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渋沢委員 それじゃちょっと
刑事局長、
お尋ねしますが、その辺は明らかにする必要がないものだとおっしゃるけれ
ども、たとえばこの
海部メモですね、ほかのものは非常に生々しくいろんなことが金の
趣旨その他について説明があるんですが、これはもう何の説明もないのですね。よく読んでみるとこれは社内メモなんですね。
海部氏から井上経理部長あての社内メモなんですよ。しかもこういう話があったからここへ送ってくれ、口座はここだ、幾ら送れというこのメモが、
中村氏からその話を
海部氏が受けてそれを社長にちゃんと相談しているんですね。そしてメモを書いて経理部長に出して、こういう
趣旨だから出しなさい、その経理部長も、そのメモを受けてちゃんと社長に相談をして、そして送金の手配をしておる。つまり、社長も
海部氏も経理部長も、会社ぐるみ
責任者が
合議の上で出したものなんです。しかも社内メモなんです。特別にうそ、隠しを必要とするようなメモでもなければ
——よく
海部氏のはったり性なんということが前の議会でも議論されましたけれ
ども、全くそういう必要のないもので、もしうそを言えば、はったりを書けばすぐばれてしまうような性質のものであるわけです。しかし、いつものメモと違って、その金の
趣旨、送金
目的は明らかでないから、このメモをわれわれが議論いたしました際にも、果たして
航空機絡みなのかそうでないかが不明確であった、非常に問題だったわけです。前後の
状況などから考えると、何も書いてないということは、逆に言うと
航空機かかわりではないかと考えるのがごく自然なんです。私などはそう思っていました。いまでもそういう疑いを残しています。特に書いてないのですから、ほかのはみんな書いてある。これは書かなくてもいいくらい、言ってみればその中身というのは、つまり
航空機絡みということであるだろう。前の年の岸・フォーサイス会談というようなものからいっても、そういうことだと受けとめるわけです。ところが
冒陳は、このメモの大事な
部分を基本的にぴしっと否定をしているわけです。これは岸さんの
要求ではなくて
中村氏の
要求であること、
福田氏、
松野氏への
支払いではなくて
中村氏への
謝礼であるということ、
航空機は
関係なくてローデシア鉄道への
輸出承認の別件であること、非常に明確に言い切っておる。そして
中村氏が勝手に両
政治家の名を利用して
——かたりというとあなたは何かきついようにお受けとめのようですが、どう言ってもいいけれ
ども、いわば
日商自身を欺いて、偽って、この二人の先輩の
名前を利用して、そこに金を送ってくれ、こういうようなことをやって現に送らせた、こういう中身であるわけです。こういうふうに
冒陳は、
検察は断定をしておられるわけです。これだけの断定をされる以上は、送金された金が一定のルートを経て確かに
中村氏の手元に入ったということが証明されなければ、これは
中村氏の、言い方は悪いかもしらぬけれ
ども言い逃れかっくりごとかですね。いろいろな政治的な配慮でそのようなことに
趣旨を変えた申し立てでないとも限らないという疑いを残している。そこはやはり
検察の
調べというものであれば、言ってみればメモのとおりであってほしくない、一番ほしくない
中村氏の立場、その立場の
中村氏の一方的なお話だけを聞いて、それで
検察全体が、これは
中村氏の言うとおり
航空機かかわりでなしローデシア
関係というような事実
認識を断定的にされるというのは、これはちょっと
理解がいかないのですね。これはだれが聞いたってわかりませんよ。もう少しわかるように御説明を願いたいですね。