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1979-11-26 第90回国会 衆議院 逓信委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十四年十一月二十六日)( 月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 のとおりである。    委員長 小林  進君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 左藤  恵君 理事 堀之内久男君    理事 武部  文君 理事 野口 幸一君    理事 鳥居 一雄君 理解 藤原ひろ子君    理事 西村 章三君       足立 篤郎君    秋田 大助君       齋藤 邦吉君    園田  直君       渡海元三郎君    長谷川四郎君       畑 英次郎君    服部 安司君       早川  崇君    古井 喜實君       森山 欽司君    久保  等君       森中 守義君    米田 東吾君       大野  潔君    田中 昭二君       竹内 勝彦君    則武 真一君       木下敬之助君    佐藤 孝行君 ————————————————————— 昭和五十四年十一月二十六日(月曜日)     午後一時二十七分開議  出席委員    委員長 小林  進君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 左藤  恵君 理事 堀之内久男君    理事 武部  文君 理事 野口 幸一君    理事 鳥居 一雄君 理事 藤原ひろ子君    理事 西村 章三君       足立 篤郎君    秋田 大助君       畑 英次郎君    早川  崇君       森山 欽司君    久保  等君       森中 守義君    米田 東吾君       大野  潔君    田中 昭二君       竹内 勝彦君    則武 真一君       木下敬之助君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 大西 正男君  出席政府委員         大蔵省関税局長 米山 武政君         郵政大臣官房長 小山 森也君         郵政大臣官房電         気通信監理官  寺島 角夫君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         郵政省人事局長 林  乙也君  委員外出席者         法務省刑事局刑         事課長     根來 泰周君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締役         社長)     古池 信三君         参  考  人         (前国際電信電         話株式会社取締         役社長)    板野  學君         参  考  人         (前国際電信電         話株式会社社長         室参与)    保田 重貞君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ————————————— 十一月二十六日  日本放送協会昭和五十二年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書 は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  逓信行政に関する件(国際電信電話株式会社に  関する問題)      ————◇—————
  2. 小林進

    小林委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  逓信行政に関する事項  郵政事業に関する事項  郵政監察に関する事項  電気通信に関する事項  電波監理及び放送に関する事項 以上の各事項について、議長に対し、国政調査承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林進

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  4. 小林進

    小林委員長 逓信行政に関する件、特に国際電信電話株式会社に関する問題について調査を行います。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、国際電信電話株式会社取締役社長池信三君、前同社取締役社長板野學君及び前同社社長室参与保田重貞君をそれぞれ参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小林進

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  6. 小林進

    小林委員長 参考人各位には、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきましてありがとうございます。  本日は、世上問題となっております東京税関当局による国際電信電話株式会社に対する関税法及び物品税法違反告発事件中心に問題を究明せんがために参考人各位の御出席を煩わしたものであります。参考人各位には、この趣旨を御了解の上、忌憚のない御意見をお述べいただき、当委員会審議が実りあるものになるよう御協力をお願いいたしたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、参考人にはその都度委員長の許可を得て御発言願い、また委員に対しては質疑ができないことになっておりますので、さよう御了承ください。  それでは、まず、郵政大臣から本件に関する報告を聴取することにいたします。郵政大臣大西正男君。
  7. 大西正男

    大西国務大臣 国際電信電話株式会社運営あり方につきまして、国民批判を招くような事態となっておりますことは、これを監督する立場にある私といたしましても、まことに遺憾に思っておる次第であります。  本問題につきましては、郵政省といたしまして、十月十三日の事件報道に接し、直ちにKDDに対し新聞等報道されている事項に関し報告を求め、その後さらに調査の上、逐次報告させているところであります。  また、かかる事態に立ち至ったことは、経営姿勢の問題でもあり、国際公衆電気通信事業運営に悪影響があってはならないと考えられましたので、白浜前郵政大臣から古池会長に対し、早急に善処するように要請をいたしました。会長もその意を体し、このような憂慮すべき事態を打開するためには、会社経営責任について厳格な姿勢で臨むべきだとし、十月二十五日、心機一転して新しい経営執行体制で臨むこととなったものであります。  その後、KDDにおきましても新しい執行体制のもとで社内組織改正人事異動を実施するほか、経営刷新委員会の設置、その他各種の自粛改善措置をとっている旨報告を受けております。  また、国際電信電話料金問題につきましては、郵政省といたしましても、かねて早急な検討を求めてきたところでありますが、去る十一月二十日、新しい料金改正案について認可申請がなされ、目下郵政省において鋭意審査を進めている段階であります。  郵政省といたしましては、できる限り事態解明に努め、早急に改善措置を講じていく観点から、KDD経営刷新委員会での調査検討の促進につき強く指導してきたところであり、また、郵政省KDDに対する監督あり方についても検討を進めているところであります。  なお、去る十一月十四日、今回の事件に関連して、税関当局からKDD及びその社員告発を受けることとなりましたが、このような事態を生じましたことはまことに遺憾であり、今後司法当局により、事態解明が厳正に行われるものと考えております。  KDD設立に当たっては、戦後日本復興期という中で、何とか諸外国に伍して国際公衆電気通信事業の円滑な遂行と発展を期することが強く要請され、そのために企業活動自主性機動性が確保できるようこれを民営形態に移すとともに、他方、事業公共的特性を確保するに必要な限度において国の規制のもとに置くこととし、これを特別立法による株式会社としたものであります。  郵政省といたしましては、監督権限行使につきまして、このような法の趣旨に十分配慮しつつ、与えられた権限範囲内で最大限の努力をしているところであり、二度とこのような事件が起こらないような方策について十分検討するとともに、今後ともなお一層業務の適正な運営が確保されるよう、適時適切な指導監督を行ってまいる所存であります。  どうか委員皆様方におかれましても、よろしく御指導のほど、お願い申し上げます。
  8. 小林進

    小林委員長 これにて大臣報告は終了いたしました。     —————————————
  9. 小林進

    小林委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤宗一郎君。
  10. 伊藤宗一郎

    伊藤(宗)委員 今回のKDD不祥事件につきまして、ただいま、郵政大臣就任早々でございますけれども郵政大臣から御報告を受けました。しかし、御報告は御報告でございまして、御就任早々ではございますけれども、今回のこの不祥事件に対してのKDD監督責任を持つ郵政省、その長としての郵政大臣としての本当の率直な所見をまずお伺いをしたいと思います。
  11. 大西正男

    大西国務大臣 KDDは、御承知のとおり国際公衆電気通信事業を行っております特殊の会社でありまして、きわめて公共性の高い会社でございますことは御承知のとおりでございます。そのような会社が今回関税法違反あるいは接待費でございますか、これをめぐるいろいろの問題につきまして国民から批判を受けておる、これはまことに遺憾なことに存じます。このようなことは二度と再びあってはならない問題だと考えます。したがいまして、郵政省といたしましては、このKDD運営が適正かつ合理的に常時確保されていくように、十分法の許されておる範囲内におきまして厳正に監督指導してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  12. 伊藤宗一郎

    伊藤(宗)委員 先ほどの御報告にもございましたけれども、また、いまのお言葉にもございましたように、許された権限範囲内、監督責任範囲内ということでございましょうけれども、いままで監督というのは実際にはどういう形で行われておったのでございましょう。  われわれも新聞報道だけでございますけれども、今回の不祥事件はことし発覚したわけでございますけれども、何年かの年限があったようでございます。その間、郵政省としてはKDDに対して具体的にどういう監督の仕方をしておったのですか。大臣でなければほかの方でも結構です。
  13. 寺島角夫

    寺島政府委員 先ほど大臣からも御報告申し上げましたように、KDD株式会社といたしまして二十八年に設立をされたわけでございます。そのもとになりますのが国際電信電話株式会社法という法律でございますが、この法律をつくるに当たりまして、国際公衆電気通信事業という事業の持っております公共性、さらには、これがKDDにおきまして独占的に運営をされるという独占性がきわめて高い、こういった点を考え合わせまして、株式会社として運営をするに当たりまして、国のコントロールと申しますか、そういったものをどの程度するかということが、その一つの調和の形がこの法律に書かれておる内容だと考えるわけでございまして、具体的に申し上げますと、第九条に「会社は、郵政大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。」かように書いてございますが、以下各条におきまして郵政大臣がいろいろなことにつきまして認可権限を持っております。この認可権がそれぞれ明定をされておるわけでございます。これの認可権として明定をされております範囲、こういった認可権行使という形でKDD監督を行っておるもの、かように考えておるわけでございます。  ところで、ただいま御指摘の、いままでどういう監督をやってきたんだということでございますが、そういう観点から監督をいたしてきたわけでございます。ただいま先生御指摘の点に関しますと、たとえば交際費等の問題などもいろいろと問題になっておるわけでございますが、この点に関して申し上げますならば、いわゆる決算そのものが、この法律によりましては郵政大臣認可対象とはなっておらないわけでございまして、利益金処分というものだけが対象になっておるわけでございます。  もちろん利益金処分という観点にいたしましても、利益の出てくる根源は決算にあるわけでございますから、そういう意味で関連の資料にももちろん目は通しておるわけでございますけれども、率直に申し上げまして、従来、決算の個々の中身、特に交際費などがどの程度であったかというふうなところまで、そこに一つの焦点を当てて審査をするという形はとっておらなかったというのが実情でございます。
  14. 伊藤宗一郎

    伊藤(宗)委員 いまの御答弁でも明らかのように、書類だけの審査等で終わっておったようでございますから、今回の事件の発生について郵政省監督責任が十分果たされなかったということを私もしかと認めます。したがって、今回の事件以後KDD株式会社でそのままにしていいのかどうかというような問題、そういう意見も出ております。また、KDDの発足当時と現在では、KDD経営基盤確立等々むしろ隔世の感があるような現在のKDD、しかも独占企業独占事業、こう見てまいりますと、これからの行政視点は、いままでKDDをどうするかということよりも、KDD独占企業という弊害から国民を守るということにこれから行政視点を移していかなければならないというふうに考えます。  その観点から、いま答弁にもありましたように、国の監督あり方について、あるいはまたKDDあり方について、この事件を契機としてもっと根本的に考えていかなければならぬ。どういう監督の仕方があるかわかりませんけれども書類だけでなしに実際会社にも、これは行政会社との接点のバランスの問題もありますけれども、もっと踏み込んで監督をしていくというような方向に改めていかなければならないというふうにも思われますけれども、そういう再検討の具体的な動きがもうすでに始まっていいのではないかと思いますけれども、その点につきまして答弁お願いします。
  15. 寺島角夫

    寺島政府委員 ただいま御指摘のありましたように、KDDのような公共的な事業独占的に行っております事業体監督ということにつきましては、やはり一番大事なのは、とかく独占ということからくるいろいろな弊害というものを、実態的にどうやってそれをより少ないものにしていくかという観点が最も大事であろうということは御指摘のとおりだと考えておるわけでございます。ただ、そのこと自体、具体的にどういう形が一番いいのかということになりますと大変にむずかしい問題でございまして、いまここで、こういうふうなことが一番いいという結論を持っておるということを申し上げられないわけでございますけれども、この事件が起こりましてから、私どもといたしましても、KDDあり方、特に監督あり方についていろいろ検討をいたしておる段階でございます。  その中には、大きく申し上げまして二つ方向があろうかと思うわけでございまして、一つは、現在の御指摘のような経営形態を含めまして、この形でいいのか、あるいはもっといい形が考えられるのかということにつきまして、こういう点はまだ省として最終的にきちっと決めておりませんが、たとえば部外の有識者の方々の御意見にも十分耳を傾けるような、何かそういったものも考えながらこの問題に対処してまいりたいというのが一点でございます。  いま一点は、現行法の中で郵政省のやってまいりました監督という点に問題はなかったのか、あるいは現行法の中でもっとやれるところがあったのではないかということを、今後に生かしていくという意味でそういった点の検討も現在進めておるわけでございまして、そういったものを省としてきちっと行う、そういう一つの場の設定ということも現在前向きに検討しておる、かような段階でございます。
  16. 伊藤宗一郎

    伊藤(宗)委員 そのうちの一つですけれどもKDDの方から中間配当認可申請が提出されたと聞いておりますけれども、こういう際ですから、どういう方針でこの申請審査するのか、しかと答弁をしてください。
  17. 寺島角夫

    寺島政府委員 先ほどお答えを申し上げましたように、利益金処分というものが大臣認可にかかわっておるわけでございます。この法の定めに従いまして、中間決算につきまして二十二日にKDDから利益金処分案につきましての認可申請が提出されまして、現在私どものところで審査をしておる段階でございます。それで、従来からでございますけれども利益金処分に当たりましてどういう観点から審査をしておるのかということでございますが、利益金処分と申しますと、一番大きいのは、株主への配当をどれだけにするかという問題でございます。それから、中間決算ではございませんが、年度決算の場合には、役員賞与をどうするのか、こういう三点が大きな問題でございます。この二つはいずれも、生じました利益社外へ流出していく金でございます。この社外流出限度あるいは適切さというのがどうであろうかという観点から、従来審査をし、認可をいたしておるわけでございまして、今回の中間決算におきましてもその観点は変わらないわけでございますが、ただ、中間決算に従いまして貸借対照表あるいは損益計算書というものも書類として添付をされてまいります。こういうものを通じまして、会社財務状況経営状況の把握、そしてまた、そういったことは来年度におきます事業計画認可にもかかわりを持ちますし、また料金問題等にもかかわりを持つ問題、こういうことで広く目を通すように、こういうふうに考えておるところでございます。
  18. 伊藤宗一郎

    伊藤(宗)委員 いずれ関連してまた御質問しますけれども、ところで、KDDにお伺いいたします。  言われるところの乱脈な経理、また巨額な交際費の使用、あるいは各方面への贈答、また目に余るとも思われます利益隠し、また役職員のはでな飲食等、いずれも報道でわれわれは知ったわけでございますけれども、これらを見聞するにつけまして、私ども逓信委員会にいる者といたしましても、KDDというのは一体どうなったのだろうか、なぜそのようなことが必要であったのか、率直に言って理解できないでおります。この際、これらの事実関係会社責任において明らかにしていただきたいと思います。
  19. 古池信三

    古池参考人 ちょっと委員長お願いしますが、私がただいまの御質問お答えを申し上げる前に一言だけ発言をお許しいただきたいと思います。
  20. 小林進

    小林委員長 よろしゅうございます。
  21. 古池信三

    古池参考人 このたび、当社内におきまする不始末について皆様方に大変御心配をおかけいたしましたことをまことに恐縮に存じております。国会を通じまして皆様を初め国民皆様方に深くおわびを申し上げたいと存じます。  私どもといたしましては、経営者としてこの事態を十分に反省をいたし、厳粛にこの事実を受けとめまして、今後自粛を強めますと同時に、社員一同とともに、国民から負託されたこの重要なる国際電気通信という事業をよりよくりっぱに遂行するために一層努力を注いでまいりたいという覚悟でおりますので、どうかこの上とも皆様の一層の御指導、御鞭撻を賜りまするようにお願いを申し上げる次第でございます。  以上、私から皆様おわびお願いを申し上げまして、ただいまの伊藤委員の御質問お答えを申し上げたいと思います。  ただいま御質問のように、まことに交際費その他経理、非常に多額の支出をいたしまして、この点は私もまことに遺憾に存じております。もちろん当社といたしましては、他の一般の会社と異なって非常に国際的な交際範囲が広いものでありまするから、そういう特殊事情がございまして交際費等もよけい使うということはありまするけれども、それにしましても分に過ぎておると私は考えます。したがいまして、目下その事情はつぶさに検討を加えておりまするが、今後十分に自粛いたしまして、決してかようなことを再び起こさないように、ここに皆様にお誓いを申し上げたいと存じます。  私は、去る先月二十五日に社長就任をいたしました。この際、新体制をもってあくまで社内を粛正をしまして皆様の御期待に沿うように努力をしてまいりたい、かように考えておりまするので、どうかその辺よろしく御了承いただきたいと存じます。
  22. 伊藤宗一郎

    伊藤(宗)委員 御弁明なり御釈明は承りましたけれども、いまお話もございましたように、まだわれわれにとっては十分わかってない面があります。もう少し、これから審議を進めるに当たってもっと事実関係を明らかにしてほしいと思いますけれども、それらにつきましてはまた他の同僚委員の御質問に譲るつもりでございます。  ところで、今回の事件が発生してからにわかにKDD郵政大臣に対して料金値下げ申請をしました。その内容等についてもいずれ御報告を受けますけれども、それとあわせまして、料金値下げにつきましては、かねがね世論からも、またこの委員会等でもしばしば問題になったわけでございますけれども、そういう値下げ世論や要望があったにもかかわらず今日までおくれたゆえん、また今回値下げ申請した案等について御報告をしてください。
  23. 古池信三

    古池参考人 お答えを申します。  料金改定の問題につきましては、会社としては従来相当深く検討を加えておりました。ただ、料金というものは申すまでもございませんが、一たん決定いたしますると容易に改定することは困難なものでありまして、ある一定期間は安定して料金を決定しておかなければならないという公共料金の特質がありまするので、これが決定に当たっては相当慎重な配慮が要ることは申し上げるまでもないと思います。  そういうわけで、ずいぶん前々から検討を加えておったのでありまするが、なかなか先の見通しその他がつかない点もあって今日まで延びておったわけであります。しかるに、昨年から本年にかけまして利益が非常に伸びてまいりました。特に本年の上半期の利益は相当なカーブで伸びてまいりまして、まあこの調子ならば将来の見通しも、いろいろな要素を加味して検討しましてもまず値下げを断行しても心配はなかろう、こういう結論に達しましたので、この際値下げをすることにいたして認可申請した次第であります。従来からもちろんこれについてはただいま申しましたような検討をしておった結果が今日になったわけでございまして、その点はどうか御理解をいただきたいと思います。
  24. 伊藤宗一郎

    伊藤(宗)委員 それと、今回申請しなかった地域があるわけですけれども、その地域についての値下げの案については、いまどういうようなことで進んでおりますか。
  25. 古池信三

    古池参考人 お答えを申します。  今回は北米あるいはアジア方面、それから太洋州、こういうところが中心になって値下げが行われたのでありまして、ヨーロッパ方面は今回は値下げをしなかったのでありまするけれども、これについてはやはりヨーロッパ諸国の動向というものも考えないと、現在は御承知のようにヨーロッパ電話料金、向こうから発信する場合は非常に日本よりは高いわけでございます。現在ですら相当な料金格差があります。この上日本側料金値下げしますと、その格差はますますふえる一方であります。でありますから、ヨーロッパ側の態度を見きわめた上でこちらの方も考えたいというわけでありまして、まあ将来の検討問題としてわれわれは考えておる次第でございます。
  26. 伊藤宗一郎

    伊藤(宗)委員 大変な利益を上げられておりますKDD、ようやく値下げに踏み切ったわけですけれども、今回申請した値下げを実施した場合、KDDの収支の見通しはどうなりますか。
  27. 古池信三

    古池参考人 現在、将来の物価の関係であるとかあるいは需要の伸び方、その他各般の資料検討いたしておりますが、本年度は、下期において恐らく認可がおりますると、十二月から大体実施に移せるだろうと思います。そうしますと、料金値下げ影響で、上期のような利益は上がらぬことはもうこれは申すまでもありませんけれども、四カ月でありまするので、それを加味しましても本年度利益は百三、四十億ぐらいにはなりはしないかと思います。  それから、料金値下げ影響がございまして、来年度からずっと若干ずつ減ってまいります。しかしながら、この四、五年の先を見通しますと、まず毎年百億程度利益は上げられるもの、こういうふうに考えておる次第であります。
  28. 伊藤宗一郎

    伊藤(宗)委員 いまのKDD申請について、郵政省はどういう審査をして、どういう形で、どういう時期に認可をしますか。
  29. 寺島角夫

    寺島政府委員 郵政省といたしましては、かねてから、昨年来でございますが、いろいろな要素を総合的に勘案をいたしまして料金問題について検討するようKDDにずっと求めてきたわけでございますが、その結果が去る十一月二十日に値下げ認可申請案として提出をされたわけでございまして、現在われわれのところで内容検討中でございます。内容に特に問題がないとなりますならば、全体として料金を下げるという申請でございますので、認可をするという方向で現在検討しておる段階でございます。  いつごろ認可ができるかということにつきましては、いま確定的なことは申し上げられませんが、KDDといたしましても十二月中には実施をしたいという希望を持っておるようでありますので、そういうことも念頭に置きながらこの、審査を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  30. 伊藤宗一郎

    伊藤(宗)委員 短い時間ですから十分な解明はできませんけれども、いまいろいろ応答のあった過程において、KDD側の経営改善あるいは体質の改善、会社の機構の改善等々をやられるわけですけれども、それに監督責任者としての郵政大臣、やはりいつまでもだらだらとしておったのでは、国民の不信感はつのるばかりです。郵政省として、郵政大臣としてKDDの自主努力を上回るような、そういう大きな政治の動きを示さなければ、私は法に定められた監督責任を全うできないと思います。就任早々大西郵政大臣、このKDDを一体どうするのか、この不祥事件をどう始末するのか、しかもそのめどを一体どの時点に置いて片づけていくのか、しっかりとした決意を承りたいと思います。
  31. 大西正男

    大西国務大臣 御質問の御趣旨はまことにごもっともな御趣旨だと思います。大臣といたしましても、こういう事件が再び発生してはならないということにつきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、そのためには、このKDDの経営の改善、それからこれに対する郵政省監督あり方、そういった問題を含めまして、そういう再発防止の具体的な方策につきましていま事務当局を督励をいたしまして、これを早急に樹立するように指示をいたしておるところでございます。私といたしましても、時期をいつかと限ってここで申し上げることはできがたいのでございますけれども、慎重かつ早急にこの問題を解決をいたしたい、このように考えておるところでございます。
  32. 伊藤宗一郎

    伊藤(宗)委員 さっきも触れましたけれども、やはりこれはKDDの問題ですから、KDDが自分で自分を浄化するという、そういう自浄の決意を持って、自主努力で再生を図っていただきたいと思いますけれども、そのことについてもう一遍古池社長の決意を御披瀝いただきたいと思います。
  33. 古池信三

    古池参考人 きわめて重大なる使命を担っておりまする当社といたしまして、今日のような事件を惹起しましたことはまことに遺憾千万に存じます。私どもはこの事件を大きな天の試練と考えまして、今後は十分にわれわれ反省をして、かようなことはもうもちろん二度と起こすようなことはなく、社内は本当に粛然としてえりを正して、われわれに与えられた使命を全うするために全知全力を尽くしたい、こういう覚悟でおりまするので、どうか御指導お願いいたしたいと思います。
  34. 伊藤宗一郎

    伊藤(宗)委員 板野参考人は、最近まで今日のKDDの基盤をつくるために御努力をされました。この際、板野参考人に御出席を賜りましたので、この事件について、またこれからのKDDにつきまして、長い間の御経験を踏まえまして、御所見があればぜひ伺いたいと思います。
  35. 板野學

    板野参考人 私からお答えいたす前に、ちょっと私おわびの言葉を申し上げたいと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。
  36. 小林進

    小林委員長 よろしゅうございます。
  37. 板野學

    板野参考人 このたび、私の在任中に起きました関税法違反の問題その他の問題につきまして、私はこの機会をかりまして、本当に私の監督が不十分でございますし、また部下の訓育が不十分でございまして、まことに私は申しわけない。国民にいろいろな疑惑を持たせ、また世間をお騒がせいたしましたことにつきまして心から私は今回おわびを申し上げたいと思います。また、こういう機会をお与えいただきました当逓信委員会委員長初め諸先生に対しまして、ありがたくお礼を申し上げる次第でございます。  私、在任中につきましては、五十二年、五十三年度から国際通信事業の非常な技術革新に基づきまする大変革の時期に遭遇いたしておりまして、もちろん先ほどからお話のございました為替相場の変動による料金改定の問題、それから新しいデータ通信の問題、その他の問題が山積をいたしておりまして、私自身がその仕事に没頭する余り、この社長室におきまする渉外の関係とかあるいは交際費の問題とか、そういう点につきまして、社長室の室長以下を私はいつでも信頼いたしましてこれを任せてしまった、こういう点につきまして今回この不祥な事件が起きました、こういう点を考えてみますると、これは私の非常な誤りであった、やはり対外的なそういう問題と対内的なそういうような仕事につきましても十分監督をいたしまして、そしてこのような事件が起きないようにやっていかなければならなかった、こういうふうにいま私はつくづく反省をし、申しわけない、特にこの関税法違反につきまして会社それからまた三人の者が告発を受けるというような、そういうまことに不幸な事件に遭遇いたしまして、本当に私、身を切られるような思いでございます。  私、国際通信というものは本当にこれから非常に大きな変転期にありますので、この国際通信というものを正しく、それから大きくこれを発展させていくということに余りにも力を入れ、余りにも頭が走り過ぎまして、そういう非常に大切な社の中、特に社長室の中を治めていく、正しい方向に導いていく、こういう点につきまして、私は非常に欠陥があった、私の監督が不十分であったというふうに思うわけでございます。そういう点につきまして重ねて重々おわびを申し上げると同時に、ただいま古池社長がおっしゃいましたように、これからそういうようなことが再び起こらないように社内の組織を変え、人をかえ、清新な気で、そして国際通信が当面しております重要な問題を解決されていく、こういうことが私は非常に必要かつ大切なことだというふうにみずから反省をし、ただいま古池社長のおっしゃいましたそういう発言につきまして、どうかそのようなふうにこれからKDD指導していただきたいというふうに考える次第でございまして、私の不明な点につきましてこの機会をかりまして、本当に国民の皆さん、それから諸先生、それからKDDの皆さんに対しましてもまことに申しわけないというふうに深く反省をし、深くみずからを責めておる次第でございます。どうかひとつよろしくお願いいたします。
  38. 伊藤宗一郎

    伊藤(宗)委員 関連質問に譲ります。  終わります。
  39. 小林進

    小林委員長 関連質問を許します。左藤恵君。
  40. 左藤恵

    左藤委員 いま伊藤委員から御質問ございましたが、私から一点だけ、関連質問としてKDD、また郵政省の方にもお伺いをいたしておきたいと思います。  今回、こうした不祥事件が起こったことにつきまして、交際費が常識を外れた異常な金額に及んだというようなことにつきまして、国際電電の経理の問題について、料金改定との関係におきましていろいろ問題にされているわけだと思います。その間につきましてこの国会でも御質疑があった中に、これからの国際電気通信の中におきまして大きな設備投資をしなければならないというふうな問題とか、あるいは為替相場の関係におきまして対ドル当たり幾らで計算してあるかというふうなこと、そして日本からの発信と外国からの着信との関係、こういうことから見ても大きな数字でないからというようなことからこの料金改定を放置しておいたということにかかわって、それが会社利益を巨大なものにして、そして交際費を異常な常識外れの数字にしたのではないかという点から考えまして、そういったことについて、一つは、私は何か歯どめというものをこれからもやっていかなければ改善にならない、このように思います。いま伊藤委員からの質問の点につきまして、一部御答弁がありましたけれども郵政省としては、国際電信電話株式会社法改正して、たとえば提出書類というものの中身を変えていくとかいうことをして、そしてその経理をもっと公開するという意味において、そしてまた公開してそれの利益処分というものが、先ほど御説明あった点だけでは国民の皆さんに納得できないだろうと思いますが、そういう点で法を改正してやる意向があるのか、そういうものを含めて検討しておるのかということが第一点。  それから、国際電信電話株式会社としては今後そういった点について、単に株主に対する説明とかいうことだけでなくて、社会的な責任という意味において歯どめというものをどういうふうにつくっていかなければならないとお考えになっておるか、私はこの点についてお伺いしたいと思います。
  41. 寺島角夫

    寺島政府委員 KDD法を改正いたすかどうかという点につきましては、現在のところまだその結論を得るに至っておりませんが、今後とも、こういった非常に公共的なかつ独占性の高い事業を営んでおります会社に対します国の監督あり方というかかわりにおきまして、いろいろな方面意見を十分に聞きながらこの問題もあわせて検討はいたしてまいりたいと考えておりますが、同時に、ただいま御指摘のありましたように、現行法範囲の中でまだできることはないのかという点につきましては、現在鋭意検討に取り組んでおるところでございますが、その検討の結果を待ちまして、必要な提出書類の整備とか、そういった点についても明確にしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  42. 古池信三

    古池参考人 ただいまのお尋ねにお答えいたします。  当社といたしましては、たとえば支出の検討という点からいいまして、今日まで社内監査あるいは監査役の監査、こういうことが若干手薄ではなかったか、こういうふうに認められますので、今後はこの監査能力を強化していこうという線でいま検討を進めております。  それからもう一つは、料金ばかりではなく、会社の経営自体につきまして、やはり社外の学識経験者、こういう方々の意見を随時お聞きして、これを会社の経営上に大きな参考にしたい。今後国際的にもますます複雑な問題も起こってまいりまするので、そういうふうな有識者の意見をぜひ吸収することにしたいというので、これはどういうような機構にしたらいいかという観点からいま検討を進めております。まあ、きょうあすというわけにはまいらぬと思いまするけれども、できるだけ早い機会にそういう機構をつくってまいりたい、かように考えております。
  43. 小林進

    小林委員長 次に、野口幸一君。
  44. 野口幸一

    野口委員 まず冒頭にKDD責任者の方々にお聞きをいたしますが、本日、サンケイ新聞のトップ面に、前逓信委員長石野久男君に対して三百万円に相当するいわゆる商品券を贈ったということが報ぜられておりまするが、御存じですか。
  45. 古池信三

    古池参考人 お答えいたします。  けさのただいま御指摘の新聞の記事を見まして私も驚きまして、会社へ出まして早速、そういうことがあるとすればこれこれの人は知っておったであろう、こう考えられる数人の人を呼びまして、そういう事実があるのか、こうただしましたところ、その数人の人はいずれも、そういう事実は知りません、存じません、こういう答えでございました。そのことをお答えいたします。
  46. 野口幸一

    野口委員 知らないものがどうしてこんなに新聞に載るのですか。恐らくこの数字が出てくるというのは、首脳部でなかったら、その三百万円という金がどこか下部の方で出てくる要素があるのですか。  そうすると、いま二、三人とおっしゃった方は、どなたにお聞きになったのですか。
  47. 古池信三

    古池参考人 ただいま名前は申し上げませんでしたけれども、きょうここに出席されておりまする板野社長、病院から昨日自宅に戻りました病気静養中の佐藤前社長室長、並びに前社長室の次長をいたしておりました小嶋、現在の社長室付、それから同じく社長室付の内山前秘書課長、それから本日出席しておりまする保田参与、まずこの五名が、もし関係があるとすれば知っていなければならない、こう考えましたので、この五名にただしましたところ、いずれもそういう事実は知らない、こういうことでございました。
  48. 野口幸一

    野口委員 まことに奇々怪々と言えばそれ以上奇々怪々のことはないと思いますが、出した方と言われているKDDが知らない、もらったという人が実は、預かって返した、こういうことを言っているのであります。こんなばかげたことが世の中にありますか。  それじゃKDDは、三百万円というのが真実だとするならば、その首脳陣以外の方が政治工作に携わっているということが言えるのですか。その他の方々もそういう金を動かしてこういう事実があったということが言えるわけですか。
  49. 古池信三

    古池参考人 私も、ただいま御指摘のように、まことに摩訶不思議な事件であると思います。しかし、今朝の新聞で見たばかりでありまして、まだ十分に調査をする時間がございませんから、今後できる限り調査を進めたいと思っておりまするけれども、まあ私が今朝調べた人以外にさようなことをやり得る立場の人はないと私はいまの段階  なおこれは調査をいたします。
  50. 野口幸一

    野口委員 この問題だけやっていても時間がどんどん過ぎるわけですけれども、もう少しはっきりしないと、そうですかと言って帰れないわけですね。一問一答のこの新聞の中では、確かに本人は、そういう事実があった、しかし私は返した、こう言っているわけです。このことについては、明らかにそのやりとりの事実があったことをいわゆる受ける側としては認めているわけなんであります。とするならば、お出しになった側のあなた方がどこから出たかわからないということになりますと、実は政界工作はいわゆる社長室の責任者以外の方々もおやりになっていたということが言えるわけでありますか。そういう事実になるじゃないですか。
  51. 古池信三

    古池参考人 社長室以外の者がそういうことをやったということは、私としては想像ができません。
  52. 野口幸一

    野口委員 それでは早急に、だれが、いつ、幾らの金を持っていって、この新聞報道によれば返したということになっておりまするから、いつ返してもらったかということを明らかにしていただきたいと思います。  次に、今回の事件を考えてみますと、まず私どもとして考えられるのは、多額の交際費が使われ出した年度、大体考えられて五十二年度、五十三年度が集中的に多いのでありまするが、各社の報道にも書かれておりまするように、くしくもそれが料金値下げの問題が国会等で議論になり始めたころから実はこの交際費の支出が多くなっている。だからそれは、いわばそういう問題についての政界、官界に対する贈答を行うことの必要性から、多額の交際費が必要であったのじゃないかと言われているのでありますが、この辺についての御見解はいかがですか。
  53. 板野學

    板野参考人 お答え申し上げます。  先ほどもちょっと申し上げましたように、五十二年度というのは、いわゆる為替変動によりまする差益があるのじゃないか、差益があるのならこの差益を料金値下げによってやればいいのじゃないか、こういう問題が非常に大きく問題として浮かび上がってきました。それからまた専用線の問題でございまするけれども、専用線の料金につきましては、私どもは、いわゆる電話級の専用線につきましては約六千万円値上げをいたしましたけれども、電信級の専用線につきましては約五億近く値下げをいたしておるわけでございます。そういうような為替変動による料金問題が非常にやかましくなっておったということと、新しいデータ通信というものが専用線によって使われる、こういうような時代になっておったわけでございます。  そういうような意味合いにおきまして、私どもといたしましても、この料金の問題というものは為替相場の変動によってこれがすぐ値下げにつながるものではないというようなことも十分国民皆様方に知っていただくように周知徹底しなければならぬし、また私どもも説明をしなければならぬ、こういうようなことでございます。  それから五十三年度になりますると、KDDがちょうど二十五周年に当たりまするので、内外からも多数の人も参ります。そういう面の経費もかさみまして、それからIFRBというような国際会議、ITUの無線主管庁会議も京都において開催されまして、約六百名というような人も参集いたしますし、私どもその当時の大島副社長がその主役の一人として活動をいたしておりまするもので、そういう面の経費も分担をして、相当の経費を出さなければならない。それから五十二、五十三年度につきましてはそういうことで内外ともにたくさんの外国の人が、五十三年度で言えば千名近い方が訪れる、こういうような非常に通信の変革期というものが急速に起こってまいりまして、私ども対米関係あるいはほかの関係につきましても、しょっちゅう国際会議に行くとかあるいは国際会議を催すとか、たとえば太平洋のケーブル等につきましても、日本でこの太平洋の第二太平洋ケーブル会議を開催するとか、各種の催し物がたくさんございました。その上に、御承知のように、五十二年、五十三年につきましては、大変たくさんの方たちもいろいろな国際会議においでになります。これは政府からもおいでになります。そういう面につきましても、一々私どもはこの通信の疎通につきましても、疎通がうまくいきますようにやりますとか、そういう関係で大変仕事がふくそうをしておりまして、必然的にこういう経費がかさんできた、こういう点につきまして御理解をいただきたい、こういうぐあいに思います。
  54. 野口幸一

    野口委員 そうしますと、板野さんにお聞きしますが、昭和四十九年度前後からの交際費から勘定いたしますと、五十三年度の支出は約四倍に上る二十二億三千八百万と伝えられておりまするが、そういった交際費の支出はやむを得なかった数字である、つまり社を運営していく上においては、この二十二億三千八百万というのは全くいまもって恥じない支出であったとおっしゃるのですか。
  55. 板野學

    板野参考人 お答え申し上げます。  私は、この交際費の中身につきましては、非常に経理に不案内でございまするので、ここでこれが妥当であったかどうかという点につきましてお答えをいたしかねますけれども、私は、もうちょっとあるいは節約はできたかもしれません。そういう点につきまして、経理内容を私よくわかりませんので、これが直ちに妥当であった、こういうことを申し上げておるのではございませんで、経費の増高のいろいろな理由があったということをお答えとしていたしたわけでございます。
  56. 野口幸一

    野口委員 私は、その二十何億という金が、いまあなたがおっしゃったような経過の中で使われたということだけにとどまらない問題があるのではないかという疑いを持つものであります。  逓信委員会等における当時の大臣答弁が、答弁なさるごとに後退をしていく事実がございます。当初、この変動相場制のとられている現状において国際電話料金という問題については国によって格差が出ているが、これに対して協定を改正してはどうかというように、五十三年二月七日の予算委員会におきましてわが党の岡田利春議員がお聞きをいたしております。その際におけるところの大臣答弁は、いわゆる新しい国際電気通信料金については積極的に取り組んでいきたい、積極的に進めたいという答弁が一番初め伺われたのでありますが、回を追うごとにこの大臣答弁が柔軟になってまいりました。一番最後にはどういう形になったかといいますと、五十三年の五月段階においては、所管大臣として料金を下げることは一番楽しいことだけれども、この種の企業は経営基盤の確立が第一であるということで、いわば全く前向いて料金改定をしようという考え方を持たないような答弁をされておるのであります。つまり客観的に見ますると、この料金値下げ問題について答弁ごとに前向きになっているはずのものが、実は後ろ向きになっている。くしくもそれと同時に交際費がどんどん使われている。しかも新聞報道等によれば、元服部郵政大臣に対する贈答の問題もこれあり、私は決してこの問題が無関係だとは言い切れないと思うのであります。  そこで私は、その問題は恐らくこの委員会解明をしていかなければならない課題ではありますけれども、いま直ちにということにはならないかもわかりませんので、少しく別の角度からお尋ねをいたします。  まず、保田さんにお聞きをいたしますが、保田参与の社長室での役割りというのは一体何でありますか。会長からどうぞ。
  57. 古池信三

    古池参考人 お答えいたします。  保田参与の役割りといたしましては、社長室におりまして、部外からの、たとえば会費でありますとか協賛費、こういうものの要望がありますときにこれを処理する、あるいは社長室長の物品購入に対する手伝いをするというような仕事、それから社長室における物品の管理、そういう仕事を分担しておったと存じます。
  58. 野口幸一

    野口委員 そうすると、その業務の中で、総会屋対策あるいは励ます会等のパーティー券の処理というのをおやりになっておったのは保田さんですか。どうです。
  59. 保田重貞

    保田参考人 お答えいたします。  そのとおりでございます。総会屋対策、寄付、賛助関係、上司が買いつけた物品の事務処理、管理等でございます。
  60. 野口幸一

    野口委員 この際、正直に答えていただきたいのでありますが、保田さん、あなたがお取り扱いになりました絵画の類、骨とう品の類をある省の偉い人に差し上げるなどと言っておられますが、それはどの省のどなたにその絵をお上げになったのですか。
  61. 保田重貞

    保田参考人 お答えいたします。  そのような事実はございませんでした。
  62. 野口幸一

    野口委員 そうすると、その絵は何のためにお買いになったのですか。あなた自身にもツケが回っているはずです。
  63. 保田重貞

    保田参考人 お答えいたします。  私は絵の方の買い付けの担当でございませんので、そのようなことはございませんです。
  64. 野口幸一

    野口委員 では、絵の買い付けはだれがやったのですか。
  65. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  絵の買い付けは佐藤前社長室長その他でございます。
  66. 野口幸一

    野口委員 その問題はまた別の機会を得るとしまして、それでは、励ます会等のパーティー券の関係の処理についてはあなたがおやりになったのですね。
  67. 保田重貞

    保田参考人 パーティー券等会員券は寄付、賛助関係の中に含まれておりましたので、私が事務処理をいたしました。
  68. 野口幸一

    野口委員 それでは、そのパーティー券等は政治家のどなたから幾らお買いになったか、ここでお答えをいただきたいと思う。
  69. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  この点につきましては御容赦願います。
  70. 野口幸一

    野口委員 おかしいじゃないですか。いま事実解明をしていかないと、これは少なくとも今後KDDがまともな道を進んでいくために踏まなければならない一定のプロセスだと私は思うのです。いまうみがたまっているものはこの際明らかにほうり出して、一体どういう形でこのパーティー券を買わなければならない事由があったのかというところまで追及しなければ本当の改善はできないと思うのですよ。保田さん、本当に心の中で、どの党のだれにどれだけのパーティー券を頼まれて買ったのか、ここでおっしゃいなさいよ。
  71. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  詳しくは記憶しておりませんので、お答えできません。
  72. 野口幸一

    野口委員 十円や二十円の買い物ではないでしょう。また、千円や二千円じゃないでしょう。そんなものは記憶がないということで過ごされますか。少なくともあなたはこの問題については責任者であったはずです。それが答えられないというならともかくも、記憶にないというのはどういうことですか。記憶にある部分だけでも、少なくともあなたの頭の中にはっきりしている分だけでも言ってみたらどうですか。全然覚えていないのですか。
  73. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  詳しくはっきり覚えておりませんので、この席では御返事申し上げかねます。
  74. 野口幸一

    野口委員 どの席ではっきりしてくれるのですか、どこの時点ではっきりしてくれるのですか。私のこの質問に対してどの時点で、たとえば後日というのか、後刻というのか。後刻はいつなのか。どこの時点でだれの、どれだけのパーティー券を買ったかということを明らかにできるのですか。
  75. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  帰りまして、よく考えまして、御返事したいと思います。
  76. 野口幸一

    野口委員 それはいつですか。それはいつまでに私に御答弁いただけますか。
  77. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  いつまでとは申しかねますけれども、できるだけ早く御返事するようにしたいと思います。
  78. 野口幸一

    野口委員 私はそういうやりとりで時間を取られるのは非常にいやなんですが、きょう逓信委員会に多くの新聞記者の皆さんだとか傍聴人の皆さんが集まっているというのは、少なくともいわゆる伝えられているいろんなうわさというものが事実だったのかどうなのかということについて一つ解明をしたい。その解明をした上に立って新しいKDD経営姿勢というものを求めていく質問をしなければならぬと思っていますし、国民もそれを求めているのじゃないでしょうか。  私が冒頭に申し上げました前逓信委員長に三百万という金がいわゆる商品券という形で渡されたということについても、これははっきりしないから後から返事するんだ、それは実はけさの新聞でありまするからすぐさま答えることができないかもわかりません。百歩譲って、それは後刻にしましょうと言いました。しかし、少なくともパーティー券を取り扱っていらっしゃったのは、あなたが取り仕切っていらっしゃったことははっきりされているわけでありまするから、いまだれからも買ったことがないというような形で一つも覚えてないというようなことで、あなたはよくそんなことで勤まりましたね。覚えてないのじゃなくて言えないのじゃないですか。社長会長が前にいると言えないのですか、どうなんですか、はっきりしてください。
  79. 保田重貞

    保田参考人 覚えておりませんので、お答えできかねるわけでございます。
  80. 野口幸一

    野口委員 では、覚えているだけでも言ってくださいよ。
  81. 保田重貞

    保田参考人 どうしてもはっきり覚えておりませんので、御容赦くださいませ。
  82. 野口幸一

    野口委員 どうしてもこの場で答えられないのですか。どういう理由で答えられないのですか。
  83. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  はっきり覚えておりませんので、お答えできません。
  84. 野口幸一

    野口委員 それでは、きょうは月曜日でありまするから、三日間ないし四日間猶予を置きますから、私のもとにパーティー券はどなたにどれだけ頼まれてどれだけ買ったかということを明らかに御報告いただけますね。それをお約束いただきたい。
  85. 保田重貞

    保田参考人 そのようにいたす覚悟でございます。
  86. 野口幸一

    野口委員 それでは保田さんとお約束をいたしましたので、三、四日のうちにどなたのパーティー券をどれだけ買ったかということを明らかにしていただきます。  次に、疑惑の一つとなっております昭島市の倉庫に隠匿されていました装飾品や絵画を十一月の十三日の午後、KDD社員によりまして新宿のKDD本社に運ばれたと報ぜられておりまするが、そのような事実がございますか。
  87. 保田重貞

    保田参考人 日付が何か違うように思いますので……。
  88. 野口幸一

    野口委員 違ったら違うと言ってください。
  89. 保田重貞

    保田参考人 十月の十八日に、板野当時社長宅からKDDビル地下二階に運ばれておりました物品すなわち絵画十八点を、当夜二十七階の第十四応接室へ運ぶように指示されましたので、そのような予定でございましたが、いろいろ事情がございまして運ぶことができなかったものでございます。そこで、翌日十月十九日、知人にお願いしまして、第一運輸の方へ転送をお願いしたわけでございます。ところが、新聞記事によって知ったわけでございますが、十一月八日、この絵画十八点が札幌商会の倉庫を経て次は新橋の湯座法律事務所の方へ転送されていることがわかりました。十一月九日、午前十一時半かと思うのですけれども、絵画十八点を預かっておるが、こういう危ない物は置いておけないからすぐ引き取るか、もとの第一運輸の倉庫へ戻せという電話の要請がございましたので、これは当社のものでございますので、その十一月九日二十時、車を回しましてそれをKDDビル内に運び入れました。
  90. 野口幸一

    野口委員 初めは社長の家にあったとおっしゃいましたが、なぜそのような美術品を社長の家に置かなければならなかったか、あるいはまた、それを転々とあちこちへ回さなければならなかったその理由は何なんですか。  また、もう一つお聞きしますが、それはKDDのいわゆる備品台帳に載っているものなんですか、どうなんですか。
  91. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  これは固定資産として処理したものではございません。  それから、この第一運輸倉庫から湯座法律事務所への転送については、私は全く知らないのでございます。
  92. 野口幸一

    野口委員 板野社長からも、どうして板野社長のところにそういったものがあったのかということを一言言ってください。
  93. 板野學

    板野参考人 私からお答え申し上げます。  ことしの春ごろからだと私記憶しておりますけれども、御承知のように私は前社長でございまして、私の宅はいわば個人宅でございますけれども、応接室等はいろいろな外人その他のお客もございますもので、絵画等につきましてもひとつときどき見てくれたらどうであろうか、あるいは場合によってはこれを応接室に飾ってみてくれたらどうであろうか、こういうような話がございまして、私も、それもいろいろなお客様をもてなす一つの方法か、こういうぐあいに思っておりました。事実、そういうような絵が私のところに来たということもこの際はっきり申し上げます。  しかし、先ほども申し上げましたように、私はことしは仕事が非常に山積しておりまして、四月の闘争、五月に入りますれば料金問題あるいは六月のサミット会談、株主総会、それから七月の初めから私は病気で約一カ月入院しておりまして、それが九月の中ごろまで続きました。それから来年のオリンピックもございますので、ソ連の大臣からも、全然ソ連に来たことがないからぜひ来い、こういうことで私ソ連に参りまして、帰ってまいりますとああいうような成田の事件が起こりまして、先ほど申し上げましたように、これはまことに私の監督の不行き届きでおわびを申し上げねばならぬわけでございますけれども、十月の半ば過ぎになりますと、新聞紙上でも大変いろいろな問題が生じまして、私自身もこれはいろいろな点で考えなければならぬ、こういうような心境にございました。したがいまして、私が預かっておりました品物は、先ほど保田参与がまだ固定資産として上げていなかったということを申しましたけれども、私自身は何か帳簿に載っておるものだというように当時は考えておりまして、これは会社のものだから私は会社に返すのが当然だ、こういうぐあいに思いまして、保田参与に言いまして、これをお返ししたわけでございます。それがちょうど十月の十九日の十二時ごろ、これは会社のB三棟に到着いたしました。それで、私は会社の中に入ったものだというぐあいに思っておりましたところ、それから二十日の後、十一月の十一日に、そういう物がどこかでまいまいしておるというようなことを知りまして非常にびっくりしたわけでございまして、私自身、皆さん方の疑惑を招いた、こういうことにつきまして不注意であったというぐあいに深く反省をいたしておる次第でございます。
  94. 野口幸一

    野口委員 いまの御答弁を聞いておりますると、私は、事実だということについて御承認を申し上げる気持ちにならないわけです。何とするならば、責任者であるあなたが、会社が買ったものであるということで、こういう御認識で自分のところの家へ運んだ、そしてそれをこういう事件が起こったから返したんだ、自分はこういう認識だとおっしゃいますけれども、第三者から見れば、これはそういった物が一点や二点の絵画ならばそういうこともあり得るでしょう、しかし、数十点というこの美術絵画が社長の宅にあった、それがこういった事件が発覚した途端にこれを返したということになりますならば、これはどういう理由で、どこの金でその金が生まれたのかということになりますると、先ほどの話じゃありませんか、二十二億という交際費の中からそれが賄われたのか、あるいは別のルートで、はっきりと申し上げますならば、海外から持ち込んだ、いわゆる脱税によって生じたその差益の裏金をもって買ったのかどうかというようなことまで今日疑われているわけであります。  保田さん、どうなんですか。この絵は一体何の金で、金はどこでこしらえてこの絵をお買いになったのですか。
  95. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  それは全部ではございませんが、部外贈答品として購入したものでございました。
  96. 野口幸一

    野口委員 先ほどの答弁と違うじゃありませんか。先ほどは、その支出されたそのものは帳簿に載っておるものではない、つまり帳簿外のものだというお答えであったのでありますが、今度は、それはほとんどが正規のルートで買ったようなことをおっしゃる。それじゃ違うじゃありませんか。
  97. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  購入された物品のうち、あるものは固定資産として処理いたします、また、あるものは部外贈答品として処理しまして、やがてはそれを貯蔵品というふうに順次処理していくようになっておるのでございます。
  98. 野口幸一

    野口委員 保田さん、私の質問をよく聞いてくださいよ。処理をしたのを聞いているのじゃないのです。どこの金でそれを買ったのかということを聞いておるのです。
  99. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  これはKDDの金でございます。
  100. 野口幸一

    野口委員 人をばかにしたような答弁をしなさんなよ。  いわゆる正規の支出をもって、物品購入という形の中でお買いになったのかどうなのかということを聞いているのです。裏金工作をして、その金を使って買ったのかどうなのかということを聞いているのですよ。C保田参考人 お答えします。  正規のお金で買ったものでございます。
  101. 野口幸一

    野口委員 そうすると、台帳に載ってないという話は、ないということを言われましたが、そうしたら、台帳に載ってない——正規のものを買って台帳にも載せない物を社長さんの宅へ預けたのですか。そういう処理をあなた方の経理はおやりになるのですか。
  102. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  台帳と申しますのは、固定資産台帳というものでございます。品物は、固定資産として処理したものはその台帳に載ってございます。部外贈答品というものは台帳には載ってないものでございます。そういうことでございます。
  103. 野口幸一

    野口委員 そうすると、社長の宅にあったものは部外贈答品ばかりだということですか。とにかくそこに隠しておいたと言われている二十点に近い、十八点ですかの美術品というのは、一体どういう性格のものだったのですか。
  104. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  それは部外贈答品として処理したものでございます。
  105. 野口幸一

    野口委員 そうすると、部外贈答品というのは、十八点のうちの主なものを申し上げますると、芸術院会員池田画伯のおかきになった時価約二百万円という日本画、これも贈答品ですか。
  106. 板野學

    板野参考人 お答え申し上げます。  経理のそういうような状況、どういうぐあいにして贈答品を今後処理するかということにつきましても私は非常に知識が足りませんで、当時、これは貯蔵品かあるいは備品かに台帳整理されておったというふうに、私はいまから見れば誤認をいたしておったわけでございまして、こういうものを贈答品として買いましても、これは貯蔵品になったりある時期においては固定資産になっていく、こういうような処理がされるものでございます。  私のことにつきましては、私はもうやめるからこれは返さねばならぬ、こういうことではございませんで、これはもうかねて会社でそういう処理、会社で買って会社でいろいろな経由をされた物であるから、早くお返ししなければいかぬ、私はこういうぐあいに思っておりましたけれども、先ほど申し上げましたような病気をしたりいろいろないきさつでそのままになっておった。これはまことに私の不注意でございまして、この疑惑を招いたということをまことに私は遺憾に思い、かつ、私自身といたしましてもこういう点を非常におわびしなければならぬ、こういうぐあいに思っておる次第でございます。
  107. 野口幸一

    野口委員 本来ならば料金の問題だとかいろいろなことも質問をしようと思いましたが、そこまでいかないうちに時間が来るようでありまするので、この際、それは後の同僚議員に譲りまして、この点についてもう少し詳しく御質問を申し上げます。  なぜこのような物が、たとえば先ほどのお答えによるならば、贈答品ということで処理をされていて、それがいわば社長の私宅に置かれていたかということの言いわけについては伺いました。それでは、そういった贈り物をしなければならない必要性というのはどこにあるのですか。そういうものを贈らないことにはKDDという会社はやっていけないのですか。どこへどのような形で贈られる予定のものなんですか。
  108. 小林進

    小林委員長 板野参考人に申し上げますが、あなたはよくいんぎんにおわびを繰り返されますが、それは結構ですけれども、ここはともかく質問者の質問に正しく答えることが中心でございまして、おわびは余り繰り返されないようにして、要領よくお答え願いたいと思います。  板野参考人
  109. 板野學

    板野参考人 先ほどちょっと申し上げましたように、贈答品として買いましてもその品物はそういう費目で買うということでございまして、必ずしもそれが贈答されるということではなくて、先ほど保田参与からもちょっと話がございましたように、固定資産なり貯蔵品にある一定の時期においてはなるという関係でございます。
  110. 野口幸一

    野口委員 そうしますと、いよいよ核心に触れてまいりましたが、利益隠しをするためにそのような物をお買いになって社内に蓄積をされておられたわけですか。
  111. 板野學

    板野参考人 御承知のように、私どもKDDの建物というものは約十二万平方メートルでございまして、その中に三千人くらいしか住んでいない、中に入ると非常にさびしいものでございまして、人間疎外ということもございまするので、私ども、やはり少しの絵はあってもいいんじゃないか。それからまた、新宿にもレクリエーション施設もできまするし、また学園も新しくできましたので、そういう情操的なものを涵養するという面にも役立つということでこの絵画の購入を始めた、こういう次第でございます。
  112. 野口幸一

    野口委員 まず私の質問には満足したお答えをいただいておりませんけれども、私が推測をいたしますると、十八点と言われているところの絵画のほかに、まだまだ貴金属類等が買われたということが言われております。どうもそれは、贈答品という科目では買ったけれども、必ずしも贈答品ばかりに置いておくのではないという言葉をいまお吐きになりましたが、それを裏書きするかのごとく、私は一種の利益隠しのためにそういった美術骨とう品を買い集められたのではないかという疑いを持つものであります。とするならば、私は、少なくともその絵画をあちらこちらと隠し回らなければならない理由はないと思うのであります。正規のルートで、しかも情操教育のために買わなければならなかったのだとするならば、どうしてそれが社長宅に全部あったり、あるいは事件が発覚したからといってあっちこっち持って回らなければならないのですか。少なくとも正当な経理によって正当な手段によってお買いになったとするならば当然社の中に置いておかれていいものを、あちらこちらと持って回ったという事実は私は疑いの眼を免れることはできないと思うのであります。その点はどうですか。
  113. 板野學

    板野参考人 お答えいたします。  当時、私は、そういう品物が会社の外にあることは非常によくないことだから、もし会社の外にあるなら早く会社の中に入れなさい、こういうことを指示をいたしたわけでございます。不幸にいたしまして、それが時期的に成田のそういう関税事件と一緒になったということでございまして、なかなかうまくいかなかった、こういうことを私は報告を受けております。
  114. 野口幸一

    野口委員 時間がなくなりましたので、どうもそんな点のやりとりだけで済まされるのは残念なんですが、最後に一つだけ明らかにしておきたいのは、今回の密輸事件は単なる二、三名のKDD役員のミスである、いわば申告漏れとかいろいろなことがあって、関税法にひっかかって成田で事件が起こったのだ、当初板野社長はそのように新聞報道お答えになっております。しかし、その後どんどんと事実が明確にされるに従って、この密輸事件そのものは実は会社ぐるみで社長が指揮をとってやらせておったのだということを言われておるのでありますが、この点についてはいかがなものですか。
  115. 板野學

    板野参考人 私が指揮して密輸をやらせたということは全然ございません。いわゆる低申告をするとか申告をしないとか、そういうようなことを私が指揮したことはございません。その点をはっきり申し上げたいと思います。
  116. 野口幸一

    野口委員 そうすると、これらの五年間といいますか三年間ですか、ずっと引き続いて密輸入されていたという事実、今回だけではないということを東京税関が発表いたしておりまするが、それらは外国へ行った個々人が全くそれぞれ勝手にやったことであって、会社としては一切そういうものは系統的にも命令をしていないのだ、そういうことなんですか。
  117. 板野學

    板野参考人 お答えいたします。  ただいま先生がおっしゃいましたように、会社は決して関税をごまかすとか低く申告する、申告しない、こういうようなことを命じたりやらせたり、そういうことは一切過去においてもございません。
  118. 野口幸一

    野口委員 この事件は別途刑事事件として今回告発されておりまするから、その点はその場所で明らかになっていくでありましょうけれども、なぜ密輸をしなければならなかったか、なぜそのようなことをしてまで裏金をつくらなければならなかったか、この点を追及してまいりますと、先ほどの保田さんにお約束をいただいたいわゆる政官界への贈答、このための金が必要なんだ、したがって、それをつくるためには多少の密輸もあるいはまた帳面を、経理のやりくりをしてといいますか、上手に差し回して金をつくっていかなければならなかったのではないか、こういうところに私どもは推測をしているわけであります。  先ほどの御質問に対する保田さんの答えは、記憶がないとかわからないとかはっきりしないとかいうことでありますけれども、その記憶がないとかはっきりしないという言葉そのものは、何とかこの逓信委員会で言い逃れをしておいて後で何とかしたいという、つまり隠蔽の気持ちが存在をしてそういうお答えになっているのじゃないかという疑いを私は持たざるを得ません。後日この問題については徹底究明をさせていただきますが、こういった問題を総括的に考えまして、少なくともこの種の事件がなぜ起こったかという理由についでは私は徹底的に究明をしていかなければならぬと考えるものであります。  この点につきまして、最後に大臣お答えをいただきたいのでありまするが、今回のこのような事件がなぜ起こったか、なぜこのような大きな問題に取り上げられるに至ったかというその姿勢について、大臣の所見を承りたい。
  119. 大西正男

    大西国務大臣 この事件解明につきましては、いま検察当局の手にも一部移っておるようでございます。そこで、その専門機関の方で厳正に解明をされていくものと存じます。また一方、当事者であるKDDにおきましても、先ほど来お話のございますように、刷新委員会におきまして事件そのものにつきましてもいろいろと解明を続けておるようでございます。したがいまして、私といたしましては、御質問でございますが、そのよって来った理由についてここで現在のところ十二分にこれを把握しておるわけではございません。これらの解明を待ち、そしてその理由を把握をいたしたい、こう思っておるところでございます。
  120. 野口幸一

    野口委員 それでは私は質問を終わりますが、大臣はいま解明していないからわからないのだ、なぜこんな事件が起こったかわからないのだ、こうおっしゃっておられます。しかし、大臣も少なくとも政界にお入りになって相当経験も持っておられるはずであります。このような事件がなぜ起こったのかという直観的なあなた自身の個人的な感覚というものはお持ちでございましょう。それは調査するとか調査しないという問題ではなくて、大臣自身が今回の事件がどういう理由でどういうふうな経過をたどってというところまでは詳しく言えなくとも、直観的に、少なくともこの事件はどういう理由で起こったのだということについてはお答えできませんか。
  121. 大西正男

    大西国務大臣 私もつい最近大臣就任したところでございますが、大臣としては、責任のある地位でございますから、私見を交えてこのことについてコメント申し上げることは遠慮いたしたいと思います。
  122. 野口幸一

    野口委員 終わります。
  123. 小林進

    小林委員長 次に、武部文君。
  124. 武部文

    武部委員 まず最初に、先ほど同僚の野口委員から冒頭に話がございました石野久男代議士のことについて重ねて要望しておきたいと思います。  ここにきょうのサンケイ新聞がございますが、先ほど来私どもいろいろな内容調査いたしましたところ、九月の五日に会館に届けられた、翌々日の九月七日に受け取った秘書がこれを返した、内容は数十万円の商品券であった、こういうことであります。先ほどの御答弁によりますと、また質問によりますと、三百万という金額をKDDの前社長関係者及びKDDの幹部の証言によるという記事になっておるのであります。これはまことに本人の名誉のためにもゆゆしきことでございますから、詳細に調査をされてこの内容を明らかにしていただきたい。これを最初に古池社長に要望しておきますが、いかがですか。
  125. 古池信三

    古池参考人 先ほどの御質問にもお答えいたしましたが、この件につきましては私もけさほど承知をして驚いておるような次第であります。したがって、この問題は速やかに社内調査を進めまして、できるだけ早く事態解明をいたしたい、かように考えます。
  126. 武部文

    武部委員 そこで、今回のKDD事件は成田空港の摘発によって起きた密輸事件が発端となったわけであります。そうして巨額の交際費の支出、さらには社長室を中心とした高級美術品やあるいは骨とう品の買いあさり、そうしてこの事件が発覚をいたしましてから不審な隠匿工作が行われた。疑惑は際限なく広がって、奥の深さを示しておるように、国民の側から見ればそのように理解されるわけであります。国策会社であり特殊法人であるKDDが起こしたこうした不祥事件、うみについては徹底的に洗い出していかなければならぬ、このように思っています。  冒頭に大臣から今後の取り組みについていろいろ決意がございましたけれども、白浜前郵政大臣の発言と新しい大臣との発言の間に若干の相違点があるようでありますが、この点は後で具体的に質問をすることにいたしまして、まず最初に、東京税関が今度の問題の発端である密輸について、これは組織的な会社ぐるみの密輸である、そういう確信を持って佐藤陽一前社長室長外二名、さらに会社告発したわけであります。大蔵省にお尋ねをいたしますが、本来こういう事件はほとんど通告で終わっておるわけでありますが、これを告発に踏み切った理由、それを述べていただきたい。
  127. 米山武政

    ○米山政府委員 関税法の規定によりますと、税関長は関税法の違反の心証を得た場合には通告を行う、こういうことで、罰金相当額を通告し、これを納付すれば行政罰で終わることになっております。ただし、その犯則が情状懲役の刑に相当する、こういうふうに考えた場合には、これを直ちに告発する、こういうふうな規定になっております。  今回の三名につきまして、とりあえず現行犯の分だけ調査が終わりまして、十月一日、十月二日に持ち込んだその無申告分だけにつきましても相当の多額に上るということ、それから、その三人がまだ過少申告をしているものがずいぶんありますが、その分はまだ価格は決定しておりませんが、それが相当の額に上るということ、また、その三人が過去にも数回にわたって同様な犯則を起こした疑いがあるという点も考慮いたしまして、告発に踏み切った次第でございます。
  128. 武部文

    武部委員 三人のことはわかりましたが、会社告発したというこの理由についてもうちょっと述べてください。
  129. 米山武政

    ○米山政府委員 関税法の規定によりますと、株式会社等の従業員が会社の業務に関しあるいは会社の財産に関して違反行為があった場合には、本人を処罰するほか会社をも処罰する、こういう規定になっております。いわゆる両罰規定、関税法の百十七条の規定でございます。ただいま会社ぐるみとおっしゃられましたのですが、私どもは、これは、この輸入が会社の業あるいは会社の財産について行われた、こういうことでございますので、会社告発したわけでございます。  なお、密輸そのものについて会社のしかるべき人がこれを示唆あるいは教唆あるいは命令した、こういうことになりますと、これは会社のいまの両罰規定でございませんで、その人は直ちに共犯として、実行者として罰を受けるということになるわけでございます。  ただいま私どもが両罰規定でしたものは、むしろ会社監督責任という意味合いでこれを告発しているわけでございます。
  130. 武部文

    武部委員 法務省にお尋ねいたしますが、東京地検への告発を受けたわけでありますが、現在の状況を述べていただきたい。
  131. 根來泰周

    根來説明員 先ほど御説明がありましたように、つい先日告発を受けたばかりでございますので、東京地検としては慎重に捜査を進めているものと思います。
  132. 武部文

    武部委員 捜査に入った段階で、これ以上のことは述べられないというふうに理解するわけですか。
  133. 根來泰周

    根來説明員 すでに御理解賜っていると思いますけれども、捜査の内容、手順については答弁を差し控えたいと思います。
  134. 武部文

    武部委員 それでは会社側にお尋ねをいたしますが、告発内容によりますと、佐藤前室長らが密輸で国内へ持ち込んだものは、外国製の腕時計であるとかあるいはダイヤモンド指輪であるとかイヤリングとかハンドバッグとか、そういう高級品のようですが、一体こういう品物を海外から買わなければならなかった理由、それは一体何だろうか。また同時に、だれが海外からの買い付けを統括しておったか。また、こういう品物を一体だれに渡したのか、そういう点をお調べでしょうか。わかっておりますか。
  135. 板野學

    板野参考人 先ほどちょっと触れましたように、これは私は、こういう品物を海外から買い付けなさい、こういうことは一言も指示したことはございません。大体こういう仕事というのは社長室以下あるいは渉外課長というところでいろいろな具体的な品物を決定してこれを購入するということに従来からなっておりまして、実際私は、そういう品物があったのかなかったのか、こういうことさえも、これは関税当局からのいろいろな資料もございませんので、私も了知していないところでございます。
  136. 武部文

    武部委員 こういうやりとりで時間をとることは避けたいと思いますが、先ほどからの質疑を聞いておりましても、社長室の権限なり仕事というものが、われわれ部外の者にはよく理解できないのです。一体なぜこういう物が社長室の一存で、莫大な金を使って買い込まれるのか。しかもそれが非常に回数も多い。一体何のためにこういう物が買われたのかということが私どもとしてはよくわかりません。これはほかのものと関連をして後で申し上げますから、これだけにしておきます。  そこで、交際費についてお伺いいたしますが、これは去る参議院の逓信委員会でいろいろやりとりがあって、その議事録を読んでみますと詳細に記載されております。会社の会計帳簿上では五十三年度は一億四千三百万、ところが法人税法上では五十三年度は二十二億三千八百万という金額になっています。先ほど御説明がありましたよう一に、五十二年度は確かにKDDの二十五周年記念があった、あるいは大きな国際会議が行われた。これはわれわれも承知しております。しかし、五十二年の十三億幾らに対して、五十三年度は二十二億という非常に大きなふくらみであります。ここに大きな疑問を持つわけでありますが、先ほどいろいろな答弁を聞いておりますと、それぞれ何か理由があったように言われるわけですけれども、私は、それならばお伺いをいたします。  急増した理由はお述べになったけれども、よく理解できませんからお聞きするわけですが、この二十二億三千八百万円という莫大な交際費の使途を大別してお聞きいたします。海外から購入のためにどのくらいの金が使われたか。国内での買いあさりに一体どのくらいの金が使われたか。記念行事や国際会議が頻繁に行われたとおっしゃっているわけですが、これにどのくらいの金が使われ、そして新聞紙上をにぎわしておる飲み食いの費用は一体どのくらいなのか。二十二億三千八百万というものの使途は、大別して一体どのようになっておるのか、これをお伺いいたしたい。
  137. 古池信三

    古池参考人 ただいまの御質問に対しましてお答えをいたします。  五十三年度交際費等として税法上扱いました総額は、御指摘のとおり二十二億三千八百万円でございます。その内訳は、旅費・交通費約三億七千万、広告宣伝費七千万、いわゆる交際費一億四千二百万、その他の雑費として、打ち合わせ懇談経費という名目が約七億、その他の雑費が約九億、そして合計が二十二億三千八百万となるわけでございます。
  138. 武部文

    武部委員 内容はわかりましたが、雑費九億とは何でしょうか。
  139. 古池信三

    古池参考人 この九億の内訳が、先ほど御指摘のありました海外からの購入品であるとか国内で買った品物の代金あるいは記念行事、国際会議等に使ったもの、それからいわゆるパーティーその他で使いました打ち合わせ懇談経費、こういう名目の費用でございます。
  140. 武部文

    武部委員 いま五十三年度の内訳を聞いたわけでありますが、五十一年度は約十億、五十二年度は約十四億、こういうものが法人税法上交際費として支出をされております。これだけで四十五億くらいに上がります。約五十億近いものが三年間のうちに支出をされておるわけでありますから、恐らくいま御説明があったような内容だろうと思います。  そうしますと、私が大変疑問に思うのは、公益事業国際電気通信業務を独占しておるKDD、そのKDDがなぜこのような膨大な交際費、しかもその交際費を使って海外から物を買ってくるあるいは国内で買いあさりをする、先ほどいろいろやりとりがありましたように美術品や骨とう品も買っていく、何でそういう必要があったのだろうか、これを大変疑問に思うのです。これはだれが考えてもここに疑問が集中するのは当然だろうと私は思います。一体何の目的でこのように海外からそういう物が買われ、あるいは国内でそういう物が買いあさりをされただろうか、この点についてはっきりとした内容KDDが明らかにする必要がある、そうでないと国民の常識から見ては理解できない、このように思いますが、いかがですか。
  141. 古池信三

    古池参考人 ただいまのお尋ねでございますが、先ほど御答弁いたしましたそれぞれの項目について、内容の名目はいずれももっともな使途だと考えまするけれども、その金額等についてはもう少し倹約できるのではないかというような感触を私は持っております。したがって、今後は十分こういう点については検討を加えまして、自粛をしてまいりたい、かように考えておりますが、先ほど申しました内容は、項目としては余りに不自然なものはないようでございます。
  142. 武部文

    武部委員 私が冒頭質問いたしましたのは、雑費九億というもの、これは五十三年ですが、五十二年にも五十一年にもそういうものがあるようです。これはほとんど品物を買っておる。一体なぜ独占的な事業であるKDDがそういうものを買わなければならぬのか、その買った物は一体だれに何の目的に使ったのか、これがよくわからない、ここを明らかにしてほしい、こういうことを言っておるわけです。
  143. 古池信三

    古池参考人 これは何のためにというお尋ねでありますが、やはりいろいろな交際上の必要、世話になった人に対する謝費であるとか、そういうふうな目的に使われたものと私は理解いたしまするけれども、詳細については当時の経営者が一番よくわかっているわけでありまして、そちらからお答えするのが至当ではないかと思います。
  144. 板野學

    板野参考人 先ほど申し上げましたように、内外ともに会社の非常に大きな変革期にございまして、たとえて申しますと、台湾でもあるいは韓国それからタイでも、日本から行く通信は非常にいいけれども向こうから来るものは一時間もかかるとか、あるいは太平洋のケーブル会議をするとか、あるいは海事衛星関係の仕事をするとか、この一、二年の仕事が非常にふくそうしておりましたので、そういう際に、いろいろな対外関係を非常に円滑にする、スムーズにする、こういう目的のために、こういう社のものが使われた、こういうぐあいに考えます。
  145. 武部文

    武部委員 いまの御答弁を聞いておりますと、会社の経営上、国際通信という特殊性、そういうものから見てこういうものが必要だった、このような御答弁でございますが、今日報道されておる内容から見ると、国民は、私もそうでありますけれども、そうはとれないのです。ここが、この問題が非常に国民の側に疑惑を呼んでおる最大の原因だというふうに私は思うのです。したがって、この問題はあと保田参考人に具体的にお伺いいたしますから、ここでとめておきたいと思いますが、後で結構です。  そこで、このような膨大な交際費が使われておったということについて、一体郵政省はそれをどのように理解をしておっただろうかということについて私は大変疑問に思うのです。それは参議院の逓信委員会の、これまた郵政省答弁の議事録を読んでみると、そのことがはっきり出ておるのであります。この膨大な交際費が妥当なものかどうかということについて、即断しかねる、はっきりわからぬということを郵政省答弁をしておるわけでありますが、このように膨大に交際費がふくれ上がってきた、こういうことで問題になってきたわけですが、郵政省監督官庁として、このような交際費がどんどんふえていくことについて何の疑問も持たなかったのか、この点はいかがですか。
  146. 寺島角夫

    寺島政府委員 先ほどお答えをいたしましたが、率直に申し上げまして、交際費のところに非常に焦点を当てて過去見ておったことはございませんので、その点は、たとえ現在の法律によりまして利益金処分というものが大臣認可対象になっておる、したがって決算そのもの対象になっていないという観点はあるにいたしましても、そういう事態であったということについては反省はいたしておるところでございます。  なお、参議院におきまして、この交際費をどう思うかという趣旨の御質問に対しまして、私が即断をいたしかねるというお答えをいたしましたのは、当時この交際費の問題がいろいろ出てまいりまして、すぐに私どもといたしましては、KDDに対しましてこの、実情について報告を求めておったわけでございますが、あの時点でいまだ報告が十分になされておらない、そういう段階でございましたので、個人的な印象等について申し上げるのはいかがかと存じまして、即断いたしかねるというお答えをしたわけでございますが、いずれにいたしましても、こういう非常に公共性の高い事業を営んでおる会社でございますから、たとえ交際費というのが必要であるにいたしましても、その使い方あるいは金額等につきまして節度のあるものでなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  147. 武部文

    武部委員 いろいろ聞いておりますと、郵政省は今日までKDD決算あるいは利益金処分、そういうものについて何もしていなかった、焦点を全然当てていなかった、これだけはもう間違いない事実だと思うのです。これはあなた方の答弁から私どもそう受け取らざるを得ない。  そこで、これから一体どうするのかという点が先ほどからいろいろ言われておるわけですが、これまた参議院の逓信委員会で白濱前郵政大臣は「私どもはなるたけいまの法律を尊重して今後もまいりたい」と考えておる、こういう答弁をされておりました。新しく大臣になられた大西郵政大臣は、現行法の枠内で監督権がどこまで発動できるか、現行法ではできないのか、立法上の問題を含めて検討中だ、こういう記者会見をしておられるようでありますが、その真意は一体どこにあるのか、一体どの程度検討しておられるのか、この機会にちょっと述べていただきたい。
  148. 大西正男

    大西国務大臣 白浜前大臣が、参議院でいまお尋ねのような御趣旨の発言をなさったことは私も承知をいたしております。その御趣旨は、私はこういうふうに考えておるのですが、現行法は、KDDという民間の株式会社を特殊の法律によってつくった趣旨は、国際公衆電気通信事業というものがその経営に当たりまして自主的にまた機動的に行われることが一面において非常に必要ではないかということと、それから反面におきましては、やはり独占的な事業でありますし、非常に公共性の高い事業でございますから、国の監督、つまり郵政省監督によってその運営が誤りなくいくように、こういう二つの原則といいますか、それに基づいてこの法律ができておると思います。そういった基本的なこの法律の考え方というものに立たれて、現行法を尊重していく、こういうことをおっしゃったのではないかと思います。そういう点におきましては私も別に変わった考えを持っておるわけではございませんで、現行法の基本的考え方というものは尊重していかなければならないものだと思うのでございます。そういう趣旨では前大臣と考え方は少しも変わっていない、このように私は思うのでございます。  ただ、私がそういうことを申し上げましたのは、現にいま問題になっておることが起こっておるわけでありまして、これに対するいままでの郵政省監督あり方、あるいはまたKDDそのものの経営のあり方というものを考えまして、再びこういう事件が起こらないようにするということは、これはもう郵政省としても当然その責任を負っていかなければなりませんから、そうするには一体どうしたらいいか、再発防止を具体的に実現していくためには一体どうしたらいいか。私も就任早々のことでございますから、従来郵政省がやっておった法律に許されておる範囲内でなおさらにやるべき問題、やっていい問題もあるのではないか、その点について検討をしてもらいたい。さらに、先ほど申し上げましたKDD会社法の基本精神にのっとりながら、監督その他の面で運営の適正を期していく上においてこの法律改正をすべき点があるのかないのかということを含めて、仮にあるとすればどうしたらよいかということを検討してみてはどうかと、検討をするように指示したのでございまして、前大臣のおっしゃっておることとは矛盾をしておらない、このように私は認識をしておるわけでございます。
  149. 武部文

    武部委員 この問題はこれでおきます。  そこで、私は一つだけ料金問題についてお伺いをしておきたいと思いますが、KDD料金値下げ認可申請を二十日に出したわけです。この国会審議の直前の時期に申請したということ、これはKDD問題の社会的な批判をかわそうとした政治的意図があるのではないか、こういうふうにとれるのです。公共料金というのは公正にしてかつ妥当なものでなければならぬ、われわれはそういうふうに思っています。社会的批判を当面かわそうというような意図で、そういう全くこそくな手一段であったとするならば、これは私どもとしてはいただけない、このように思うのです。  そこで、KDDに聞きたいのですが、この値下げの真意は一体何なのか。なぜ私がそういうことを言うかというと、言われておるように円高差益の還元、このことが電力、ガス、そういうものの為替差益の還元の問題のときに出ました。ところがKDDは、これまでこの為替差益の問題ではなくて、通信の量が増加をした、あるいは新しい技術の導入によって合理化が進んできた、あるいは世界の各国との間の料金と比べて高水準の料金だ、こういうことが利益の最大の原因だ、こういうことを説明しておられたわけです。われわれはそのように聞いておったのです。したがって、もし円高差益によるものだとすると、いま円レートは百七十円くらいから二百五十円近くになってきた、そうなってくると、円高から円安になってくれば当然逆の問題が出てくるわけです。したがって、この時期に、この二十日の時点でKDD料金問題を急遽申請をしたという意図は一体どこにあるのか、私はそのことをぜひ聞いておきたいと思います。
  150. 古池信三

    古池参考人 お答えいたします。  実は、先ほどもちょっと触れて御答弁を申し上げておいたのでありますが、会社におきましては、前々からこの料金改定の問題は検討を続けておるのであります。しかしながら、料金の改定は会社の経営上きわめて重大な問題でありまするから、慎重に扱うべきことは申すまでもございません。そういう意味において板野社長もこの問題は大変慎重に扱ってこられた、これは私も十分理解をしております。  ただし、最近の経営状況を見ますと、非常に需要がふえまして、その結果利益が非常にふえてきておるのでございます。そうなりますと、会社としてはやはりこの利益のふえた分はなるべく需要者、利用者に還元をすべきである、こういう考えを持ちました。特に本年の上半期の利益増は著しいものがございますし、また、将来をずっとながめてみましても、まずこの利益はそんなに急速に落ちる心配はないであろう、いろいろな要素を勘案いたしましてもそういう見通しができました。そこでこの値下げに踏み切って申請を出したような次第でありまして、今回の問題が起こったから急遽こういうふうな措置をとったというわけではございません。ただ、たまたま今回の問題と時期が一致したというにすぎないのでありまして、私は前々からある程度値下げは当然すべきである、何といたしましても、当社としてはやはり利用者の立場を考えて経営をやるということが根本的に大事なことであるから、品質の改善、技術革新に応ずる良質のサービスを提供するということももとより大切でありますけれども、しかし料金の低減ということもあわせて大事なことであるということは前々から考えておりましたので、この際これを断行することにいたしたのでございます。  それから、円高差益が云々ということが前に円が非常に高くなったときに言われておりましたけれども、今回もそういう意味はほとんどないのでございまして、適正な料金を決めよう、こういうことでございます。  なお、最近試みに円高差益なるものはどのくらいあるかということをちょっと調べてみましたら、本年度は二千七百万円程度でございます。全体として見ればきわめて微々たるものにすぎないのでございまするから、円高云々ということは今回の料金改定には加味されていないということをはっきり申し上げます。
  151. 武部文

    武部委員 時間が来ましたので、大事なことをあと二つだけ質問いたしたいと思います。  いまの問題は、一体申請された値下げ率というものが公正、妥当なものかどうか、これは大変重要なことだと思うのです。したがって、慎重に検討する必要があるのですが、一体郵政省監督権をこの値下げ問題で行使したのかどうかについても私は聞きたいのですが、後で簡単に答弁をしてください。  そこで、この特殊法人であるKDDのような料金をこれからどうするかということは、いわゆる利潤の限度ということにも私は問題があるようにも思うのです。したがって、第三者を入れた経営の本質的な改善を図らなければならぬ。これは料金問題等もひっくるめてそういう検討はされるものだろうと思うのですけれども、私はいまの法律の中でそれができるはずだと思うのです。それは郵政省設置法の第十九条に「郵政審議会」というのがありますが、これは電波、放送を除くその他の郵政省所管の問題を全部ここで審議できるようになっているのです。したがって、過去の議事録をずっと読んでみますと、逓信委員会でやはりこの問題が出ておる。料金の問題等について、いわゆるKDD認可料金についても重要な事項だから郵政審議会でこれを審議したらどうか、こういう答弁郵政大臣から何人かにわたって答弁された経緯があるのです。そういうことがありながら、郵政省は今日まで何もこのことについてやっていなかったということだけは間違いない事実です。そういうことが今日このような事態を生んで、膨大な利益が出た、その利益があればちょっとぐあいが悪いから、利益を隠すためには金をどんどん使って利益を減らそう、そういう悪循環になってきたというふうに私は理解せざるを得ないのです。したがって、これは明らかに逓信委員会において何人かの大臣答弁をしながら何にもしていなかったという郵政省の怠慢そのものだというふうに言って差し支えない。したがって、KDDのこれからの監督強化のために法律なんかつくる必要はないので、こういう郵政省設置法の郵政審議会の運営の中で、部外者が集まって、有識者がおるのですから、具体的に一体KDD認可料金についてはどうだというようなことが何でできないのか、それをやる意思があるか、これを郵政大臣からちょっと聞いておきたいと思います。
  152. 大西正男

    大西国務大臣 過去の経緯を含んでおる問題でございますから、事務当局から答弁をいたさせます。
  153. 寺島角夫

    寺島政府委員 第一の点でございますが、先ほども申し上げましたように、KDDの国際料金につきましては、かねてからKDDに対して、総合的にいろいろな要素を勘案をして料金問題を検討するように要請をし、指導を続けてきたわけでございますが、その結果が十月二十日に申請となってあらわれたもの、こういうふうに理解をしておるわけでございます。  なお、郵政審議会にこの問題をかけるのかどうか、かけるべきではないかということでございますが、確かに御指摘のとおり、いろいろな郵政省関係をいたします問題につきまして法律上郵政審議会にかけることが定められておるものもございます。しかし、そのほかの諸点につきましても、たとえば電気、通信の料金について申し上げますと、認可料金につきましては別段そういった法律上の定めがございません。しかしながら、国民生活に非常に大きな関係を持つ認可料金につきましては、その内容に応じて郵政審議会の御意見を聞くということの方針で従来も対処してきたわけでございます。ただ、今回の申請がございましたKDD料金値下げにつきましては、時期的なこともございまして今回これを直ちに郵政審議会にかけるということは現在考えておりませんが、そういったことを含めましてさらに検討はいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  154. 武部文

    武部委員 この問題は宿題にしたいと思います。  そこで、最後に保田参考人にお尋ねをいたしますが、保田参考人は定年後KDDに今日も引き続いて勤務されておる。その役割りや身分ということについては先ほど古池社長の方からお話がございました。われわれがいま新聞報道等を通じて知っておる保田参考人の今回の事件に対する役割りというものについて非常に疑問な点がございますので、お伺いをいたしたいと思います。  あなたは、絵画や骨とう品などをKDDの金を使いながら、あたかも自分が買ったかのように自分あての請求書を切らせておった、こういう報道があります。先ほどのある省の人に絵を差し上げるとかそういうことも載っておりましたが、これはあなたは知らぬとおっしゃったパーティ券の話もございました。さらに、KDD疑惑の一つであるところの高級美術品、書画、絵画、そういうものについて、あなたが隠匿の工作の主謀者だというようなことも新聞報道に出ています。先ほど十八点の絵の転送についてはお述べになりましたが、あなたは二十数点の物を自分のうちから運び出したということを述べておられるようでありますが、そのことを先ほどお触れになっておりませんでしたが、この十八点の絵のほかに、佐藤前室長及びあなたの宅からもそういう物が運び出されてKDDの本社に運び込まれた、このようにあなた自身がお述べになっておるようでございますが、この点について肯定されますか、最初にこれをひとつ。
  155. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  佐藤前社長室長の宅にあったものにつきましては、私が保管を依頼したものでございます。私のうちにあったものは、贈答用として保管しておったものの、未贈答品でございます。
  156. 武部文

    武部委員 よくあなたの答弁わかりませんが、もう一つだけ聞きます。  あなたは、KDDの出入り業者から多額のリベートを受領したということが報道されておる。あるいは、KDDの指定業者の七、八社から年間約一億円の協力金を徴収した、こういう報道がされておりますが、あなたはお認めになりますか。
  157. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  そういう事実は全くございませんでした。
  158. 武部文

    武部委員 あなたは断言できますか、それが。
  159. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  そういう事実はございません。
  160. 武部文

    武部委員 それでは、もう一つお伺いいたしますが、あなたがお述べになった新聞報道の中に、先ほどの答弁に、上司が買い付けた物品の管理を自分はやっておるのだ、こういう話がございました。それならば、一体こういう多額の高額な絵の買い付けはだれがするのかということの質問がございましたところ、それは佐藤陽一前社長室長その他、こういう答弁を先ほどされました。あなたのお述べになった新聞報道、新聞記者との対談の中で絵画の買い付けは古池会長、佐藤前室長あるいは小嶋次長、この三つのルートだ、こういうふうにあなたはお述べになりましたが、KDDが高額な絵画を買い付けた、その中に古池会長がこの絵画の買い付け役だったということを述べておられますが、これは間違いありませんか。古池さんからひとつお伺いしましょう。
  161. 古池信三

    古池参考人 ただいまのお尋ねは間違いございません。  それについて少し私からも申し上げます。  私がKDD会長就任しましたのは五十年の五月でございます。あの新宿のビルが建設されたのは四十九年でございます。そこで、私があの会社に参りましたところが、壁といいあるいは応接間といい、何一つ絵がかかっていないのです。まことに砂漠の中を歩むような気持ちである、これでは人心に潤いがない。また、お客さんを迎えましてもこういうことでははなはだまずいということを感じましたので、ともかく一時には買えないにしても、少しずつ額なり何なり買って、壁なり応接間を飾ったらどうだろうかということを私が話しまして、ただしそのときに私は、絵を買うなら余りくだらない絵は買ってはいけない、しかし、また反対に余りに高価な物も保管その他問題が起こるおそれがあるからこれもいけない、大体芸術品と言われるくらいな中クラスか中クラスの上くらいな程度の物を買っておきなさい、それからその管理方法を厳重にしなくちゃいけない、これがもし行方不明になったり紛失したりしては大変だから、厳重に原簿を備えて、写真をちゃんとそれにつけて、そして買い入れた値段とか買い入れた先とか、そういうことを明細に記入した原簿を厳重に保管してつくっておきなさい、これだけの条件をつけて買い入れることを指示したことはあります。その後何点ぐらい私の指示によって買ったかはちょっと正確な数字は覚えておりませんが、ことしまで四年以上たっている間に恐らく二、三十点は買って応接間その他に掲げておると考えます。それはそのとおりでございます。
  162. 武部文

    武部委員 あなたの説明はわかりましたが、現実は全くそれとは違ったことが行われておる。これが今日大きな疑惑を生んでおるのであります。私はそれについてちょっと触れたかったのです。  そこで、保田参考人に最後にお尋ねいたしますが、いろいろな報道なり私が先ほどから述べたことを総合して考えまますと、あなた自身で莫大な年間二十億円という交際費、この中からかなりの金額を物品の購入費に充てておったのではないかというふうに思えるわけです。したがって、あなた自身で美術品あるいは家具、特にあなたは国内の担当のようですが、美術品、家具、そういうものを総額幾らぐらい買ったのか、そのうち上司からの命令によって買ったものは一体幾らなのか、その上司は一体だれであるのか、これを最後に述べていただきたい。
  163. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  美術品、絵画等は私は買っておりません。すべて上司の指示で買われたものの事務処理でございます。それと保管でございます。
  164. 武部文

    武部委員 その上司とはだれですか。
  165. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  私の上司である前社長室長佐藤陽一さんでございます。
  166. 武部文

    武部委員 もう一回お尋ねいたします。その人一人だけですか。
  167. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  私の上司である佐藤陽一前社長室長でございます。
  168. 武部文

    武部委員 以上で終わります。
  169. 小林進

    小林委員長 次に、鳥居一雄君。
  170. 鳥居一雄

    鳥居委員 まず、今回の値下げにつきまして伺いたいと思います。  公共料金であり、非常に公正な料金体系というのが要求される国際通信料金であります。今回の値下げ幅も世論の非難をかわすための単なる見せかけである、こういう批判がすでに起こっているわけでありますけれども、確かにどんな検討が進められたのか全く不明であり、これまで同様の密室の決定である、こういうふうに言われているわけでございます。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕 しかし、改定はできるんだという一つの実証ができたわけです。  昨年、ドル建てドル払い、この中にいわゆる差益が数十億あるという指摘を私自身いたしました。しかし、差益があるだけでは還元という形にはなり得ないだろう、そういうことで、高収益であることもさまざまな角度でこれを指摘いたしました。そして昨年は五月と十月、二回にわたりまして、この莫大な抱え込んだ利益につきまして実際に本委員会指摘をしております。これに対しましてKDDは、相手国があることで料金にはさわれない、いま大事な変革期で資金が必要である、また新しい通信サービスのために資金が必要である、こういうことでかたく拒み通してまいりました。しかし、本当は値下げできたのじゃないか、こう思えてなりません。今回の改定案を出しましたけれども板野参考人、どうこれをお考えでしょうか。
  171. 板野學

    板野参考人 お答えいたします。  円高差益の問題がございました当時は、まだその差益は約五億程度でございました。それから、先ほど申し上げましたように、国際通信というものは、技術的変革でこれから先どうなっていくかということにつきまして前途まだ未定の点が非常にたくさんございました。これから国際通信というものは非常な大きな曲がり角に来るのであるから、やはり国際通信の発展のためには、こういう金を積極的につぎ込んでいって、ケーブルなり衛星通信なり、そういうものをどんどん発達させていく、また端末機械が非常に発展しますので国際競争も一層これから強まっていく、こういうようなことでございましたので、私どもは、料金を下げる、しかも為替相場の変動によって起こる円高差益のために下げるというよりも、国際通信のこれからの発展に備え、そうしてサービスをよりよくするような方向にこの金を使うということが最も重要であるということを当時考えた次第でございます。
  172. 鳥居一雄

    鳥居委員 今回のKDDから提出されました値下げ案に関しまして、郵政省として、値下げ幅あるいは値下げの時期、こういう点について指示をされていますか。
  173. 寺島角夫

    寺島政府委員 国際電信電話料金の改定につきましては、かねてKDDに対しまして、総合的に検討して早く結論を出すようたびたび求めてきたわけでございますけれども、ただいま御指摘のように具体的に幾ら下げろとかあるいはいつ下げろとかといったことを指示したことはございません。
  174. 鳥居一雄

    鳥居委員 それでは実際の経営内容について見てみたいと思うのです。  問題は下げ幅、それから料金体系、こういうことなのですけれども、大変な高収益です。社内にもう隠しようのないほど高収益を上げているというのが実態であります。五十四年三月期、第四十八期の純益は九十八億円どころか総益金は百六十億円、こう言って間違いございません。つまり利益の過小表示、こういうのが有価証券報告書が物語っているところだと私は見ます。  一つ伺いますが、退職金引き当て、毎年二十六億円程度の引き当てがずっと進んでまいりました。しかし、前期からこれが制度を変えまして一挙に五十億、そして有価証券報告書の中には、向こう五年間こういう形で引き当てをやっていく。そしてその二年目、向こう五年と言っていながらその二年目に八十五億、これが一番新しい四十八期の報告の中に出ている数字です。従来この退職金の引き当てというのは、高齢化が進んできた場合に備えて準備をし、引き当てをしてきておりますけれども、その必要のない、制度の切りかえによってこの五十億を引き当てた理由、これは一体どこにあるのでしょうか。
  175. 古池信三

    古池参考人 この問題は大変専門的な問題になりまするので、担当役員から答弁させていただきたいと思います。
  176. 武部文

    武部委員長代理 発言できません、参考人じゃありませんから。
  177. 古池信三

    古池参考人 わかりました。  当社の営業の費用は、御承知のように通信需要が最近非常に増大してまいりました、また事業規模が毎年拡大をしてまいりまするので、この費用は年々増加してまいっております。特に利益を隠すためにいろいろやっているのではないかというような御批判は、これは私どもは納得できないのであります。  ただいま御指摘になりました退職給与引当金あるいはまた賞与引当金、これらにつきましては税法の限度以上の引き当てを行っておりますけれども、これはあくまで職員の高齢化に対するものとともに、企業体質の健全化を図るために行っているものでありまして、企業会計上も容認されておる方法でございます。また、これは私の会社のみならずほかの会社でも採用されておりまするし、会計監査人からも公正妥当な基準に準拠しておるという監査報告を受けておりますので、決して不当なものではない、かように考えております。
  178. 鳥居一雄

    鳥居委員 過去の四年間を見てみますと、四十五期で二十六億繰り入れ、四十六期で二十六億繰り入れ、毎年二十六億程度なんです。これが四十七期になって五十八億繰り入れました。四十八期、一番新しい五十四年三月期でありますけれども、これで八十五億。そうしますと期末残高で二百九十九億。これは要支給額に対して八四・八%社内留保したという数字なんです。つまり、KDDがつぶれてしまって全員退職金を持たせてやめていく、これを仮定した場合に支払うべき金額の八五%がもうすでに留保できた、そういうことを意味するわけであります。普通不必要な社内留保、しかもこの要支給額方式の場合には五〇%までしか税法上認められておりません。つまり必要のない社内留保であるというのが税法のたてまえです。ですから、私が言う従来の要支給額方式に変える前の制度で十分に退職に備えることができたはずだという指摘なんです。ですから、これは利益金として入っていても納税はするでしょう、課税対象になります。これが繰入金として入っても課税対象になります、利益と見られるわけですから。ですから、単なる帳簿の中でこっちにあるはずのものがあっちにあったという指摘なんです。  次に、このほかに借入金を見ますと、今期でいよいよ長期借入金ゼロ、無借金経営ということになりました。前期に比較しまして、短期借入金と長期借入金合わせて二十九億の返済をいたしました。まあもうかっているのですから借金は返していく、これは普通のことだろうと思うのです。大変結構な数字かもしれません。  また、別途積立金、これは過去の利益の積み重ねということでありますが、社内に留保したものがこの期で六百八十五億円ですから、資本金の四倍を超えました。そうして、これがさらに当期の利益金処分によりまして、次期には八十億これに積み増しされることになるわけです。そうなりますと、資本金の四・六倍という、これは日本の企業にとりましてはまことに珍しい超優良企業と申しますか、ここ二年、三年と続けてきた実績がこの大変な数字だと私は思うのです。指摘をすれば、役員の賞与の引き当てにつきましていまお述べになりましたけれども、これも今期で制度を変えまして、公認会計士の監査報告によりますと、賞与引当金の設定基準を変更しており、当期から支給見込み額の当期負担分引き当て方式にしたので、従来より三億円繰り入れ増、こう述べております。会計処理の継続性の原則からいきますと、これは表示しなければならない、そういうことで表示しているわけでありますが、三億円の水増しと申しますか、利益の過小表示というのも私の目には苦肉の策だというふうに見えてなりません。つまり、今期は九十八億円の利益じゃなくて百六十億円だったんじゃないか、こういうことが指摘できるわけです。  この数字が示すものは、今回二十日に料金改定の案を郵政省に出しましたけれども世論批判をかわすために、従来公正な価格で料金体系をつくらなければならない、その検討もおちおちしないままに、新しい料金の形で認可決定という形になっていくのじゃないかという心配が実は大ありなんです。どういう考え方の基準でこの引き下げ案ができたものでしょうか。
  179. 古池信三

    古池参考人 今回の料金値下げにつきましては、いまさら申し上げるまでもございませんけれども、ただいまいろいろ御指摘になりましたように、最近の利益が非常に増加しております。この利益は何としても利用者に還元すべきである、これは第一の前提になっております。しかしながら、一面会社でありまするから、経営の安全性ということは十分に考えなければなりません。そこで、将来の物価情勢であるとかあるいは需要の変化、その他各般の条件をいろいろと検討しました結果、まずこの程度値下げをいたしても、少なくとも五、六年は大丈夫であろう、こういう見通しに立ちまして、今回の値下げを実施することに決意をしたわけでございます。  先ほど御指摘がありましたように、確かに本年の上期の中間決算を見ましても、八十一億という税引き利益が上がっております。昨年の同期に比べますと約三十億くらい税引き利益がふえておるわけでございますから、この調子でずっと上昇カーブを描いていくかどうかわかりませんけれども、非常な多額の増益になっておるわけでありますから、これを利用者に還元するのは至当なことであろうと考えておるわけであります。  それから、先ほど来退職引当金であるとかあるいは賞与引当金についての御指摘がございましたが、こういう問題も、これは利益が多かったから、利益隠しとは言いませんけれども、確かに余裕ができたからそういうふうな従業員の福祉厚生の向上という意味で引当金を多く積み立てることもできたのではないかと考えますが、将来はこういう問題は十分に私は検討してまいりたい。そして、いまのような御指摘の余りないようにしたい、こう考えます。  それから借金がないじゃないかというお話でありますが、例に挙げていいかどうかわかりませんけれども、たとえばいま日本の自動車工業のトヨタ自動車は余り借金がない、こう言われております。やはり借金は公益事業としては余りしない方がいいのじゃないか、できれば社内留保、自己資金で将来の設備の増設も賄っていくのが最も健全なやり方ではないか、こう考えておる次第でございます。この点もどうか御理解をいただきたいと思います。
  180. 鳥居一雄

    鳥居委員 そうすると、改定案作成に当たってこのKDDのいわゆる高利益をどの程度、たとえば百五十億円分を国内の料金値下げのために、改定のための根拠にしていくのだ——今回の改定で一体幾らの減収になるのですか。
  181. 古池信三

    古池参考人 お答えいたします。  ただいまの認可申請をいたしておりまする値下げ案によりますと、大体年間百六十億程度の減収になる予定であります。
  182. 鳥居一雄

    鳥居委員 サービス別に引き下げの割合が違いますね。それで、百六十億円というのはどういう内訳なんですか。条件としては前期並みということでそれを前提にしているのか、どうなっているのでしょうか。
  183. 古池信三

    古池参考人 お答えいたします。  今回は主として国際電話と国際テレックスの値下げをいたしましたが、国際電話の方が九十数億、国際テレックスが六十数億に相なります。
  184. 鳥居一雄

    鳥居委員 一つは、純益が百億円というのが基準である、百億を減らすために四苦八苦したのだ。こんなうわさも聞くのですが、一体どうなっているのでしょうか。  私は、公益事業としてKDDが一体どうあるべきなのか、これを東京電力あるいは関西電力、東京瓦斯、こうしたところの経営の実態から比較をしてみました。KDDの九百三十八億という純資産によりますと、いわゆる公共的必要余剰がざっと五十六億円と計算されます。配当金に十七億円必要であり、合計七十三億円というのが理論値として出てまいります。純利益が百二十億円ですから、これは五十三年三月期を例にとって計算をいたしますと、実に四十七億という、まあこれがいわゆるもうけ過ぎという数字で出てくるわけなんです。この四十七億、ほかの企業、たとえば公益事業一つ東京電力は純利益が七百五十一億ですから百六十一億円のマイナス、こうしたことからKDD一つ利益の基準というのを明確にしていく。国内でいただく通信料によって支えられているのですから国内の料金を安くしていくという形で必ず見返りを、料金の改定をしていくべきだ、こうなければならないだろうと思うのです。この問題、最後にいかがでしょうか。
  185. 古池信三

    古池参考人 ただいまの御質疑並びに御意見はまことにごもっともだと思います。あくまでわれわれは公益事業としまして国民に対して、利用者に対してよりよきサービスを、これは技術面においても、また料金面においてもできるだけの低廉な料金でよいサービスを提供することがわれわれの使命でありますから、その線に沿って今後十分努力を尽くしてまいりたい、かように考えます。
  186. 鳥居一雄

    鳥居委員 昨年、KDD社内で鶴岡副社長——前副社長ですけれども料金改定問題の部門の責任者を引き受けられ、そしてやめてその部門から離れていったという経緯がございますが、この部門の担当重役になったのはいつでしょうか。
  187. 古池信三

    古池参考人 当時の社長の方針もありまして、当時の鶴岡副社長経理担当をやめたのはことしの六月であったと考えます。そうして、フリーな姿になって社長の特命事項を分担するということに相なった次第であります。
  188. 鳥居一雄

    鳥居委員 その間に、当時の社長、副社長で、料金検討をめぐって葛藤があったと聞いておりますが、この点はどんないきさつがあったのでしょうか。
  189. 古池信三

    古池参考人 葛藤という言葉は私は適当ではないと思いまするけれども社内で、いろいろの場でお互いが意見を言い合うということは、これは当然どの社でもあることでありまして、わが社におきましても、料金値下げはまだ早いではないかという意見もあり、もう料金値下げに踏み切ってもいいじゃないかという意見もありました。これは当然あってしかるべきことであって、葛藤というような言葉で表現するのは私は不適当であろう、こういうふうに考えます。
  190. 鳥居一雄

    鳥居委員 同じ質問を前社長に伺いたいです。
  191. 板野學

    板野参考人 お答え申し上げます。  ただいま現社長がお話を申し上げましたとおりに、鶴岡副社長は当時経理部を担当しておりました。それからまた料金問題は、これは総合企画室の方で担当いたしますので、これはまた役員が異なっております。したがいまして、料金をどうするかという問題につきましては、先ほど私が答弁申し上げましたように、いろいろ役員の中にも意見が分かれておりました。しかし私は、国際通信が非常に大きな曲がり角にあって、これから技術革新によってどうなるかわからぬ、やはり国際通信の百年の大計を立てるためには十分な資金をもってこれに対処いたしまして、そうして衛星通信なり海底ケーブルなり、あるいはデータ通信、こういうものに対応していくということが最も有効に資金を使う方法である、こういうぐあいに確信をしておったわけでございまして、決してその間に葛藤、というよりもいろいろ議論をした、こういうことが実際でございます。
  192. 鳥居一雄

    鳥居委員 同僚委員にかわります。
  193. 武部文

    武部委員長代理 次に、竹内勝彦君。
  194. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 まず、料金値下げ云々の中で、五十三年二月あるいは三月、この時点におきましては、当時の郵政大臣のかなり積極的な発言がございました。政府といたしましては積極的に取り組んでまいりたい、あるいはまた、大変なファイトで指導いたしております、こういうような非常に積極的な発言がございました。ところが四月になると、それからそれ以後五月、十月と、ずっとこれが後退発言になった。値下げするなんて言った覚えはありません、あるいはまた、経営基盤の確立、設備投資などを総合的に勘案して検討する段階なんだ、あるいは経営基盤の確立がまず第一である、こういう言い方で大きく後退をしていきました。この点は、当時一番の中心者でございました板野さんはよく御存じだと思いますが、そのとおりでございますか。
  195. 板野學

    板野参考人 お答え申します。  料金値下げするということがその当時非常によかったのか、あるいは国際通信というものが非常に変革期にございまして、いろいろな投資をこれからしていかなければならぬ、こういうことでございますので、私は、これからの国際通信を盤石の礎に置く、そして国際競争に負けないように、また利用者のためにもなるような通信をするためには、やはりそういう方面に多額の投資を向けるべきであるという意見でございまして、まあ、大臣にも一、二回お目にかかりましてそういうお話もいたしました。大臣が後退をされたというよりも、国際通信のこれからの将来を決する非常に大きな曲がり角である、大変大切な時期であるということを御了解いただいたので、料金を下げるよりも先にそういう積極的な投資を国際通信のためにやれ、こういうお考えであったように私は感じておる次第でございます。
  196. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 言い回しはともかく、あなたは、値下げは反対だ、こういう答弁をしているのです。本委員会におきましても、わが党の同僚委員に対してもそうです。そういう中で、いまも話がありましたが、値下げの試算作業自体をやっておる当時の副社長あるいは取締あるいはまた担当部門におる人たち、そういった人たちをその担当から外していった理由は何ですか。
  197. 板野學

    板野参考人 当時、鶴岡副社長経理部を担当しておりましたけれども経理関係というものは会社にとりましても大変重要なポストでございまするし、私は、適当な人材がおればこれを経理担当にする、後継者を早く養成いたしまして、会社の財政状況というものについて早く知識を得る、熟知させる、こういうことが必要かと思いまして、そういう措置をとったわけでございます。
  198. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それで、一番の焦点は、はっきりさせていただきたいのは、昨年の五十三年二月、三月、この辺では積極的であった、ところが四月以降大きく変わってきた。ここなんです。  ここで前社長に特にお伺いしておきたいのは、この時点で当時の大臣に、何らかの形で料金値下げをしないようにという取り計らいをした覚えはございませんか。
  199. 板野學

    板野参考人 そういうようなお話をしたことはございません。
  200. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この二月、三月あるいは四月の時点で、大臣には何度ぐらいお会いになりましたか。
  201. 板野學

    板野参考人 この四月とか五月という時期は、これは自演大臣でございますかと思いますけれども、ほとんど大臣にお会いしたような気はございませんでした。
  202. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 板野さん、五十三年ですよ。昨年の話ですよ。五十三年の二月、三月、四月といえば値下げ問題の話があるときなのですから、一番の当事者じゃないですか。そんなとぼけてはいけません。
  203. 板野學

    板野参考人 お答え申し上げます。  ちょっと私の記憶は定かでございませんけれども、あるいは四月か五月ごろ一回お会いしたと思いまするけれども、私ども、こういう値下げ問題とか会社の経営問題について実際にいろいろお話を伺ったのは、実はちょうど六月の役員交代時に、ただいまの会長、私、両副社長大臣にお会いをいたしまして、いろいろな御意見を拝聴いたしたのでございます。
  204. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 あなたはいま一、二度会ったかもわからぬと言われましたが、そのときに何か贈り物をされたことはありませんか。
  205. 板野學

    板野参考人 そういうことはございません。
  206. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 報道によれば、同じころに二月と三月と五月、三つに分けて当時の大臣関係会社から、いま焦点になっておる高級家具類、シャンデリアとか応接セットとか、約二千万円に上るいろいろな物を購入されている報道がございますが、事実ですか。保田さんでも板野さんでもどちらでも……。
  207. 板野學

    板野参考人 私どもは後からそういうような物品を購入したということを聞いておりまするけれども、最初の当時は、これは当時の服部大臣関係のある会社であるということは全然私どもは存じておりませんでした。私は存じておりませんでした。
  208. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 存じているかどうかなんというのは聞いていない、事実かどうかと言っているだけです。いいです。  それで、同じく報道によれば、本日お見えになっていませんが、佐藤前室長さんが、あちらもののつぼをぼくが持っていったよ、百万円以下ならいいけれども、そんなものじゃないよ、こう言っておりますが、いつごろ持っていったのですか。
  209. 板野學

    板野参考人 私は、全然その事実については知りません。
  210. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 保田さん、知りませんか。
  211. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  私は、そういうことは全然知りませんでした。
  212. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 どうもこの時期がいろいろなものがかたまっておるように私は思う。  同時に、KDDは同じく昨年六月二十九日の株主総会で役員の定数を二名ふやしています。いままでの十五名から十七名に、この定款変更を行っていますね。その理由を教えてください。
  213. 古池信三

    古池参考人 昨年の六月の株主総会で定款変更をいたしました。それまで十五名であった取締役の員数を十七名に増加しましたのは、御承知のように、最近、会社事業の規模が、あるいは事務量が非常に増加いたしまして、十五名では足りない、どうしても十七名にしたいという希望がありまして、それを郵政省の方でも理解されまして認可を受けた次第でございます。
  214. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 このときに取締に就任した高仲さん、元郵便局長でございますね、どうも急遽話が持ち上がったように伺っていますが、一体、いつごろこの高仲さんを役員にしようという話が起こってきたのですか、板野さん答えてください。
  215. 板野學

    板野参考人 お答え申し上げます。  通常から申しますと、株主総会は六月の大体二十七、八日ごろでございまするから、その二週間前に株主関係の通知を出さなければなりません。したがいまして、六月の五日ぐらいには印刷を終わりまして、これを発送するというのが通例のようでございます。したがいまして、私どもはそれのぎりぎりのところまで郵政省から高仲君が私ども会社に来るかどうかということを知り得ませんでした。ぎりぎりのところまでわかりませんでした。
  216. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この定款変更並びに役員選考については郵政大臣承認事項となっています。ですが、通常、百十一ある特殊法人の役員選考について、昭和五十二年十二月の閣議決定におきましては、内閣官房長官の協議を要する、こういうふうになっています。そのうち、ただし書きがついて、例外規定として、十一法人に関して所管大臣承認のみで選任できる、こうなっていますが、KDDはそこに含まれているのですか、郵政省にお伺いしたい。
  217. 小山森也

    ○小山政府委員 先生御指摘のとおり、五十二年十二月二十三日に閣議決定されまして、その中のただし書きの中に、十一の特殊法人の役員につきましては、事前に内閣官房長官に協議しなくてもよいということになっております。その中の国際電信電話株式会社は、会長を除きまして常勤役員は除かれております。
  218. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで、今回のこの二名の役員をふやしているということで、百十一ある特殊法人の中で十七名以上という役員の数があるのは二つだけです。その一つは国鉄です。それからKDD、この二つだけなんです。国鉄は、御承知のとおり四十三万人からの人がおります。KDDさんは五千七百名、約六千人弱、こういう中で国鉄がいま十九名の役員です。それ以外の百九、こういうものはすべて十六名以下です。それが、行政改革云々が言われておるこういうときに、なぜいままでの十五名の役員から十七名にふやさなければならなかったのか、どうもその時期におきましておかしなように思うし、同時にまた、その理由が納得できないわけです。そういった面でひとつその辺どういうわけなのか、やはり当時の一番の中心者でございます板野さん、明確に答えてください。
  219. 板野學

    板野参考人 御承知のように国際通信でございまするので、百五十六カ国を相手にいたしておるわけでございます。国鉄はただ一国だけ、日本の国だけでございまして、こういうたくさんの国を相手にすると同時に、またITUを初め国際会議がたくさんございますので、それには一々役員が出席をいたしております。そういうことでございまして、世界的な広がりを持った事業でございまするので、やはりこういう重要な会議には役員が出席するということで、役員の数も決して従事員の数に比例するのではなくて、世界を相手にしておる、宇宙までも相手にしておる、こういうことでございますので、御了承いただきたいと思います。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕
  220. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 高仲さんの天下りについては、六月十九日人事院が承認しておりますが、それには通例少なくとも一カ月前、本人から人事院に打診がされるようになっておるやに伺っていますが、そういう意味でいきますと五月中旬かなと、こう考えるわけです。いまの時期、それと同時に先ほどの当時の大臣値下げの積極発言から大きく後退発言にと変わっていった点、同時に、いままでずっと問題になっておる交際費、これが五十二年は十四億円でした。ところが、五十三年になると一挙に二十二億円にはね上がっておりますけれども、どういうわけですか、板野さん。
  221. 板野學

    板野参考人 お答え申し上げます。  五十三年度というものは非常に国際会議の多いときでございました。それに私どもといたしましては、先ほどから何回も申し上げますけれども、国際通信というものが技術革新において非常に大きな曲がり角に来ておりまして、これは専用線問題あるいは海事衛星問題も同様でございます。そういう意味で国際間の交流、会議、それから外国から来る人もたくさんございまして、私どもといたしましては、一番大切な国際通信というものはどうなるかというような時期でございましたので、そういうような経費がだんだんかさんできておる、こういうことでございます。
  222. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この二十二億円の内訳として、上半期と下半期、わかりますか。
  223. 古池信三

    古池参考人 お答えします。  これは調べてみないと、いまこの場ではちょっとわかりかねます。
  224. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 ぜひこれを調べていただきたいのです。その時期というものが非常に大事になってきます。余りにも膨大なものです。二十二億、このうちのほんの一部が、たとえばこの工作に何らかの形で、たとえば値下げの後退発言、あるいはこの天下り人事、あるいはいままでいろいろ論議されておる一連の贈り物事件等々、こういうものに問題が出てくるように考えるわけです。  そこで、法務省にお伺いしますが、非常に今回の問題の焦点というものがどうもこの時期というものになってくるのではないか。問題の焦点の一つであると思いますが、いかがでございましょうか。
  225. 根來泰周

    根來説明員 一般的に申しまして、この捜査というものは証拠で足元を固めていく、そして展開を図っていくという性格のものでございますので、ここで申し上げるほどの見通しというものを持っているわけでございません。そういう意味答弁は勘弁していただきたい、こういうふうに思います。
  226. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それではもう一点聞いておきますが、先ほど新聞の報道でありましたとおりでございますが、同じく佐藤前社長室長が記者に語っておる、贈りましたよ、あちらもののっぽですよ、百万以下ならいいけれども、そんなものじゃないと。そして、贈収賄になるかな、職務権限がひっかかるかな、こういうような発言をしておる報道がございますが、この発言と、あるいは先ほどの二月、三月、五月、こういった一つの積極から後退へと行ったこういう面から考えて、この発言自体については法務省として何らかの関心を持たざるを得ないと思いますが、いかがでございましょうか。
  227. 根來泰周

    根來説明員 いろいろお尋ねはございますけれども、私どもの現在の立場としては答弁を差し控えたい、こういうふうに思います。
  228. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それでは、この値下げ後退発言あるいは贈り物の問題あるいは権限、こういったものの中からかんがみて、私がいま論じた点は参考にはなりますか。
  229. 根來泰周

    根來説明員 国会の御議論は検察当局も始終拝聴しておるわけでございます。そういう意味で、先生のお話は検察当局もよく認識すると思います。
  230. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 密輸事件あるいはいろいろなそういったものに絡んで、捜査に関して警察と合同でやるとの見解が出ておりますが、捜査本部はいつごろつくる予定ですか。
  231. 根來泰周

    根來説明員 十一月十四日に東京税関から関税法、物品税法違反で告発がありました。当面それを検討しておるというふうに聞いております。そのほかのことについてはまだ何らの報告を受けておりません。
  232. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 もう一点聞いておきます。板野さん、あなたは郵務局長をやめたのはいつですか。
  233. 板野學

    板野参考人 昭和三十七年というふうに記憶しております。
  234. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そしてあなたは郵政省官舎にずっとそれまで住んでおりまして、やめられてからも約四年間そのまま郵政省官舎に住んでおったように伺いますが、もしそうなると、公務員宿舎法第十八条にあるとおり、これはもう二十日以内に出ていかなければならない、あるいはやむを得ない場合でも六カ月以上は住めないことになっております。この官舎はやはり国民のものでございます。そういうことから考えていけば、あなたが郵政省をやめられてからそこに約四年間おられたということは明らかに不法占拠になりますが、あなたの見解をお伺いしたい。
  235. 板野學

    板野参考人 確かに御指摘の点はございました。何分当時役人の退職資金では家を一軒建てるというようなこともできませんでしたので、郵政省関係によく聞きまして、そういうようなことが許されるという範囲内で、たとえば家賃を何倍出すとかいう範囲内でおった次第でございます。
  236. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 こういう体質が——まだほかにもあるんですよ、いまの取締もまだそのままおる人もおるのです。それはいいですが、こういう体質自体が、郵政省との癒着だとかなんだとか、こう言われること自体が問題ですから、郵政省監督不行き届きということで、ひとつ郵政省の見解を述べてください。
  237. 林乙也

    ○林政府委員 お答えいたします。  確かに先生ただいま御指摘のとおりに、板野KDD社長郵政省を退職いたしました後、長期間にわたりまして宿舎に入居いたしておったわけでございますが、このように退職後長期間にわたりまして入居いたしておったことにつきまし七は、国家公務員宿舎法のたてまえからいたしましても、私どもといたしても適切なこととは考えておりません。何せ相当以前のことでもございますので、何がしかの事情はあったのかというふうに考えられるわけでございますけれども、その理由等、詳細なことにつきましては、現時点では私どもといたしましては把握いたしかねる次第でございます。  また、今後の宿舎貸与の運用に当たりましては、退職後も引き続き入居いたしておる者につきましては、個々にそれぞれ事情はあろうかと思いますけれども、宿舎法の定めるところにのっとりまして、早く宿舎を明け渡すように督促を重ね、宿舎の効率的な運用を図ってまいりたいというふうに考えておる次第であります。
  238. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 時間ですので、もう一点に関してお伺いして終わりますが、保田さん、今回の一連の贈答品あるいは美術品、こういったものの買い付け、そして保管、それから贈り先、それから何の目的か、こういったものが焦点になるんですよ。  その意味でいけば、先ほどの買い付けはわかりました。保管はわかりました。なぜ買い付けたり保管しているのに、贈り先の関係者はわからぬのですか。贈り先の担当者はだれですか。
  239. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  私は、買い付けられた絵画、美術品等を、指示によって固定資産もしくは部外贈答品に事務処理しましてそれを保管します。  それで、贈り先の担当者といいますと、私には理解できないのでございます。そういう担当者はございません。
  240. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 買い付ける目的があるんでしょう。保管の目的があるんでしょう。じゃ次は贈り先じゃないですか。それも何にもないのに買い付けるわけがないじゃないですか。担当者はだれですか。
  241. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  私はただ指示されたとおりに処理するのでございまして、それ以外のことはわからないわけでございます。
  242. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 板野さん、答えてください、中心者の。
  243. 板野學

    板野参考人 先ほどもちょっとお答えをしたわけでございまするけれども、これは特定の贈り先があるからこれを買うということではございません。確かに贈答品目ではございまするけれども、品物によってはあるいは固定資産になったり貯蔵品になったり、そういうぐあいに処理されるわけでございまして、これは特定の贈り先が仮にあればそういうことになると思いますけれども、私の記憶する限りでは、これは贈答品目的で買いましたけれども、そういうものではございません。
  244. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 これで終わります。  それでは先ほども同僚委員に対して、パーティー券に関しては全くその覚えがない、いまのところ記憶にない、こういうふうに言って、それならば三、四日以内にひとつその内容に関して思い出したものを持ってくる、こういうことになっていますが、私どもの方へもぜひ、それにプラス贈答先一覧、さらにまた商品券等が今度絡んできています、そういった面に関してもなかったのかどうか、よく思い出していただいて、三、四日以内に私どもの方に提出願いたいと思いますが、保田さん、いかがですか。
  245. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  私はそういうふうな贈答先等の担当者ではありませんので、その点はお答えできかねますパーティー券、これは一般の例にならっておるのでございますけれども、それについては思い出す限り出すようにいたしたいと思っております。
  246. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それではぜひそのわかる範囲のもの、商品券も含めていろんなものも思い出した分をすべてこちらに御提出願いたいと思います。  以上で終わります。
  247. 小林進

    小林委員長 次に、藤原ひろ子君。
  248. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 十一月の二十五日午前一時半ごろ、佐藤前室長が退院をいたしました。やがて草木も眠るうし三つどき、こういうふうな時刻に人目を避けて、厳しい寒さの中を気管支ぜんそくという病人が退院するというふうな異常なことだと思います。しかも、このためにKDD社員が十数人も護衛につかされた、こういうことですが、これは一体何事ですか。  一方、私は市民的な道徳から考えてみましても、あなたの会社は人の道から外れるというふうな態度がございました。本日行われますKDDをめぐる疑惑解明の集中審議のために、二十四日の朝、あなたの会社に対して四種類の資料の提出をお願いしたわけです。ところが、夕方になってもナシのつぶてです。いたし方なく午後八時ごろ、私自身直接にこちらから連絡をいたしました。すると、資料は出せるかどうかわからない、週休二日制でございますので、担当者は帰った者もございます。こういうことです。それでは月曜日に、質問の当日提出するのか、このように聞きますと、それもわからない。それでは提出できる資料はどれで、できないのはどの資料なのか確めて返事をしてください、こういうふうに要求いたしましたが、これも全く無視の状態です。私は、決して深夜に資料を持ってきてくださいなどとは申していないわけです。古池会長、先ほど大西郵政大臣は心機一転して新しい執行体制で臨むことになったなどと述べられましたけれども、あなたの会社は、人に物事を頼まれればまじめに対応するというような初歩的なこともできなくなっているわけです。心機一転したら市民道徳すらもなくすということですか。佐藤前室長を報道陣に近づけさせないためには、真夜中であっても多数の職員を動員するけれども国会審議のために要求した資料は、どこでどうなっているのかも不明のままでほうっておく、こんな姿勢でどうして、今日のKDDにかけられている国民の疑惑を晴らして不正を正すことができるのですか。どう思っているのですか。この点お答えいただきたいと思います。  また、私が要求をいたしました資料は、念のために申し上げますが、まず第一に、インテリア・ルイから、いつ、何を、どれだけ買ったのか。二つ目には、会社が購入しているゴルフの会員権について、いつ、どこのものを、幾らで買っているのか、法人名義のもの、役員名義のもの、また管理職名義のものについて書いてくださいということです。三つ目には、中間決算を変更したら、どこがどのように是正されたのかわかる資料。四つ目には、中間決算の変更で新しく財産に加えたものの一覧表。この四つの資料はいつ出していただけるのか、先ほどの答えとあわせてお願いしたいと思います。
  249. 古池信三

    古池参考人 ただいまの御質問に対しまして、私からお答えをいたします。  御質問二つに分かれておると思います。まず第一は佐藤前社長室長の退院の状況について、第二は資料の提出について、こういうことであろうと思います……。
  250. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 状況を教えてくださいなどとは申しておりません。深夜にこういうことがあったのに、私に対するおろそかなことはどうして起こっているのか。経過などは時間がありませんので、なぜ資料が提出できない、その返事もないという事態に対してどうなのかということと、資料は出るのかどうかという、二点です。
  251. 古池信三

    古池参考人 わかりました。
  252. 小林進

    小林委員長 ちょっと申し上げますが、委員長の許可を得て発言してください。——古池参考人に申し上げますが、質問者の質問に答えるようにお答え願いたいと思います。
  253. 古池信三

    古池参考人 それでは、私がちょっと聞き損ないをしたかと思います。人道上の問題ではないかというふうな御質問だと思ったものですから、それはこういう事情であるということをお答えをしたいと思ってここに答弁に立ったのですけれども、それは質問外だ、こうおっしゃいますから、その点には触れないことにいたします。佐藤前社長室長の退院についてであります。  それでは資料の問題ですが、いま、ちょっと尋ねましたが、私から口頭で、わかっている限りお答えを申し上げます。  インテリア・ルイという家具店から、大体概算で六百万円程度の家具を購入したことは事実であります。  それから、ゴルフの会員権を買ったであろう、こういうお尋ねがあったようでありますが、実は、これは私自身のことを申して大変恐縮でありますけれども、私はゴルフというものに余り興味はないのです。したがって、いままでゴルフをやったことはございません。だから、ゴルフ場のことは余り知識はないのでありまするけれども、聞いてみましたら、うちの会社も大体よその会社と同じ、世間並みのゴルフ場の会員権は買っております。こういうことでありまするから、さように御承知をいただきたいと思います。  それから第三番目は、中間決算案についてどのくらい修正をしたかというお尋ねでありますが、これはただいま郵政省認可申請しておりまして、まだ認可がおりておりません。したがって、これは未定稿と申しましょうか、まだ一人前の中間決算にはなっておりませんので、この場でそれをお話し申し上げることは差し控えたいと存じます。いずれ認可がおりましたら、その際には御説明申し上げることができると思います。
  254. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまの資料を提出していただけるかどうかということを聞いているわけですから、これはきちんと、たとえばそのゴルフの会員権にしても、世間並みにやっておられるというその氏名を一欄にして四つの資料を提出をしてください。  私たち共産党の衆参逓信委員三人が疑惑解明のために、先日十五日でした、KDDの本社を訪ねまして、古池会長に何点かにわたってお尋ねをいたしました。そのときにパーティー券の購入をめぐりまして、政治家の名前を明らかにしてください、こういうふうに申しましたら、会長自身は、いま調べているというふうに述べられました。この間政治家のパーティー券をめぐる問題でお金を返してきた政治家もあるわけなんです。それでは現在お金を返していない政治家もおられるのでしょうか。いかがでしょうか。
  255. 古池信三

    古池参考人 お答えいたします。  このパーティー券の問題につきましては、実際の取扱者は、先ほど御答弁いたしました保田参与が扱っておりまするので、私も詳しいことは存じません。以上でございます。
  256. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 この間返してこられた敏活家、このときにはもう保田さんはKDDの役員ではないわけですね。そうすると、古池会長がそれを受け取っておられる最高責任者ですね。そうしたら、どうなるのですか。その後返してきた人がいるのかいないのか、どうなんでしょう。
  257. 古池信三

    古池参考人 この前一人の方が返してこられたことはありますけれども、その後は私、承知しておりません。
  258. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、保田さんに、この後返してきていない政治家の名前を提出をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  259. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  私は、十一月五日付で社長室付参与から秘書室付参与となりましたが、その時点で担当を外されまして、いま何にも担当のものはないわけでございますので、詳しくはわかりかねるわけでございます。
  260. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いま古池参考人が言われたように、小渕総理府長官ですね、一人だけというのは。その人以外は返してきていないと言っておられるわけですから、そのほかはわかるわけでしょう。あなたは、いま何もしていない、こう言いながら、先ほど二、三日したら政治家の名前を出すとおっしゃったじゃありませんか。
  261. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  それはよく考えまして、私が担当当時のことを思い出しまして御返事をするということでございました。現在はそういう担当ではございませんので、はっきり申しかねます。
  262. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、古池会長に返した人は一人なんですから、保田さんが退職した後それを引き続いて担当している人がいるはずですから、その人に命じて、金を返していない政治家を報告をしていただきたいと思います。いかがですか。
  263. 古池信三

    古池参考人 お答えいたします。  よく調査をいたします。
  264. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 調査はいまやっているということでしたから、その進捗の中で報告をしていただくようにお願いをいたします。  それから、新聞によりますと、小渕総理府長官は、いろいろな問題があるということで、KDDに購入してもらったパーティー券百枚、金額にして二百万円をKDDに返してきた、こういうことですね。KDDは、いま古池会長は受け取ったということですが、恐らくあなた方は納得の上で二百万円を支出されたのでしょう。それを返してきたとき、いい気持ちはしなかったでしょう。それをあえて受け取ったのですから、筋の通る理由があるはずです。受け取った理由は何ですか。
  265. 古池信三

    古池参考人 このパーティー券を購入した暫時の当事者は私ではございませんけれども、御本人から、パーティーをするつもりでパーティー券を買っていただいたが、都合によってこのパーティーは開かないことになったから、その費用は要らなくなったからお返ししたいがどうであろうか、こういうことであるから、その御本人の意思を尊重いたしまして、私は受け取りました。
  266. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私が訪問いたしましたときに、会長自身が、最高二十枚、金額にして四十万円、この程度は購入した、普通なら四、五枚だ、最高は二十枚、四十万円くらい、こういうふうにおっしゃったわけですね。覚えていらっしゃるだろうと思います。当然あなたも、パーティー券を購入した政治家に対して、購入した代金を返してもらうべきだと思いますが、それは返してもらわれましたか、
  267. 古池信三

    古池参考人 前夜あなたが私の会社をお訪ねくださったときに、一時間くらいいろいろとお話をしました。その際に、いまのパーティー券の話も出まして、大体パーティ券のつき合いはなさるかという話であったから、私も、かつては政治界におりましたから、いまでもたくさんのお友だちがいる。したがって、そういう方から、会をやるからパーティー券をひとつつき合ってくれというお話があれば、これはお友だちのことだから、おつき合いをいたします。しかし、そういうときには大体二、三枚ぐらいが普通でしょう、そんな程度ですかというお話だったから、まあ会社として最高考えてもせいぜい二十枚くらいじゃないでしょうかということは、確かに私はお話しした記憶があります。私がそういうふうな話をしたことは間違いございません。
  268. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それなら、百枚を返してこられた、そのときに小渕長官から受け取ったのだから、あなたも二十枚会社で買われた分、それはお金を返してもらって当然じゃないですか、その理由がまともならば。ということなんですが、とにかく返しておられないということだけ明らかになりました。  次へ進みます。パーティー券といいます性格は、形を変えた政治献金集めだ、こういうふうに思います。つまり政治家に対する献金と同じであるわけです。古池会長は、十一月八日付の毎日新聞のインタビューに答えて、政治献金をしないのがKDDの方針だ、こういうふうに明確に述べておられるではありませんか。KDDはたとえ株式会社であっても、その行っている事業は公共事業ですね。公共的色彩の非常に高い事業である。たとえ政治家のおつき合いということであっても、社の経費から出す、公費から出すというのは言語道断だということなんです。百枚は多過ぎるけれども、四、五枚ならばいいじゃないか、こういうふうな考えは間違っているわけです。こういうところから不正が出てくるわけです。たとえ一枚であっても公費ということで、会社の費用で買うべきではないわけなんです。  国民は、今日のこの疑惑について真相を徹底的に明らかにしてほしいというのが率直な願いなんです。あなた方はこういった国民の願いにこたえるのかどうか。先ほどからいろいろとぼけたりなんかしておりますけれども国民の願いにこたえるというふうに口ではおっしゃっている。こたえるということはどういうことなのか。たとえばパーティー券を購入した政治家の名前を具体的に公表することが国民の疑惑にこたえることになるわけです。心機一転しますとか、厳正に何とかいたしますとか口ばっかりで、そんなことを言っていたってだめなわけです。たとえ一枚でも会社のお金でパーティー券が買われているというところが重要なんです。四、五枚だったらいいだろうとか、そういうものでないわけです。ですから、こういう点を国民にちゃんと公表しなさい、こういうことになっているわけです。いかがですか、公表するのですか。
  269. 古池信三

    古池参考人 るるお述べになった御高見は、私、よく承りました。  しかし、いまお話しになりました中で、やはり私ども会社も一民間会社でありますから、会社としてのおつき合いというものはあります。したがって、そのおつき合いの上でパーティー券も若干はおつき合いするということは、これは別にとがめ立てするほどのものではないと思います。  それから、パーティー券を買うということが政治献金だと仰せになりましたけれども、私はさようには考えません。政治献金は、政治資金規正法による献金であるとか、そういうものが含まれるのであって、おつき合いでパーティーに出るというようなことは、これは必ずしも政治献金ではないと私は考えます。
  270. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 重大な発言だと思いますよ。特定の政党のパーティー券などを公費で買っておきながら、それはおつき合いなんだ、そしてあたりまえのことなんだというふうな顔をしている。形を変えた政治献金だ、国民はだれもそう思っていますよ。それを当然のことなんだというふうなただいまの発言は重大な発言だと思います。  それでは、次の問題に入ります。  昨年度KDDは宝塚市の寿楽荘にあります宝塚南寮の改修工事をやっていますが、これはどこに幾らで発注したのか、答弁をしてください。
  271. 古池信三

    古池参考人 お答えいたします。  KDD宝塚南寮は、住友商事から五十四年の三月に買収いたしたものであります。
  272. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、板野参考人にお尋ねをいたします。  住友信託銀行の寮であったものをKDDの寮に買収したい、こういうふうにあなた方は考えていたのでしょう。それをなぜ住友商事の手に移して改修をさせてから買収するというわかりにくい方法をとったのでしょうか。そんなことをすれば買収金額がはね上がることは目に見えているではありませんか。  そこで、お尋ねをいたします。この改修工事を村本建設株式会社がやったのは御存じだと思います。けさの新聞にもこの問題は出ていますから、板野参考人お答えいただきたいと思います。
  273. 板野學

    板野参考人 まことに申しわけないのでございますけれども、その当時、私はそのいきさつを全然知っておりませんので、今日お答えをいたしかねる次第でございます。
  274. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは委員長にお断りをして、これを板野さんに渡したいと思います。——いまお渡ししましたものは村本建設株式会社の社報です。これにはっきりと、KDD大阪支店の、住友商事株式会社が請け負ったものをやったというふうに出ているわけですね。こんなものにさえ出ているわけですから、板野さん、正直におっしゃったらどうですか。改修工事の始まった十月以前の六月に、住友商事とKDDとはこの宝塚南寮の買収、改修の問題について話し合ったことがあるはずなんです。どうですか板野さん。
  275. 板野學

    板野参考人 この内容につきましては私はつまびらかにしておりませんが、住友商事から買いましたということを私どもは聞いておりまして、その中身がこうであるかどうであるかということは私存じ上げておりません。
  276. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 あなた、とぼけてもらったらだめですよ。あなたは当時、二百三十九億円もかけた三十二階建ての高層ビルの最高幹部、社長だったわけでしょう。それが、住友商事から買ったと聞いているけれども中身は聞いていない、そんな無責任が通らないことは当然ですから、ここで知らないなどと言うのはとぼけているということなんです。  あなたも御存じのように、村本建設というのは奈良に本社のある会社で、服部元郵政大臣と深い結びつきのある会社ですよ。この会社は、選挙のたびに服部氏に献金をしている会社です。ことしの十月の総選挙では百五十万円、五十一年十二月の総選挙でも服部さんに献金をしているわけです。  あなた方は、村本建設がKDD寮の改修工事をするあるいはしていたというのでは困るということで、いろいろとやり方を考えたのでしょう。住友商事とも事前によく相談をしていたでしょう。板野参考人、いかがですか。
  277. 板野學

    板野参考人 先ほどお答えいたしましたように、私は村本建設という方にお会いしたこともございません。これは住友商事からのものだというふうに私自身思い込んでおりまするので、それは私はさきにお答えしたとおりでございます。
  278. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは私の方から申し上げましょう。あなた方が村本建設にこの工事をやらせたい、こういうふうに考えて、その方法を検討した結果、直接の工事の発注を避けるために、住友信託の同系列の住友商事に買収をさせて工事をさせるということです。そしてその工事は村本建設にやらせる、そして、でき上がったらKDDが買い取る、こういう形を考え出したわけです。  私たちの調査では、改修工事に入る前の五十三年六月に、住友商事とKDDの間でこの寮の買収と改修について商談が成立していた。その結果、五十四年の二月に工事が終わりますと、部分的な手直しをして三月十五日ごろにこれを受け取り、三月二十日ごろには移転登記を完了いたしております。住友商事が独自の計画で寮を建てたのであるならば、こんなに早く話が進むはずはありません。板野さん、どうなんでしょうか、これでもとぼけられるのですか。
  279. 板野學

    板野参考人 お答えいたします。  私はとぼけているのではなくて、実際その間の事情を私自身は知りませんので、私はこれは住友商事から買い受けたもの、こういうぐあいに信じておるわけでございます。
  280. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 知らぬ存ぜぬで押し通そうということですが、知らないということであれば、いま古池会長板野社長のときにこういうことが行われていたのですから、全面的に調査をする必要があるということです。  同時に、さらに申し上げますと、私ども調査に対しまして、この改修工事を発注をした住友商事大阪本社の建設部長の柴田さんは、五十三年の六月にKDDとの間で、この問題での商談が成立した、こういう意味のことを言っているわけなんです。ですから、村本建設に工事をやらせるという話し合いを含めて決まっているのですよ、このときに。板野さん、あなたがいまのようにとぼけて、正直に答えてくれないのですから、どうしてもあなたを証人として来ていただく以外には、真相の解明はできそうにないと思います。  委員長お願いを申し上げますが、板野さんを証人として喚問することについて、後の理事会で検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  281. 小林進

    小林委員長 藤原委員の申し出の問題は、後刻理事会においてお諮りいたしたいと思いますから、質問を続けていただきます。
  282. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、次の問題に移ります。  KDDの五十二年度建設工事の発注状況についてお尋ねをしたいと思います。五十二年度、常磐開発に発注した建築工事は何件あって、金額にしてどのぐらいあるでしょうか。
  283. 古池信三

    古池参考人 お答えいたします。  昭和五十二年度の工事でありますが、まず第一は、学園、これは私の会社の学園がございますから、その国際通信学園の樹木伐採、植栽工事等、計三件。これが、金額にして一億八千二百万円。それから第二が、堀ノ内寮の新築工事、三億一千万円。それから第三が、北浦の受信所用地造成工事等、計二件で二億九千二百万円。以上であります。
  284. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 あなた方からもらいましたこの資料を見ますと、あなた方が発注をしておられる工事ですね、これはすべて大林組であるとか竹中工務店であるとか清水建設であるとか、いわゆる大手の建設業者に発注をしておられます。そういう中にあって、常磐開発という会社は資本金一億円なんですね。こういう会社が五十二年度に一億円以上のKDDの建築工事、資料をいただいておりますけれども、十一件のうちの三件を受注しているわけですね。これは何かあるというふうに考えるのがあたりまえの話ではないか、こういうふうに思うのですけれども板野参考人、あなたはこの五十二年の夏、園田さんの紹介で、園田さんというのは園田前外務大臣です、常磐開発の木山社長とお会いになっておりますね。いかがでしょう。
  285. 板野學

    板野参考人 そのとおりだと私の記憶がございませんけれども、大体お会いしたことはございます。
  286. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 記憶はないけれども、ありますということはどういうことですか。ありますというふうに受け取っていいんですね。
  287. 板野學

    板野参考人 お答えさせていただきます。  その時日、日にちのことでございますので、私は日にちをそう正確には覚えておりませんけれどもお会いしたことはございます、こういうぐあいにお答えしたわけでございます。
  288. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 常磐開発の木山社長と会ったことは、日にちははっきり覚えてないが会っているということです。  それではお尋ねをいたしますが、木山さんという方はその当時の園田官房長官と同郷の人で、園田さんの息子さんがこの常磐開発に勤めているわけです。しかも、常磐開発の関連会社の内郷炭鉱と常磐開発から、五十二年度中に、園田さんの政治団体であります第三政経研究会に合計二百六十五万円の政治献金が行われております。常磐開発から五十二年六月十五日に十万、五十二年九月十六日に十五万、五十二年十二月十四日に九十万、内郷炭鉱からは五十二年十二月十四日百五十万ということで、合計二百六十五万ですけれども、こういう政治献金が行われております。  板野さん、これらのことは御承知の上で便宜を図っていらっしゃるのでしょうか、いかがでしょう。
  289. 板野學

    板野参考人 お答え申し上げます。  ただいまの先生のおっしゃいましたことは、私も全然存じません。そういうことでなしに、私ども、やはり地方におきまする事業者を積極的に使っていく方が地方の振興のためにいいのだ、こういう点と、そして当時工事を急いでおりましたので、そういう関係でまあこの常磐開発の方にお願いをした、こういう次第でございます。
  290. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは古池参考人にお尋ねをいたしますが、いまの板野参考人と全く同じ考えでしょうか、いかがでしょう。
  291. 古池信三

    古池参考人 私は当時の事情をつまびらかにいたしませんけれども、ただいま板野社長答弁されたことは、当時の当事者がはっきりと明言されたのでありますから、そのとおりであると信じます。
  292. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、十一件のうちに三件——たとえ資本金が少なくとも、資本金が少ないところはしてはいけないなどとは私も申しておりません。そうであれば、いまのように地方における事業者を積極的に使うのはよいというふうに認められて、古池会長も前任者がそうであればということですから、今後はそれではKDDの発注する相手、工事をお願いするところが大手メーカーだけでなくて中小企業、こういったところにも発注するということはよいことだというふうに認められたというふうに私は思います。いかがですか。常磐開発だけはいいということですか。
  293. 古池信三

    古池参考人 私が社長をいたしております限りは私の責任でありますから、私は、中小企業でありましても技術が優秀であり経営内容が堅実であり、またその仕事がまことにまじめである、こういう経営者であればやらさせます。
  294. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、先ほど申しましたように十一件ある中の三つだけがこの常磐開発、しかも率としては高いわけですね。ここだけが技術がりっぱなのかというと決してそうではないというふうに思うのです。ですからこの点、私はいま二つのことをはっきりしておきたいと思います。  一つは、このように常磐開発にだけ、ほかは大手なのにKDDは資本金一億円のところへ発注をした、それが常磐開発に限られているというところに問題があるということです。もう一つ確認しておきたいのは、今後、中小企業といえども技術が確かであればそれは発注できるという道がきょうの答弁で開かれたということを確認したいと思いますが、いかがですか。
  295. 古池信三

    古池参考人 過去のこと、後ろ向きのことは私は申しません。これからの、前向きの姿勢を申し上げますと、先ほど申しましたように、その事業者が技術が優秀であり、またまじめな会社であり、経営内容もしっかりしておる、そうして当社で決めた一定基準に合致している業者であれば請負の対象にしてよろしい、かように考えます。
  296. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、板野さんはこういったことを御承知の上で便宜を図られたのではない、何にも知らなかった——全く最高責任者としては常識からも考えられないような発言が続いたわけです。言を左右にして国民の疑惑解明に積極的に姿勢を傾けようとしないということが、私はきょうの委員会ではっきりしたと思います。ですから、あなたの証人喚問の必要性ということはますますこの場で明らかになったと言わざるを得ないと思います。これは、委員長には先ほどこの点について以後の理事会で検討いただくことを約束いたしておりますので、時間がありませんので、最後の質問をしたいと思います。  私は、通話料の値下げ問題について郵政省に最後にお尋ねしたいと思います。国内の電信電話料金は公衆電気通信法に基づいて国会審議によって決定をされております。しかし、国際電信電話料金大臣認可だけで決定をされております。しかもその上に、私鉄とか国鉄の料金は曲がりなりにも公聴会を開いて国民意見を聞いて決めるわけですね。ところが、国際電電の料金はそういうことすらやられていない、こういうことが現状です。こういうやり方の中に国民の疑惑がますます広がってくる原因をつくり出しているというふうに思うわけです。  そこで、郵政大臣、今度の料金変更を決定する前に国民意見を聞く機会をつくるというふうなおつもりはあるでしょうか、どうでしょうか。私はぜひ公聴会などの方法でそういうことをやるべきだ、ぜひともやっていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  297. 大西正男

    大西国務大臣 お答えいたします。  今度の申請は本月の二十日に出てきたところでございまして、いま事務当局の方におきまして検討をしておる段階でございます。今回の問題につきまして、いまそういった審議会その他の機関にこれをかけるということは考えておりません。今後の問題といたしましては、諸般の事情をいろいろ検討いたしました上で対処したいと思います。
  298. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ぜひともいまの意見、御検討いただくということでお願いをいたします。  それから一つ、私、先ほど園田さんの政治献金で常磐開発と言いましたが、これは常磐興産ということでしたので、政治献金をずっと並べましたが、それを訂正をしていただきたいと思いますので、お願いをいたします。  以上で終わります。
  299. 小林進

    小林委員長 次に、西村章三君。
  300. 西村章三

    西村(章)委員 時間の制約がございますので、端的に事実関係からお伺いをしてまいります。  まず、KDD社長室の職務内容権限について、古池参考人の方からお答えをいただきたい。
  301. 古池信三

    古池参考人 お答えいたします。  社長室の権限と役員会の関係、こういうふうなお尋ねでございますか。社長室の権限でございますか。(西村(章)委員権限内容です」と呼ぶ)社長室におきましては、物品の購入あるいは建築工事の発注、これらについて一件の価額が三千万円を超えるもの、あるいはまた金額がそれ以下であっても重要なものと認めるものは役員会にかけます。しかし、それ以下のものは社長室限りでこれを処理する、こういうことになっております。
  302. 西村章三

    西村(章)委員 そうすると、一件当たり三千万円以下のものなら社長室で自由に決裁ができる、こういうことでございますね。そうすると、その三千万円以下のものについては他の役員は一切関与ができない、こういうことでございますか。
  303. 古池信三

    古池参考人 なお、お答えしておきますけれども、ただいまのお答えしましたのは前社長室のことでございまして、現在はもうそういう社長室はございませんから過去のことでありますが、まさに三千万円以下の金額でしたら社長限りの決裁で処理できた、こういうわけでございます。
  304. 西村章三

    西村(章)委員 古池社長はこれまで、今回の事件社内のごく一部の者がこれをやったんだ、こう主張してこられました。また、新聞社のインタビューに答えられましても同様のことを言っておられますが、このごく一部の者とは一体だれを指しておられるのでしょうか。
  305. 古池信三

    古池参考人 多分その質問は成田の税関問題についての質問であったと思います。これは社長室の一部の人がやったことであって、全体の会社の職員は、その他の職員は関係していない、こういうことを申し上げたわけです。
  306. 西村章三

    西村(章)委員 その中で、あなたは、板野社長が関与していないのか、こう問われましたことにつきまして、そのお答えの中で、相当な金を贈答用品に使っており、室長一人の判断ではこんなことはできない。次いで、社長が指示をしたのか、こういう質問に対しましては、そうだ、社長室は社長の直属組織であり、社長の印さえもらえば経理部から幾らでも交際費が出せる、こう申しておられます。これはあなたがおっしゃったことでございますか。
  307. 古池信三

    古池参考人 その新聞の記事のとおりに私がお話ししたかどうかは記憶が定かでありませんけれども、旧社長室は社長の直轄でありまして、したがって社長室が、いま申したように物品を購入するというような場合には、三千万円以下のものであれば社長の印があればこれを購入することができるわけでありますから、幾らでもと言っては語弊がありますけれども、そういうことは社長さえ決裁すればできる、そういう意味のことを申したことはあると思います。
  308. 西村章三

    西村(章)委員 そうすると、ごく一部の者というのは、前社長も含めてと、こう理解をしてよろしゅうございますか。
  309. 古池信三

    古池参考人 それはちょっと問題が違うのでありまして、一部の者と言いましたのは、成田税関の関係のことで言いましたので、成田税関問題では板野社長関係ないと思います。
  310. 西村章三

    西村(章)委員 これは成田の税関問題のことでこう答えておられるわけでございます。そのことをひとつ覚えておいてください。  それから、それでは責任の所在はごく一部の人だという中に副社長は含まれておられますか、おられませんか。
  311. 古池信三

    古池参考人 成田税関の問題につきましては、副社長は含まれておらぬと考えます。
  312. 西村章三

    西村(章)委員 先ほど来同僚委員からも御質問がございましたが、KDDは五十一年度から連続三年間、税引き後の利益が九十億円台と、こういう高い収益を上げておられまして、さらに円高による為替差益も含めてもうけ過ぎだと指摘をされております。昨年の春から本院の予算委員会あるいは当委員会でも料金値下げがたびたび問題化をいたしまして、当時の服部郵政大臣も、KDD料金値下げ検討を指示すると表明されました。また当時の板野社長御自身も料金問題の検討を約束されております。  そこで、この料金値下げ問題につきまして、KDD内部で具体的に検討をされたことがございますか。あるとすれば、先ほどあるという御発言もあったわけでございますが、どの部署で担当されましたですか。
  313. 板野學

    板野参考人 料金値下げ問題のいろいろな仕事は経営企画室と申しますか、そういう室がございまして、そこで検討をいたしておりまするし、また料金問題は非常に多方面影響がございますので、一つ委員会組織でもその問題を検討しておったわけでございます。
  314. 西村章三

    西村(章)委員 当時この料金問題を主に担当された方はどなたでございますか。
  315. 板野學

    板野参考人 ちょっと訂正いたします。総合企画室というのがございまして、そこで福地取締役というのが主となりましてこの問題を検討しておりましたけれども料金問題そのものは一つ委員会組織をつくりまして、その委員会で総合的にやる、ただその事務的な仕事を福地取締役の総合企画室でやる、こういうことになっておったわけであります。
  316. 西村章三

    西村(章)委員 検討の結果、どのような結論が出たのですか。たとえば料金改定案をまとめ上げたとか、そういった内容について具体的に聞かしてください。
  317. 板野學

    板野参考人 お答えいたします。  そのいろいろな検討の結果、数案ができておりました。どのぐらいのことを値下げしたらいいのか、どの程度やったらいいのか、またどういう国を、地域対象にしたらいいのか、またどういうサービスについてやった方がいいのか、こういういろいろな案ができておったわけでございます。
  318. 西村章三

    西村(章)委員 数案ができまして、これは役員会でどういう最終的な取り扱いになりましたか。
  319. 板野學

    板野参考人 この案は委員会で取り上げて論議をしておった段階でございまして、まだ役員会に諮る——五十三年度でございますけれども、役員会で諮るという程度にはいっておりませんでした。
  320. 西村章三

    西村(章)委員 古池参考人にお伺いしたいのですが、あなたはこういった料金値下げ問題について、いろいろな経過というものにタッチをされておりましたか。
  321. 古池信三

    古池参考人 ここでちょっと会社の定款上の仕組みを簡単にお話し申し上げますが、会社の業務はすべて社長がこれを統括するという定款になっております。  しからば会長は何をするかと言えば、定款上、会長は株主総会を招集してこれが議長をやる、それから取締役会を招集してこれが議長をやる、この二つ会長としての重要な使命でございます。したがって、一般の業務につきましては、会長はこれには通例タッチしないというたてまえになっております。したがって、役員会にも会長出席をしておりません。
  322. 西村章三

    西村(章)委員 それでは板野参考人にお尋ねをいたしますが、役員会でまだ検討がなされておらないということですが、これはKDDにとってもきわめて重大な課題でございますし、国会でも検討を約束されたことですから、当然他の役員さんもそれぞれ賛否の態度を表明されたと思います。その中で、役員間のいわゆる賛否の態度というものは大体どういう方向でございましたか。
  323. 板野學

    板野参考人 どの役員がどういう意見であったのかということを端的にはっきり申し上げられませんけれども、中には、これは料金をこの際少し考えたらどうかという考え方もございましたし、また、先ほど申し上げましたように、はっきり申し上げますと、私自身は、五十三年度におきましては為替差益による料金調整というのはわずか五億円しか当時はございませんでしたし、また、ことしはもう円が安くなりましてわずか二千万円ということですから、そういう問題では料金を云々するということはまだ時期尚早である、むしろ国際通信というものをもう少し基本的な線でこれを改善していく、こういうことの方がいいというふうに考えておりまして、私はこの問題を取り上げるには少しまだ早過ぎる、もうちょっと情勢を見てからの方がいいのだ、こういうぐあいに考えておった次第でございます。
  324. 西村章三

    西村(章)委員 結論的には、当時の板野社長は反対だったわけでございますね。鶴岡副社長はどういう態度でありましたか。
  325. 板野學

    板野参考人 お答え申し上げます。  鶴岡副社長は、端的に申しますと、少し料金を下げた方がいいんじゃないかというような考え方を持っておったようでございます。しかし、私先ほどから申し上げますように、情勢というものは五十三年度から五十四年度にだんだん変わってきまして、五十四年度になりますと消費税の問題が出てくるとかいろいろほかの面が出てきます。また技術革新がございまして、専用線等で非常な高速度でいけばわりあい料金も安くなるということで、KDDの前途につきましても相当考えなければならぬという問題も出てきました。しかし、ただいま古池社長が申し上げましたように、ことしの前半では相当利益も上がってきましたし、また消費税その他の面につきましても相当緩和的な様相も出てきましたので、私がやめる直前におきましても料金値下げ案を実際は検討をしておった、これが実情でございます。
  326. 西村章三

    西村(章)委員 そういった経過があったようでございますが、その検討結果というものを郵政省報告をされましたか。
  327. 板野學

    板野参考人 お答え申し上げます。  私は十月二十五日に退任をいたしたわけでございまするけれども、成田問題で非常に忙殺されておりまして、私のこういうような、料金値下げの時期だな、こう思って実は経理関係の当局はいろいろ施策を練っておりましたけれども、まだ郵政省には具体的な話をするには至らない段階でございました。
  328. 西村章三

    西村(章)委員 これは最近の出来事じゃないのです。昨年の話をしておるのですよ。昨年の話ですよ。料金値下げについて検討を加えた結果、いろいろな案が出てきた、それを郵政省にあなたが報告をされたかどうかということを聞いておるのです。
  329. 板野學

    板野参考人 先ほど申し上げましたように、まだ昨年の段階ではいろいろな変動の要素がございましたので、むしろ料金値下げよりも、国際通信の基本的な施設をいたしましてサービスをする方がいいんだ、こういうことで、郵政省の方に対しましては料金値下げのことにつきましてはまだ少し待っていただきたい、こういうぐあいに考えておりました。
  330. 西村章三

    西村(章)委員 郵政省にお尋ねいたしますが、その報告は今日現在まだ出ておりませんか。料金値下げについての検討結果、各種の料金改定案というものをKDD内部でおつくりになられたんでしょう。いままだ報告をしていない、こういうことなんですが、去年のことなんですよ。  われわれが仄聞しているところでは、板野参考人にお伺いしたいのですが、あなたがそういう改定案を全部握りつぶした、したがって出さなかった、こういうことになっておるのです。どうなんですか。
  331. 板野學

    板野参考人 お答えいたします。  私は、一方の議論を握りつぶしてしまう、こういうことはいたしません。ただ、その値下げの時期とか、値下げしていいか悪いか、こういう点につきまして、私が先ほどから申し上げますように、国際通信の今後の非常な困難な点から見て、まだ料金値下げというものは早いのだというように私自身が考えておったわけでございます。
  332. 西村章三

    西村(章)委員 郵政省はどうなんですか。昨年のそういった値下げに対する検討の結果というものをあなたの方はお聞きになっておられますか。
  333. 寺島角夫

    寺島政府委員 郵政省といたしましては、昨年来KDDに対しまして、この料金問題につきましていろいろな要素を総合的に勘案して早急に検討するよう指導してまいったわけでありまして、端的に申しますならば、その検討結果が今月の二十日の値下げ申請となって出てきたと考えておるわけでございまして、その間にいろいろな検討KDDの中でなされたかと思いますけれども、たとえば幾つかの案があったといたしましても、その案一つ一つについてこれはどうだというふうなことは聞いておらないわけでございまして、私どもといたしましてはその結論を求めておったわけでございます。
  334. 西村章三

    西村(章)委員 そうすると、昨年来この国会で約束をされた検討案というものは今日まで延引をしていた、こういうことになるのですが、その時点からKDD内部では検討を始めていたのですね。その結果というものは中間的にでも報告はされてなかったのですか。
  335. 寺島角夫

    寺島政府委員 昨年来、KDDに対しまして検討方の指導をしてまいったわけであります。そして、その後折に触れまして、いろいろな機会をとらえて、検討の促進ということについて強くいろいろな申し入れをしておったわけでございます。それに対しましてKDDの方から、目下検討中であるからもうしばらく結論を待ってもらいたいという話が何遍かございました。それに対して、とにかく時間もたっておることだから早く結論を出すようにということを言い続けてまいりまして、その結果が今日の値下げ申請となった。時日は経過いたしましたが、ようやくそういう形になった、かように理解をしておるところでございます。
  336. 西村章三

    西村(章)委員 この料金値下げKDD内部役員間におけるいろいろな議論が今日のこの事件にも関連がある、こう言われておるわけですね。具体的に、先般十月二十五日ですか辞任をされました両副社長は、今回の密輸事件も含めてでございましょうが、われわれには全く責任がないという談話を発表しておられるようです。  私は、これはいろいろな経過がありまして、古池会長さんがいろいろ御苦労なすって、郵政省の要請を入れて説得をされた、こう聞いておるわけでございますが、事この料金問題、これは役員間の方向ではまとまっておったにもかかわらず、板野社長が一人反対をして突っ走った、こういうことを伺っているのですが、古池参考人いかがでございましょう。
  337. 古池信三

    古池参考人 社長というものはやはり会社経営の全責任を背負っておりますから、料金の改定につきましても、会社経営の前途等を考えて相当慎重に考えるのは、これはやむを得ないところであろう、こう私は理解をいたしております。他の役員もそれぞれの立場から値下げ論を言う人もありあるいは慎重論を言う人もあったと思いますけれども、最後はやはり社長責任とその見識によって決断を下すべきである、かように私は考えております。
  338. 西村章三

    西村(章)委員 その料金値下げ問題が検討された時点での総合計画室、この担当はたしか鶴岡副社長さんでございましたね。間違いございませんか。
  339. 板野學

    板野参考人 鶴岡副社長は、副社長経理部を担当しておる役員でございまして、先ほど申し上げましたように総合企画室の方は福地取締役が担当いたしておりました。
  340. 西村章三

    西村(章)委員 この福地取締役はいまでも総合計画室の担当でございますか。
  341. 板野學

    板野参考人 この六月におきまする株主総会の後、担務がえをいたしまして、この総合企画室の担務には、高仲取締役が経理部と総合企画室を兼担をすることになったわけでございます。
  342. 西村章三

    西村(章)委員 きょうはお見えになっておりませんけれども、佐藤前社長室長は、今回の一連の責任のとり方について、このことを耳にされたときに、これはけんか両成敗だ、こう言っておるわけですね。これにはいろいろな背景があろうと思います。本人自身は、私は今回の事件というのははめられたんだ、こういうことまで言っておるわけですよ。何か心当たりはございませんか。
  343. 板野學

    板野参考人 私はそういうようには考えておりません。やはり副社長社長を助けて——それはいろいろな反対の意見も個人個人ございます、しかし、定款上は両副社長社長を助けて社の業務を行うということになっておる次第でございます。
  344. 西村章三

    西村(章)委員 それでは、次に保田さんにお尋ねいたします。  あなたは贈答品あるいは物品の保管、管理の役目をされておられましたですね。
  345. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  上司が買い付けられた絵画、美術品等につきまして、その指示によって事務処理をしまして、そして保管いたしたわけでございます。
  346. 西村章三

    西村(章)委員 今回の事件に関連をいたしまして、社長さんの家なりあるいは室長の家から転送した実際の指揮はあなたがおやりになりましたね。——先ほどそう言ったじゃないですか。
  347. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  社長宅から美術部に来ておりました荷物の転送は私の配慮でございました。それから、佐藤室長宅のものについては、佐藤室長から依頼されたものでございます。私の宅にあったものについては、あらぬ疑いを受けてはいかぬということから転送したものでございます。
  348. 西村章三

    西村(章)委員 転送指示はだれから受けられましたか。運べという指示はだれから受けられましたか。
  349. 保田重貞

    保田参考人 佐藤宅については佐藤室長から指示を受けました。
  350. 西村章三

    西村(章)委員 社長宅はどうですか。
  351. 保田重貞

    保田参考人 先ほど申し上げましたように、社長宅のものはすでに会社の美術部に来ておったものでございます。それを二十七階へ運ぶように社長から指示されましたが、そのころは密輸等の関係で新聞記者の皆さん等がおられましたので、目についてはいかぬということで翌日まで置きまして、翌日私が転送の依頼を他の方にお願いしたわけでございます。
  352. 西村章三

    西村(章)委員 本社の駐車場に物を送ったから、わからぬように二十七階へ運べ、しかしそれが運べなかったですね。あなたは運べなかったですね。その指示はだれから受けましたか。
  353. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  それは板野社長でございます。
  354. 西村章三

    西村(章)委員 あなたは、美術品、絵画等の買い付けは五十二年の暮れごろから始まった、こう言っておられるわけですね。保管、管理の役目は自分がしておった。そうすると、一連のそうした物品を出すことについての指示はだれからされたのですか。
  355. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  物品管理というのは私でございますけれども、それを外へ出すこと、ということは贈答でございますか。
  356. 西村章三

    西村(章)委員 そうです。
  357. 保田重貞

    保田参考人 贈答は、そのときにより佐藤前社長室長もしくは——大体前佐藤社長室長でございます。
  358. 西村章三

    西村(章)委員 大体なんというような答弁はないのですよ、あなた。あなたは実際、これを出すときには佐藤室長と板野社長だ、こうはっきりおっしゃっているじゃないですか。
  359. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  余りはっきり記憶ないものですから、ここでははっきり申し上げなかったわけでございます。
  360. 西村章三

    西村(章)委員 さらにもう一点、こういった美術品については佐藤室長からいろいろ買い付けを言いつかった、特に絵画につきましては佐藤室長、小嶋次長等から指示をされて、しかしこれとて板野社長の決裁がなければこれは購入し得なかったのだ、こういうことをあなたは新聞記者とのインタビューではっきりとおっしゃっておる。いまここでどうして変わるのですか。
  361. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  一件の額によって、社長室長が決裁してよいものと社長の決裁が要るものと二通りございます。
  362. 西村章三

    西村(章)委員 その一件の額というのは幾らを基準にした額でございますか。
  363. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  物件の購入でございますね。一件七百五十万までは社長室長と、私は現在記憶しております。
  364. 西村章三

    西村(章)委員 そうすると、七百五十万以上のものについては社長の決裁が必要だ、こういうことですね。それは全部とられたわけですか。
  365. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  一件七百五十万円以上のものは、社長室長、社長と決裁印をもらってございます。
  366. 西村章三

    西村(章)委員 社長の決裁、これは当然板野社長がお押しになっておる。判を預かってだれかが押すということはないわけでしょう。そうすると、こういったものの購入につきましても社長の決裁がすべて通っておる、こういうことになりますね。
  367. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  先ほど申し上げましたように、一件七百五十万円までならば社長室長の決裁印でいいというわけでございます。
  368. 西村章三

    西村(章)委員 あなたはまた、政治家の接待をした、接待係を務めた、料亭の方はえらいさんがやって、自分は二次会が専門で、政治家やその秘書を接待した、こうおっしゃっておられますが、あなたと一緒に二次会に行かれたクラブやバー、ここでの政治家の名前あるいは政治家の秘書の氏名をおっしゃってください。
  369. 保田重貞

    保田参考人 お答えします。  その点につきましては一切申し上げられません。
  370. 西村章三

    西村(章)委員 どうして言えないのですか。
  371. 保田重貞

    保田参考人 その点につきましてはどうしても申し上げられません。
  372. 西村章三

    西村(章)委員 郵政省を初め官界の方とも一緒にあなたは行った、こう言っておられますが、その点についてはどうでしょう。
  373. 保田重貞

    保田参考人 その点につきましても申し上げられません。
  374. 西村章三

    西村(章)委員 先ほどパーティー券の購入ではあなたは報告をする、こうおっしゃっておるでしょう。これも一緒に報告してもらえませんか。日にちの猶予を与えましょう。これも四、五日でございます。
  375. 保田重貞

    保田参考人 パーティー券につきましては現在担当ではございませんが、当時をよく思い出して御返事するつもりでございます。  あと残りの件につきましては、よく考えて御返事申し上げます。
  376. 西村章三

    西村(章)委員 パーティー券というのはいわゆる事務的な処理で、これの方が記憶がないのがあたりまえなんです。一緒に飲みに行った人の名前がわからぬというのはおかしいじゃないですか。どうなんです。
  377. 保田重貞

    保田参考人 その点につきましては申し上げられません。
  378. 西村章三

    西村(章)委員 それは知っておるということでございますか。
  379. 保田重貞

    保田参考人 申し上げられません。
  380. 西村章三

    西村(章)委員 委員長、残念ながらこの方も証人喚問という形で一遍後で理事会で御相談をいただきたいと思います。
  381. 小林進

    小林委員長 いままでの西村委員保田参考人を証人に呼ぶ件につきましては、後刻また理事会に諮って処置いたしたいと思います。  質問をお続けください。
  382. 西村章三

    西村(章)委員 角度を変えまして、KDDの中で経営刷新委員会を発足させて事件の全貌解明の作業を進めておられますが、これはスムーズに進んでおるのですか。私が承るところによりますと、板野社長さんはいろいろな重要なポイントにおられた方でございますが、前回の参議院の逓信委員会以降ほとんど連絡がつかない、こういうことを伺っておるのですが、古池社長、いかがでございましょう。
  383. 古池信三

    古池参考人 私、先月の二十五日に社長就任しまして以来、社内の粛正刷新にいろいろなことを考えてまいりまして、その一環として本月の八日に経営刷新委員会を発足させました。この委員会委員長は私自身が当たりまして、これに四つの小委員会を設けました。その小委員会は、一つは成田税関問題を取り扱う小委員会、もう一つ交際費等の経費についての小委員会、もう一つは監査の強化に関する小委員会、もう一つ会社の経営に関する小委員会、この四つに分けまして、それぞれ常務を担当責任者といたしまして、小委員長として指名をしたわけでございます。  その中で、成田税関問題につきましては、一応成田税関の方から事情聴取を受けたような社員を呼んでいろいろと内容を聞いた、こういうことはありますが、何しろ帳簿類が全部税関の方に押収されておりますので、それ以上の調査はいまのところ進んでおりません。  それから、第二の交際費等についての調査委員会、これは前向きと後ろ向きと二つに分けまして、後ろ向きの方は過去の交際費等についてメスを入れておりまするし、前向きの方はこれからの問題、さしあたってこの年末首の交際費をどうするかというようなことについては、これは自粛の線を強く出しまして、社員にもそういう通達を出したり、いま実行に移っております。  それから、第三の監査の強化は、これも着々いま案を進めております。  それから、第四番目の経営についての小委員会では、まず料金の改定問題を一つやはり取り上げて、これはもうすでに認可申請段階になっておりまするし、それからもう一つは、先ほどちょっと申し上げましたけれども、部内の有識者の意見を聞いて経営の上にこれを反映させよう、こういう機構を一つ新たに設けよう、こういうことでいろいろいま検討を進めております。  そんなわけで、時間はまだ余りだっておりませんけれども、着々調査が進んでおるということを御報告申し上げます。
  384. 西村章三

    西村(章)委員 時間が参りましたので、最後に私は一つの提案をしたいと思うのですが、経営刷新委員会、今後の問題につきましては、それなりに大いに精力的にやってもらわなければいかぬわけですが、成田通関問題、今度の一連の交際費あるいは贈答品の問題等につきましては、やはり内部でやるということは困難ではないか。なかなかそれは進まない。したがって、この際、従来の役員さんではなくて、全く新人といいますか、あるいは学識経験者といいますか、そういった方々で一つ委員会を構成して、調査権限を与える中で期間を切ってこれを調査し、解明をしていく、こういうことが必要だと思うのです。  最後に、古池社長、並びにこの件につきましては郵政大臣からもお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  385. 古池信三

    古池参考人 成田の税関問題につきましては、まことに遺憾なことながらすでに税関から告発を受けておりまするので、やがて検察の手によっておいおいに事態解明されるものと考えております。したがって、この段階において会社の刷新委員会の中に外部の人をお願いをするということは、現時点においては考えておりません。  以上です。
  386. 大西正男

    大西国務大臣 お答えをいたします。  御意見でございますが、これはKDDの判断すべき事項だと思いますので、私の方からはコメントを控えたいと思います。
  387. 西村章三

    西村(章)委員 時間が参りましたので、終わります。
  388. 小林進

    小林委員長 参考人各位には、長時間にわたり御出席を願い、ありがとうございました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十五分散会