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政府委員(犬伏孝治君) 豚肉なり養豚の関係につきまして四点のお尋ねでございますが、私からは三点
お答え申し上げたいと存じます。
第一は、調整保管の問題でございますが、今回の価格低落に際しまして、畜産局といたしましては、生産者団体と相談をいたしまして、当面の対策として、いわゆる対策の三本柱というものを決めてそれを推進をいたしておるところでございます。その
一つはいま御
指摘の調整保管でございますが、二つ目は、計画的な生産体制の推進、それから三番目が消費の拡大でございます。
で、計画生産体制づくりをしても直ちにそれの効果が出ない、また消費拡大の推進をいたしましても早急な需給の均衡を図ることができない、したがって、さしあたって、需給なり価格に一番影響を与えるとすれば、市場に流通しておるものを一時保管をして市場から隔離をするという意味でこの調整保管を取り上げておるわけでございます。
この調整保管につきましては、自主的な形で行っていただくということで、生産者団体、それから食肉の流通団体、それから加工団体、それぞれが取引量の中において一定数量を市場から隔離するという意味で保管をしていただく。その保管につきましては目標を定めてやっておるわけでございますが、九月の末からこれを実行に移しておりまして、最初は十万頭でスタートをいたしました。しかし、やってまいりましてさらにこの枠を拡大をするという必要性が生じましたために、十一月の十六日にこれをさらに十万頭追加をいたしまして、二十万頭で現在実施をいたしておるところでございます。
その効果でございますが、東京の卸売市場の価格におきましては、九月の下旬でございますが、五百九円という一番底が、一日でございますがございました。それを底にいたしまして漸次回復をしてまいっておりまして、現在までの推移で申しますと、九月の下旬が五百二十九円、旬単位の平均としてはそれを底にいたしまして、十一月下旬には五百六十円台となっております。調整保管の効果がそのような価格上昇をもたらしたすべてであるとは思われませんけれ
ども、かなりの効果をもたらしておると。もちろん、六百一円に対してはまだ開きがございますが、なお調整保管を続けることによってできるだけ早く六百一円の線に到達するように
努力をいたしたいと思っておるわけでございます。
それじゃいつごろそのような価格水準に達するか、見通しはどうだという
お話でございますが、これは午前中
お答えを申し上げましたように、価格はやはり需要と供給の関係で市場において自由に形成されるということから、そのめどを申し上げることは非常にむずかしいわけでございますが、年末需要に向けていま進行しておるという状況から、できるだけ早くその水準に向かって上昇するように私
どもは期待をいたしておるわけでございます。
なお、そうした期待にもかかわらずなお十分でないということになりますれば、調整保管数量をさらにふやすとか、その他の
措置をさらに検討するということも
考えざるを得ないんではないかというふうに
考えております。
それから輸入の問題でございます。
農業基本法十三条の規定に触れてのお尋ねでございますが、この十三条には、関税率の調整等の
措置をとる旨が書かれております。この
措置をとることは、もう私から申すまでもなく、諸般の国際的な情勢にも影響をいたすことでございます。
日本が加盟をいたしておりますガットにおきましても、自由化された品目については、
政府が名目のいかんを問わず輸入の
規制をすることが許されない旨を規定しておりますが、輸入が増加をして国内に重大な影響と損害を与える、または与えるおそれがあって、国民経済上緊急に必要がある場合は緊急関税の
措置をとることができる旨の規定が置かれております。このガットの規定に従って緊急
措置を講ずるというのは、やはり大きな国民経済全体の問題として取り上げられるような
事態の場合であろうかと
考えますと、ただいまの豚肉の自給事情、大変深刻な問題ではございますが、これを持ち出すということはなかなかむずかしい問題ではなかろうかというふうに
考えております。
それから消費の問題について政務次官にお尋ねでございますけれ
ども、ちょっと私から補足的に前に
お答えを申し上げておきたいと存じますが、豚肉の消費量が国際的に見てどの水準にあるかということでございます。
日本の年間の一人当たりの豚肉消費量は十二・八キログラムでございます。中国は二十八・一キログラム、欧米諸国におきましてはさらにそれを上回る消費量になっております。そうしたことから、豚肉の消費をさらに拡大をするということは国際的な比較においても
考えられるわけでございますが、これはそれぞれの国の食習慣ということもございます。なかなか一概に言い切れない問題がございます。これに関連して、現在消費拡大対策で取り上げている
一つの項目といたしまして、農村部におきます豚肉の消費が都市地域に比べまして約六割の水準でございます。農村部においてもう少し豚肉を食べていただくということが消費拡大対策として必要ではないかということで、今回の消費拡大対策の
一つとして農村向けの加工豚肉、農協ルートによる販売の促進につきましてその推進を全農が中心になって推進をいたしております。私
どももそれについて十分御指導申し上げ、推進、援助をいたしたいということで進めておるわけでございます。
それから計画生産の問題でございます。確かに養豚に関する団体というのが非常に数が多うございまして、これが一堂に会するということはいまだかつてなかったことでございます。この養豚経営が非常にむずかしい状態の中にありまして、これを打って一丸として進めていく必要があるということで、今回はこの十三団体が集まりまして計画的な生産の推進を図ろうという体制づくりに、私
どももいろいろ御指導申し上げ、去る十一月八日にスタートをしたところでございます。今後さらに地方におきましても地方の推進
会議を設けていただくように、実は本日も全国の畜産課長を集めましてそのための対策の相談もいたしておるところでございます。私
どもといたしましても、その体制づくりのための推進費用につきまして助成を行うべく、これはすでに年度途中ではございますが、特別の予算を設けまして計上をいたしておるところでございます。
さて、その中で生産規模をどのように設定をしていくかというお尋ねでございますが、この推進
会議で生産の調整を図る場合の中心になるのは、御
指摘にもございましたように、子取り用の雌豚、繁殖用雌豚の頭数の調整、これが中心になろうかと
考えております。この雌豚の調整を全国でその縮減目標を決め、それを地方にそれぞれおろしまして、地方で御検討の上さらに全国に持ち上げていただいて、どのくらいの数量をやっていくかというのをこれは生産者の自主的な形でお決めいただくというふうに
考えております。もちろん私
どもも十分御相談に乗らしていただくつもりでございますが、そういうふうに
考えております。
その場合に輸入数量をどう見るかということにつきましても、その御相談の中で私
どもの
考えも述べさしていただきたいと
考えておりますけれ
ども、現在輸入につきましては、先ほど一四〇%の増ということで申し上げましたが、生産者団体におかれましては、やはり
自分たちの養豚経営を守るということで、輸入商社なり加工団体に当然要請をなさるべきではないかということを私
どもも申し上げまして、そのように全農、全中の代表者が、それぞれの団体の代表者に現下のわが国養豚の現状を訴えまして、輸入の自粛をするよう訴えまして、その結果が、先ほ
ども農林大臣の
答弁にございましたが、輸入の新規契約を十二月一日以降は自主的に繰り延べるというようなことも決めております。そうした中でどのくらいの輸入が今後あるかということで数量をよく検討いたしまして、いまの計画生産の中で目標数値を決める場合に御参考として申し上げていこうということでございます。いまどのくらいであるかということをちょっと申し上げるだけのまだ検討ができる段階でございませんので、できるだけ近いうちにそのような検討も終えまして推進
会議との打ち合わせにおいて御相談をしていきたいと、そのように
考えております。