○杉原
政府委員 お答えをいたします。
先ほど総理府の方からお話がございましたように、ことし、うまくいけば
連続九年死亡
事故の
減少という記録を達成することが可能ではないかという
情勢で推移をしてきておるのでございます。
実は現場的に日常の
事故の
発生状況を見ておりますと、ここまで減らしてきたのでありますけれ
ども、いま毎日大変大きな壁にぶつかってきておりまして、これから先さらに
交通事故を
減少させるというその傾向を定着させるということが非常に至難になってきておるという現状認識でございます。
先ほ
どもお話がございましたように、ドライバーの数がことしの六月で四千万人になりまして、
年間二百万人ずつふえている
状況でございますし、車の台数もどんどんふえている
状況の中で、
事故の絶対数を減していくということでございますので、いろいろなことについてこれからかなり思い切った対策を立てない限りはこの傾向は持続できないという認識でございます。
その中で従来いろいろな各般の施策が講ぜられてきておりますし、私
どもの交通警察の分野の中でやってきておりましたのは、街頭での監視といいますか、悪質なドライバーに対する取り締まりの問題、あるいは信号機その他の安全施設の
整備というもので
対応をしてきておりました。それはそれなりにこれからかなり積極的になお進めていかなければならぬと思っておりますけれ
ども、同時に、四千万になったドライバーというもの、あるいは
年間二百万ずつふえていくという実態を
考えていきますと、ドライバーについての
行政というものを
基本的に
考えてみなければならない時期ではないか。このことは昨年の
道路交通法の改正を通じまして本
委員会におきましても御
指摘ありましたように、
国民皆免許
時代の到来を迎えて、ドライバー
行政に抜本策を
考えろと附帯決議のトップにそれをいただいておるわけなんでございます。
そういう御意思等を
考えながら、これからどうやっていくかというときに、現在ほとんどのドライバーというものが教習所を出るんでございますけれ
ども、教習所で教える
先生、いわゆる
指導員、こう言っておりますが、
指導員の人がどういうふうなかっこうで教えているかということになりますと、これはそれなりに一生懸命で教えてくれておるのでありますが、二、三日前までどこかで職業ドライバーでおったような人が来ますと、公安
委員会の審査を受けて、これが明くる日から
指導員になる、こういうふうな形でございまして、その
指導員についての交通心理学とかあるいは教授法とかいうふうなものについてのいわゆるカリキュラムの構成の中に入れて訓練をして、それを
先生にする、仕立てるというふうなことが全く行われてない
状況のままで、何十時間の課程を終えますとドライバーという形になってこう出てくるというふうなことでございますので、こういう大量
行政というものを
考えていきますと、そういうドライバーの教育者というふうなものを一定のカリキュラムの中で訓練をして、そういう人がいいドライバーを教育してもらうというふうな問題。
それから、いわゆるプロドライバーといいますか、トラックあるいはタクシー、いろいろなドライバーがあるわけでありますが、こういう人、あるいは一番高度な運転を要請されるのは、消防自動車であるとか、パトカーであるとか、白バイとか、ガス会社の緊急自動車とかいろいろなものがありますが、これらの人な
ども、これは訓練をして緊急自動車のドライバーになるということは全くないのでございまして、ある人がたまたま緊急自動車に乗る、こういうことでございまして、これは大変に危ない運転でありますが、そういうような職業ドライバーでありますとか、そういう高度の運転技術の必要な人の訓練施設、それからさらに、いろいろいま企業が皆車を使っておりますが、そういう各企業での安全運転管理者という制度がございますが、この安全運転管理者な
ども、その会社、企業のドライバーというものの養成について、
余り訓練というか、そういう機会がないというふうなことでございまして、これからのそういうドライバー
行政というものを
考えますと、そういう訓練施設というものが、あるいは研修施設というものが、そういう
指導者的な役割りを果たす人についてはぜひ必要ではないだろうかというふうに思うわけでございまして、そういうふうな観点から、本
委員会でかつて御審議をいただきました法人に自動車安全運転センターというのがありますか、この法律の中に研修施設を設けてやるというのが業務の
一つになっております。
その安全運転センターの研修施設として、俗称でありますけれ
ども、交通安全大学校的なものをつくって、そこで訓練をしてもらい、将来のドライバー
行政に大きく寄与していくようにしていくことが不可欠な
情勢になっておるのではないかというふうに
考えておるのでございます。