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1979-11-28 第90回国会 衆議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十四年十一月二十六日)( 月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 のとおりである。    委員長 内海 英男君    理事 片岡 清一君 理事 津島 雄二君    理事 羽田  孜君 理事 山崎平八郎君    理事 柴田 健治君 理事 芳賀  貢君    理事 和田 一郎君 理事 津川 武一君    理事 稲富 稜人君       小里 貞利君    菊池福治郎君       久野 忠治君    近藤 元次君       佐藤 信二君    佐藤  隆君       菅波  茂君    田名部匡省君       高橋 辰夫君    玉沢徳一郎君       西田  司君    福島 譲二君       保利 耕輔君    堀之内久男君       渡辺 省一君    小川 国彦君       角屋堅次郎君    新村 源雄君       馬場  昇君    日野 市朗君       細谷 昭雄君    本郷 公威君       権藤 恒夫君    瀬野栄次郎君       武田 一夫君    中川利三郎君       中林 佳子君    神田  厚君       近藤  豊君    阿部 昭吾君 ————————————————————— 昭和五十四年十一月二十八日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 内海 英男君    理事 片岡 清一君 理事 津島 雄二君    理事 羽田  孜君 理事 山崎平八郎君    理事 柴田 健治君 理事 芳賀  貢君    理事 和田 一郎君 理事 稲富 稜人君       小里 貞利君    菊池福治郎君       近藤 元次君    佐藤 信二君       佐藤  隆君    菅波  茂君       田名部匡省君    高橋 辰夫君       玉沢徳一郎君    西田  司君       福島 譲二君    保利 耕輔君       堀之内久男君    渡辺 省一君       小川 国彦君    新村 源雄君       馬場  昇君    日野 市朗君       細谷 昭雄君    本郷 公威君       権藤 恒夫君    瀬野栄次郎君       武田 一夫君    中川利三郎君       神田  厚君    近藤  豊君       阿部 昭吾君  出席国務大臣         農林水産大臣  武藤 嘉文君  出席政府委員         農林水産政務次         官       近藤 鉄雄君         農林水産大臣官         房長      渡邊 五郎君         農林水産省構造         改善局長    杉山 克己君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         食糧庁長官   松本 作衞君  委員外出席者         文部省体育局学         校給食課長   坂元 弘直君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  農林水産業振興に関する件(水田利用再編問  題)      ————◇—————
  2. 内海英男

    内海委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち  一、農林水産業振興に関する事項  二、農林水産物に関する事項  三、農林水産業団体に関する事項  四、農林水産金融に関する事項  五、農林漁業災害補償制度に関する事項 以上の各事項について、衆議院規則第九十四条により、議長に対し、国政調査承認を要求することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内海英男

    内海委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 内海英男

    内海委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、五十五年度水田利用再編対策案について、武藤農林水産大臣から説明を聴取いたします。武藤農林水産大臣
  5. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 農林水産委員会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げますとともに、いま委員長からお話のございました五十五年度水田利用再編対策につきまして、農林水産省で現在取りまとめております案の趣旨を御説明申し上げさしていただきたいと思います。  今日、農政は、経済基調が変化する中におきまして、米の需給の不均衡、また経営規模拡大停滞等の問題に直面をいたしております。八〇年代の到来を控えて、農業の将来に明るい展望を開くためには、将来の農業ビジョンを明らかにいたしまして、長期的観点に立った政策推進を図ることが必要でございます。  現在、農業長期展望とこれに関連した施策あり方につきまして、明年春に結論を得ることを目途といたしまして、農政審議会において検討願っておるところでありますが、私といたしましては、これらの検討結果などを踏まえまして、希望の持てる農業を確立できるよう、強力な農政の展開を図っていきたいと考えております。  当面する農政の最大の課題であります米の過剰問題につきましては、五十三年度から、農業者地方公共団体等関係者の御理解と御協力のもとに、水田利用再編対策実施しているところであります。  その実施状況を見ますと、初年度目標を一二%上回る実績を上げ、また本年度におきましては、地域農業の再編成を促進する観点から転作の一層の推進に取り組んでいただきました結果、昨年度実績をさらに上回る実施が見込まれております。  しかしながら、最近の米の、需給は、消費の引き続く減退と、また一方反収向上によりまして、一段と過剰の度合いを強めておりまして、きわめて憂慮すべき事態となっております。すなわち、古米在庫量は、輸出用などに鋭意処理をいたしてまいりましたけれども、なお本年十月末で国民の約七カ月分の消費に相当する六百五十万トン程度のものとなっておりまして、これ以上の古米在庫量の累積を避け得るよう、速やかに需給均衡回復を図ることが、食糧管理制度維持を含めて、農政につきましての国民の支持を得るためにぜひとも必要と考えておる次第であります。  このため、五十五年度水田利用再編対策進め方につきましてあらゆる角度から検討を重ねてまいりました。御承知のとおり、第一期三年間は原則として転作目標面積を固定する方針で臨んできたところでありまして、この方針を貫きつつ需給均衡を図る方策がないかという点についても真剣に検討をいたしましたが、諸般の事情から、この際需給計画見直しをせざるを得ないとの判断に至った次第でございます。  三年間固定という理解のもとに対策推進に取り組んでこられました関係者に多大の御迷惑をおかけすることにつきましては、まことに申しわけなく思っております。また、需給見通しが結果的に甘かったことにつきましては、まことに遺憾に存ずる次第でございますが、委員各位の御理解を切にお願いを申し上げたいと思います。  需給計画見直し内容につきましては後刻事務当局より説明をいたさせますが、五十五年度の単年度需給均衡を図ることを基本といたしまして見直したいと思っております。  このような改定はまことにやむを得ざる緊急措置でございまして、転作奨励補助金の水準やその仕組みにつきましては、第一期水田利用再編対策最終年度ということで、基本的にはそのまま維持をしていきたいと考えております。  もちろん、米の消費拡大につきましても、国内資源に依存する食生活見直し基本といたしまして、学校給食への米飯導入のより強力な推進米食普及啓蒙活動強化需要に見合った良質米の安定的な供給など、各般の面から今後とも全力を挙げて取り組む考えであります。  また、転作の円滑な推進を図るために、排水対策を初めといたしまして、転作条件整備のために各般施策を進めてきているところでありますが、今後とも関係施策充実を図るべく、厳しい財政事情のもとではございますけれども、最大限の努力を傾注していきたいと考えております。  以上、五十五年度水田利用再編対策案趣旨につきまして申し上げましたが、農林水産省といたしましては、今後とも米の需給均衡回復農業生産の再編成全力を傾注してまいる覚悟でありますので、委員各位の御理解と御支援を切にお願いを申し上げる次第でございます。
  6. 内海英男

  7. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 五十五年度水田利用再編対策案に関しまして、補足説明を申し上げます。  現在検討を進めております五十五年度水田利用再編対策内容について、お手元に配付しております資料、三種類あろうかと思いますが、その中の「昭和五十五年度水田利用再編対策推進について(案)」というのがございます。これに即して御説明を申し上げます。  まず第一は、基本方針でございます。御承知のように、水田利用再編対策は、米の需給均衡回復し、需要の動向に適切に対応し得る農業生産構造を確立することを目指して、おおむね十カ年にわたり実施することとして、昭和五十三年度から発足したものであります。発足する際、その基本的考え方等について、「農産物の総合的な自給力強化米需給均衡化対策について」という閣議了解が行われており、また、その中で、対策の第一期は昭和五十三年度から昭和五十五年度までの三年間とするとされております。五十五年度水田利用再編対策は、この閣議了解趣旨に即し、第一期の最終年度として実施することを基本的考え方といたしております。  転作等目標面積及び米の事前売り渡し申し込み限度数量改定が必要となった事情につきましては、先ほど大臣から説明がありましたが、米の需給について補足して若干御説明申し上げます。  まず、米の一人当たり消費量は従来から年率二%程度減少が続いておりましたが、消費拡大努力にもかかわらず、五十三年度需要量は、現行需給計画千百七十万トンに対し、千百三十万トン台と大幅に落ち込むことが見込まれております。この辺は別表一という二枚目のところをごらんおきいただきたいと思います。また、生産面では、同じく現行需給計画上の千百七十万トンに対し、五十三年産米は、天候に恵まれたこともございまして千二百五十九万トンとなり、さらに五十四年産米は千百九十七万トンになることが見込まれております。  このような状況の中で、今年度から第二次の過剰米処理計画的に進めることといたしておりますが、これにより本年すでに処理された数量を差し引きましても、なお政府古米在庫は五十四年十月末で約六百五十万トンに達することが見込まれております。  このような需給事情のもとで、五十五年度水田利用再編対策進め方について、関係方面意見も聴取しつつ慎重に検討を進めてまいりました。その過程で、五十四年度におけるような自主努力による方式可能性についても真剣に検討いたしましたが、需給ギャップの大きさや今年の転作面積増加に見られる地域間のアンバランス等からいたしまして、この方式では需給均衡を早急に回復するためには不十分と考え、この際、一部に御批判はあろうものの、需給計画改定に踏み切らざるを得ないとの判断に至ったものであります。  次に、需給計画改定案内容につきまして、お手元資料の二ページの別表で御説明いたします。  考え方といたしましては、できる限り五十五年産米の単年度需給均衡を図ることを基本として算定をいたしております。このような考え方に立って、まず転作なかりせばとした場合の潜在生産量につきましては、当初計画では千三百四十万トンとしておりましたが、平年反収の予想以上の向上傾向を織り込みまして千三百六十万トンとしております。総需要量につきましては、当初計画では千百七十万トンとしておりましたが、最近の需要の実勢を踏まえつつ、一方で消費拡大努力の効果をも見込んで千百十五万トンといたしております。要調整数量は、潜在生産量と総需要量の差でありますが、従来の百七十万トンから二百四十五万トンへと七十五万トン拡大するものと見ております。予約限度数量については、当初計画では八百三十万トンとしておりましたが、総需要量の千百十五万トンから農家消費等の三百三十万トンを差し引いた七百八十五万トンといたしております。農家消費等は従来三百四十万トン見ておりましたが、これを十万トンの減と見込み、このため需要減少量五十五万トンのうち四十五万トンだけが予約限度数量の減に結びつくものとしたものであります。  次に、転作等目標面積についてでありますが、ただいま御説明した要調整数量に相応した五十三万五千ヘクタールとすることにいたしております。これは一枚目の表の三に響いてございます。  それから、水田利用再編奨励補助金の単価は五十四年度と同様とする方針であります。また、対策仕組みについては、五十五年度は第一期中でもありまして、原則として五十四年度と同様とする考えであります。なお、運用の細部については、実情に即するよう所要の見直しをしたいと考えております。  最後に、転作条件整備についてであります。転作推進定着化を図るためには、転作条件整備を進めていくことがきわめて重要であります。このため、従来から排水対策を初め生産、流通、営農指導等各般にわたり関連施策充実に努めてきております。厳しい財政下にありますが、転作条件整備に今後とも全力を挙げて取り組んでいく考えであります。  なお、今日の米の過剰をもたらした重要な要因の一つは米の消費減退でありますので、米飯学校給食計画的推進米食普及啓蒙活動強化需要に見合った良質米安定的供給等各般の面にわたり米を中心とした食生活見直し基本とし、今後とも米の消費拡大に格段の努力を傾注する所存であります。  以上をもちまして、私の補足説明とさせていただきます。
  8. 内海英男

    内海委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————
  9. 内海英男

    内海委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津島雄二君。
  10. 津島雄二

    津島委員 大臣が御就任になりまして、早速大変な課題を背負われたと思うのでございますが、従来、三年間の長期需要見通しに基づいて生産者あるいは関係団体等が血のにじむ努力によりまして進めてまいりました水田利用再編対策を、少なくとも計画基本において根本的に見直さなければならないということを当委員会において初めて大臣から正式に言わざるを得ない状況になったわけでございます。まことに残念でもありますし、私ども農政に強い関心を持っている者から見ますと、将来に対して非常に憂慮すべき事態であると思っております。  特に私どもが憂慮にたえないのは、最近の物の考え方、特に総理の数次にわたる所信表明演説におきましても、農村は民族の苗代であるという言葉、この言葉は前の渡辺大臣も当委員会でも言っておられますし、そういう農村、漁村が将来への展望を持って健全に発展していくということは、単に農林漁業振興という観点ばかりでなくて、日本の社会の将来のあり方からいっても、重要な意味を持っているという基本的な考え方があるわけでございます。その基本的な問題に対して、大きな影を投げかけ得る重要な問題であるというふうに私どもは受けとめているわけでございます。  このような観点から、基本的な二、三の点をお伺いいたしたいわけでございますけれども、やはり農村の安定のためには、この水田利用再編計画を、安定した基盤のもとに、長期的なビジョンのもとに、生産者関係者協力して進めるということがいままでの基本的なスタンスだったと思うのでありますけれども、そういう生産者協力の基礎であるところの目標面積は、先ほどの御説明では原則としてと言っておられるのですけれども、私どもは、三年間きちっと計画をお示しになって安心して協力をしてきたというのが事実だと思うのでございます。また、三十九万一千ヘクタールという指標に基づいて協力をしてもらった。これをこのたびいきなり大幅に変更になりまして、単年度均衡をできるだけ図りたいということは、ある意味で言えば、いままで政府が約束をしてこられたことに違反すると言わざるを得ませんし、私ども関係者としても、どのように生産者その他にこの政策の変化を説明したらいいか、苦慮をしておるわけでございます。  その点について、まず大臣から、基本的に、一体これはいままでの考え方変更であるのかどうなのか、御意見を賜りたいと思います。
  11. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 津島さんにお答えをいたします。  基本的な考え方として、農業というものが国の根幹的なものであり、農村国民苗代であるという考え方については、私も全く同意見であります。そういう観点からいたしまして、農業にいそしんでいただける方が一生懸命おつくりをいただいたものがそのまま順調に消費されるような姿というものが一番望ましいことだと私は思っております。  ただ、残念ながら、お米につきましてはだんだん消費が落ちてまいりましたし、また、いろいろ技術の改良なども伴いまして、反収増加をしてきたわけであります。そういうことを踏まえて、五十三年度から、この米の在庫のふえていくものを防ぐために水田利用再編対策、まあ過去にもありましたが、長期的に十年という大きな長いロングランに立ってそういうことをせざるを得なかったということ自体、私は、農民に対しては非常に申しわけないと思っております。にもかかわらず、その中で第一期として三年計画でやった、それがまたここで見通しを変えざるを得ないということに対しては、特に三年という、一つロングランの中ではショートのタームの中で、もうそれは原則としては変えませんよと、こう言ってまいりまして、これはなぜ変えないかということは、その転作営農をやはり安定的にやっていただかなければいけない、こういう観点からそういうことであったと私は思います。だから、これを変えるということに対しては、本当は私は忍びないのでございますが、しかし、現実現実として大変厳しいものが先ほど申し上げるようにあるわけでございまして、この十月末六百五十万トンという大変膨大なお米の在庫を抱えるという現実の姿を迎えてしまった。このまま推移してまいりますと、また需給のバランスが、より多く供給をされて需要がそれについていかない。将来より一層の在庫が万が一ふえていくということになりますと、それこそ食管制度そのものを見直せという声が国民の中から出てくるのではなかろうか。いまの農政の根幹はやはり食管を堅持するということでございますから、そこへ触れられざるを得ないということを考えると、まことに、この際、もういままで御協力をいただいた皆様方、また農民皆様方に申しわけないと思いますけれども、あえてここで、私どもこの改定に踏み切らざるを得ないという気持ちであるということをぜひ御理解をいただきたいわけでございます。
  12. 津島雄二

    津島委員 大臣の御答弁を聞いておりますと、やむにやまれないんだというお気持ちがにじみ出ていることは認めるのでありますが、しかし、いろいろな意味において公約違反的な要素があることもまた事実でございます。  そこでひとつ、厳正な事実、冷厳な事実は認めざるを得ないということは私も否定いたしませんが、その事実を踏まえて進めていく場合に、方法論的に果たして三十九万一千ヘクタールという従来の計画を一挙にここですりかえることがいいのかどうか、伺いたいのでございます。  と申しますのは、もう御承知のとおり、過去二年間にわたりまして、関係者の非常な御努力によりまして、実績目標に対して、五十四年度ではすでに二一%アップということになっておりますので、そのような関係者の御努力をさらに引き出すようなやり方で自主的に進めることもできるんではなかろうか。また、それができれば公約違反というような問題もないであろうし、それから、来年度以降につきましては、先ほどの大臣の御説明でも、長期展望をいま策定中だと言っておられますから、新しい長期展望に基づいたいわば整合性のある計画指標をお出しになれたんではなかろうか。それなしにいきなり転作目標だけいわば公的に権力的に変えていくということについて、私はやはり抵抗を感ずる方が非常に多いと思うのです。自主努力方式でできなかったものかどうか、御所見を賜りたいと思います。
  13. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私ども、先ほど申し上げたような形で、原則として三年間は三十九万一千で、こういうことで出したわけでございます。しかしながら、現実状況が大変変わってきたからといって、政府自身目標改定するのではなくて、なるべくやはり自主的な御努力で御協力をいただく方がいいのではないかということで検討いたしました。ところが、御承知のとおり、五十四年度においては農協を中心とされまして、自主努力目標としては五十三年度実績に対して約一〇%という作付面積の減を、目標面積を上げるということで御努力をいただいたのでございますが、結果は七・九%ぐらいにとどまるのではなかろうかというふうに私ども聞いております。それからまた、その中身を見ますと、各県別、県によって進捗度合いの非常に高いところと必ずしも高くないところとあるわけでございます。その辺のばらつきが見られるわけでございます。  それから、これは事務当局から私が聞いているのでございますが、この間も私、中央対策協議会へ出ましてお話を承りますと、いろいろ御意見がございました。中には、地方自治体の中にも政府でやるよりはなるべく自主的にまかしてくれという御意見もございましたが、いろいろ聞いておりますと、それぞれ道府県におかれましては、担当者は、やはりここまで大きなものになると、今度は五十四年度実績より一三%以上のお願いをしなければならぬ、五十三万五千ヘクタールやっていただくとなりますと一三%以上五十四年度実績よりもまた上回るということでございまして、これをやっていくには大変なんだ、かえって国でもってひとつどろをかぶってくれればやりやすいんだという声もあるやに聞いておるものでございますから、それらを総合すると、もうこの際、本当に申しわけないけれども、私どもが頭を下げて御協力をいただくというより結果仕方がなかろう、こういう結論に立ち至りましてお願いをしたいということでございます。
  14. 津島雄二

    津島委員 どろをかぶるつもりで政府があえて指標を出したとおっしゃるわけでありますが、自主努力でやった場合に正直者がばかをみるという結果が心配されることは、その点はわかるのでございますけれども、しかし、やはりこういう問題は、基本的には生産者あるいは関係者理解協力がなければできないわけであります。大臣がそこでどろをかぶるとおっしゃっても、ちっともそこにはどろは飛んでこないのでありまして。やはり現実のどろはあぜ道で働く人あるいは生産者を説得しなければならない町村長がかぶるのであります。先日も、私の地元におきまして知事が町村長会議を招集いたしましたところ、ほかの議題はみんな吹っ飛んでしまいまして、いま言われておるところの水田利用再編対策目標見直しを非常に町村長心配をしているというのが事実で、まさにそこにどろが来るわけです。そして、もう一つ心配なのは、農業団体におきましても、中央のどろの飛んでこないところの議論では、わかった、協力しようということになるにしても、末端へいけばいくほどこれは厳しいのでありまして、結局末端単協組合長は反対、こういうことになりかねない。そうすると、結局末端地方団体の長かだれかが非常に苦労するわけでございます。  その点で、これを進めていかれる上で、地方団体とか関係団体農業団体との協調関係についてはどのような努力をいままでしてこられ、また将来期待をしておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  15. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 水田利用再編対策、これを進めます場合に、地方公共団体、これの理解協力を得られるかどうか、得られるということがどうしても必要なわけでございます。したがいまして、この五十五年度水田利用再編対策というものをどう進めるかということを農林水産省内部で検討し始めた七月ごろから、全国知事会なりあるいは市長会、町村会、そういうところにわれわれ出向きまして、どういうやり方でやったらいいかということでいろいろ意見交換もやり、あるいはこんな考え方であれしたらどうかというようなことで、日を追うに従ってだんだん煮詰めてまいってきておったわけでございます。もちろん、地方公共団体におきましては、目標面積原則三年間固定という方針によりまして、いままで県にしろ市町村にしろ推進に当たってきたわけでございます。したがいまして、そういう県なり市町村の立場からいたしますと、できることならば自主努力方式としてもらいたいという御意見も一部にございます。ただいま先生からもお話がございましたように、確かにそういう声もあるわけでございます。しかし、米の需給の非常に厳しい現状ということをるる説明もいたしておりますので、目標面積改定の必要性ということにつきましては大方の御理解をいただきつつある、このように理解をいたしておるわけでございます。  それから、農業団体の関係でございますけれども農業団体は五十四年度もみずから主体的に取り組むということでやられたわけでございますので、五十五年度水田利用再編対策につきましても、むしろ主体的積極的に取り組もうという態度でございまして、全中の米対本部というのがございますけれども、八月末にここにおきまして意見集約を行いまして、「五十五年度対策基本は、食管制度堅持のため、単年度需給均衡に取り組むものとし、政府の責任ある目標の明示を求め、その実現のためみずから行政と一体となって取り組む。」という方針を機関決定いたしておるわけでざいます。  ただ、問題は、ただいま先生のお話にございましたように、末端単協に必ずしもその趣旨が徹底しておらぬ向きがあるのではないかという、これも現実にそうあろうかと思います。したがいまして、今後ともそういう全中あるいは農業会議所等につきましても、よく組織の下部への浸透といいますか、そういう面について一層の努力をしてもらいたい、こう思っておりますが、団体としては、基本的に五十五年度水田利用再編対策という推進面において目標改定はやむを得ぬ、行政の「責任ある目標の明示を求め」ということでございますので、これはやむを得ぬというふうにわれわれは理解をいたしておるわけでございます。
  16. 津島雄二

    津島委員 目標改定はやむを得ないということについて、おおむね中央段階では話を煮詰めてきているというお話でありますが、御努力は多とするにしても、問題はこれからでありまして、末端への徹底がまだ十分でないというのは当然なことで、これから都道府県別に、そして市町村別にだんだんと配分をされて、その数字がそれぞれの生産者にとって具体的な意味のある数字になってくればくるほど、それこそだれかがどろをかぶらなければならない事態になってくるわけであります。  そういう配分は、従来の例から申しましても、これは国会で立法府がああしろこうしろと言うべき問題ではないであろう。恐らく私どもとして言える最低限のことというのは、公正にやってほしい、それから、将来の営農意欲を失わないように、それからまた、先ほど申し上げたように、農村漁村環境というものを長期展望のもとに育てられるような考え方の中でやってほしいという柱を立てて、行政の責任においてやっていただく以外にはないと思うのでございますけれども、しかし、行政の方で責任を持たれるとしても、私どもは重大な関心を持たざるを得ないわけでございます。  そこで、いまこの段階で全体として五十三万五千ヘクタールと決まっている数字、中央段階ではやむを得ないというおおむねの考え方ができ上がってきているこの数字について、どのようにこれから配分していかれるのか、何か御方針があれば、この際承っておきたい次第でございます。
  17. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 五十三万五千ヘクタール、この目標をどう都道府県別に配分するのかということでございますが、この配分につきましては、現在慎重に検討作業を取り進めておる段階でございまして、ただいま現在、こういう方針でやりますということまで申し上げる段階に至っていないということでございます。  ただ、この配分の問題につきましては、大分、県なりの方からいろいろ話を伺っておりますけれども、大別すれば、東北なり北陸の米どころからは、大体現在の配分の基本的考え方、これは三十九万一千ヘクタールを配分いたします際に、七項目の配分要素等を使いまして、その上総合勘案して三十九万一千ヘクタールの配分をいたしたわけでございます。地域分担的思想が入っておりますし、いろいろな要素を入れてやったわけでございます。一期三年目であるということから、その三十九万一千ヘクタールというものを割りつけたのだから、それを延ばして五十三万五千に投影すればよろしいではないか、そうすべきであるという意見が東北、北陸の米どころ等からは強く出ております。それから、北海道なりあるいは関東以西の転作率の高い府県等からは、三十九万一千ヘクタールに十四万四千ヘクタール積み増しになるわけでございますが、この積み増し分は、水田面積等に応じまして一律に配分すべきじゃないかという強い意見が出ております。地域地域の個別事情を反映いたしまして、その主張に相当大きな隔たりがありますので、どういう配分方式をとり、具体的にどういう数値にするかということについては、現在非常に苦慮しておるところでございます。  したがいまして、今後とも関係各方面の意見も伺った上で、公平かつ適正な配分をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  18. 津島雄二

    津島委員 公正かつ適正な配分をやっていただかなければならないのは当然でありますが、時間が少なくなってまいりましたので、最後に、この問題を振り返ってみますと、一番残念でならないのは、三年間の基本的な了解の上で関係者生産者協力してもらっているその基本を崩すにもかかわらず、それに対応する前向きの農政展望が見られない。これは時期的な問題も確かにあると思います。予算が絡むわけでありますし、それから長期的展望がまだ完全にでき上がっていないときに新しい方策を示すことはなかなかむずかしいと思いますけれども、しかし、何といっても、転作の方だけあるいは計画の方だけがらっと変えておいて、そして協力しろというのでは、生産者はなかなか協力ができないし、また農政に対する不信もあおる結果になりかねないと思うのです。  そこで、最後の質問の第一点は、日本の食糧市場を守っていく担い手として——私はいまでも忘れないのですが、前大臣が、一億一千万人が三十七万平方キロに住んでいるこの食糧市場は世界一の食糧市場であると当委員会で言われたことを覚えております。世界一の食糧市場の担い手である日本の農業者が営農していけないとすれば、それはどこかに間違いがあるわけでありますから、それをみんなで力を合わせて改めていく努力の一環としなければならない。そこで、将来に希望の持てる農政の展開とさっき大臣が言われたことを、より具体的に速やかに打ち出していただきたいのでございます。  そのような意味で、転作のやり方、それからそれに対する奨励措置、あるいはもっと広く生産者協力をかち取る方法、これは村づくりの計画を含めてですが、こういうものについて再検討をする御方針はないかどうか、これが第一点であります。  もう一点は、先ほどちょっとお触れになりましたけれども、米の需給関係がこんなにアンバランスになってきた場合に、一体食管は守れるのかどうかという議論があります。それに関連してもう一度、食管制度についての御所感を賜りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  19. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いまの二つの質問でございますが、最初の御質問に対しましては、確かに私ども何とか明るい農業を実現するために、ひとつ八〇年代の展望を開きたいという気持ちで、いま農政審議会に八〇年代の農政ビジョンを打ち出すための御審議を願っておるわけでございます。理想的に言えば、それが出てきたところでこういう問題も取り組めばよかったかと思うのでございますが、やはり作付その他のいろいろの御計画農民の方がお進めいただく上において、あるいはいまお話しの予算の面からいっても、どうしてもこの時期にやらざるを得ないということでございます。  そこで、それはそれとして、一体、では明るいビジョンづくりができるのか、こういうことでございますが、やはり私ども農林水産省も、たとえば米がこれだけできてきたら、より米の消費が拡大されるような努力をしていかなければいけないと思います。ただ米が食べられないのだから米をつくったって仕方がないよではいけないわけでございますから、そういう点ももちろんこれから努力していかなければならないと思いますし、あわせて、そうは言うものの、やはり消費者の嗜好というものがある程度変わってきていることは事実でございますから、消費に見合ったような形で農産物その他のものがつくられるような方向に持っていかなければいけないのではなかろうか、そういう点で、転作の奨励を一生懸命しているわけでございます。あるいは将来においては適地適産の問題とか、あるいは経営規模の問題とか、いろいろあると思いますし、また、いまお話しになったように、村づくりということで地域振興農業の再編成というものをうまく結びつけたような何かそういう青写真を私はつくり上げなきゃいけないのじゃないかと思います。そういうことをぜひ来年度、五十五年度になると思いますが、農政審議会においていい方向を打ち出していただきながら、われわれはそれを踏まえて、ひとついま申し上げたような方向で努力していきたいと思っております。  それから二番目の問題は、先ほど申し上げましたように、やはり食管というものは国民皆様方に安定して食糧を供給する、特に主食を供給するという意味において、やはり制度というものを維持していかなければ、これは国民のためにもいけないんじゃなかろうか。幸いいまお米はストックが多いからいろいろ言われておりますが、しかし、いつまでもそうということではございませんので、やはり日本の国民の食糧、特に主食を確保するという意味において、食管の制度というものは堅持をしていきたい、これは私ども変わっておりません。  ただ、その中で、たとえば前大臣のよく言われたような、どうも御中元や御歳暮にもお米を、せっかく米がこれだけあるならそういうものを使おうと思うと、それは食管法違反であるというようなことはおかしいじゃないかという議論は、これは私もよくわかりますので、そういう点を踏まえて、一体食管制度の仕組みというもの、根幹はこれはもう維持をしなければならないけれども、非常に現実的に違ってきておる点はどうするかという点についてはいま検討を進めておる次第でございます。もう少しお時間をいただきたいと思うわけでございます。
  20. 内海英男

    内海委員長 芳賀貢君。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員 農林大臣にお尋ねしますが、昨日の衆議院本会議において大平内閣総理大臣が組閣後初めての所信表明演説を行ったわけでございますが、時間は十八分程度と言われましたが、総理大臣所信表明演説の中において一言半句も農業食糧問題について言及しておらない、全くこれは前例のない異例なことでございまして、われわれとしてはまことに奇異の感に打たれたわけでございます。これは恐らく、大平総理大臣農業食糧、いわゆる農政問題に対して全く無関心である、無責任であるということに尽きると思うわけです。これに対して、閣僚である農政担当の武藤農林水産大臣として、昨日の総理の所信表明演説を聞かれて、この点に対してどのような感じを持たれたか、率直にお尋ねしたいわけです。
  22. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 確かに、いままでの施政方針演説あるいは所信表明演説の中においては農業問題を取り上げておられるのに、どうして今度は取り上げていないのかということについては、私も遺憾に存じますが、ただ、いま内閣の閣僚の一人として申し上げますと、今度の所信表明に当たりましては、極力具体的なそういう政策については通常国会における施政方針演説の中でうたいたい、こういうことでございまして、そこにおいて十分所信を表明をし、それにいろいろとまた御議論をいただく、こういう形であるということでございまして、そういうことで私も、やむを得ないことと、こう判断をした次第でございます。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 元来、総理大臣の本会議における施政方針演説あるいは所信表明演説なるものは、演説の前に必ず閣議においてその演説の草稿というものを閣僚が検討して、不備な点や欠けた点については、担当大臣から、この点が落ちているじゃないか、これは入れるべきであるとか、そういうような検討を経て、できるだけ完全なものにして、国会を通じて国民の前に所信を披瀝するということになっておるわけですからして、演説の内容に対する評価はまちまちでありますが、農林水産大臣としてやむを得ないというようなことでは、これから大平内閣の農政担当大臣として私はいささか先が案ぜられるわけでございます。  しかも、本日、三年間固定すると言って約束をして、あるいは農林省の省議決定あるいはまたその後の閣議了解等の経緯をもってこれが三年間実施に当たっておるわけです。その約束すら守らないで、三年目に大幅な減反目標を追加しなければならぬ。この一事を挙げても、内閣総理大臣としてこの問題に対して、やはりきのういろいろ謝っておりましたが、全国の生産農民に対しましても、政府の不明を謝して一言述べるのが私は当然だと思うのです。これは武藤さんとして、率直に本委員会において考えを明らかにしておいてもらいたい。
  24. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私が最初のごあいさつで申し上げましたように、この三年間は固定をするということを変更せざるを得ないことに対しては、まことに、私ども政府見通しの誤ったことでございまして、これについては率直に遺憾の意を表明させていただいた次第でございまして、こういうことの二度と起きないようにわれわれ今後努力をさせていただきたい、こう考えておるわけでございます。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 これは次の閣議で、総理が中国へ出発する前に、農林水産委員会において正式な発言があったということを伝えておいてもらいたい。これは次の予算委員会で必ずこの問題は取り上げられますから、言われて謝る前に反省して、これは不明であったと言うのが当然じゃないですか。  そこで、米の生産調整問題に入りますが、先ほど大臣及び二瓶局長からも説明がありましたが、これは三年間固定するという約束は、あくまでもいかなる事態になっても政府の責任でこれは実行するという姿勢でなければいかないと思うのですよ。そうでなければ、省議決定とか、決定後に時の鈴木善幸農林大臣の談話、あるいはまた翌年一月二十日の閣議了解、これだけ三年固定するということを政府としても行政的にも固めて、その上に、実施に当たっては、善良な生産農民に対して、目的達成のためにペナルティーを付して、達成しない場合には未達成分については翌年の転作面積にこれを加算する。もう一つは、その分だけ翌年の政府売り渡し限度数量を減額するという。制裁でないと言ってもいやでも追い込まれるこういうようなやり方で進めてきたわけですからして、やはり政府の責任ということになれば、たとえば米が過剰傾向であるとか、この処理に大変であるということは、それはわれわれとしても実態はわかりますが、それだけを理由にして三年目に大幅にまた減反目標というものを改定するということに対しては、これから将来にわたって、やはり食糧問題とか生産調整問題について、何と言っても生産者である全国の米作農家の全面的な同意を得て、協力を得なければ、これは実行ができないと思うのです。ですから、これに対して、政府見通しの甘さ、あるいは行政努力の不足、あるいは生産農民に責任を転嫁するというような行政姿勢というものは根本的に改める必要があると思いますが、どうですか。
  26. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 御指摘の点はよく私理解させていただけるわけでございます。正直、われわれの見通しが誤ったということに対しては率直におわびを申し上げておりますが、それ以上に消費の拡大というような点についてもっと努力すべき点があったのではないかという点を私も思います。しかし、過去は過去といたしまして、今後そういう点においてはできるだけ努力をしていきたいと思いますし、また、いまの食管のたてまえから申しまして、先ほども申し上げましたように、どうしても食管の堅持をしていかなければならないということは当然でございますが、その中で米の在庫がどんどんふえていくということになりますと、その辺になかなか議論が出てくるわけでございますので、どうか食管の堅持をしなければならないという立場において、それは結果的には農民にも御理解をいただけるのじゃなかろうか、こう思っておるわけでございまして、農民の御理解がなければこの仕事はできないわけでございますから、十分その辺を私どもは、今後とも農民の御理解をいただけるよう、より努力をしながらこの仕事をさせていただきたいと考えておるわけでございます。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、五十三年、五十四年の両年にわたって米作農家の自主転作の成果というものに対して、どういう評価をしていますか。  まず、五十三年度の場合には、これは三年間、転作固定面積としては三十九万一千ヘクタールでございますが、これに対して五十三年度の達成は四十三万七千五百ヘクタール、達成率一一二%で四万六千五百ヘクタールの超過達成をしておるわけですね。ことし五十四年度の場合には、達成面積が四十七万二千ヘクタールでありますから、超過分というのが八万一千ヘクタールということになっておるわけです。だから、達成率は一二一%。この固定目標を超過した分というのは、あくまでも生産者の自主的な努力の結果でありまして、決してペナルティー等の脅威のもとにこれを行ったわけじゃないのですね。  こうした生産者の自主的な努力協力に対して、一体、政府当局としてはどういう評価をしているのですか。七万円やっているからあたりまえじゃないかということで涼しい顔をしているのか、罰則なしでよくやってくれたと言って心から感謝しておるのか、その点はどうなんですか。
  28. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 これは私ども、本当に、そういう自主的な御努力をいただいたことに対しては、大変感謝を申し上げております。
  29. 芳賀貢

    芳賀委員 これは生産者においても、もちろん、みずからの力で食管制度というものの空洞化を防いで堅持しなければならぬというような意欲も働いていることは事実です。  そこで、お尋ねしますが、来年度五十五年度、いわゆる三年目の目標改定というものについては、あくまでも五十五年度限りの手直し措置、手直し作業というふうに解釈してよろしいですか。
  30. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 これはあくまで五十五年度限りのものとお考えいただいて構いません。
  31. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣、これは手直しと解釈していいですね。
  32. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、私ども五十五年度までは三年間の一つの期間として考えておったわけでございまして、それが、在庫量が私どもの見込み違いで大変ふえたがためにやむを得ずお願いをするという措置でございまして、そういう緊急的な措置とお考えをいただきたいと思います。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、五十五年度単年限りの手直しによる目標面積の上乗せということになれば、その面積は固定目標に対して十四万四千ヘクタールの上乗せということになりますが、この分については、そういたしますと、生産者協力目標あるいは努力目標としてこれをぜひ達成してもらうようにしたいという考えですか。
  34. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 三十九万一千ヘクタールに対しまして十四万四千ヘクタール上積みになるわけでございます。結果的には五十三万五千ヘクタールということになりますが、この五十三万五千ヘクタールを県別に割るということになりますが、結局このベースが正規の割り当てであるというふうに考えております。
  35. 芳賀貢

    芳賀委員 それは局長、大臣の答弁と違うのじゃないですか。大臣は正直ですからね。十四万四千ヘクタール固定目標に上乗せする分については、これはあくまでも固定目標改定するというわけじゃない、単年度限りの手直し措置として十四万四千ヘクタールというものを今年限り上乗せをするということを言っているのですよ。そうでなければおかしいですよ。固定目標改定ということになれば、五十三年にさかのぼって、そこで手直しをしなければならぬ、改定しなければならぬということになるでしょう。もうそんなことできないじゃないか。ことしも去年も収穫が終わっておるのに、二年さかのぼって固定目標面積を根本的に改定するなんということはできないでしょう。できないし、そういうことをやる気になれば一年限りの手直し措置ということにはならぬじゃないですか。大臣の方がはっきり答弁しているのを、何もあなたひょこひょこ出てくる必要はないのじゃないですか。大臣の答弁で委員の皆さんもはっきりしているのですよ。  そこで、これは基本目標改定ではないわけだから、そうなれば大変なことでありますが、十四万四千ヘクタールの上乗せ面積というものはあくまで生産者の全面的な理解協力でぜひ達成しなければならぬ。われわれとしても、できるものならこれが達成さるべきであるというようにも考えるわけでありますが、しかし、この分は去年とことしと同じようないわゆる自主転作と共通の意味を持つわけでありますから、それに目標というものを数字で都道府県に与える点ははっきりしていますが、そうなると、この分には、県別割り当てをしてもペナルティー対象にはならぬということははっきりしているでしょう。そうするのが当然でしょう。これは大臣としてどう考えているのですか。——いや、大臣が答弁できないときだけあなたは出てもいいのだ。
  36. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 ペナルティーとは考えておりませんが、やはりそれだけのことをお願いをする以上、片っ方で適当にやって片っ方は一生懸命御協力をいただいた、そういう意味において正直者がばかをみるようなことはしないようにしなければいけない、こう考えておるわけでございます。
  37. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ちょっと補足的にお答えを申し上げます。  一つは、今回の目標改定、これは五十五年度限りの手直し措置であるということを大臣申し上げたわけですが、要するに、第一期の水田利用再編対策につきましては、米の需給計画からいたしまして転作等目標面積三十九万一千ヘクタールというようなものがございます。そのほか奨励金の水準をどうするとか、いろいろな仕組みがあります。一期三年目ということで考えておりますので、そういう基本的な仕組みというものは変わらない。ただ、最近の需給ギャップが異常に厳しくなっておりますので、原則固定という面がありますものの、この際は米の需給計画も変えて転作等目標面積改定する、こういうことでその面について手直しということであるというふうに理解をいたしておるわけでございます。  その際に、この三十九万一千ヘクタールに対しまして十四万四千ヘクタール上積みになるわけでございますけれども、県の方に目標面積ということで示しますのは、三十九万一千ヘクタールと十四万四千ヘクタール、これを足しました五十三万五千ヘクタールをベースにしたものが一体として目標の面積である、正規の面積である、こういうことで配分が行われるものというふうに考えておるわけでございます。(芳賀委員「簡潔に答弁してください」と呼ぶ)  なお、公平確保措置の問題につきましてのお尋ねがございましたが、ただいま申し上げましたように、五十三万五千ヘクタール・ベースのものが正規の目標であるということからいたしますと、当然、公平確保措置はこの五十三万五千ヘクタール・ベースで適用すべきであるというのが筋であろうかと思います。しかしながら、公共団体等の中には、目標増加分については公平確保措置を適用しない方がむしろ転作の実行等も確保しやすいということで、むしろ外した方がいい、こういう声がございます。  したがいまして、この公平確保措置の適用を三十九万一千ヘクタール・ベースにするのか、上積みした五十三万五千ヘクタール・ベースにするのか、五十三万五千ヘクタールが正規の目標ということでは変わりないわけでございますけれども、ただ、この公平確保措置の適用するベースをどうするかということについては、慎重に検討して近々中に結論を出したいというふうに考えております。
  38. 芳賀貢

    芳賀委員 委員長に申しますが、二瓶局長の答弁が長過ぎる。一回の答弁が十分かかれば、六回答弁に立てばそれで一時間使ってしまうでしょう。一定の時間帯の中でお互いに質疑をやっているわけですから、もうすでにわかっていることは——われわれはわからぬで聞いているのではないですよ。問題点を指摘して、それに対して政府としてはどう対処するとか、どうやっているのだということを聞くので、学校の生徒が先生にわからぬところを質問しますなんというのと違うから、間違わぬでもらいたい。  上乗せ分をペナルティーの対象にしないということはいろいろな理由があるのですよ、このペナルティー措置は翌年度にしか発動できないわけですからね。そうでしょう。来年の転作面積に対して、ことしの未達成分があればそれを上乗せして転作面積をふやすというのが制裁措置なんだから、ことしでこれは曲がりなりにも三年第一期は終わるわけでしょう。上乗せ分はことし限りでしょう。第二期計画はどうなるかわからぬのに、関係のない来年に、この上乗せ分まで達成しなければこれはペナルティー対象にするなんということは、常識で考えてもそんなことにはならないですよ。いままでこれは発動する機会がなかったでしょう、大阪府に対しては若干生じたわけですがね。毎年毎年自主転作目標を超過して達成しておるわけだから、ペナルティーをかける気になったってかけようがないから、今度はその上乗せということでペナルティーと同じようなものを加算するわけですからね。これは、大臣の責任においてここではっきりしてもらいたいのですよ。十四万四千ヘクタールについては、後日、都道府県に配分はするが、これは固定した基本目標とは違うので、この分については万一未達成が生じた場合においてもペナルティーの対象にはしない、あくまでも自主的な努力によって全面的な達成を期する、こういう考えであれば、この際、委員会において明確にしておいてもらいたいと思うのです。
  39. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いま御指摘のように、過去においては、大阪の場合だけでございまして、幸いそういうことがなかったわけでございますが、今回はしかし、大変面積が大きくなるだけに、事務当局も非常に心配をいたしておるわけでございます。しかし、きょうはいろいろと御意見を拝聴いたしまして、まだその辺、結論は全く出していないわけでございますから、できるだけ意見を参考とさせていただいて決めさせていただきたい、こう思います。
  40. 芳賀貢

    芳賀委員 この段階で、大事な点が結論が出ないというのは、決定は相当延びるのですね。十二月いっぱいにやれますか。いや、こういう点は転作の奨励補助金を据え置きにするとかなにか、その据え置きとか改善というのと同時に、これに対してはペナルティーの対象にしませんならしませんということをその転作条件の中ではっきりしてかかるべきだと思うのですよ。官房長でも何でもいいですよ、これはもう絶対対象にしないと言い切れる者があればだれでもいいわけですから。
  41. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、県別割り当てをお願いするのはそう遠い将来ではございませんので、それまでにはきちんとしなければならないと思います。(「それまでとはいつになる」と呼ぶ者あり)もう近々のうちに、これは先ほどから申し上げますように、農業者のためを思っても至急に決めざるを得ないわけでございますから、そういう意味において、そのときまでにはきちんとさせていただきます。
  42. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、結論が出た段階でそれをもう一度委員会に何らかの形で報告しますか。限られておると決まれば別に報告は要らぬですけれども、やるということになれば、きょうの連続で、やはり委員会を通じてやりますならやりますということで、対決姿勢を明らかにしてもらわなければならない。どうしますか。
  43. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、農家の皆さんのことを考えますと、本当に近々のうちに決めざるを得ないわけでございますので、また委員会をお開きいただくという時間的な余裕があるのかどうか、私は、その辺のところは十分御意見を参考としてやらしていただきたい、こう思っております。
  44. 芳賀貢

    芳賀委員 では、この問題は一応保留しておきます。  次にお尋ねしたいのは、五十五年の都道府県別転作目標面積生産調整数量の算出と配分の方法についてお尋ねしたいと思います。  そこで、問題点としては、第一期の三年間の固定目標の算出は、これは何といっても傾斜配分方式で決定したことに間違いないですね。さかのぼれば、昭和四十六年から五十年までの五カ年計画と、それから五十一年から五十三年までの三年計画というのは、二年でもうできなくなって打ち切って、そして五十三、五十四、五十五年、第一期三年と言ったのは二年で手を上げてしまったということになっていますが、今回の三十九万一千ヘクタールを決めた算出の根拠は、何年前に、過去においてこれだけの転作あるいは休耕の実績があるではないか、これを基礎にして、地方においてこれは実施したことがあるのだからやれないはずはないということを基礎にして、それに理由をつけるため、地域分担がどうであるとか、七項目にわたるいろんな点数をつけて、その結果こうなりましたということにしてありますけれども、これはやはりいわゆる傾斜配分、実績加算という方式でやっておるわけですからして、いまになってみれば、それは極端に都道府県の間においても均衡を欠いておるわけです。ここに問題があるわけですね。  たとえば、端的な例といたしまして、北海道の場合には傾斜配分であることは間違いありませんが、もう一つは、北海道の米退治等を目的にして、北海道の米を退治すればあとはもう安心してつくれる、こういう意図も動いて、とにかく北海道の水田総面積の三五%に及ぶ八万八千八百二十ヘクタールを第一期の転作目標としてこれを示して、これは五十三年も五十四年も完全に実施して、ことしは達成率一〇五%ということになっておるわけです。  しかし、この上にまた大幅に転作を加算するということになれば、転作率が今度は四〇%とか五〇%ということになるわけですから、北海道の生産農家としても、農家だけではなくてあるいは北海道庁にしても、あるいは軟弱だと言われる農協団体にしても、あるいは農民組織にしても、あるいは議会関係にしても、もうこれ以上の大幅な減反の不当な押しつけというものは絶対に応ずることはできない。これは感情的に応じないとかなんとかいうものではないですよ。この農業経営の基本の上に立った場合に、特に水田専業農家等は、北海道は平均三五%ですから、これより低いところもあるし、またもうすでに五〇%を超えるところもあるわけです。この上にまた追加追加ということになれば、もう完全に北海道の専業農業というものは農業形態の破壊ということにこれはなるわけです。こういう点は、やはり今度の目標を設定する場合に十分に認識を深めておいてもらいたいと思うのです。  したがって、この際、日本の農業基地と言われる北海道農業の位置づけというものを農林水産省としてはどういうふうに考えておるのですか。もう確固たる位置づけがあれば、ここで端的に示してもらいたいわけです。
  45. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 北海道においては、いろいろの食糧について供給源としては非常に大きな地方でございまして、その役割りに対して私どもは高く評価をしておるわけでございます。今後とも農業生産の再編成の重要な一翼を担ってもらうとして、その恵まれた土地資源などを利用していただいて、生産性の高い農業を展開していただけるものと期待をいたしておるわけであります。
  46. 芳賀貢

    芳賀委員 さらに、現在の転作固定目標のもう一つの欠点というのは、全国平均にすれば一三・四%の三十九万一千ヘクタールでございますが、これを基準にして、上限、下限の幅というものを合理的に設定して、その上限、下限の幅の中において地域の特性とか諸般の事情というものを勘案して、その中にちゃんと整合性のあるようにしておさめて、そしてその結果が三十九万一千ヘクタールになったとか一三・四%となったということであればいいわけですが、それが全然行われていないのです。ですから、北海道の場合には三五%の転作率、それから北海道と内地府県を対照しますと、北海道を除いた内地都府県の場合には転作率が一一・三%ですからね。全国最低ということになれば、特定の県は申し上げませんが、転作率最低の県は六%ということになっておるわけです。三五%と六%というようなこういう驚異的な幅というものは、緊急避難的に二年とか三年たてばというような場合と違って、十年計画とかその先もまだわからぬということになれば、こういうものを基礎にしてその政策を進めるということは絶対不可能だと思うのですね。  北海道においてもやはり内地府県と同じように水田経営一ヘクタールというような兼業農家もこれは当然たくさんあるわけですね。内地都府県にも一ヘクタール程度の水田農家もある。そうすると、いずれも一ヘクタール経営ということになれば、北海道の場合には三分の一の三十五アール、つまり三反五畝もう転作をしておるわけです。内地府県平均の場合には、一ヘクタールの九分の一の十一アールですから、一反一畝ですね。約一割ちょっと。最低の県の場合には、これは一ヘクタールに対する十六分の一ですから、わずかに六アールですね。六畝でいい。何でもかんでも北海道は三町とか四町とか五町の水田ばかりあるなんということを考えたら大間違いです。零細農家もたくさんいるわけだから。ただ、問題は、全国的に見て専業の農家が全国で一番多い。全国ではもう大体一二%ぐらいしか専業農家というのはない、第二種兼業がもう七〇%ですからね。これからの農政課題としては、もう一二%、一三%になった専業の自立農家というものをどうやって確保して、これを近代農業発展の担い手にするかということが大きな問題だと思うのですけれども、そういう点が、つまり目標を設定する場合に上限、下限の大事な幅というものを設定しなかったところにやはり欠点もあるということは、十分反省しておく必要があると思うのです。  そこで、具体的な問題に入りますが、したがって、今度の転作目標改定作業というものについては、まず第一に、現在までの固定目標の、全国的には三十九万一千ヘクタール、これを基礎にして、これに上乗せ分として十四万四千ヘクタールを合算する、それが五十五年度目標である五十三万五千ヘクタールということに当然算出上そうなるわけですね。こういう順序で計算をしておる。転作率の何倍なんというのは計算にはならぬですからね。現在つくっておる水田あるいは全国の水田面積に対して、これからさらに十四万四千ヘクタール転作をしてもらわなければならぬということになれば、あくまでも水田面積というものが基礎になって、これをふやすか減らすということの算出方法しかないわけです。これを具体的に言えば、十四万四千ヘクタールというのは、全国の水田本地面積に対して四・九%ですね。約五%のこれは転作率に匹敵するのです。そうなれば、この四・九%というものを使って、まず都道府県別の固定目標面積、当然これは都道府県別目標転作率が伴うわけでありますが、いままで固定しておる各都道府県別の固定目標面積を基礎にして、新たに都道府県別の水田の同じ基礎である本地面積に対してそれぞれ四・九%の転作率を乗じて得た面積というのが、全国的には十四万四千ヘクタールということになるわけですから、これを都道府県別に加算をして、その答えというのがつまり昭和五十五年度の全国都道府県別転作目標面積ということに当然なるわけですね。均衡のとれた、だれが見ても十四万ヘクタール転作を進める場合にはこの方法でいくよりしようがない。賛成、反対とかいろいろあったとしても、全体からながめた場合においては、やはりこういう方法というものよりさらにいい方法はそうないと思うのですよ。それは北海道は据え置きでいいですよと言えばなおいいですけれども、まさかそんな気持ちはないでしょう。  こういうような算出の方法等について、農林省としては現段階においてどこまで方法とか作業が進んでおるのですか。きちっとした答えをしてくださいよ。
  47. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 配分の関係につきましては、現在作業を取り進めております。まだ結論は出ておりません。その際に、先ほども申し上げましたように、北海道なりあるいは関東以西の転作率の高い、そういう県からは、ただいまお話のございましたような水田本地、面積割りなりということで要するに水田面積に応じて割り当てるべきであるという御主張が強く出ております。他面、また、北陸なり東北の米どころでは、三十九万一千ヘクタールを割りつけた原理原則があるのだから、それを五十三万五千に投影するのが一期三年目であるということからして当然至極の話である、こういう話もございまして、その間をどうするか、率直に申しまして非常に苦慮しておるというのが現状でございます。
  48. 芳賀貢

    芳賀委員 大事な点がどれもこれも結論出ないですね。二瓶さん、まさか、いま言った私の本地面積に対する四・九%の転作率でさらに転作を上乗せする、それに対して現在やっておる転作率ですね、たとえば北海道三五%の、これに一〇%とか二〇%足してやれなんということは——これはやれるところはありますよ、現在一〇%ぐらいのところを二倍にしろといったって二〇%で済むわけですからね。そういうやり方はもうできないところがあるでしょう。三五%のところを四五とか五〇%にして、それであたりまえなんということにはならぬですからね。ですから、農林当局として、目的に従ってちゃんと合理的、科学的にやる。私の言った方法でやったって、最高、最低の格差は全然縮まらないのですよ。二瓶さんの言う方法だとまだまだ格差が開くのですからね。そこを大臣の公平な判断で、最後はあなたは決断しなければならぬですよ。二瓶君が決めたとおりにするよなんてわけには、これはいかぬですからね。それと、両論を足して二で割るなんていうことは絶対しないでくださいよ、こんなものは近代社会で通用しないわけだから。重々、大臣、この点は後でわかる問題ですからね。いや本当ですよ。きょうだけ逃れればいいというわけではないので、決定して都道府県知事に封筒に入れて預けるときに中身を見ればどうやったということがわかるわけですから、きちっとした方法でやる。これがまた来年以降の、たとえば昭和六十五年を目指しての長期計画とか、それとの関連の第二期の長期生産調整計画なんというものが新しく生まれてくると思いますので、この点は心配ないですか。
  49. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほど局長が申しましたように、芳賀先生は北海道にいらっしゃいますので、北海道の立場をよく御理解をいただいて、きょうはお話をいただいていることは私も承知をいたしますが、逆に言いますと、やはり非常にいま消費者に喜ばれて食べられているお米をより多くつくっておられる地方からは、いまのものをそのまま配分方式でやっていけという声も相当強いわけでございまして、私も大変苦慮をいたしておるわけでございます。御意見は御意見として拝聴さしていただきますが、なかなか芳賀先生の御希望どおりにいくということは非常にむずかしいことではなかろうかと私は思っております。
  50. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣、私は北海道出身だからそう言っているんじゃないですよ。たとえば岐阜県出身であっても、宮城県出身の議員であっても、また社会党政権になって農林大臣をやっておっても、いま言ったようなことは変えないですからね。むしろいままでの間違いを直すぐらいの勇気はありますけれども、日和見主義や八方美人でどうやって決めていいかわからぬなんということでは、結局農業の衰退につながるわけですから、そこはやはり勇断をもってやるときはやる、そういう点はやはり素人大臣がやりやすいと思うのですよ。なまはんかなことをしていると、自己流でやるものだから取り返しのつかぬことになるけれども、ぜひこの点は真剣に対処してもらいたいと思います。  もうあと時間の関係で問題点を列挙しますから、これに対して適切な答弁を願います。  第一は、五十二年十一月十九日、つまりこの転作の要綱を省議で決定した後で、時の鈴木善幸農林大臣の談話の中に、公務員、これは当然地方公務員も含むわけでありますが、公務員諸君の保有田に対して転作については率先実行するように努力してもらいたいと、これはわざわざ大臣談話の中で、後段に公務員に対する転作の率先実行というものがうたってあるわけです。それからもう一つは、市街化区域内の転作については全面的に転作を進める、傾斜配分というような方式で、重点的に市街化区域の転作は全面的に進める。公務員も水田を少し持っていれば第二種兼業農家の分類に入るというような説もありますが、この点が二年間においてどうなっているかという点ですね。  それから、いま「昭和六十五年農産物の需要生産の長期見通し」の農林水産省における第一次試算がようやくまとまったわけでございますが、これが固まるまでには相当の日時がかかると思いますが、この第一次試算によりますと、昭和六十五年度には、米の生産調整についてはおおよそ八十万ヘクタール生産調整をしなければならぬ、これは大変な見通しになっておるわけですね。毎年三万ヘクタール程度水田面積が壊廃していますから、その時期の八十万町歩ということになれば、これは約三〇%以上水田を全面的に転作しなければならぬということになるのですね。こういう安易な、確たる根拠のない、消費減退するとか過剰傾向が続くという主観的な後ろ向きの判断だけで前途に絶望的な展望を与えるということは、これはやはり全国の農民を絶望させる前途の暗い長期見通しということになると思いますので、まだ試算の段階ですが、こういう点についても、農業ビジョンというものを明らかにして、この峠を越えればやはり明るい展望が開けるのだという希望がなければ、われわれの時代はいいとしても、次の後継者とかいま壮青年の農業担当者が全く絶望してしまう。農業破壊や農業者を絶望させるような、そういう目的で長期見通しというものを策定するものではないと思いますから、この点についても大臣考えを明らかにしてもらいたいと思います。  それから次に、消費拡大対策でございますが、特に重大なのは、五十三年一月二十日の転作についての閣議了解の中で、特に米の消費拡大について、政府としては一段と実効が上がるように努力するということをわざわざうたっておるわけでございますが、しかし、われわれの見るところでは、本年度五十四年は、昨年度に比べて特に見るべき実績が上がっておらぬじゃないかというふうに考えるわけでございます。これがどうなっておるか。  それから、先般谷垣專一君が文部大臣に就任されまして、教育勅語がいいなんていうのはちょっと時代おくれに思いますが、その中で、学校給食に対しては、当然民族性の上に立って米飯給食を通年的にこれはやるべきである、いままでこれを十分にやらなかったのは大きな政治の間違いであるということを彼は言いまして、農林省出身だからそういうことを言うのは彼にすればあたりまえですけれども、しかし、それに武藤農林水産大臣も感激、共鳴して、大いに意を強くしてやりますということになったということが新聞にも伝えられておるので、これはぜひ、感激にむせぶだけではなくて、来年度予算等を通じて全面的にやって実績を残してもらいたいと思います。  それからもう一つは、ことしから五年間でいわゆる古米の特別処理、法律をつくりまして五年で四百八十万トンでありますが、初年度は六十万トンと、海外に対する輸出が援助の意味も含めてもう六十万トンを超しているというので、非常に成果が上がっているが、何も五年間かけて四百八十万トン処分しなければならぬというものではないですから、向けられるところがあれば、損益というものはそう考えないで、迅速に人間の食糧として供用できるように、これは十分な努力をする必要があると思うわけでございます。  次に、現在の食管制度の運用について、空洞化しているわけでありまして、幾多の欠陥も表面に出ておるわけでございますが、今後の運用の改善等に対して、松本食糧庁長官として具体的な御意見があれば、この際述べてもらいたいと思います。  その中に、一つは、米過剰に対応して、米が余るのであれば、海外からの外麦の輸入数量計画的に規制して、米麦一体の日本の古来からの主食としてこれを消費すべきでないか。しかし、外麦の輸入量というものは全然減っていませんから、外麦というのは食管の対象になっておるし、輸入は国家管理貿易でありますから、やる気になればこれはできるわけですね。こういう点について、米消費の促進とあわせてどういうふうにやるつもりであるか。  それからもう一つは、従来から言いますと、消費者米価並びに国産と外麦の政府手持ちの麦の売り渡し価格の改定を毎年やっておるわけでございますが、今年の場合には、今年中に消費者米価並びにその麦の政府売り渡し価格の価格改定等についてはどういう方針を持っておるかという点と、それからもう一つは、従来指摘しておるわけですが、国産麦の政府売り渡し価格というのは非常に安過ぎるわけですね。ことしの五十四年産の政府買い入れ価格は六十キロ九千九百二十三円ですが、政府売り渡し価格は六十キロで三千二百四十八円ですから、当然売買逆ざやというのが一俵六十キロで六千六百七十五円生じておるわけですね。これは米どころじゃないのですね。外麦の差益で補てんすると言えばそれまででありますが、国内で生産された麦の価格、評価、この売り渡し価格というのはどうあるべきかということは、やはり十分に検討する時期に来ているのではないかと思うわけであります。  以上、時間が参りましたので、数点申しましたが、これに対して、それぞれ適切な答弁を願います。
  51. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私からお答えをするものは、まず第一は、公務員のいわゆる兼業農家、兼業農家がほとんどでございますが、これの転作に対する協力の仕方、政府で特に調査をしたわけではございませんが、各都道府県からいろいろ承っておるところでは、二年間非常に協力をしてくれたようでございます。今後においてももちろん、国として農民にこういうお願いをする以上、公務員の方が率先してやっていただけるように、強く協力を願いたいと思っております。場合によれば私の談話も考えております。  それから、将来の農政ビジョンでございますが、これは先ほどもちょっと触れましたが、私は、こういう後ろ向きというか、本当にせっかく意欲を燃やしてやっていただいている農家に、しんぼうしろと言うことはまことにつらいわけでございまして、できるだけ早く希望を持って生産にいそしんでいただけるような農業を展開していかなければいけない。ただ、そのためにはやはり需給というものを当然考えていかなければならぬわけでございますので、ある程度消費者の好むものが何であるかということを考える。あわせて同時に、農林水産省といたしましては、消費者にたとえば米なら米の消費のより拡大を願うようにその啓蒙ももちろんやっていかなければならないと思います。そういうようなことをやりながら、それぞれの消費者に供給できるものをできるだけよりつくっていただくという意味においては、ある程度適地適産の考え方をもっていかなければならないと思いますし、あるいは経営規模の拡大というものも考えていかなければならないだろうと思います。それらをいろいろと踏まえて、先ほどもちょっと触れましたが、農政審議会にお示しをした農林水産省の長期の供給見通し、いわゆる自給率の見通しにつきましても、私は、せっかく転作お願いするものについてはあの中間見通しよりもより高い自給率が達成できないんであろうか、より多くの自給率を確保していただくことができないんであろうか、こういうことをいま事務当局検討していただくことにしております。  米の消費拡大につきましては、先ほどたまたま学校給食の話が出まして、何も私は感激をしただけではございませんので、早速文部大臣と相談をいたしまして、できるだけ文部省と農林水産省との間において事務的に詰めさせていただいて、現在は五十六年度目標にやっておりますが、五十六年度目標と言いながら、もう少しそれを早く達成できないかとか、あるいは週二日というものは、何もそれにこだわるわけではないので、それを高められないのか、いろいろのことを検討いたしておりますが、文部大臣との話においては、とにかく余り物を回すというようなことでは困ると言うから、何も余り物ではないんだ、やはり国民の体位の向上からいっても米を子供の時代からより多く食べてもらうということがいいんじゃないかということで、こちらは話をいたしておるわけでございまして、そんなような方向で学校給食考えておりますし、あるいはあわせて、これは実は私の商売でございますが、日本酒のアル添をもっと低めていくということも当然米の消費拡大につながるわけでございますから、これも今後強力に進めていきたいと思っております。  それから、古米処理については、輸出はたしか最初の予定は二十万トンでございましたが、幸い相当大幅に上回る予定でございます。まだ数字は最終的に公表できるところまでいっておりませんけれども、相当期待ができるのではないかと思っております。それ以外においても古米処理についてはできるだけ早急に進めてまいりたいと思います。  それから麦価、米価の消費者価格の問題でございますけれども、これはいまお話のございましたように、特に麦価につきましては非常に逆ざやが米と比べて多いわけでございますし、最近国外におけるいわゆる国際価格も上昇してきておりますので、これらを踏まえて、特にいま日本の米が余剰で、麦は外国からたくさん買っておるというような状況からいけば、やはり米の価格と比例して、より高い麦の価格というものをつくっていきたいというのが農林水産省としては当然の考え方だと思います。ただ、これは物価の問題その他、他の省と相談せざるを得ない場合もございますけれども、少なくとも農林水産省としてはそういう考え方で強く推進していきたいと考えておるわけでございます。  あとの問題は事務当局から御説明をさしていただきます。
  52. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 第二点の市街化区域の転作実績がどうなっておるかという点でございますが、市街化区域につきまして約一割の傾斜配分をやっておるわけでございます。これについて五十三年度実績調査いたしましたところ、二万四千ヘクタールということでございます。そういたしますと、市街化区域の水稲作付面積の一七・六%に相当することになります。全国平均の転作率、この場合も水稲作付面積に対する転作実施面積の割合ということで見たわけですが、これが一四・六%でございますので、それよりは上回っておるというのが実績でございます。今後ともさらにこの推進をするようにしたいと思っております。
  53. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 ただいま大臣からお答えいたしましたほかに、食管の運営改善についてどのように考えておるのかという点でございますが、先ほど大臣からもお答えいたしましたように、食管制度の根幹を堅持するという基本的な考え方に立ちまして、実態に合わせて運営の改善をできるだけ図っていくということを考えておるわけでございますが、その一つは、やはり現在のような過剰な状態が再び起こってくるような形で食管制度が問題を起こすということがないように、このような過剰を再び起こさないようなことを需給面ないしは価格面でどう考えていくかという問題がございます。  それからもう一つは、食糧管理制度を守りながら経済の実態に合わせた運営をしていくということになりますと、需給の状態が品質別の状況がいろいろと変わってきておりますから、そのような品質別の需給状況に合わせた流通のあり方というようなものを考えていきたい。その際に、自主流通米制度というようなものをさらに一層活用し得るような道も考えていきたいということとか、ないしは流通面等についても改善すべき面は改善していきたいというのが第二点でございます。  第三点は、先ほど大臣もお触れになりましたが、制度のたてまえと経済の実態とが非常に乖離しておるという面がございまして、そのことがかえって、先ほど先生も御指摘ありましたように、制度が空洞化するという面も否定できませんので、そのような実態と離れておるものについては、なるべくこれを直していく、制度面を直していくということも必要であろうということで、配給通帳なり米の贈答用の利用というようなことについても検討をしておるというような点を中心にいたしまして検討いたしておりますが、この問題はいろいろ関係のところの関連もございますから、それらの関係団体ないし利害関係の方々等の御意見もいろいろ伺いながらこの内容を固めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  54. 内海英男

    内海委員長 この際、午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後一時四分開議
  55. 内海英男

    内海委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。日野市朗君。
  56. 日野市朗

    日野委員 従来の水田利用再編対策の今度の見直しというものについては、各方面に非常に大きなショックを与えているということは間違いないことであります。先ほど自民党筋の津島委員あたりからも、この措置についての非常に大きな不平不満が述べられました。私も津島委員の言われたこと、まさにそのとおりであると思います。何よりもまず米作農家にとって、このことによって大きな所得の引き下げが招来されるということは間違いのないところだろうと思うのです。しかも、三年間は固定したものがずっと続くであろうと思っていたところが、急にことしになってこのような措置がとられることになったということについては、これはもう米作農家にとってみれば重大な問題だと言わざるを得ません。三年間これが続くものだと思ってずっと営農を続けてきたわけでありますから。  この見直しに至る事情というものは、先ほどから大臣も言われた。しかし、大臣が政治的にどのような責任をとられるつもりであるのか。いままでの見通しも狂ったでありましょう。その見通しの狂いも含めてどのような政治的な責任をとられるおつもりなのか、もう一度伺っておきたいと思います。
  57. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほどから申し上げておりますが、まず見通しが誤ったことに対しては大変申しわけがない。そこで、いま日野先生のお話では、それではどういう責任をとるかというお話でございますが、ここまでお願いする以上は、今度こそ需給均衡を図らなければいけない。新聞などによれば、まだ甘いのじゃないかという声さえあるわけですね。生産減少させる目標面積についてはまだ甘いのじゃないかということもありますが、私といたしましては、こういうことを無理にお願いする以上は、やはり需給均衡させるということをどうしてもやらなければならない、それによって農家に御理解をいただきたい、私はこう思っているわけでございます。
  58. 日野市朗

    日野委員 私は、そもそも土台になった生産調整についても実は反対なのであります。大体、ことしは豊作だといって農家が喜べない、このような状態にしておいていいのかということは、私も農村の近くに住んでいる者として、非常に複雑な気持ちで現在の農政を見ていかざるを得ないのであります。本当に現在の政府施策を見ておりますと、財政をいかにするかということにきゅうきゅうとしていて、国民の食糧を確保するんだという基本的な視点がないのではなかろうか、このようにすら私は思わざるを得ないのです。  現在、もう米は確かに日本では過剰基調であります。しかし、では外国からそれにかわる食料品をすぐに輸入できる状況にあるかといえば、必ずしもそうではありません。穀物の市況はどんどん値上がりをしている。非常に投機的な色彩を強めてきたということもございます。また、食糧が、特に穀物が戦略物資として使われるという可能性が非常に強いのですが、そこいらについての見通しを伺っておきたいと思います。  それからもう一つ、何かにつけて食管を守るためにはと歴代の大臣が言っております。確かに食管を守るということは非常に大事なことで、この食管を守るためということを言われると、農業団体も泣く泣く政府の処置に従っていくという傾向が見られるようにすら思います。ここで私は、食管が非常に大事なものであることはよくわかりますが、食管の根幹を守るということがどういうことであるのか、一度伺っておきたいと思うのです。本当に政府国民の食糧をきちんと国の手で管理していくというつもりがあるのか。農業団体なんかをプレッシャーグループとみなして、これをなだめるための方便に使っているような気がするものですから、食管に対する基本的な考え方を伺っておきます。
  59. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今後の世界的な穀物の需給見通しというようなものにつきましては事務当局からお願いをするといたしまして、私から、いまのお話食管制度の問題でございますけれども、これはやはり、いま御指摘のように世界的に見て食糧というものがより緩やかになるというよりは、どちらかと言えば、世界的に人口が増大しているわけでございますから、穀物がより緩やかになるよりはよりタイトになるであろう、こういうことは言えるのではなかろうかと私は思います。具体的な見通しは後ほど事務当局から言うといたしまして。  そういう中にあって、いまお話しのとおりで、残念ながらいままでの日本国民の主食であった米というものが消費減退をしてきていることも事実でございます。そういう意味において、私は、消費をより高めていくような努力ももっとしなければいけないということをけさから申し上げておるわけでございますけれども、やはり消費の拡大に努力をする。しかし、消費の拡大に努力することはしますけれども、あわせて農家の方にお願いしたいのは、やはりそれ相応の消費者の喜ぶような品質のものをつくっていただくということも、これはまた逆にお願いをしなければならないのじゃなかろうか。そういうこと、両方相まって米の消費というものを拡大していかなければならないと私は思います。  それから、国家の安全保障から考えても、国民の食糧の自給率を高めていくことは当然のことでございまして、そういう観点からいかなければならないのじゃないか。今度の転作にいたしましても、そういう観点から、やはり外国に依存しているものをより多く自給できる、こういう体制に持っていかなければならないのじゃないか。  それから、食管制度の問題は、それとあわせて、結局、国民の主食をどうしても政府で管理をしていかないと、いつもこういうような余剰の場合だけとは言えないと思います。いままで言われておることは、ランニングストックを常に二百万トンは持っておるべきではないかということが一つの通説となってきておるわけでございまして、たまたまいまはそれ以上にストックができちゃったからこういう問題が起きてきているわけでございますが、やはりそういう考え方からいけば、常に国民が安心をしておれるような状態に主食の供給体制だけはつくっていく、こういう中で食管制度があると私は思います。そういうものが根幹的なものではなかろうか。だから、先ほど来、午前中にもお話がございましたが、たとえば米穀通帳の問題とか、そういう現実と遊離しておるものがあるというのも事実あるわけでございますが、根幹はやはり国民心配をしないような形で、とにかく主食だけは安定供給をする、これは政府の責任においてやる、そしてそれを農民の皆さんにもお願いをする、これが私は食管の根幹、こういうふうに考えておるわけであります。
  60. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 世界の食糧事情状況でございますけれども、食糧の安定供給という観点では、資源エネルギーと並びまして安全保障という観点から重要な問題でございます。現在、世界の食糧事情は、需給状況としては比較的緩和しているという状況だと私ども見ておりますが、長期的にはなお楽観しがたい要因を含んでおると思います。その一つとしまして、自然条件、特に異常気象の可能性という問題が、これは農業特有の問題としてございます。もう一つは、発展途上国におきます人口増の問題がございます。さらに、所得の向上によりまして畜産物消費増加が飼料穀物の需要の増大を来す。こうした問題から、FAOの見通し等におきましても、長期的には楽観を許さない、こういう状況だと私ども考えております。  こうした意味で、わが国におきましても、適正な備蓄政策をとりながら対処していこう、こういう考え方に立っております。
  61. 日野市朗

    日野委員 この問題、深入りし過ぎますと、きょうの本論に入れなくなりますので、この問題はまた別の機会にやりたいと思います。  先ほどから、政治責任を聞いているのですが、大臣は、これから需給のアンバランスが生じないようにというようなことをおっしゃったわけですが、私考えてみまして、米作農家にとっては、これは食管法の法体系のもとにあるわけですから、政府の処置が生殺与奪の権を握ることになるわけです。この事実だけは冷厳な事実として認めなければなりません。つまり、政府がどのような施策をとっていくかによって、米作農民の生活というものは非常に振り回される、こういう結果になるわけでありますね。  そういう中で政府水田利用再編対策をやる、その見直しをやる、こういうことをやってきますと、これは見通しを誤った、これからはそんなことはないようにしますでは政治的責任にはならぬと私は思うのですよ。これをやられて現実に米作農家の収入というものは減るわけでありますから、それをどのようにして補てんしてやるかをまず考えてやらなければならない。それから、いままで米作農民がこれだけ米をつくってきたということの陰には、食糧難時代からのずっと長い沿革があります。それに応ずるような施策をちゃんととってやらなければいけないと思います。  転作をしろと言われる。じゃ転作をした。ところが、転作してできた作物は安い。これは安くなります。当然です。どこでもいままで米をつくっていた分をほかの作物に回してつくるわけですから、量から言えばこれはだぶついてくる。そうすれば安くなってくる。こういうことは当然予想される。そういった事態一つ一つ政府としてはカバーしてやる。現実にその施策を示して、このようにカバーするのですよということを見せてやらなければ、私はこれは政治的な責任を政府が負うことにはならぬと思うのですよ。その点から言えば、さっきの大臣の答弁は私は全く甘いと言わざるを得ない。ただ反省します、頭を下げます、そんなことではとてもとてもこれは農民の立場に立ってみたらたまったものじゃないのです。もう一つ伺いたいと思いますが、そこで。
  62. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 五十三年度から実施いたしましたときに、転作奨励金その他は御承知のとおり決まっておるわけでございまして、それを決めるときには当然稲作の収入に見合うものとして考えられておると私は判断をいたしております。確かに、いま御指摘のように、たとえば片方で奨励金が出ておっても、野菜などの場合に非常により多くのものが出て暴落をしたという場合もあり得るかと思いますけれども、できるだけ、少なくとも稲作の収入に見合うものを考えて奨励金を出しておるわけでございます。そういう面において、所得をある程度は確保していただいているのではないか、こう考えておるわけでございますが、野菜その他の問題については、やはりもう少し適地適産の考え方とか、そういうようなもので指導していく必要がこれはあるのではなかろうか。指導と言うと大変あれでございます。御協力をいただく面において、やはり何でも同じようなものをつくるというようなことになりますと、いま御指摘のとおりで、非常に量がふえて暴落をするということもあり得ますので、その辺のところは将来の問題としては考えなければならないと思いますけれども、いま一応、大変恐縮でございますが、このままいくと需給のバランスが崩れて、先ほど来繰り返して恐縮でございますが、食管の制度そのものまでの問題に波及するおそれがある、かえってそれは農家にとって非常に問題ではないかという判断から、今度数字的には相当強いことをお願いをせざるを得ないのでございますが、将来、制度については五十六年度以降また見直しをする機会があろうかと思いますので、そういうときに、いろいろと御意見を承りましたので、その御意見を踏まえてもう少し検討をさせていただきたいと考えております。
  63. 日野市朗

    日野委員 いまの答弁にも私は不満があります。先ほど芳賀委員から出された北海道に対する割り当て、これなんかについて非常に強い不満が、これは北海道のどなたからも出ていることは私もよく存じております。これは非常に大きな減反をさせられて、全国最大の減反をさせられているわけですから、それをやらせられて、それに代替する、それにかわり得る措置が何もとられていないというところに不平を増幅させているものがあると思うのです。  こういう現状を見て、将来のものとして私はこれをいま見ているわけにはまいりませんので、若干立ち入った質問をさせていただきたいと思うのですが、今度の「昭和五十五年度水田利用再編対策推進について(案)」、これによりますと、「転作条件整備」という項がございます。第六項になりますか、ここに「排水対策等の土地基盤の整備」以降、幾つかの条件整備施策が書いてあるわけでありますが、では、これは具体的にどういうことをやっていこうというのか、一つ一つについて伺いたいと思うのです。いままでの制度を利用してなんということはちょっとどうかと思いますよ。やはりこれだけの営農の変更農民に求める以上は、それにふさわしい政府努力がなくてはいかぬ、農林省の努力がなくてはいかぬと思います。一つ一つ伺いましょう。
  64. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 「転作条件整備」でございますけれども、「排水対策等の土地基盤の整備」ということ、これを充実していきたいということで、これにつきましては、現在排水対策特別事業というのを五十四年度、今年度から創設いたしておりまして、二百三十億の予算でございますが、五十五年度は二百八十七億というふうに増額要求をいたしておるわけでございます。  それから、「農業近代化施設の導入等の各種助成事業」というのがございますが、これもいろいろの施策がございまして、特に地域農業生産総合振興対策というのを、五十四年度やはりこういう事業を創設をいたしております。これは五百億円五十四年度予算としてはございますけれども、それを五百六十五億ということで増額要求をいたしております。  それから、ここには書いてございませんが、五十五年度要求といたしましては、経営転換等推進資金というもの、これは農業改良資金の一つの種類としてこういうものを新たに要求をいたしております。無利子の金でございますが、貸付枠百六十億円ということで、水田から畑作の方に転換をするわけでございますので、その際の所要資金等について無利子貸し付けをやろうというのを要求をいたしております。  それから、「転作作物に係る価格、流通対策」という面につきましては、当然、麦につきましては食糧管理法によります無制限買い入れの措置がございますし、大豆につきましては、大豆なたね交付金暫定措置法によります交付金制度ということで対処をいたしております。その他、野菜等につきましてもいろいろな措置が指定産地等について講ぜられておるわけでございます。それから、今年度からソバについても価格補てん措置を新たに講ずることにいたしてございます。  それから、「普及組織を通ずる濃密な技術指導」というような面につきましては、特にこの関係の水田転作の特別な活動費ということで、濃密指導のできますような活動費も予算計上をいたしております。  そういうようなことで、五十四年度に相当新しい施策を講じたわけでございますが、さらにそれを拡充する、あるいは改良資金の先ほどの経営転換等推進資金のように五十五年度創設をしたいというようなことで、転作等の条件整備の方は力こぶを入れてやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  65. 日野市朗

    日野委員 特に生産者農民にとって重大に思われる事柄というのは、まあいろいろここに並べられていることは非常に重大なことばかりでありますが、特に価格ですね、安定した価格というのが何よりも望まれることであろうと思いますし、それから流通機構をもっときちんと整備をして、そしてその利益が流通機構の中に全部消えてしまうことがないようにということ、これは生産者農民にとって非常に切実な思いであると思いますが、この点について、これに精力的に取り組んでいくのだという覚悟のほどをひとつ大臣から伺いたいと思います。
  66. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私も、農林水産省に参りまして、いろいろと流通機構にメスを入れてきておりますと、他の工業製品と比べて必ずしも流通部門における利潤の取り分が適正だとは考えられない点がございます。そういう面において思い切ってメスを入れていくことが、結果的に農民の所得を増加させることにもつながるわけでございますから、これはできるだけ努力をしていきたいと考えております。
  67. 日野市朗

    日野委員 それで、今度この再編対策が見直されるということなんですが、さっきから大臣も言いましたように、三年目にしてすでに見直しですから、これは大変なことなんです。生産者農民の立場に立ってみれば、本当に歯がみをしたいくらい、歯ぎしりをしたいくらいこれは大変なことだろうと私、思います。  それで、当初の計画で十年間ということでやっているわけですが、このままでいきますと、基本的な十年間、そして三年、三年という一つの周期、これがもうすでに三年目にして破綻をするというような状況で、これから先どうなるのだろう、こうしょっちゅうしょっちゅう見通しが狂ってこられてはたまったものじゃないですから、それで、一体どこまでこの生産調整というものをやるつもりなのか、その時間の問題ではありませんよ、量的にどの程度まで減らしていくつもりなのか、そこいらのところをしかとここで承っておきたいと思うのです。
  68. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 先般、農林水産省の方で作成いたしました「昭和六十五年農産物の需要生産の長期見通し」というのが、一応の第一次試算でございますが、それでは、栄養バランスのとれた日本型食生活維持する努力は今後とも必要なわけでございますけれども、やはり肉類なり油脂の消費増加に伴いまして、お米の消費減退というのは今後も続くというふうに見ております。そういたしまして、水稲以外の作物に利用すべき水田面積、要調整面積といいますかは、六十年代には八十万ヘクタール程度になるというふうに試算をいたしておるわけでございます。  以上でございます。
  69. 日野市朗

    日野委員 農林省の見通しの立て方にはいろいろ問題がありますので、これは後から触れることにいたしますが、今度は少し質問をかえていきたいと思います。  現在出されているこの見直し内容について若干伺います。  先ほどもちょっとペナルティーの問題が出ておりましたけれども、このペナルティーという条項は、つまり減反の不足分を翌年度に加算をしていくというやり方、これは今後もずっと踏襲されるお考えでしょうか。
  70. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 公平確保措置でございまして、ペナルティーというか罰則というものではないと思っておりますが、この公平確保措置につきましては、第一期の期間でございますから、五十五年度も公、平確保措置はとらなくちゃいかぬと思っております。  なお、第二期以降につきましては、第二期以降の要調整面積がどうなるか、さらに、そのための仕組みをどうするか等々いろいろ検討した上でやるべき問題になると思いますので、その際には、当然この公平確保措置の問題も一応は検討対象になろうと思います。しかし、正直者がばかをみないという意味での措置でございますので、いまここでどうするということは申し上げかねますけれども、第二期のときには、やはり正直者がばかをみないような何らかの措置は、水田利用再編対策がある限りにおいては必要ではないかと思っております。
  71. 日野市朗

    日野委員 この論議をするときに正直者論が出るのですね。正直者がばかをみないで済むような措置というふうにしょっちゅう言われるのでありますが、一方、農林水産省の立場は、減反についてはお願いするのだ、常にこう言っていますね。強制するのではありません、お願いして協力してもらうのです、こう言っているわけだ。お願いする立場が、その願いを聞いてくれなかった者を不正直者呼ばわりするのはどういうわけですか。
  72. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 水田利用再編対策は、農家の方を初め関係者理解協力を得て推進すべき事柄であると理解いたしております。ただ、従来も米の生産調整、稲作転換対策等講じてまいった際に、転作をされる農家サイドからいたしまして、非常に協力的な農家とそうでない農家との間において、正直者がばかをみないような何か公平確保の措置をやはりとっていただかぬと、むしろこれはおかしいという声が非常に強うなってまいりました。したがいまして、水田利用再編対策を五十三年度からスタートいたします際に、こういう公平確保措置というものをその段階において新たに導入をしたということでございます。
  73. 日野市朗

    日野委員 いま正直者か不正直者かというような形で問題を出しましたが、これをもっと整理して聞いてみましょう。  これは通達でなされている措置ですね。行政行為としてはどういう行為になりますか。
  74. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 水田利用再編対策全体がいわゆる行政措置ということで実施をいたしておるものでございます。したがいまして、そういう行政措置でやっております体系の中で公平確保措置というのもあるわけでございますので、いわゆる行政上の指導措置ということでやっておるということでございます。
  75. 日野市朗

    日野委員 要するに、これは指導措置にすぎないわけだ。そういうことですね。
  76. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま申し上げたとおりでございまして、行政上の指導措置ということでやっております。
  77. 日野市朗

    日野委員 これは単なる行政指導であれば、これに従わない者が不正直者ですか。行政指導でどこまでを人に強制することができるのです。
  78. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 先ほども申し上げましたように、公平確保措置というものは、不公平となることを避けるという角度での必要最少限の行政上の措置でございます。したがいまして、先ほどもペナルティーとか罰則ではないということを申し上げたわけでございます。罰則的なものであればあるいは法的措置が要るかもしれませんが、この場合はそうではないということで、公平確保の必要最少限度の行政措置と考えております。
  79. 日野市朗

    日野委員 農林省の打ち出した施策の中で、あなたは公平確保措置だと言うのを私はペナルティーと呼びますが、いわゆるペナルティーのほかにもっと行政指導に従わない者に対する不利益取り扱いをしている例がありませんか。たとえば一俵百円という再編交付金というものがありましたね。減反政策に従わない者に対しては一俵百円の再編交付金を支払わないという処置をとったことがありますね。
  80. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 一俵百円というお話は、水田利用再編特別交付金のことではなかろうかと思うわけでございます。  一俵百円といいますのは、そういう基準で市町村に交付をいたします。市町村の方で、後は農業団体等とも相談をいたしまして、転作の円滑な推進に役立つように使います、こういう角度で、五十三年度については一俵百円の話と、もう一つは十アール当たり三千五百円というのがあったわけでございますし、今年五十四年度につきましては、やはり一俵百円というもののほかに転作目標達成面積等に応じて配分するものがございます。これはあくまでもそういう基準で市町村に交付いたしまして、市町村が農業団体等と相談して円滑な推進に資するように使う、こういう趣旨のお金でございます。
  81. 日野市朗

    日野委員 この金が、市町村に交付をしてその市町村から団体にまたおろされたり、または個々の生産者の農家におろされたりするという現実はございませんか。
  82. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 市町村で農業団体等と相談をいたしまして、転作推進に役立つあるいは地域農政の再編に役立つ、そういう使途にということで、部落の方に交付して、部落で共同的な事業に使うという場合もございます。あるいは部落を通じて個人ごとに配分をするというのもあると思います。その使い方自身は市町村の方にお任せをしておるということでございます。
  83. 日野市朗

    日野委員 要するに、減反をきちんとやったところにはそういうものを出す、減反をやらないところにはそういう金は出さない、目標を達成したかどうかによってこういう不公平な取り扱い、差別取り扱いをしていることだけはお認めになりますな。
  84. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 一俵百円の関係で申し上げますと、五十三年度の場合は、目標を達成した農家についてということにしてございます。それから、五十四年度の場合は、目標を達成した市町村におります農業者ということでございますが、いずれにいたしましても、そういう基準で市町村に配賦をする。ただ、ただいま先生からお話がありましたように、達成と未達成とは差があるではないかということについては、確かに差はございます。
  85. 日野市朗

    日野委員 私がペナルティーと呼んで、あなた方が公平確保措置と呼ぶものにしても、再編特別交付金にしても、これは目標を達成したかどうかによって不利益取り扱いを受けているものが出てくる、このことは間違いないと思うのですが、私はこう思うのですよ。単なる行政の指導が——これは単なる行政指導だ。あなた方が言うとおり、水田利用再編事業は行政指導の上に構築されているものです。これが法によって推進されているものであれば、その法律に定めるところによって不利益な取り扱いはできるかもしれない。しかし、単なる行政指導によって国民を不利益に取り扱うということはできますか。
  86. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 先ほど来申し上げておりますように、水田利用再編対策そのものが行政上の指導措置でございます。したがいまして、公平確保措置、この面につきましても行政指導でやっておるものでございます、したがいまして、ギリギリの話でこれは強制力があるかと言えば、強制力はないわけでございまして、本当に強制力を付与するためにはむしろ法律が要るかもしれません。私たちは、それはペナルティーなり罰則であるとは考えておりませんので、行政指導といたしまして、転作協力者と非協力者の間での不公平、こういうものを避けるための最小限度の行政上の措置ということでやっておるわけでございます。
  87. 日野市朗

    日野委員 通達でやるということには私はそもそも無理があるというふうに思いますが、あなた方はこのままずっと通達でこれからもやっていこうというお考えですか。  その場合、今度見直しが行われて、とうていそんなものはのめないというものが出てきた場合に、これをしもなおかつ公平確保措置をとるということは妥当なことだとお考えになりますか。
  88. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 水田利用再編対策はおおむね十年間ということでございますので、今後も、第一期が終わりましてもなお続くと思いますけれども、法律的な措置でやるかという問題については、やはりこういう転作等をお願いする性格のものでございますから、むしろ理解協力を得て、農家の主体的な取り組みというものを期待して進めるべきものだと思っておりますので、法律措置にはむしろなじまないというふうに考えております。  それから、こういういろいろな措置につきまして、通達行政といいますか、通達をもって行政指導をやっておるわけでございますが、これは一般的に行政機関の所掌事務の遂行のためにその所掌事務の範囲内において通達をすることができるというふうに理解をいたしておりますので、そういう見地に立って通達でもって行政指導をやっておるわけでございます。
  89. 日野市朗

    日野委員 あなた方はそう言おうとも、下の方では、これはペナルティーの威嚇によってやむを得ず泣く泣く生産者農民は減反しているのですよ。さっき津島委員の質問の中で、だれがどろをかぶるかという話が出た。まさにそうだと私は思います。農林省は一片の通達を出せばいいかもしれない。しかし、都道府県の知事はそれを受けて、それをさらに市町村に配分するのにどのぐらいの苦労をしているか、あなた方だって御存じだと思います。さらに市町村長は、これをどのように自分の町内の農民に割り当てていくのか、ここで本当に泣く思いをしていると思いますね。しかも、それを受ける農民の側は、これまた泣きですね。これはもう全部単なる行政指導だ、本当は強制力を持たないのですと口では言いながら、皆さんが非常に強く強制的にこれを押しつけた、そういう結果から出てきているわけですね。いま農蚕園芸局長が言われるように、本当に法にはなじまない、むしろこれは協力を得てやっていくべきものだと言うならば、今度の見直し措置についても考え直したらどうですか。これは考え直すべきですよ。  ごらんになってください。きょうちょうだいした「実施状況」を見ますと、これはずいぶん努力をしながらみんなやっていますよ。この努力の成果というものについては、先ほど大臣からこれを非常に高く評価される旨の発言もありました。私もそのとおりだと思います。これだけみんなが努力をしている。そしてそれぞれの地域の特性にあわせてそれぞれみんなで努力しようとしているのですよ。それなのに何で自主努力にまつことができなかったのか。この見通しの誤りというのは、言っちゃ悪いが、農水省の間違いですよ。個々の農民の誤りではありません。大臣は先ほどその責任をとられると言ったのです。むしろ、今度の見直しというものは、自主的な努力にもう少し任せてみていいのじゃないですか。ほかの農業団体なんかどう言っていますか、これは自主的な努力でやれると言っていますか、やれないと言っていますか、やるための努力をすると言っていますか、しないと言っていますか。これはいろいろ協議もなさったはずです。こういった団体から意見を聴取すべきだということは、きちんと通達の中にも盛り込まれていることです。その意見の聴取をやった結果はどうだったのか。先ほどちょっと津島委員の質問の際にお触れになった。もっと詳細に、どんなことを農業団体は言っていたのか、それでもなおかつあなた方が、その自主努力では足りないと判断をされた理由は何なのか。
  90. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 五十四年度、第二年目は、農協等の自主調整運動、地方公共団体の自主的努力ということでそれに期待をいたしまして、当初目標に対して一二一%、四十七万二千ヘクタールという実施見込みになっております。この面につきましては、先ほども大臣からお答え申し上げましたように、農家を初め関係者努力というものを高く評価をいたしておるわけでございます。  そこで、五十五年度ということになりました際に、自主努力方式ということでなしに、むしろ米の需給計画変更し、転作等目標面積改定するということに踏み切ったわけでございますけれども、これは一つは、ただいまも申し上げましたように、四十七万二千ヘクタールということで、五十四年度は五十三年度に対して七・九%伸びたわけです。ところが、このときも、農協が自主調整運動ということで旗を掲げて、ナショナルベースで大体一割ということの達成を考えたわけでございますが、八%弱にとまる見通しということで、量的な実行性の面でやはり限界がある。今度の場合は三十九万一千ヘクタールからさらにふやすわけでございますが、どうもこういう面では実行性に限界がある。それから県別に見ましても非常にアンバラがあるわけでございます。その辺の問題、さらにまた、地方自治体の担当者等におきましては、やはり市町村を指導する、あるいは市町村から集落等にという際も、明確な目標がございませんとなかなかむずかしいということもあったわけでございます。  それから、農業団体との関係におきましては、ことしの七月以来、農業団体等とも機会をとらえまして接触をしてまいっております。その際に、八月の末に全国農業協同組合中央会、これは米対本部というのがございますが、ここで組織内の意見集約を行いまして、「五十五年度対策基本は、食管制度堅持のため、単年度需給均衡に取り組むものとし、政府の責任ある目標の明示を求め、その実現のためみずから行政と一体となって取り組む。」という方針を組織決定したわけでございますが、「政府の責任ある目標の明示を求め」ということで、五十五年度の場合は目標を行政サイドで出せ、出してくれたら行政と一緒になってその実現のために取り組む、こういうことでございました。  そういうことで、先ほど申し上げましたような五十四年度の結果等を見ての考え方等と両々あわせまして、やはりこの際は目標改定を行って、努力目標方式ということは検討はしたが、これは適当でないということで踏み切ったわけでございます。
  91. 日野市朗

    日野委員 さっきの答弁と全く同じ答弁の繰り返しになってしまったわけでありますけれども、私は、一片の通達によってこのような国民に不利益を押しつけるようなことは本当はできないと思います。もし不利益を国民に課すものであれば法律によるべきものである、そういうふうに思います。ここでは、ぜひともこれは自主的な努力に任せてみるということをやるべきであるというふうに思いますので、そこの点は強く要望をいたしておきたいというふうに思うところです。  それから、私、今度の見直しを見て非常に危惧の念を覚えるのは、果たしてこれが消化できるかどうかということなんです。いままで割り当てればそれを上回ってみんな自主的にやってきた。だから、今度もやれば、またみんな自主的にやるというような甘い見方をしてはいけないと思うのです。現場での苦労というのはそんななまやさしいものではありません。そこらを十分に勘案しなければならないだろうと思います。そうやってみますと、今度これだけまたかさ上げをされて、果たしてそれを消化し切れるかどうか、そういうことについて非常に強い危惧の念を持つのですが、それが消化できなかったという場合に余り米が出てきます。これに対する措置はどのように考えておられますか。
  92. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 予約限度数量を超えました超過米につきましては、これは政府が買い入れるということではなくて、自主流通米のルートに乗せて販売をしていただくということでやっておりまして、農業団体にもそのような御協力をいただいておりますので、今後ともその方針で進めたいと思います。
  93. 日野市朗

    日野委員 これは単年度の措置ということではなくて、ずっとそのような措置で臨む、このように伺ってよろしゅうございますか。
  94. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 少なくとも来年度につきましてはそのような措置で臨みたいと思っております。
  95. 日野市朗

    日野委員 今度は若干見方を変えて、少し消費拡大の方向に向けてちょっと伺いたいと思うのですが、私の方は宮城県ですからササニシキなんですけれども、こっちに来て東京あたりの米屋から買うササニシキはまずいですね。どうもこれはササニシキの名がすたると思いまして、私も非常に憂慮にたえないところなんですけれども古米の混入率が変わったようですが、消費拡大という点から、これを思い切って新しい米からどんどん使っていく、そういう勇断はできませんか。そうすれば、かなり米ははけるんじゃなかろうかなというふうに私は思うのですが、どうでしょう。
  96. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 お話しのとおりに、消費拡大を促進いたしますためにできるだけ味のいい米を消費者に供給するということに心がけなければならぬと思っておりまして、御案内のように、昨年から従来の古米混入率をむしろ逆にいたしまして、新米を五月までに七割出す。従来は古米が七割程度でございましたものを、新米を七割まで出すということで、新米をなるべく消費者に食べさせるということで進めております。実はこれは全体の回転備蓄という考え方からいたしますと、非常に無理をしておるわけでございますが、当面、過剰事態でございますので、お話しのように、消費促進のためにできるだけこのような措置をしていきたいということで、十一月から始まりました今米穀年度につきましても、五月までの間に新米七割を出す、ぎりぎり新米を出せるだけは出していこうというつもりで考えております。
  97. 日野市朗

    日野委員 できるだけうまい米を消費者に食べさしていくということは、米というものはうまいものだという認識を持つことになります。これは大変大事なことだと思いますので、従来から伝統的な考え方が食糧庁にあることはわかりますが、ひとつ勇断をふるって、できるだけうまい新しい米を食わせる、こういう方向で御努力をいただきたいと思うのです。  それから、米飯給食なんですが、いろいろ努力をする努力をすると言われた。きょうも大臣も、努力をするんだ、感激しているばかりじゃない、努力をするんだ、こう言われたわけですが、これがいままでなかなか進まなかったそのネックは那辺にあるとお考えになっているか。それを除去してどんどん進めるためにはどういう措置をとるのが最適と考えておられるか、ちょっと伺いたいのです。
  98. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 御案内のように、学校給食につきましては、戦後パンと牛乳というようなものを主体にして進めておりましたので、学校の給食施設その他からいたしまして、急激に米に切りかえるということにはいろいろ支障があったわけでございますが、文部省とも話し合いをいたしまして、計画的に米飯を導入していくという目標を立てて進めております。五十六年を目標にいたしまして、週二回米飯を給食するという目標を立てておったわけでございますが、なかなか進んでおりませんでした。しかし、御存じのように、ことしから学校給食用の米の値段を従来の三五%引きから六割引き、必要によって七割引きというように大幅に値下げをいたしまして、なるべくおいしい米を出すというような努力もいたしました結果、今年に入りまして学校給食は急速に伸びておりますので、私どもといたしましては、まずこの五十六年に目標の週二日を実現するということをできるだけ達成していきたいということで、文部省ともお話し合いを進め、努力中でございます。
  99. 日野市朗

    日野委員 その点はぜひもっともっと努力をしていただきたいものだと思います。  それから、米の全体需給の推移について、農水省、食糧庁は非常に悲観的に見ておられるようであります。現実に米の全体需給の推移のグラフを見ますと、確かにこれはずっと下向きでありますね。しかし、外国の例なんかを見ましてもやはりこれは下限というものはある。岩盤のようにそこから下に下がらないという一つの水準がこれは出ているように思いますね。わが国でも早くそういう岩盤づくりといいますか、その下限の線をできるだけ上に引くような努力をいろいろしなくちゃいけないと思うのです。そのためには宣伝活動も必要だと思いますね。いろんな施策は必要だと思うのですが、特に最近食糧庁あたりで言っておられるPFCカロリー比ですね、これなんか非常に魅力的な理屈だと思います。食糧庁で出した「データにみる日本の食糧」、これはよくできていますよ。余り悪口ばかり言っていてもいかぬから、たまにはほめておきますが、これなんか非常によくできている。しかも、このPFCのカロリー比というのは、特に若い女性には、いまのパンばかり食っている人たちには非常に受けそうなものですね。これなんかどんどんこういったPRにも力を入れられて、そして米の需要ができるだけ上向くような努力をこれからもしていただきたいと思うのです。この米の全体需給の推移、これについてその下限というものをできるだけ上で抑えるというような努力をぜひともこれからもやっていただきたい。  最後は要望になりますが、もう時間のようでありますから、このことを最後に要望いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
  100. 内海英男

  101. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林水産大臣農政問題について質問いたします。  昭和五十五年度水田利用再編対策について農林水産大臣は冒頭説明をされましたが、その中で、強力な農政推進を図ってまいります、こういうふうに所信を述べられました。申すまでもなく、わが国の農業は米を初めとしてミカン、牛乳、鶏卵が生産調整に追い込まれ、さらに豚価も現在は基準価格を大幅に下回り、養豚農家は大変な不安におののいております。こういった中で、日本農業の未来がどこにあるのか、また出口がどこにあるのか、出口なき農業ということが農家では大変声を大にして言われておりまして、将来の不安になっておるわけでございます。  さらに、第二の石油危機の深刻化で農業を取り巻く情勢が非常に厳しく、いままさに八〇年代に向けての日本農業をどうかじ取りしていくかということが重要な問題として、そういったときに立たされておるということは言うまでもありません。  この大切な時期に大臣は就任をされたわけでありますが、農林水産大臣を引き受けられた以上、重大な認識と決意のもとに就任なさったと私は思うわけです。就任早々その第一の関門である米の生産調整問題があるわけでございますけれども大臣の所信表明に対する質問はまた別の機会に譲るとして、本日の主要議題である米の生産調整について、特に関連して今後の日本農業の位置づけをどうするつもりであるか、また食管制度を含めて米の生産調整に対する基本的な見解は大臣としてはどう持って就任なさったのか、私はその点を問う立場から改めて冒頭お伺いしたい、こう思うわけであります。
  102. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 こういうせっかくの農家の意欲をそぐような生産調整ということは、私は決していい政策であるとは思っておりません。ただ、現実の問題として、非常に大幅な在庫量を抱え、将来ともこのままでいったならば、大変繰り返しのようでございますが、食管の崩壊ということにもつながるのではなかろうか、それを考えたときにやむを得ざる措置として考えていかなければならない問題であって、いま御指摘のように、いつまでもこのような米の問題、あるいはその他のいまの非常に需給関係のバランスが崩れて値下げになっておる問題等、こういう後ろ向きの政策よりはもっと前向きの政策をやり、そして農民に本当に喜んでいただけるように一日も早く農政を変えていかなければならないと考えております。  たまたま来年春には農政見直しをやることになっておりますが、私は率直に言って従来の経営規模にも問題があったと考えておりますし、あるいは適地適産という言葉が相当古くから言われていながら、必ずしもそれが十分でなかったと思いますし、あるいは流通面にいろいろメスを入れられながら、なお不十分な点があろうかと思います。こういうような点をいろいろ見直しをしながら、けさも申し上げましたが、どこの国にとっても農業を無視してその国の繁栄はないわけでございまして、当然国家の主幹産業である農業というものをできる限りりっぱな形でいっていただくような、いまのような後ろ向きじゃなくて前向きで農政が行えるような農業にしていかなければならないのではなかろうか。そのためには、たとえばいまの適地適産の考え方とも関連をいたしますけれども、いまは米はこういう形で非常に余っておると言われながら、同じ主食の一環である麦についてはほとんど外国からの輸入に依存せざるを得ない、こういう非常に不幸な出来事になっておるわけでございまして、その辺の農産物そのものの全体のアンバランスというものをやはり一九八〇年代には少しでも変えていくというところに日本の農業の発展があるのではなかろうか。それによって農業に従事される方が喜んで農業をやっていただけるところに結果的にその地域の健全な発展もあるわけでございますし、また国土の保全もできるわけでございまして、そのような方向にぜひひとつがんばってやっていきたいと考えておるわけであります。
  103. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらに農林水産大臣にお伺いしておきますけれども大臣が就任後の記者会見で食管法と農地法改正に取り組む姿勢等について、前渡辺農林水産大臣が八〇年代の農業政策をいろいろ述べておるけれども、これを引き継ぎたい、この見解を踏襲して今後進めていく、そういった意欲を強調しておられたように私は受けとめておりますが、その点についてもまず見解をお伺いしておきたいと思うのです。渡辺農林水産大臣のこういった考えを踏襲することに間違いないか、また、そういうふうに理解していいのか、その点、大臣考えを改めて当委員会で明らかにしていただきたい、かように思います。
  104. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 国民にとってより農業理解をされるようにするためには、やはり農業というものも一つの産業の一環であるという考え方を持っていかなければならない、渡辺大臣はそういうことを言っておりましたので、その点について私も同じ考え方であるということと、そういう点から考えますと、やはりコスト的な面からいくと経営規模の問題があると存じます。そういう意味において、農地の流動化を図るという意味において農地法の改正というものには私は積極的に取り組んでいきたい、こういうことを申し上げたわけでございます。  それから、食管法においては、これは前の大臣が言っておりましたように、現在お米はみずから食べるものは別といたしまして、人に贈れば食管法違反になるというようなことで、お中元にもお歳暮にも使うことができない。しかし、正直お米をお中元、お歳暮に使うことができれば相当消費は促進されるのではなかろうかと私は思っておるわけでございます。また、米穀通帳というものはほとんど使われていないのに、いまの法律では米穀通帳というものがあるわけでございまして、そういうような非常に現実と遊離した点があることについては、これは食管法の見直しという観点考えていくべきではないか、こういうことを申し上げたわけでございます。
  105. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、農林水産大臣の以上の見解をお伺いしながら逐次質問をしてまいりますけれども、今回の十年間の生産調整に対して、第一期三年であったいわゆる固定目標に対して早くも二年でこれを変更せざるを得ないということで朝から大変論議をしているところであります。  本員もさらにお伺いしたいのでありますが、生産農家はこれまでの大規模な生産調整の打撃に加えて、さらに長期不況による農外収入の後退と農産物の価格抑制、さらに第二次石油危機による資材の供給不足、価格急騰などに苦しめられてきたのであります。また、農家も経営難に陥っているばかりか、前途に活路を見出し得ない状況にあることは御承知のとおりでございます。今回の減反目標の上乗せはこれに追い打ちをかけるものでありまして、生産農家の反発を招いていることは、もう大臣も十分認識しておられるところでございます。わが国の農業というものはこのように構造的な米の過剰問題を抱えている反面、穀物の自給率はわずか四%足らずということで、まさにアンバランスの矛盾に直面しております。こうした今日の事態政府のいわゆる長期的展望を欠いた場当たり農政によるものであることは衆目の一致するところでございます。  そういったことで、私はかねがね申しておりますけれども、米というものは農民の魂であり、命であります。その安易な生産調整がわが国の農業、食糧供給の将来に与える影響というものははかり知れないものがございます。そういったことで、なぜ三年を待たずしてこのような計画変更になったのか、私たちもいろいろ分析はしておりますけれども、まず農林水産大臣から国民の前にその原因を明確にもう一度お示しをいただきたい、かように私は思います。
  106. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 やはり幸い自然的条件がよかったことと、技術の改良、品質の改良によりまして反収がそれに見合って非常に上がったこと、一方においては、これは私ども努力も足りなかったことは事実だと思いますが、やはり消費減退をしたということ、これが今日こういう事態を招いたことの偽らざる原因だと私は思います。
  107. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 見通しの甘さ、責任というものは大臣も感じておられるようだが、私は党を代表して大臣にさらにお伺いしますけれども、御承知のように米の、いわゆる転作の達成率は一〇〇%を上回る達成率で今日、五十三年、五十四年と来ていることは数字が示しているとおりであります。農家一人一人は、米をつくるに当たって、政府のいろいろな方針に対していろいろ不平不満はあるけれども消費者サイドの立場もあるし、また国の施策ということもあろうから、いろいろと苦しい状況を抱えながら政府のこういった減反政策協力してきたことも事実であります。一人一人は、ことしの大阪を除いて、全国の各県が一〇〇%以上の目標を達成しております。協力しております。かといって、農家は減反に大いに賛成であるというわけじゃない。もうぎりぎり限度の減反をいまやっているわけです。そういった中で、政府はさらにこれに追い打ちをかけて上積みをしろ、農家もいいかげんにしろ、こういったことで声を大にして政府に対して批判を浴びせていることも事実であります。  いずれにしても、第一期三年のうち二年は政府目標に対して一〇〇%以上の達成で協力してきたことは数字が示したとおり。農家一人一人は政府目標に対してまじめにやってきた。いわゆる全体の需給あるいは生産調整の目標というものは国が全体を取り仕切って立てるわけですから、これは国全体が見誤った、国全体の計画が大きく狂ったということにほかならないのであります。そういうことは言うまでもないことでありますけれども、そういった意味で、農家としては国の言ったとおりやったのに何でまたぞろこのような大きなことをやるのか、将来は恐らく半分ぐらいに減反させるのではないかということまでいろいろうわさして、いま不安におののいているのが農家の実情であります。  そういった意味で、私は、農林水産大臣国民の前に真剣に謝ると同時に、見通しの甘さに対して本気で取り組む、さらに今度のいわゆる減反の上積みに対しても、農家に真剣なる理解協力を求めるなら求めるで、それに対してどういう努力をしておられるのか、その辺も次の問題に入る前にまずお聞きしておきたい。また、責任のあり方についてもどういうふうに感じておられるか、もう一度明確にお答えをいただきたい、かように私は思います。
  108. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 結果的に言えば、最初に三十九万一千ヘクタールで始まったところから問題があったことと思います。そして、そういう結果はこちらの計画目標が間違っておったにもかかわらず、農民皆様方あるいは各農業団体の方あるいは地方公共団体に非常に御協力をいただいたことに対しては、まことに感謝の気持ちでいっぱいでございます。より多くの、目標以上の達成をしていただいたにもかかわらず、先ほど来お話し申し上げておるとおり、在庫が六百五十万トンになってきたということも、これは事実でございまして、このまままた推移していったならば大変なことになるということで、私どもは間違っていた見通しについては率直に認め、そして改めなければ結果的に将来どうなるであろうかということから、農家の方のためにもこの際ぜひひとつ思い切って御協力を願いたい、こういう形で五十三万五千ヘクタールというものを打ち出したわけでございます。  それに対して、それじゃ今後どう責任をとっていくか。これは先ほど申し上げましたけれども、来年の十月末にはまた六百五十万トンより多くの在庫増加があったということを言われないような形に今度こそ持っていかなければいけないんじゃなかろうか、来年度末においては在庫が少しでも減っているということを達成しなければならない。その意味においては消費の拡大をより強く進めていかなければなりませんので、お話のありましたような学校給食の問題その他につきましても努力をし、先ほど食糧庁長官からも話がございましたが、よりうまい米を消費者に提供するということについても、いま一つの方向は決まっておりますが、なおその方向を改善する余地がないのか、そういう点にももっとメスを入れていきたいと思います。そういうような形をどんどん進めて消費の拡大をやり、そして一方においては米以外のもので、麦にしても大豆にしても自給率が非常に低いのでございますから、農家の方にそういう自給率を高めることに御協力をいただく、こういう形でひとつ転作に御協力を願いたい、こういう気持ちでいるわけでございます。
  109. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林水産省のいわゆる需給見通しの甘さ、また国全体としての計画見通しの狂いから、三年計画の第一期の生産調整が二年にして早くも崩れ、このような事態になったということは大臣の答弁でも明らかになってきたわけです。  そこで、私もあえてお伺いしておきますけれども、ことしは大阪だけが目標を達成しなかったということで、事実五十三年、五十四年度は五十三年に示したいわゆる第一期三年の固定目標で進んできたわけですけれども、この三十九万一千ヘクタールに対して、今回の政府考えは五十三万五千ヘクタールとして、これをいずれ近い将来各県に配分するということであろうと思うのですが、その差額というものは十四万四千ヘクタールであります。これは農家が従来も一〇〇%以上の協力をしてきた。それをいいことにして、さらにこのくらいはということで政府も追い打ちをかけて上積みをするわけではなくて、一応の基礎は検討していただいた、こういうふうには思いますけれども、いずれにしても農林省自体の見通しの甘さ、また大臣からも責任の重大なことを述べられましたが、そういった意味からも当然これに対しては農家に努力目標としてお願いするという立場でなくてはならぬ、かように私は思うわけであります。そういった意味で、五十三万五千ヘクタールというものを配分する、こうなれば、その差額である十四万四千ヘクタールは当然ペナルティーの対象とはしない、と同時に自主転作と共通のものである、かように私は認識をしておりまして、当然そのような措置をすべきである、かように思うのですけれども、その点についても政府考えはどうであるか、私のような理解でいいのか、改めて確認をする意味でお伺いをしておきたい。
  110. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 三十九万一千ヘクタールが当初の目標でございますが、五十五年度におきましてはさらに十四万四千ヘクタール上積みをした五十三万五千ヘクタール、これで転作等目標面積といたしたいということでございます。  その際に、一つは、十四万四千ヘクタールについては自主転作といいますか自主的努力というもので努力目標的に見れないかということでございますが、この点につきましては、この十四万四千ヘクタールを足し上げました五十三万五千ヘクタール、これが正規の転作等目標面積というふうに考えております。  それからもう一つは、公平確保措置の対象にしないということができぬかということでございますが、この公平確保措置を五十三万五千ヘクタールのこのベースで適用するか、それとも三十九万一千ヘクタールベースで適用するかということにつきましては、この公平確保措置を適用することの可否という点につきましてさらに慎重に検討して、近々中に結論を出したいというふうに考えておるわけでございます。
  111. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 公平確保措置については近々中にも検討して結論を出したい、また五十三万五千ヘクタールは正規の目標面積として扱いたいというようなことがありましたが、農林水産大臣、これについてさらにお伺いしますけれども農民政府のいわゆる生産調整に対して不本意ながら今日まで協力してきたわけです。これ以上は、もうぎりぎりだと言っています。そういった意味で、大臣も大変責任を感じ、また農民に大変なしわ寄せをして無理な生産調整の要求をしようとしているわけですから、正規の固定目標であるならばいざ知らず、十四万四千ヘクタールのいわゆることしの上積みの計画に対しては、当然これはペナルティーの対象としないということで、農民に対して農林水産省も心から謝り、農民の皆さん方の協力理解を求めるということで、心から謝って訴えるべきだと思う。慎重に扱うということになれば、場合によっては当然これはペナルティーの対象にするというようなことも含まれておるわけですから、大臣としては、先ほどから責任を感じておられるわけですから、これについては絶対にペナルティーの対象とはしない、こういったことでひとつ農民に所信を述べてもらいたいと思うが、また私はそういうふうにすべきだと思うのですが、大臣、どうですか。
  112. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 ペナルティーであるかどうかは先ほど日野さんと局長との間でいろいろと議論がなされたわけでございまして、私ども農林水産省としてはペナルティーとは考えていないわけでございます。  いまお話しのように、確かに思い切って農民お願いをする以上、それに対してとにかく自主的な判断お願いをしたらどうか、こういうふうに受けとめざるを得ないお話かと思いますけれども、われわれが今回こういう形で、昨年は自主的な調整でもってお願いをいたしましてやりまして、けさもお話し申し上げましたように、一応農業団体、農協では約一割という目標でおやりをいただいたのが七・九%の達成率であった。こういう点からいたしまして、今回の目標は一三%以上でございまして、それをまた自主的な形でお願いをしていくということではとても達成ができないのではないか。結果的に達成ができなかったときには、かえって農民皆様方に非常に将来の不安を抱かせるような、先ほど申し上げるように食管の崩壊というような形にまで発展しかねない、こういうことを私どもは非常に危惧をいたしまして、この際、思い切って政府でもって目標改定させていただきたい、こうお願いをしておるわけでございますので、まことに農民皆様方にはより一層のつらいことをお願いをするわけでございますけれども、この際、やはり米の需給状態というものをお考えいただき、また米以外の、先ほど来申し上げておりますように、私どもが特定作物で奨励をしておるようなものについては自給率を思い切って高めていただきたい、こういう考え方を持っておりますので、ぜひ米以外のそういうものに転換をしていただきたいというのが私ども考え方でございますので、その点ひとつよく御理解をいただきたいと思うわけであります。
  113. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣はそうおっしゃるけれども、私は先日来栃木県初め数県の各団体あるいはまた農家の実態等を調査してまいりました。わが党の委員も数班に分かれて調査をしたわけですが、農民の皆さんや団体の皆さんの意見を総合しますと、今回の二年間続けました生産調整については目標を上回った、しかしこれはまだやれるのだというような考えを農林省が持つならとんでもないことだ、もう限度いっぱいである、これ以上やればもめごとが起きる、市町村段階では大変な問題が惹起するということで、ぜひともひとつ政府に対して反省を求めていただきたい、こういった声が多いのであります。また、第一期固定三年を覆すのであるから、いわゆる変更するのであるから、府県の実態を見て配分を今後考えてもらわなければ、従来のようなやり方では納得できないというようなことも言っておりますし、また、市町村は公平に割り当てをしていただきたい、傾斜配分で、協力するところには多く、比較的非協力のところには少なくというようなことであってはわれわれは納得できない、経営限度というものをもうすでに超えておる、こういったことに対してぜひ委員会でもひとつ大臣に十分認識をさせていただくと同時に、農民の実態をよく見ていただきたい、こういったことが強く言われておるわけでございますが、その点については、大臣は就任早々であるけれども、あなたは通産関係のいわばボス的存在でいろいろ取り仕切ってこられた方でありますが、農林に関しても十分関心は持っておられるわけで、十分ひとつ農林水産関係のことも早急に実態を握って、いわゆる農民の父として今後生産調整を進めるに当たって十分慎重な態度で臨んでもらいたい、かように思うのですけれども、その点どういうように大臣は認識しておられるか、さらにまたお伺いしておきたい。
  114. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 大変恐縮でございますが、私も農林水産大臣になりました以上は、あくまで日本の農民の幸せを考えて行政を行っていかなければならない一番最高の責任者であることは十分承知をいたしております。そういう考え方でもってこれから対処してまいりますので、よろしくお願いをいたします。
  115. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 昨日北海道議会の武部農務委員長以下九名が農林水産省に十四時ごろお伺いしたはずであります。午前中から若干論議が出ておりましたけれども、北海道のいわゆる五十三年度生産調整の達成目標は北海道全面積の約三五%に当たるということで、こういった傾斜配分に対してはもう今後ごめんである、ぜひひとつ一律の配分をしてくれというのが大体の趣旨であったと思います。農林省にはこういったことできのう北海道の議会から要請があっておりますし、従来も数回来ているわけですが、大臣はそのことは御存じでございますか。
  116. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 北海道の農務委員長の武部さんには前にもお会いしましたし、昨日も、私はちょっとおりませんでしたけれども、名刺が置いてございまして、うちの審議官が応対をいたしました。そのほか北海道からはいろいろな農業団体等々数回にわたりまして陳情に見えておられます。
  117. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 二瓶局長、そういったことは大臣には報告しないのですか。必ず大臣に陳情に来るのだけれども大臣不在の場合は政務次官または局長がお会いになって、大臣には必ず伝えますということになって、われわれも、それじゃ大臣よろしくと言って従来の例から言えば陳情をするわけですが、また要請をするわけですけれども、伝えなかったのですか、局長は。
  118. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 だれが何時ごろ来られてこう言ったというような角度では大臣に申し上げておりませんけれども、北海道の陳情の方々の言わんとしている点等につきましては、情勢報告ということで大臣には上げてございます。
  119. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林水産大臣はもう従来国会の席も長いわけですから十分御承知とは思いますが、県民の代表である県会あるいはまた市民の代表である市会とか町村会あるいは各種団体等から要請が来れば、一々全部会えない場合もある。しかし、局長あるいはまた次官が会えば、必ず結果については、一日の最後のときとか、また昼休みの時間を割いて、いろいろな留守中の出来事の状況等は聞いて、それによって一々指示を与え、対策を講ずる、または検討するということをなさるのが当然だと思うのだが、そういうようになさるべきだと思うが、大臣、その点はどうですか。
  120. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 各地から御要望でいらっしゃる方は、私が役所におり、また時間の許す限り喜んでお目にかかっております。ただ、いまの北海道の方、私よくわかりませんが、きのうおとといは、実は御承知のとおり日本・ASEAN経済閣僚会議がございまして、多分私がそこへ出ておったときにいらっしゃったのじゃないかと思うのでございますけれども、そういうことで役所にいなかったものでございますから、ちょっと私は聞いていなかったということでございます。本質的にはできる限り多くの方にお目にかかり、いろいろのお話を承るのは当然かと思っておりますから、そのように努力をさせていただきます。
  121. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、これは私言いたくなかったのだけれども、局長から報告も聞いてないし、たまたま北海道から大変道民の税金である旅費を使って委員長以下九名も、随行員を入れると十数名、もう数回にわたって来て、きょうの委員会もあるからというのできのうわざわざ来たわけですね。そういったことが耳に入っていないということでは本当に残念に思うけれども、いろいろ用事があったならば、後では必ず局長のところに報告を求めるなりいろいろ聞くように、当然のことですから、今後はぜひともそういう指導をしてもらいたいと思う。  そこで、これは総選挙前に、ある本ですけれども農業サイドから政治家を勤務評定する」という見出しで、解散、総選挙を前に衆議院議員の政治姿勢を問うということで、いろいろ各議員にアンケートを求めております。これは大臣もこれに回答しておられます。簡単ですからちょっと読み上げてみますと、「武藤嘉文(自民・岐阜一区)従来の米作中心農業政策では無理である。今後は国内で必要とする各種の食糧について、できるだけ自給自足できるような体制づくりが必要。そのために適地適産の考え方を強力に進めるべきである。北海道などは米作をやめるべきである。」と書いてありますが、大臣、これに対してこのとおりかどうか、お答えください。
  122. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 衆議院議員の選挙のときと、いま農林水産大臣になりましたときとは、先ほど申し上げるように、政治家として一つ考え方は持っておりますけれども一つの将来の理想の問題は理想の問題として、現実処理をしていかなければならない立場においては、農林水産省の中で最高の責任はとっていかなければならぬと考えております。おおよそにおいては、私は政治家といたしましては一つのそういう農業に対する考え方を持ってまいりましたが、農林水産省へ参りまして、北海道の実情については、私が承りますと、私の判断において必ずしも的確でなかった点もございますから、その点については私は私なりにいま考え方をもう少ししっかりした考え方に——必ずしも的確に判断をしないままにおったという点もあるようでございますから、その点についてはいまもう一つ考え方を改めつつあります。
  123. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これは何もせんさくしようと思わないけれども大臣大臣になる前と大臣になってからとそんな変わるようでは、私もちょっと不安なんですね。不用意な言葉というのか何かわかりませんが、いずれにしても北海道などは米作をやめるべきである、こういう考えがあるならば、きのうなんかでも何か用事もあったかもしれぬが、北海道の方々に会いたくないというように勘ぐられてもしようがないと私は思う。これは公開されている各国会議員に対して全員のアンケートをとったいわば資料でございますから、大臣もちゃんとチェックしてお出しになっていると思うが、このようなことがありますと、さっきのようにいわゆる北海道は米作から脱落するといいますか、いよいよ北海道としては米作をだんだん撤退させるということになりかねない。こういうことが大臣の心の中にあるとすれば、北海道としては大変不安であり問題である。また、今後の生産調整についても大変な問題を醸し出すと私は思うわけです。こういったことに対して、アンケートに明確に応じておられるということは、私は日本農業に対して、また北海道農政に対しても大変不安を感ずるわけです。そういう点について大臣はさらにここでひとつ的確な判断がなかったとかとおっしゃっていますけれども、北海道農民に対しても、また大臣として改めてここで訂正をなさるなり改めて釈明をなさっていただきたい。そうしなければとても納得できない問題であると私は思うのですが、どうですか。
  124. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私の農業に対する基本的な考え方においては、そのアンケートに書いてあるとおりでございます。ただ、北海道の現実事態というのは、私が正直見ているわけではないわけでございまして、人から聞いていろいろ判断をしておった点においては、農林水産省へ参りまして、人から聞いておった北海道の実情というものが私が過去に人から聞いておった実情とは必ずしも合っていない点がある。そういう点については私の判断がある程度誤っておった点は反省をしておる、こういう意味でございますから御理解をいただきたいと思います。
  125. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣は自分が見たわけではないから、そうすると人から聞いたとかあらゆる新聞あるいはいろいろ自分で見聞きした範囲で、いわば推定でこういったことをなすったというふうに私はいま答弁を聞いて理解したわけですけれども、そういうようなことで今後日本農業というものを見られたのでは困るわけです。だから私は、先ほど言いましたように、栃木県を初めあちこち数県回ったりして農民の声を聞いておりますけれども、机上のプランでなくて、そういった農民の生の声を、そして実際をどうかひとつ踏まえてやってもらいたい。われわれは常にこうして質問をする際には、調査なくして発言なしと申しますが、いろいろ実態を調査して声を聞いて、裏打ちをした上で今回国民の声として大臣にまた局長に質問をし、そして答えをとりながらさらにそれを検討して今後進めていくということでやってきておるわけです。  そういった意味で、先ほどからの生産調整の問題についての農民の声もさることながら、われわれがここで言っていることは、農民の切実なる声を各委員の先生方も集約して言うわけですから、真剣に受けとめると同時に、まして今回の総選挙によって政局もいわゆる与野党伯仲、当委員会は保革逆転の委員会でもありますから、ひとつ慎重に声を聞いて対処してもらわなければ、従来のような考えで、イメージで、ただうわさとか、人の聞き伝えで判断される——何もこればかりがそうではないかもしれぬが、しかし一葉落ちて天下の秋を知るということがありまして、一つのことで天下の秋がわかる、キリの葉の落ちたことによってわかるということもあります。やはり大臣の心の中にそういうものがありますと、今後すべて自分の推測とかイメージとか、そういったことでやられたのでは、日本の農業はまさに、私は数年前から言っておりますけれども、冬景色どころか酷寒景色、お先まっ暗、春も来なければかすみも来ないというふうに前の前の中川大臣にも何回も言ったことがあります。少し暖かくなるかなと思うと暖かくもなりません。こういう時期に大変な問題だと私は思いますから、その辺の認識のあり方について私は大臣にさらに強く申し上げておく次第であります。  そこで、いろいろ申し上げることはいっぱいあるのですけれども、このことについては一応後で検討さしてもらうことにして、日本のこういった農業の実態を見ましたときに、このままで行ったのでは生産調整は、いまことしの計画を遂行するとなれば約五分の一、行く行くは三分の一、数年たちますと恐らく半分になるのではないかということさえ農民の中にちらほらと声が上がりつつございます。また、六十五年度のいわゆる見通し等を見ましても、すでに八十万ヘクタールの生産調整というようなことでいろいろ計画をなさっているようでありますが、こういったことを繰り返していった場合一体どうなるか。ことしのように天候がよくて米がとれた、これは天候のおかげですから、これはもう結構なこと、うれしい悲鳴であります。また、農林省の見通しについても、もうちょっときちっとしたものを立てて、中期長期の見通しも立ててもらいたいというのが農民が言っておることであり、いわゆる出口なき農業ということで不安におののいています。  そういった意味で、もう少し長期に立って農林省は十分な検討をして、中期長期の目標、こういったものを示すと同時に、ことしはどうだ、ことしはどうだというふうにやっていかなければ、三年にしてこうなりますと、もうあと七年間——十年間の計画の第一期で早くもこういった大変なそごを来したわけですから、後々もうどうなるのかということで行き先大変心配でありますけれども、こういったことについて長期中期の目標を今後どうするか。ことしだけ済めばいいんじゃない。来年からあと七年間の目標はどうするんだということについてもどういうふうに検討しておられるか、大臣からお答えをいただきたい。
  126. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 御承知いただいておりますように、いま農政審議会において一九八〇年代の農政見直しをどうするかということで御検討いただいておりまして、来年春にはそのいろいろな御意見も尊重しながら、またこの委員会においていろいろと貴重な御意見をちょうだいできますので、そういう意見も踏まえながら、いま御指摘のように、二度と、こういう後向きでお願いをしておるものをなお一層それにむちを加えていくというようなやり方のないように、本当に明るい、希望を持っていけるような農業が一九八〇年代には確立できるよう一生懸命やらしていただきますので、もう少し時間をいただきたいと思います。
  127. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林水産大臣も就任直後でありまするので私は改めて申しますが、こういった日本農業のいわば出口なき農業、と同時に皆さんも目標をなかなか明確に示されない。しかも、まさに農林水産業は酷寒景色で、もう冬景色を通り越している。こういったことでは後継者も育たないし、農家も将来大変な不安が続くことは言うまでもありません。まさに日本農業の壊滅的状態になってまいります。  先日もNHKでアンケートをとった結果等が示されておりますけれども、それは時間の関係でここで申し上げる時間はございませんけれども、日本農業をどう思うかとか、また今後農業に希望があるかとか、また農業を続けていく意思があるかとかいうようなことを見ましたときに、まさに私は寒々とした気持ちがしたわけです。どんな時代が来てもやはり農業は守っていかなければ、油を食べたりお金のコインをたいて食べるわけにはいきません。食糧がなければ、それとまた一つはエネルギーの問題、これが今後の大きな問題である、かように私は思うわけです。  そういった意味で私は、実は従来からいろいろと提案をしてまいっておりますけれども、その中の一つで五十三年二月十日、それから五十三年九月二十七日、また五十三年十月十四日、さらには五十三年十月十九日、ちょっといま手元にある資料だけでも四回にわたっていろいろ関連して質問をしております。大臣に認識をしていただくと同時に、今後の対策のためにあえて申し上げますが、特にこの中で、五十三年二月十日の農林水産委員会において、農林大臣所信表明に対する質疑の中で、私がかねて調査を求めておいた案件について提案を兼ねて質問をしたわけです。それは農林水産省農蚕園芸局の農蚕企画室長及び畑作振興課長から調査をした資料をいただきまして、それらを基礎にしてかねがね考えていることを申し上げたわけです。いわゆる畦畔大豆転作の問題であります。別名額縁転作とも申しておりますけれども、要するに水田というのは普通四角でございますので、この四角の水田に畦畔をふやして大豆を植えて、それで大豆の生産を上げながら生産調整をできるだけ少なくして、農家の利益を上げ農家の所得をふやしていこうという構想に基づくものであります。  五十三年八月一日現在の調べによりますと、水田面積の本地が昭和五十二年で二百九十二万七千ヘクタールであります。水田の畦畔面積は昭和五十二年で二十万六千ヘクタール、要するに日本の水田の畦畔を全部合わせますと二十万六千ヘクタールになります。さらに畦畔拡幅ケース別の畦畔面積及び大豆の収穫量等を推定したわけでございますが、仮に幾つかの前提を置いて計算をしてみました。その前提としては、畦畔面積が二十万六千ヘクタールで、畦畔の幅を、調査実績がないので仮に六十センチとして計算をしてみました。さらに畦畔大豆の収量を、調査実績がないというので仮に五十二年産の大豆の全国平均値を十アール当たり百四十キログラムとして一応算定の基礎にしました。なお、増加した畦畔にはすべて大豆を作付するという条件のもとでやったわけであります。そうしますと、この計算の結果によりますと、畦畔を約三十センチ拡幅した場合は、増加畦畔面積は二十万六千ヘクタール掛ける六十センチ分の三十センチになりますので、十万三千ヘクタールという計算になります。したがって、大豆の増加収穫量は十四万四千トンという計算になりまして、仮に四十センチ拡幅の場合の増加畦畔面積は、二十万六千ヘクタールに六十分の四十を掛けますから十三万七千ヘクタール、そして大豆の増加収穫量が十九万二千トン、こういうふうになります。もう一つの例は、畦畔を五十センチ拡幅した場合の増加畦畔面積は、二十万六千ヘクタールに六十分の五十を掛けますから十七万二千ヘクタール、そして大豆の増加収穫量が二十四万一千トン、こういうことになるわけでございます。もちろんこれは算術計算でございますが、そこで五十センチ拡幅をすると十七万二千ヘクタールでございますので、よって昭和五十三年度、第一期の去年、ことしの生産調整による面積が三十九万一千ヘクタールでございますから約二分の一近いものが生産調整できる、こういうことになるわけです。  そこで、さらにこういったことに関係して、水田の約三分の一を乾田にする。現在、全国では約三〇%の圃場整備、暗渠排水ができているわけでございまして、あとの三分の二はできておりません。湿田もあれば、なかなか乾田にすることが大変だという水田もあります。そういった意味で、水田の約三分の一ぐらいに大きなみぞを掘って、そのみぞの土を三分の一の水田に上乗せをして、そこを乾田にして大豆をつくる、残りの三分の二は従来どおり水田として使う、こういうような方法もありましょう。そうすればもっと飛躍的な、乾田としての大豆転作ができる。そういったことをいろいろ考えて、いまの暗渠排水ができていない場合等を考えましたときに、そこに大豆をつくる。大豆の自給率は幾らあってもいいわけです。また大豆は北海道から沖繩までできます。さらに大豆の利用というものは、みそ、しょうゆから納豆、豆腐はもちろんのこと、油は人体にもコレステロールはたまらぬし、なかなか栄養にもなる。また、かすは飼料にもなるし、肥料にもなる、捨てるところはないということで、全くこれは一挙三得にも四得にもなると私は言っておるわけです。そういった意味で、大豆転作を行って農家の生産調整を軽くしてあげる、そして農家は米を基幹作物として収入を得ておりますから、米による収入を上げつつ、また喜んで転作をするようにさせる。すなわち、特定作物としては大豆、麦、飼料作物、ソバ、あるいはてん菜といったものがあるわけですから、まず大豆に力を入れて、農家が将来希望を持てるようなことを一つでも農家に与えてやる。そして将来米が不足するというような事態が起きてきた場合は、乾田にしたところをまたもとの水田に戻す。もとの畦畔だけ残して、追加でつくった畦畔のところをトラクターで水田に戻して使う。こういうふうにしていけば生産調整も少なくて済むし、また農家の収入も上がる。したがって、生産調整に要するいろいろな経費、奨励金等ありまして、これもまた南北戦争でいろいろ問題になるわけですが、こういったものを大豆の価格の方へ回してあげる。そして米並みとはいかなくてもとりあえず米に近い価格にして、農家が喜んで栽培できるように、収穫できるようにしてあげる、こういうふうにすべきだと思います。  現在、栃木県でも、また数県において、大豆は根がかたいために収穫するのに人力を要する、なかなか大豆の収穫が大変だというので、農家も省力化しなければ乗ってこない面もありますけれども、現に大豆のこういった根を切り、収穫するところの機械がもうすでに開発されてできており、現在、喜んで大豆栽培をしている農家がございます。そういったものをひとつ大いに奨励をして、農家が喜んで栽培できるように価格も見てあげる、そして農家の協力理解を得ながら畦畔大豆転作、額縁転作推進していく、こういうことで、明るい展望の持てるような思い切ったユニークなことをやるべきだ、かように私は言っているわけです。  少し長くなりますけれども、ことしは来年の生産調整をこうする、再来年以降はどうなるかわからぬというようなことで、長期展望もないままに毎回同じことを繰り返しているわけですから、ほかに何かいい方法があればそれを示してもらいたい、なければ私の言った提案も大いに参酌してやってもらいたい、かように私は思うわけです。  これに対して、農林大臣は私が提案した際に、「「示唆に富んだ御意見を承りまして、非常にありがたく思います。姿勢としては大豆とか麦とか飼料作物、ソバ等の自給率の悪い、特に価格政策のある大豆のようなものを思い切りやってもらって、ほかの洪水を起こさない、こういうふうにしたいと思うのです。」また「大豆とか小麦とか飼料作物とか、一番大事な作物ですし、莫大な経費はかかりましてもさらに一層促進してまいりたい、こう思う次第でございます。」」これは当時の北海道の中川農林大臣が言っております。北海道で米をやめろと言ったら大変なことになりますが、こう言っております。  さらに、当時の政務次官も、「私どもの郷里でも、昔あぜ豆と申しまして、各農家は奨励しなくてもそれぞれあぜには大豆をつくっておったものでございます。そういうことを踏まえまして、なおひとつ真剣に検討をさせていただきたいと思います。」こういうことを言っているのですが、その後どういうふうに検討したのか、まず農林省当局からお答えいただいて、大臣のお考えも改めてお聞きしておきたい、かように思います。
  128. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 大豆の畦畔転作につきましては、ただいまお話ございました御提案につきまして、農林省内部でも検討を進めたわけでございます。その際に、実務者の意見というものを聞きまして詰めてまいったわけでございます。  それで、この畦畔転作につきましては、まず一つは、確認等の事務が繁雑となりまして、これが一般化いたしますれば、その衝に当たります地方自治体が負担にたえないのではないかというような問題がございますし、また第二点といたしましては、実際に相当面積の水稲を減らすほどの規模で畦畔を拡幅するというためには、これは膨大な土工量が必要となるわけでございます。したがいまして、現状では、これを一般化して考える性格のものではないのではないかという見方が主力になっております。  なお、今後、大豆転作の定着推進を図っていきますためには、私たちといたしましては、基本的には排水改良等、転作のための土地条件の整備を進めながら、やはり一枚のたんぼを単位とした転作を進めていくと同時に、生産性の向上のため、大豆につきましてもできるだけ団地化を図って進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  129. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣、あなたは就任早々でありますので、私、再度説明を加えて少し長く申し上げたわけですが、いま局長からいろいろ答弁がございましたけれども、こういう思い切ったことをやっていかなければ、同じことばかりやっていたのではこれはとても大変です。農家も生活の知恵で、やはり水田の悪いところから転作をしてまいります。残った水田を一生懸命経営しますから、やはり収穫量も多いし、また技術水準も上がってきております。また太陽のかげんもございまして、需給見通しにもいろいろ狂いが来るであろうということもわれわれもうなすけないこともございません。しかし、そういったこともさることながら、私は、こういったユニークな思い切ったことをやらなければ大変だと思うのです。農業は前進しないと思うのです。何かほかにいい知恵があれば、農林省、出してもらいたいと思うのです。私が提案したのに気に食わなければまた気に食わぬと言えばいいし、そうでなくて、何か日本の農業を救うためにいろいろ知恵を出して、党派を超越してでもやるべきだ、私はこう思うわけです。  いま局長の答弁によると莫大などろが要る。いわゆる水田によっては本地の表土の浅いところと少ないところ、いろいろあります。全部一律にはいきません。また、コンクリート畦畔も若干はあります。そういったことも考えて、農家の協力理解を得ながら、いわゆる畦畔のどろが賄える範囲からでも進めていけばかなり前進していく。そして三分の一ぐらいの水田を乾田にするとか、一枚だけを全部するというような方法もありましょう。わざわざよそから土を客土してやるということになるとこれはもう大変ですから、そういうようなこともいろいろ考えて、きめの細かい、農家の喜ぶような、そして価格対策、収穫機の開発、現に収穫機の開発は栃木県でもやっておりますから、そういったものも取り入れてやる。あとは大豆の品種改良と多収穫の大豆、そしてもっと真剣に取り組んで農民が喜べるような収穫の多い大豆を奨励していく。特に栃木県その他でも紫斑病なんかあって、せっかく転作でつくろうとすれば価格もよくないし、紫斑病にかかって、それらの対策の指導もないために大変困っている、こう言っています。  そういったことをよく指導し、めんどうを見てやることによってこの大豆のいわゆる転作推進していく。そうすると、自然、米の生産調整に対しても、こんな毎年毎年薄氷を踏むような生産調整をしなくてもいい、かように私は思うわけです。そういったユニークなことをやるべきだと思うのです。  そういった面で、大臣、どうでしょうか。いまの件についてあなたも十分検討して、推進また今後対策を講ずるために努力するということをあなたはおっしゃったらどうですか。御見解を承りたい。
  130. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 大豆をより多くつくっていただきたいということは、いま転作の特定作物に奨励金も出しておるわけでございますから、この点については私は大豆がふえていくことは全く喜ぶべきことだと思うのです。  ただ問題は、いまお話を聞いておりますと、事務当局は一枚単位というか、ある程度広いところでやれという考え方を持っているようでございますし、それはコスト的にどうかという問題で、いまの御指摘は、かえっていまの御指摘の畦畔の方がどうもコストが高いと事務当局考えているんじゃないかと私はいま聞いておったわけでございます。ですから、大豆の栽培をよりふやしていくということについては、全く農林省も先生も御意見一致なんでございますが、ただそのやり方として先生の御指摘いただいたような方法がいいのかどうかということは、私もう少し事務当局から説明を受けないと、結果的にまたそちらの方が割り高になってしまったということになってもいけないわけでございますので、その辺をもう少し検討させていただきたいと思うのです。
  131. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それは一昨年から検討するように提案をしてきたわけですが、新しく大臣になられたのであえて申し上げたわけです。当局も十分検討して、何かこれにかわるいい方法があれば結構なんです、別な方法でも。またこういったことを一つの提案として考えて、こういったものを不可能を可能にしていくといいますか、困難であるけれども不可能ではないと私は思うのです。そういったことをやっていかなかったら、農林水産業はまさにお先真っ暗になります。そういった面に頭を使っていただきたい。大臣も真剣に検討していただきたい、こういうことを申し上げます。またいずれこれについては再度質問することにします。  最後にもう一点申し上げますが、このように米が余ってきて、生産調整で農家も大変苦しみ、また農協も倉庫がいっぱいになって、将来不安を感じておることも事実であります。詳しくは申しませんけれども、五十三年の十月十四日の外務委員会でいわゆる日中平和友好条約の歴史的な審議が行われたときに、これまた私は党を代表していろいろ質問を申し上げ、約九項目の提案をしたわけです。その中の一つに、中国に対する穀物借款をやったらどうかということを言っております。大上平総理も十二月五日から九日まで、中国の北京及び西安に行かれることになっております。昨日の大臣の所信表明にも農業問題に触れてなかったということで、農業軽視ではないかということで大変問題になりました。また、私もまさにそういうように思います。また、総理がせっかく行かれるので、農林水産大臣から大平総理にぜひ言っていただきたい、そしてぜひ中国とも話してもらいたいと思うのは、実は中国は農業、工業、国防、化学技術の四つの近代化を柱としております。特に農業については食糧自給の向上が重要課題であり、農産物について関心が強いことは事実であります。私もことし六月から七月にかけて二週間中国に行ってまいりました。その際もいろいろ申し上げたら、中国としても、なかなかいい提案であるということでいろいろ関心を持っていただきました。また外務大臣にも、また関係当局にも、このことについて外務省を通じていろいろ当たるように言ってあります。というのは、中国はいま九億七千万の人口がおりますけれども、その中で約八億が中国の農業人口であります。この中国の皆さん方がいま大変農業に力を入れていることも事実でありますが、日本にあり余っている米、古米は別として、要するに超過米を百万トンでも二百万トンでも、十年、二十年の借款でこれを中国に与える。中国から、できれば米とバーター制にして、向こうの大豆あるいはマイロ、すなわちコウリャン、トウモロコシ等を日本に入れていただく。こういうようにして何とか中国にも御協力いただく。そしてまた、中国の方で困っていられる食糧に対して、まあ嗜好が違うというけれども、われわれが行って食べますと、十分日本の米で間に合う。また喜んで食べている姿も見てまいりましたが、こういったものを中国に借款としてあげて——普通借款と言えばお金ですけれども、米はお金にかわるものでありますからあえて借款と申しておりますが、穀物借款として十年、二十年間与える。また日本も子孫に国債を、借金を残しておるわけですから、せめて二十一世紀は、FAOその他のあれでも食糧が不足することはもうはっきりしておりますので、そういったものに対してぜひともひとつ後世の子孫に対して食糧が不安ないように、隣国の中国からまたそのときは入れてもらう、返してもらうということにして、とりあえず隣国から大豆、マイロあるいはまたトウモロコシを米とバーター制にして若干入れてもらって、残った米は十年、二十年後に返していただくというようなことにしてもいいですから、ぜひひとつ中国の穀物借款ができるように、外交ルートを通じ、また今回大平総理も中国に行くわけですから、中国には過去に大変迷惑をかけておる関係もございますので、大平総理からぜひそういったことも提案し、向こうに話をしていただくように、農林大臣、閣議も出発前にあるわけですから、十分話していただいて、そしてその結果をひとつまたお聞きしたいと思っておりますので、ぜひひとつこれについても農林水産大臣の格段の御配慮と努力展望を持つ明るい農村にするために、また日本農家を守るために、日本農業を前進さすために、こういった思い切ったことをやらなければ、私は今後はなかなか進展しない、また明るい農村は建設できないと思うわけです。学校給食といっても全部で二十二万から二十五万トン、またいろいろな米の利用といってもなかなか遅々として進まない現状で、消費拡大もあの手この手でやりながらもなかなか進んでおりません。米の需要も一千万トンを割るなんていって、だんだん米を食わない脱米の時代が起きつつあるような感じもしますので、PRも、消費拡大も大いにやらなければならぬけれども、こういった大きな、外交ルートによって中国に対する穀物借款を起こすというようなことに最大努力をして、日本農業のために、就任された大臣も何か一つ大きな足跡を残すために努力していただきたい、かように思うのですが、最後に大臣の見解を承って、時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。
  132. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 全くきょう初耳でございますので、従来の経緯もよく事務当局から聞きまして対処したいと思います。
  133. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 初耳であるからあえて詳しく言ったのですが、大平総理が十二月五日には訪中されるわけですから、また閣議でなくても大臣に会われる機会があるので、農林水産大臣から大平総理にもそういったことをぜひひとつ頭に入れていくように話してもらいたいと思うが、その点はどうですか。
  134. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いま申し上げましたように、いままでの経緯もあるんじゃないかと思いますので、その点事務当局からよく聞いた上で、これはなるほど早速今度の総理の訪中のときに提言すべき問題だ、こういう判断をすれば私、閣議で必ずそれは総理に私から申し上げます。
  135. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で質問を終わります。
  136. 内海英男

  137. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 きのう大平総理が所信表明の中で、当面の最大の政治課題は政治に対する信頼であるということを言いましたが、今回三年間固定のこの問題を大幅に変更したことは、当面最大の政治課題であるその政治信頼とどうかかわるのか、簡単にお答えください。
  138. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私は、国民の信頼を回復するためにも、いままでの見通しが誤っていたことは謙虚に反省をして、その上に立って、よりいい方向に持っていくよう努力をし、それをまた、特にこの水田利用再編対策については、農民の御理解をいただくようにするのが結果的に政治に対する信頼を回復することになる、こう考えております。
  139. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 この大幅な変更というのは、省議決定を越えて閣議了解だと承知しておるわけでありますが、そうであれば、内閣全体の責任にかかわる問題だと思うのです。このような重大な変更に対しまして、農林大臣の先ほど来の釈明はお聞きしたわけでありますが、問題の性質上から言いますならば、まず総理大臣がこの農林水産委員会の場だとかあるいは本会議で釈明し、国民に了解を求めるということが筋だと思うけれども、農林大臣、御所見いかがですか。
  140. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 確かに閣議の了解事項であることは承知をいたしております。閣議了解事項の中には、原則という表現になっておることも承知いたしておりますが、いずれにいたしましても、私の責任においてやらせていただかなければいけない、こう考えておるわけでございます。
  141. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いま農民は、主として政府がこの問題でどれだけ誠実に国民の前に釈明し、謝るか、そこからでなければ出発しないと言っておるのです。これは御承知だと思う。当然、閣議了解である以上、大平総理自身が政治の信頼こそ最大の課題だと言っておるわけでありますから、そのように取り計らうべきが農林大臣として至当であると思うが、この点についてはどうです。
  142. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 大平内閣における農林水産行政の責任者でございますので、私の責任でやらせていただきたいという考え方でいるわけでございます。
  143. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 委員長にお伺いします。  閣議了解という重大な——閣議了解が大きい変更になっているわけでありますが、自民党の総裁であり、内閣総理大臣である大平首相が当然この問題について、農林水産委員会の場で、また、しかるべき場で釈明するのが筋だと私は思うし、そのようにお取り計らいできないでしょうか。
  144. 内海英男

    内海委員長 いま農林大臣から御答弁がございましたとおり、農林水産行政の最高責任者である農林大臣がここで御答弁するのが適当かと思います。
  145. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私はそれは納得できませんが、時間の関係上次へ進みます。  今回のこの三年固定の大幅変更について、先ほど当局の方から農業団体あるいは地方自治体のおおよその了解は得ているというようなお話がございましたが、秋田県知事を初め秋田県の各地方自治体あるいは農業団体も一斉に政治不信について激しい怒りを燃やしているわけでありまして、自分たちまでがうそつきになるのだ、どう説得したらいいのかということで、この問題で全部頭を痛めているわけであります。  さらに、いま私のところへたくさんの電報が参っているわけでありますが、秋田県農業団体、米穀対策本部の各団体の各レベルの本部長はどういうことを書いているかというと、五十五年度の限度数量及び転作等目標面積の配分については、本県の気象、立地条件など特殊性を十分に考慮し、昨年同様とすることについて強力に政府に働きかけるようお願いいたします。こういう文面です。  そういたしますと、先ほどあなた方の御答弁の中には何かそういう団体や地方自治体とは大まかな了解がついているというけれども、実態的に言えば、この受け取る側の国民の側でありますが、こういうのが本当の声なんだ、こういうことについてどういうふうな御認識を持っていらっしゃるのですか。
  146. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 五十五年度水田利用再編対策につきましては、この七月以来地方公共団体の団体でございます知事会なり市長会なり町村長会等と接触をいたしまして、こちらの案等も御説明意見交換等もいたしてまいってきておるわけでございます。その際に、三年間固定ということで県が市町村を指導し、また市町村が農家等を指導してきたという経緯もございますので、三年間できれば固定してほしいという意見も一部の県なり市町村等からあることは事実でございます。ただ、われわれといたしましては、たびたび会いまして意見交換をやっておりますけれども、大勢としてはやむを得ないという空気である、このように理解をいたしておるということでございます。
  147. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 この問題は、いまにハチの巣を突っついたように自治体当局者並びに農業団体を巻き込んで大変なことになるだろうと私は予測しておるわけでありますが、時間の関係上次へ進みます。  例のペナルティーの問題でありますが、三年間固定する、つまり動かさない。このただ一つの例外はペナルティー加算の場合だけであったわけでありますが、四割もの転作目標を今度上積みいたしました。こういう状況というものは、私は閣議了解変更に当たるものと思うのですけれども原則を大きく踏み変えたわけですから、これは変更に当たるものと理解しておるわけでありますが、変更じゃないのですか。
  148. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 閣議了解におきましては、転作等目標面積、米の予約限度数量の全国ないしは都道府県別数量は、原則として一期の期間中変更しない、固定するということになっておるわけでございます。もちろんこれにつきましては、そういうことでできればいきたいということで検討したわけでございますが、需給ギャップがはなはだ激しくなっておるという実態からいたしまして、この原則として云々ということの一つの例外ということになろうかと思います。この際は、米の需給計画改定し、転作等目標面積、米の予約限度数量、こういうものも変更するということがむしろ適当であろうということでそうしているわけでございまして、閣議了解に反するということにはならないと考えております。
  149. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 原則として変更しない、固定する。その原則が大きく変わったわけであります。それにもかかわらず、閣議了解の範囲内の問題だという御趣旨のようでありますが、そうであればこのペナルティーというものは当然三十九万一千ヘクタールにしか適用できないものだと思うのです。当然でしょう。その矛盾をどういうふうにお答えいただけるでしょうか。
  150. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま申し上げましたようなことで、原則の例外になるわけでございますが、転作等目標面積等を改定をいたすわけでございます。その際に十四万四千ヘクタール上積みいたしました五十三万五千ヘクタール、これが転作等目標面積というふうに考えるわけでございます。したがいまして、一つの筋とすれば公平確保措置というのはこの五十三万五千ヘクタール・ベースにかけるのが筋であろうかと思います。ただ、各県等の意見等も聞きますと、公平確保措置がむしろ五十五万三千ヘクタール・ベースにかけない方が従来の経緯からいたしましても転作の実効が上がる、その方が望ましいというような声もございますので、その辺につきまして目下慎重に検討中である、こういうことでございます。
  151. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いずれにいたしましても、これから検討課題だということですが、あすあさって配分するという状況の中で十分これから検討しますということは余りにも見え透いているということを一言申し上げたいと思うのですね。  ところで、実態としての転作が皆さん方が大々的に宣伝してきたものが一体どうなっているのか、こういう問題について少しくお聞きしたいのでありますが、私の方の秋田県で出している「転作定着化をめざして」というシリーズ物がございますが、この中には優良事例がたくさん載っておるんですね。たとえば私ども昭和町野村というところの菊の栽培の集団転作の場合、あるいは二ツ井町の富根の駒形というところの栽培組合の例だとか、問題は菊の転作だとかクワイの転作でありますが、確かに五十三年度やったそのときはもう菊なんか反当五十万の収入だったというのですね。ここに書いてある。あるいはクワイでさえも十五万円の収入になって、みんなで一生懸命いろんな施設もつくってやった。こういう優良事例が写真入りで書いてあるものですから、私は全部そこへ行ってみました。たとえば菊の場合昭和町というところです。そこで、本当にすばらしいです、皆さん御苦労さんと言ったら、なにと言うのですね。とんでもないと言うのですね。去年の優良事例で出ているその場所が、もう菊はいまは全然やっていませんよ。かね太鼓ではやしたものがもう隣近所が全部水田でありまして、浸透水がどんどん入ってくるから、どんなに機械掘りしても根腐れを起こしてどうにもならない。あるいはクワイの場合も、やっているのは行ってみたら組合長さん一人なんですね。なぜ組合長さん一人やっているかといったら、自分が言い出しっぺだというんです。責任がある。もうクワイをやるよりも出かせぎをやる方が間に合うというんで一人しかやってないんだね。そのほかに保冷貯蔵施設なんかつくったわけですから責任上自分はやらざるを得ないという状況なんですね。  それで、去年あたりそういうふうに大々的にやったのが、もう現状としてはそういう実態になっているということについて、大臣転作のいまのこういう状態についてどういう御所見をお持ちでしょうか。
  152. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま「転作の定着をめざして」という五十三年度のシリーズが秋田県の方から紹介されておる、そのことについての評価でございますけれども、私たち秋田県そのものに、ただいま御指摘になりました昭和町の菊の話なり、あるいは二ツ井町のクワイの話、この点も聞いておりますが、県の方の見方といたしましては、この昭和町の方につきましては、町村施設園芸組合という組合におきましてガラス室なりあるいはビニールハウスを持っておりますが、町編対策を契機にして露地菊も入れたということでございます。ただ、五十四年度につきましては、ただいま先生のお話もございましたように排水不良の関係がありまして、必ずしも成績はよくなかったということは県も言っております。五十五年度はこの排水対策を講じてやっていきたいということでございます。それから二ツ井町の方につきましては、これは県の見方としては、十アール当たり所得が米並みは見込めますので定著するものと見ておりますというのが県の評価でございます。
  153. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そういう事例に対する大臣の御所見を私は伺ったわけでありますから、そういう点はひとつ間違えないでください。一々詳しいこと——私、全部わかっていますから。  それで問題は、いまあなたの御答弁にもありましたようにやはり条件整備だな。そういう点、排水が悪いとかいろいろな条件の中でせっかく皆さんが血と汗を流してがんばったのがだめになっているということについての対策を大至急急いでくれ、私の申し上げたのはそういう意味なんですね。ですから農林水産省が出した「転作の現状とその推進方向について」、これはおたくで五十四年二月出した文章ですが、この中には、A県というのは秋田県のことですが、その優良事例が載っているわけです。鷹巣町の藤株という集落の事例が載っておるわけでありますが、これなんか見ますと、これは非常によくいっているのです。大豆をやっているわけでありますが、やはりそれなりの条件があるのです。たとえばこの地域農民の皆さん方が一生懸命がんばるということもあるけれども、やはりそこは比較的新しい水田であったということやら、したがって水系、水の流れが一団地化していることやら、だから水路をとめればすぐ畑地に変わっていくという条件があるわけですね。あるいは部落の共有水田があるわけですね。それを中核として転作条件があったというのは、そういうどこでも当てはまるということではないわけでありますが、農水省が推奨したこういう優良事例は、逆に教訓として、やはり条件整備を急がなければならない、そうでなければどうにもならないんだということを逆の面で訴えているものと私は思うのですけれども大臣のそれについての御所見を伺いたいと思うのです。どこそこと具体的に言わなくてもいいから。
  154. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 ちょっと私、いま中座しておりましたのでよく承ってなかったのでございますが、そういう優良事例の紹介だけでは転作の定着を直ちに期待することはなかなかむずかしいのでございまして、この転作の定着を図るための基本転作の条件整備を図ることであると考えておりますので、そういう考え方で参りたいと思うわけであります。
  155. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 ひとつ条件整備、これは私たちは緊急避難の問題としなくて、やはり日本農業を多面的に発展させるためにはこの問題がなくてはならない、一番の核だというふうに考えているから申し上げているのであって、この点を今後とも強く要求していきたいと思っているわけであります。  ついでに、限度数量の問題でお聞きしたいのでありますが、政府が出した限度数量計算では五十五年度農家消費等ということで三百三十万トンを出していますね。ところが、この問題を論議するに当たりまして、私は参考までに食糧庁内の食管月報編集委員会が発行しております食糧管理月報というものがございますが、これのことしの七月号を見ますと、五十三年度の農家消費高というものは二百四十六万五千トンと書いてある。ところが五十三年度政府が出した農家消費の実態を見ますと三百四十万トンとなっているのですね。そうすると実際の消費量は五十三年度で二百四十六万五千トンなのにかかわらず三百四十万トンと書いておるんだな。だんだん米が減っているわけでありますから、五十五年度は三百三十万トンと皆さん出していますけれども、当時でさえも二百四十六万五千トンしか農家消費をしていないのですから、もっとしているとするならば、ここに差し引き百十万トンぐらいの大幅な行方不明の実際の農家消費以外のものがあるに違いないと私は思うのですね。これは一体何なのかという、ちょっとそこを御説明していただかなければ私はわからないと思うのです。
  156. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、私どもが個々の農家のサンプルでとっております農家消費量というものと、それから全体の計算から出てくる農家消費等という数量との間には約百万トンほどのずれがございまして、この百万トンがいわゆる農家の贈答用米等の自由米というふうに考えております。この自由米の中には必ずしも農家の贈答用というような個人的なものばかりでなくて、いわゆる不正規流通米というようなものも含まれているというふうに考えております。
  157. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 つまりここに政府が出してあります五十五年度需給計画によりますと、農家消費等三百三十万トン、五十五年度の案と書いていますが、中身はそれだけではない、恐らく百何万トンぐらいの違いはあるだろうとあなたはおっしゃいましたね。その中身は、贈答用等によるもの、ほかに自由米、つまりやみ米でありますね。しかし、この米はどこかに蒸発するわけじゃないでしょうし、どういうかっこうであれ、どういうルートであれ、国民の胃袋、つまり本来ならば当然消費されているわけでありますから、米の政府需給計画の中に算入すべき筋合いのものだと私は思うのですね。そうでしょう。国民の胃袋に入っているのです。国民が買って食っているのですから、その分は。贈答というのは実際はやみ米が大部分だと私は思いますけれどもね。  そうしますと、ただそういうものがありますよというだけで、そういう姿勢が一体いいのかどうか、妥当なのかどうか。当然そういうものをはっきりつかんで政府は買い上げるべきじゃないか。そうして限度数量を片一方は減らして農民を泣かす、そういうことをしなくたってその分をちゃんとカバーするならば、農民をこれ以上苦しめる必要はないと思いますけれども、どうですか。
  158. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 全体の政府需給計画の中には、先ほど申しましたように、農家消費等三百三十万トンないしは従来三百四十万トンと言っておりました数字がございまして、先生のお話のように、全体の需給計画の中ではいわゆる農家の贈答用米等も含めて需給のバランスを考えておるわけでございますが、お話のように、この農家贈答用米等の中にいわゆるやみ米と言われるものも含まれておるのではないかということは、われわれもそのような事実があると考えておりまして、これはできるだけ正規の集荷のルートに乗るようにということで関係団体等にも御協力お願いしておるところでございますが、実態といたしましてはどうしても集荷の現在の組織の中に乗ってこないものでございますので、これらのものにつきまして、たとえば限度数量をふやしてこれを流通のルートに乗せようといたしましても、実態としてはそれだけのものが流通のルートに乗ってくるということは、いままでの実情からして無理であろう、むしろそのことが生産調整を弱めるというような方向に働くのではないかというふうに考えるわけでございます。  ただ、お話がございましたように、農家消費自体についても減少が見られるということは事実でございますので、従来農家消費等につきまして三百四十万トンというふうに需給計算上考えておりましたものを十万トン減らしまして、来年度は三百三十万トンにいたしたいと考えておりますが、そうなりますればその部分は限度数量としてはふえてくるというふうに考えております。
  159. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私は非常に残念なのは、三年以上前に私国会におったわけでありますが、当時やはり食管月報、同じものです。これの五十一年三月号に、自由米の問題について政府はそれを把握するためにどうしたか、非常に困難の中でそれを把握して、担当官ががんばってそれをつかんだ経緯を書いてある。自由米の問題もちゃんとここに出ているのです。ところが今回は、政府のあらゆる資料を見ましても、農家消費だと言っているけれども、いま私聞いて、その中に自由米も入っていることを認めますというお話ですからわかりましたけれども、同じ食糧管理月報を見ましても、その実態は何にも変わっていないのに、変わったのは統計から自由米の問題の数字やその他の問題を全部隠しているということですね。この点だけ変わったということを私初めていま気がついたわけです。  三年前に私はこういうことで質問しているのですよ。何かそれは自然現象で把握しにくいものだというようなあなたの御意向でありますけれども、たとえば一反歩の減反をしなかったから次の年どうだなんていうような、そこまで厳しくおやりになっておって、片一方の部分では百何万トンもの大部分は把握しにくいなんていうような行政の姿勢、私はそこがおかしいと思うのです。ましてや潜在的にしろ、国民需要の中に、ちゃんと胃袋に入っている部分ですから、蒸発しているわけじゃないから、当然これは厳正に政府需要量をきちんと管理して買い上げるべきであり、同時に、そうすれば限度数量をわざわざ四十五万トン減らすというようなことをしなくともいいじゃないか、いわば一挙両得の本当に正しい農政あり方を示すものだと私は理解するわけだが、これについて農林大臣の御所見を伺いたいと思うのです。
  160. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私もちょっと承っておりますが、先ほど食糧庁長官が申しましたように、これはなかなかむずかしい。実態として先生のおっしゃるようなわけにはなかなかいかないんじゃなかろうかと私は判断をいたしておるわけであります。
  161. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 数々の操作をして、いろいろ自由米の問題を統計から外してみたり、そういうことはするけれども、おやりになるお気持ちはさらさらない、こういうふうに理解してよろしいですね。——なるほど、わかりました。  それでは、そういうことを十分頭に入れながら次の問題に入らせていただきますが、えさ米の問題であります。  いまいろいろな転作をやっても何をやってもだめなんです。特に水田地帯では乾田にならないわけでありますので、どうしてもいままでの技術をそのまま生かしながら、しかもいまのいろいろな諸課題にこたえる、そういう部分をカバーするものとしてえさ米をつくるという問題が各方面から論議されておりまして、特に全中では当面五年間実験事業を行っているわけでありまして、農政審議会にいたしましても、農政の今後の検討方向にえさ米の飼料穀物の導入、こういう問題も出しているわけであります。当然農林省としてもこの飼料米問題についていろいろ考えていらっしゃると思うのですけれども大臣の御所見をお伺いできればと思います。
  162. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 えさ米の関係でございますけれども、確かに先生のおっしゃるとおり、えさ米につきましては、稲作の農家にとりましては、これはつくりやすいわけでございます。主食用とえさ用と用途の違いだけでございますからつくりやすいものであります。さらにまた、湿田のような土地条件の悪いところ、これでもつくれるというメリットのあることはそのとおりであろうかと思います。  ただ、その反面、主食用の米の生産に比べますと収益性が極端に低い。むしろ物財、雇用労賃等を考えますとマイナスであるというわけでございます。そういう収益性の問題、これが最大のネックであろうかと思います。  それから、生産技術の問題なりコスト面の合理化の可能性の問題というものもございます。  それからもう一つ非常に大きな点は、流通面で主食用の米と区別ができるかということでございます。主食用の米の方は六十キロ一万七千二百五十一円もするわけでございますから、そういうものに比べますと非常にこのえさ米というのは安いわけでございます。したがいまして、主食用に横流れするとかいうことが有効に防止できるかどうかというような今後詰めるべき点が多々ございます。  そういうことで、以上申し上げましたような点について今後さらに検討を深めていく必要があろうというふうに考えるわけでございます。
  163. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 えさ米のいろいろな個々の問題をお聞きしておるのじゃなしに、そういうものはいま全中であれ農政審の意見であれ、それを導入すべきだという方向が出て、それなりに実験事業をやっていらっしゃるところがたくさんあるわけでありますね。こういう方向に対して、政府も個別の問題はたくさん問題があるということはわかっております。あしたやれとかあさってやれじゃなしに、当然大きく今後の農政の新しい活路としてこういう問題に取り組む必要についての御見解を私は大臣にお伺いしたつもりです。
  164. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いま農蚕園芸局長から申しましたように、いろいろの問題点があることは先生もこれで御理解をいただけたと思います。もちろん私ども将来の問題としては、そういうものについても飼料は当然日本にとって必要なことでございまして、いまほとんど飼料作物を外国に依存しておるというようなことを考えれば、その一環としていろいろ問題点も解決をし、飼料作物としてコスト的にも十分見合うというような形にいけるならば、これは導入すべきだと思います。その辺のところがもう少し検討しなければならないことではなかろうか、こう考えておるわけでございます。
  165. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私は、技術会議も来ておるわけでありますが、技術会議自体、ちょっと時間の関係で大変恐縮ですが質問を省略させていただきますが、いろいろやっていることも見聞きしているわけでありますし、やはりこういう面で大きく強めていく。そのためには、品種や育種を含めたいろいろな研究開発はもちろんでありますが、さらに農家が現場で流通を含めた実験をやっていくことも必要だと思うのですね。それらについては、私は、政府のお墨つきというとなんでありますけれども、たとえば全農の飼料米実験事業なんか見ますと、いま全国で三カ所やっておりますけれども、地方競馬全国協会から二千四百万円の奨励金に見合うものをいただきながら、補助事業としていまやっているわけですね。この事業自体は農林水産大臣承認を得て、その認可を得てやっておる事業なんです。ちゃんとお墨つきがあってやっているわけでありますね。ですから、私は地方の、たとえば福岡県の三潴町の例だとか、いろいろな例を持っておるわけでありますが、時間の関係上省略いたしますけれども政府が裏にずっと隠れて、何かこそこそと自分はいい子になってそっちの方でやらせて、自分の責任は全く負わないようなかっこうをちょっと感ずるのですね。もう一歩踏み出して、予算面でもひとつやっていただきたいということと、問題は、いまたとえばいろいろな地域で、農家自体が貴重な実験事業に大変な精力を使ってやっている、そういう集団でやっているところがあるわけでありますね。  こういうところのお話を聞きますと、転作に該当しないから、つまり奨励金はもらえない。それから奨励金の分はカバーするものがあるけれども、何とかこういう問題をひとつ転作面積の中には入れてもらえないだろうか。そうすると、同じ集落でやってもその部分を含めれば十分加算金ももらえるのに、この方々がいるばかりに、しかも大事な実験をしているわけですが、ずっと加算金が少なくなって相当損するというようなことではほかに迷惑をかけるようなことにもなりますので、何としてもそこだけは奨励金はともかくとして転作面積の中にはそれを含めてくれというまことに至当な要求を私はいただいているわけであります。こういうことについてせめてその分は考える、こういうことは私は行政の方向としても妥当であろうと思うのですが、これはいかがでありますか。
  166. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 現在全農の方で全国三カ所ほど実験ということで実施をしております。ただ、転作作物というふうにこれを見るかという話につきましては、現在の転作それ自身が稲から他作物への転換ということでもございます。したがいまして、同じ稲で用途が違うというだけでございますので、これを転作と見るわけにはまいらぬということで奨励金等は交付いたしておりません。  それからもう一つは、奨励金は交付していないが、いわゆる転作実績といいますか、そういうものにカウントしてくれという話もございます。ただ、この面につきましても、これを転作実績にカウントするということになりますれば、それは役所としてそういうものを推進するのである、奨励するのであるという立場に立つことにもなりますので、これをカウントするという問題についても簡単にはいかないのではないか。ただ、そういう要望が非常に強く出ておりますので、目下検討をやっております。  以上でございます。
  167. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 異なことを聞くという言葉がございますが、先ほど来何回も繰り返して申し上げておりますが、農政審の御提言の中にもそういう問題を提起している。しかも、今後は行政と一体になって進めると言って全農、全中がもう実験事業を始めている。私のところの秋田県の大曲市というところでは、市が単独でえさ米の実験をやっているわけですね。もう水田地帯ではそこしかあと脱出の道がないのです。大きな農政の方向から見ればこれは大変大きい政治課題でもあると思うのです。ただ、あなたがおっしゃったように、ほかの米とどうだとか食用と混ぜるなんて、こんなことはとっくに解決するのだ。たとえば急速乾燥で全部胴割れにしてしまうとか、こういうのが実際新聞記事に出ておるのですよ。やはり問題はアメリカの関係だと思うのです。  そういう点で、外国の意向の中で日本の農業の自主的、民主的発展、そういう農民の意欲は削ってしまう、こういう姿勢のあり方にかかわる、またその疑いを持たれるようなことになっては私はまずいと思うのですね。そこまでは申し上げませんけれども、いまの二瓶さんのお話では、役所が奨励する立場に立つんじゃないか、そのことはとんでもない話だというように聞こえたのですけれども、少なくとも実験、研究、育種というものはおたくの方の技術会議ですかでさえもやっておるのですから、そうしり込みする問題じゃなしに、やはり政府はやるんだ、研究しながらこれを本格的に将来持っていくんだ、少なくともそういう方向は示したところで農民にとっては決して——いまのようなお姿から比べると全く違うわけでありますけれども、これはどうですか農林大臣、あなたの責任の中でこの問題についての御見解をちょっとあなたから一言お伺いしたいと思うのです。
  168. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 これはいまいろいろ話を聞いておりますが、いますぐという問題でなくて将来の問題としてひとつ慎重に検討させていただきたいと考えております。
  169. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 将来というものは現在からかかって将来なんですから、現在を抜きにした将来はあり得ないわけでありまして、いまからかかった将来だというふうに、これは当然のことですが、そういうふうに私は理解してこの質問を終わらせていただくわけです。  最後は、米の消費拡大の問題ですが、先ほど農林水産大臣学校給食の問題をお話ししましたね。これは大変結構だと思うのです。大学の学生生協の食堂がありますね。東京には大学生がたくさんいらっしゃる。ああいうところの学生給食にも値引きしてお米をやるような措置をとっていただければ、大都会ですから、しかも学生さん若いですから腹を減らしてどんどん米を食うわけですね。そういうことで、学校給食は小中学校でないからどうなるということでなしに、また、そのこと自体が学生生協の食堂やその関係者から何回も陳情されているんですね。この点ぜひともおやりになっていただくということは、私は妥当な考え方だと思うのですけれども、この点についてはいかがですか。
  170. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 先生のお話のように、米食を促進するという意味では大学の食堂等への米の供給についても考えるという点はお考えとしてはあるかと思いますけれども、現在私どもが早急にこの学校給食を普及させたいと考えておりますのは、文部省の学校給食法によりまして定められた児童を対象としておりまして、この児童につきましても、先ほど申しましたように、五十六年目標に週二回ということを普及させようとして努めておりまして、現在では週一回ちょっとという程度でございますので、私どもとしてはなるべくこの学校給食法の対象となっておる児童に対して学校給食を徹底させていきたい、そのための値引き等も行っていきたいということで、現在のところまだ大学の生協については考えておりません。
  171. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 まだ大学の生協については考えていないというわけでありますが、いま米の消費拡大の問題が農民の問題だけでなくて、国民の大きい課題として提起されているわけでありますので、十分これは検討に値するだけでなくて、教育という観点からするならば小学校、中学校というだけでなしに、当然これは検討して、国家百年の人材育成に役立てる。労働者と不平等が起こるんじゃないかとか、そういう乳臭い話じゃなしに、当然文部省の法律の関係も私存じておりますけれども、そこら辺の検討を農林省のサイドから積極的に問題を提起すべきだ。時間が来ましたからまとめて言いますが、そういう意見を申し上げて、この点についても農林大臣の御所見をいただきたいと思うのです。  もう一つの問題は、これも同じことですが、消費者米価を大きく上げる。たとえば消費者米価の値上げはことしの二月にやりましたが、四・二%です。金額換算しますと八百六十億円相当になるのです。政府資料によりますと、米消費拡大推進対策の概要というのがありまして、私の方でこれだけ米消費に金を使っていますよという表があるわけですね。これは全部が該当するかどうかどうも怪しいところもありますけれども、それにしても五十四年度百二十八億なんですね。ところが、消費者米価をどんどん上げて八百六十億円相当になりますから、もうすぐその部分は吹っ飛んでしまうのです。同時に大蔵省が来年、五十五年四月から、いま予算案で大蔵構想の中へ出ているのは六%上げようというのですね。そうすると千二百八十億円になるのです。  せっかく皆さん方が一生懸命になって、こっちの方では米拡大だと言っていらっしゃるのに、片一方では消費者米価値上げだと言うと米離れを促進する。こういう方にも力を入れていらっしゃるということは矛盾していると思うのです。そういう点も一つ重大な問題だと思うのでありまして、この点についての御見解もあわせてお伺いしたいわけであります。  なぜこういうことを申し上げるかというと、私は日本人ですから、日本の味、日本の米、こういうものはやはり民族的なものとして本当に正しく育てていく必要があるという見解なんです。かつて私は戦争でフィリピンのジャングルの中にありまして、全く骨と皮になって、そのとき毎日夢幻に出てきたのは、熱い飯に熱いみそ汁をがぶっと飲めばその瞬間死んでもいいと思いました。本当にそういう感じがしたわけで、いまそういうことを改めて申し上げるわけでありますが、そういう民族性の問題も含めて、最後に大臣から御所見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  172. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 日本人の心の中には、やはりみそ汁とたくあんで御飯を食べるところに大変食生活としての楽しみがあるというようなことをみんなが思っていただけるようになるのが私ども一番ありがたいわけでございまして、そういう点に対して、できるだけ努力をしておるつもりでございますが、なかなかうまくいかなくて申しわけないと思います。  ただ、いまのそれに関連して二つの問題、学生生協の食堂ということになりますと、あと勤労者のいろいろ各会社、工場の食堂もあると思いますし、あるいは実際そういうところが、たとえば御飯だけしか出さない、ラーメンもパンも一切出さないというようなことがあるのなら、またこれも話は別かと思いますが、なかなかそうはいかなくて選択的な問題があると思いますから、そういう点において私は非常にむずかしい問題があるのではなかろうかと思います。  それから、米価の問題につきましては、いま消費減退ぎみのときに上げるというのは何かというのは確かにそのとおりだろうと思いますが、一方においては、何年か前から食管の赤字解消のために逆ざやを解消するのだという方向で進められてきていることも事実でございまして、それをどう調整するかというのがこれから消費者米価を考える場合の問題点であろう、こう考えておりまして、消費者米価の問題のときには両方の意見を十分考えながらやっていきたいと思っておるわけであります。
  173. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 終わります。
  174. 内海英男

    内海委員長 神田厚君。
  175. 神田厚

    神田委員 本日、昭和五十五年度水田利用再編対策の問題につきまして大臣説明を聞いたわけでございますが、午前中からの審議を通しまして各委員の方からも御指摘がありましたけれども、まず三年を一期として閣議了解までしてきたこの問題をどうして期の途中で変えなければならなかったのか。いろいろ御説明をいただきましたが、これを受ける生産農民の方は、すでに三十九万一千ヘクタールの段階でもその消化が非常に困難であったわけでありますが、それにかてて加えて自主努力をしながら農林水産省方針にできるだけ沿うような形で協力をしてきたと思うのであります。そういうことにかんがみまして、農林水産大臣として、この生産農民に対しましてまた新たに五十三万五千ヘクタールの転作目標を明示をしたという段階でどういうふうなお気持ちをお持ちでありますか、改めてお聞かせいただきたいと思います。
  176. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほども申し上げましたが、こういう事態になったことに対しては、まことに私ども見通しが甘かったということにおいて反省をし、生産の意欲を持って努力をしていらっしゃる農民に対してとにかくできるだけ米については御遠慮願いたいということを、しかもいまお話しのように三年は固定をすると言っておきながらそれを三年目で変えざるを得ないということになったことに対しては、まことに申しわけがないという気持ちでいっぱいでございます。
  177. 神田厚

    神田委員 これを受ける方の農民自身もそうでありますけれども、それを推進していく行政の方もやはりこれから決定するまでいろいろな努力が必要になってくるわけでありますが、先ほど議論を聞いておりますと、それでは今度の五十三万五千ヘクタールを明示したということは、閣議了解をほごにして、明確に閣議了解変更したんだというふうに受け取っていいのかどうか、いかがでございますか。
  178. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 五十三年一月二十日の閣議了解におきましては、転作等目標面積、米の事前売り渡し申し込み限度数量等につきまして、全国ベース及び都道府県別数量につきまして原則として三年間固定する、こういう書き方でございます。したがいまして、第三年目の五十三年度原則として固定したいということで検討しましたけれども、最近の需給情勢からいたしましてそういうわけにはまいらないということで五十三万五千ヘクタールに増額改定するわけでございますけれども、これは閣議了解原則として固定するということにも相なっておりますので、いわばその例外ということになろうかと思いますが、やむを得ざる措置としてやりたい、こういうことでございます。
  179. 神田厚

    神田委員 先ほどは原則だから変更をしてもいいんだ、局長はそんな答弁をしましたけれども、もしもそういうふうな考え方でこれから先の農政を進めていくということになりますと、これは大変なことになりますね。少なくとも権威のある閣議了解がされていて、そこでこういうふうな形でやっていきます。しかし、原則としてこういうような形でやっていくというようなことは明記はされておりますけれども、話を聞いていますと、原則という言葉があるから変更をしてもいいんだ、もしこんなふうな考え方、それでいいと思っていたならば、これから先の農政、営農すべての問題につきまして責任を持った行政の指導なり決定なりができないじゃありませんか。その辺はどうですか。
  180. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 原則として固定するということでございますので、考え方としてはやはりこの三年間は固定すべきものということで努力すべきものだ、こう思いますけれども、現在の需給ギャップというものが非常に極端でございますので、このまま変えずにいくということの弊害の方が多いのではないかということも考え合わせまして、原則として固定するということで、これを原則でない形でやることははなはだこれは心苦しい話でございますし、望ましい話では決してないわけでございますけれども、やむを得ざる措置ということで目標面積等は改定をする。もちろん基本的枠組みの奨励金水準なりその他についてはそのままということで臨みたい、こういうことでございます。
  181. 神田厚

    神田委員 私が質問の中で聞いておりますのは、つまり変更という問題を正面に出していくならば三十九万一千ヘクタールプラス十四万四千ヘクタールという形にするのか、それとも三十九万一千ヘクタールという閣議了解のそういう線はそのままに一応考え方としてあって、さらに上積みというのは、閣議了解というようなことから、そのとき三年を一期として決めたということとは別枠で十四万四千ヘクタールという考え方をとるのか、その辺はどうでございますか。
  182. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 五十三年度、五十四年度転作等目標面積、これは三十九万一千ヘクタールでございます。  そこで、今回やむを得ざる措置といたしましてさらに十四万四千ヘクタール上積みをいたしますが、この上積みをいたしました五十三万五千ヘクタールが転作等目標面積、こういうことに相なるわけでございます。県別も同様でございます。
  183. 神田厚

    神田委員 そうしますと、全体として五十三万五千ヘクタールを五十五年度にする。ですから、三年間を一期とした三十九万一千ヘクタールプラス十四万四千ヘクタールではない、こういうふうに考えていいわけですね。
  184. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 五十三年度、五十四年度転作等目標面積が三十九万一千ヘクタール、それに対して五十五年度は五十三万五千ヘクタールというふうにいたしたい、こういうことでございます。
  185. 神田厚

    神田委員 質問に答えてないじゃないですか。
  186. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 五十三年度、五十四年度転作等目標面積が三十九万一千ヘクタールでございますが、五十五年度転作等目標面積はと言われますと五十一二万五千ヘクタールということにいたしたいということでございまして、三十九万一千ヘクタールという前年との対比で言えば十四万四千ヘクタールの増額改定になります、こういたしたいということでございます。
  187. 神田厚

    神田委員 ですから、私が質問しているのは、五十三年度と五十四年度は三十九万一千ヘクタールと決まっているわけですね。それで、この閣議の方では三年間を一期としてこれを変更しないと言っているわけだから、今度新たに五十五年度は五十三万五千ヘクタールというふうにしたのは、つまりその三十九万一千ヘクタールプラス十四万四千ヘクタールというふうにその性格を分けて考えるべきなのか、全体として五十三万五千ヘクタールという形で、つまり閣議了解変更して、これをほごにしてそういう決定をしたのかということを聞いているわけであります。
  188. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 三十九万一千ヘクタールという五十三年度、五十四年度転作等目標面積、これが五十五年度の場合は五十三万五千ヘクタールというものに変わる、こういうことでございます。そうすると、どのぐらいふえたかと言えば十四万四千ふえた、こういう話でございます。
  189. 神田厚

    神田委員 なぜこれを聞いているかというと、これから後の、たとえば三十九万一千ヘクタールプラス十四万四千ヘクタールとした場合は、ペナルティーの問題やその他の関係で、全体の五十三万五千ヘクタールも、最初に五十三年、五十四年度にいろいろ行政として指導したような形で、全体的なものでもこれをするのかどうか、そういう問題とも関連があるから私は聞いているのであります。  さらに、その配分の問題で、これから配分の質問もしますけれども、三十九万一千ヘクタールプラス十四万四千ヘクタールというふうに分けた形でもしも配分の要素等にそれが加わっていれば、いま局長の答弁したような形では非常に答弁が不明確だというふうに判断をしているから質問をしているわけであります。
  190. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ですから、転作等目標面積ということになりますれば、五十五年度については五十三万五千ヘクタールということで、三十九万一千ヘクタールに十四万四千ヘクタールを足し上げたものが一本で五十三万五千ヘクタールという転作等目標面積になるということでございます。
  191. 神田厚

    神田委員 大臣にお伺いしますが、どうもちょっと局長の答弁では納得ができませんけれども、その辺は、大臣はどんなふうな御認識をお持ちでありますか。
  192. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 なかなかこの辺が微妙な問題でございますので、局長は非常に苦慮して答弁をしているのじゃないかと私は思うのでございますが、けさからの質疑を承っておりまして思うことは、要は、閣議了解は三十九万一千ではなかったか、原則であっても、それを変更したということになって五十三万五千というものが新たに生まれてきたということにおいて判断をしていくのか、あるいは十四万四千が別の考え方で特別に加わっていくのか、こういうことかと思います。  私は、率直に言って、これはやはり閣議了解でございますが、あくまで原則というところにとらわれさせていただいて変更をしたということにしていかないと、これからの配分の問題その他においては非常な問題が起きてくると思いますので、私としては、原則はあくまで原則でございまして、今日の米の需給のバランスがこれほど崩れたときからいけば、やはり五十三万五千で行かざるを得ない、こういう判断をしておるわけであります。
  193. 神田厚

    神田委員 大臣の答弁で大体考えていることがわかってきましたが、この閣議了解は、「五十三年度以降おおむね十年間の事業とし、これを数期に分けて実施する。」ということを明確にうたっているわけでありますね。問題になりますのは、年限の問題で言いますと、「五十三年度以降おおむね十年間の事業とする」ということについては大きな変更はないのかどうか。さらに、「これを数期に分けて実施する。」という考え方には大きな変更がないのか。つまり、後の方から言いますと、こういうふうなことをやっていきますと、いわゆるその「数期に分けて」という考え方がなくなってくるのですね。単年度需給ということだけを考えていきますと、その都度その都度変えていく、そういうことでは、私は転作の有効な施策ができないと思うのですね。ですから、この「数期に分けて実施する。」ということがまず基本として残るのかどうか、「おおむね」という言葉がありますけれども、十年間なら十年間という形を、その大枠をつくるのかどうか、この辺はどうでございますか。大臣、どうですか。
  194. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 こういう形になったのは、繰り返すようで大変恐縮でございますが、私ども見通しが甘かったがために消費の拡大が思うようにいかなかった、逆に反収はおかげさまで増加したということにおいて、非常に大きな需給のアンバランスが出たわけでございまして、このまま放置ができない、三年周期でございますから、もう一年三十九万一千のままで、それこそ自主的に調整をお願いするということでいければ、それはいいのでございますが、それではもっと大きな需給のアンバランスがまた出るであろうということを非常に心配をいたしまして、もう緊急的にこれをやらざるを得ない、こういう判断でございまして、今後ある程度の何年間を周期にしてやっていく考え方は変わっておりませんし、五十六年度以降の分については、このような見通しを誤らないような形をきちんとしていきたい、こう考えておるわけであります。
  195. 神田厚

    神田委員 次に、配分の基準と算定の根拠について御質問申し上げます。  各都道府県別のこの配分が数日中に出されるというふうに聞いております。私が不満に思っておりますのは、この前の生産調整のときもそうでありましたけれども、この委員会に対しましては、二日後あるいはその次の日あたりに公表される各都道府県別数量資料として提出をされない、しかもその配分の根拠になっておりますいわゆる基準のとり方につきましても、算定の要素につきましても全然ここの委員会資料として提出をされてない、こういう中でわれわれはどういう議論をすればいいのか。そういうことを考えますと、私は、すでに省内での検討はおおむね終わっているというふうに聞いておるのでありますけれども、したがいまして、各都道府県別数量をこの委員会に明示をする考え方があるかどうか、当然われわれはそれを要求したいと思うのでありますが、その点はいかがでございますか。
  196. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 目標県別配分につきましては、目下慎重に検討作業を進めておる段階でございます。配分方針につきましても現在申し上げ得る段階に至っていないわけでございますけれども、この面につきまして、その辺の方針の点の作業の進みぐあい等、資料を出してほしいという点でございますが、この点につきましては、地域的にも非常に利害の対立する問題でもございますし、その辺は御容赦をいただきたいと思います。
  197. 神田厚

    神田委員 地域的に利害の対立するものはこの委員会に提出できないということが、もしもそういうふうな農林省の考え方であるならば、これはゆゆしい問題です。地域的な利害があるからこそこの委員会できちんと相談をし、そして適正な配分をわれわれはそれによって要求をしていくわけでありますから、地域的な利害が大きいから委員会資料が出せないなんという答弁は、それは聞き入れられません。それは取り消してください。
  198. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま申し上げました点につきましては、利害が対立するから云々ということにつきましては取り消します。  いろいろ地方によりましての意見が分かれておりますので、その辺を十分伺った上で、検討した上で公平適正に配分したいということで、目下作業を進めておるわけでございます。
  199. 神田厚

    神田委員 いま都道府県別数量を明示しろというふうに私は言いましたけれども数量を明示するには算定の、要素がきちんと確定していなければなりませんね。あるいは算定の要素についての問題が整理をされていなければいけない。そうしますと、現在はどうなんでございますか。これはこういうことでやるというふうな問題につきましても、われわれには知らせることができないのでありますか。三十九万一千ヘクタールを変更して五十三万五千ヘクタールにしていくというような大事な原則変更があったということを認めていながら、算定の基準なり算定の要素なり、それからそのおおむねの都道府県配分の数量なりの明示ができないというのじゃ、それはおかしいんじゃないですか。
  200. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 検討作業は、大いにいろいろなケースを考えて作業はやっておることは事実でございます。本日のこの委員会における先生方の御意見等を十分考えて、その上で公平適正な配分にしたいということで鋭意考えておるわけでございます。
  201. 神田厚

    神田委員 委員長にちょっとお願いしますが、これだけ大事な問題をこの問題にしぼってやろうという状況であります。昨年は、われわれはやはりこういう押し問答をしましたけれども、ついに都道府県に対する数量の明示も、算定の基準、要素のとり方についても、この委員会では説明を農林省はしなかった。しかしながら、閣議了解の大きな条項を変更しながらやろうとしている中では、少なくとも昨年の算定要素に沿ってやっていくのか、あるいは算定要素そのものも非常に大きく変えていくような形になっているのか、そういうことも含めて農林水産省にきちんとした資料を出さしていただいて、その後にこの問題を引き続き審議したいというふうに私は考えております。委員長にそれをお願いしたいのですが、いかがですか。
  202. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 おっしゃるお気持ちも私は大変よく理解できますけれども、先ほど来、きょうの質疑の中でもお話が出ておりましたように、いろいろそれぞれの地域の実情などは複雑に絡み合っているようでございまして、そういう中で県別の配分をここで御議論いただくということについては大変むずかしい問題が出てくるのではないかと私は危惧しておりますので、決して国会軽視ではなくて、かえってそれが混乱を起こすということにおいて心配をいたしておるわけでございますので、何とぞこの問題については私ども行政当局の責任でやらさしていただきますので、ひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  203. 神田厚

    神田委員 大臣の答弁では納得できませんから、直ちに理事会を開いてこの問題の取り扱いを協議をしていただきたい。
  204. 内海英男

    内海委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  205. 内海英男

    内海委員長 速記を始めて。  本問題を理事会で協議するため、この際、暫時休憩いたします。     午後四時二十九分休憩      ————◇—————     午後四時五十七分開議
  206. 内海英男

    内海委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産大臣
  207. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほど来の問題につきまして、農林水産省といたしましての統一した考え方を申し上げますので御理解をいただきたいと思います。  五十五年度目標改定は、生産調整に要する数量二百四十五万トン見合いの面積といたしまして五十三万五千ヘクタールといたします。配分の算定に当たりましては、これまでの目標面積でございました、いわゆる五十三年にお決めいただいた目標面積の三十九万一千ヘクタールにつきましては従来どおりの配分という形で取り扱いまして、新たに積み増しになります十四万四千ヘクタールについての配分方針につきましては、従来の配分基準のほか、きょう御議論のございましたいわゆる水田面積割りの考え方などを要素とすることについて検討をさしていただきます。こういうことで御理解をいただきたいと思います。
  208. 内海英男

    内海委員長 質疑を続行いたします。神田君。
  209. 神田厚

    神田委員 理事会の協議でただいま大臣の申されましたような形で農林水産省の見解の一部が伝えられたわけでありますが、その見解をお聞きしますと、一つは三十九万一千ヘクタールといういわゆる三年一期を固定した考え方が貫かれて、さらに十四万四千ヘクタールの上積み分があったというふうに考えていいわけであります。  それで、この算定の要素につきましても、ただいまお話ございましたが、私はもっと具体的に、たとえばこの従来の算定の要素の第二項目にあります自主流通米比率要素というのをこの場合は二〇%とっておりますけれども、現在もこんなふうに二〇%もここでまたとるような状況なのかどうかという疑問も持っているのであります。しかしながら、全体としていろいろ要素配分についての検討もこれからやっていくということでございますから、新たな積み増し分につきましては、十二分な、慎重な検討を要請したいというふうに考えております。  さらに、そういう形になりますと、十四・四万ヘクタールについては、ペナルティーの問題はどんなふうに考えるのかという問題が一つ残ってくるわけでありますが、この点はいかがでございますか。
  210. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 配分の関係につきまして、ただいま大臣からもお答え申し上げましたような線で検討いたしております。  それで、その配分の十四万四千ヘクタールの上積み分と、根っこの三十九万一千ヘクタールという分と分けまして検討しておるわけでございますが、結局ベースになる五十三万五千ヘクタールそのものが県別に配分になるわけですが、その五十三万五千ヘクタールが一応正規の転作等目標面積になるということからすると、それに公平確保措置を適用するというのが筋ではないかという意見が筋論としてあるわけであります。ただ、これにつきましては、むしろそういうことをやらない方が転作推進等もうまくいくということから適用しないでほしいという多数の県からの意見もございます。そういうこと等もよく考えまして、近々中に結論を出したいということでございます。
  211. 神田厚

    神田委員 局長の答弁は前より大分よくなりましたからそれで私も評価しますが、三十九万一千ヘクタールプラス十四万四千ヘクタール、この十四万四千ヘクタール分につきましては、考え方としては、やはり農民あるいは多くの農業団体等の自主努力的な性格も持っているわけだから、その分については一生懸命やるけれども、いろいろな状況でできないような部分については、ペナルティーというような形で行政的なものを余り締めつけないような考え方も持たなければいけないというふうにわれわれは考えているわけですが、その辺はどうですか。
  212. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま先生からお話がございましたような御意見が、県の担当者等の意見を聞きますと相当強く出ておるということは事実でございます。したがいまして、先ほど言いました五十三万五千ヘクタール・ベースでかけるべきだという筋論の話といまのお話、これも十分踏まえまして最後的に近々中に決めたい、こういうことでございます。
  213. 神田厚

    神田委員 私は、いままでの議論の中で特に大臣お願いしたいのは、やはり農政問題は農林省だけがやるのではない、農林省が一生懸命計算してやっても、こういう見通しを誤っていろいろなことが起こっている。そういう状況から考えれば、国会は、農林省の考え方につきましても自由な意見が出されて、それらについて事前に、たとえば見通しが間違わないような形で議論ができなければいけないわけですから、農林水産委員会あるいは国会自体に対しましてもう少しこれを重要視して、当然利害が対立するからこそ各議員あるいは各政党の話も聞かなければならないわけですから、そういうことをひとつこの際十二分に考えてほしいと思いますが、お考えをお聞かせいただきたい。
  214. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私は幸い官僚出身の議員ではございませんで、いわゆる政党人でございますから、これから農水の委員会と私ども農林水産省との関係は、できるだけそういう御趣旨を尊重した形でいきたいと思っております。
  215. 神田厚

    神田委員 次に、転作問題に移らせてもらいます。  この五十三年一月の閣議了解の中には、米とほかの作物の価格を縮めなければいけない、こういうようなことも言われているわけでありますけれども、この間農林水産省転作の終わった段階で調査をまとめているようでありますが、その調査の結果を見ましても、どうしても転作奨励金が加算をされなければ前年度の収入が確保できていない、こんなふうな調査結果が出ておりますね。そうしますと、農民にとりましては、やはり農政の転換期に当たりまして、転作奨励金というのは非常に大事なものになっております。ところが、大蔵省等の考え方は、五十五年度はともかく、五十六年度以降の転作奨励金等につきましては、単価の切り下げ、いろいろな問題につきましてこれを厳しくやっていくというような方針を明確にしているわけであります。  それで、先ほど大枠として十年間のいわゆる水田再編利用対策は続ける、それから数期に分けてという考え方も堅持するということになりますと、転作に対する考え方転作奨励金については、それではどんなふうに考えているのか、この辺につきまして、大蔵省が非常に厳しく言っております段階で、当面五十五年度はどうするのだ、五十六年度以降についてはどういう態度で臨むか、この二点を大臣にひとつお願いします。
  216. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 五十五年度につきましては、まだ予算の概算もできていない現況でございますし、いま財政当局と農林水産当局とで詰めておる段階でございますが、私といたしましては、これはどんなことがあっても、五十五年度については五十四年度の奨励金を切るようなことのないように努力をしなければいけない、ぜひこれは確保しなければいけない、そういうつもりで私はやらせていただきます。  五十六年度以降につきましては、これは全体の見直しをどうするかという中で、たまたま来年度は一九八〇年代の農政見直しもやることになっておりますので、それらを踏まえて考えていかなければなりませんので、いまここでどういう考え方かということについてはまだ全く固まっておりませんので、お答えができないのはまことに残念でありますが、御理解をいただきたいと思います。
  217. 神田厚

    神田委員 五十五年度は鞍作奨励金等につきましても全面的にがんばるという話でございますが、五十六年度以降はそれらについて全く白紙だというのは、私は非常にこれは問題があると思うのです。五十五年と五十六年というのは、そんなに切り離した考え方はできないわけですね。ですから、こういう問題はやはり三年ぐらいの一つ一つの区切りの中で、それから三年先はどうしていくのだというものを持ってやらなければ、当然農家の方にとりましてはむずかしい状況になるわけですから、少なくとも今後五年間程度は、転作奨励金等につきましてもやはり現在の状況の中で、つまり水田再編のむずかしい状況を勘案して、転作奨励が少なくとも大蔵省の考え方によって押し切られるようなことではなくて、農民の立場に立ってこれを守っていくというような、それぐらいの大きい話はできないものでございましょうか。
  218. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 ちょっと誤解があったかと思いますが、決して私は財政当局にしてやられてどうこうという気持ちではなくて、農政審議会でいまいろいろ議論していただいておりまして、一九八〇年代の方向というものを一つビジョンとして打ち出そうというときでございますので、確かに十年間の従来からの一つの期間の中で水田再編利用対策をやっていくというものは、それはそれなりにございますけれども、やはり新しい一九八〇年代の農業ビジョンというものが当然出てくるわけでございますから、それをオーバーラップした上で考えていかなければいけないのではないか。だから、そういうときに対する転作の問題、またそれに対する奨励金の問題、こういう問題はその中で考えていきたい、こういうつもりで申し上げたわけで、財政当局から五十六年度以降は厳しくされて、こちらが引き下がるというような気持ちで申し上げたわけではございませんので、ひとつその点で御理解をいただきたいと思うのです。
  219. 神田厚

    神田委員 まだちょっとはっきりしない不透明なところがございますけれども、時間がございませんので、最後に米の消費拡大問題につきまして御質問申し上げます。  先ほども委員会の同僚議員の方から御質問がございましたが、消費拡大運動と消費者米価の値上げの問題というのは、一面では矛盾する要素を含んでいるわけであります。ですから、財政当局は六%程度の来年度消費者米価の引き上げを予定しているようでありますけれども大臣としましては、五十三万五千ヘクタールの転作をやるというような大事なときに、消費の問題につきまして、消費者米価を上げるということが果たして全体的な米の政策の中で——さっき御答弁を聞きましたから、食管制度の問題、いろいろわかっております。わかっておりますけれども、しかしながら、こういう状況の中で来年度消費者米価の問題をどんなふうにお考えでございますか。
  220. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほどと同じ答弁になろうかと思いますが、現在のこういう消費を拡大をしなければならないというときに消費者米価を上げるということに対しては、私は慎重な上にも慎重を期していかなければいけないと考えておりますが、一方において従来から農林水産省の中におきましていわゆる生産者米価と消費者米価の逆ざやを解消して食管の赤字を少なくしていくという方針のあることも承知をいたしておりますので、その辺をどう踏まえていくのかということがなかなかむずかしい問題として残っておるということでございまして、とにかくできるだけ米の消費減退を来さないような形でこの問題には対処していきたい、こう考えております。
  221. 神田厚

    神田委員 その他学校給食等につきまして質問を準備し、文部省等からも来ていただきましたが、時間の関係で割愛させていただきまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  222. 内海英男

    内海委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十二分散会