○佐々木良作君 私は、民社党・
国民連合を代表いたしまして、
総理の
所信表明に対し、若干の
質問を行います。
総理は、
さきの
解散、総
選挙を曲がり角
解散と称されました。確かに激動の七〇年代が終わり、変革の八〇年代が始まろうといたしております。人々は、核と公害、
汚職と不公正のない社会に向かって、歴史の流れが変わることを
期待しております。
内の諸情勢は、
政治的にも
経済的にもまた社会的にも、いまや大きな変化のうねりを見せつつあります。
総理も、この歴史的諸情勢に
日本政治が正しく対応するために、今次
解散を曲がり角
解散と銘打ってこれを断行されたのでありましょう。しかし、その結果は、自民党勢力の敗退に伴い、党内派閥抗争は激化し、首班指名
選挙に二名の候補者を立てて争うという前代未聞の醜態をさらけ出し、ために政局は著しい混迷に陥り、長期にわたる
政治空白を招きました。歴史の
方向と
国民の要望に沿って、曲がり角を正しく曲がるための姿勢を整える目的を持って断行された
解散、総
選挙とは、およそ正反対の結果を招来したのであります。(
拍手)
大平総理の、
解散権を行使された
内閣総理大臣としての
責任はまことに重大であります。申しわけ的な
国民へのわび言葉ではなく、
総理が
解散、総
選挙にかけられた
期待とその結果との相違について事態を明確にし、
責任を明らかにした上で率直な御所見を述べられんことを望むものであります。(
拍手)
次に、
総理がその適切な処理をするためには絶対多数の威力が必要だと判断された昨今の
わが国重要
課題は、ますますむずかしくますます深さを増しつつありまするが、難産の上ようやく誕生いたしました第二次大平内閣の基盤は、失礼ながら、
解散前に比し、お世辞にも強化されたとは申せません。(
拍手)
政府としてやらなければならないことと、やり得る力とのギャップは一層
拡大されたのであります。
総理は、このギャップをどのような
政治手段で埋め、曲がり角的新時代の難問題処理に立ち向かわれるのか、その方針を承りたいのであります。その問題は、
総理として当面
最大の
課題でありましょうけれども、
国民にとってはより重要な
現実問題であります。しかとその方針を承りたいと存じます。
念のために申し上げますが、
所信演説で述べられたように「自民党と立場を異にする人々の
意見にも耳を傾ける」程度の対応では、すでに
総理が幹事長時代に実験済みのところであります。さればこそ絶対多数を求めて
解散、総
選挙を断行されたはずでありまするから、このことを申し添えた上で、確たる
答弁をお願いする次第であります。(
拍手)
次に、
総理は今回の組閣に当たって連合を模索されたと伺いますし、この問題は、八〇年代の
日本政治にとって重要な
課題でもあると
考えられまするので、この際、私は、一般的
政治論としての連合問題について、いささか具体的に私見を申し述べながら、
総理の御所見を伺います。
第一は、いわゆる連合の意味についてであります。
私は、連合とは一定の
政治課題を
推進するための政党間の
協力関係の設定とでも定義づけられないかと
考えるのであります。したがって、それには政党間の
協力関係を
国民の前に明らかにするための、たとえば共同提案、共同修正、または
政策協定などの形式的共同行為が多分必要となるでありましょう。
また、連合には、一議案、一法案ごとにそれを
実現するための部分的な連合から、数個の
政策体系を共同で
実現しようとする幅と量とを持つ連合、さらには諸
政策体系の総合的
実現を図るため包括的な
政治責任を共同にする連合政権まで、幾つかの形態が
考えられるでありましょうが、いずれの場合も、連合の接点となるものはあくまでも
政策でなければならぬと
考えるものであります。(
拍手)私が、かつて「
政策連合」という言葉に固執した理由もことにあります。
政策を離れて政権を維持し、または政権を奪取することを目的とした連合は、それは党利党略的野合とでも申すべきものでありまして、
国民と無関係のものであり、
政治の堕落、邪道とも断ずべきものであります。
大平総理の従来の連合的手法は、どうやら権力保持のための勢力補強手段か、もしくはせいぜい
国会運営上の便宜手段のごとくでございまするが、真意はいかがでございましょうか。
総理の連合論に対する識見と同時に、
理解の仕方を明らかにされんことを望みます。
二番目に、いわゆる連合時代の
基本認識について伺います。
欧州先進諸国におきましては、すでに本格的な連合時代に入っておると言われます。ある
調査によれば、欧州議会制民主主義国の戦後政権はその多くが連合政権であり、特に四十カ月以上続いた長期安定政権の八〇%までが連合政権とのことでございます。そして、それらの連合政権がよって立つ客観的基盤となっているのは、
一つは、一般に価値観が多様化し、
国民の要求が多元化してきた結果、一党支配的体制では
国民要望が満たされにくくなったこと、二つには、外交、防衛の面からも、
経済、通貨などの面からも、客観的情勢が余りにも重大深刻化し、党利党略が優先しがちな政党の対立抗争を許さない情勢になってきたことのようでございます。これが
国民をして連合政権を選択せしめ、政党側もこれに対応せざるを得なくなって、欧州のこのような連合時代をば形成しておると
考えられるのであります。
このような連合政権の客観的基盤や
国民の要望が、
日本では欧州と比べ、そんなに大きく異なっているとは
考えられません。
総理が絶対多数の力によって乗り切ろうと判断された国の
内外の諸情勢の困難がそのことを物語っておりまするし、各種世論
調査においても、
わが国においても七〇%以上が連合政権を望んでいるもののごとくであります。今後
わが国においても、連合ないし連合時代の到来、少なくともその客観的基盤の成熟は必須であると言わざるを得ません。
しかるにもかかわらず、
わが国の場合、欧州先進国との重大な差異が、政党側にあるように
考えるのであります。連立政権への客観的基盤の成熟にもかかわらず、それに対応する政党側の主体的条件がいまだ成熟しているとは言いがたいからであります。
このような矛盾に対してどのように対応すべきかを含めて、連合時代の到来という問題に対する
総理の
基本認識を伺いたいと存じます。(
拍手)
次に、私は、当面する
政治課題について、問題提起の立場から重点的に伺います。
すべての諸
課題の大前提は、どなたも触れられておりまするように、
政治倫理の
確立と公務員の綱紀粛正にあることは言うまでもございません。この点についての
総理の
所信表明並びに御
答弁は、言葉としてはまことにりっぱ過ぎるほどでもございます。われわれも対策的提案はすでに幾たびか繰り返したところでありまして、要は真剣な取り組みにあるのみであります。私は、同僚
質問との重複を避け、いまは
大平総理の今後の姿勢を厳重に監視し続ける態度を表明するにとどめます。
当面の
課題の第一は、八〇年代の最初の年に当たります来年度
予算案編成についての
基本的姿勢についてであります。
総理の公約は、自然増収は優先的に国債の減額に回し、当然増的経費や緊要な新規
政策に充てる財源は、既定経費の徹底的洗い直しと
歳入面の不公平是正とによって生み出すという方針でございました。私は、まずこの
総理の方針が変わりないか、その方針を堅持されておるかどうかを改めて確認する意味において、
総理の
決意表明を求めます。そして、その方針の上に立って、第一に徹底的な行財政改革への着手、第二に
日本型
福祉国家への創造作業の開始、第三に
エネルギー及び
食糧の安定確保
政策の策定の三つの重点施策の
実行を求めます。
総理は、
財政再建について、その問題の出し方を誤りました。そのために、
財政再建そのものをも混迷化させました。その
政治責任はきわめて重大であります。
財政再建の入口は、民間の場合と同様、あくまでも経費節減であり、したがって、行財政改革の断行こそがすべてに優先するものであります。(
拍手)このことは今回の総
選挙において示された最も明白なる
国民意思でもあります。行革の具体案はすでにわが党におきましてもたびたび発表しておりまするし、
選挙中の公開
質問の形でも明らかにしております。また、民間労働組合を含め、各方面からまさに出尽くしの感さえあります。残されているのは
政府の決断だけであります。私は、
大平総理がこの問題につき、まさに
政治生命をかけられるべきことを直言するものであります。(
拍手)
政府は、かつて
昭和二十九年度
予算編成に際しまして、一兆円
予算の大目標を掲げ、あらゆる抵抗を排除し、既定経費に大なたをふるってみごとに成功いたしました。私は、二十九年の例にならって、補助金
整理のための特別立法も考慮すべきことを提案しますとともに、行革の実施には、まず隗より始める意味をもって、大蔵
大臣、あなたは、まずみずからの地方財務局と府県財務部の
廃止を、また
行管庁長官は同庁所管の地方出先機関の
廃止を、まず
決意さるべきであることを勧告するものであります。(
拍手)
総理並びに大蔵
大臣の明快なる
答弁をお願いいたします。
次に、
高齢化社会への第一歩といたしまして、定年延長、基礎年金構想、
老人医療の
制度確立を求めるものであります。
先ほども話がありましたように、
行政費の徹底的切り詰めの要求にもかかわらず、原則的に
福祉後退は許さるべきではありません。
基本的に
日本型
福祉社会建設目標のほかに、特に今日的
課題として、高度成長がもたらした生活格差の是正のため、
福祉はその唯一のとりでであり、同時に、景気後退防止のための大切な大衆購買力の一源泉でもあります。特に、
高齢化社会への対応は遷延を許しません。
総理の
責任ある
答弁を求めます。
次は、
エネルギー対策であります。
総理は、きのう、きょう、最近たびたびにわたりまして、当面の
石油輸入について楽観的見通しを示され続けておりますが、上期
輸入を支えたものは、御承知のとおり、スポット買いによる買いあさりであります。そして、最近メジャーによる供給削減が急展開しておりますが、その中で、契約更改期が迫っておる事情を
考えられるならば、今後の
輸入量確保こそは決して容易ではございません。価格問題の物価への影響とあわせて、重ねて警告を発するものであります。
そして、より深刻な
エネルギーの問題として、私は、その
基本対策たる
中長期の
エネルギー見通しが全く不透明であることを改めて問題提起するものであります。
総理は、本年初頭の施政方針
演説以来、事あるごとに
エネルギー危機を
国民に訴えてこられましたが、肝心の
政府自身が、その
エネルギー対策につきまして
中長期の方針を
確立してはおりません。あるものは、まさに作文としか言いようのない需給暫定見通しだけであります。あえて作文と申しまするゆえんは、そこに盛られております基礎的数字は、
輸入石油量、原子力、石炭等の代替
エネルギーの
開発、省
エネルギー率、さらに資金
計画等々どれ
一つをとってみましても、
実行可能な条件は何
一つ整備されておらないからであります。
現状から見て、
昭和六十年段階で原子力発電三千万キロワット、六十五年段階で五千三百万キロワットの
開発を
実現できる見通しがどのような裏づけをもって保証されているのでありましょうか。
石油よりも二、三〇%はデメリットのある石炭火力を、どのような指導と助成をもって民間にやらせることができるのでありましょうか。
昭和六十年までに代替
エネルギー開発に必要な四兆円余の資金は、
一体だれがどのような
負担をするのでありましょうか。
総理は必ずしも十分御
理解ではないかもしれませんけれども、現在の
政府の
エネルギー政策は、言葉だけあって
実行される
計画は皆無と言うべきであります。(
拍手)いろいろな
エネルギー問題についての、あるいは代替
エネルギーについての夢物語のような問題ではなく、いまやらねばならぬことをはっきりといまやることを要求するものであります。
総理も御承知だと思いますけれども、原子力発電のリードタイムはおよそ十五年です。石炭火力でも多分八年は必要でありましょう。しかるに、いまから六年後の
昭和六十年、十一年後の六十五年の
エネルギー計画は、いま申し上げましたごとくにまさに作文で、
実行計画ではありません。
政府として余りにも無
責任ではございませんか。
最近の
予算編成期に当たって、
エネルギー当局の
最大の関心事が代替
エネルギー開発公団新設のようでありまするが、そのような入れ物づくりに狂奔する前に、
国民に
エネルギー供給を確保するために、本当の意味の
実行計画を策定し、その
実行の裏づけ保証をこそ急ぐべきではありませんか。(
拍手)
総理並びにその道に十分通じておられる
通産大臣の
答弁を求めます。
さらにこの際私は、
わが国の新
エネルギー開発研究に当たって、特にちょっと申し添えて、希望いたします。
最近、特にアメリカにおきましてもてはやされていると聞きまするオイルシェール研究、及び東京サミット以来国際
協力が一段と前進した核融合についての大平内閣の研究姿勢を確かめておきたいと存じます。
総理または担当閣僚の
答弁を願います。
さらにこの際、
食糧の安定確保と農政の展開について、
総理の
所信をただします。
先ほどもございましたように、
政府はしばしば
食糧の
自給度
向上を長期的
基本方針とする旨を
発言しておりましたが、それにもかかわらず、来年度の米の
生産調整について、今年度に比しさらに相当量の上積み方針を
検討中と聞きます。これは、五十三年一月
閣議決定の三カ年固定方針を覆し、
政府の約束違反として、また新たなる
農業者の憤激を買うことは明らかであります。
しかも、
減反に見合う主要
食糧増産の措置が皆無の現状において、事実上農地の荒廃を
拡大するばかりであります。
農業団体及び
農業者も、過度の米作依存の現状を改革することに真剣に取り組もうとしつつあるとき、そのふんまんを激発するのみの逆行農政はまさに愚劣そのものであります。(
拍手)
いまこそ、
食糧安定確保の国策に沿って、バランスある
日本農業の将来像を明らかにし、長期的に
実行計画を策定し、着実にその
実現にスタートすべきであります。
政府の反省を求め、
責任ある
答弁を求めます。(
拍手)
次に私は、激動する国際情勢に対応する
総理の
基本的
政治姿勢について伺います。
七〇年代の十年間に、
わが国マスコミなどがショックと報道し、
わが国政治が無準備のままその対応を迫られた事件が九つありました。この年一回平均の多発ショックの大部分は、ニクソン・ショック、ドルショック、
石油ショックなどのごとく、国際情勢の激変に基づくものであります。まさに世界の激動期の象徴とも
理解すべきでありましょう。
しかし、
わが国においても、国際的相互依存時代についての
認識は相当に浸透しておりまするし、一般的な国際情報も相当に豊富であります。
日本国民がそれほど国際情勢の
認識に薄いとは
考えられません。むしろ
日本政治の受けとめ方がショッキングな事件として対応した場合が多かったのではなかろうかと
考えるのであります。(
拍手)もしそうだとすれば、その
責任の多くは
日本の
政治自体にあるわけであります。
その
原因について私は、
一つは、外務官僚組織が古い世界秩序に相応する枠組みの中に定着しておって、旧秩序の崩壊や第三勢力の台頭という国際情勢の激変に敏感に対応する体制に欠くるところがあったのではなかろうか。二つには、
政府ないしは
日本政治自体に、激動的変化に対応する能力が貧弱であったことをも反省すべきであると
考えるのであります。
総理は、今回の組閣に当たりまして、
外務大臣に適材的民間人採用を敢行されました。この機会に、国際的激動期にふさわしい外務省自体の積極的な構造的、人事的大改革に着手されんことを要望するものであります。(
拍手)
同時に、
政府は、次の数項目の問題について、速やかな
政治決断をなすべきであります。
その
一つは、今回の対中国借款問題について、額の問題はともかくとして、方式はいわゆるアンタイドローンの形をとるべきこと。この問題をめぐりまして、自民党内に
基本的な
政治意見の対立があると聞きまするし、
行政官庁間にも方式についての
意見の対立があるようでございまするが、
総理の毅然たる決断を求めるものであります。(
拍手)
その二は、ベトナム、カンボジア難民問題に対し、受け入れ、救援両面において、アジア民族としての温かい態度をはっきりと打ち出すこと。
その三つは、今回の
イラン事変に対し、
石油問題のほかに、国際通貨、国際金融問題につきまして想定し得るあらゆる異常事態の発生に備え、当面の対処とともに、
中長期的
展望を踏まえて周到な準備を怠らないこと。私はこの問題について、特に産油国の
石油代金蓄積資金の今後の行方に対してむしろ注意が最も肝心だと思うからであります。
以上、
政府がショッキング・メーカーにならないために、激動的国際情勢に対処する
総理並びに大来民間
外務大臣の
基本認識及び対応姿勢を明らかにされんことを要求いたします。(
拍手)
次に、
わが国の安全保障問題に対する
総理の取り組み姿勢について伺います。
各
質問者も触れられておりましたが、
一つ、北方領土内のエスカレートするソ連軍事基地化問題について、
日本の対ソ抗議申し入れに対し、ソ連側からは逆抗議的応答が返されたと聞きますが、その後の交渉経過も、
政府の態度についても何の報告もございません。
二つ、来春中部太平洋で行われるアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド四カ国海軍の合同演習に
わが国海上自衛隊の参加が決定していると伝えられますが、その理由、目的、参加規模などについても一切明らかにされてはおりません。
三つ、最近
米国防省筋から、
わが国の防衛費増額や、特に海上交通路の安全確保のための防衛力の強化などについての要請があり、同時に、米軍のアジア離れの一環とも疑われるいわゆるスイング戦略についても肯定的な態度が示されたと伝えられますが、これらに対する
わが国政府の対応はかいもく不明であります。
これらの問題については
政府は、いたずらに軍事専門家的見識や特別の
政治的見解の横行にゆだねるのみでありますが、まず
政府のなすべきことは、
国会や
国民に向かって見解を明らかにして
内容を報告し、そして論議を起こし、それこそコンセンサスの行方を見詰めるべきではございませんか。(
拍手)
最近、アメリカ
政府は米ソ世界戦略の中で、伝えられるソ連側の通常軍事力の増強に対し、対応姿勢を模索中のようであります。対日要請もその一環のようであります。したがって、このような情勢の中で、
わが国が西側国に属し、
わが国の安全が米軍事力に依存する度合いの大きさから見るならば、これらのアメリカの対日要請は一応当然との見解も成り立ちます。
私の個人的見解として私は、リムパック参加に反対するものでもありませんし、北方領土内のソ連軍事基地化の
拡大に脅威を感じないものでもありません。むしろアジアにおける東西軍事力のバランスが崩れつつあることに、
わが国の安全のため危惧の念を深めつつあるものの一人であります。(
拍手)
しかしながら、
わが国は平和憲法を持ち、自衛隊の行動にも厳しい枠がはめられておることも明白なる事実であります。同時に、防衛問題についての
国民コンセンサスは皆無に等しいほど未成熟であります。こここそ
最大の問題であります。
したがって
政府は、国際情勢の変化に応じて
わが国の安全のために防衛力を強化し、または自衛隊活動を
拡大しようと
考えるならば、まず最初になすべきことは、
国会の防衛論議を起こし、
政府としての見解を明らかにしつつ、
国民コンセンサスづくりに向かって
最大の
努力を払うべきであります。(
拍手)このことこそシビリアンコントロール体制への出発点であります。断じて憲法及び自衛隊法のなし崩し的事
実行為を先行さすべきではありません。(
拍手)しかるに歴代自民党内閣は、わが党のたび重なる防衛委員会設置の要求に対しても公党間の約束を実践せず、故意に
国会論議を避け続けてまいりました。この
責任こそ重大であります。
日本国民の安全を守るべき最高
責任者たる
大平総理は、最近における国際情勢、特にアジアにおける東西軍事力の変化についてどのような
認識に立ち、今後どのように対処されようとするのか、その
基本姿勢を明らかにすることは
日本国民への当然の義務と言うべきであります。
総理の
責任ある態度を
国民に向かって表明されんことを要求いたします。(
拍手)
最後に私は、私が最後のしんがりの
質問でもあるゆえをもちまして、あえて申し上げます。
総理は、がけっぷち内閣と言われるその巌頭に立っておられます。
総理が死中に活を求める道を選択されようとなさるならば、それは、大変失礼ではありますけれども、すでに終えんを迎えつつある自民党政権の立て直しにではなく、新たな時代に向かって
日本民族の運命を切り開くことに死力を尽くされることでございましょう。わが党は、是々非々路線に従ってわが道を行きます。しかし、
総理が事なかれ主義的立場に立って逡巡され、なすべきことにちゅうちょされるならば、そのときはためらうことなく断固たる
決意をもってその局面に立ち向かいます。このことを念のため申し添えて、
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣大平正芳君
登壇〕