです。仄聞するところによりますと、陸運事務所はこれは十分承知をしておる問題だ、実はこういうふうにも聞いておるのですが、運輸省はこの国分寺交通実態をどのように把握をされておるのか。把握をされておるとすれば、今後どういう行政指導をしていこうとなさっていらっしゃるのか。全然初耳だということでございますか。
  26. 飯島篤

    飯島政府委員 先生がいま具体的に御指摘になった案件については、実は本省では承知しておらないのでございますが、一般的にそういう情報があれば、私も東京陸運局長をしたことがございますが、知っていて黙っておるということは決してありません。特別監査等も実施いたしまして所要措置をとるはずでございます。早速東京陸運局の方に連絡をいたしまして、実情調査なり、場合によっては、監査等が必要であれば監査をするように指示いたしたいと思います。
  27. 吉原米治

    吉原委員 現地陸運事務所承知をしておるというのは、この業界では常識になっておるのです。にもかかわらず、担当運輸省自動車局長が全然聞いておりませんということは、私はけしからぬ話だと思うので、局長がうそをおっしゃっておるとは思いませんけれども、もし承知なさっていらっしゃらぬということなら、現地陸運事務所責任だと思うのです。ひとつ一遍厳重に調査し、実態把握してしかるべき措置をとっていただきたい。それを近日中に私の方に文書で、こういうふうな実態なのでこういうように措置をしたというのを御報告願いたいと思うのです。  タクシー違法行為具体例はたくさんございますが、余り一つ一つ時間をかけておりますと時間が足らなくなりますので先に進みます。  最近、共済タクシーという制度がどうもできてきておるようでございます。これは一口で言いますと、会員制会員がそれぞれ一定の会費を納入して相互に利用するということで、実際のタクシーを使うよりも半額ぐらいで済むのです。それでこの共済タクシーという問題が各地でずいぶん頭をもたげてきておるようでございますし、特にこの四、五年前から代行運転制度という制度が、実は半ば運輸省も認めていらっしゃるような文書がたくさん散見されるわけです。共済タクシーというものの認識を持っていらっしゃるか、それがまず一つ。それから代行運転制度というものは、一体運輸省としては制度的に認めていらっしゃるのか。特に昭和五十一年十月十二日の自動車局旅客課長の各陸運局自動車部長あて通達を見てみますと、運転代行会という名称がたくさん入っているのです。運転代行会というのは一体何者かと私は思うのですが、運転代行会というものは一体いかなるものであって、運輸省としては行政上望ましい会だと思っていらっしゃるのか、私は必ずしも望ましいものじゃないと思う。むしろ、考えてみますと、白タクの行為に準ずるのではないか、こういう気がしてなりませんが、まず二つの問題について自動車局長のお考えを聞いてから、後ほどまた質問をさせていただきます。
  28. 飯島篤

    飯島政府委員 お答えいたします。  第一点の共済組合等の形でタクシーの営業類似行為をしているケースが最近見られるというお話でございますが、申しわけないのですが、本省の方では具体的事例について現在のところ把握していないのでございますが、先生御案内のとおり、共済組合の形式をとりました違法タクシーは、三十年代の半ばごろに全国的に違法白タクということで行われたことがございます。こういった共済組合等につきましては、その組織の構成あるいは自動車の使用の態様等を調べますと、大抵の場合自動車運送事業を行い、または行おうとするものであると認められるケースが多かったのでございます。もしそういうものが最近再び出てきたといたしますれば、その運送行為は厳に取り締まるべきものと考えております。  それから、第二の運転代行会の問題でございますが、この事業はその営業形態にはいろいろなものがあるようでございます。五十四年九月末現在で五百六十五事業者ございます。お客さんにかわりまして当該お客さんの自動車を運転する場合につきましては、単なる運転労務を提供するということでございますので、道路運送法上の旅客輸送を行っているものとは認められないということで、道路運送法違反の問題はないと考えられます。しかしながら、代行運転の範囲を逸脱いたしまして運転代行会社、またはその所属する者の自動車によってお客さんを運送しているものにつきましては、道路運送法上、継続反覆しておれば無免許営業になりますし、一回限りであれば無許可の有償運送に該当することとなりますので、道路運送法違反であると考えております。したがいまして、先ほど先生指摘文書は、五十一年十月に出されたものでございますが、いまの解釈を明らかにするとともに、運転代行会等による道路運送法違反の取り締まりについて、地方に指示いたしたものでございます。  なお、同日付で自動車局の旅客課長から警察庁の交通局交通指導課長あてに、取り締まりについての協力依頼の文書を差し上げているところでございます。  したがいまして、今後とも警察等の関係機関連絡を密にいたしまして、積極的に取り締まりなり違反の防止に努めてまいりたいというふうに考えております。
  29. 吉原米治

    吉原委員 そこで、五十四年四月十日付で富山県警本部あてに告発状が地元富山県ハイタク労組連合会代表者日陰氏なる人から出されておるのですが、きょう警察庁矢部課長ですか、いらっしゃっていましたら、この告発の案件はどのような処置がなされておるのか、お答え願いたい。
  30. 矢部昭治

    ○矢部説明員 お答えいたします。  ただいま先生御質問の五十四年四月十日に富山県のハイタク労働組合連合会の代表者の執行委員長日陰氏外が参りまして、桜木町を中心としていわゆる代行運転まがいの行為あるいは代行運転そのもの、こういうものがはびこっておるということで、具体的に告発状という形で、同時にいろいろと実態を調べられた資料を添えられて持ってまいったわけでございます。これにつきまして県警といたしましても、いろいろ事情をお伺いいたしまして、これを検挙すべく独自にいわゆる内偵捜査をするということで御了解いただきまして、現在本部と富山署で特別に十一名の班編成をいたしまして捜査をしておるというような実情でございます。
  31. 吉原米治

    吉原委員 捜査中——ずいぶんひまのかかる話ですね。五十四年というのは昨年だが、大方一年経過しておるのですが、それでもまだ捜査中でございますか。
  32. 矢部昭治

    ○矢部説明員 先生御案内のとおり、この種の事件につきましてはお客さんの協力というようなことが事件として持っていく場合の前提となり、そういった面で非常に困難な面があるわけでございます。しかしながら、そういったことを踏まえてなお捜査をしておるという状況でございます。
  33. 吉原米治

    吉原委員 これは抽象的な告発でなしに、具体的な証拠書類を六通添付をしておるのですが、どうも具体的な事実について結論というかこれはもう出されてしかるべきだと思うのですが、こういう行為があるからひとつ取り締まってほしいということになれば、一年たっておるけれども幸か不幸かそういう案件はいまのところ見つかりませんということになるのだろうと思うけれども、具体的な事実を証拠書類を添えて告発しておるわけですから、この事実があったのかなかったのか、あったとすればどういう措置をされたのか、これをお尋ねしておるのです。
  34. 矢部昭治

    ○矢部説明員 具体的な点も踏まえて捜査中ということでございまして、なお現在では検挙に至らず、そういう意味で申し上げられる段階ではございませんが、今後先生の御指摘趣旨も十分に踏まえまして、さらに鋭意そういった面で進めてまいりたい、かように思います。
  35. 吉原米治

    吉原委員 時間がたちますので、先を急ぎますが、結局運輸省としては運転代行会という、これは五十四年の調査でも全国で五百六十業者あるというような、もう運転代行会というのが既成の事実になってしまって、自由業だから何をやってもいいというようなものの、この種の事業というのはそれなりの条件を整えた業者でないと、ついそこら辺の、運転ができるから五人でも十人でも寄ってたかって適当にやるというしろものじゃないと思うので、これは私は後ほど質問しようと思っておるのですが、ハイタク事業の自由化の方向といいますか、許認可制はもう要らない、全く野放しにしてしまう、そういう先取りではないかという気もせぬでもない。この運転代行会なるものは旅客を運ぶ業者としては一体適当な条件を具備しておるものなのかどうなのか、実態はわからぬけれども何やらそれらしきものがあるという認識なのか。それにしても全国で五百六十の事業者があるというのだから、かなり把握をなさっていらっしゃると思うのですけれども、これは通常言うタクシー業者、少なくともそれをもって商売をするという、そういう資格を持った人の集まりなのかどうなのか、ここら辺はよく吟味なさっていらっしゃるのかどうか、そこら辺をちょっとお尋ねしておきます。
  36. 飯島篤

    飯島政府委員 運転代行業を本来のあり方でやっている場合は道路運送法には抵触しないわけでございます。したがって、私ども単独ではなかなか実態をつかみにくいのが実情でございますが、先ほど申し上げた数字は、各陸運局が警察とかタクシー事業者等の協力を得まして現在までに把握している数字でございます。  それで、さっき申し落としましたが、こういった事業者が道路運送法に違反しているような形で違法行為をやっている場合につきましては、現在のところ十一件、十六両について車両の停止処分を行っている状況でございます。なお、こういった傾向に対しまして、こういった需要そのものがある場合がありますので、タクシー事業者が積極的にこういう代行業を経営するということも違反防止の一つの方法ではないかと考えられるわけですが、そういった形でタクシー事業者が運転代行業務を行っておりますケースが二百四十九事業者ございます。
  37. 吉原米治

    吉原委員 実態を必ずしも正しく把握されてないようでございますが、これは出先の陸運事務所の数字による、あるいは把握によるものだ、こう局長おっしゃいますけれども、それでは余りにも運輸省自動車局長としての主体性がなさ過ぎると思うんですね。いま私が言っているように、きちっとした条件を具備したハイタク業者がやれば一番安心でいいのですけれども、そういうものでない業者と目される——まあ自由業だから何をやってもいいという世の中とは言いながら、この種の問題は、先ほど申し上げましたようにそれなりの条件を具備していないと、私はもう交通輸送秩序というのはむちゃくちゃになってしまうと思うんですね。だからそれをずっとうがって考えていくと、ハイタクというものを将来自由化してしまうという方向に行くのではないかとさえ心配せざるを得ない。だから、もっとこの運転代行会なるものの実情をひとつ十分調査なさって、本当に旅客輸送業者、あるいは貨物も同様にございますが、北海道から各県、それぞれ業者の数も調べた資料がございますけれども、ちょっとそれぞれ出先でひとつチェックをなさっていただきたい。本当に輸送業者として適格性があるのかないのか、ひとつ早急に実態調査をしてほしいと思いますが、いかがですか。
  38. 飯島篤

    飯島政府委員 引き続き先生指摘のとおり実態調査して、必要な措置をとっていきたいというふうに考えております。
  39. 吉原米治

    吉原委員 具体的な例を挙げて実はタクシーの最近の違法行為——実に許認可制が根底から崩されておる、まさに無法地帯だと私は言いたいような感じがするのですが、一見都市部ではなかなか気がつかない、離島、辺地へ行けば行くほどそういう現状になっておるということがいつまでも放置されてしかるべき問題ではないと私は思います。そういう意味で、抽象的なお話を申し上げてもお答えのしようがないと思いましたから、私はあえて細かい問題のようでございましたが具体例を挙げて、今後の違法行為取り締まりについてはひとつそれなりの対応策を練っていただいて、現地陸運局あるいは陸運事務所にひとつ強い行政指導を要請しておきます。  それから、先ほどからたびたび言葉に出しておりますが、仄聞をいたしますと、行管庁あるいは公取を初めとして、運輸省までもという表現が使ってございますが、タクシーの許認可制度の見直しを進めていこう、こういうふうに実は承っておりますが、運輸省は一体どういうお考えを持っていらっしゃるのか。また、きょうは行管庁、公取の皆さんにそれぞれお越しいただいておりますから、まずこの考え方を明らかにしていただきたい。一体どういった発想のもとでハイタク事業の許認可の見直し、自由化という発想が出てくるのか。先ほどから違法行為具体例を申し上げておりますが、一体この種の仕事というのは全く自由業でしかるべきものなのかどうなのか、どういう基本的な考え方でこの自由化という表現が使われてくることになったのかどうなのか、まず最初運輸省、行管庁、公取からそれぞれ考え方を述べていただきたい。
  40. 飯島篤

    飯島政府委員 最近行政管理庁あるいは公正取引委員会の方でいろいろ御検討になっていることにつきましては、それぞれお答えがあると思いますが、要するに経済活動に対しましていろいろな規制が、行政の不必要な介入のケースがあるのではないかというようなことが最近許認可制度の見直しということで問題になっているのだと考えられます。  それはそれといたしまして、私どもがタクシー事業についてどういう考えを持っているかというお話でございますが、鉄道とかバスの輸送は一定の路線におきまして大量かつ定型的な輸送サービスを提供するというものであるのに対しまして、タクシーの場合は鉄道やバスによりがたいものに対しましてドア・ツー・ドアによって機動的なきめの細かな輸送サービスを提供する個別輸送を担当する機関あるいは面の輸送を担当する機関であるというふうに考えておりまして、それなりに公共的な輸送の担い手であるというふうに考えております。  こういったタクシー事業につきましては、不特定多数の一般公衆が利用するものでございますので、サービスの提供に当たりまして安全性が十分確保されるべきものであるとまず考えます。第二点として、国民生活といいますか市民生活と深いかかわり合いを持っているものでございますので、運賃の決定が公正になされるべきものであろう。また第三点といたしまして、安定かつ継続的なサービスの提供が確保されることが必要であるというふうに考えられます。したがいまして、現行法でも輸送の引き受け義務とか差別取り扱いの禁止等の規定があるわけでございます。  したがいまして、現在の免許制なり運賃認可制等の規制につきましては十分意義のあるものと考えており、自由化を図ることについては現在のところ適当ではないというふうに考えております。
  41. 吉原米治

    吉原委員 ちょっと行管庁と公取からお答えがある前に、端的に申し上げて、私はたまたま表現に食いつくわけじゃないけれども、いま局長運輸省としては自由化というものは現在のところというふうな表現を使われましたけれども、何か現在のところということになると将来自由化の方向を出してもいいような受けとめ方もしますが、いまあなたははっきり前段に面の輸送を担当する一口に言って大衆の足だ、つまり公共性は十分ある事業だから自由化なんてとんでもない話だ、こういうことで受けとめてよろしゅうございますか。
  42. 飯島篤

    飯島政府委員 先生のおっしゃるとおりでありまして、免許制なり各種の監督の規定はこの事業についてはどうしても必要であるという認識でございます。ただ、運賃につきましては若干議論がいろいろあるようでございますので、私どもとしては、現在のところと言ったのは主として運賃問題についてちょっと申し上げたところでございますが、これまたいまの制度が一番実情に合っているのではないかと思っております。
  43. 厚谷襄児

    厚谷説明員 お答え申し上げます。  現在、公正取引委員会ではわが国の政府規制の現状につきまして、その規制の根拠となっております約百七十ほどの法律に基づいてそれらがどのようになっておるのかということの概括的な検討を行っているところでございます。したがいまして、先生が御質問されておりますハイヤー、タクシーというような具体的なものをどのようにするかとか、そのようなことについてはまだ何も決めておるわけではございません。私どもとしましては、本件は対象の範囲も非常に広うございますし、その規制の目的、態様その他が非常に多様でございます。そのようなことでございますので、中長期にわたってじっくり検討すべき問題であるというふうに考えております。  以上でございます。
  44. 吉原米治

    吉原委員 古い表現で言いますと、少なくとも火のないところから煙は出ないと言うのだが、マスコミも関係業界もこのハイタクの自由化という問題が最近かなり課題になっておるのです。その根源というのは行管庁であり公取だと。運輸省はいま代表して自動車局長からそういう必要性というか認めないという運輸省の見解が明らかになったんですからこれはいいのですが、あとは行管庁と公取の取り組む姿勢がそういう反響を呼んでおるんだろうと私は思う。(「休憩だ」「暫時休憩」と呼ぶ者あり)欠席が多いようでございますから休憩という声も出ておりますが、どうですか委員長、休憩しますか。
  45. 古屋亨

    古屋委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  46. 古屋亨

    古屋委員長 速記を始めて。吉原君。
  47. 吉原米治

    吉原委員 いま公取の調整課長さん、まだ何も決めてない、中長期にわたって検討したいと。私は結論が出ておるとは申し上げませんよ。その中長期にわたって検討するというその検討の方向といいますか考え方といいますか構想というか、そういうものをお尋ねしておるんですよ。あなたの頭の中に、構想の中に、ハイタクというのはもう中長期にわたって検討して自由化の方向を目指すべきだ、こう考えていらっしゃるのかどうなのか、その点だけお答え願いたい。
  48. 厚谷襄児

    厚谷説明員 先ほど申し上げましたように、現在検討しておりますのは概括的な検討でございまして、具体的にどのように進めてまいるか、あるいはどのような分野について見直しをしているかということはいろいろと公正取引委員会の方で検討しておりますが、現在どのようにして進めていくかというような問題としてはまだ決定していないところでございます。  それで、概括的なことから申しまして、私どもが取り組んでおります許認可制度の見直しという問題は、許認可制が導入されました当時とそれから今日との、経済的、社会的な情勢が大きく変化しておるのではないか、その実態はどのようになっておるのかというようなこと、それでなおそのような制度が必要なのか、あるいは緩和すること、現在の情勢に適合したように改めることができるかというような検討をするということでございます。
  49. 吉原米治

    吉原委員 どうもわかったようなわからぬような答弁なんですが、少なくとも五十五年度予算では、調査費が五百数十万円ついておる。そこで、何でも頭の中が空っぽで検討なさるわけじゃないのでしょうから、調整課長、あなたは、ハイタクの事業というものは自由化でしかるべきものだ、そういうふうにお考えですか。
  50. 厚谷襄児

    厚谷説明員 ただいま私の意見を求められたのでございますが、何分にも私どもの行政組織としましては、委員会自体でお決めいただかなければ、私としての意見というようなものは申し上げられないことでございますし、またタクシーあるいはハイヤー業をどうするかというようなこと、その方向はどうするかということ、それは何と申しましても実態を十分に把握して、責任ある御回答でなければ、これはかえって先生にまことに失礼に当たるのではないかと思いますので、ひとつこの辺で御勘弁いただきたいと思います。
  51. 吉原米治

    吉原委員 きょうは、行管庁がどうも手違いで来ていらっしゃらないようでございますから、調整課長にひとつ強く申し上げておきたいのですが、この種の事業が自由業になってしまうということになりますと、いまいみじくも運輸省自動車局長がおっしゃったように、交通輸送秩序というものはもう完全に乱れてしまって、安全輸送というのはとうてい期待ができない、そういう事態になることは明らかでございますので、少なくともいまちまたで流れておりますハイタク事業の自由化、そういう問題は、関係業界に不安を与えないような行政指導をひとつしてほしい、このことを強く要請をして、最後の質問に入ります。  最近、特にLPGの極度な値上がりに伴いまして、タクシー業界はもうそのほとんどが倒産寸前、こう言っても言い過ぎではないと思います。そうした状況下で、一体タクシー業の公共性をどう守っていくのか、そういう観点から経営の負担を軽減さして、本当に大衆の足として公共輸送機関としての使命を全うさせるために、私は、いまから申し上げます数点にわたって関係省庁は格別の配慮をなさるべきじゃないか、こう思って実はお尋ねするわけです。  その一つは、税の減免措置。物品税、事業所税、石油ガス税、揮発油税、重量税、取引税、これらで一台のタクシーが一年間約四十万円相当の負担をしておる、そういう実情でございますから、税の減免措置については、LPGの値上がり即運賃値上げということで、利用者の方にしわ寄せをするというふうなやり方でなしに、それを軽減をするという方向で、いま申し上げました諸税の減免措置をひとつ講ずべきじゃないかと思います。これに対して大蔵省お答え願いたいのです。  続いて、自賠責の保険料。これは地域別に保険料率が決められておるようでございますが、現実にハイタク事業に携わっておる運転手にいろいろ聞いてみますと、自家用車と営業車の事故を起こす割合——少なくともわっぱを持って生活をしておる職業運転手ですから、そういう意味では、無事故というのは当然身についておるわけでございますが、私は資料がないのであえて申し上げるのですが、一体マイカーの起こす事故、営業車が起こす事故、この事故の割合というのはどっちが多いのか。マイカーの方が多いような気がしますが、さりとて、走行キロは営業車の方がよけい走るわけでございますから、事故を起こす機会が多いようにも思いますが、警察庁の方はどういう事故分析をなさっていらっしゃるのか。この点については警察庁からお答え願いたい。  それから、いま俗に福祉タクシーというものが、全国で三十二の道府県で実は実施されておるようでございます。つまり、各自治体が身障者に対して割引券といいますか、利用券というものを発行して、一回に基本料金程度各関係自治体が負担をしておるようでございますが、これは単に関係自治体が福祉行政の一環としておやりになっておって、大変結構なことでございますと政府は傍観をしておる立場なのかどうなのか。私は、少なくとも福祉行政、福祉政策の一環として、国がこの種の問題についてはひとつきちっと制度化する、単に自治体負担に任しておかずに、ひとつ制度として、その自治体がかぶっておる負担を国がかわって補てんをすべきだ、たとえば交付税で補てんするとか、特別交付税で穴埋めをするとか、何らかの配慮をされるべきじゃないかと思うわけでございますが、その点については、きょうは自治省お見えになっていただいておりますから、自治省の方からお答え願いたい。以上、順にひとつお答え願いたいと思います。
  52. 大山綱明

    ○大山説明員 お答え申し上げます。  税の問題につきまして、タクシーに種々の税がかかっておるが、それを減免してはどうかというお話でございます。確かにタクシー業界、大変厳しい環境にあるということは私どもも理解はいたすものでございますが、税には税の、課税の趣旨あるいは性格というものがございます。たとえば揮発油税でございますと、これは道路の特定財源とされております。道路を走ることによる便益の享受、それに対する負担というような意味で課税をしておるわけでございますが、そういったような課税の趣旨からいたしまして、タクシーも道路を走行いたします。そういったことから、これの減免ということはなかなかむずかしいところでございます。同様に物品税につきましても、これは高価な便益品あるいは奢侈品といったようなことが課税の趣旨でございますが、そういった趣旨から見て、タクシーのみについて減免措置を講ずるということは困難なところでございます。  なお、タクシーが一番多く用います石油ガスでございますが、これにつきましては、揮発油税との権衡から昭和四十一年に創設をされまして、そこで揮発油税とのバランスでの税率が設定されておるわけでございます。一方、揮発油税につきましては、その後四十九年、五十一年、五十三年と、三回にわたりまして増税措置が講ぜられ、これが道路財源となっておるところでございますけれども、石油ガス税につきましては創設のままの水準で推移いたしております。これは種々の配慮からそうしておるところでございますが、さらにこれを下げるというわけには税の性格上なかなかまいらないところでございます。  重量税のお話もございましたが、重量税もやはり車が道路を走行することに伴う社会的費用に着目しての課税というような趣旨でございます。  繰り返して申すようでございますが、税にはそれぞれ課税の趣旨がございまして、なかなか御意見のとおり措置いたすことは困難であるということでございます。
  53. 矢部昭治

    ○矢部説明員 お尋ねの第一当事者の自家用、営業用別の交通事故の発生件数でございますが、五十四年につきましては、全事故件数が四十七万一千五百七十三件でございます。この中で自家用が三十五万五千八百三十四件で、営業用が三万九千二百三十二件でございます。したがいまして、自家用と営業用の比率は、自家用の七五.五%に対しまして、営業用が八・三%というような状況でございます。
  54. 津田正

    ○津田説明員 福祉タクシーに対する考え方でございますが、御承知のとおり身体障害者の通院、あるいは社会参加のための交通手段の確保につきましては現在各地方団体では、国の制度によるものではなくて種々の単独施策を工夫して実施しておるわけでございまして、御指摘の施策もこの一環であると考えられますし、またそのほか私ども承知しておるのでは、たとえば自動車の改造費に対する助成を出すことであるとかいろいろな形態があるわけでございます。したがいまして、このような地方団体独自の政策的見地から多種多様にわたってやっておりますものにつきまして、交付税算定上個々に算入の対象とすることはむずかしい。しかし、これも従前から私ども配慮しておるわけでございますが、総体としましての地方団体の単独の福祉事業の財源につきましては配慮してしているところでございますし、また今後につきましても充実に努めてまいりたい、かように存じております。
  55. 吉原米治

    吉原委員 若干中断をしておりますから、ちょっと時間をオーバーさせてもらいますが、大蔵省のいまの御答弁ですが、少なくとも公的な輸送機関を充実強化をしていかなければならぬ、大臣の所信表明でも言っておられるのです。私的な交通手段から公的な輸送機関に利用者を誘導する、そういう施策が必要だ、そういうことをおっしゃっておるのです。こういった公的輸送機関が、まさに企業努力ではとうてい及ばない外的要因、つまりタクシーで言いますとLPGの値上がりによってことしの後半から倒産企業が続出するだろう、そういうことが言われておる今日であるだけに、こういった税の減免によって企業の負担をある程度軽減してやることによって輸送機関を確保するといいますか、私はそういう観点で税の減免を主張しておるのでございます。単に他の業種と比較して云々という平面的なとらまえ方だけでなくて、今後ひとつタクシー業界に対する税の減免についても、少なくともバストラックには非課税となっておる事業所税、こういうものにつきましても、あるいは物品税なるもの、ぜいたく品とでも考えていらっしゃるのかどうか知りませんけれども、こういうものについてはひとつ格別の配慮を強くお願いをいたしておきます。  それから、いま警察庁の方の事故の比率も出していただきましたが、私が考えていたように、圧倒的に多いのはやはり自家用車。少なくともプロフェッショナルである連中がそう事故を起こすものじゃないと確信をしておりましたけれども、案の定、件数の割合からいきましても圧倒的にマイカーの方が多い。にもかかわらず保険の料率は同率になっておる。ここらもやはり見直しをすべき点があるのじゃなかろうか。きょうは保険の方の方はいらっしゃらないが、自動車局長からその点お答えを願いたい。  それから自治省の、交付税で補てんができないというふうなことでございましたが、この種の事業は本来政府がやらなければならぬ課題だと私は思います。恐らく大きな金額じゃないと思いますね。そうでなくても苦しい地方自治体の財政ですから、そのぐらいなことはひとつ政府でかわって負担をしてやる、福祉を主張される政府・自民党としてはそのくらいおやりになって結構だと私は思うのですが、この点についても再度お答えを願いたい。
  56. 大山綱明

    ○大山説明員 お答え申し上げます。  税の問題でございますが、いろいろな税が自動車にはかかっているわけでございます。たとえば揮発油税とか石油ガス税などでございますと、先ほど申し上げましたような課税の趣旨から、実は消防自動車から救急車まで全部その消費するものにもかかっているというような状況でございます。  物品税につきまして特に御指摘がございました。奢侈と考えているわけではございませんが、高額な便益品については課税するというのが物品税の課税趣旨でございます。やはりタクシーにはドア・ツー・ドア、そういう便益性でほかの大量輸送機関でございますとかトラックとは違った面があるということは否定できない、これが課税の趣旨でございます。そういったことから課税をいたしておりますので、税の面で何か措置せよということを言われましても、再度繰り返しになりますが、なかなかできにくいところでございます。
  57. 飯島篤

    飯島政府委員 自賠責保険についてお答えいたします。  自賠責保険の保険料率と申しますのは、自動車の車体の大きさ、形状、使用目的、構造装置等から、同じ程度の事故の危険度にある車種をグループ化いたしまして、そのグループの保険事故率に見合った料率を決めているものでございます。  ハイヤー、タクシーの場合には、自家用自動車と比較いたしますと、自家用自動車の方がその台数が非常に多うございます。したがいまして、先ほどのように事故の件数は営業用の方が少なくなっているのでございますけれども、御案内のとおり、タクシーは一台当たりの走行実績が非常に多いものでございますから、一万台当たりの事故件数を見ますと、自家用乗用車に比べまして六・二倍の事故率になっております。したがいまして、同一の保険期間の中での事故率が自家用車に比べて大きいために保険料率もかなり高い水準に設定されておる次第でございます。現在事故率の最も多いと言われます大阪、京都、横浜、神戸等のタクシーの料率は、事故率の倍数は六・二倍でございますが、料率の方は五・八倍におさめておるのであります。  こういった公共性を持っている事業であるから保険料率を低めてもいいではないかということでございますが、保険の場合は公平に負担してもらうというのが筋でございます。したがって、バスであろうがトラックであろうがハイヤー、タクシーであろうが、公共性の見地から減免をいたしますとほかの車両に負担がいくということになりますので、保険制度の本旨から非常に問題があるわけでございます。
  58. 津田正

    ○津田説明員 単独の福祉事業の財源としましては、地方財政計画上、本年度におきましても総額で一兆三千億ぐらい計上しておるわけでございます。個々の団体におきましてどういうような単独施策をするかは個々の団体でお考えいただきたい。全体の財源措置としてはそのような巨額のものを措置しておるわけでございます。
  59. 吉原米治

    吉原委員 委員長、御承知のように多少時間が延びましたけれども、これは私の責任ではない。離席する人が多い事態になりましたので、時間が延長したことについてはお断りをさせていただきます。
  60. 古屋亨

    古屋委員長 関晴正君。
  61. 関晴正

    ○関委員 きょうは一時間たっぷり、むつ小川原港について質問してみたい、こう思います。  昭和四十四年に始まったむつ小川原港の開発というのは、言うなれば日本列島改造論が出始めて、そうして日本の高度経済成長をどう図るかという、その一環として出てきたものだ、こう思っております。このむつ小川原開発計画が進むものか進まぬものかということについては、さきの国土庁長官にも質問したところでありますけれども、その際の答弁の中には、この開発計画というものの先行き、見通しはゼロではないという答弁があったわけであります。ゼロではないということはゼロに近いということでもあるわけであります。  一昨日、石油審議会の方で、将来のわが国の原油の輸入量計画、またこれに備えるところの製油の計画、そういうものが発表されておりましたけれども、それによりましても昭和五十九年度でせいぜい二十二万五千バレル、こういう見通しを持っておるようであります。その中には青森県の計画なんというものは全く入っておりません。六十年度、六十一年度、六十五年度、そういう年度に向かって見通しを立てられた場合になお石油精製の個所が必要になるであろう、こういう予測がつくものであるのか、つかないものであるのか、これを通産省から出ておられる方にひとつお答えをいただきたいと思います。
  62. 加藤昭六

    加藤説明員 お答え申し上げます。  一昨日、石油審議会におきまして、昭和五十五年から五十九年までに至る石油供給計画が策定されました。それによりますと、昭和五十九年度におきましては、先生指摘のとおり約二十万B/Dの増設余力が生ずるということで、それに見合った設備のそれぞれの処置がなされたところでございます。その中にはむつ小川原の計画は入っておりませんです。  そこで、先生御質問のその後の計画でございますが、昭和六十年以降につきましては、今回の供給計画には当然入っておりませんけれども、御案内のとおりサミットのシーリングが六百三十万B/Dとなっておりまして、こうしたシーリングなどを見て今後どのようなことになるか、なかなか予測はむずかしゅうございますが、ちなみに、たとえば石炭液化油あるいはオイルサンド油、タールサンド油等の石油以外の新しい燃料油などの開発を別途進めておりますし、そうしたものの開発がうまく進めばそれらのための処理設備の建設が必要になることも考えられます。また一方では、設備のスクラップ・アンド・ビルドなどが今後長期的に進むとすれば、そうした面からの可能性もないとは言えないということでございます。
  63. 関晴正

    ○関委員 そうしますと、これはサミットの会議の結果もあることですから、石油精製にかかわる今後の施設の拡張計画というものは一昨日の計画をもって恐らく最後のものとなるであろう、こう言われておりますが、おおむねそのように理解してよろしゅうございますか。
  64. 加藤昭六

    加藤説明員 ただいま申し上げましたように、五十九年までの供給計画におきましてはほぼ二十万B/Dの増設が必要であるということでございまして、六十年以降につきましては供給計画等の枠外でございますし、まだ確たる見通しを述べるわけにはまいりません。
  65. 関晴正

    ○関委員 明確にされたことは、少なくともむつ小川原開発計画の中にうたわれている百万バレルの石油精製、当面そのうちの五十万バレルの石油精製、その五十万バレルを二つに分けて、二十万バレルと三十万バレルに分けてとにかく取り組もう、こういうような計画は六十年度や六十五年度において実現するということはほとんど不可能である、こう見ていいと思うわけであります。このことを知らずして、このことをなおあり得るものとして事を進めるのと進めないのとでは大きな違いが出てくると思いますので、運輸省においてもまず第一にこの点についてはしかと覚えていただきたい、こう思うわけであります。  その次に、このむつ小川原開発計画というものを閣議口頭了解で定めたのが五十二年の八月。この五十二年の八月の段階で少なくとも十三省庁会議のお歴々が集まってこれを認めたわけなんでありますけれども、この場所というのは三沢の米軍の基地のある場所であり、しかもまた海上演習、天ヶ森射爆場、射撃、爆撃が絶えず行われる場所であるわけであります。そういう危険水域に、言うなればここに仮に一点係留ブイバースができたとすれば絶えずタンカーが航行しなければならなくなる。射撃、爆撃とタンカーの航行というものは両立しないものだと私は思うのであります。そういう点で、この審議に当たって防衛庁はいかなる意見をここに出したものか、伺っておきたいと思います。防衛庁あるいは施設庁、どなたでも結構であります。
  66. 大場昭

    ○大場説明員 先生御案内のとおり三沢対地射爆撃場におきましては射爆撃訓練のために訓練空域を設定しておりますが、運輸省がむつ小川原開発計画を策定するに際しまして大型タンカーの航路をこの訓練空域と競合しないように決定していただいておりますので、危険性はないというふうに私ども考えております。
  67. 関晴正

    ○関委員 どうして危険性がないということになるのですか。運輸省が言ったからですか。危険水域の中を通らないということですか。遠回りして通るということですか。お答えいただきます。
  68. 大場昭

    ○大場説明員 制限水域はむつ小川原開発計画の水域に隣接しておりますが、危険はあくまでも制限水域の中に限られておりまして、その外に危険を及ぼすことはあり得ないというふうに私ども考えております。
  69. 関晴正

    ○関委員 これは防衛庁としてのお答えとしてはきわめて不十分だと私は思うわけです。この航行を妨げるような行為を今後しないというなら別ですよ。これが実現すれば危険を防ぐために射撃、爆撃の訓練はしない、撤去する、こういうことになるのですか。
  70. 大場昭

    ○大場説明員 在日米軍による射爆撃訓練につきましては、日米安全保障条約の義務を遂行する上におきましてこれは必要な訓練でございます。ただ、その訓練を行うに際しましては、制限水域を設けましてその水域外に危険が及ぶことはないというふうな措置をとっております。そうしてまた、この訓練をする必要上、訓練場、制限水域と抵触しないように航路を設定されるように運輸省の方で措置されているものと承知しております。
  71. 関晴正

    ○関委員 タンカーは空から来るわけじゃない。危険水域の中を通ってこないことには来ることができない。危険水域を縮小するつもりですか。それとも危険水域の外を回るとすればどういうかっこうで外を回ることになるのか、御存じですか。その点についてもひとつお答えいただきたいし、私どもの県の中では射爆場とこの港湾とは両立しないものなり、したがっていずれか一方は退けられなければならないであろう、こう思っているわけです。その場合開発が強行されれば射爆場は他に移ってもらうしかないであろう、こう見ているわけですが、両立させてこれを位置づけている、こういうお考えですか。
  72. 大場昭

    ○大場説明員 大型タンカーの航路と訓練空域と競合しないように決定していただいているというふうに私ども承知しております。
  73. 関晴正

    ○関委員 同じことを問答してもいけませんので、この点については防衛庁としても今後よく検討して、そうして競合しないということは言葉の上では言えるけれども実際の上ではあり得るのかどうか、その点についてもう少しまともにぶつかっていただきたい、希望しておきます。  その次には、水産庁の方がおいでになっていると思いますが、このむつ小川原開発地域の沖合いというものは、日本の下北半島の尻屋のみさきから私どもの青森県の南の八戸の鮫のみさきまで、わが日本における有数なる漁場であります。この漁場がこうした危険な油のタンカーの出入りによって油漏れが発生した場合には、アモコ・カジス号以上の被害が南流しあるいは北流するであろうというような恐るべき事態が惹起するわけであります。その可能性はまた十分にある。そういうような点について水産庁はあの場所にそうしたものができることについてどのような検討をされ、そうしてどのような御判断をされたものであるのか。特に二百海里時代を迎えて相当にお苦しみになったのではないだろうかと思いますので、その点についてひとつ判断をした理由とその判断の意見をいただきたいと思います。
  74. 伊賀原弥一郎

    ○伊賀原説明員 水産庁といたしましては、御承知のように漁業を振興し漁業者を保護する立場でございますから、いろいろやられます開発事業等につきましては、基本的に国民経済あるいは国民生活の向上上非常に重要なものであるという認識に立ちながら、かつ漁業に関しましては基本的に漁業に関する影響というのを極力小さくするような方向でやっていただくということと、それからもう一点は、関係する漁業者なりに十分な説明がされ、かつ納得の上でやっていただくという方針でやっているわけでございます。  油関係につきましては、先生からお話がありましたように大きな船につきましてはやはり相当な事故の過去の例もございます。ということから、その扱い等につきましてはきわめて意を用いているところでございます。本件につきまして、いろいろな点につきましては、各計画の段階でいろいろ御相談がありましたりなんかしております。ですが、お話がありますようなシーバースなり入出港に伴いますいろいろな事故の問題等につきましては、やはり事業を所管されます運輸省におかれまして十分な配慮なり御指導をいただくというのが基本でございます。そういう点から、機会をとらまえまして常に事故がないような万全の策を講じていただくよう要請をしてきている次第でございます。
  75. 関晴正

    ○関委員 だれも事故を求め望む者はありません。しかしながら、事故が発生した場合にそれを防御する方法がある場合はある程度許容できるでありましょう。しかしアモコ・カジス号事件が示している以上の事件があの太平洋において発生する可能性はある。そうなった場合に、なおこれを防御するというよりも、何といいましょうか、収拾する道があると御判断されましたかどうか、この点だけひとつ伺っておきます。
  76. 伊賀原弥一郎

    ○伊賀原説明員 先ほどお話を申し上げましたように、事故が絶対起こらないような万全の措置をとっていただくよう要請しておるところでございます。
  77. 関晴正

    ○関委員 水産庁としてはその程度のことしか、参画もしておらなかったろうし、運輸省任せであったろうということがよくわかるわけであります。  そこで私は、今度は本論に入って運輸省の方に質問したいと思います。  さきの委員会においても私は質問いたしたのですが、このむつ小川原港というものが港湾審議会において論じられるときに、港湾審議会は一体どんな論議をされたのか、そういう意味ではぜひ私は議事録を提示されたい、こう申し上げましたが、一向に議事録を持ってくる気配がありません。なお議事録をお見せしないつもりですか、それとももうここまでくれば見せるのが至当だろう、こうお思いになって提示する予定ですか、伺っておきます。
  78. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 お答え申し上げます。  先生からいろいろその点につきましては御注文を私直接伺ってきたわけでございますけれども、そのときにお答え申しましたとおりでございまして、議事録そのものをお届けするということは避けさしていただきたいという気持ちは変わっておりません。なお、先生の御関心の向きにつきまして、私どもが当時の模様というものをできるだけ御説明をしたいということで、さしていただいてきているつもりでおります。
  79. 関晴正

    ○関委員 港湾局長は、さきの委員会のときにも言っておったのですが、この会議は非公開の会議だからそういうものを発表するわけにはいかないのだ、こういう理由づけをしておられました。しかし、運輸審議会というのは法律に基づいてつくられておるものなんです。そうして、具申された意見というものについて運輸省の中だけで知っておけばいいというものではないと私は思う。決して運輸審議会というのはあなたに所属する私的機関じゃない。公的機関です。協議機関だというものでもありません。サロンでもありません。そういう意味では責任ある論議がなされて、そうしてわが国の港湾計画についての意見が寄せられる場所です。その意見の寄せられた内容をわれわれ運輸委員がどうしてもこれは把握することが必要であると思う。それを見せないということは理が通らないと思う。この点についてはひとつ、局長は慣習だといっていままで来ただろうと思うけれども、悪しき慣習はこの際さらりと捨てて、そうして国民とともに港をつくるんだという構えに立てば、そういうものは当然われわれ議員にも見せるべきものだ、こう思いますので、これは運輸大臣大臣からひとつ答えてくれなければおさまらないと思いますので、お答えをいただきたいと思います。
  80. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 運輸審議会の運営は会長にお任せして、会長の判断で運営をされておるものでございます。したがいまして、その内容の公開その他内容の説明等については会長の意思に任せるべきだと存じますので、会長とよく相談をしてみたいと思います。
  81. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 大変申しわけありませんけれども、ただいま関先生及びうちの大臣から申し上げました中で、運輸審議会という言葉が使われておりましたが、両方とも港湾審議会の間違いでございますので……。
  82. 関晴正

    ○関委員 運輸審議会もあるわけですからね。私は、そういうお答えをするなら、これは運輸審議会にも実はかけられるべき大きな問題であったのではないだろうかと思うのです。運輸審議会には何らこの議は諮られなかったものですか、その点ひとつ答えてください。
  83. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 お答え申し上げます。  これは港湾法に基づいておりまして、港湾法で港湾審議会の意見を聞くというふうに明定されているものでございます。
  84. 関晴正

    ○関委員 港湾審議会で審議する内容は私はおおむね技術的なものだろう、こう思うのです。しかし、もっと大きな、日本の港湾行政といいましょうか、港運行政といいましょうか、そういう点から見るというと、歴史的な一点係留ブイバースであるだけに、当然これは運輸審議会においても諮られてしかるべきものではないだろうか、こう思います。しかし、この論を繰り返そうとは思いません。そういう点については、運輸審議会というものもこの問題については十分関心を持っておられなければならないものであるのじゃなかったろうか、こう思います。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕  そこで、大臣の先ほどの答弁です。港湾審議会における議事録というものは会長の許可を得なければならないものだ、こういうような認識に立っておられるようですけれども、私は、これはそういうふうにお考えになる必要はない。会長は責任を持って一つの意見を具申しているでありましょう。また、その審議の内容というのは港湾局が把握してあるわけです。この文書は私文書じゃないのです。秘密文書でもない。われわれが審議する上において必要な文書である、こう求めがあれば、当然それは提出して審議の参考に供すべきものなり。公開云々ということでやたらに大きく広げるというと、また一つの意見も出てくるかもしれません。しかし、私どもの申し上げていることは、審議の模様を的確に把握したい、そういう意味ではそういう審議会における議事録というものはとりたい、こう申し上げているわけです。これを断る理由はないでしょう。会長の許可を受けて大臣が出すなんという性質のものでもない。これは大臣たるもの、もっと偉いのですから、わかった、当然そういう要望があるならばそれは提出してしかるべきものであろう、この辺は地崎運輸大臣、一人でも答えられるところですから、もう一遍答えてください。
  85. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 港湾審議会の審議については、自由に内部的に発言をしてもらうというのが原則でございます。したがって、いままで非公開という立場をとってきたようでございますので、会長にすべて運営あるいは発表の責任をお任せしておりますので、会長とよく相談をしてみたいと思います。
  86. 関晴正

    ○関委員 私はそれで先ほども申し上げたのです。この機関というものはサロンなのか、協議機関なのか、法に基づく厳正なる機関であるのか。これはこれまでも局長は言っていましたよ。自由な発言をしてもらうためには公開をしないでやるのだ。私はそれはいいと思う。しかし、自由な発言といえども、無責任な発言をさせるためにあるものではないでしょう。それらの諸君はみんな権威ある委員でしょう。自分の意見が秘密にされることを好む委員は私はないだろうと思う。それを秘密にしておること自体、運輸行政からいけば、港湾行政からいけば、よくいかないことになるのじゃないでしょうか。何でこれほど求めるものを拒否しなければならないのです。何でそんなにそれを拒否しなければならないのです。知られれば困ることでもおありですか。やってはならないことでもやっているのですか。知らせたくないことでも話し合っているのですか。お答えください。
  87. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 前々から申し上げていることの繰り返しでございますが、先生がおっしゃいましたようなことではもちろんございません。ただ、その中での発言というのは非常に自由にしていただくというのが趣旨であろうと思いますし、議事録というものは、要するにそれを速記にとりましたものでございます。したがいまして、そういう実際のその会議の中におられた方々がその会議の内容を振り返っていただくためのものとして作成されているものだと思いますけれども、これがそういう全体の会議の雰囲気等十分に承知していないところにその文字だけが出歩くということは、どうしても危険を伴うものでございます。そういう意味で公開されていないのではないかと思います。  なお、ちょっと事務的に補足さしていただきますけれども、この審議会の議事の手続、あるいはその他審議会の運営に関する事項は港湾審議会令というものによりまして審議会長にゆだねられているものでございます。そういうような意味で先ほど大臣が審議会会長と相談しなければという趣旨のお答えをしたものだと理解しております。
  88. 関晴正

    ○関委員 私は青森県の港湾審議委員をしましたよ。青森県の港湾審議会は公開ですよ。記者もみんな入っています。そうして自由な発言をします。自由な発言というのは無責任な発言じゃありませんよ。それぞれの委員の信念と経験に照らして発言します。どこから聞かれても、だれに見せてもいい発言をします。知られちゃ困るなんということで発言することはないのだ。しかも、これはただいま申し上げたように法律、法令、それに照らし合わせて任命され、給与をいただき、それぞれの国として守るべきものは守ってお願いしている委員であり、そしてそれが港湾行政なり運輸行政に大きく貢献するわけなんだ。それをあなた一人だけ知っておればいいというお考えですか。われわれ運輸委員は知らぬでもいいというお考えですか。その論議には手を触れるなというお考えですか。そんなことは許されませんよ。私が何度もこの問題を持ってきたのは、民主的な一つ運営からいって、それを秘密にするなんという今日のあり方は正しくないと思っているから言っているのです。よく考えてください。あなたが守る守ると言っても、だれを守るのです。守られていると思ってそれらの諸君は物を言っているのですか。こっそり言っているのですか。ぜひひとつ考えて、わかった、そういうことであれば今後はそういう資料として出すべきものなりと、お名前を出すのがいやだとあくまでもがんばるならば、A、B、Cでも結構ですよ、個人を守りたいというのに熱心であるならば。だれも守ってもらいたいと思っている人はいないでしょう。それでもなおあなた方は私どもにふたをしろと言うのですか。私はあなたの方から出された要綱は読んでいますよ。あの要綱を見てぴんとこない。何とまあこんな要綱と思っておるのです、議事録の要綱。要綱がぴんときていれば、こんな質問しませんよ。赤裸々な会議録が欲しいのです。なおあなたはそれをとめようとするのですか。会長になんて、会長に電話かけて聞いてください、何と言うか。会長は出すなと言っていましたか。お答えください。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕
  89. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 私ども先ほどから申し上げているように推察をしているわけでございますけれども、もちろん会議には公開の方法もありますし非公開の方法もあるわけでございます。それが、実際の個々の問題というものについて最も突っ込んだ意見が交換されて、適当な答申が出るためにどちらの方法を選ぶべきかということを審議会の方でお考えになって、現在まで非公開でやってきているものだと思います。もちろん先生のおっしゃっているような意味で、何と申しますか人には言えないようなことが言われているという性質のものでは全くあるわけではないと思います。  なお、先生には大体の要旨というかっこうで私ども取りまとめてお話しに伺ったところでございますけれども、ただ、もちろんもっと突っ込んで、こういう点についての議論はどういう状態であったかということのお求めがございましたら、またそれに応じましていろいろ御説明をしたいと思います。ただ、先ほど申しましたように全体の雰囲気というものを十分に承知している者が、そういうものをわきまえた上で、たとえば議事録等を引用しながら御説明をするというのが一番いい方法ではないかと思っているわけでございますので、先生が特にどういう点についていま不満足にお思いになっておられますかわかりませんけれども、そういう点よく教えていただきながら、十分にその会議の模様というものを紹介いたしまして御説明に伺わせてかただきたい、こういう考え方につきましては当初から変わっていないわけでございます。
  90. 関晴正

    ○関委員 会長に聞きましたか。
  91. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 特にこの問題について伺っておりません。
  92. 関晴正

    ○関委員 大体そういう姿勢が悪い。何度言っても出そうとしない。会長に伺っておかなければならないというのはきょうの話じゃありませんよ。前にも出た話です。ですから、きょうあたりは会長も出すなと言っておりましたとか、会長は、それはあなた方の方にお任せしますよとか、これくらいの話はしてしかるべきだったと思うのです。何にもしていない。何にもしていないで、あなたの独断で出さないでおるということなんですから、私は、こういうことは会長云々じゃなくて、当然に出してしかるべきもの。しかも求めているのです。求めもしないものを広げて見てくれなんという広告まではしなくてもいいから、必要がありと認めて出していただきたいと言ったら素直に出したらいいじゃないですか。それが国の行政の基本姿勢じゃないですか。国民に奉仕するという願いに立って行政は行われるのでしょう。あなたのものじゃないのですよ。そういうことを考えたら、何がこのことがむずかしいのです。イロハのイですよ。そういう点では、むずかしくしないで考えていただいて、あすにでも出すようにしてください。希望しておきます。お答えいただきます。
  93. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 先ほど大臣からお答えをいたしました中にも入っていることでございますし、私ども事務局といたしましても会長とよく御相談をしたいというふうに考えます。
  94. 関晴正

    ○関委員 とにかく、こんな子供みたいな論議を国会において三十分もしなければならぬものですから、本当に残念です。とにかく国会は開けた場所にしなければいけませんから、開けた場所にしておくことが災いを防ぐことになるのです。そういう点の原則に立って物事を進めるように考えておいてください。  それでは、きょうはいろいろと質問をしてまいりたいと思います。  まず第一に、この港湾をつくるときに当たって、港湾は防波堤の外に、当初は二千メートルの外に一点係留ブイバースを置く予定であった。それが二千メートルから二百メートルばかり短くして千八百メートルのところに位置づけたようでありますが、この理由は何ですか。
  95. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 ちょっといまおっしゃいました二千と千八百という数字の意味が理解できない面がございますので、恐れ入りますが、もう少し教えていただきたいと思います。
  96. 関晴正

    ○関委員 東側に防波堤をつくりますね。その防波堤の外から少なくとも船の大きさの五倍ぐらい、五Lぐらいの距離は保ってしかるべきだろうという意見があるわけです。だが、ここにつくられたものは——初めはそういうことで進んだはずです。あなた方の研究の発表物を見れば書いてあります。書いてあるのだけれども、二千メートルではどうもまずい、もう二百ぐらい短くしろ、そうして千八百メートルのところにこれを位置づけている。どうしてそういうふうに短くしたのか、それでうまく保たれると思っておるか、こういうことです。
  97. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 申しわけありません。当初の二千ということにつきましては私つまびらかにしておりませんけれども、このブイの位置につきましては、航行の問題その他いろいろなところから検討いたしましてここが最適であるという結論に達しているものでございます。
  98. 関晴正

    ○関委員 こんなでたらめなお答えを——港湾局長だよ、あなた。ただの局長じゃないんだよ。日本の港湾局長。そうしていま、日本にない、世界にない、太平洋に堤防も何もない一点係留ブイパースをここにつくろうとしているのです。その一点係留ブイバースをどこに位置づけるかというのは重要な問題でしょう。やはりどこにつくってもいいというものじゃないのです。そういう点についてなぜ当初の二千メートルから二百メートル減じたかということなんです。ここには重要な理由があるはずです。お答えください。
  99. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 ちょっと繰り返しになるようで恐縮でございますけれども、このブイの位置につきまして、それが操船等に必要な水域というものにつきまして検討されているわけでございます。その結果これでよろしい、もちろん私その二千というような数字につきましてつまびらかでございませんので恐縮でございますけれども、沖になればなるほど水深が深くなるという要素は当然その検討の中に入っていると思います。結果として出てきたものにつきまして必要な水域は確保されているというかっこうのものが出てきているわけでございます。
  100. 関晴正

    ○関委員 昨年の六月一日に公害環境委員会の方で私どもの青森市から出ておる古寺宏君が質問しております。その質問に答えて当時の港湾局の計画課長は、このブイバースの位置は深さ三十メートル、三十万トンのタンカーである、こう言うておるわけでありますが、これは重大な間違いであると私は思うのです。その点についてあのときの答弁は間違っておったということでいま言い直しする意思がありませんか。
  101. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、当時の議事録によりますと、水深三十メーターということを小池説明員が申しておりまして、議事録に載っているわけでございます。なぜ三十メーターというようなことが言われたのか、私ども定かにわかりませんけれども、実際には水深四十五メーターのところでございます。したがいまして、大変申しわけないということをここで謝らせていただきたいと思います。
  102. 関晴正

    ○関委員 実はきょうさきの港湾局計画課長においでいただければと思って申し上げたところ、残念ながらこの方が答弁された後お亡くなりになったということを聞きましたので、大変にこれはお気の毒なことでもありますので、そのことでこれを追及することは私もまた余りいい気持ちもしませんから、この点についてただいまの訂正をもって正しき内容、こう把握しておきたいと思います。  そこで、四十五メートルの水深のところである。あなた方の方の書いた報告書によるというと、深海のところにそういうパイプをつくり、そうして保守管理をするということは、今日の潜水能力からいって四十メートルを超えるだけに至難のことである、こういうことを指摘し、したがって、このブイバースをつくることは困難である、不適地である、こういうところまで極言しております。あなたの方で出した報告書ですよ。これをどう見ております。
  103. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 それは私どもの報告書であることは間違いございません。そして、おおむね先生のおっしゃいましたような記述があることも間違いございません。  これは要するに、この新しいブイの設置ということに関連いたしまして、いろいろな面からでき得る限り調べをしていったわけでございます。そして、ある意味でそれぞれに感じたということを自由に書きまして、それをまとめたという資料でございます。したがいまして、そういう資料というものが、それだけが絶対的なものであるというふうに使うべきものではございませんで、そういうようなことがある、そういう点につきましては十分に慎重に考えなければいけないと私はその報告書を読むものでございます。  なお、その場合に、潜水の問題が特に書かれているはずでございますけれども、この潜水の問題につきましては、それが絶対的な限界であるという性質のものではございませんで、作業の効率というものにかかわってくる問題であるわけでございます。
  104. 関晴正

    ○関委員 少なくともわが国の潜水能力からいって四十メートルを超えることは困難だと言うているでしょう。困難でなくなるとすれば、今後は困難でなくなるという方向をとるのですか。少なくとも四十メートル以上のものは困難だと言っている。不可能とは言っていないかもしれない。そうなるというと、港湾審議会において、こういうようなことが、どう論じたのだろうかと言いたくもなる。  もう一つ、この機会に、そのことに関連して聞いておきます。  いかり地、言うなれば錨泊地ですね、事があった場合にいかりをおろして、そうして休まなければならない、とめなければならない。そういういかり地としてもその場所は不適当な場所だと言っておる。なぜか。深過ぎるからだと言う。三十メートルの深さと四十メートルを超える深さとでは、いかりをおろすことがその効果においてあるものとないものとが出てくる。四十メートル以上の深みの場合にはその効果がないと言っている。ましてこの海は平らな底ではない。急な坂になっておる。これは急坂な海底である。急坂な海底には、いかりをおろして休もうとしても休むことができない。台風が来た、突風が来た、やれ荒れ海が来た、そういう場合に、逃げようとしても、休もうとしても、その場所はいかりをおろせない場所だ、こう言っております。そういう点からいけば、このブイバースというものは、船にとってきわめて危険なバースだということになる。その点については、どのような御吟味をされましたか。
  105. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 まず、潜水の問題につきまして、先ほどよりもう少し詳しくお答えしたいと思います。  先ほど先生がお引きになりましたものによりますと、四十メーター程度が効率的から見て限界に近いということが表現されていたかと思いますけれども、これは一つの見方でございます。しかしながら、たとえば高気圧作業の安全規則というようなものがあるわけでございますけれども、これにおきましても、四十五メーターを超えてあるいは五十メーターを超えたというようなものにつきましての深度というものが予定されているわけでございます。それから、海外の例でございますけれども、同じような一点係留ブイが水深七十メーターを超えるようなところに設置をされて稼働しているという例もあるわけでございます。  なお、別のことでございますけれども、日本潜水協会というところがございます。そこで聞いておりますことは、空気を呼吸して潜水をするというものの限界はほぼ九十メーターぐらいであろう、しかしながら、これは単に潜水が可能だという限界みたいなものであるということで、それでは作業がどこまでできるかと言われると、六十メーターぐらいではないかというようなことを日本潜水協会では言っているわけでございます。  なお、さらに、いま空気を呼吸しての場合でございますけれども、ヘリウム酸素の潜水というようなことをいたしますと、これよりも深いところで安全にかつ効率的に作業をするというようなことでございまして、私どもの直接の関係で申し上げますと、釜石港という港がございますけれども、そこで水深約六十メーターのところで連続六十分間の潜水作業を行ったというような事例もあるわけでございます。  その次に、当該ブイ付近の海底というものが船の停泊に非常に適しているわけではないというような御指摘でございました。もともと私どもの考えておりますことは、こういう巨大な船舶は、たとえば先生のおっしゃいましたような海象条件の荒いときには航行して避難をすると申しますか、そういうのが一般的な形であると思っております。ただ、これは先生に議事録の要旨というようなことでお話に伺いましたときにちょっと申し上げたかと思いますけれども、このブイにつきまして待ち船、待船を及ぼすというようなことはほとんどないと思われるけれども、もしそういうようなことがあった場合に、現在はこのブイの北方にそういうための場所を考えているけれども、もっと海底の傾斜が緩やかな南の方というものについても、審議会の委員の話に対しまして港湾管理者から、南の方の海域についても考えていきたいというような発言もあったわけでございます。なおこの地形、たとえば鹿島港等に比べますと、確かに相当急傾斜のところでございます。海として非常に急傾斜ではございますけれども、実際の絶対値で申しますと、五、六十分の一、つまり五十メーター隔たって水深が一メーター深くなるというような程度の傾斜のことを議論しているわけでございます。
  106. 関晴正

    ○関委員 潜水能力の問題と保守管理上の潜水作業の可能条件の問題とは同じじゃありませんから、そういう意味では常時これが設置されたら保守管理のための潜水の作業が必要になるでしょう。そういうことになると、この場所はきわめて不適当な場所になるのだ、こう言われているわけです。あなたの方のあれにそう書いてあるわけです。そういう意味ではただいまのお答えは、他にもあるからそのお話は当たらないという意味なのか、困難は伴うのだが、決めれば条件を克服してやるつもりであるという意味なのか、そこをちょっと答えてください。
  107. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 先ほど外国での例をちょっと引きましたのは、そういうところで維持管理が安全に行われているという例として申し上げたわけでございます。
  108. 関晴正

    ○関委員 どこですか、外国は。
  109. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 北海でございます。
  110. 関晴正

    ○関委員 北海のどこです。
  111. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 後ほどすぐにお答え申し上げます。  要するに効率性の問題だということを繰り返して申し上げておりますが、といいますことは、同じ精度の保守をするために、たとえば潜水夫が一組でいいものが、作業時間が短いから二組要るというような影響もあるわけでございます。当然保守のために費用がよけいかかるということは予想されるわけでございます。
  112. 関晴正

    ○関委員 実は、私どもの青森県で論議をされるときにも、この例は北海にある、だから太平洋においても何ら差し支えない、この論議が繰り返されました。北海にあるものといまあなたが考えておるものとは同じものではないでしょう。同じものですか。
  113. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 まず、先ほどのお答えが欠けておりました点でございますけれども、エコフィスク・フィールドというところのものでございます。  それから同じものであるかないかというお話でございますけれども、基本的に一点係留ブイであるということにおきまして同じでございます。ただし、今度のむつ小川原のブイが同じ一点係留ブイと申しましてもいろいろな形式は考えられるわけでございまして、それがどの形式で決まるかということは、まだ設計に至っていないわけでございますから、同じ一点係留ブイの中での形式というものは、必ずしも同じになると限らないということは当然のことでございます。
  114. 関晴正

    ○関委員 それは方式が違うでしょう。一点だということは一点だ。しかし、その置き方は違うでしょう。あなたの方はブイ方式だし、向こうは固定方式でしょう。その吟味をどうなされましたか。
  115. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 いま詳細な図面を探しておりますけれども、一点係留ブイである、要するにブイを浮かべて下でそれを受けましてという意味で、基本的に全く同じ形式のものであるということは間違いないと思います。
  116. 関晴正

    ○関委員 ただいまの答弁は間違いありませんか。ブイ式ですか。ブイ式でないはずですよ。固定式のはずですよ。
  117. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 私どもの承知している範囲で全く間違いないはずでございますけれども、先生が特にそうおっしゃいますので、これはさらに調べたいと思います。現在手持ちの資料では間違いないと思っておりますが、なお調べまして先生のところに御報告いたします。
  118. 関晴正

    ○関委員 北海の例もあるのだからいい、こう言うのだけれども、三月の末に北海で大変な事故が起きましたね。北海油田開発におけるあの大事故、百名を超える死者、これは一本の柱ではなくて五本の柱で守っておったものが、そのうちの一本が折れたわけだ。北海でも折れるわけです。危険があるわけです。そこで、北海の海と太平洋の海とどちらが条件が悪いと思っておりますか、同じ条件だと考えておりますか、伺っておきます。
  119. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 海象につきましてはいろいろな物の見方があると思いますけれども、構造物に対する設計条件、いまの波であるとかあるいは風であるとかということにつきまして、私は実際はもちろん知りませんけれども、北海での構造物の設計条件から見ますと、その意味ではこれは私どもがいま考えている場所よりも非常に厳しい条件を使っているなという気はいたします。実際にどうというのはいろいろな面もございましょうし、直接私が行ったわけでもございませんけれども、使用している設計条件という面から限定してお答え申し上げますと、そういうふうに感じております。
  120. 関晴正

    ○関委員 北海と太平洋とでは気象条件、海象条件において大きな差があります。同じ太平洋でもこのむつ小川原海域の沖合いというものは、日本における有数の海難個所であります。海難の最多発地域です。何でここに海難が多いのでしょう。これについてはどういう把握をしておりますか。港湾局長でもよろしいし、海上保安庁長官の方でもよろしい。どちらでもよろしゅうございます。
  121. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 一つには低気圧が急速に通過する地帯に近いということがあると思います。それからもう一つ、恐らく先生の御意識に相当強くあるのではないかとも拝察いたしますけれども、霧が発生しやすいというような面があるかと思います。
  122. 真島健

    ○真島政府委員 先生指摘の海域、これは御指摘のように漁船等の海難が非常に多いところでございますが、原因はいま港湾局長からも申し上げましたガスの問題、さらには、風が相当強い海域である、そのために波も高くなる、こういうことかと思います。
  123. 関晴正

    ○関委員 これはただの場所じゃないのです。私どもが師範学校の生徒のときに寮歌がありました。「北は三潮荒波の」、三つの潮がここに流れてくる。親潮、黒潮、それから津軽海流、日本海からも来る。したがってまた、漁業にとってもよき場所なんだ。したがってまた、霧も発生するのです、暖流と寒流とぶつかるものですから。潮の流れ、また南流、北流です。そういう海難の最も多いこの場所です。何でこんな場所をえり好んでそういうようなものを設置しなければならないのです。海上保安の任務に立つ長官の立場に立てば、この場所というものは容易じゃない場所である。しかも、冬になると北西の風が強く吹いてくる。そうなると、沖合いを通ることはまた適当ではないということで沿岸の近くを通るようになる。そうなると、またこのバースとぶつかる。そんなことを考えますと、航行安全の確保の立場に、一般漁船や商船の立場に立っても、この場所をよしとする結論はなかなか出てこないものだろうと思うんだが、保安庁長官は、この計画に当たっていかなる意見なり見解なりをもって示されたのか、伺っておきたいと思います。
  124. 真島健

    ○真島政府委員 このむつ小川原地区におきます計画につきまして私どもは、港湾局等におきましてシーバースその他の技術的な観点の安全性というようなものの御検討の結果をいただいておるわけでございますけれども、私どもの立場といたしましては、まず、このシーバースが安全な形で建設をされた場合、海上交通の安全の確保とかあるいは防災上の観点、そういう意味から、付近の船舶交通の状況等についていろいろ御意見も申し上げました。私どもの感じといたしましては、やはりそういうようなバースは、少なくとも大体千メートル以上の距離が航路筋からとられていなければならないというような問題、さらには、付近の航行船舶が少ないような場所を選んでいただきたい。操船海面につきましても総合的に検討いたしました。そういう意味で、このシーバースの関連につきましては、まずそれほど問題がないのではないかというふうに判断をいたしたわけでございますが、仮に計画が進みまして、シーバースがつくられる、運用されるというような場合には、私どもとしては、当然のことでございますけれども、大型のタンカーが夜間には着いてはならない、あるいは離着標の条件といたしまして、風速の十五メートル、波高の一・五メートル、そういうようなときには離着標はしてはならない、荷役中止の基準につきましても、風速十五メートルあるいは波高一・五メートルというような状況に近づいてきた場合には当然中止をさせるというようなことで、荷役中に漏油が起こるというような危険を極力避けるというふうな安全対策その他の防災対策も現実に即して十分に指導してまいるつもりでございます。
  125. 関晴正

    ○関委員 はしなくもいまの答弁ではっきりしたことが一つあります。千メートル以内においてはその航行をさせない。ところが、私が一番先に申し上げましたこの一点係留ブイバースの位置づけられるところは防波堤から千八百メートル、しかも大型タンカーが行動するためにも千メートル以内を他の船を航行させないようにしております。どうです、足し算と引き算をやったら、いま保安庁長官が答えたようなことが障害になるということがおわかりでしょう。あなた方の趣旨に基づいていけば、こういうところにこういうものをつくることができないはずなんだ。つくってしまってから戒めたって遅いですよ。そういうことから、海上保安庁で示しておる指導指針と申しましょうか、それにもこれは抵触することになる。そういうようなものであるのにもかかわろずなおこれを強行しよう、こう言っておるのだが、私はこれはやはり間違いだと思います。  あともう一つだけ聞いて、続きは次の委員会でまたやります。じっくりやりますので二、三時間はいただかなければなりません、長い話でもありましょうから。  ただ一つだけおしまいに聞いておきたいことは、審議会に供せられたあなた方の資料によると、これに利用できる日数は七九%と出ておる。十一月に出したものには七九%。しかしあなた方が出しておるところの別な方の資料、それより半年前の三月に出した資料には、総合してみると四四%です。利用できる日数が一年のうちの半分もないということになりましょう。そういう点から見ますと、審議会にかけられたときの議案は七九%、実際は四四%、この違いというものは、前にも申し上げました、天を欺くものだ。福井のあの港湾の計画変更の際には天ならぬ海底を欺くものだと私は申し上げました。あなた方は天を欺き海底を欺いてまでなお権力のもとに港湾の設置をしようとする、それにしゃにむに走ろうとする、これはやめてもらわなければならないと思う。そういうことで、さきの港湾審議会においては、私は、当然きずものの福井港の港湾計画というものは提案することはないであろう、海底を欺いてまで議案として出すことはないであろう、これを望みました。ところがあなた方は、私の質問の終わったその日の昼の一時にかけているじゃありませんか。そうして、一千メートル以内の間に魚礁があるのかないのか。ないと言う県側、あると言う漁民側、これを何ら調査する時間も設けないで強引にやったでしょう。あれからもう四十日過ぎました。このことについても港湾審議会に議案をかけたあなた方の責任です。どっちが正しいものになりました、お調べになりましたか。これについては港湾局長から御答弁をいただきますし、さきのことについては保安庁の方からお答えをいただきたいと思います。
  126. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 ブイの稼働率関係につきましては前に、いろいろの数字があるということにつきましては御答弁申し上げておりますから省略させていただきます。  ただいまの福井の魚礁の問題でございます。これも前に申し上げましたけれども、これにつきましては、港湾管理者が漁業者との話し合いというものをどうしてもこれからやっていかなければいけないその過程においてこの問題も当然に議論されるべきであるというふうな考え方を申し上げたつもりでございますけれども、現時点では、残念ながら県は漁業者と話し合うというところまで道が開けていないというふうに報告を受けております。
  127. 真島健

    ○真島政府委員 先ほど私が、航路筋から千メーター以上離れたところにブイバースがもしできるとすれば設置してもらいたいという意見を申し上げましたということを御答弁したわけでございますけれども、現在計画されておりますバースの位置、それから苫小牧−仙台あるいは苫小牧−八戸のフェリーの航路筋でございますけれども、これは冬分にやや岸寄りに走るという場合にも現在考えられておりますバースから約八千二百メーター離れておる計画になっておりますので、航路筋から千メートル以上という私どもの要望は港湾局あるいは港湾審議会の方で十分受け入れてくださったと思っております。
  128. 関晴正

    ○関委員 八千二百メートルというのは何です。
  129. 真島健

    ○真島政府委員 主要航路筋、つまりむつ小川原沖をフェリー等が航行しておるわけでございますけれども、そのフェリー等が常用しております航路筋、これはある程度幅がございますけれども、岸に近寄って走る季節においても、大体現在バースが計画をされておる位置から八千二百メーターばかり離れたところをフェリーが走っておる、こういうことでございます。
  130. 関晴正

    ○関委員 いまの話は全然違う話です。一般の漁船の航行、そういうようなものはそんな距離でなくて走っておるでしょう。特に冬になるともっと近くになるでしょう。そのことを指摘しておったわけでありますから……。これについてはまたこの次ゆっくりやりましょう。何もいま急ぐ必要もない。  ただ、私が申し上げておきたいことは、福井の一点係留ブイバースの一千メートルの範囲内に魚礁があるのかないのかということは重要な問題です。この魚礁があるかないかということが——あると言うのにないことにして審議したでしょう。なぜそんなことをするんです。そんなことを指摘したらなぜ早速はからないのです。なぜ測量させないのです。四十日も投げておいて何です。それを何で急いで審議させなければならなかったんです。そんなことはどうでもよかったんですか。そんなことはどうでも、審議にかければいいんですか。しかも協議の道が開けていない、協議はその後です。客観的な事情条件があるのかないのか、魚礁があるのかないのか、これを明らかにしてこそ次に論議が進められるでしょう。あったらこの計画はいけなくなるでしょう。あるものはないことにし、そうして近いものは遠いものにされ——そういう魚礁について指摘されたら早速飛んでいってでもやったらいいじゃありませんか。やらせたらいいじゃありませんか。そんなにあなた方の行政というのは緩慢なんですか。大臣、この問題は大臣も聞いておったはずですから、しかも三国の町の漁民の諸君たちは、いいかげんにされてはならないというので、三月の十六日、海上デモまでして海を守るといって叫んでおる。それにあなた方は何とこたえておるのです。県の資料というものが間違っておるならばやはり直して、その上でお話をするのがお話でしょう。このやり方というものはどうなんです、いまどき考えられませんよ。鮫島港湾局長って、さめ悪い人だということになる。もう少しやわらかい島になってください。どうです、お答えください。
  131. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 福井港の港湾審議会でございますけれども、私、こちらが終わりましてすぐに向こうに参りましてよく伝えたいと思いましたのですけれども、残念ながら時間的にできなくなりました。しかしながら、私が国会に出る前に、幹事である計画課長にこういうようなことがあったということは御披露するようにと命じておりますので、当然そういう漁民の側から魚礁の位置について別のものが来ているということは御披露して審議がされているはずでございます。
  132. 関晴正

    ○関委員 私はもっとまじめに行政というものをやってほしいと思うのです。しかも、いまの福井の港湾の問題についてはきちんとした資料が来ているのです。どっちが正しいのかという判定もしないで、確かに吟味もしないで議案にかけて、そして論をしておる。私はそういう点からいけば、港湾審議会の論というものも、かけている方もかけている方、している論というものについても、真剣さがあるような形で運んでいかなければならないだろうと思うのです。  まあ、海流の問題だとか風力の問題だとか波高の問題だとかうねりの問題だとかオイルフェンスだとかの問題について、この次の委員会お尋ねしますから、十分用意してお答えできるようにしておいてください。  終わります。
  133. 古屋亨

    古屋委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時六分休憩      ————◇—————     午後一時三十四分開議
  134. 古屋亨

    古屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。草野威君。
  135. 草野威

    ○草野委員 初めに、現在行われております国鉄ストの問題について、運輸大臣に見解を伺いたいと思います。  私ども公明党は、労働者がみずから生活を守り、権利を守るための団体交渉やスト権は労働運動の基本的権利として認めております。しかしながら、今回のストは心情的には理解するものでございますが、法に反している以上、賛成しがたいものでございます。私どもは官公労働者のスト権については、条件つき付与という形で現在まで認めるべきである、このように主張してまいりました。しかし、現実には毎年毎年、年中行事のようにストが行われ、そしてまた処罰が行われ、スト、処罰、スト、処罰、こういう繰り返しが現在まで行われてきております。常に大変な被害をこうむるのは一般国民でございます。したがって、政府として、今後こういう問題に対してどのように取り組んでいくか、大臣の御見解を承りたいと思います。
  136. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 遺憾ながら、今回もストが行われたわけでございますが、私どもとしては、この違法のストはぜひ避けてもらいたいということを警告をしてまいったわけでございます。  今後繰り返しのスト行為あるいは処罰という問題についてどう考えるかという御質問でございますが、いま国鉄は御承知のように破滅的な、危機的な財政状態で、何としても国家財政のためにも再建をしなければならないわけでございます。この再建のためには、いろいろむずかしい手だてをお互いにしていかなければならない。何としてもそのためには労使協調が必要でございます。そういう意味において、労使協調していただいて、スト等のようなものは避けて、国民に迷惑をかけないような状態、雰囲気をつくってもらいたいというのが、私の現在の心境でございます。
  137. 草野威

    ○草野委員 では次に、教習用自動車の登録の問題について運輸省にお伺いしたいと思います。  人の運送の用に供する小型自動車、これの分類番号は5及び50ないし59まで、このようになっておりますが、これらの自動車に補助ブレーキをつけて教習用として登録する場合、やはり同じこの5ナンバーがつくのかどうか。この問題について、聞くところによりますと、各陸運局考え方が少し分かれているようでございます。すなわち小型乗用車に補助ブレーキをつけた場合に5ナンバーを付与することができない、こういうところもあるやに聞いておりますが、これはぜひとも統一していただきたいと思いますので、運輸省のお考えを伺いたいと思います。
  138. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 お答えいたします。  私どもいま先生指摘のように、自動車教習所の教習用の車が参りましたときに、それをどういう用途の区分にするかということにつきましては、自動車の用途等の区分についてという依命通達を出しておりまして、その中でこれを決めておるわけでございます。通常の場合には、補助ブレーキがついておりましても乗用車として5ナンバーをつけておるわけでございます。ただしこの特種自動車の分類によりますと、道路交通法の第九十七条第二項、これは路上試験でございますけれども、路上試験に使用する自動車及び同法第九十八条第一項の指定教習所で使用する車で、もっぱら自動車の運転に関する技能の検定及び教習の用に供する自動車であって、助手席で操作できる補助ブレーキを有するものであることということで、特にそういう自動車を特種用途自動車としておるわけでございます。これは何によって確認するかということでございますけれども、いま申し上げたような項目に適合いたします自動車につきましては、警察当局におきましてその旨の証明書を発行しておるわけでございまして、私どもといたしましては、その証明書の写しを提出していただくなり、あるいは証明書そのものを確認をいたしまして、教習用自動車として88とか80けたの番号を指定しておるわけでございまして、そういう意味におきましては、各陸運事務所においてまちまちの取り扱いがされておるということはないものと考えておるわけでございます。
  139. 草野威

    ○草野委員 ただいまの整備部長さんのお答えは、ちょっと私の質問と違っているのですけれども、指定校の場合の8ナンバーのことじゃなくて、非指定校の教習用の車が補助ブレーキなどをつけて車検登録に持っていった際に、補助ブレーキがついていると5ナンバーではだめだと、こういうようなことが実際に各陸運局でまちまちに行われている、したがって、統一見解を出してもらいたい、私はいまこういう質問をしたわけです。
  140. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げた御説明の裏返しになるわけでございますけれども、教習所の車、あるいは教習所でなくても私ども個人が持っております車におきましても、補助ブレーキをつけるということは、別に道路運送車両法上問題がないわけでございます。そうしたものをつけた車が検査に参りましたときには、先ほどの通達以外の車につきましては、当然5ナンバーを指示するということになっておりまして、補助ブレーキがついておるから検査ができないということはないはずでございます。
  141. 草野威

    ○草野委員 わかりました。ぜひともそういう見解で統一をしていただきたいと思います。  次に、警察庁の方にお伺いしたいと思いますが、ただいまの話の中でも出ておりましたように、公安委員会の指定を受けていない自動車教習所の自動車で、5ナンバーの車で教習を行っている場合がございます。こういう場合に、非指定自動車教習所であっても、指定校の車と同様に補助ブレーキのある構造で、そして教習用自動車であることが明らかな車については、特殊な用途として8ナンバーをつけるようにした方が、責任もはっきりするし、よいのではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。
  142. 越智俊典

    ○越智説明員 私ども警察の方としましては、公安委員会から指定を受けていない自動車教習所についても、初心運転者教育を行っているという観点から、その運営について関心を持っておるところでございます。  教習用車両が88ナンバーの登録を受けるという問題でございますけれども、これは次にその保険料率の引き下げとも関連していく問題かというふうに承知しております。こういう自動車教習所の車が8ナンバーの登録を受けて、保険料率が引き下げられるということにつきましては、そのことによって教習水準が上がっていくということは望ましいことと考えております。  ただ、88ナンバーの登録を受けて特種用途車としての指定を受けるためには、その用途及び構造が特殊なものであるほか、保険料率の関係では、その事故の発生率、事故率が低いことが要件だというふうに私ども伺っております。教習所の中には、公安委員会の指定を受けていない教習所は全く自由に営業しておりまして、その中に運営方法とかあるいは教習用の車両あるいは事故実態にかなり差がございます。現在そのような教習所の実態につきましていろいろ調査を行い、検討を進めておるところで、その検討の結果をもって関係省庁と協議してまいりたい、そういうふうに考えております。
  143. 草野威

    ○草野委員 運輸省に伺いたいのですが、ただいま警察庁の方のお話で、88ナンバー等をつけた場合には保険料が安くなる、こういうお話でございました。この88ナンバーをつけた場合は、どの車も一律に保険料は減免されるわけですか。
  144. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 お答えいたします。  私、先ほど申し上げましたのは、車両法上の車両の区分の話でございまして、保険とかあるいは税とかいう問題につきましては、それぞれの所管官庁並びに所管部署というものがございまして、そこで決められるわけでございます。したがいまして、ただいま8ナンバーにつきましてそういうことが行われているという事実だけをもって、8になれば自動的にそうなるというものではない。それはそれぞれの所管をされる官庁なり部署なりの御判断による。ただ、いまなぜそういうことになっておるかといいますと、そういう88という実態が、先ほど警察から御説明がございましたように、事故の発生率とかいうものが特種用途車、88の区分と類似しているということで保険の方はその適用になっておるというふうに聞いておりますし、税法の問題についても同様かと考えますので、車両法上の区分が88になったから自動的にそうなるということではない、そのように私どもは考えております。
  145. 草野威

    ○草野委員 ただいまの御説明のように、車両の区分上88ナンバーが使用されたとしても、保険料その他が減免されることは必ずしも決まっていない、このように理解してよろしいわけですね。  そこで、警察庁にもう一回伺いたいのですが、事故率等のお話もございましたけれども、保険料減免とかそういうことを抜きにして、教習用にもっぱら使用される、こういう観点から8ナンバーをつけた方がかえっていいのじゃないか、私はこういう感じを持っておるわけなんですが、こういう場合の条件、先ほどいろいろなとおっしゃっておりましたけれども、こういう条件とこういう条件が満たされればという、その具体的な条件について御説明をいただきたいと思います。
  146. 越智俊典

    ○越智説明員 88ナンバーを受ける場合の条件としまして、私ども最低限必要と考えておりますのは、指定自動車教習所の教習用車両と同じように、技能指導員が危険を防止するための応急の措置を講ずることができる装置、すなわち応急用補助ブレーキを備えておること、これが必要な条件であろうというふうに考えております。
  147. 草野威

    ○草野委員 補助ブレーキがついていれば全部8ナンバーがとれるということですか。
  148. 越智俊典

    ○越智説明員 自動車の登録の問題は私どもの所管でございませんので、私どもの方から関係省庁にお願いする場合には、私どもの方でチェックする際には当然そういう条件をもって行わなければならない、そのように考えております。
  149. 草野威

    ○草野委員 改めてもう一回運輸省に確認したいと思いますけれども、警察庁の方では、いまの御説明のように、補助ブレーキがついている教習用の自動車、このようにはっきりしている場合にはそのように指定をする、こういう意味の御答弁があったわけでございますけれども、このような条件が満たされた場合には運輸省として今後、8ナンバーを申請した場合には、5ではなくて8ナンバーにするようになるかならないか、この点についてもう一回伺いたいと思います。
  150. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、私どもは、この特種用途車というものが特殊な用途に使われるということで80台のナンバーを指定しておるわけでございます。その中で、先ほど申し上げましたように、路上試験用自動車及び教習用自動車というのは道交法の九十七条第二項の路上試験に使用する自動車、そして九十八条第一項の指定教習の用に供する自動車で、もっぱら自動車の運転に関する技能の検定及び教習の用に供する自動車であって、助手席に操作できる補助ブレーキを有するものである、こういうふうにされておるわけでございます。したがいまして、その要件と申し上げますのが、自動車の使用の態様と構造上のいかんということによって分類されるわけでございます。したがいまして、これは仮にの話でございますけれども、仮に、もっぱら教習用に供されるということを警察御当局が証明されたということでありますれば、道路運送車両法上の区分としては特種用途自動車とすることも可能だと考えられます。したがいまして、そのようなケースが出てまいりましたときに改めてまた検討さしていただきたい、そのように考えております。
  151. 草野威

    ○草野委員 では、次の質問に移ります。  次は、首都圏の国鉄の通勤ラッシュ対策の問題についてお伺いをしたいと思います。  初めに運輸省に伺いたいわけでございますが、現在、東京周辺の地域から東京都内への一日当たりの通勤通学の人員、たとえば国鉄、また私鉄、地下鉄、こういうものを利用して通勤通学されている方はどのくらいの人数に上りますか、まず伺いたいと思います。
  152. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 私、国鉄の半谷でございますが、数字的な問題につきましてちょっと御答弁申し上げたいと思います。  東京付近の定期をお持ちになって旅行される方、そうなりますと、大体通勤通学輸送の方が大部分だと思いますが、そういう旅客輸送の統計、五十三年度の一日平均で申し上げますと、首都圏に入ってまいります総輸送人員、これが五十三年度、一日平均で約八百四十万人でございます。そのうち国鉄を利用して都心にお入りになるお客様、これは都心だけじゃなくてその途中でおおりになる方も入りますが、要するに、都心方向に向かって御利用なさるお客様、これが三百五十万人、それから民鉄、私鉄でございますが、これが三百三十万人、それから地下鉄利用の方、これが百六十万人、大体そんな数字になっておりまして、いまの数字で国鉄のシェアを出してみますと四二%ぐらいに相当するわけでございます。
  153. 草野威

    ○草野委員 ちょっとはっきり聞こえなかったのですが、国鉄、私鉄、地下鉄、この三つを合わせてどのくらいですか。
  154. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 三つ合わせまして一日八百四十万人ぐらいでございます。
  155. 草野威

    ○草野委員 都心に通勤通学している人員が八百四十万人、このように理解していいですか。
  156. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 実は、この統計の数字のとり方は非常にむずかしいのでありますが、いま申し上げました数字は、郊外部から、あるいは何といいますか二十三区内で発生する場合もあるのですが、要するに、定期を御利用なさって通勤通学をなさっているお客様の総計であります。したがいまして、郊外部から都心の方に入ってこられる方だけの数字ということになりますとなかなか統計がとりにくいのでありますが、いままでのいろいろな数字を見てまいりますと、この総数字の六〇%から七〇%ぐらいの間の方が恐らく都心に入ってこられる方だと思います。それ以外の方というのは、郊外部からお乗りになりまして、都心まで来られないでおりてしまわれる方、あるいは都心部に近い東京都区内でお乗りになってまた都区内でおりる方、あるいは都心を通り抜けて隣の県等にまで行かれる方、そういった方を全部ひっくるめての数字が総計八百四十万でございますから、大体そんな数字ではないだろうかというふうに考えております。
  157. 草野威

    ○草野委員 そういたしますと、都内への通勤列車が非常に混雑をしているというふうに聞いておりますけれども、たとえば総武線、常磐線、東北線、中央線、東海道線、こういう各方面別の乗車率といいますか、かなり大まかになってまいりますけれども、方面別の乗車率は現在どのような状況になっていますか。
  158. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 五十三年十一月に調査いたしました通勤時間帯一時間当たりの混雑状況でございますが、たとえば東海道で申し上げますと、五十三年度時点の混雑率が、概略の数字でございますが二八〇%ないし三〇〇%ぐらいでございます。それから東北、高崎方面、これを申し上げますと、二四〇から二五〇ぐらいの混雑率になっております。それから常磐方面が二二〇%から二五〇%ぐらいの乗車効率でございます。それから総武関係が二五〇から二六〇%ぐらい。多少丸めて申し上げましたけれども、方面別に申し上げますと大体そんなような数字でございます。
  159. 草野威

    ○草野委員 これによりますとかなり混雑しているわけでございますけれども、その中でも特に東海道方面が二八〇から三〇〇%と非常な混雑をしていることがわかるわけでございます。  そこで、東海道方面の通勤ラッシュの緩和対策でございますけれども、現在私どもが聞いておりますことは、神奈川県の横浜新貨物線の完成によりまして東海道、横須賀線の分離運行が本年の十月から行われる、このように聞いておりますが、これが本年十月から運行されますとピーク時の増発本数は何本ぐらいになるのか、まずその計画を伺いたいと思います。
  160. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 お答えいたします。  東海道と横須賀線の分離運転につきましては今年十月を目途に現在作業をいたしておりまして、大体六月の上旬かそれ以降には決まるというようなところまで来ております。したがいまして、現時点において確定した数字というわけではございませんが、御質問の東海道あるいは横須賀線につきましてただいまわれわれが考えておるのは、それぞれ三本ないし四本現在よりも増発するというぐらいの感じで作業を進めております。
  161. 草野威

    ○草野委員 東海道、横須賀線、各三本ないし四本増発ということでございますが、これだけの増発をいたしますとピークの乗車率は何%くらいに緩和される見込みでございますか。
  162. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 先ほど半谷理事の方から現状を御説明いたしましたが、両線合わせまして大体三〇〇%近くというのが現状であります。それに対しましてただいま私が申し上げましたような数字を勘案いたしますと、現在最ピークで一時間二十本人っております。その辺から考えますと、大体二〇〇%にかなり近づいた線まで緩和されるのではなかろうかというような期待をしております。
  163. 草野威

    ○草野委員 それから、停車駅の問題について伺いたいわけでございますけれども、現在問題になっているのは東海道線の戸塚駅の停車、それから川崎駅がこれから横須賀線が通らないわけでございますので、この川崎駅に東海道本線の全面的停車を実現させる、こういう停車駅の問題がございますが、これについての御説明をいただきたいと思います。
  164. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 先ほど申し上げましたように、現在六月を目途にして作業をいたしておりますので、どこに停車をするかということを現時点で決めたという形では申し上げられませんけれども、線路が複線が二本ということで運行形態がかなり変わってまいります。その際に、われわれといたしましてはできるだけ平均乗車を図ってもらいたいというニーズもありますし、お客さんの方から見ますと乗りかえその他利便性というものが当然出てくるわけでありますので、その辺を考えて利便性を損なわないような形で決めていきたいというふうに考えております。
  165. 草野威

    ○草野委員 はっきりした御答弁をいただけなくて非常に残念に思います。  私がこの問題を取り上げた理由でございますけれども、地元の神奈川県議会でも先日この問題が取り上げられております。そのやりとりを聞いてみますと、当局の答弁によりますと、ただいまお話がございましたように横須賀線、東海道線増発が各三本か四本だ、こういう状態では混雑度の緩和は期待したほどのものには恐らくならないであろう、こういうことが先日の県会で議論がされておりました。  御承知のように、この新貨物線の建設につきましては大変大きな犠牲が払われたわけでございますし、国鉄といたしましても行政代執行という大変な伝家の宝刀みたいなものを抜いてまでも完成までこぎつけたわけでございます。しかし、神奈川県民が全国一のラッシュを抱えていて、新貨物線が完成することによってかなり混雑が緩和されるのじゃないか、こういう期待を神奈川県民は持っております。数字で言えということになりますと、いろいろな人の話を総合してみますと、せめて何とか二〇〇%ぐらいまでラッシュを緩和させてもらいたい、これが神奈川県民の気持ちです。しかし、もし新貨物線ができて、それがただ単に貨物の合理化だけにつながるようなことで終わってしまうならばわれわれはだまされたのではないか。神奈川県としても、県民もかなりこの問題には協力をしているはずです。しかし、もしピーク時に三本とか四本だとか、こんなことでお茶を濁されてしまえば裏切られたような感じを国鉄に対して神奈川県民は抱かざるを得ないのではないかと思います。  そこで、まだ決定は六月ごろというお話でございますけれども、なぜこの程度の増発しかできないのか、なぜこの程度の緩和しかできないのか、理由があったらひとつ御説明をいただきたいと思います。
  166. 高木文雄

    ○高木説明員 ただいまお話がございましたように、貨物別線をつくらせていただくについては関係の住民の方々に大変御協力いただきましたし、それから関係官庁その他いろいろむずかしい問題にお取り組みいただいた経緯がございまして、私どもといたしましてもそのお骨折りにこたえなければならぬということは十分承知をいたしております。そのためにはなるべく増発を多くして、そして多少ともカンファタブルなというか、そこまでいかないかもしれませんけれども、いままでよりは改善されたサービスを提供できるように努力をしなければならぬと思っております。  ただ、その場合に具体的に何本ふやすことがいいかということになりますと、今回のはかなり大きな変革でございまして、東海道線と横須賀線とにいままでお客さんが乗っておられた乗り方と違う乗り方になってまいりますので、いろいろ予測はいたしてはおりますし、多分その予測のとおりになろうかと思いますが、乗りかえとかいろんな関係で、またそれぞれの御都合で、ある方は東海道線を使って途中で横須賀線に乗りかえるとか、ある方は横須賀線を使って途中で東海道線に乗りかえる、いろいろなことが考えられますので、その流動がどういうところに落ちつくかということを十分見ながら一番いい形に持っていきたいと思っております。  御存じのように、横須賀線は従来とも全く違う形になりまして千葉まで行くことになりますので、千葉サイドの、東京から千葉方へ向けての線路容量の問題とか旅客流動の問題とかいうところにも響いてまいるものでございますから、そこでいま吉武常務が申しましたように、いま考えておるのは三、四本まずそれぞれについてふやしまして、その後また情勢に応じながら弾力的に考えるということもあっていいのではないか。ちょっと千葉方の問題でいろいろややこしいことになってくるようでありまして、そういう意味では神奈川県の方から私自身もしばしば御要請を受けておるわけでございまして、内部でも相当慎重にいろいろバリエーションを考えながらいろいろな案を考えているようでございますが、単なる複線を三複線にしたというだけでなしに、別のところを通るものですから当然にそのお客流動が非常に変わるということがありましてなかなか苦慮をいたしておるようでございます。ただ、気持ちといたしましては、いま御指摘がありましたように、長い間御迷惑をおかけしましたし、御期待を持っていただいておりますから、基本的には何かそれに大いにこたえるようなことでやってまいりたいと思いますが、技術的にどうすることが一番いいのか、やりようによりますと、横須賀線と東海道線の片っ方が非常にすいて片っ方が非常に込むというようなことが起こるかもしれない、逆のことが起こるかもしれないというような問題がいろいろあるようでございまして、私自身、しばしばこの問題はお話を伺っておりますので、お気持ちを十分くみ取りながら対処してまいりたいというふうに考えております。
  167. 草野威

    ○草野委員 総裁のおっしゃることは理解できないわけではございませんけれども、ただ、いまわれわれが聞いておることは、増発するに当たって要員の問題であるとか、また車両の問題とか、総武線との相互乗り入れについてのいろいろな問題がある、こういうことからなかなか思うようにいかないのじゃないか、こういうような話も聞いているわけですね。だけれども、先ほど当局の御説明にもありましたように、何しろこの東海道線、横須賀線の場合には定員の三倍乗っておる。これは極限に近いわけですね。こういうような大変なラッシュの状態だ。そこで国鉄側の横浜駅初めあちこちの駅のホームに大きな看板を掲げておりました。その看板の文句は私はよくは覚えておりませんけれども、ともかく新貨物線を建設して貨物の専用線とするんだ、そして、その旧貨物線を横須賀線に転用して、東海道線と横須賀線の分離運転を実現しなければこのラッシュは解決しないから協力してもらいたいというような意味のことが恐らく書かれてあったと思うのですね。私どもあの看板を見て——付近の住民の方のいろいろな問題も知っております。現在だってまだこの補償問題で片づかないで苦しんでいる人たちもいるわけですね。そういう中で、ともかくことしの秋からこの大変な混雑が緩和されるということで大変な希望を持ったわけなんです。  だけれども、どうもいままでのいろいろな話を聞いておりますと、やや国鉄の方でも消極的な面がありそうな感じがしてならないわけです。これはなければ本当にいいんですけれども……。実際にはどうもそういう感じがあるわけですね。これは総裁に要望でございますけれども、神奈川県民はこんな大きな犠牲を払いながら、何とかしてこの通勤地獄から脱出したい、こういう気持ちで現在まで協力してきたつもりでございます。したがって、どうか裏切ることのなのように、ぜひとも大幅な——大幅なということは、先ほども申し上げましたように何とか二〇〇%くらいのラッシュの緩和、こういうことをひとつ目標にして今後も取り組んでいただきたい。これは総裁に特にお願い申し上げたいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。  それから、同じくもう一つ神奈川県の通勤の問題で、根岸線の問題につきまして、過日も住民から陳情が繰り返されて出されております。三月二十八日の当局の回答によりますと、この根岸線の磯子駅の、時間帯によりますと二十時台の大船行きがわずか三本しかない、複数の増便を考えている、こういうお話でございました。二十時台では何本増発されますか、これが一点。  それからもう一つは終電車の問題でございますけれども、この根岸線の終電車、東京駅発が現在では二十三時十三分になっております。他の大宮行きは零時二十二分、横須賀線が二十三時五十分、東海道線が二十三時五十五分。根岸線の場合は大変早く終電車が発車するようになっております。このことについても要望があったわけでございますが、単数の増便を考えている、このような回答がございました。現在、最終便を何時に出すのか、こういう問題とあわせていつから実施されるのか、この二つについてお伺いしたいと思います。
  168. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 根岸線のダイヤについて、まことに申しわけない話でございますけれども、何本ということを確定的に申し上げるにはちょっと早いと思いますし、まだ作業中でございますので確定的なことは申し上げられませんが、確かに根岸線の沿線は人口が急増し、宅地造成が盛んであってお客さんもふえております。われわれとしてもそういった事態を踏まえまして、五十三年の十月には上下合わせまして七本の増発をいたしました。しかし、まだ磯子から大船方面につきましてはかなり時隔があいておるではないかとか、あるいは終電車がちょっと早いのではないかという声があることはよく承知しております。その辺も勘案しながらことしの十月のダイヤ改正までに何か幾らかでも処置したいということで現在作業をしておる段階でございます。
  169. 草野威

    ○草野委員 次の問題に移ります。  東海地震と交通規制対策の問題について初め気象庁の方にお伺いをしたいと思います。  この地震防災対策強化地域判定会、ここから予知情報が出されるわけでございますが、それを受けて首相の警戒宣言、こういうふうになると聞いております。従来はこの予知情報が、数時間から二、三日以内に大地震が発生するおそれがある云々と、こうなっておりましたけれども、最近になってこの予知情報の内容が変わった、このように聞いておりますが、どのように変わったのでしょうか。
  170. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  特に最近予知情報の内容を変えたというわけではございませんが、若干私どもの説明不足がございまして誤解をいただいた向きがございましたので、その内容を明らかにさしていただいたわけでございます。  つまり、過去の大規模地震の発生状況を多くの例について調べてみますと、地震が起こった場合には直前の前兆から地震発生までの期間が短い場合は数時間以内、長くても二、三日以内という例が大変多うございますので、地震情報の中に盛られる発生のおそれのある時期ということにつきましては数時間以内というのと、この情報を出しました時点を含んだ、全期間という意味での二、三日以内、この二種類を現在のところ出す予定にしております。
  171. 草野威

    ○草野委員 それはそれでわかるのですけれども、そういう予知情報を聞いたとき受ける側の気持ちとしては、数時間以内に起こる、また二、三日以内に起こる、こういうふうに別々のそういう情報を聞いたときの受けとめ方というのはやはり変わってくるのじゃないかと思うのですね。いまあなたのおっしゃることはわかるのですけれども、そういうことを含めて、なぜこのように二つに分けなければならないか。
  172. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  異常が発見されました場合に、その異常をいわば診断いたしまして、地震につながるか否か、つながるとすればどのくらい時間がたってから起こるかということは大変高度の技術でございまして、まだ完全に開発されたわけではございません。したがいまして、地震につながるおそれはあるけれども、東海全域に張ってございます観測網全体が一斉に異常値を示すというようなことでない限り二、三日以内という情報を差し上げ、これは大変ケースとして少ないと思いますけれども、広域にわたって多種類の機械が一斉に大きな異常値を示したという場合には数時間以内ということを申し上げることになると思います。ただ、この際御理解いただきたいのは、この予知情報を出します時点において、残念ながらわれわれの技術水準がこのレベルしかないということでございますけれども、予知情報を出しっ放しにして後黙っているわけではございません。警戒宣言が出ました後も時々刻々観測網から観測値が気象庁に集まってまいりますので、これをどんどん見ておりますから、できるだけ頻繁にその変化の状況並びに判定会の先生方の御解釈、御見解をもとにした気象庁情報を皆様にお伝えいたしまして、事態が逼迫の方に向かっているのかそれともやや緩和されている方に向かっているのかという、何と申しますか、フォローアップの情報はぜひきめ細かくいたしたいと思っております。
  173. 草野威

    ○草野委員 私が伺った意味はできるだけ正確な情報を、住民が混乱をしないように情報をひとつ出してもらいたい、こういうことでございますので、この辺のところをひとつお願いをしたいと思います。  そこで、この情報の伝達方法でございますが、どういう形で情報は伝達されるのでしょうか。
  174. 末広重二

    ○末広説明員 御説明を申し上げます。  二通りのルートがございまして、一つのルートはいわゆる行政ルートを通じるわけでございまして、一例を挙げますと、気象庁から国土庁へ国土庁から各関係する地方公共団体へという行政ルートの情報の伝達がございます。もう一つは、ただいま大変発達しておりますラジオ、テレビ等を媒体とする情報伝達網でございますが、私どもはこの報道関係の方と以前から非常に緊密に連絡をとりまして、どういう場合にはどういうことを申し上げたらば一番事態が正確に国民の皆様に御理解いただけ、かつパニックではなくて逆に落ちついて、いわば待ちの態勢を続けていただけるかということをいま大変研究しております。この行政ルートによるものもさることながら、災対法で指定されております指定公共機関であります日本放送協会その他民放の方も大変御熱心にこの点御協力くださっておりますので、これを十分に活用いたしまして、正しい情報を正しく国民の皆様に理解していただけるよう、しかもそれに対して正しく対処していただけるよう努力するつもりでございます。
  175. 草野威

    ○草野委員 そのように行政ルートで情報が出ます。そうすると、特に交通関係のことで伺いたいわけでございますが、交通関係のたとえば運輸省、警察庁、こういう情報が出たらどのような態勢をおとりになりますか。
  176. 山地進

    ○山地政府委員 ただいまの大規模地震対策特別措置法というのがございまして、これによりますと国鉄は地震防災強化計画というものをつくりますし、それから民鉄におきましては地震防災応急計画というものを定めなければならないわけでございますから、その警戒宣言が発令された場合にはそれぞれの計画に従った処置をとるということに相なるわけでございます。
  177. 広谷干城

    ○広谷説明員 警察におきましては、警戒宣言が発令をいたされますと直ちに警察庁に警備対策本部をつくりまして、また各県の警察本部も対策本部をつくりまして、あらかじめ決められております地震防災計画に基づきまして所要措置をとっていく、こういうふうなことになっております。
  178. 草野威

    ○草野委員 たとえばその警戒宣言が正午ごろ発令された、こう仮定します。先ほどの国鉄説明によりますと、都内へ通勤通学している人たちの数五百数十万人、こういうような御説明がございました。これらの人たちが恐らく帰宅を急ぐと思いますが、こういう場合に鉄道関係の運行はどのようになさる計画になっているか、これが一つと、それから警察庁に伺いたいんですが、やはりこういう警戒宣言が発令された場合、都内に通常走行している自動車の数というのはどのくらいに予定されているのでしょうか。そして震源地に近い東海道方面に向かう車の台数、こういうものをどの程度に想定をされておりますか。この二つ、伺いたいと思います。
  179. 藤田義人

    ○藤田説明員 国鉄関係についてお答え申し上げます。  この地震の法律によりまして強化指定区域、この区域内の状況は非常にいわゆる土盛り等の構造物等が多くありまして、非常に危険でございます。そういうことで先ほど気象庁の方から御説明がありました警戒宣言が出ましたときには直ちに列車を停止させる、この強化区域の境界駅これから内方に入れないということと、その中にある列車につきましては安全なところに早く待避するといいますか、また最寄りの駅に入る、その中でも津波とかまた山津波等の危険のある駅を指定しましてそういうところの駅には停車しないということで対処しております。
  180. 広谷干城

    ○広谷説明員 警視庁が昨年の年末の時点で調査ないしは推計をいたしてものでございますけれども、都内をいまというふうな瞬間でとらえてみまして、瞬間交通として走っておる車が約二十五万台程度であるというふうに考えております。それから東海道方面との出入りの問題でございますけれども、神奈川県との例をとってみますと、東京から神奈川の方へ参ります車が一日交通量で約二十五万六千台それから神奈川の方から東京都内に入ってまいります車が二十六万五千台、この程度だというふうに考えております。
  181. 草野威

    ○草野委員 この国の基本計画によりますと、宣言と同時に強化区域内の交通機関は原則としてストップさせる、こういうふうになっていることは私も理解しております。いま国鉄の藤田常務理事から強化区域内のことについて御答弁をいただいたわけでございます。私がお聞きしたかったのは、たとえばお昼ごろ警戒宣言が発令された場合、都内にはこの周辺から五百数十万の人たちが流入をしている。恐らくこの人たちは帰宅を急ぐようになるでしょう。そうした場合に交通機関はどうするか。鉄道関係はどうなるのか。国鉄を含めて、私鉄だとか地下鉄だとかあると思いますけれども、これはどういうような運行をするのか、このことをまず伺ったわけでございます。
  182. 藤田義人

    ○藤田説明員 お答え申し上げます。  強化区域外の問題につきましては、さきに東京都知事の方からも、いま先生の御趣旨のような、動かしていただきたいという要請もございます。それで、この面につきまして、現在いわゆる強化区域外の地盤の関係等がそういうときにどのような震度になるか、そういうようなことも含め、また、いま先生がおっしゃったような、相当な旅客の動きが出てまいります。そういうことを考えて、どういうふうに対処するかということでいろいろと勉強しているところでございまして、いまここで確たるお答えができない次第でございますが、そういうことで作業を進めておるという状況でございます。
  183. 草野威

    ○草野委員 この神奈川県の場合を見ますと、県内が二つに分かれて、強化区域内と区域外、こういうふうになっておりますね。川崎だとか横浜市だとか、こういう大都市を抱えて、そして、二次災害が発生するおそれ、こういうものも非常にあるわけでございます。したがって、強化区域外の交通対策をどういうふうにするかということは非常に重要な問題になると思うのですね。まだそういう対策が立てられていないということを非常に残念に思います。  運輸大臣、この問題について、こういう警戒宣言が発令された場合、国鉄を含めてこの区域外の鉄道関係がどういうような運行をしなければならないか、この基本については早く決めておかなければならないと思いますけれども、この点については、非常に大事な問題でありますので、大臣のお考えをちょっと聞かせてください。
  184. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 先ほど気象庁の方から御説明申し上げましたように、数時間あるいは数日という、予報によっての判断が非常にむずかしかろうと思います。その判断によって、区域外の車両の運行その他の方針を決めなければならないということが恐らく取り上げられるだろうと思いますので、十分こういう問題を予想しながら検討を加えてまいるようにいたしたいと思います。
  185. 草野威

    ○草野委員 余りはっきりした御答弁をいただけないで残念なんですけれども、これは大変重要な問題でございますので、区域外の交通機関はどのような対応をするのか、一日も早く検討を進めていただきたいと思います。  それから、時間がもうなくなったので、国鉄に伺います。  先ほど御説明ありましたように、区域内で列車が停車をすることになると思います。そうすると、考えられることは、二日も三日もそういうふうに長期にわたって停車する場合が当然予想される。パニック状態も予想される。こういう問題に対してどういうふうに対処をしたらいいか。こういう問題が一つと、それからもう一つは、食糧だとか水の対策。具体的に食糧や水について、静岡とか神奈川県、そういう自治体といまどういう話し合いが決まっているか、これは国鉄に伺いたいと思います。  もう一つ、最後に警察に伺いたいのですが、先ほど、大規模地震発生時のドライバーのとるべき措置、こういうものが発表になりました。そこで、先ほどちょっと私は伺いましたけれども、東京都から神奈川県の方に恐らく車が殺到してくると思います。県境でどういうような規制をしなければならないか。これも横浜、川崎市内では第二次災害ということを含めて、また路上に駐車している車の火災ということを含めて、いろいろな大きな災害が予想されるわけなんですね。かなりの混乱が予想される。したがって、そういう東京と神奈川の県境でこういう車の交通規制をどういうふうにするのか。  以上の点についてお願いいたします。
  186. 藤田義人

    ○藤田説明員 お答え申し上げます。  まず、国鉄としましては旅客の安全を第一に考えるということで、その基本に立ちまして、そういう災害に際しまして、先ほど言ったように最寄りの駅にその列車を停止させる。そこで、駅または車内で旅客の安全を守っていく。旅客の中で自発的にそこから出て近くのところに行かれる方は別でございますが、そのまま残った方については、食糧についてもめんどうを見ていくということで基本的に考えております。しかし、それも時間的に限りあることでございますから、そういう面については地元自治体の方とよく連絡をとりながら、そういう面に対しての御協力方をお願いしていきたい。いままででもそういうことで地元自治体ともいろいろと話しておりますけれども、具体的にまとまった形にはなっておりません。また、安全の面でもいろいろと、先ほど言いました駅または車内におりましても危険を感知したときには、指定されました避難個所に誘導し、そこで避難していただくというように考えております。  なお、食糧等の問題につきましては、いま確定的に各駅幾ら、何食というような具体的数字はございませんが、その駅の周辺の駅弁または食糧等の関係についていろいろと御協力方をお願いしておるということで、よりこれを詰めて具体的なものにしていきたいというふうに考えております。  以上で、私の答弁を終わりたいと思います。
  187. 広谷干城

    ○広谷説明員 お答えいたします。  神奈川県は強化地域を持っておるわけでございまして、その強化地域に東京方面から車がどんどん入っていくというようなことをなくしなければならないということと、それから強化地域外でございましても、横浜あるいは川崎方面に車が入っていくことを抑止するということも、また当然必要なことになってまいります。したがいまして、現在東京と神奈川との車の行き来をどういうふうにするかということにつきましては、所轄の神奈川県警と警視庁との間でいろいろと研究を重ねておりますけれども、現段階で考えられますことは、都県境におきましてそれぞれ検問所を設けまして、特にいま制限をする必要がないという場合は別でありますけれども、交通の状況によりまして必要やむを得ない車両についてだけ通行を認める、こういうふうな検問あるいは交通規制というものを実施していく必要があろう、かように考えております。
  188. 草野威

    ○草野委員 時間が参りましたので、最後に大臣に要望して終わりたいと思いますが、いまも国鉄の方からもお話ございましたけれども、やはり肝心な具体的な問題については煮詰めはこれから行われる、こういう段階になっているわけでございます。したがって、警戒宣言から実際に地震が発生するまでの時間の長短といいますか、これによって、車の中へかん詰めになっている人たち、またドライバーも、いろいろとその反応が大きく変わってくる、こういうことは当然あり得ると思うのですね。したがって、これからいろいろと決められていくと思いますけれども、何でもかんでもしゃくし定規に規制をすることはぜひとも避けていただきたい。また、その地域の実情に見合うような計画、また綿密な規制計画、さらにまた正確な情報の伝え方、また道路に渋滞している車両の火災に対する対策だとかこういう綿密な、総合的なといいますか、また広域的な計画、こういうことを一日も早く検討を国務大臣として進めていただきたい。こういうことを最後に要望して質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  189. 古屋亨

  190. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 私がいま手に持っておりますのは、一九七五年、いまから五年前に国鉄が「国鉄実情を訴える」というパンフレットをお出しになりましたが、そのパンフでございます。その中に物価と運賃関係についていろいろと述べておられるわけですけれども、これを見ますと、他の物価と比べても国鉄運賃の水準は非常に低い、そして、「安い程いいわけではない」、こういうふうなことまで書いてありまして、だから値上げするのは当然だ、こういうふうに主張をしてパンフをおつくりになっておりました。  ここで私は御質問したいのですけれども、昭和三十五年を一〇〇とした場合の昭和五十三年度の消費者物価指数とそれから国鉄運賃、おのおの幾らになっておりますでしょうか。
  191. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 三十五年の消費者物価指数を一〇〇といたしまして、五十三年で三六九となっております。それから、旅客の第一地帯賃率でございますが、この場合に、三十五年を一〇〇といたしまして三九〇という指数になっております。
  192. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 ただいまお答えいただきましたのを見ましても、消費者物価指数よりも国鉄旅客運賃、第一地帯賃率は高いということがはっきりしております。私の持っております資料によりますと、物価指数が三六九、私鉄運賃は三九三、国鉄運賃は四一一、これはどういうふうに国鉄運賃の中がなっているかわかりませんけれども、とにかくこの三つを比べても国鉄運賃が一番高いというふうに、数字的にも非常にはっきりしているわけなんです。こういう状況を見ますと、五年前には他の物価に比べても非常に安いから運賃を上げてもいいんだ、こういうふうにおっしゃっていましたけれども、他の物価に国鉄運賃が先行している、引き上げの要因になっているのはこの数字を見ても明白ではないか、このように思います。まさに公共料金の引き上げの先導を国鉄運賃が務めている、こういうふうに見ざるを得ません。国民一般からこれ以上値上げをするな、こういうふうな強い要望が出ております。私たちの党も値上げの凍結、撤回を一貫して主張してきたところです。その国鉄運賃の中に、いま一つ非常に大きな問題が出てきている通学定期の問題について、続いて御質問をしたいと思っております。  運輸省は五十五年度概算要求の中で公共負担補給金四十一億円を計上しておられます。この予算要求を計上された経緯と、それからこの予算が大蔵省の査定から落とされた理由は何でしょうか。それについてお答え願いたいと思います。
  193. 山地進

    ○山地政府委員 予算要求のときに、一体通学定期というものをどういうふうに考えたらいいのかということから出発したわけでございますけれども、通学定期と通勤定期というものを同じに考えるかどうかというのがまず第一の問題でございます。通勤定期というものを考える場合、パス一般ということで考える場合にコスト論からいきますと、私どもの計算によりますと、大体四割くらいが限度ではなかろうか。そこで、通勤定期を四割割引で大体そのコストというものを考えた場合、いいんじゃないだろうか、いま法律では通勤定期も通学定期も同じ五割割引となっておるわけです。それを四割と一応考えますと、通学定期に関してはコストではなくてやはり日本の学生に対する割引、まあ子供の割引きというのがあるのと同じように、学生に対する割引という観念が非常に強いかもしれない。それは五割ぐらい多く割り引くのが一つ考え方かもしれない。そうすると、四割割引に対して六割割引ということがあり得るかもしれない。それはやはり、これは文教政策上の配慮ということしか言えないのではないだろうかということで、四割と六割の間というのは恒久的な絵といたしまして文部省に持っていただく。そうすると六割まで割引を是正するということはやらなければならないだろう。  そこで、現在七八%ぐらいでございますけれども、当時八割くらいということになりますと、そこの六〇と八〇の間の二〇というものをどうやって埋めていったらいいだろうかというスタートラインに立ちまして、それに対しては是正と助成というものを同じくらいで十年ぐらいかかってやればちょうど、最初のうちに毎年毎年二%是正すれば二%助成するというような考え方で延長していって、十年後には国の助成もゼロになるし国鉄是正もゼロになるというような絵をかきますと、大体四十一億くらいの助成で済むということで大蔵省に要求したわけでございます。それから大蔵省の方の絵といいますか、政府でそういうことは一応それじゃだめだという考えになりましたのは、公共負担一般についてやはりもっと広い意味で考えて検討しようじゃないかということが閣議了解でまとまったわけでございますので、その検討を待ってからそういう助成問題というのを議論しよう、こういうことで今回は見送られたというふうに御理解願いたいと思います。
  194. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 そういたしますと、運輸省が要求されても文部省が要求しても厚生省が要求しても、現状では大蔵省はそれは認めないということだと思うのですけれども、従来の経緯から見ますと、この問題につきましてはどの省が負担するのかということはいまに始まったことじゃなくて、どの省が負担をするのか、予算要求をするのかということでずっとたらい回しだとか玉突きが行われてきたと思うのです。結局、公共負担の問題についてどうするかということで問題がしぼられてきた。なぜ大蔵省が認めないか、いま関係閣僚会議を開いて協議をする、こういうふうにおっしゃっていましたけれども、そうするとこれから開かれるとしている関係閣僚会議は、主に何を協議し決めることになるのでしょうか。
  195. 山地進

    ○山地政府委員 いま御指摘になりましたように、この通学定期の問題につきましては、五十二年の十二月の閣議了解、国鉄の再建の基本方針でございます、それに公共割引についてその見直しを行う、若干抽象的に書いてあったわけでございます。それから五十四年の十二月、今回の場合は、いま御引用になりましたように関係各省においてこれを検討する、それで所要の対策を講ずる、こういうふうに具体的になっているわけでございます。これは確かに文部省なり厚生省なり、それぞれの御議論があって、公共負担というのは長い歴史があるんだから国鉄が持ってもらいたいという御希望があるわけでございますけれども、これは五十一年の国会の方の附帯決議にもございますように、政策官庁が持つべきじゃないだろうか、そういうふうな区分けをして初めて国鉄の負担すべきものというのは明確になるという考え方から出ているわけでございまして、そういう意味から今回閣議了解したわけで、各省ともそういうことについて議論をするということを閣議了解という形で約束しているわけでございます。したがって、具体的な実現の可能性は、前から見ると非常に強くなっていると御理解いただきたいと思うのです。  そこで、何をするのかということでございますけれども、どういうような負担をだれがするのか、いま申し上げました四〇と六〇の間は文部省が持つとか——これは私どもがいま主張しているわけで、文部省にはまた違う意見があるかもしれません。それから、どういう暫定的な助成をやっていくのか、国鉄はどういうふうな是正をしていくのかというのが議論になろうかと思います。
  196. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 もう一度お伺いいたしますが、その関係閣僚会議には、大蔵省はもちろん入っているわけですね。
  197. 山地進

    ○山地政府委員 今回の閣僚会議のメンバーは決まっておりませんけれども、こういった公共負担の問題につきましては一回開いたことがございますけれども、その際には、もちろん大蔵省も入っておりました。
  198. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 ただいまのお答えの中で、主に何を協議し決めることになるのかという内容ですけれども、はっきり言いまして、受益者負担の程度をどうするのかということをお決めになるわけですね。どうですか。
  199. 山地進

    ○山地政府委員 先ほど御説明いたしましたように、定期というのは一体何割の割引がコスト的に受益者の負担すべきものであるかというところがまず第一のスタートだろうと思います。私どもの方のことしの予算は四〇というふうに、先ほど運輸省としてはと申し上げましたけれども、各省それぞれ御意見があろうかと思いますが、そういったところが基礎的なスターティングポイントであろうと思います。
  200. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 旅客運賃制度研究会という諮問機関がございますね。そこで昨年十月に「旅客運賃・料金制度の今後の方向」というところで、通学定期旅客運賃の割引率について提言しておられます。その中に「通勤定期旅客運賃と差をつける理由はないと考える。」こういうふうに提言しておられますね。運輸省それから国鉄、国鉱は利用者の負担割合はどの程度にすべきだとお考えになっていますか。それから、運輸省にももう一度お伺いしたいのですけれども、この研究会の提言についてどういう評価を国鉄も、運輸省もしておられますか。
  201. 山地進

    ○山地政府委員 国鉄運賃について旅客貨物、いろいろ研究をしておられて、広く御意見を集められて、非常に有益な研究であるというふうに思います。  それから、いまの通学と通勤の点に関して差別する理由はないという見解は、現在の運賃法においても通勤、通学差をつけろというふうにはなっておりません。三カ月ものは幾ら、一カ月ものは幾らと、通勤、通学というのは何も差をつける必要はないのでございます。ただ、恐らく実施の段階で、私どもの持っている、通学者に対しては何となく五割割引——もう少し割り引いた方がいいんだという通念が国鉄に作用いたしまして、現在のような通勤と通学の差がついているということだろうと思うわけでございます。したがって、その御提言そのものについては、差をつける必要はないというのも一つの見識だと思うわけでございますけれども、これを実施する段階において、文教政策という見地からどういうふうな御発言があるかというのが、私どもの範囲の外の話でございまして、そこらになりますと、今後の議論によってどういうふうな結論を得るかということになろうかと思います。
  202. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 昨年の旅客運賃制度の研究会におきまして出ました報告の中には、通学が特に通勤と理論的に差をつけなきゃいかぬというようなことは、コスト的にはないんじゃないかというようなことが書いてあったように思います。ただ長い間、通勤と通学というのは実際問題として差がついてきたし、それから国鉄のみならず、いろいろな面で学生というものが割引をされておるという実態は無視できないというようなことがあるので、その辺はひとつ理屈じゃなくて何か勘案すべきではないかというようなことが中に載っておったと思うんです。そこで、どれくらいかということになりますと、先ほどの鉄監局長お話にありましたように、今年度いろいろ関係閣僚の中で議論されまして、それで対策をお決めになるという段階で、われわれとしてはできるだけ早くそういう形で決めていただきたいというふうに考えております。
  203. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 利用者の負担割合はどの程度にすべきだと国鉄はお考えですか。もう一度……。
  204. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 通勤の場合……(四ツ谷委員「通学についておっしゃってください」と呼ぶ)通勤と通学は、そういったかっこうで差が幾らかついておるということで、戦前から大体通勤の……(四ツ谷委員「戦前からのことはいいですから、どの程度の割合にしたいと思っているのか、その数字だけはっきりおっしゃってください」と呼ぶ)ただいまわれわれがこの程度にしたいという数字は、現在では持っておりません。
  205. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 国鉄は、利用者の負担割合をどの程度にすべきだという具体的な数字はお持ちでないということですか。そうですね。
  206. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 いろいろ勉強はいたしたことがありますが、ただいま国鉄として公式に何十%、どうするんだということを決めた数字はございません。
  207. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 その六〇%まで引き下げるという話があっちこっちに出回っておりますけれども、その理由はどうしてですか。火のないところに煙は立たぬ、こう言います。いかがですか。
  208. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 先ほどおしかりを受けましたけれども、通勤に対して通学というものが、従来大体三割くらいよけい引いておるといいますか、先ほど鉄監局長言われましたように、逆にやると五割ということになるかもしれませんけれども、そういうような実績と照らし合わせ、かつ通勤そのものの使用回数であるとか、あるいは利子の問題だとか、そういうことで大体四割くらいという数字がコスト的に見合うんじゃないかというようなこともありますものですから、そういうことからしますと一応六〇という数字は出ますが、この六〇というものを確定したというふうにわれわれが使っておるわけではございません。
  209. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 それでは、公共負担に対する国の助成は、国鉄が公共負担だと言っているもの全額を国で持つということでお話を進めていらっしゃいますか、どうでしょう。
  210. 山地進

    ○山地政府委員 現在公共負担というものについて、何が公共負担かということについて、各省まだ意見が分かれておりまして、これを詰めるのが、公共負担に関する閣僚会議になるわけでございますが、仮に公共負担であるということになれば、そこでコンセンサスが得られれば、それについては国が助成をする。いつの時点からということは別にいたしますと、原則的には国が助成していただくということが至当かと思っております。
  211. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 それでは全額国が負担するということですね。
  212. 山地進

    ○山地政府委員 公共負担がこれだとなれば、その部分については全額ということになります。
  213. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 くどいようですが、それではもう一度伺いますが、先ほど国鉄の方は、利用者の割引率六〇%というのはまだはっきりしていないということでしたけれども、運輸省の方はいかがでございますか。
  214. 山地進

    ○山地政府委員 先ほど要求の御説明をしたときに四〇、六〇という数字を申し上げましたけれども、運輸省が予算要求の段階で考えた数字は四〇、六〇でございます。
  215. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 関係閣僚会議で結論が出るにしましても、いまの運輸省の御方針あるいは国鉄も大体それに乗ってということになりますと、利用者は六〇%の割引率まで値上げされるということになります。そうしますと、国の助成は残ったほんのわずかだけであるということが明らかになるわけです。それで、昭和六十年に利用者の負担が一体どうなるだろうかということを考えますと、この割引率を大体三%から四%切り下げる、それから毎年物価上昇率程度は値上げするという政府国鉄の基本方針、この両方の基本運賃値上げのダブルパンチを受けるわけですから、通学定期は今後毎年、少なくとも十数%の値上げが続くことになります。五年後には現在の運賃の約二・五倍という大変な額になるわけです。私の試算によりますと、通学定期六カ月、立川から新宿まで二十七・二キロ、現行が一万九千五百五十円、これが昭和六十年には約四万八千円になる。それから、私の地元になりますが、天王寺から四条畷まで十九・三キロ、一万七千九百九十円が約四万四千円になる、こういうふうな試算になるわけなんです。こういう状況になりますと、これは子供を学校に通わせている父母の負担というのは、国鉄の通学定期が上がるだけではございませんから、これはもう大変なことになる。消費者の人たちから、これ以上上げるな、とりわけ通学定期についてはこういうやり方はけしからぬという声が起こってくるのは当然だというふうに思います。  それで、関係閣僚会議でいろいろとお決めになるということですけれども、まだはっきりとした方針も決まらないままに、こうした政府責任を放置したままで一方的に利用者に負担を強要するいまのやり方、それで国鉄申請をそのまま認めて二十日からでも認可をしよう、こういうふうになっておりますけれども、せめてこの話が関係閣僚会議できっちりとつくまで割引率の引き下げはおかしいのではないか、このままに凍結しておくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。御答弁願います。
  216. 山地進

    ○山地政府委員 いま数字をお挙げいただいたわけでございますが、その点につきましてはいまの計算の根拠がちょっとわからなかったものですから、あるいは計算の方法によってはそういう数字も出ようかと思います。  それで、御質問の要点は、公共負担について方針も決まっていないのに通学定期を一方的に上げるのはおかしいではないか、こういうことだろうかと思いますが、その点に関しましては、国鉄が少なくともそういう負担をどの程度までということは別にいたしまして、私どもの方で、公共負担というものが八〇%というような大きな割引をすることについては将来どうしても是正すべきであろう。これは閣議了解でも、公共負担については是正するとか見直すとか、そういう問題については検討するというふうに言ってありますのは、やはり直すという方向だけは政府としては認めているわけでございます。そこで、どういうふうなスピードでやっていくかということについては、今回三%の申請があったわけでございますけれども、運輸審議会の方で一・五に抑えたのも、やはりそういったものについてはできるだけ激変緩和をして、一・五%ぐらい上げたらいいだろうという御趣旨かと思うのでございまして、公共負担全般の問題を検討しながら、片方では漸次そういうものについては是正させていただきたいということでございます。
  217. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 公共負担についてはとにかく国が全額負担をすべきだ、こういう方針でやっていただきたい。通学定期のこうした大幅な値上げ、計算の根拠が違うというふうにおっしゃっておりますが、とにかく上がることは間違いなし、家計に非常に大きな影響を与えます。その点については十分に考慮をして、国民にそうした負担がむちゃくちゃにかからないようにやっていただきたい。  次には、貨物運賃についてお伺いしたいと思います。  今度等級制を一本にされた、こういうことでございますけれども、国鉄の方から減収にならないという回答がございました。本当に減収にならないのか、そういうことでお伺いしたいのですが、昭和五十三年度の輸送トンキロ、運輸収入、営業割引の額は一等級貨物で幾らになっておりますか。
  218. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 五十三年のトン数は一億三千三百万トンで、トンキロは四百四億トンキロ、収入は三千七十七億、それから営業割引の額は二百五十五億でございます。
  219. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 一等級貨物が今度一本化されまして減収にならないという根拠をお示し願いたいと思うのですが、昭和五十五年度では輸送トンキロは幾らふえるのか、運輸収入は幾らになるのか、それから営業割引は全廃するのか、この三つについてお伺いしたいと思います。
  220. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 先ほどの数字は全貨物の数量で申し上げております。それで、同じ比較でいきますと昭和五十五年度はトン数で一億三千五百万トン、それからトンキロで三百九十八億トンキロ、収入で三千三百九十億というふうに考えております。  それで、一等級の貨物につきましては、大体一・五%ぐらいタリフの上では下がることになります。そこでこのまま下がるかといいますとそういうことではないので、現在まで行っておりました三等級におきまして品物によって運賃が違うという従価等級制度の中で、競争場裏にあります際にどうやって貨物を運ぶか、それから増収を上げるかということで、ほかの輸送機関との関係もにらみ合わせて営業割引という制度を持っておったわけなんですが、こういうふうに等級が一本化されますと、タリフがかなり下がったことによって競争力もついてくるということで、いままでやっておりました営業割引も必ずしもする必要はないというようなことになりますので、この辺を勘案しまして、一級の貨物につきましては、できるだけ営業割引を引き下げることによって全体としてレベルを上げていきたいというふうに考えておりますので、タフリが下がった分だけ収入が下がるということにはならないかと思うわけであります。
  221. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 もう一度伺います。営業割引はおやめにはならないのですね。
  222. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 営業割引をやっております趣旨からいきまして、今回の改正におきまして営業割引を全部やめるというふうには考えておりません。
  223. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 いまの御説明では、時間がないということもあるかもわかりませんけれども、一等級貨物を等級制を廃止して減収にならないということについての正確なデータとしては、ちょっと国民の方が納得をしないだろうと私は思うのです。昭和五十三年度の貨物収入、全体で三千九十五億円ですか、一等級が二五%でざっと七百七十億円、二等級が五〇%で千五百億円、三等級が二五%で七百七十億円というふうにいたしまして、等級の運賃指数、これは一等級を一〇〇としますと二等級が九〇、三等級が八一、こうなって、計算をしますと、一等級を二等級に改定をするとこれは一〇%の引き下げになるわけです。七百七十億円掛ける一〇%になりますと七十七億円の値下げ、これは国民が勘定したってずばっと出てくるわけです。そうしますと、車扱い運賃九・八%値上げするので、実質一・七%の値下げということになります。そうすると、車扱い運賃は二等級のものも三等級も値上げになるのです。ところが一等級だけ特別扱いしているわけです。これはどうも納得がいかぬわけです。もちろん、いま貨物運賃だけについて言いましたけれども、国民全体から見ますと、みんな上がる、二等級も三等級も上がる、下がっておるのは一等級だけや、これはどうなっているんや、こういうふうな非常に疑問を抱くわけです。だからこの辺につきましては、もう少し正確な基礎データも把握をせずに減収にならないというふうにおっしゃるのは、まことに強弁ではないかというふうに思います。できましたらわれわれが納得がいきますようにきちんと基礎的なデータを全部お出しになって、このとおり減収になりませんということをはっきりとお示しになって、国民の誤解を招かないようにしていただきたいと御要望をいたしまして、次の問題に移りたいと思います。  次は、大阪の安治川口の駅のフレートライナー増強計画についてお伺いをしたい、このように思います。  ここでフレートライナー計画が出されましたが、第一期計画というものがございます。この第一期計画の内容、投資額と投資内容について御報告をいただきたいと思います。
  224. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 安治川のフレートライナー増強計画でございますけれども、これは四十九年から工事にかかっておりますが、計画されたのは四十八年時点でございます。計画の概要でございますが、第一期計画、四十八年時点にいろいろ検討いたしまして計画した内容でございますが、これはフレートライナー用のコンテナ扱い設備を増強するということで計画いたしまして、その設備といたしましては着発線を三線、留置線を二線、機回り線一線、延長で申し上げますと、着発線が千八百メートル、留置線が千百メートル、機回り線一線、それからコンテナを扱いますホームを二面、千百メートルという長さの規模を考えたわけでございまして、工事費といたしましては総額その時点で約三十三億というものを計上いたしました。取扱能力としては百八十万トンということを目標にしたわけでございます。     〔委員長退席、関谷委員長代理着席〕  しかし、実際に実施いたしましたのは、このうちの一部を実施いたしまして現在の設備ができているということでございまして、できておりますのは、先ほど申し上げましたうちの留置線が二線分、約千メートルでありますが、それとコンテナホーム二面、五百五十メートル、これを中心にしてつくりまして、その場合の工事費が約十億でございまして、取扱能力としては百三十万トンということが実施した内容でございます。
  225. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 そういたしますと、この第一期計画は昭和四十八年に決定をされて、四十九年に工事開始ですね。完成したのはいつでございますか。
  226. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 五十年の三月に使用開始いたしております。
  227. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 これはもちろん国鉄の土地だと思いますけれども、堀割りだとか旧貯木場を埋め立てて計画をされましたね。ところが、私実際に行ってまいりましたけれども、草がぼうぼう生えておる、それからヘドロもほかしてある、廃材もほってある、こういうふうな状況で、せっかく埋め立てられました土地がその後使われずに遊休化しているところがございます。それはどうしてですか。
  228. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 ただいまお話のありましたように、この計画をいたしましたのは、この安治川に、水扱いをやっておりました堀、それから貯木場というものがあったわけでございます。これが、四十八年時点になりますと、この水扱いが非常に減りまして、これを、その時点では桜島でも同じように扱っておりますので、そちらに統合した方がいいじゃないかという話が出まして、そうなりますとこの水面というものが全然使う当てがなくなったものですから、これを埋め立てる。その埋め立てる場合も、主として国鉄関係で発生いたします発生土砂、それから一般民間から出まして土捨てをするというような材料も入れまして、この堀を埋め立てたわけでございます。その時点で実はフレートライナーの計画をしたわけでございますが、実はコンテナ扱いというものが、昭和三十五年から始まりましたけれども、四十八年時点までは非常に順調に伸びてきたわけでございます。したがいまして、大阪地区におけるコンテナ扱いというものも、この時点までは非常に伸びてまいりまして、この先扱いが伸びていくといたしますと、とても既往の設備では対応し切れなくなるということがその時点で予測されたものですから、そうなりますとどこかに増強しなければいけない。たまたま安治川は、いま申し上げましたように、水面を埋め立てることによりまして民間の土地を買わずに国鉄貨物用地とすることができるということもありまして、ここにそういう計画をしたわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、実際には百三十万トン扱いで工事をやめまして、現在それを使っているわけでございますが、その後の貨物の情勢、これが一般の国内情勢あるいは道路、トラックの問題等に遭いまして思うように伸びてこない、むしろ減少傾向にあるということでございますが、したがいまして、計画よりも縮小した形でいま扱っている、したがって余剰用地が出ているというのが現状でございます。  したがいまして、これについての使い方を考えなければいけないわけでありますが、実はあそこに液体化成品関係を扱っている専用線を持っている荷扱いがございます。これを今回増強するということになりまして、その一部はこれに充てられるということで、現在工事を始めたという状況でございます。いずれこれができ上がりますと、この液体化成品が水扱いを含めまして始まるわけでございまして、それにこの用地が使われるわけでございますけれども、それでもまだ、この埋め立てた面積が約六万平米でありまして、全部をこれで使うということになりませんで、一部残るわけでありますけれども、これらにつきましては、今後の貨物の輸送状況等を見ながら、使い方を考えていきたいというふうに考えております。
  229. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 先ほどのお答えでは、第一期の増強計画では初め百八十万トンということで計画をされた。ところが実際には百三十万トンでしたね。そういうことで輸送需要を見込んで工事をされた。これに対しまして実際輸送量はどういうふうに推移したのでしょうか。
  230. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 安治川の駅の貨物の取扱量の推移でありますが、過去、最近の数字で最高になりましたのは昭和四十六年でございまして、その時点のコンテナ扱いが五十九万六千トン、それから車扱い、専用線扱いがございまして、合わせまして百五十一万トンというのがその当時の安治川駅の貨物の年間の総取扱量でございます。  これが、五十三年時点で申し上げますと、コンテナが二十九万二千トン、車扱いが四万トン、専用線扱いが五十三万二千トンということで現在八十六万四千トン。五十四年度の実績で、一部これはまだ数字が確定していないかと思いますが、ただいま私どもが手元に得ている数字で言いますと、コンテナが約三十万三千トン、車扱い、専用線扱いで六十四万六千トン、合わせまして九十四万九千トンというのが最近の実績でございまして、五十三年度から少し上向いてきたというのが最近の状況でございます。
  231. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 この数字を見ますと、はなはだしい食い違いではないかと思うのです。昭和四十八年度計画決定、こうなっておりますけれども、この年には御存じのとおりに石油ショックが起こっております。余りにもずさんな計画ではなかったか。いろいろ先ほど需要量の変化について御弁解がございましたけれども、結果としては結局十億円ほどのお金がむだ遣いになったままになっている。仮に先ほどおっしゃいましたように化成基地が稼働しても、やはりまだ大半の土地が遊んでいる、こういうふうな状況になっている。問題は需要見込みが把握できなかったというふうなことではないかというふうに思うのですけれども、当時国鉄はコンテナの需要見込みをどのように立てておられたのでしょうか。昭和四十四年の第一次国鉄再建計画の中で昭和五十三年度にはどのぐらいになるという見込みを立てておられましたですか。
  232. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 ただいま調べておりますので、暫時お時間をいただきたいと思います。
  233. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 それではついでに五十三年度のコンテナ輸送のトンキロは幾らになっているか、一緒にお答え願いたいと思います。
  234. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 国鉄全体の数字はちょっと私用意してなかったのですが、大阪地区で申し上げますと、五十二年度のコンテナの取扱実績というものは二百七十万トンでございます。非常に飛び飛びで申しわけないのですが、四十年時点の取扱トン数が七十三万トン、四十六年が三百九万トン、五十二年が二百七十万トン、これは大阪地区着発のコンテナでございますが、そういう状況でございます。  全国的なものについては、ちょっとお時間をいただきたいと思います。
  235. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 調べてくださるのですか。
  236. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 いま調べておりますから、ちょっとお待ちください。申しわけありませんが、いまちょっと数字を持ってきておりませんので、恐れ入りますが……。
  237. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 それでは私の方から申し上げます。  第一次再建計画では、五十三年度三百四十五億トンキロ。  これをちょっと見てください、国鉄さんも大臣もみんなこのグラフを。この赤いのが第一次再建計画のコンテナ輸送計画なんです。だけど、実際五十三年に幾らかといいますと、八十四億トンキロですよ。どうですか、この開きは。わずか四分の一しか実際に輸送実績は上がっていないではありませんか。  国鉄は赤字赤字とおっしゃいますけれども、それは国鉄の赤字というのは国民がつくったものではないということは、もうこのグラフを見ただけではっきりするんじゃないですか。これは普通御商売をしていらっしゃる方がこんな計画を立てて商売をしたら、たちどころに破産をしてひっくり返ってしまうのはあたりまえですよ。こういうふうな、コンテナだけに限ってでも、こんなコンテナ輸送計画を立てて、実際はちょうどこの四十八年というあの石油ショックからずっと実績が落ちているわけです。にもかかわらず、この第一次再建計画というのは、こんなですよ。これは国民に一体どういうふうに説明をされますか。見込み違いというふうなものではありませんね。計画そのものが過大と言おうか無謀な計画だ、こういうことを言わざるを得ないと思うのです。  わが党の内藤議員が、参議院でもむだ遣いの問題について御質問をさせていただきました。そのときも総裁がどういうふうにお答えになっているかと議事録を見ますと、当時はよかれと思ってやったんだというふうにお答えになっているわけです。こんなものを見て、よかれと思ってやったんだなんて言われると、国民は大変迷惑をするわけです。  こういうふうなことを見ますと、これは総裁にお聞きしたいのですが、こういうふうな計画の立て方は、当時のあの悪名高い列島改造計画に悪乗りをしてお立てになったのではありませんか。
  238. 高木文雄

    ○高木説明員 いまの問題は、一貨物輸送の問題ではなくて、またフレートライナーの問題ではなくて、国鉄経営全般にかかわる非常に重大な問題でございます。  従来から、過去において立てられました計画を見ておりますと、一応国全体の計画、いろいろ長期経済計画がございますが、そうした長期経済計画の伸び率を前提として、われわれの役割りを果たすべく、事前に設備を広げようということで、いろいろ計画が当時立てられておりまして、当時立てられました計画はかなり、いまの安治川だけでなくて、大規模なものでございます。それの経済に対応した輸送の役割りを果たすためには、設備を増強しなくてはいけないと考えたわけでございまして、つまりその意味でよかれと念願してつくった案であったわけでございますが、それがどこで狂ったかといいますと、経済計画全体がそのとおりいかなかったという面もありますけれども、やはり道路輸送によってどの程度変化がくるかということの見通しが、いま考えてみると非常に悪かったと言えるのでないかと思います。  御存じのように、四十五年、いま御指摘の点は四十八年のオイルショックの後の問題でございますけれども、いま数字をとってみますと、オイルショックの後に貨物輸送量が減ったわけじゃなくて、四十五年をピークにして減ってきたわけでございまして、それを考えますと、その当時の計画の一つの大きな狂いは、経済全体の伸びの問題もありますけれども、それよりも、輸送分野におけるシェアの大きな落ち込みによった面が大きいように私は判断をいたしております。  それでもう一つは、いまも満点ではないのですけれども、いまとは違いまして非常に輸送が乱れまして、安定的輸送が当時極度に落ちております。したがって、値段の問題もありましょうが、当時は運賃改定貨物については余りやっていなかったのにかかわらず非常に急激に減りましたのは、輸送が乱れて、荷主さんからこれでは頼りにならぬということがあって、そこへちょうど道路がどんどん整備されてきましたからということでシェアが落ちていったものだというふうに考えております。  しかし、いずれにしましても、そのことはうちの国鉄全体の経営に非常にぐあい悪くなっておるわけでございまして、非常に貴重なお金をお借りして、そしてむだな設備をつくったという面は非常に大きな問題でございます。その点は大いに反省をしなければならぬ問題でございますけれども、それと同時に、全体として経営がその貨物の問題ですっかりぐあいが悪くなったわけでございます。  そこで、そういう問題がありますので、御存じのように五十一年時点で貨物についての対処の基本態度を変えたわけでございまして、五十三年の十月と本年の十月と二回にわたりまして抜本的に貨物の輸送方を変えるということで、輸送力をピークに比べて大体七割に落とす作業をやっておるわけでございまして、その七割に落とす作業がこの十月に完成をする。日々の輸送はそういうことで落としますから、むだが減ってまいるといいますか、なくなってまいりますけれども、余剰投資による損失をカバーする道は急には見つからないわけでありまして、今回十月のダイヤ改正で相当思い切って減らしますけれども、しかしそれは日々の経常経費のむだを減らすことはできますけれども、過去の過剰投資によるむだは急には減らないということになるわけでございまして、それをいまもう一回立て直しを計画をいたしております。  貨物の問題は、確かにどう見ましても計画違いがあったわけでありまして、それは個々の問題というよりは、どこのヤードがどうだという問題よりは、全体としての計画に大変大きな狂いが出たということで、これがまた国鉄経営全体を非常に悪くしている大きな原因でございまして、これをいま一生懸命やってはおりますけれども、まだまだ一〇〇%できておるわけではない、いろいろなことをやらなければなりません。それを取り組んでまいりたいと思いますので、御指摘の点については謙虚に、私どももそのとおりに考えておりますから、受けとめて取り組んでまいりたいというふうに思います。
  239. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 では、少し問題を変えましてお尋ねしますが、この安治川口の計画にもう一度移りますけれども、第一次計画があって、そして縮小して、いまある第二次計画も当初考えられておった、こういうことでございますけれども、この安治川口の第一次計画はいつ計画の中止決定をしておられますか。
  240. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 この計画を決めまして、いま第一期計画とおっしゃいました百八十万トン扱いにつきましては、一応この時点で全体構想として百八十万トンというものを考えまして、とりあえず実施する分として百三十万トン分を実施するということで予算化したわけでありまして、それ以後百八十万トンについての実施計画、予算をつけるということはいたしておりませんので、現在は百三十万トンで終わっているという状況でございます。
  241. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 そうすると、第一次計画は百三十万トンで終わっている。しかし計画そのものは中止決定をしているのですか、それとも今後引き続き実施する可能性があるのか、どちらですか。
  242. 高木文雄

    ○高木説明員 結論的に申しますと、計画は変更しておりません。ただ三十億の計画のうちの十億部分を実施しただけで、実行していないということでございます。  そこで、なぜ計画を変更していないかと申しますと、実は大阪地区の貨物輸送体系は全面的に直すことになっておりまして、その直す基準になりますのは、鳥飼に新しく大きな貨物基地をつくるということが基本になりまして、それによって全体を動かしていくことになっているわけでございますが、鳥飼の用地取得につきまして非常に難渋をいたしまして、十年ぐらいかかりましたけれどもなかなか解決がつきません。また遺跡が出てきたというような問題がありまして、おくれました。それがやっと片づきましたのが五十三年の暮れでございます。それで、いま鳥飼の方の整備を急いでおりますけれども、どうも予算の関係もあって予定どおりにはなかなかできませんので、最初考えておりました五十六年からの鳥飼の利用は少しおくれると思います。その計画が一つ片づきませんと、順番に回していくものですからいかないわけでありまして、鳥飼にそれができますと、御存じの梅田の駅のそばに非常に大きな用地がありますが、あそこでやっております仕事を鳥飼の方へ移します。それで今度は梅田の土地を、大変高い土地でございますので大いに活用したいと考えております。それとの関連で今度は梅田にあります仕事の一部を安治川に移すことを考えておりましたけれども、いまそれもこういう事態でございますからちょっとどうかなということで、いま大阪地区全体の貨物、荷物のあり方の再計画をしておりますので、それがはっきりいたしますならば、御指摘のように第一次計画を途中のところで打ち切って新しい計画に切りかえるという措置も必要かと思いますが、まだいま試行錯誤でいろいろな案を考えておるところでございますので、計画をやめるということまではいかないで、仕事をとめるという形でいまやっております。
  243. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 いまの総裁のお話を聞いておりますとわかるような気もするんですけれども、しかし先ほどからの輸送需要から見ましても、またいま国鉄全体で貨物の輸送の計画の見直しをしておられる、恐らくいまの安治川口のフレートライナー計画の第一次計画というのは、いまの現状では今後引き続きこの計画に乗って実施をされるということはないのではないかというふうに思うのです。そういうふうな場合になぜ中止をしてしまわないか。こういうふうな国鉄の計画は中途半端に全部、こういうふうに中止でもなければ見直しでもない、皆たなざらしでそのまま置いておられるんでしょうか。一般論としてどうですか。
  244. 高木文雄

    ○高木説明員 もうはっきりこれはやめたというときには、もちろん計画を変更いたします。しかし現在の貨物に関するもろもろの設備投資計画については、率直に申しまして、ほかの地区でも、計画はありますけれども計画を変更はしないで実行の段階でとめているというのが大部分でございます。  なぜそうなっているかといいますと、実は五十三年からまた貨物がふえ出したわけでございまして、しかも全国的に見ますと、まだ横ばい程度でございますけれども、石炭の輸送がなくなったり材木の輸送がなくなったりしましたが、今度は石油の輸送がふえるとか、そういう形で品目別に違ってきておりますし、地域別に違ってきております。また、最近非常にやかましく言われておりますのは、エネルギーとの関係でもう少し鉄道輸送が表へ出ていったらどうだ、トラック輸送はエネルギーロスが多いじゃないか、あるいは騒音の問題が出るじゃないかということで、トラックにお任せしておかないで、もう一遍、鉄道よ、おまえもっとしっかりやったらどうだという意見が出ておりまして、貨物計画全体についてはどういうスタンスであるべきかということで弱っておるわけでございます。先ほど来のおしかりで、私どももそう思って大変胸にこたえるわけでございますけれども、過去において計画の狂いが出ましたので、エネルギー問題があるよ、あるいは鉄道よもっとしっかりせよと言われましても、またそうなかなか思い切ってこの際計画を伸ばして二度と同じような失敗をしてもいけないということもあり、いまやや気迷いで見ておりまして、それは一にかかって今後エネルギー問題がどうなっていくか、それからエネルギーに対応してわれわれが貨物輸送についてどういうスタンスをとるか、これをもうちょっと時間をいただいた上で決めなければいけない、そのあたりで従来の諸計画を最終的に立て直しをいたしたいと考えております。
  245. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 いろいろと総裁が御苦労しておられるのはよくわかりますけれども、この計画も五十年完成後すでに五年も経過しています。経済状況も変わってきています。きちんと中止決定をしないでずるずると年月を費やしておりますので、この間の利息だけを考えても大変なものになると思うのです。全国的には、総裁もおっしゃっていますが、こういうふうな中途半端になっているものがたくさんあると思うのですけれども、早急にこういうふうなものを、やめるものはやめる、そしてまた同じような過ちを繰り返さないようにぜひきちんとしたことを国民の前に明らかにしていただきたいと思うのです。  最後に、もう時間がございませんので、運輸大臣にお伺いしたいと思います。  国鉄も非常に御苦労が多い、運輸大臣も御苦労が多いと思いますけれども、先ほどのグラフで見せましたようなことがわが国の運輸行政の中で非常に明らかになってきています。とりわけ国鉄の赤字問題については、これは監督官庁である運輸省の重大な責任だと思うのです。  私がきょう問題にいたしました安治川口の問題といい、この間参議院の予算委員会でわが党の内藤議員が指摘いたしました一千百十億円に上るむだ遣い、こういうふうな問題について、国鉄運輸省みずからがこういうむだ遣いがありましたとか、こういうところで間違っておりましたというのが、なかなか御自分の方では明らかにされない。大体私たちの党ですとか、あるいはほかのところから指摘をされている。そういうところにいまの国鉄の赤字を生み出した最大の原因があるのではないかと思うのですが、こういう問題は、国鉄並びに運輸省が私たちに指摘をされるまでもなく調査をし、その全容と国鉄経営実態国民の前に明らかにされるお気持ちはあるでしょうか、運輸大臣にお伺いします。
  246. 高木文雄

    ○高木説明員 ちょっと一言だけ申し上げさせていただきます。  過剰設備の問題については、御指摘を受けるまでもなく、内部では前々から非常に問題にしておりまして、それが対外的に出ておるものとしては、監査委員会監査報告指摘をすでに前々から受けております。また、会計検査院からも五十二年度決算でしたか五十一年度決算かで指摘を受けております。  しかし、実を申しますと、監査委員会から御指摘を受ける時期も、それでもまだ遅かったぐらいの感じでございました。それに対する対応はいま一生懸命やっております。しかし、いま申しますようになかなかやっかいな問題でございまして、その上に、さあどうしようかと言っていましたら、今度はエネルギー問題が起こってきたというようなことで、少しもたついておる点は申しわけないと思っておりますが、これは私ども自体の問題でございます。一般的に、運輸省の政策論もありますけれども、私ども自体としても大変な問題でありますので、一生懸命取り組んでおりますことだけ御報告させていただきます。
  247. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 高木総裁の御答弁に尽きるわけでございますが、国鉄の設備投資については借入金に依存いたしまして、いわゆる金利のつく金で行われるわけでございますので、この必要性を十分熟慮して、正確な判断をしていくように指導してまいりたいと存じます。
  248. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 最後に運輸大臣国鉄総裁に申し上げたいのですけれども、きょうは国鉄貨物輸送問題で、非常にずさんな計画のもとに行われた、そのことを指摘したわけです。とにかく受益者負担ということがよく言われます。そして、この一九七五年「国鉄実情を訴える」というところにも、安いのがいいのではないのだ、国民運賃を負担してもらおうということを言っているわけでありますけれども、このようないわば大名商売というかずさんな商売をして、そのつけを国民に回すということでは、国民としてはとうていこれは許すことはできません。先ほど指摘しましたような問題、監査委員会の御指摘が遅かったぐらいだなどという総裁の態度は許せないと思うのです。監査委員会からそういうものが指摘されるまでに、なぜみずからそういうことがわからなかったのか。これは国のお金でやっている、借金でやっていると言うけれども、結局国民の負担によって国鉄運営されている中で、きわめてずさんな商売をやっている、そういうことは絶対に許せないと思いますので、その点を重々国民の前に明らかにされるように再度言いまして、私の質問を終わらしていただきます。
  249. 関谷勝嗣

    ○関谷委員長代理 永江一仁君。
  250. 永江一仁

    ○永江委員 私は、きょう行われております国鉄の違法ストの問題についてまずお尋ねをしてみたいと思います。  きょうは私どもの党が大会をやっておりますので、九段会館と行ったり来たりしておりまして、現状がちょっとよくわかりませんので、本日の国鉄スト状態と今後の見通しについてまずお答えいただきたいと思います。
  251. 吉井浩

    ○吉井説明員 本日の違法スト状況でございますが、私、三時ごろ本社を出てまいりましたが、その時点においてはまだ公労委として調停案の御提示がございません。したがいまして、ストの情勢がそのまま継続しておる。今日の状況としては、新幹線はほぼ平常どおり動いております。その他若干の線区において若干の列車を動かしておりますが、その他国電を含め、大半については現在まだとどまっておるという状況でございます。
  252. 永江一仁

    ○永江委員 ところで総裁、こういう国民の何百万の足を奪うという、いま現在時点、国民の多くがこのストのために非常に迷惑をこうむっておるわけでございますが、このことについての責任なり所見という点で、総裁に国会を通じて国民にお答えいただきたいと思います。
  253. 高木文雄

    ○高木説明員 申すまでもなくストは法律上禁止されておるわけでございます。にもかかわらず、公社スタート以来今日まで、全くストがなかったという年がほとんどないような状態が続いておるわけでございまして、これは何とか直していかなければならないことだと思います。  今年の情勢といたしましては、国鉄経営状態、財政状態もございまして、組合サイドの対応についてもここ数年のうちでは比較的落ちついた雰囲気にあるというふうに判断をいたしておりまして、こういうことにならずにいけるのではないかとけさ方まで期待をいたしておったのでございますけれども、いろいろな経緯があるようでございますが、いずれにしても事実問題として、電車、列車が動かないということは厳然たる事実でございまして、これでは私どもが公共機関としての役割りを果たしておることになりませんし、また営業的に考えましても欠陥商品を売っておるということになるわけでございまして、これでは今後の立て直しにもいろいろ支障が起こるということもあります。国民の皆様に御迷惑をおかけしている点はまことに申しわけない、まずこれを直すことが私どもの役割りだと思っておるわけでございますが、それがうまくいかない、しかもこういうことではなかなか再建もできにくいということでございまして、こういうところへ出てお答えをいたすのもまことにつらい、そういう心境でおります。
  254. 永江一仁

    ○永江委員 総裁のつらいというお気持ちもわからぬでもないのです。けさほどまでこれが回避できると期待をされたということは心情的にはわかるのですが、私はそのあたりに大変甘さがあると言いたいわけです。これは毎年毎年春のシーズンには繰り返されてきて、本当に多くの大衆が迷惑をこうむっておる。大臣も朝からじっとお座りでございますが、運輸行政の最高責任者としてこの機会にひとつ国民に所見といいますか、おわびというような立場での発言をぜひ私はいただきたいと思うのでございます。何といっても、皆さんのように自家用車がある乗用車があるという人はごくわずかなのでありまして、何百万の勤労大衆がこのことによって本当に切実な迷惑をこうむっておることを自分のこととして感じる中でこの問題と対処していただきたい。毎年毎年のど元過ぎれば熱さを忘れるで、また来年になれば同じことを繰り返す。これは国民にとってもがまんには限度があると思うのです。そういう点でひとつ大臣から御答弁いただきたいと思います。
  255. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 たびたびストを行わないようにという警告をしておったわけでございますが、本日ストに突入をいたしたことはまことに遺憾なことと存ずる次第でございます。そのゆえで大変国民の皆様方に御迷惑をおかけしたことについて、私からも心からおわびを申し上げたいと存じます。
  256. 永江一仁

    ○永江委員 ところで、大臣も総裁も国鉄の列車は走らせたい、これは国民の願いであり、皆さんの姿勢であると思うのでございます。そこで、大阪鉄道管理局管内におきまして、同じ国鉄の労働者の中におっても、国民の足はわれわれが守らなければならないという立場に立って、列車運行をやろうという本当に献身的な計画を立てて取り組もうとしておったわけでございます。先ほど聞いてまいりましたが、残念ながら結果的には列車運行はできなかったわけでございます。大体一時間に一本ないし二本は大阪鉄道管理局管内でも走らすことができる、そういう計画を立てておったわけでございますが、現実にできなかった。この中において、管理者側の姿勢にも非常に問題があると私たちは指摘せざるを得ないのでございますが、こういう大阪鉄道管理局管内における列車運行確保の問題に対して、当局はどういうふうな姿勢で受けとめられてきたのか、そして本日までそのことについて具体的にどういうふうにやってきたのかお答えいただきたいと思います。
  257. 吉井浩

    ○吉井説明員 ただいま先生のお言葉のとおり、このような違法な状態で列車の運行が停止いたしますときに、国鉄としては全力を挙げて列車の運行を確保いたしたいということで、これは当然のことでございます。  ただその場合に、一つの制約といたしましては、列車を運行いたしますためには乗務員、車両等々が整いますことと、それから違法ストに突入いたしましても、私どもできるだけ早くに正常な運行に戻したいという期待を持っておりまして、そのために、それと相矛盾しない、両立せしめることで列車の運行を確保するという一つの制約があろうかと思うのでございます。  それともう一つ、実際問題といたしまして、特に東京、大阪のような国電区間で列車を運行する、大変大ぜいのお客さんが殺到なさいますとかえって非常な混乱が生ずるということで、ある程度の列車の本数を確保しなければならないというところに非常な悩みがございます。私ごとでございますが、実は私も大阪の管理局長をやっておりますときに同じような問題に直面いたしまして大変悩んだのでございます。     〔関谷委員長代理退席、委員長着席〕 この中で列車を動かして、かえって非常な混乱を来してはいかがかというふうな配慮から断念したという経験がございます。前置きが長くなりました。  それで、実は昨年あたりから大鉄当局は、鉄道労働組合の強いお申し入れもありまして、ひとつ今度は何とか列車を動かそうではないかということでいろいろ検討を加えてまいりました。そういたしまして私が先ほど申し上げましたような諸条件の中で最大限の努力をいたしました。何とか本線の上に一時間一本程度列車を動かしたいということで、実は月曜日にはその旨発表いたしました。何とかその実現をいたしたい、私どももぜひともそれを推進してもらいたいというふうに大鉄当局とも連絡をとっておったわけでありますが、残念ながら、その段階におきまして国労、動労が非常に戦術を強化いたしまして、そのために運行すべき電車の運用に非常に滞りがまいりまして、昨日までいろいろと大鉄当局も検討いたし、私どももいろいろ相談をいたしたわけでありますが、結果的には、残念ながら営業列車としては運転ができなかったという状況でございます。しかしながら、運転列車としてではございませんでしたけれども、きょう西明石−神戸間あるいは大阪−京都間、ストに入らない組合員による運転をいたしたということで、営業運転ができなかったことにつきましては大変残念でございますが、私どもの時代にそのようなもろもろのふぐあいの予想のもとに断念しておりましたことを、今回大阪は最後まで追求をしてまいったというところに一つ大きな意義があるというふうに私ども思っておる次第でございます。
  258. 永江一仁

    ○永江委員 これは鉄道労組のこういう列車運行に対する要望に対して四月九日付でおたくの方で、スト時においても列車運行の確保に最善を尽くすよう地方を指導している、こういうことで回答しておるわけでございます。いまのお答えで、そうありたいと願っておったという気持ちはわかるのですけれども、具体的にどういう指導をしておったのかということをお答えいただきたいと思うのです。
  259. 吉井浩

    ○吉井説明員 一つには、スト前の状況でございますからあくまでも予測の状態でありますが、仮に国・動労その他の組合がストライキに入りましても鉄労の組合員で列車運行ができるようにということで、まず鉄労の組合員で連続いたします電車の行路交番というものを確定をいたしましてそれに対して電車の運用を結びつけるということで作業いたしてまいったわけであります。これは特にやはり具体的な現地の作業でございますので、現地中心に行ってまいったということでございますが、本社としてもいろいろな点につきまして、現地解決できない問題があったら相談に乗ろうじゃないかということでやってまいったということでございます。
  260. 永江一仁

    ○永江委員 これはとにかく鉄道労働組合の仲間が本当に国民の足を守らうという立場で——これは本来当局が先頭を切ってやるべきことなのです。それをあえて立ち向かって計画をしているということに対して、先ほど局長にお答えいただいたのですが、そういうことで一時間に一本、二本出せば人が集まってかえって危険であるとか——確かにそういう理由なきにしもあらずだと思います。しかし、現実的な問題としては、電車が走る、列車を運行するということが正しいことなのでしょう。昨日のサンケイ新聞の夕刊でも、国労、動労対鉄労の対決、労労対決で二十六万人が迷惑をこうむった。これは若干けんか両成敗的な記事でわれわれとしては納得できないのですけれども、いずれにしても、片一方ストをやろうとする、片一方は電車を走らせようということに対して、これはけんか両成敗的な問題じゃないと思う。電車が走る、列車が走るということが正常なことなのです。それを当局が危険があるとかなんとかということで及び腰で今日まで来ておるというところに非常に大きな問題があるとわれわれは指摘をせざるを得ないわけなんです。そういう意味で本当に列車を運行させるという正しいものが浮かばれて、それをとめる方が間違っておるという毅然たる態度を確固たる信念のもとに当局もとっていただかなければ、結局国民、勤労大衆が非常な迷惑をこうむっておる、このことから脱皮することができないと思うわけでございます。  しかも、そういう中で鉄労の仲間が本当に自分たちの職場を守ろうということで、従来もあったわけですけれども、ストの日にも出札、改札にあるいは駅に出てくる。そうすると一般のお客さんに、そういう国労、動労、鉄労も同じ国鉄の服を着ておりますから、なまじっかそこへまじめに働こうとして出てきておる鉄労の労働者が国民から殴られたり、けられたりしてきておるわけです。しかも管理者の駅長なりが、そういうことで働こうと意欲を持って来る者に対して、来てもらったらかえって混乱するから仕事をするな、こういう態度を今日まで続けてきておるわけでしょう。そういうことがいかに国鉄の職場を荒廃させたかということをひとつ総裁なり大臣も含めて十分肝に銘じていただかなければならないと私は強く主張するわけでございます。  そういう中において、昨年スト処分の問題で凍結がされておるわけでございますが、本日時点で再びこういう違法ストが繰り返されたという中において、このスト処分凍結の問題についてはどういうふうに対処されるのかお答えいただきたいと思います。
  261. 高木文雄

    ○高木説明員 昨年はかなり異例な措置としての凍結ということをやったわけでございますが、さればこそ、ぜひことしはそういう違法状態が起こらないことを念願をいたしておったわけでございますし、国・動労もそれは十分心得ておったわけでございますけれども、結果としてはこういう事態になったわけでございます。結果としてそうなった以上は、やはり本則に戻るのが当然のことでございまして、当然処分をいたすというつもりでおります。その処分という意味は、いわゆる凍結解除と本年の処分というものを含めまして処分をいたさなければならないという、非常に残念な事態ではございますけれども、そういう本来のあるべき姿にならざるを得ない事態になったと考えております。
  262. 永江一仁

    ○永江委員 いまのお答えは、昨年のスト処分凍結を解除するということでよろしいですね。
  263. 高木文雄

    ○高木説明員 そのとおりでございます。
  264. 永江一仁

    ○永江委員 それでは、本日から始まっておるストの問題についての処分はどうなさるおつもりでございましょうか。
  265. 高木文雄

    ○高木説明員 ストは法律上禁止されておるわけでございますから、当然のこととしてしかるべき処分を行わざるを得ないと考えております。
  266. 永江一仁

    ○永江委員 きょうから始まった七十二時間が予定されておりますストによって、一体国鉄でどれぐらいの減収を見込んでおられますか。どれぐらいの減収になりますか。
  267. 高木文雄

    ○高木説明員 従来から申し上げておりますように、五十年の十一月から十二月にかけて行われました非常に長期のストというふうなときには損害額の算定ができるわけでございますけれども、半日とか一日とかいうような形でのストの場合には、お客さんが前に乗られるとか、後から乗られるとかいうことがありますので、損害の額というものは算定ができないという考え方を従来からとっておりますし、今回の場合にも損害額を算定することはほとんど不可能だと考えております。
  268. 永江一仁

    ○永江委員 どうも不可能だというお答えで納得するわけにいかぬのですが、ちょっと質問のあれは変わりますが、確かにいまのストライキは賃上げを要求しておる中でのストライキであるということになっておるわけでございます。ところが、御承知のように、公労協の給料というのは公労委によって裁定がされて毎年賃上げが決定されてきておるわけです。これは、私鉄なりあるいは民間産業の労働者の賃上げの闘争の経過、結果の中において公労協の国鉄の職員などの賃金も決まってきておるわけです。われわれの見解によると、ストライキというものは、ストライキを打つことによって一銭でも一円でも賃金が上がるならばこれは基本的権利としても当然でありますし、われわれは何ら反対するものではございません。しかしながら、今日までの国鉄の職員の給料というものが本当にストによって上がったことがあるのかどうかということなんです。これはやはり公労委の裁定によって民間産業との関係において、本来なら赤字を出しておれば賃上げが非常にむずかしいにもかかわらず、一定の水準は上がってきておるということも事実なんです。われわれといたしましては、ストによって本当に国鉄のそういう給料が上がったというふうにはとらないのでございますけれども、国鉄当局としては、ストによって賃金裁定が決まるとお考えでございますかどうか、お答えいただきたいと思います。
  269. 高木文雄

    ○高木説明員 ストライキをやったことによって賃金がどうなったかということは、いまの制度論と運用論といろいろありますのでお答えは避けさせていただきたいと思います。
  270. 永江一仁

    ○永江委員 総裁としてはお答えしにくいということでございますが、われわれの見解は先ほど申したとおりでございます。そういうことで、結局国民に迷惑をかけ、しかも国鉄の労働者にとっては、いろいろな処分によって国鉄の労働者自身が後でまたツケを払わされておる。国労、動労の組合も含めて国労、動労組合員が実際にはそういう面でマイナスをこうむっておる、この事実関係だけはわれわれとしても指摘しておきたいと思うのでございます。  次に、今日のストの前段あるいはふだんからよく見るのでございますが、いろいろ国鉄の列車なり施設にビラ等がよく張られておるわけでございます。このビラ貼付についてのよしあしは別といたしまして、現実問題として昨年最高裁において札幌におけるビラ貼付の問題についての最終的な判決が出ておるわけでございますが、このことを踏まえて、当局はこの各施設に行われております行為に対してどういう対処をしてきたのか、お答えいただきたいと思います。
  271. 吉井浩

    ○吉井説明員 昨年の最高裁の判決以前におきましても、私どもはやはり国鉄の施設管理権という立場から、車両なり国鉄施設なりにビラを張る、あるいはその他のものを置くということはかたく禁じてまいったわけであります。昨年の最高裁判決は私どもの主張が認められたというふうに考えるわけでありまして、したがいまして、私どもまず施設物、特に車両についてでありますが、絶対にビラその他はまず張らさないこと、仮にそのようなことが起こりましても、直ちに撤去させること、あるいはまた管理者の手によって撤去すること、こういうことで局なり現場なりを指導してまいりました。今日もその指導をいたしておるわけでありますが、ただ、場所によりまして、撤去をしますとまた張るといういわばイタチごっこが起こりまして、そのために見苦しい状態をお目にかけるという状態にあることは、大変に申しわけなく思っておるわけでありますが、私ども今後とも施設につきましては、十分に施設の管理に意を尽くしまして、このような事態をなくしてまいりたい、このように存じておる次第でございます。
  272. 永江一仁

    ○永江委員 去る三月二十七日に衆議院の決算委員会におきましてわが党の中野代議士が質問をしておるのでございますが、こういうことについて十分把握をし切れていないということで、それを十分に掌握するようにという質問をしておるのでございます。自来二十日間以上過ぎておるのでありますが、現状においてどのようになっておるのか、お答えいただきたいと思います。
  273. 吉井浩

    ○吉井説明員 中野先生から御指摘をいただきました。ただ、私どもただいまも申し上げますように、現場におけるビラ等々につきましては、これを一々局なり本社なりに報告して処置を仰ぐということではなしに、やはり現場で速戦即決で対処すべきものであるというふうに指導しておりますし、また現場におきましても多くのところではそのようにいたしておりますので、全国どこの場所でどのようなビラがあるかということを局なり本社なりの段階に一つ一つ報告をとりまして集計をいたすということは、大変に煩瑣でもございますし、むしろ現場におきまして、その事態にすぐに対応するようにということで指導をしておるということでございます。ただ、この前も中野先生から幾つかの事例につきまして具体的に写真その他でお示しがございました。私どももまた場所によって非常に目に余るものがあるという認識を持っておりまして、したがって、そういう目でよく現場もさらに対策を厳にする、また局におきましても現場を十分に指導するというふうに進めておる次第でございます。
  274. 永江一仁

    ○永江委員 その時点でも質問をしておるのでございますが、そういうものをやはり清掃する。いつとはなしにきれいになっておるのでありますけれども、イタチごっこという話の中で、これも全国ということになると大変な個所、しかもそういう費用が要っておると思うのですが、これはどれくらいの費用がかかっておるのか、またどこからその費用は出ておるのでございますか。
  275. 吉井浩

    ○吉井説明員 車両、施設等のビラ、落書き等につきましては、これを撤去し、もしくは消去することは、原則として、たとえば駅の場合ですと駅の職員が勤務の合間にやっておる、また駅によりましては全面的に清掃その他を委託をいたしておるケースがございまして、そのような場合には、委託業者がこれらの撤去、清掃に当たってくれるということでございまして、そのような場合に、特にそのために委託業者に費用を追加して払うというふうなことを実はいたしておりません。当初の契約の中で、いわばサービスをしてもらっておるというふうなことになりまして、先生御質問のようなこの撤去のためにどれだけの費用を要したかということは、大体原則としては追加の費用は払っておらないというふうに理解をいたしております。
  276. 永江一仁

    ○永江委員 いずれにしましても、そういう費用も結果的には国鉄運賃収入の中から払われておるということは間違いのないところですね。いまいろいろなむだの話もありましたけれども、われわれから見ると、国民から見ると、そういういずれにしてもわれわれからすると要らざる経費を使わされておるというふうに指摘せざるを得ないわけでありまして、こういう点について、それの費用請求を国労なり動労にするおつもりはあるかどうか、お尋ねいたします。
  277. 吉井浩

    ○吉井説明員 ただいま申し上げましたように、委託の場合あるいは職員みずからが撤去をいたします場合、特にそのために費用を追加で払っておるということはございませんので、一般的な場合には特に損害賠償という対象にはならないかと思います。ただ、事案によりまして、たとえば著しく美観を損じた、あるいは施設物を損壊したというふうな場合には、もちろんケース・バイ・ケースでそのようなことも考えていかなければならないというふうに考えております。
  278. 永江一仁

    ○永江委員 きょうから始まったばかりでございますから、その全体を通じての掌握はなかなかむずかしいと思うのでございますが、これは毎年繰り返されておるという、このことをひとつ十分腹に入れていただきたいのであります。  国民ストなれという面もあろうかと思いますけれども、いろいろな面で非常に中小零細企業者がこのことによって経済的にもいろいろな面でしわ寄せをこうむっておるということをひとつ国鉄当局は腹に据えて、職場の民主化という面、しかもまじめに働こうという立場の者の方が職場の中で逆に圧迫を受けるという国鉄現状をぜひ改善しない限り、本当の意味での国鉄再建はできないと私たちは思っておるわけであります。そういう点について、ひとつ職場のそういった荒廃した姿について、最後に国鉄総裁、今後の所見といいますか対応の仕方、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  279. 高木文雄

    ○高木説明員 全体として労使間がうまくいかないという点がいろいろあるという問題はありますけれども、国鉄の場合はもう一つ、いわゆる労労問題ということのいろいろな問題が起こってきておるわけでありまして、労使間ももっともっと円満な雰囲気に持っていかなければならぬと思いますが、同時にいわゆる労労間にもそういう雰囲気が生まれてくることが必要なわけでございまして、私どもは、大きな目で見ますと、まあちょっと私どもの見方が甘いかもしれませんけれども、いい方向にせっかくここ数年動いてきておると考えております。きょうこういう事態ではそういうことは胸を張って申し上げられない事態でございますが、今後ともいままでの方向といいますか、ぎすぎすした状況を少しでも解消していくような方向で職場を立て直していくということに全力を傾けてまいりたいと存じます。
  280. 永江一仁

    ○永江委員 国鉄総裁の御答弁で終わりたいところなんですけれども、大きな流れでここ数年来いい方向に向かっておるという、このことがわれわれなかなか本当は理解できないのです。国民立場からすれば、毎年同じようにやっぱり電車はとめられておるわけですね。しかも、出札、改札も含めて、国鉄の職員が国民に対してサービスが急に向上したなんということはだれも感じていないわけです。その内部の一番奥深いところで、何らかの労使の協調的なものが出てきたというふうにおとりになっておるのかもわかりませんけれども、国民の目から見れば、少しもいい方向に流れておるとわれわれは感じないわけです。このずれを、ひとつ総裁、十分感じて知っていただきたいということを申し添えておきたいと思います。  それでは、次の質問に移ります。  次に、これはわが党は運輸委員会その他でもかなり取り上げてきたのでございますが、関西新国際空港の問題につきまして御質問をさしていただきたいと思います。  私も関西の一人の住民でございますが、関西新国際空港、工法の問題も踏まえまして、非常に大きな話題といいますか、注目を集めてきたわけでございます。特にきょう私は、工法云々はともかくといたしまして、その一兆円かかるとかあるいは二兆円かかるというような大変な費用のかかる関西新国際空港を、きょうは大蔵省の主計官にもおいでいただいておるわけでございますが、今日のような財政再建ということが急務であると言われております非常に財政が困難な状況の中において、計画では七年でつくるとかいう話もありますが、いずれにしても膨大な国民の税金をつぎ込むこういう関西新国際空港の建設というものが、財政的見地から見て本当に可能なのかどうか、そういうことが十分受け入れられるかどうか、この点について大蔵省の主計官の御答弁をいただきたいと思います。
  281. 保田博

    ○保田説明員 お答えをいたします。  御承知のように、大蔵省といたしましては、この問題について、所管をいたしております運輸省から予算の要求がございました段階で検討をするということでございますが、御承知のように、空港の建設費自体にいたしましても、五十三年度価格で二兆数千億円ということでございます。さらに、そのほかにアプローチの道路その他巨額の関連公共投資も、空港がもしできました場合にこれを円滑に運用するためには当然必要になろうかというふうに考えております。それだけの事業費を現在のいわば疲弊し切った財政で賄っていけるかどうかということにつきましては、われわれとしても大変心配をいたしておるわけでございます。  御承知のように、公共事業費は今年度の予算としましては六兆数千億円でございますけれども、その財源をごらんいただきますと、主としてガソリン税で賄っております道路事業を除きますと、実に九割を国債に依存しておるというような状況でございます。最近の高金利時代への突入に伴いまして、その金利負担も財政に対する大変な負担となっておりまして、最終的に税負担にかかる部分についての資金調達も大変問題でございます。と同時に、運輸省の構想によりますと、将来の空港利用料によって賄われるまでのつなぎの融資として、恐らく財政投融資資金の要求があろうかと思いますが、この点につきましても、御承知のように、従来運用部資金の大宗を占めておりました厚生年金資金の積立金あるいは郵便貯金等につきましても、先行き増加のテンポは鈍化するというようなことでございますので、一般会計、財政投融資両面を通じまして、必要とされる財源の確保はなかなかむずかしいというふうに考えておりまして、具体的な要求が出ました段階で慎重に検討をしたい、こういうふうに考えております。
  282. 永江一仁

    ○永江委員 主計官にもう一点お尋ねしたいのです。  これはちょっと先走ったことになりますので、答えにくいかもわかりませんが、いまおっしゃるように、それは運輸省から要求が出た時点で考えるということに結論はなろうかと思いますが、今日、関西新空港についての審議会の経緯をわれわれも注目しておるのでございますけれども、当初は、安全性なり経済性、と同時に工費、費用がどれぐらいで済むかということが大きなウエートを占めておったわけでございます。しかし、最近の航空審議会の状況を追っておりますと、少々経費は高くてもいいのだ、工法決定の過程において、工費についてはそう配慮する必要がないというような意向といいますか、具体的に言いますと、これは航空審議会の秋山部会長が大阪のサンケイ新聞の関西空港セミナーにおいてそういうような話もしておるわけでございます。確かに安全性なりその他今後の維持の問題等が重要なファクターであることは言うをまたないのでございますけれども、いまお答えになったように、非常に財政が困難な中においてこういう大きなプロジェクトといいますか公共事業をするについては、少しでも経費を安くするということが大蔵省にとっても重要な課題であると思うわけでございますが、この点について、現在の航空審議会の動向も踏まえる中において、大蔵省の見解をお聞かせいただければお答えいただきたいと思います。
  283. 保田博

    ○保田説明員 お答えをいたします。  とにかく巨額の資金を必要とする事業でございますので、同じ効果を得るためにはできるだけ少ない費用で効果を上げるということが、一般論として望ましいのは当然のことでございます。  御指摘の関西新空港の構想につきましては、御承知のように、埋め立て工法とそれから浮体工法といいますか、大別して二つの大きな構想がございまして、そのいずれにつきましても、メリット、デメリット、それから費用がどれくらいかかるかというようなことにつきまして、せっかく航空審議会の中で、小委員会でしたか設置されまして、御勉強中と聞いておりますので、これにつきまして、いま私の方で具体的な意見を申し述べることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論としますと、同じ効果を上げるためにはできるだけ少ない費用で賄うのが、大蔵省だけではなくて、最終的にその費用負担をいたします納税者あるいは飛行機の利用者にとりまして結構なことであろう、こういうふうに考えております。
  284. 永江一仁

    ○永江委員 いま大蔵当局の基本的な見解はお聞かせいただいたのでございますが、運輸大臣見えでございますが、この工法のよしあしは別といたしまして、これについての財政的な面で少しでも安くできる方が、やはり国家的な財政見地から見てベターであるということは当然であろうと思うのでありますが、今日までの経過を見ますと、浮体の方が埋め立てよりも高くつくというような見解が何となく出されてきたという経緯があるわけでございます。いずれにしても、いま行われております航空審議会にすべて任せておるということでございましょうけれども、われわれ国会といたしましても、この工法の決定の中において、そういった費用がどれぐらいかかるか、どちらがどれぐらいかかるかという財政投資の面からわれわれは重視せざるを得ないと思うのです。そういう意味大臣の御見解をお伺いしたいのですけれども、航空審議会に任せ切っておるということかもわかりませんけれども、この工法決定の中において、財政的な側面をどのように考えておられるか、お答えいただきたいと思います。
  285. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 お話しのとおり航空審議会にお任せをしておるわけでございますが、工法その他財政的な問題、技術的な問題につきましては航空局長より答弁させたいと思います。
  286. 永江一仁

    ○永江委員 いや、技術的なことでなくて、工法決定の過程において、安全性とかあるいは信頼性というものも工法選択上の大きな要因ではありますけれども、同時に、いま言ったような建設工費というものも大きな要因であるというふうに思うのですが、その点はどうかということをお尋ねしておるのです。
  287. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 もちろん一つのものをつくり上げるわけでございますから、金額の問題、予算の問題というものは重大な要素をなすことは当然でございます。
  288. 永江一仁

    ○永江委員 そこで、いま大臣、建設工費という問題も大きな要因であるというお答えでございますが、先般来、浮体工法による空港建設期成労協の試算によりますと、埋め立て工法については二兆三千億ぐらいかかる、ところが、運輸省等の資料によると一兆三千億ぐらいである。これは大きな工事ですから少々のずれはわからぬでもないのですが、現在そういう資料的に出されておる過程においては一兆円の差がある。国民にとっての税金の立場から言っても大変大きな問題だと思うのですね。そういうことで先般来、期成労協から、運輸省の一兆三千億とわれわれが積算した二兆三千億のずれを具体的に突き合わせたいという要望が出ておるわけでございますが、こういう点について運輸省はどういうふうにお考えになっておるか、お答えをいただきたいと思います。
  289. 松本操

    ○松本(操)政府委員 ただいま御質問にございましたように、参考人としておいでをいただきました建設期成労協の方で出されました数字の中に、埋め立てに対する試算があって、その中に二兆三千億という数字が出ておりました。私どもの方が第三港湾建設局に調査をさせました数字は、これも審議会に出ておるわけでございますが、一兆三千億足らずでございます。この食い違いについては、参考人の意見聴取をいたしましたときに小委員会委員の中からも、何でこんなに激しい違いが出るんだという点についていろいろと御質問があったわけでございますが、その時点においては具体的な点について解決を見るに至っておりません。そのまま、現在その細部の詰めをやっている段階でございますが、私思いまするに、何でそういう違いが出てきているかという一つの大きな原因は、埋め立てに関します工法の見積もりをするのに当たりまして、第三港湾建設局は、一般的に役所がこういった仕事をいたしますときの見積もりを立てていく一つのルール、しきたりがございますので、それに従った費目の分け方をしておるわけでございます。ところが、期成労協の方でお出しになりました費目の分け方というのはまた独自の分け方をしておいでだものでございますから、したがって、どの部分がどこに対応するのかというのを委細詰めていかなければならないのじゃないか。まだ詰めている途中でございますので明快なお答えは御遠慮いたしますけれども、一例を申し上げますと、埋め立て工事費というふうに三建の方でくくっております中に、細かく分けてまいりますと、埋立地の地盤改良あるいは土砂の採取及びその運搬、直接の埋め立て費、埋め立て費の中で海底の砂を上げて埋め立てる、あるいはどろを持ってきて埋め立てる、そういったような区分、こういうのが別に分かれまして、そのほかに、たとえば海砂あるいは土砂を持ってくる場合にその購入費をどうするか、あるいはコンベヤーとか作業船で運ぶとすれば、これらの機械、施設等の損料をどのように入れるか、細かにはじいていくわけです。そういうふうなものをくくった形で第三港湾建設局の資料は出ておるわけでございますが、この期成労協の方でお出しになりましたのは、そこら辺がどういうふうにくくられているのか必ずしもはっきりしない面がございます。小委員会の席上で議論になりましたときにも、ひとつ両方ではっきりした費目の区分けをつくって、それに両方同時に数字を書き込んでチェックをしようではないか、どちらかが先行するということになりますと、お互い先行した数字に多少なりとも引っ張られるということがありますと独自の立場での計算というのが損なわれるおそれがあるので、これはまず費目の分け方をはっきりさせてから次の段階に移ろうではないかというのが大方の御意見であったように私ども承知しておるわけです。そういう意味で現在、費目の分け方、どこをどういうふうに割りつけていったらいいのか、それが余り独自性が出てこないで、一般論的に融通のきくような形で費目を分けようということをいろいろやっております。それと同時に、埋め立ての費用だけを議論いたしましても実はわかりにくい面がございまして、先ほどのお話にもございましたように、浮体工法との間にもやはり費目の総合比較ができるような分け方でなければいけないのじゃないか。ただ、浮体と埋め立ての場合にはこれまた多少考え方が違っている面がございますので、単純に費目を羅列しただけではこれらの間の相対的な関係がつかみにくいという面もございまして多少時間をとっておるわけでございますが、そう遠くない時点で費目の整理をいたしまして、具体的な数字をその中に入れて、改めて審議会の方で御議論願うようにしたい、このように考えております。
  290. 永江一仁

    ○永江委員 費目の中で、いま局長お答えになった、融通性がある程度きくようにということが、かえってどんぶり勘定的な費目にされておるのでないか、こういう懸念があるわけなんですね。これはお役所の関係での費目の積算の仕方と、期成労協が積算をした費目がおっしゃるようにずれておるわけですから、これはひとつ早急に突き合わしていただきたいわけでございます。私がもらいました資料を見ましても、本来ですと、運輸省といいますかお役所の方が出される経費的な費目の方が本当は詳しいのじゃないかと思っておるのでございますけれども、どうも運輸省、おたくの方が出されておる方がかえって大ざっぱな形で、何となく造成費に全部ぶち込む、地盤造成に全部ぶち込むというような、そういう感がするわけでございます。そういうことで、いま局長もお答えになりましたけれども、早急にお互いの費目を突き合わせながら誠実な工事費を提出していただくように、資料としてひとつ要求しておきたいと思います。早急にそういう国民にわかるような形において工事費積算をぜひ提出していただきたいということを御要望申し上げておきます。これは見通しといたしましていつごろまでにできますでしょうか。
  291. 松本操

    ○松本(操)政府委員 先ほども申し上げましたように、工法小委員会の方にも当然この内容について提示をし、御審議を願わなければなりませんが、ただ目下、小委員会議題が環境問題の方にやや傾いた形で議論が行われておりますので、これとの関連性——実は私どもの方の事務方もなかなか手の回らない点もあって、そういうふうな点で多少時間をいただければと思いますけれども、一月かそこらの間にはここら辺のところを委員会の方にお出しできるように詰めたい、こう思っておりますので、小委員会の方に提出するときには当然のことながら同時に御説明できるような形にしておきたい、このように考えております。
  292. 永江一仁

    ○永江委員 この工事費と同時に、こういう大型プロジェクトといいますか、こういう問題は公害との関係もありますけれども、いろいろな補償費用というのが後から後から出てくるわけですね。漁業補償とかいろいろありますけれども、こういう補償費用というものをどういうふうにお考えになっておるか、あるいはそういうものの一つの積算といいますか、最初からこれだけ補償費用を出しますということはなかなか言いにくいと思うのですけれども、やはり一定の腹づもり的なものがなければおかしいと思うのですが、こういう補償費用の点についてはどういうふうにお考えになっておるか、あるいは一定の積算というものを出されるおつもりがあるかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  293. 松本操

    ○松本(操)政府委員 工法がいずれになりますにせよ海中に築造物をつくるわけでございますので、漁業補償が非常に大きなテーマになってくるだろうということは予測されます。ただ、先生もいまおっしゃいましたように、漁業補償というのはなかなかむずかしい問題がございますので、あらかじめこの程度のというふうなことを数字をもって示すということもいかがなものか、こう考えられますので、工費全体の議論をいたします場合には当然いずれかのところに含めなければならない問題だとは思いますが、その部分だけを取り出してあからさまに議論するというのはいかがであろうかという気がいたします。  それ以外の補償の問題といたしましては、たとえばもし埋め立てということになりました場合には土砂の採取等についていろいろ問題が出てまいりましょう。これは考え方がここで二つに分かれてくると思うわけでございまして、土砂の採取ということについて多少御迷惑はかけるであろうからその分を補償をいたしますという考え方で補償費を立てるというのも一つ考え方かもしれませんけれども、私どもがいま検討しております考え方は実はそうではございませんで、土砂の採取によりまして仮に山土をとるといたしますと、たとえばその山の植生をどうするか、あるいは関連して河川の水流の変化等をどうするか、あるいは土砂の流出をどうするかというふうな点は、たとえば沈砂池を置き、河川改修を行い、あるいは覆土によって植生を回復するというふうな工事を同時並行に行うことによって、御迷惑はかけますが、金銭をもって補償するというアプローチの仕方ではないもう少し基本的な態度で対応すべきではないか、こう考えておりますので、補償費という概念ではなくて、むしろそういったような形で手当てをしていくという方向で検討をしておるというのが実情であります。
  294. 永江一仁

    ○永江委員 時間ももう終わりに近づいておりますので最後の締めくくり的な質問にしたいと思いますが、いま工事費にしろ補償費用にしろ、工法はもちろん大事なことでございますけれども、いずれにしても非常な血税が使われる、このことを十分踏まえなければいけないと私は思うのです。そういう意味からいたしますと、先ほどの一兆三千億か二兆三千億かというこの工費の開きも大変な問題ですけれども、同時に一兆三千億であるという運輸省が出された埋め立ての場合にしても、これが現在正しいというふうにお考えになったといたしましても、大体こういう工事はやっているうちにどんどんと多額の費用を要してくる。その一つの要因が、いまなかなか最初から言いにくいとおっしゃいましたけれども、補償の費用というようなものを含めて膨大なお金が要ってくるわけですね。成田空港等についても、最初は千五百億か六百億と言っておったのが五千億になり、二倍にも三倍にもなる。一兆三千億と言っても、そのうちつくってみたら五兆円もかかったということにもなりかねない。こういうことは、原子力船「むつ」の補償の問題もありましたけれども、これを生かすためにいままで投資した分をむだにしてはならないという大義名分によって、結局国民の血税が湯水のようにそこへ使われていくというのが往々にしてある例なんでございますが、そういう点から私は当初この空港問題について財政的見地から十分腹をくくってやらなければいけないということを申し上げたわけなんでございます。  これはもうたとえは悪いのですが、大体国がやったりするこういう大きなプロジェクトはばくちと一緒で、これだけつぎ込んだから取り戻すためにはもっと出すということで、四億五千万円もばくちですった人もおるようでございますが、これは別といたしまして、本当に最初、いま出発するあるいは決定をする前、この段階こそ一番重要な時期だと思うのですね。ここで大蔵省も含めてゴーのサインが出た、出てしまったら、本当に最初は一兆三千億なら一兆三千億でできると思っておった空港が結果的に三兆も五兆円もかかる、国民の税金をそこへつぎ込まなければ結局はそれが全部むだになるという一つの恫喝というか大義名分というか、そういう形の中においてわれわれ国民の税金が使われておるという従来のパターンを決して繰り返してもらいたくないということを私は主張したいわけでございます。こういう点についてひとつ最後に運輸大臣の御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。
  295. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 ただいま御論議をいただいております関西新空港は、最近の航空輸送の需要等を考えますと非常に重大な大切なプロジェクトでございます。しかし、いまお話しのように、日本の財政事情等もございますので、この工法あるいは工費については慎重に検討して、いままでのようないわゆるむだ遣いにならないようなあり方でこの計画を推進してまいりたい、かように存じておるわけでございます。
  296. 永江一仁

    ○永江委員 終わります。(拍手)      ————◇—————
  297. 古屋亨

    古屋委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  海上保安に関する件、特に海洋汚染の防止に関する問題について、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  298. 古屋亨

    古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る二十二日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十八分散会