○箕輪
委員 私は、日米
安保条約というものを非常に力といたしておりますし、その点、長官や
外務大臣の御意見と同じでありますが、この日米
安保条約の絡みと
自衛力の
整備と、両々相まって
わが国の
抑止力ができるし、
防衛力ができるんだと
認識しておりますが、さて、これが上手な絡み合いをしているかどうかということになると、もう一つ工夫が要るのではないかなという感じを持っているわけであります。これはひとつ
外務大臣もよくお聞きになっていただきたいのであります。
なぜかというと、私どもNATOへ行ってみますと、NATOの正面には強力なアメリカの軍隊が入っております。隣の韓国に参りましても、米韓の
条約で、アメリカの陸軍の第二師団が、三十八度線すれすれのところに入っております。これが
抑止力になるんです。
ソ連は、私の考えですけれども、アメリカとはいまなおやっぱり正面衝突は避けたいと考えていると思うのです。北海道が危ない、危ないと言われておりますけれども、私は、その
意味においては、直ちに
ソ連が北海道に何か押しかけてくるというようなことは考えていないのです。どうも
ソ連の
外交史を見てみまして不思議に思うことは、
自分と
条約を結んでいる国にだけ
軍事介入をしているからであります。不思議です、これは。一九三九年、四〇年にかけての、あのバルト三国の併合の歴史を見てもそうであります。ドイツ軍が入ってくるかもしらぬぞ——ちょうどポーランドに入った後でありますから。それはラトビアでも、エストニアでもそうです。戦々恐々としている、おれが守ってやるという
条約を結んでから数カ月後に入っていった。それから、五六年のハンガリーのときもそうであります。六八年のチェコスロバキアのときもそうであります。
条約を結んでいる国に入っているのです。アメリカと
条約を結んでいる
同盟国、アメリカの
同盟国には入っておりません。今度のアフガンもそうであります。アフガンと
ソ連は、以前から不可侵
条約を結んでいたのであります。不可侵
条約ですから
軍事介入できないのです。そこでもう一つ
条約を結ぼうといって結んだのが一九七八年の
ソ連と
アフガニスタンで結んだ善隣友好
条約なんです。その善隣友好
条約の中にたった一言軍事協議ができると書かれているから、それで軽々と協議したのかわかりませんけれども、それにかこつけて入っていったのが今回のアフガン事件であります。一九五〇年の韓半島の動乱を見ても、アメリカが途中から入っていきました。
ソ連は当時仲のよかった毛沢東の軍隊を入れたのです。
自分は入ってこないのです。
こういう歴史の経過を見ても、日米
安保条約があり、
日本とアメリカの
関係がしっかりしていれば、
ソ連は直ちに介入できない。アメリカと正面衝突は絶対に避ける。アメリカが介入しないという計算が十分できてアフガンに介入したに違いないのであります。
そういう
観点から見まして、北海道が直ちに危機にさらされるとは考えておりませんけれども、世の中いつ何が起きるかわからぬときですから、きのうの事件だってだれも想像できなかったのです。ですから、万々が一に備えてやはり
抑止力を高めておくということでなければならないと思いますよ。そういう
意味で、中業のテンポを速めるだけでなしに、さらにこれでいいかこれでいいかということを十分見直し、検討をこれから
防衛庁もやっていただきたい、かように考えるわけであります。
そこで、日米の絡み合いが上手にいっているかどうかということを考えますと、いま言いましたように、NATOの正面にもアメリカが入っているし、韓国の正面にもアメリカが入っているけれども、わが
日本の
防衛を考えるときに、いま北海道、北の
脅威が言われているときでありますけれども、アメリカ軍はどこにおるかというと、一番南の沖繩におるわけであります。(「沖繩のを持っていってよ」と呼ぶ者あり)私は考えるのであります。当時沖繩に集中的に
米軍配置をやったときには、そのときの
国際情勢があったと思うのです。当時は、日米共通の
脅威は中共であったわけであります。そして、アメリカは
日本とも約束をしておりますし、韓国、台湾とも
コミットメントを持っておりました。そうした共通の
脅威に対して軍事配置を厚く沖繩にした当時の
国際情勢から見るというと、私は適当であったと思うのです。しかし、皆さんの、両大臣の見解も変わってきた今日の
情勢に照らして見るというと、いま不規則発言がありましたが、濃密に沖繩にだけ置くのは私は解せない。ですから、NATOで事が起きてもあるいは
中東で事が起きてもスイングしていく。三月にはチームスピリット80ですか、韓国で合同演習で行っております。
わが国が
基地を提供しているのです。そうして
脅威から一番離れたところに
米軍がおることにわれわれは気がつかなければならないのではないだろうか。直ちにこれを北海道に持っていくことにも問題がたくさんあるだろうと私は思いますけれども、本当に戦争したくない、
抑止力をつくるのだということであれば、北海道に国有林野がたくさんありますから、内閣が決心して、これを開放してそこに
基地をつくっておくことであります。そしてドイツ等にならうわけでありますけれども、西ドイツと同じように、常時
米軍の
装備をそこに置いておく。平常はそこで合同訓練もやれる少し広範な演習場くらいつくっておく必要があるのではないだろうか。武器弾薬もそこに置いておく。そうして、七十七条で
防衛出動待機命令を長官がお出しになるというようなときには、直ちに北の方にスイングする。平常、日章旗と星条旗をかけておいて、武器防護の一個中隊くらいはアメリカが置いておけばいい。せめてその程度やれば、かなりの
抑止力になるような気が私はいたすのです。御提案であります。
これはさっき
外務大臣の
所信で言われているように、わが方もできるだけのことを、ここまではやるのですよ、
わが国みずからが考えて、ここまでやるのだが、
抑止力を高めておかなければなりませんし、アメリカに、どうですかということで、日米で話し合えばできないことではないのです。
そういうふうに、日米
安保条約の
運用も含めて考えなければならない。
自衛隊そのものの
運用も、北の方に対空火器がないならば、どこか別な
部隊をこっちに
運用で移すようなこともこれからは考えていかなければ、北の
脅威に対処できないのではないか。中業
見積もりのテンポを速めるということは賛成であります。それだけではだめなんです。
自衛隊の
運用、
日米安全保障条約の
運用も改めてここで検討し直すというようなことを考えていかなければならない時代ではないかな、かように考えるわけであります。御所見をいただきたいと思います。