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政府委員(藤井貞夫君) お答えをいたします。
いまお述べになりましたように、一般の御理解また国会における御支援等もございまして、幸いにして人事院の
給与に関する勧告というのは四十五年以来完全実施されてきております。特に時期等につきましては、四十七年に四月ということになりまして、これを含めて時期並びに
内容ともに完全実施されて今日に至っております。大変ありがたいことだと思っておるわけでありますが、それと同時に、先刻もお述べになりましたように、労働基本権の制約に対する代償的機能ということでございますので、いわば当然と言えば当然のことであろうというふうに考えておる次第でございます。
本年の勧告におきまして、ごく一部ではございますが
指定職の問題につきましてその実施時期が半年おくれということに相なりました。これは人事院の立場といたしましては大変残念であるというふうに申さざるを得ないと思います。と申しますのは、
指定職等につきましてもこれはやはり勧告の
内容でございます。
一般職だからこれは値切るのはけしからぬ、あるいは
指定職だからやむを得ぬだろうというのは、人事院の立場としてはこれはとりません。やはり、一貫の
内容として完全実施をお願いするということが
給与制度の整合性を保つ
意味から申しましても最も適当ではないかという見地でやっております。特に
指定職につきましては関連するところが大変多いわけです。
特別職その他にも影響いたします。そういうようなことで毎年注意して見守っておりますが、昨年はいろんな情勢がございまして、昨年一年は据え置きをいたしました。ところが、ことしも調べてみますると、やっぱり相当の較差が出てきておるということもございますし、それから
一般職の中の一等級の方々が
指定職に上がります際に、逆転等の
事情が生じてはこれは大変でございます。そういうようなことも配慮いたしまして、ことしは最小限度の
改定ということでお願いをいたした次第でございますけれども、諸般の情勢を踏まえてああいうことになりました。それなりの
事情があったことだと思いますが、人事院の立場としては、やはり完全実施が
部分的にもそういうふうになったということについては遺憾であるというふうに申し上げざるを得ないというふうに考えております。
それから、第二の点でございます。これは
昇給の問題等に限って申し上げましても明らかでございますように、これはあくまで
給与制度の全体の一環であります。いわば、これは人事院の職分、受け持ち
範囲ということになりまして、その分もあわせてやはり
給与の較差を埋めるという立場に相なっておるわけでございます。したがいまして、これについていろんなことを別の政策面から言われましても、やはり
給与勧告の本来のあり方から申しまして、これはいま
先生もおっしゃいましたように、較差の配分の問題でございますので、この点だけについて何か異例の取り扱いをいたしますと、たとえば、ことしそういうことをやるといたしますれば、次の年には、四月の時点で申しまして、
給与較差にそれがはね返ってまいります。較差がそれだけ多く出るわけです。そういうような点も考慮していかないと大変
給与制度全般の整合性を乱すことに相なりますので、その点、あくまでわれわれといたしましては較差の配分問題であるというふうに理解をしておりまして、その態度は今後も崩さない、崩してはならないというふうに考えて対処してまいりたい、かように考えております。
それから、次の問題でございますが、私は第一点のことに関連しても申し上げましたように、あくまでILOその他でもって評価があるなしの問題は別といたしまして、制度自体が、やはり人事院の
給与勧告の問題というのは、これは労働基本権が公務員についてその特性から言って制約を受けておるということに対する代償機能として付与をされておりますものであるというふうに理解しておるんです。これは
法律のたてまえも厳然とそういうふうになっております。したがいまして、その点は厳密に私は受けとめて従来もやってまいりましたし、大体大方の御理解も得ておると思いますけれども、今後ともその基本姿勢というものは絶対に崩しちゃならない。崩すことになりますと、結局根本になる労働基本権その他の問題にも影響が来ざるを得ないという基本的な姿勢に立って対処をしてまいるということを基本にいたしたいと思っております。
それから週休二日制の問題でございますが、これは二回のテストをやりまして、大体この程度の
内容であれば何とかやっていただけるんではないかということで、ことしの勧告では
給与の勧告とあわせて、いわゆる四週五休ということについてのことをやっていただきたいという
意味の勧告を出したわけであります。この点は、
総理府においても中心にしていろいろ御検討に相なっておることでございます。問題は、
給与の問題その他とは違いまして、これは現実に各省庁が自分でやっていただかなきゃならぬ問題でございます。それだけに各省庁ともいろいろの御
事情があるということは重々知っております。その点非常に慎重に当方といたしましても
調査もし、意見も聞いてやってきているつもりでございまして、まずはこの程度のことはひとつおやりいただけるのではないかという決断のもとに御勧告を申し上げたのであります。
総理府の方でもこれを真剣に受けとめられて、その後いろんな点で各省庁との調整を図っておられる段階でございまして、私といたしましては、これはそう時間はかからずにこれを受けとめて実施に移していただけるものであろうというふうに期待をいたしているということを申し上げておきたいと思います。
それから退職
手当その他の問題でございますが、これは実は専門家でいらっしゃいますので詳しく申し上げることは差し控えますが、退職
手当なり
年金というのは、これは直接的に言って人事院の所管ではございません。しかし、世間一般では非常に
給与の問題と絡めて論議をされておりまして、いわゆる生涯給の問題として最近特に論議の対象になっております。私も十分その点は耳にも入っておりますし、私
自身もそういうことは問題じゃないんだというふうな姿勢はとっておりません。関心を持って
調査すべきことは
調査しやっております。やっておりますが、ただこの際に
一つだけ申し上げておきたいと思いますのは、生涯
給与との関連が全然ないとは申しませんが、しかし、やはり月々の
給与というものはあくまでこれは月給、いわゆる月給であります。生活費に充てる月給でございます。あとは、退職
手当なり退職
年金というものは、その月給を基本にしてそれをどういうふうにやっていくかという問題になるわけでありまして、それはそれとして、やはり民間との対比を考えていかれることは非常に結構なことだろうと思います。そういうことで、たとえば退職
手当の問題について申しますれば、
総理府も大変心配しておられまして、過去においても依頼を受けまして
調査をいたしました。また最近では、五十二年度の実情について五十三年度に
調査を実施いたしまして、現在これの分析、取りまとめを急いでおる段階でございます。しかし、いまお話のありましたように、これの
調査、比較検討というのは、
給与とはまた違いまして大変むずかしい。どの程度のものを標準にとるかとかなんとかということは大変むずかしい問題でございまして、慎重の上にも慎重にやりませんと、大変な問題になるのではないかという
感じを持っております。特に退職
手当の点は、御承知のように、これは
一般職の公務員だけの問題ではございません。
特別職、はっきり申して検察官、裁判官その他にも影響しますし、三公社関係にも直接はね返っていく問題でございますので、そういう点ではやはり
総理府も慎重にやっておられますが、その検討の基礎になる人事院の
調査でございますので、これの分析、検討については本当に慎重に事柄をやっていかないと大問題になることではないかというふうに、そういう慎重な姿勢で対処をいたしたい、かように考えております。
それから最後に、寒冷地
手当でございますが、これはいろいろ
問題点があることは承知をいたしておりまして、関係方面とも話を詰めまして、ある程度煮詰まってきておることは事実でございます。その中にはいろいろございますけれども、なかんずく当面の問題としては、例の加算額の問題で、灯油が大変な値上がりを見ておるという実態がございます。これにつきましては、例年でありますと六月時点で調べておるわけなんですが、ことしの場合を見ますと、六月ではこれは実勢を反映いたしません。最近の実情、秋口になってからの値上がりというものを目の中に入れて実態を把握いたしませんと、事柄の実態を把握できません。そういうことで、追跡
調査というような形でいろいろ慎重に
調査をやっております。ほかの問題もございまして、まだ今日の段階で、これをどうするかとか、いつごろに勧告を申し上げるということは結論を得ておりませんが、
問題点のあることは重々承知いたしておりまして、今後とも慎重に検討を続けてまいる所存でございます。