○渡部(正)
委員 現在
国鉄というものが
自動車、飛行機等に圧迫をされている、こういう
現状があるわけでございますけれ
ども、にもかかわらず
国鉄の利用のされ方というものを
考えてみますと、たとえばディスカバージャパンとか銀河
鉄道とかそういうレジャー、観光的な利用のされ方もございますし、
新幹線が恐らくそうであると思いますけれ
ども、企業活動というか、ビジネスというか、そういう利用のされ方もあるわけでございます。しかしそのほかに、たとえば国防上、国としては一定の
国鉄のあるいは
鉄道のサービスというものを確保しなければならないという観点もあるわけでございますが、先般電話で防衛庁の原防衛
局長に、おまえのところは一体防衛庁始まって以来
鉄道というものを国防の観点から何か
考えてみたことがあるかと聞いたら、これは全くないという返事でございましたので、国防の問題はわきへ置きたいと思いますけれ
ども、しかしそれ以外にもたとえば地域
開発の
一つの手段としてインフラストラクチュアをつくってやる、そういうファクターとして
鉄道のサービスをやるということも
考えられるわけでございます。先ほど鉄監
局長がちょっと触れられましたように通勤通学というような問題これも単に観光やあるいはレジャーと同じに扱うことはできないという性格を持っておるわけでございます。
国鉄について経済合理性ということが言われるわけでございますけれ
ども、その経済合理性という問題は、民鉄であるならばもうからない仕事はやめたらいい、しかし、それが公社であれ何であれ、国の
鉄道であるという名前がついている以上はもうからなくてもやらなければならないサービスというのはあるのではないか、現在においてもあるのではないか。たとえばいま申し上げました国防、地域
開発あるいは通勤通学の足の確保というふうな問題があると私は思います。公社であれ役所であれ労働生産性自体は高めていかなければならない。一人でできる仕事を三人でやっている、これはおかしいということは言えるけれ
ども、企業的な採算をとらなければならないのかどうなのか。
六十年を目安にいろいろな
財政再建がなされるわけでございますが、その後を展望した場合でも、私の
質問が不十分なためにお答えが余り的に合わなかったのですけれ
ども、構造的
赤字と言われるものは別にして、今後における
国鉄の運営というものに対して、国の立場で、あるいは
国鉄の立場で、
赤字を覚悟でやらなければならないサービスがあるのだという原点に立つのか、もう斜陽なんだからもうからないものはどんどんやめていくなり何なりして、少なくとも
収支償う運営をやっていくべきものである、もうかれば幸いであるという
考え方に立たれるのかどうかということを聞きたかったわけであります。そのことをこれから申し上げることの御
質問と関連してもう一度答えていただきたいと思います。
去年
あたり、
日本の住宅がウサギ小屋であるということがヨーロッパのある国で大変話題になりまして、
日本のマスコミもそれをキャリーいたしまして、世界で二番目か三番目かのGNPを誇るわれわれ
日本人の住宅というのはウサギ小屋なのかということがしばらく話題になりました。これはヨーロッパからニュースが流れてきましたが、実はアメリカはもう十数年も前から
日本の住宅はウサギ小屋だと言っております。ウサギ小屋というのはウオーリンという言葉でございまして、これはウサギ小屋というもとの
意味のほかに狭小過密住宅という転じた
意味もあるわけでございますから、必ずしもウサギということで侮べつして言ったわけではございません。
ところでもう
一つ日本の社会的な生活について言われておりますのは、
日本の道路、ことに大都市の道路というのは全く迷路である。これはアメリカ、ヨーロッパで盛んに言われていることでございますが、このウサギ小屋と迷路にもう
一つ言われていることが。ございまして、それは
日本の大都市、少なくも大都市のラッシュ時における通勤電車、あれは家畜運搬車だということはもう長い間外国人から言われてきたことでございます。東京を例に挙げますと、現在でも非常に混雑度が高い。これも昔、「
運輸経済統計要覧」というのを
運輸省で出しておられまして、それに混雑度と言うべきところを乗車効率ということで書いてある、これはけしからぬ話じゃないかということを言ったことがございます。最近は混雑度と書き直しておるようでございますけれ
ども、とにかく定員の二倍半ぐらいの人を乗せて運んでいるという状況でございます。この前に御
質問さしていただいたときにもちょっと触れたのでございますが、とにかく
日本人というのはほかの主要国に比べますとやたらと電車に乗っている
国民でございまして、この間もちょっと申し上げましたけれ
ども、たとえばアメリカと比べますと二十倍以上乗る。イギリス、ドイツ、イタリアと比べると八倍から九倍ぐらい乗る。フランス
あたりと比べても六倍ぐらい乗る。しかも
新幹線の乗客を除きますと半分は通勤通学、いわゆる定期券乗車でございます。こんな国は
日本しかない。そういうことで家畜運搬車でもあるわけですけれ
ども、通勤通学の足の確保ということは国家的に見て非常に重大なことになっているわけでございます。
昔は
運輸大臣が就任されますと新宿駅かどこかで朝の混雑事情を御視察をなさる。けれ
ども一向に改まっておりません。たとえば新宿から四谷、東京で一番混雑度の高い国電のいわゆる混雑度がここ十年間それほど改善されていない。これはもちろん
国鉄だけの責任ではないわけでございますけれ
ども、そういうことで通勤の足の確保などというものは採算を度外視してやらなければならない、そういう
状態にあるというふうに
考えるわけでございます。
そこで、その関連でもう
一つ私問題だと思いますが、これは
質問を兼ねてお伺いをするわけですけれ
ども、たとえば東京の近郊の私鉄と
国鉄を比べた場合に、
学割りの定期でもよろしゅうございますけれ
ども、
現状において一体
国鉄と私鉄とどっちが高いのか、その点をお伺いしたいと思うわけでございます。通勤の問題というのは大変な問題でございまして、私、労働組合の人に、通勤時間の買い上げ闘争というのをやったらどうか、諸外国には例がないほど通勤に時間をかけて、しかも家畜運搬車で運ばれているんだと言ったら、労働者の方は、いや、会社が定期を買ってくれるから損していない。冗談言ってはいけない。
日本の現在の労働人口の一時間当たりの大体の値段というのは——値段と言うのも変ですが、千円を超える状況でございまして、通勤に一時間かかれば往復二時間、二千円損しているわけでございますから、そういう点で労働
条件というのは社会的に非常に劣悪だ。その原因は何のことはない、都市構造がだめで住宅がだめでそして家畜運搬車でということがあるわけでございます。
そういうようなことをいろいろ
考えますと、まず私がお伺いしたいのは、一体
国鉄なり
運輸省、家畜運搬車と言われるこの通勤時間の混雑——私は電車で通っているものですから、この間国電の駅でこういうチラシをもらいました。「朝の一時間に一日の乗車人員の三〇%が集中。この混雑緩和のために、電車はフル運転中です。」という宣伝のビラをいただいてきたのでございますが、一体二・五倍などという混雑度を解消するお気持ちがあるのかないのか。また大蔵省としても、これは
赤字覚悟でサービスの改善をやらなければならない、行政のテーマであるというふうにお
考えになっているのかどうなのか。もしも現在の定期乗客の
運賃が私鉄と比べて
国鉄の方が高いということであるならば、ことに
学割りについての数字を伺いたいのですが、そういうことであるならばその点について——
運輸省の統計によりますと、通勤通学を運んでいる人員の数は現在は民鉄と
国鉄とほぼ同じでございます。そこで片方が非常に安くて、片方が高いということになりますと非常に問題ですけれ
ども、その辺のところについてお伺いしたいと思います。