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1979-12-06 第90回国会 参議院 建設委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年十二月六日(木曜日)    午前十時一分開会     —————————————   委員氏名     委員長         浜本 万三君     理 事         増岡 康治君     理 事        茜ケ久保重光君                 植木 光教君                 遠藤  要君                 上條 勝久君                 亀井 久興君                 寺下 岩蔵君                 中村 禎二君                 降矢 敬義君                 増田  盛君                 最上  進君                 藤田  進君                 松本 英一君                 内田 善利君                 桑名 義治君                 二宮 文造君                 上田耕一郎君                 栗林 卓司君                 秋山 長造君     —————————————   委員異動  十二月六日     辞任         補欠選任      中村 禎二君     菅野 儀作君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         浜本 万三君     理 事                 降矢 敬義君                 増岡 康治君                 増田  盛君                茜ケ久保重光君     委 員                 植木 光教君                 上條 勝久君                 亀井 久興君                 寺下 岩蔵君                 中村 禎二君                 最上  進君                 藤田  進君                 内田 善利君                 桑名 義治君                 二宮 文造君                 上田耕一郎君                 栗林 卓司君    国務大臣        建 設 大 臣  渡辺 栄一君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)      後藤田正晴君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  園田 清充君    政府委員        北海道開発政務        次官       阿部 文男君        北海道開発庁総        務監理官     大西 昭一君        国土庁長官官房        長        谷村 昭一君        国土庁計画・調        整局長      福島 量一君        国土庁土地局長  山岡 一男君        国土庁大都市圏        整備局長     伊藤 晴朗君        国土庁地方振興        局長       四柳  修君        建設大臣官房長  丸山 良仁君        建設省計画局長  宮繁  譲君        建設省都市局長  小林 幸雄君        建設省河川局長  稲田  裕君        建設省道路局長  山根  孟君        建設省住宅局長  関口  洋君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        防衛施設庁施設        部施設取得第一        課長       作原信一郎君        大蔵省主計局主        計官       保田  博君        会計検査院事務        総局第三局建設        検査第一課長   西川 和行君    参考人        日本住宅公団総        裁        澤田  悌君        日本住宅公団理        事        大塩洋一郎君        日本住宅公団理        事        星野 孝俊君        日本住宅公団理        事        今野  博君        地域振興整備公        団理事      黒田 四郎君        宅地開発公団総        裁        志村 清一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○調査承認要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (大都市圏における地震防災対策に関する件)  (公共事業の執行及び住宅政策に関する件)  (日本住宅公団宅地開発公団等建設省関係機関  の統廃合に関する件)  (日本住宅公団会議費現場従務旅費募集宣  伝費等に関する件)  (日本住宅公団の賃貸住宅払下げ問題に関する  件)  (九州地方における道路整備及び工業団地建設  に関する件)  (モデル定住圏構想等地域整備に関する件)  (多摩ニュータウン地区における幹線道路の整  備に関する件)  (駐留米軍宿舎南麻布地区への移転に関する  件)     —————————————
  2. 浜本万三

    委員長浜本万三君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月十五日、堀内俊夫君及び土屋義彦君が委員辞任され、その補欠として長田裕二君及び増田盛君が選任されました。  また、十一月十九日、長田裕二君が委員辞任され、その補欠として亀井興君が選任されました。     —————————————
  3. 浜本万三

    委員長浜本万三君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  土屋義彦君及び堀内俊夫君の理事辞任に伴い、現在、理事が二名欠員となっておりますので、この際、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 浜本万三

    委員長浜本万三君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事降矢敬義君及び増田盛君を指名いたします。     —————————————
  5. 浜本万三

    委員長浜本万三君) 次に、調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、建設事業並びに建設計画に関する調査を行うこととし、この旨の要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 浜本万三

    委員長浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 浜本万三

    委員長浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  8. 浜本万三

    委員長浜本万三君) この際、後藤田北海道開発庁長官及び阿部北海道開発政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。後藤田北海道開発庁長官
  9. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今回、北海道開発庁長官を拝命いたしました後藤田正晴でございます。  委員長初め委員皆様方におかれましては、日ごろから北海道開発のために大変御配慮をいただいておりまして、心から御礼を申し上げます。  御承知のとおり、わが国が二十一世紀に向けて安定的な発展を遂げていくためには、均衡のとれた国土開発利用が重要な課題となっております。このような課題解決のため、わが国の中でも最も開発可能性に富んだ地域である北海道には大きな国家的期待が寄せられているところであります。このような認識のもとに、第二年目を迎えました新北海道総合開発計画に基づいて、今後、北海道開発推進微力を尽くしてまいる考えでございまするので、委員長初め委員皆様方には何とぞ御指導、御鞭撻のほどよろしくお願いを申し上げまして、ごあいさつといたします。
  10. 浜本万三

    委員長浜本万三君) 続きまして阿部北海道開発政務次官からごあいさつをいただきます。
  11. 阿部文男

    政府委員阿部文男君) このたび北海道開発政務次官を拝命いたしました阿部でございます。  微力者でございますが、後藤田長官のもとで、委員長初め委員の皆さんの御指導を得ながら、北海道開発推進のために全力を尽くす所存でございますので、よろしく御指導のほどをお願い申し上げる次第でございます。よろしくお願いします。     —————————————
  12. 浜本万三

    委員長浜本万三君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本住宅公団宅地開発公団及び地域振興整備公団役職員出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 浜本万三

    委員長浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  14. 浜本万三

    委員長浜本万三君) 建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  15. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 国土庁長官は衆議院においでになるそうで、先に一、二点質問いたします。  地震防災行政についてでありますが、国土庁主要施策一つ地震防災行政がございます。大規模地震対策特別措置法が施行されまして、強化地域基本計画の設定がございます。地域指定のあった東海地域は新たな防災対策に向け踏み出したのであります。しかし、わが国人口の二五%が密集する東京横浜等首都圏地域地域指定対象外であります。最大過密危険地帯を除外した防災体制とは一体何か、国の施策として不備、欠陥があると言わざるを得ないのであります。地震予知連でも首都圏域南関東地域東海地区とともに地震の危険があると指摘しています。超過密東京首都圏内における防災行政に臨む国土庁長官基本的な姿勢を第一にお伺いしたいと思います。
  16. 園田清充

    国務大臣園田清充君) ただいまの御質疑は、東京、いわゆる首都圏中心とする過密都市をなぜ今回の強化地域内に入れてないのかということを含んでの御質疑かと思います。  今回の指定地域は、御承知のとおり、駿河湾でマグニチュード八、震度六という地震が発生した場合にということを前提として地域指定をいたしたわけでございます。その関係上、東京横浜地域外になっておりますが、昭和四十六年、御承知のとおり、中央防災会議策定いたしました大都市震災対策推進要綱というものに基づきまして、応急的対策並びに恒久対策が現在進められておるところでございます。  まず、災害に強い都市づくりを行うことが重要な課題でございまして、このためには人口産業の適正な配置を図るよう過密の解消、第二番目には、既成市街地における体系的な空地を確保する、建築物耐震不燃化の促進、それから交通通信あるいは水、エネルギー等大都市機能を支える骨格的な施設防災性強化災害対策活動拠点となる防災基地整備等が必要でございまして、これらの施策を積極的に推進してまいりたいと思います。と同時に、この観点から、御質問の東京等首都圏については本年度から首都改造計画策定に着手いたしておりまして、この調査を通じて、長期的観点に立って、また災害に強い東京大都市地域整備を図っていきたいということで本年度出発をしたばかりでございまして、御了承賜りたいと思います。
  17. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 次に、防災事業財政措置についてお伺いします。  防災行政は、一面、国土整備都市改造の問題であります。強化地域に指定されながら自治体においても地震対策は独自に進めております。しかし、この場合、事業資金確保緊急課題でありながら、適切な財政援助なしに事業推進はないと思うんであります。まず、地震防災施設緊急整備が求められる大地震法のもとの強化地域に対する財政措置についてどう対処していくのか、また、その他の地域防災施策に関する財政措置についてどう施策をされるのか、その点に対するひとつ御所見をお伺いしたい。
  18. 園田清充

    国務大臣園田清充君) 地震防災対策強化地域に指定された地域におきましては、国の行政機関地方公共団体等地震防災上緊急に整備すべき避難地避難路消防用施設等整備強化をおおむね五カ年間で強化を実施することになっておりますし、また、計画の中に定められておることでもございます。これらの事業に対しましては、財政状況の厳しい中ではございますけれども補助等措置を講ぜられるよう、各省庁に対しまして私の方から強力に要請をしてまいってきているところでございます。  なお、強化地域外についてもということでございましたけれども大都市震災対策推進要綱の線に沿いまして、従来から都市防災性の向上を図るため長期的な観点から防災関係事業を実施してまいっておるところでございますが、今後とも、これらの事業推進するための財政確保には十分意を用いてまいりたい、かように考えております。御協力をお願い申し上げます。
  19. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 もう一点、これは大臣でなくてもいいんですが、私ども年輩の者は、あれは大正十二年ですか、関東大震災のことが非常に記憶に強いんですね。この場合に関東が入っていないんですが、あの関東大震災のことが忘れられないほど強いんですが、ああいう関東中心災害は再び来ないという何か科学的な基礎によって除いたのか。東海地震——東海もありましたね。ありましたが、東海に非常に集中している。これで何かわれわれ素人にわかる東京を除外したということの科学的な基礎がどういうふうに出ているのか。これは専門家がいたら、この点一点お伺いしたいと思います。
  20. 園田清充

    国務大臣園田清充君) 補足的に気象庁等から答弁をさせていただきますけれども、実は、非常に財政の厳しい中ではございます。いま気象庁でも天気予報というものをいたしておりますが、私どもは、地震の場合に何はともあれ予知体制、御指摘のとおり予知情報というものが取れるならばこれにこしたことはないという考え方から、特に大蔵省に対しましても、先生指摘のとおり、予知情報が取れるような諸般の整備強化について遺憾のないような財政措置をしてもらいたいということを強く要請いたしておりますし、これについては気象庁の方で機材整備その他の点について、当然、大蔵当局に予算の要求がなされておると思います。  ただ、日本の場合に、考えてみますと、機材その他の整備の問題もございますが、非常に専門家が少ないということが問題のようでございますので、こうした専門家の育成ということにもわれわれは意を用いていかなければならないというふうに考えて、御趣旨に沿うように国土庁としても努力をいたしておりますが、最後の点につきましては、気象庁の方からお答えをさせたいと思います。
  21. 谷村昭一

    政府委員谷村昭一君) いま気象庁が参っておりませんので、素人が答えて誤解を与えては非常に申しわけございませんが、われわれが聞いておるところによりますと、地震原因としまして、内陸型の直下型のやつと海洋型のいわゆる大規模地震とこの二通りがあるわけでございますが、後者の海洋型の大規模地震につきましては、関東地区について関東地震のような大きな地震が起こるということについては、現段階では、余り考えられないというのが専門家の方々の御意見でございます。ただし、前者の直下型につきましては、これは非常に予測が困難でございますので、現段階でないということを申し上げる状況にはございませんが、大規模地震というものが起こるということについては、いま申し上げたようなことが専門家意見であると聞いております。
  22. 増田盛

    増田盛君 まず、国土庁長官に御質問いたしますけれども、二点ございまして、一つ定住構想に関連した問題、もう一つ住宅問題に関連してその中の土地問題、この二つに分けて質問いたしたいと思います。  まず、定住構想推進の問題でありますけれどもわが国地域開発基本的方向も、安定成長にふさわしく、大型プロジェクト中心から身近な環境整備中心としたものに変わっていく必要があると思うのであります。政府におかれましても、一九八〇年代の国土総合開発基本計画といたしまして第三次全国総合開発計画、三全総を決定いたしまして、その基本的目標といたしまして定住構想推進が置かれておるわけであります。私は、この定住構想全国にわたって推進していくことが大平総理の提唱されておる田園都市構想あるいは田園都市国家構想具体化につながるものであると考えておるものでありますが、この点に関しまして園田国土庁長官の御所見をお伺いいたしたいのであります。  それに関連いたしまして、さらに具体的にもう少し話を進めてまいりますけれども、私の理解するところでは、従来のような何といいますか、中央からの押しつけ政府中心になりましていろいろな計画を進めていく場合におきまして、中央からいろいろな形で押しつけがあったということは隠しようもない事実でございます。また、それをたてまえにしておるような計画が多いのでありますけれども、今回の場合におきましては、中央じゃなしに、地方が主体となりまして地域社会の将来構想をつくってまいりまして、その実施を進めていくというところに定住構想の特徴があるように見受けるわけであります。しかし、これにもまた問題がございまして、端的に申し上げまして、その裏づけ一体あるのかどうか、従来の中央地方との関係、制度的な面、財政的な面、そういうものをそのままにいたしておきまして、構想だけは中央じゃなしに地方でやれということにいたしましても、そこにすこぶる顕著な困難といいますか、そういうものが出てくるのじゃないかというふうに考えるわけであります。つまり、どういたしましても、国土庁中心になりまして国家的に国土の均衡ある発展を図っていくという場合におきましては、その裏づけなり、裏づけのための強力な施策というものが絶対に必要なように考えられるのであります。  先般、人口地方定住を促進する上で先導的役割りを期待いたしまして、全国におきまして四十ほどのモデル定住圏を設定いたしたわけでありまして、現在、地方公共団体中心となられましてこのモデル定住圏整備を進めているところであると聞いております。それはそれとして大変結構であると思うのでありますけれども、国といたしまして、今後、三全総の定住圏整備をどのように進めていくお考えなのか。  また、一番問題になりますのは、何といいましても関係省庁との連絡であります。縦割り行政の厳然としておる日本におきましては、特に相互の連絡調整というものが大変むずかしくなってくるわけで、強い者勝ちということになって、総合的な計画推進というものに支障を来すおそれなしとしない、かように思うのでありまして、こういう点に関しまして、長官、どのように考え、どのような処置をとられるのか、お考えを伺いたいと思います。
  23. 園田清充

    国務大臣園田清充君) お答えをいたします。  増田先生承知のとおり、私どもは、第一次国土総合開発計画の中で拠点都市づくりと申しますか、いわゆる大都市から地方への産業移転ということを考えまして、第二次で、いまおっしゃったように、交通通信道路等大型プロジェクトの想定の中で均衡ある国土づくりを目指すということをやってまいりました。しかし、その一次、二次を通じて言われてまいりましたことは、ともするとやはりこれは公害の地方への分散ではないかという指摘を受けた、その反省を実は考えながら、三全総というものに今日取り組んでおるわけでございますが、御指摘がございました点はいずれもごもっともでございまして、そこで、定住構想推進は、地方住民の方一人一人の自発的な地域づくりのための創意と努力基本として、国としても、地方公共団体住民活動を支援しつつ、国土の均衡ある発展のための基盤づくりと総合的な施策を実施する必要があるということで三全総が決められたわけです。  そのために、政府は、一体となって定住構想推進、とりわけ定住圏整備を進めることといたしておりますし、当面、特に人口地方定住先導的役割りを担う地域モデル定住圏として選定いたしまして、その整備を促進することにいたしておるのでございます。五十四年九月に四十の府県において御指摘のとおりモデル定住圏を選定いたしまして、現在、各市町村と県とが協議をして計画策定を進められておりますし、私ども、国としても、関係省庁協力しながら積極的な指導、助言を行っておるところでございます。今後とも、定住圏構想推進調整費の活用を図りながら、定住圏構想推進連絡会議、これは御指摘がございましたとおり、十七省庁との調整を進めて地方の選択する方向を実現してやりたいということで、また、それに協力をしていきたいというようなことで施策を講じてまいっているところでございます。  なお、このような三全総の定住圏構想が、いま御指摘がございましたとおり、総理が提唱せられておる田園都市構想基盤づくりだというふうに考えて、各省庁の緊密な連絡をとりながら御指摘の三全総の推進ということに全力投球をしておるというのが国土庁の立場でございますので、御理解、御協力を賜りたいと思います。
  24. 増田盛

    増田盛君 それじゃ第二番目に、土地問題に関しまして御質問いたします。  もちろん住宅問題に関連してでございますけれども、私は、私見でございますけれども日本における国内問題の中でいろいろ問題がございますけれども、その中でも最大の問題の一つ都市、農村を通ずる土地の問題だろうと思うわけであります。  日本地価は、いろいろな資料に基づきますと、諸外国と比べましてずいぶんばか高いわけであります。イギリスの十七倍であるとか、西ドイツの六倍であるとか、アメリカに関しましては九倍という資料もございますけれども、私どもの実感からいきますと、はるかに高い倍率をもって開きがあるような気がするわけでありますけれども、高い上に、最近におきましては波を打ってさらに地価が騰貴しようとする、そういう傾向を如実にあらわしまして、住宅をつくる場合におきましては、最近はミニ開発というような、環境の点から言いまして大変困る問題でありまして、全く奇妙な住宅が簇生しておる、こういうようなことにもなっているようであります。  そこで、念のために、釈迦に説法でございますけれども、最近の地価の動向を考えますと、あなたの国土庁でおやりになった地価公示によりますと、昭和四十八年、四十九年、石油ショックの前後でございますけれども、三〇%を超える地価高騰が見られましたけれども、五十年には九・二%の下落を示した後に、五十一年には〇・五%アップ、五十二年に一・五%アップ、五十三年に二・五%アップと非常にわずかであります、ほとんど横ばいでございます。五十三年には二・五%、微騰でございますが、横ばいと見てもいいのだろうと思うのでありますが、ところが、ことしの去る九月に公表されました都道府県の地価調査があるわけでありますが、それによりますと昨年七月から本年七月の間にかけましては、全国で六・二%の上昇になっておるようであります。びくっとされているような上昇でありますが、特に住宅地は八・五%。中でも東京圏住宅地は一年の間に一四・四%上昇いたしておるわけであります。明らかに地価高騰であります。  このように国土利用計画法の施行や、投機的土地取引抑制のための土地税制等によりまして、おおむね安定的でありました地価が最近急上昇している。一体、その原因は何かということになりますと、これはどなたもおわかりのとおり、住宅地の需要と供給の不均衡、こういうことにあると考えるわけであります。そこで、宅地に対する国民の需要は大都市地域中心に依然として根強いのにもかかわらず、新規の宅地供給の減少傾向が続いておる。後で数字を申し上げてもいいのでありますけれども、これはもうおわかりのとおりであります。片一方で需要が増しておるのに供給の方が激減と言ってもいいですな、非常な勢いで減少しておるのでありますから、そういうところから価格の騰貴が起こってくるということは見やすい道理でございます。  特に、どうも私の見るところによりますと、民間の宅地供給の減少がきわめて著しいわけであります。たとえば不動産協会の調査によりますと、首都圏の民間の宅地供給量は四十六年の二千二百ヘクタール、これがピークであります。それから減少してまいりまして、五十三年にはわずかに六百ヘクタール、約四分の一に減少しておるわけであります。これもおわかりのとおりであります。  今後の土地対策の重点は、引き続き投機的な土地取引を抑制しつつ、宅地需給の不均衡を解消するということでございますけれども、これは言うにやすく行うはかたい問題でございまして、一面におきましては、これを通じまして地価の安定化に貢献していかなければならぬわけでありまして、非常にむずかしいのであります。むずかしいけれども、やらなけりゃならぬというのも政府の使命でございますが、一体政府は宅地供給の促進のためのいろいろな施策を強力に進めていかなければならぬのでございますけれども、この点に関しまして国土庁長官のお考えを聞きたいと思うわけであります。  それに関連しまして、全国とは申し上げません、特に三大都市圏であります。一番困難な問題を抱えておりますところの三大都市圏、ここに実は九万九千ヘクタールという農地があるわけであります。私なども農民の味方を標榜している何とか議員の一人でございますけれども、どうも簡単にこの農地の存在を見過ごすというわけにはいかぬわけであります。九万九千ヘクタール、そういう問題にも関連しまして、いわゆる市街化区域内の農地の問題をどうするかという問題、どうしてもそういうものに手をつけなければならぬように考えられるわけでありますけれども、うまくやりませんと反対をあおるだけでありますから、何かうまい方法があるのかどうか、そういう点に関しまして率直な御意見を伺いたいと思うのであります。
  25. 園田清充

    国務大臣園田清充君) ただいま御指摘がございましたとおり、土地問題というものは非常にむずかしい問題でございます。私どもも、四十七年、八年と一億総不動産屋と言われた時代に、実は税制の面からまた国土利用法を活用いたしまして、この土地の高騰を抑えてまいりました。そのために安定的に土地価格が動いてきたこともまた事実でございます。同時に、いま御指摘がございましたとおり、いま特に地方都市においての全国的な平均を見てみますと、工業、商業地、住宅地を含めまして、大体、公示価格と変わらないような横ばい状態にある。ただし、三大都市圏においては、御指摘のとおり一二・六%、平均してみますと土地が上がっておるということです。  そこで、問題は、こうした投機的な土地取引というものを制約しながら善良な土地の需要に対してこれを満たしていくということでございますが、いま増田先生も御指摘がございましたとおり、実は、私自体もある意味においては農業を守ろうという側の一人かもしれません。しかし、御指摘がございましたとおり、市街化区域内においてA、B、Cという農地を分けてみますと、その九〇%近くがC農地としてあるわけでございます。そこで、いろいろ内部でも相談をいたしましたが、これは週刊朝日の中に、ルポライターが北海道の士幌線のたしか大規模経営で成功せられた農協、同時に今後の都市農協のあり方というものからしてどうあったらいいかという中で東京都下の町田市の南農協というものを例に取り上げております。また全国中央会でも、本年の八月、都市農協の今後のあり方というような中でこのC農地を活用するということの考え方で問題を二つに分けて実は考えておるわけでございます。  たとえばどうしても農業を続けたいという方には市街化区域内の農地の整備というふうなものに対しての助成というものを今日いたしておりません。しかし、もしどうしても農業を続けたいという方と、同時に、この際宅地の供給等に協力をしたいという申し出があれば、当然、こうした問題も並行して農業用の土地整備と同時に、住宅地としての土地整備という問題とで農住構想と申しますか、そういう姿の中で、御指摘の九万ヘクタールのC農地というものが住宅地として供給されるようなことになれば、相互の中のいわゆる農業者あるいは都市住民という感情的な対立もなくして問題の解決につながるのではないかということで国土庁としても関係団体といろいろ話を進めておりますが、むしろ全中側が、昨年の八月、全国に近傍都市農協として今後の農協のあり方についてということで農住構想というものを通達いたしておる関係もございます。そこで、私ども関係省庁とも話し合いながら、いま先生から御指摘がございましたとおり、需給のバランスを図る、そうして安い、いい住宅地を供給していくということに、国土庁としても、四囲の理解を得ながら積極的に取り組んでまいりたいということで、今日、関係省庁並びに生産者団体とも協議を進めて問題の解消に努力をさせていただいておるというのが現状でございます。  同時に、税制の問題からもお話がございましたとおりに、一定期間を切って、四十四年一月一日以降から起算をして十年という一つの期間を置いて、そして税制の問題からもいまの四分の三という税制を本来の姿に戻して土地の供給が増加するようにというふうな措置もあわせ考えてまいりたいということで、両面から検討をさしていただいておるという実情でございますので、この点につきましても特に農業団体、生産者団体とも深い関係にございますので、理解ある御協力をひとつお願いを申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
  26. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 建設大臣に以下二、三点お伺いいたします。  最初に、機構改革に関連して住宅公団と宅地開発公団の統合をいち早く発表され、その要綱等もわれわれも受け取っているんでありますが、大平内閣は行政改革を非常に大きな目玉商品として打ち出し、これに向かっていろいろな施策を講じつつあるわけでありますが、その先頭を切って建設省が住宅公団と宅地開発公団の統合を発表されたわけであります。  私どもは、宅地開発公団のできるときに、その法案に対して反対をしてまいったいきさつがあります。これはもうまさに屋上屋を重ねるものである、したがって、これはもう当然住宅公団がやるべき仕事であるし、さらにまた建設土地確保はもう両輪でありますからという、その他いろんな理由から反対してまいったいきさつがあるんでありますが、しかし、当時、政府は、自民党のほとんど単独強行みたいな形で、坪十万円の宅地をというキャッチフレーズだったのであります。それから三年半、宅地開発公団は宅地供給という一つの最も大きな仕事に対してほとんどその実績がなかったかに思えるんであります。こういったことはよく言われている昔からの朝令暮改という全くの無定見ぶりを如実にあらわしたものだと言っても過言ではないのであります。  この際、大平内閣の目玉商品である行政改革という一つのチャンスを得て、無用の長物の宅地開発公団をいわゆる便乗的に住宅公団と統合されるような感があるわけですね。そこで、建設大臣建設省は、この二公団の統合は行政改革の一環としての統合というのが表向きか、あるいはまたいま指摘しましたように宅地開発公団が三年半ほとんど実績らしいものを見せなかった、いわゆる屋上屋と申しましょうか、その存在価値が全然ない、この際住宅公団といま言った行政改革という好機を得て統合しようとするのが表向きか。これはこう聞けば、いわゆる行政改革の一環としての統合が表向きの理由とおっしゃるでありましょうけれども、私どもは、いま言った宅地開発公団のいままでの存在理由が実質的に証明できなかったということの方が大きいんではないかと思うんでありますが、大臣の御所見をお聞かせいただきたい。
  27. 渡辺栄一

    国務大臣(渡辺栄一君) ただいま宅開公団と住宅公団の統合につきまして御質問がございましたが、実は、私も宅開公団を進めてまいりました一人でございまして、詳しいことは総裁がおられますからお話があろうかと思いますが、私どもは、現在はまだその成果は上がっておりませんけれども、すでに六カ所近く仕事を進めておりまして、五十六年ごろには分譲が始まるのではないか。そういう意味で、私どもは、宅開公団の努力を今後期待をいたしておるわけでございまして、決して宅開公団がむだなものであったというような考え方は持っておりません。  今回、もちろん現内閣の重要課題でございます行政改革の要請にこたえるということもございまするけれども、やっぱり私どもは行政整理というのは国民の声であるというふうにも考えておりますし、また、御承知のように、国民の要望がきわめて強いものとなっておりまする住宅あるいは都市整備というようなものを積極的かつ効率的に推進することが必要であると思っておりますので、この際、住宅公団と宅開公団を統合いたしまして、五十六年度に始まりまする第四期住宅建設五カ年計画の発足に間に合いまするように新しい公団をつくりまして、そして住宅・宅地の供給と、また当面いたしまする再開発等の都市整備を行うための要請にこたえてまいりたい、こういうことを考えまして、今回は、いろいろな困難な情勢もございましたけれども建設大臣といたしましては、そのような方針に踏み切ったわけでございますので、御了承をいただきたいと思います。
  28. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 そういう答弁が返ってくるであろうとは思うんでありますが、しかし、国民はそう大臣のおっしゃったことをストレートには理解しないと思うんです。これはやっぱり言うことはみんな言えますから。  そこで、宅地開発公団の総裁見えていますな。あなた三年半やったんだろう、総裁を。三年半税金を使ったりしていろんなことをしてやったんだが、あなた国民の前にこれだけのことをした、やれると言う自信があるか。あなた三年半やった実績をあなたの口からはっきり答弁してください。
  29. 志村清一

    参考人(志村清一君) 宅地開発公団の志村でございます。  私ども、公団が発足したのは昭和五十年の九月でございますので四年ちょっとたったわけでございますが、この公団は、御存じのとおり、大規模な宅地供給と新しい町づくりという二つの使命がございますけれども、国会における御決議におきましても、三百ヘクタール以上の大規模なものを原則としてやるようにと、こういう御指示がございました。三百ヘクタールと申しますとゴルフ場が四つぐらい入る非常に広い区域でございますので、もっと小さい百ヘクタール程度のものでも宅地開発というのは時間のかかる介入期間の長いものでございまして、十年、十五年かかるわけでございます。さような意味におきまして相当大規模な事業に手をつけることになったわけでございますので、すぐさまに効果は上がりにくいわけでございますが、せっかく努力をいたしまして、先ほど大臣からお話がございましたように、六カ所四千百ヘクタール程度の宅地開発、ニュータウン建設事業に手をつけております。  一部につきましては、千葉県と共同でやっております北千葉ニュータウンでございますが、ここでは五十三年に若干なりと宅地の供給をいたしておりますし、来年も、若干、宅地の供給ができるかと考えております。昭和五十六年になりますと、私ども独自で手をつけております竜ケ崎におきましても若干の宅地供給ができる。以降、五十七年になりますと、厚木等におきましても同時に宅地供給が図れる、かように考えておる状況でございます。
  30. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 あなたの答弁を聞いていると自信のほどがうかがえますが、そんなりっぱな仕事をしているんなら、何もここで住宅公団と統合する必要はないと思うな。あなたが言うように、りっぱな仕事を始めてどんどんやっていこうとしている、そういうようなものをなぜじゃ住宅公団と統合させなければならぬか、あなたはどう理解しているんですか。
  31. 志村清一

    参考人(志村清一君) 私どもは、政府関係機関の一つでございますので、政府の御方針に即し、国会の御決定に従って行動すべき立場にあることは当然でございます。また、先ほど来大臣のお話を伺いましても、住宅・宅地の供給とあわせまして新たな都市整備という方向に飛躍的に進んでいけるような新しい組織を考える、かようなお話でございますので、私どもといたしましても、先ほど来申し上げているようにニュータウン等々の町づくりに努めておりますので、それの拡大強化という方向でお考えいただくのではないかと思っておりますが、具体化するまでにまだ時間がございますので、具体的な御検討は今後あろうかと存じますが、その際は、われわれの御意見も申し上げて、よりよき組織になり得るようにお願いをいたしたい、かように考えております。
  32. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 大臣ね、住宅公団もいろいろな問題を抱えてよたよたしていますな、容易じゃない。ここへ総裁が見えているけれども、いろいろな問題を抱えて住宅公団自体がよたよたしていると思う。  国民の期待に反することも出ているし、そういったものと統合して果たして——ここに要綱が出ています、簡単なものでわかりにくいが。こういった事業をさらにやっていけるのかどうか、私はかなり疑問があると思うんですよ。公団の整理、もちろん決して反対ではありません。けれども、整理をして統合して果たして所期の目的が達成でき機能が発揮できるのか。いま言ったように、現在の住宅公団があの状態である。これは総裁一人の責任じゃないでしょう。しかし、私は、さらにこれにこういういろいろな事業を持たせるものをさしたらこれはどうなる、不安が先に立ちますよ。  大臣、私は、これは前の渡海大臣にも、四年ぐらい大臣をしなさいと言ったんだが、一年でやめましたな。残念ながら、いまの政府の状態では大臣は一年ぐらいです。私はやっぱり四、五年やってみっちり仕事をしてもらいたいと思っている。しかし、実際はそうじゃない。これを渡辺大臣がおつくりになって、仕事をやるときにはもうほかの大臣にかわっているんですな、残念ながら。そこで、私は、三年後四年後のことをあなたに言うのは酷と思うけれども、しかし、それじゃ国民は困るわけですね、国民は。したがって、あなたが大臣時代にこの統合をして、必ず住宅と宅地と——しかも、これを見ると、いろいろ理想的なことが書いてある。こういったものが果たして数年後なり十年後にできるという確信があるかどうか。こう聞けば、確信があるとお答えになる以外に方法はないわな、確信がないとは言えない。しかし、それは国民の立場から考えると容易でないんですね。時間もありませんから、このことばかり言っておるわけにいきませんけれども、その点もひとつしっかり踏まえてこの問題はやってもらわぬと困ると思うんです。したがいまして新公団のいろいろなことについてもお聞きしたいんだけれども、時間がありませんから、また改めてお聞きします。  きょうは、ひとつ、いま申し上げた住宅公団、よたよたしている住宅公団にさらに大きな仕事をしょい込ましてどうにもならぬ状態ができては困るから、その点をひとつ配慮して、大臣の新たなお考えをお聞きいたします。
  33. 渡辺栄一

    国務大臣(渡辺栄一君) 新しいものに進むわけでございますから、いろいろな御心配をいただきますことはまことに恐縮でございますが、建設大臣といたしましては、すでに都市におきまする再開発、こういうものを積極的に進めまして、いわゆる市街地におきまする宅地の確保等も必要でございますし、また、そういう意味では法案の検討等もすでにいたしておるわけでございますが、そういうような意味におきまして、新しい今後の考え方に対応いたしまするためにも、それに必要でございまするいわゆる組織も必要だと私どもは思っておるわけでありまして、今回、二つの統合を機械的にするというのではなしに、むしろ全く新しいものをひとつスタートさせる、こういう考え方で私ども進めるつもりでございまして、具体的な問題につきましては、当然、今後慎重に進めてまいりますが、そういう意味におきまして、次官を中心といたしまする委員会を発足させまして、関係者が十分検討いたしまして、その新しい任務にふさわしい、新しいユニークな公団をつくってまいりたい、こういうつもりでありまして、私といたしましては、自信を持ってこれを進めたいと思っておりますので、どうぞひとつ今後とも御理解をいただきたいと思います。
  34. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 ぜひひとつ自信と確信とを持ってやってもらいたいと思う。  それから、なかなかそうはおっしゃっても、私といたしましては、そう簡単にそのことに対して了承しましたということはどうも言えそうにないのは残念でありますが、いま渡辺大臣の御決意をひとつ了としておきます。ぜひ大量に、本当に末端で住宅に困っている人々の期待に沿い得る住宅行政をひとつやってもらいたいし、それから、何というか、つくった家も余り期待に外れないようなことにぜひこの際心機一転してやってもらいたいという希望を申し上げておきます。  次に、行政改革の面で出先機関の統合という看板がありますね。建設省は地方局を持っておりますが、この地方局に対して統合整理するという御意思があるかどうか。いわゆるこれも大平内閣の行政改革の第二弾と申しましょうか、地方にある本省庁の出先機関の整理統合、こういう観点から地方建設局を整理統合される御予定があるかどうか、この点についてひとつ。
  35. 渡辺栄一

    国務大臣(渡辺栄一君) 地方建設局の整理統合につきましては、他省庁地方支分部局と並びまして最近幾つかの報道は見ておりまするけれども地方建設局の配置、機能等が適正を欠くものとは私ども考えておりません。したがって、現在のところ、これを整理統合するという考え方は持っておりません。
  36. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 そうすると、公団の二つを一つにすることでお茶を濁していると言っちゃ語弊がありますが、そういった一つの結果になるようですね、まあこれはいいか悪いかここでは指摘しませんが。  さらにもう一つ、道路公団がありますな、日本道路公団、首都高速道路公団、それと阪神高速道路公団、同じ道路公団が三つありますが、これはもちろんできたときのいろんな事情もありましょうが、今日ではこれはむしろ一つに統合した方がいろんな意味でいわゆる人員なり経費なり経常費等はかなり削減されるんじゃないか、こう考えられるんですが、これについてはどのような御意見がありますか。
  37. 渡辺栄一

    国務大臣(渡辺栄一君) 道路関係三公団の問題でございますが、日本道路公団は、御承知のように、全額政府出資でございます。また全国ネットワークを構成する高速自動車国道等を整備するものでございますことは御案内のとおりでありますが、他の二公団は首都及び阪神の二大都市圏におきまして地元の出資を得ております。また地元と密着した都市高速道路の整備を行うことになっております。そういうわけで、この三公団はそれぞれ業務の目的及び運営を異にいたしておりまするが、同時にまた、各公団とも今後実施をすべき大量の残計画を持っておるわけでありまして、私といたしましては、これらの三公団の統合は適当でないというふうに考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
  38. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 次に、住宅公団のことについてお伺いします。  どうも最近不正経理が大はやりで、至るところ官庁、公団を問わず、政府機関並びに政府関係のいろんなところで全く私どもの常識では考え得ないような事件が続発しております。これはもう綱紀の弛緩と申しましょうか、決して自民党が政権争いをやったからだけでもないでしょうけれども、やはりそれにも私は一つには大きな原因があると思います。上には上があるということがありますが、政府が、まあ自分が総理大臣になりたいということで、自民党の諸君がいい年をして、政治家といういい名前がありながら全く見苦しい争いをしました。私どもは、政治家たることを非常に自分ながら恥に思うほどのふんまんを感じました。そういう状態があるわけですが、いわゆる政府機関なり、政府関係のいろんな組織にこれが私は影響ないとは思わないですね。  したがって、いま続発している税金のむだ遣い、あるいはいろんな問題、全く枚挙にいとまがない。新聞を見ると全くいやになりますね、一番最初の方。日本住宅公団の会計の係長の問題、これはそういった何十億というものとは金銭的には低いでしょうが、やはりこういう実態があったということは、これは同じですから。このいわゆる決算係長という人がごまかした。これは依然としてわかり得なかったというところに問題があると思うんですよ。恐らくまだまだ問題があろうかと思うんでありますが、総裁ね、あなたはどういうふうにこれに対してお考えであるか。さらに懲戒免職にしたようだけれども、懲戒免職にしてそれで事足りるのか、ほかに絶対にこういうことはないと確信を持っていらっしゃるか。これは一応刑事事件としてやっているわけですが、こういう事件があなたの公団でほかに絶対ないという確信があるかどうか。また、今後、絶対これをさせないという自信があるかどうか。このよって起こった原因に対するあなたの所見と、いま言った今後絶対に起こさないということ、さらに後こういう事件が出てこないという自信があるかどうか、これに対してひとつお答えください。
  39. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) お答えの前に、一言お許しを願いたいと思います。  綱紀の厳正な保持というようなことにつきましては、かねてから職員に厳重な注意を喚起していたところでございますが、今回、御指摘のような不祥事件が発生いたしましたことはまことに遺憾でございまして、深くおわびを申し上げる次第でございます。  事件の概要を起訴状等によりまして簡単に申し上げますと、今回の公金詐取事件は、土路という者が、公団総務部会計課予算・決算係長及び監事付室の主査として在職いたしておりました昭和五十二年七月から五十四年三月までの間におきまして、遊興費に充てるため百三十二回にわたりまして架空の請求書によって虚偽内容の会議等を実施したとして千六百五十五万円余の公金を詐取した嫌疑で、去る十一月二十六日及び三十日の両日、東京地方裁判所に公訴が提起されたものでございます。ただいま申し上げました件数、金額は三十日の追加起訴の分を含めたものでございます。  冒頭おわび申し上げましたように、まことに遺憾な事件でございまして、こういう不祥事がなぜ起こったかということは私どもは深く反省をいたし、その原因を突きとめ、防止対策、二度とこういうことが起こらないようにということを現在実施中でございますが、このためには建設大臣からも厳重な指示、注意をいただきまして、直ちに総務人事担当の理事を長とする対策委員会を組織いたしまして、再発防止のために具体的な措置を講じておるところでございます。  その内容を簡単に申しますと、公団は膨大な事業をいたしておりまして外部との接触の機会も多いわけでございまして、そういう場合でも会食するというようなことはもう極力避ける。特に内部会議に伴う会食はもう原則として禁止するという方針でまいりたいと思っております。  それから会議費等の執行に関する会計事務の改善につきましては、その会議計画から執行、それから会計の処理に至るまで厳重な改善をいたしまして、そこに不正の余地がないようなチェックシステムを機能させたいと、すでに一部実行をいたしておるわけでございます。  それから内部の監査でございますが、年に一回ぐらい監事の監査がございます。それから随時に特別な目的での監査も行われておりますが、このほかに考査役による内部検査あるいは経理部からの現地調査等、きめ細かにいたしております。公団が業務の執行につきまして膨大な事業をやっておりますので、これには監査の場合もいろいろ神経を使っておるのでありますが、内部の事務処理、まあ手が回らぬというようなこともありますが、必ずしも規定どおりチェック機能が完全に動いていたと言えない面も遺憾ながらあったと思います。そういう点は厳重に改めるという姿勢をとりたいと思っておるわけでございます。  それから人事の配置等につきましても、もちろん十分気を使って改めて、改める必要のあるところは注意していく。このようないろいろな対策をとりまして、このような事件の再発防止に万全を期したいというつもりでやっておるわけでございます。  それから、ほかにこういうことがないかというお尋ねでございますが、私は、いままでのところないと信じております。過般、厳重な関係者の処分をいたしました。私自身もみずから罰したわけでありますが、このほかに事情を知らないで、あるいは土路の行為について誤信して、あるいは誤信させられてこういう不正が起こることをチェックできなかったという関係の者がおるわけでございます。これは現に警視庁からも事情聴取をされておるわけでございます。これは現在私ども調査中でございます。こういう者についてはその関係ぐあいの軽重に応じて追加の処理をすることで現在、調査を進めておるところでございます。こういうことによりまして、今回の事件の厳正な処理と今後の防止ということにただいま全力を尽くしておるところでございます。  以上、お答えを申し上げる次第でございます。
  40. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 時間の関係で余り深追いできないんですが、結局、いま言ったように、責任感の欠如というか、遊興費に使ったなんというのは全く心外のあれでね、これはあなた政府機関の金をわれわれとしては許せることじゃありません。  それはそれとして、今後、総裁、もし同じようなことが起こったら、あなたもうやめるんだな、責任とって。このくらいは責任をとって、あなたいまはっきり言ったんだから、これからも同じ事件が起きたら、あなたもう弁明しないでやめるぐらいな決意でいてもらいたいと思う。それはそうだ、当然ね。それはあなた答弁は要りませんよ。そのくらいのやっぱり決意でやってもらわないと、これは締まりませんよ。幾ら部下がやったって、上が知らぬ顔して、自分はやってないですけれども、こんなことは何もぴんとこない。だから、この次こういうことが起こったら、総裁以下やめる、そのくらいのひとつ決意と考えを持ってやってもらいたいと思うんです。  次に、もう一つある。三日、中央新聞が、公団が支給している旅費問題について、会計検査院の見解を発表しています。私がこの新聞を見て非常に不愉快に思ったのは、総裁がこう言っているんだな。新聞の書いたことだから、それはまあ違うとすれば別だが、いわゆる「住宅公団がヤミ手当」「旅費と称し年に二億」「現場職員に一律支給、二十余年続く」慣行という見出しで出ております。会計検査院の是正要求、これに対して、総裁の談話として「会計検査院から改善措置要求が出たことは、まったく聞いていない。私は土曜日も昼まで公団本社にいたが、そうした文書がきた、との報告もなかったし、初めて聞いた。現場関係の旅費といっても、公団の現場は全国にいくつもあるし、細かい点まで私が知っているわけでもない。(検査院の要求内容を説明しかけると)新聞社が勝手にいっていることかもしれないから、聞いても仕方がない。とにかく、何も聞いてないから、何もコメントできない」と、こうおっしゃっている。これはある中央新聞の記事だ。  私、これを見て、総裁がこれほど重大問題を知ったか、知らぬにしても、ちっとも遺憾だということが出ていないんだな。会計検査院の是正要求があったかどうかということは出てきている。これは、こういうことがあったなら、総裁としてはまことに遺憾であるということぐらい出てこなきゃならない。知らぬ、聞いてない、こういうことはあってはならない、総裁として。内容についてもいろいろあったけれども、これは後から会計検査院にちょっと報告してもらいますが、やっぱりこういう態度はぼくとしては承服できない。あなた、そういう人なんですかね。国民の人たちは非常にこの新聞を見て憤慨をしておる、けしからぬと、国民は皆そう思っている。新聞記事がうそかどうか、この談話はあなたが新聞記者に言ったかどうか、まず、その真偽をひとつお聞きしたい。
  41. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) おしかりをいただきましたが、日曜日の夕方、少し遅くなってでございますが、私のマンションの前に新聞記者の人が待っておりまして、こういうことを知っておるか、それについてコメントをせよと、こういう要請でございました。それで、実際、私、こういう会計検査院の是正要請が来ているということは聞いておりません。実は聞いてない、だからコメントのしようがない。内心は、もしそういうことが本当にあったら、これは相済まないことだというのはもう当然の気持ちでございますけれども、そういうことについてコメントせよと言われても、自分で聞いてないのだから、どうにもコメントのしょうがない。それじゃわしがここで説明するから、それについてコメントせよと、こういうお話です。しかし、あなたのお話だけを聞いてコメントすると、また誤解を受けるから、それはひとつお許しを願いたい、こういう応対をいたしたのでありまして、それがただいまおっしゃいました記事の私のその談として載った点であろうと思います。  ですから、その書かれたものだけから言いますと、私の真意を詳しく伝えたものではないという点、私はそれを見て大変不満に思いましたのでございます。ただ、先生を初め読まれた方がそういうふうにお感じになったとすれば、これはおわびを申し上げるよりほかないと思います。で早速関係方面に照会し、それで翌朝、そういう要請が来ているということを具体的に承知をいたしました。で、これについては、それでは適切に改善すべきものは改善するようにということを指示いたした次第でございます。
  42. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 会計検査院、だれが来ているかな。いまの件について、この旅費と称している二億円、この内容を簡略に。そうしてコメント、いつ是正要求をしたのか、ひとつそれを。
  43. 西川和行

    説明員(西川和行君) お答えいたします。  内容でございますけれども、これは現場従務旅費の支給の実態について検査いたしましたところ、現場従務旅費規程及びその運用方針が適切を欠いておりまして、旅行の事実を確認しないままに日当を一律に支給する取り扱いが行われていたわけでございます。  しかし、これが旅費であります以上は、旅行の事実に基づいて支給するのが基本原則でございますので、旅行命令簿に用務先、用務内容を記入させ、旅行の事実を報告書などに明記させるなどいたしまして、旅行の実態を明らかにさせた上で旅費を支給することにいたしますとともに、日当につきましては、短距離及び短時間の旅行の場合には減額し、または支給しないこととするよう措置要求したものでございます。  それから次に、措置要求を発した日にちでございますが、文書の日付は十一月三十日でございます。そして十二月の一日に公団の方に手渡してございます。
  44. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 これは総裁でなくともいいんだが、だれか担当者来ておるかな。いまの旅費なんかの支給は、いま言ったことで、ずうっとやってきたのか。いわゆる旅行先も記載しない、報告も書かない、ただおまえ行ったかとかいうことでやってきたのか、いままでのそういう現場における旅費の支給の具体的な方法をちょっと簡単に説明してください。
  45. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) 公団の旅費につきましては三種類ございまして、一つは普通の旅費、一つは日額旅費、もう一つが、いまの現場従務旅費でございます。  この現場従務旅費というのは、昭和三十九年以来、公団の規程に基づきまして、現場の職員が二百キロメートル未満の日帰りの旅行を毎日、それが任務でございますから、ぐるぐる回っておるという、こういうような旅行の実態に合わせまして、この旅費の創設がなされて今日まできたものでございまして、こういった実態に合わせまして、この支給の方法は、簡易な旅行でございますので簡易な旅行命令簿によって行っていたのでございます。したがって旅行命令簿の様式等に、検査院から御指摘がありましたような簡易なやり方で命令書、それからその請求というようなものが一緒に行われていたり、旅行の実態を明らかにするのには不十分なそういう旅行の命令及びその検収の様式になっていたのでございます等々のことが指摘されておりました。
  46. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 特に、いままでおたくは家賃値上げの問題でがたがたしているわけだな。これは金の大小ではなくて、やはり一般に住宅公団がむだ遣いをしているというような印象を受けたら家賃の不払いも出るだろうし、値上げにも反対出ますよ。ぼくだって反対します。そんなてめえたちむだ遣いしておいて家賃だけ上げたということになりますからな。これは事実でしょう、早速影響する。自治協の諸君なんかやっている、これはあたりまえだと思う。自分のえりを正さずに、幾らあなたが言っても容易じゃないと思う。もうあと時間がないものですから、きょうは深追いしませんけれども、とにかくもっと厳正というか、もっと一般の人たちから信頼される行動と行為がなくちゃならぬと思うのだな。  そこはまた、大臣、これはあなたの所管だから、幾ら言ってみたって次から次に起こってくれば、国民は信用しろと言われたって信用できませんよ、実際ね。だからひとつ、私はいい機会だと思うから、この辺でしっかり手綱を締め直して——しかし、旅費なんというのも、末端の職員がもらうべき筋のあるものなら、これは当然出すべきだと思うのだな。出し方に何か不注意なり、あるいは何か不当があったとしても、末端職員が出張して、それに対して出した旅費ならば、私はこれは当然だと思う。こんなことになってからあわてて私はどうこうしちゃいかぬと思う。  問題は、いわゆる旅費を出すにふさわしい仕事をしているかどうかが問題なんですね。仕事をしているなら、私は、どんな名目にしても旅費は当然出さなくちゃいかぬと思う。これでは無理があったから全部出さぬなんといったら生活にも困りますわな、その点はあなた方よく検討してください。また、そういったことは、ほかにもいろいろありますが、あるいは関係があると思うのです。その辺をひとつ厳に戒めて——私ども、こういう問題をこんな場所でやることは不本意ですよ、実際。不愉快ですよ。もっと建設的な意見なり問いをしたいんですよ、正直なところ。ところが、こんなことでこの委員会の問いなんて全く委員としても本当にいま言ったように不愉快だし残念です。しかし、あった事実、そして国民が許すからと言ってもほうっておけませんからね。ですから、ぜひ今後厳に戒められたい、これを強く要望しておきます。
  47. 渡辺栄一

    国務大臣(渡辺栄一君) 今回、現場従務旅費の問題が起きましたことは非常に残念でございますが、昭和三十九年以来、いまお話しのように日本住宅公団現場従務旅費規程に基づきまして、現場従務職員が現場におきまして旅行する場合に支給する旅費でございますが、その支給基準につきましては建設大臣の承認を要しないものでございまするけれども、このたび、会計検査院から、実地検査の結果に基づきまして、公団に対し規程の整備と支給の適正化を図るよう措置要求が出されたのでありまして、建設省としましても公団に対しまして所要の是正措置を図りまするよう、十分指導監督をしてまいりたいと思います。
  48. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 最後に、一点。  公団の賃貸住宅の払い下げを何かされておることが出ましたが、これは実際おやりになるのですか。いろんなものがありますね、払い下げ方法。いままで住宅公団は払い下げはしないという方針だったように記憶するのですが、何かの観点で今度やる、既設の賃貸住宅を払い下げるということになったのか。もしなったとすれば、そのいきさつをちょっとお聞きしたい。
  49. 渡辺栄一

    国務大臣(渡辺栄一君) 実は、今回、住宅公団の賃貸住宅の払い下げにつきまして私どもからコメントいたしましたのでありますが、それにつきまして、入居者の方々からこれまでも一部譲渡を求める要望が出されておりましたが、また、今般の新公団設立構想に関連する報道につきましては、入居者からかなりの関心が寄せられておるように思っております。  払い下げの条件につきましては、管理上の問題として、少なくとも一棟単位にまとまっているということ。あるいは譲渡対象とすべき住宅の決定の基準あるいは譲渡価格その他の諸般の問題につきまして、技術的に十分検討すべき事項でございますので、近く発足いたしまする新公団問題を検討する委員会におきまして十分具体的な検討をしてまいりたいと思っております。なお、分譲する前に建てかえる案につきましては、貴重な御意見でもありまするが、委員会の検討の中であわせて検討してまいりたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、そういうような検討の結果、払い下げに適すると思われまするものにつきましては私どもは実施をいたしまして、一面におきましては、さらに質のよい賃貸住宅建設してまいりたい、こういうふうに考えております。
  50. 増田盛

    増田盛君 建設大臣にお伺いしたいと思うのでありまするけれども、ちょうど予算編成の時期が差し迫っておるわけでございます。主として予算に関連いたしまして、二つの問題をお伺いいたしたいと思います。  まず、第一点でございますけれども、来年度の予算の編成につきましてはきわめてむずかしい前提条件があるやに聞いておるわけであります。先般、大蔵省で発表しました試算を見ましても、ケースA、ケースB、どちらにしても上限と下限のように見受けられるわけでありますけれども、あの間にはさまって現実の予算が編成されるということになりますと、一番先に大きな影響を受けるのは私は公共事業じゃなかろうか、かように思う次第であります。ところが、この公共事業たるや国の基盤建設最大の手段でありますことは申し上げるまでもないわけでございますが、その公共事業費の主導権を握っている王座というのが建設省でありますから、建設省がいままで推し進められたいろいろな事業が中途にしていろいろな悪い影響を受けるということが心配されるわけであります。  つきましては、今後ますます必要となってまいります社会資本の整備という点から、私ども建設大臣の一層の奮起を願いたい、かように思っているやさきの事態でございますので、この最大の難関に逢着いたしております、あるいは逢着するかもしれぬ現在におきまして、建設大臣の率直なる御抱負、御決心をお伺いいたしたいと思います。
  51. 渡辺栄一

    国務大臣(渡辺栄一君) ただいま当面いたしまする公共事業費の予算等につきましての御質疑でございますが、実は、私ども、すでにそういうような席上におきましては、建設公債と特例債の相違あるいは新経済七ヵ年計面の推進、また昨年までは御承知のように大変強力に公共事業消費を進めておりまして、そうしてそれを通じまして景気浮揚に役立ててきたわけでございますが、元来、公共事業は着実にコンスタントに進めるべきものであるということは、それらの席上でも述べてきておるわけでございます。  ただいま御指摘をいただきましたわけでございまするけれどもわが国の社会資本の整備は、欧米諸国に比べまして、御承知のように、なお非常に立ちおくれてございます。本年八月に策定されました新経済社会七カ年計画におきましても、昭和六十年度までに二百四十兆円、そのうち建設関係はほぼ百兆でございますが、そういう公共投資を行いまして、社会資本ストックをほぼ倍増させることを決められたばかりでございまして、計画的な公共投資によりましてその完全な達成を期する必要があると私は考えております。  また、わが国経済はこれまでの積極的な公共投資によりまして回復基調にございまするけれども、石油情勢あるいは金利の上昇等、景気の先行きに対しまする不透明感はなお非常に強いと思っておりまして、ここで公共事業を抑制することは、海外要因によりまする卸売物価の上昇と相まって、実質事業量の減少を招き、あるいは雇用情勢等、経済に対しまして悪影響を与える心配があるというふうに私は考えておりますので、来年度におきましても、公共事業の予算の確保努力をいたしまして、着実に実行いたしてまいりたい、また、それが必要であると考えております。よろしく御理解いただきたいと思います。
  52. 増田盛

    増田盛君 第二問といたしまして、住宅問題でございます。  住宅の量的な面に関しましては、いろいろ数字がございまして、相当進んでいるように見受けられるわけでありますけれども、いよいよ内容の面といいますか、時代の進展に即応した質的な面に重点を移していただきたい、かように思っておるのでございますけれども、最近、マスコミなんかを見ますと、空き家が二百七十万戸あるんだと。これだけ聞きますと悠々閑々たるような思いがするわけでありますけれども、終戦直後には数百万戸の住宅不足という時代でございましたから、空き家があるんだということになりますと、これでもう完結しておるように思うわけであります。ところが、どうもいわゆる低質木賃アパートのようなものが私の住んでおるところにも所々にあるわけでありまして、こういうものは一たん緩急がありますと、大変に環境条件としては悪いわけであります。それから東京におきましては所在に見られますけれども、いわゆるミニ開発というようなのがございまして、妙なところに一軒家をつぶして五、六軒建物ができて、しかも、それがもうべらぼうに高いわけであります。私どもの住んでおります近所のところに建てたものを見に行きますと、本当にびっくりするぐらい高いわけであります。国土庁あるいは建設省が中心になってお調べになっているいろいろな土地価格から見ましても、あれが基準のはずでありますけれども、それの倍ぐらいの値段がついておりまして、それが売れているんですから、それにもまたびっくりするわけでありますが、どうも何となしに私どもこういう現象を見ておりますと不安でございます。  どういたしましても、今後は、強力に住宅政策を進めていただく場合におきましては、質の面、つまり住宅の質的な充実という点に力を入れていただきたいと思うんでありますが、そういうことになりますと、賃貸住宅がいいのか、持ち家政策がいいのかという古い問題がございますけれども、私は、持ち家対策を推進するという立場から、立ち入って二点に関して聞いてみたいと思うんであります。  どうも、いろいろなアンケート、世論調査によりますと、持ち家政策の方が強いようでございます。それで、一つは、これに関連いたしております住宅金融公庫の融資の問題でありますけれども、これに関しましてもいろいろな御抱負をお持ちのようであります。来年度予算要求におきましても、画期的な内容を含めまして御要求になっておるように聞いておるわけでありまして、まず、この公庫融資の点につきまして、質的な面におきまして国民の需要にこたえられるような戸数の確保、それから、それにも増して大事だと思うんでありますけれども、貸付条件の改善、これが絶対必要であると思うんでありますが、これに対する対策、御抱負、これをお伺いいたしたいと思います。
  53. 関口洋

    政府委員(関口洋君) ただいま先生から御指摘ございましたように、国民の根強い持ち家取得の要望にこたえる、このためには公庫の貸付条件の改善に努力するということが一番必要だというふうに私ども考え努力を重ねておるところでございます。  ちなみに、本年度状況を申し上げますと、御案内のとおりに戸数は五十五万戸確保しておりまして、これは無抽せん体制というものを維持しております。そして順調に事業を実施している次第でございます。また、ただいま御指摘のございました貸付条件という問題につきましても、限度額の引き上げなり、あるいはステップ償還の導入ということを五十四年度に行っておりまして、いわば住宅取得時の返済負担の軽減を図るというような措置を講じさしていただいておるような次第でございます。  それで来年度どうするんだというお尋ねでございますが、予算の際に御説明しましたように、各種のものを要求いたしておりますが、当面、御指摘のとおりに、貸付戸数の確保なり貸付条件の改善要求、そこら辺に重点を置いた努力を払ってまいりたい、かように考えておるような次第でございます。
  54. 増田盛

    増田盛君 大体のお考えはわかりましたけれども、衣食住の中で住の問題が一番緊切でございますから、ぜひともひとつがんばっていただきたい、かように御要望申し上げます。  それに関連いたしまして、もう一つ高齢化時代を迎えるに当たりまして、これを住の面からどうするかという問題でございます。  これからいよいよ日本も高齢化時代を迎えるわけでございます。ますますその程度が進むだろうと思うわけでありますけれども、われわれの経験から申し上げましても、だんだん高齢化社会になってきますと、国民一人一人が自分の一生涯におきます生活設計を立てていくわけであります。若い者との関係等も考えなければなりません。なかなかむずかしい日本的な家族生活というものの背景、基礎というものもあるわけであります。親子、おじいさん、老祖母まで入れまして三世帯という世帯も依然として多いようでございますが、あるいはそれぞれが住宅を持つという必要も片っ方におきましては出てまいるわけでありますが、どうしてもこういう点で新しい住宅要求あるいは居住要求というものが必要になってくるわけであります。先ほど第一問でも申し上げましたとおり、住宅の質的な面というのはこういう点も考えていかなければならぬと思うのであります。  そこで、くどくは申し上げませんけれども、端的にお伺いいたしまして、いよいよ迫りくる高齢化社会の到来に対応いたしまして、住宅対策をどのように推進していくか、大ざっぱなアイデアでも結構でございますし、現実の措置がございましたならばお聞かせ願えればいいと思うんでございますが、お答え願いたいと思います。
  55. 関口洋

    政府委員(関口洋君) ただいま先生が御指摘になられました問題は非常に今後重要性を増してくる問題であるというふうに私ども考えております。  現在、老人世帯あるいは老人との同居をなさっておる世帯に対しましては、公営住宅なり公団住宅におきまして、供給する場合に、そのことを念頭に置いて供給する施策を講じておりますし、また、入居に際しましても、一般の入居よりは優遇をしてまいるというような点を講じております。それから、先ほどのお話と関連いたしまして、住宅金融公庫の方でございますが、住宅金融公庫におきましては割り増し貸し付けを行うというようなことで、できるだけきめ細かく今後の問題に対応してまいりたい、かように思っております。
  56. 増田盛

    増田盛君 以上で終わります。
  57. 浜本万三

    委員長浜本万三君) それでは午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十分休憩      —————・—————    午後一時四分開会
  58. 浜本万三

    委員長浜本万三君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  59. 内田善利

    内田善利君 私は、道路行政についてお聞きしたいと思うんですが、特に九州の十号線の建設進捗状況についてお伺いしたいと思います。  特にお聞きしたいのは、別大国道と言われている別府−大分間でございますが、五十年四月に九州地建の大分工事事務所が作成しておる。パンフレットを見ると、いわゆる別府−大分を結ぶ別大道路——現国道十号線の一部でありますが——には「代替道路もなく、一度交通事故が発生すると別府・大分両市内の交通にも多大な支障を与えている。したがって、早急に拡幅を行う必要がある。」こういうふうにあるわけですが、この認識は現在も変わらないのかどうかお聞きしたいと思います。
  60. 山根孟

    政府委員(山根孟君) お答え申し上げます。  北九州から大分に至る間の中で、やはり別大道路の区間はとりわけ、いま先生指摘のように、いろいろな問題を抱えておるといった認識を持っておりまして、やはり別府−大分にかけて、この区間が最も早急に対策を講ずべき区間であるという考え方を持っておるところでございます。
  61. 内田善利

    内田善利君 であるならば、二百十三号線と国道十号線が交錯する日出町のここから大分に至るまでの約二十一・四キロ、この間の現在まで投じた予算とその進捗状況をまずお聞かせ願いたいと思います。
  62. 山根孟

    政府委員(山根孟君) ただいまお話しのございました日出町内の一般国道二百十三号との分岐点から別府市街を経まして大分市内に至ります区間、延長にいたしまして二十一・四キロメートルあるわけでございますが、別大拡幅事業としてかねてから整備を進めてきておりまして、このうち別府市街地約五・六キロメートルにつきましてはすでに六車線で整備を完了いたしております。別府−大分間の七キロ区間でございますが、当面の交通対策といたしまして、昭和四十七年から八年度にかけまして大分交通の軌道跡地を活用いたしまして暫定的に四車線化を図ったところでございます。引き続き六車線の整備を進めるべく現在検討中の段階であるわけでありますが、この二十一・四キロメートルにわたります区間は全体事業費といたしまして約五百二億円を予定いたしておるわけでございますが、五十三年度末までに約百二十七億円、五十四年度におきましては三十七億四千万を予定いたしまして、鋭意、事業の促進を図っているという状況でございます。
  63. 内田善利

    内田善利君 その中で高崎山の下の方に当たる海岸線ですが、大体約七キロですね、この工事に投じた工事費が幾らなのか、そしていつごろ完成をめどにしておられるのか、お聞きしたいと思います。
  64. 山根孟

    政府委員(山根孟君) この区間に投入いたしました五十三年度末までの実績は八億六千四百万でございまして、五十四年度計画といたしまして三千万を予定いたしておるという状況でございます。
  65. 内田善利

    内田善利君 いつごろを完成のめどにしておられるわけですか。
  66. 山根孟

    政府委員(山根孟君) 失礼をいたしました。現在のところ、完成のめどをいつに置くかという見通しは実は立っておりません。  これにつきまして若干説明を申し上げさしていただきたいわけでございますが、先ほど申し上げましたように、六車線にいたすべく、現在、調査検討を進めておるということを申し上げたわけでありますが、すでに都市計画決定がなされておるわけでございまして、この区間につきましての漁業交渉等はすでに終わりまして、その漁業補償が終わりましたのがちょうど昭和四十九年度であります。実は、昭和四十八年秋の石油危機によりまして総需要抑制といった観点から全面的な事業の見直しを余儀なくされたわけでありますが、五カ年計画全体の規模も縮小されまして、当時考えておりました事業の進度を大幅に調整せざるを得なかった、こういうことであります。したがいまして、一番冒頭御質問のございました別府−大分までの間のうち現道がまだ二車線でございます日出地区−亀川地区、この区間を重点に事業の促進を図るという考え方のもとに、現在、北の部分の事業の促進を図っている、こういうことでございます。これが第一でございます。  それから第二が、このいま懸案の七キロ区間のうち高崎山の付近約一キロメートルの区間でございますが、これは大変に地形条件が厳しゅうございます。波が収斂をいたすところであり、さらに深掘れをいたしておる。海岸擁壁の部分が吸い出し現象等を起こしておりまして、これに対する手当ても必要である。しかも六車線に道路をしていくか、こういったことがあるわけであります。私どもといたしましていろいろ検討を進めておるわけでありますが、海側に可能な限り拡幅する、とともに国鉄の協力を得まして国道に接する国鉄の日豊線を山側に移設をいたしまして、その跡地を利用して現道の六車線化を図る、いろんな比較案について調査を進めておるわけであります。このむずかしい技術的に困難な点、これに対する解明に実はいろいろな試験工事等々も行いましてかなり時間がかかっているというのが実情でございます。  でお答え申し上げましたように、以上のようなことから、しかも、またここに集中的に多額の事業費を投入する必要があるといったことから、海の条件といったようなこともございますので、他の事業の進捗状況交通状況といった点を勘案しながら、工事の進め方、事業の完成目標をいつに置くか、こういったことも含めて積極的に取り組んでまいりたい、こういう考え方をいたしておるところでございます。
  67. 内田善利

    内田善利君 最初に読み上げましたように、交通量が非常に多く、この間は代替道路がないわけですね。したがってピーク時には非常に混雑しているわけですが、もう混雑度三を超える、非常に交通渋滞がひどいわけですけれども、このままでは一体どうなるんだろうと危惧されるわけですが、五十年の三月に四億の漁業補償がなされているわけですね。五十年の三月に補償がなされているにもかかわらず、いまだに進捗状況がいまのお話のようにめども立っていない、そういう状況なんですが、国鉄との交渉はどの辺まで進んでいるのか。海岸に可能な限りの施設をつくるということですけれども、この辺との兼ね合い、それと漁業補償との関係、この点はどのようにお考えですか。
  68. 山根孟

    政府委員(山根孟君) お答え申し上げます。  国鉄との協議につきましては、現在、詰めていっているところでございますが、おおむねこの日豊線の複線化の方の片一方のトンネルはすでに掘られておりまして、いま懸案になっておりますこの日豊線のかつて単線でやっておりました区間につきましては、ルートその他をどこに求めるか、支障となる家屋移転でありますとか、地質の問題等のやや技術的な問題が残っておるわけでございますが、大綱においては、国鉄は新たな複線のもう一本のトンネルを掘ることによりまして、現在の軌道の敷地につきましては道路敷地として利用ができるというところまでの大綱は現在合意に達しておるというところでございまして、今後は技術的な問題について新しく国鉄が掘るべきトンネルの計画問題を中心に詳細な詰めを行っておる、こういう段階でございまして、早急にこの詰めを行いますならば国鉄との関連につきましては問題が解消する、こういうことになろうかと考えておるわけでございます。  それから、計画として、しからばその敷地を利用するにいたしまして海岸との関連をどういうぐあいに計画を固めていくか、こういうことでございますが、やはり国鉄の敷地として割き得る土地の幅と申しますか、が比較的狭うございまして、国鉄を移設しただけで残りの二車線がすべて賄えるということではないという点が一つ。それから、先ほど若干御説明を申し上げましたが、すでに現在ございます海岸の擁壁の護岸が相当吸い出しその他のことから構造上の疑念がございます。こういった両者の理由からやはり海の中に擁壁を出していかなければならない、できるだけ出しつつ敷地を生み出す。その敷地を生み出すのにある程度また山を切らなくちゃいかぬということが一方で起こってまいりますと、新しくつくりますトンネルのかぶりの問題を生ずるといった技術的な問題もございまして、そういった点を中心に検討をいたしておるというのが実情でございます。
  69. 内田善利

    内田善利君 いまのお話は四十一年、四十二年の調査後の話であって、そういう計画が出てきたのがですね、ですから国鉄との関係はなかなか話が進まない。漁業補償の段階では、海岸に橋脚をつくって、そして海岸線に出す、それならば五十二年度ぐらいまでにはできる、こういう計画であったわけですね。ところが、漁業補償をやった後、調査した。五十一年、五十二年と調査団が調査した結果、これは海岸線は非常に急傾斜で工事がむずかしいということになって、それでは国鉄の方に云々という話が出てきたわけですね。ですから、調査段階までは橋脚をつくって海岸線に道路をつくる、こういう計画であったわけですね。その辺はどうなんですか。
  70. 山根孟

    政府委員(山根孟君) 都市計画決定をされまして、私どもが当初それに基づいて事業化を図ろうという段階におきましては、ただいま先生の御指摘のとおりでございます。で、その後、漁業補償を完了いたしまして、それで海側に種々の試験工事を五十年度以来いたしたわけでありますが、専門家の御意見等から見て、いろいろな問題が生じてきたという実情にあるわけでございます。
  71. 内田善利

    内田善利君 そこで疑問がまた一つ起こってくるんですが、漁業補償をするというのは、調査が終わった段階でやるのじゃないのか。調査前に五十年の三月に漁業補償をして、で五十一、五十二と学者が、調査団が入った、その結果できなくなった、こういう状況ですが、この漁業補償のあり方といいますか、調査が後でなされているということはこれはどういうことなのか。この辺に疑問が起こるわけですが、いかがですか。
  72. 山根孟

    政府委員(山根孟君) 一言に実は調査という言葉で若干誤解を招く点があろうかと思いますが、実は計画設定の段階におきまして、この七キロ区間全線につきまして都市計画決定が設定をされ、この段階におきまして十分この海岸部に埋め立て擁壁を設けて実施をいたす、こういう前提の上の実は都市計画決定であったわけであります。ところが、問題になります約一キロメートル区間につきまして、まず最もここが問題であるということから、具体的な工法をどのように設定をするのかということについて、詳細設計の前提となります工法を検討するためのいろいろな調査をいたした、こういうことであります。  で、もちろん、こういった試験工事をいたします場合には、漁業補償といったことが必要になることはもちろんでありますが、冒頭に申し上げましたように、現在の護岸、海岸擁壁におきましても相当のいろいろな問題があるわけでありまして、その前面にしかるべき擁壁を構築し、必要な消波設備、消波工等を施すということにいたしますと、いずれにしても漁業補償が必要であるということは当時から予見をされておったわけでありまして、この間の両者の矛盾はない、こういうぐあいに実は私は考えておるわけでありますが、時期的に、当初考えておりました工法が現在考えております工法と異なってきたために、その意味で若干の誤解を招く事態になっておるのではなかろうか、こう考える次第でございます。
  73. 内田善利

    内田善利君 ともあれ、非常におくれているということは間違いないわけで、もう計画をされてから数年たっておりますし、今後、どういう工法で、どういう工事計画でやっていくのか、具体的な案があればお教え願いたいと思います。
  74. 山根孟

    政府委員(山根孟君) 現在検討中でございますが、大きく言って二つの考え方にしぼられてきておると思います。  一つは、できるだけこの海岸擁壁の部分を沖合いに出しまして、敷地を広くとって山側の切り取り量をなるべく少なくして、その間に拡幅用地を生み出す、こういう考え方が一つでございます。もう一つは、山の切り方と海岸の出しぐあいとによって、この生み出されるべきスペースが限られてくるといたしますと、たとえば一つの工法として高架構造というものを考えざるを得ないということになります。したがって、この構造物的なもので解決をするという後者のやり方と、前者の海岸擁壁を主体にいたしました山の切り土工法でいく、この二つの工法がまず検討されなければならない工法であるということで、現在、それにつきまして鋭意検討を進めておるというところでございまして、これには国鉄の移設するトンネルのことも若干関係をいたしてまいりますので、至急にこれらの観点を整理いたしまして結論を出さねばならぬ、こう考えておるところでございます。
  75. 内田善利

    内田善利君 国道十号線のうち、事業計画に入っている四つのバイパスですね、曾根バイパス、行橋、苅田、椎田、この四つのバイパスの総括的な予算執行状況、そして進捗状況はどうなっているのか、お答え願いたいと思います。
  76. 山根孟

    政府委員(山根孟君) お答え申し上げます。  いま御指摘のように、北九州から大分間につきましては、北大道路という一貫した道路、整備すべき道路という考え方のもとに、著しい混雑区間から逐次整備を進めておるわけであります。  まず、第一の曾根バイパス八・七キロ区間でございますが、四十六年度から事業に着手をいたしました。現在、最重点で整備を進めておるところでございまして、工事を促進いたしておりまして、用地買収が順調に進みますならば、昭和五十七年度末までに全線暫定二車線で供用できるというぐあいに考えております。  苅田町地内でございますが、四車線で整備済みでありまして、この中で一・七キロ区間が残っておりますが、区画整理事業の進捗に合わせて整備をいたしております。区画整理事業が五十三年から五十七年度の予定でございますので、これに合わせまして整備ができるものというぐあいに考えております。  行橋バイパスにつきましては、実は今年度から用地の買収に着手をいたしております。ただ苅田町部分に都市計画決定がなされてないところがございますので、この区間につきましては調査を鋭意進めておるところでございます。  それから椎田バイパス十六・二キロメートルにつきましては、昭和四十九年度から事業に着手をいたしまして、五十四年度にはこの中間部の十・三キロ区間につきましては有料道路事業として新たに着手をしたところでございます。現在、環境影響評価を実施して、市、知事の方に意見照会を行っているところでございます。現在のところ、このバイパスの整備目標といたしましては昭和六十年度を予定いたしておるところでございます。  以上でございます。
  77. 内田善利

    内田善利君 私も九州はあちこち歩いて一番混雑するのはここなんですね。普通が一・四五ぐらい、ピーク時には三ぐらいの混雑度になるわけですが、遅々として車が進まない、そういうふうに非常に交通状況が悪いんですが、事故もかなり多いように思うんです。したがいまして五十五年度のバイパスの予算ですね、これはもう決めてありますか。決まっておったら、どれぐらいか教えていただきたいと思います。
  78. 山根孟

    政府委員(山根孟君) まだ、もちろん決定はいたしておりません。
  79. 内田善利

    内田善利君 そういう答えが返るだろうと思っておりましたが、この予算の消化ですね、確実にできておりますね。
  80. 山根孟

    政府委員(山根孟君) 予算の消化には全く問題はございません。
  81. 内田善利

    内田善利君 調査費の性質についてちょっとお伺いしたいんですが、調査費を五年間にわたってつけている場所があるわけですね。行橋バイパスですが、これは大体毎年千万円の調査費を五年間つけているわけですが、何の調査費を五年間このようにつけなきゃならないのか。思い切って執行すべきじゃないか、そうでなければやはり国費のむだになるんじゃないか、こう思うんですが、この点はいかがですか。
  82. 山根孟

    政府委員(山根孟君) 行橋バイパスにつきましては、五十二年度におきましては当初事業費が二千万円でございましたが、中途変更いたしまして橋梁等を中心に予備設計を実施いたしました。これに六千万円ということでございます。五十三年度は最終的には二千万円で地質調査をいたしております。  以上のようにかなり時間がかかってはおるわけでありますが、大きく申し上げますと、昭和四十九年、五十年といった総需要抑制の時代の抑制のためにやはり全体的な予算の圧縮からそれまで着手をいたしておりました各バイパスに若干の進度調整をなさざるを得なかったということは事実でございます。ただ、環境問題でございますとか都市計画におきますいろんな調整等から、県市町村地元関係者等々との設計協議、これにもかなり時間がかかるのは事実でございます。こういったこの設計協議の結果に伴いますいろいろな構造の検討の問題が第一点、それからやはりすでに計画が決定をされておりますと用地に対する強い買い取り請求があるわけでございます。これに対しましては必要最小限度の対応もいたしていかなければならぬということでございまして、それぞれ必要な調査——調査と申しましても、事業に直結をいたしました効率的な執行のための種々な測量、試験、設計といったことを実施をしておるということが実情でございます。
  83. 内田善利

    内田善利君 もう時間が来ましたので以上で終わりますが、大臣にお伺いしたいと思いますけれども、昨今非常に車が多くなりまして道路が混雑しているわけですけれども、今後の道路行政について大臣の所信を伺いたいと思います。  それともう一つ、九州の中でもいま申しました十号線、日豊本線関係ですけれども、十号線の道路が非常に整備がおくれているわけですが、いままで以上にこの十号線に力を注いでいただきたい、そのように要望するわけですが、この二つについてお伺いして終わりたいと思います。
  84. 渡辺栄一

    国務大臣(渡辺栄一君) わが国経済の発展、また国民生活の向上、輸送構造の変化等に伴いまして、自動車の普及は御承知のごとく非常に著しいものがございますが、保有台数は三千五百万台に達しておるのではないかと思います。特に地方におきましては、国民生活、生産活動、両面にわたりまして自動車はまさに必要不可欠の交通手段でございまして、いわば自動車社会と申し上げてもいいかと思います。  昭和二十九年度以降、建設省といたしましては、数次にわたりまする五カ年計画によりまして道路整備推進してまいったのでございますが、道路の整備水準は量的にも、また質的にもいまだきわめて立ちおくれておる現状でございます。このため昭和五十三年度からは第八次道路整備五カ年計画を発足させまして、日常生活の基盤としての市町村道から国道構造の骨格を形成いたしまする高速自動車国道、こういうものに至りまする道路網につきまして次のような施策を進めております。すなわち、道路交通の安全確保、生活基盤の整備、生活環境の改善、国土発展基盤の整備、維持管理の充実などの施策のもとに計画的な整備を図っておるところでございまして、今後とも、最善の努力をいたしてまいりたいと考えております。  ただいまお話しの十号の問題につきましては、局長に答弁をさしたいと思います。
  85. 山根孟

    政府委員(山根孟君) 御指摘のございますように、確かに十号は大変混雑が激しゅうございまして、ちょうど西側にございます三号線と対比をいたしまして大体同程度の混雑状況で、区間的にはこの十号の方が混雑しているというところがある状況でございます。過去十カ年の投資を調べてまいりますと、九割程度の実は投資の比率になって——九割と申しますのは三号と比べて九割程度でありますが、実は、交通行政の推移等から勘案してみますと、五十二年度以降につきましては、三号の方からやや重点が十号に移りまして、十号線に相当ウエートを置いて整備を進めているという状況になっておりまして、今後とも、こういった混雑解消、連檐地域都市環境改善といった観点から積極的に事業を進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  86. 桑名義治

    桑名義治君 私は声を少し痛めておりますので、聞きづらいと思いますが、よろしくお願い申し上げます。  最初にお尋ねしたいのは、公団の総裁に尋ねたいんですが、過日、公団会計課予算・決算係長の土路重昌氏が公金の詐欺をしたということで問題を起こしておるわけでございますが、この問題についての概要を説明願いたいと思います。
  87. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) お答え申し上げますが、その前に一言お許しを願いたいのであります。公団は非常に重要な仕事をしておる公的機関でありますので、綱紀の厳正な保持につきましてはかねてから職員に厳重注意を喚起しておったのであります。今回、御指摘のような不祥事件が発生いたしましたことは本当に遺憾でございました。深くおわびを申し上げる次第でございます。  事件の概要は、前公団職員土路重昌が公団総務部会計課予算・決算係長、それから監事付室主査といたしまして、在職中、すなわち昭和五十二年七月から昭和五十四年三月までの間におきまして、遊興費に充てるため百三十二回にわたり架空の請求書によりまして虚偽の内容の会議等を実施したとして千六百五十五万円余の公金を詐取いたした嫌疑で、去る十一月二十六日及び三十日の両日、三十日の方は追加でありますが、東京地方裁判所に公訴が提起されたものでございます。
  88. 桑名義治

    桑名義治君 この問題に対して、公団としては、どのように対処したのか、その点についてお伺いしておきたいと思います。
  89. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 今回のような不祥事件、なぜこういうのが起こったかという事務処理上の不備の反省をまず当然いたしたわけであります。そのために総務及び人事担当の理事を長といたします調査それから再発防止委員会を設けまして、事態の究明と今後の再発防止の対策をとったのでありまして、同時に、その間、警視庁に告訴いたしまして司直の手による事態の究明もお願いをしたようなわけで、詳しくは担当理事から——。
  90. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) 公団としましては、再発を防止いたしますための具体的な措置といたしまして、外部者との会食、これはいままで以上に極力避けますとともに、内部の会議に伴う会食は原則として行わないことといたします。会議費の執行に関しまして会計事務を改善いたしまして、その執行の厳正を期したい。第三番目といたしまして、内部監査を強化し、従来の監事監査に加えまして、内部による経理部門あるいは考査役等による監査を計画的に行う。第四に、予算の執行計画を当初からきめ細かく作成して、執行の状況を常時把握するような体制をつくる。五番目に、人事の配置を特に適正に行うというような措置を行いますとともに、今回の不祥事件に関しまして、十二月三日に、行為者土路重昌に対しましては懲戒免職とし、管理監督者であります本社の総務部長大内健价に対しましては減給、これは労働基準法に定める最高額の減給といたしまして、同じく、その直接の監督者でありました会計課長狩野金也に対しまして停職一週間といたしました。以上の処分のほかに、今回の不祥事件を深く反省いたしまして、再発防止に取り組むために、経営の責任を明らかにする意味から、総裁澤田悌及び総務担当理事大塩洋一郎に対しまして減給十分の一、一カ月の措置を講じたところであります。  なお、そのほか土路に経理伝票を押印する等、押し印させられて行った行為者に対しましても、引き続きまして、その軽重に従って近く措置いたしたいと考えております。
  91. 桑名義治

    桑名義治君 処置については大体わかったわけでございますが、実は、きょうまた新聞の報道によりますと、土路の供述によって、「計友会」の口座、いわゆる土路の架空口座と別物の口座がまた三つ確認をされた、こういうふうに出ているわけでございますが、この点については公団はどのようにお考えですか。
  92. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) その事実は、新聞を私はちょっとつまびらかに読んでおりませんが、「計友会」とか、そのほかの口座につきましては現在司直の手で調査が遂行中でありますし、私どももそれと並行しながら調査を進めているところでありますが、この事柄は司直のそういう調査の進行とあわせて調査を進めているところでありまして、いまの事実に関しましてはまだつまびらかにしておりません。
  93. 桑名義治

    桑名義治君 私は、そうやったいわゆる体質が問題だと思うんです。考えてみますと、土路の問題が起こりまして、そしてこの問題がよって起こる原因というものを内部から徹底的に洗い直すというところから公団の姿勢を改めていかなければならない、こういうふうに私は思うわけでございます。  きょうの新聞の報道によりますと「計友会」「割烹とわゑ」それから「黒田商事株式会社」この三つの名義、三種類のいわゆる架空の口座があって、しかも、この記事によりますと、そうやった口座のお金は、職員の旅行、それから特定の仕事が終わった後打ち上げをやるときの遊興費、これをプールしておくものであった、こういうふうに報道されているわけでございますけれども、こうやった大々的な事柄が常日ごろ行われておるとするならば、どこからそういうふうな支出が行われるのか疑問がなければ私はおかしいと思うわけでございますが、こうやったところに疑問をはさまないところの体質に大きなまた一つの問題があったのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、全然関知しなかったわけですか、いままでは。
  94. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 私も、実は、きょうそういう記事があるということを初めて聞きました。全然私としては関知しなかった、仰せのようにそういう疑いを持たれたという記事がありましたので、それの究明に努めるべきは当然でございまして、明らかにいたしたいと考えております。
  95. 桑名義治

    桑名義治君 では、この問題に対して総裁としてはどういう決意をお持ちですか。
  96. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 疑いを晴らす、あるいは事実を明らかにするため全力を尽くして調査いたしたいと思います。
  97. 桑名義治

    桑名義治君 それから十二月五日の報道の中に、いわゆる団地サービスの問題が出ておるわけですが、これはもう皆さん方も新聞を読んでおりませんと、こういうお話はないと思いますが、この団地サービスの記事の内容についてはどういうふうにお考えですか。
  98. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 担当の理事が実はきょう出席いたしておりません。御質問があればその理事が来て御説明することになっておったわけでございます。もし至急連絡して呼んで御説明申し上げることを許されるならば、そうしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  99. 桑名義治

    桑名義治君 総裁、それは問題だと思うんですよ。少なくともこれだけ報道でにぎわった問題であるとするならば、総裁は一定限度内の内容についての説明はできるはずだ。しかも、この問題に対する考え方なりも最高責任者として当然決めておかなければならない問題だ。そしてまたこの問題に対する対処の仕方も当然考えておかなければならない問題だと思う。どうなんですか。
  100. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 駐車場の問題から関連しているというふうに思うわけですが、駐車場の料金の決め方、それから駐車場の団地サービスに対する公団のやり方いろいろございまして、私、その技術的ないろいろな面についてここで申し上げる知識はないのでございますけれども、そういう問題をいろいろ検討してややこしいことのないように、また外部から見てもすっきりするようにしろということは私申しておるわけです。それで、その実情とそれに対する対応策がどうなっているかというようなことを担当の者から申し上げたい、こう申したわけでございまして、決して私がそれについていまおっしゃるような意味で申し上げたわけではないのでありまして、適正化を図るように努力していくことは申すまでもないところでございます。
  101. 桑名義治

    桑名義治君 この問題は会計検査院の指摘でしょう。そこから発しているわけですよ、問題が。とするならば、やはりこの問題については真剣に公団側としては検討もし、そしてまた反省もしていかなければならない問題である、こういうふうに私は思う。  で、この中でまた一つの問題になっておるのは、いわゆる天下りということが問題になっておるわけですが、このいわゆる団地サービスをつくる段階におきましても、国会の中では天下りはしない、こういうふうにいろいろと議論の中で回答がなされておったというふうに聞くわけでございますが、この問題はどうでしょうか。役員の中をずっと見てみますと、公団からの天下りが非常に多いわけでございます。この点についてはどういうふうにお考えですか。
  102. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 御承知のように、団地サービスは、いわば住宅管理についてのソフトな面を日々担当しているものでありまして、公団ときわめて密接な関係にございますから、公団の職員であった者がそこにある程度入ることは、役員の中にも、それは必ずしも不適当ではないと思いますけれども、現在の状態でいいかということを厳しく考えますと、少し多過ぎやせぬか、もう少し多様性ある役員構成の方がよくはないかという気が私個人としてはいたします。いろんな点でなかなかこういう点は改まらないのでありますけれども、極力、御趣旨に沿うようにすべきではないかと考える次第でございます。
  103. 桑名義治

    桑名義治君 建設大臣、いま三つの問題を概略ではございますが、指摘したわけですが、もうすでにこの問題は大臣も御存じの問題でございます。いま公団は値上げの問題等でいろいろ紛争もやっている時期でもございます。こうやった立場から大臣はこうやった問題についてどのように対処なさろうとお考えになっていらっしゃるのか、お伺いしておきたいと思います。
  104. 渡辺栄一

    国務大臣(渡辺栄一君) ただいまお話しの出ておりまする問題の中で、まだ一部私の耳に入っていない問題もございますが、いずれにいたしましても、このような問題が起きたということにつきましては、建設大臣としてはまことに遺憾と考えております。特に総裁に対しましては私からも厳重な注意をいたした次第でございますが、それにつきましていまお話しもありましたように、総裁みずから一カ月十分の一の減給措置をとっておりますし、いまお話しのございましたように、再びこのような事故を起こさないようにということにつきまして万全の措置を進めておりますので、それらの問題が完全に実行されまするよう、また、今後、再びこのような問題が起きませんように、私どもも十分監督をいたしてまいるつもりでございます。
  105. 桑名義治

    桑名義治君 このほかにまだ問題があるわけでございます。実際には、先ほどちょっと問題になっておりましたが、いわゆる現場従務旅費の問題、この問題もいろいろと国会の中でも論議をされたわけでございますが、当初の見積もりが四千七百六十九万円であったものが実際の実積額は四億八千万円であった、こういう問題も指摘をされているわけでございます。この一つ一つの問題を実際につぶさに私どもが知り得る範囲内で検討をいたしましても大変に問題が多いのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。  それと同時に、今回の予算委員会でわが党の質問の中でもございましたが、いわゆる建設省の職員が退職後も低家賃で公務員宿舎に居座りを続けておる、この件も六件にまたがっているわけでございます。  こういうふうに建設省あるいはまたそれに連なる関係のあるいわゆる公団、こうやったところにこういう問題がたくさん惹起するということは、いわゆる綱紀が緩んでいるのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、この問題を含めてもう一度大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
  106. 渡辺栄一

    国務大臣(渡辺栄一君) 私は、就任に当たりましても、公共事業費等多額の予算を執行いたしまする役所でございますので、特にそういう意味におきましては厳正、公正に執行するように、また、建設省に対しまする信頼と国民への親しみのある姿勢を堅持するように強く要請をいたしました。綱紀の粛正には格別力を入れておるところであります。したがって、このような問題が起きましたことは、先ほど申しましたように、私といたしましてはまことに遺憾と考えております。  なお、詳しい問題はいずれ官房長から御報告すると思いますが、建設関係の六名がなお入居しておるという問題につきましては、実態を申し上げますので御理解をいただきたいと思いますが、私どもといたしましては、そういう立場におきまして関係の公団等につきましても強く注意を喚起しておりまして、今後とも、このような問題が起きないように、また格別国民の信頼に値するような運営をいたしまするように強く指導、監督をしてまいる、そういう気持ちでおります。
  107. 桑名義治

    桑名義治君 住宅公団と宅開公団が統合されるというふうに報ぜられておるわけでございますが、この問題について住宅公団あるいは宅開公団の総裁の御意見をまず伺っておきたいと思います。
  108. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) かねて承っておりますが、建設大臣の御構想、宅開公団と住宅公団を統合して新たに住宅・宅地、都市開発等の機能を備えたよりよいものをつくって国民に対する住宅・宅地の供給あるいは都市整備に資しようという御構想を伺っただけでございまして、具体的なことはまだ建設省で御検討と伺っておりますが、この構想自体、私は、この際結構なお考えではないかと思います。それで建設大臣なり建設省の御検討の結果に沿うて、われわれも努力をいたしたいと考えておる次第です。
  109. 志村清一

    参考人(志村清一君) 午前中にもお答えいたしましたように、私ども政府関係機関の一つでございますので、政府の御方針にのっとり、国会の御決定に従って行動すべき立場にあろうかと存じますが、大臣の御構想を伺いますと、ただいま住宅公団の総裁からお話がございましたように、広範な都市づくり都市整備ということを目指す新たな組織であるように承知いたします。私どもも宅地の大量供給等新しい町づくりということを目標にして努力してまいったわけでございますが、こういったものが総合されまして、より高次の組織に脱皮をしていくということであろうかと存じます。具体的な内容につきましてはこれから御検討があるように伺っておりますが、それらにつきましても十分私どもの御意見も申し上げて、よりよき公団が発足できるように考えてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  110. 桑名義治

    桑名義治君 今回の統合につきましては、単なる統合だけではないと思います。したがいまして個々のこの統合にまでも結論がきましたその道程にはいろいろな論議もまたあったかとも思いますが、長期的な見通しに立って今回の公団の統合は考えていかなければならないと思います。  と申しますのは、宅開公団は五十年に発足してわずか四年しか経過をしてないわけでございますが、今回のこの統合に関しましては、行政改革という一つ方向づけも大きく作用したとは思いますけれども、しかしながら、いままでのこの四年間の仕事の内容をつぶさに検討さしていただきますと、やはりここらで統合するならば統合するという一つの理由があったなあと、こう私たちは思わざるを得ないわけでございます。  そこで、時代も大きく変化をするわけでございまして、統合の方向へ大体結論づけられていると思いますけれども、しかしながら、統合して新しい公団ができるならば、一つのビジョンなり一つ方向性は少なくとも私は確立しているのではないか、こういうふうに思います。そうやった立場から、今回統合される名称は、仮称ではございましょうが、都市整備公団と、こういうふうにつけられる、こういうふうに言うわけでございますが、新公団の機能と構想というもので現在の段階で発表でき得るものがあるならば、お話しを願いたいと思います。
  111. 渡辺栄一

    国務大臣(渡辺栄一君) ただいま仮称を都市整備公団ということにしておりますが、この新公団は住宅都市対策につきましての国民の強い要請に適確にこたえてまいりたいと思うのであります。特に住宅・宅地の供給、都市の再開発、新市街地の整備等の実施主体としてふさわしい機能を備えねばならないと考えておりますが、その具体化につきましては、今後、次官を中心といたしまする委員会を設置いたしまして検討いたしてまいりたい。そして昭和五十六年第四期住宅建設五カ年計画の発足に対応できるような準備をいたしたい、こういう考え方でございます。
  112. 桑名義治

    桑名義治君 大体、いつをめどにしてそうやった構想ができ上がるんですか。
  113. 丸山良仁

    政府委員(丸山良仁君) 先生承知のように、第四期住宅建設五カ年計画は五十六年度から発足するわけでございます。したがいまして、それに合わせてこの新公団の基本考えてまいりたい。こういうことになりますと、五十六年の一月から始まります国会に、新公団の法案を提出して御審議を賜りたいというようないま予定で検討を進める考えでございます。
  114. 桑名義治

    桑名義治君 建設大臣住宅公団の賃貸住宅を希望者に払い下げる、こういう方針を発表されたわけでございますが、まず第一に、その一つの理由は何であるかということをお伺いしたいと思います。  それから賃貸住宅は、勤労大衆に良質で、しかも安く提供するという趣旨で存在するのでございますが、払い下げるにはいろいろな問題が想定されます。いわゆる譲渡価格を初め都市中心地の恵まれた入居者と遠方の入居者、それから住宅管理の問題、それから払い下げも、既得権を持つ現入居者に限定しないで、特定の空き家をプールして一般にも抽せん制で分譲せよというまた声もございますが、これらの具体的な問題に対してはどういうふうに対処をされるようにお考えですか。
  115. 関口洋

    政府委員(関口洋君) 公団の払い下げ問題につきましては、いま先生指摘になられましたような条件整備という問題が確かにあろうかと思います。いままだ完全に詰めているわけではございませんが、考えられる問題としては、たとえば払い下げの単位、これは一棟単位にまとまっていることが必要じゃないかとか、あるいは譲渡対象とすべき住宅の決定基準、言ってみれば何年以上たったものを払い下げの対象とするとかいうような問題、あるいは御指摘のような譲渡価格だとか、そのほか管理上の問題につきまして、いろいろと検討すべき事項もあろうかと、かように考えております。それらの問題は、先ほど大臣が申されましたいわゆる両公団の統合に絡んで、省内に近く設立が予定されております次官を中心とする委員会において同時並行的に十分検討してまいりたい、かように考えております。
  116. 桑名義治

    桑名義治君 そうしますと、まだはっきりした方針は決まってないわけですね、いまから煮詰める段階ですね。
  117. 関口洋

    政府委員(関口洋君) 私は、大臣からこういう問題について十分検討するようにという御指示をいただいておりますので、ただいま申し上げましたようなことをお答えしたわけでございます。
  118. 桑名義治

    桑名義治君 いつごろからこの問題は実施段階に入ろうというふうにお考えですか。
  119. 関口洋

    政府委員(関口洋君) 先ほど申しましたように、両公団の統合問題を中心とする委員会におきまして御検討いただきたいと、かように思っておりますので、それらの問題の検討の結果、実施時期その他の見通しがつく、かように考えています。
  120. 桑名義治

    桑名義治君 そうすると、昭和五十六年度以降ということになるわけですか。
  121. 関口洋

    政府委員(関口洋君) 少なくとも五十五年度から実施するのはまだ早過ぎるのじゃないか。いま先生指摘のような問題の詰めを十分にやらにゃいけませんので、私どもはそういうふうに考えております。
  122. 桑名義治

    桑名義治君 だから五十六年度以降ということですか、というふうに聞いているんです。
  123. 関口洋

    政府委員(関口洋君) そのとおりでございます。
  124. 桑名義治

    桑名義治君 次に、モデル定住圏問題についてお伺いをしておきたいと思います。  八月に、三全総の定住構想具体化するものとして、東京等四都府県を除きまして、一県一つモデル定住圏が設定をされたわけでございます。で三全総の定住圏構想では二百から三百の圏域が想定をされているわけでございますが、今回はモデルということで全国四十圏域である。こういうわけでモデル定住圏のねらいはどこにあるか、まず、この点から伺っておきたいと思います。
  125. 園田清充

    国務大臣園田清充君) いま御指摘をいただきました定住圏構想が三全総の柱であることは申すまでもございません。そこで御指摘のとおり二百ないし三百の定住圏を想定しておるということも事実でございます。ただ、いま四十の地域を指定いたしておりますけれども、これは先生のいまの御発言の中にもございましたとおり、各地域環境条件に地域づくりへの取り組み方等を考えながら一つの先導的な役割りと申しましょうか、そういうことを考えて四十カ所をまず指定したということで、言いかえますと、先導的ということに比重を置いて実は指定をしておるわけでございます。
  126. 桑名義治

    桑名義治君 そこで、定住圏の圏域は、かねがね地方生活圏、これは建設省がよく言われていることでございますが、それと同時に広域市町村圏との兼ね合いが常に問題にされるわけでございます。これらに基づく計画といわゆるモデル定住圏の特別事業計画と複合することはないかどうかということが非党に心配されるわけでございますが、この点はどういうふうにお考えですか。
  127. 四柳修

    政府委員(四柳修君) お答え申し上げます。  地方生活圏を対象とします定住基盤の総合整備計画、これは昨年モデル地方生活圏の総合整備計画を改めたわけでございますが、これはモデル定住圏の公共基盤の整備計画というものでございまして、そういったものを中心とする計画でございます。それから新広域市町村の計画は、御案内のように、広域行政機構によります関係地域の総合的な地域整備計画、そういう仕組みでございます。  これに対しまして、モデル定住圏計画は、定住圏整備の目標あるいは基本的方向という点では、ただいま申し上げました各圏域の計画と圏域は一致する場合には一致すると思います。しかし、具体的な計画の内容等につきましては、モデル定住圏計画は圏域整備のための重要課題、特に重点事業中心とする特別事業でございますから、そういう点で関係各機関の協力のもとに実施したいという視点で作成するものでございます。
  128. 桑名義治

    桑名義治君 でモデル定住圏計画は大体いつごろ出そろうのか。また、圏域が希望する事業については来年度の予算に盛り込まれるのかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  129. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 現在、関係府県、あるいは県に置かれました計画策定のための機構でいろいろ検討中でございますが、私ども各県から聞いている感触を申し上げますと、大体、来年の六月ぐらいをめどに四十のうちの半分近くはつくりたい、早いところは本年度いっぱいというところはあろうかと思います。そういう形でやりますが、そういう過程の中で関係省庁の方も具体的な特別事業計画につきまして合同ヒヤリング等を行いますから、そういった合同ヒヤリング等をベースにいたしまして、来年度以降の事業につきましても、それぞれ関係省庁が所管いたします施策につきましてヒヤリングした結果をベースにしまして、積極的優先的に予算の措置あるいは個所づけ等を御配慮いただけるものと理解しております。
  130. 桑名義治

    桑名義治君 ただいまの答弁では、来年度の予算に盛り込まれる圏域もあるということですね。
  131. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 予算と圏域との関係といいますか、そういう点では、御案内のように、すでに要求を出しておりますから、その要求要求としまして、各圏域ごとにヒヤリングをいたしますと、その個所づけの問題としまして関係省庁それぞれ御了解いただける部分があろうかと思います。ですから、来年度以降の予算の実施の段階で、その具体的な個所の配分とか、そういった点につきましては優先的重点的に御配慮いただける、こういうことになろうかと思います。
  132. 桑名義治

    桑名義治君 そこでモデル定住圏の特別事業については助成のためのメニューが考えられるわけでございますが、もしメニューのようなもので示すと、従来と同じいわゆるひもつきの補助になる心配がありはしないか、あるいは地方の時代にふさわしい地域の自主性が発揮できないのではないか、こういう心配もあるわけでございますが、この点についてはどのようにお考えですか。
  133. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 御指摘のように、国の方からいわば補助金とか、そういったかっこうでメニューを示しますと、そのメニューに縛られましていま御懸念のような点があろうかと思いますが、このモデル定住圏計画は、国が助成のためのメニューを示すということではなくて、ただいまお話がございましたように、地方が自主的にそれぞれの圏域の整備の目標を定めまして、その実現のために必要な事業を御自分で選択される、こういうことでございますから、私どもの方も、あるいは関係省庁の方も、その各圏域が御自分で選定されました特別事業等を中心にしまして、それに御協力を申し上げるという形になろうかと思います。
  134. 桑名義治

    桑名義治君 いままでのいろいろな御説明の中で心配する点があるわけでございますが、実は、地域振興については地域立法が多数あります。で、それらはそれぞれ必要性に伴いまして制定されたものでございますが、たとえば過疎、山村、離島、豪雪地帯、こうやった地域のそれぞれの助成事業地域がダブって相互間の調整がとれずに効果を上げていないということが十月の行管庁の報告に指摘をされているわけであります。そこで定住圏は、当然、これらの地域指定とダブることがまた多いと思われるわけでございますが、地域整備については効果を上げるようなものにする必要があるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。この点についてはどのようにお考えですか。
  135. 四柳修

    政府委員(四柳修君) ただいまお話しございました過疎、山村、離島、豪雪地帯といったような地域につきましては、御案内のように、それぞれの振興策につきまして時代の要請ですとか、各地域の特殊性ですとか、いわゆる社会的経済的な諸情勢に対応しましていままで講じられてまいりましたが、それぞれの地域はどちらかといいますと市町村なり市町村の中の細分されました旧町村でございます。そういう意味では今度の定住圏計画はもう少し広い範囲になりますけれども、いずれにいたしましても、いままでの計画はそれぞれの法律で定めました目的なり効果をいろいろ上げてまいりましたが、今後は、やはりいまお話しにございます定住圏的な物の考え方あるいは広域的な物の考え方の中でそれらを適切に指導してまいらなくちゃならない、そういう考えでおりまして、とりわけ定住圏の中での中心となります地方都市と、いま御指摘がございました各地域は、どちらかといいますと、離島におきまして、その周りにございます周辺の農山漁村でございまして、そういったところの関係一体的な整備を図るという意味から、現在の各地域につきましても、事業の選択なり、あるいは計画の見直しなり、そういった形で適切に指導してまいりたいと考えております。
  136. 桑名義治

    桑名義治君 いずれにしましても、過去には地方生活圏それから広域市町村圏、こうやった問題があったわけでございますが、それにまたモデル定住圏という、こういう一つ構想が浮かび上がり、これが実施段階に入っているわけでございます。いろいろなこういう計画が立案されながら、あるいはまた実施されながら、問題はこうやった一つ一つが完全に有機的に動かなければ意味がない、こういうふうに思うわけでございます。そうやった意味で、慎重にそれぞれの所管の部分とよく話し合いをした上で、実効ある構想であるように努めていただきたい、こういうふうに思う次第でございます。  それから次の問題でございますが、福岡県の小竹町の工業団地の問題について、過日、私この場で質問をしておったわけでございますが、前回の質問で、地域振興整備公団の方では二百三十三ヘクタールが最終案であることがわかったわけでございますが、この団地の早期完成のために地元との協力を強めて促進をする、こういう御答弁があったわけでございます。現在、どういうふうになっているのか、御説明を願いたいと思います。
  137. 黒田四郎

    参考人(黒田四郎君) 小竹団地につきましては、先生承知のとおり、計画面積が二百三十四ヘクタールでございまして、現在、小竹町土地開発公社の協力を得まして用地買収を進めておるところでございます。昭和五十四年八月末現在で申し上げますと、小竹町土地開発公社が地権者と譲渡契約を締結いたしました土地は約七十一ヘクタールでございまして、これは民有地買収計画面積に対しまして約五四%と、こういうことになっておるわけでありますが、こういうようなことにつきましては、地権者の中に代替地を要求していらっしゃる方もいらっしゃるわけでありまして、したがいまして土地を手放したくない、こういうふうにおっしゃる方たちもいらっしゃいます関係からいたしまして、地権者の皆さん方との関係において手間暇がかかっておる次第でございます。  それで私たちの方といたしましては、とにかく買収をするということが先決問題でございますけれども、その農地の面積というものが非常に多いということと、加えまして地権者の方の数も大変多いところからいたしまして、非常に数多くの困難な問題を抱えておるわけでございますが、今後とも、地元小竹町と緊密な連絡をとりまして、そして努力をしてまいりたいと思います。  なお、御質問の点につきましては、公団といたしましては、用地買収の推移というものを十分に踏まえまして、そして小竹町当局とも十分協議しながら、用地の造成ということについてできる限り早く造成をいたしたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  138. 桑名義治

    桑名義治君 前回の委員会の御答弁の中では、年内に用地の買収が大体完了するだろう、こういうふうにお話があっておったわけでございますが、ただいまの御答弁をお聞きすると、これは大変に無理な状況になった、こういうような御答弁があったわけです。十二月末までにこうやった用地の買収が終わらないとするならば、可能性考えながら、また次の計画を立てていかなければならないのではないかというふうな局面もまた出てくるおそれもあるようにも感じられるわけでございますが、その点はどういうふうにお考えですか。
  139. 黒田四郎

    参考人(黒田四郎君) 一応、小竹町土地開発公社に対しまして、本年の十二月末ということで買収完了期日をお願いしておるわけでありますけれども、現在の段階におきましては、このようなことでございますので、それは非常に困難な問題でございますから、今後は、さらに小竹町の方たちと連絡をとりまして、そして先ほど申し上げました代替地の問題をどのように解決するか、そういうような問題につきまして十分話し合いをいたしまして、用地買収の推移を踏まえました段階で、小竹町当局とも協議しながらやっていきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  140. 桑名義治

    桑名義治君 いずれにしましても、この問題は大変に延び延びになった問題でございますから、地元も大変に困っております。したがいまして最終的にどのような形にするかということをよく御相談いただきまして、一日も早く解決の方向努力をしていただきたいと思います。  時間も来ましたので、もうわずかでございますので、もう一問だけお尋ねをして終わりたいと思います。  最近、地価が再び大変な高騰を続けておるわけでございます。四十七年、四十八年の狂乱地価の再現が心配をされておるわけでございますが、国土庁の発表の地価動向調査でも、東京圏住宅地は三カ月で過去最高の四・四%も上昇している、年率では一七・六%の上昇になっている、こういうふうに発表をされているわけでございます。ここに至って、政府も、これまでのおおむね安定的に推移という楽観論が、やや高くなっている、こういう認識に変わっているやにも見受けられるわけでございますが、この地価の安定という問題は、あらゆる面において非常に重要な問題だと思うわけでございますが、この問題に対してどういうふうに対処をされようとお考えになっていらっしゃるのか、これを伺っておきたいと思います。
  141. 園田清充

    国務大臣園田清充君) ただいま御指摘がございました問題でございますけれども、確かに強含みで動いていることは事実でございます。  そこで地価安定のための施策といたしましては、基本的には大都市への人口産業の集中を抑制するとともに、地方への定住を促進して過密、過疎を解消する。同時に、当面の課題といたしましては、投機的な土地取引の抑制を図りつつ、これとあわせて宅地供給の促進を図ることでございます。このために国土利用計画法の適確な運用あるいは地価調査体制の整備計画的な宅地供給の促進などの施策を総合的に講じていくことが必要であると考えます。  特に、国土庁といたしましては、引き続き国土利用計画法の適確な運用を行うとともに、大都市地域においては、必要に応じ農業的土地利用の継続を確保しつつ、宅地化の促進を図るため、市街化区域内の農地等の土地利用転換の推進に関する制度の創設ということを検討いたしておるわけでございます。次に、宅地供給促進の観点からの土地税制の改正をあわせて図ってまいりたいと考えて、いま鋭意検討を加えておるところでございます。  以上が考えておる当面の地価の高騰に対する対策でございますが、いずれにいたしましても、需給のバランスを欠いておるということに問題がございますので、どう宅地の供給をふやしていくかということに、いま申し上げましたような旋策を織りまぜながら展開をしてまいりたいと考えております。
  142. 桑名義治

    桑名義治君 いろいろなことをいま読み上げられたわけでございますけれども、まず、基本になる公示価格の設定というものが非常におくれておるということ、後追いをしているということが問題の一つではないかと思うのです。と申しますのは、政府調査や認識というものが楽観的で、民間の調査や取引の実情からしますと、実勢と大きなずれがある。こういうずれを基礎にしながら対策を打っていく、こういうところに、いわゆる認識の異なる、ずれというものが対策のおくれにつながっていく、こういう一つの見方というものも私はあるんじゃなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。  いずれにしましても、この土地問題というものは、都市の改造問題あるいはまた住宅問題、いろいろな問題に大きな関係性を持っておるわけでございますので、真剣にこの問題は取り組んでいただきたいということを要望して、質問を終わりたいと思います。
  143. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、きょう、住宅公団の不正経理問題、それから尾根幹線問題、それから山王ホテル、それからサンシャイン60の戦犯跡地の記念碑問題と四つ質問がありますので、私もなるべく簡潔に質問いたしますが、御答弁の方もなるべく簡潔にお願いしたいと思います。  まず、住宅公団の職員に支給されております現場従務旅費がいろいろ問題になっておりますけれども、これは五七年から設けられていて、当初は公団団地の建設や造成現場の見回りなどに支給されていたのが、その後、二十年の間に実際上手当の性格としてずっとなってきたということなんですね。  われわれの調査によりますと、労働組合側はこの旅費を手当にしてくれということですっきりした改善を求めていた。ところが、公団側の経理部門がこれに応じないで、形式は旅費だ、実質は手当という不可解な経理処理をずっと維持してきた。会計検査院はこの経理処理が非常に不合理だというので照会したところが、公団側はあくまで旅費説だと、それを唱えたために、結局、筋が通らなくなって今回の改善命令に発展したということなんですね。これはむしろこういう経過は労働組合側の要求にこたえない処理の仕方に問題があったのではないかと思うんですけれども、会計検査院どうですか。この旅費問題では事実はやっぱりこういうことでしょうか。
  144. 西川和行

    説明員(西川和行君) お答えいたします。  旅費を一律に支給しているという事実だけをもちまして、私どもも、これを直ちに手当であると言えない面があったわけでございます。と申しますのは、この旅費は現場従務旅費規程及びその運用方針に基づきまして、距離、時間にかかわりなく従務地に勤務する職員に支給できる取り扱いとなっております。また、旅行の事実を示すものが整備されない運用となっております。そこで、公団に対しましてこの旅費をどのように考えるか、今後どのように処理するかの方針について質問を発したのでございますが、公団としては旅費として経理の適正を期する、そういう回答を得たのでございます。
  145. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうですか、公団側、労働組合との長い折衝経過があるわけですけれども、事実がこういうことだとすれば、今後、この問題でむしろ手当制度として適切にきちんと支給する筋を通すべきだと思うんですが、いかがでしょう。
  146. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) いま御指摘のありました現場従務旅費は、昭和三十九年以来、長年にわたって公団の旅費の規程に基づきまして支給してきたものであります。最近、現場の従務旅費的な扱い方、運用というものが、局に昇格したりしまして機構が大きくなりますと、そういった取り扱いの面においてアンバランスが生じたというような事実もありまして、いま会計検査院から御指摘のありましたような運用改善の要請がなされておるわけでございます。  私どもとしましては、これは従前から長い間旅費として扱ってきており、手当というふうな感じを持っておりませんし、これは組合との交渉事項にも相なるわけでございますけれども、公団の方からはこれを手当として説明したことはございません。旅費として支給しているという説明をしてまいっておりますし、また現にこういう規程に基づく旅費でございます。
  147. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それなら、現場職員千二百人だけじゃなくて、現場と関係のない管理職にまでこれが支給されていたんじゃないですか。それだったら、やっぱり手当という内容を持っていたことは明らかであって、あなた方はじゃ形式は旅費で、実質は手当という見解は一回も持ったことないんですか。
  148. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) ただいま大塩理事から申し上げましたように、いろいろな発生の理由がございます。最初は、非常に細かいいろんなものを旅費として、しかも便宜な処理の方法でスタートしたものだと思います、組合との協定事項で。しかし、その後、いろんな移り変わりの中でこういう制度もマンネリ化して、旅費としての処理としては不適当な処理の仕方の部分がちょぼちょぼ出てきた。そういう点はこれは旅費としては不適正な、適当でない処理の仕方である、会計検査院の御指摘のとおりだと思います。そういうところを改めて旅費としてきちんと処理するという方向でやったらどうかというのが今度の要請と受けとめまして、私どもは、そういう方法でやっていこうと思います。もちろん、これは組合と協定をし直さなければなりません。ですから十分話し合って改善してまいりたいと考えておるわけでございます。
  149. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 実は、この問題も、今度いろいろ問題になってきた公団の経理の仕方のあいまいさ、いいかげんさ、その一つのあらわれだと思うので、ぜひ労働組合側ともきちんと協議して、世論も納得のいく筋の通った処理をお願いしたいと思います。  次に、土路問題ですね。きょう午前中からいろいろ審議が進んでおりますけれども、先ほどもこの協力者といいますか、このほかにもいろいろ関係した人がいる、誤解してやった人もいるという話がありました。新聞によりますと、約四十名いろいろいると。新聞を見ると、請求書を出すときに、会議の名目として、こういう会議をやったというにせの起案書を出して、それにひとつ判をくれということを言ったというのですね。そういう人が約四十人にも上るというのですけれども、実際大体そういう内容ですか。
  150. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) この事件につきましては、土路が会計課に在職しておりました期間中及びその後監事付室に移りましてから、合わせまして二十一カ月にわたって行ったその請求書の中には、他の部局に頼んで、会計課にいたときのやつがおくれてきたからとか等々の理由でこれを誤信させて頼んで判をつかした、起案してもらったというような事実がございまして、私ども、そういう事実をたどって調べてまいりますと大体三十件ぐらいと思っております。
  151. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうもそうやって頼んでくるとわりに気軽に罪の意識なしに判を押してしまうという方が三十件出ているというわけですね。これも乱脈ぶりというのかな、それがもうマンネリ化している、もう罪の意識もどっかへ麻痺してしまっているという状況一つのあらわれだと思うんですね。  読売新聞の十月二十六日付によりますと、土路は上司と豪遊というようになっておるのですね。私ども調査でも四、五人の常連で飲み歩いていた。あなたの出した文書でも百二十三件、千五百七十三万円というのでしょう。これはひとりで飲んでいるわけじゃないのでね、ひとりで飲んだら余りおいしくもないし、だれと一体飲み歩いていたのか、上司は一体だれなのかという点については、あなた方の再発防止委員会、現役の部長とかそういう人の報道もありますけれども調査していますか。
  152. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) 二十九日に、事件発生以後、委員会を設けまして、再発防止及びこの不祥事件の調査ということで委員会を発足させておりますが、その後、捜査当局の捜査によりまして現在捜査中であり、書類等も押収されております。そういうことで、だれと飲み歩いたかというような事実関係の究明につきましては限界がございまして、現在捜査中の段階でありますので、公団なりの調査は進めておりますけれども、これをつまびらかにできない事情下にある次第でございます。なお、しかし、追起訴も行われておりますし、それらの資料等も見ました上で、さらに調査を進めていきたいというふうに考えております。
  153. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 先ほども幾つか問題になりましたが、たとえばある報道では、林良香管理部次長、これは新宿のクラブ「瓶」というところでKDDの例の問題になった佐藤社長室長と競い合っていた。銀行から借金するのに保証人にまでなってやったという報道もある。それから読売新聞の十一月十一日付には、別の件で二千万円に及ぶ架空振り込みですね、これが大きな記事で載っておるわけで、大塩さんはこれをまさか読まなかったと言われないでしょう。こういう問題についてはどうですか、調査していますか。
  154. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) それらの事件につきましても、先ほどの一緒に飲食した者があるかというような事実関係と同時に、その都度われわれなりの調査をしておりますが、何分にも先ほど申し上げましたような状況下にありますので、その詳細というか、事実関係は明らかでございません。  それから、林君の「瓶」というところにつきましても、そのような争ったとかなんとかというような事実が報道されておりますけれども、そのような事実はないというふうに、いまのところ、考えております。
  155. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 捜査の進展を待っているということですけれども、そうすると、土路個人の問題じゃなくて、飲み歩いたのもいそうだし、まだ架空口座もあるようですし、かなり構造的なもののように思うんですね。  あなた方は、最初、土路を依願退職という措置をとろうとしたし、大塩さん自身も外に知られたくなかったということを読売に語っている。ひそかに自分たちの間で処理をしてしまおうということをしたんでしょう。あなた方は、土路のにせ請求書について、相手が会計検査院となっているにせ請求書があったので、あわててこれを改ざんしたという事実も私どもの赤旗が調べて書いてあるけれども、そういう事実はあったんじゃないですか、これはあくまで隠し通そうとしたんじゃないですか。
  156. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) この事実を知った十八日以後、私どもはできる限り本人とも接触しまして、大体二十日ごろに不正の事実があるなという確信を得て、本人の前の夜に出されておりました依頼免を受理することに決めたのでありまして、それは本人がそういう主査という要職にあるようなことから会計資料にタッチするというような立場にあることから、これをやはりそういう職から一日も早く離した方がいいというふうな判断に基づいて受理したものでございまして、御質問のように、これを隠したいとか、あるいは穏便にというふうな気持ちを持って行ったものではございません。  当時、二十日ごろにつきましては、事実関係は今日言われておるような、その後進展しておりますようなことはその当時は不十分でございまして、事実関係は明らかでございませんでしたが、土路の自供等により、金額も違いますけれども、確かにそういう不正はあるというふうに考えまして、依願免の受理をし、さらに退職金を保留することによって、その後の調査にまっていこうというふうに考えたものでございます。
  157. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 読売には、あなたは「絶句した。」と書かれて「外に漏れないようにと念願していたのだが」とはっきり述べているわけですね。私はやはり氷山の一角だと思うんですね、土路問題は。  総裁、この間、参議院の予算委員会で、私どもの内藤委員からのヤミ会議費の問題であなたがお答えになって、積算内訳は四千七百万円、これは五十三年度ですね、ところが決算では四億一千百万円というお答えをされました。約九倍に上っていたわけですね。これがかなり大蔵省建設省あるいは公団内部の飲み食いに使われていたという事実もすでに明白になって、あなたはテレビにも放映されている中で国民に謝罪されたわけです。私はこれだけではないように思うんですね。  公団の費用の中に、募集宣伝費というのがありますね。新規募集宣伝費、空き家募集宣伝費、これは空き家問題が大きくなってからますますふえたと思うんですけれども、五年前には大体この宣伝費はどのくらいだったか、それからいまどのぐらいの宣伝費になっているか、大体の額でいいですから言ってください。
  158. 星野孝俊

    参考人(星野孝俊君) 先生指摘のように、公団の経費の中に募集宣伝費という経費がございます。ただいまのところ五十年度以前の実績につきましてはちょっと私どもの方で調べがついておりませんので、その点はちょっと御勘弁いただきますが、わかっております実績を申し上げますと、五十一年度が七億二千八百万円、五十二年度が十三億九千二百万円、五十三年度が二十二億六千二百万円、このようなことになっております。
  159. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 つまり三年間に三倍になっているんですね。  これは節を見ますと、一から七まであるんですけれども、一から六までは大体広告料とかなんとかいろいろあるんで、ここは省くとして、七に、その他募集のための諸経費というのがあるんですね。この七は、五十三年度二十二億六千二百万円の中で、どのくらいに上っていますか。
  160. 星野孝俊

    参考人(星野孝俊君) 募集宣伝費といいますのは、実は、この中に先生のおっしゃるようにいろんな経費が入っております。
  161. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 七だけでいい。
  162. 星野孝俊

    参考人(星野孝俊君) 確かに、その中に募集の打ち合わせのための会議に必要とする経費も一部含まれているわけでございますが、その金額につきましては現在のところわかりません。
  163. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 会計検査院にお伺いします。この募集宣伝費で飲み食いすることは許されていますか。
  164. 西川和行

    説明員(西川和行君) お答えいたします。  ただいま先生の御指摘のように、募集のための諸経費というものがございますので、それは金額その他に節度はあるかと思いますが、一応、そういうことでこういう賃貸住宅等の募集に伴う会議は執行できるものと考えております。
  165. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今度、新たにこういう会議で飲み食いは極力やめるということを言われたわけだけど、それを決めるまでの話ですからね、これは。大体一割を飲み食いしているだろうというふうに見られているんですね。そうすると、空き家問題が大変な問題になって、三年前の七億円が二十二億になって、一割で二億円ですよ。二億円の飲み食いを、これも大蔵省建設省あるいは空き家募集なんで自治体の幹部と言われています。それから特に公団の内部の飲み食いがこれでかなり行われているという話もあるし証言もあるんですね。しかも、聞いてみると、この七について内訳はわかりませんと、二十二億も金を使っていてわからないんですか、大体のこともわかりませんか、いかがです。
  166. 星野孝俊

    参考人(星野孝俊君) 実は、この予算の組み方でございますが、募集宣伝費は公団予算の経理の整理上節となっておりますが、その節の内訳の中に、たとえば新聞広告、テレビスポットの広告、あるいは電車、バスの中づり広告、新聞折り込みチラシ、募集案内リーフレット作成、その他いろいろの事業を総合的にやることになっていまして、その一つの中に、それらの事業を具体的に実施するための間接的な経費としてただいまの経費が含まれているわけでございまして、したがいまして一本になっちゃっておるものですから、具体的にわからぬわけでございます。
  167. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 まことに太っ腹なもので、二十二億円ですね、一本になっている、中身はわからぬと、とにかくちょっと考えられぬことが起きているんですね。  どうですか、会計検査院、このヤミ会議費の問題、それから募集宣伝費の問題、かなり疑惑が出ている、会議費だけで四億円でしょう。いまので一割と言われたって二億円でしょう。合わせて六億円に達するのですね。これは会計検査院として厳しい検査をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  168. 西川和行

    説明員(西川和行君) お答えいたします。  最近、住宅公団で会議費の不正使用事件などが発覚するなど、会議費につき問題があると認められますので、御指摘募集宣伝費にかかる会議費を含めまして、今後、十分留意して検査する所存でございます。
  169. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ひとつ厳しく、国民注視の問題ですので、やっていただきたいと思います。  で大蔵省の方にお伺いしますけれども、先ほどのヤミ会議費の問題で、積算内訳と実績と九倍の開きがある、これは知っていたはずだと思うのですね。日本住宅公団の経理担当の理事も経理部長も大蔵省出身の方なんですね。いかがですか、大蔵省は、これずうっと毎年こういう状況だったと思うのですけれども、御存じだったと思うのだけれども、こういうでたらめなものをそのまま承認していたのですか。
  170. 保田博

    説明員(保田博君) お答えいたします。  大蔵省が公団の予算につきまして関与いたしますのは、先生承知のように、予算を款項に分かちまして、その款項の予算について、ある年度についてどれほどの金額を認めるべきかということを建設大臣が御認可なさいますときに、われわれの方に協議があるわけであります。款項と申しますのは、それぞれ経費の大きい目的、たとえば住宅……
  171. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それはいいです。だから、知っていたかどうかということ。九倍に上るということ、実績と。
  172. 保田博

    説明員(保田博君) 詳しいことはよく存じません。
  173. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は信じないんですね。われわれの調査では、大体いまこのぐらい会議費を使っているということを大蔵省も知っていると。しかし、予算を出すときに九分の一出すわけですよ。あんまり前年度に比べて実績を出すといきなり予算要求がふえてしまうので、形としてずうっとこういうことをやっていたのですという事実を、われわれそういう証言を得ていますけれども、私は、実際は大蔵省も御存じだったし、建設省も監督官庁として御存じだったと思う。  じゃ、なぜそういうことがいままで問題になってこなかったかというと、この間、予算委員会で内藤議員も具体的な例で挙げましたように、大蔵省建設省の方々がこの会議費で接待を受けていた。内藤さんが持ち出した例は、八人で三十一万円、一人四万円の飲み食いの具体的な例が出たわけでしょう。自分たちが接待される金額なので、監督する側の建設省も大蔵省もきわめて甘かったのではないか。いま御答弁のあった方が接待されたかどうか、私はそれは知りませんけれども、しかし、こういう人の関連の中でそういう腐敗した関係が、だれも黙ったまま、そのまま続いていたという事実関係がかなり長期にわたって根強くつくり上げられていた、そういう構造的なものだということはほぼ明らかになってきていると思うのです。その点で日本住宅公団に対する建設省の監理官、井上孝夫監理官が赤旗の記者のインタビューで認めているわけですけれども、やっぱり接待を受けたことを認めている。キャバレーには行かないけれども、料亭では受けた、その際家賃問題も話に出ているのだということまで認められているわけですね。  そういう接待を受けたときに、タクシー代も公団のタクシー代で持ってもらっておるということで、さらにわれわれの調査では「マル大」というのは大蔵省でしょう、「マル建」というのは建設省で、公団側はそういう建設省用と大蔵省用のチケットをつくって渡して、使ってもらっていたというのですな。これもまた驚くべき話で、何を監督していたのかと思うのですが、公団、タクシー代は一年間でどのぐらいに上っていますか。
  174. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) 年によって違いますし、また月によって繁閑があると思いますけれども、タクシー代は、連絡とか残業とか、そういった深夜に使うことを大体その主目的としておりまして、建設省との連絡等のようなときに深夜に及ぶことがあったような場合に、預けて使っていただいて、後で返していただくという制度であります。
  175. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 金額を聞いている、金額を。
  176. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) その金額は、場合によって違いますけれども、月大体一千万円程度だと思います。
  177. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 われわれの調査では、月千二百万円、一億四千万円という数字が出ているのですね。本社は六百人しかいないでしょう、それで一億四千万円で月千二百万円、一日四十万円ですよ。これは東京のタクシー代を払うところとしては十本の指に入るという金額ですよ。調査によりますと、昼食を食いに日比谷の松本楼に行く、歩いて十分のところでもハイヤーで行っているという実例さえある。この一億四千万円、月千二百万円、あなた一千万円と言われたけれども、その半分は建設省、大蔵省などに支払っているという証言が出ているのですね。これはもうとにかく、いかにこういう飲み食い汚職が構造的なものか大臣もよく聞いていただきたいのです。総裁もやっぱり聞いていただきたいですね。そういうことがあなた方が監督しているところで行われている。大蔵省と公団の間でチケットまで渡しているというのでしょう。  それでどうです、チケットを大蔵省建設省に渡すと、半券が戻ってくるという制度でしょう。その半券はありますか、保存してありますか。半分の券が戻ってくる、チケットがね、公団に。
  178. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) 請求書と半券との確認を行いました後、三カ月程度保存いたしまして、その後は順次処分することにしております。
  179. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 三カ月。
  180. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) はい。
  181. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 じゃ三カ月前まではあるのですね。
  182. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) そうです。
  183. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 三カ月前まである。じゃ三カ月、その戻ってきた半券を大蔵省建設省などの官庁に仕分けして、どのぐらい本当に渡していたかということをこの委員会に、後日でいいですけれども、報告していただきたいと思うのです。
  184. 大塩洋一郎

    参考人大塩洋一郎君) 調べてみることにいたします。
  185. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私、若干訂正します。先ほど、このタクシー代の半分が官庁用と言ったのはこれ間違いで、飲み食いのときにうちへ戻ってくる、半分は帰宅の交通費だと、委員長、訂正さしていただきたいと思います。  四月、五月、六月分というのは、私ども調査によると、この半券は焼却されている。先ほど三カ月しか保存していないというので、その前のものはそうやって焼却しているので、われわれが確認したのも普通のその焼却だったかもしれませんけれども、こういうところにも本当に、あなた方が使っているのは公団の家賃なんですから、そういうことをきちんとやっていただきたいと思うのです。建設大臣、いかがですか。監督官庁として、こういう飲み食いの接待を受けた上でチケットまで公団からもらっているという事実についてどうお考えになりますか。建設省としても必要なものはちゃんとタクシー代が出ているのでしょう。
  186. 関口洋

    政府委員(関口洋君) 大臣お答えの前に、私から事情を説明さしていただきたいと思います。  ただいま飲み食いであるとか、足代の問題につきまして先生いろいろと御指摘なさいましたのですが、率直に申しまして、私の考え方では、飲み食いにつきましても非常に慎重に節度を持って応対してきたし、過去においても応対しておったというふうに私自身は感じております。プライベートの関係で公団のいわゆる会議費を使うというようなことはもちろんございませんし、公団と建設省との会議というのも庁舎内で行うことを原則といたしまして、料亭等でもし仮に行うとしても、これは非常に例外的な場合についてだけ行われていたものと、かように考えております。  それから、ただいま御指摘のタクシー券の問題でございますが、先ほど公団の大塩理事から御答弁がございましたように、使用も非常に限られておるわけでございます。その辺の事情は何とぞおくみ取りのほどをお願いしたいと思います。
  187. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そういう事情は絶対含みませんよ。これだけ問題になっておるから、私は質問しておるんでね、そういう事情を含んでほしいとか、いままで原則的にきちんとやっていたというような答弁は全然納得できない。そういうことをここでこれだけ事実を出しているのに平然と住宅局長が答弁するというのがいけないんですね。大臣、いかがですか。
  188. 渡辺栄一

    国務大臣(渡辺栄一君) 私は、たびたび申し上げておりますように、建設大臣就任に当たりまして、特に綱紀の粛正、なお事業の執行に当たりましても公正、厳正に執行するように強く要請しておるわけでありまして、今回、このようなことが起こりましたことにつきましては、まことに遺憾と存じております。  なお、公団は、行為者本人につきましては懲戒免職とし、また監督者につきましては停職及び減給を行っておりますが、私は厳正に行っておるものと思いますけれども、さらに総裁には私から厳重に実は注意をいたしました。総裁みずから及び担当理事が減給一カ月十分の一の処分をいたしまして、経営者としての責任を示しておりますけれども、公団本来の使命感に立って、私ども、しっかり指導、監督をしてまいりたい、こう思っております。
  189. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 総裁の月給を一月十分の一減らしたそうですが、それだけでは足らないと思うんですね。私は、公団家賃の値上げの撤回を、やっぱりこの際、こういう不正経理に照らして反省としてまずやるべきだと思う。会議費でしょう、それから募集宣伝費でしょう、タクシー代でしょう、全部原資は公団の家賃ですよ、それで公団というのは運営されているんですからね。  それで、いかがですか、こういう不公正なものをほうっておいて、不公正是正ということを目的にして公団家賃のああいう値上げをやったわけですね。私も、この建設委員会でいままで十回取り上げて質問してきました。いろんな問題があるのに、御自分の方のこういうインチキなこと、めちゃくちゃなことはそのままにして平然とやってきたわけでしょう。あなたの、総裁の月給の十分の一をやめるなんというのは反省の本当のあれにならぬと思うんだな。やっぱり社会問題として、こういうめちゃくちゃな使い方をしてきたことの本当の反省としては、まず公団家賃を値上げする前に、こういう不公正を正すということを本気でやらなければ、大問題が起きるのは私は当然だと思うんですが、総裁、いかがですか。
  190. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 冒頭申し上げましたように、公団は非常に重要なことをやっておりますがゆえに、特に綱紀の厳正な保持ということについては格段の注意を払っておったのであります。ここに御指摘のような、御指摘の全部が私そのとおりと思いませんけれども、いろんな御指摘あるいは疑いのあるようなことが起こってまいりました。それから、たとえば先ほどのヤミ会議費という四億一千百万円、これはヤミではないんでありまして、公然と正規の会議費にのせた公団の予算でございます。積算内訳というのは十年来少しも変わっていない、四千七、八百万円。これは実情にかけ離れたものでありまして、予算編成上、経過的に必要なもののようでございます。私、その辺の技術的なことは存じませんが、そういうふうなこともありまして、四億何がしと四千八百万との差がヤミ会議費であるというように言われますと、はなはだ困る、実情に沿わないと私は思うのであります。  いずれにしても、土路のような事件とか、不適正な処理とか、これは出てまいっておるのでありまして、これはもうまことに申しわけない、率直に謝るほかいたし方がない、そしてしかもこういうことは二度と起きないように断然たる措置をとる。私、公団の改善を頼まれ、引き受けて二年になります、真剣にやってまいったのであります。それだけにこういう事件が起こったということは、私としては、まことに残念でございます。しかし、それをいきなり家賃値上げと結びつけて、家賃値上げを撤回すべきであるということについては、私は違うと申し上げざるを得ない。これは国民に対する負担と申しますか、六十万戸に及ぶ公団の賃貸住宅の家賃がどうあるべきかという大きい観点から示さるべきものでありまして、こういう問題が起こったことについてはまことに身の縮む思いではありますけれども、それとこれとを区別して処理してまいりたい。それだけになおさら今後は厳正な綱紀の維持に努めていかなければならない、このように私は考えておる次第でございます。
  191. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、特殊法人の予算、決算ですね、これはやっぱり国会で審議、承認するということをすべきだというように思うのですね、鉄建公団、KDDそれから住宅公団の問題を含めて。  ひとつ大臣にぜひ要望したいんですが、今度、私、建設関係の特殊法人の会議費と交際費、これについて資料要求をしたんですけれども、提出していただけなかったんですね。やはりこの積算内訳、それから決算ですね、交際費、会議費、これをぜひ建設関係の特殊法人について資料を出せるよう、ひとつ建設省として御努力いただきたいんですが、いかがでしょう。
  192. 丸山良仁

    政府委員(丸山良仁君) 公団予算につきましては、先ほどからお話のございますように、款項で認可することになっておりまして、会議費は項の再細分である節として計上されております。したがいまして公団総裁の自主的な判断で会議費は予算を組むことができることになっているわけでございまして、したがいまして、先生からの要求に対しましては、実施予算の実績と予算実施計画の金額をお出ししたわけでございます。  先ほどから御議論のございますように、予算内訳というのは必ずしも実態を反映していない、また、これが直ちに予算の実施計画を左右するものではないという判断のもとに、われわれはこのような予算実施計画を出させていただいたわけでございまして、積算内訳については御容赦を願いたいと存ずる次第でございます。
  193. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは異論もありますけれども、時間がありませんので、住宅公団の問題はこれで終わって、尾根幹線問題に移りたいと思います。  新聞その他でも大問題になったんですが、十月二十六日に工事強行が行われて、三十一日には少なくない、たとえば三人のけが人も出るという状況になった問題ですね。これは多摩ニュータウンの永山、諏訪地区での道路工事にかかわる問題ですが、非常に残念な事態だと思うのです。  それで、私、十月三十一日に、この問題で強行着工をやめろということを抗議に参りましたときに、今野理事が私に会いまして、十月五日に説明会が行われた、その説明会というのは自治会長にわずか二日前に連絡があって行われて、十五分の一方的な説明でガードマンに守られて退去してしまったというきわめて一方的な説明会だったんですよ。その際、問題はガードマンの中に警官がいた、私服がいたという自治会側からの私どもへの訴えなんですね。今野理事に私は詰めた。そうしたら、日野署に前もって連絡をしますので、日野署の署員がいた可能性がある、公団の作業服を日野署の署員にお貸しした可能性もあると言って、事実上、その説明会に日野署の警察官を公団の作業服を着せて入れていた事実を、可能性があるという言い方で認められたんですね。私は、こういうやり方が今度の問題をああいうけが人まで出るような、とんでもない事態にしていると思うのですね。  やっぱり主婦も中心に多いそういいう自治会の活動の人たちに対する説明会に、警察官を入れるというやり方は、大衆運動に対する警察の——警察というのは、いろいろスパイをやったり、名前を知ったり、顔を見たり、いろいろなことをやるわけですよ。そういうところに警官を入れて、いままで戦後何回問題になったかわからぬでしょう。それを今野理事は認めているんでしょう、そういうことをやったと。認められましたな。今後、こういうことは一切やめていただきたいと、まず思うのですけれども、いかがでしょう。
  194. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 最初に、私から一言。  この尾根幹線問題につきましては、大変先生にも御心配をいただいたのでございます。ただ、私、最近いろいろこの問題について考えてみまして、どうも尾根幹線の問題と側道の問題を混同されている……
  195. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ちょっと待ってください。私はそんなことは聞いてない。
  196. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) いやいや、そういうことでいろいろエキサイトして……
  197. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だから警察を入れたことについてどう思うかと、やめろということを聞いているのですから。
  198. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) そういう意味で、その辺の説得なり説明なり、これをよくやって、そうしていろいろないま御指摘のようなトラブルが起きないように今後も努力をしていくべきだと思っておりますので、あとその細かい点は今野理事からお答えいたします。
  199. 今野博

    参考人(今野博君) 弁明がましいことになりますが、その日に先生がおいでになりまして私とお話をしましたことの内容でございますが、テープレコーダーにとっておればよかったといま思っておりますが、私、そうういうふうに申し上げたつもりはございません。  私は、実は先生には非常に建設委員会でお世話になっておりますし、いろいろ腹を割ってお話をしたつもりでございます。したがいまして、先生がこういう事実がある、こういう事実があるがどう思うかと、こういう御質問でございまして、私は、それに対して、もしそれが事実とするならばこういうことでございましょうかというように申し上げました。
  200. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 可能性があると言われた。
  201. 今野博

    参考人(今野博君) いや、先生が事実だとおっしゃるから、もし事実ならばこうでありましょうと、たとえば余り事態が混乱しないように警察の方があるいは配慮したのかもしれませんねというふうに私は申し上げまして、私の方で警官の出動を要請したり、被服を貸与して張り込ませたりというようなことは事実としてございませんので、先生とお話を申し上げました後で、局の方に確かめましたところ、そういう事実はないということでございましたので、改めてひとつ御了解いただきたいと思います。
  202. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あなたは、あのとき、私の強制着工をやめろというのに対して、やむを得ない、多摩市も要望しておるのでやると、けが人が出てもやむを得ないと言われたのですね。  それで、その後、どうです。私ちょっと写真を持ってきましたがね、これは十一月十六日です。この画面の下に足を出している主婦の方が倒れているのですよ。鉄のハンマーをふるっているのですよ、この職員が。これでけが人が出るのですね。どうです、これハンマーをふるってやっている。これを大臣見てください。(写真を手渡す)これも主婦の方ですね。こういう鉄のハンマーをふるって主婦のピケットを張っている人たちに対して公団の職員がやっているでしょう。今野理事は私に言ったでしょう、けが人が出てもやむを得ないと。私は三人出たので抗議に行った、やめろと言って。しかし、やらなきゃならぬことだからやむを得ないと。テープレコーダがなかったから、あなたは言わなかったと言われるかもしれぬけれども、私も聞いているし、私の秘書も聞いているのですよ。あなた方がそういう方針だからハンマーをふるうのですよ。強制着工を、そういう騒動を起こしてまで、やっぱりあくまでけが人が出てもやるというおつもりですか。
  203. 今野博

    参考人(今野博君) 私は、当日は、こういうけが人が出たことは非常に残念なことでございますというふうに申し上げました。私どもは、これは総裁とも十分お話をしておりますが、できる限りとにかくがまんにがまんを重ねて、けがをさせるな、けがをするな、無用なトラブルは避けろ、こういう指示を現地の方にしてございます。先生お話しのように、はっきりした数字ではございませんが、六、七名の方にけが人があったように報告を受けておりますが、これは当方は絶対に手出しをしない、そういう方針でガードマンに囲ませて仕事をしたわけでございます。したがいまして、報告によりますと、住民の方々がその中に割り込んできて、それでけがをした。  この写真はどういうあれかわかりませんが、滑って転んだとか、あるいは番線で手をひっかいたとか、そういうけががあったようでございます。これは私としましては非常に残念なことである、以後、こういうふうにけが人の出ないようにしっかりしろと現場を叱咤しておるところでございます。
  204. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そのハンマーをふるった人を調べてほしいんですがね、きちんとした手を打ってほしいと思うんです。
  205. 今野博

    参考人(今野博君) この写真を私初めて拝見いたしまして、ガードマンか労務者かよくわかりませんが、よく調べてみたいと思います。
  206. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この尾根幹線は、御存じと思いますけれども、調布から多摩市、町田市まで十六・六キロで、昭和四十四年に都市計画決定になっているんですね。それで最大幅員が五十八メートルで、だから五十八メートルなので全部やれば八車線になるという広さになるわけです。で永山、諏訪地区の住宅から一番近いところで二十メートルしかないわけです。  で一般論として公団にお伺いしたいんですが、この多摩幹線の問題と離れて、皆さん方公団住宅を大変おつくりになって、これは非常にいいことなんだが、公団住宅をずっとつくられてきた経験からいって、八車線が二十メートルのところに通る、これは一般的にいいと思いますか、総裁、いかがです。
  207. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 現時点での交通の問題、スピードの問題等を考えますと、二十メートルでは不適当だと、これは明らかだと思います。  ただ、これをつくったときには事情やむを得なかったんじゃないかという感じがいたします。したがって家はできてしまったから今度はその尾根幹線をどうするか、こちらに公害をできるだけ少なくするためにはどういう尾根幹線を、将来、これは大分先になると思いますが、どうしたらいいかということに研究の重点を置くべきだというふうに考えるわけでございます。
  208. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 珍しく意見が接近してきたんですけれども、これは昭和四十四年なんですね、この都市計画決定が。公害問題が日本じゅうで大問題になって、公害国会なども開かれたのはその後ですね。だから昭和四十四年にこの二〇メートルのところに八車線という幅員五十八メートルの都市計画決定をしたんだが、その後の状況、公害問題の大問題になったこと、それからこういう環境問題、交通問題の激化、自動車のふえ方から言ってやっぱり見直すべきだと思うんですね、都市計画決定になっておるけれども、八車線というのは。それを本当にやっぱり見直さなきゃならぬ。かつて決めたからといって、もう変わってきたら見直すべきなんですよ、その見直しを住民は求めているわけでしょう。ところが、それに対してはっきりした回答が出ない。東京都も出ない、公団も出ない。公団はとにかく道路をつくらされるんだというので側道の工事を強行される。東京都側も明確な答えが出ない。だから住民はいまの南側道をつくられたら、中央のところに、これは本当に都市計画決定になるんだから、八車線に将来なっちゃうんじゃないか、だからせっかくわれわれが引っ越して住んでいるこのニュータウンが大変なことになるというので必死になって皆さんやっておるわけですよ。私は、住民環境を守りたいという気持ちは、これはもうきわめて当然のことだと思うんですね。  建設省、いかがです、新住宅市街地開発事業としてやられているわけでしょう。これは本当に理想的なニュータウンをつくる事業なんだから、多摩ニュータウンに八車線というこの計画ですね、これはやっぱり明らかに適当でないんだと思うんで、かつて都市計画決定になったとしても、これを多摩ニュータウンを本当に住みよい環境にするために根本的な見直しをするその指導建設省としてやっぱりイニシアチブを発揮すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  209. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) この都市計画決定でございますが、中央部の四車線部分につきましては計画決定はいたしております。しかし、事業認可もまだもちろん出ておりません。したがって事業主体がどこになるかということも全く未定の状態でございます。ただ、両側の二車線ずつの側道、これにつきましては新住法によりまして住宅公団が事業主体ということで先ほど来御論議のような経緯をたどっております。これはバスルート等のニュータウンの生活道路として必要だということで、現在すでに御承知のように六万人ぐらいの市民が住んでおるわけでございますから、そういうことで公団が先に施工してきておる。  それで繰り返して申し上げますが、真ん中の四車線の部分、これは将来、これだけの三十数万の大都市になるわけでございます、また多摩地域全般の交通にとっては、これは多摩地域全般の情勢の変化によりまして見直す必要が出てくるわけでございますが、その場合におきまして、これのいかなる使い道が最も妥当であるかということは、その状況の変化に対応して検討しなくちゃいかぬ。そこで、あくまでこれは四車線の道路、幹線道路を必ず通すということで事業認可もするということに決まっておるわけではないわけであります。  これは将来の仮定の問題でございますが、たとえばモノレールあるいは新交通システム等を通すというふうなこともあり得ましょうし、また、これもたとえばでございますが、将来の交通のネットワークの関係からにらみまして、ここに両側に防音あるいは公害防止のための植樹帯を設置するとか、あるいは土手を築くとかいうふうなことも可能性としてはあり得るわけでございまして、いずれにいたしましても、四車線の中央部分に必ず相当の交通量を収容するための、自動車を通すための道路としてこれを必ずやるんだというふうなことは全く白紙の状態でございます。あくまでこれは将来における交通の需要に対処してどういうふうな対応をすればいいかということは未定のままで、いわばよく言われます公共用地の先取りと、しかも交通施設用ということに限定はされておりますけれども、そういうことで計画決定されたものでございまして、あくまで今後の問題でございます。
  210. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 まだ白紙だというので、将来、じゃ次々とあしたに一城夕べに一城抜かれてしまうのではないかと、住民はやっぱり権力というものの押しつけ方はいろいろ体験されているので当然の不安を持つわけですね。将来白紙で、まだ事業認可されていないんだということだけではだめなわけで、建設省として将来こうしますということもまだ言えないでしょうけれども、しかし、あの地域については四十四年の時点の問題で非常に不適当な点もあるし、本当に環境アセスメントも実施するし、環境を守るために本当に努力するという約束ぐらいは、そういうことを東京都、公団も含めて、あるいは多摩市も含めて、させるという指導はできるだろうと思うんですね。  いま問題になっているのは、南の側道、北の側道で、北の側道についてはきのうも市議会で問題になりまして、状況が変わらぬ限り、いま使ってないんですね、一般供用はしないということを多摩市側は答えているんですよ。われわれはむしろ廃止すべきだと思っていますけれどもね。北の側道にはこういうふうにするとか、それから中央については事業認可はいまどうこうするということじゃないけれども、やっぱり住民が当然の不安を持つわけだから、それに対してきちんと安心できるような、そういう措置建設省として取りまとめたり、あるいは行政指導をしたり、東京都に対しても公団に対しても、あるいは多摩市にしても、あるいは住民との協議に一役演ずるとか、何らかこれだけ大問題になっているので、ぜひ積極的な住民の意思を体した対処の仕方を建設省としてお願いしたいと思うんですけれども大臣、最後にこの問題をお願いしたいと思いますが。
  211. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) 将来におきまして、この四車線部分の具体的な計画を決定しなきゃならぬという場合には、御趣旨のような点も十分踏まえまして、都の方からの事業認可の申請に対応してまいりたいというふうに考えます。
  212. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 将来、都が事業認可を出したときにどう対応するというんじゃなくて、いま少し乗り出すべきではないかということなんですけれども
  213. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、先ほど来申し上げているように、事業主体も未定である、また、どういう使い方をすべきであるということも、今後、相当な期間にわたる多摩地域及びニュータウンの情勢の変化等々を踏まえた上で、これを決めなきゃならぬということでございますので、この住宅のすぐ近くに、先ほど公団の総裁も御答弁されましたような、大きな公害が発生するような交通施設をつくっていいのかというふうな問題は確かにあると私も思いますので、そういう点も十分踏まえまして、その必要な時点において必要な対応をしてまいりたい、こういうことでございます。
  214. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それじゃ公団の総裁も局長も、あの団地の非常に近いところにたとえば八車線というような公害発生の道路が通ることは不適当だという点を認められたので、ぜひこの点で適切な、また誠実な処理をお願いしたいと思います。  次に、また進みまして、少し駆け足でまいりますが、米軍ホテル問題ですね、山王ホテルの問題に移りたいと思います。  私は、五月の二十九日のこの委員会で米軍山王ホテルの南麻布への移転問題を質問いたしました。七月五日に私も現地に参りまして現地を調査し、また住民の方々との懇談会もいたしました。その後、十月に入ってから防衛施設庁、それから安立電気、それから住民の方々の三者協議会が三回行われて、この十二月の十一日に第五回目の三者協議会が開かれるということになっていて、どうやら強行着工の気配が大分強まっている感じがしているわけでございます。  五月二十九日に、私は、救仁郷住宅局長、当時住宅局長は救仁郷さんでしたが、それから渡海建設相から、私の質問に対して、防衛庁長官ともこの問題について話し合いをするという答弁をいただきましたが、その後、どうなっているでしょうか。
  215. 関口洋

    政府委員(関口洋君) 渡海建設大臣は防衛庁長官と相談をされまして、それでことしの六月の初めだったと思いますが、私どもの建築基準法を所管している担当部局に対して防衛施設庁の方からかなり具体的な内容を含んだ御相談を受けております。
  216. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は前回の質問のときにも指摘したんですが、やっぱりまず第一に環境問題なんですね。  現在の山王ホテルの周りは、半径五百メートルの間に飲食店、レストランが八〇%を占めているという環境です。ところが、南麻布は半径五百メートルで飲食店は二軒しかない。で幼稚園、学校など本当に静かな住宅地区で、そこにいま持ってくるということでその環境を守れという住民の運動が一番の基本であります。それから風紀問題も起きますし、米軍犯罪も起きます。六月八日に、有名な事件ですけれども、山王ホテルから信号弾が米兵によって首相官邸に投げ込まれたという事件が起きました。あれはその後捜査結果を調べますと、未成年だったので不起訴ということになっているのですね。こういう状況なんです。  で防衛施設庁の方お見えになっていますか。——安全自動車のときの裁判記録を見ますと、被告、つまり国ですね、国の発言で、いまの山王ホテルを使うのは日本に来る米軍ですな、こういうふうになっていますね「日本国内に駐留する米軍人が日本国外へ移動する場合、駐留その他の目的のため米軍人が日本国外から日本国内に入国した場合、もしくは日本国内で米軍人が移動する場合等に」泊まるとなっているのですね。あのベトナム戦争が起きたとき、ベトナムからアメリカへ帰る米軍人が山王ホテルに泊まったと、そういう事実はもちろんあったでしょうね。
  217. 作原信一郎

    説明員作原信一郎君) お答えいたします。  ベトナムからの軍人が泊まったかどうかという具体的な事実については、私ども確認しておりません。
  218. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 確認してないんですか。山王ホテルがどういうふうに使われていたか、米軍のどういう人が使って、どういうときに使われているか一切調べてないんですか。これだけ大問題になって、どういう米軍人がここに泊まるのかということを住民に答えなきゃならぬのに、過去の使われ方は全く調べてないんですか。
  219. 作原信一郎

    説明員作原信一郎君) 山王の利用の方法については米側に問い合わせて調べておりますが、ベトナム戦争当時、具体的に戦争から引き揚げてきた者が使ったかどうかというふうな事実については承知しておりません。
  220. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 つまり、あなた方は米軍に何を聞いているのかということですね。住民が一番心配しているのは風紀問題ですよ。  ベトナム戦争なんかをやって気の荒れた米兵があそこへ泊まる、そういうようなことでいろんな問題が起きているわけでしょう。米軍事故というのはそういうので起きるんですから。だから、一般的にどういうときに泊まるかなんという抽象的なことを米軍から聞いてもだめなんで、米軍がどういう使い方を具体的にして、どういう連中が泊まるのかと、信号弾を投げ込むような人だっているわけだから。で事件を起こさないようなことになっているのかどうかということをあなた方は調べなきゃいかぬでしょう。どうも全く調べてないということを私は確認したいと思いますね。  それから、次に、この使用主目的についての条件。イ、最寄り駅から徒歩で十分。ロ、ヘリポートから車で十五分。ハ、アメリカ大使館に近い。その三つが必要条件だというんですが、これは米軍からの厳しい条件なんですか、出されている。
  221. 作原信一郎

    説明員作原信一郎君) いま先生指摘のありました条件については米軍からの条件でございます。  現在、検討しております施設は、現在あります現山王施設の代替施設でございまして、新規に建てる施設ではございません。したがいまして米軍といたしましては、現在の施設で十分間に合っているわけでありまして、日本側の都合で明け渡して新しい施設に移るということでございますので、現在の施設の具備している条件を、当然、代替施設においても具備したいというのが非常に強い米側の姿勢でございまして、いまの三条件にいたしましても、現在の施設とほぼ同じような条件ということでございます。
  222. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 防衛施設庁が住民側に文書で回答しているのがありますね。この中にこう書いているんだな。昭和四十六年以後、国有地、民有地、民間ホテルについて数多く調査し、いろいろやったけれども、適当なものはないと。日本交通公社が発行した昭和五十四年一月における東京地区の航空写真をもとにくまなく空き地の現地調査もやった、しかし、ないというんでしょう。で安立電気だけだというのがあなた方の考えだけれども、これはいまの三条件の範囲で調べれば、ないということなんですか。
  223. 作原信一郎

    説明員作原信一郎君) その三条件のもとでということでございます。
  224. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 じゃ三条件の範囲を崩せばホテルの一つぐらいいろいろあるでしょう、建てられる場所は。
  225. 作原信一郎

    説明員作原信一郎君) 三条件の前提を崩せばあるいはあるかもしれません。
  226. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 結局、そういうことなんですね。首都に米軍基地がこんなにあるのは世界じゅうで日本だけなんですよ、横田基地を初めね。首都のど真ん中に米軍用のホテルを提供しているのも、あれ占領中なんですから、日本だけですよ。  それと全く同じ条件を日本側のあれだから、ひとつどっかへ同じ条件のを探すと言われて、最寄り駅から十分、ヘリポートから十五分、それから大使館に近いと、その条件をそのままのんで、それで探したら安立電気だと。それで安立電気というのは防衛庁といろいろ関係を持っているんでしょう。安立電気から防衛庁にどのぐらい納入があるんですか。
  227. 作原信一郎

    説明員作原信一郎君) 安立電気から防衛庁へ納入している額はどれくらいという御質問でございますが、私ども承知しておりません。
  228. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 安立電気という会社は、戦争中から防衛産業をずっとやっていた会社で、いまでも電電公社、防衛庁、建設省、警察庁、道路公団、こういうところに納入している会社なんです。防衛庁と非常に関係が深いわけでしょう。だから米軍の言い分を全部のんで、防衛庁と一番関係の深い安立電気にひとつ安く提供させて、それであそこしかない、あそこしかないとあなたは言われているわけであります。  去年の三月二十二日、参議院予算委員会で、うちの山中議員が質問しまして、米軍が公務中に引き起こした事故が戦後三万六千件あって、そのうち死亡者が四百八十六人出た、その死亡者についてアメリカは軍事裁判をしたことがあるかと聞いたら、法務省の答えで、一件もありませんと。日本人を五百人ぐらい殺しておいて、アメリカは軍事裁判を一回も開いていない、懲戒処分もしたかどうかも何ら通告もありませんというので、議場が一時シーンとなって、ざわめきが起きた。瀬戸山法務大臣は私ももう驚いた、厳重にそれは調べますと言っているのですよ。そのぐらいの占領中のやり方で、日本政府というのは五百人日本人が殺されても、殺したアメリカの軍人の裁判を一回もしていないというやり方を許してきているわけなんです。もっと日本政府というのはこういう問題で自主性を持たなきゃいかぬですよ。  占領中と全く同じ考えで、米軍のをそのままのんで、東京の都心のど真ん中に、米軍のベトナム帰りやなんかのそういう兵隊にそのまま提供できる場所はありません、住民もそんなことはのめませんということを、どうして防衛施設庁あるいは政府は言わないんですか、米軍に。全く仰せのとおり、仰せのとおり。それで住民に無理やり押しつけようということをしていて、こういう問題が起きているんだと私は思うのですね。  それで裁判の和解の結果、期限は来年の十二月ですね、和解調書にその期限を守れなかった場合の規定がありますか。
  229. 作原信一郎

    説明員作原信一郎君) 期限を守らなかった場合の具体的な措置については規定しておりません。
  230. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私どもも調べました。最高裁に行って和解調書を出してくれと言ったら、当事者が出せばというので、しかし裁判所では出させないというのでいただけなかったんですけれども、防衛施設庁に参りまして聞きましたところ、和解調書の中身はこうなっているんだと、これは防衛施設庁施設取得第一課石野庄二課長補佐の話です。六月の二十七日です。  和解調書の中身は、一、五年を目途に米軍から引き渡しを受け、安全自動車に返す、五年を目途に。二、安全自動車は貸し賃を受領する。三、五年の間安全自動車は他に売ったりしない。この三点。これに違約した場合の取り決めはしていないということなんですね。  それで、あなた方は、だから来年の十二月がリミットだ、リミットだと。調べれば安立電気しかないということでもう本当に強制着工しようとされておりますけれども住民も反対で、地元の区議会も去年の十二月一日に請願を満場一致で決めているんですね、だから移転反対を決めているわけです。今度、十一月の十九日に、米軍施設建設に関する意見書を本会議で満場一致決めた。で防衛施設長官あてに「貴職におかれましては、住民との十分な話し合いがつくまで着工を見合わせる等、特段のご配慮を賜わりますよう強く要望いたします。」これは二回目の区議会本会議での満場一致の意見書です。  こういうものが出ているときに、どうされますか。強行着工は絶対できないと、区議会からもこういうのが出ている。住民との話し合いでもまだまだ大問題がうんと残っているというときに、米軍の言うとおりに強制着工をさせるというようなことはまさかされないでしょうね。
  231. 作原信一郎

    説明員作原信一郎君) 私どもといたしましては、現山王ホテルと同等の機能を持った施設を継続して提供することは安保条約上の義務でございまして、一日も早く建てて提供するという立場にございます。したがいまして地元に対しまして安立電気跡地でぜひ建てさせていただきたいということをお願いしているところでございます。
  232. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 時間が過ぎまして、もうすぐ終わります。  安保条約上の義務ったって、安保条約第十条でやめると言えばやめれるものなんですよ。安保条約ではそんなこと決まっていやしないですよ、いまの山王ホテルと同じものを提供するなんということはね。  最後に、建設大臣ね、私、この前も、これは大問題なのでということを申し上げたんですけれども、やはりここまで来ておりまして、本当に建設省が都市環境問題、それから住民の要望の問題、都市計画の問題上、区議会、地元でもそういう二回もの決議が行われている状況の中で、この問題をいまの安立電気のところにつくるという強行を押し通すんじゃなくて、政府としても、裁判の結果に基づいて来年十二月に延びることだってできるわけなんで、違約規定はないわけなんですから、どこかにいまの場所と違うところをひとつ探すと、国有地でも何でもいろいろあるはずなんですね。いまの三条件、米軍の出した三条件にしがみついているから、あそこしかないないと言われているわけだから、ひとつ建設大臣としても、この問題で本当に適切な解決の方向を目指す努力を、別の場所を探すとかということに乗り出すべきだ。その点で、もう一度、防衛庁長官との話し合いをぜひお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  233. 渡辺栄一

    国務大臣(渡辺栄一君) お答えしますが、ただいまの御質問に対しましては、これは防衛庁の方がいろいろお考えになることだと思いますが、いままでの経過としましては、良好な町づくりを推進するための現行の制度としましては御承知のとおりでありまして、都市計画法によりまして用途地域の指定を行う。これに基づきまして建築基準法で建築物の用途、形態等の規制を行うという形になっております。当ホテルの建設につきましては、先ほども説明がありましたが、去る六月の初め、防衛施設庁から事務当局に対しまして建設計画の内容について説明がございまして、これにつきましては建築基準法の規定に適合している旨の回答を行っておるようでございます。したがいまして、私といたしましては、なお今後とも事態の推移に応じまして、防衛施設庁から御相談があれば応じてまいりたい、かように考えております。
  234. 浜本万三

    委員長浜本万三君) それでは本件に対する本日の質疑はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十一分散会