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1979-12-20 第90回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年十二月二十日(木曜日)     午前十時十分開議  出席委員    委員長 井上 普方君    理事 相沢 英之君 理事 関谷 勝嗣君    理事 野田  毅君 理事 渡辺 秀央君    理事 金子 みつ君 理事 松浦 利尚君    理事 中川 嘉美君 理事 岩佐 恵美君    理事 中野 寛成君       小澤  潔君    亀井 善之君       鴨田利太郎君    工藤  巖君       熊川 次男君    田名部匡省君       牧野 隆守君    武部  文君       長田 武士君    宮地 正介君       藤原ひろ子君    塩田  晋君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      正示啓次郎君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局審査部長 妹尾  明君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         経済企画庁総合         計画局長    白井 和徳君         農林水産大臣官         房審議官    高畑 三夫君         食糧庁次長   小野 重和君         資源エネルギー         庁石油部長   神谷 和男君         資源エネルギー         庁石油部精製課         長       加藤 昭六君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       竹内 征司君         資源エネルギー         庁公益事業部長 安田 佳三君         特別委員会第二         調査室長    曽根原幸雄君     ————————————— 委員の異動 十二月二十日  辞任         補欠選任   岸田 文武君     鴨田利太郎君 同日  辞任         補欠選任   鴨田利太郎君     岸田 文武君     ————————————— 十二月十一日  一、物価問題等に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 井上普方

    井上委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。亀井善之君。
  3. 亀井善之

    亀井(善)委員 それでは最初に、物価問題全般につきまして長官にお伺いしたいわけでございます。  特に、正示長官御就任になりまして、物価の問題か日夜いろいろむずかしい問題を持っておるようなわけでもございます。また、私ども国民にとりましても、このように大変値上がり、値上かりというようなことか連日新聞に出るような問題でもございますし、さらには十七日から米審が、また原油問題等につきましてはOPEC総会か開催される等、大変難問が山積をしておるわけでもございます。ひとつ大臣、今後の御健闘をお祈り申し上げる次第でございます。  そこで大臣大変経験も豊富な方でもございます。国民期待も大変大きいわけでもございますので、ここでひとつ大臣経済企画庁長官としての決意のほどをまず最初に伺わせていただきたいと存じます。
  4. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 ただいま亀井委員から現在の物価問題の重要性にかんがみまして非常に温かい御激励をいただきまして、ありがとうございました。仰せのとおり、非常に重要な局面に臨んでおります。  後で御質問もあろうかと存じますが、きょう米審の方は一応の答申が出たようでございますが、この答申の御趣旨を体しまして、政府としてはいろいろ検討を要するところがあろうかと思いますが、これらについては慎重に関係閣僚と相談をしたいと考えております。また一方外では、いま御指摘のようにOPEC総会がきょうの最終日もまだ結論か出ないで、いろいろと折衝が行われておるように報道されておることは御承知のとおりでございます。この結論は、われわれにとっても非常に重要な関係を持っておることは御指摘のとおりでございます。その他、来年度予算編成か真近に迫っていわゆる最終段階に来ておりまして、経済成長物価動向国際収支見通し、雇用のこれからの推移というふうな点について、どうしてもわれわれとしては一つの想定をつくらざるを得ない局面にただいま立っておるわけでございます。きわめて重大な状況であろうということは御指摘のとおりでございます。  私どもは、先般第二次大平内閣の発足に当たりまして経済の一部を担当するようにお話がございましたので、その日に記者団方々にも御質問にお答えして、従来は景気物価、両にらみであると言われてきたけれども、その両にらみの姿勢は崩さないにしても、何としても物価の面により大きなウエートを置いてこれから対処していかなければならぬ、こういうことを申し上げまして物価問題に取り組む決意を披瀝したわけでございます。これらの点につきましては本委員会委員長初め委員の各位の御協力を賜りまして、これからも非常に重要な責任を持っておる私どもの立場に深い御理解を賜り一層の御支援をいただきますれば——いま諸外国に比へまして一応消費者物価の面では安定を確保しておるのでありますけれども、これからの事態見通しは決して容易ではございません。しかし、これに対しましては微力でございますが全力を挙げて取り組んでいく決意でございますので、よろしく御支援を願いたいと思います。
  5. 亀井善之

    亀井(善)委員 大臣から大変心強いお話をちょうだいし、今後ともよろしくお願い申し上げたいと存じます。  特に今日、先ほどお話し申し上げましたとおり原油の問題、米の問題あるいは来年は公共料金値上げラッシュだ、このように言われておりまして、年末を控えまして国民生活にもどうも明るいものが持てないような昨今でございます。そういう中で今日の経済状況と申しますか、特に景気につきましても一時非常に堅調に推移をしてきておったと思うのです。しかし十月ごろから景気状況に若干変化も見られておるようなわけでもございます。実はきょうの新聞でもOECDの経済見通し等も出ております。大変暗い年末というか、そういう感じがしてならないわけでもございますので、最近の景気動向、さらには昭和五十五年の経済見通しと申しますか、いま大臣お話の中でも予算編成を控えていろいろ御検討されておるさなかではなかろうかと思うわけでもございますが、この辺のことにつきまして御説明いただければと思うのです。
  6. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 お話しのように、経済全体につきましての現状の認識、これからの展望、大変大事な問題でございます。幸い、日本経済は、まあまあ私ども先ほど申し上げたように、五十三年度、五十四年度、両年度を通じての歩みを簡単に振り返ってみますと非常に安定的な成長を遂げた、こういうふうに結論的には申し上げて差し支えないと思います。いま亀井委員からこれから景気下降という点についての御憂慮を表明されたのでありますが、目下のところはいろいろな指標について見ましても、少なくとも当面そういう心配は要らないのではないか、こういうふうに考えております。これを一番端的に証明しておるのは、やはり諸外国に比べまして日本は第二次の石油ショック等に対応する体制が非常によくできておった。第一次のときはインフレ的な様相が非常に濃かったのでございますが、この教訓が国民各層に非常によく理解をされ協力されまして、生産者消費者ともどもに外から来るショックに対して冷静な受けとめ方をされておった。これが私は非常によかったと思うのです。特に労使関係等において、かってのように大幅な賃上げということを回避されまして大局的な見地から経済安定の基盤をよく守ってこられた。これが日本経済の今日あるを得た大きなすぐれた点であった、こういうふうに考えております。  最近までの大きな足取り国民個人消費、それから設備投資等のいわゆる内需、これがいま御指摘のように堅調な足取りで参りまして、これが年末から年度末までにかけましてそう大きな停滞はいまのところは予想されないのであります。したがって、当面、われわれとしては年度初めに立てました六・三%の経済成長、これは諸外国に比べますと日本成長はいまのところとしては相当高い成長であります。決して高きを誇っておるわけではありません。安定成長ということを眼目にしております。安定成長六%程度の成長は本年度に関する限り達成できる。そして先ほど質問のありました消費者物価については何としても、これは先回のこの委員会でもたびたび申し上げたのでありますが、各方面の御協力をいただきまして、当初の見通しの四・九%を何とか守り抜きたい。卸売物価の方は海外からのいろいろの要因、また為替レート円安というふうなものに影響されて本当に当初の見通しを相当大きく上回っております。また、国際収支についても大きな変動がございましたけれども、いま御質問経済成長、そして消費者物価、この二つについては何とかして本年の年度末に当初の見通しを守り抜きたい、こういうことでただいま努力をしておることを申し上げます。
  7. 亀井善之

    亀井(善)委員 いまのお話の中で消費者物価の問題あるいは卸売物価問題等、特に消費者物価の問題につきましては世界の先進国の中でも大変安定している国として私ども大変ありがたいわけでもございます。  そこで、物価動向あるいは見通し、来年になりまして大変むずかしい問題が出てくるのではなかろうかと思います。特にいまもお話のございましたとおり、卸売物価につきましては原油を初めとする輸入原材料あるいは円安というような中で卸売物価が毎月毎月上がってきている、前月比を上回ってきているというのが状況でもございます。この問題に対して政府物価対策と申しますか、あるいは卸売物価上昇が順次影響してくるのではなかろうか、このように予想もされるわけでございます。その辺につきまして御説明をいただきたいと思います。
  8. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 御指摘のようにやはり原油大幅値上げ、それから為替レート——かつては黒字がたまって非常に困った時代もありました。その後アメリカの政策その他原油値上がりを主な原因とする国際収支の非常な変化、そういうところから円レートというものはああいうふうに大変大きく下がっておる。先月十一月の二十七日に私どもは改めて物価対策を閣議で決定をしていただきました。その一番の大きなポイントは財政金融政策物価に悪い影響を与えないようにする、この点を特に主眼にして決定を願ったのであります。予算の実行、それから金融政策為替政策、そういう方面からできるだけ卸売物価先ほど申し上げたような上昇に拍車をかけないような政策が望ましいという見地から物価対策を決めていただきました。そのほかに原油が仮に相当上がっても消費者物価に波及しないように極力関係当局努力をしていただくとか、また生活必需物資についても末端消費者価格についてできる限りの努力をするというふうなことが八項目にわたって決定を見たわけで、これに全力を挙げて各方面ともいま取り組んでおるわけでございます。  そういう次第でございますけれども、一方、大蔵省と日本銀行——日本銀行か三度にわたって公定歩合の引き上げをいたしたことは御承知のとおりでございますが、なお国際収支の面でできることがあるんじゃないかという反省をされまして、二十七日に、同じ日に主として資本の収支面に若干の改善を加えるような措置を行いました。なお、翌二十八日にはわれわれは年末年始物価対策、これはまた細かいことを一々取り決めまして、関係各省庁一致協力して実行しております。なお、ありがたいことには、国会を初め本当に地方の各方面において国民皆さん物価問題を国民全体の問題として取り組んでくださっておる、そういう感じを私は強く持っています。各地に起こるいろいろな現象は常に中央へも皆さんの声として伝わって、みんながそろってこういう物価非常事態に対処するというふうなことが行われております。しかしあらゆる努力にかかわらず何としても卸売物価上昇というものが相当大幅でございますので、それが小売物価の面に波及するということは、これはある程度のことはどうしても避けられません。そこで年度末まで、先ほど申し上げたように目標を達成するためには大変な努力が要ります。私どもはその努力を今後もさらに一層強めてまいりまして、何とかして国民の皆様、また内外からの期待にこたえていこうという目下努力中でございますので、これについてもよろしく御理解を願いたいと存じます。
  9. 亀井善之

    亀井(善)委員 いま大臣お話にもございましたとおり、大変物価の問題につきまして国民協力、こういうお話もございました。しかし一方ではやはりそれだけ国民物価の問題につきまして大変関心を持っておるということになるわけでもございます。そういう中で卸売物価あるいは物価問題等やはり正確な情報と申しますか、そういうものが私は必要ではなかろうかと思うわけです。ぜひそういう面で企画庁といたしましても国民に正確な情報、そのようなものの伝達につきましてひとつさらに一層御努力をいただければと、このように御要望申し上げる次第でございます。  そこで、年末を控えております。大変一般国民にとりましてはこれから年末年始に当たりまして生活必需品購入あるいはまた食料品購入ということがあるわけでもございます。  特にこれは農林省に、と同時に経済企画庁にもお伺いするわけでもございますが、野菜価格が最近非常に高騰しております。特にこれは十月初めのあの台風十六号の関係やら被害、あるいはまた関東地方につきましては長雨の問題、また施設園芸等、農家の方々、重油の高騰の問題がハウス栽培等影響もしております。あるいはまた昨年の生産過剰というようないろいろの要因があるわけでもございますが、まず各市場とも野菜入荷量が少なくなっている。そしてさらに白菜レタス等は昨年の五倍くらいの価格というようなことが言われておるわけでもございます。それにつきまして——年末どうしても需要集中をするわけでもございます。また年末の野菜等に対する政府の対処と同時に、もう一点、これは年を明けたらさらに野菜高騰するのではなかろうか、このようにも言われておるようなわけでもございます。この点につきまして農林省から御説明をいただくと同時に、先ほど長官からもお話ございました年末の生活必需品の問題、年末の物価対策と申しますか、生活必需品に対する対策と申しますか、この辺を伺いたいわけでもございます。
  10. 高畑三夫

    高畑説明員 お答えいたします。  まず、この秋以降の野菜価格動向につきまして御説明いたします。  ただいま御指摘のとおり、この秋の野菜価格につきましては、十二年ぶりに来襲いたしました十月上陸台風が二つ重なりまして、台風十六号、それから二十号、それにさらに九月から十一月にかけまして記録的な長雨であったわけでございます。これらを原因といたしまして非常に大きな野菜作に対します被害が発生いたしまして、それを原因としまして特にいわゆる葉物白菜キャベツレタス、さらには大根、葉菜類といったところが高値を続けているわけでございます。そのうち葉物等につきましては、先ほども御指摘ございましたが、昨年は二年続きの暖秋、暖冬というようなことで非常に低下いたしておりまして、その非常に低下いたしました昨年の価格と対比いたしますと、物によりましては倍とか三倍とか、あるいはごく瞬間風速的には御指摘のようなこともあったわけでございますが、野菜全部が高騰しているわけではございませんで、特に土物、いわゆるサトイモとかニンジンバレイショタマネギといったものにつきましては生産過剰基調にもなっておりますので、前年を相当下回って推移しておるというふうな状況でございます。  それから、さらにホウレンソウネギ等につきましては一時相当高騰いたしましたが、漸次落ちついております。  次に、年末年始価格見通しでございますが、いままで台風等影響を受けまして高騰を続けておりました品目等につきましても、十二月中旬以降はかなり鎮静の方向に向かっております。幸いに昨今相当天候も順調に推移いたしておりますが、この順調な天候がさらに続くということになりますと一月以降も順調な入荷期待できるということで、全体としては落ちつきを取り戻すというふうに見込んでおるわけでございます。  多少具体的に申し上げますと、サトイモニンジンバレイショ等につきましては現在も非常に安定的に推移いたしておりますが、年明け以降も弱含みに推移する見込みでございます。特にタマネギにつきましては相当低下いたしておりまして、これは年明け以降も相当低迷基調というふうに見ております。  それから、ホウレンソウネギ等先ほど申し上げましたように落ちついてきておりますので、年明け後もかなり値下がりという見込みでございます。  問題になります現在高騰中の野菜でございますが、白菜につきましてはその主産地被害が非常に甚大ということもありまして、追加作付等もできませんが、年明けになりますと囲い貯蔵品が主体になるということでもありますので、やはり三月ごろまでは非常に堅調な推移という見込みであるわけであります。  それから、キャベツ大根レタスにつきましては、昨年が非常に安値でございましたので、それから比較しますとやはり前年をかなり上回るという見込みでございますが、産地もかなり変わってまいりますので、十二月下旬以降は漸次落ちつくというふうに見込んでおります。年明け以降につきましては、十二月の価格よりは相当下がってくるのではないかというふうに見ております。  それから、キュウリ、トマト、ピーマン等果菜類につきましては、台風被害の軽微な西南暖地のいわゆるハウス促成物にかわってまいりましたので、入荷量も漸増いたしております。したがいまして、一月の価格につきましては十二月価格を相当下回るものというふうに見ております。  以上のような状況でございます。  対策といたしまして、いままでにとった措置といたしましては、まず台風等被災野菜につきまして肥培管理等指導の徹底、それから、ホウレンソウ等生育期間の短い品目につきましては追加作付指導いたしております。さらに、レタス等につきましてはいわゆる若どり前進出荷ということも指導いたしております。その他、関係生産者団体卸売業者と行政との間での協議会等を通じまして計画的な出荷指導いたしておりますが、さらに特別な対策といたしまして、京浜地域京阪神地域を対象といたしまして白菜レタス大根キュウリのいわゆる並み級野菜出荷という措置等をとっておるところでございます。  いずれにいたしましても、一層価格動向に注意いたしまして、年末年始野菜価格の安定に努力いたしたいと思っております。
  11. 藤井直樹

    藤井説明員 先ほど大臣が御説明申し上げましたように、十一月二十八日に物価担当官会議を開きまして年末年始物価対策を決めたわけでございます。これは当然のことですけれども年末年始の時期に需要が拡大するということに備えての対策でありますが、この内容といたしましては、一つ生活必需物資供給確保の問題でございます。その物資としては野菜、果物それから生鮮魚介牛肉豚肉等でございますが、いずれにいたしましても、年末の需要の拡大に応じた供給を、あらゆる手を講じて確保していこうということでございます。  野菜につきましては、特にただいま御説明ありましたように、ことしは大きな台風が二回あって、その野菜生産産地を縦断したというようなこともあって、非常に大きな被害が出ておりますので、並み級野菜の問題とかそれから肥培管理指導等相当な手を打っておりますし、そのために国からは補助金も出してやっております。  それから、肉類につきましては、畜産振興事業団輸入牛肉売り渡し量を例月よりもふやすとか、さらには特別販売事業と申しまして安売り事業をやっておりますが、その事業の量をふやす。さらに豚肉につきましては、卸売価格が下がっておりますけれども小売価格がこれに追随していないという問題もありますので、その指導をするというようなこともあわせてやっております。  そのほかには、問題の品目としては灯油があるわけでございますが、これにつきましてはもともと今冬季の需要に対応しての輸入確保ということについて非常に配慮してきているわけでございますが、そういう全体としての量の確保の問題と同時に、力を入れておりますのは便乗値上げ監視でありますとか、さらには売り惜しみ、抱き合わせ販売等の行為についての規制、そういうようなことについて十分な配慮をしていこうということにいたしております。  さらに、輸送の問題が年末には集中いたしますので、その円滑化のために国鉄、トラック、フェリー、そういうことに対しても目を光らせていくということが一つございます。  それから、末端需給価格動向についての監視ということでございますが、従来とも生活必需物資についての監視はいたしておりますけれども、年末には特に回数をふやしていくということで、きめ細かな巡回をするということと同時に、モニター等も理髪とか美容とか、そういう問題のあるところまで調査をしていこうということをいたしております。  それから、各団体に対して値上げの自粛を要請するということも関係省でやっておられます。  さらに加えますと、末端の店で量目取り締まりを十分行いまして、非常に大量に処理される段階での量目についての取り締まりも十分やっていこうというようなことでございまして、こういうようないろいろな観点から、関係各省協力して年末年始対策に取り組むということにいたしております。  それから、先ほど野菜についての年明けの問題の御指摘がございましたが、これにつきましても、たとえば野菜高騰時の対策として暖地、暖かい方にキャベツをいま契約栽培しておりますので、問題が起きればその契約栽培キャベツ産地から消費地に回すとか、さらには野菜売買保管事業ということで、保管しておる野菜がございますので、その野菜につきましても必要に応じて放出するというようなこともあわせて考えているわけでございます。
  12. 亀井善之

    亀井(善)委員 時間の関係で前に進みたいと思います。  特にいま野菜の問題、年末の問題等につきましては、特に需要集中をするわけでもございます。あるいはいろいろ輸送問題等複雑な要因も出てまいりますので、国民心配のないようにひとつ御配慮をいただきたいと存じます。  そこで、昨今の新聞等でも、来年は公共料金値上げラッシュだ、そのことが盛んに言われておりますと同時に、原因も、私ども油問題等いろいろな問題からわかるわけでもございます。個々に電力ガスあるいは郵便国鉄等々につきましてお伺いをすればよろしいわけでございますが、時間の関係もございます。また後ほど米の問題等につきましてもお伺いをしたいわけでもございますので、大臣に、公共料金値上げにつきまして、どのようなお考えか。特に来年はいろんなものが上がる、インフレの不安というものもそれに関連をして出てくるわけでもございます。そんな点から、全般的な公共料金値上げに対しまして御見解をお伺いしたいわけでございます。
  13. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 公共料金は本当に御指摘のようにメジロ押しという表現が使われておるほどいろいろ出てくる。現に出てきておりますものは、米審で審議されました米価、これが一番早く、次いで郵便、これははがき、封書、それから国鉄、それから学校の授業料とかいろいろございまして、これは政府の方で決める。そのほかに、いまお話しのように民間の電力ガス。ただ電力ガスについては、一般に出てくることは報道されておりますが、まだ主官庁の通産省へも北海道と沖繩だけが出てきておる、ほかの方はまだのように聞いております。  そこで、これに対する政府の取り組みの姿勢はどうか、こういう御質問でございますが、われわれは先ほど来申し上げたように、まず第一に徹底した経営合理化、これは今日、一方では、予算編成に関連して行政改革ということが強力に推進されておることは、亀井委員承知のとおりでございます。この思想は、これはわれわれ政府部内においては、まず非常に徹底して考えなければいかぬ。米等につきましても、食管の合理化といいますか、従事員の配置転換というふうなことも十分考えなければいかぬというふうに考えております。郵政についても国鉄についても同じでございます。  そこで、まず政府部内において経営の徹底した合理化をやっていくということを率先して実行し、そして、この考え方を民間の重要なエネルギー供給の責任を持たれる各企業についてもやっていただく、これが基本的な考え方でございます。一方ではエネルギーの確保ということも非常に大事なことは申し上げるまでもございませんけれども、それにしても、経営の徹底した合理化によってできる限り消費者の負担を、また産業界の負担というものを軽減していかないと、これこそ全体の経済に大きく影響があるわけでございますから、この点について徹底した合理化をやっていただくことを前提といたしまして、そして、申請が各省庁に出ますと私の方へ御協議があるわけでございますが、その協議を受けました際には、もとより主官庁がまず十分その点について厳しい審査をされたことを前提にしておるわけでございますけれども、その上に、さらにわれわれとしてもいまのような点を配慮していきたい。特にこういう時期でございますから、何としてもこの値上げの時期を余り一どきにしないようにできるだけ、何といいましょうか、影響を緩和するような配慮ということもこれはぜひやっていただきたい。この間の物価対策の閣議決定の中にもその点ははっきり明示いたしております。  そういうふうなことによりまして、これから厳重な審査をいたしまして、ぎりぎり最低限度のものは、あるいは予算に織り込み、あるいはこれからの行政の面において認可をしていかなければならぬのでありますけれども、その点については、本当に安易な値上げは絶対に許さないというかたい決意で対処していくつもりでございます。
  14. 亀井善之

    亀井(善)委員 ひとつそのつもりで、そのかたい決意と申しますか、お願いを申し上げたいわけでもございます。特に公共料金の問題につきましては、国民にわかりやすく説明をするというか、PRと申しますか、その辺に納得のいくような説明というものが必要ではなかろうかと思います。その辺にもひとつ御留意をいただきまして、大変いろいろの要因があるわけでもございます。やはり、そういう納得のいく説明というものが出てくることによって、なかなか厳しいわけでもございますが、それなりの理解も得られるのではなかろうかと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  そこで、今度、農林省並びに食糧庁の米の問題いまの公共料金の問題にも関連をするわけでもございますが、米、麦の問題につきましてお伺いをしたいわけです。  十七日から米価審議会が開催をされまして、昨日答申が出たようなわけでもございます。  ちょっとその前に、きょう農林省並びに食糧庁の長官ということで当初お願いをしておったわけでもございますが、長官、お見えになっておらないわけでもございますので、まず、その理由をひとつ伺いたいわけでもございます。大変重要な問題でもございます。これだけ消費者米価の問題が大きな問題となっているときに出席をされないということにつきまして、御説明をいただきたいと思います。
  15. 小野重和

    ○小野説明員 十七日から三日間米審が開かれまして、きのうの夜遅く御答申をいただいたわけでございます。本日、政府部内その他関係方面と協議の上決めたい、こう思っておりますが、そのために、長官関係方面と調整の衝に当たらなければいけませんので、私大変恐縮でございますが、次長でございますが、代理として出てまいったようなわけでございます。
  16. 亀井善之

    亀井(善)委員 大変残念なことでもございます。特に今回、米の問題につきましては、国会の農水等でも委員会が終わった後米審が行われたようなわけでもございますし、いろいろ事情があろうかと思いますけれども、出席が得られないということを本当に遺憾に思うわけでもございます。  米、麦の政府の売り渡し価格の引き上げの内容につきましては、時間の関係もございますので、新聞その他でそれぞれ私ども承知をしているわけです。特に答申につきまして、きのう出たわけですが、政府の態度と申しますか、いまそのために長官お見えにならないんだということで、お答えを求めることも若干矛盾する面もあるわけですけれども政府の態度についてお伺いをしたいと思います。
  17. 小野重和

    ○小野説明員 きのう答申をいただいたわけでございますが、答申の趣旨を十分に体しまして、政府部内で協議の上慎重に決定いたしたい、かように思っております。
  18. 亀井善之

    亀井(善)委員 それでは、米についてはここ二年連続値上げが行われております。麦については三年ぶりというようなことで、ことしは米と麦両方来年二月から値上げが行われるような状況でもあるわけです。特に主食の物価への影響というものは大変大きいわけでもございます。一方では、米が六百五十万トンも古米あるいは古古米というのが残って山積みされておるというような状況で、さらには年間百三十億円の予算をお使いになって米の消費拡大のPRをされているわけです。特に今度の値上げによりまして、財源的には米で六百五十億ですか、麦で四百九十億、米だけにつきましては六百五十億というようなことが言われておるわけでもございます。特に米の消費拡大を百三十億使ってやるという中で——米の消費拡大、これは当然やらなければいかぬことだと思います。それに値上げということは逆行するのではなかろうかと思いますし、さらに、値上げ前にもう少し政府の管理経費、あるいは行政コストの節減と申しますか、あるいは業務運営の合理化、改善、そういうものが行われなければならないのではなかろうかと思うのです。値上げよりもその方が先ではなかろうかと思います。六百五十億食管ということも言われておるわけですけれども、消費拡大に百三十億、四分の一の費用を使うわけでもございますから、その点でなぜ値上げをされるのか、その辺の説明をしていただきたいわけです。
  19. 小野重和

    ○小野説明員 米審答申の中にも、実は、米の過剰の中で米価引き上げというのは経済原則あるいは消費者心理に反するのではないか、こういう御意見がございますが、その点もよくわかるわけでございます。ただし、一方では国の財政事情全体が大変厳しいことは御案内のとおりでございますが、食管特別会計、いわゆる三K赤字の一つと言われておりますが、この食管特別会計自体におきましても、最近の国内米の売れ行き減、国内麦の買い入れが非常にふえております、あるいは外麦、輸入麦の買い付け価格が非常に上がってきている、あるいは金利が上がっている、そのほかいろいろな損失要因がふえておりまして、そういうような財政事情も考えなければいけない。もちろん物価や家計に及ぼす影響も考えなければいかぬ。そういうことを総合的に考えた結果、今回の諮問の内容になった、こういう事情でございます。  それから、もっと自分自身管理経費その他合理化しなければいけないのではないか、おっしゃるとおりでございます。管理経費といいましても、金利とか倉敷その他どうしても必要なものもございますが、よく問題になりますのが私ども食糧事務所の職員の問題でございますが、従来からも、たとえば定員の合理化につきましてはここ十年間ぐらいに八千人近く減らしておりますし、今度の第五次の人員削減計画でも合理化を進めるということで、私どもとしましては最大限の努力をしておりますし、これからもいたしたい、かように存じます。
  20. 亀井善之

    亀井(善)委員 特に値上げの理由と申しますか、その中できめの細かい販売指導であるとか表示の問題であるとか、これはそうしてもらえれば大変消費者はありがたい問題もあるわけですけれども、しかし若干、そういうようなことからさらにコストが上がるようなことが心配をされるのではなかろうかと思うのです。特に今回の答申があのとおりになり、政府の諮問の価格等から考えますと、やみ米がさらに増加をするのではなかろうか、こういうことが予測をされ、食管制度自身の崩壊と申しますか、そういうことにもつながるのではなかろうかと懸念をされるわけでもございます。  一方では、私は神奈川県におりまして、米の小売店と同じように、それまでも三千軒くらいの小売店があろうかと思いますけれども、その八割くらいはやみ米を販売されているお店が現実に存在をするわけです。そういうことから考えますと、いまのやみ米が横行するのではなかろうかという心配、さらには、政府のお考えの精米の品質とかいろいろそういうきめの細かい指導をして米の消費の拡大を図るのだというような理由にもなっておるようでもございますが、一方では現実に消費者はもう二千五百軒のやみ米と申しますか、そういうところからお米を買っている事実というものもあるわけでございます。やはり法律、食管制度を守らなければいかぬという考え方を貫き、やみ米の問題につきまして、どういう政府の考え方か、特に説明をいただきたいわけです。
  21. 小野重和

    ○小野説明員 やみ米にはいろいろな発生原因がございます。その最大のものはやはり米の過剰生産にある、こう思っております。したがいまして、需給均衡を図るということがやみ米の防止にも一番役に立つと思います。それから政府米の売り方にもその原因一つがあるのではないかというふうに反省いたしております。いまの政府米の売り方というのは、御案内のように運賃を最小にする、こういうことでやっておりますが、消費者のニーズに合わせた、地域の実情に応じた弾力的な売り方ということも必要ではないかと考えております。そういうようなことを進めることが基本でございますが、それはそうとして、食管法は現にあるわけだから、それの違反というのは取り締まるべきではないか、こういう御意見だと思いますが、これはなかなか、たとえば食管法を見ますと、最大の違法状態というのは通帳問題。配給通帳でございます。通帳なしで買うと三年間の懲役になるわけでございますが、ほとんど使われていないというようなことでもございまして、やみ米防止は、基本的にはそういう現在の食管法の中の経済実態と合わないところは直しながら守るべきところは守る、やみ米は一層取り締まる、こういうような基本的な考え方でいくべきものではないかというふうに思っております。いずれにしましても、食管制度の制度運営の改善につきまして現在私どもの方で検討いたしておりますが、その一環の問題といたしましてやみ米問題につきましてもどうするのかいいか検討いたしたい、かように存じております。
  22. 亀井善之

    亀井(善)委員 特に今度の売り渡し価格の変更という中で、やみ米が横行するということは、減反というか、そういうもののしり抜けをある意味ではつくるのではなかろうかというようにも十分考えられるわけです。一方ではそのやみ米の問題につきまして、いま検討というようなことが言われ、また、この問題につきましては長い間いろいろ言われてきている問題です。しかし、それを本当にやる姿勢というものがあるのかどうか、非常に疑問に思うわけです。現実にはどうも百五十万トンぐらいのやみ米というものが、ある程度何らかの形で見込まれているような気もしてならないわけでございます。しかしそれはそれとして、ひとついまお話しのとおりの趣旨に沿ってやっていただきたいと思います。  そこで来年二月からの問題です。いま米の配給につきましては、もうとれ秋を過ぎまして新米が出ておるわけですが、しかし現実には、古米が残っておるというようなことで、十二月の配給計画等におきましては、古米が三五%でございますか、あるいは十一月が三割というようなことでもございます。これからもずっと五月ころまで古米が混入されるというような計画のようでもございますが、先ほど私が申し上げましたとおり、大変暗いと申しますか、いろいろなものが値上げをされるというようなことが予想されまして、また年末を控えて暗い面が非常に多いわけです。ぜひひとつ、一月くらいはオール新米で販売をされるというようなお考えはないかどうか、ひとつこれは国民にそういうお年玉を出していただくようなことをぜひお願いをしたいと思うのですけれども、いかがでございますか。
  23. 小野重和

    ○小野説明員 新米をなるべく多く食べていただくということが消費拡大につながるということは私ども承知をいたしております。なぜしかし古米を食べていただかなければいけないのかという問題でございますが、長々申し上げませんが、備蓄との関係でございまして、いま、いざというときに備えて二百万トンの備蓄をいたしておりますが、これを私ども回転備蓄と言っておりますが、前年度産米の古米を残しておきましてそれをその年度に食べていただく、翌年はまた新米をそれに置きかえる、こういうようなことをやらざるを得ないというふうに考えて、そこで古米を食べていただく、こういうことでございますが、ただ、古米といいましてもこれは低温米でございます。低温貯蔵しておりますので、それほど新米と味は変わらないというふうに考えております。いずれにしましてもしかし新米の方がよろしい、こういうことでございますので、実は、できる限り新米の率を引き上げたいということで、本年も十一月から五月までにつきましては七、三で新米を配給する、それ以後はオール新米というようなことに現在いたしておるわけでございますが、さらにそれが繰り上げられないかどうか、オール新米の時期をもっと繰り上げられないかどうかということも現在検討いたしておるわけでございます。一月とおっしゃるわけでございますが、先ほど私が申し上げたような事情のほかに、一月ということになりますと、もうすでに運送、配置を全部終えておりますので、ちょっと一月からオール新米というのはそういう意味からもできない、こういうことでございます。できるだけそういう趣旨でいきたいと思います。
  24. 亀井善之

    亀井(善)委員 いま運送、配置でできないというお話でもございますけれども、しかしこれはやる姿勢というか、そういう努力をされれば一月につきましては古米が三五%ですか、そういうようなことでもございますから、やる姿勢と申しますか、そういう観点に立てばできないことはないと思うのです。それで、これは配給計画も場所によってはまだ一月につきまして、これは十二月の二十日以降各食糧事務所とそれから県と相談されて出るというようなこともあるわけですけれども、これからのことでもございますしやはりいままでどおりこういう事情で運送計画が済んでいるからできないんだということであれば何もできないわけでもございます。特に一年、正月、さらに消費拡大というようなことを考えるときに低温米ということもわからないわけではないわけですけれども国民はやはり正月に新米だということがひとつお年玉で出ることによって明るい正月が迎えられるのではなかろうかというように考えるわけです。ひとつ御検討いただければと思うわけです。
  25. 小野重和

    ○小野説明員 まさに新米をなるべくふやすということは、そういう考え方は私ども全く同じ考え方を持っておるわけでございますが、事情につきましては先ほど申し上げましたような事情でございますから、よく検討いたしたいと思います。
  26. 亀井善之

    亀井(善)委員 検討するというようなことでなかなか前向きな検討が行われないのが通例でございます。ぜひそれは考え方を改めて、実際六五%が一月ということで出るわけですから、一月分をこれは正月に相当米を家庭でもまとめて正月用として購入されるわけですから、ひとつそれなりに国民皆さんをよく考えて前向きな検討をお願い申し上げたいと存じます。  なお、ここでひとつ今回の米、麦の売り渡し価格の引き上げ、これが物価に与える影響というものが大変大きいと思うのです。特に米の値上げにつきましては、一食当たり一円十銭だ、このように説明もされております。あるいは一カ月の中でも家計に影響するのは米が百六十六円くらいだあるいは麦が九十円だ、そして消費者物価の指数につきましては大変数字的には少ないんだ、このように言っておられます。しかし、実際外食と申しますか、レストラン等でライスというといま百五十円くらいかと思いますけれども、今度値上げされるときには百六十二、三円ということにならずに、きっとそれで済まない、百八十円くらいにすぐ値上げが行われるのではなかろうか、またそれに関連していろいろなところで非常に便乗値上げというものが行われる傾向が大変強いと思います。米だけの、ただ数字だけの値上げだけでなしにほかの物価、特に主食でもございますので大変波及効果というのは大きいと考えるわけです。この点につきまして、ひとつ長官からお答えをいただきたいと思います。
  27. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 ただいま亀井委員から食糧庁次長に対していろいろきめ細かな御指摘がありました。実はきょう答申を受けまして関係閣僚で協議をしました。御要望の御趣旨を十分ひとつ私からも伝えまして、できれば何とかひとつ改善を図っていきたい、このことをまず最初に申し上げておきます。  それからおっしゃるとおり、米、麦の売り渡し価格、これ自体の影響というものは確かに小さいというふうに数字的には出るわけです。しかし、私は、公共料金のトップを切って、しかも主食である、こういう二点に着目をいたしまして、一方では財政再建、これは国会で決議までしようとしておられるわけですから、この要請も非常に強い、しかし物価の安定ということもこれまた非常に強い、この二つの強い要請をどう調整をすべきか、こういう見地でいろいろと私はお願いをしたわけであります。一方では、本当の筋として、米の消費拡大という点から言えば、これは米の値段を上げるのをやめるべきだというふうな議論もあったと承知いたしておりますが、私はいま申し上げた二つの要請の中に立ちまして、今回は農林水産省や大蔵省にもそういう点を相当強調して、ぎりぎりいっぱいの三・二%の米の売り渡し価格、そして一四・一%の麦の価格、こういうところがその二つの中間においてやり得る限界であるというふうな考え方からこれをいたしました。しかし私は、その折にも、農林水産大臣が閣議で米価審議会に付議したことを報告になりました後で、特に便乗値上げ、これについては厳しくひとつやっていこうじゃありませんかと、総理以下全閣僚に呼びかけました。これが物価政策の非常に大きな点だろうと思います。米麦は心理的な波及効果というものは非常に大きいわけであります。そこで、そういうふうにこれを厳正に取り扱っていくという態度を示すことによって国民皆さんからも御協力をいただくんだというふうな点から、大きな財政再建という要請もございますし、一方では物価対策という要請もある、その間に処しての態度としてはいま諮問を申し上げ、答申をいただいた、この答申の御趣旨、また国会における委員各位の御意見を十分尊重いたしまして、これからの運営を図っていきたい、かように考える次第でございます。
  28. 亀井善之

    亀井(善)委員 時間もございませんので、あと石油の問題、原油問題等につきまして、いまOPEC総会が行われております。石油部長、まだ総会が行われておるようなわけでもございますが、現在の見通しと申しますか、いろいろ大きな問題でもありますし、本当はいろいろ具体的にお伺いをしたいわけでもございます。時間の関係で、その総会の現在までの経過と申しますか、おわかりになる範囲でひとつ御説明をいただきたいと存じます。
  29. 神谷和男

    ○神谷説明員 御承知のように、十七日からベネズエラのカラカスでOPEC総会が開かれまして現在三日目に入っております。三日目の現地時間の昼間はほとんど非公式会談、裏工作でございまして、夜に入って大臣関係会議が開かれた。日本の早朝でございます現時点で、その結果はまだ入っておりません。御承知のように、非常に紛糾しておりましてサウジアラビアその他の穏健派はOPEC総会前に自主的に引き上げた二十四ドル程度のものを基準価格にしたいということで強硬にがんばっておりますが、強硬派、タカ派の方は三十ドル、イラン等は三十五ドルといううわさもございますが、これを基準価格にしたい、議長国その他はその中間的なところで取りまとめようという努力が行われ、本国とのいろいろな通信も行われておるようでございますが、現時点でこの閣僚会議で決まるかどうか、その辺の見通しはまだ不明でございますが、何とか基準価格というものを決めたいという努力、サウジ等も二十四ドルを若干上回っても決めたいという努力を行っておるように聞いております。現在、情報待ちでございますが、結果はある程度一本化された価格あるいはそれに近く格差の余り開かない価格でモデレートな値上げになることを期待しているところでございます。
  30. 亀井善之

    亀井(善)委員 そういうことでございます。まだはっきりしておりませんけれども、大変大きな問題でもございます。価格の問題量の問題、国民は大変不安を持っておるわけでもございます。したがいまして、そういう面で国民の不安のないようにひとつ今後とも御努力をいただきたいと思います。  時間が参りましたので、これで終ります。
  31. 井上普方

    井上委員長 武部文君。
  32. 武部文

    ○武部委員 ただいま米審の問題について同僚委員から質問がございましたが、私は最初に、米審の問題についてちょっとお伺いをいたしたいと思います。  米と麦が同時に値上げをされるというのは、六年ぶりのことであります。しかも、この答申の内容を見ますと、値上げ幅の圧縮ということが答申の中に書かれている、これも異例のことであります。それは、今日の経済情勢その他を見て、私は答申がそのように盛ったというふうに思っておるわけですが、少なくともこれから公共料金の問題が非常に大きな関心を持たれるという矢先に、米麦の値上げということは非常に大きな問題を提起したというふうに思うわけです。  先ほどお話があったように、きょう午後から大臣はこの相談を受けられるわけでありますが、私は、値上げ幅の圧縮という異例な答申の内容があるわけですから、ぜひ物価担当大臣としてこの値上げについて毅然たる態度で臨んでほしい、こう思います。  少なくとも、今度の値上げの理由というのは、食管会計の赤字を減らすことあるいは転作奨励金をひねり出す、そういうために値上げが行われる、このようにわれわれは理解をしているわけです。そうなってくると、値上げをするたびに消費は減っておるわけですが、今回も同じようなことになるだろう、値上げをする、消費は減る、消費が減るから古米がふえる、古米がふえるから減反しなければいかぬ、減反をするためには奨励金を出さなければいけない、また赤字がふえる、また値上げをする、そういう悪循環が続くことになる、私はここが問題だと思うのです。こういう点についてはっきりと今後の見通し等も立てて、ぜひ企画庁長官としては午後の相談に臨んでほしい、このように思います。  また、いまお話がございましたけれども、企画庁の考え方というものを私は大変疑問に思います。何回かこの委員会で米価の値上げのたびに私は言っておりましたけれども、ここにも書いてありますが、茶わん一杯で一円、影響小と経企庁、こう見出しがあるわけですよ。私はいまの同僚議員の発言のとおりだと思うのです。一円なんてものじゃないんですよ。外食のときは十円単位で必ず上がっておる。そのことをいままで何遍もこの委員会で言ったわけです。相変わらず企画庁は茶わん一杯で一円、こういう物の考え方でおられたんじゃ、とても公共料金値上げを阻止するなんということを口で何遍言われたって実感が伴わない、私はこのように思います。  これ以上申し上げませんか、いま申し上げたそういうような値上げが消費の減退を招き、古米をふやし、そして減反、転作奨励金、また赤字、また値上げ、こういうことはこれ以上続けてはならぬ、こう思うわけで、長官の午後臨まれる基本的な考え方をひとつ述べていただきたい。
  33. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 ただいま武部委員から御指摘の点、非常に重要な点でございます。私は単なる数字の問題ではないという点については十分配慮したつもりでございますが、先ほど亀井委員にも申し上げたように、米食奨励、これはやはり食糧政策の大きな柱なんですね。そこで、先ほど食糧庁次長も誠意を披瀝して、一生懸命やっておりますということを申し上げたんですが、米に魅力を感じる、こういう食糧政策を何とかやってほしいと思うのですね。先ほど来、お正月は何とか新米だけでやれぬかというような御意見も強くございましたし、いま武部委員のおっしゃるように、やはり米離れを加速するようなことは絶対に避けて、米というものの魅力をできるだけ取り返すように、これはこれからも私は閣僚会議においても強く主張していきたいと思っております。  ただ、武部委員が御指摘になりましたけれども、転作奨励金というようなものは食管の経費には見ないのです。これは一般農政の問題でございます。そこで私どもは、食管の経費と収入、支出と収入のいわゆる逆ざや、こういうものに目をつけまして、この機会にどうなんだ、逆ざや解消のテンポをもう少しスローダウンできぬかという点を強調したのですよ。ところが一方では財政再建という大きな柱が出まして、これは国会で各党超党派で決議するというところまで来ておるのです。食管の赤字というのは、これはもう過去のいろいろな累積なんですね。これをほうっておくということもまた許されないものですから、そこでその両方の要請をにらみ合わせまして、ぎりぎりいっぱいこの程度のところでひとつ諮問をしていただくことはやむを得ない、こういうことでお願いをしたのです。それについていろいろ審議会からも御意見があり、また国会でも御意見がある、これらの意見を十分考慮に入れて、実行できるものは実行しながら今後の食糧政策の運営に当たっていってほしい、こういう気持ちでございますので、御要望の点につきましては十分配慮してまいりたいと考えております。
  34. 武部文

    ○武部委員 答申が三つに分かれておりますが、三つのうちの第一にいま申し上げたような値上げ幅の圧縮という異例な答申が盛られておるわけですから、いままでになかったことが入っておるわけですから、現在の物価情勢その他将来の、特に来年の物価上昇はことしのようなわけにいかないということはだれもがわかっておるわけですから、そういう点で、ぜひ物価担当大臣としてこの答申の意思を尊重して値上げを圧縮するように最大限の努力をしていただきたい、これを特に要請をしておきたいと思います。  私の時間は余り長くございませんから、次に移ります。  通産省に最初にお伺いいたしますが、われわれはこの委員会で、石油製品が相次いで値上げをする、したがって生活二法と石油二法の発動をすべきではないか、こういうことをしばしば要請をしたわけですが、生活二法あるいは石油二法の発動はパニックを起こす、そういう引き金になるような発言があったりして、きわめて消極的な態度をとってこられたわけです。先日、予算折衝の過程で、自民党の安倍政調会長が野党に対して石油二法の発動を検討したい、こういうことを述べておることが報道されておるわけですが、私はこれは一歩前進だと思うのですが、そういう検討が現在与党の政調会長の方から通産省に対して何らかの指示があったかどうか、これを最初にお伺いしたいと思います。
  35. 神谷和男

    ○神谷説明員 具体的に現在の状況のもとにおきまして石油二法を検討せよという指示は、私どものところでは受けておりません。これは繰り返し申し上げておりますように、石油の状況、イラン問題等に象徴されますように、いついかなる事態が起こらぬとも限りませんので、それに関しては常時検討を行っておくようという趣旨の指示は私ども従来から受けており、その準備は常に行っておるところでございます。
  36. 武部文

    ○武部委員 われわれはこの与野党の折衝の中でそういう発言があったことを評価しておるわけですが、これからの石油の動きいかんによっては石油二法の発動というものは当然起きてくるだろう、そういうふうに私は思っているわけでして、与党の幹部からそういう発言が野党に対してあったわけですから、ぜひ通産省も検討をしていただきたいし、そういう情勢だということだけは踏まえていただきたい、この点を特に冒頭に申し上げておきたいと思います。  さて、私はきょうは最近のエネルギーをめぐる情勢についていろいろと質問をしたいわけですが、その中で、総合エネルギー調査会が新経済社会七カ年計画のフレームに基づいて、これは八月三十一日、「長期エネルギー需給暫定見通し」を発表したわけであります。  これによりますと、原子力発電は五十二年度八百万キロワット、これが六十年になりますと三千万キロワット、四倍近くになるような数字があります。しかし、これは現状を考えますと、まさしく願望としか言いようのないような計画だというふうに思います。石油につきましては三億六千万キロリッター、これはLPGを含んでおりますが、三億六千万キロリッター、こういうような数字が述べられておるわけです。しかし、現実には頭打ちで、非常に将来の見通しについては厳しいというふうに見なければならぬと思います。  そこで私は、この輸入エネルギーのうちのLPG、いわゆるプロパンの問題を中心にこれから質問をしたいと思います。  先日、NHKが「一億人の経済」という番組を放映いたしました。三十分間番組であります。これでLPガスの問題を取り上げたのですが、大変反響が大きかった。私はこれをテープで採録をしてみまして、全部とってみたわけです。大変国民の中に反響が大きくて、近日中に再放送されるようであります。それほどこのプロパンガスというものはいま国民の家庭にとっては欠くことのできないものになっておる。特に、三千四百万世帯のうち千九百万の世帯がこれを使っておる、どんな奥地の一軒家でもこれを使っておる、こういう状態になっておるわけでして、このことについてこれから質問をしたいと思います。  最近、この家庭用のプロパンか一カ月に二遍も三遍も値上げをする、こういうような異常な状態でありますが、しかも、供給面の問題についても消費者は大変不安を持っておる、こういう状況でございます。全国の家庭のガス普及率は現在九七・五%、もうすでに限界に達しておる。このうち都市ガスが三九・二%、プロパンは五八・三%、まさしくプロパンの方がはるかに普及率が高いわけであります。したがってこのプロパンガスというのは、家庭用の燃料としては欠くことのできない、灯油とともに重要な位置を占めておる、このように見なければならぬと思います。したがって、プロパンを安定的に供給するということは、現在の政府にとっては非常に重要な課題であるというふうに理解をするわけであります。  そこでこのLPGの輸入価格ですが、ことしの初めからどのような動きが起きてきたのか、また産油国側がこのLPGの価格原油価格にリンクさせるというようなことが報道されておるわけですが、どういうふうになっておるか、これを最初にお伺いしたい。
  37. 神谷和男

    ○神谷説明員 御指摘のように、LPGは非常に重要なエネルギー源としてわれわれも注目し、さらには、将来これの拡大も図っていきたいというふうに考えております。  基本的には、LPGの供給余力というものは国際的に見て原油その他よりも多い、潜在的にはあると考えておりますが、一定の設備を必要といたしまして、短期的にこの需要が急増いたしますと、設備のボトルネックというようなことから需給関係がタイトになる、こういう状況にございます。御承知のような原油の需給関係のタイト化を反映いたしまして、一部LPGにアメリカ等を中心といたしましてかなりの需要シフトが行われましたがために、LPGの需給関係はかなりこの春ごろタイトになりましたが、現時点で申し上げれば、量的にはわが国が必要なものはある程度確保できるというふうに考えております。  ただ、価格は、ただいま御説明いたしましたような状況のもとで、十月の通関統計で見てみますと、対前年同月比一八四%という数字でございますので、倍まではいっておりませんが、それに近い数字になってきております。今後の見通し等につきましては、やはりある程度原油価格動向あるいは需給動向と短期的には足並みをそろえるだろうと考えますし、産油国側の当面の対応もそのようなものと考えております。
  38. 武部文

    ○武部委員 いま一八〇%ということが言われましたが、現実にサウジアラビアのプロパンは一月にトン当たりで百十五ドル、以後七回値上げ、そうして現在は、十二月でトン当たり二百四十ドルですから、大体二倍以上、こういうことになっておるわけです。輸入価格が上がってくれば、当然国内の末端価格が上がるということは私は言えると思うのですけれども、それは便乗値上げでない限りは認めざるを得ぬと思うのです。しかし、プロパンというのは、もともと灯油に比べて非常に割り高である。これはカロリー計算をして見れば出てくるわけでありまして、カロリー当たりの価格を換算すると、灯油が七十五円、プロパンは百八十三円ですから、そうなってくると大体二・五倍、こういうことになると思います。  そこで、このプロパンというものは非常に簡便で、しかもきれいだというところから、三十年ごろから需要が非常にふえてきた。すぐれた燃焼性を持っておる。したがって、三十年代に年率六二・三%もうんとふえて、そして四十年代でちょっと落ちて一七・四%、そういう高成長を続けてきたわけですが、五十二年、五十三年ごろからこれがぐんと減ってきた。急速に停滞をしてきた。五十二年度は〇・二%、五十三年度は一・三%、三十年代、四十年代に比べるとまことに大きく停滞をしておるわけであります。この原因は一体何だろうか。それはいま申し上げたように、灯油よりも二・五倍も高いということ、灯油の元売りの仕切り価格とそれからプロパンの仕切り価格というものを私、ちょっと比較をしてみたいのですが、通産省にお伺いしたいのですが、灯油は、一キロリッター当たりの元売りの仕切り価格は四万五千円、したがって一リッターでは約四十五円です。ところが、末端価格では約六十六円。したがって灯油は、元売り仕切り価格の一・五倍であります。プロパンの場合はどのぐらいになりますか。
  39. 神谷和男

    ○神谷説明員 正確な数字は、ガス価格か動きますと動きますので、ラウンドで申し上げて恐縮でございますが、末端段階での価格のうち、ガスの占める——これは、実は恐縮ですが、輸入の通関統計で見ておりますが、ガスの占める割合は二割程度のものと考えております。
  40. 武部文

    ○武部委員 私ども調査によりますと、灯油は一・五倍、われわれは大体四倍ぐらいに見ておるわけです。このように灯油に比べてプロパンの方は非常に倍率が高い。しかも、もう一つの割り高であるという原因は、流通の問題だと思います。流通が非常に複雑、しかも末端の販売業者というのは非常に零細である、こういうことが割り高になっておる大きな原因ではないかというふうに思います。生産輸入段階を見ると、石油精製会社が三十社、石油化学が十二社、天然ガス三社、輸入十五社、元売り段階では二十六社、これらの段階では非常に競争が厳しい。特に代替燃料の価格動向というものに対して非常に敏感ですから、そういうふうに競争が厳しい、これはそのように私ども理解できるわけです。ところが、末端になると、四万一千もの小さな業者がひしめいておる、こういう結果になっておるようです。しかも、この四万一千社のうちの半分ぐらいは、月に販売量が五トン未満というようなまことに零細な業者がひしめいておるということが、この割り高になっておる大きな原因一つではないだろうかというふうに見るわけです。したがって、流通の合理化、これが特に必要だし、近代化というものが特に急がれるじゃないかというふうに思うわけです。特に通産省は、四十六年にLPGの販売業を中小企業近代化促進法、これの法律に基づいて指定業種としましたね。さらに、ことしの八月には政令指定を行って、近代化計画をつくって合理化を進めておるというふうに聞いておるわけですが、これがどのように進んでおるか、これを説明していただきたい。
  41. 神谷和男

    ○神谷説明員 御指摘のようにLPGの流通段階の合理化というのはきわめて緊要なものであると考えております。先生御指摘のように、四十六年度の近促法の指定業種の指定、五十三年度の構造改善事業への移行を前提としての特定業種の指定を受けたのに伴いまして、五十四年度には島根県及び岩手県のLPガス販売業界が構造改善計画を申請し構造改善事業への推進に努めておるところでございます。  それから、現在、他の数県のLPガス販売業界においても構造改善事業の実施を検討中でございまして、その主たる内容は、ただいま御指摘のような問題点にかんがみ、たとえば自動充てん装置の使用の推進であるとか容器の大型化あるいは導管供給の導入の推進、さらには配送供給センターの設置の促進といったようなものを進めてまいりたいと思いますし、全体の機構の合理化を通じる段階におきまして共同化あるいは協業化、こういったものを推進してまいりたいと考えております。
  42. 武部文

    ○武部委員 いま構造の問題を言われたわけですが、これは島根県と岩手県と二県しかありませんか。
  43. 竹内征司

    ○竹内説明員 現在わが方に正式に申請されておりますのはその二県ということでございまして、それ以外まだ検討中の県はただいま部長が説明したように数県ございます。
  44. 武部文

    ○武部委員 先ほどからいろいろ通産省の答弁がございましたが、プロパンの値上がり要因は何か、この大きな原因は明らかに海外要因だということだけは言えると思います。しかし、もう一つ、プロパンが工業用として使われ始めてきたということが問題点ではなかろうかと思うので、これからお伺いしたいわけです。  いままで産業界はLPGのうちでもっぱらブタンを使っておったわけです。ですから、五十三年度のLPGの総需要で見ますと千三百万トン、そのうちプロパン用途の家庭用が四一・二%、ブタンの用途が工業用として二五・六%ぐらい、自動車用が一三・三、化学原料用に九・八、都市ガス用に七・三、電力用二・七、こういう割合になっておるようです。確かにこれまでブタンはプロパンより値段か安かった。ところがことしに入ってからこれが逆転しておる、ブタンが高くなった、こういう点が大きな値上がり要因一つではないだろうかというふうに見るわけです。産業界では特に従来のブタンの用途、それをプロパンの品質が研究されて一部の石油化学メーカーではプロパンの利用が始まったということが報道されておるわけです。こういうようなことから家庭用のプロパンの需要がタイトぎみになって値上がりの一因になっているというふうに思われるわけですが、今度の家庭用のプロパンの価格供給確保、この点について通産省はどういう見解を持っておるか、これをこの機会に述べてもらいたいと思います。
  45. 神谷和男

    ○神谷説明員 まさに先生御指摘のように、ブタンは従来プロパンよりかなり安かったわけでございますが、先ほど申し上げましたオイルショック後の石油製品、プロパン、ブタンも厳格に申し上げますと石油製品でございますが、他のナフサその他を使っておったものから主としてまずブタンへの移行が行われまして、ブタンの価格がアメリカを中心として急騰いたしました。そのため従来、ただいま先生御指摘のようにブタンの方が安かったものが現在ではブタンの方が高くなってきておるという逆転現象でございます。これが国際的にプロパンの価格を引き上げておることは事実でございまして、一部の例を申し上げますと、ある契約で、中東地域のFOBで本年初めプロパンが百二十四ドル、ブタンが百十五ドルといったものが十二月の段階ではプロパンが二百四十ドル、ブタンが二百九十ドル、こういう形になっております。ただ、国内の状況を申し上げますと、一部ブタンの分野からプロパンの分野の方に入ってきておるものもございますが、現時点で量的にはプロパン、ブタン合わせましてこれらの需要に対応し得る輸入が可能でございます。したがいまして、プロパンの需要の強まった分の輸入も可能になっておりますので、民生分への圧迫というのは直接的な形では出てきておりませんが、国際的に全体の価格が上がっている、こういう影響を受けるのは避けられません。それから、長期的に申し上げますと、国内の状況あるいは国際的にもそうでございますが、どちらかと申しますと今後のLPGの需要の伸びは工業用系統かどうしても高くなります。したがいまして、どちらかといえばブタンの需要が強くなり、プロパンの需要は長期的には緩和ぎみに推移するというふうに考えておりますので、当面は別といたしまして長期的に民生用ブタンの確保が非常に困難になるということはないと考えております。ただ念のために御指摘させていただきますが、このLPGもサミットで約束をいたしました石油製品の五百四十万バレルあるいは将来の六百三十万バレル・パー・デーといった枠の中に入っておる商品でございますので、このあたりを勘案しながら需給関係を考えていかなければならないと考えております。
  46. 武部文

    ○武部委員 そうすると、家庭用を圧迫するようなことにはならないというふうに通産省としては確信を持って言えるというふうに理解していいですか。
  47. 神谷和男

    ○神谷説明員 国内事情でそのようなことになることはないと考えております。
  48. 武部文

    ○武部委員 国内事情でそういうことにはならぬだろうという点についてはわかりますが、これから問題は海外要因だと思うのです。そこで石油の確保ということは、イランの問題とかいろいろなことがあったり、いまのカラカス会議の問題もまだわかりませんが、将来については決して明るい展望だと言い切ることはできないと思います。はっきり言えば不透明な状態だというふうに言っていいと思うのですが、そのためにいわゆる石炭のガス化の問題やあるいは液化などの代替エネルギーの開発があらゆる部門で進められようとしておるわけです。これは相当長い年月がかかるだろうと思います。特に原子力発電の問題は安全性の問題をめぐって非常に大きな問題点があるわけですから、先ほど述べましたような暫定的な見通しを見ましても、大変大きな数字が述べられておりますけれども、そう簡単に原子力発電がああいう計画どおりにいくとは私は思いません。したがって、そういう面から見ますと、LPGというのは手っ取り早く利用できる代替エネルギーだ、このように理解していいと思うのです。また、LPGの用途というものは非常に多方面、多岐にわたっておるわけですから、そういう意味からもLPGの利用が将来飛躍的に日本では伸びるだろうというふうに理解できるわけです。しかも、幸いなことにこのLPGの供給年産四百八十万トンのプラントを完成したという報道があります。さらにサウジアラビアやカタール、アブダビが相次いで、設備の状態というものを見ますと、特に日本は中東から約八〇%輸入をしておる一こういう状況でありますか、ことし三月にクウェートが増強を完了する予定だというふうにも報道されておるわけです。特にサウジアラビアは約百二十億ドルという巨費を投じてあそこにありますサウジアラビアのジュアイマとヤンブの二カ所にそれぞれ年産四百五十万トンという大型のプラントを建設中だというふうにいわれておるわけですが、これによって現在油田の随伴ガスこの利用率を二二%から八五%まで引き上げようというような動きがあるようです。シェルインターナショナル社の見通しというのがここにございますが、これによりますと、昭和六十年には中東全体のLPG生産能力が現在の年産七百六十万トンから一挙に四・四倍にはね上がって三千三百五十万トン、こういう莫大な量に増大をするということが報道されておるわけです。こうなってくると、むしろ供給が過剰になってくるじゃないかということすら懸念されるわけでありますが、こういうことから、サウジアラビアは、ロンドン、ヒューストンとともに東京にLPGの販売事務所を設置したいというようなことが報道されておるようですが、これは事実ですか。
  49. 神谷和男

    ○神谷説明員 先生がただいま御指摘になりましたような、中東においてむだに燃やしておるガスを有効利用しようということから、クウェート、サウジ等を中心にいたしまして、LPG施設の設備投資というものが急速に行われようとしておることは事実でございますし、サウジアラビアが中期的にLPGの販売というものに非常に大きな関心を抱いておることも事実であるというふうに考えております。ただ、日本に現時点でLPG販売のための事務所を設立するという具体的な動きはございません。しかし、中期的にLPG販売についての意欲、関心は高いものというふうに了解をいたします。
  50. 武部文

    ○武部委員 それに関連してもう一つ伺いしますが、サウジアラビアから日本は三〇%の石油を買っているわけですが、このサウジアラビアは、LPGがどんどん増産されるというところから、販売促進のために、LPGを購入した国に対して特典として一定量の原油販売をやる、こういうようなことをやろうということが言われておるようですが、そういう事実はありますか。
  51. 神谷和男

    ○神谷説明員 イランのオイルショックが起きます前に、やや石油関係はタイトぎみでございましたが、各国がサウジとの直接取引というものに非常に関心を持ちました時期におきまして、サウジがLPGと抱き合わせというか、LPGを買う国には直接取引のDD原油供給しようというような意向があるという非公式な情報というものは非常に多く出ておりました。われわれも、そのような情報がかなり確度の高いものというふうに考えまして対応を考えておりましたか、最近の御承知のような状況原油のきわめてタイトな状況のもとで、一時この話は表面化いたしておりません。しかし、LPGの販売と原油の販売を相関させて中期的にサウジアラビアあるいは同石油販売の関係公社が考えるであろうということは容易に予想されることであり、それを前提としてサウジに対する対応を考えることはかなり必要であろうと考えております。
  52. 武部文

    ○武部委員 わかりました。今後の日本のエネルギーを確保するという面で、LPGが非常に重要な地位を占めてくるということだけは、このやりとりの中でもはっきりしてきたと思うのです。しかも、日本としては大量の輸入期待できる、そういう情勢が産油国の中に次々と起きておる、こういうことをわれわれとしては大変大きな期待として持てる状況だと思うわけです。先ほど述べましたように、「長期エネルギー需給暫定見通し」、この中にも、LPGは六十年度に二千万トン、六十五年度に二千六百万トン、五十三年度の実績から見ますと、大体二・四倍から三・二倍に近い見通しを通産省は立てておるようであります。このようにこの表はなっておるわけです。しかし、この二・四倍から三・二倍という膨大なLPGが、日本に受け入れ体制としては整っておるだろうか、ここが私は問題だと思うのです。大量に買い付けすることは可能な状況になっても、問題は、その受け入れ体制が整っておらなければ何にもならぬ。そこで、六十年度に二千万トンを受け入れるということがこの計画表にあるわけですが、これはタンクの年の回転率を三・七二回と見て、五百五十万トンのタンク容量が必要だということにもなりますね。一体タンクの整備計画というのはどうなっておるのでしょうか。
  53. 神谷和男

    ○神谷説明員 御指摘のように、LPGは、当初は国内の精製所から出てまいりますLPGを主体に需要を賄い、その後逐次輸入が増大いたしまして、現在は輸入がもう六割になっております。将来は、六十年度では恐らく輸入が八割ぐらいになるだろうというふうに考えます。したがいまして、これまで単に輸入をしてそのまま販売するという形で、余りタンクの整備に力を入れておりませんでした状況でございますが、御指摘のように、今後やはり安全性、要するに緊急時に対する備えといったようなものもあわせ考えますと、LPGの輸入基地の貯蔵能力の増強というのは非常に大事なことだと考えております。現在のところ貯蔵能力は合計百九十万トン、二十五基地というようなところでございますが、私ども輸入基地の促進を図るということで、五十三年度から五十五年度末までに約百万トンを目標にタンク建設を推進してまいっております。そのうち、現在着工の運びになっておりますものが七十万トンございまして、残り三十万トンもできるだけ早く着工の運びに持ってまいりたいというふうに考えております。  これにさらに緊急事態等を考えた備蓄の問題等を考えますと、これをさらに促進していくことが必要であろうということで、現在鋭意検討中でございます。
  54. 武部文

    ○武部委員 NHKの番組を見ておりましたら、備蓄は二十日間というふうに報道しておりましたが、いまのあなたのお答えは二十五日とおっしゃったわけですが、約二十日と言われたり二十五日と言われたり、どれでしょうか。
  55. 神谷和男

    ○神谷説明員 ちょっとあいまいで申しわけございません。二十五基地と基地の数をいま申し上げました。備蓄日数は御指摘のとおりでございます。
  56. 武部文

    ○武部委員 わかりました。そうすると二十五基地、それで二十日分、これでいいですか。
  57. 竹内征司

    ○竹内説明員 備蓄分といいますか、運転在庫に関しましてはシーズン性が非常にございまして、いろいろまちまちでございますが、冬場におきましては、日本トータルとして見ましたら二十日前後の数字はあるのじゃないか、このように考えております。
  58. 武部文

    ○武部委員 いま石油部長の説明によりまして、現在百九十万トン、これに対して百万トン程度の増強を考えておって、そのうちまだ全部は達成していない。しかし、この需給見通しから言えば、六十年度には大体二千万トンの計画があるようですから、そうすると先ほど言うように五百五十万トンのタンク容量が必要になってくる。いまのお話を聞きますと、半分ちょっとぐらいだというふうにお答えの中からわかるわけですが、これではLPGの供給不足が起こるのじゃないだろうかという心配さえ出てくるわけです。  もちろん、このタンク建設というのは、簡単にできるとは私どもは思いません。地元の住民の反対ということも大きな原因一つだということもよく承知しております。しかし、LPGというのは原油に比べて非常にコストが高くつく。タンクの建設、これはタンクは二重の鉄板で、したがって三倍ぐらいかかるとか、船も原油に比べてLPGは三倍ぐらいかかる、そういうようなことがあって、二十万トン基地一つとってみても、土地代を含めて二百五十億円もかかるというようなことのようですから、これは一企業だけでそういうことをやるというようなことはとうていできないのじゃないだろうかというふうにも思えるわけです。  しかし、このLPGというものは、先ほどから何回も申し上げるように、今後の代替エネルギーとしては非常に重要な地位を占めるわけですから、同時に需要もどんどんこれからふえていくだろうというふうにも思うわけです。しかし、灯油に比べてこのLPGは非常に割り高だ。したがって、流通の合理化も必要だが、特にそれよりも国内の受け入れ体制が充実しなければ、幾ら産油国の方で輸出体制が整っておっても日本には入ってこない、こういうことになるわけです。したがって、今後の対策としては、備蓄はいま言ったように二十日分程度しかないわけですから、供給に支障を来すようなことも懸念されるわけです。そこで、石油備蓄法というものを改正をしてLPGの備蓄を義務づける。同時に輸入基地の建設や備蓄整備、そういうものの拡充に対して政府自身がもっと力を入れて助成をする、そういうような考え方が通産省に現在あるのかどうか、それをお聞きしたい。
  59. 神谷和男

    ○神谷説明員 御指摘のように、LPGの輸入そのものが拡大してまいりますと、そのための受け入れ体制も必要でございますし、先ほど説明しましたように、八割を海外の輸入に依存し、しかもその大宗はやはり中東地区に依存せざるを得ないということでございますので、石油と同様一たん事が起きたときに国内にパニックその他を起こさせないような準備も万々必要でございます。したがいまして、その観点からも備蓄を増強する必要がある。その両面からタンクの増強はどうしても必要だと考えております。備蓄につきましては、先ほど流通課長が申し上げましたように冬場の二十日ということもございますが、年平均をとりますと、正確にいま手元では計算できませんが、もっと低いかもしれない。したがって、われわれは当面これを五十日分くらいまでは持っていく必要があるのではなかろうかという議論を、専門家に集まってしていただいております。現在LPGの備蓄のための分科会というのを石油審議会の石油部会の下に置きまして、この問題を鋭意検討させていただいており、その結論いかんによりましては御指摘のような備蓄法の改正問題も考える必要も出てくるかもしれませんし、それから何よりもタンクそのものの設置を促進しなければなりませんので、来年度もその一部の要求をいたしておりますが、財政面等での助成が必要ではなかろうかというふうに考えております。来年度は開銀の特利融資その他、あるいは税制上の特別の措置等を要求をしておるところでございます。
  60. 武部文

    ○武部委員 これは大変金のかかることでありまして、そう簡単にはできないかとも思いますが、将来のわが国のエネルギーの問題を考えたときには、こうしたLPGの輸入拡大、そして備蓄、供給安定、そういうことがぜひ必要だと思うわけでありまして、私は、このNHKの番組が再放送されるということは、やはり相当強い関心が国民の中にプロパンについてあるということの裏づけだと思っておるわけですが、この家庭用のプロパンの需要というものをふやしていくためには、もう少し価格が安くならなければならない。やはり価格が少し高い。そういう点で、家庭の主婦の声として、これからどんどん一カ月に二回も上がっていくとかいうようなことじゃ必配だ、計画が立たないというような声がこの放送の中にも出ておったようでありました。そのためには、四万一千軒もあるようなそういう零細な業者の協業化とか、そういうことも必要だと思うのですが、特に料金制度について、都市ガスや電気のように一定量までは料金を逓減させるというような、いわゆる需要促進型の料金体系というものはとれないものだろうか、こういうことを考えるわけです。静岡県では何か具体化をしておるということを聞いておるわけですが、この点について通産省の見解を述べていただきたい。
  61. 神谷和男

    ○神谷説明員 実は、この問題につきましては私ども非常に微妙な心境にございまして、先ほど申し上げましたように、サミットの約束の中にLPGも入っておりますものですから、これについてはガスの有効利用という面から国際的にももう少しいろいろ慎重に考えたらどうかという提案も日本は行っておりますけれども、当面やはり石油に引っ張られて動くような性格もございますので、エネルギーの節約というのを一生懸命やらにゃいかぬ。したがって、たくさん使う人を安くするというのは何かそれに逆行するような感じもいたしますが、しかし現実問題といたしまして、大口というのは先ほど申し上げましたように容器の大型化であるとか、あるいはその他の合理化のメリットというものを一番大きく吸収するものでもございますので、逓減的な思想というのは当然導入されてしかるべきではないか、むしろ料金体系の合理化にもなるのではないか、こういう考え方と二つございます。私ども現時点では、先ほど申し上げましたような合理化というものを推進しながら、そのコスト、流通原価というようなもの、これに大口あるいは大量のユーザーと小口との間の差もあるかもしれませんので、そのあたりが適切に反映されるような形で料金体系が組まれていくというのが一番適切ではないか、こういうふうに考えております。
  62. 武部文

    ○武部委員 料金体系というのは非常にむずかしい問題ですから簡単に結論は出ないと思うのですけれども、現実に静岡県ではそういうようなことが行われておるということは、一つのケースとして参考にしてよかろうと私は思います。この料金体系についてはいずれまたやりとりする機会もあろうと思います。  時間が来ましたから、ひとつ最後に、長期契約をしておるのに何で毎月毎月上がるだろうかという点が、素人としても疑問に思うわけです。一年とか三年とか十年とかという契約があるものが、何で毎月上がっていくのか。これはサウジが約八十万トンをDDに切りかえたということから、カルテックスが日石へ供給するものをそのままにして、減った分だけしか、四社に十万トン分しか渡さぬというようなことがあったためにこういうことになったのだというようなことが、この番組の中にもずっと出てきたわけです。私も、なぜ一年とか三年とか十年という長期契約があるのに毎月毎月価格をぽんぽこぽんぽこ上げていくのかということがあの中ではよく理解できなかった。通産省としても、これはどういう原因でそうなっているのか、これを最後にお伺いしたい。
  63. 神谷和男

    ○神谷説明員 長期契約の際、原油ガス等で実は契約の態様が異なっておるのでございますが、大体は一年ごとの見直しというようなのが、原油の場合多いわけでございます。さらに最近では、公式販売価格が変わったらそれによりますということで、一方的に産油国の引き上げが可能なようになっている、これが原油関係でございます。  プロパンにつきましては、従来四半期ごとの見直しというのが、大体の契約でございました。量的な長期契約はいたしますが、価格は四半期ごとに見直していく。ところが最近のように産油国の力関係が強くなってまいりますと、やはり一方的に随時宣言をいたしましてそれで引き上げていくというような形になっております。このあたりはやはり需給関係そのものが対応の力関係になっているというふうに考えざるを得ません。
  64. 武部文

    ○武部委員 それはやはり力関係ということですね。  そうすると、もう一つ中小の都市ガスですが、LPGを原料として家庭に送っておる、これがこの間名古屋ですか、中部瓦斯が四七・八%の値上げを通産省に申請をしてこれを受理されたということが報道されました。そのほかに約四十社がこの値上げを申請しておるということが言われておりますが、間違いありませんか。
  65. 神谷和男

    ○神谷説明員 公益事業部長がちょっと参っておりませんので、私も所管外で詳しくは存じておりませんが、原料の値上がりによってのガス会社の値上げの動きがあるということだけは、横から見て了知はいたしております。
  66. 武部文

    ○武部委員 終わります。
  67. 井上普方

    井上委員長 午後一時から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  68. 井上普方

    井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。金子みつ君。
  69. 金子みつ

    ○金子(み)委員 一昨日、十八日の新聞に、一つ生活調査の報道がございました。これの中から一部取り出してみますので聞いていただきたいと思います。その後でまた御質問申し上げます。  それは、「主婦奮闘すれど 物価ジワジワ……家計の外堀埋まる」という表題の大きな記事ですけれども、一部だけ抜き出してみます。これはどこの調査かと申しますと、東京都の郊外、多摩市にあります大きなニュータウン、多摩ニュータウンで行われた調査でございます。調査の対象になった家庭は、二DKのごく平均的な公団賃貸住宅なんですけれども、ここに住んでおられる家族の主婦を対象にしたものでございます。その質問の一番中心になっておりましたものは、「生活は楽になりましたか」という聞き方、大変漠然としてはおりますけれども生活全体をとらえて主婦はどのように感じているかということなんです。これに対して、生活の苦しさ——よさじゃないです、苦しさが昨年と変わらないと答えているのが回答者の五割、四九%、約半分です。それから、大変苦しくなったと答えたのが三二%あったというのです。ですから、これを二つ合わせますと、八一%もの世帯の人たちは大体生活が苦しくなったと考えていると思われます。その苦しい理由なんですが、それはまず物価上昇ですね。その次にはベースアップが低かったというようなのもございます。それから、ボーナスがなかったというのもあるようでございまして、いろいろな世帯だからこういうことになるんだと思いますが、いずれにしましても物価上昇が一番の理由で苦しくなったというのが八一%、こういうのが十八日の新聞に載っておったものでございます。  もう一つ質問は、負担の重たいのは一体何かという聞き方です。苦しくなった中心ですね。その負担が重たくなったのは生活費だというわけです。一番関心が深いのは生活費で、この回答者も、何に一番関心を寄せ、そして苦しくなったかと聞いてみましたら、食費でございます。食費がトップです。その次が光熱費、そして教育費、こういうふうになっていきます。ですから、食費と光熱費というのが大変に悩ましているということが、これで一応わかるわけでございます。  そこで、こういう実態があるということをいまわかっていただいたわけですけれども、これを裏づけすることになるかと思います卸売物価指数と消費者物価指数の動き、これは毎月報告をいただいておりますので、その中から申し上げます。おわかりになっていただいていると思いますけれども卸売物価指数は物すごく急騰いたしました。この四月には一〇七・五でありましたのが一一七・四になったということで、前年同月比一四・五%のアップです。このアップは、過去の実態から見てみますと、狂乱物価がございましたとき、一九七四年ですけれども、その狂乱物価の当時は年率一七・〇%だったのです。今度は一四・五%ですからそれよりは低くはございますけれども、しかしそれに次ぐ高騰であるということが言えると思うわけです。消費者物価の方はその割りにまだ余りぴんと右から左というふうにきていないようにも思います。その影響がこれから出てくるだろうと思われるのですけれども、いまのところでは、今度の季節食品を除きますと、さっきのも十月ですけれども、十月で一三〇・一で前年同月比四・四%アップというふうになっておりまして、これは実感としてはもっと高いのですけれども、数字にするとこういう数字になってくるということでございます。こういう実態が数字の上でもはっきりとさせられております。そこへもってきて今度は、一つ一つ挙げ連ねませんけれども、毎回出てまいります公共料金値上げの問題でございます。これは早いものは一月から、あるいは二月あるいは四月、七月というふうに段階があるようではありますけれども、しかし公共料金値上げが軒並みと申しますかメジロ押しと申しますか、どういう言葉を使ったらいいかわかりませんけれども、いまこの際やらなかったら損だみたいなことを感じさせるほどの値上げラッシュが続いてくるということは考えられます。けさの質問にもございましたように、あり余っているお米ですら値上げをするということで、大変に納得しにくい値上げの様相が現象として起こってきている。これらのことを踏まえて大臣にお尋ねしたいのですが、このような様子でございますと今後の物価見通しはどうなるのだろうか、どういうふうになっていくのだろうかということが大変不安でございます。消費者は大変不安でございますので、今後の物価見通しについてお考えを述べていただきたいのと、けさ私どもの手元にちょうだいいたしましたけれども、私が特にお尋ねしたいと思っていたのは、年末年始を控えておりますので、国民皆さんがお正月を楽しく迎えるために大臣の温かい年末年始を控えての特別対策は何かしていただけないものなんだろうかということを、紙には書いてますけれども、これはこれといたしまして、大臣のお考えあるいは御決意のようなものを聞かせていただきたいというふうに思います。
  70. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 いま金子委員がお述べになった、前のオイルショックの場合、このときは御指摘がありましたように卸売り物価消費者物価ともに相当上がって、それがああいういろいろな、いまから考えますと本当にそら恐ろしいような事態になったわけでございます。今回はわれわれとしては、卸売物価の方は海外からの物価高それから円安、この二つが大きな原因でどうしても上がっていく、それを何とかして消費者物価に波及するのを最小限度に食いとめよう、こういうことでいろいろ申し上げたとおりの施策をやってきておるわけでございます。そこで新年を控えてということでございますが、午前中にも申し上げたように、総合的な物価対策、これで一番重要なことは、やはり財政、金融面から物価を上げないようにということを非常に強調いたしまして、予算の実行あるいは円レートの非常な下落に対する歯どめ、こんなようなことである程度努力をいたしまして、幸いいまのところわれわれとしては消費者物価の方はとにかく当初の目標どおりに安定的に推移しつつあるわけでございますから、これが私としてはせめてもの努力のかいであった、こういうふうに思い、これを堅持していくことをお約束したいと思います。  そこで、政府としては新しい予算経済見通し、こういうことで国民の皆様にわれわれのこれからの方針を示していくわけでございますけれども、その前にこうして物価特別委員会が開かれまして、午前中にもございましたように、米の値段が上がるというなら、新年にはせめて新米でも送れるようにしろということでございます。私どももこの委員会の御意見を体しまして、そういうきめ細かな問題に対してできる限りの努力をしてまいりたいと思います。  いま私から出せと言われても、経済企画庁というところは何も物を持っていないのです。各省庁に対して油を上げぬようにしてくれ、灯油を上げぬようにしてくれ、それにはこういうようなことをしてくれというようなことは強く言います。また、お米の消費者価格についても、基本的な上げ方については財政再建という要請と物価政策という要請、この二つの要請のうちからせめてこれくらいのことはということでいろいろいたしました結果が諮問案になっておるわけであります。この諮問案に対していろいろ御意見があるようでございます。この御意見の中から実行できるものを打ち出すことによりまして、新年の国民の皆様に対するせめてものプレゼントにしたいという気持ちでおりますので、皆さんの御理解を願いたいと思います。
  71. 金子みつ

    ○金子(み)委員 経企庁の長官のお答えもわからないではないのですけれども、これからもいろいろな機会がおありになると思います。たとえば経済閣僚懇談会とか閣議でお決めになります場合に、やはり物価のお目付役である経企庁の大臣としてのお立場をしっかりと認識されて、国民の側に立って言動をし、強く対策を講じていただきたいということを要望として申し上げておきます。  次に、石油並びに石油製品関係の問題について少しお尋ねをしたいと思います。  実は、私よくわからないので伺いたいことなのですけれども、灯油とか重油とかガソリンとか、いろいろ石油製品がございますね。これらの石油製品の価格の問題なのですけれども価格のとり方——とり方と申しますか決め方とても申しますか、実はこういうことを聞いたのですね。ガソリンが大変高くなっている。前年同月比で五〇%アップですから、かなり高いですね。一リットル百五十円。こういうふうに非常にガソリンが高くなった理由として、片方で灯油や重油の値段を上げないように抑えるためのはね返りがガソリンに行くのだ、そこでバランスをとっているのだ、こういう考え方があるということを石油連盟の会長が言っておられたのでございますが、今後はこの価格を抑えることを直してもらわないと、ますます高値になるだろう原油を石油会社としては買いにくくなる、買いにくくなるということは、言葉を変えれば買えなくなるということになるのでして、そうすると原油が入ってこないということになる。そうなったら元も子もないというような考えを述べておられる記事を見たのであります。事実、そういうことがあるのかどうか、それに対してどのようにお考えになっていらっしゃるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  72. 神谷和男

    ○神谷説明員 石油製品の価格体系につきましては、いろいろ議論もございますし、非常に特別な性格を持った一連の商品でございますのでむずかしいところもあるわけでございますが、私どもが考えておりますところでは、連産品で、一定の原油の中からいろいろな石油製品を出して、これを売ってその原油並びにいろいろかかる精製設備全体のコストを回収する、それでペイするような形で企業運営がなされる、こういうことでございまして、個々の石油製品のコストは、原価計算上いろいろなしきたりで割り振りのやり方がありますが、これは企業会計の約束事でございまして、いま一般的に妥当だと考えられておりますのは、そのときのおのおのの石油製品の需給関係でそのおのおのの価格が形成され、それをトータルしたものが原油にペイするような形で均衡していくというのが、現在最も信じられておる説でございます。  一つの比喩を申し上げますと、先生御指摘のように現在ガソリンが石油業界の主要商品であることは間違いございませんので、これが売れる限りはできるだけ精製していこう、こうなりますが、そのとき必然的に重油が出てきます。それで、もちろん現在重油を使っておりますので問題ございませんが、ガソリンがどんどん売れるのでどんどん精製しますとどんどん重油ができて重油の需給関係が崩れるかもしれない。そうしますと、重油の値段が非常に崩れる。どんどん崩れてトータルとしてペイしないところまで崩れてしまいますと、そこでそれ以上ガソリンの拡販がとまるというような形で本来自由市場であれば価格が形成されるわけでございますので、そういう性格から申し上げますと、われわれは、価格体系には本来介入しないのが国民のニーズに一番合った石油製品が供給できると考えておりますので、いままでできるだけ介入しないという方策でまいりました。しかし、基幹産業で重化学工業化を進めるに際して重油あるいはナフサは安い方がいい、むしろガソリンはぜいたく品だから高くていいじゃないかというような議論もございましたし、それから灯油は国民生活に密着する商品であるのでできるだけ低位に抑えなければならぬという議論はもちろんございます。そういうもろもろの議論がございますが、これまでのところ、少なくとも現時点につながっております近い過去では個別の商品の価格体系に介入したことがございませんので、重油を無理に抑えてガソリンの価格に転嫁したり、灯油を無理に抑えてガソリンを引き上げて灯油をペイしたらよかろうというような指導も行っておりません。ただ、いままでシーズン中の灯油価格に関してはできるだけ慎重にということで必要最小限度の行政指導を行ってまいりましたが、私ども、最近の価格体系、特にイランのショックの起こります前の価格体系はおのおのの石油製品の需給関係をかなり反映した、人為的な手の加わらない一つ価格体系だ、こういうふうに考えておりまして、その後御承知のように現在価格監視制度ということで、元売りが値上げしようと思う際にはいろいろヒヤリングを行っておりますが、その際は値上げ分はできるだけ各製品に等額で乗せるように——特別の事情でどうしても高い石油製品を製品輸入するとかのかっこうで持ってこなければならぬようなケース、そういう場合には一部修正してもいいが、原則として等額で乗せるように、これも人為的なものでございますが、こういう方式で行っておりますので、これまでの近い過去並びに現時点において、御指摘のように重油あるいは灯油のコスト分をガソリンに上乗せするというような指導は行ってきておりませんし、業界自身も具体的なそのような人為的行動は行っていないと考えております。  こういう状況でございますので、先ほど指摘になりました永山石連会長が仮定の話として言われた、価格を抑制すれば入ってこなくなるという価格を人為的に抑制するということは、私ども現在行っておりません。これにはいろいろな御議論のあるところでございますが、現時点では、できるだけ円滑に需給関係を維持するために最小限の量を確保する必要がある、そのためには便乗値上げをしないように監視は行うが、無理に抑えつけない、こういう方向で行っておりますので、永山会長の言われるような事態にはなっていないし、ならないと考えております。
  73. 金子みつ

    ○金子(み)委員 じゃ、永山会長の発言は発言としておきます。この問題はいずれまた先に行ってから出てくるだろうと思います。  次に、灯油の値段の問題で公取の方にお尋ねしたい問題がございます。  それは、十月の灯油の在庫が七百十万キロリットル、これは最近の最も多い分量だと報道されております。備蓄がそれだけあります。そのほかに半製品も加えれば一千二百万キロリットルになるのだということも報道されております。ところが、実際民生用に家庭で使われている灯油の消費量は月に三百万キロリットルくらいだ。ということになりますと、在庫分は半製品も加えて千二百万キロリットルあるということであれば、今年度じゅうと申しますか、まだ三、四カ月分ぐらいは十分あるのじゃないかということになろうかと思うのです。こういうふうに量は十分にあるのですね。ですから、そうだとすれば、理由のいかんを問わず値上がりすることは不当ではないかと申しますか、大変納得がしにくいというふうに一般国民は思います。ちょうど先ほどのお米みたいに、あり余っているお米なのに値上げをするのはおかしいじゃないかというのと、性格は違いますけれども、そんなような端的な表現もできるわけだと思うのです。  そこで、値上げの実態を少し数字でお示ししたいと思いますのは、けさ経企庁からいただいた十二月十一日付の報告、これはモニター調査報告ですね、それによりますと、二十七ページに「主要品目騰落率」というのが出ています。十月の全国の数字ですが、光熱費が、その他の光熱も入っているというのですから必ずしも灯油だけとは限らないかもしれませんけれども、電気も何も入っているかもしれませんが、前月比五・三%そして前年同月比二九・五なんですね。ここの数字はずば抜けて大きいです。二けたもあるものは、探してみましたら、もう一つ野菜というのがございました。野菜は前年同月比一〇・三です。だから、光熱費が野菜の倍以上ございますね。私はけさこういう数字を拝見して、すごく光熱費が上がっているなということがわかったわけです。  それからいま一つは、NHKが毎月モニター調査というのをやっておりますね。それの十二月一日の分で、全国平均一かん千二百十六円になっている。これは前の月の十一月一カ月で六・九%アップになっているという実態でございます。そして、その調査の中から拾いますと、全国平均千二百十六円という数字なんですが、さらに千三百円台というところがあるということが報告されていました。これは十二県あるというのです。ここで十二県全部申し上げなくてもいいと思うのですが、私がちょっと気になりますことは、問題だと思いますのは、寒い地域、たとえば北海道ですとか新潟ですとか青森ですとか福井県ですとかというようなところがなっていくのはそう不思議だとも思えないのですが、暖かい地域の広島だとか高知だとか大分だとか佐賀だとかというような、四国、九州、こういう地方で千三百円台になっているということを大変に不思議だと考えたわけです。おかしいじゃないかというふうに思います。それも非常に全国的にばらまかれています。全国的にそういう高いのが出ている。   いま一つの数字は通産省の数字だと思いました。それでは、東京ではこの四月に七百五円だったのが十月には千百九十円になっているというふうに値が上がっています。  私ども社会党で試算いたしました数字を見ますと、これは全国的に見たわけですが、札幌から始まって東北、東京、そして名古屋、大阪、広島、四国、九州というふうにとってありますが、これで見ますと、灯油だけでございますと千円をちょっと切れます。社会党の試算は九百四十一円六十銭、これは店頭価格、それから配達込みでも、配達価格でも九百八十七円六十銭でいけると私どもは思っておりますのですけれども、通産省の消費者モニター調査によりますと、一つずつ申し上げませんが、全国平均で店頭売り千八十四円、それから配達で千百二十六円、千円台、千百円台でございます。これは一つずつ申し上げると時間がかかりますので申し上げませんけれども、店頭売りも配達価格もそうでございますが、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、四国、福岡ととっていらっしゃるのですが、数字が大体同じなんですね。配達価格の方は、一番高いのが千百四十八円の福岡です。一番安いのが札幌の千五十二円。それで、その間は全部千百幾ら、千百幾らと同じような数字なんでございますね。  そこで、私が公取の方にお尋ねしたいと思っておりますのは、こういうふうにおのずから大体同じような金額にそろっているということについて疑問を持つわけでございます。これはどうしてこういうことになっているかということなんですが、これはよく調べてみなければわからないと思いますけれども、私が推察できると思いますのは、適正な価格が行われないのは元売り段階から流通に至るまで非競争の形になって、そして適正な価格というものは使われないで高値に足並みがそろってしまったというふうな感じがいたします。これは価格を引き上げる構造のようなものが何かつくられているからじゃないかなという疑念を持つわけで、何となくカルテル臭いなあというふうに考えられるのでございますが、そういうことはどういうふうにお考えになるかということが一つでございます。
  74. 妹尾明

    ○妹尾説明員 価格の見方は大変むずかしい問題でございまして、価格がどういうふうな水準に決まるかについてはいろいろな複雑な要因が絡んでいるのじゃないかと思うのでございます。基本的には需給関係で、そのほかにいろいろ競争の状態もございましょうし、それから先の見通しといった問題も絡んでまいりましょうし、理論的に言いますと、競争が非常に活発な場合にはむしろ一物一価といいますか、そういうふうになるというふうにも言われておりますし、特に経験からいきますと、小売につきましては地域によりましていろいろ従来から差があった。現在は、先生の御指摘でございますけれども、私その資料を見ておりませんのであれでございますが、特に小売の場合には、一つの県をとりましても、県の中の地域によりましてまたいろいろ差があるというのが実情じゃないかと思うのでございます。  ただ、特に私どもの立場からいたしますと、そろっているというよりはむしろよそに比べて高いようなときに競争状態との関係であるいはどうかなというふうな観点から関心を持つことはございますけれども、小売の場合、全国的に従来の例から見ましても、小売店組織でもって価格を協定するようなことは余りなかったように思いますし、ちょっとその辺は簡単には何とも申し上げかねるということじゃないかと思います。
  75. 金子みつ

    ○金子(み)委員 そういう場合に、調査してみるということはできないのですか。
  76. 妹尾明

    ○妹尾説明員 これは法律の話で恐縮でございますけれども、私ども独禁法の中には価格の高低そのものを取り締まるような一般的な規定はございませんで、結局カルテルであるとか、あるいは不当な、差別的な、まあ不公正のとりょうでございますけれども、取り扱いであるとか、そういった形で人為的に価格が形成されておると、その価格原因に関心があるわけでございます。  ということで、価格そのものについては、それは高いということだけあるいはそろっているというだけで調査するという、特に違反との関連で問題にするということはむずかしい立場でございます。
  77. 金子みつ

    ○金子(み)委員 ではこの問題は、これから先もずっと値動きはあると思うわけですね、ですからその値動きを追跡していって、そして監視をしていただきたいのです。  いまお話を伺っておりますと、いま何も直接できないし、いままでもそういうことは余りしたことはないというふうなお話でございますと、何かそれは自然現象的にそうなっていっても構わないというふうに放置しておられるようなニュアンスが感じられるのですね。何かそのままにして、しようがないじゃないか、自然にそういうふうになっていくのだというふうに考えていらっしゃるのじゃないかなというようなニュアンスが感じ取れるのですけれども、それは困るのですね。そうじゃなくて、これから先どういうふうにしていくとか、あるいは監視体制をもっと厳しくするとか、あるいはできることだったらば、全国を一遍にするのは大変だとすれば、一つずつどこか抽出をしてそこについて徹底的に洗ってみるとか、何かもう少し消費者の人たちのために親切な行政をやっていただけないでしょうか。そりゃあなた方は知らないからそうおっしゃるのですよ、われわれ専門家から見ればそういうのは普通なんですよ、何かこういうふうにおっしゃっているような感じがするのです、私のひがみか勘ぐりか知りませんけれども。私も素人の消費者の一人だものですから、そう言われても、ああそうですがと納得できないのです。すとんとこう落ちないのです。もうちょっと何かおっしゃっていただけないでしょうか。
  78. 妹尾明

    ○妹尾説明員 先ほどちょっと説明足らなかったのですが、実はことしの春ごろ、OPEC原油値上げに関連いたしまして、特にガソリン品を中心に急激な値上がりがありまして、その過程で、この値上げがカルテルによる一斉の値上げではないかという苦情か多数ございまして、実はそのころ、五月前後でございますか、全国十数地区につきまして価格値上げの実態を調べまして、特に問題のございました大分と埼玉の両地区につきましては独占禁止法の強制調査権限を発動いたしまして、現在調査中でございます。  それから、もちろん灯油は国民生活に非常に重要な物資でございますので、特にこのシーズンに入りまして抱き合わせの問題等がいろいろ起きるのではないかという懸念が持たれましたので、先月の十九日に、抱き合わせの問題は独禁法上大変問題のある行為でございますので、そういう消費者等から苦情があった場合には早急に処理するようにというのを、これは部内の通達でございますけれども出しております。私ども関係で、ただ価格か高いということだけでは手の出しようがないのでございますけれども、カルテルであるとかあるいは「不公正な取引方法」との関連があるような形で問題がございました場合には、できるだけ速やかに処理するように体制をとっておるつもりでございます。
  79. 金子みつ

    ○金子(み)委員 いまのはいままでのお話を伺ったわけですけれども、いま私がお願いしたのは、地域を指定して調査していただいてということを申し上げたのですけれども、それはできないのでしょうか。
  80. 妹尾明

    ○妹尾説明員 今後の問題につきましてはできるだけ価格動向をトレースいたしまして、便乗値上げ等の不当な行為のないように注意してまいりたいと思います。
  81. 金子みつ

    ○金子(み)委員 それじゃ重ねてお願いをしておきますけれども、これから年を越して、いろいろな物価値上がりが起こるだろうということは想定されます。そういうようなことがございますと、やはり一連の関連として灯油の問題も同じような形で起こってくるのじゃないでしょうか。OPECの結果がまだはっきりしないとけさほどの御報告ございましたので、OPECの方でどのように原油価格が決められるかによっては、また灯油の場合でもばっと上がるかもしれないですね。その辺もわかりませんね。ですから、わかりませんから将来の問題になりますけれども、そんなに遠い将来じゃなくて間もなくわかるということですから近い将来の話なんですけれども、それらのこともあわせまして、もしいまのような実態がこれから先もあるとすれば、私はどこか地域を指定してやっていただきたいというふうに思います。これは日本を二分してもいいと思うのです。寒い方の地域、灯油がお米と同じぐらい重要な生活必需物資だということになっている地域、ございますね。そういう地域とかあるいは先ほど私申し上げましたNHKのモニター調査だと、四国、九州、中国というまことに温暖ないい地域ですらあのように高くつり上げてあるというようなこともございますから、暖かい地域もひとつ指定をしていただいて、そして調査をしてみるということを試みていただけないでしょうか。どれぐらい費用がかかるか知りませんけれども、それほど大した費用がかかる調査だとも思えませんから、それぐらいやって、そうしてどういう結果が出たということを情報として国民に知らせていただければみんなも納得できるだろうと思いますし、私どもも安心できると思うのです。それぐらいのことはやっていただけるのじゃないでしょうか。ぜひお願いしたいのですけれどもいかがでしょうか。
  82. 妹尾明

    ○妹尾説明員 カルテル等によりまして、不当に便乗的な値上げがされているという疑いが持たれますような場合につきましては、できるだけ速やかに調査をいたしまして、しかるべき措置をとるように努めたいと思います。
  83. 金子みつ

    ○金子(み)委員 それでは関連してですが、値段だけではできないとおっしゃっていますからこれをあわせて考えてください。  高値で販売しているというやり方。それから、先ほどお話が出ます抱き合わせ販売、これはずいぶんございますね。お米を買ってくれればどうとかこうとか、幾つも出てまいります。それから、今度は前年実績販売。これは元売りもやっていますし、元売りがやるから小売まで引き続いてやるのだということになって、上から下まで前年実績。そうすると、新しく転入してきた人たちは売ってもらえないとか、こういう問題がございます。あるいは量の制限販売というのがございます。一戸当たり五かんまでしか売れませんというようなことを言われてしまうわけですね。そういうようなやり方は、私は不当な販売行為だと思うのですよ。それは独禁法に触れるのじゃないでしょうか。こういうようなことも考えますから、いまのこれらの問題と先ほどの問題とあわせて調査をしていただきたい。それはいかがでしょうか。
  84. 妹尾明

    ○妹尾説明員 端的に申し上げますと、先生いま御指摘の行為の中には独禁法と関係のあるもの、関係のないものといろいろあるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、ただ高いというだけでは問題としにくいということが一つございます。ただ、抱き合わせ販売につきましては独占禁止法との関係で明らかに問題がございますので、そういうふうな情報に接しました場合には速やかに処理はいたす——もう現にそういうふうな体制をとっております。  それからなお、カルテルの問題もございますので、灯油の今後の価格動向につきましては十分な関心を払いまして、私ども関係で問題があるような事態がありました場合には速やかに手を打つように注意してまいりたいと思います。
  85. 金子みつ

    ○金子(み)委員 では、そのことはぜひお願いしたいと思います。  それから、そのような実態だものでございますから、なくなったら大変だということで、必要もないのにたくさん買う人もいるわけですね。これは経済的に余裕のある方はそういうことをなさるのですけれども、ぎりぎりまで買えない人たちもあるわけです。たとえば年金生活者であるとか母子世帯の方、生活保護世帯の方、こういう方たちは必要ぎりぎりになって買うわけです。そうするといまのようなことを条件にされて売ってもらえない、制限されて少ししか売ってくれないという非常に不都合な事態が起こっているわけなんです。こういうことを少しでもなくすために、みんなに必要なものを公平に供給することができるということが私は国の責任だと思いますので、こういうような方たちも確保できるために、政府として何か特別なルート、あるいは元売りあたりに、そんなことを言わないでちゃんと出しなさいとか言っていただくような方法はないものでしょうか。そういう措置をとっていただくことは行政上できないものでしょうか。それは通産にお願いしたいと思います。
  86. 神谷和男

    ○神谷説明員 御指摘のように新規世帯でございますとか新婚の世帯でございますとか、新しい実需があるものか実績がないというような理由から断られておるケースが苦情処理の段階でしばしば出てまいりますし、一時、特に需要期入りの段階で非常に各地で起こったというふうに聞いておりましたので、私どもといたしましては、これらについては全般的に、まず実需のあるものに関して、いろいろの事情があるかもしらぬが、必要最小限度のものは供給するように、それから、新規であるというようなことで一律に断ることのないようにという基本的な要請を強く行い、関連業界につきましては地方通産局等を通じてきめ細かく指導をいたしてきておるところでございますが、需要期に入りましてしばらくたちますと、それらの苦情の処理が行われた結果、ある程度のパイプがつながりまして、満足いくかいかぬかいろいろな事情はございますが、灯油が流れるようになってきており、需要期が終わってある時間たちました地域はその種の苦情が非常に減っておる、こういうふうに考えておりますし、調査の結果でも出ておりますので、しばらくこのような形で続けたいと思っております。先生のおっしゃるように、どこか新しいものをつくりまして、そこへ行けばいつでも自由に買えるような形をつくるというのは、一つの考え方でございますし、それからぎりぎりの状態になりますと、それの極限の配給切符制みたいなところまでいかにゃならぬ事態というのも当然予想はいたしておりますが、これを途中の段階で行いますと、流通チャンネルか非常に乱れまして、十分油があるわけではございませんので、あるところに流しますと、ほかの方をどうしても削って流さにゃいかぬ、そこでまた苦情が起きて、そのための処理に走り回る、こういうことになりますので、できるだけ現在の流通チャンネルというものをこの時期余り大きくいじらないで、きめ細かな指導とさらにはあっせん、仲介という形で処理をしてまいりたいと考えております。もちろん御指摘のような問題がございますので、状況推移に従っていろいろな方法は勉強していきたいと思っております。
  87. 金子みつ

    ○金子(み)委員 苦情などよくごらんになって適切に処置していただきたいと思います。  いま一つは、石油の輸入の問題なんですが、大変にややこしいので、どういうふうにお考えかということを聞かしていただきたいのです。  報道によりますと、メジャーが日本向けの非資本系列石油会社に対する供給削減を強力にする、強化するというようなことで、下手をすると来年からは入ってこなくなるのじゃないかというふうな心配があるということを聞いております。そのようなことになりますと、その次そうすれば、日本輸入の半分以上メジャーが持っていますから、そこがだめだということになると、スポット買いということになってくる。スポット買いをすると、先般のように政府指導の目安よりはるかに高く買った商社がございましたね。それでアメリカからも大変に文句を言われたし、政府もお困りになって、その商社に大変厳しく注意をなさったということも伺っております。その厳しく注意をなさった方法としては、第三国に転売させる方法だとか、いろいろお図りになったようでございました。しかし、それもできないというふうになりますと、直接産油国から日本政府が買い入れるということだけしか残らないじゃないかというふうにも思ったりいたします。そして、政府は高値でスポット買いをすることを抑えたいということで、備蓄を少し取り崩して、そうして放出させるように指導するということが新聞にも報道されておりました。これがどこまでできるのか、備蓄だって最小限度は抑えておかなければならないのだと思いますから、どれくらいまでできるのかということが非常に不安定な要素の一つです。  いま一つは、備蓄を切り崩すことについて石油会社が反対するのじゃないかという考え方が一つあるわけですね。それは将来——東京サミットか日本輸入量は来年まで確保してくれていますね。ですから、来年まではいいとして、それから先どうなるかという不安がそれぞれの関係会社にはあるだろうと思います。ですから、そういうところがそれを不安だと考えているのでしょうか、その備蓄切り崩しには全面的に賛成しないのじゃないだろうかというようなことも考えられますから、そうすると、八方ふさがりみたいなかっこうになってしまって、それじゃ日本の石油を輸入するためにはどうしたらいいのかということになるのですが、その辺の政府の考え方と申しますか、政策を聞かせていただきたいと思います。
  88. 神谷和男

    ○神谷説明員 ただいま先生御指摘のように、メジャーが非系列会社、サードパーティーに対しての供給をカットしてきております。去年くらいまで百四十万バレル・パー・デーでございましたが、来年の一月は四十万バレル・パー・デーくらいで、百万バレルは切られるというふうに思います。それから、過去七割くらいメジャーを通して日本のメジャー系の系列子会社あるいはその他の民族会社に油が入ってきておりましたが、現時点では五割そこそこになっており、来年はもう五割を切ることはまず間違いはないだろうというふうに考えられますので、これにかわるものをどうしても確保せねばならぬ。そのためにはやはり、先生が御指摘になりました政府ベースのGG原油であるとか、あるいは民間の直接取引で産油国から直接買ってくるDD原油であるとか、こういうもので置きかえるというのが理想でございますし、来年中には何とかそういう基本方向を出したいと私ども思っておりますが、この年末に切られますと、産油国あたりはなかなか新しいDDのパイプをつないでくれませんし、来年も、少なくとも前半は需給が非常にタイトであろうと思いますので、そうしますとスポットで売った方が産油国も高く売れるということで、DDの契約になかなか応じない。こういうことで、DDのパイプを太くするというのは理想でございますが、なかなかすぐにはいかない。その間は、量が足りないとどうにもなりませんので、どうしてもスポットは買わざるを得ないと思います。スポットと言うと非常に言葉が悪いんですけれども、そういう長期契約ものでない油を買わなければならない。  ただ、その場合に、スポットでございますと、通常の値段よりはるかに高いのでございますが、高い油の中にも幅がございまして、そこの中の高い部分は買わないでください、できるだけ安いものを上手に買ってくださいという指導をしておるわけでございます。その指導にはある程度従っていただいておりますが、産油国が、来年のDD契約でいい心証を与えればいいことがあるかもしれぬということで、かなり法外に高い油を、押しつけじゃございませんけれども、買わせることはございます。なるべくそういうのには抵抗するようにしておりますが、一部買った会社がございまして、国際的に相当の批判を浴びました。こういうものは、商社が買いましても、国内の精製会社に買い取らぬように別途指導いたしますので、その玉、とわれわれ言っておりますが、油は結局日本に持ち込めなくなって、ヨーロッパのスポットマーケットで売り払い、ある意味ではヨーロッパのスポットの市況を冷やしましたので、それなりの効果はあったろうと思っております。  しかし、こういう状況がいつまでも続くのは好ましくございませんので、先ほど申した基本に戻るように、できるだけ早くそういうことを実現したいと思います。その間はやはり高値でないスポットを買って需給を合わせると同時に、スポット市場が非常にきつくなったときは、ある程度備蓄も崩さにゃならぬだろうと考えております。したがって、備蓄については、備蓄法で民間会社をかなり厳しく規制しておりまして、それは弾力的にやるから崩しなさい、こう言っておりますが、御指摘のように先が不安なものですから、余り崩したくないという気持ちは一部の社にございます。ただ、私ども供給計画をつくりまして、このとおりに生産し、このとおりに販売してくださいというのを個別会社に指導いたしておりますので、いろいろの先行き不安、それから、好んで崩されるかどうかは別といたしまして、現在までのところ、そのような指導が非常にむずかしくなるとは考えておりません。全般的な原油市場の安定というのは、石油会社にもメリットになりますので、大局的な見地からできるだけ協力してもらうようにいたしたいと考えておりますし、それで乗り切れるというふうに考えております。  そのほか、国家備蓄もあるから、それも弾力的に運用したらどうかというような意見もございますが、このあたりは全体の状況を見ながら慎重に考えたいと思いますが、固定的には考えておりません。
  89. 金子みつ

    ○金子(み)委員 ありがとうございました。  経企庁長官に最後に一つお願いがあります。いまも、短い時間ですけれども聞いていただいたと思います。朝からもずっとお聞きになっていただいておりますが、状態は大変に緊急度がだんだん高まってきているような感じがいたします。これで来年に入ると、公共料金がばっと上がる予定がございますでしょう。こういうようなものも追っかけてまいります。ただ単に灯油の問題だけでなくて、そういったいろいろな公共料金の要素が加わりますので、生活不安の危機は非常に迫ってくると思いますし、緊急度は高まってくるというふうに考えますので、ここで石油三法の中で——けさほどもお話がございました。武部委員からもございましたし、前回も、私どもの同僚の小野委員からもございましたし、私は三人目になるのですけれども、同じことをまたここで言わなければならないと思うのですが、ひとつこの生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置法、これを発動することを決意していただきたいということをお願いしたいと思うんです。通産省の方には、価格を安定させるために、やはりこの石油二法のうちの一つの法律を該当させて発動していただき、国民生活を安定させるようにしていただきたい。けさの御答弁では、それを発動すると高値の引き金になるからということでございましたけれども、それならいつまで待つのかということにこっちは疑問を持つわけですね。いよいよ事が起こってからでは間に合わないじゃないか、だからやはり前段で予防的対策という考え方も入りまして、そのようにさせないためにここで発動させることはいかがなものか。私どもとしてはぜひやっていただきたい。多くの人たちがそれを願っております。先般の消費者大会でも、そういう声が結論として出ておりますので、その点を一言御答弁いただきまして、私終わりたいと思います。
  90. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 先ほど来、金子委員と通産省の石油部長との間に、いろいろ石油について基本的な問題また非常に重要ないろいろな施策について質疑応答がありまして、私も十分拝聴いたしました。いまカラカスはまた一日延ばすような動きでございます。大変石油問題についての見通しは不透明の一語に尽きると思います。  そこで、われわれはこれからどうするということをなかなかはっきり申し上げる段階ではございませんけれども、ただ申し上げられることは、こういうふうになってまいって、いわゆる産油国の間にもいろいろと足並みの乱れもございます。またわれわれ消費国の間にもいろいろな問題もあるわけですが、これは努力をいたしまして、できるだけきしみの少ないようにやっていかなければなりません。そういう場合に、私は、けさある大新聞が灯油問題を中心にいろいろな立場の方々が率直に話し合っておられるのを拝見いたしまして、大変教えられるところが多かったのです。金子委員のお立場もよくわかります。そういうお立場で、早く生活関連二法を発動したらどうかというお立場はわかります。しかし、われわれとしては、今日までもいろいろ通産当局も努力をされまして、とにかくこの非常にむずかしい時期を今日まではまあまあというところで乗り切ってきたように思います。これからもいま申し上げたような非常に見通しの困難な、また複雑な事情の中で簡単に手足を縛られるようなことを先走ってやることはいかがであろうか。なお、われわれとしてはいわゆる市場機構、自由企業体制、それに対する必要な行政指導というものはもう当然のことであります。これをやりながらこの危局を乗り切っていく、こういうこともまた一方では十分考えていかなければならない。私は、いま御指摘生活関連二法あるいは石油需給適正化法、こういうふうな法律を国会がおつくりくださって、われわれに与えていただいていることには大いに感謝しております。いざという場合にはもちろん発動を辞するものではありませんけれども、しかしにわかにそれにわれわれとしては移行するということは目下のところは時期尚早ではないか、もう少し事態推移を見ながら、さらにお互いに課せられた使命を分担する役割りを十分発揮していくような努力をまだやっていく段階ではなかろうか、こういうふうに考えておりますので、委員のおっしゃられたことにつきましては、十分念頭に置きまして今後の施策を進めてまいりたいと考えております。
  91. 金子みつ

    ○金子(み)委員 終わります。
  92. 井上普方

    井上委員長 松浦利尚君。
  93. 松浦利尚

    ○松浦委員 私は三十分間ですから、政府答弁は簡潔にお願いいたしたいと存じます。  いま、わが党の同僚議員あるいは与党の議員からもいろいろとお話がありましたが、石油事情に関連をいたしまして、従来中間三品と言われておる軽油等のたくさん取れる軽質油という油がなかなか手当てがしにくくなった。最近は重質油に移行せざるを得ない。ですから、軽質油の場合には灯油等は約一五%の得率があったわけでありますが、サウジとかイランの重質油では灯油等わずかに三%ないし五%の得率しかない。したがって、この際従来持っておりましたJIS規格を改定をして、重質油からも中間三品の得率が高くなるようにJIS規格を変えようという動きが政府内部に出ておるということが報道されておるわけです。  そこで具体的にお尋ねいたしますが、軽油、A重油、C重油についてはすでにJIS規格の改定を終わりまして、このJIS規格で実施されておる。しかし片一方の方ではまだ官報にこの規格が公示されておらない。このJIS規格改定に当たっては約三千近くのユーザーに試験をお願いして、そして最終的にJIS規格の改定に踏み切ったということを業界の方から聞いておるわけですけれども、いま言った軽油、A重油、C重油については実際にJIS規格の改定をいつやられたのか、そしてこれが産業界等に与える影響というのは具体的に従来と変わらないのか。あるいはこれは環境庁の所管でありますけれども、環境については総量規制というものが現実になされておるわけで、そういう環境に対する規制の改定とかいうことを全く抜きにして、現在の規制をそのままにした上で処置できる内容のものかどうか、その点を少し具体的にお聞かせいただきたいと思います。
  94. 神谷和男

    ○神谷説明員 御指摘のように、A重油、C重油、灯油につきましてのJIS改正は十二月一日に行いました。現在公示のための官報事務手続中でございます。  おのおのにつきまして簡単に申し上げますと、A重油は、暖かい地方で使えるような暖房用高流動点の規格を一つ追加したわけでございます。これはむしろきめ細かくユーザーの需要に応じ得る形で、無理に上質のものを使わないで済むという形にいたしたわけでございますので、これは環境には関係なしに進められると思います。  それからC重油は、一部かなり粘度、粘りの強いものをいたしました。これにつきましてはS分はいじっておりません。それから先生御承知のように、NOx関係はJIS規格の方では入っておりませんので、これは当然環境規制の方から律せられまして、それに応じたものしかたけない、こういう形で出てまいります。御承知のように燃焼方法がNOxの七割強出ておりますので、これはそういう形で、JIS改正は直接の環境に与える影響はございません。  それから軽油も流動点の高いものの規格を一つ新設した、こういう形でございまして、用途に応じた規格を新しくつくり、一部必要以上の粘度化を若干実用に合ったものまで落とした、こういう形でまいっておりますので、現時点で環境に影響を与えずに実施できると考えております。
  95. 松浦利尚

    ○松浦委員 エネ庁にもう一遍確認をしておきたいのですが、粘度の高いC重油を仮に現在の総量規制に合わせて処置しようとすれば、相当コスト負担というのが出てくるのじゃないですか。そういうものは全くないですか。
  96. 神谷和男

    ○神谷説明員 実は粘度の関係も、先生おっしゃるように全く関係ないことはございませんで、粘度が高いほど中に含まれるN分は若干高くなりますが、それよりもむしろ油種によりまして油の中に含まれるN分が非常に大きな差がございます。したがって、需要に応じてその油種をブレンドして使うわけでございますが、その際N分のブレンドの関係を若干考えるという形になるわけでございまして、コスト面では特に影響はないと思います。
  97. 松浦利尚

    ○松浦委員 それでは、このJIS規格改定によって総量規制まで波及的に緩めてもらいたいという要望は絶対にあり得ない、そういうことが出てくること自体が不純だ、そういうふうに理解していいですね。
  98. 神谷和男

    ○神谷説明員 油の問題と環境の問題にいろいろの議論はございましても、私どもはJIS規格の今回の改定に関しては、現在の規制を前提にして物事を考えております。
  99. 松浦利尚

    ○松浦委員 さらに今度は灯油のJIS規格改定についてお尋ねをしますが、九十六時間テストを三菱総研に依頼して、灯油のJIS規格改定をされようという努力をされておりますね。  もう時間がありませんから具体的にお尋ねしておきますが、そのときに現在の規格に該当する灯油をMRIの一として、それにたとえばJISの限度いっぱいとか、あるいは低IBPとかあるいは高EPとか低煙点とか、そういう一つの特質を持った灯油をつくらせて、そして九十六時間テストをさせたわけですが、その短時間テスト結果についてはすでに報告を受けておられますか。
  100. 神谷和男

    ○神谷説明員 報告を受けております。
  101. 松浦利尚

    ○松浦委員 その報告内容は秘密事項ですか、公表していい事項ですか。
  102. 加藤昭六

    ○加藤説明員 公表してしかるべき性格のものでございます。
  103. 松浦利尚

    ○松浦委員 それでは、これは非常に重要な資料になりますから本委員会に提出を求めたいと思います。いいですか。
  104. 神谷和男

    ○神谷説明員 委員会の御指示に従えるものと考えております。
  105. 松浦利尚

    ○松浦委員 委員長、よろしくお願いします。
  106. 井上普方

    井上委員長 はい、かしこまりました。
  107. 松浦利尚

    ○松浦委員 それから、その場合にお尋ねをしておきたいのは、この短時間燃焼テストの結果、長時間テスト、一千時間テストを行わなければならぬという報告を受けて、MRIの5ですね、これを煙点を中心に——低煙点の灯油ですけれども、これを一千時間テストをしておられるはずですが、そのテスト結果はいつ明らかになるわけですか。
  108. 加藤昭六

    ○加藤説明員 一月早々に明らかになると思います。そのテスト結果は一月中にまとめて公表される手順になっております。
  109. 松浦利尚

    ○松浦委員 そうすると、この短時間燃焼テスト結果報告の中に、JIS規格灯油のぎりぎりの製品であるMRI12ですね、これも現在のJIS規格から外れておる。特にこのMRIの5は目標値をはるかに外れておる。ですから、このMRI15については千時間テストを実施した方がいいのではないかということで、いまその千時間テストに入っておるんだと思うのですが、この九十六時間テスト結果によりましても、「使用中の経年変化した機器の長期テストをし、さらに消費者に対して広報活動と了解が必要である。」というのが一項目入っていますね。それからその次に「現在の石油機器は、現在市販されている灯油を基準にしたJISに基づき製造されているため、灯油の規格改正となると、機器の規格も改正していく必要がある。」というふうにありますね。ですから、ここで問題になりますのは、先ほど言いましたように、重質油の中間留分をよけいに引き出すためにJIS規格を改定をする。産業界については一応——産業界の負担になるのかどうかわかりませんけれども、現在の環境を破壊せずにJIS規格改定してもよかった。ところが、今度このJIS規格の改定を仮にいたしまして、そうしていま二番目に指摘をしておるように、現在市販されておるもののJIS規格の改定をしなければならぬというような状態になりますと、もうすでに新しい暖房器具をどんどん買っていますね。寒さに向かって現実にいま買っている人たちがたくさんおる。そうすると、JIS規格の改定をせざるを得なくなった。そして、そのJIS規格の改定に従って機器類の改定もしなければならぬという状態になってきたときには、消費者にとっては大変な負担過重になるわけですね。ですから、現在の石油機器に対してのJIS規格を変更しなければならぬようなデータが出たときには、灯油のJIS規格の改定はやらないということをここで断言できますか。
  110. 加藤昭六

    ○加藤説明員 御質問の要点は二点あると思います。一つは、機器の長期テストを経年変化した機器についてもやる必要があるという点について。それから第二が、この規格を改正することにより燃焼機器の規格も改正していく必要があるというふうなコメントかついていたようでございます。これについてはどうかという御質問であろうかと思います。  まず、燃焼機器の規格の改正の点でございます。これはあくまで、先ほど石油部長が答弁申し上げましたように、既存の燃焼機器を用いて支障のない範囲内において規格の改正の可能性を検討するということでございまして、そういう方向で現在検討を進めておるわけでございますから、機器の規格の改正ということは必要はないというふうに考えております。  それから、第二点の経年変化の長期テストでございますが、これにつきましては、先生のお手持ちの資料は予備テストでそういう意見が出たわけでございまして、それに基づきまして、新しい燃焼機器とそれから古い燃焼機器とを幾つかそれぞれの機種に複数種置きまして、現在燃焼実験をやっているというふうなことでございます。
  111. 松浦利尚

    ○松浦委員 部長、灯油のJIS規格を現在の機器の改正をすることを条件にはしないということですね、逆に言うと。ですから、もう現在の機器に合わないときには灯油のJIS規格改正はしないと、こういうふうに理解していいですね。明確にしてください。
  112. 神谷和男

    ○神谷説明員 御指摘のような場合には、規格の改定はいたしません。その場合に、どのような形で中期的に対応していくかどうかの勉強はさらにしていきたいと思います。たとえば、機器のJIS規格の改定ではなくして、より広いものに耐え得るような優良な機器をできるだけ普及させて、その普及度等を見ながら将来どう考えていくかというような問題は、別途行政上の指導の問題として考えていきたいと思いますが、機器の規格をいじらねばならないような灯油の規格改定は行いたくないと思います。
  113. 松浦利尚

    ○松浦委員 これはエネ庁に私は要望ですけれども、恐らくエネ庁もそういうお気持ちはなかったし、たまたまだったと思うのですけれども、こういう国民に非常に影響を与えるようなJIS規格の改定というのは、やはりオープンでやってもらわなければ困るのですね。確かに、いま言ったように、軽質油が非常に手当てしにくくなったから重質油へ傾斜せざるを得ない。ですから、灯油の留分が非常に少なくなってきた。ですから、それをよけいに引き出すためにはある程度灯油のJIS規格を変えて煙点を二十一ミリぐらいに下げたらどうだろうかというようなそういう発想はあったにしても、しかしそのことが消費者全体、国民全体に影響を与える、そういうJIS規格改定につながるのですから、それを何かこそこそやられたのでは困るので、やはりやるならやるでもっとオープンにしてもらわなければいけないと思いますね。  一つの例は、私が知ったのは、九月の石油審議会の石油部会でJIS規格の改定をやるというのが始まったのですよ。ところが、実際にこの報告書が出たのは七月十九日ですよ。こういうテスト、JIS規格の改定をやろうという方針は、切符制度等が決まったときに緊急時に備えてJIS規格の改定をやろうというのを通産省が決めてやっておられるのですよ。ですから、そういうふうに、こういう重大な問題というのはこそこそ隠れてやるのではなくて、やはりオープンにして、国民皆さんJIS規格の改定をやります、そして、あなた方に、国民に不安を与えるようなときにはJIS規格の改定をやめます、そういうふうな明確な態度をとった行政をやってもらわないと、何か秘密行政をやられたのでは国民の側に犠牲が転嫁されるだけですから、これは要望として私は申し上げておきたいと思うのですが、よろしいですか。
  114. 神谷和男

    ○神谷説明員 私ども、できるだけ皆さんの御理解をいただいて進めるようにいたしたいと思います。石油部会で決めます前に技術上の勉強をいたしておりましたので、実はその結果等も勘案しながら部会でひとつ本格的にやったらよかろうという御意見をいただいたわけでございます。今後も、できるだけデータはオープンにしてまいりたいと考えております。
  115. 松浦利尚

    ○松浦委員 きょうの大新聞も軽油、A重油、C重油のJIS規格の改定はまだやっておると報道しておるのですよ。きょうの新聞を見てごらんなさい。経企庁長官がさっき読んでおられたが、その中に書いてある。ところが、現実に十二月一日にもうすでに規格を決めておるのだから、改定してしまっておるのだから、これが明らかに隠密主義だということがわかるでしょう、大新聞が知らぬのだから。国会議員よりも新聞社の方が知っておるのだ。その人たちが知らぬのだ。私はそのことを指摘したいのですが、これは余談のことになりました。  それから次に、この前からいろんなことを皆さん方が灯油にかかわり議論をしておるのですけれども、どうも釈然としない。その一つは、先ほど金子委員指摘しましたように、価格の問題と量の問題があるのですね。そうすると、量は完全に確保されたんだという主張を盛んに政府はしておられるのですけれども、しかし、依然として投書とか陳情がある。その内容は、抱き合わせとかあるいは新規転入者には分けてくれないとか小売店自体が前年度から二〇%カットされて灯油が来ておるとか、そういうのがいっぱいわれわれのところに来るのですよ。ここで政府お話を聞いていると、いやそういうことはありません、個々のケースは苦情処理で解決しますと言われるけれども、それは一向に直らないですね。  そこで、私は経済企画庁にお尋ねしたいのですが、一体経済企画庁としてはどんな角度から、灯油は国民皆さんに不安を与えない状況確保されておるし需給は絶対保たれますというふうに御答弁なさるのでしょうか。
  116. 藤井直樹

    藤井説明員 まず灯油全体の需給の問題がどうなっているかということが把握されなければならないわけですが、たびたび申し上げておりますように、現在の段階では在庫を当初の目標以上に蓄積したということでございますし、現実の売買の状況を見ましても、石油供給計画で決めた線の中でやられておるということがまずマクロ的にはございます。しかし、マクロ的な需給状況から見て末端までそのとおりうまくいっていると私どもは思っているわけではございません。そういうことでございますので、価格監視をいたしますと同時に、末端で、たとえば先ほどからお話が出ておりますように新規のお客さんが買えないというようなことに対して適確な需要確保を図ることをねらいといたしまして、資源エネルギー庁の方が各県さらには市町村と連携をとられまして苦情処理の窓口をつくって、その窓口において一件、一件、個別的な事情に即して需要の手当てをしていくということで、非常にきめ細かい話ですけれども、そういうような対応で末端の方でできるだけスムーズにいくようにしておるわけでございまして、かつてのように非常にだぶついた時代において業転玉等によって供給をしておりましたルートはかなり変わってきておりますので、そういうルートの変化が需給に非常に影響を及ぼしておるということもあると思います。そういうことについて摩擦ができるだけ少なくなるように、そして個別にお客様が灯油を手当てできるようにということで、国それから地方公共団体が一緒になって努力しているという状況でございます。
  117. 松浦利尚

    ○松浦委員 長官、いま各県ごとに灯油の需給調査をしておるのです。価格の問題、それから需給の状況。これは通産エネ庁と経済企画庁に報告が来ておるのですが、具体的に各県ごとに公表しておるのは、これは企画庁の方からお聞きしたのですから間違いないと思うのですが、北海道、東京、高知、宮崎の四県だけだというのですね。あとは調査結果は公表されておらないというふうにお聞きしておるのです。経済企画庁に各県の需給状況の報告は来ておりますね。たとえばこれは一つの例ですけれども、この前もちょっとお話しいたしましたが、宮崎県の需給状況は、私の県ですけれども、軽油、A重油、灯油については仕入れ量が昨年に比べて二〇%程度少なくなったお店がある一そういう報告がちゃんと行っておるわけですね。需給が一〇〇%なら本当はこういう報告がないはずなんだ。ですから、各県ごとに事情が違っておるのですから各県ごとに報告されてくる内容をこの委員会に出してくださいとこの前もここで私は申し上げたのですけれども、結局出していただけない。出していただけない理由というのは、いま申し上げたように地方自治体で公表に踏み切っておるのは北海道と東京、宮崎、高知の四県だけだ。ですから、ここで幾ら議論をしようとしましても、たとえば東北のある県の人が来て、やあ抱き合わせをやられました、店に行ったら二〇%カットされました、それは苦情処理機関がありますから苦情処理機関に行きなさいという程度の議論にすれ違う。少なくとも需要は絶対確保されるのだ、先ほど公取の部長も言ったように抱き合わせとかいうようなことは絶対させないのだということでやれば、全国のそういう状況についてせっかくこうデータを集めておられるのですから、そういうものはどんどんここに出して、お互いに議論をして埋めていくという努力をしなければ、灯油の需給問題はどんなに数字的に七百十万キロリットルありますから大丈夫ですと言ってもここでは解決しない問題が非常に多いと思うのです。それがここの議論のすれ違い。物価委員会開けば毎日のようにこれ。私もこの前やりました。各党の委員皆さんこのことを言う。しかし結局議論は議論で終わってしまうのですね。ですから長官、この際思い切って、そういう状況が仮に把握できれば、発表できない部分はいいですから、北海道はこうだ、岩手県はどうだ、こういう資料をここに出してざっくばらんに議論をさせていただくことの方が私はより前向きだと思うのですが、どうでしょうか。
  118. 藤井直樹

    藤井説明員 私どもも各県にお願いをいたしまして灯油の需給事情、価格の動き等については随時連絡してもらうようにしております。ただ、これは各地方公共団体の責任で調査されたものでございますので、これがどういう形で外に出るかということにつきまして県と十分お話もしておりませんし、県がどういうふうにしておられるかも全県にわたって把握しておりませんので、いま御指摘の問題につきましてはさらに県の当事者とよくお話をしてみたいと思います。  ただ、たとえばいま御指摘の宮崎の場合ですと販売制限の店が五十何%かあるということになっております。一方で県に聞いてみますと苦情処理の窓口に来ておるものは大体全部解決をしておるという話も聞いておりますので、その辺がどうなっておるのかもよく事情を聞きたいと思っております。
  119. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 松浦委員の御指摘、ひとつ私の方でも当たってみますし、宮崎県は松浦委員の地元ですから委員の方でもお当たりください。いままではとにかく県の調査を送ってこいというのでいただいておるのですが、今度は国会の物特委員会という権威のある委員会からそういう資料は必ず出すようにということになればこの調査も十分行き届いたものができると思うのですよ。そういう心組みで、情報公開法じゃありませんが、こういうことは大いに公開すべきだと私は思います。そういうつもりでこれから調査する者も、また調査を聞く私ども委員会に提出する資料として十分活用するようにいたしたいと思います。
  120. 松浦利尚

    ○松浦委員 大臣の言われたことはそれで結構ですが、これは内容の違いはあっても各県が出しておるのです。これは北海道です。ですからそれを具体的にまとめてこっちに出してくれればそれでいいわけなんです。それをしてくださいと申し上げているのです。こちらの調査はこちらでやりますよ。それじゃ理事会でこの資料を政府から求める件——こんなのは守秘義務の対象じゃないと思うのですよ。エネ庁にだってあるだろうと思うのです。そういうものはお互いに出して、これからまともに議論するようにしましょう。これはまた理事会で委員長の方で配慮してください。  それからもう一つ、これはある石油会社の人からお話を聞いたのですが、現在、灯油で公称工業用に回っておるのは全体の量の三〇%だ、こういうように部長さん言われていますね。その数字は間違いありませんか。
  121. 神谷和男

    ○神谷説明員 民生用以外が約三割ということで申し上げました。
  122. 松浦利尚

    ○松浦委員 部長、その民生用の灯油が工業用の方に流れておる形跡はありませんか。あなた方は量を確保されたと言うけれども確保された民生用の灯油であるはずのものが末端に行ったときには工業用に流されておるのじゃないですか。そういう事実はないのですか。
  123. 神谷和男

    ○神谷説明員 民生用と申しております中には、いわゆる業務用が実は入っておりまして、簡単に申し上げますと、小さな飲食店その他で業務用に使うとか、そういうものが入っておりまして、そこの区分というのは明らかでございません。したがって、一般民生用の中で、小さな中小企業その他で動いておるところはあると思います。大口需要に関しては、私どもはないと考えております。
  124. 松浦利尚

    ○松浦委員 議論がかみ合わない最大の原因、それから需要かあるのに末端で不足する原因、そういうのはエネ庁が把握しておらぬところでこぼれておる可能性もあるのですよ、あなたはいまないと断言をしたけれども。あるはずの灯油が末端に行ったら不足をするという珍現象というのは、複雑な流通の中で漏れが出てきておるというところにも原因があると思うのです。ですから、便乗値上げかないとかなんとかじゃなくて、流通の中で、従来の流通からバイパスとか変な流通が生まれてきたために、灯油が不足ぎみになって価格上昇するという、よく言う売り惜しみといった形ではないけれども、そういうものが具体的に異常な灯油の値上がりという形で出てきておるのではないですか。この点が一つ。  それからあと一つは、東京では灯油が手当てしにくくなったということで、ことしは暖房をガスにかえる人がふえてきておる。ですから、従来のようなポット式とかFF式の灯油中心の暖房から、二次エネルギーであるガスに全部移っておる。そのために東京瓦斯では、余りにも申し込みが多くて、工事が一カ月も一カ月半もおくれるという状態が現に出てきておるのだそうですが、そういう問題について総合的に、エネ庁としてはあるいは物価局としては把握しておらないと、また逆のところで異常なパニックが起こるという状態があるのです。その点については、御理解いただいていますか。
  125. 神谷和男

    ○神谷説明員 まず工業用の点につきましては、かつて民生用灯油の価格をかなり低く抑えておりましたときには、水漏れのように民生用が工業用に流れるという問題が非常に大きな問題としてございましたが、現在工業用、民生用等、実際の価格の実態に合わせて行っておりますので、大きな流れはないと思います。中小企業その他で民生用の中に含まれておる業務用の部分での出入りというのは、統計上も把握しにくいものでございますが、需給に大きな影響を与える形にはなっておらぬと考えておりますが、さらにそのフォローを進めてみたいと思っております。  それから、灯油からガスへの転換につきましては、特に東京瓦斯等、LNGをかなり利用いたしておりますので、代替エネルギーの利用促進という面では、私ども望ましい方向と考えておりますが、工事の実態その他が非常なネックになるようなことになりますと問題もございますから、私どもの同じ資源エネルギー庁の内部でございますので、ガス担当部局ともよく連絡をとってまいりたいと思っております。
  126. 松浦利尚

    ○松浦委員 これで終わりますが、これは余り言う必要もないことでしょうが、先ほど言ったこういうテスト結果ですね。これの資料の「FF式石油ストーブの短時間燃焼テスト結果表」、これが実は商売に利用されまして、エネ庁も確認しておるのですが、神田の方にこれか回りまして、そしてこのデータ結果でいくと、MRIの5のJIS規格改定を仮にしたと仮定をいたしますと、九十六時間テストでもポット式はだめなんですよ。JIS規格の改定をしても、気化方式はオーケーなんですね。それで、この気化方式をつくっておる会社か——会社か小売店か卸か知りませんけれども、これを持って、もう間もなくJIS規格の改定が始まりますよ、始まったときには、それに適合する機種はうちの機種だけです、これが結果を示しております、私のところの機種を買いましょう、そういう動きが神田市場あるいは秋葉原であったのです。これは非常に好ましくない行為だと思います。私は、こういうテスト結果が特定の人に利用される典型的なものだと思うのです。こういう点についてはオープンでなければならぬけれども、こういうものはそういう点についての手続をもっとぴちっと規律あるものにしていただきたい。そのことを厳しく申し上げておきたいと思いますが、その点はよろしいですね。
  127. 神谷和男

    ○神谷説明員 決まっておりませんことを前提にして、虚偽の情報で商売をやるのはやはり好ましくないことだと考えますので、できるだけ事実を正確に消費者に伝えるという態度ですべての商行為を行ってもらいたいものと考えております。
  128. 松浦利尚

    ○松浦委員 終わります。
  129. 井上普方

    井上委員長 宮地正介君。
  130. 宮地正介

    ○宮地委員 私は、きょうは、当面する国民生活に直接影響のある石油問題を初めとして質問を進めてまいりたいと思います。  まず最初大臣伺いたいと思います。  ことしは石油の値上げに始まり石油の値上げに終わるというような年になりそうでございますが、いま日本国民皆さんはこの一連の石油値上げに対しまして大変な懸念を持ち、国民生活における大変な打撃をこうむっているわけでございます。この点について、物価担当大臣として、消費生活を守るという立場からどのような考え方を持ち、物価経済運営に当たる決意を持たれているか、まず伺っておきたいと思います。
  131. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 石油を中心とするエネルギーの供給不安、また価格の非常な騰貴、こういうものが国民生活に大変大きな影響を与えておりますし、経済にも大変大きな影響を与えております。これは御指摘のとおりであります。     〔委員長退席、松浦委員長代理着席〕 そこでわれわれとしては、通産当局を中心といたしまして、まず需要に見合った供給確保する、これを基本の政策に置きまして、価格面も、先ほど来いろいろお話がありましたように、できる限り価格を抑制していく、こういう基本方針で原油の取得価格についても節度ある態度を関係者に要請しておるわけでございます。  幸い、一方では円安という新しい要因もございまして、卸売物価の騰貴状況は本当に目覚ましいものがあったわけでございますけれども、それの消費者物価への波及というものは、今日までのところは関係方面の御努力で相当程度食いとめることができたと思っています。しかし、これは楽観を許しません。今後一層その点は注意をいたしまして、国民生活経済成長、そういう方面に対する影響をできる限り小さくしながら経済を安定的に成長させていきたい、こういう考え方で施策いたしております。
  132. 宮地正介

    ○宮地委員 いま大臣は、需要に見合った供給確保、そして価格をできるだけ安くしていきたい、円安という一つの新たな条件が付加されてきた、こういうことで国民生活に非常に大きな影響を与えている。そこで私は、円安というものは、石油に弱い日本ということが大きな要因一つであろう、そういう端的な感じかするわけでございます。エネルギー庁としては、大臣の言われたこの需給問題、これについては確保されたと考えておるのか、特に今後についての需給問題、現在の需給状況、これをどういうふうに考えておられるのか、まず説明伺いたいと思います。
  133. 神谷和男

    ○神谷説明員 まず量の面でございますが、原油調達の面から見ますと年内、十−十二月に関しましては、私ども必要なものは確保されたというふうに考えております。それから明年の一−三月、要するに今度の需要期の後半でございますが、これにつきましては産油国との直接取引交渉のむずかしさ、あるいは新しい年に入りましてから若干メジャーの契約切れというようなものもございますので非常に不透明ではございますが、現時点で観察いたしますと、サウジアラビアも現在の生産レベルを維持いたしまして、一部うわさされておりますような百万バレル・パー・デーの減産は少なくとも一−三月は行わないという方針をある程度、非公式ではございますが表明いたしております。したがいまして、スポット等にある程度依存はしなければならないとは思いますが、国内の需要に見合ったものを最小限確保できるものと考えておりますし、もし見込みが狂いましても、それは備蓄の弾力的運用によって対処し得る範囲内、こういうふうに考えておりますので、今需要期は特別新しい事態が起きない限り、量の面では乗り切れるものと考えております。
  134. 宮地正介

    ○宮地委員 価格の面についてはどういう判断をされておるのですか。
  135. 神谷和男

    ○神谷説明員 価格の面につきましては、けさほどの質疑にもございましたように、現在OPEC開会中でございますし、三日目も意見の一致を見ずに四日目にずれ込む、こういうことになっておりますので、これがどの辺に落ちつくかというのを見なければ何とも申し上げられませんが、御承知のようにOPEC総会の始まります前に、わが国としてかなり依存度の高いサウジアラビアそれからアラブ首長国連邦、カタール等々の国が六ドルの値上げを一斉に行っております。この影響というのは、十一月一日にさかのぼって値上げをいたしておりますので受けざるを得ないと思いますし、そのレベルから今度のOPEC総会でどの辺に落ちついていくか、このあたりを見きわめざるを得ないと思います。さらに、新しい年に入りまして購入するスポットの価格というのがどのぐらいの価格のものがどの程度入手し得るかという点を推察せなければならないわけでありますが、基本的には、できるだけ節約を行うことによって、高いものを買う量を最大限切り詰めて、外的インパクトでございますので避けることはできませんが、その範囲内で、耐え得る限度ぎりぎりのところまで巧妙な買い方をしていきたいと考えております。したがって、インパクトは受けざるを得ませんが、やはりそれを最小限にする努力を続けていかなければならないと考えております。
  136. 宮地正介

    ○宮地委員 国民はまさに本年当初は一バレル二十ドル原油の時代が来たということで驚嘆をしたわけです。しかし、この暮れを迎えようとして、いまや三十ドル原油の時代が来るのではないか。われわれ国民の消費生活は今後どうなっていくのだろうか。特に、石油依存の高いわが国の消費生活構造の中において、この心配の懸念は大変なものであるわけです。そういう点においてこの石油のかじ取りというものは、わが国の八〇年代の消費生活の構造をも変えかねない非常に重大な問題であろう。このような一つの新しい急激な石油高騰の時代、また需給アンバランスの時代、こうした対応に対して政府の対応策の大変な甘さといいますか、後手といいますか、この辺に対する国民のいら立ちは、私は、生活実感からとらえますとまことに怒り心頭にあるというのが、これは私たちが特に国民末端に接したときに感じる政治家としての判断であります。この点について大臣はどのように考えているか、所見を伺っておきたいと思います。
  137. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 いま宮地委員指摘のように、私はやはり国民皆さんは非常に不安を持っておられることは事実だと思うのですね。これはしかし、われわれ自身も率直に申しまして、OPEC総会が一体どういうことになるのか、また総会一つの統一されたコンセンサスが出ないにしても、その後の世界的な石油事情というものがどうなるか、これについては確かに不透明でございます。見通しは立ちません。しかし、そのことをもって生活の上にいろいろといら立ちを感ぜられるというふうなことのないように、これはひとつわれわれ政治家が力を合わせてみんなでこの危局を乗り切っていく。これは日本だけじゃございません、世界的な問題でございます。そしていままでのところは、宮地委員は大変不手際であったあるいは手おくれであったというふうに言われますが、先進諸国、石油消費国の状態を比較してくださいますと、日本はよくここまでやってきたんだ。第一回の石油ショックのときは確かにいろいろ問題がございまして、その後遺症に長い間悩んだわけでございますが、今回の石油の問題については、私は、いままでのところまあまあ世界じゅうで一番よい結果を持っておる。しかしこれは油断できません。そこで、政府あるいは国会の政治家の皆さんとともに、これからも大きく力を合わせましてこの危局を乗り切っていく。  また、物価問題については、けさほどから申し上げるように、国民の皆様にもひとつしっかりした監視をしていただくというふうにお願いをしなければなりませんが、そういう努力が実っていけばそう大きく不安を持っていただくということではなくて、やはりその日その日のわれわれの生活をベストを尽くしてやっていただくような態度こそ私は一番大事じゃないか。いままでうまくいきましたのは、何も政府だけの力ではもちろんありません。生産者、消費者それぞれに冷静な態度でこの問題に対処していただいたということが大きなファクターでありますから、今後ともそういう賢明な態度で処理していっていただくことを心から希望しておるわけでございます。
  138. 宮地正介

    ○宮地委員 うまくやったなどといううぬぼれは余り持たない方がいいのではないか。謙虚な姿勢で対応していくところに私は国民理解も得られると思います。  そこで、私は少しずつ中身の問題に触れてまいりたいのですが、石油部長に私は最初に伺っておきたいことは、わが国の石油の元売りメーカーの中には共石などの民族系資本による元売りメーカー、また多国籍企業と言われるような海外の資本が中心となってのメジャー、この二つの大きな系列があることは国民皆さんもよく存じ上げているところでございます。しかし、この系列の内容の面になると、なかなか国民の目からは不透明でわかりにくい。果たして需給問題価格問題というものがどういうような形で動いていくのであろうか。それに対して、果たして政府、通産省、エネ庁がどういうような適確な行政指導をしているのだろうか。この点については、言うなら消費生活を営む国民の目からなかなかわかりにくい。また、それだけの資料もなかかな提供されていない。そこに大きなひずみとギャップと価格、需給に対する不信感というものが逆に国民の間からも出ていることも事実でございます。  そこで、石油部長にこの二つの大きな系列における需給、価格動向についてどういうような行政指導、特に本年の相次ぐOPEC値上げに伴っての対応をされてきたのか、わかりやすく御説明いただきたいと思います。
  139. 神谷和男

    ○神谷説明員 民族系、外資系、確かに御指摘のように二つ分かれておりますし、大体能力的に半々ぐらいの構成になっております。ただ、今回のイランショック以降のわが国のこれらの会社の受けました影響というのは、民族系、外資系という形で二つに分けるよりも、むしろサウジアラビアに大きく依存をしておる外資系とその他の会社というグループに分けるのが適当ではないかというふうに考えられます。具体的に申し上げれば、アラムコ系と言われておりますサウジ原油に依存をしておる外資系の会社につきましては、比較的サウジが低位に抑えております原油がそのままの形で大宗入ってまいりますものですから、コスト的にも他の民族系その他に比べて優位に立っておりますが、同じ外資系でございましても、イラン依存度の高かった外資の系列の会社、並びに民族系の会社につきましてもそのイラン依存度等によって受ける影響は異なっておりますが、それらの会社は量的な面でかなりの原油獲得の苦労をいたしておりますほか、スポットの依存度が相当高くならざるを得ない、こういうことで、コスト的にも高くなっておる状況でございます。  しかし、量的には一部の会社がやはりかなり苦しいことはございますが、スポットの手当て等で現在までのところ供給計画とそれほど大きく違わない精製並びに販売が可能になっております。ただ、特に一部の民族系の会社で苦しいところがございますので、その系統のものを扱っておる販売経路で品不足の訴えというのがこの五、六月等に一時出ましたが、現時点では余り大きな問題になっていないというふうに考えております。  これらを反映いたしまして、現在の各社の出しております油の価格、別の言い方をいたしますればイランショック後の価格の引き上げにつきましては、上下二、三千円の引き上げ幅の差がございまして、これは私ども、現在便乗値上げを排するという趣旨から、実際に原油あるいは為替レート影響を受けてコストの上がった分のみ価格引き上げに反映させるように、こういう指導を行っておる結果、幾つかの多重価格で市場に出ております。これらの多重価格のものに関しましては、大口ユーザーはいろいろな交渉が行われますが、かなりの部分多重的に買っておる会社が多うございます。それ以外のところでは流通段階でまざったりいろいろいたしまして、末端価格では、灯油等を例にとりますと通常の年よりも値上げの分布の幅は必ずしも広がっておりませんが、山が通例よりかなり平らになってきておるという現象で、末端価格の分布にも若干の差となってあらわれてきておる、こういう状況にございます。
  140. 宮地正介

    ○宮地委員 そこで私は、きょうは灯油と軽油に少ししぼりまして具体的にお伺いをさしていただきたい。  まず灯油について、現在の私たち国民がこのシーズンを迎えて必要な需要供給の数量、これをお示しいただき、先ほど来から確保されているという判断をされておりますが、その点についての見解もあわせて伺っておきたいと思います。
  141. 神谷和男

    ○神谷説明員 まず灯油についてでございますが、五十四年度供給計画で見ますると、年間の灯油の生産は二千七百二十万キロリットルを予定をいたしております。このうち上期に千百四十万強、下期に千五百七十万強、下期は事実上フル生産に近い生産をいたします。しかし需要の方は、二千七百万キロが大ざっぱに申し上げますと上期七百万、下期二千万という形で、下期の需要は非常に多くなるわけでございますから、例年でも九月末を目指しまして灯油の在庫の積み上げというのを行い、その在庫を崩しながら下期の需要に対応するというのが実情でございます。その九月末の在庫につきましては、すでに御高承のとおり六百四十五万キロリットルを目標にいたしておりました。これは供給計画でそのように想定しておったわけでございますが、現実には六百六十万キロまで積み得たと想定いたしております。これは一部流通在庫が含まれておりますので、確報が出るのはもう少し後になると思いますが、この数字を下ることはないと考えておりますし、十月末は七百十万キロリットルという形でございますので、これを取り崩してまいりますれば、下期の生産供給計画どおり行うという前提でございますると、一定の節約を前提として供給は十分賄える、こういう考え方でございます。
  142. 宮地正介

    ○宮地委員 供給の方は賄えるというお話でございます。価格傾向についてはどういう判断をされておりますか。
  143. 神谷和男

    ○神谷説明員 価格につきましては先ほどの答弁でも一部触れさせていただきましたが、元売り段階におきまして灯油も含めて元売り仕切り価格を引き上げる際には十分の説明を聴取し、必要なアドバイス、指導等を行いながら便乗値上げを阻止し、いわゆる原油のインパクトあるいは円安に基づくコストアップ、これのみを当面は反映させるように指導をいたしており、この指導についての漏れはないと考えております。     〔松浦委員長代理退席、委員長着席〕 これが複雑な流通経路をたどりまして末端に参ります段階では、末端価格動向は私どもはモニター調査を資料にし、その他経済企画庁あるいは地方公共団体等のいろいろな調査を前提といたしながら価格動向をウォッチをいたしており、異常なものについては苦情処理あるいは積極的に当方から個別の指導を行っておるところでございます。  現在の末端価格動向、これは十二月一日前後、十二月の前半と申した方が正確かもしれませんが、元売り仕切り価格上昇がございましたので、現在末端価格の修正が進行しておる段階と考えております。この修正の段階におきまして、現在まで私どもがとらえておる限りでは、特に元売りの仕切り価格を異常に上回るような便乗的な動きはないというふうに判断をいたしておりますので、今後価格動向というのが、希望としては安定を望みますが、希望どおりいかないことも当然強く予想されますので、私どもは、それらの動向は慎重にフォローしてまいり、必要な指導を行いたいと考えております。
  144. 宮地正介

    ○宮地委員 結論的には原油のコストアップと円安のこの二つの要因のみを一応値上げの場合には考えておる、端的に言ってこれでよろしいですか。
  145. 神谷和男

    ○神谷説明員 少なくも現在まで、昨年の春以降の値上げについてはそれで行っております。今後、春闘その他によります人件費のアップその他コストアップがあった場合にそれをどう扱うかということについては、現段階では特に方針は固めておりません。原則として便乗値上げを防止するという考え方に基づきますれば、この期の途中で他の要素、特別新しい事態が出れば別といたしまして、これらをいじらねばならない事態というのは少ないのではないかと考えております。したがいまして、原則として原油値上がりのみ、それ以外、きわめて合理的でありやむを得ないものはその都度判断をしていくという姿勢で進んでまいりたいと思っております。
  146. 宮地正介

    ○宮地委員 原則的には、私がいまお話しした、やむを得ないものについてはその都度ということで、そこで伺いたいのですが、五十年の十二月に通産省が灯油の元売り価格のコストの試算を出しておりますね。この数値を少し、内容的、項目別に説明をしていただきたいと思います。
  147. 神谷和男

    ○神谷説明員 ただいま御指摘の数値は、五十年の末の標準額の設定の際の数字ではないかと考えます。標準額の設定につきましては、御承知のように、石油製品のコスト全体を総合コストといたしまして算定をいたしまして、そのときの状況によりまして、等額あるいは等率によってこれをそれまでの石油製品の市場で設定された一定の価格、その上に上積みをするという方式で行っておりますので、特に灯油自身についての原価計算その他というものは行っておりません。石油製品の総コストで計算をいたしておる次第でございます。
  148. 宮地正介

    ○宮地委員 それはちょっと、もう少し部下の方に調べさせてください。間違いないか。灯油でやっていないのか、やっているのか。
  149. 竹内征司

    ○竹内説明員 五十年十一月の標準価格のときにおきましては、石油製品の全コストから算定いたしまして、全体のコストをはじきまして、その後、油種別に転嫁しておる、こういうことでございます。
  150. 宮地正介

    ○宮地委員 そのときの元売り仕切り価格はキロリットル幾らになっていますか。
  151. 竹内征司

    ○竹内説明員 標準額算定のときの元売りの全製品は三万一千円でございます。
  152. 宮地正介

    ○宮地委員 一々時間がありませんから言っておきますけれども、そのときの対円ドルレート、それから原油のCIF価格のバレル当たりのドル価格、それから原油CIF価格のキロリットル当たりの円価格、そこまでまず説明、報告をしてください。
  153. 神谷和男

    ○神谷説明員 手元の資料では五十年の月別の通関のデータがございませんので、後ほど御報告をさせていただきたいと思います。
  154. 宮地正介

    ○宮地委員 私の方で調べてありますから少しお話をしておきたいと思いますが、五十年十二月の通産省が決めたときの為替レートは円ドル三百二円ですね。バレル当たりの原油CIF価格が十二・五八ドル、約十三ドル、そしてキロリットルに直すと約二万三千八百九十七円、さらに原油の払い出し原価、これについてはキロリットル約二万三千五百六十円、関税、石油税、これにつきましてはキロリットル五百三十円、いわゆる自家燃費といわれるロス関係がキロリットル約千二百七十円、精製費とか販売管理費とか備蓄とかこうした人件費、そういうものは大体キロリットル四千二百円、金利は、当時は大体安定した金利ですからキロリットル約千二百六十円ぐらい、利潤についてはキロリットル約百八十円ぐらい、こうした基礎データをもとにすると、先ほどお話しの元売り仕切り価格がキロリットル三万一千円になる、こういうことですね。間違いありませんか。
  155. 神谷和男

    ○神谷説明員 ただいまの計算に基づいて三万一千円を当時の標準額設定の際は作業いたしております。
  156. 宮地正介

    ○宮地委員 ちょうどそのころコスト上昇分についてキロリットル約千六百円くらいであろうということで、灯油の元売りの仕切り価格がキロリットル約三万二千六百円という設定がされたことには間違いないですか。
  157. 神谷和男

    ○神谷説明員 灯油につきましては標準額設定前の価格が約三万百円でございまして、二千五百円の引き上げにいたしておりまして三万二千六百円という数字になっております。
  158. 宮地正介

    ○宮地委員 すなわち、昭和五十年の十二月における灯油のいわゆる元売り仕切り価格はキロリットルにして三万二千六百円、これをいわゆる庶民の生活に当てはめますと、十八リットルのかんにして五百八十七円ということになるわけですね。よろしいですか。
  159. 竹内征司

    ○竹内説明員 当時、灯油価格につきましては一応そういう積算をしてございます。ただ、別途、できるだけ値上げ幅は薄くしてもらいたいという指導をしておりました。各元売りに指導しておりました関係上、実際の仕切り価格はそれより低かったと思います。
  160. 宮地正介

    ○宮地委員 最後のところがちょっとあやふやで、実際の仕切り価格はそれより少なかったと言うのですが、その理由はどういうことですか。
  161. 竹内征司

    ○竹内説明員 私どもの方で別途、元売り会社に対しまして、家庭用灯油につきましては今需要期に限り必要に応じ抑制的な指導を行うというふうなことをお願いしておりまして、その結果幾らという金額は明らかでございませんが、その額以下に推移したであろうということが想定されます。
  162. 宮地正介

    ○宮地委員 その辺が後であいまいになってくるので再び指摘をしておきたいと思います。  五十年の十二月に、エネルギー庁の方でいま私が申し上げたような基本的な要素に基づいてはじいた積算の一つの根拠というものを、私たちも皆さんのおやりになったようなやり方に基づいて、さらにその後、最初に石油部長がおっしゃったように円安問題と原油値上がり分を中心としてそのコストの変遷というものを私たちなりに試算をしたわけでございます。たとえば本年の八月の時点においての灯油の元売り仕切り価格——円レートを一ドル約二百十六円十三銭、あなた方と同じように平均的にやりました。そのほか原油のCIF価格、一バレル当たり二一・一一ドル、キロリッター当たり二万八千七百二円、原油の払い出し原価、キロリッター当たり二万八千八百四十五円、関税、石油税がキロリッター当たり千六百六十七円、自家燃費はキロリッター当たり千六百九円、精製費や販売管理費等、先ほどお話ししたような備蓄費も含めますとキロリッター当たり五千百三十八円、金利はキロリッター当たり千二百六十円、利潤がキロリッター当たり二百三十一円。そうしますと、元売りの仕切り価格はキロリッター三万八千七百五十円。そしてコストの上昇分をあなた方のつくった基本的試算から出しますと、キロリッター七千七百五十円。本年の八月における灯油の元売り仕切り価格は、キロリッターにしますと約四万三百五十円、十八リッターのかんにすると七百二十五円、こういう数字が出てくるわけでございます。石油部長に言わせれば若干その他の条件などと言って答弁を逃げるかもしれませんが、あなた方がつくった基本的積算に基づいて、そしてできるだけ石油部長のおっしゃっておるような条件を加味してわれわれが苦労して積算すると、本年八月の灯油の十八リッターにおける元売り仕切り価格が七百二十五円、こうなる。  さらに同じような方法で、私もきょうはいろいろと資料を集めまして計算をしてまいりました。五十四年九月の灯油の元売り仕切り価格は四万二千三百二十六円、十八リッターのかんにすると七百六十一円。同じように十月になりますと四万四千四十一円、十八リッターにいたしますと七百九十二円。十一月については四万八千五百二十八円、十八リッターにすると八百七十三円、こうした数字が試算できたわけであります。  特に私たちかこれをさらに末端のいわゆる消費者の価格の傾向と比較してまいりますとまことに何かおかしな現象が出てくる。  たとえば小売の灯油価格について、これも総理府の小売物価統計の東京区部の価格をもとにいたしましても、八月が十八リッターで千四十円、九月が千百円、十月が千百四十九円、十一月が千百八十四円、恐らく十二月はさらにこれを上回って千三百円近くなるのではないかと考えられます。  こうした小売価格といまわれわれが試算した元売りの仕切り価格、この差を調べていくに当たりまして、石油部長はわが党の二見委員予算委員会あるいは前回のこの物特における長田委員質問に対して、実際の原油がわが国に輸入されてから灯油になるまで一カ月からそう遠くない時期でこの小売段階に来る、こういうふうに議事録の中で明確に答弁をしているわけであります。もしもあなたのおっしゃるようなそういうような形になったとしても、たとえば五十四年の八月に例をとりますれば、小売の末端価格は九百三十円、流通マージンを二百五円というふうに私たちは考えました。さらに同じような形でまいりますと、どうしても末端価格においてその差が二百円から二百五十円程度出てしまう。これをわれわれ国民はどういうふうに理解をしたらよろしいのか、この辺に大変な苦慮をしているわけですが、まず事務レベルの石油部長から、そして大臣から答弁を伺っておきたいと思います。
  163. 神谷和男

    ○神谷説明員 五十年の標準価格を前提といたしましてその他のコストアップ要因を一定のものとして置かれて計算をされたという数字は手元にいただきましたが、これのおのおののコストの動向の見方の細かいところは別といたしまして、一番大きく異なりますのは、先般答弁で申し上げましたように、三カ月前の通関をとるかあるいはより期近な通関をとるか、こういうことでございまして、タイムラグの点で若干の御議論はあるにいたしましても、少なくもレベルの面で大きな問題はないというふうに私どもは考えております。  それから元売り段階から小売段階に参ります流通マージンにつきましては、一定のところから一定の物価指数等を勘案して流通マージンをはじきますと、それから大きく外れているとは考えられませんので、現時点の価格そのものは私どもとして異常な価格であるとは考えておらないところでございます。  特に先般の御質疑について申し述べましたように、各石油製品の価格体系というものは時の需給動向を勘案いたしまして時々刻々変わってまいります。私どもは、その価格体系は市場の通常の状態における需給関係を反映させた形で安定していくのが最も好ましいと考えておりますが、なかなかそういう時期はないわけでございますけれども、先般、どちらかといえば円高の傾向で、石油製品が値下がり傾向を強め、行政の介入というのが一時全くなかった時点においてある程度確立されました価格体系をむしろベースに置いて、その上に等額的に現在積み上げておりますので、現在の灯油の価格水準を見る場合には、その後の値上げが適当なコストアップを反映しているかどうかという点でチェックするのが適当と考えられます。したがいまして、私ども標準額設定の方式をとっておりませんで、昨年の後半の価格設定にどれだけ値上げをしたかという形でとっております。したがいまして、五十年の標準額との関係の相関の計算というのは特別いたしておりません。
  164. 宮地正介

    ○宮地委員 そういう答弁はまことに国民の反感を買う答弁であろう。自分たちがつくったコストの試算を覆して私たちはそういうやり方をしてませんと言いましても、あなた方が灯油の元売り仕切り価格をつくるときの要素をもとにして、私たちがそのままその同じ要素を使って現在はじくことに、どこに問題があるのですか、そこをお聞きしたいと思う。
  165. 神谷和男

    ○神谷説明員 五十年の灯油の価格設定につきましても、まずそのときの値上げ幅を石油総原価で査定いたしまして、それをその前にすでに市場にあった価格体系の上に上乗せしたわけでございます。したがいまして、五十年の灯油価格というものは政府が一定のものをつくったのではございませんで、その前にあった市場の価格に一定のものを等額的に上積みしたという価格でございます。現時点においてわれわれが便乗値上げのチェックで行っておりますのは、昨年の後半、市場にあった価格の上にどれだけ価格上昇しておるか、それをできるだけ等額で乗せるように、こういう形でやっておるわけでございまして、基本的な考え方は大きく変わっておらぬというふうに考えます。
  166. 宮地正介

    ○宮地委員 大体為替レート変化においてもきちっきちっとできていますよ。原油のCIF価格のバレル当たりのドルとキロリットルの円も、原油の払い出し原価とか関税、石油税、自家燃費のロス、精製費販売管理費、金利、利潤、元売り仕切り価格、ここまで要素を全部細かくわれわれが積算していて、どこが違うのですか。あなた、はっきり言ってくださいよ。何を言っているんだ。
  167. 神谷和男

    ○神谷説明員 五十年の標準価格というのは、一定の行政介入に基づいてそのときの特定の過程で収集しあるいは挿入した価格に基づいてつくられた標準的な価格でございます。  その後、一般の市場原理を通していろいろな価格形成がなされ、昨年の暮れイラン・ショックが起きましてから行政指導という形で介入をいたしております。その場合も、やはりそれまで自然にできた価格の上にどれだけ上積みするかということをわれわれとしてチェックをしておるわけでございます。したかいまして、その時点その時点で、その前に自然に市場に存在する価格を前提として、それに人為的な形で一定の上積みが行われておるというのが現状でございます。したがいまして、そのもとになるものは特定の、一定の理論で計算したものではございませんで、そのときの市場状況その他を反映して行われておる自然の価格でございます。
  168. 宮地正介

    ○宮地委員 大まかで間違いはなかろう、こういうふうに結論をいただいておりますから、時間の関係もありますからそれ以上は突っ込みませんが、ただ、結論として言えますことは、先ほど私が述べましたようないわゆる要素別の積算をいたしまして、さらにそれを元売りの仕切り価格として、十八リットル当たりの元売りの仕切り価格、それをキロリットルから換算をいたりまして流通マージン——大体この流通マージンにつきましても、業界の話によりますと、キロリッター当たり大体一万円程度ではないかという話もあります。しかし、私たちはあなた方のつくった、積算のもとにしたその流通マージンをはじきまして、そして十八リッターの小売価格というものを計算してまいりますと、五十四年の八月に輸入した原油分の灯油価格というものは九百三十円になるわけです。そして九月になりますとそれが九百六十六円、十月には九百九十七円、そして十一月には千七十八円、こういうような計算ができるわけであります。そして先ほどあなたはいみじくもタイムラグの問題に触れましたけれども、いわゆる元売りの仕切り価格から灯油の小売価格における、われわれは先入れ先出し法によって計算をいたしました。その段階においてもしもあなたがおっしゃるようなタイムラグ、三カ月か一カ月かの論は別といたしまして、あなた方がおっしゃるような一カ月論をとったとしても、たとえば八月に入ってきた原油が実際に九月の段階で幾らで売られているかと言えば、東京区部で十八リッター一千百円。計算をした先ほどの数字を申し述べれば九百三十円。この差額が一体全体どういう形になっているのか、まことに不可解であり、また九月に入ってきた原油による灯油の小売価格がマージンを入れまして九百六十六円。しかしこれが、十月にわれわれが消費者として購入するときには、東京都の区部の小売灯油価格で千百四十九円。ここにも約二百円近い開きが出ている。さらに、今後十二月からの六次の一斉値上げ、あるいは現在のOPEC値上がりなどが加わりますと、この不可解な二百円前後のお金の上に、要するに小売価格の上にさらに上乗せとしてわれわれ消費者は灯油を買わされる結果になるわけです。でありますから、恐らく午前中からお話がるるあったと思いますけれども、たとえば買占め売惜しみ防止法を発動して売り惜しみによる価格のつり上げをやめさせなさい。たとえば、そこのところの価格が元売りの先取り便乗値上げではないかという疑問も国民は持つわけです。さらには、そうしたような石油の値上がりに伴いまして、実際の末端にいけば抱き合わせ販売などの不当な販売行為も実際問題として起きておる。あなた方が通産局を通じて県、地方自治体に苦情をいろいろと吸い上げて対応していますと言っても、その苦情はやまない現状です。その苦情にいたしましても、実際的に、たとえば札幌市の例をとりましても、販売拒否という問題あるいは販売制限、価格への苦情、供給見通しの苦情、こういうようなものが非常に多い。特に最近の際立った傾向の中で価格への苦情が大きいことは、あなた方が一番よく知っているのです。その辺のところを通産省なりあるいは経企庁が国民に明確に知らしめる責任と義務があると私は思うわけです。そこで、やはり皆さん方が一番データーを持ち、資料を持っているわけですから、そういうような適正な価格というものをできるだけ国民の前にガラス張りとして公表すべきではないか、私はこのようにも考えるわけでございます。その点についての御見解を伺っておきたいと思います。
  169. 神谷和男

    ○神谷説明員 灯油につきましては、御指摘のように、十二月に入りまして元売りの価格引き上げが行われ、末端においての価格の動きが出てまいりましたので、十二月の初旬、北海道で価格の苦情がその前の週に比べまして急に高くなっており、第二週はまたこれがかなり落ちついてきておりますが、最近の苦情の中では、特に北海道等では量の苦情というのはほとんどございませんで、むしろ価格の苦情ないし照会というものが多くなっておることは御指摘のとおりでございます。  これに対応するために、できるだけの情報を消費者に公開すべきであるという御意見につきましても、私どもできるだけのことをなすべきだと考えておりますし、その方向で努力をしてまいりたいと思っております。現時点におきましては、私どもは、月々行っておりますモニター調査を地域別あるいは分布別に発表をいたしております。これを一つの指標として地方公共団体にも指導を行っておりますし、消費関係団体方々も、これを目安としておのおのの異常な状態についてのチェック、あるいは苦情の申し出等を行っていただければ幸いだと考えておりますし、私どもも自主的に、調査段階において特に理解に苦しむ価格があった場合には、これは個別に事情を聴取し、指導を行っておるところでございます。
  170. 宮地正介

    ○宮地委員 いま、私はいろいろと具体的に数字を挙げて通産省の考え方をただしてきたわけでございます。この点について大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  171. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 宮地委員経済のことに大変お詳しいわけで、先ほどお示しになったような原価計算方式的な考えというのはなかなかわれわれにはできませんが、よくそこまでお調べいただいて、きょう、ここで質疑応答を伺っておりまして、私は大変参考になると思うのです。  ただ、一番最後のよりどころとして、通産当局、資源エネルギー庁が元売り会社に仕切り価格を、営業の秘密に属することまでずっと聞かれている。これは公表できない、しないということで聞いて、それに従ってだんだんと末端にいってどうなっておるかということを、先ほどお話しのようないろいろな全国的な監視の網でチェックしておるということが現状でございます。  それで、私は先ほどお話を伺っておって、いわゆる公正取引に違反するもの、あるいは独占禁止法に違反するようなものは公取委員会が見ておりますし、もう一つ特に申し上げたいのは、宮地委員はそういう方面にもお詳しいのでございますが、べらぼうなもうけがあれば、税務署が見張っておるのですよ。これはそのとおりなんです。私はその方には長い間経験を持っておりますからあれですが、これはぼんやりはしておりません。国民の皆様にも、そういうものは天網恢々必ず漏らさぬように見張りをしておるということも御参考に申し上げておきたいと思います。  しかし、きょうのお示しは非常な参考になりますので、われわれはそういう貴重な、御苦心のある試算に対しましては、参考として十分検討させていただき、今後の行政の上に貴重な参考として扱ってまいりたい、かように考えます。
  172. 宮地正介

    ○宮地委員 大臣からそういうお話をいただきましたので、私はこれ以上は詰めませんが、国民の多くの方々は、最初お話ししましたように、原油を中心としたこの新たな高騰によりまして、いま、消費生活に大きな苦しみといいますか、家計のやりくりに大変苦労をしているわけです。ともかく国民の側に立ちますと、どうしても元売りメーカーに対して、何かカルテル行為があるのではないか、あるいはあれだけ油がだぶついていながら何で安くならないのか、こういった素朴な疑問を持っているのが事実です。そして末端で十八リッターの灯油を買おうとすれば、実績がないからとか、あるいは新婚で家を越したために実績がないからなかなか買えないといったような、庶民の生活実感を逆なでするようなことがあちこちで起きている。私もきょうの質問に先立ちまして、うちは実際どのくらいで灯油を買っているのだろうと思って昨日確認をしましたら、埼玉県下でも非常に高い。千二百円、千三百円、ひどいのになると、私はまだ確認をしておりませんが、千四百円台などという話もちらちら出ているという、まことに危惧に値する状態で、明らかにこれからの原油値上がりなどを見越しての便乗値上げ的な、そうした思惑的なものも市場メカニズムの中に動いているという事実は、私は決して黙視してはならないと思います。  そういう点におきまして、きょうは公取も来ておりますから、物価の大目付公取は、いま経企庁長官もおっしゃったような立場から監視も続けてこられたと思いますが、一連の原油値上がりに伴う石油製品の便乗値上げ、あるいは売り惜しみ、買い占めといった国民の批判に対してどういう行動をとられてきたのか、その点の事情の報告と今後に対する決意を伺っておきたいと思います。
  173. 妹尾明

    ○妹尾説明員 石油製品の価格あるいは抱き合わせ等の問題につきましての処理の状況でございますが、本年四月以降、独禁法違反の関係で、石油製品の価格カルテルの関係調査いたしました件数は約二十件でございます。そのうち二件、これは埼玉地区と大分地区でございますが、正式に、違反の疑いが強いということで、強制権限に基づきまして現在調査中でございます。  それから、抱き合わせの問題につきましては、各地区におきまして頻発することが懸念されましたので、先月十九日に、灯油につきましてそういう不当な抱き合わせの行為が行われている、こういう苦情がありました場合には、速やかにこれを処理するよう、内部の通達でございますけれども、各出先に通達を流してございます。現在までに私どもで処理いたしました件数は五件でございます。  それから、そのほか、売り手市場、そういう強い売り手の立場を背景といたしまして、独禁法の不公正な取引方法に該当するような不当な差別的な取り扱い、不当な取引拒絶に該当するような事例もございまして、これは二件ばかり処理いたしております。  なお、灯油につきましては、国民生活に非常に重要な物資でございますので、この価格動向につきましては、カルテル等によりまして不当な便乗値上げの行われないよう厳重に監視いたしてまいる所存でございます。
  174. 宮地正介

    ○宮地委員 時間も限られまして、大変に残すところ少ないので残念なんですが、軽油について何点かちょっと聞いておきたいと思うのです。  先ほどの灯油については、千円灯油の時代ということでもうすでに千円をクリアして大変な時代に入ったわけですが、軽油の価格についても最近大変な値上がり状況にあります。いよいよ軽油もリッター当たり百円の時代が来るのではないか、こう言われているわけですが、この点についてどういう見方をされているか、通産省の見解を伺っておきたいと思います。
  175. 神谷和男

    ○神谷説明員 軽油につきましては、本年五月ないし六月ごろ量的にも非常に入手困難が訴えられ、販売制限の苦情等もございましたが、現時点では軽油の需給は、いわゆる供給過剰という感じではございませんが、量的にはまず需要に見合ったものが供給されておるということで、需給関係は特に大きな問題もなく、トラブルも余り出ておりません。  価格につきましては、御指摘のように全般的な石油製品の価格上昇段階でございますので、軽油引取税等を加えますと、御指摘のような価格に近いものも出ておるのではないかと考えられます。
  176. 宮地正介

    ○宮地委員 軽油については、本年の初めは、スタンド買いがリッター当たり約五十一円程度、ローリー買いが約四十六円。しかし、三回にわたるOPEC値上げなど、また今回の十二月からの六次の元売りの値上がりなどによりましてスタンド買いが百円、ローリー買いが九十円近いものになってきている傾向にいまあります。たとえば私のところにある資料によりますと、大阪における軽油価格、リッター当たり一これは十二月の今回の元売りの値上がりを考えまして仕上がり軽油価格として調べた数字が手元にあるわけですが、たとえば大手の路線や都市交通、私鉄バス等、こうした超大口については取引形態がインタンク、すなわちローリーですが、価格にして約八十円から八十二円、しかし地場のトラックや事業協同組合などのものになりますと、同じインタンク、ローリーで八十六円から八十八円と六円ぐらい上がってくる。しかしさらにこれが地場のいわゆるトラックでも給油所の店頭になると、さらに九十五円から九十七円、同じように自家用のトラックなどはやはり給油所店頭では九十七円から九十八円、現金ふり客などについては給油所店頭で百円を超えて百三円ぐらいの傾向が出てきておる。私はこの傾向を見て一番心配することは、本年の夏ごろ皆さんも通産省に、恐らく陳情団はたくさん行ったと思う、中小零細のトラック業者が軽油がない、軽油がないと。そうした大変な需給の問題で苦しみました。恐らく大臣も地元の選挙区のトラックの中小業者から陳情された経験があると思う。今度は価格の面で中小零細企業のそうしたトラックの業者などに、いま大きなハンディが起きてきているのが実情であります。私はこの点についても注目すべきであるし、対応をいまから手を打っておきませんと、これが結果的には年末年始の生鮮食料品のトラックの運賃の値上がりとか、物価へはね返ってくる要素も十分にあるわけです。そういう点の対応策について、まず伺っておきたいと思います。  時間もありませんから、専門家の石油部長に私は伺っておきたいのですが、最近業界内でいろいろ言われている中に、この軽油の販売マージンと他のガソリンなどのいわゆるマージンの圧縮との絡み合いによる不公正なる価格の転嫁がどうも軽油の面に出ているのではないかという危惧をしている業界もあります。こうした点についても十分に調査をされておると思いますが、この点については掌握をされているかどうか。この二点について伺っておきたいと思います。
  177. 神谷和男

    ○神谷説明員 流通マージンにつきましては、データのとり方で非常にむずかしいわけでございますので、傾向的にしかとらえられませんが、御指摘のように揮発油のマージンと軽油のマージンでは、従来から軽油のマージンは異常に低かったことは事実でございます。現時点で軽油、揮発油のマージン差では、依然として揮発油、すなわちガソリンのマージンの方がキロリットル当たりでは私どもまだ高いというふうに考えておりまして、軽油のマージンとガソリンのマージンを人為的に操作することは、ともに非常に競争の激しい商品でございますので、恐らくきわめて困難ではないかと考えられておりまして、おのおのの需給状況を反映するものにならざるを得ないと思います。現時点では依然として軽油が低いというふうに掌握いたしております。
  178. 宮地正介

    ○宮地委員 大臣先ほどの対応についての御見解を伺っておきたいと思います。
  179. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 先ほど宮地委員が御指摘のように、私の方はミカンの名産地でございまして、きょうはPRをさせていただきますが、ミカンがせっかくできてもこれをトラックで運送するときに軽油が手に入らないのじゃないかということで大分大騒ぎしましたが、品は何とか確保できたようでございますが、あとはいまお話しのように、ネックは価格であります。トラック業界からもいろいろお話もあるようでございますが、これも公共料金でございますから厳重な査定をいたしまして、しかしまた必要な輸送というものを確保しなければならぬことも事実であります。両方しっかりにらんで厳正な対応をいたしたい、かように考えております。
  180. 宮地正介

    ○宮地委員 時間が参りましたので、最後に大臣にもう一度伺って、終わりにしたいと思います。  その前に、きょうは農水省、水産庁、食糧庁、大蔵省など生鮮食料品年末年始の正月食品などの問題について、あるいは米麦価の問題などについてお伺いをする予定でございましたが、時間が参りましたので、お呼び出しをしたのに残念ながら質問ができませんでしたが、よろしく御理解をいただきたいと思います。お引き取りいただいて結構でございます。  先ほど来から、きょうは石油の問題を中心としてるるお話を伺ってきたわけでございます。本日のOECDの発表によりますと、いよいよ八〇年代の経済成長は大変に厳しい。先進国でも一%とか二%というのが出てくる。わが国については四・八%という数字が出ておりましたが、石油に弱い日本ということで、来年の経済運営はまことに厳しいものもあろうかと思います。  その中で、何といいましても最大の目玉は物価対策であろうと思います。経済運営の中における物価の対応策、このきめ細かな対策とともに、財政金融を中心とした連携のもとにおける対応策もまた必要でありましょう。そういう中で、私は、特にこの一連の原油値上がりという問題が大きな引き金となり、八〇年代のわが国の今後の経済運営の中においても重要なかぎを握ると思います。それだけに、政府経済運営のあり方というものは非常に大事であるし、国民期待も大きいと思います。その点について最後に大臣決意のほどを伺いまして、質問を終わりたいと思います。
  181. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 大変大事な点を御指摘いただきまして、私も全く同感に考えております。  このごろはやりの言葉にオイルフレーションですか、インフレーションがオイルフレーション、こういうふうに言われておるのも宮地委員も御承知かと思います。まあ、原油価格がどうなっていくか、また為替レートがどうなっていくか、大変見通しのむずかしい問題でございます。われわれは、いままでも努力してまいりましたこの方向、方針を堅持いたしまして、来年度経済につきましても、関係省庁の持っておる資料と判断を突き合わせまして、できるだけ速やかに一つの想定をいたしまして、先ほど来OECDの見解また日本経済成長については内外からいろいろな観測もなされておりますが、私どもは英知をしぼって、みんなの知恵を持ち寄って、速やかに経済見通し物価見通し国際収支見通し、こういうものをつくりまして、新しい年度予算編成をやらなければならぬと思っております。  その際、特に痛切に感じておりますことは、とにかく先ほどちょっとおしかりを受けましたが、余り油断をしちゃだめだぞという御鞭撻と受けとっておるのですが、私は諸外国に比べて日本が非常にうまくいっているのは、これはやはり前の苦い経験に照らしまして、けさほどもちょっと申し上げましたが、労使の間が大変高い見地から、経済の安定的な成長発展、物価対策その他に非常な御協力をいただいておる。別にわれわれはそういうふうにお願いする立場にはございませんけれども、結果としてそれが非常に効果をもたらしておられるという点に本当に心から感謝をいたしております。われわれも物価の安定については全力を尽くしますので、できましたらまた春闘その他におきましては労使双方が良識をもって今後もこの傾向を維持、拡大していただきますように、ひとえに心から念願をしておる次第でございます。
  182. 宮地正介

    ○宮地委員 終わります。
  183. 井上普方

  184. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ことしは一年の間に六回も石油製品が値上げをされるなど、国民にとりましては大変な年でございました。来年早々には、また引き続きまして石油製品の値上がりもあるのではないかと国民は大変心配をいたしております。それに加えまして、電気、ガス国鉄、はがきなど郵便料金、あるいはたばこ代と、公共料金値上げメジロ押しになっているわけです。  こういう中で国民の人たちは、自分たちの暮らしは一体どうなるのだろうと日々不安に駆られている毎日で年が暮れるわけです。  私は、きょうは時間も限られておりますので、電気と灯油の二つの問題につきましてしぼってお聞きをしていきたいと思います。  まず電気料金の問題ですけれども、去る十二月六日の当委員会での政府側の答弁を聞いておりますと、北海道電力と沖繩電力以外はまだ申請が出ていないからお答えができませんということのようですので、料金そのものについての質問は次の機会に譲ることにいたしまして、二点について質問をさせていただきたいと思います。  まず、東北電力が宮城県の女川町に原子力発電所を建設するということは御存じのとおりでございます。原子力発電所の問題は、ことし三月のアメリカのスリーマイル島の事故以来日本でも大問題になっている問題でございまして、安全性が確認されるまでは建設やあるいは稼働は慎重にしなければならない、こういう意見が多く出ていることもよくよく御存じのとおりであると思います。地元の人たちにいたしましたならば、大変不安を感じているということは当然です。それをあえて強行しようとすれば、札束で地元の人たちを黙らせるというのが今日までよく使われてまいりました手であります。私は、このような形で資金を使って、それが電気料金にはね返るのではないかと心配をしているのですが、通産省はこのような内容についてもチェックをするのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  185. 安田佳三

    ○安田説明員 発電所を立地するに当たりましては、やはり地元の同意がなければ発電所が立地できませんことは当然でございますが、その立地を円滑にするためには十分地元の方々と話し合い、そのために必要な措置をとられる、そういうことはあり得ることであると考えております。
  186. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ちょっとよく聞こえなかったのですが、話し合いは当然ですが、そのようなことがあり得るということはどういうことでしょうか。私は、札束でほおをたたくようなことがあってはならないが、そういうチェックをなさるのか、こう聞いているのです。そういうことがあってもいたし方ないという意味ですか。
  187. 安田佳三

    ○安田説明員 地元の御了解を得るためには、そこでいろいろの事態が生じます。たとえば補償の問題も生じますし、立地するに当たりまして地元の福祉向上を図るという必要もあろうかと思います。したがいまして、そういう形での支出が行われますことはあり得ることだと考えております。
  188. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 女川町では多額の協力金や補償金を自治体などが受け取っておりますが、自分の生命と引きかえにならないだろうかと心配をしている人たち、あるいはこれがまた電気代の値上げの理由になるのではないかと心配している人たちもおります。私は、地元の人たちを納得させるのに札束を積みさえすればよいとするような考えでやられたら大変だと思います。そのようなことがないようにしてもらわなければならないと思うわけです。  この原子力発電所に絡む問題は、現在のところまだ表面にはほとんど出ていないようですけれども、安全を確保することに最重点を置かないと大変なことになるわけです。その点、いかがでしょうか。
  189. 安田佳三

    ○安田説明員 御指摘のように、原子力発電所の建設に当たりましては安全を最優先にしなければならないことは、私ども重々その方針でやっているところでございます。  ただ、資金を支出いたしますことが安全を金で買うということではございませんで、電源立地に伴いまして地元において種々の事情がございまして、資金の支出が必要な面もあろうかと思いますので、そういう安全を金で買うということではなくて、地元の福祉等の向上に役立たせるという意味において資金の支出がなされます場合においては、それはあり得ることだと了解しているわけでございます。
  190. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 しかしきちんとチェックをしていただきたいということを要望いたしまして、安全の問題に入りたいと思います。  ことしの十月二十三日、大阪市都島に住んでおられました伊藤清さんという人が亡くなられました。この方は関西電力の社員で、いまから四年前の一九七五年の六月に本社から福井県の美浜原子力発電所に勤務するようになった方です。昨年の五月に国立敦賀病院に入院をいたしました。このときの診断は急性骨髄性白血病だったわけです。その後、関西電力は大阪にあります関西電力病院に伊藤清さんを移しております。亡くなったときの病名は何かといいますと肝硬変、こういうことによるものだと言っているわけです。このような問題も起きているわけです。はっきりと急性骨髄性白血病という診断書があるにもかかわらず、亡くなったときには肝硬変。この問題は重大な問題でありますから、調査をしていただきたいと思います。その点、後でお答えいただきたいと思います。  さらに、伊藤さんの話だけではなくて、何人もの人たちが同じような病気になっていると私は聞いております。胃がんであるとか、そういう状況です。それは被曝による胃がんでございます。これは料金問題以前の問題であります。  通産省は残された家族の方たちあるいは不安に駆られている家族の感情も考慮して十分な調査と対応が必要だ。このことを関西電力にもさせるようにしていただきたい。通産省はまず調査をしていただきたいことと、関西電力に対する強力な指導、この二点いかがでしょうか。
  191. 安田佳三

    ○安田説明員 ただいま御指摘の伊藤さんに関する件につきましては、本日手元に資料を持ってきておりませんが、ただ、原子力発電所が原因で死亡した例は起こってないというふうに聞いております。ただ、先生がただいま御指摘になられましたので、その伊藤さんの件に関しましては調査をいたします。  関西電力に対する原子力発電所関連の病気の予防等につきましては、当然そういう措置を講ずべきものでありますので、関西電力のみならず各電力会社に対しましても、そういう放射線障害に対する予防措置は厳重に行うように引き続き指導してまいりたいと思います。
  192. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 その二点、強力にお願いをいたします。  こういうことだけに、電力会社にとりましては、原子力発電所の建設についてはその危険がすぐになくなるというものではないので、そのかわりに立地については金を積むといった方向に走るのではないでしょうか。私はその点を大変心配をしているわけなんです。  この問題は、時間がありませんのでこれ以上は触れませんけれども、通産省としては電力会社の動向に十分注意をしていただきたいと強く要望をいたしておきたいと思います。いいでしょうか。
  193. 安田佳三

    ○安田説明員 原子力発電所の建設につきましては、目下のエネルギー事情等から見ましてこれを推進しなければならないと思っておりますが、ただ、その建設の推進に当たりましていろいろと指弾を受けることのないように努力してまいりたいと考えております。
  194. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、次に石油製品、灯油の問題についてお伺いをしたいと思います。まず供給の実態と対策についてお尋ねをしていきます。  私どものところに、いまだに灯油を売ってくれないので困っているという人たちが相談に見えるわけです。もう量の点では解決いたしましたという御答弁が続いておりますが、私どものところにはまだこういう実態があります。  私もそういう相談を受けまして、政府の御答弁を聞いておりますので、通産局にお願いしてみたらどうですか、こう申すわけです。すると中には、通産局にお願いをしたら、一軒ではなくて二軒か三軒の業者に頼んでみなさい、あなた回りましたか、それでだめなら手当てをしましょうと言われた、こういう人もいるわけです。新興団地や転居をされた人たちへの対策というのは通産省としてどのようにされているのか、御説明をいただきたいと思います。
  195. 神谷和男

    ○神谷説明員 まず基本的には、転居その他で新規の需要でございましても実需のある者に関しては、一口それほど多いものではございませんから全体で、販売店等でやりくりをして、実需には新規であるからといって頭からお断りすることのないようにということを関連業界その他を通じて要請をし、そのように指導をいたしております。ただ、かなりの規模の団地ができたり、非常に大きな需要増がありました場合に、特定の販売店で対処できないような場合には、地方公共団体あるいは通産局等が協力しながら元売りその他のあっせんを行い処理をしていくという方向でございます。もちろんこういう方向の中でも、個別に末端段階で売ってもらえなかったというような苦情が間々ございますので、これにつきましては、でき得れば二、三軒回っていただくのが一番ありがたいと思いますが、自己努力とあわせながら地方公共団体のあっせんを並行して行ってまいるように協力方を地方公共団体その他にも要請しているところでございます。
  196. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 そうはおっしゃいますけれども、私は現在の通産省のやり方は、国民に対してまことに不親切だと思うわけです。それはなぜかと申しますと、通産省や地方の通産局にまで話を持ち込まなければならない人たちというのはどういう人でしょうか。社会的にハンディを持った方たちが多いわけです。たとえば、私のところに持ち込まれた話にこういうのがあるわけです。これは京都市の上賀茂に住んでいる母子家庭の人の話ですけれども、二、三年前から月に二かん程度の灯油を買っていた近所の酒屋さんへことしの十一月末に高校一年の娘さんがいつものように灯油を二かん買いに行った。ところが、お宅は灯油のほかに何も買ってくれませんね、かわいそうだからまあ一かんだけ配達してあげますよ、こういうふうに恩着せがましく言われて、高校生、思春期の胸の痛むこの乙女にとっては、こういうことを言われて一かんだけしか持って帰れなかったということで大変ショックを受けているわけですね。かわいそうだからとは何ということでしょうか。これは一例ですけれども、こういう人たちが何とかしてくれと言っているわけですね。困っているからこそ訴えた人に対しまして大阪通産局は直接本人に電話をかけて、一軒ぐらい行っただけではだめだ、二、三軒当たってみたのか、こういうことを言っているわけなんです。石油部長さん、通産省としてはこういう対応でいいのでしょうか。いかがでしょうか。
  197. 神谷和男

    ○神谷説明員 ただいま御指摘のような事例、現在のような状況下で私ども全国の中で万々ないなどということは申し上げられませんが、本来むしろ商業的な面から見ましても、こういう時期にやはり顧客というものをできるだけサービスを厚くしながら固めていくのが本来の商人道であるというふうに考えておりますし、状況というのは常にこういう状況のみではございませんで、お客様に買ってもらわなければならないような事態というものもすぐ参るわけでございますので、その点、関係団体方々と懇談する機会には、私ども、長い目で見て、できるだけ消費者というよりもむしろ顧客に対してのサービスに心がけてもらいたいという要請を行っておるところでございます。もちろん、具体的に非常にむずかしい事例が出た場合に苦情が上がってくるということは御指摘のとおりでございますので、これにつきましては極力やはり親身になって対応すべきだろうというふうに考えております。  ただ、通産局等の能力もございますので、地方公共団体等にも依頼し、また消費者の方にもやはり並行しての御努力は要請をいたしたいと思っております。したがって、並行した努力のもとで私どももできるだけの対応をしていくべきだろうというふうに考えております。
  198. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 並行した努力をやった上でこういう問題が起こっているということなんですね。だからこそ言っているわけで、一言最後が多過ぎるというふうに私は感じます。  ことしは比較的暖冬でしたので、関西では最近まで量のことは余り大きな問題になっていなかったわけですね。しかし、年末を控えまして急速にいろいろな問題が起こってきております。先ほど申しましたのもその一つの例ですけれども、こんな話がたくさん出てきているわけです。  京都市に向島という地域に新興団地がことしできたわけです。ここで京都生協の皆さんが組合員の方にアンケートをとってみたら、抱き合わせ販売を言われた人が一二%もあったのです。こういう結果が出ております。公取さんに言うと、具体的に指摘をしてくれ、こういうふうにおっしゃいます。また、通産局に言いましても同じことを言われるわけです。しかし、これをあなた方に通告しようにも証拠がないわけですね。その上、もし仮にこういうことを言ったとしたら、それはもうそのお店ではおつき合いをしないという覚悟でやらなければならない。消費者はそういう感情があるわけです。消費者というのは日々御近所で顔を合わせ、これからも以後孫子の代までおつき合いをしなければならない、こういう情もありますし弱みというものがあるわけです。そんなことはなかなか、ですから言えないわけです。その上に母子家庭であるとか転居してきた、近くに知り合いがいない、こういう人とかあるいは身障者の方がいてなかなか外にも出ていけない、こういう悪条件の方の場合はなおさらのことです。石油部長さん、こういう人たちの問題については丁寧に迅速に対処するようにしていただけるでしょうか。
  199. 神谷和男

    ○神谷説明員 抱き合わせ販売その他の問題につきまして公正取引委員会で処理される場合には恐らく、私の所管ではございませんが、それなりの裏づけデータその他も必要になるのではないかというふうに考えられますので、それらのデータを消費者の段階でそろえるというのが非常にむずかしいという状況はわかりますが、公取といたしましてもしばしば情報の提供を求めておりますので、私どもは完全なものでないにしても、具体的な店名等あるいは抽象的な事例等を情報提供として提供されることが適当なのではないかと考えられますし、私どもの通産局におきましてもこれは法律上の問題として処理することは困難でございますけれども、実態上の指導といたしまして特定の店で何と何をどうしておるかというのは全くわからないと困りますが、ある程度の具体的現象としての抱き合わせが行われておるというお話がございますれば、私どもとしてできる限りの指導は行うようにいたしたいと考えております。
  200. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 実は、私は先日十四日でございましたが、大阪通産局に参りまして、この京都の新興団地への灯油の供給の問題についてお話をしてまいったわけなんです。私はこの話し合いの中で、通産省のおやりになっているやり方に幾つかの疑問を感じておりますので、このことについてお尋ねをしていきたい、こう思います。  新興団地に対する対処といたしましては、通産局は当該地域のガソリンスタンドに対してその系列の元売りを通して新規世帯に対応する量の確保を要請する、こういうことであって、その後そこがうまくいっているかどうかは通産省の責任ではない、こういう態度のように私には見えたのですけれども、それはそのように理解をしていいのでしょうか。
  201. 神谷和男

    ○神谷説明員 ガソリンスタンドとは限りませんが、特定のところでかなり大規模な新規需要が出てまいりました場合におきましては、これは一特約店あるいは一元売りで対処し得ないような事態もございます。したがいまして、その場合には通産省として複数の元売りに協力要請をいたしまして複合的に供給をいたしますが、その際従来の元売りとしての流通チャンネルを使うというケースは非常に多いと思います。それはしかし、あくまでも新規需要に対処するために行う指導でありあっせんでございますので、その結果事態が改善しておらなければ、通産省としてはさらにその問題の解決の努力をなさざるを得ないだろうと思いますし、なすべき問題であろうと考えております。
  202. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ところが、そうなっておりませんね。先日通産省の係の方にうちの部屋へ来ていただいてお尋ねをしましたところ、要請し指導はするけれども、後の結果の報告というのはないのですか、こう言って聞きましたら、それは通産局任せで、通産省はそんな細かいことはわからぬのだ。これでは上から物を言って人にお願いをしたらその結果がどうなっているのかということを聞いて、うまくいったかどうか、うまくいかなければなおさらやらなければならない。これが指導ではないのでしょうか。報告も取らないのにどうしてそれができるのですか。当然やっておりますという意味の御答弁でしたけれども、それは改善をしていただかなければ、実態はそうだということです。いかがでしょうか。
  203. 神谷和男

    ○神谷説明員 私どもの担当課の能力というのもある程度の限界がございますので、地方通産局あるいは地方公共団体等に一部任せ、あるいは協力を要請しておるわけでございまして、ただいま御指摘のような複数の元売りを通じて指導をせざるを得ない場合には、やはりこれは本省で元売りを指導しあっせんをせざるを得ませんので、私どもで行っております。その後のフォローアップはやはりどうしても地方の通産局等にお願いをせざるを得ないということでございますので、分業システムにならざるを得ないところは御理解をいただきたいと思います。その場合に、末端でなお問題が解決せず、通産局から本省の協力が要請された場合には、当然のこととしてそのフォローアップを行うことはやぶさかでないということではなくして、当然の事象として行うつもりでございます。
  204. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 では、もう少し話を具体的にしていきたいと思います。  先ほど紹介をいたしました向島団地での話ですけれども、ここは五十四年の四月に千六百七十八世帯が入居をしたところで、京都市からも大阪通産局に対して灯油の供給確保してもらいたい、こういう申し入れがなされておりました。その結果、大阪通産局はエッソ、ゼネラル、丸善、共石の四社を通して、この地域の四つのガソリンスタンドを通して供給をする、こういう手当てをされたわけなんですね。ところが、この四つのスタンドの供給条件というのを見てみますと、店頭販売はする、それから配達する場合でもついでがあればする、こういう程度なんですね。中には、自分のところは配達しないけれどもお米屋さんに卸しているのでそこで配達してもらいなさい、こういう扱いをしているところもあります。しかし、どちらにしましても配達までしてもらわなければならない人たちにとっては、スタンドまで油が来るようになったからといって安心はできないわけなんですね。現に共働きの人たち、これは大変な苦労をしている。わざわざ年休をとって休んでガソリンスタンドに灯油を買いに行っているという人もあります。これは特殊な例だ、こういうふうに考えられるかもわかりませんけれども、本当に手当てをしなければならないというのは特殊な例を手当てしなければならないのじゃないでしょうか。これが実態であるわけです。こういった点については、通産省はどのように解決せよと地方の通産局を指導していらっしゃるのでしょうか。
  205. 神谷和男

    ○神谷説明員 具体的な面で配達そのものができないという事例というのは私ども余り聞いておりませんでしたので、これは実態についてさらに調査をさせていただきたいと思いますが、御承知のように元売り系列で流れてまいります灯油はやはり主としてガソリンスタンド系に流れます。薪炭業その他、いわゆるより小規模で配達等を行っておる末端販売店には別途大手燃料店等の系列から灯油が流れていくというのが大ざっぱな流れ方でございまして、ガソリンスタンドに重点を置いた灯油の流れでございますと、やはり配達の手数、人数、人手その他が余りございませんので、こういう事象が起きるかと思います。末端の薪炭関係その他の流通についてもさらに調査をし、でき得る限りこれをその方面からも流してまいりたいと考えておりますが、やはり大きな余力のあるところに協力を要請いたしませんと急激な需要の膨張にはこういう事態では対処できませんので、極力店頭持ち帰りという形を拡大といいますか、御協力という形で進めていただきたいというふうに考えております。
  206. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いま人手不足でそういうことが起こるかもわからない、そういうことがあると思います。それから余力のあるところに要請をする、そういうふうにしないと急激な増加をしたというようなところでは手当てできない、そのとおりだと思うのですね。では、余力のあるところが実際にやっている——余力といいますか、自助努力ですね。皆さんが自己努力をせよとか、自助努力をせよとか言っておられる、そういうことですけれども、この京都の生協、京都だけではないと思いますけれども、この向島ニュータウンを初め組合員の皆さんの実態を生協はアンケートで調査しているのですが、それによりますと、向島の場合に回答者百二十名のうち全く確保できないというのが四十軒です。半分しか確保できないというのが二十三軒、合わせて六十三軒の人たちが困っているということが数字として把握できたわけです。これが向島ニュータウンの実情であるわけです。  それからまた京都市の西京区というところに洛西ニュータウンという大きな新興団地ができたわけです。ここにも五十四年の四月に入居した人たちが七百九十三世帯あるわけです。まだこれはどんどん建っているわけです。ここの中でも同じような状態が起きております。ここの場合も約四十軒の人たちが確保できない、こう言って困っているわけなんですね。とにかく自分で買いに行けない人の場合は手当てができないわけです。したがってそういう人たちか生協に泣きついてくる。何とかしてもらいたいと頼み込んでこられるわけです。生協の方としてもそういう人たちを厳選をした上で、だれでもかれでも、それではあげましょうというわけではなしに、たとえば班長さんが自分の灯油を使わないで一かん分けてあげるとか、いろいろ工夫しながら、それでもどうしてもこの人たちには配達が必要だ、こういう人に限ってその人たちの分を手当てできるようにしてもらいたい、こう言ってこの新興団地対策一つとしてやってあげたい、こういうことで大阪通産局に申し入れに行ったわけですね。しかし大阪通産局はなかなかこの人たちの分を手当てするとは言わないわけですね。いま神谷部長がおっしゃったような急激な増加のところにはこういう自助努力、お互い助け合いというふうなことで手当てしてもらったら本当に助かると思うのですけれども、どう考えているのか。暴利、謀略でもむさぼるというふうに思っているのか、そこはよくわかりませんが、とにかく大阪通産局はなかなかこの人たちの分を手当てするとは言わない。そうすると、一体だれがこのように昼間夫婦とも働かなくてはならない人たちや母子家庭、また身障者を抱えて困っている人たちに灯油を配達するのでしょうか。通産省は、生協がこの人たちの分は任せてくれたら自分たちが配達します、こう言っているにもかかわらず、石油販売の登録もし、販売の権利もあるという生協に対して、生協は消費者の団体であり、業者ではないなどと不当なことを口走るというふうな状況まであったわけです。とにかくなかなかそうしてくれとは言わない。これはなぜなんですか。何か理由があるのでしょうか。いかがでしょう。
  207. 神谷和男

    ○神谷説明員 向島、洛西ニュータウンにつきましては、御指摘のように元売り段階協力を求めまして一定の量、要するに、その地域全体としてマクロ的に要求されるであろうもののあっせん、元売りの協力要請というのは、府の要請を受けまして通産局で行ったことは御指摘のとおりであります。その中で配達困難という状況は私も本日までは承知しておりませんでしたが、それがどういう形で解決できるのか、さらに、大阪通産局あるいは京都府等の協力を得て実態の調査もしてまいりたいと考えております。  それで問題は、私ども、生協でございましょうと、それから一般のスタンドであろうと、あるいは末端の炭屋さんでございましょうと、そのあたりの流通チャネルに関して行政的にどうこうという意図は特に持っておりません。ただ、基本的に申し上げられることは、現在のように比較的需給か不足ではありませんが、ぴしりタイトぎみに推移しておりますときに、流通のチャネルの大幅なぶれというものはやはりいたずらに混乱を起こす可能性がある。これは原油でわが国に入ってまいります油のチャネルが乱れたがために、世界的なマクロの需給にもかかわらずわが国が非常に大きなフリクションを発生しておるということに明らかでございまして、特定のところで特定のユーザーを集めたという理由のみでそこに大量の油を流すということになりますと、他の流通チャネルに回しておりました油を切るという形になる可能性が多いわけでございまして、その末端でまたいたずらな不安を増幅し、混乱を起こすことがございますので、やはりまとまって、大きな需要につきましては、その場その場で実態をお聞きしながら慎重に対応しておるのが通産局あるいは現場の対応ではないかというふうに考えられます。  大阪のただいま御指摘の点につきましては、さらに通産局に事情をよく聴取してみたいと考えております。
  208. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 関西にはこういうところがまだまだたくさんあるわけです。京都市だけでも新興住宅地に対する処置として大阪通産局にお願いしているのが十一カ所あるんですね。これは京都市から出ております。大阪はもっと多くあるわけなんです。ほとんどの地域に多かれ少なかれ同じような人たちがいるわけなんですね。北海道、東北とずっと下がってきまして、いま関西にこれが出てきているという点は忘れないようにしていただきたい。この人たちの問題は、通産省が責任を持っていただかなければならないと思うのですね。身障者を抱えている人、共働き、いろいろ困難な人なんですね。それか先ほども御答弁にありましたが、生協が手当てしているのを、生協に大量に回せとか、大きな需要をここでやろうとか言っているのじゃないわけですね。本当にそういうふうに泣きついてきた人たちに手当てをする分を出しなさいというのになかなか出さなかったという状態があるわけなんです。ですから、こういう問題が末端で起こっていることを常に把握できる体制を通産省としては今後もとるべきではないか、大体おさまってまいりました、量の点はもう安心ですみたいなことを政府答弁としてなさると、とんでもないことになるということなんです。  そこで、私は話をもとに戻しますが、京都の向島と洛西の話ですけれども、この問題で、これだけの問題で二回大阪通産局に私も出向いたわけです。生協の方に聞きますと、もっと多く八回ほど行っておられるようなんですね。聞いていただいたらわかりますけれども、やっとこさこの地域で困っていた人たちに生協が配達できることになったわけです。おとといなったのです。つまり、生協との間に取引のある元売りに話かできて一件落着をいたしました。やっとこさなんです。個々の問題を解決するために大変な自助努力をやっているわけなんです。  そこで、念のために通産省にお伺いしておきますけれども、これと同じような状態が起きている地域については向島や洛西の問題を解決したようなやっとこさではなくて、もっと迅速に処理をすることは当然だ、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  209. 神谷和男

    ○神谷説明員 秋口ころになりますと、北の方で御指摘のような問題が起きまして、これも一つ一つ余り迅速でないというおしかりを受けながら片づけてまいりまして、いまや西から南の方で需要期入りの初めに入っておりますので、こういう問題が多く起きておることを承知いたしております。限られた人手でございますが、地方公共団体並びに関係業界の協力を得ながら問題を一つ一つ迅速に的確につぶしていくようさらに通産局にも一層の奮発を要請をしたいと思います。
  210. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私はこの生協の方々努力を見まして、通産省や自治体の網からこぼれ落ちた人たち、本当に困っている人たちを救わなければならない、これはまさに通産省や自治体の本来やるべきこと、これを生協が肩がわりしていると感じたわけです。これは生協が最大の自助努力をやっているのだ、こういうふうに思うんですね。それにもかかわらず、通産局に行きますと、冷たくあしらわれて八回も行かなければならない。私は、見ていて、この官僚的な態度に本当に憤りすら感じたわけです。もう年末も目の前で、一月ともなればいかに暖かい関西といえども冬将軍はやってくるわけですから、こういうことのないように実情に合った指導をしていただきたいということを強く要望して、次の問題に移りたいと思います。  次は、十二月六日の本委員会で、値上げの内容について通産省が説明できないのであれば各社に国民が納得する数字を明らかにさせてほしい、こういうわが党の岩佐議員の質問に対して、石油部長は、値上げに関してのPR等できるだけ親切に行うことが適当であろうと考えております、こう御答弁されたわけですね。  そこでお尋ねしたいのですが、六回にわたることしの値上げについて、元売り各社はどのような方法でどんな内容のものを国民にPRしたのか。もう少し具体的に聞きますと、この六回の値上げの際に、各社が新聞記者にその内容を発表したのは何回でしょうか。発表しなかったときがあるのでしょうか。それを知っておられたら、簡単にお答えいただきたいと思います。
  211. 神谷和男

    ○神谷説明員 当初の値上げ段階で発表した社もあったように承知いたしております。その後最近では特別な発表という形式はとっておらないというふうに了知しております。
  212. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それじゃ、ことしの八月二十四日全国消費者団体連合会が石油問題で民間公聴会を開く、こういう趣旨で通産省、元売り十三社、そして全石商に出席要請をされたのですけれども、通産省も元売りも参加をしなかった、こういうふうに聞いておりますけれども、なぜ参加をされなかったのでしょうか。
  213. 神谷和男

    ○神谷説明員 元売りの参加問題については、私どもとしては具体的な理由その他は承知いたしておりません。  私どもにつきましての参加要請につきましては、御承知のように私どもの体制は石油部並びに流通課という形でこの問題に対処いたしておりますが、きわめて多くの具体的事例、苦情あるいは相談、説明要請、さらには元売り業界等に対する指導等で、私どものスタッフはまさに昼夜分かたず大変な仕事量に忙殺されておるわけでございます。したがいまして、できるだけこの種の団体方々に接触して事情説明の機会を得たいと考えておりますが、これらの公聴会その他のところに出てまいりますと、一つのところに出て他に出ないというわけにもまいりませんで、われわれの仕事はほとんどストップに近い状況になりますので、われわれはそれらの会合の代表の方々においでいただいた際には、何とかやりくりしてお会いし御説明するという体制でこれまで対処させてきていただいておるわけでございまして、仕事の実情を見ながらそのときそのときに応じた対処の仕方をさせていただくというのが原則でございますが、本件についてはそういう状況にございます。
  214. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 昼夜分かたず忙殺をされておられるのはよく存じているわけです。しかし、通産省及び元売り十三社が御出席ないということで、公聴会は中止になってしまったのですね。いろいろ取捨選択、それは一々応じていたらたまらぬわい、こうおっしゃるでしょうが、国民が灯油を確保しよう、こういうときにはあなた方は自助努力をせよ、このように指導をしておられるくせに、価格問題について国民が真実を知る努力を行う自助努力をすることについては出席しない。そのためにこれは中止になってしまった。これでは私は妨害をしているというふうにしか思われないわけです。ですから、一切何も出ないというふうなことではなくて、やはり国民に知らせようという態度を持つことが必要だ、一つ出ればどれにもこれにも出なければなりませんという態度こそ全く官僚の態度ではないかというふうに私は思うわけです。  私は、ことしの六回にわたる値上げについて、元売り各社がどのような方法でどんな内容のものを国民にPRをしてきたかということを実際に聞いてきました。そうすると奇妙なことが起こっている。第二次値上げ以降、通産省がヒヤリングを始めた。それ以前にはやっていた一般新聞社向けの発表、これもやらなくなった。何かそのような新聞社の発表はやらぬでいいぞというふうな示唆を通産省はおやりになったのでしょうか。元売り各社に行って話を聞きますと、どうも私は通産省と元売りがしめし合わせたにおいがした、こういうふうに感じるのですが、思い過ぎでしょうか。
  215. 神谷和男

    ○神谷説明員 値上げの報道、PRの仕方につきまして、いろいろな状況、いろいろな局面で元売り会社の対処の仕方も変わっておりますし、私どものそれに対応する対応の仕方も変わってきておることは事実でございます。一般的に申し上げまして、通常の状況でございますと、元売りが仕切り価格を上げましても、そのとおり必ず市場で実現するとは限らないというのが石油の一般でございまして、その段階におきまして特定の値上げ値上げというのを強くPRすることが適当であるかどうかというのが議論になったことはございます。それから、最近のように値上げ状況国民が知りたがっておる段階においては、私ども値上げについて適切な指導方法を各社でお考えになることが適切であろうということを、これは別に通達とか指導とかいう形ではございませんで、個別の接触でアドバイスしておることも事実でございます。現時点においては、やはりできるだけPRの方法も各社が考えるべき問題だろうと考えております。
  216. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 第六次の値上げ状況は全く納得のいかないものがございます。十一月三十日に通産省と元売りのヒヤリングを終わって、元売りは特約店に大急ぎで値上げの通告をした。そして翌日の十二月一日から値上げをしている、こういうわけですね。こんなことでは、もしも仮に企業の側で国民向けに説明をしようと考えていたとしてもできるはずがないではありませんか。したがって、第六次について言えば、その責任の大部分は通産省にあるというふうに思うわけです。通産省としては、こんな状況、つまり十一月三十日に特約店に通告して翌日から値上げをする、こういうことを認めるというのはでたらめもいいところだ。こんなやり方は改めてもらわないと困るわけです。十一月三十日にしか、ヒヤリングが終わらなかったら、なぜ実施時期をもっと延ばすというふうなことをして国民にきちんと理解をさせる努力をしないのですか。これでは、私が、元売りと通産省がしめし合わせたにおいがしたと言ってもいたし方ないというふうに思うのです。今後こういうふうなことが起こらないように通産省は改めるのかどうか。三十日に通告してあしたから値上げというふうなことは今後一切しないということをきちんと言明をしていただきたいと思います。
  217. 神谷和男

    ○神谷説明員 値上げの通告と実施の問題につきましては非常にむずかしい問題がございまして、余り前広に値上げがあるぞ、あるぞ、さあいつから上がるぞということを通告するということは、いろいろ地方公共団体に御協力を願って、指導監視をいたしておりましても、どうしても買い急ぎであるとか、物の流れが悪くなるとかいうようなことが起きやすいわけでございまして、できるだけそういう環境というのは短ければ短い方がいいというふうに考えておるわけでございますが、他方、御指摘のように三十日通告、一日値上げ、その前は値上げがあるであろうという漠とした通告であるということが必ずしも適切と考えておりません。この日にちがせっぱ詰まった責任はもっぱら私どもにあるわけでございまして、需要期の値上げでございますので、非常に慎重を期さざるを得なかったこと、いろいろな問題についての作業に手間取ったこと、指導に手間取ったことということがございましたので、本来、私どもの作業ももう少し迅速にまいりますとやや早目の通告ができたのではないかと考えています。したがいまして、これがいいと考えておりませんので、今後はできるだけ一定の期間が保てるように、それまでに私どものいわゆるヒヤリングあるいはアドバイスが終わるように努力いたしたいと考えております。
  218. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 国民が石油製品の値上げを知るのは、まず最初は普通は新聞でございますけれども、そこへの発表は自分の方からはしないことにしてしまった。新聞記者の皆さんがいろいろお調べになって元売りに問い合わせをする、そこで初めて確認をされて記事になって国民は知る、こういうことに現在ではなっているわけなのですね。もし仮に新聞記者の皆さんがそこまでやらなかったら、KDDや何かで追いかけ回されて灯油のことなんぞ手が回らぬ、人手不足でございますと、政府答弁のように新聞記者の皆さんがもし言われたらどうなるでしょうか。国民値上げになってしまってから後で知るというふうなことになるわけなんです。生活必需品だ、北海道ではお米と同じだ、こういうふうに言われている灯油を含む石油製品の値上げが、このような状態で年に六回もやられたらどうなるのですか。通産省はこんなことでよいというふうに思っておられるのでしょうか。お答えいただきたいと思います。
  219. 神谷和男

    ○神谷説明員 価格の公表の問題につきましてはいろいろな考え方がございまして、元売り仕切り価格というものを大きく公表しPRするということが、末端における価格形成にとって常に適切であるかどうかということは疑問でございまして、これはすべての段階における価格の公表というものが自由競争下における価格形成にプラスに働くとは必ずしも限らないという観点から、一つの真理であろうと思います。したがいまして、私は、基本的に常に元売り会社は価格値上げは発表すべきであるとは現時点でも考えておりません。ただ、現在のような需要期であり現在のような状況下におきましては、何らかの形で価格の動きというものが一般の消費者の方々に正確に伝わることが適切であろうというふうに考えております。幸いにわが国のマスコミは敏腕以上に敏腕でございますので、いままでのところ特に支障なく進んできておりますが、元売りに必ず価格引き上げは公表せいという指導をやるかやらないか、必要があるかどうかはさらに検討させていただきたいと思います。
  220. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまのような御答弁は、人のふんどしで相撲を取るという言葉がありますけれども、まさしくその表現だと思うのです。マスコミの方は精いっぱい努力なさるでしょう。しかし政府としても、敏腕なマスコミに任せて、私のところは人が少ないです、昼夜忙殺いたしております、それでは国民はたまったものではない。そういう逃げ道といいますか、すり抜けたような御答弁は、私は国民をばかにした答弁だと思います。  現在OPEC総会が開かれておりますが、その直前にサウジは一バレル当たり六ドルの値上げを発表いたしました。その他の国も値上げをしようとしているわけです。こうなりますと、来年早々にもまたまた製品の値上げの動きが出てくることは火を見るよりも明らかです。業界紙には早くもその動きが報道されております。それだけによけいにこの問題は重要だと思うのです。本当に納得のいく説明をしてほしいと思います。これは国民すべての要望なんです。しかし、いまのままではそうならないように思うから質問をしているわけです。元売り各社は国民が納得するような説明を積極的に行うべきですし、方法についても、単に新聞発表だけということではなくて検討すべきだと思いますし、通産省も元売り各社に対して強力な指導をする必要があると思うわけです。  最大の消費者団体であります消団連が民間公聴会をやるといっても、そこにも参加しないというような通産省の姿勢では、国民の納得を得ることはできない。通産省はこういった態度を改めるとともに元売りに対する指導をするということが重要だ。時間がありませんので、この点強く要望、指摘をしておきたいと思います。  最後に、経企庁長官にお尋ねをして終わりたいと思います。  先ほどから申し上げておりますように、いままで元売り各社は値上げの内容はおろか、その額さえも自分の口から発表し国民理解を得ようという態度はとってきておりません。これでは消費者はたまったものではないと思うわけです。通産省にこういう点でもしっかりと行政指導してもらうことも含めて、きょうは通産大臣がいらっしゃいませんので、物価の問題の担当大臣であり消費者保護を進める行政庁の長官としてどのように対処をされるのか、大臣の御答弁をお願いをしたいと思います。
  221. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 先ほど来藤原委員と通産省石油部長のいろいろ質疑応答があり、なかなかむずかしい点もあるようですが、私はやはり政治に対する信頼、これは非常に大事な点であろうと思います。通産当局もその点については全く同じ考えを持っておられると思います。  そこで、元売りというのですか、元売りの仕切り価格等について通産省では十分事情を聞きまして、それに対応した末端価格確保ということに全力を挙げておるわけであります。こういう委員会の機会あるいはその他通産省としても差し支えない限りは、その内容等についてもいろいろ御説明しておるわけでございます。ただ、業界について行政指導の面において必要な情報を得なければなりませんが、それをそのまま公表するというふうなことについては、これはどうしてもできない限界があろうと私は思います。そういう点についてはいろいろ御理解を願わなければなりませんけれども国民に信頼せられるに足る情報を出しまして、それを皆さんにもお示しをいたし、私がたびたび申し上げるように、国民とともに今日の危局を乗り切っていく態勢というものはぜひ守っていきたい、こういう考え方で関係当局にこれからも一層協力を願っていこうと考えております。
  222. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 終わります。
  223. 井上普方

    井上委員長 塩田晋君。
  224. 塩田晋

    ○塩田委員 私は国民の立場に立ちまして、物価担当大臣であります企画庁長官に、物価についての基本的な認識、物価安定対策の基本姿勢につきまして御質問申し上げます。  本委員会の議事録につきましても、選挙区に帰りまして皆さん方の理解を求めるために十分にお伝えをしたいと思っておりますので、国民方々が十分に理解できるように親切、明快にお答えをいただきますことを要望いたします。  まず物価についてでございますが、物価というものは当然安定しなければならないものである。この物価上昇というものは、言うならば国民に対する一つの大きな税金である。特に各階層に一斉にかかってくる生活上の問題でございまして、中でも低所得者層だとか失業者、あるいは年金受給者、各種のハンディを持たれた方、老人、また住宅を持とうとしておられる方、子弟の教育をしなければならないといった人々に対して、将来の生活上の非常に大きな不安を与えるものでございます。人によりますと、働く者にとってインフレというものは勤労者の汗の結晶である果実を収奪する悪税である、こういうことをさえ言う人があるわけでございますが、私たち選挙区におきましても、住民の皆さん方の関心がこの物価について非常に高いわけでございまして、大臣も同じ状態であろうと思いますが、物価安定の要望がきわめて強いということをこの際申し上げておきたいと思うのでございますが、物価についての基本的な認識につきまして、大臣はいかがお考えでございましょうか。
  225. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 塩田委員指摘のとおり、本当にあらゆる経済の安定、生活の安定の基盤は、物価問題、インフレ抑圧問題、こういうふうに申し上げて差し支えないと思います。したがいまして、われわれはいまその問題に全力を挙げて取り組んでおるわけでございます。  ただ、日本は非常にむずかしいのは、先ほど来いろいろお話のありました原油、それから円レート、そういうふうな関係からの外的な要因、それから卸売物価は大変な、予想の狂うほどの暴騰状態である、これを消費者物価にできるだけ波及させないように全力を挙げて取り組んでおるわけでございまして、いままでのところ大方の各方面の御協力のもとに相当程度成功しておると思いますが、しかしまた、卸売物価高騰が相当程度に消費者物価の方に波及しつつあることも事実でございます。したがって、われわれは気を緩めることなくこの情勢を守り抜くことに全力を挙げて取り組み、そして物価の安定に全力を挙げ、何とかして達成していきたい、かように考えております。
  226. 塩田晋

    ○塩田委員 物価の趨勢についてでございますが、CPI、消費者物価の動きと卸売物価の動き、これが最近かなり乖離をしてきておるということが数字の上でも、きょう配られました資料の上でもはっきり出ておるわけでございます。この資料によりますと、前の石油ショックの時点、その後の状況——ここに出ておりますように四十九年消費者物価が二一・八%に対しまして卸売物価は二三・五%でございました。最近は、これは五十三年の分でございますが、消費者物価が三・四%、卸売物価がマイナス二・三%になっております。こういう推移の資料が出ております。大体消費者物価の動きは卸売物価動向にもちろん左右されるわけでございますが、日本の場合はかなりのタイムラグがあると思われます。大体どの程度のタイムラグがあると考えておられますか、その点をお尋ねいたしますとともに、前回の石油ショック以来の状況はどうであるか、そして現時点から将来、来年度具体的にはどのように推移すると見ておられますか、この点について御質問いたします。
  227. 藤井直樹

    藤井説明員 卸売物価から消費者物価への波及のタイムラグでございますが、そのときの経済の環境によって非常に違います。大体一・四半期ないし二・四半期ということでございます。前回の狂乱物価のときは非常に時間が短くて、卸売物価が上がるとすぐに消費者物価が上がるというような状況がございました。しかし、最近はそのタイムラグがかなり延びているのではないかというふうに思います。  それから、最初に御指摘のありました卸売物価消費者物価の乖離でございますが、確かに十一月の時点で見まして卸売物価が一六・一%、消費者物価が四・七%でございますが、この一番大きな理由は、卸売物価の中の輸入原材料が昨年に対して七割近く上がっております。したがいまして、生産財全体として二四%上がっているわけでございます。しかし、消費者物価影響してまいりますいわゆる消費財の上昇率が四・一%ということでございますので、これが消費者物価の方の商品にも影響して消費者物価全体の安定をもたらしているということがございます。さらに消費者物価には卸売物価関係のないサービス料金がございますし、季節商品というものもありまして、全体としてそれらも四%程度の動きを続けておりますので、消費者物価全体としても四・七%。したがいまして、非常に大きな乖離が生じております。昨年の円高の過程におきましては、むしろ卸売物価がマイナスで消費者物価がプラスだったという状況でございますが、ちょうどそれは輸入原材料価格が下がったということの反映でございまして、昨年の円高のときと円安のときとの間で乖離の動きはかなり変わってきております。  今後の問題でございますが、もしその輸入価格が非常に安定してまいりますれば、大体常識的には消費者物価の方が少し高くて、卸売物価消費者物価を下回るという姿になるのではないかと思いますが、これはもっぱらかかって石油等の原材料価格の動きによるものでございますから、にわかにそうなるということを申し上げかねますが、一般的なパターンとしてはそういうことでございます。
  228. 塩田晋

    ○塩田委員 一般的に物価上昇する原因はたくさんあろうかと思います。いま具体的に海外の経済物価状況が国内物価へ反映されるという影響の点を指摘されたわけでございますが、それは非常に大きいと思いますが、そのほかにも原因としていろいろあろうかと思います。景気の過熱あるいは赤字国債といったものが物価影響するというふうにはお考えにならないでしょうか。
  229. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 これは大変大事で、いわゆる財政インフレーションというのを何としても避けなければいかぬ、それで来年度予算編成するに当たりまして国債をまず一兆円、少なくとも一兆円減額しよう、こういう方針を打ち出しておるわけでございますが、仰せのとおり、国債を増発し、またそれが消化力を超えて発行されるようなことになりますと、これは直接的にマネーフロー、日銀券の増発というふうなことになりまして典型的な財政インフレーションが起こるわけでございますので、そういう事態を厳に避けることに全力を尽くしておるわけでございます。
  230. 塩田晋

    ○塩田委員 そこで、この物価安定対策の基本的な姿勢、考え方につきまして大臣にお尋ねしたいのでございます。  ここに資料をいただきました。物価問題に関する関係閣僚会議で十一月二十七日に決まっております「物価対策の総合的推進について」、これをいただいておりますから、この内容はよく理解されます。理解されるのでございますが、むしろこの背後にある物価安定対策の基本的な姿勢、考え方につきまして大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  231. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 八項目にわたりまして、いわゆる関係各省庁、また閣議で総理以下全閣僚が確認をしたものでございます。基本的な考え方は、いま御指摘のあった財政インフレーションというふうなことは絶対避ける、すなわち財政の面で、このごろはやりの言葉ではファンダメンタルズと言っておりますが、重要な一つのファンダメンタルズだと思っております。そこで財政の健全化を進めていくことは当然のことであります。それから財政では予算の総額とその実施状況ですね。これについても物価に悪影響を与えないような実施をやっていかなければならぬ。こういうことをうたっておるわけでございます。それから金融面といたしましては、先ほど申し上げたように日本銀行が公定歩合を三度にわたって引き上げて過剰購買力を発生させないような施策がとられた。またインフレマインドを抑制するような施策がとられた、こういうことが大事なことだと思っております。それからまた国際収支の面において、円のレートが非常に不当に過小評価されて円がどんどん下落するというふうな事態は何としても避けていかなければならぬ。そこに貿易関係努力もありますが、また資本の収支についてもチェックすべきものはチェックしていこう、こういうことがうたい込まれておるわけであります。  ほかの項目につきましては、先ほど来熱心に御討議のありました原油価格からくるインフレ的、またデフレ的な効果もありますけれども、そういうものについても、まず卸売物価の方は相当上がってもそれを消費者物価に波及させないための本当に涙ぐましい努力関係各当局がやられた、またいまもやっておられる、こういうふうに私は認識しております。  それから生活必需物資、重要物資の個々の物資について、やはり全体として需要供給を適合させるということを基本に置きまして物価対策をやりました。また便乗値上げ、公正ならざる取引を防止する、こういう方面についてもみんなで力を合わせてやっていこう、こういうことを八項目にわたって取り決めたわけでございます。
  232. 塩田晋

    ○塩田委員 私はきょうは物価安定対策の総論の議論になろうかと思うのでございまして、個々には本委員会でも前回、今回と熱心に議論されまして、これに立ち入る時間的な余裕がないわけでございますけれども、一貫して流れる政府の基本的考え方、そして閣僚会議でも決められた総合的物価対策、これの基本となるものは、私の理解といたしましては、あくまでも自由な市場経済の原理、そのよさを生かしていくということを基本にいたしまして、そしてそこに、言うならば物価がバロメーターといいますか、シグナルという形で、これを見ながら需給を調整していくということに基本を置いておられるように承っておるわけでございます。  石油につきましても、もっぱら議論は、価格そのものに直接介入するということを避けて供給確保する、そして需要を抑えていくという需給のバランスをとりながら価格を安定的な方向に持っていく、こういう方向で来ておられると思うのです。この対策要綱もそのように思想的には一貫しておられるかと思うのです。しかし、その中におきまして、異常に物価高騰があった場合には、これに対して直接介入をするという公取の権限の問題もございましょうが、いろいろな形でやっていく。これは最後の手段であるというふうに基本的には考えていいものかどうか。これらの点につきまして大臣のお考えをお尋ねします。
  233. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 お述べの点は、大体私どもも大きな考えの違いはないと思います。ただ、需給の適合を基本にしておる、それをそれでは自由市場経済の原理に任せっきりでいけるかという点については、これは先ほども涙ぐましいというような表現をとりましたが、やはりそこに一定の行政指導、また監視を強化するというようなことで、卸売物価の騰貴が末端消費者価格の方へできるだけ波及しないように努力をした点については、これはもう塩田委員お認めのように、石油事情、円レートの異常な下落、そういうふうな特殊の事情のもとでやったことでございますので、基本的には自由主義経済、市場機構をわれわれは尊重していくことにおいては何ら異論はございませんけれども、その中で許される限度、また必要最小限度の行政指導等はやっていただいているわけでございます。
  234. 塩田晋

    ○塩田委員 この対策要綱につきましてお伺いしたいのでございますが、まず読んだ上での全般的な感じといたしまして、余りにも抽象的な言葉が多過ぎるという印象でございます。ざっと数えたのですけれども、やたらに「迅速かつ的確な処理」、また「努める」とか、それから「適正な形成」、また「必要に応じ」、この非常に具体的な各重要物資につきましての価格対策を表現するのに、こういう抽象的な言葉が非常に多いのでございます。これは努めないよりは努めるのがいいのに決まっております。迅速でかつ的確な方法がいいのに決まってはおりますけれども、これでは国民は本当に理解できないのです。どういう内容なのか。的確というのは役所側から見て的確だということであって、どういうことを考えておられるのか。また迅速といっても、先ほどございましたが、新聞報道機関よりは迅速でなさそうでございますし、いろいろな抽象的な言葉の中に、具体的にはいろいろ役所では考えておられると思うのです。そういったことがもう少し国民に、このように物価安定に努めてこういうことをするんだ、あるいは手段として準備しているのはこういうことなんだ、これをある時点において、こういう時点になれば、こういうシグナルがともればこういう手を打つのだということをもう少し説得的に、国民がだれでも理解できるようにやはり説明していただきたい。こういった短い文章あるいは閣議決定のような文章にはなかなか盛り込めないかもわかりませんが、少なくともこういう場におきましては、この抽象的に書いてある中身をもう少し具体的な手段、どの時点においてどうだという内容を具体的に示して御説明をしていただかないと、われわれも国民に対して納得してもらうことは非常にむずかしいことがたびたびあるわけでございます。長い時間かけてこの委員会で論議されてやっとわかるというようなこともかなりあるだろうと思うのですけれども、こういったことをできるだけ国民に対して、本委員会を通じ、またあらゆる機会にPRの話もあったようでございますが、企画庁長官大臣としては、やはり国民にわかりやすい説明をしていただきたい、このように思いますが、いかがでございましょうか。
  235. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 全く同感でございます。私どもは官庁の作文と言っておりますが、どうしても、こういうふうに関係閣僚で共通の作文を書くものでございますから、つい官庁用語というふうなことになっておるわけでございますが、まあ、具体的にこの点はどうするんだというふうにお尋ねをいただければ、これはもう物価局長でも石油部長さんでも、きわめて具体的に御説明をするわけでございます。ただ、八項目にわたりまして非常に広範な問題をまとめたものでございますから、こういう表現になっておりますけれども、一々これは、先ほど来御説明するように、灯油の問題については、元売り会社での仕切り価格から末端小売価格に至るまでをずっと通産当局が中央、地方を通じて承知の上で指導に当たっておるというふうな点をいろいろこういう文章で書いておりますが、必要によりましては物価局長から御説明を申し上げます。
  236. 塩田晋

    ○塩田委員 きょうは時間の関係で総論になりまして、各論について御質問する時間的余裕がございませんが、たとえばの例でございますが、石油関係お見えになっておりますから、石油製品の問題につきましては、この前の委員会でも、きょうもまた出ておりましたから、かなり具体的な説明があってわかるわけでございます。非常に努力をされておられることはわかるのでございますが、物価高騰していく場合に、供給量をふやすということによって抑えていくという思想ですね、これは常識でございますが、その際に、石油のように供給量をふやそうと思っても——備蓄等はありますけれども、長期的には、ふやそうと思ってもスポットについての批判が出たり、供給量がどうしてもふやせないといったような場合に、これは価格は上がっても基本的にはやむを得ない、こういうことになるのか、その問題についてコメントをしていただきたいと思います。  それから、これも適切な回答が——これは農林省関係になるかもわかりませんが、牛肉の場合なんか、これは「需給事情に即した適切な輸入」、非常に抽象的な言葉ですね。牛肉価格は高いというのは、一般消費者はみんな思っているわけですね。特に日本が高いということは、外国との比較においても十分に皆さん御存じのとおりでございますね。これを下げていく。米の場合もそうかもしれません。農産物は一般的にそういう傾向があるかと思いますが、輸入が可能であれば、国内の生産者との関係におきまして、どんどんしてはまずいわけですね。その場合に、おっしゃる適切な輸入、それから売り渡し等に努めるという、こういう表現、そして、小売価格の適正な形成に努めるあるいは指導を行う、こういう非常に抽象的な言葉ですね。これは本当はよく内容はわからないことでございますね。こういった問題につきまして、若干簡単にコメントをしていただきますならば幸いです。
  237. 神谷和男

    ○神谷説明員 石油につきまして、御指摘のように、基本的には市場原理を活用をいたして、円滑な量の確保に努めたいと考えておりますが、ロッテルダムであるとか、あるいは西独もその方式と言われておりますが、完全に市場にゆだねて、足りなくなればどんどん値段が上がる。値段が上がれば節約にもなるし、また物も入ってくる。こういう形をとっておる地域もございますが、私ども日本の国情から考えまして、日本をロッテルダム方式にしてしまおうという考えは持っておりません。そうかと申しまして、人為的、固定的な価格というのをつくりまして、それで物の流れが悪くなり、さらに大きなフリクションが起こるということもぜひ避けたいと考えておりますので、日本の国情並びに現在の世界の需給状況日本の置かれた立場を考えますと、市場原理を原則としながら、一定の限度においての介入を行う。その介入は、この委員会でしばしば御説明させていただいておりますように、元売り仕切り段階でのヒヤリング、監視という形での指導であり、末端における状況のウォッチと個別の指導並びにあっせん、この方式、したがってきわめて日本的な方式でこの状況に対処してまいりたいと考えており、現実にまいっております。もちろん、状況変化に応じて常に固定的な考え方ではなく対応してまいりたいと考えております。
  238. 藤井直樹

    藤井説明員 牛肉のところでございますが、「需給事情に即した適切な輸入、売渡し」という問題は、実際の国内の牛肉の流通の状況を見まして、需要がかなり家計費の拡大に伴ってふえてきております。その需要がふえた場合に、その対応はわが国の国内生産、これが相当分占めるわけですが、その想定された国内生産によりましてもなお不足する分を輸入という形で処理しようということでございます。  そういうことでございますので、的確な需要の、的確なという言葉はまたあれですが、需要の量につきまして、十分な検討を行って、見込みを立てた、その需要に対して輸入でもって対応しようということでございます。そういたしますれば、需給のアンバランスによって価格上昇するということは避け得るわけでございます。  そういうことで、たとえば五十四年度につきましても、輸入牛肉につきまして、昨年の二割増しの輸入の割り当てをしたということでございます。それから同時に、事業団がそれを買った場合に、たとえば今度年末対策でもやりましたけれども、十二月の段階では例月よりも売り渡しを多くするということをやるわけでございます。そういうことで、きわめて抽象的な表現ではございますけれども、実際の市場の状況に合わせた運営ということを心がけているわけでございます。  それからもう一つ、御指摘のありました「国産豚肉」の問題ですが、これは実は卸売価格はかなり下がっております。しかし、小売段階で同じような値下がりが見られないということでございますので、そういう意味で、小売価格も適正にしていこうという意味で、「適正な形成」と言っているわけでございまして、この背後にはそれぞれ実態的な行政指導なりそういう動きがあるということを御理解いただきたいと思います。
  239. 塩田晋

    ○塩田委員 この問題に深入りしますと、各論になってまいりますし、いまの御答弁、重大な問題があると思うのですけれども、後の公共料金の問題にもかかわることでございますが、原価主義というか、原価割れにならないようにという配慮があるのじゃないかと思ったりするのです。いまの御答弁でも、二割をふやすという、それじゃ三割じゃいかぬのか、どこが支障を来すのか。どこまで価格が下がっては困るのか。なぜ困るのか、そういった問題についての説得的な御説明が実は欲しいわけでございますが、これを議論しますと時間がございませんので、問題があるということを御指摘申し上げたいと思います。  それから、物価対策で一番頭が痛い問題は、物価を安定しなければならぬという至上の命題があると思うのです。これをやるために景気を抑制するということが基本的には一番有効なことが多いわけでございます。ところが、景気を抑制するために、大臣から先ほど言われました、財政金融政策をとっていく場合に、景気が鎮静いたしますと、民間企業はもとより、公共企業体等も含めまして非常に経営が悪化する。自由経済制度であるわが国の現在の場合、こういった市場原理で企業経営が悪化するところから、いろいろな社会的な摩擦が生じます。その大きなものは、失業者の増大であり、あるいは賃金を上げようと思っても上げられない、物価を上回る賃上げがなかなかできないという状況も時にはあるわけでございます。  そういった物価安定と二律背反的、言うならばトレードオフという関係のものがかなりあると思うのです。こういったものをどのように認識しておられるか、これに対してどう対処しようとしておられるか、大臣のお考えをお聞きします。
  240. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 大変大事な問題でございますが、日本経済は、けさほど来申し上げたように、五十四年度に関する限りは、当初の見通しの安定的な成長目標を達成し、また、消費者物価も当初の目標どおりにいくという点で、私どもはこの達成に全力を挙げておるわけであります。  いま御指摘の点は、景気物価との関係、こういうふうに設定されたわけでありますが、景気が過熱状態になってくるということは非常に警戒を要するわけであります。しかしながら、物価を安定させながら安定した成長を図っていくというところが非常に望ましいわけでございますから、そこのところへわれわれとしては本年度も進めていき、来年度もぜひそれを実現したい、こういう意欲に燃えておるわけであります。  雇用と景気、そうして物価あるいは国際収支、こういうのが塩田委員承知のように、経済の健康度をはかるバロメーターであろうと思うのでありますが、そういうものをにらみ合わせながら、大体において調和のとれた、わかりやすい言葉で言いますと、ほどほどのというのでございましょうか、そういう経済をぜひ維持発展させていきたい、こういうふうな考え方でございます。
  241. 塩田晋

    ○塩田委員 物価がどうしても上がっていく場合に、それを埋め合わせるための労働者の賃金、労務費の上昇はもちろんあるわけでございますが、成長率との関係におきまして、勤労者の所得の単価としての賃金、その賃上げ率ですね、これをどのように考えておられるか。物価上昇と賃上げ率、そして成長率、特に今年度見込み、来年度見通し、また、見通しがなければ、どうあるべきだと考えておられるか、大臣のお考えをお聞きします。
  242. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 けさほども、いまの御質問と少し違った角度からでございましたけれども、お答えを申し上げたように、今日の日本経済がとにかく諸外国、先進諸国の中で一番安定し、景気もある程度いい姿を保っておるということの根本は、私はけさほど来申し上げたように、労使の非常に大局的な見地に立っての良識ある賃上げというふうなことが本当にその根本を支えておる、こういうふうに申し上げていいと思うのでございます。  そこで、これは労使の問題でございますけれども、これからまたほどなく春闘の時期になるわけでございますが、ぜひともそういう、いま申し上げたように諸外国と比較しても日本経済の大きな強みでございますから、その強みを守っていっていただきたい。しかし、そのためには何としても消費者物価の安定をわれわれは全力を挙げて実現していかなければならない、これはもう当然の責任でございますので、国民各層の御協力をいただいて、なだらかな、また良識のある春闘の成果が上がるような環境をわれわれとしてはつくっていきたい、こういう考え方を持っております。
  243. 塩田晋

    ○塩田委員 いまの賃上げ率につきましては、大臣が言われましたとおり、労使の決定事項で、自主的な交渉によって決定されるべきものでございまして、そのようにいままで来ておるわけであります。その結果については若干認識の違いはあるかもわかりませんが、そのような仕組みであることはわかりますが、少なくとも政府経済運営を預かっておられる国務大臣として、物価と賃上げ率との関係におきましてどうあるべきか。先進国におきましても、物価上昇を上回る賃上げが、これは常識だ、どんなに上げない場合でも、上がらない場合でも、消費者物価を下回るようなことがあってはならないという考え方があるのですけれども、それについて大臣はいかがお考えでしょうか。  また、これは経済計画、来年度見通しをつくられる際にも恐らく計算をして入れておられることだ。そうでなければ、大きなウエートを持っているわけですから、経済計画、見通しはできないはずでございます。これはまた、出ますと逆に非常に影響をして各方面にいろいろな支障が起きるということも考えられるのですけれども、少なくともどうあるべきかという政府として、大臣としてのお考えをお聞きしたいと思うのです。
  244. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 マクロ的に申し上げれば、これは非常に大事な、国民所得の中で個人消費の占めるシェアというのが大変大きなことはいまさら申し上げるまでもありません。したがって、堅実な消費というものが経済のバイタリティーを維持していく上に非常に大事なものである。しかし、これは塩田委員、改めて申し上げるまでもなく、やはり物価が安定しておるから個人消費も盛んに安心をして行われるというふうな点があろうと思います。  一方、ミクロ的に見ますと、これはやはり賃上げ交渉というものは、もちろんいまおっしゃられたように物価上昇をカバーしていくというふうな点は、これはもう必要だというふうなお考えもありましょうけれども、しかし、個々の企業として見れば支払い能力というふうな点もあるわけでございますね。そこのところは労使の間で良識をもって解決していただかなければならぬわけであります。  しかし、経済全体をバイタリティーを持って発展させていくという見地から言えば、個人消費の占める役割りというものが非常に大事であり、それをまた健全に進めていくためにも物価の安定が大事だ、結局ぐるぐる回って物価の安定ということが非常に大事な要素になってくるということが私のいまの考え方でございます。
  245. 塩田晋

    ○塩田委員 労務費、そして経営問題がいま出てきたわけでございますが、賃上げは、物価上昇がある限り、それを上回って大体上昇してきていることは御存じのとおりだと思うのです。その場合に、民間の場合は物価のメカニズム、調整があるわけでございますが、公共料金関係企業におきましては、これは労務費が上がって単価が変わらないということですから、そのしわ寄せがどうしてもくる。ある時点において変えざるを得ないということも起こるわけですね。公共料金はできるだけ上げない方がいい。これはまた非常に他の物価にも波及いたしますから、これはそのとおりであるし、できるだけ政治的な配慮ができる範囲におきましてこれは抑えなければならぬと思いますが、いつまでもずっと抑えておくわけにいかない問題だと思うのです。また、この問題につきまして各省庁からいろいろ、もう現に公共料金値上げ申請が出ておるわけでございますが、この問題につきまして経済企画庁としてどのようなお考えで対処されるかということにつきましてお伺いいたします。
  246. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 公共料金メジロ押し値上げを待っておる。そこで、塩田委員が言われたように、これをむやみに抑えてしまったのでは、また一どきに大変上げなければならぬ事態になるということも考えなければならぬという御説ももっともでございますけれども、しかし、とにかくいま内外の情勢は、物価を押し上げるような要因が本当にたくさんあります。こういうときでございますから、私は忍びがたきを忍んで公共料金については厳正な査定をせざるを得ないという認識でいま取り組んでおるわけでございまして、経営の合理化、それから民間企業が相当減量経営をやってこられた後でございますが、これからもなお一層、民間企業から公共料金値上げ申請がある場合は、さらに一層の経営合理化をお願いしようと思っております。いわんや、政府部内においていろいろの料金の値上げというふうなことに当たりましては、厳しく、まず経営合理化をやっていく、人員についても抑制をやる、あるいは欠員不補充をやる、そういうふうなことをやって、しかも吸収できないぎりぎりのところを、値上げを最後にせざるを得ないのではないか、こういうふうな認識で取り組んでおるわけでございます。
  247. 塩田晋

    ○塩田委員 公共料金につきましては、極力政治的に配慮できる許容の範囲におきまして抑えていただきたいということを要望いたします。とともに、現在大体公共料金は各省別の決定権限があるわけでございますね。企画庁としては、それに対しては、経済閣僚会議あるいは物価対策閣僚会議において発言をされるという程度——程度と言うと失礼ですけれども、いまそのような仕組みでございます。そうであるとすれば、これをもっと経済企画庁がイニシアチブをとって、全体の経済の運営、物価対策の上からこうあるべきだという、ある程度の権限を持った、そういう調整機構といいますか、そういうものを経済企画庁長官の権限として持たれることについては、いかがなものでございましょうか。
  248. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 先ほど塩田委員がおっしゃられました八項目の中にもはっきり書いておるわけでございまして、第六項目、「公共料金については、経営の徹底した合理化を前提とし、物価及び国民生活に及ぼす影響を十分考慮して厳正に取扱う。」これは、いま仰せになりましたが、実は重要なものは事前に経済企画庁に協議をしてもらっております。また、そうでないようなものについても、ここに書いた基本方針に従って、各省においてやられるものがあるわけでございますけれども、これらについても、ことしは特に非常に大事な時期であるから十分経済企画庁に連絡をとってやってほしい、こんなようなことで、相当強く経済企画庁としては発言をいたしておりますので、その点についてもいまお話しのような趣旨でこれからもやっていきたい、かように考えます。
  249. 塩田晋

    ○塩田委員 ちょっと急いでもう一つ二つお願いしたいのですが、現在の消費者物価指数は、非常な学識経験者が審議されて現在のものができ上がっておると思うのですけれども、この中に公租公課、社会保険料とかあるいは各種税金、こういったものがCPIの中に現在反映されてはいませんですね。そういった問題、あるいは住宅費はございますけれども、ローンによって住宅費を払っていっている場合、こういったものがどういうふうに反映されておるか。実際の国民生活の中には、そういうようなものが非常に大きな要素になっておるわけですね。それが消費者物価の中に反映されることについても、大いに議論はあると思うのですけれども物価局長、どういうふうにお考えになっておられますか。
  250. 藤井直樹

    藤井説明員 現在の消費者物価指数の作成につきましては、統計審議会で十分審議されたものでございまして、国際的にも共通の部分が多いわけでございます。  公租公課になりますと、これはいわば税金の一種かと思いますが、これは家計費といいますよりもむしろ可処分所得を算出する過程での議論でございまして、家計というのは可処分所得がどういう形で支出されているかというところに着目する必要がありますので、これを現在の消費者物価指数の中に入れるということは、どうも適当ではないのではないかというふうに思います。  それから住宅費については、家賃という形とか、それから自宅を持っております場合に帰属家賃といいますか、そういうようなことで反映するようにいたしておりまして、いわば経費的なものということに着目してやっておりますので、ローンの返済等は、これは消費者物価指数としては見ておりません。ただ、全体の家計をどう議論するかというときには、先ほどの公租公課の問題も出てまいるでしょうし、住宅費の負担の問題も出てくるかと思いますが、それはまた別途の観点から議論をしていくのがいいのではないかと思っております。
  251. 塩田晋

    ○塩田委員 最後に、大臣にお伺いします。  現在の経済企画庁設置法からくるところの企画庁長官の権限、これは物価安定対策上、経済の適正な運営上、現状でいいとお考えでしょうか。それとも、もっと強力な権限を持って物価対策を進めればもっといい安定が得られる、こういうふうにお考えではないでしょうか。  その点を最後にお伺いするとともに、地方の時代と言われます。物価については、これは地域格差もございますし、また自治体でも物価安定に大変関心もあるし取り組んでおる。したがって、地方の時代にふさわしい物価安定対策のための権限とかあるいは監視委員会とかいったものを地方にも広げて、国全体の規模できめ細かいすみずみまでの物価対策ということをお考えになってはどうかと思うのですが、こういった企画庁の権限の問題について大臣のお考えをお伺いいたします。  以上です。
  252. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 経済企画庁に対して大変御理解のある御発言をありがとうございました。  私は、結論を申し上げますと、やはり大綱を押さえて、そして各省庁それぞれあるいは地方公共団体にいろいろと協力をしていただく、こういうやり方をいたしますれば、今日お認めをいただいておる経済企画庁の権限で、これはあとは運用の問題である、こういうふうなことを考えております。ただ、けさほど来申し上げましたように、今日の物価問題というのは、これはもう役所だけでできるものではございません。国会を初め国民各層の御理解と一致協力のたまものによって今日まで相当程度の成果を上げておるものと心得ますので、今後ともに深い御理解の上に経済企画庁の施策についていろいろ御指導、御鞭撻を賜りたい、このことを申し上げてお答えといたします。
  253. 塩田晋

    ○塩田委員 終わります。
  254. 井上普方

    井上委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十六分散会