○
政府委員(
山崎敏夫君)
最初にお触れになりましたのは、例の
国際交流サービス協会というところから派遣しております
派遣員の問題かと存じます。
これは
国際交流サービス協会という団体がございまして、ここと
外務省との間で
委託契約を結びましてそこから
派遣員というものを出しているわけでございます。人数はたしか五十名
余りだと存じますが。これは
在外におきまして、まあいろいろと
空港出迎えをしたり、あるいは
便宜供与をしたり、そういうことの
仕事がかなりありまして、そういうことについてやっていただくためにそういう
協会から人を出していただいておるわけですが、これ非常に若い
方々ですが、なかなか意欲のある
方々が来ていただいておりまして、
大使館としても非常に助かっておるわけでございます。ただ、この
方々が三年なり四年なりおられて、
日本に帰られたときに再
就職の保証がないという場合もかなりあるようでございまして、実はこれはわれわれとしても非常に頭を痛めておる問題でございまして、この点については本人が派遣される
企業とも話をして、それだけの経験を積んできたわけですから、帰ったらまた
採用してもらいたいということをわれわれとしてもそういう親元の方にも話したりしておるわけでございます。ただ、まだ学生の身分で行っておられる方もございまして、こういう
方々は
現地の言葉を勉強し経験になるから、それからゆっくり
就職は探すんだという人もございます。ただ、この
方々についての身分が不安定であるということは否めない事実でございますので、われわれとしてもさらにその点についてはいろいろ工夫をして努力してまいりたいと思っております。
それから第二の点でございますが、
大使とは何ぞやというお話でございまして、これは確かに最近は世の中が非常に複雑になり、また専門化してまいりまして、非常に細かいことまで本省が指示してくる。これは本省といいましても
外務省本省だけの問題じゃなくて、まあ他省、通産省やその他の
方々からのいろんな
調査依頼もあり、またそういうものにこたえていかなきゃならぬということで、
在外に対して非常に細かい
調査依頼が来たりあるいは指示が来るということがございます。この点につきましては、実は本省としても頭を痛めておりまして、やはり
大使の
自主性を尊重してもっと自由濶達に働いてもらいたいと思っておるわけでございますが、
関係方面の要望も強いものですから、ついそういうことになりがちであるということは否定できません。この点につきましては、本省としてはさらによく注意いたしまして、
余り細かい指示は与えないで
大使の判断でやっていただくというふうにしたいと思っております。
なお、
外務省の制度といたしましては、
大使というものは常に総合的に
現地において物を見、判断をして、必要な場合にはどんどん
意見具申をするという考え方になっておりまして、現実に電報その他でいろんな
意見具申が来ております。こういう
意見具申というものを大いに尊重して、
外交の事務を活力のあるものにしていきたいと考えております。
最後に、高柳氏の論文についてでございます。まあ高柳氏の論文につきましては、
外務省に二十年在職された方の
批判でございますから、われわれとしても多くの傾聴すべきものがあることを感じております。やはり率直に申し上げて、
大使も百人近くもおりますので、その中にはかなりいろんな方もおるということも事実でございますし、
在外の生活は少人数の人間がいわば二十四時間共同生活をするような感もございまして、まあそこにいろんな問題なり摩擦が生じてくるということも否定できませんが、私
たちとしましては、全体としてはやはりそれぞれの
大使はよくやっておると信じております。ただ、高柳氏の御
指摘の点で中級
試験、最近は
専門職試験と称しておりますが、この出身者の人が十分活用されていない、あるいはそのために不満として多くやめていくという話がございます。高柳さんの同期の方は半分近くがやめたという話がございます。この点につきましてわれわれとしても調べてみましたが、この点は、それに関する限りは残念ながら事実でございますが、これは実はそういう高度成長時代でもあり、特殊な語学を研修した人は
民間企業から見ればいわば金の卵でありまして、たとえばアラビア語を専攻した人を
外務省の
館員に選考したのを
民間企業が引っこ抜くという形で引っこ抜かれてしまったのが何人かあるわけであります。しかし、その後わが方としましても、そういうことでは非常に困るので、せっかく国費をもって
養成した人が
民間企業に引き抜かれるということは、われわれの方の待遇その他において問題があるのだという認識のもとにいろいろと改善策を講じまして、最近はそういう中途でやめる人は非常に減っております。
数字的に申しますと、
昭和三十八年以来約十年
余りの間で
外務省に入りました中級語研
職員のうちの中途退職者は一五%程度でございます。そのうちには、また中級語研にはかなり女性が合格いたしておりまして、この女性の方はやはり結婚という問題がありまして、結婚されるとどうしてもやめられるという例もあるわけでございまして、まあこの一五%という数字もわれわれとしては決して低いとは思っておりませんで、もっと減らして、皆こういう
方々が一生の
仕事として
外務省の
仕事をやっていただくようにしたいと思っております。
それからさらに、まあそういうわけで一生の
仕事としてやっていただくわけでございますから、われわれとしてはそういう中級語研出身者、あるいは最近では
専門職試験の出身者につきましても登用制度というのを実施しております。これは
外務省しか実はやっていないわけでございますが、
昭和五十年度以降実施しておりまして、これらの
試験の出身者の方で優秀な
方々を登用して、上級
試験出身者といいますか、合格者と同等の待遇をするということをやっております。この制度によりまして、大体毎年平均二人ぐらい登用されておりまして、現在上級職に登用された者は十二名おるわけでございます。さらにちょっと申しますと、そういう登用によらない以外でも、中級
試験等の合格君の中で優秀な
職員は本省の課長あるいは
在外公館長に抜てきしております。これはもう前からやっておりますが、現在そういう
方々で本省の課長になっている者は四名、
在外公館長になっている者は三十六名を数えております。