○渋谷邦彦君 本日、
大臣就任以来初めて、先ほど来から所信を交えての
質疑を通して伺っていたわけでございますが、従来の自民党
政府の一貫した
外交方針というものを再確認をさしていただいた。それを基調にしながら、今後
日本外交の展開を推進していきたいという願望を込めて述べられたように伺いました。確かに、昨今
日本を取り巻く諸情勢は大変厳しいものがあることは言うまでもありませんし、厳しいと同時に、激変する
世界情勢に今後どう
対応していかなければならないのかという、大変山積する課題を抱えながら一九八〇年代を迎えなければならない、こういう段階であろうかというふうに思うわけでございます。その前途必ずしも容易でないことは、先ほど来の
質疑を通しましても、改めてそうした深刻さというものを実感するわけであります。
で、きょうは限られた時間の範囲で、あれもこれもということは大変不可能でございますし、対米問題、あるいは対ソ
関係、あるいは中南米、中近東、アフリカ、あるいはオーストラリア、ニュージーランド等々、あるいはASEANと、まあ大きく分けましてもそういった今後の
日本外交のあるべき姿というものはいかにお
考えになっていらっしゃるか、当然お伺いしたいところでございます。そうした中から、いま当面している問題を一、二拾い出しまして、さらに確認をしながらお尋ねをしてまいりたいというふうに思うわけでございます。
日本としては大変宿命的な油の問題については、永久にこれから
日本の国が存在する以上続くであろうということは大変悲しい現象だと思うんでありますが、それだけに揺るぎない体制をここに築き上げていくということも新しい
一つの
外交の課題ではなかろうかと。先ほ
ども答弁を伺っておりまして、物事が発生してからの
対応しかできないということを非常に残念がっておられた、そういうお答えがございました。それは現状の
外務省の機能ではむずかしいことは、何回もこの
外務委員会を通しまして私も提唱いたしましたし、まあそうした問題から本当は根本的に改革を図りませんと、いま大来さんが描いているそういう発想の展開というものは容易ならぬことであろうというふうに、私はむしろ同情的に申し上げたいわけでございます。
中近東の問題も、この数年来、特にオイルパニックが起こった以後において改めてその見直しを迫られるということから、にわかに対中近東の政策はいかにあるべきかということを取り組まざるを得ないと、まあ常に後手に回るという、
日本外交にとっては大変芳しくないそういう経過を経てきておることも、あえて私がここで申し上げずとも十分お
感じになっている点ではなかろうかというふうに思うわけであります。そうしたことから、むしろいろんな環境というものの
一つの流れの中で先取りをしていくというような、むしろそういうこれからの
外交というものが非常に強く望まれるであろう。一方においては気がねをしながら、ただ頭を下げればそれで事が済むんだということではもう
対応できないというふうに思うんでありますが、その顕著な例が、実は、今回大来さんがパリに行かれたときに、バンス国務長官との会談の際に、
外務大臣が言われたということは、
日本国を代表して行っておられるわけでございますので、なじられたということは、われわれに対しても大変遺憾千万な
発言というふうに受けとめざるを得ないわけであります。言うなれば
日本国民の神経を逆なでするようなことを、バンス国務長官はあえてあの席を通して、
日本の対イラン政策を通して言わなければならなかったのか。そして大来さんがお帰りになってから、去る十四日ですか、
大平総理は
閣議においてアメリカに対する
日本の立場というものについての意思表示をなさっているわけです。これなんかも
考えてみますと、言われてからというようなことでは大変腑に落ちない。フランスなんかの場合は、すでに伝えられるところによりますと、了解を得て油の購入を宣言しているというような経過もあるわけです。
日本の場合、どうしてそういうようなことが常に指弾を受け、批判をされながら、それにまた改めて弁解がましいことを言わざるを得ないのかと、大変不思議でならないという
感じがしてならないわけであります。今後、こういった
状況というものは、
日本外交の腰がすわってない限り、繰り返し繰り返し手を変え品を変えして、あるいはアメリカあたりから
日本に対する大変厳しい、いわれなき
要求というものが行われてくるんではないだろうかということを大変心配するわけです。
先ほど来から、イランからの原油の買い付けについて、高値購入はけしからぬということで非難を受けた、これにはこれなりのその背景があったはずですね。先ほ
ども御答弁の中にありました。米国のいわゆるメジャーが
日本に対して日量百万バレル以上の削減をした、そうした背景のもとにどうしてもやはり高値の物を買わざるを得なかったという、あるいは高値の物を買わなくても済んだのかもしれないけれ
ども、買わざるを得なかったという理由があったかもしれない、
必要性があったかもしれない、そういったことがどうして――巻き返してアメリカに対してむしろ正当な
一つの理由として、あなたの方にもそういう問題点があったのと違うかというようなことで、やはり対等に話し合いというものはなされていいはずなんだけれ
ども、どうもいろいろと伝えられている
状況を
判断いたしますと、こちらが受け身になっている。これは非常にやはり私は遺憾なことであろう。
牛場さんが帰られてからの話がいま伝えられておりますけれ
ども、一応、アメリカ国民のいわゆる
日本の対イラン政策については鎮静化をしたと。しかし、特に急先鋒と言われる、どなただったですか、下院のオニール議員ですか、これなんかはやはり相当強硬な意見を持っている一人であって、必ずしも前途楽観を許せないというようなその印象を通して、そのお気持ちを述べられておられるわけであります。こういったことが果たして今後、いま申し上げたように、
日本政府のただ一片の弁解でアメリカが納得し得るものであるのかどうなのか、今後どういうことが起こると予想されるのかどうなのか、いろんなことが
考えられるわけです。
幸いにしてパーレビがアメリカを出国いたしましてパナマへ向かった、大分イランの
状況も変わった、あるいは年内に人質の解放が行われるかもしれない、そうすると事態の好転が予測されるかもしれない等々、いろんなことがいま伝えられております。しかし、裁判は避けられないということも伝えられております。そういう中で、
日本も同盟国として当然足並みをそろえてやるべきではないかというような強硬な主張というものがやはりまた繰り返されて起こる可能性というものがありはしまいか等々、いろんな想定が
考えられるわけですね。そういったことを総合して、今後の
日本の対イラン政策がアメリカのそういう感情というものを刺激しないような方向に取り組める自信があるのかどうなのか、これを再度お答えをいただければありがたいと思います。