○藤田(ス)委員 私は、学級編制
基準の改善についてお尋ねをしたいと思います。
予算の編成の大詰めを迎えた非常に大事な時期になっておりますので、短時間ではありますけれども
大臣にお尋ねをしたいと思うのです。午前中も出ておりましたし、この
委員会ではすでにもう長い歴史を持ってこの問題は十分論議をされていると思いますけれども、私も初めてですし、
大臣も初めてということで、どちらも新しい者同士で、私は特に
子供を二人育ててまいりまして、長い間
子供を守る母親運動に取り組んでまいりまして、その母親運動の中でも特にお母さんたちの痛切な願いとして、一クラスの
子供の数を減らしてほしいという声が一番大きく高まっておる中で私はこの場に立っておりますので、ひとつ
大臣もそのつもりで私の発言を聞いていただきたいと思います。
いま、
子供たちの問題では、自殺がふえるとか非行がだんだん低年齢化するとか、あるいは授業についていけない
子供がどんどんふえてきているとか、本当に深刻な問題があります。それを解決していくためには、もちろん
学校教育とそれから
子供を取り巻く環境、
文化の問題まで触れられていくと思いますけれども、しかし、その中でも
子供たちに一番大きなウエートになっているのが
学校教育であり、そういう行き届いた
教育というものがどう保障されていくかということが今日
子供を守る上で大事なかなめになっていると思うのです。
私の住んでおります大阪堺というのは特に過密の非常に激しい地域ではありますけれども、とにかく四十人という
子供の数が、それを上回っていきますと、一体授業の
内容がどういうふうになっていくのか、
学校でどういうことになっているのかという点では大変生々しい例がございます。たとえば期末の懇談会がございますが、これに行きますと、机の上に砂時計を置かれまして、そして
先生との懇談をやるわけですが、そういう状態の中で、本当に親が
先生に言いたいこと、
先生が親に話しておきたいことというものがとても十分詰められないままに終わってしまいますが、しかし、それは
先生が悪いのではなしに、後ろに並んでいる親の頭数を見ましたら、やはりこれも仕方のない実態ということになるわけです。
子供たちにしてみたら、一日のうちで
先生に何遍声をかけてもらったか、授業の中で当ててもらったかということが非常に大事な問題になってくるわけですけれども、一日じゅう声をかけてもらえなかったという状態がずっと続いていきますと、それがさびしいとか腹が立つとかというようなことではなしに、ごくあたりまえになっていく中で、
学校というところが大変おもしろくない場所になっていくわけですね。
こういうことは私が改めて言うまでもなく、
大臣もよく御
承知のことかと思いますけれども、
テストを返してもらっても作文を返してもらっても、マルはついているけれども、よくがんばったねとか、よく書けているわねとかいう一言がないがために励みになっていかない。だけど、
先生の方を見てみると、給食時間を削って一生懸命点
つけに夢中になっている姿というものは、親としてはそれ以上のことを
先生に要求できないのじゃないかという気分にされていくわけです。ある
先生は、児童数が多ければ多いほど教師は
子供一人一人をじっくりと見る機会がなくなり、その子の持つ能力を引き出すことが非常に困難になってくるのだというふうに率直に訴えておりますけれども、きょうは後ほど
大臣にもぜひ見ていただきたいと思います。
これは大阪教職員組合が千二百名の
先生方に
調査をした「学級規模と
教育活動に関する
調査」というものなんですが、この
調査を見ましても、四十四人以上担当している教職員は、「児童・生徒数を多すぎると
感じているか。」というところでは、一〇〇%多過ぎるということを言っておりますし、「どういうときに多すぎると
感じるか。」ということに対しては、これは小中とも、「個別
指導が必要なとき」あるいは「理解の遅れ勝ちな
子供がいるとき」に多過ぎると感ずるのだということを言っております。また、「ゆきとどいた
教育をすすめるために、何が必要だと
考えられているか。」ということに対しては、「クラスあたりの生徒をへらす」ことだというのが小、中ともトップに上がっているわけです。
子供たちの減少によって、教職員の行き届いた
教育のための要求はどういうふうに
変化をしていくかといいますと、四十四人以上の学級担任と三十五人以下の学級担任との要求を比較すると、三十五人以下の方では、生徒減の要求よりも、研究時間、
内容精選などの要求が相対的に率を高めてきているわけです。特に中
学校では、生徒減の要求が四十四人以上では八三%ありますけれども、三十五人以下になりますと二九%とうんと減ってきまして、それに対して研究時間の要求というものが二八%から五三・八%に増加をしていくというふうに、これが全うな教師の姿に戻っていくという点で、いまこの問題は非常に大事だと私は
考えます。行き届いた
教育を
子供たちに保障することが
文部行政の最も
基本的な任務ではなかろうかと思います。
大臣は、この間毎日
新聞の中でも書いておりますけれども、親が、一体何人にすればいいかだれも言えないだろうと言われておりますが、だれも言えないだろうというのじゃなしに、本当にだれもが、一クラスの数を一日も早く減らして、行き届いた
教育条件整備を進めるべきだということを訴えているわけなんです。
内藤前
文部大臣も、御自身が、学級規模をなるべく適正にしなければいけないし、少し多過ぎるとそれだけ
子供のめんどうが徹底しないと思うので、国会の決議を踏まえて最善の努力をしていきたいということで約束をしておられますし、
先ほどのお話にもありましたように、四十九年五月の附帯決議、五十三年十二月のそれへの再確認ということからも、首を長くして親も教師も
子供も待っておりますので、もう一度
大臣の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。