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国務大臣(
竹下登君) 広範にわたるお尋ねでございますが、まあ行革、なかんずく私の立場で申しますならば、
財政再建に取り組む姿勢に厳しさが映らない。一つは、やっぱり顔の問題もあると思うのであります。大平さんも私も余り顔が厳しくないという気がしておりますが、一生懸命いま厳しくしておるところであります。
が、しかし、いま
財政再建の問題で考えておりますのは、先ほど来御議論いただきました「
財政事情の試算」というもので、ことほどさように厳しい状態であります。しかし、私けさ調べてみますと、いわゆる
公債依存度の一番高かったのは
昭和二十年でございます。まさに終戦の年でございますが、あのときで四二%なんでございますね。当時は、言ってみれば、国も借金をし
国民もまた非常に貧しかったかもしらぬ。しかし、いまはまさに四〇%近くなって、当時の
国民生活から見ればかなり違います。
が、しかし、それだけになおのこと、ここにこの「
財政事情の試算」というものをお示しして、どうしても借金は減すんですと、一兆円は減さしてください、そして、新しい
負担を求めないでやろうと思えばこれだけの努力が必要であります。どうしても新しい
負担を求めなければならないとすれば、本当に
国民の皆様方の
協力をいただかなければなりません。こういう姿勢を打ち出して、この
財政再建問題には取り組んでいこうということであります。
したがって、五十五年度
予算というもののでき上がりとでも申しましょうか、その答案の中で、ひとつ厳しさがどれだけ出たかと——顔の問題は別といたしまして、御判断を賜れば幸いであるというふうに思います。
それから、特に行革等につきましては、確かに私ども先般もお会いしましたが、民間労組の提言などはまさしく——いわゆる民間の自力によって拡大された
経済ですよね、ことしなどは特に。それだけに、自分らがかつて骨を削った時代の体験に基づくものだから、まさに厳しい御提言を、これは総評、同盟を問わず、できております民間労組の御提言も承りました。だから、私どももそのような姿勢の中で対応していかなきゃならぬと思います。
それから、多岐にわたりました貿易収支、これは確かに
経常収支の問題ということになりますと、やはりこれが円安の
動向の一番大きな原因であると思います。まあ幾らかは、イラン等の石油問題について少しナーバスになり過ぎた点もあろうかと思われますけれども。
したがって、私自身思い出してみましても、
昭和四十六年にちょうど内閣官房長官をしておりました当時、初めてスミソニアンレートになり、そして初めてフロートしました。だが、あのフロートしたときには、少しでも介入しようというと、それをダーティーフロートだと、こういうふうに当時は言われたわけですよね。しかし、その後
大蔵省へ来て国際金融を見てみますと、各国ともいま自国の通貨の安定ということになりますと、積極的介入をしております。だから、ダーティーとかなんとかいう言葉はもうないようになったと思って私、差し支えないのじゃないか。
まあ少しでもそれが影響があるではなかろうかということで、先般いわゆる五項目の措置というものをやったのです。それがどれだけの影響があるかということを数字で言うわけには、これは国際的影響がございますから、もちろん言えないにいたしましても、確かに一つの措置を行いました。
だから、いま
委員が御認識のように、円安にしても、それは貿易収支の問題、そしてそのまた多くは
原油の値上がりに原因しておるけれども、その
原油の値上がりの措置を、スポット買い等でむしろそういう環境を日本が醸成しているのじゃないかと。佐々木通産大臣の言葉をかりますならば、スポット買いと言うのでございますが、確かに私も、その後の通産省の手で打たれておる姿勢というものはそれなりに評価しておりますが、日本
経済全体の中で、まさに日本の国際市場における行為が、みずからの自縄自縛をもたらすような結果になることは極力戒めていかなければならぬ。そういう点では、
委員と私は認識を一つにしております。
石油に弱い体質の日本
経済です。しかし、幸いに民需によって
拡大傾向に今日来て、
雇用情勢もわずかながら伸びてきた。しかし、これだけの
卸売物価の値上げの中で、来年これがどういうふうに影響してくるかというようなことを考えますと、本当に厳しい
情勢であると思いますので、その認識の上に立って、
経済、
財政、金融、全般に対応していく。
非力にむちうってがんばりますので、御声援をお願いいたします。