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1979-12-10 第90回国会 参議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年十二月十日(月曜日)    午前十時三十一分開会     —————————————    委員異動  十二月六日     辞任         補欠選任      村田 秀三君     青木 薪次君      片岡 勝治君     福間 知之君      井上  計君     向井 長年君  十二月七日     辞任         補欠選任      青木 薪次君     村田 秀三君      福間 知之君     片岡 勝治君  十二月八日     辞任         補欠選任      向井 長年君     三治 重信君  十二月十日     辞任         補欠選任      堀江 正夫君     降矢 敬雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         古賀雷四郎君     理 事                 岡田  広君                 林  寛子君                 林  ゆう君                 山崎  昇君     委 員                 源田  実君                 塚田十一郎君                 中西 一郎君                 原 文兵衛君                 桧垣徳太郎君                 降矢 敬雄君                 片岡 勝治君                 野田  哲君                 村田 秀三君                 和泉 照雄君                 黒柳  明君                 山中 郁子君                 三治 重信君                 森田 重郎君                 秦   豊君    衆議院議員        大蔵委員長代理  高鳥  修君        大蔵委員長代理  山田 耻目君    国務大臣        大 蔵 大 臣  竹下  登君        運 輸 大 臣  地崎宇三郎君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       伊東 正義君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       小渕 恵三君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       宇野 宗佑君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  久保田円次君    政府委員        人事院総裁    藤井 貞夫君        人事院事務総局        給与局長     長橋  進君        人事院事務総局        職員局長     金井 八郎君        総理府人事局長  亀谷 礼次君        行政管理政務次        官        宮崎 茂一君        行政管理庁行政        管理局長     加地 夏雄君        行政管理庁行政        監察局長     佐倉  尚君        防衛庁参事官   岡崎 久彦君        防衛庁参事官   佐々 淳行君        防衛庁参事官   多田 欣二君        防衛庁参事官   番匠 敦彦君        防衛庁長官官房        長        塩田  章君        防衛庁防衛局長  原   徹君        防衛庁人事教育        局長       夏目 晴雄君        防衛庁衛生局長  野津  聖君        防衛庁経理局長  渡邊 伊助君        防衛庁装備局長  倉部 行雄君        防衛施設庁長官  玉木 清司君        防衛施設庁総務        部長       菊池  久君        防衛施設庁施設        部長       森山  武君        防衛施設庁労務        部長       伊藤 参午君        外務省アメリカ        局長       中島敏次郎君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 源三君    説明員        大蔵省主計局主        計官       畠山  蕃君        会計検査院第二        局防衛検査第一        課長       行方 敬信君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○許可認可等整理に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付) ○特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付) ○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○昭和四十二年度以後における国家公務員共済組  合等からの年金の額の改定に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○昭和四十二年度以後における公共企業体職員等  共済組合法規定する共済組合が支給する年金  の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等  共済組合法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○元陸海軍従軍看護婦の処遇に関する請願(第一  号外一〇件) ○国家公務員高齢者の「昇給停止」反対に関する  請願(第三六号外三件) ○国際障害者年(一九八一年)に当たり障害児・  者対策推進に関する請願(第六八号) ○旧満州棉花協会等恩給法による外国特殊機関  指定に関する請願(第七一号外一二件) ○靖国神社公式参拝に関する請願(第一三五号) ○肢体障害者国家公務員採用に関する請願(第  二五四号) ○継続審査要求に関する件 ○継続調査要求に関する件     —————————————
  2. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十二月六日、井上計君が委員辞任され、その補欠として向井長年君が選任されました。  また、去る十二月八日、向井長年君が委員辞任され、その補欠として三治重信君が選任されました。     —————————————
  3. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 許可認可等整理に関する法律案一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、以上四案を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。宇野行政管理庁長官
  4. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) ただいま議題となりました許可認可等整理に関する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  政府は、かねてから行政簡素化及び合理化を促進するため、許可認可等整理を図ってまいりましたが、さらにその推進を図るため、昨年末に決定した行政改革計画において整理合理化することとしているもの及びその後政府において検討した結果改善することが適当と認められるものを取りまとめ、ここにこの法律案を提出した次第であります。  次に、法律案内容について御説明申し上げます。  第一に、許可認可等による規制を継続する必要性が認められないものにつきましてはこれを廃止し、第二に、規制の方法または手続を簡素化することが適当と認められるものにつきましては規制を緩和し、第三に、下部機関等において処理することが能率的であり、かつ、実情に即応すると認められるものにつきましては処分権限を委譲することとしております。  以上により廃止するもの三事項規制を緩和するもの十五事項権限を委譲するもの六事項、計二十四事項について十二法律にわたり所要改正を行うことといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  5. 古賀雷四郎

  6. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) ただいま議題となりました一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について、一括してその提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  まず、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  本年八月十日、一般職職員給与について俸給及び諸手当改定等内容とする人事院勧告が行われたのでありますが、政府としては、その内容を検討した結果、指定職俸給表改定昭和五十四年十月一日に繰り下げたほかは、勧告どおり同年四月一日からこれらの改定を実施することとし、このたび、一般職職員給与に関する法律について所要改正を行おうとするものであります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、全俸給表の全俸給月額を引き上げることといたしております。  第二に、五十六歳以上の職員のうち、人事院規則で定める年齢を超える者は特別の場合を除き昇給しないものとすることといたしております。  第三に、初任給調整手当について、医療職俸給表(一)の適用を受ける職員に対する支給月額限度額を十八万五千円に引き上げるとともに、医療職俸給表(一)以外の俸給表適用を受ける職員のうち、医学または歯学に関する専門的知識を必要とする官職を占める職員に対する支給月額限度額を三万六千五百円に引き上げることといたしております。  第四に、扶養手当について、配偶者に係る支給月額を一万円に引き上げるとともに、配偶者以外の扶養親族に係る支給月額を二人までについてはそれぞれ三千円に引き上げ、この場合において、職員配偶者がない場合にあっては、そのうち一人について六千五百円に引き上げることといたしております。  第五に、住居手当について、月額七千円を超える家賃を支払っている職員住居手当を支給することに改め、その支給月額は、月額一万四千五百円以下の家賃を支払っている職員にあっては家賃月額から七千円を控除した額とし、月額一万四千五百円を超える家賃を支払っている職員にあっては家賃月額から一万四千五百円を控除した額の二分の一を七千五百円に加算した額に引き上げ、この場合において、その加算する額が五千五百円を超えるときは五千五百円とすることといたしております。  第六に、通勤手当について、全額支給限度額を超える部分の二分の一の加算の限度額を二千五百円に引き上げ、最高支給限度額を一万七千五百円に引き上げることといたしております。  第七に、非常勤委員、顧問、参与等に支給する手当について、支給限度額日額二万三百円に引き上げることといたしております。  以上のほか、附則において、この法律施行期日適用日俸給表改定に伴う所要の切りかえ措置等について規定いたしております。  次に、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、ただいま御説明申し上げました一般職職員給与改定に伴い、特別職職員給与について所要改正を行おうとするものであります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、内閣総理大臣国務大臣等俸給月額は据え置くことといたしましたが、その他の特別職職員俸給月額については、これを引き上げるとともに、大使及び公使並びに秘書官俸給月額についての特例を定めることといたしております。具体的には、内閣法制局長官等俸給月額は九十八万円とし、その他政務次官以下の俸給月額については、一般職職員指定職俸給表改定に準じ、八十四万円から七十二万三千円の範囲内で改定することといたしております。また、大使及び公使については、国務大臣と同額の俸給を受ける大使俸給月額は据え置き、大使号俸は九十八万円とし、大使号俸以下及び公使号俸以下については、一般職職員指定職俸給表改定に準じ、八十三万円から六十四万五千円の範囲内で改定するとともに、特別の事情によりこれによりがたいときは五十三万七千円とすることができることといたしております。また、秘書官については、一般職職員給与改定に準じてその俸給月額を引き上げるとともに、特別の事情によりこれによりがたいときは八号俸俸給月額にその額と七号俸俸給月額との差額の三倍の額を加えた額とすることができることといたしております。  第二に、委員手当について、委員会の常勤の委員日額手当を支給する場合の支給限度額を三万五千三百円に、非常勤委員に支給する手当支給限度額を二万三百円に、それぞれ引き上げることといたしております。  以上のほか、附則において、この法律施行期日適用日等について規定いたしております。  以上が両法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようにお願い申し上げます。
  7. 古賀雷四郎

  8. 久保田円次

    国務大臣久保田円次君) ただいま議題となりました防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、このたび提出された一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案の例に準じて、防衛庁職員給与改定等を行うとともに、予備自衛官手当月額改定するものであります。  すなわち、改正の第一点である防衛庁職員給与改定等につきましては、参事官等及び自衛官俸給並びに防衛大学校及び防衛医科大学校学生学生手当一般職職員給与改定の例に準じて改定するとともに、営外手当についても改定することとしております。このほか、一定年齢を超える職員昇給に関する規定についても一般職職員の例に準じて改めることとしております。  なお、事務官等俸給のほか、扶養手当住居手当通勤手当及び医師等に対する初任給調整手当等につきましては、一般職職員給与に関する法律規定を準用し、またはその例によることとしておりますので、同法の改正によって一般職職員と同様の給与改定防衛庁職員についても行われることとなります。  改正の第二点である予備自衛官手当月額改定につきましては、その月額現行の二千円から三千円に改定することとしております。現行月額昭和四十七年に定められたものでありますが、その後の経済情勢変化等にかんがみ、これを改定することとしたものであります。  この法律案規定は、公布の日から施行し、昭和五十四年四月一日から適用することとしておりますが、指定職職員俸給改定部分については昭和五十四年十月一日から適用することとしております。  また、昇給に関する改正規定及びこれに関する経過措置規定については昭和五十五年四月一日から施行することとしております。このほか、附則において、俸給の切りかえ等に関する事項について一般職におけるところに準じて定めております。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  9. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 以上で四案に対する説明の聴取は終わりました。  これより四案を一括して質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 山崎昇

    山崎昇君 法律案内容等については後ほど触れたいと思いますが、まず綱紀粛正に関連をして、時間も余りないようでありますから官房長官に一、二点お聞きをしておきたいと思うんです。  信頼合意という政治哲学で発足した大平内閣でありますが、今日までの政治行動を見ておりますというと、この信頼合意というものにほど遠いような私ども感じを受けます。第一に、総選挙そのものが異常なやり方であったということ。第二に、総理の選出についてまた異常な事態であったということ。第三に、任命された閣僚の中にかなり問題点があるということ等々判断しますときに、この大平内閣というものはきわめて国民から言えば余り信頼のできる内閣ではない。  その証拠には、きょう毎日新聞世論調査を発表いたしました。また、十二月の八日には読売新聞も発表いたしました。その間に朝日新聞の発表もございました。私ども自身世論調査がそうできるわけでありませんから、世論を代表するこれらマスコミの報道というものを一応念頭に置いて私ども判断をしたいと考えています。そういう意味で言うと、一紙だけで私は判断するわけでありませんが、きょうの毎日新聞は、ついに大平内閣支持がわずか一八%だという、これはまさに異常中の異常ではないだろうか。かつて福田さんが総理やられた際に、田中さんが二〇%の支持を割りました際にこれを批判をして、二十人で百人を支配するのはどうかと思うと、言うならば、田中内閣は即刻やめるべきだという趣旨発言が過去にありました。そういう点から判断しますと、この大平内閣支持率一つをとってみましても、もはや大平内閣政治を行う資格も、気迫もなくなっているんではないんだろうか、私はこう判断をいたします。  あなたは、内閣を統べる官房長官でありますから、この大平内閣に対する厳しい世論というものをどう受けとめておられるのか、まずその点をお聞きをしておきたいと思うんです。
  11. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) ただいまの先生の御質問でございますが、私も世論調査を拝見しまして、その調査の結果につきましては、これは厳しく私自身も受けとめる次第でございます。まあ過去のことはいろいろ申し上げませんが、成立過程自身が、国会に二人の首班候補者が同じ党から出るというような本当に異例のことでございましたので、成立過程から国民皆さんに非常に御批判を受けたことはそのとおり私も受けとめますし、国民皆さんにはおわびをしたい、心からおわびをしたいという感じを持っております。  第二次大平内閣が発足しましてから、御承知のように経済問題、物価の問題、エネルギーの問題いろいろございますが、それをやります前にも政治姿勢として綱紀粛正、行財政の刷新ということをどうしてもやって、一度失いました行政に対する不信と言いますか、国民不信を回復しようということでこれにいま取り組んでいるところでございます。今月中には行政改革の案、あるいは五十五年度の予算も何としても本年十二月中に編成をして国民に不安を与えないようにするということをやろうと思っておりますので、いまの先先の御意見、御批判はそのままいただいておきますが、われわれとしましてはひとつ実績国民信頼を回復していくということで一生懸命取り組むつもりでございますので、御了承をお願い申し上げる次第でございます。
  12. 山崎昇

    山崎昇君 官房長官としてはそう言わざるを得ないでしょう。しかし、国民の目というものはあなた方が幾ら力説しても必ずしもそうはならない。一八%という数字は、田中さん最後は一四%でした。どうあっても野党でいえば与党を倒すのが野党の任務の一つでもありますが、しかし国民サイドから言えば、時の内閣支持がないなんということは悲しいです、政治家としては。そういう意味では、私はどういう事態がありましてもやはり内閣というのはきちんとしてほしいという気持ちがありましていまあなたに申し上げているわけです。  そこで、いまあなたは今後の実績で見てほしいと言いますから、私は、わずか成立して一ヵ月でありますから、したがってある程度見守ることにはやぶさかではありません。やぶさかでありませんが、もっともっと厳しい態度を自己にとってもらうように重ねてあなたに申し上げておきたいんです。  そこで、具体的にこの世論調査を見ましても、国民の目というものは綱紀粛正最大の注目が集まっているんではないか、こう思っております。私も内閣委員会を通しまして今日までこの綱紀粛正についてはかなり議論をした一人でもありますから、その点から一、二点あなたにお聞きをしておきたいと思うんです。  この最近の綱紀粛正、あなた方また通達出されました。あなたの談話も出ました。官房長会議等々があって何か決めたようであります。しかし、これは私の承知する限り今日まで一つも変わったものがない。全部同じ内容である。何か新しいものがあるかと言えば何もない。かつて私は、一番ひどかったのは昭和四十四年でした。昭和四十四年にあなた方はかなり詳細なこのチェックのやり方というものについて規定をいたしました。そして、内閣としては各省から報告を求めてこの綱紀粛正をやったはずでありますが、それが一つもありませんでした。きょう、新聞記事でありますが、当時報道された、これは当時の事件であります。これからずっとこの綱紀粛正を追っておりますけれども、何にも変わったものがない。のど元過ぎたら熱さを忘れるみたいなもので、そのときはあなた方は通達を出したり、談話を出したりするが、一片の通達で終わっておる。これで一体綱紀粛正ができるのかどうか。  そこで、私は時間がありませんから具体的にあなたに聞きたいのですが、ずっと最近の特徴を見ておりますと、特定の者に権力が集中をする。  第二に、金銭感覚が麻痺しておるのではないのだろうか。これは野党議員も私は多少あると思いますのは、国の予算が三十八兆とか四十兆でありますから、千億といいましても〇・一%ぐらいにしか当たらない。言うならば十万や二十万という感覚は金の値打ちに入らないような感覚になっておるのではないのだろうか。補助金の問題もありますけれども、自治体が補助をあなた方に申請するときには、市町村は十万や二十万が単位なんです。それがなければどうにもならぬというような、実に悲惨な考え方であなたのところへ来ておるはずです。ところが、受ける側は少し金銭感覚が麻痺しておりまして、一億でも二億でもそれが金のうちに入らぬような感覚になっておる。それが今度のこの綱紀粛正の私は第二の特徴ではないのだろうか、こうとらえる一人です。  第三は、それは何かと言えば、守秘義務というのがありますけれども、これが逆用されて、部内で皆さん方がいろいろ相談をされても、あるいは調査されても実態が出てこない。全然出てこない。これはゆゆしきことではないのだろうか。  第四に私が考えますのは、ずっと見ておりますというと、主査、主任、課長補佐等事務に精通をして、さらには年齢的に言うならば四十五歳以上五十歳前後、最も人生では分別があると称される年代の者がほとんど事故を起こしておる。そしてそれを監督しておりました上司については何のとがめもない。言うならば人事管理上に最大の欠陥があるんではないのだろうか、こう私はとらざるを得ません。  第五に、通達を出してあなた方は、よそから物をもらっちゃいかぬとか、官庁同士で酒飲んじゃいかぬとか通達が出ます。もっと根本的に言うならば、政治そのもの宴会政治をやめるべきではないのか。ここまでいかなければ、この綱紀粛正というのは私はできないのじゃないのだろうか。下級職員にだけあなた方は通達を出して、昇給やめるだとか、あるいは人事院勧告がどうだとか、そういうことにすりかえて、実際にやった者に対する、あるいはその監督者に対する責任の追及なんぞほとんどない。こういうことをやっておったのでは、百万遍あなた方は通達を出したって綱紀粛正なんということはできないのじゃないかと思うんですが、官房長官の見解を聞いておきます。
  13. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) いまおっしゃるように、通達だけ出しましてそれで綱紀粛正ができるとは私も思っておりません、この点は。いままでの弊害といいますか、先生がおっしゃったように、通達を出せば後終わったというような気分が若干あったのじゃないかと私も思います、その点は。これは私ども厳に慎んでいかなければならぬことでございまして、私どもも実は参りましてから、私宅の電話の公費負担の問題でございますとか、公務員宿舎の問題とかいろいろ御指摘がございました。こういうことについて間違っていることは、常識に合わぬことは即刻改めるということでやっているわけでございますが、いま先生のおっしゃったように、通達だけでもう能事終われりというような態度でなくて、最後までこれに監視をし、当たっていくという態度で私はやらなければ綱紀粛正はできないと思っておりますので、御意見は十分に承っておきます。  それからいま四、五点先生がおっしゃったことがございますが、一々は申し上げませんが、たとえば金銭感覚が麻痺しているのじゃないかというようなお話、これは私も実はそういう感じがいたします。あの高度成長時代からいろんな機構が大きくなりましたり特殊法人ができたり、いろんな行政の膨張を来したことがございますし、実は私、昔もう三十年近く前に会計課長をやっていたことがあるんです。その当時は、本当に予算折衝でも非常に微に入り細に入って細かいことまでやったことが記憶がございますが、最近そういう点がどうも少し前と違ってきたことがあるんじゃなかろうかというふうな感じがいたしますし、また最後におっしゃった政治家宴会政治のことはそのとおりでございます。私も官房長官になりまして、いろいろ言うべきところにはそういうことを言ってやめてもらっておることもございますし、あるいは主査とか課長とか、そういうところがよく間違いを起こすということにつきましては、これは上司の責任確かにございます。おっしゃるとおりでございます。そういうことは、いまおっしゃったことは、これは実績でひとつ上司についても責任を問うということでやってまいりたいと思いますし、一片の通達で本当に綱紀粛正ができるとは思っておりません。公務員全部が、やはりわれわれは国民に奉仕する者なんだ、われわれの俸給は税金から出ているのだということを全部が認識してかかりませんとできませんので、この点は本当に厳に慎んでまいるつもりでございます。
  14. 山崎昇

    山崎昇君 私は、総務長官にお聞きしますが、昭和四十四年の三月十四日に総務長官から「官庁綱紀粛正について」という通達が出まして、それを受けて、総理府の人事局長から「綱紀粛正のための各省庁の具体的措置について」というのがまた出されました。この内容は詳細をきわめておりまして、そして各省庁はこれに基づいて具体的にどういう措置をとったか報告をせよと、一遍ぐらい報告があったのじゃないかと思っているんです。一体こういう過去のあなた方詳細なこれ通達、一々時間ありませんから読みませんが、七項目にわたってあなたはやっておる。今日まで、その間相当な事件が起きておりますが、出しっぱなしでこれは何も生きてない。一体その後、人事局長おいでなら、この通達趣旨というものはどういうふうに生かされているのか、この点、まず聞いておきたい。  さらに私は、いま幾つか官房長官に私どもの考えとして指摘いたしましたが、また改めて今度の一連のものを見ているというと、これもまた別な角度から見ればまた別な特徴点がある。それはこの汚職の動機というのが一つは地位保全である、一つは遊興飲食である。これがKDDから始まりまして一連の特徴的な二点じゃないかと思っています。そしてこういう事件が発表になるというと、まず第一にどういうことをするかというとこれを否定をする。否定をして、それがだんだん否定しにくくなってくるというと、すべてと言っていいぐらい病気が発生して入院をする。ほとんどがいま入院中であります。この間は一体何をするんだろうか、時間かせぎなんだろうか、対策を講じているんだろうか。その入院ももはや限度に来るというと、その次の手段として責任が転嫁される。おれはそうでなかったのだがこれはあの人がやったのだと、そしてその間に必ずと言っていいぐらい犠牲者が出る、自殺者その他が出てくる。これが繰り返し繰り返し起こされている内容であります。そして先ほど申し上げましたように、実務にたけた者がその中心点になっておる。それに対する人事管理は何も行われてない。私は、人事管理という点から言うならば人事院総裁の見解も聞いてみたいと思っているんです、本来なら。本当に真剣に、あなたは実績で見てくれと言うから、それは今後のことでしょうから見ます、見守ります。しかし、今日までこの問題を追った私としては、何回あなた方が重ねて言いますが通達を出そうが、実績見てくれと言っても何の実績もなくて同じことが繰り返される。これは本当に深刻に考えなければ議会制度そのものが私は崩壊するんじゃないのだろうか。そして官僚行政という言葉もあって、私も余り好きな言葉じゃありませんが、上級職の汚職によって公務員一般が何か悪いことをされているような錯覚になっちゃう。そして公務員一般に対する通達で物事が処理されてしまう。起こしたのは上司なんです。たかが二、三人ぐらいの処分でこの問題が終えられちゃう。こういうやり方に対して私は承服できないんです、正直に言って。きょうは官房長官の時間もありませんし、私は一時間ぐらいですから細かなことは言いませんけれども、まず総理府から、この四十四年に出された通達等がどういうふうにその後生かされたのか、その点からの説明と、あわせて、もう一遍官房長官の決意を聞いておきたいと思うんです。
  15. 亀谷礼次

    政府委員(亀谷礼次君) 先生から御指摘の四十四年におきます綱紀粛正通達につきましては、いまお述べになりましたとおり、通達に基づきまして関係省庁に対し、今後具体的な措置に基づく経過について正すべきものを正した結果についての処理の報告を求めるように通達はしてあります。その後、数度にわたりまして結果の報告を受けておりますが、全般的には御承知のように、人事局で所掌しております各省の人事担当管理官会議を毎年必要に応じて開いておりますが、その席を通じましても、重ねてこの通達が徹底されるように指導、喚起をやってきたところでございます。  今回の総理官房長官の指示に基づきます徹底につきましても、先生が御指摘されましたとおり、先般官房長の会合を持ちまして、総務長官命により、官族長官命を徹底するように十三項目にわたる申し合わせをいたしたところでございますが、その中におきましても、今後これらの問題の発生につきましては厳正な措置をとることを前提に、全般に通じましてこの周知徹底による後処理について逐次関係省庁から報告を厳格にいただくと、そういうことで官房長官の指示も受けておるところでございまして、このような問題が再び起こることのないよう、厳重に今後その体制を堅持して通達が具体的に実施されるよう留意してまいるつもりでございます。
  16. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 私への御質問は、特に上級職の者が間違いを起こして、それで一般の者まで非常に迷惑しているという意味のお話であったと思うんでございますが、確かにまじめに働いておるたくさんの公務員の諸君が、この一連の事件で国民から不信を買って働く意欲を失うといいますか、肩身の狭い思いをするというか、そういうことになりますことは非常に残念であり、私はまたそういう風潮が出ることを心配しているのでございます。確かに先生がおっしゃったように、まあ接待でございますとかなんとかという問題は上級職に多いわけでございますので、こういうことは厳に、まことに私どもこれから注意をさせます。  ただ、今度の鉄建公団とかあれを見ていますと、カラ出張の問題でございますとかカラ超勤の問題なんというのは、これは単にそれだけじゃなくて、公務員全部が、あるいは特殊法人の職員全部がやはりこれはいいことじゃないんだと、こういうことをやれば本当に国民信頼なくすんだというような意識にみんなが徹底してもらわぬといかぬことでございます。しかし、それには上に立つ者が一番でございますので、その点から注意してまいるということを先生にお答えを申し上げる次第でございます。
  17. 山崎昇

    山崎昇君 そこで総務長官、あなたにかかわる問題が、私はずっと沈黙しておったんですが、こう次から次出されますとやっぱり一言あなたにお聞きしておかなきゃいかぬ。  そこで、KDDのパーティー券についてはあなたお返しになった。きょうは税理士関係の問題で一部から告発をされるという記事が出ました。そこであなた自身から、この問題についてどういう経過なのか、何が本当なのか、まずお聞きをしておきたい。  その後、官房長官に私はちょっと聞きますので、あなた記者会見のようでありますが、もうしばらくちょっとつき合ってください。
  18. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 先生御指摘いただきました中で、後段の問題につきましては、私は今次選挙に当たりまして日税政から推薦候補として御推挙いただき、選挙戦に当たりまして御協力をいただきました事実はそのとおりでございます。その過程で推薦状並びに政治資金の、まあ陣中見舞いにかかわる政治資金を受納いたしておることも事実でございます。私の若い政治家としての将来に対して力強い御支援をいただくという形での政治資金と心得、所要の手続をとらしていただいております。
  19. 山崎昇

    山崎昇君 いまの説明聞いただけでは私どもよくわかりません。あなたが若いから、若い政治家を育てようという人は、それはおるかもしれません。だがしかし、出てきております現状は、そんなことだけでは済まないのではないだろうか。  そこで、この当委員会は、綱紀粛正についていまも私はやかましいほど言っているわけでありますが、その中心である総務長官が、少なくとも、これは新聞報道だけでありまして、また私は真相を確かめておりませんが、献金は賄賂ではないか、そういう意味で告発を受けるということになって、もし検察庁がこれを受理するということになると、あなたはある意味では刑事被告人の座に置かれる。そういう者が綱紀粛正の中心責任者としてやっていくということは、いささか私はちゅうちょせざるを得ない。  そこで、官房長官にお聞きしたいのですが、私はこれだけで不適任とかあるいはどうだという言葉は使いませんが、少なくともこういう問題が提起をされた以上、内閣として、一体総務長官としてそのまま適任なのかどうなのか。こういう点は真剣に考えなければ、私は綱紀粛正なんという実は上がらぬのではないだろうか。これは総務長官を目の前にして大変酷な言葉でありますけれども、あえて申し上げなきゃならぬじゃないだろうか、こう思うのです。総務長官自身もまた、このきょうの読売や毎日の報道が事実だとするならば、これはみずからやっぱり検討しなきゃならぬという立場にあるんじゃないんだろうか、こうさえ考えるのですが、最後に官房長官のそれに対する見解を聞いておきたいと思います。
  20. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 私も新聞を見るだけで、詳しいことは実は承知していないわけでございます。それで今度の問題は、政治資金規正法とか非常にこういろいろな関係がございますので、なかなか簡単に結論をいま申し上げるような問題でございません。私の方もよく調べてからお答えをした方がいい問題だと思うわけでございます。でございますので、この席でいま先生の問いに対しましてすぐ明快なお答えはいたしかねますが、私の方の中でもよく検討しまして、その上でまたこの問題についてお答えを申し上げたいというふうに思います。
  21. 山崎昇

    山崎昇君 官房長官お忙しいですから、もう最後に一言だけあなたに要望しておきますがね。  五十五年度予算編成で、いろいろまあ私ども新聞でお伺いしますというと、今度のこの綱紀粛正に関連をして、旅費の削減でありますとか、いろいろ問題が提起されているようであります。そこで、私はぜひ配慮してほしいと思いますのは、第一線の行政機関なんかでは、需用費といいますか、庁費といいますか、食糧費といいますか、その機関が存在する限りある程度の必要な経費というのがそれらしく計上されておらない。そこにも一つ問題があるのではないだろうかと私は考えます。そういう意味で言うと、そういう管理費的な要素につきましても、ただ何%切ればいいというものではないと思うんです。その点は十分に配慮して、私はそこからやはりこの綱紀粛正の実もひとつ上げてほしい。そういう意味で、これは予算編成に絡みますから、本来なら大蔵大臣に言うところでありますけれども、官房長官でありますので、ぜひその点は配慮してほしいということを意見としてあなたに申し上げておきたい。  そこで、人事院にお聞きしますが、先ほど私は人事院にも見解聞いてみたいということを申し上げました。一体この人事管理上欠陥があるんではないんだろうかと私は思うんですが、それについてあなたの見解と、もう一つは、これはきょう多くのことをやりませんが、この天下りの問題に関連をして、人事院は在職中の職務と関連のないところに高級公務員が行くことについて承認制をとっています。それ自体だけならばそう問題はないのかもしれませんが、この承認制そのものについても私は再検討すべき時期に来ているんじゃないんだろうかと考える一人です。それは必ずしも、直接的な事務は別といたしましても、関連するところにやっぱり行っているわけですから、そういう意味では官僚組織そのものにメスを入れなきゃなりませんし、官庁の民主化の問題とも関連しましてこの承認制度の再検討についてあなたの見解を聞いておきたい。
  22. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) 先刻来の先生の御意見、御見解等につきましては、私自身としても大変心を打たれる思いで傾聴をいたしておった次第でございます。  人事管理ということは大変むずかしいことであり、また本当に根気強く、毎日毎日根を詰めてやっていかなければならない仕事でございます。ただ、このことが世の中一般、また役所の内部でも非常にじみな仕事でありますがために、それほど世の中の批判その他注目を浴びないというような点がございます。たとえば、これは私は各省の人事管理の問題についてあえて注文を出すわけでございませんけれども、たとえば各省の人事課長さんなり秘書課長さんというものは、これはまあすべて有能な方が補されます、任命されます。ただ、これが次のステップへの一つの上がりがまちと申しますか、段階的なものになりまして、その結果大変その任期が短いということが非常に特徴として私は申し上げていいのではないかと思います。こういう点はやはり人事管理の重要性ということから申しますと、腰を落ちつけてじっくり長期にわたってやっぱりやっていくという、そういう姿勢、これが私は各省庁の人事管理としても大変重要な事柄ではないだろうかという点を常日ごろ感じておるわけでありまして、こういう点、機会のあるごとにも申し上げておりますが、なかなかうまくいかないというのが現実の姿でございます。  で、先刻も御指摘になりましたように、私自身もやはり公務員全体というものは大変まじめに一生懸命にやってもらっておるというふうにこれは信じております。それであるからこそ、いろんな情勢の変化もございますけれども、日々の国民の経済活動なり日常の国民生活というものはよどみなく、大体においてそう間違いなく行われておるのではないかというふうに、これは私も確信をいたしております。そういう点から言って、やはり一部の間違いのために公務員全体が何か悪いことをしているんじゃないかと、でたらめやっているんじゃないかというような印象を与えることははなはだ遺憾千万という感じも、私は内心強く持っておるところでございます。それだけにやはり人事管理、特に公務員の人事管理というものは、御指摘にもありましたように、国民のための行政をやります、また国民の税金によって賄われておるという基本原則がございますので、その点はやはり一刻も油断なく、一刻も心の緩みもないように自粛自戒をしながらやっていかなきゃならぬ、そういうやはり基本的な姿勢というものをいつもやはりきっちりと身に体しながらやっていかなきゃならぬというふうに私自身も自戒をいたしておるつもりでございます。今後もその線に沿って努力すべきことは大いに努力をしていきたい、かように考えておる次第でございます。  その次の問題でございますが、天下りの問題については従来からいろんな点で御指摘を受けております。いろいろ問題のあることも私自身も承知をし、その角度でもって御答弁も申し上げて今日まで来ておるわけです。運営についても心してやっているつもりでございますけれども、この点は法の条項自体が、やはり公務員としてもこれは人間でございますので、職業選択の自由なり人権というものとの兼ね合わせの問題ございますので、そこが大変むずかしい問題がございます。しかし、そうであるからといって、やはりこの規定趣旨なり運用の厳正ということについておろそかになっていいということにはこれはなりません。厳然とした法律がございます。その規定趣旨に沿ってやっていかなきゃならないし、また現実の姿として何か非常なやっぱり問題が出てきておるのであれば、その原点に立ち返って問題の所在なりこれの対策なりというものはやはり慎重に検討してまいらなきやならぬと思うのでありまして、その一環といたしまして承認の制度自体、そのやり方というものについてさらにやはり厳正な配慮というものは今後ともやってまいりたい、かように考えております。
  23. 山崎昇

    山崎昇君 いま総裁から人事管理についての見解もありました。私も高級公務員だから何でもかんでもだめだなんという意味で言っているわけではありません。これはあなたの言うように職業選択の自由もありますし、それはそれなりに私は考えます。しかし、いまこれだけ世間を騒がしている問題は、それだけでは片づかないやっぱり内容を含んでいるだけに、人事管理をする方はそれなりに私は検討すべきことではないんだろうかというふうに申し上げているわけです。  そこで、その一環の一つに、戦後私は人事院のやりました競争試験そのものについては評価をしていいと思っている一人であります。ただ、各省で行っております上級職のあの幹部職員と称される方々の試験のあり方については、私は再検討すべきではないか。なぜかと言えば、つい先日でありますが、この委員会で外務省設置法やりました際に、ある外務省出身者が書いた文書を読むというと、キャリア組とノンキャリア組の熾烈な内容が出されておりました。それは外務省自体認めました、それは。一遍の試験であなたは幹部だと言って、その試験に合格したらそれこそとんとん拍子の状態が続いていく。どんなに仕事に精通して、たとえば外務省で言えばどんなに語学が達者で専門的な分野に優秀な者であっても、それは一定限度で抑えられちゃって上がっていけない。こんな私は人事の管理のあり方というのはないのではないか。たった人生で一遍の試験でその人間がずうっと最後までいいなんという仕組みというものは私は改めるべきではないんだろうか、そういう意味でこの試験制度についても人事院は真剣に考えてもらいたいし、人事の管理をする総理府としてもこの点をどうされるのか、すぐでは結論出ないでしょうが、総務長官の見解を聞いておきたい。
  24. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) いま山崎先生の方からも御指摘になりましたように、私もその人事院の制度というものは、昨年三十周年を迎えたわけでございますけれども、一番の——自分で申して恐縮でございますが、人事院のやはりメリットというのは、いま御指摘になりました、やはり人事行政自体のメリットシステムの堅持、いわゆるスポイルシステムの排除ということと、それとやはり公務員の労使関係の安定、いますっかり安定していると言うのは口幅ったいですけれども、まあまあ大体いいところに行っているんじゃないかと、この二つは天下に公言しても余り恥ずかしくない、言い過ぎではないというふうに私自身も評価をいたしております。  いまの試験制度でございますが、これは幸い世間の御理解と、またわれわれの職員が本当に自粛自戒をいたしまして一つでも誤りがあったら大変だという自覚に燃えてやっておりますので、いままでのところ幸いに問題なく来ております。これはまあ非常にありがたいことだというふうに思っておりますが、試験制度自体が万古不易でこれ以外にりっぱなものがないんだというように私自身も思っておりません。改善すべき点は改善をしていかなければならぬ。時代の変遷もございますし、それは率直に認めて検討を続けておる次第でございますが、いまお話しになりましたようなことの対策の一環といたしまして、私は今後の課題といたしまして昇任試験、採用だけじゃなくて、ある時期に至ったならばもう一遍やはり再点検をするというような意味から、それからさらにノンキャリアと申しますか、そういう方々にも公式に自分の実力を試すという場を与えるというような意味から申しましても、昇任試験というものの実施を真剣に検討をしてみてはいかがであろうかという考え方を持っております。  いまの採用試験について、キャリア組とノンキャリア組のいろいろこれをめぐる問題がございますけれども、これは先生もよく御承知のように、試験だけで後が全部段階的に行くというものではなくて、やはり落ちる人は落ちます。だめな人はだめになります。それはおのずからそういう試験の窓口をくぐってやってきた人はそれなりの能力を持っておりまして、それが日常の仕事を通じてだんだん世間にも認められる、周辺からも認められるというようなことから、上がるべき人が上がっていくという結果になっておるのではないかと私は思っておりますけれども、しかし制度自体についても反省すべき点はございます。そういう点は昇任試験の実施を初め一連の関連事項として真剣にひとつ取り組んでまいりたいと、かように考えます。
  25. 山崎昇

    山崎昇君 真剣に取り組むそうでありますから、私もまた見守っていきたいと思っています。  ただ、やっぱりキャリア組のやり方というのは本当に考えませんと、私は幾つかの例は持っておりますが、自治省のごときは定員外に二十名がおって、各府県を回して二年たったら引き上げてきて、また二年たった者が県に行くときは課長になって、わずか二十六、七歳で地方へ行けば課長です。同じ大学出て試験とっても地方で試験とれば、これはもうそこへ行かないんですね。これに対する批判なんというものは渦巻いていますよ。ですから、私は一遍の採用試験だけで、通ったら後はもうウナギ登りでとんとん拍子のやり方というのは本当に真剣に考えてもらいたい。そうしなければこの人事管理なんというものはうまくいかない。あなたは成績主義と言うが、実際は高級公務員は相当程度スポイル主義ですよ。成績主義だけでは行っていませんよ。そういう点判断しますと、私は人事管理というものについて総理府も人事院も真剣にひとつ考えてほしいということを申し上げて、この綱紀粛正に関する点は一応終えておきたいと思うんです。  そこで人事院総裁に、公務員給与については後ほど野田委員の方から詳細にお聞きをすると思うんですが、私時間もなくなりましたから一、二点聞いておきます。時間を節約する意味で私の方から簡潔にまとめて二、三お聞きをしますが、一点は、今度のあなた方の勧告は大筋は完全実施でありますけれども、部分的にはそうではない。昭和四十七年から一応曲がりなりにもあなた方と組合側とも話し合いがついて完全実施になってきたものが今回そうならない。この点について一体人事院はどういうお考えを持つのかということが第一。  それから第二は、昇給問題でありますとか退職手当の問題でありますとかその他一連の具体的な内容を含めまして、この官民較差という問題がやっぱり問題になっているんですが、いまの人事院の勧告というのは、官民較差という点から一応の較差を出してからそれを本俸にどう配分するか、諸手当にどう配分するかという、たとえば問題になりました住宅手当にいたしましてもその他にいたしましても、配分のあり方の問題だと私ども理解をしているのですが、そのように人事院は考えておるのかどうかが第二点。  第三点は、これは基本的でありますが、この勧告制度そのものは私自身意見のあるところでありますけれども、これは今日までの経過があり、かつて昭和四十年にドライヤー報告というのがILOから出されまして、そのときに人事院勧告が完全実施になっていなかったんで、これは代償機能として完全ではない、もし代償機能として完全にするならば当然完全実施をすべきだというのが当時ドライヤー報告の内容でありました、要約しますが。また、人事官の任命についても必ずしも組合側等々の意見が入っているとは認めがたい、そういうような見解が出されまして、大変当時も議論のあったところであります。しかし、曲がりなりにも代償機能としての人事院勧告というのが四十七年以降、期日も含めまして完全実施という形になってまいりました。これはきちっとしておきませんというと、労働基本権との関連が出てまいりますだけに私は重要だと考えています。それに対する総裁の見解を聞いておきたい。  それからさらに、週休二日制については今度全く無視されて何もありません。しかし、人事院は二年間の試行期間を終えまして来年の四月一日から、四週五休制という名前ではありますが、週休二日制というのに踏み切った。これが全く顧みられておらない。これについて人事院としてはどういう御見解を持つのか。  さらに、退職手当の問題もございますが、これは民間との関係を見直すということになっておりますが、これは慎重に配慮しませんというと大変だと私は考えます。したがって検討も慎重を要するのではないかと思いますが、それに対する見解。  最後に、いま人事院では寒冷地手当について検討されていると聞いております。いま支給されております寒冷地手当は、御案内のように昭和五十年に決まったものです。当時の灯油の値段で言えば、十八リッター一かん六百六十一円という数字でありました。しかし、いまや灯油はもう千二百円になんなんとする状態にあります。そういう意味で言うならば、この灯油の問題一つ考えてみましても、この寒冷地手当については検討し、しかるべき時期にあなた方の意見というものを政府、国会に出すべきではないかと思いますが、寒冷地手当についての現状について御説明を願いたいと思います。
  26. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) お答えをいたします。  いまお述べになりましたように、一般の御理解また国会における御支援等もございまして、幸いにして人事院の給与に関する勧告というのは四十五年以来完全実施されてきております。特に時期等につきましては、四十七年に四月ということになりまして、これを含めて時期並びに内容ともに完全実施されて今日に至っております。大変ありがたいことだと思っておるわけでありますが、それと同時に、先刻もお述べになりましたように、労働基本権の制約に対する代償的機能ということでございますので、いわば当然と言えば当然のことであろうというふうに考えておる次第でございます。  本年の勧告におきまして、ごく一部ではございますが指定職の問題につきましてその実施時期が半年おくれということに相なりました。これは人事院の立場といたしましては大変残念であるというふうに申さざるを得ないと思います。と申しますのは、指定職等につきましてもこれはやはり勧告の内容でございます。一般職だからこれは値切るのはけしからぬ、あるいは指定職だからやむを得ぬだろうというのは、人事院の立場としてはこれはとりません。やはり、一貫の内容として完全実施をお願いするということが給与制度の整合性を保つ意味から申しましても最も適当ではないかという見地でやっております。特に指定職につきましては関連するところが大変多いわけです。特別職その他にも影響いたします。そういうようなことで毎年注意して見守っておりますが、昨年はいろんな情勢がございまして、昨年一年は据え置きをいたしました。ところが、ことしも調べてみますると、やっぱり相当の較差が出てきておるということもございますし、それから一般職の中の一等級の方々が指定職に上がります際に、逆転等の事情が生じてはこれは大変でございます。そういうようなことも配慮いたしまして、ことしは最小限度の改定ということでお願いをいたした次第でございますけれども、諸般の情勢を踏まえてああいうことになりました。それなりの事情があったことだと思いますが、人事院の立場としては、やはり完全実施が部分的にもそういうふうになったということについては遺憾であるというふうに申し上げざるを得ないというふうに考えております。  それから、第二の点でございます。これは昇給の問題等に限って申し上げましても明らかでございますように、これはあくまで給与制度の全体の一環であります。いわば、これは人事院の職分、受け持ち範囲ということになりまして、その分もあわせてやはり給与の較差を埋めるという立場に相なっておるわけでございます。したがいまして、これについていろんなことを別の政策面から言われましても、やはり給与勧告の本来のあり方から申しまして、これはいま先生もおっしゃいましたように、較差の配分の問題でございますので、この点だけについて何か異例の取り扱いをいたしますと、たとえば、ことしそういうことをやるといたしますれば、次の年には、四月の時点で申しまして、給与較差にそれがはね返ってまいります。較差がそれだけ多く出るわけです。そういうような点も考慮していかないと大変給与制度全般の整合性を乱すことに相なりますので、その点、あくまでわれわれといたしましては較差の配分問題であるというふうに理解をしておりまして、その態度は今後も崩さない、崩してはならないというふうに考えて対処してまいりたい、かように考えております。  それから、次の問題でございますが、私は第一点のことに関連しても申し上げましたように、あくまでILOその他でもって評価があるなしの問題は別といたしまして、制度自体が、やはり人事院の給与勧告の問題というのは、これは労働基本権が公務員についてその特性から言って制約を受けておるということに対する代償機能として付与をされておりますものであるというふうに理解しておるんです。これは法律のたてまえも厳然とそういうふうになっております。したがいまして、その点は厳密に私は受けとめて従来もやってまいりましたし、大体大方の御理解も得ておると思いますけれども、今後ともその基本姿勢というものは絶対に崩しちゃならない。崩すことになりますと、結局根本になる労働基本権その他の問題にも影響が来ざるを得ないという基本的な姿勢に立って対処をしてまいるということを基本にいたしたいと思っております。  それから週休二日制の問題でございますが、これは二回のテストをやりまして、大体この程度の内容であれば何とかやっていただけるんではないかということで、ことしの勧告では給与の勧告とあわせて、いわゆる四週五休ということについてのことをやっていただきたいという意味の勧告を出したわけであります。この点は、総理府においても中心にしていろいろ御検討に相なっておることでございます。問題は、給与の問題その他とは違いまして、これは現実に各省庁が自分でやっていただかなきゃならぬ問題でございます。それだけに各省庁ともいろいろの御事情があるということは重々知っております。その点非常に慎重に当方といたしましても調査もし、意見も聞いてやってきているつもりでございまして、まずはこの程度のことはひとつおやりいただけるのではないかという決断のもとに御勧告を申し上げたのであります。総理府の方でもこれを真剣に受けとめられて、その後いろんな点で各省庁との調整を図っておられる段階でございまして、私といたしましては、これはそう時間はかからずにこれを受けとめて実施に移していただけるものであろうというふうに期待をいたしているということを申し上げておきたいと思います。  それから退職手当その他の問題でございますが、これは実は専門家でいらっしゃいますので詳しく申し上げることは差し控えますが、退職手当なり年金というのは、これは直接的に言って人事院の所管ではございません。しかし、世間一般では非常に給与の問題と絡めて論議をされておりまして、いわゆる生涯給の問題として最近特に論議の対象になっております。私も十分その点は耳にも入っておりますし、私自身もそういうことは問題じゃないんだというふうな姿勢はとっておりません。関心を持って調査すべきことは調査しやっております。やっておりますが、ただこの際に一つだけ申し上げておきたいと思いますのは、生涯給与との関連が全然ないとは申しませんが、しかし、やはり月々の給与というものはあくまでこれは月給、いわゆる月給であります。生活費に充てる月給でございます。あとは、退職手当なり退職年金というものは、その月給を基本にしてそれをどういうふうにやっていくかという問題になるわけでありまして、それはそれとして、やはり民間との対比を考えていかれることは非常に結構なことだろうと思います。そういうことで、たとえば退職手当の問題について申しますれば、総理府も大変心配しておられまして、過去においても依頼を受けまして調査をいたしました。また最近では、五十二年度の実情について五十三年度に調査を実施いたしまして、現在これの分析、取りまとめを急いでおる段階でございます。しかし、いまお話のありましたように、これの調査、比較検討というのは、給与とはまた違いまして大変むずかしい。どの程度のものを標準にとるかとかなんとかということは大変むずかしい問題でございまして、慎重の上にも慎重にやりませんと、大変な問題になるのではないかという感じを持っております。特に退職手当の点は、御承知のように、これは一般職の公務員だけの問題ではございません。特別職、はっきり申して検察官、裁判官その他にも影響しますし、三公社関係にも直接はね返っていく問題でございますので、そういう点ではやはり総理府も慎重にやっておられますが、その検討の基礎になる人事院の調査でございますので、これの分析、検討については本当に慎重に事柄をやっていかないと大問題になることではないかというふうに、そういう慎重な姿勢で対処をいたしたい、かように考えております。  それから最後に、寒冷地手当でございますが、これはいろいろ問題点があることは承知をいたしておりまして、関係方面とも話を詰めまして、ある程度煮詰まってきておることは事実でございます。その中にはいろいろございますけれども、なかんずく当面の問題としては、例の加算額の問題で、灯油が大変な値上がりを見ておるという実態がございます。これにつきましては、例年でありますと六月時点で調べておるわけなんですが、ことしの場合を見ますと、六月ではこれは実勢を反映いたしません。最近の実情、秋口になってからの値上がりというものを目の中に入れて実態を把握いたしませんと、事柄の実態を把握できません。そういうことで、追跡調査というような形でいろいろ慎重に調査をやっております。ほかの問題もございまして、まだ今日の段階で、これをどうするかとか、いつごろに勧告を申し上げるということは結論を得ておりませんが、問題点のあることは重々承知いたしておりまして、今後とも慎重に検討を続けてまいる所存でございます。
  27. 山崎昇

    山崎昇君 もう私の時間がなくなりまして大変恐縮ですが、防衛庁長官に、これは二点ほどきょうは見解だけ聞いておきたいと思うんです。  一点は、中期業務見積もりというのが出されまして、それに基づいて防衛予算がいま折衝をきれておると思っておりますが、一体この中期業務見積もりというのは、私どもどういう性格とこれは理解をしたらいいのか。これはポスト四次防と考えるものなのか、新たな計画というものなのか、引き続きなのか。解説では単年度単年度ごとに予算は組むということにはなっていますが、どういうふうに私どもこれ理解したらいいのかちょっと見当がつきませんので、この中期業務見積もりなんぞというやり方について見解をきょうは聞いておきたいと思います。  それから、大蔵省の主計官きょう来ていると思うんですが、五十五年度予算のいま編成の最中でありますが、財政再建と、この中期業務見積もりに載せられております今年度の要求額との関係についてどういう見解をお持ちなのか、ひとつ聞いておきたい。  それから、第二点として防衛庁に聞きたいのは、私は余り知識ありませんが、最近世界の最新戦闘機について多少勉強やっておりますが、F15について欠陥が指摘をされております。私も、かつて防衛局長やられました海原さんの本でありますとか、その他航空関係の専門の方でありますとか、いまお見せしたこういう本でありますとか、多少勉強しているわけでありまして、このF15そのものについてはかなり優秀な飛行機であることは私もわかるんですけれども、これが、最近つくっておりますアメリカでかなりなエンジンに欠陥がある、特にこの飛行機はエンジンに特色があるようでありますが、そのエンジンに欠陥があるということになると、これは大変なことではないんだろうか。改めてこれは時間かけて私はやりたいと思いますが、きょうはこの欠陥について防衛庁はどういう見解をお持ちなのか、この二点だけ防衛庁に聞きます。  また、行政管理庁長官ずっとおいでいただきまして恐縮でありましたが、最後に、新聞等々で私どもいまあなた方のやられておることは承知いたしておりますが、正式にこの委員会を通して、中間でも結構でありますが、いま行革の現状についてあなたから、簡潔で結構でありますが、御説明いただければと、こう思います。
  28. 久保田円次

    国務大臣久保田円次君) ただいまの御質問の中期業務見積もりと五十五年度予算との関係でございますが、そのほかの御質問に対しまして政府委員から詳細に答弁をいたさせます。
  29. 原徹

    政府委員(原徹君) 中期業務見積もりの関係でございますが、防衛計画の大綱が五十一年にできまして、二年間は単年度ごとに別にそういうものをつくらずに予算を出したわけでございます。しかし現実の問題といたしまして、それから先の装備が、たとえば護衛艦で申しますと二十五年たつとダウンすると、そういうことでございますから、そういうダウンの都度新しい予算をつくっていけばよろしいんでございますが、防衛庁全体としてそれをコンセンサスを得ておく必要があるわけでございます。そこで、そういうコンセンサスを得るために、単年度ごとに予算を提出するということは変えておりません。変えておりませんが、防衛庁の予算はまず第一にその業務計画、来年度何をするかという業務計画の案をつくりまして、それに基づいて予算を出すわけでございますが、その業務計画をつくることの参考資料といたしまして、これから先大体こういうことをやっていくんだということを決めたものが中期業務見積もりでございまして、したがいましてそれはすべて単年度ごとの来年度の予算に反映されると、そういう関係にあるわけでございまして、したがいましてこれは防衛庁限りの五年間の見積もりであると、そういうふうに御理解いただければ幸いだと思います。
  30. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) ただいま防衛庁の方からも御説明ございましたとおり、中期業務見積もりと申しますのは、防衛庁内部のあくまでも参考資料といたしまして防衛庁限りの手で作成されたものでございます。政府ベースで決定されたものではございませんので、したがいまして大蔵省財政当局といたしましては、この計画のいかんに拘束をされませんで、現下の財政事情等を勘案し、各種経費とのバランスを考慮しながら適当、妥当な水準に持っていくべく現在鋭意査定作業を進めておるところでございます。
  31. 倉部行雄

    政府委員(倉部行雄君) 先ほどF15のエンジンにつきまして御質問がございましたのでお答えいたしたいと思いますが、F15のエンジン、いわゆるF100エンジンと申しておりますが、これにつきまして去る十一月の二十七日、アメリカ空軍のスレー司令官がアメリカの議会——上院の軍事委員会で証言をいたしたわけでございますが、それに関しての御質問だと思いますが、この証言内容は、私、大体三つに分かれていると思います。  簡単に申し上げますと、第一点はこのエンジンの問題でございまして、エンジンストールといわれている、空気の流れが悪くなりましてエンジンの回転数が低下する問題でございますが、これに対する問題点と改善措置の概要、それからタービンの問題含めまして耐久性の問題がございまして、これに関する問題点とこれまでの対応措置、改善状況、こういうことについて述べてあるのが第一点でございます。  それから第二点は、最近アメリカにおきましてエンジン関係の資材の会社でストライキ等がございまして、エンジンの生産、整備が若干おくれているという問題が起こったわけでございますが、これに対するやはり対策と今後の見通し、そういうものに触れておるわけでございまして、この問題は一時的な問題であって、最近いろいろと対応策を講じておりますので、次第に回復するであろうということを申しております。  それから第三点は、F100エンジンの改良型というものを並行して開発していこうというようなことが出ておりまして、これにつきまして私どもF15用のエンジンそのものを変えるんじゃないかという心配を持たれる向きもございましたので、米空軍の方に確かめましたところ、これはF15用のエンジンが変わるものではないということをはっきり米空軍の方でも申しておりますので、そういった点、その三つの点が触れられておるわけでございます。  したがいまして、そのエンジンの関連で申しますと、昨年のたとえばアメリカの会計検査院で指摘された事項その他従来指摘された事項についての改善状況をむしろ明確に述べたものであるというふうに理解しております。
  32. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 今回の行革に関しましての中間的なひとつ報告をせよということでございます。  過般も申し上げましたとおり、四つの柱を打ち立てました。その最初が特殊法人の統廃合でございます。これは先月の二十七日に、ある基準を示しまして閣議で各省庁大臣諸公に協力を要請いたしまして、ちょうど本日がその整理統合の案に関する締め切り日でございます。で、今夕に大体集まると存じますが、正式にはあすの閣議で私がこれを報告いたしたいと、かように存じております。最終的には私はかなり大幅な整理統合を志したい、かように思っておる次第でございます。  二番目には、地方支分部局の統廃合でございますが、事務所とか出張所というふうな事務的な機関に関しましては、すでに相当な作業を進めております。もう一つの問題といたしましては、御承知のブロック機関があるわけでございますが、これに関しましては与党の方で一つの見解が示されております。与党の方も明日総会をなさいまして、さらにそれに対するいろいろと検討が加えられると私は考えておりますので、十二分にそうした御意見を拝聴しながら進めていきたいと存じております。  で、許可、認可に関しましては、もうこれも非常に従来からの問題でございますので、鋭意進んでおります。したがいまして、年末までに策定をいたします計画にはそのことも表現できると、かように存ずる次第でございます。  四番目の補助金に関しましては、これは大蔵大臣が明年度予算編成と軌を一にいたしまして十分なる整理統合案を示したい、かように言っておられますので、現状といたしましては大体さようなところでございます。
  33. 野田哲

    ○野田哲君 まず防衛庁長官に、長官としての防衛問題に対する基本的な考え方を伺っておきたいと思います。  仄聞するところによると、防衛庁長官は現在の憲法について独自の見解をお持ちだということを聞いたわけですが、一体現在の憲法についてどのような認識をお持ちになっておられますか。
  34. 久保田円次

    国務大臣久保田円次君) わが国の、平和と安全は、わが国みずから適切な規模の上に立ちまして防衛力を保持するという、そのためには、まず第一点といたしまして米国との安全保障体制を堅持する、これが一つであります。その中に立ちましてすき間のない防衛体制を保持することによって保障されるものと私は思います。現在は防衛計画の大綱に基づきまして防衛力の質的改善と日米安保体制の信頼性の維持に努力しているところでございます。
  35. 野田哲

    ○野田哲君 長官自身は、現在の憲法九条についてどういう見解をお持ちですか。
  36. 久保田円次

    国務大臣久保田円次君) 私は現行憲法の範囲内におきましてやりたいと思うわけでございます。
  37. 野田哲

    ○野田哲君 自由民主党の中には改憲論があるわけでありますが、あなたは長官として、この改憲論の中で憲法九条についてはどういう認識をお持ちですか。
  38. 久保田円次

    国務大臣久保田円次君) 現行憲法範囲内においてやります。
  39. 野田哲

    ○野田哲君 私の質問に答えてもらいたいと思います。  自由民主党の中に改憲論が現にある。その改憲論について、憲法九条は変える必要があるのかないのか、この点についてどういう見識をお持ちですか。——あなたの見解を聞いているんです、あなたの見解を。隣の人の見解を聞いているんじゃないんだ。
  40. 久保田円次

    国務大臣久保田円次君) それは、自民党の中におきましてはあることは聞いております。しかし、私の考えておることは、いま申し上げたとおりに、現行憲法範囲内においてやるというこの考え方は曲げておりません。
  41. 野田哲

    ○野田哲君 最近の自衛隊の制服幹部、かなり韓国との往来が頻繁になってきておりますが、今後韓国との防衛上の関係についてはどうあるべきだとお考えになっておりますか。
  42. 久保田円次

    国務大臣久保田円次君) 韓国との防衛関係につきましては、これを協力するとかどうとかということは考えておりません。
  43. 野田哲

    ○野田哲君 協力するとかいうことは一切考えていない。では、いままでずっと制服の幹部の往来が非常に頻繁に行われていることについては必要ないと、こういうお考えですか。——いや大臣に聞いているんだ、大臣に。
  44. 久保田円次

    国務大臣久保田円次君) ただ、隣国でございますから、友好親善と情報の交換ということはこれはやっておるわけでございます。
  45. 野田哲

    ○野田哲君 友好親善、情報の交換ということは、あなたが先ほど韓国とは防衛上は関係を持つべきでないと言われたこととちょっと違うんじゃないですか、矛盾しているんじゃないですか、どうですか。——大臣に聞いているんだ、大臣に。
  46. 久保田円次

    国務大臣久保田円次君) 友好親善をやるということと情報の交換というものは、これはどこの国ともやっておるわけでございます。
  47. 野田哲

    ○野田哲君 韓国とは特別に自衛官の制服幹部の往来が多い。あるいは自衛隊の中では韓国語の教育もかなり密度の高いものをやられている。どこの国ともやっているという状態とはかなり違う状態にあるから私は聞いているんです。
  48. 原徹

    政府委員(原徹君) 韓国はわが国の隣国でございますので、その隣国と親善を深めるということは、やはり遠い国との親善を図るよりはまあ重要だということもございますので、そういう意味でそういう親善のための制服の交流あるいは情報の交換ということが行われているわけでございます。
  49. 野田哲

    ○野田哲君 大臣、直接答えてください。  制服幹部の親善、交流というのは一体どういう意味なんですか。
  50. 原徹

    政府委員(原徹君) まさに親善なのでございまして、隣国でございますからあらゆる方面でやはり韓国とは交流がございますが、制服幹部におきましてそういうことをむしろしちゃいけないということもございませんわけでございまして、そういう意味で親善、交流を深めているということでございます。
  51. 野田哲

    ○野田哲君 専守防衛という立場に立っている自衛隊の制服幹部が韓国の制服幹部と親善、交流あるいは情報交換をやる、これは一体どういうことなんですか、具体的には。親善とは何をやっているんですか。交流とは何を交流しているんですか。情報交換というのは何を情報の交換をやっているんですか。これは長官答えてくださいよ。
  52. 久保田円次

    国務大臣久保田円次君) 一般的のそういう細かい問題につきましては、政府委員の方から答弁をいたします。
  53. 野田哲

    ○野田哲君 細かいことじゃないですよ、これは。
  54. 原徹

    政府委員(原徹君) これは純粋な親善、交流でございますから、特別に——御心配の向きは、何か自衛隊が韓国と防衛政策とか、そういうことを何かやっているのではなかろうかということではないかと思いますが、そういうことは全くない、一般的な情報交換、そういうことに尽きるわけでございます。
  55. 野田哲

    ○野田哲君 またの機会にこれ以上の問題を譲りたいと思うんですが、長官ね、あなた自身で答えてください。  アジアにおいて台湾は将来どうあるべきだとお考えになりますか。
  56. 久保田円次

    国務大臣久保田円次君) 現在の状態が続くと思います。
  57. 野田哲

    ○野田哲君 現在の状態が続くと思うということでなしに、あなたはどうあるべきだとお考えになっていますか。防衛庁長官という立場でね、北東アジアにおいて台湾の今後はどういう方向に向いていくか、どうあるべきか。
  58. 久保田円次

    国務大臣久保田円次君) わが国は、台湾が中国の領土の不可分の一部であるとの中国政府の立場を十分に理解し尊重するとの立場をとり、したがって中国政府と台湾との間の対立の問題は、基本的には中国の国内問題であります。その上に立ちまして、わが国政府の見解については言うまでもなく私も全く異論がございません。私は、日本の安全保障という立場から、台湾地域については日本の周辺でも特に近接した地域であるので、同地域の安定については重大な関心を持っており、この地域の平和と安定が引き続き確保されることを強く期待しているのでございます。
  59. 野田哲

    ○野田哲君 先ほどの山崎委員の質問にちょっと関連するわけですが財政再建ということが大きな課題になっておりますが、防衛予算について、GNPとの関係について長官としてはどうあるべきだとお考えになっておられますか。
  60. 久保田円次

    国務大臣久保田円次君) 来年度のGNPの見積もりも現在は未定でございます。来年度の防衛関係費の対GNP比についていま申し上げましたとおりでございまするので、いま申し上げる段階ではございません。この比率は、わが国の防衛努力をあらわす一つの指標でございまして、国際的にも非常に私は注目されておると思うのでございます。現在はGNPを基本としておりますから、予算案ができ上がる段階において、私は適正なものになると確信をしております。
  61. 野田哲

    ○野田哲君 そのGNPに対する防衛費の比率は、どのぐらいの比率を昭和五十五年度予算の中では防衛庁長官としては考えておられるわけですか。
  62. 久保田円次

    国務大臣久保田円次君) GNPの比率はもちろん防衛予算に非常に関係があります。しかしながら、現在におきましてはGNPがまだ決まっておりませんから、いまここでこれを申し上げるわけにいきません。
  63. 野田哲

    ○野田哲君 いや、その比率がこの五十四年度との対比で、国全体として財政再建という大きな課題を掲げて努力をそれぞれが求められているわけでありますが、その中で現状よりもふえることを考えておられるのか、現状よりも内輪におさまることを考えておられるのか、この点を聞きたいんです。
  64. 久保田円次

    国務大臣久保田円次君) これは政府委員から答弁をさせます。
  65. 原徹

    政府委員(原徹君) 来年度のGNPについてまだ決まっておらないわけでございますが、先ほど長官からも申されましたように、このGNP比というのは、結局その資源配分をどのくらいするかということの指標でございまして、したがって諸外国からもそれが防衛努力の指標であるというふうに考えられております。そういう意味で私どもは大変重要だと考えておりますが、来年度につきましては、先ほど申しますようにまだ決まっておらないわけですから何とも申し上げる段階ではございませんが、私ども要求側といたしましては、やはり防衛のために予算をいっぱいいただきたいと、そういう気持ちを持っておりますものですから、そういう気持ちでやってまいりたいと思っております。しかしながら、片方において財政再建の問題があります。したがって、要求側と査定側とではまあこれは意見が違うのも普通のことではございますけれども、私どもとしては非常に大事に考えておるわけでございます。
  66. 野田哲

    ○野田哲君 もう一点、防衛庁長官に防衛政策の問題で伺っておきたいんですが、金丸長官時代にいわゆる思いやりというようなことで、当然米軍が負担をすべき分野について、駐留費について日本側が五十四年度においてかなりの負担を行っているわけでありますけれども、これはもう今年度限りで終わるのか、それとも引き続いて五十五年度以降もあのような措置をとられようとしているのかどうか、この点いかがですか。——いやこれはもう大臣ですよ。こんなことはあんた防衛局長のやることじゃないですよ。
  67. 久保田円次

    国務大臣久保田円次君) いまの御質問につきましては、施設費をふやしてやりたいと、こういうふうに考えます。
  68. 野田哲

    ○野田哲君 確かめておきますが、そうすると、このいま厳しい経費の節減措置を考えている中でも、あなたとしては、当然いままで地位協定に基づいて米軍が負担をしてきた駐留費についても、今後も引き続いて日本側で分担する部分を持ち続けるんだと、施設費であろうと何費であろうと。そういう方針でおられるわけですか。
  69. 玉木清司

    政府委員(玉木清司君) いま米軍が負担をしてきたというお言葉でございましたが、駐留米軍の経費の分担につきまして、その趣旨等につきましては、前国会以来政府の立場をるる申し上げてきたところでございますが、現在の地位協定の枠内におきましてできるだけの寄与をしようということで概算要求をしておるところでございます。
  70. 野田哲

    ○野田哲君 この続きはまたしかるべき場で……。  給与法の問題に入っていきたいと思うんですが、まず、去る十一月二十二日の閣議決定について総務長官に伺いたいんですが、閣議決定の三項の(2)の意味は一体どういうことなんですか。財政状況云々ということで再建期間中はと、こういうことでいろいろ条件がつけられているわけですけれども、この再建期間中というのは何年度から何年度までをここでは想定をされているんですか。
  71. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 御指摘のありましたような人事院勧告の取り扱いに関する閣議決定を行いましたときに、「財政再建期間中」という言葉が挿入されております。これは、この閣議決定に至る間におきまして、私としては昇給延伸問題についてはこれを取り扱うことは好ましくないという見解も種々議論の中でいたしましたが、結論的にはこの問題取り入れまして、その段階でこの期間中とは一体いつからいつまでなのかということをお尋ねいたしましたところ、大蔵省としては特例公債から脱却するまでの間だと、こういうお話でございました。  ちなみに第八十八国会で大平総理は、五十九年度に特例公債からの脱却を実現することを基本的目標として云々ということで、財政再建に関して基本的な姿勢を申し述べられておりますので、まあ私としてもそれこれ勘案いたしますと、五十五年から五十九年の間を一応財政再建期間と認識をしておるのではないかと、私も認識した次第でございます。
  72. 野田哲

    ○野田哲君 あなたもこれを決定した閣僚の一員ですから、おるのではないかというようなよそごとのような答弁では、私はちょっと給与担当大臣としては困ると思うんですよ。  そこで、この「昇給期間の延伸等採るべき措置」、こういうことになっているわけですが、この「昇給期間の延伸等採るべき措置」、具体的には一体どのような延伸措置を想定をされているんですか、内容としては。
  73. 亀谷礼次

    政府委員(亀谷礼次君) ただいま総務長官から答弁申し上げましたように、閣議決定に至る経緯の中で種々論議があったのでございますが、財政再建期間ということに対する認識は長官が申し上げたとおりでございまして、具体的にこの定期昇給延伸につきまして人事院には御案内のとおり検討を依頼したばかりでございまして、その検討を依頼した結果を待って具体的な中身を検討すると、こういうことでございます。したがいまして、この中身を財政再建期間中どういうふうにやるかという具体的なプランで詰めた話を現時点で人事院に申し上げているわけではございませんが、そういった閣議の中で種々御議論のあった中の一つの議論としては、定昇の延伸の方法としてたとえば現在の法律に基づきます定期昇給というのが、御案内のとおり十二ヵ月を超えた場合に勤務成績良好の場合に行うことができるとなっておりますが、一つのたとえばの具体的な例としては六ヵ月延伸、したがって具体的には昇給を十八ヵ月に延伸する等の具体的な方法もあるという議論があったことは事実でございます。
  74. 野田哲

    ○野田哲君 そうすると、政府の議論の中ではこの第三項の(2)というのは、つまり五十五年度から五十九年度まで定期昇給の期間を六ヵ月延伸をして十八ヵ月のサイクルで昇給を行っていく、こういう形にこの制度を改めようというのがこの三項の(2)の中身の具体的な内容になっているということですか。
  75. 亀谷礼次

    政府委員(亀谷礼次君) 再度同じ答弁になるかと思いますが、冒頭申し上げましたように、定期昇給の延伸措置につきましては、種々議論がありました結果、人事院に対しまして御案内のような書簡をもって検討を御依頼したばかりでございます。そういうことでございますので、この具体的な中身の結果がどういうふうになりますか、依頼を申し上げました結果を待って検討するという立場は先ほど申し上げたとおりでございます。その中の具体的な一つの方法論的な意味において、たとえば十二ヵ月、現行のいわゆる定期昇給を十八ヵ月にするという一つの考え方も示されたということでございまして、いま委員御指摘のように、政府として十二ヵ月を十八ヵ月に財政再建期間中するという決定を前提に御依頼をしたというふうには具体的には考えておりません。
  76. 野田哲

    ○野田哲君 人事院の総裁に伺いますけれども、「厳しい財政状況等にかんがみ、」云々と、こういうことで人事院に対して検討を求められたということですが、いままで長い人事院の歴史の中で、政府の側から財政事情云々によって人事院に対して勧告の取り扱いで注文をつけられたというような事例はあるわけですか。
  77. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) 先刻も申し上げましたように、人事院勧告というものが完全実施をせられましたのは実質的には四十五年以来でございます。その以前は、遺憾ながら完全実施というものはいろいろな事情でなされませんでした。これは一種の人事院勧告に対する政府の態度であろうかと、結論であったかと思うのです。それが四十五年からは完全実施と、給与勧告のたてまえからいってそういうふうになったわけであります。国会も大変御協力をいただいた結果こういうことに相なったのでありますが、具体的に勧告に関連をいたしまして政府の方から何がしかの御注文があるということは従来ございません。
  78. 野田哲

    ○野田哲君 人事院の総裁に伺いますけれども、国家公務員法によって公務員の給与については幾つかの原則が定められていると思うんですね。私の承知をしているところでは国家公務員法二十七条、二十八条一項によるいわゆる平等取り扱いの原則、それから情勢適応の原則、それから六十二条の職務と責任に応じる職務給の原則、四つ目には六十四条の二項の均衡の原則、生計費や民間における賃金、それからあわせて人事院の決定する適当な事情、こういうことによる均衡の原則、これがこの公務員の給与、労働条件の取り扱いの基本原則になっていると思うんですが、そういう理解でいいということでしょうか。
  79. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) 全くそのとおりでございます。
  80. 野田哲

    ○野田哲君 私の承知をしているところでは、財政状況云々というのは、これは公務員の給与を構成する要素の中には入っていない、こういうふうに思っているんですが、総務長官はこの十一月二十二日の閣議決定の三項の(2)、これについては一体どのような法律的な根拠でこのような注文というか検討を求められたのか。法律的な根拠はどこにあるんですか。
  81. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 法律的根拠と、こう言われますよりも、私はむしろ公務員給与国民皆さんの税によって賄われているという前提で、そのために現下の逼迫する財政状態にかんがみまして、真にやむを得ないこととしてこの延伸の問題を取り上げざるを得なかったと、このように私は考えております。したがいまして、従来からも人事院勧告の完全実施はすでに私自身も完熟した制度と理解しておりますが、その従前におきましては、財政的な見地からこの不完全実施ということもあった事実も過去には存在しておるわけでございまして、したがいまして申し上げましたように、国民の負担によってこれが賄われているという現状にかんがみまして、真にやむを得ないこととしてこの問題が提起されたものだと、こういうふうに理解しております。
  82. 野田哲

    ○野田哲君 公務員給与については、この国家公務員法によって幾つかの原則が定められ、その構成要素というものが定められているわけです。総務長官のいまの見解によると、政府が閣議決定を行って人事院に検討を求めたことについては法律的な根拠はないんだと、こういうことの理解でいいわけですね、そうすると。
  83. 亀谷礼次

    政府委員(亀谷礼次君) ただいま総務長官が答弁申し上げましたとおり、今回の閣議決定に至る経緯につきましては、前回の御質問にも関連して答弁したとおりでございます。  大臣も申し上げましたように、この現下の厳しい財政状況等にかんがみまして、完全実施を行うといたしましても、こういった厳しい条件の中で公務員給与といえども現下の社会経済情勢の厳しい環境のらち外にはあり得ないと、そういう観点。あるいはまた、民間における厳しい減量経営等の状況から考えて財政期間中においてとるべき施策としてそういう検討もあってしかるべきではないかという等々の議論が活発に閣内において行われましたけれども、当初大臣から答弁申し上げましたとおり、給与制度にかかわる事項につきましては、これは当然人事院の所管に属することでございますので、人事院の検討にゆだねることが適当であろうと、こういう結論に達しましたので今回このような検討を依頼したのでございまして、法的にぎりぎりどうこうということについては、先ほど大臣が答弁申し上げましたとおりでございます。
  84. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) いま人事局長から申し上げたように、この閣議決定に至る間におきましては種々議論がありまして、この延伸の問題も法律によらず運用でできるんではないかという議論のありましたことも事実です。それから法律によらなければできないんだろうというお話もありました。法律だけでできるんでありまして、人事院に問い合わせる必要もないだろうという議論もあったことも種々議論の中にはありますが、しかし、最終的にはやはり本問題については政府としては人事院の御意向を承るということが人事院勧告のこの制度を守り抜く政府の姿勢をあらわすゆえんである。こういうことで、最終的には人事院にこの問題につきましても考え方を承りたいということで政府として態度を示したことでございますので、その点御理解をいただきたいと存じます。
  85. 野田哲

    ○野田哲君 これは人事院に対する、見方によっては誘導政策だと思うんですよ。  そこで、人事院の総裁としては、検討を求められて、これについての見解というのはいつ出されるおつもりなんですか。
  86. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) この問題につきましては、人事院の給与勧告の制度の根幹に触れる問題でございますので、私としても大変重大な関心を持って見守っておるところでございます。先刻来御説明もございましたように、閣議決定がございまして、これについては総務長官の方から私のもとまでこういう閣議決定があったからお伝えをいたしますという書簡をいただいていることは事実でございます。ただ、先刻山崎委員の御質問にもお答えをいたしましたように、私はやはり昇給延伸の問題等は、これは給与制度の離しがたい一環であるというふうに承知をいたしておるつもりでございます。したがいまして、はっきり言わしていただきますと、人事院は一定の立場から調査をして確たる資料によって判断をして勧告をいたします。この勧告は、内閣と国会に対して、両者に対して意見の表明をするわけでございます。したがいまして、最終の判断は、人事院としてやはり勧告をする限りはこれをそのとおりに通していただきたいということの切なる念願をいたしますが、いろいろ政治的な配慮その他もございましょう。最終的に御決定をいただくのは、内閣と国会ということで最終的には決まるわけであります。そういう時代が過去においてはあったわけです。それが四十五年以来は完全実施ということで幸いにしていままでやってまいりました。このことが国家公務員の労働関係その他について大変ないい影響を持ってきたことも事実であるというふうに私は評価いたしておるところでございます。  そこで、この問題につきましてはいま専門的な立場からいろいろ御意見もございましたが、私といたしましては給与決定の諸条件というものはいろいろの積み重ねをしてまいりました結果、民間の給与の実態を調査をしてそれとの比較において較差があれば較差を埋めるということが一番妥当な、しかもそれこそ完熟した制度として今日まで行われてきているのではないか、また私はまずまず納得のできる制度としては現在の情勢ではこれが一番いい制度であるというふうに確信をいたしております。  で、そういうようなことから、いろいろな条件を踏まえて閣議においてもあのような決定がなされたということの背後は、よくよくの事情があったということは私なりにこれは勉強しておりますから、それは全く不用意なことであるとも何とも申し上げません。それなりのよくよくの事情があったということは、それなりの考え方を持っておりますが、ただ、それと人事院勧告と制度、これはやはり労働基本権との対比、制約の代償ということで、基本的にはやはり制度問題にかかわることでございます。その点は、やはりよくよくの事情ということは頭にあっても、制度自体を、これをやはり枠を外れて運用するということはできないというふうに私は確信を持っております。したがいまして、これにつきましては検討依頼という実質的なお話はあったことは事実でございますけれども、これに対する答えは、結局は次の勧告の時期ということで答えが出る。その答えでこの問題については何も触れなければ、あの問題は検討はしましたけれども、それは結論が出ませんでした、あるいは適当でないと考えましたということになるだろうと思いますし、よくよくこういう問題が出てまいりましたものですから、われわれといたしましても、その点はやっぱり頭に描きながらいろんな調査その他のことはいたすことは無論やぶさかではございませんけれども、しかし、制度は長い間積み重ねて今日まで来たわけであります。そういうものについて根本的な変改を及ぼすというようなことは適切ではないという基本的な姿勢でもって今後も臨んでまいりたいというのが私の立場でございます。
  87. 野田哲

    ○野田哲君 そこで、いま総裁が触れられた勧告制度、較差解消方式という形について、具体的に例を挙げてこれは給与局長の見解を伺いたいと思うんですが、ことしの例をとると、労働省の調査においても人事院の調査においても、民間の賃金の上昇率は定期昇給分を含めて六%、大体こういうふうに報告をされています。そこで、公務員の場合、今回の勧告によると定期昇給分として二・二八%、これをこの六%の中から差し引いた形で結局三・七%ということで較差の解消をすべきだと、こういう勧告になっているわけです。ですから、三・七%の改定、それと定期昇給分をプラスをすると、結局公務員の場合には五・九八%、こういう数字になっていると思うんですが、そこで、もし先ほどの説明を取り入れるとして、六ヵ月の定期昇給の期間を延伸をした場合には、この年間の定期昇給率二・二八%、定期昇給という制度は職員が四つのブロックに区分されておりますから、個々には相当個人差があると思うんですね、四月昇給の場合とそれから七月、十月、一月と。大体大ざっぱに考えて、六ヵ月延伸をした場合の年間トータルした定期昇給率というのはどのぐらいダウンをするものなんですか。
  88. 長橋進

    政府委員(長橋進君) お答え申し上げます。  ただいま昇給率につきまして二・二八というお話がございましたけれども、これはその昇給率というものをどういうとらえ方をするかということによりますけれども。つまり、一人の人間について、一年たったときにどのぐらい上がるかという問題と、それから年間見まして全職員平均しました場合に改定したベースにどれだけ上乗せされるかということもございます。さらには新陳代謝がございますから、そういうものを考慮した場合に昇給率が何%かということがございますので、したがってその昇給率のいろいろとり方にもよると思いますけれども、人事院の給与勧告に当たりましては、四月時点で実際に民間従業員に対して支払われました給与の実額を調べまして、さらに公務員の四月時点における実額を調べまして、そして較差を算出するという方法をとっておりますので、したがいまして冒頭御案内ございました民間の上がり率といいますか、伸び率といいますか、それと必ずしもパラレルというかっこうになるとは思いませんけれども、大体の線としてはおおよそ見合った線になるだろうということでございます。  そこで、どの程度六ヵ月延伸しました場合に影響を及ぼすであろうかということでございますけれども、これはちょっと正確に計算してみませんといまこの席でお答えいたしかねる数字でございますけれども、御了承いただきたいと思います。
  89. 野田哲

    ○野田哲君 そこで、この数字はどの程度か、この席ではちょっとわからないということですが、たとえばことしの場合、例をとれば、民間の六%に対して定期昇給分はすでに含まれているということで三・七%の勧告があったわけですが、この定期昇給の期間を延伸をして、それによって公務員の基礎ベースというものがダウンをしてくる。ダウンをしてくるということは、先ほど総裁もちちょっと触れられたわけですけれども、それだけ結局民間との比較の中で較差がたくさん生ずる、こういうことになるわけですから、例を仮定の数字を挙げて言えば、たとえば六ヵ月昇給期間を延伸をしたために昇給率が〇・八%ダウンするというような仮定をした場合には、ことしの勧告は三・七%ではなくて四・五%の較差、こういうことの推定が出てくるんじゃないか。現在のこの人事院の較差解消という方式でいけば、数字は仮定としても、つまり昇給率がダウンをしていけば較差がそれだけ拡大をして、勧告による引き上げ率、この方がふえてくる。こういう理屈になるんだと思うんですが、そういう理解でいいわけですね。
  90. 長橋進

    政府委員(長橋進君) お答え申し上げます。  四月時点におきます公務員の給与ということになりますと、四月時点の昇給、三分の一なら三分の一の数でよろしゅうございますけれども、それが織り込んだ形として基礎になりますから、四月一日の昇給分がそれに入ってこないということになりますので、官民較差が拡大するということでございます。  それから七月以降の昇給分につきまして、つまり四月一日における給与決定後のいわゆる変動要因でございますけれども、それも結局六ヵ月ということになりますとずれ込みますので、その分の較差の問題も四月一日の比較の時点において影響を持ってくるであろうということでございます。したがいまして、いま先生は仮定の数字を挙げてお尋ねになられましたけれども、大体その傾向としてはそういうかっこうにおさまるのじゃないだろうか。つまり四月時点における較差が従前の比較方式をとった場合よりも拡大するであろうということでございます。
  91. 野田哲

    ○野田哲君 私は少し勘ぐり過ぎかもわかりませんけれども、国家公務員法の六十四条の二項の中の均衡の原則の中に、「人事院の決定する適当な事情」という項目が一つありますね。この「人事院の決定する適当な事情」というのは、つまりこれは公務員の給与が生計費や民間における賃金、これと均衡を保っていくという原則、こういうことで原則が立てられているわけです。そこで、ここにある「人事院の決定する適当な事情」というのは、つまり均衡の原則ということの中でいろいろ人事院が諸種の事情判断をして決定する事項ということであって、つまり今回閣議決定によって求められている昇給措置の延伸等のことについては、これはここの六十四条の二項に言うところの「人事院の決定する適当な事情」とは別の問題だということの理解でいいんでしょうかね。
  92. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) 法律には適当と認める事情というような文言のあることは事実でございます。これも運用をどうするかというようなことで、過去においていろいろ御論議がございました。その中でおのずから落ちつくべきところに落ちついてきたというふうに了解をいたしております。したがいまして、その中には物価その他の問題もございましょう。しかし、それらは民間の給与の中に全部溶け込んでおるという大局的な判断を従来やってきているわけです。そういうことで詳細な調査を四月時点において行いまして、そこで公務員の給与と民間の給与というものを比較して、較差があればこれを埋めるという方針でいままでやってきたわけです。これは確立しておる一つの原則であろうかと私は思っております。したがいまして、これは労働基本権制約との関係から申しますと、人事院の行いまする勧告、またそれを受けて御措置をいただくこと、これによって人件費等の上昇がございますが、それは私はいわば義務費であるという認識に立ってしかるべきだというふうに思っております。それが先刻申し上げましたように、財政状況その他というものがございますので、その時点において内閣なり国会が御判断をいただくということについてとやかく人事院は申しません。申しませんが、しかし基本的にはやはり労働基本権制約の代償機能であるという性格から言ってやはり人事院勧告というものは御尊重いただきたい、それがあくまでもたてまえであり、大原則であるということは従来も申し上げてきたところであり、また大方の支持も受け、また政府、国会においてもその角度に立っていままで措置をせられてきたものであるというふうに理解をいたしております。
  93. 野田哲

    ○野田哲君 防衛の問題であと二、三伺いたいんですが、防衛施設庁で、昭和五十四年十月二十三日に昭和五十二年度分の林雑補償、これを忍草の入会組合を除く山梨の北富士の関係のところに二千八百万円払っているということですが、この支払いの根拠となる野草などの採取の事実とか、あるいはその採取の必要性が阻害されることに起因する実損の存在、こういうものについて防衛施設庁は現地での事実を確認をした上で支出負担行為を行ったのかどうか、この点はいかがですか。
  94. 玉木清司

    政府委員(玉木清司君) 支払いに至りますまでには所要調査を実施して支払いをしておるわけでございますが、支払い調査の細部につきましては施設部長から答弁いたさせます。
  95. 森山武

    政府委員(森山武君) 先生御存じのとおり、北富士演習場における林雑補償というものは、入会権に対する補償という考え方を私どもは持っておりません。米軍接収のときに、従来からその米軍が演習しておる、あるいは米軍、自衛隊が演習している原野に立ち入っていた事実を尊重し、立ち入って林野雑産物を採取する農業経営上の必要性が存続していると、そしてかつ演習場の中に林野雑産物の採取が阻害されている事実があるもの、こういう二つのものを対象としてその阻害の程度に応じて補償措置を講じているところでございますが、これはいわば関係住民の民生安定と演習場の円滑な実施ということの二つの目的を持ちました行政措置として私どもは考えております。  それで、ただいま御質問の実態調査につきましては、個々の農家の農耕面積とか、あるいは現に農業経営上の必要性があるかというふうなことを詳しく各戸にわたりまして調べた結果に基づいております。ただ、個々の農家の事情から実際に個々の農家が採取をしたかどうかということについては触れないといいますか、それは構わないという考え方で、本来採取できない状態にある、演習場の演習により採取が阻害されていると、そういう事実の状態を認識してやっております。ですから、先生の御質問のあった実態調査ということについては、耕地面積とか、そういうことは個々の農家について実態調査の上やっておるわけでございます。
  96. 野田哲

    ○野田哲君 いまの部長説明によると、これは受けとめ方としては見舞金と、私はこういうような性格のように感じるんですが、林野雑産物の補償ということになると、これは私はやはり現地の個々のケースを基礎にしたものでなくてはならないんじゃないかと思うんですが、会計検査院はこの点は一体どういうふうに認識をされているわけですか。
  97. 行方敬信

    説明員(行方敬信君) ただいまの点でございますが、北富士演習場につきましては、ただいま施設庁からもお話がありましたとおり、いろいろむずかしい点があり、特に同演習場における入り会い慣行につきましてはその法的性質をどう考えるか、これについて非常に複雑な問題があることはよく存じております。しかしながら、私どもといたしましてはそのような問題は問題といたしまして、会計機関のとるべき会計経理としては違法、不当なことがあってはならないと考えておりますので、その点については十分配慮して検査しているつもりでございます。
  98. 野田哲

    ○野田哲君 それでこの林野雑産物補償という、二千八百万を出すという場合には、林野雑産物でどのような損害を受けたのか、こういう実態に基づいてやられるべきではないんですか。それともいま、言葉は悪いが、つかみ金のような状態でやられてもいいのか、この点は検査院としての見解はどうなんですか。
  99. 行方敬信

    説明員(行方敬信君) ただいまの点でございますが、この問題の背後には、先ほども申し上げましたが、地元におきましては入会権という権利に対する補償である、それに対しまして施設庁側では、これは権利に基づかない、契約に基づく補償であるという考えがあると思いますが、この点非常に背離した形になっておると思いますけれども、現在施設庁のお考えは、これは現に採取しているという事実を必要としない、演習場の存在によって本来採取したとすれば採取できたであろうという損害、これを考えておられますので、その点につきましては現に地元の農家がどのような採取をしているか、そこまで深く入ることが必ずしも補償の方針からは必要と思われませんので、必ずしも私どもは検査はできているとは思いませんが、ただ、現状では違法、不当とは言えないだろうと考えております。
  100. 野田哲

    ○野田哲君 忍野小学校の建築に対する補助金の問題ですが、ここに読売新聞の地方版があるんですが、忍野村の当局では忍野小学校の建設について、防音対象となる音の存否というのは、これは防衛施設庁が判断をして補助金を出すことにしたのであって、村から積極的にうるさいから防音にしてくれということを要求したものではない、こういうふうな村当局の見解があるのですが、一体忍野小学校の現在の状態について、防衛施設庁は二重窓にしなければならないほどの防音施設が必要だというふうに認識をされたわけですか。村当局がこっちから言ったものではないが、防衛施設庁の方がやれやれと言ってきたんだと、こういうふうに新聞にも談話を発表しているのですが、まことに結構な金の使い方だと思うのですが、この点はいかがなんですか。
  101. 森山武

    政府委員(森山武君) ただいまの忍野村長の談話ということで新聞に出ました件につきましては、私、実は十一月二十日まで横浜防衛施設局長をやっておりました。忍野村長さんが新聞の報道のあった後すぐ私を訪ねてきまして、そういうふうな談話を言った事実はございません、私はああいうことを言っておりませんと答えておりました。  私どもは、北富士演習場の砲撃音がうるさいということで、何とか忍野小学校を防音工事してくれという忍野村の要望に基づいて調査をし、採択し、それからいまの工事を始めているわけでございます。  それから、細部を多少御説明してよろしゅうございますか。——ただいま御説明しましたように、忍野村の方から学校防音をやってくれと、教育効果を上げるために忍野小学校の学校防音を要望されて以来、昭和五十年九月八日から十三日までの六日間、忍野小学校の隣接の忍野村コミュニティーセンターにおいて横浜防衛施設局が音響の測定の調査をやりました。この忍野小学校は砲座から約四千五百メートルくらい離れているところでございますが、最初にそれの結果を先に申し上げますと、一授業単位ですね、簡単に言いますと一時間の授業の時間の中で九十ホン以上が十回以上カウントされた時間が、先ほど申しました一週間の授業時間内において七回ございました。それで、私ども防音工事を採択する場合には、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律に基づいて採択するわけでございますが、その法律の三条及び政令の四条、五条を受けまして、具体的なその音の強度、頻度ということになりますと、昭和四十九年六月二十七日の防衛施設庁告示第七号に告示されている別表第一が、学校の場合の音響の強度、頻度の表でございます。それで、その防衛施設庁告示第七号を見ますと、一授業単位の中で七十ホン以上の音響が十回以上または八十ホン以上の音響が五回以上、その場合には防音工事を実施してよろしい、こういう結果になるわけです。  ただ、それを受けまして防衛施設周辺防音事業補助金交付要綱というのを施設庁訓令で施設庁長官が制定しております。それの別表の第二に、ただいま先生が御指摘になりました二重防音サッシが必要かというふうな御質問に関連する基準を設けております。
  102. 野田哲

    ○野田哲君 いいです、もうそれ以上の詳しい説明
  103. 森山武

    政府委員(森山武君) では一言だけ。  その中の基準で、ただいま御説明しました一時間の授業当たり九十ホン以上十回以上という時間が七回あったわけですが、これを一週間の授業単位三十四で割りますと二〇・六%になります。これで私、説明しようとした訓令の基準に基づきますと、この阻害率が二〇%以上の場合には二級防音工事、いわゆる先生の御指摘になりました防音工事を採択する基準に該当するわけでございます。
  104. 野田哲

    ○野田哲君 そうすると、施設部長、これは忍野村からはこの補助金をくれというデータを添えた申請が出たんですか、村の方からは。
  105. 森山武

    政府委員(森山武君) 補助申請が出されております。
  106. 野田哲

    ○野田哲君 検査院は、この忍野村の小学校の補助に対して、現地でやはりそのような補助の対象になるような実態にあるという事実を調査をされたわけですか。
  107. 行方敬信

    説明員(行方敬信君) 忍野村をめぐる騒音でございますが、北富士演習場の騒音は、御承知のように砲の発射音ということできわめて短時間に発生し、短時間に消えるという性質を持っております。これは測定上若干の困難はあると思いますが、忍野小学校の事業の採択に当たりましては、これは施設庁でそのような調査をされて基準に満ちているということで採択されたと考えております。
  108. 野田哲

    ○野田哲君 そうすると、検査院としてはそういう考えに立ったということであって、具体的にそのような施設に対する補助が必要であるかどうかという、条件にあるかどうかという実態までは調査してないと、こういうことなんですね。
  109. 行方敬信

    説明員(行方敬信君) 北富士演習場の騒音は、ただいま申し上げましたとおり、いわゆる衝撃音に属するものでございますが、かつ日によってある日とない日とがございます。私どもが実地検査に参りました当日そのような測定ができるかと申しますと、これはなかなか気流その他の関係上非常にむずかしく、そのような意味で私どもは調査したと申し上げておりません。したがいまして、私どもが測定した結果そのようになっているということではございません。
  110. 野田哲

    ○野田哲君 防衛施設庁と検査院に現地の住民の渡辺さんという方から、これは不当支出ではないかと、国費の乱費ではないかということで問題を具体的に指摘をした文書がそれぞれ出ていると思うんですが、これについてはどういうふうに受けとめておられますか。
  111. 玉木清司

    政府委員(玉木清司君) 先生御指摘の文書、私も拝見しております。それぞれのお立場で御意見はあろうかと思いますが、ただいま関係政府委員から申し上げましたとおり、本件の支出を行いますに際しましては、しかるべく官庁としては調査を実施いたしまして根拠に基づいて支出しておりますので、渡辺さんの御意見は御意見として拝聴いたしますが、私どもの支出そのものについての妥当性についてはこのままでよろしいというように考えております。
  112. 野田哲

    ○野田哲君 検査院どうですか。
  113. 行方敬信

    説明員(行方敬信君) 忍野小学校の事業につきまして、結論的には先ほど申し上げたとおりでございますが、渡辺孝基さんからは確かにそのような趣旨の上申書をいただいております。したがいまして、これに対して私どもといたしましてその結果を御説明するのが適当かどうか、これは上司に諮りまして進めたいと思います。
  114. 野田哲

    ○野田哲君 外務省見えてますか。——十一月の六日に沖繩県の読谷村で、米軍の演習中に落下傘が民家の居住地域に落下をした。こういうことで、現地の住民には大変なまた不安を与えている。あの個所というのはもう十数回、いままで何回もそのような状態の事故が続発をしておる。あるときは、これはもうずっと以前のことですけれども、戦車が落下傘投下で演習区域以外のところに落下をして、七歳の少女がそれによって下敷きになって死亡するという問題、あるいは材木が投下されるときにこれが民家の屋根に落ちて屋根をぶち抜いてしまう、こういうような問題が発生をしているんですが、現地の読谷村長、それから沖繩の県議会も演習の即時中止と、それからあの基地の撤去、このことを決議して強く政府にも要請をしていると思うんですけれども、これについて、私もこの間現地に行って沖繩のこの問題の責任者のキリーン司令官に会ったわけですが、私どもの抗議に対して米軍の司令官は、日本の国内の産業でも工場の事故によって人間の死亡することなどは往々にしてあるじゃないかと、なぜ米軍の事故についてだけそう目くじらを立てるのか、こういう開き直りの一幕もあったわけです。私はそのときにキリーン少将に指摘をしたんです。工場災害などで死亡事故が起こったときには、その工場は直ちに操業をとめて、原因の解明と安全措置の確認を行うという方法をとっているんだと。米軍は、この事故が起こってあれだけ沖繩県民が、県議会も抗議をしているにもかかわらず、演習は依然として続行されている。一体こういう状態に対して、外務省としては米軍に対してはどのような対処をしてきたのか、この点をまず伺いたいと思うんです。
  115. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) ただいま御指摘の読谷村でのパラシュート事件につきましては、私ども防衛施設庁とよく連絡をとりまして、あるいは現地で、あるいは日米の合同委員会の場でその安全確保、それから事故の発生防止、この見地から随時申し入れをいたしております。  最近、伺うところによれば、現地の防衛施設局で地元の方々といま調整を図るためにお話が続行中であるというふうに伺っているわけでございます。いずれにせよ、現状において訓練そのものは行っていないわけでございます。  それから、いま御指摘のキリーン少将そのものは、十一月の二十八日でしたか、施設庁が行いました調査結果を認めて、付近の住民に不安を与えたことは非常に遺憾であったということを言っております。今後も物資のパラシュート投下演習はやらないというようなことも言っておるわけでございます。いずれにせよ、現状におきましては訓練はやっておらない。施設庁の現地の施設局の方が地元の方々といろいろお話し合いをやっておる。私どもといたしましては、いずれにせよ基地の問題は安全の確保ということが非常に重要でございます。付近の住民の方々の御協力を得られなければ基地の安定的な使用が円滑に行われないということがありますので、安全の確保という見地から現地のお話し合いを注視している状況でございます。従来からも米軍に対しては必要な申し入れをやっている、こういう状況でございます。
  116. 野田哲

    ○野田哲君 この件もう一言。  現地での演習はやっていないということ、このことはつまりあれですか、現地の村長あるいは県当局、県議会、こういう関係機関が納得をし、日米間で今後の問題について合意ができるまでは演習はやらないと、こういう理解でいいんですか。
  117. 玉木清司

    政府委員(玉木清司君) ただいまアメリカ局長から御答弁申し上げましたような事情でございまして、本件の事故が発生しましたことに伴いまして、十一月六日以来いろんな村当局とのやりとり、あるいは米軍とのやりとり、あるいは米軍対村とのやりとりがございました。しかし、現状におきましては十一月二十八日の時点におきまして、米軍司令官が事故の原因について場外に落ちたものと認め、住民に不安を与えたことを陳謝いたしまして、その対応策についても一案を提案しておるという状況でございます。  他方、日米安全保障条約の立場から申しましても、在日米駐留軍の演習を実施していくということは大変大事なことでございますので、私どもといたしましては、演習の必要性をよく認識する立場に立ちながら、現在読谷村当局との交渉を続けておるところでございます。一日も早く、この話し合いが相互の理解によりまして整った上で演習を再開さしていただきたい、このように考えておるところでございます。
  118. 野田哲

    ○野田哲君 読谷当局に交渉を続けているということですが、私は問題の持って行き方が逆だと思うのです。アメリカに対してちゃんと不安を感じないように、県議会の決議もあるんですから、それをちゃんとやって納得を得る、こういうことでなくちゃいけないと思うのです。あなたの言うのは、読谷村の当局に演習を必要だから再開さしてくれさしてくれと、こういうことだけでは私はこの問題の解決にはならないと思うので、もっとその点は現地の国民の気持ちを十分踏まえた対米折衝をやってもらいたい、このことを要望して終わりたいと思います。
  119. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後二時十分から再開することとし、休憩いたします。    午後一時九分休憩      —————・—————    午後二時十二分開会
  120. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  午前に引き続き、許可認可等整理に関する法律案一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、以上四案を便宜一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  121. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 私は、一般職職員給与に関連をして、まず人事院制度の意義ということについてお尋ねをいたします。本改正案の内容に入る前に、給与勧告制度に対する政府の基本的姿勢をまず伺っておきたいと思います。  本年度の給与勧告は、史上最低のわずか三・七%の引き上げ率であるにもかかわらず、閣議決定まで期間がきわめて長く、三ヵ月余り放置をされておった状態でございます。しかも、その間政府はすっかり定着をして完熟している給与勧告の完全実施を見直したいとの発言を行ったことはきわめて遺憾でございます。加えて、人事院の存在意義を政府みずからじゅうりんするような方針を閣議決定したことはきわめて問題が多いと思います。  まず、労働基本権制限の代償措置としての人事院の存在意義、それと現行給与勧告制度のあり方について、政府の認識を伺っておきたいと思います。
  122. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 政府といたしましては、国家公務員の給与につきましては広く国民の納得を得ることが必要でありますので、中立的第三者機関である人事院による専門的な調査研究に基づく勧告を待って措置することが最も適切な方法であると従来も考え、また今日も考えておる次第でございます。
  123. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 では聞きますが、内閣総理大臣と人事院との関係または人事院と総理では対公務員に対する権能にはおのずから制約があるはずでございます。  そこで、総務長官及び人事院総裁はこれらの関係をどのように認識をしていられるのか、承りたいと思います。
  124. 亀谷礼次

    政府委員(亀谷礼次君) 御指摘の中央人事行政機関としての人事院と総理府との間の公務員に対します機能の所管あるいは権能についてのお尋ねでございますが、先生も御案内のように、国家公務員法におきましては、一般職公務員に関する中央人事行政機関といたしまして人事院と内閣総理大臣が置かれているのでございますが、この両者の関係につきましては、人事院は、公務員が公共の福祉の見地から種々制約を受けていること等にかんがみまして、先ほど大臣も答弁ございましたように、中立的な第三者機関として、中立的あるいは専門的な立場から給与その他の勤務条件の改善に関する勧告を行うなど、人事行政の公正の確保及び職員の利益の保護等の事務を所掌しておられるところでございます。一方、内閣総理大臣におきましては、職員の使用者としての責任ある立場にございまして、この立場から適正な人事管理を行うために、職員の能率、公正、服務等に関する事務及び各行政機関が行います人事管理に関する方針、計画等に関し、その統一を保持する上で必要な総合調整事務を所掌しておるところでございます。で、この事務につきましては、行政組織上総理府人事局が所掌しているところでございます。  いま申し上げましたように、人事院と内閣総理大臣におきましては、一般職公務員の人事行政に関しまして、その事務の性質に応じてそれぞれ所掌しているわけでございまして、後ほど人事院から御答弁もあるところと関連をいたしますが、両者はお互いに所掌範囲を異にはしておりますが、国家公務員法上の目的でございます公務の民主的、能率的運営の確保のための緊密な連携を図るべきことは言うまでもないところと考えております。
  125. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) 御指摘がございましたように、また、いま総理府の方からも御答弁がありましたように、中央人事行政機関といたしまして人事院と内閣総理大臣があることはそのとおりでございます。人事院は、大変決まり文句で恐縮でございますが、一般職の国家公務員の人事行政を所掌する中立的第三者機関でございまして、国民に対しまして公務の民主的で能率的な運営を保障するために、科学的、専門的な立場から成績主義の原則に基づきまする人事行政の公正の確保に関する事務を中心にしてやっておりまして、それとともに、労働基本権の制約を受けておりまする公務員に対しましてその代償的な保護機能を果たすという重大な任務を負っている機関でございます。  これに対しまして、内閣総理大臣、これは実際の事務を担当しておりまするのは御承知のように総務長官であり、また部局としては人事局でございますが、当局側の人事管理に関する責任体制の確立という必要性から、服務、能率を中心といたしまする事務と、それから政府部内の人事管理についての全般的な統一保持上の必要な総合調整に関する事務をやるというのがその与えられた任務でございます。  いま申し上げましたとおりでございますが、具体的に言って服務、能率等について、たとえば人事院と内閣総理府との関係がどうかということを申しますと、これは、端的に申して人事院についても能率、服務についてむろんこれは所掌いたしておりますが、その場合にやはり法律の解釈、運用あるいは人事院規則等の制定に基づく枠の設定、基準の設定ということがその中心的な機能になるわけでありまして、その枠の範囲内において各省庁がばらばらになっても困りますから、そういう意味でその運用の面に関しまして各省庁相互間の統一保持を図る、また連絡調整を図っていくということにその特色があるというふうに考えております。  ただ、いま総理府の方からも御説明のございましたように、それぞれの職務権限なり機能というものには相違がございますけれども、これは両者緊密な連絡をとりまして全体としての人事行政の公正と能率の確保ということに努めてまいらなければならぬことは当然でございまして、その意味合いをもちまして従来もきわめて緊密に連携をとりつつ仕事を進めてまいっておりまするし、今後ともその方針については揺るぎない態勢で対処してまいりたいと、かように考えております。
  126. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 私は、民間においては労使交渉で決定されるべき事項については、政府が人事院を拘束するような形で検討を依頼することは人事院の存在意義を政府みずから否定することにつながると、このように思います。  今回、政府が人事院に依頼したという形をとりながらも、実質的には人事院を拘束する文言を閣議決定していることは大いに問題があると思います。昇給期間のあり方について人事院の見解を求めるのならともかく、「昇給期間の延伸等採るべき措置」としたことは行き過ぎであると、このように思います。  また、財政再建を主たる目的として昇給延伸をするというのであれば、財政上いかほど効果があるのか疑問であるばかりではなく、昇給の意義、現行定昇制度を前提にした諸制度、たとえば高齢層職員に対する昇給延伸措置、昇給期間の短縮、特昇の適用除外、等級別資格基準表等々に対して直接的な影響が出てきてしまうと思います。すなわち、公務員給与制度の根本に変革を加えることにつながるということになります。  これらの点に対して政府はどのように認識をしているのか。また、今回のこのような措置が実質的に財政再建に具体的にどれぐらい寄与をしたのか、その点をはっきりお答え願いたいと思います。
  127. 亀谷礼次

    政府委員(亀谷礼次君) 朝来各委員の御質問に長官御答弁をされたことにも若干重複、関連した答弁になるかと思いますが、御案内のとおり、今回人事院の給与勧告の取り扱いにつきましては、現下の厳しい財政状況等にかんがみまして、完全実施を行うといたしましても財政再建期間中昇給の延伸等の措置をとるべきであるとするなどの種々議論が行われたところでございますが、政府といたしましては、定期昇給の延伸といいましたような給与制度の根本にかかわる事項につきましては、給与制度を所掌しておられます人事院の検討にゆだねることが適当であろうと、こういう結論に達しましたので、人事院にその検討を依頼することとしたものでございまして、朝来御答弁申し上げておりますように、この御検討を依頼した結果を待ちましてさらに政府としての方策は考えるべきであろうと、こういうふうに考えております。
  128. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 先般の新聞の報道によりますと、総務長官の書簡という形で、政府は人事院に昇給期間の延伸措置について検討を依頼したとされておりますが、これは事実かどうか、また依頼したのであればどのような内容で依頼したのか、説明をされたいと思います。  このような依頼は私は行うべきではないと思いますが、総務長官の考えをお聞かせ願いたいと思います。
  129. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今回の公務員の給与改定に関しての取り扱いにつきまして閣議決定をいたしましたが、その過程で種々議論のありましたことはいまほど人事局長申し述べたとおりでございます。その中で、現下の厳しい財政状態にかんがみて、公務員の給与そのものが国民の貴重な税負担によって賄われておるという現状にかんがみまして、何とかこの財政状態の中で公務員の皆さんにも何らかの御協力をいただかなければならないという主張が強くなされたわけでございます。  一方、私ども総理府は、人事局を配し、人事院勧告につきましては、常々完熟した制度としてこれを行ってきたという経過にかんがみまして、種々議論の中で主張いたしたところでございますが、最終的には閣議で私も含めて決定した事項でございます。しかし、いろんな議論はありましたが、最終的にはこの延伸の問題につきまして人事院に書簡を出したことは事実でございますし、書簡を出して、人事院の考え方をお伺いをいたしたいという趣旨で出しておることにかんがみまして、政府のこうした決定が人事院制度そのものを拘束するものでない、こういう立場で出しておるということを御理解をいただきたいと存じます。
  130. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 やはり先ほども問題になりましたとおり、人事院の存在の意義ということを考えましたならば、書簡という形で誘導していくような、そういうやり方というのは私は不適当であろう、このように思うわけでございます。  次は、退職手当の制度の見直しについてお伺いをしますが、今回の閣議決定の中で退職手当制度の見直しを言っておるようでございますが、どのような観点から、どのような事項を見直す必要があると考えているのか、説明を願いたいと思います。  かつて、共済年金と厚生年金の官民較差が問題とされたときに公務員の退職金も俎上に上げられたことがありますが、今回はそのような観点からの見直しではないようでございますけれども、しかし、すでに人事院に実態調査を依頼して報告を受けていることがうかがえるのでございますが、その詳細をあわせて報告をされたい。  また、この際改めて公務員の退職手当の意義、性格を伺っておきたいと思います。
  131. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 国家公務員の退職手当につきましては、おおむね五年ごとに人事院が民間退職者退職金調査を行ってまいっております。総理府では、その調査結果に基づきまして、国家公務員の退職手当と民間企業の退職金との均衡等について従来から検討いたしてきたところでございます。四十八年の退職手当法の改正も人事院の民間退職金調査結果に基づいたものでありますが、今回の検討も前回同様の趣旨で行いたいと考えております。詳細につきましては人事局長から御答弁いただきますが、現下、官民較差論議がきわめて世情かまびすしきことも事実でございます。そういった観点からも、官民の退職金の間に較差がありやなしかということは、ひとり政府のみならず国民全体が監視をしていることでもありますので、この点につきましても、調査の結果を待ってでございますが、見直すべきでないかという議論が今回の閣議決定に際して強く出されたところでありまして、そのことが決定の中にも盛り込まれておるわけでございます。
  132. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次は、昇給停止措置についてお伺いいたします。  今回、五十六歳以上の者、当面は五十八歳以上の人について人事院勧告に基づいて昇給を停止する措置がとられております。その理由としては、いわばこの層は民間と逆較差となっており、公務員部内における配分の適正化の上からも問題があること、昭和四十六年以降五十八歳以上の者についてとられている昇給延伸措置が必ずしも効果が上がっていない等のことが挙げられているようでございますが、この際、改めて昇給停止の措置をとられたことの理由についてお聞かせ願いたいと思います。
  133. 長橋進

    政府委員(長橋進君) お答え申し上げます。  官民給与較差の現状を年齢階層別に見てまいりますと、高年齢層のところはかなり公務員給与が高くなっておるのでありまして、若中年層のところは逆に民間給与が公務員給与を上回っているというのが現状でございます。これは昨年の報告の際にも、逆較差の現状について資料として御報告申し上げたところでございますけれども、これはやはり人事管理上もまた給与上もこのまま放置しておくことはいろいろ問題が起こるということもございまして、この際適正化を図ろうということでございます。もちろん公務部内には公務部内の特殊の事情ございますから、必ずしも機械的に合わせるということじゃございませんけれども、やはり官民給与の均衡という観点から申し上げますと、水準につきまして合わせるとともに、その配分についてもやはり民間とはなはだしく実態乖離しないようにということで、今回一定年齢を超える職員層の昇給停止につきまして、公務員の実情、民間の実情等も考慮いたしましてかかる措置を勧告申し上げた次第でございます。
  134. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 今回改正案の文言を見ますと「昇給しない。」と、このように規定をされておるようでございますが、これでは、昇給の意義から見ても、また今回停止措置を導入する理由から見ても不適確ではないかと、私はこのように思います。現在の公務員の年齢構造が数ヵ年後では若干変更がなされる可能性もありますし、民間との逆較差が解消することもあるのではないかと、このように思うわけでございます。  こういうことを考えますときに、規定の仕方としては「昇給しない。」と、このように厳しい文言ではなくて「昇給を停止する。」というような文言にして、あくまでも政策としてこのような方法をとることを法文上明確にさせるべきであると、このように思うわけでございますけれども、御所見を承りたいと思います。
  135. 長橋進

    政府委員(長橋進君) 文言の点につきましては、先生おっしゃるようないろいろ御意見おありかと思いますけれども、私どもの気持ちといたしましては、いわゆる普通昇給ということを対象にするということでもございまして、客観的に見まして昇給というものがないんだという気持ちを表現したかったということでございます。
  136. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 また、この改正案の中では昇給停止措置の中で、「勤務成績が特に良好であるもの」については例外を認め得るように規定されておりますけれども、具体的にはどのような場合が該当するんでしょうか、説明を願いたいと思います。  また、本法案の附則7においては、二号俸上位号俸等を超えていない職員についての経過措置規定をされておるようでございますが、いわゆる特別昇給との関係はどのようになるか、御説明を願いたいと思います。
  137. 長橋進

    政府委員(長橋進君) 今回の措置は、あくまでもいわゆる普通昇給というものを念頭に置きました措置でございます。したがいまして、勤務成績が特に良好あるいはその生命を賭して職に当たるといったような、そういう特別な実績等に基づく昇給、これまでも影響を及ぼすべきものではないという考え方に立って特別の場合はいわゆる昇給というものはこのまま存続させるべきでないだろうかということでやはり特別の場合を除いたところでございます。  それから特別昇給との関係でございますけれども、ただいま申し上げましたような事情もございまして、いわゆるただ単に高年齢ということのみをもって先ほど申し上げましたような特別昇給の場合も一切させないということは人事管理上も大きな問題だろうということでございまして、したがいまして、特別昇給の問題については、今回のいわゆる昇給停止ということとはまた別個の問題であろう、こういうふうに考えております。
  138. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次は、特別職の法案についてお伺いをいたしますが、今回の改正案の特徴一つに、内閣総理大臣を初め国務大臣等俸給月額の引き上げを据え置くことと、このように規定をしておるようでございますが、国の財政事情が国債に約四〇%も依存をしている借金財政の実情から、今回の措置が少しでも財政再建に役立てばという意味ではこれは理解ができるわけでございますが、しかし内容から見ますと、今回の特別職給与改善に必要な全体の費用は約一億円と見込まれております。予算額そのものは決して大きな経費ではないようであります。  そこで、お尋ねをいたしますが、今回の据え置き措置によって一体どれくらいの財政支出の節約となったのか、先ほど答弁がありませんので、そのことも含めてお答えを願いたいと思います。  新聞等では、今回のこの内閣総理大臣及び国務大臣の据え置きというのは、単なる国民に対する政治的なポーズではないかという意見が非常に強いようでございますが、政府はこの点をどのように考え、理解し、釈明をされようと思いますか、お答え願いたいと思います。
  139. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今回内閣総理大臣国務大臣等給与を据え置いた理由とするところは、現下きわめて厳しい経済社会情勢及び逼迫した財政状態にかんがみまして据え置くことといたした次第でございまして、先生御指摘のように単なるポーズかと、こう言われるんでありますが、やはり国における最高責任者、それに従う者が率先してこうした事態に対処してベースアップを控えるということはきわめて意義の深いことだというふうに認識をいたしております。  なお、一般職のベースアップの半年繰り下げの問題でございますが、これもいろいろな見方があろうかと存じますけれども、やはり一般民間で申し上げれば会社の役員に匹敵をするクラスかと存じます。企業経営の中にあってきわめて苦しい運営をいたしておる過程におきましては、世にそうした方々みずからやはり給与の引き上げを行わない、あるいはベースアップに対して厳しい態度でみずから臨まれるということもございますので、官にありましてもやはり同様の姿勢を示す必要があるのではないか、こう考えた次第でございます。  なお、それによって財政的にいかほどの余裕が出るか、こういうことでございますが、これはおおむね十億円程度と承知をいたしておりますが、私ども、この数字につきましては積算する根拠がございませんので、さように心得ておる次第でございます。
  140. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 大体その積算する根拠がないと、これだけを給与の問題で削減せられる、あるいは定昇をストップしたりしたらこういうような効果があるんだということぐらいは積算するのが私は責任ある総理府であるし、そういうふうに思うんですがね、全然積算をしてないんですか。
  141. 亀谷礼次

    政府委員(亀谷礼次君) ただいま大臣がお答え申し上げましたように、先生の御質問に的確に精緻にお答えできませんが、大体十億円程度ではないかと申し上げました意味は、先生も御案内のように、この特別職給与の制度につきましては、一般職公務員のみならず裁判所、いわゆる裁判官、検察官あるいは国会等いろいろ諸般の関連もございまして、いわゆる三権分立という意味でだけ申し上げるわけではございませんが、私どもがすべてをその面まで把握をしてどうこう積算をするという立場にないものですから、そういうふうにお答えをしているわけでございます。
  142. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 十億円もそういうことで節約をしておやりになるということ、それも意義があるかと思いますけれども、やはり大きな意義は綱紀粛正であるし、特殊法人とかそういうようなぜい肉を落として出ずるを制するということに重点を置くのが総理府の役目ではないかと思います。そういうことに大きく目を向けるということで公務員の士気も向上していくんじゃないかと、綱紀粛正ということを強く踏まえていくことが大事じゃないかと私は思いますが、いかがですか。
  143. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) お説のとおりと考えております。
  144. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次は、週休二日制についてお尋ねをいたしますが、給与勧告と同日の去る八月十日、一般職職員の週休二日制について人事院の勧告が行われております。公務員の週休二日制については過去二回試行が行われ、いまや実施時期が最大問題点であると思います。公務員に週休二日制を制度として導入するには一般職給与法の改正が必要とされているようであります。政府は、この人事院勧告について現在までどのような検討を続けてきたのか、またいつごろをめどに一般職給与改正案を国会に提出して週休二日制の導入に踏み切る方針であるのか、お伺いをしたいと思います。
  145. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 人事院の勧告当日、早速に週休二日制関係閣僚懇談会を開催いたしまして検討を始めましたのを初めとして、以来十数次にわたりまして関係省庁間で検討を重ねてきたところでありますが、定員問題等なお調整すべき問題が残されておることも事実でございます。政府としては、従来の検討の経緯並びに国民世論の動向、社会経済情勢に十分配慮しながら関係省庁間で早急に検討し、妥当な結論を得るように努力をいたしておるところでございますが、人事院の勧告にも、その考え方として定員、予算の増高に配慮しつつ、さらに行政サービスを落とさないことという前提でこの問題についての御勧告もちょうだいをいたしておるということでございますので、こうした点各省庁間でそれぞれに御努力を願っておるところでございますが、まことに残念ながら本日の段階に結論を得ることに至っておらない次第でございます。したがいまして、御質疑ありましたように、いつまでと、こう申されておりますが、大変申しわけないことでありますが、決まった日にちをここで申し上げることができないことをお許し願いたいと存じます。
  146. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 やはり人事院の勧告を軽視しておると、私はそう言わざるを得ないと思うんです。今回のいろんな給与の体系の問題であったにしても、こういうような二日制の問題にしても勧告はもう出ておるわけですから、後はあなた方の方の実行の段階ですから、早急にひとつ着手をされるように強く要請をしておきます。  次は、防衛庁の給与の関係に移りますが、防衛庁職員給与体系は、当委員会においてもこれまで種々の指摘をしているように、俸給月額の算出の複雑なこと、またその算出根拠の妥当性に疑義があるもの等が見られます。特に隊員等の意見が直接に表面化しない実態を考えれば、これはその責にある者が真摯に取り組まなければならない問題だと思いますが、この点について防衛庁の態度をお聞きすると同時に、当委員会の過去の質疑の中で給与体系の検討に積極的な姿勢を表明している経緯から言っても、現在までの検討成果、または給与制度研究会というものを防衛庁の中でつくっているとも聞いておりますが、どのような体制で行っているかも含めてお答え願いたいと思います。
  147. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 防衛庁職員給与につきましては、一般職の公務員の例に準じまして定められておることは御承知のとおりかと思います。具体的に申し上げますと、防衛庁の職員俸給には参事官等俸給というのが一つございます。それから自衛官俸給、それから事務官の俸給というのが、大きく分けて三本あるわけでございますが、このうちの事務官につきましては、一般職の場合と全く同様でございまして異なるところはございません。それから参事官等俸給につきましては、これは任務の特殊性から別途の俸給表を採用しておりますけれども、これもまあ内容的には一般職の例に準じて定められており、超過勤務その他についての若干の加算をしているというのが実情でございます。それから自衛官俸給につきましては、これもまあ一般職の特に公安職の俸給表を準用して定められておりますが、これも自衛官の任務の特殊性、勤務態様の特殊性というふうなことにかんがみまして、超過勤務手当の算入あるいは営外居住手当、糧食費といったものの調整というふうなことが一般職と違った形で加味されているということについては御承知かと思います。  そこで、第二に御指摘の防衛庁職員給与がきわめて複雑であるということから、この委員会におきましても過去再三御指摘を受けたわけでございます。この問題は、防衛庁職員給与の基本的な問題でもございますし、沿革的にも長い歴史を持ったものでもございますので、非常にむずかしい問題が多々ございます。しかし、御指摘の一つ一つ背綮に当たるところが非常に多いということで、私どもとしても慎重に検討をしておるところでございまして、具体的に言えば私どもの防衛庁の中に防衛庁職員給与制度研究会というのがございまして、これは民間の学識経験者七人ばかりお集まりいただいて御議論いただいているわけですが、この方々にもいまの防衛庁職員給与の複雑性、特に自衛官俸給の中に調整手当を繰り入れている理由だとか、あるいは参事官等俸給一般職との複雑なリンクの問題、あるいは調整率——自衛官と同じように調整率を加味しているというふうな問題についていろいろ御議論いただいているところでございます。私どもとしても決してこの問題を等閑に付しているわけではございませんので、かすにもうしばらく時間をいただきたいというふうに考えております。
  148. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 今回の自衛官俸給月額改定率は平均して約三・六%アップのようでございますが、これを階級別に見ると将補だけが四・八八%と大幅にアップをしておるようであります。これは従来まで将補の対応等級が行政職(一)の二等級であったのが、今回からその一部を一等級に対応させた結果と思われますが、今回将補の対応等級を変更させた理由、特に将補の職務内容をどのようにとらえての措置であったのかを明らかにされたいと思います。
  149. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 御指摘のとおり、今回将補の基準俸給改定することは一つの大きな柱になっておりますが、御承知のようにこの将補の基準俸給というのが一般職の二等級にリンクしているということは、これは昭和三十二年以来続いていることでございます。しかし、一般職行政職の二等級というのは逐年格上げも行われておりますし、たとえば本省庁の課長のうち、特に重要な課長については逐次一等級に格上げされているというふうなことがございます。しかしながら、わが自衛隊におきましてはいわゆる編成組織ということが決められておりまして、一般職と同じような格上げにはおのずから制約があるわけでございます。たとえば、連隊長は現在一佐でございますが、これを将補にするというようなことはなかなか現実的にむずかしい問題があるわけでございます。そういった意味でその格上げとは別に将補のリンクを改めまして、なるべく一等級に近いような形でいわゆる是正措置を講じているというのが今日の考え方でございます。  なお、将補がどういう任務かということでございますけれども、自衛隊において将補というのは将に次ぐきわめて高い地位でございまして、たとえば陸海空幕僚監部の部長あるいは大部隊の幕僚長もしくは副長といったところが現在の職務の大まかな内容でございます。
  150. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 防衛庁にお聞きしますが、自衛官俸給表改定に当たっては一般職指定職相当を除き、行政職(一)、公安職(一)、公安職(二)の俸給月額を基準として階級別に算出をされているようでありますが、一般職俸給表改定に当たっては人事院がその対象となるものの実態を考慮して作成し、勧告しているのは御承知のとおりでございます。このような一般職職員の実態と必ずしも一致しない自衛官にそのまま基準俸給月額として使用することについて、防衛庁のお考えをお伺いしたいと思います。
  151. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 確かに、自衛隊の任務あるいは自衛官の職務の内容というものは一般職のそれと全く同一のものというのは見当たりません。しかしながら、われわれとしてはなるべく類似の官職、等級の一般職というものに見合った形で、たとえば現場の一曹、二曹というのは警察官で言えば現場の係長であるとかあるいは巡査部長であるとかというふうに匹敵するんではないかというふうなことを考えながら現在の俸給表というものを決めているわけでございます。そういう意味から大きくわれわれ外れているとは思いませんけれども、なお自衛官俸給表といわゆる一般職のリンクのあり方等につきましては、先ほど申し上げたいわゆる職員給与制度研究会の中において今後真剣に、慎重に検討していきたいと、こういうふうに考えております。
  152. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次は、調整率についてお伺いをいたしますが、参事官等俸給表改定に当たっては、指定職を除いてそれぞれ対応する行政職(一)の俸給月額に調整率を掛けて算出しているようでございます。この調整率は、公安職の超過勤務手当支給実態を参酌して算出していると聞くが、公安職と異なる勤務体制である参事官等にこのような調整率を使用していることについて、防衛庁のお考えをお述べいただきたいと思います。
  153. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 自衛官俸給に調整率を加味しているということにつきましては、先ほど来申しているような自衛官の勤務の態様というものがいわゆる二十四時間勤務体制にあるというふうなことから、いわゆる超過勤務というものにはなじまないんではないかというふうに考えております。  それから、われわれ参事官の俸給表にやはり調整率が入っているのはどうかということでございますけれども、われわれ参事官というものは、自衛隊のいわゆる基本的な計画であるとか方針であるとかいうふうなものの作成について長官を補佐するという立場がございます。言ってみれば自衛隊の運営に非常に密接な関連を持っているというふうなことから、参事官も自衛官一つ、同じ管理下に置くというふうな面から同じ考え方を取り入れているわけでございまして、このことによって自衛官参事官等の一体感といいますか、連帯感といいますか、そういったものの保持が図られるというふうなことからそういうふうに考えているわけでございます。  なお、防衛庁の職員のうちの事務官につきましては一般職事務官と同様でございます。
  154. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次は、法案の中にあります予備自衛官手当の性格についてお伺いをいたします。  さきの衆議院の内閣委員会における質疑におきまして、予備自衛官手当俸給的なものというよりは訓練招集及び防衛招集に応ずる義務に対する精神的拘束の対価としての性格が説明をされているようであります。しかしながら、この精神的拘束をどのように評価して今回手当月額を二千円から三千円に引き上げようとされるのか。また昭和四十七年に千五百円から二千円に増額した際の説明では、手当のうち八〇%は物価指数、二〇%については給与水準のそれぞれ上昇率を勘案して増額をしたと位置づけをされておりますが、今回引き上げをされようとする根拠は前回と異なっている様子でございますが、その点についてはどのような差異があるのか、御説明を願いたいと思います。
  155. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 今回の予備自衛官手当月額を二千円から三千円にお願いしているわけでございますけれども、この予備自衛官手当というのは、いま御指摘がありましたように、私どもとしては予備自衛官というものは訓練招集あるいは防衛招集に応ずる義務を負っているということでございまして、この招集義務に応じなければならないというふうな義務に対するいわば精神的拘束料といいますか、そういった形で支払うものでございます。今回この二千円を三千円にします理由は、最近の経済情勢の変動、特に物価の上昇あるいは——一番大きなのは物価の上昇でございますが、これが先般四十七年度に改定したときの基準年度になります四十五年度と、今回基準年度にいたしました五十二年度を比較しますと、消費者物価指数が約倍になっておるというふうなことから改正をするわけですが、最近の厳しい財政事情、あるいは昨年の民間におけるベアの実態、それからまた従来の上げ幅、そういったものを総合勘案しまして二千円を三千円、五割アップということにお願いしているわけでございます。
  156. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 その説明が、四十七年のときはそういうようなことで、物価指数とかそういうことで上げたと説明があったんだけれども、さきの衆議院の内閣委員会では精神的拘束が重点的に説明をされておる。どうしてそういうような差が出てきたかということでございます。
  157. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 予備自衛官手当の中身を上げた理由につきましては、四十七年度と今回と大きな違いはございません。ただ、いま申し上げたのは、予備自衛官手当の性格は何かということについて衆議院の委員会でも御説明したのは、いま申し上げた訓練招集あるいは防衛招集に応ずる義務に対する精神的拘束料として支払うということを申し上げたわけでございまして、値上げの理由、前提等は前回の四十七年度と同じでございます。
  158. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次は、予備自衛官制度の拡充の方針についてお伺いをいたします。  去る四月三十日の新聞によりますと、防衛庁はいままで防衛戦略の上で予備自衛官制度の位置づけがはっきりしなかったのを改めて、この制度の活用を図るために予備自衛官制度の拡充方針を固め、具体策の検討に入ったことが伝えられております。この報道によりますと、予備自衛官の定員を大幅に増員するため、現在予備自衛官の資格を自衛官経験者に限っていたのを経験者以外からも採用できるようにし、予備自衛官数の規模も陸上自衛隊の定員十八万人以上に引き上げるべきとの意見も有力と伝えています。これを実現するには自衛隊法の改正を必要とするが、これらの検討事実はあるのかどうか。  次に、予備自衛官と正規自衛官との役割り分担を明確にし、予備自衛官の任務については後方警備を中心に後方支援、正規部隊の損耗補充を考えているとのことでございますが、この点については国会答弁でも明らかにされているところでございますが、これらの任務内容法律上明文化する意向があるのかどうか。  予備自衛官改革構想については、防衛庁の防衛課と陸海空三幕僚監部が中心となって二年間に改革構想をまとめたいとしているようでございますが、この点についての方針はどうなっているのか、お答え願いたいと思います。
  159. 原徹

    政府委員(原徹君) お答えいたします。  まず、新聞に現在の制度を改正して十八万にするような記事が出ておりましたが、これは事実に反します。現在の予備自衛官自衛官を退職した人から採るわけでございまして、これを一般の民間から採るというようなことは考えておりません。  それから、二番目は予備自衛官の任務でございますが、これは予備自衛官ということでございますので、有事になりました際、一つは後方と申しますか、部隊を第一線に出しました後、やはり後方の警備ということが必要になるわけで、それが一つと、やはりまた後方でいろいろ支援業務をしなきゃならない。それから後方の警備ということも、基地警備等ございます。そういうことでやってまいりたいというふうに考えております。  それから三番目、そういうことでございまして、現在私どもは中期業務見積もりにおきましても、毎年陸上自衛隊の予備自衛官は、五十五年度の予算の要求も陸上自衛隊につきまして予備自衛官千人、海上自衛隊、航空自衛隊それぞれ三百人ずつということで予算の概算要求をいたしておりますが、中期業務見積もりにおきましても、大体毎年そんな程度で予備勢力の増加を図っていきたいというふうに考えております。
  160. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 以上で法案の関係の質疑は終わりまして、関連をして防衛庁に、F15要撃戦闘機に関する情報の収集と活用の実情について特に解明しておきたいので質問をいたします。決してこの問題はスパイ活動をさせようという、そういうような意図からではございませんで、一機七十五億円もするF15を、エンジントラブルなどの公式情報があるにもかかわらず、アメリカの言いなりになって購入決定したのではないかという印象が強いので、実情を明確にしておきたいのでございます。  まず最初に、F15百機を取得するという国防会議の決定について閣議了解されたのは昭和五十二年十二月二十九日でしたが、F15についてはすでに欠陥が指摘されていたことは周知のとおりでございます。この時点においては欠陥が指摘されておりました。たとえば五十二年二月アメリカ上院軍事委員会におけるブラウン国防長官の証言によれば、F15の装備する火器管制装置と空対空スパローミサイルの若干の欠陥があることがこの点で明らかにされております。このような状況において、わが国の次期戦闘機として調査の対象となっているものについて情報の収集は迅速適確でなければならないことは言うまでもありませんが、外務省は五十二年当時アメリカ合衆国においてどのような情報収集体制をとっていたのか、特にF15に関する情報収集体制はどうなっていたのか、伺いたいと思います。
  161. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) 五十二年当時のF15のエンジンに関する情報収集についてのわが在米大使館及び外務省の対応ぶりについての御質問でございますが、私どもといたしましては、在米大使館の政務班、その中に防衛駐在官を含みまして十八名の人間を現地に張りつけまして、防衛の問題についても常時これをフォローしておるという状況でございます。具体的に当時のF15のエンジンの問題につきましては、五十二年のアメリカの会計検査院の例の報告が出たということで、直ちに防衛庁からの御要請もありその報告の内容を入手いたしまして、これを直ちに防衛庁にお送りしたということ、その他一般的に申しまして防衛庁からの御要望に応じて具体的な情報の収集のお手伝いをする、そしてこれを直ちに防衛庁にお届けをするということをやっていたわけでございます。
  162. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 防衛庁の方はアメリカの大使館の方に防衛公使という資格のある方を派遣をしておるようでございますが、外務省にもお尋ねをしますが、いまこの体制は十八名というお答えでございましたが、この十八名というのは防衛公使というそういう方も含めての十八名だと理解するわけでございますが、そういう体制で十分なんでしょうか。
  163. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) ただいま十八名と申しましたが、失礼申し上げました、十九名でございます。それで十九名の内訳を申し上げますと、いわゆる政務情報と称する事務に従事する者が十一名、それから防衛関係に直接携わる者が六名、それから警察、法務各一ということで、政務班、これは防衛関係を含むわけでございますが、政務班が十九名をもって構成しております。もちろん防衛問題はこの防衛駐在官の六名の方々にのみお願いをするということではございませんで、この政務班全体が防衛問題、軍事問題を含む国際政務関係につきまして仕事をやっているわけでございます。  で、この六名の駐在官で十分かというお尋ねでございます。私どもといたしましては、国際情勢が御承知のようにますます全世界的に複雑化を遂げておりまして、外務省全体といたしまして在外公館の体制を含めて定員の増加をぜひとも図りたい、こういう願いを持っております。在米大使館の防衛関係の体制につきましても、この外務省全体の定員の増加を図っていく努力の中でこの問題も片づけていきたいというふうに考えているわけでございます。
  164. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 F15のエンジンの欠陥については各方面から再三の指摘がなされております。五十三年の四月、わが党の同僚議員が当院の決算委員会においてF15のエンジンに関するスタグネーションストールについて防衛庁に質問をしましたが、必ずしも明確に答弁が得られておりませんので、再度伺いたいと思います。  スタグネーションストールという現象は、防衛庁の説明によりますと、非常に高性能なファン・ジェット・エンジンに起こる現象で、高空を高速でアフターバーナーをたいて走ると、振動とか音の変化がなく排気部が過熱され、その回転率が非常に下がってくるという現象で、墜落の例はないというのが答弁でございました。しかし、アメリカ会計検査院の報告書(一九七八年四月二十四日)によりますと、エンジンのストール、いわゆる失速でございますが、ストールで自律回復しないものがスタグネーションと呼ばれると明記してあります。そしてエンジンスタグネーションは現在までのところ、エンジンを停止して再始動することによってのみ初めて回復できる状態である。要するに失速の状態になったときにエンジンをとめて、そしてもう一遍かけたときに初めて回復ができるという、そういう答弁でございます。   〔委員長退席、理事林ゆう君着席〕  F15に関する一九七六年八月付の後期の運用試験と評価についての最終報告は、模擬空中戦闘においてスタグネーションが発生した後、パイロットが計器を点検してエンジンを停止し再始動する間に交戦に失敗したことを明らかにしております。要するにその操作をしておる間に、速度が速いですから相手との交戦の機会を失しておる、そういう状態になっておるとして、米軍はむしろ戦闘の役に立たないことを示唆しているのであります。防衛庁はスタグネーションストールを現在どのように評価をしているのか、伺いたいのであります。  防衛庁のF15取得決定は、これに続く再三のエンジントラブルの公式指摘も含めて判断をした場合、十分に出そろわない情報に基づいて行われている点で慎重を欠いていると私は思いますが、この点についての見解をお述べ願いたいと思います。
  165. 倉部行雄

    政府委員(倉部行雄君) F15のエンジンにつきまして、そのストール、とりわけスタグネーションストールの問題についての御質問でございますが、この問題非常にはっきりした形で出ましたのは、先生御指摘の、一九七七年二月に、スレー当時中将でございますが、スレー中将が証言をして以来だと思うわけでございますが、それ以来、私ども防衛庁といたしましては、世界の第一線級の戦闘機の動向、あるいは当時、わが国の次期戦闘機の候補機種の動向、そういったものを十分関心を持って注目してきたわけでございます。   〔理事林ゆう君退席、委員長着席〕  で、当時のスレー中将の証言によるエンジンのスタグネーションストールにつきましては、米空軍における改善策というものが提案されておりましたし、また同エンジンに関しまして新しい技術というものがどんどん反映していきつつあったというようなことを踏まえまして、わが国がF15の運用を開始するといたしましても、それまでの間に十分な改善がなされると判断したものでございまして、その後の会計検査院の報告でありますとか、あるいは先般のスレー司令官の証言等から見ましても、当時の判断は妥当であったというふうに確信しておるわけでございます。また、防衛庁は、米空軍が採用する改善策を講じた信頼性の高いエンジンというものを取得することにいたしております。
  166. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 五十三年の決算委員会におけるわが党の同僚議員が言われたときのあなた方の答弁というのは、スタグネーションストールというのは墜落のそういうふうな例はないんだと、ただアフターバーナーをたいたときに過熱をするんだと、そしてだんだん速度が落ちてくるんだと、そういうような答弁をされておるんですけれども、米軍のその後のいろいろな報告等によるとそうじゃないということがはっきりしておるわけですが、その認識をお変えになりますかどうか、その点をはっきりしてください。
  167. 番匠敦彦

    政府委員(番匠敦彦君) お答えいたします。  スタグネーションストールと申しますのは、要するに、エンジンに入ってまいります空気の流れの状態が乱れまして、コンプレッサーのタービンが失速をするということによって起こり始めるわけでございますけれども、特にそのときに、空戦中といいますか、空気取り入れ口から入ってまいります空気が真っすぐではなくて横から入ってくるとか、そういうような状態、あるいはアフターバーナーを着火したというような影響によってストールが起こることが間々あるわけでございます。普通のストールでありますと自然に回復するわけでございますけれども、F15のこの場合には、間々、特殊な航空機の状態におきましては、先ほど先生おっしゃいましたように、エンジンを一度ストップして再始動しないとエンジンがまた機能しないという状態が、千飛行時間に対しまして、スレー中将の発言のころは四回とか三・六回とかいうような頻度で起こるということが問題になったわけでございます。確かにこの回数は少し多いわけでございますが、その後、先ほど装備局長申しましたように、改善策が種々適用されておりまして、現在の状況では、その回数も千飛行時間あたり〇・七回ぐらいまで減少しつつあります。それで、米空軍の目標といたしましても、これを〇・一回、〇・二回というような程度まで減らしたいということで、逐次その対策を実施しておりますので、われわれが入手するF15につきましては心配する必要のないエンジンが入手できるものと考えております。
  168. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 やはり米軍の、間々とあなたはおっしゃるけれども このF15の装着のエンジンは、米軍にいまF15が配置されておりますけれども、三百何機ですか、その中で多いときは百機ぐらい非常にトラブルがあって休まして調査をしたという、そういうような報告もあるようであります。そういうことからすれば、いまおっしゃったとおり加熱して、速度が落ちて、アフターバーナーをたいて失速の状態になったときにエンジンをああやってまたかけてというときに、要するに交戦の機会を失うということは要撃戦闘機にとってはもう致命的な使いものにならない機種であると、性能はよくてもその一瞬において使いものにならないということがあれば、一機七十五億もする国民の血税で買うについては、もう少し慎重に情報収集をしておやりになった方がいいんじゃなかったかという反省をあなた方はされるべきじゃないかと私は思うんですが、いかがですか。
  169. 番匠敦彦

    政府委員(番匠敦彦君) 今回のスレー証言を見てみますと、問題はむしろ先生おっしゃいました、何といいますか、現在米空軍で運用しているF15に対しまして、補用エンジンといいますか、エンジンが足りないためにエンジンなしの航空機が若干出ているということがむしろ問題になっているのであろうと思います。スタグネーションストールにつきましては、スレー中将も運用の初期こういう問題があったけれども、すでに対策が講じられてもう心配要らないというようなニュアンスで答えておられます。むしろ問題でありますのは、耐久性ということがいま問題になっておるようでございます。耐久性と申しますのは、そういうようにスタグネーションストール等がありましたり、あるいはタービンが高温にさらされました場合に、予想していたよりも早くタービンを交換しなきゃいけないというようなことが出てきたようでございましたし、それからまた、エンジン会社の下請会社が二社、約半年間にわたるストライキが米国内で行われておりまして、そのために補用部品、補用エンジンの米空軍に対する引き渡しがおくれたというようなことで、現在の運用中のF15の稼働率といいますか、それが減っているということが問題になっているようでございますが、米軍におきましても全力を挙げて官民ともにストライキの影響の回復ということをやっておるようでございますので、来年の初めにはそのストライキの影響からリカバリーできるというふうに言っておりますので、F15の機種の選定云々というようなことにはならないとわれわれは考えております。
  170. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 F15のエンジンの欠陥に関する去る十一月二十七日——つい最近です、二十七日のアメリカ上院軍事委員会における米空軍システム司令部のアルトン・スレー司令官の証言に対して山田空幕長は、去る十一月三十日の記者会見で、エンジン欠陥の改善は進んでいる等の理由により購入に悪影響はないとの発表を行っております。この判断の根拠は、入手した米議会での証言内容の全文や駐米防衛駐在官を通じての情報、在日米軍からの情報、空幕長のさきの訪米での米空軍関係者との会談内容などについての総合的分析の結果であると、このように伝えられております。米軍は現在配備されているF15のエンジン欠陥の全容をとらえたと確信を防衛庁はしておるのか。一部分をとらえて全部をそのように推しはかっておるんではないかという危倶があるわけであります。少なくとも近い将来に新たなエンジントラブルが発生しないと断言ができますか、防衛庁の見解を伺いたいのであります。  米軍が配備している四百五十機のF15のうちエンジンの故障あるいは点検のため、現在四十五ないし五十機が飛行不能であると言われております。まだ点検が終了していないのではないんでしょうか。防衛庁は米軍における配備されたF15のエンジン点検の実情をどのようにとらえているのか、この点をお伺いしたいのであります。  さらに、このように故障と点検が進行中であると判断をされる段階において山田空幕長が前述のような発表をすることは、情報の活用についてきわめて慎重を欠くものと言わざるを得ないわけであります。今回の総合的分析に用いられた情報資料を私は国会に提出をしていただくことを要求したいのであります。このことは委員長に取り計らいをお願いをいたします。  答弁をお願いします。
  171. 倉部行雄

    政府委員(倉部行雄君) F15のエンジンのふぐあい問題につきましては、先ほど申し上げましたように、従来から防衛庁としましてはそういった問題の報道がある都度、あるいはそういう問題が起こった都度米側と密接な連絡を行っておりまして、その改善状況等は私ども十分把握しておるつもりでおります。また、同エンジンの具体的なふぐあい事項及びその改善の状況につきましては、防衛庁としましては、これは米空軍でCIPと申しておりますが、構成品改良計画——コンポーネント・インプルーブメント・プログラムというものでございますが、そういったもの、あるいはECP——エンジニア・チェンジ・プロポーザルと、技術変更と申しておりますが、こういう技術的な問題を詳細に取り寄せまして状況把握を行っておるわけでございます。これらの問題につきましては、米空軍が実施しておりますところの改善策によってさらに問題が減少し、私どもは信頼性がますます上がっていくのではないかというふうに確信しておるわけでございます。  また、先ほどのアメリカ側との関係でございますが、先ほどスレー司令官の証言を引用されまして、その関係の資料の問題を申されたわけでございますが、午前中にも御答弁いたしたわけでございますが、スレー司令官の証言の中身をよく私ども分析してみたわけでございますが、従来から指摘されている問題以外の新しい問題というものは出ておらないわけでございます。強いて申せば、エンジン関係の資材の関係会社のストライキ等の問題によりますところの整備支援がおくれているというような問題がございますけれども、エンジンに関する問題点としましては従来から指摘されていた問題でございますし、またそれらの改善状況というものを詳細に述べてあるというのが私ども特徴ではないかと思うわけでございまして、そういう意味におきまして、私どもの今後取得するF15はまだ先のことでございますし、十分改善されたものが入ってくるというふうに考えております。
  172. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) ただいまの和泉委員の御要望、資料要求に関しましては、理事会において協議して措置いたします。さよう御了承願います。
  173. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 はい。終わります。
  174. 山中郁子

    ○山中郁子君 大平総理は、さきの所信表明におきまして行政綱紀粛正政治の倫理の確立などということを強調されました。また、今回の公務員の給与改定に関しましてこの取り扱いの閣議決定でもその文書の中で、いつも入っていないわけなんですが、官庁綱紀の厳正な保持という文章を特に入れておられます。  それで私はまず初めに、給与担当大臣である総務長官にまつわる幾つかの疑惑の問題に関してお尋ねをいたします。  総務長官は、就任されて早々にKDDに二百万円のパーティー券を売りつけたということが問題になりました。今度は、日本税理士政治連盟から税理士法改正に絡んで五百万円の献金を受けているということがまた大きな問題になっております。  で、初めにお伺いいたしますけれども、午前中の審議の中で総務長官は選挙の中で陣中見舞いとしてもらったということを認めていらっしゃいましたけれども、それではこの前の選挙のときですね、三年前の選挙のときには税理士政治連盟から幾らの献金をおもらいになったのか、お答えをいただきたい。
  175. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 私がこの税理士問題に主としてかかわり合いを持つようになりましたのは、一昨年から昨年にかけまして自由民主党の財政部会の中におきます税理士問題小委員会委員長としてのときかと思います。私は十六年間の政治生活の中でより充実した期間だというふうに思い起こしておりますが、そのことは、私がこの税理士問題について関心を寄せましたのは、ひとり税理士会の一団体からの要請でなくて、私自身この問題を取り扱うということは、今次諸般の財政逼迫の折から財政当局も厳しい税査定も行ってきておる現状にかんがみまして、税理士としての地位を向上せしむることがいわば中小企業の対策のためにも非常に大切なことだと、そういう趣旨で、私はこのことを行うことが国民のため、国家のためになるという信念を持ってこの問題に取り組んできたつもりでございます。  そこで、御指摘の点につきましては、実は私従来から地元におきましてそうした方々との交わりを持ってまいりましたが、前回のことにつきましては、大変申しわけありませんが、いかようになっておりますか、急な御質問でありますのでにわかにお答えできませんことをお許し願いたいと存じます。
  176. 山中郁子

    ○山中郁子君 税理士問題にかかわるようになってからいろいろな激励を受けてきたという趣旨も含まれているという御答弁でございますけれども、私どもが調査した限りでは、自治省への届け出の中でつまり百万円以上の政治献金を受けられたということについての内容はないわけです、あなたの場合にね。そういうことと、いまお答えにありましたこととあわせてのやはり基本的な法改正の問題にかかわる重大な疑惑となっているのは、これは当然のことだと思います。ところで、わが党が十二月八日、先週ですが、日税連に行きまして専務理事の四元氏に会ってまいりました。そしてそこでお話を伺ったんですが、四元さんは、金を渡すについては議員本人に直接会って渡すか、あるいは議員の意向によって政治団体に入れるか後援会に入れるかしていると、こう言っておられました。ところで、小渕さんのところにはそうした意向の打診に来られたと思うんですが、あなたはどのように指示をされたんですか。後援会に入れてくれ、あるいは政治団体に入れてくれ、どういう趣旨の指示をされたのか、それからまた要請をされたのか、そしてまたそれはいつだれが応対をされたのか、そのことをお尋ねいたします。
  177. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 大変御質疑をいただく先生に申しわけありませんが、御質問の中で、パーティー券を売りつけたとか、疑惑に絡んでとかという御指摘でありますが、私はさように全然考えておりませんので、念のため御理解いただきたいと存じます。  それから、どのようにということでございますが、多分解散になりまして以降、私の選挙事務所に責任者の方が来られまして推薦状と同時にお渡し願ったんだろうと思います。が、正直を申し上げまして、私は大変選挙前に忙しい日程の中をこなしておりましたので、そのまま直ちに後援会の方にお渡しをいたしまして、しかるべき処理をしてほしいと、こういうことを申し上げたままに選挙が終了したものだと思います。で、私はこの応援そのものは、私の政治活動を心から声援してくれ、かつ私の政治家としての将来に期待をしていただく純粋な政治資金と心得ておりますので、政治資金規正法に基づく諸手続を後援会あるいは政治資金を扱うところの私の後援団体が処理をしておったものだというふうに理解をしております。
  178. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) この際、山中君に御注意申し上げたいと存じます。質疑は、なるべく議題範囲を超えないように御配慮をお願いしたいと存じます。
  179. 山中郁子

    ○山中郁子君 委員長にも私は申し上げますけれども、官庁綱紀の厳正な保持というものを入れて閣議決定をされて、そして公務員給与の問題について出されているんです。その担当大臣が小渕さんじゃありませんか。何で私がいま質問していることが議題と違うんですか。私は、そのことに厳重な抗議を申し入れます。  それで、お尋ねいたしますが、あなたが幾らKDDに券を売りつけたとか疑惑だとかと言ってほしくないとおっしゃっても、国民の認識を考えてください、マスコミの報道を考えてください。私は、何も自分の恣意的な考えで言っているんじゃないんですよ。それだけ申し上げておきます。  それで、お尋ねをいたしますが、先ほど、KDDの二百万円のパーティー券の問題ですが、あなたはこれは返したとおっしゃいました。二つのお尋ねいたしますが、KDDにだけ売ったわけではないと思いますので、ほかの会社なんかにも売ったものについてもお返しになったのかどうか。  それからもう一つは、今度は純粋な政治献金として受け取ったとおっしゃっておられるから、その五百万円についてはお返しをするつもりはないというふうに理解してよろしいのかどうか、お尋ねいたします。
  180. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) KDDのパーティー券につきましては私が売ったと、こういう御指摘でございますが、私を支援していただくいわゆる励ます会を催す団体が、私のために、各界に御協力をいただく過程にこのパーティー券をKDDにお願いし、過分な御協力をいただいたという経緯でございますので、この点も御理解をいただきたいと思います。  なお、御質問の趣旨にありましたように……
  181. 山中郁子

    ○山中郁子君 だって返したんでしょう、あなたが売ったから。
  182. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 私は私の金を返したわけではありません。しかし、そうは言っても、これだけKDDそのものが社会的に大きな問題を惹起しておる事柄に関して、私としては、私の後援団体がそのような事柄について問題が起きておる時点にかんがみて、まことに私を支持する多くの方が集まっていただいて協力していただく会ではありますが、私の政治姿勢を示す意味からも、もしできますれば今回のパーティーを中止し、いただきました代金の返済も行うことがありがたいことである由を御理解いただいて、さようの手続をとっていただいたものと私は考えております。  それから、第二の問題につきましては、いま申し上げましたように、私としては一切やましい点があると思っておりません。よって、私は、私を支援していただくありがたい政治活動の協力費として考えておりますので、今日御指摘をいただきましたように、返済するとかということを考えておりませんが、私自身もいろいろ御指摘をいただいておることでありますので勉強はしてみたいと思いますが、現時点においてはさような気持ちはありません。  なお、大変申しわけありませんが、私は公務員の綱紀粛正に関する担当の大臣であることは御指摘のとおりであります。しかし、私は、私の今日のこうした問題があるがゆえに、公務員の皆さんに対して綱紀粛正に関して一切のことを申し上げることの資格を失うものでもありませんし、私としては、みずからの職務を十分遂行することに自信を持って邁進いたしていきたい。念のため申し添えさしていただきます。
  183. 山中郁子

    ○山中郁子君 一つは、申し上げておきますけれども、あなたがどういう言い方をしようと、あなたに関して励ます会か後援会か秘書か知りませんけれども、いろいろ言いようがありましょう。だけど、小渕さんにかかわる問題としてこれが問題になっていることはあたりまえの話なんですよ。そういうことをひとつ指摘しておきますけれども、先ほどの質問は、KDDにはお返しになったとおっしゃっている。そうして励ます会も取りやめたとおっしゃっている。だったら、ほかのところから集めたパーティー券はどうなすったのですかということを伺っているんです。ほかの会社にも買ってもらったんでしょう。
  184. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 私を励ます会の事務局に対しまして、会が中止したことでございますのでその返済も含めて適切に処置をしていただきたい旨の私の心情は申し述べてございますので、さよう努力をしていただいているものと存じております。
  185. 山中郁子

    ○山中郁子君 それと、先ほど御答弁がありましたけれども、日税連から五百万円受け取ったというのは、あなたが直接そうしたら受け取られたということですね、ちょっともう一つ確認をしておきます。
  186. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 日税連でございませんで、日本税理士政治連盟でございますので……
  187. 山中郁子

    ○山中郁子君 政治連盟の方ですね、はい。
  188. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) たしか選挙のときで非常にごたごたしておりましたので正確な記憶は存じませんが、私は推薦状と同時に受けたものと記憶をいたしております。が、ただ、私はその場で正直申し上げて開封するとかなんとかということじゃなくて、直ちに後援会の幹部にお渡しいたしたように記憶しております。
  189. 山中郁子

    ○山中郁子君 税理士法改正に関連して、あなたは日税連からの陳情などを受けられたことがありますか、いつごろ、どういう形で、どういう内容で。お答えいただきたい、何回ぐらい。
  190. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 団体は日税連のみならず、税理士法改正につきましては公認会計士会、行政書士会を初めとしてあまた各団体からの陳情はちょうだいをいたしております。
  191. 山中郁子

    ○山中郁子君 日税連からも受けたということですね。
  192. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 当然です。
  193. 山中郁子

    ○山中郁子君 日税連と小渕さんとの関係について、四元さんが日税連の機関紙の「税理士界」のことしの九月十日付に特別報告としていろいろ報告をされておられます。その中に「もとより、ここに漕ぎつけるまでには、始終、自民党国対の筆頭副委員長小渕恵三氏の尽力があったことを看過してはならない。いうまでもなく氏は、自民党政調会財政部会の税理士問題小委員長として、税理士法改正法案の基となった税理士制度改正要綱の生みの親でもある。」と、こういうふうに述べられまして大変高く評価されておられるわけですけれども、総務長官はこの四元さんの評価というか、この報告についてはそのとおりだとお思いになっていらっしゃるのかどうか、ちょっとお考えを伺います。
  194. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 大変ありがたい御評価をちょうだいしておるものと存じておりますが、私は税理士会の方々がいかように考えましょうとも、冒頭申し上げましたように、私はこの法律改正することは税理士会一団体の問題でない、なればこそ、今日税理士会内部におきましても、私が小委員長として小委員会皆さんの英知を集めて取りまとめさしていただきました原案について、なおかつ税理士会がまとめあげた基本要綱に大きく隔たるところありと言って内部におきましても反対をされておる事実も先生御案内かと存じますので、私といたしましては、あらゆる団体、あらゆる方々のお気持ちを十分拝しながら、この法改正をすることは今日税務当局に対しましても税理士が堂々と十分渡り合えるような能力と資格と、そして自信を持つことができるようなことをすることが望ましいという立場で、私はみずからの信念に基づいて行動したわけでありまして、そのことを税理士会の幹部の皆さんがいかように御評価をいただくかは、それはその方々の御判断の問題だと思います。
  195. 山中郁子

    ○山中郁子君 あなた、全部一般論にして、そうして献金は献金で純粋な献金だと、そんなことを言ったって通りませんよ。現実に政治連盟の献金リストは国会議員にみんなランクをつけて、あなたはその特級ランクになっているわけだわ。それはだれも周知のことです、いままでの経過の中で。そして私が言いたいのは、公務員の綱紀粛正ということをわざわざ書いて、そうして総理大臣がそのことを所信表明の中で強調してそれで何が綱紀粛正か。しかも、その担当大臣であるあなたがいま言ったように、全部言い逃れ、そうして全部一般論だと、そんなことだれが認められますか。  私はこの問題についての最後に、綱紀粛正政治倫理の確立ということを方針とする、しかもそれは大きな基本的な方針だということを再三大平さんは言っておられる、その関係の一員として進退的問題も含めて政治責任をどうとるおつもりなのか、そのお考を伺います。
  196. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 御答弁の過程で申し上げましたように、私がいただいております本職につきましては、私の全知全能を傾けて国民のために十分果たしてまいりたいと思うし、また綱紀粛正に関しましてはいささかのじくじたるところもなく、みずからの信念に基づいて私の職務を遂行いたしてまいりたい、かように考えております。
  197. 山中郁子

    ○山中郁子君 他の問題も含めて、この問題につきましては引き続き機会を得て解明もし、追及もしてまいります。  次に、公務員給与の具体的な問題にお伺いを移しますけれども、ことしの給与改定は平均三・七%アップという一九四八年勧告制度始まって以来の最低の引き上げです。そして、高齢者の昇給ストップという賃金体系の改悪も含まれております。人事院にお伺いいたしますけれども、国公法三条では、人事院は給与や勤務条件、人事行政の改善に関する勧告、そして職員の利益の保護等に関する事務をつかさどる。「職員の利益の保護等」となっておりますけれども、今回の三・七%の勧告でも低いけれども、これは上げるんだから改善と言えば改善です。高齢者の昇給ストップは明らかに改悪で改善とは言えないと思いますけれども、この見解を簡潔にお伺いいたします。
  198. 長橋進

    政府委員(長橋進君) お答え申し上げます。  公務員給与の改善につきましては、官民給与を調べましてその均衡を図っていくということを基本的なたてまえにしております。水準につきましては、四月以前と比較いたしまして水準を合わせるということになっております。しかしながら、その配分の問題といたしましては、やはり公務員の中において不均衡感が生じないように適正な配分をしていくということ、また一つの重大な事柄だというふうに考えております。その官民給与を比較してみました場合に、やはり現状を見ますと若中年層のところは民間と比べまして非常に低いと、ところが高年齢層のところは官の方がやや高くなっているということでございますので、やはり人事管理上問題があろうということで適正化を図っていこうという趣旨のものでございます。
  199. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は一つは将来的な較差の成り行きというのももう少し慎重に見きわめる必要があると思うんです。しかし、それだけではなくて、現実にあなた方がこれだけ較差があるとおっしゃっているそのデータに照らして考えてみましても、いただきました資料によりますと、五十六歳から五十八歳九・一%、五十八歳から六十歳一八・六%と、こういうふうになって較差があるからと、こうおっしゃっているんですけれどもね。これは当然のことながら六十歳以上の定年をしいているところ、つまり六十歳までは定年になってない、定年制度がない、そういう会社を対象にして出された資料でなければ筋が通らないと思いますけれども、その点はいかがですか。
  200. 長橋進

    政府委員(長橋進君) 人事院の民間調査におきましては、六十歳以上の定年制をしいておるところというのは事業所別にやっておりませんので、したがってちょっといまのところその正確な数字ということはわかりかねますけれども、調査の中に要するに六十歳以上の定年制をしいておるところ、あるいはそれも全部含めて一括して対象にしておるということでございます。
  201. 山中郁子

    ○山中郁子君 それでは、当然その較差が広がっていくことはある意味ではあたりまえなんですよね。込みにしてたらだめなんで、いろんな調査あなた方なさるんだから、ちゃんとそれに見合う調査をすべきだということを要求しておきます。  それとあわせて、人事院は、いろいろいままでも高齢者の昇給ストップないしは高齢者の昇給問題を一定程度枠をはめないと若い方の原資が食われちゃってなかなか大変だと、こうおっしゃっているんだけれども、これも私ほんのわずかなお金にしかならないはずだと思いますので、いまちょっと試算をしていただいていると思いますが、五十六歳昇給延伸、五十八歳昇給停止した場合に、その原資を五十五歳以下全員に配分するとすれば一人当たり一体どのくらいの改善額になるのか、原資としてですね、それをちょっとお示しください。
  202. 長橋進

    政府委員(長橋進君) 今回の措置は配分の適正化を図っていこうということでございますので、したがいまして浮いた原資をどのように配分するかということになりますと、五十五歳未満の人に一律に配分するということは考えられませんけれども、しかし御質問のように仮に一律に配分いたしました場合にどうなりますかということになりますと、一月当たり職員一人百八十一円という計算になろうかと思います。
  203. 山中郁子

    ○山中郁子君 つまり百八十一円という、仮にそれが、配分がどういう前提で行われると仮定してみたところで、大きなその中だるみなり前だるみなりを是正する原資にはなり得ないわけですね。問題は、私はそうではなくて、いま必要なのはいわゆる賃金体系の上厚下薄の問題に抜本的なメスを入れることが必要だと。これは先ほどから、私、総務長官にも政治の倫理の問題、行政綱紀の問題としてお尋ねしてまいりましたけれども、これはけさほども山崎委員が触れておられましたけれども、公務員の綱紀粛正ということでみんな一からげにして、そして本当にまじめに一生懸命下積みで働いている公務員までが何か悪いことしているみたいな、そんなふうなことに故意にすりかえるみたいなそういうことは断じてやるべきじゃないし、それは本来の意味での政治の倫理の確立、行政綱紀粛正と全く無縁の問題であると思います。これは理念の問題ですけれども、いま申し上げました上厚下薄という問題にやはり抜本的なメスを入れることによってしか解決をしないし、高齢者いじめをすることによって、あなた方がおっしゃっているようなそういう賃金体系の根本問題の道が開かれるということは決してないということを重ねて指摘をしておきます。  次の問題に入りますが、ことしの四月一日に職域拡大を口実として母性保護の人事院規則規定の改悪をなすったわけです。これは改定したわけですね。今回のその問題につきましては、深夜業の制限を航空管制官あるいは気象大学校、こうしたところに門戸を広げるということを理由にして行われているんですけれども、それだけでなくて、人事院がそのときに一緒に提起しているのは、職域拡大を理由としてさらに今後はこれらの職種についての危険有害業務の制限からの適用除外も検討する、計画するというように読み取れますけれども、この問題についてはいつごろをめどにしてその結論を出そうとしていらっしゃるのか、またその具体的な内容はどのようなものに考えておられるのか、それを初めにお尋ねいたします。     —————————————
  204. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 委員異動について御報告いたします。  ただいま堀江正夫君が委員辞任され、その補欠として降矢敬雄君が選任されました。     —————————————
  205. 金井八郎

    政府委員(金井八郎君) ただいま御質問の航空管制官等五職種につきましての採用試験におきまして、女子の従来受験制限がございましたのを四月一日に解除いたしました。それに伴いまして、女子職員で特定の職種を除き一般的には制限されておりまする深夜勤務、一定時間以上の超過労働勤務についての規定のうち、これら航空管制官等五職種に係る官職につきましてそういう制限を他の看護婦等と同様な形で解除したわけでございますが、これにつきましては、職務の実態であるとかあるいは他に制限されておる看護婦等の職種との均衡とかその他女性の雇用拡大という観点も加えまして検討の結果行ったわけでございますけれども、御指摘の危険有害業務につきましては、一般に女子職員にはすべてこれは一律に各省庁の長は就業させることを禁止されておるところもございますので、この点につきましては慎重に検討したいということで現在検討中でございます。それで、このうちで航空管制官等女子に受験制限を撤廃した職種につきましては、すでに採用試験も行われておりまして、来年度から採用者が公務に入ってくると思われます。そういうこともございますので、たとえば航空管制技術官につきましては高電圧作業、海上保安官につきましては高所作業等いわゆる危険有害業務とされているものもございますので、これら特定の職種につきましてはただいま検討を行っているところでございまして、なるべく早い時点において結論を得たいというふうに考えております。  それ以外の一般の女子職員につきましての危険有害業務の問題は、これはやはりいろいろな公務におきましては多様な職種がございますし、さらにいろいろの検討を加えた上でこれは対処していくべきものと考えまして、いまのところそこまでまだ検討には入っておりませんが、いずれそういう問題も処理しなければならないというふうに考えております。
  206. 山中郁子

    ○山中郁子君 人事院規則という形で公務員の場合には決められていくわけなんですけれども、いま大変問題になっております母性保護、男女平等、これらの重要なところに差しかかっておりますから、当然母性保護の規定を変える場合には職場の働く人たち、労働組合の意見も尊重し、そしてまた合意を得ていくということでなければならないと思います。職域拡大ということはもちろん前進的な対応であって、私はそれは積極的に推進していくべきだと思いますが、逆にこれが母性保護を取り上げる口実にされるような、労基研の報告も危険性が多く指摘されておりますが、それの先取りを人事院規則でもって行っていくというようなことであってはならないと思いますけれども、その辺について労働組合との合意、それからまた、いま労基研の報告の指摘されている危険な要素についての先取り的な考えではないならないということをお聞かせいただきたいと思います。
  207. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) 問題がきわめて基本的な事柄でございますので、私からお答えをさしていただきたいと思いますが、いま御指摘になりましたように、私は、雇用条件、勤務条件等につきましては許す限りやはり男女同権ということに進んでいくべき段階に来ておるという感じはいたしております。ただ、いまお述べになりました母性保護という見地ですね、これはやはり男女の肉体的条件、それに起因するものでございます。特に母性を保護しなければならないということは、これは母子保護法その他の規定のあることから見ても、その筋は正しいことであるというふうに思っておりまして、これはやはり画然と一線を画して考えていかなければならぬというふうに思っております。したがって、母性保護にかかわる規定改正等に関しましてはきわめて慎重な態度で対処していきたい。その間において、実態も調べなければなりませんし、また関係機関の意見等も十分に拝聴する等のことを、手段を尽くしながら、きわめて慎重な態度でこれに対しては対処していく所存でございます。
  208. 山中郁子

    ○山中郁子君 私が先ほど申し上げました労働組合との合意ということも含めて、いまきわめて慎重に対処するという御趣旨で御答弁があったと伺いますけれども、よろしいですね。  それで、この問題につきましては、私が指摘しましたように、労基研の報告の持つ危険な側面というものを人事院が先取りをするというような結果になりかねない問題です。ですから、そこのところを人事院が母性保護とそれから男女平等というものをどのように理解をするのかということが大変重要な問題で、いま総裁から母性保護というものは重大な男女平等の前提の問題として押さえるべきことだという御答弁がありましたので、現実はいろいろ問題がありますけれども、その御答弁の趣旨を踏まえて、引き続きこれらの問題についての解明をしかるべき場所で図っていきたいと思っております。  次に、防衛庁にお尋ねをいたします。  環太平洋合同演習——リムパックに関しまして数点お答えをいただきたいと思います。質問時間の制限が迫っておりますので、簡潔にお答えをいただきたいのですが、リムパックは来年の春と言われておりますが、何月何日から何月何日までの計画になっておりますか。
  209. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 過去の実例から見てみますると、おおむね一ヵ月間の期間、過去六回行われております。今回何月何日から何月何日まで実施されるかにつきましては、現在、主催国アメリカが関係各国と協議中でございまして、まだ未定でございます。
  210. 山中郁子

    ○山中郁子君 防衛庁としては、大体何月ごろになるだろうというふうなそういう見通しもお持ちじゃないですか、もしあれば——。正確にそうなるかどうかは別でしょうけれども。
  211. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 今回のハワイ派遣訓練は五十四年度予算でございますので、年度内に行われるであろうと考えております。
  212. 山中郁子

    ○山中郁子君 その打ち合わせがまだできてないということも再三おっしゃっておられますけれども、その打ち合わせはそれではいつどこで行われるのか、どういう層が参加をされるのか、アメリカ以外の国とも一緒に打ち合わせをされるのか、その辺をお尋ねいたします。
  213. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 打ち合わせ事項によりまして、それぞれ随時関係部局の関係者相互間でこれから細かく細部について詰めていくことになろうかと存じます。  また、アメリカ以外の参加国と具体的な打ち合わせをするかどうかのお尋ねでございますが、再々申し上げておりますように、今回のリムパック参加は、主催国であるアメリカに対しまして、去る十月、私どもは参加をしたい旨の申し入れをした段階でございまして、他の参加国、多分恐らく従来六回、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアが参加しておりますので、今回も参加することになるだろう思いますが、まだ参加の意思表示を公式にいたしておりません。私どもといたしましては、主催国のアメリカとの連絡調整はいたしておりますが、その他の国との連絡は直接は行っておりません。
  214. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、具体的なことはこれからなのでわからないとおっしゃるのかもしれませんが、今度のリムパックに参加する艦艇だとか航空機ですね、国別にどういうものがどの程度参加するのかということについて、いま把握されていたらお答えもいただきたいし、もし把握されてないということでしたらば、いままで行われたリムパックについて具体的にどういう国がどれだけの艦艇あるいは空母なら空母がどのくらい、飛行機ならば戦闘機がどのくらいとかということでお示しをいただきたいと思います。これはお願いをしておきましたので……。
  215. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 過去六回行われておりますが、リムパックに参加をいたしますのは今回が初めてでございますので、過去の資料につきましては防衛庁に公式の資料がございません。しかしながら、私ども承知しております限りにおきましては、四十六年のリムパックにはアメリカ、カナダ、濠州、ニュージーランド等が参加をしております。四十七年、同様でございますが、艦艇数、航空機数、人数等はこの段階の数字は不明でございます。四十八年には、同じくこの四ヵ国の艦艇二十三隻、航空機二百機、人員約一万四千名。五十年度は同じくこの四ヵ国でございますが、艦艇数は三十一隻、航空機二百機、人員約一万七千名。五十二年度は三十八隻の二百二十五機、約二万名。五十三年度は四十二隻の二百二十五機、約二万二千名の人員が参加をしたと承知をいたしており威す。  なお、明年の第七回リムパックにつきましては、先ほど申し上げましたような事情で、どこの国が何隻参加をするか、まだ承知をいたしておりません。
  216. 山中郁子

    ○山中郁子君 いま四十八年、五十二年、五十三年、五十四年と、飛行機、艦艇、それから人員ですね、お答えいただいたのですけれども、私がお願いしておきましたのはその内訳ですね、国別、それから機種別ですね。船だったら空母が何隻で護衛艦がどのくらいということをお願いしておいたのですが、それをお示しいただきたいのですが。別な資料としていただけるならば一つだけでもいいです、いま直接お答えいただくのは。
  217. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 昨日お申し入れがございましたことを承知はいたしておりますけれども、申しわけございませんけれども防衛庁には公式の資料がございませんので、そのブレークダウンはちょっと承知をいたしかねております。
  218. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうすると、これはいままで……、これから調べるということもできないわけですか。不可能だということですか。
  219. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 古いリムパックについてのデータはどうだか、ちょっと保証の限りでございませんけれども、二年前のリムパックがどうであったか、私の方は調査をしてみたいと考えております。
  220. 山中郁子

    ○山中郁子君 調査が判明されましたらまたそれをお示しいただきたいと思います。  それで、いままで何回かこの問題について議論がありました。それで、佐々さんもリムパックに参加はするけれども、実務的にはこれまでのハワイ派遣訓練の魚雷発射による評価訓練などで参加するんだというふうにいろいろおっしゃっていますね。そうすると、防衛庁の考え方としては、アメリカ以外の国と合同演習するということはやっぱり問題があるという認識をされていらっしゃる。そしてまた、日米間の訓練ならばなぜリムパックに参加する必要があるのかということについてはまた疑義が出てくるところなんですけれども、その二点についてお考えを伺います。
  221. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 防衛庁といたしましては、自衛隊は防衛庁設置法五条の二十一号、これはいつも申し上げておりますので、申しわけございません、教育訓練に関することでございますが、所掌事務の遂行に必要な教育訓練の範囲内であれば外国の軍隊と共同訓練をやっても差し支えないであろうと考えております。しかしながら、今回のリムパックに参加をいたしますことは、アメリカと共同訓練をやることをもっぱら目的として参加をするものでございまして、他の国と直接訓練を行うことは参加の目的ではございません。  また、なぜそれではこのリムパックに行くのか、アメリカとだけやっておればいいではないかという御質問かと存じますけれども、これも申し上げておりますように、従来は五十一年以来護衛艦二隻の航空機八機をハワイに派遣をいたしまして毎年訓練をやっておるわけでございますけれども、どうしても個艦レベルの基礎訓練、応用訓練にとまってしまうわけでございます。今回はいわば総合訓練、艦隊——フリートエキササイズと彼らは呼んでおりますけれども、フリートエキササイズに参加をさせていただきますことによりまして、従来得られなかったより高度の戦術技量の習得が可能であろうと、かように考えて参加をするわけでございます。アメリカもずいぶん大国ではございますけれども、アメリカの財政にも限度があると見えまして、日本だけのために艦隊レベルの訓練のシラバスを組んでくれるほど余裕はないようでございますので、この二年に一度程度行われておりますリムパックへの参加を向こうから勧誘をしてきたと、こういう事情のようでございます。
  222. 山中郁子

    ○山中郁子君 アメリカとだけやってりゃいいなんて私の方言ってないんで、お間違えないようにしていただきたいんですが、あなたの方が、アメリカとだけならいいけれども、ほかとはやるのはぐあいが悪いみたいにおっしゃっているから、それはどうなんだということをお尋ねしたんです。  それで、あなたからそういうふうにおっしゃったから申し上げますけれども、私どもはもう何回も申し上げているように、日米共同演習自体の重要な問題点というのは何回も繰り返し指摘してまいりました。それを今度はさらに他国とも含めて、そして海外の大合同演習をする、これがまさに憲法をじゅうりんする海外派遣に道を切り開くものであるということは、私が申し上げるまでもなく、繰り返し指摘してきたところです。したがって、そういう観点から、このリムパックに日本が参加するということは当然やめるべきだということを私はこの委員会で重ねて主張をし、要求をいたします。  そして最後に、その問題についての若干の具体的な点をお尋ねしておきます。  一つは、いまのお話によりますと、そうすると日本の海上自衛隊は、この訓練ではアメリカ以外の国とは組まないのかどうか、組んで行動しないのかどうか。それから、アメリカ以外の国の潜水艦や飛行機を敵に見立てた訓練ですね、こういうものは一切行わないということなのか。それから、通信や信号なども含めてこうした連絡をとり合うというようなことは、アメリカ以外の船や飛行機とはしないのかどうか。それから、十二月六日の中路議員の衆議院における質問に際しまして、あなたは遠洋航海の際、いままでもチリやアルゼンチン、カナダとの訓練は行ったということをおっしゃっていますので、それはそれぞれいつ行ったのか、以上の四点になりますか、まとめてお答えいただきたいと思います。
  223. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) まず、アメリカ以外と組まないのかどうかということでございますけれども、現在その具体的な調整を行っておるところでございまして、海上自衛隊といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、ハワイ派遣訓練の充実強化でございますので、アメリカの海軍と組んで訓練をやることが目的でございます。ただし、同一海面でほかの艦艇も訓練をやっておりますので、そういう意味ではターゲットサービスのような形でお互いにターゲットをサービスし合うというようなことはあるんだろうと思います。ただし、これは従来申し上げておりますように、戦術技量の向上のための所掌事務遂行の必要の範囲内の教育訓練であるならば、他の国の艦艇とこれをやっても違法ではないだろう、憲法違反の問題はないだろうと私どもは考えておりますが、現在私どもが考えておりますのは、アメリカ海軍の最新のすぐれた戦術技量を学び取ることが目的でございますので、もっぱらアメリカと組んで訓練をやることを考えております。  それから、これまで練習艦隊その他がどこでどういう訓練をほかの国とやったか、アメリカ以外とやったかというお尋ねでございますが、私どもの記録によりますと、四十年の八月二十九日、アルゼンチンに練習艦隊護衛艦四隻が参りました際に、ブエノスアイレス出港後、アルゼンチン側の艦艇と対潜捜索訓練を実施をした。四十三年の八月二日、チリにおきましてトンゴイという港を出港した後、その沖でチリ側の艦艇と対潜捜索訓練を実施した。三番目は、今度はカナダが四十五年の五月二十日、向こうから参りましたときでございますけれども、房総沖におきまして日本側護衛艦と通信連絡訓練及び戦術運動訓練、これは海上における陣形運動でございますけれども、これを実施をしたということでございます。この訓練は、いずれも戦術技量の向上ということなんでございますけれども、どちらかというと、参加国間の友好親善を図るといったプロトコル的な意味合いの強い訓練であったというふうに承知をいたしております。
  224. 三治重信

    三治重信君 まず、今度の昇給延伸の問題をひとつ質問しますが、今度の人事院勧告の完全実施に当たって、昇給延伸の措置をとるという閣議決定をやった。これは、財政難ということが言われておるわけなんですけれども、本当に財政難ということでやるのか、あるいはさらに、それとも関連して昇給延伸というのは、いろいろ何といいますか、高齢化に対してあるいは人事管理上、昇給の延伸、従来の昇給期間を再検討しようと、こういうふうな内容なのか、その点をもう少し、どういうところに昇給延伸の理由をつけているのか、閣議決定の中に一項目特に重点の一つとして入れているのはどういう理由か、ひとつ御説明願いたい。
  225. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) もっともな御質問かと存じますが、今回の閣議決定を最終的にいたします過程におきましては、官房長官、大蔵大臣、そして私、三者協議を数次にわたり行い、かつその後に関係閣僚協議会もこれまた幾たびか行ったわけでございます。従来から申し上げれば、すでに御案内のとおり、四十五年以来人事院勧告の完全実施というものが完熟した制度として成り立っておるという現状にかんがみますれば、すんなりとこうした関係の閣僚協議会など開かずにも政府としては決定できただろうと思うんです。しかし、今時点の状況を考えますと、公務員のあり方につきましても種々議論のあるところでありますし、また同時に、財政状態がきわめて逼迫しておるというこの時点に立って、このままの姿で完全実施をすることについてそれぞれの省庁間におきましてなかなか合意が得られなかったわけでございまして、政府としては基本的に人勧の完全実施という基本線は貫き通すという姿勢では一致しておりますが、その中にあって、国民がみずから税負担者として公務員に対して願っておることの期待をいかに織り込むことができるかというところに実は苦心をしたわけでございまして、私も給与担当大臣としては従来の慣行を一切一指たりとも触れさせぬということで努力をいたしましたが、反面財政当局の厳しい御主張もありまして、結果、種々議論した暁におきまして、一般職も含めてベースアップの繰り延べがいいか、あるいは定昇の延伸がいいか、あるいはその他退職手当の見直しをどう考えるか、もろもろのことを付記をいたしまして、今時点では第一項目にありますように自主的な完全実施をいたしたわけでございまして、いろいろの過程を踏んで国全体、国民全体の意向も踏まえながら、政府としてはかくあるべしというのがお手元にございますような閣議決定になったと、こういう経過でございます。
  226. 三治重信

    三治重信君 何といいますか、いまのお話だと、人事院の勧告を完全実施をということを大蔵にのますために付属的なこととしてこういう昇給延伸とか退職金の検討というようなことでお茶を濁して納得させたというようにとれるわけですけれども、それは非常に一つの苦肉の策であったかもわかりませんけれども、昇給制度そのものは、ベースアップの前に日本の労務管理からいろいろの関係からいってきちんと制度的にできていることなんですよね。だからそれを、もとをうやむやにして後から来たベースアップの方を先にやるというのは主客転倒の考え方だと思うのですよ。  民社党を支持しております官公労の方からも要請書を総務長官にも出してあるからおわかりになっているんですけれども、もちろん職員組合の方は、人事院勧告を完全実施するのは当然だけれども、昇給延伸によって実質上何といいますか、給与が削られるということについての反対を特に主張しているわけなんですが、昇給延伸をベースアップを実施することに引っかけてそういう理由でやるというのは、いわゆる人事管理の基本をひん曲げることになるとぼくは思うのですよ。その点はどうなんですか。
  227. 亀谷礼次

    政府委員(亀谷礼次君) ただいま大臣からもお答え申し上げましたことの若干繰り返しの答弁になるかと思いますが、朝来御質問に申し上げておりますように、今回の給与改定に伴う政府の方針決定に当たりましては、現下の厳しい経済社会情勢にかんがみ、この厳しい環境の中に、先ほど大臣も答弁申し上げましたように、国民の負担によって賄われる公務員の給与自身もこの厳しい環境のらち外には置き得ないのではないかと、こういう強い意見が関係会議の中でもあったのでございますが、あわせて、朝来申し上げておりますように、この厳しい社会経済の中で民間の企業においても相当厳しい減量経営を行っておる、こういうこと等々を踏まえまして、先ほど申し上げましたような人事院の勧告をこの十年近く完熟した制度として政府は堅持をしてきている現況の原則は踏まえながらも、なおそういった点についても国民の厳しいあるいは国民の公務員に対する意見、世論等踏まえて、財政再建期間中についてはなお相当の検討を加えてしかるべきではないかという議論があったということは大臣がるる申し上げたとおりであります。しかしながら、先生も御指摘のように、給与の問題は定期昇給を含めまして公務員の制度の基本にわたることでございますので、結論としては、やはりこの問題を所管をしておられる人事院にそういった議論の経緯のあったことを踏まえて御検討を依頼することが適当であろうと、こういうことで御指摘にあるような閣議決定の意向を人事院にお伝え申し上げたということでございまして、基本的には先生が御指摘になりますような原則論あるいは制度のたてまえについては十分承知をした上で、そういったいろいろの事情のあるところを人事院にお伝えしたと、こういう経緯でございます。
  228. 三治重信

    三治重信君 何といいますか、大蔵省に人事院の勧告を完全実施さす一つの免罪符のためにこういう言葉を使ってやるという、結果は大したことないからまあいいじゃないかということのようなんだけれども、これは何と申しますか、人事管理、労務管理の部面からいくと主客転倒の表現になっていかにもまずいと私は思います。以下その点について展開しますが、その点を言って、こういうやり方は羊頭狗肉の策だと、こういうふうに思うわけなんです。  それで人事院の方にお伺いしますが、この昇給の延伸とかいう問題、いわゆるこの昇給制度については、われわれは前からも昇給制度というような問題は、これはもう平均給与ばかり民間とのやつというのはおかしいので、昇給制度や労務の構成ですね、そういうものについてのやつを人事院の方が余りにもかたくなにやっていると、人事管理上われわれは非常にむずかしいと思っていたことが多々あるわけなんですが、その点について昇給制度がその最たるものですが、先ほどもいわゆる高齢者の昇給関係の問題があるし、今後定年の問題や民間の定年延長の制度の五十五歳から六十歳に定年延長するときに、民間の経営者と労働組合とはえらいその点についても、いわゆる五十五歳からの延伸についての昇給の問題や給与の問題は非常に厳しく経営の態度を示しているわけですね。そういうことについて人事院はどういうふうにお考えですか。私は、こういう昇給延伸という問題で、給与のベースの問題でこうひっかけたというのは実にこれはまずいと思う。むしろ民間のそういうことと離れて、やはりこの際、政府が公務員の給与の体系——民間の方が非常にいわゆる高齢化というんですか、六十歳まで定年の延長に伴って労務管理や給与の構成を急激に相当考え方を変えている。それに対して、国家公務員にもそういうことについて、やはりこの公務員給与になると大体において基本的には民間給与を見習ってそれにならっていく。こういうことなわけですが、そういうことに対応がちょっとおくれているんじゃないかと思うのですが、またそういうことについて人事院はどういうふうにいま作業なり新しい勧告が行われているか、その点について御説明願いたいと思います。
  229. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) 一般の昇給制度というものは、給与制度の一環をなす大変重要な柱であるという認識に私たちは終始立っておるわけでございます。そういう意味合いから、四月時点で民間の給与実態を調査をいたしまする際には、現在は春闘という形が一般的になっておりまして、その場合で、三治さん御専門でよく御承知のように、定昇込みいろいろということに相なっております。そういうことを踏まえまして、人事院といたしましても四月時点で定昇も含めたものとしての較差を出すとどういうふうになるかということを詳細なデータをもとにして調べて、較差があればそれを埋めていただきたいということで勧告を申し上げている次第でございます。したがいまして、較差の中には昇給ということも中に入っておるという前提で事柄を進めておるということについて御理解を賜りたいと存ずる次第でございます。  ただ、いまお話しになりましたように、民間におきましても定年制その他の点の取り扱いとも関連をいたしまして、高齢者あるいは定年該当者等の昇給の取り扱い問題についてはいろいろ論議をされ、また措置も次々に講ぜられておるという実態がございます。そこで、そういう点につきましては人事院といたしましても等閑視できませんので、そういう点も比較対照して詳細に検討をしてまいった次第でございますが、朝来からも申し上げておりますようなこともございまして、官民の較差というような点から申しますと、いまの点が如実に反映をいたしまして、公務員の場合につきましても高齢者については逆較差が非常に顕著に見られるという事態がございます。そこで、それについてやはり何ら手を加えないということも適当ではございません。官民の均衡という問題もございますし、また公務員部内の相対的均衡の問題もございます。そういうことから放置しがたい状況になっておるということで、従来五十八歳以上については昇給延伸措置を講じてまいっておるわけでございますが、さらに民間の実態等も参照いたしまして、昨年に、これについてはひとつ一年間の検討期間を置いて何らかの、一歩前進といいますか、改正措置を講じなければならぬということを申しました。それを受けて、ことしの勧告でもってこれをさらに強化をするという方針を決めまして、五十六歳——具体的に申せばただいま検討をいたしておりますが、ほぼ大きな枠として決まっておりまするのは、五十六歳以上の者については延伸をしていくと、また五十八歳以上については停止の措置を講じていくということに踏み切りたいというふうに思っておりまして、そういう点で民間の企業の動向その他についてもこれを反映をしていくことが適当ではないかという見地を貫くことにいたした状況でございます。
  230. 三治重信

    三治重信君 だから私が言っているのは、こういうふうな給与のベースアップの問題と関連してこの昇給延伸の措置というのは非常にまずいやり方だと、こういうこと、その点は了解していただけると思う。だから、こういうことは組合から反対されるとどうにももう弁解の余地がない、どうにもそれは一般職員にも納得さし得ない問題だと思うんですよ。これをいま人事院総裁がおっしゃったように、民間と公務員との較差あるいは公務員の職種別の民間との均衡の問題、こういう問題から入っていけば、あるいは昇給延伸の中身が、そういう高齢者の昇給延伸なりあるいはベースアップのストップなりそういう問題が当然出てくる。これを給与の問題でやると、これはとんでもない労務管理の不手際になってくると思うんです。その点は人事院総裁に特にお願いしますが、民間の今度のいわゆる定年延長の問題になって、給与の構成や給与やり方というのはずいぶん組合と当局とはいろいろの形で変わっております。それはもう具体的な技術的なことはお任せします。  それから退職金などでも、人事院がずっと前の一遍決めたやつをそのまま放置していたために、急激なベースアップが行われたために、いかにも知らぬでいる間に民間と公務員との退職金が結果として公務員に非常ないい状況が残ってしまっているというふうなことを言われるわけなんですが、退職金の問題なんかでも、これは決して、いいことか悪いことかまた議論すればえらい問題になりますけれども、私が承知しておる限りにおいては、民間の方の退職金はベースアップと同じように伴わないで、ずいぶん割り引きして退職金にはベースアップを適用している会社が非常に多い。そういうことから、民間と公務員との退職金の結果としての支給金額はえらい差がついてきたと、こういうことについて人事院も知ってか知らずか、あるいは退職金の方のやつまではうちの方は勧告の中に入ってないと思っていたということなんですが、ごく簡単にそこだけひとつ、退職金の問題、答弁はもう結論だけで結構です。
  231. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) 先刻、高齢者の昇給延伸等について申し上げましたが、一般的な昇給の延伸問題ということになりますと、これは先生がおっしゃったとおりでありまして、これはやはりベースアップの問題と引きかえその他というようなことで措置をいたしますのは私も適当ではないということで、朝来申し上げておるとおりでございます。  なお、退職手当につきましては、これは責任逃れではございませんが、これは現在は総理府所管ということに相なっております。ただ、われわれの方で調査のスタッフを持っておりますので、五年に一回ぐらい総理府の方から御依頼がございまして調査をいたしております。最近では、五十二年度の実態について五十三年度に調査をいたしました。その調査の面については現在詳細な分析、検討を行っておる次第でございまして、いまお話しになりましたような点もあわせ頭に入れながら検討を続けてまいりたいと思っております。
  232. 三治重信

    三治重信君 次は、行管の関係でお尋ねしますが、今度綱紀粛正行政改革の問題が非常に出てきているわけですが、その中で今回この法案の中で、いわゆる許可認可等整理に関する法律案というので出てきておって、中身がもっと豊富なのかと思っておったら、本当のごく簡単な、軽微なやつだけになっているようなんですが、一体長官は行政改革をやろうとされる場合に、役所の事務——各局、各部に配分されているのはみんなこういうふうないわゆる法律、命令に基づいて与えられた仕事がたくさんあるわけだ。これを整理しないで人員だけやめろとか役所だけやめろと、こういうようになってくると、そこに非常な抵抗が出てくると思うんですが、これはそういう意味において役所の仕事をどれだけ減らすかということを先行させないと、行政改革はリーズナブルに、とにかく政府行政改革をやるんだと、国民世論に従ってやるんだという進め方についての順序を間違えると、非常な抵抗が強くて、今度は政府が弱腰だから何もできぬじゃないかと、こういうことになるんですが、行政改革をやるにしてもやはり政府がやって悪いことは一つもないんだろうけれども、何か理由があってやるようになったんだろうけれども、そこで行政改革なり何かやるということになってくると、どの仕事をやめるかということを先にやらぬことには行政改革がリーズナブルにいかぬと、スムーズにいかぬと思うんですが、その点はどうなんですか、どういうふうに進めておられるのか。
  233. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 非常に貴重な御意見を拝聴いたしましてありがたく存じます。私もさように心得まして今日の行政改革を推し進めております。  仰せのとおり、機構だけではなくして、その内容というものをもっとしっかりしなくっちゃなりません。なかんずく行政事務整理合理化ということは、これは非常に大切なことでございます。で、私が本部長をいたしておりますのが御承知の行政改革本部でございまして、その本部が今回の行革を推進いたしておりますが、先日も先生の御指摘の点に関しまして一応決定をした次第でございまして、そして許可、認可の整理合理化はもちろんのことでございますけれども、法令さらには報告、そういう問題に関しましてもこの際きれいに整理整とんをして、そして常に行政というものが簡素で効率的であると、そういう姿を整えたいと思っておる次第でございます。同時に、やはり規制とか監督行政というものもありますし、また保護、助成行政というものもございますが、そうした問題に関しましてもやはり基本的に見直しを行うよう決定いたしましたので、午前中に申し上げました四本の柱の中におきまして、ただいまそれらの問題も鋭意進めております。そして、いま申し上げました中におきましては、年末に策定いたします計画の中にこれを具体的に表示をいたしたいと、かように存ずる次第でございます。
  234. 三治重信

    三治重信君 その具体的にというのは、機関をどれだけ縮小するとか、人員をどれだけ削減するとかいう計画は具体的にははっきり決まるんだろうけれども、こういう許可、認可や補助金法律をもう何十本やめるんだという計画まで決まると、こういうことですか。
  235. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) いま申し述べましたとおりの案でございます。
  236. 三治重信

    三治重信君 それで、ひとつ総理府の人事局長にお尋ねしますが、総理府に人事局をつくったときは、ILOの八十七号条約の批准に伴って、政府が自主的に職員団体との交渉について当局がもっと積極的にいろいろ、何というんですか、労務管理を進めていく上において職員団体との交渉についてのこなしを中心になってやるということと、こういう綱紀粛正の問題について人事局が担当するようにあれつくったように覚えているんですけれども、いわゆるいまの人事局は今度のこの綱紀粛正にどういうふうな役割りを果たしていますか。
  237. 亀谷礼次

    政府委員(亀谷礼次君) 先般の内閣総理大臣の御指示に基づきまして、私ども官房長官の具体的な御指示もあわせて受けた上で関係省庁の官房長会議を開きまして、すでに新聞にも報道されているところでございますが、そこで具体的に総理の指示を関係省庁がどういうふうにこれを具体化していくかということについて関係者で数次にわたる会合を持ったところでございますが、最終的に官房長会議の結論といたしまして、十三項目にわたりますところの、総理指示の内容を関係省庁が具体化していく申し合わせと申しますか、合意を見たところでございます。  この趣旨は、しばしばいろいろの委員会等でも大臣、官房長官からも御答弁しているところでございますが、私ども人事局は、先生が御指摘になりましたように、四十年以降人事局の所管といたしましては、将来人事院との所管の話も出ておるところでございますが、国家公務員の服務規律等の面につきまして人事院の所管をしない面、関係職員のいわゆる福利厚生、あるいは服務規律の面における、実施の面における関係部局の総合的な調整を図っておると、こういう立場でございますので、いま私が申し上げましたような各省官房長集まりましてそういった具体的な取り決めをしました一環も、私ども人事局が当然担うべき職務の一端であるというふうに明瞭に考えておるところでございます。
  238. 三治重信

    三治重信君 これは鉄建公団だけえらい華々しくヤミ給与、カラ出張と言ってやられたけれども、これは鉄建公団でもずっと、やはり労働三法による労働組合とのいわゆる団体交渉の結果払わなくちゃならぬ。そうすると、どこからやるかというとカラ出張をやり、ヤミ超勤をやって、組合との妥結によってそれを実施して、それが結果として経理の関係ではえらい法令違反になる、やみになると、こういうことになってくる。これはだんだん調べていくと、一般の政府の非現業の方も若干ずつあるじゃないかと、こういうようなことでいま問題になっているわけなんですが、こういうことについて、結局そういうことがいわゆる違法な経理をやって払わなければならぬような職員団体との交渉というものが現に行われているということが問題なんだと思うんですがね。そうすると、それを破棄すれば今度は職員団体と当局とのいわゆる労務管理が混乱を来してくるわけなんです。こういうものに対する対処の方策は職員団体とのいわゆるヤミ給与の問題、それからヤミ超勤の問題、それからカラ休暇の問題、これがいわゆる一省庁だけではどうにも解決しない問題がある。そこで人事局というものをつくって、そして各省庁やはり経営者としての一つの見解を持って職員団体と接触して、そして法令の違反や慣行が犯されないように、正常な労務管理が行われるようにということが人事局をつくった趣旨だと思うんですが、そういうことが現実にどの程度いままで行われていたかということ、いま過去は問わぬにしても、現在のいわゆるヤミ休暇、いわゆる正規の給与のほかに職員団体と当局との交渉による上積みのやつの処理の問題、これは金銭上の問題だから完全にはっきり出てくるわけの問題です。そのほかの問題もいろいろありますけれども、基本的にこの問題がいわゆる公社公団のヤミ給与の解消とともに非現業の方にもしっかりやらぬと、何といいますか、不均衡の問題が出てくると思うんですが、これに対してどういうふうな考え方を持っていますか。
  239. 亀谷礼次

    政府委員(亀谷礼次君) 人事局ができまして以来相当の年数が経過しているところでございますが、今回の総理指示に基づきます政府各省庁の官房長会議における申し合わせもただいまの先生の御質問に触れる面があるわけでございますが、私ども人事局はたてまえといたしまして、設置法にも述べられておりますように、国家公務員を中心にした関係省庁の人事管理の総合調整を行うというたてまえになっております。端的に御指摘のように、この秋以来一連の問題として新聞をにぎわしておりますいわゆる特殊法人の問題というものは、この取り扱いはいろいろの面から考えなければならないわけでございますが、先生が一番御案内のように、御指摘にもございました組合との交渉という大きなエレメントがその当事者にあるわけでございます。したがって、単純に法解釈をしますならば、それぞれその特殊法人に与えられたあるいはその特殊法人との関係における主管省庁の大臣との法的な意味における関係があろうと思います。したがって、一義的に人事局がプロパーな立場で特殊法人に直接ああしろ、こうしろあるいはこういうふうにあるべきだと言うことは非常にむずかしい面がございます。したがって、先般の官房長会議における申し合わせもすでに発表になっておりますとおり、私どもは総理指示に基づきまして関係省庁、これはまあ現業、非現業の問題もございますが、いわゆる国家公務員等というものの中に厳密な意味における政府関係機関、これにつきましては当然関係省庁含めまして申し合わせの対象として励行をしていかなきゃならぬわけでございますが、その他各省大臣が所管をいたしておりますところの特殊法人につきましても、それらの申し合わせの精神にのっとって関係主管省においてそれに準じてこの精神を生かすように厳格な励行、具体化を図ってもらいたいという約束をお願いしているところでございます。地方公共団体についても自治大臣にお願いしたところでございますが、そういった面では、私どもは総理大臣、官房長官もとより総務長官の御指示を受けて幅広く、広い意味における総合調整としてその責務を持っていると思いますが、端的に御指摘のように、特殊法人そのものの具体的な問題については、そういう国の精神にのっとってそれぞれ主管省庁で法で定められているところの権限においてこれを具体化をしてもらう、こういう話し合いをいたした次第でございます。
  240. 三治重信

    三治重信君 総務長官、いまお聞きで若干おわかりになったと思うんだけれども、やはりヤミ給与、カラ出張ということで非常に新聞をにぎわして、経理の不正がいかにも国民の税金をめちゃくちゃに使っているみたいにとられた新聞報道になっているけれども、当局の方はそれでも何にも黙っているけれども、もとは当局と組合との協定なり話し合いがついて、その結果によって当局は払っているはずなんだ。当局が経理違反やっていることだ。だけど、当局はただ勝手に経理違反をやっているわけじゃないんだ。まあ、どこか料理屋で飲んだり何かするあちらのもう一つの方は、これは当局の内部の問題だけれども、それは締めればそこはそこだけで話がつく問題だけれども、今度のヤミ給与、カラ出張、それからカラ休暇の問題は、これは労務管理それから当局と組合との話の問題がそのもとにあるわけなんだ、もとに。これが全然一般の国民には報道されていないし、当局からはこういう問題は何が原因かということについての解説なり国民に対する説得というものが一つも出ていない。これはもう非常にぼくは当局の責任逃れだと思う。それで、三公社五現業はああいうふうにきちんとした法律があって、そうして公共企業体等労働委員会があって、そこできちんと全部オープンに決まるから、そこでみんな非常に世間もよく承知している。ところが、公社公団の方は労働三法が適用になって、そして政労協というのをつくっていて、これはもう民間と同じような気持ちでやっている。ここの責任の問題を政府も当局もみんなほおかぶりして一つも解説がないところに問題がある。ぼくは、決算委員会で質問してもまあ余り記事にならなかったけれどもね。しかし、問題は何ゆえに原因が——というのは、ぼくが言うのは、いかにもヤミ給与やカラ出張をやるというと、全部役人が勝手にポケットの中に入れているみたいに思うんだけれども、その前提として一つ給与や公務員の待遇として労使の交渉があることなんだ。これを全部ネグレクトしてこの問題を処理しようと思っても、会計法規だけの不正は直しますと、こう言っただけじゃ絶対できぬと思うんですが、それに対して、だから人事局長にも、そういうヤミ経理や会計法違反の問題をやるためには、その前提として労使関係を直さなければできない。労使関係を直すといってもこの労使関係が一方的に直るわけじゃないんで、どういうふうにして会計法の違法との関係を直していくかということは、当局の方が積極的に組合や職員団体に話しかけて解決していかなけりゃならぬ問題です。常に受け身であるところに問題がある。当局が積極的に職員団体なり労働組合と話しするために人事局もつくったということを覚えておいていただいて、本当に基本を今度は政府が解決していかぬと、この問題はただ一遍表面を直しただけになって問題がすぐまた復活する、こういうことになると思うんですが、どうですか。
  241. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) どうも専門家中の専門家の先生に昨今勉強を始めた私が御答弁申し上げるのはいささかじくじたるものがありますが、先生から御指摘いただきましたように、特殊法人の労使間においては労働三法の適用を受けておると、しかし、一方では予算という形で大蔵省のきちきちとした制約の中にある。この辺の中にいま申し上げられたような矛盾撞着に近いものが起こってきているのじゃないかという御指摘のように承るんですが、御指摘のように、もとを正さなければいずれ、綱紀粛正の問題も御指摘いただいたように、飲み食いして使った、それは悪い、しかし、一方で先生おっしゃっているようなことについて基本的に改めることをいたさなければ、二度と再びまたこうした問題も惹起されないとも限らないという御指摘のことは私もよく理解できるわけです。したがって、まだ十分な勉強をいたしておりませんけれども、根っこになる問題が那辺にあり、それをいかに解決し、二度とこうしたことを起こさないために法改正も含めて一体どうするかという問題につきましては、謙虚に承って勉強を積み重ねてみたい、このように考えております。
  242. 三治重信

    三治重信君 そこで、行管長官にも私の意見を申し上げておきますが、だから行政改革の問題でも何でも、労働三法が適用になっている民間のいわゆる減量経営のやり方は、工場をつぶすにしても、人員を削減するにしても、生首を切るのでも、みんな労働組合との話をつけてやっているわけです。だから、そこに政府は国会で議論される、あるいはマスコミでやられるからということで一方的にどんどこどんどこやっていくと、ここで、さあいざ実施になったときに、やはりそこの対象になる職員団体、労働組合の抵抗が物すごくあると、これは九仭の功を一簣に虧く、いかに政府の強い力でも。また後がいかない、後が。現実の現場がもう仕事にならぬということになると、これはもう管理職はノイローゼになってしまう。行政改革をやっていくために管理職がみんなノイローゼになっては、何のための能率、効率の向上かと。それについても民間の企業というものはいわゆる無手勝流で、そこには官のような権限もなくて、対等な裸になってやっているわけなんですよね。そういうことについて私はやはり公務員、その責任ある管理者もそれから政治家の方も、この行政改革というのはやはり相手に対する納得の問題が非常にあるわけなんで、その手順についてひとつ十分御配慮を願いたい。  それから人員削減なんかでも、減量経営なんかやっても、私は失業対策をずいぶんやったのですけれども、最近はさらに進んで、昔は親企業が自分のところの企業のやつを下請に頭を下げて使ってもらうなんということは考えられないことだった。いまは出向制度といいまして、会社に仕事がなくなると、そのうちの二割でも、百人でも二百人でも、ほかの仕事のあるところへ使ってくれ、あるいは給与の差があればそこはあと補充しますと言うぐらいまで、いろいろ雇用の確保と生産性の向上のためにいろいろ配置転換なんかでずいぶん苦労してやっているわけです。そういうことで、行政改革というのは非常に幅広い配慮をしていかぬと最終の目的が達せられない。その過程の中にはずいぶんきめ細かいことをやっていかなけりゃいけない。非常にきれいな見取り図だけ書いておっては絶対摩擦だけが大きくなるということを特に私の意見として申し上げて、そういうことについて十分な何といいますか、やはり職員対策ですね、これを私はしっかりお願いしたいと思います。
  243. 森田重郎

    ○森田重郎君 私は、この給与三法——一般職特別職、また防衛庁職員給与改正問題につきましてはほとんどの諸先生から御質問がありまして、たまたま質問を用意してまいったのでございますけれども、あえて行管問題だけにしぼって幾つかの質疑をさせていただきたいと思いますので、どうぞ給与関係の大臣、管理者の方々、御一服なさって結構でございます。  きょうは宇野行政管理庁長官からホットなニュースが伺えるかと思いまして、実は楽しみにいたしておりましたが、恐らくは、ただいまこの席に参るまで何かと各省庁等との詰めもなさっておられたのではないかと思います。十年一昔と申しますけれども、あえてそういう表現を借りられるとするならば、行政改革の問題というのは二昔ぐらい前から、今日話題になっておるようなことがずうっと継続して歴代内閣、そしてまた行管長官等から大変進軍ラッパは勇ましくわれわれ耳にいたしておったわけです。昭和三十六年に臨時行政調査会が設置をされましたことはもう皆さんすでによく御承知のとおりでございます。そして、その調査会が三十九年の九月に十六項目の行革に対する意見書というのを時の政府に提出した。この十六項目につきまして、いま私ここであえて一つ一つ申し上げるつもりはございませんけれども、言うなれば各種の付属機関あるいはまた審議会、特殊法人、そういった要するに整理統合の問題というようなことが、先ほど冒頭申し上げましたように、二昔も前から言われてきておったわけですけれども、なかなか一向にその実効が上がっていないというふうに私自身感得するわけでございますが、長官、ひとつ長官だ今度御就任になりまして、言うなれば第二次大平内閣宇野行政管理庁長官一つのかなめのような立場に私は立っておるのじゃないか。行政改革問題、財政問題をも含めまして、行財政のある程度は抜本的な改革というふうなものがなされないことにおいては、この大平第二次内閣の命運がどうなるであろうかというふうな点さえ実は考えておるわけでございますが、その辺につきましての長官の御心境をひとつあえてお伺いしたい、かように思います。
  244. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 今回の行革は、私は過日も当委員会で申し上げたかもしれませんが、天の声である、かように受けとめまして、これをやることが国家、国民の福祉の向上のためであり、さらには一九八〇年代の厳しい情勢に機敏に対応し得る基である、かように存じて、就任以来鋭意努力を重ねてまいった次第でございます。したがいまして、従来までは総論賛成各論反対ということで半ばにして挫折したかもしれませんが、今回私は、このことは第二次大平内閣の最重要課題でございますから、途中で志半ばで挫折するわけにはまいりません。総理大臣もそれほどの強い態勢で臨んでおられまするし、特に各閣僚に対してすら一人一人に行財政改革に対する協力を要請されたという経緯もございます。私がそれを引き受けておることは御承知のとおりでございますが、午前中も申し上げました四つの柱を立てまして、その一つ一つを着実に実施に移していく、こういう決意で今日臨んでおる次第でございます。
  245. 森田重郎

    ○森田重郎君 長官の大変かたい決意のほどはよくわかりました。  去る十一月の八日夜半でございましょうか、第二次大平内閣が誕生された、そして翌日の初閣議で大平総理がただいま長官がおっしゃったような意味のことをおっしゃっている。第一には、特殊法人あるいは政府の付属機関、出先機関の統廃合、縮小問題、これを年内に立てるというような御発言があったように私ども伺っておるわけでございますが、実はきょうがちょうどその十日ということで、行革本部長として各省庁との詰めを多分に具体的に私はなさっておられるのではないかと思うのです。その辺につきまして、多少具体的に今後実施し得る、また実施可能なその辺の問題につきまして若干お聞かせ願える範囲のことをあえてひとつお伺い申し上げたい、こう思います。
  246. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 仰せのとおり、先月の二十七日に閣議におきまして各大臣に一つの基準を示して、御協力方を私からも要請いたしました。余り日数はなかった次第でございますが、十日余りでその締め切り日の本日を迎えたわけでございます。率直に申し上げまして、各大臣非常に熱意を込めてこの問題に鋭意当たっていただいております。  私といたしましては、実は今晩大体の模様を総理大臣に御報告を申し上げて、そしてあすの閣議で正式に十日締め切り現在の状況並びに年末に至る間の見通し、そうしたものを含めましてひとつ報告をいたしたい、かように存じまして、いま事務局にいろいろと整理をさしておる次第でございます。で、本当に各大臣ががんばってやっていただいたということに対しまして、私は、今日ただいまはその協力に謝しておるという段階でございますので、まだ具体的にあれがこうだこうだというのはちょっとしばらくお待ち願えないであろうかと思う次第でございます。
  247. 森田重郎

    ○森田重郎君 あす、あさってあたりを楽しみにいたしております。  ところで、歴代の内閣はいずれもこの行革問題につきましては大変に勇ましい進軍ラッパを吹きならして今日まで至っておる。先ほども申し上げたとおりでございますが、これまでの行革と申しましょうか、行政改革の中で私どもがあえて若干なりとも成果があったとするならば、それは吉田内閣時代の人員整理——整理という言葉が悪ければ削減とでも申しましょうか、それと、それから佐藤内閣時代の総定員法の制定でしょうか、一省一局の削減、この二つぐらいが言うなれば行政改革らしい行政改革ではなかったかと思いますが、今回、長官がただいまも御説明なさいましたように、そういう意味でわれわれがある程度納得し得るようなものが明日あたり出されるかどうか、その辺を重ねてお伺い申し上げたいと思います。
  248. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) まだ集計を急いでおる最中でございますが、私といたしましては、あるいは皆さん方には不満な点があるかもしれませんが、しかし当初意図いたしております線に近い線で第一回の報告が閣議でできるのではないかと、かように存じております。
  249. 森田重郎

    ○森田重郎君 各種の新聞報道等によりますと、たとえば農林水産省あるいはまた運輸省等が数合わせであるとか、あるいは外務省は中南米局等の問題を踏まえて特別扱い、別枠であるとか、そういった調子で新聞論調いろいろ書いておるようでございますが、まあ一部皮肉った表現かもしれませんが、条件闘争型であるとか、数合わせ型であるとか、例外型というようなことを時折耳にするわけでございますけれども、冒頭長官もおっしゃいましたように、総論賛成各論反対というような声の中で、たとえば特殊法人だけに限って当初いろいろ話題になりました要するに一割カット、これはいかがでしょうか、可能でございましょうか。あえて再度また御所見を賜りたい、こう思います。
  250. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 過般も本会議あるいは予算委員会等々でお答え申し上げておりますが、私といたしましては、現在百十一特殊法人があるわけでございますので、かなり大幅な削減を企図して仕事を進めておるということでございますので、それで御了解賜りたいと思います。
  251. 森田重郎

    ○森田重郎君 前澁谷自治大臣が地方分権の推進行政改革とでも申しましょうか、そういった意味での行政合理化方針というものを決めたというふうに私たちは理解をしておるわけでございますが、これからは、言うなれば地方の時代にふさわしい地域社会実現のために地方自治体が主となってその創意とイニシアチブをとる、そういう意味での地方自治の時代だというようなことをおっしゃっておったことを私どもは承知しておるわけでございますけれども、まあ言うなればそういった地方自治との関係におきまして長官のお考えをお聞かせ賜りたいと、こう思います。
  252. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 私も地方議員をしておったことがございますが、常に私たちは、中央集権を排除し地方分権を確立すべしという精神が今日の地方自治の精神だということで進んでおります。したがいまして、地方との関係におきましても、やはりこの精神は微動だにするものではないと考えております。もちろん、政府と地方自治体の間におきましては、いわば肝胆相照らす仲と申しましょうか、そうした形において国民、住民の福祉のためのスムーズな行政がなされることは必要でございましょう。したがいまして、今日まで極力、住民に近い要望があるならば、それに近い許可認可等々に関しましては、あるいは地方に移譲をするとか、いろいろとそうしたことを考えてまいった次第でございますが、今後もそうした面におきまして地方と中央との関係は常に円滑な関係にあらねばならないと、かように存じておる次第でございます。
  253. 森田重郎

    ○森田重郎君 きょうのサンケイ新聞等をちょっと拝見しますと、これはたとえば「行政改革断行の決め手」というような見出しの中で、経団連の土光会長が、とにかく蛮勇をふるえというようなことを言っておられますけれども、どうなんでしょうか、この新聞にもございますけれども、従来の行政権限というものをある程度民間企業に移譲するというようなことについての何かお考えがあるかどうか。まあ言うなれば民間の活力を大いに利用していくと。アメリカ経済が非常に活力が低下したと、これらも何か官の方が民に対して非常に、何と申しましょうか、言うなれば出過ぎたと。フランスの経済あたりを見ても、官民混合の経済、その辺の見直しをフランス当局あたりでもやっているというようなことを私どもは時折耳にするわけでございますが、いかがでしょうか、そういう意味で国の行政というものをある程度民間に移譲するような考え方がおありかどうか。また、その辺についての長官のひとつ御答弁をちょうだいいたしたいと、かように思います。
  254. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 国の行政そのものはあくまで国の行政だと存じますが、従来の関係から申しますと、政府があって民間があって、政府のなすべき仕事を、ひとつ第三セクターとして特殊法人をつくって、そこで民間のよいところも十二分に吸収してやっていこうと、こういうことでございますから、そのいわば特殊法人の面において、あるいはこれが天下りの場所になって民間の人材が登用されない、また民間の力が培養されないということに対する不満が今日あるのだろうかと思います。また許可認可等々に関しましても、やはり余り過剰介入し過ぎるものでございますから、かえって民間の手間暇かかっちまって、その結果、政府はぬくぬくしておるが民間は大変なんだと、そういうことも私はいっぱいあるんじゃなかろうかと、あるいは法令だとかさらには報告だとか、そんな問題でもいっぱいあるんじゃなかろうかと、こういうふうに考えておりますから、したがいまして今回の行革におきましては、それらを全部含めまして、やはりどこかにおいて私たちは民間の力、それを培養する方向へ政治の方向を持っていかなくちゃならないし、特に特殊法人におきましては天下りをチェックする、こういうことは、この間三閣僚が寄りまして、小渕総務長官も人事問題でございますから入っていただきまして、官房長官中心に今後はしっかりやっていこうというふうなことで、その具体策も練りたいと思っておりますが、そうした形においてやはりこれからの伸びゆく国力のために大いに民間のいいところはわれわれといたしましても伸ばしていかなくちゃならぬ、あくまでそれを妨害する、過剰介入するというようなことがあってはならない、こういう気持ちで乗り出していきたいと存じておるものであります。
  255. 森田重郎

    ○森田重郎君 お話は大体わかりましたが、実は、たまたま民間企業のお話が出ましたけれども、私も非常に民間企業といいましょうか、言うならば会社生活が長かったわけでございますけれども、会社の経営の実態というのは非常に厳しいと思うんですね。前回のこの委員会でも私ちょっと申し上げたんですけれども、一つの企業というものが命運をかけて新しい一つのプロジェクトにいどむというような折には、これは大変な苦労があると思うんです。そのディレクションの間違いが一つあれば、時に社長が首になる、あるいは賃金カットがある、さては指名解雇というようなことで毎日毎日が繰り返されておる。それが民間企業のあり方じゃないか。そういう意味で、やっぱり国の行財政というものは、その民間企業とのうらはらにあるというふうに私は思います。  したがいまして、冒頭何回か同じようなことを繰り返しましたけれども、私は、ここで最後に特に、あえて今回の行革だけについては、われわれの声といいますよりも国民の声としてこれを率直に受けとめていただきたい、反対をする声よりもやはり行革に対しては双手を挙げて賛成する声の方が多いんだと、その辺を特にひとつ行管長官にお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
  256. 秦豊

    ○秦豊君 幸い、この委員会に間に合うことができましたので、質問時間十分を活用したいと思いますが、防衛庁に集中をしたいと思います。  例の環太平洋演習——リムパック問題だけを取り上げたいと思いますが、とてもこの十分に妥当する質問対象ではありません。したがって、きょうは一つ、二つだけあえて聞いておきたい。  というのは、先般来野党側の要求に対して、防衛庁側は頭をひねってきょう新たな政府見解を恐らく発表しただろうと思う。その内容をちょっとだけ見てきたんだけれども、依然として野党側が追及をしたポイントには正面から答えない。防衛庁の言いたいことだけを言っている。分量的には前回より非常にたっぷりしているけれども、内容は質的には全く同じで、木で鼻くくったような答弁しかしていない。このことは同工異曲であって、たとえばすでにリムパック問題のこれまでの内容について、去る十月下旬に、私どもの楢崎弥之助と私が二人で、かなり克明な資料要求をしたのに対して、防衛庁側は、去る十一月五日にたったこれだけの(資料を示す)もう字数にしてこれ百十字ぐらいだろうか、膨大な過去何回かのリムパックのすべてについて、明年の想定について、自衛隊の役割り分担について、たったこれだけの資料をよこした。驚くべき不誠意というか、また傲慢というかわからないが、そしてしかもよく見ると、腹に据えかねるのは、来年のリムパック80の想定やいかにという質問に対して、想定、自衛隊の役割り分担等、すべて未定と。想定は未定である、役割り分担も未定であると。では、あれほど日ごろ防衛計画などを緻密に練っていると呼号している自衛隊が、役割り分担も想定も決まっていないような大規模な、しかもさまざまな法的な疑念に包まれた演習に参加をいち早く決定したのに、想定もわかっていません、役割り分担も決まっていません、こんなラフな決定を一体防衛庁長官は、もちろんあなたの前任者の時代であるけれども、なぜ許したのか、まず基本的にわからない、私は。本当に想定も役割り分担も決まっていないんですか、防衛局長
  257. 原徹

    政府委員(原徹君) いろいろ調べまして、要するにこれは教育訓練であると。対潜訓練、対水上訓練、あるいは対空訓練、そういう訓練をまとめるような想定と申しますか、そういうものをいまつくりつつあるように聞いております。したがって、いわゆる新聞等で拝見いたしますと、太平洋でこれらの参加国が共同で資源を守るというようなそういう想定、そういうものはないのでございまして、要するに教育訓練に合うような想定をつくるように聞いておりますが、それはまだできておらない、そういうことでございます。
  258. 秦豊

    ○秦豊君 では、防衛局長に伺うけれども、去年のリムパック78はどんな内容だったんですか。楢崎と私に対する答弁は一行しかないから、もう繰り返しませんよ。どんな内容だったのかぐらいは御存じでしょうな、来年の想定を仮に把握していなくても。それはどうなんですか。
  259. 原徹

    政府委員(原徹君) やはりそういう趣旨で、第三艦隊が、任務部隊、第一線部隊に行きます艦艇について、いわゆる個艦訓練、それから応用訓練、それから最終的に総合訓練をやって、そしてそれで評価がいいということになって初めていわゆる第一線部隊に行く、そういう訓練に参加するわけでございます。そういう訓練でございますから、想定というものをつくりますのにも、そういう訓練が連続してどうせやることになりますわけですから、そういう種類の想定になるように考えておりまして、それ以上のものではないように承知しておるわけでございます。
  260. 秦豊

    ○秦豊君 あなたは防衛局長になってもうかなり久しいから、もっとシャープな、もっと的確な答弁をしてくれるだろうと思ったら、そうではない。少なくとも、野党がちょっと調べましてもこれはそんなに単純なものじゃないんです。  参加艦艇は、まずハワイのパールハーバーに集結をする、空母を中心にして輪形陣を組む、そして中部太平洋を横断する、目標地はオーストラリア周辺であると。いろんな海域で戦術運動、攻撃のパターンから洋上補給、それから砲撃支援、通信、あるいは電子戦における欺瞞行動、つまり海軍戦闘の全分野にわたる訓練を繰り返しながらオーストラリア海域に、つまりANZUS海域に近づく、こういう演習なんであって、あなたが言ったように、日本は戦技向上だからそれだけやればいいんですと、魚雷発射訓練とか対空ミサイルとかターターの訓練とか、それだけやればいいんで、野党がやかましく言うように大したことはないんですというのじゃなくて、堂々たる総合システムにのっとったきわめて緻密なオペレーションの一環にあなた方は参加するのであって、日本は日本の都合のいいところだけをつまみ食いをする、それでさようなら、そんな甘っちょろいものじゃないんですよ。あなたの認識が間違っているか、あるいは認識が的確であれば野党に対する答弁をごまかしているか、どっちかなんだ。  では、あなたに具体的に聞きますけれども、一体このリムパックの演習というのは、合同演習なのか、共同演習なのか。つまり、ジョイントエクササイズというものに妥当するのか、コーディネーテッドエクササイズというものに妥当するのか、これは専門家だからすぐわかるでしょう、言ってください。
  261. 原徹

    政府委員(原徹君) まあ共同訓練と心得ておりますが、英語の表現いろいろございますように……
  262. 秦豊

    ○秦豊君 いろいろじゃない。一つしかない。
  263. 原徹

    政府委員(原徹君) 連合国がとにかくいるわけでございます。ニュージーランドはANZUS、オーストラリアもANZUS、それからカナダはNATOですが、日本も安保条約ということで同盟国でございますので、同盟国がハワイ周辺に集まってやる訓練でございますが、それをたとえばアライドという言葉で言われたこともあるかなというふうに承知しております。
  264. 秦豊

    ○秦豊君 あなたの理解はあいまい、不正確。これはちゃんと合同演習ということになっている、一九七一年のリムパックから。それはリムパック73でもまさにそう。いわんやリムパック78、去年もそう。あなた、米軍に問い合わせなさいよ、ジョイントエクササイズという公文書になっているから。ならば合同演習、あなた方の言う共同演習、これはなるほど一、二杯の軍艦持っていって——あなた方は護衛艦と言っているが、それでハワイ沖でちょっとやる戦技訓練、これは共同演習。今度のは、リムパックはすべて合同演習。公文書を調べてみなさい。  この場合、私がなぜやかましく言うかといいましたら——防衛局長、よく聞いてくださいよ。つまり、合同演習の場合には指揮権が旗艦に集中するんです。輪形陣を組んで行動する場合には、基本パターンは旗艦に指揮権が集中する。日本の海上自衛隊も指揮権、アメリカなりANZUSの艦隊も指揮権、こんなばかなことはあり得ない。これはイロハのイ。だから、その場合には防衛庁が、相互が同格に指揮権を分かち合います、したがっていままでの訓練と同じであって、法的には何ら問題がありませんと言っているのは、まさしく事実に反する言い分であると私は主張しているんですよ。だからまず、あなたは共同訓練という大前提で私に答弁をしているから、共同訓練ならばなるほどいままでの延長。ところがそうじゃない。合同訓練なんだから、指揮権は単一に旗艦に集中する。これは非常に大事な点だから、もう一遍答弁を求めたい。
  265. 原徹

    政府委員(原徹君) 指揮権の問題でございますけれども、私どもは、指揮権は対等の立場でちゃんとやるということで理解をいたしておりまして、その点は仮に実戦になりましても、たとえばガイドラインもございますが、これは指揮権が別だということでいろいろ調整機関をつくろうということになっております。現実の問題として、たとえば砲兵の支援射撃を求めるというような場合、これはリクエストはできるわけです。リクエストはできますけど、指揮権ではないんです。指揮権というのは要するに部下に対する関係で、その意に反してもやってもらわなきゃならないのが指揮権でございまして、砲兵の支援射撃は、相手から要請があれば、その要請を指揮官が判断をして適当だと思えばそれでやるものでございまして、別の国から指揮権を受けるということは、これは実戦でもございませんし、今回の演習でもそういうことはございませんわけでございます。
  266. 秦豊

    ○秦豊君 いまの点は非常に大事な点だし、せっかく原さんが幾らるるお述べになっても私は納得ができません、両者の見解非常に隔たっておりますからね。しかも、リムパック問題を議論するならば指揮権の問題を議論しなきゃいけない。だからこれは私納得ができないから、この部分の質問は納得しないんだから留保しますよ。別な機会にやりましょう。  あと二、三分しかないそうだから、ちょっと話の角度を変えますけど、あなた方は、これは日米間の問題だというふうに限局化されて答弁をされておるが、これは実際にアメリカ軍部からリクエストがあったことは事実だ。それは私も調べた。ところが、最終的にアメリカの軍部がどういう手続を関係国にとったか御存じですか。
  267. 原徹

    政府委員(原徹君) 私どもは、第三艦隊の訓練、アメリカからそういうことの申し入れがありまして、それを受けましたわけで、したがいましてほかの国とどういうふうに——ほかの国とは直接コンタクトいたしておりませんので、どういうふうにやったかということも私どもは承知をいたしておりません。
  268. 秦豊

    ○秦豊君 これで終わりますけれども、原さん、あなた御存じなことはそのようにはっきり言っていただきたいし、御存じないとすれば、防衛局長としては失礼ながら怠慢じゃありませんか。  アメリカはそうしたけれども、アメリカは最終的にはANZUSの閣僚理事会にこれを提出したんです。いいですか。これ調べてください。ANZUSの理事会が承認をしたから、日本海上自衛隊の八〇年リムパックヘの参加がオーソライズされたんです。いいですか。これは向こうの受けざらの問題です。あなた方はもう単に日米間、去年こうだった、来年もこう、何ほどの不思議なしというふうなとらえ方なんだけれども、向こうのとらえ方は全く違う。かちっとしているし、厳密だし、寸分のすきを許さない。あなた方はこの部分だけちょっとインサートして、入っていって、この部分の平時訓練、戦時訓練やったら、後はさっと帰ってきます、何にも意味がありませんと言った。これは大変な間違いであるということを重ねて申し上げておきたいが、あなたのきょうの答弁ぶりではとても明確な答弁にならぬと思うから、すべて留保したい。  それでやはり、恐らくあした公表される、あるいは今夜公表されるか知らぬけど、政府側の新たな見解というか、解釈というか、そういうものを踏まえてこれから一生懸命われわれはあなた方に向かって追及を続けたい、こう思います。  いま私が言った部分についてもし答弁の補足があれば伺いますけれども、なければこれで終わります。
  269. 原徹

    政府委員(原徹君) ただいまのどういう手続をとったかということは私は承知をいたしておりませんので、その点はさらに調べてみたいと思います。
  270. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 他に御発言もなければ、四案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  271. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 御異議ないと認めます。  山中君から、許可認可等整理に関する法律案について、委員長の手元に修正案が提出されております。修正案はお手元に配付のとおりでございます。  この際、本修正案を議題といたします。  山中君から修正案の趣旨説明をお願いします。山中君。
  272. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、日本共産党を代表して、許可認可等整理に関する法律案に対する修正案の内容概要提案理由説明いたします。  修正案の内容の第一は、へい獣処理場等に関する法律の一部改正部分を全文削除すること、第二は、航空法の一部改正部分を同じく全文削除することの二点であります。  次に、提案理由を申し上げます。  第一に、へい獣処理場等に関する法律の一部改正は、へい獣取扱場等の施設及び区域の変更の許可を届け出に変えようとするものでありますが、周知のようにへい獣取扱場等は悪臭公害などで住民に大きな影響を与えるおそれのあるものであり、これらの設備の拡大等については慎重に行われることが望ましいのは言うまでもありません。ところが、改正案のように届け出にするとなれば、設備の拡大を容易にし、業界の過当競争状態を促進するとともに、悪臭公害等で住民へも迷惑をかけるおそれがあるとの問題点を指摘する声が業界関係者からも出されております。  このような点から、現行どおり許可制により、行政機関がきちんと規制を行うべきであり、改正の必要は全くないと考えますので、この部分の全文削除を提案いたします。  第二の航空法の一部改正は、操縦士等が技能証明等を得る場合の年齢、飛行経歴などの受験資格を緩和するものでありますが、操縦士、航空士、航空機関士等については安全性の点から現行どおり申請時までに決められた年齢、飛行経歴等を有して受験するのが望ましく、たとえば規定の飛行時間を確保することによって練度を一定の段階に高めてから受験に臨むという現行制度の方が安全性を考慮する上でも合理的であると考えるものであります。  また、これらの改正についての要求は関係者及び関係団体からは全く出されておらず、機長養成問題を抱えている日本航空当局が労務管理政策上、このような改正政府に求めていたことが日航当局の文書からも明らかであり、このような背景を持つ今回の改正には単純に同意することはできないのであります。  したがいまして、この部分改正についても改正を行う必要はないと考え、全文の削除を提案いたします。  以上が修正案の内容概要提案理由であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  273. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) それでは、ただいまの修正案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。——別に御発言もないようですから、これより四案並びに修正案について一括して討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  274. 山崎昇

    山崎昇君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案に賛成し、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に反対の討論を行うものであります。  今回のこれらの給与改正案の内容は、去る八月十日の人事院勧告を実施しようとするものでありますが、同時に勧告されました週休二日制に関する内容は含まれておらず、加えて、五十六歳以上の職員昇給延伸並びに五十八歳以上の職員昇給停止措置が含まれており、きわめて不満ではありますが、公務員諸君の生活をいささかでも改善するためにも、一日も早く成立させるべきだと思うのであります。  高齢者の昇給停止もしくは延伸措置は、該当する高齢職員の現在及び将来にわたる生活にかかわる勤務条件の変更であり、重大な問題だと思うのであります。特に、いま高齢者と言われる年齢に達している人々は、戦中戦後の激動の中で数々の辛酸をなめ、悪条件の中で公務に精励してきたにもかかわらず、中途採用による格づけの悪さや人事院勧告の不完全実施等により幾多のたび重なる損失をこうむり、近年の給与改善によってもなお回復されていない状態にあると思うのであります。このため、普通昇給による給与の増額は欠くことのできない予定収入であり、この停止あるいは延伸は家計に深刻な打撃となることは申し上げるまでもありません。加えて、現行年金制度及び退職手当制度は、俸給月額を基礎に算定される結果、普通昇給の増減がそのまま現在及び将来の所得にはね返る仕組みとなっており、それだけに昇給制度の役割りは大きく、軽々しく変更させていいものではないと思うのであります。  このように、給与制度の基本にかかわる昇給制度について、政府は単に財政上だけの見地からとはいえ、全職員昇給期間の延伸について人事院に検討を依頼しているのでありますが、このことは、労働基本権制約の代償として存置され、中立機関として位置づけられている人事院の勧告制度への関与であって、許さるべきものではないと思うのであります。  この法律が実施されますと、俸給の調整額の一部定額化の措置が人事院規則だけで実施されることになると思うのでありますが、実施に当たりましては、公務員諸君の要望等も十分に勘案し、遺憾のないよう処置すべきであると思うのであります。  なお、防衛庁職員の処遇改善につきましては、私どもは人後に落ちないものでありますが、その存在について問題があるため、賛成できないことを表明して、私の討論を終わります。
  275. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました一般職職員給与改正案に賛成、特別職職員給与改正案並びに防衛庁職員給与改正案に反対の討論を行うものです。  初めに、一般職職員給与改正案についてであります。今回の一般職職員給与引き上げ率は、一九四八年勧告制度発足以来最低の引き上げ率であります。しかも高齢者の昇給停止措置を行うなどの問題点がありますが、公務員労働者の要求にこたえ一定の改善を行っており、給与改定を早急に実施するという立場から、わが党は本改正案に賛成するものです。  本改正案で、どうしても指摘しておかなければならない問題に、高齢者職員昇給停止措置があります。これは人事院の偏見による官民較差を口実に一方的に高齢者職員に犠牲を強いるものであり、賃金体系の改悪であります。政府がいま行うべきは、こうしたことではなく、高級官僚優遇の上厚下薄の賃金体系にこそ抜本的にメスを入れることであることを強く指摘するものです。  次に、特別職給与改正案です。本改正案は、国務大臣等給与据え置きや一般職指定職相当の特別職職員の実施時期を六ヵ月繰り下げるなどしていますが、現行の上厚下薄の賃金体系を温存する方向は変わっていません。また、現下の経済、雇用情勢や国民の生活水準から見ても本改正案には賛成できません。  第三に、防衛庁職員給与改正案についてであります。給与改定について見れば、対米従属、憲法違反、人民弾圧という自衛隊の基本的性格から単純に賛成し得るものではありません。しかし、一般職に準じた給与の引き上げであり、インフレ高進の中で自衛隊員とその家族の生活もまた脅かされている事態を考慮するならば、特に反対するものではありません。ところが、本改正案には、給与改定とは全く性格の異なる日米防衛協力の指針に基づく危険な自衛隊増強路線の一環とした予備自衛官増員体制づくりに道を開くねらいと結びついた予備自衛官手当の増額が不当に盛り込まれております。したがって、今回わが党は、予備自衛官問題が抱き合わされている本案に対し、反対の態度を表明するものであります。  以上で討論を終わります。
  276. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  277. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  許可認可等整理に関する法律案の採決を行います。  まず、山中君提出の修正案を問題に供します。  山中君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  278. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 少数と認めます。よって、山中君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  279. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  280. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  281. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  282. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、ただいま可決されました四案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  283. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  284. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣。
  285. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、国家公務員共済組合法等の規定により支給されている年金につきまして、その額を引き上げることとするほか、国家公務員共済組合の年金制度の現状に顧み、退職年金等の支給開始年齢の引き上げ、高額所得者に対する退職年金の支給制限、退職一時金制度の廃止等の措置を講ずることとし、このため、第八十七回国会及び第八十八回国会におきまして昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を提出したところでありますが、遺憾ながら成立を見るに至りませんでした。  共済年金制度の実情等を考慮すると、今後、年金財政を健全かつ適正に運営していくためには、以上申し上げました諸点につきまして速やかに法改正を行う必要があります。このため、ここに昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案につきましてその大要を申し上げます。  第一は、国家公務員共済組合等からの年金の額を改定することであります。すなわち、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法、旧国家公務員共済組合法及び国家公務員共済組合法に基づく年金のうち、昭和五十三年三月三十一日以前に給付事由が生じたものにつきまして、別途、第八十八回国会で成立いたしました恩給法等の一部を改正する法律による恩給の額の改定措置にならい、昭和五十三年度の国家公務員の給与の改善内容に準じ、年金額の算定の基礎となっている俸給を増額することにより、本年四月分以後、年金額を引き上げることといたしております。  この結果、平均で約三・六%程度年金額が改善されることとなります。  第二に、公務関係年金及び長期在職者の受ける退職年金等の最低保障額、恩給公務員期間等を有する八十歳以上の老齢者に対する年金額の割り増し措置について改善を図ることといたしておりますが、これも恩給における措置にならうものであります。  第三に、遺族年金に加算される寡婦加算及び遺族加算の額を、遺族の置かれている特別な事情にかんがみ、それぞれ年額一万二千円引き上げることといたしております。  第四に、退職年金の支給開始年齢につきまして、年金受給者の高齢化等に対応して、共済組合の将来にわたる年金財政の健全性の確保を図ること等の見地から、現行の五十五歳を六十歳に引き上げることといたしております。  なお、この支給開始年齢の引き上げにつきましては、組合員の老後の生活設計等も考慮し、段階的に引き上げていくという経過措置を講ずることといたしております。  第五に、高額所得を有する退職年金受給者につきまして、年金の一部の支給を停止することといたしております。  第六に、減額退職年金の受給を選択できる場合を原則として五十五歳からに限定するとともに、減額率についても保険数理に適合するものに改めることといたしております。  なお、これらの改正についても所要経過措置を講ずることといたしております。  第七に、現行の退職一時金制度につきまして、すでに通算年金制度が樹立されております関係上、この際これを廃止することとし、別途、厚生年金の脱退手当金と同様の制度を設けることといたしております。  第八に、公庫等に出向する職員につきまして、現在の厚生年金と共済年金の二重加入の状態を解消するため、五年を限り、公庫等に出向している期間につきましては共済組合の組合員とすることといたしております。  第九に、長期給付における国庫負担につきまして、当分の間の措置として、総財源の一%相当を特別に負担することといたしております。  以上のほか、特別の事情により公務上死亡した者の遺族の範囲の緩和、自衛官等に対する特例年金制度の廃止、掛金及び給付額の算定の基礎となる俸給の最高限度額の引き上げ等所要改正を行うことといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願い申し上げます。
  286. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 地崎運輸大臣。
  287. 地崎宇三郎

    国務大臣地崎宇三郎君) ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  この法律案は、公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給しております退職年金等につきまして、別途、第八十八回国会で成立いたしました恩給法等の一部を改正する法律による恩給の額の改定措置に準じ、年金額を引き上げることとするほか、公共企業体の共済組合年金制度の現状にかんがみ、退職年金等の支給開始年齢の引き上げ、高額所得者に対する退職年金の支給制限、退職一時金制度の廃止、国等に出向する職員に関する継続長期組合員制度の創設等の措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、公共企業体の共済組合が支給しております退職年金等のうち、昭和五十三年三月三十一日以前に給付事由が生じたものにつきまして、恩給等の改善措置にならい、その年金額の算定の基礎となっている俸給を和五十三年度の国家公務員の給与の改善内容に準じて引き上げることといたしております。  この結果、本年四月分以後、平均で約三・六%程度年金額が増額されることとなります。  第二に、長期在職した者に係る退職年金等及び旧国家公務員共済組合法に基づく殉職年金等の最低保障額を引き上げるとともに、恩給公務員期間等を有する八十歳以上の者に対する年金額の割り増し措置の改善を図ることといたしておりますが、これも恩給等における措置にならうものであります。  第三に、遺族年金等に加算される寡婦加算及び遺族加算につきまして、遺族の置かれている特別な事情にかんがみ、それぞれ年額一万二千円引き上げることといたしております。  第四に、退職年金等の支給開始年齢につきまして、年金受給者の高齢化等に対応して、共済組合の将来にわたる年金財政の健全性の確保を図ること等の見地から、現行の五十五歳から六十歳に引き上げることといたしております。  なお、この支給開始年齢の引き上げにつきましては、組合員の老後の生活設計等も考慮し、段階的に引き上げていくという経過措置を講ずることといたしております。  第五に、高額所得を有する退職年金受給者につきまして、年金の一部の支給を停止することといたしております。  第六に、減額退職年金の受給を選択できる場合につきましては、原則として五十五歳からに限定するとともに、減額率につきましても保険数理に適合するものに改めることといたしております。  なお、これらの改正につきましても、所要経過措置を講ずることといたしております。  第七に、現行の退職一時金制度につきまして、すでに通算年金制度が樹立されております関係上、この際、退職一時金、返還一時金及び死亡一時金を廃止することとし、別途厚生年金の脱退手当金と同様の制度を設けることといたしております。  第八に、公団等に出向する職員につきまして、現在の厚生年金と共済年金の二重加入の状態を解消するため、五年を限り、公団等に出向している期間につきましては継続長期組合員として共済組合の組合員とすることといたしております。  また、国または地方公共団体に出向する職員につきましても、公団等に出向する場合と同様に取り扱うことといたしております。  第九に、長期給付における公共企業体の負担につきまして、当分の間の措置といたしまして、総財源の一%相当を公経済の主体としての公共企業体が特別に負担することといたしております。  このほか、組合員期間二十年未満の廃疾年金受給者が死亡した場合につきましても遺族年金を支給することとする等、所要改正を行うことといたしております。  以上がこの法律案を提出する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  288. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。  両案につきましては、衆議院において修正が加えられておりますので、この際、衆議院における修正部分について衆議院大蔵委員長代理理事高鳥修君から説明を聴取いたします。衆議院大蔵委員長代理理事高鳥修君。
  289. 高鳥修

    衆議院議員(高鳥修君) ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正部分について、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  両政府原案におきまして、国家公務員及び公共企業体職員等共済組合年金制度の現状に顧み、退職年金等の支給開始年齢の引き上げ及び減額退職年金制度改正の措置を講ずることといたしております。この措置につきましては、高齢化社会の到来を迎え、また、年金財政の将来を展望いたしますと、制度改正もやむを得ないと思われるのであります。しかしながら、諸般の情勢により法律成立がおくれております関係から、諸準備に要する時間的余裕を保ち、かつ、制度の急変を避けて共済組合制度の円滑な運営を図るため、その施行を若干おくらせる必要があると認め、両修正を行った次第であります。  次に、両修正の内容を申し上げますと、退職年金等の支給開始年齢の引き上げ及び減額退職年金制度改正の実施期日を、両政府原案において昭和五十五年一月一日と定められておりますが、両修正は、それぞれ昭和五十五年七月一日に改めるとともに、これに伴いまして所要規定整理を行ったものであります。  以上が両法律案に対する衆議院における修正部分趣旨及び内容であります。  以上であります。
  290. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) ありがとうございました。  両案につきましては、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  291. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) これより請願の審査を行います。  第一号元陸海軍従軍看護婦の処遇に関する請願外三十件を議題といたします。  請願の願意につきましては、お手元の資料で御承知願いたいと存じます。  これらの請願につきましては、先ほど理事会において協議いたしました結果、第一号元陸海軍従軍看護婦の処遇に関する請願外十件は議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものとし、第三六号国家公務員高齢者の「昇給停止」反対に関する請願外十九件は保留とすることにいたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  292. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  293. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  294. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 継続審査要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合員法の一部を改正する法律案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、両案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  295. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  296. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  297. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 継続調査要求に関する件についてお諮りします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、両件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  298. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  299. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十七分散会      —————・—————