○
政府委員(
貞家克己君) 御
指摘のとおり、
法務局の
事務、ことに
登記事務処理のための
増員、
人員の
確保ということは、
法務局における最大の
懸案事項であると考えております。
御
承知のとおり、過去十年間の
登記の
事件量、それから
人員増の
状況を比較してみますと、
事件では約二・五倍にも達しておりますのにかかわらず、それに従事する
人員は一・二倍に達しないという
状況でございます。したがいまして、
職員の
事務負担量はますます増加する一方でございます。私
どもは、こういった
事件増と
人員増がこのように不均衡な状態にあるということ、したがってまた、
登記事務における
人員の
不足ということが非常に深刻な問題になっておることにかんがみまして、極力
増員外の
事務の
合理化、
機械化に
努力はいたしておりますものの、それには限界がございまして、それだけでこの問題を解決することがとうていできないことであることは容易に御理解いただけるところであろうかと思います。
そこで、
先生御
指摘のとおり、いろいろ
登記事務処理上
弊害が生じていること、これまた皆様御
承知のとおりでございます。
そういうような
状況にございますので、私
どもはいろいろこの
事務量をいかにしてさばいていくかということにつきまして、常時検討をいたしておるわけでございます。これはもちろんいろいろな計算
方法があるわけでございますが、必ずしもこれは自信を持って申し上げられる正確な数字ではございませんので、さよう御
承知おき願いたいと思うのでございますけれ
ども、私
どもがざっと計算いたしましたところでは、全国の
法務局で
——もちろん支局、出張所も含めまして約五千五百人余りの
人員はどうしても
不足していると。そこで、しかしながら、昨今の厳しい
状況でございますので、また
事務の
処理上人手だけに頼る、そういった
職員の
増員だけに頼るということでは賄えないという面もございますので、極力
機械化、
合理化というようなことをいたしておるわけでございますが、そういったものによって
増員数というものを幾らか削減できるわけだと思いますが、それを差し引きまして、やはりどうしても
人員としては約二千三百人余りの労働力が
不足しているというふうに考えざるを得ないのであります。ただ、その中で、ことに繁忙の大規模の庁の
不足人員というものが約千四百人、その他の庁が九百人というような内訳になるわけでございます。
そこで、本来ならば二千三百人余りの
人員を
確保したいと思うのはやまやまでございますけれ
ども、これは御
承知のとおりの定員の抑制措置ということが望まれておりますし、また財政が非常に厳しいという
状況にかんがみまして、これを一挙に実現するということはとうてい無理であろうと。
そこで、私
どものこれも大ざっぱな計算でございますけれ
ども、大規模庁の千三百人ないし千四百人の半分に当たる数字を出しまして、これを五十五年度の
登記関係の
職員に必要な
人員として
増員の
要求をしているわけでございます。正確に申しますと、
登記部門で六百八十九人、それから訟務の
関係で、これは訟務
検事も含めますと三十二人になりますが、これを除きますと二十六人、人権擁護
関係で十八人、合計
法務局の法務
事務官七百三十三人という
要求を申し上げている次第でございます。
なお、これは昨年度におきましては、やはりその程度の
要求をいたしております。数年その程度の
要求をいたしておるわけでございますが、最近の
増員の実績を申し上げますと、
昭和五十年では、認められました
増員が三百十八人、それから削減を差し引きまして、なお訟務、人権を除きますと、
登記関係で百六十五人、これが純増
——純粋の増加でございますが、純増という数字になっております。
昭和五十一年には、
増員が二百六十人、削減が百四十人、
登記関係の純増が九十五人。五十二年度におきましては、
増員が認められましたのは二百十一人、削減が九十九人ございますので、
登記の純増が九十五人。
昭和五十三年度におきましては、
増員が二百十人、削減が九十九人、
登記の純増が九十五人。五十四年度におきましては、
増員が認められましたのが二百四人、削減が九十九人でございまして、
登記の純増九十人、訟務
関係の純増が十三人、人権擁護
関係の純増が二人、
法務局全体の純増が百五人、こういう結果になっております。
これは、昨今の非常に定員抑制が叫ばれる時期といたしましては、ある程度の
増員をいただいておるわけでありますけれ
ども、もちろん私
どもはこれで事足りていると言うことがとうていできませんことは、先ほど申し上げました、ざっと私
どもが試算いたしました
不足人員とお比べになっても容易に御了解いただけると思うわけであります。
したがいまして、五十五年度におきましても、これはかつてない厳しい情勢下ではございますけれ
ども、
増員ということは私
どもの予算
要求の最重点項目でございますので、必要な
法務局の
人員を
確保するよう最大限の
努力をいたしたいと、かように考えている次第でございます。