○妹尾(弘)
政府委員 UNCTADの問題につきましては先生三つほど、ECの問題、それからシーランドの問題、盟外船の問題と御質問があったわけですが、
海運局のここ一、二年の対応ぶりは、これは一括して対応したいと実は
考えていたわけでございます。それは定期船同盟憲章条約に関しまして国際間のああいう合意ができたので、これにまず加盟したい。実はECは昨年留保づきで加盟するという
結論を出しております。この留保はどういうことかといいますと、先進国と後進国との間の航路に関してのみ、そしてその場合に後進国にいわゆる四、四、二のシェア割りというのがありますが、後進当事国に四を与えるということだけを確保する、あとの六はいままでどおり自由にしたい、それから先進国同士の航路、こういったものに関しましては従来どおりこの条約は適用しない、こういう発想でございます。私
どもとしては、せっかくこういうことで国際間定期船同盟秩序というものの
一つの基準が国際的に合意されたのでございますから、できれば無条件で加入したい、かように
考えているわけでございます。それで、その点に関しまして
関係省庁との折衝をしておるわけでございますが、いまだ合意に達していないというのが実情でございます。それで私
どもの
考え方を率直に申し上げますと、こういう定期船同盟秩序というものを
海上運送法の改正によりまして国内法化する、それでその同盟に対しまして条約の基準に従いまして一定の規制をいたしますと同時に、同盟加入船主だけを規制するということは片手落ちでございますので、あわせて盟外船に関しましても一定の規制をいたしたい。それによりましてこのたびのシーランドの問題あるいは東欧諸国のいわゆる商業ベースによらない
海運活動、こういうものに対して一定の歯止めをいたしたい。これらを、いま申しました国際間のECの問題、シーランドの問題、あるいは東欧諸国の問題、これを一括してそういう
方針で処理したいといま
考えているわけでございます。
それから中小オーナー対策は、確かにこれは
運輸省の戦後の
海運政策の非常に大きな問題でございますが、
昭和三十九年集約の際に、オーナーというものを中核体を
中心としたそのグループの中でめんどうを見合うということで、それを
中心として、あと
政府が見定めて合意をする、こういった方策で対処してまいったわけでございますが、近年、後ほど申し上げますが、日本船の国際
競争力の低下というような問題もありまして、中核体
自身がかなり手いっぱいだった、そういったようなことでオーナー対策が中核体の中でもややおろそかになっているというような面がございましたが、私
ども、昨年以来
計画造船を
中心といたしまして日本船の
競争力強化方策をやっておりますが、この一環としてその集約グループの中のオーナーの起用ということもできるだけ積極的に
行政指導をしてまいりたい、かように
考えております。
それから最後に、外国用船、いわゆる仕組み船ないし便宜置籍船の問題でございますが、これは御承知のように今度の
海運造船合理化
審議会の
答申の
中心課題でございまして、
昭和五十一年ぐらいをピークといたしまして日本船
自身が減少傾向をたどっている。それでさらには、日本商船隊の中で外国用船と日本船の比率というものが五〇%、あるいは日本船の方が五〇%を割るというような事態まで生じてきた、こういうことでございまして、資源の大半を海外に求めているわが国にとってゆゆしき事態ではないか、こういうことで、何とかしてこの日本船の国際
競争力をつけて日本船を確保していくということがわれわれに課せられた重大な使命だ、こういう
観点に立ちまして、まずさしあたっては緊急
整備三カ年
計画ということでかなり手厚い利子補給という問題もございましたが、私
どもとしては今後ともやはり国際
競争力の確保につきましては、企業
自身が労使の努力によって、後進国の船員を乗せて便宜置籍で運ぶという船以上の国際
競争力をつけるための努力を行わなければならない。それで将来の展望といたしましては、いわゆる船員費の問題というものが、もちろん後進国
海運の船員費に対抗ができるほど船員費を節減するということは不可能でございますから、船員費
自体の運航コストに占めるシェアが少なくなるように技術集約的なあるいは能力集約的な、技能集約的な
海運という、そういう先進国型の
海運というものをつくり上げていかなければならないのではないか、そういう
方向でわれわれとしては施策を進めていきたい、かように
考えております。