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貞家政府委員 御指摘のとおり、
不動産の
表示に関する
登記につきましては、職権によって
調査することができるわけでございます。もちろん
申請主義が原則であるということはそのとおりでございますけれ
ども、職権によって
申請することができる。それから、必要がある場合には実地
調査の権限を与えられているわけでありまして、また、私
どもの通達におきまして、事情の許す限り積極的に
不動産の実地
調査を励行すべきであるということをうたっているわけでございます。
そこで、それを前提にしてただいまの問題を
法律的に考えてみたいと思うのでありますが、
土地家屋調査士が通常尽くすべき注意義務を尽くしていたという場合には、これは責任が生ずることはないのは当然でございます。また、
一般的にそれほど不都合な事態が多いとは思いませんけれ
ども、そういう注意義務を怠って、たとえば現地に臨まないで机上で分筆をするというようなことは絶無ではないようでございますが、仮に、そういった測量図をつくりまして、その測量図に基づいて
申請をする、それによってその
申請が受理されまして、かつ、それによって
関係者に損害が生じたという場合には、
土地家屋調査士といたしましては、依頼者に対する契約上の債務不履行ということが考えられます。また、不法行為に基づく損害賠償責任を免れない、そういう場合があり得ると思うのでございます。ただ、この場合、
登記官がそういう職権によって
登記する権限を持っている、あるいは実地
調査の権限を持っているということによって、直ちに
土地家屋調査士の責任が解除されるとは考えないわけでありまして、
登記官といたしまして、実地
調査をすべき案件であったのにかかわらず実地
調査をしなかった、その他通常尽くすべき注意義務を怠ったというようなことがございました場合には、同時に、
登記官につきましても国家賠償法上の責任が生ずるという
関係になるのではないかと思うわけでございます。
ただ、世間の
実態は必ずしも全部把握しているわけではございませんけれ
ども、事実上ケースになりました例は現在のところ把握しておらないわけでありますが、司法書士の
関係につきましては、そういったケースがございます。現実にそういった例もございます。それにつきましては、司法書士の責任、それから
登記官の責任ということがいずれも認められるというような裁判例もあるようでございます。
以上でございます。