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1979-12-07 第90回国会 衆議院 決算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十四年十一月二十六日)( 月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 のとおりである。    委員長 高田 富之君    理事 井原 岸高君 理事 宇野  亨君    理事 津島 雄二君 理事 森下 元晴君    理事 井上 一成君 理事 新村 勝雄君    理事 林  孝矩君 理事 庄司 幸助君    理事 永末 英一君       天野 光晴君    石田 博英君       小里 貞利君    金丸  信君       國場 幸昌君    白浜 仁吉君       東家 嘉幸君    原 健三郎君       上田  哲君    藤田 高敏君       春田 重昭君    岩佐 恵美君       春日 一幸君    楢崎弥之助君       田中 角榮君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十四年十二月七日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 高田 富之君    理事 井原 岸高君 理事 越智 伊平君    理事 森下 元晴君 理事 井上 一成君    理事 林  孝矩君 理事 庄司 幸助君    理事 永末 英一君       石田 博英君    小里 貞利君       原 健三郎君    原田昇左右君       藤田 高敏君    春田 重昭君       岩佐 恵美君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 地崎宇三郎君         郵 政 大 臣 大西 正男君         建 設 大 臣 渡辺 栄一君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      伊東 正義君  出席政府委員         人事院事務総局         給与局長    長橋  進君         法務省刑事局長 前田  宏君         外務省アジア局         次長      三宅 和助君         大蔵大臣官房審         議官      青木 英世君         大蔵省主計局次         長       禿河 徹映君         運輸省鉄道監督         局長      山地  進君         郵政大臣官房長 小山 森也君         郵政大臣官房電         気通信監理官  寺島 角夫君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         郵政省貯金局長 河野  弘君         郵政省簡易保険         局長      浅尾  宏君         郵政省人事局長 林  乙也君         郵政省経理局長 守住 有信君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設省住宅局長 関口  洋君         自治省行政局選         挙部長     大林 勝臣君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部長     塩飽 得郎君         大蔵大臣官房審         議官      楢崎 泰昌君         大蔵省主計局司         計課長     石井 直一君         通商産業省通商         政策局経済協力         部長      小長 啓一君         郵政大臣官房首         席監察官    吉田  実君         郵政大臣官房資         材部長     仲松 次郎君         会計検査院事務         総局次長    松尾恭一郎君         会計検査院事務         総局第二局長  藤井健太郎君         会計検査院事務         総局第三局長  肥後 昭一君         会計検査院事務         総局第五局長  小野光次郎君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     澤田  悌君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     大塩洋一郎君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     有賀虎之進君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   仁杉  巖君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)  秋富 公正君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   濱  建介君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ――――――――――――― 委員異動 十一月二十八日  辞任         補欠選任   國場 幸昌君     近藤 元次君 十二月四日  辞任         補欠選任   宇野  亨君     越智 伊平君 同月五日  辞任         補欠選任   近藤 元次君     原田昇左右君   春田 重昭君     瀬野栄次郎君 同日  辞任         補欠選任   瀬野栄次郎君     春田 重昭君 同月七日  理事宇野亨君同月四日委員辞任につき、その補  欠として越智伊平君が理事に当選した。     ――――――――――――― 十一月二十六日  昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十二年度政府関係機関決算書  昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十二年度国有財産無償貸付状況計算書 同月二十九日  会計検査院法の一部を改正する法律案新村勝  雄君外三名提出、衆法第一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  歳入歳出実況に関する件  政府関係機関経理に関する件  国が資本金出資している法人会計に関する  件  国又は公社が直接又は間接補助金奨励金、  助成金等を交付し又は貸付金損失補償等の財  政援助を与えているものの会計に関する件      ――――◇―――――
  2. 高田富之

    高田委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員になっております。これよりその補欠選任を行うのでありますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高田富之

    高田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  それでは、越智伊平君を理事に指名いたします。      ――――◇―――――
  4. 高田富之

    高田委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、決算の適正を期するため、本会期中において  一、歳入歳出実況に関する事項  二、国有財産増減及び現況に関する事項  三、政府関係機関経理に関する事項  四、国が資本金出資している法人会計に関する事項  五、国又は公社が直接又は間接補助金奨励金助成金等を交付し又は貸付金損失補償等財政援助を与えているものの会計に関する事項 以上の各事項につきまして、関係方面からの説明聴取、小委員会の設置及び資料の要求等方法によりまして国政に関する調査を行うため、議長の承認を求めることにいたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 高田富之

    高田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  6. 高田富之

    高田委員長 本日は、歳入歳出実況に関する件、政府関係機関経理に関する件、国が資本金出資している法人会計に関する件及び国又は公社が直接又は間接補助金奨励金助成金等を交付し又は貸付金損失補償等財政援助を与えているものの会計に関する件について調査を行います。  この際、お諮りいたします。  以上各件の調査のため、本日、参考人として日本住宅公団総裁澤田悌君日本住宅公団総裁澤田光英君、日本住宅公団理事有賀虎之進君、日本住宅公団理事大塩洋一郎君、日本住宅公団理事星野孝俊君、日本住宅公団理事櫟原利嗣君日本鉄道建設公団総裁仁杉巖君、日本鉄道建設公団総裁秋富公正君、日本鉄道建設公団理事富樫勘七君、日本鉄道建設公団理事片山充君、日本鉄道建設公団理事濱建介君、以上の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 高田富之

    高田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  8. 高田富之

    高田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
  9. 井上一成

    井上(一)委員 まず冒頭に、臨時首相代理という形で大変お忙しいのに官房長官出席を願って恐縮です。  私は、八〇年代は地方の時代であると言われると同時に、世界時代である、こういう認識に立っているわけです。とりわけ本日は、わが国総理が七年ぶりに訪中をし、そして両国首相が二回にわたる会談を終えて共同コミュニケを発表されるという予定になっているわけであります。この今回の大平総理訪中が実りあるものであってほしいし、またこのことが、世界時代に突入する八〇年代を切り開くわが国政治指針外交指針というものを明確にすべきであるというふうにも考えるわけなんです。総選挙を終えて一月近い政治空白後やっと誕生した大平内閣が初めて手がけた大きな政策一つだ、私はこういうふうに思います。  そこで、この訪中でいろいろな問題が論じられて、そのことが日中関係はもとより中ソ関係日ソ関係あるいはインドシナ半島の問題、あるいは朝鮮問題等、先ほどから申し上げるようにまさに世界時代に入る政治課題が幾つかあるわけであります。今回の日中首脳会談の成果、あるいは大平総理中国を訪問され、その会議を終えて、臨時首相代理としての官房長官の御心境というか御感想というか、まず率直にお聞かせをいただきたいと思うのです。
  10. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答えを申し上げます。  今度の大平総理訪中は三度目でございまして、第一回目は七二年に国交正常化のときに参りました。二度目は日中航空協定、七四年に参りまして、今度で三度目でございます。  私は、飛行場に送りまして、今度は仕上げかな、こう言っていたのでございますが、今度参りまして華国鋒主席あるいは鄧小平主席との会談を連絡を受けたもの、新聞発表、伺っておりますと、単に日中問題だけでなくて、いま先生お話がありましたように、ソ連の問題あるいは東南アジアASEAN、インドシナ、朝鮮問題、各方面国際情勢につきましてお互いが、意見の違うところがありましても、率直な意見の交換を実はしておられるわけでございまして、私は、そのこと自体が両国対外政策理解を深めることに大いに役立っているというふうに評価をいたしておるところでございます。  また、日中問題だけにとりましても、御承知のような借款の問題でございますとか、経済問題でございますとか、文化協定の問題でございますとか、あるいはいままで認められなかった東北三省に対する墓参、巡拝を認めてもらうというような、いままでになかったいろいろなことが出てきたわけでございます。主席あるいは副主席との会談を見ておりましても、非常に友好的に進められておりまして、今度の訪中アジアの安定、将来はこれはひいては世界の平和のために非常に役立つ、貢献するものだというふうに私は評価をいたしておる次第でございます。
  11. 井上一成

    井上(一)委員 一定の評価をなさっていらっしゃるわけですが、私なりに少しお尋ねをしたい点があるわけです。とりわけ経済協力の中で円借款、本来ならば長期間にわたる両国の詰めた話がそこにあるわけですけれども、たしか本年の九月に中国谷牧首相が来日した折にこの問題が提示されたわけです。表面的には三カ月間で五百億の円借款を決めてしまう。総枠は一応五十五億四千万ドルを中国から提示をしたということです。今回の五百億は今度の大平さんの訪中で正式に決まったわけでありますけれども、現時点までは、先方の中国の総枠提示はあったけれども、わが国の総枠提示がないわけですね。このことについては何らかの理由があったのか。あるいは、引き続いて協力していかなければならないわけですが、そういう立場に立つと、継続をしていくのだという保証がどんな形で示されたのかということですね。  なお、現在の近代化を図る中国に対して、より安定した中国経済情勢をつくり出すという立場に立ってわが国経済援助をしていくわけなんですが、そういう認識に立っていらっしゃるのかどうか、こういう点についても少しお答えをいただきたいと思うのです。
  12. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げます。  後の方の問題でございますが、今度日本円借款を与えまして中国経済協力をしようということは、中国は御承知のように現代化といいますか近代化といいますか、経済再建をやっていこうということを考えているわけでございますので、それに協力をしていくことが、これはもちろん中国のためでもありますし、日本の将来あるいはアジアの将来を考えてみましても、それがアジアの安定につながる、中国現代化協力しましょうという認識で今度やったわけでございます。  もう一つの問題の五百億の問題でございます。中国からは、もっとプロジェクトがたくさん、実は病院を除きましてたしか九つのプロジェクトの要望があったわけでございますが、今度は、病院はこれから相談をするということにしまして、その中の六つのプロジェクトについてひとつ経済借款をやりましょう、そして、初年度は五百億で考えます、次年度以降につきましては、向こうプロジェクトの進みぐあいを調査しまして、あるいはまた日本財政状況もいろいろございますので、毎年ひとつそれは考えてまいりましょうという信頼関係のもとに話をしているわけでございます。おっしゃるとおり向こうからは大きな金額がございましたが、これは、日本側から全部で幾らを約束しますということは言ってはおりません。おりませんが、大体推測すると、いまのプロジェクトでいくと十六億ドルぐらいになるのじゃないかなということは考えられます。これをコミットしたわけではないのでございますが、お互い信頼関係で毎年毎年ひとつこのプロジェクト完成に努力していきましょうということを話しているわけでございます。
  13. 井上一成

    井上(一)委員 まあ信頼関係を基盤に置いての今後の経済協力ということです。同時に私は、これは対ソ、対ASEAN配慮は十分になされているであろう、こういうふうに思うのですけれども、その点はいかがですか。
  14. 伊東正義

    伊東国務大臣 いまお話ありましたことはそのとおりでございまして、五百億を決めるというときも、これはASEANの問題あるいはそのほかの東南アジアのことを頭に置きまして、そういうものと比較しまして調和のとれる金額ということで五百億を決めたわけでございます。先生も御承知のように、インドネシアには五百五十億ことしやっております。そういうASEANのことを頭に置いたことが一つでございます。  それからもう一つは、軍事的な協力は一切しない。日本方針としましてこれはできないことでございます。軍事協力はしないという原則、これは華国鋒との会談にもしばしば言っておりますし、鄧小平主席会談にも言っておりますし、きょう内外の記者会見をしますが、それにも言っております。政協礼堂での演説もするのですが、そこでもはっきり言っておりますし、このことはもう厳にそういうことはしないということをはっきりいたして、そういうソ連とかアジアに対する配慮をいたしております。  もう一つ方針でございますが、これをひもつきにするかしないかということが非常にやはり問題になったわけでございます。欧米では特に日本が隣の中国の市場を独占するのじゃないかというような心配をしていることは事実でございますので、その点につきましても、原則としてひもつきではないということで、あるいは個々の場合には例外もございますが、原則としてはひもつきでないということで、はっきりこれは三原則と言ったわけでございます。ASEANに対する配慮軍事協力は一切できない、もう一つは、欧米にも門戸を開いて排他的なものではない、三つを原則にいたしております。
  15. 井上一成

    井上(一)委員 さらにもう一点だけ尋ねておきます。  今回、日中文化協定が結ばれるわけでありますけれども、本来、科学技術協定等も性格的には同時に結ばれるべきものだというふうに私は理解するのですけれども、文化協定だけになった理由。あるいは聞き及ぶところによると、来春華国鋒主席がこちらに来たときにそういうものを結ぶんだとか、あるいは、それはどういう理由かわかりませんが、なぜ文化協定だけに限ったのか。  もう一点。当然これは国会承認案件として国会に上程されてくるというふうにぼくは理解しているのですが、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  16. 三宅和助

    三宅政府委員 お答えいたします。  実は、今回も科学技術協力協定を結びたいということで鋭意やってまいったわけでございますが、いろいろとまだこの種の協定につきましては十分な先例その他もございませんので、残念ながら今回時間が間に合わなかったということでございます。  ただし、これは今後とも引き続き検討いたしまして、少なくとも来年早々には正式の締結のための交渉を始めようということを双方間で合意しております。できれば、先生御指摘のような、華国鋒総理の来日までに何とかしてこれを詰めて、そのときには締結すべく努力したいという考え日本側考えております。  それから第二の御質問でございますが、これは行政取り決め国会条約かということでございますが、現在のところ行政取り決めということで検討中でございます。
  17. 井上一成

    井上(一)委員 本来、普通では文化協定というものは行政取り決めでということじゃなく、国会承認案件として提出されてきたわけなんですね。他に今回と同じような例をとったのがあるのか、あるいは私からすれば、官房長官日中文化協定をそんなに軽いものに位置づけているのか、こういうことなんですよ。
  18. 三宅和助

    三宅政府委員 文化協定につきましては、実は今回の日中の条約の第三条で文化協力を進めるということが書いてございます。したがいまして、それを受けた、いわば実施細目ということで行政取り決めをつくったわけでございます。  それから、科学技術協力協定につきましては、これは現在検討中でございまして、まだ確たる成案を得ておりませんが、政府の範囲内でできるような形で現在案文を作成中である。ただ、まだ十分成案を得ておりませんので、今後さらに検討してまいりたい、こう考えております。
  19. 井上一成

    井上(一)委員 このことについてはまたさらに機会を得て質問をいたしますが、官房長官は限られた時間ですので、集中的に官房長官への質問をしたいと思います。  イランに対する問題でございますけれども、十月の十二日に閣議決定三井グループイランとの合弁で進めている石油化学プロジェクトに対する支援対策として二百億の政府出資をするということを決められているわけなんです。その後においてイラン内閣が総辞職をした。十一月の十一日には工事再開予定が中止になった。こういうような状態の中で、対イラン政策経済協力関係について、これは内閣としては閣議決定をされておるわけでございますが、本当にこの二百億の出資が生きてくるのか、私は、これは今日の時期においては検討に値するのではないか、こういうふうに思っているのですよ。そういうことについて、いかがお考えでしょうか。
  20. 伊東正義

    伊東国務大臣 イラン石化会社の問題でございますが、これの工事早期再開早期完成につきましてイラン政府から要請があったわけでございまして、日本としましては、イランから石油を買っている関係もございますし、それがイラン経済発展にもつながるだろうということで、イランとの関係は特別考えましてああいう閣議決定をやったわけでございます。  その後、おっしゃるとおりバザルガン内閣が総辞職いたしまして、前と政情が変わったことは事実でございますが、その後も向こう政府からは、日本に対しましては石油その他について従来の方針は変えないということを公に言ってきておりますので、われわれとしましてはあの方針はあの方針で続行しても差し支えないという考えでおるわけでございます。  ただ、出資の払い込みはまだ少し後の時期でございますのでいままだやっておりませんが、方針はこれは変えておらぬ、向こう日本に対する方針は変えないということを言っておりますので、そのまま続行させてまいる決意でございます。
  21. 井上一成

    井上(一)委員 十月に来日されたイランアベジ石油化学公社総裁は、日本考えているような原油供給、いわゆる原油安定確保経済協力とは別問題なんだ、切り離して考えるのだ、そういう話であったというようなことが報じられているわけなんですけれども、イランはそういう受けとめ方をしているのか、あるいは日本政府は、経済協力原油供給安定確保につながるのだ、そういう前提でこれをやっているのだ、そういう理解なのか、それはイランの現政権とも十分意思を確認し合っているのかどうか、このことについて臨時首相代理からお聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。
  22. 伊東正義

    伊東国務大臣 いまの御質問の点は、日本政府としましては、あのプロジェクトを進めることが今後のイラン日本との友好関係のために非常に効果がある、そうしてそれが原油の対日供給にも好影響をもたらすのだという認識でやっているわけでございます。
  23. 井上一成

    井上(一)委員 官房長官にこのお答えを求めるのは無理かもわからぬけれども、私のお尋ねをしておるのは、そういう意思イランに通じているのか、現イラン政府はそのことの引き継ぎを何らかの形で確認なさっているのか、こういうことなんですよ。中途半端な、前の内閣とはそういうことであり、あるいは旧パーレビ国王体制の中で取り決めしたことが現在もそのまま継続をしているのかどうか、そういう意思の確認はどんな方法でやられて、どこまでそれが国民に対して保証ができるのか、そのあかしを持っているのかどうか、こういうことです。
  24. 伊東正義

    伊東国務大臣 これは、イラン内閣が総辞職しまして新しい外務大臣が就任したときも、日本の出先の大使に対しまして、油に対する方針は変えないということを向こうが言っているわけでございまして、われわれはそれを信じてやっているわけでございます。
  25. 井上一成

    井上(一)委員 現地の大使館には何らかの文書なりでそれは正式に取り交わしているわけなんですね。
  26. 小長啓一

    小長説明員 ただいま先生質問の点でございますが、十月十二日閣議了解をいたしました直後に江崎前通産大臣イランに参りまして、当時の内閣首班でございましたバザルガン総理大臣以下の主要閣僚会見をしたわけでございます。その中で、石油の供給問題につきましては、本プロジェクトの具体的な遂行とは直接には関係ないことではあるけれども、日本イラン友好関係維持増進の見地から、現在供給されております量の三〇%ばかりの増量をぜひお願いをしたいということを、前通産大臣からバザルガン首相に申し入れをいたしまして、バザルガン総理大臣から、最大限の好意をもって検討いたしまして善処いたしますという約束を取りつけておるわけでございます。
  27. 井上一成

    井上(一)委員 このことは後でやりましょう。それは三〇%の増量を約束したと伝えられた。そういうことを頼んだということが報じられているわけなんです。それ以後に、私のさっき言ったイラン石油公社総裁が来て、それとは別だと言っているのですよ。これの確認を私はしたかったわけです。別だと言ったのか言わないのか。イラン石油公社総裁は、経済協力石油原油供給とは別問題だ、もちろん協力関係は、信頼関係は保ちながらも、これをつなぐのだ、これはイコールだという認識でないように私は受けとめているので、官房長官、その点だけひとつお答えください。
  28. 伊東正義

    伊東国務大臣 先生のおっしゃった点は、私はその方に会ったわけでもなし、聞いておりませんので、これは事実関係を調べまして、またお答えを申し上げますが、政府としましては、あのプロジェクトを進めることが日本イランとの友好関係のきずなを太くしていくことだという認識のもとで、それが油の供給につながるという考え方でやっているということだけは申し上げておきます。
  29. 井上一成

    井上(一)委員 私は再三、その構造的な矛盾というか疑惑というもの、原油供給原油にまつわるいろいろな構造的な疑問がある。そういう意味から、特にこの問題は、私に早急にその実情を報告していただくということで、ひとつ国際的な問題での官房長官に対する質問はこれで終えたいと思うのです。  国内的な問題として、国家財政が非常に厳しい。その財政再建を総選挙で問われたわけです。そして、それは全く国民からノーの答えを示されたわけです。そんな中で、国民生活を守りながら、国民から政治に対する信頼を取り戻していこうというやさきに、各省庁にまたがる一連の不正事件が明るみに出てきた。まさに国民は政治に対するというか、むしろ行政に対して不信きわまりない極地に現在おる。国内的な問題としてはこういう現状であります。  私はここで何を問いたいか。やはり役人天国だ、あるいは役人の機構それ自身にいろんな矛盾があるのだという強い印象が国民の底流に定着しているのではないか。当委員会が、審議を集中してやる決算委員会決算というものの意義は私は非常に重いと思うのです。予算をいかように執行していくか、そして、いわば消化した後の実情というものをどのようにとらえ、それをどのように展開していくか。前進的に取り組まなければいけないものもあるだろうし、強い反省の中から切り捨てなければいけない問題もあるでしょうし、そういうことを考えると、決算審議は財政再建という具体的な問題を抱えると同時に、いろんな不正、不信が今日沸き上がってきた、そんな中での決算というものについて、予算に取り組む一つのこれは大きな糧にしなければいけないわけなんですけれども、どうも政府自身が、決算に取り組む姿勢を軽く考えていらっしゃるのじゃないかと見受けられるわけなんです。  きょうは官房長官に、一番大平さんの信任厚い閣僚でもございますし、ただ、予算というものは、大蔵大臣が編成をして、大蔵大臣が云々ということじゃございませんから、内閣が国民に示していくものですから、決算を踏まえてあるいは予算を組むに当たって、決算の意義というものをどのように御認識になっているのか、ひとつ臨時首相代理から私は聞かしていただきたい、こう思います。
  30. 伊東正義

    伊東国務大臣 先生のおっしゃったとおりだと私は思うわけでございます。決算というものがおくれて、予算は来年のことということで非常に脚光を浴びるわけでございますが、決算は前のことをやるということで、どうしてもそういうことになりがちなことは、私も率直に認めるわけでございます。決算委員会の中でいろいろ皆様方から出た議論につきまして、あるいは決議なり結論が出たものにつきまして、これを予算を組むときの大きな要素にしていかなければならぬということはおっしゃるとおりだと私は思います。  過去においても、たとえば会計検査院の増員をしろ、あるいはもっと会計検査院が調査できるようにしろというふうな決議をいただいたときに、ことしの予算でそういうところを組み込んだりしたことがございますし、補助金でも、御意見によって削減するというようなことをやったことがございます。しかし、もっと決算委の御意見を予算に組み込めという御主張は私はよくわかりますので、この点は、今度の五十五年度の予算を組むに当たりまして、特に官庁の不正経理の問題等いろいろございますから、これは十分に私は参考にしてまいりたいというふうに思っております。
  31. 井上一成

    井上(一)委員 取り組む姿勢というものを非常に明確に出されたわけなんです。そういうことであれば、具体的に当決算委員会で私どもも審議を促進しながら、その十分な審議をしたい。  きょうは官房長官に御出席いただきましたけれども、各大臣が、国会の中での委員会ならやむを得ないにしても、他の所用でこの委員会への出席を何らかの理由をつけて断ってきはる、こんなことは強く戒めてもらわなければいけないし、そういうことから、やはり決算に対する取り組みを示してこなければいかぬ、こういうふうに思うのです。これは閣議ででも十分官房長官から発案されるように要望しておきます。  すでに一部マスコミで報道されていますが、KDDを初め、もう幾つかの委員会でたくさんの問題が指摘をされてきておるわけなんです。このことについて、綱紀粛正あるいは監督権限の強化あるいは機構の改革、いろんな問題が出てきているわけなんです。ところが、このことから、政府の反省というものはこういう形で示すのだということは、実はまだ一つもないわけなんです。きょうは、そういう点で官房長官に、綱紀粛正あるいは機構の問題も含め、あるいは何らかの具体的な手だてを講じられたのかどうか。考えておきます、調査をします、あるいは検討しますという答弁の連続ではよくない。鉄建公団は、少し先だけれども公団を廃止するということが報じられているわけです。だから、KDDについては政府管掌にするのだとかあるいはこれは公社の方向に持っていくのだとか、いきたいとか、希望的な形じゃなく、こうあるべきだあるいはこうしたいのだ、そういうことについてひとつ官房長官から、一連の問題を踏まえて、どのように対応していくかということの所見をお聞かせいただきたいと思います。
  32. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げます。  いまの問題は、政府でやっております行政機構の改革で、特殊法人をどうするかという問題に関係してくる問題でございます。現在は御承知のような捜査をされているわけでございますが、政府としましてはこのKDDを、これは電電から分離したものでございますので、将来の形としてどうしたらいいかということは、これは郵政大臣のもとで行政管理庁長官の方に、自分の所管の特殊法人につきましてはどういう考えなんだということを十日までに実は出してもらうことになっております。私はまだ内容を具体的に存じ上げないのでございますが、どういう形になるか、これは少なくとも郵政大臣のお考えがもとになるわけでございまして、少なくとも会計検査院が検査できるということぐらいまでは最小限やらなければいかぬというのが私のいまの考えでございます。ただ、この問題はいろいろ検討することがございますので、どういう結論になるか知れませんが、率直に私の意見を言えと言われれば最低そこまではやらなければならぬことではないかという気持ちでおります。
  33. 井上一成

    井上(一)委員 官房長官、お約束の時間ですから、どうぞお引き取りをいただいて結構です。  さて、そこで今度は主管の郵政大臣にお尋ねをしてまいりたいと思います。  現在、当委員会で、今回の不正事件、KDD事件でいまの郵政大臣の御心境を率直に披瀝をしてもらい、決意をまずお聞かせをいただきたいと思うのです。
  34. 大西正男

    ○大西国務大臣 御承知のとおり、KDDというのはきわめて公共性の高い企業でございますから、こういった株式会社が、いま問題になっておりますようなまことに忌まわしい問題を引き起こしておりますこと、しかも司直の手をわずらわすような事態を迎えておりますことは、監督大臣といたしましてもこの上ない遺憾なことだと存じております。  そこで、こういう問題がどうして起こったかということでありますが、その内容の具体的な問題につきましては、先ほど申し上げましたように司直の手で厳正な捜査が行われるものと存じます。また、KDD自体の内部におきましても、その後経営刷新委員会というものをつくりまして、事実関係についてもいろいろと調査を進めておりますとともに、将来に向かっての前向きの対策といいますか、そういうものを検討している段階でございます。  そういう状態でありますが、私といたしましては、要するにこの問題はKDDにおける経営責任者の経営姿勢の問題があったということは否めない事実だと思います。そこで、この経営姿勢というものを刷新して、経営倫理と申しますかそういうものを確立し、これからは良識のある経営を堅持していってもらわなければならぬというふうに考えておるところでございます。  同時に、郵政大臣はKDDに対して監督権を持っておるわけでありますが、その監督権というのは、現在の法律では、一般的な包括的な監督権ではないわけでありまして、個々別々に規定をされておるわけでございます。そこで、現在の法律で果たして――KDDの内部における姿勢の立て直しはもちろんやってもらわなければなりませんが、それを将来長きにわたって継続していくために、法律自体も制度としてこの経営姿勢を担保するような、国民に御安心をいただけるようなことにするためには法律の改正というものも当然考えてみなければならぬのではないかということで、現在、事務当局に対しましてそのことを命じまして鋭意検討してもらっておるところでございます。  KDDの将来のあり方でありますが、KDDというものが設立をされました基本的な考え方というものは、国際公衆電信電話事業というものの性質から申しまして、国際の情勢とか国際経済情勢、そういったものに非常に影響を受けて国際電気通信に対する需要も非常に変化をしていくものだと思います。したがって、そういう点を考えてこれを民間の企業形態をとっておるということは、企業の自主的といいますか、機動的といいますか、そういった民間の活力というものを大いに生かしていく必要がある、こういう観点からそういうふうにされておるというふうに私は理解をいたしております。そこで、その形態自体は、将来の国際関係あるいは情勢さらに経済事情等を考えますときには、その必要性は増しこそすれ減ってはいけない、このように認識をいたしますので、やはり株式会社形式をとって進めるべきものだというふうに私は考えております。ただし、一方におきましては、先ほど来申しておりますように、その経営の姿勢に問題が生じたのでありますから、これをため直していかなければならない。同時にため直していける制度的な保障も必要であるということで、先ほど申し上げましたように、法の改正を含めて検討を命じておるところでございます。
  35. 井上一成

    井上(一)委員 幾つかの矛盾があるわけです。公共性を優先しながら株式会社方式。株式会社ではもう御承知のように株主の利益擁護、企業性というものがそこにあるわけなんです。そういう公共性を優先し、公共性を認めるなら公社公団、あるいはもっと極端な言い方をすれば独占的なものを株式会社に与えることがいいのかどうか、そこにまで触れなければいけないのです。大臣、もう一度考え直さなければいけない。株式会社でそういう形でやること自身が腐敗した経営を生み出す土壌になっているんだ。だから、経営者の経営理念だということだけで片づけてはいけないと私は思うのです。もう一度このことについて、大臣の考えを聞きおいておきたいと思います。
  36. 大西正男

    ○大西国務大臣 先生の御意見は貴重な、そして有力な御意見として承ったわけでございます。そういったことにつきましても、KDDの存在をどうするかということについていろいろの考慮をめぐらす非常に重要な御意見として、これまでもそういう御意見ございましたので検討の対象としてまいってきたところでございます。
  37. 井上一成

    井上(一)委員 さて次に、参議院の決算なり、衆議院の逓信、それぞれの国会委員会で郵政省は今回のKDDの事件に絡む調査をするのだ、同僚議員の質問に対してそういう答弁があったわけなんですけれども、もう一定の中間的な報告が大臣の方に寄せられているのかどうか、この点について聞かしてください。
  38. 大西正男

    ○大西国務大臣 今回の事件に関します調査の模様につきましては、事務当局からお答えを申し上げます。
  39. 井上一成

    井上(一)委員 大臣の方に調査の中間的な経過が報告をされているのかどうか。されてなければされていない、されているならされている、このことだけで結構です。大臣いかがですか。
  40. 大西正男

    ○大西国務大臣 折に触れて報告がございますが、具体的な問題につきましてはまだしっかりしたことの報告がございません。
  41. 井上一成

    井上(一)委員 折に触れてということですけれども、中身でございますけれども、どんな調査をしているということをあなたに言われましたか。報告がありましたか。大臣いかがですか。
  42. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 お答え申し上げます。  この問題が十月の十三日に新聞報道されまして以来、郵政省といたしましては、この件に関しましてKDDから報告を求めてきたところでございます。その後十月下旬になりまして、御案内のとおりKDDの社長、副社長が退陣をいたしまして、経営体制が変わったわけでございます。そして、新しい古池会長を中心といたします経営体制のもとで、たとえば社長室の改組をいたしましたとか、その他いろいろの改善策をとってきたわけでござ  いますが、同時に十一月の八日にKDDの社内に古池会長を委員長といたします経営刷新委員会と  いうものを設置いたしまして、この中に四つの小委員会と申しますか、そういった組織をつくりまして、KDDとして鋭意調査、かつ改善策の検討に当たったわけでございます。そこで、郵政省といたしましてはその活動状況につきまして、あるいはそこでいろいろ調査をし判明したこと、あるいは具体的に改善策を立てたことにつきまして、逐次報告を求めておるところでございます。現在におきまして、まだその刷新委員会の最終的な報告というものは受け取っておらないわけでございますが、中間的な報告としては受け取っておりまして、その概要につきましてポイントの点を大臣に御報告申し上げてきた次第でございます。
  43. 井上一成

    井上(一)委員 郵政省の庁内とのかかわりなんかも報告をしてきましたか。あるいは調査項目を、具体的にどういう項目にKDD自体が調査をし、あるいはもし郵政省の見解をKDDに伝えてあるならどんな見解を伝えたのか、あるいはどういう項目について調査を、やれと郵政省は言ったのか、あるいは何も言わないのか、KDDから上がってくることだけを待って大臣に中間報告をしたのか、あるいは大臣にした報告の中に郵政省の庁内とのかかわり合いがあったとかなかったとか、あるいはまだ調査中ですとか、そういう報告をしましたか。
  44. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 先ほどお答え申し上げましたKDDの経営刷新委員会の中の四つの部門でございますが、これは御案内のことと存じますが、一つがいわゆる成田通関問題に関する小委員会でございます。それから二つ目が交際費等の問題に関する小委員会でございます。それから三つ目がいわゆる監査体制の強化等に関します委員会でございます。四つ目が料金、組織等を含めました経営問題に関する委員会でございまして、それぞれの部門に分かれて活動を行っておるわけでございまして、それぞれのことについて報告を受けておるわけでございます。  その中で、ただいま御指摘の点は交際費等に関する小委員会のことと思うわけでございますが、ここにおきまして現在までに受けております報告は、一つは、これからの年末首等を控えまして交際費の自粛に関します具体的な措置を定め、これを実施をしていく、こういう方針の問題でございます。それから過去の交際費の使用状況等につきましては現在調査中であるというので、まだその結果が出ておらないという報告を現在受け取っておるわけでございます。それで、この交際費の問題につきましては郵政省といたしましては、こういったKDDのような非常に公共的色彩の高い会社における交際費のあり方というものは、株式会社でございますから当然交際費が必要であるということは言えるにいたしましても、当然一定の節度を持ったものでなければならない、こう考えておりますので、そういった範囲を超えるものであるかどうかということが、経営姿勢にかかわる問題として、その点についての報告を求めておる、かようなわけでございます。
  45. 井上一成

    井上(一)委員 KDDの方からの報告を一方的に待っているような態勢なんですか。大臣、ここで、今後は贈答等については自粛をしていく、そういうことがいまあなたにも報告があったと思います。過去の問題について検討中、調査中だということですけれども、もうすでにKDDが金品を贈った人々に対するリストは検察なり法務当局は入手しているというような報道もあるわけですけれども、そんなことで、まず大臣、KDDが贈った人の名前あるいは物、金額、そういうものを含めてKDDの方から大臣に対してのこのことについての報告は何らなかったわけですか。
  46. 大西正男

    ○大西国務大臣 お答えいたします。  過去のそういう問題につきましては、まだ報告を受けておりません。それから、そういうリストがあるとかというふうなことは、私も新聞紙上では承知をいたしておりますが、果たしてあったかないかということも、私は存じません。
  47. 井上一成

    井上(一)委員 法務当局なり警察当局に、ひとつそういうリストを入手されているかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  48. 塩飽得郎

    ○塩飽説明員 ただいまの御質問に関する点につきましては、警視庁は先般捜索を行いまして、ただいま資料の整理分析に鋭意努めております。どういうものがあったか、あるいはどういう資料を入手しているかということにつきましては、捜査の内容の問題でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  49. 井上一成

    井上(一)委員 すでに入手をされていると私は理解します。  大臣、庁内体制の中でKDDとの深いかかわり合い、そのようなことを担当部課あるいは関係者から聞き及んでいらっしゃいますか。
  50. 大西正男

    ○大西国務大臣 結論から先に申し上げますと、まだ私は存じませんが、庁内におきましては、去る十一月十二日でございましたか、庁内の綱紀刷新という意味におきまして綱紀点検委員会というものを官房長を長にいたしましてつくりまして、その委員会において、これまで果たしてどういうことがあったか、つまり過去にさかのぼってひとつ点検をせよ、こういうことでこれを進めておりますと一緒に、十六日――ちょっと日時は覚えておりませんが、その点検委員会における将来に対する方針を定めまして、この方針を省内に徹底をさせますと一緒に、部外の関係の各所に対しましてもそのことを通達と申しますか、いたしまして各自自粛をしてもらうようにしておるわけでございます。
  51. 井上一成

    井上(一)委員 郵政省は、国際間の電波配分だとかいろいろな意味で海外出張ということも多々あろうかと思うのです。そういうときにKDDとのかかわり合いがそこから生じてくる。いままでお答えの中では、十六日ですか、日にちは別として、将来に向けての何らかの一定の取り組みを示されるわけです。率直に言って、私の調査では、少なくとも複数の郵政省の幹部職員が数回にわたって数十万円のせんべつを受け取っている事実が調査の中で判明したわけです。郵政省の現在までの調査で、そのようなことを把握されたのかどうか。
  52. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいま大臣の方からお答え申し上げましたように、十一月十二日に綱紀粛正のために点検委員会を設けまして、私が責任者になって調査をいたしております。ただ、非常に残念ながら私も司法権を持っておりません。しかしながらできるだけの努力をしておりますが、過去の一年間、特に去年の七月から現在に至るまでのことにつきまして、特に部内関係でKDD関係と接触の多かったと思われる者百十名、管理監督の地位にある者について、いま調査をいたしております。何分とも各自の記憶と良心に基づいて自主的に申告させておる状態でございまして、さらにこれを管理監督の地位にある者がまとめました上に、私がその管理監督の地位にある者に直接それぞれについての信感性についてただいま調査をしている最中でございます。現在まだ調査中でございますが、その中におきまして、ただいまのところでは過度にわたるようなものというものは、現在のところ私の調査の中では入っておりません。
  53. 井上一成

    井上(一)委員 まず、調査の内容、項目ですね。贈り物、接待、せんべつ、このような点については調査されましたね。
  54. 小山森也

    ○小山政府委員 調査の対象項目にいたしております。
  55. 井上一成

    井上(一)委員 いまのお答えで過度にわたるものではないというお答えがあったわけなんですね。過度とは郵政省の調査の綱紀粛正委員会認識はどれくらいなのか。どの基準を過度と言うのか
  56. 小山森也

    ○小山政府委員 社会通念上許されるかと思われるところの、いわゆるおつき合い程度ということを基準にいたしておりますが、これは明確な形での基準というのはなかなかむずかしい問題でございます。
  57. 井上一成

    井上(一)委員 私は、社会通念上許される範囲というものはあなた方はどれくらいを考えていらっしゃるのですかということを聞いているのです。
  58. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいま申し上げましたのは、いわゆる中間で私の感じだけでもって申し上げたものでございまして、これが過度であるかどうかということは、これからの省内の幹部との相談によっていろいろ考えられるかと思います。
  59. 井上一成

    井上(一)委員 大臣、このことは中間的に御報告を受けていらっしゃいますか。
  60. 大西正男

    ○大西国務大臣 調査をしておることにつきましては報告を受けておりますが、いま官房長からも話がありましたように、まだ具体的なものについては私の方へは報告がございません。
  61. 井上一成

    井上(一)委員 官房長、私の素直な感じなんですけれども、こういうことは大臣にも報告をしたと思う。最高の責任者である大臣はどのような指示をされたのか。あるいは社会通念上これくらいまでは許されるのだ、そんなことになれば、なおさらあなた自身の個人の考え方ということでこの委員会お答えになられるということは少しおかしいのじゃないか、私はこう思うのですよ。  KDDとのかかわり合いが何らかの形であったという事実はこれでわかったわけですよ。調査されていること、そのことは、いつごろ結論が出ますか。あるいは結論とまでいかなくても中間的に私はこの決算委員会にぜひ報告をしてもらいたいと思うのですよ。
  62. 小山森也

    ○小山政府委員 できるだけの努力をいたしまして早期に調査を完了したいと思っております。  それから先ほど、調査中のことであるにもかかわらず私が過度にわたらぬというような意味のことを申し上げましたことは、これは非常に個人的な感じを申し上げましたことをここに陳謝させていただきます。
  63. 井上一成

    井上(一)委員 ここで再度私は警察庁に。捜査の段階だから、リストを入手したけれども、そのことについては公開の場で、したともしないとも言うことはできないのだ。それは捜査上支障があるという御認識ですか。もちろんそうでしょうね。
  64. 塩飽得郎

    ○塩飽説明員 ただいまの御質問につきましては、捜査の内容に関する問題でございますので、今後の捜査につきましていろいろ影響があろうかと思いますので、捜査の内容につきましての御答弁は差し控えさせていただきたいと申し上げたわけでございます。
  65. 井上一成

    井上(一)委員 このことについては、決算委員会に報告をいただけるということで、私はその調査の報告を待って、その時点でまた改めて質問をいたします。  さらに私は、郵便貯金会館が全国にどれほどあって、その運営がどうなされているのかを伺いたい。このことについて大臣は、就任早々で十分なレクチュアを受けていらっしゃらないかもわかりませんけれども、貯金会館の運営の実情を御承知でしょうか。
  66. 大西正男

    ○大西国務大臣 十分把握をしておりませんから、事務当局からお答えをいたします。
  67. 河野弘

    ○河野政府委員 お答えいたします。  貯金会館でございますが、これは郵便貯金法の規定に基づきまして郵便貯金の普及のために周知宣伝施設として国が設置しているものでございます。御承知のとおり大ホールあるいは宿泊施設等の公共的設備を擁しまして、広く……
  68. 井上一成

    井上(一)委員 答弁中大変失敬なんですけれども、そういうことはわかり切っているのです。それじゃ、運営の実態については大臣に報告をしていない、大臣が十分お知りでないということだから少し後におきましょう。大変申しわけないですけれども、貯金会館の目的というものはちゃんと書いていますから、これは読んだらわかることです。しかし、だれが運営しているのか、そして運営している母体の代表者はだれなのか。それは率直に言って、いわゆる郵政省の天下りOBがかたまってこれはやっておるわけです。どんな運営をしているか、国家予算をそこへつぎ込みながらそこからの収益は還元されていない。私は私なりの調査があるんだ。そんなことを読んでもらうために答えを求めているのではありません。このことについては時間もありませんから、答弁中大変失礼なんですけれども、私は大臣に、御承知であればお答えをいただきたかったわけなんです。あるいはいま私が申し上げたことで何か補足してお答えができるなら承ってもよろしいですが……。
  69. 河野弘

    ○河野政府委員 失礼いたしました。  振興会は、先生承知のとおり法律によって設置されたものでございますけれども、この運営につきましては、郵便貯金事業の周知ということがございまして、本家である郵政省の貯金局と常に密接な連絡を保ちながら業務の運行を図る必要があるということから、理事長等につきましては郵政省出身者が参画いたしておることは事実でございます。  それから剰余金の問題でございますけれども、すでに先生のお手元に差し上げました郵便貯金振興会の収支でございますが、それでごらんいただきますとおり、全体といたしましてほぼ収支とんとんということで運営いたしておりまして、これにつきまして剰余金がございました場合には積み立てまして、将来の赤字のために補完するということにいたしております。
  70. 井上一成

    井上(一)委員 本来、睡眠預金で貯金会館を建設して、そして貯金業務、郵便貯金に対する周知徹底を図っていくんだ。しかし、実態はそうじゃなく、いわば天下る郵政省の幹部職員の第二のあるいは退職金の積み上げの場になる。そういうところへ国家財政をつぎ込んでいく実態というものはきれいごとで済まされない問題があるのではないか。これは私から特に指摘をしたわけですから、この問題について大臣に十分な実情を早急に把握をしていただきたいと思う。この郵便貯金会館のいわゆる運営母体である振興会の実態というものを承知をしてもらって、これをどのように対応していくか、どのように行政改革、あるいはさっき言われる公共性、郵政業務、いろいろな意味から現状でいいのかどうか検討に値するのじゃないか、大臣、私はこういうふうに思っているのですよ。しかし、大臣は余り実情を知っていらっしゃらないから、答弁を求める方が無理じゃないかと思うのですよ。調査をして、次の決算委員会までにお答えをしていただけるように努力していただきたいと思います。よろしゅうございますね。
  71. 大西正男

    ○大西国務大臣 会館の存在とその根拠、運営の一般的なことについては私も聞いておるところでございます。ただ、具体的な実態についてはまだ把握をしておらないということを申し上げたわけでございますが、お求めでございますし、私としても、自分の職務の内容でございますから、十分にこれからも把握に努めてみたいと思います。
  72. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、KDDにかかわる問題でもう一点、特にこれは大臣が当然御承知だろうと思うのですけれども、国際通信の問題でございます。  現在、国際通信量、これはいわゆる業務はふくそう化する一方でございます。ただ問題は、KDDが外国の要人に対して疑惑の金品を贈呈しなければいけないというその背景がやっぱり問題であります。そういうことからにらんで、わが国と外国との間に、いわゆる大洋間に敷設している海底ケーブルは現在何本あるのか、あるいは今後予定されている海底ケーブルは何本なのか、そして、既設の海底ケーブルについてはすべてKDDが行ったと思うのですが、それはそのとおりなのかどうか、あるいは今後もKDDにいままでと同じように建設をさせていくのかどうか、まずここまでお尋ねをいたします。
  73. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 お答え申し上げます。  お尋ねがございました諸点につきましては、私ども事務当局から大臣にまだ御報告を申し上げておらない、大臣に業務の概要等につきましてお話を申し上げてない事項でございますので……
  74. 井上一成

    井上(一)委員 いや、それはおかしいんだね、大臣。このことはまた次の問題があると私は思うのです。とりあえず私なりに調べたのでは、海底ケーブルは今日まで五本あるわけです。今後二本予定される。アメリカ、ハワイ、グアム、沖縄、台湾、韓国、いろいろあるわけなんです。そしてKDDと相手国の企業とが協定を結ぶわけです。これは取り扱い注意、いわゆる部外秘の協定書なんだ。こういうことを大臣に全部説明されていますか。海底ケーブルについては大臣に何ら報告がないのですか。報告をする必要がないと思っておるのですか。
  75. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 先ほどお答え申し上げましたのは、大臣御就任以来いろいろと多忙でございまして、所掌しております事務につきまして事務当局から詳細御説明申し上げる時間的余裕がいままでなかったものでございますから、そういう趣旨で申し上げたわけでございまして、ただいま御説明になりましたいわゆる建設保守協定につきましては、これは郵政大臣の認可事項となっておりますので、認可をいたしますときには当然大臣の決裁を得るという形で上がっておるもの、そういうふうに考えております。
  76. 井上一成

    井上(一)委員 稟議の中で大臣のところに上がっていくということと、KDDの今回の問題に絡むその枠の中でこれは当然大臣にレクチュアがあった、こういうふうに私は理解をしておるのですよ。あなた方は、これは今回のKDDの一連の不正事件とは全くかかわり合いがないという認識なんですか。
  77. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 KDDの今回の事件に関しましては世上いろいろ伝えられておるわけでございますけれども、海底ケーブルの件に関しまして特段に御報告申し上げたことはございません。
  78. 井上一成

    井上(一)委員 これは非常に大きな問題なので、私がいただいた時間内で全部質疑を終えるということはできませんけれども、さっきから言っているように、外国の要人にKDDが高価なものを贈呈した。日本へ来れば接待をしたりあるいは部屋を飾ったり、いろいろな意味で必要なんだということを板野前社長は言っておるのですよ。そうでしょう。なぜそういうことをやらなければいけなかったか。何がそこにあるかといえば、その外国の企業といわゆる協定を結ぶためのより有利な――勘ぐれはというよりも私は推測で、より利権を求めるためにはそういうことをやるわけです。これは国内だけじゃないのですよ。国外に対してもそういうことをやっておる。経営理念という以前の問題で、それを大臣に報告がない。そしてあなた方が、それは今回のKDDとは全く無関係であるというような認識に立っていること自身がおかしいのですよ。そんな認識に立っていらっしゃるのですか。
  79. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 御案内のとおりKDDは、日本におきます国際公衆電気通信業務というものを独占的に扱っておる会社でございます。したがいまして、日本と外国との間に海底ケーブル等を敷設いたします場合には、日本におきます当事者となりまして相手国といろいろ折衝いたすわけでござざいます。その場合、相手方は相手国の政府である場合もございますし、あるいは相手国の企業である場合もございます。そういったところとの間に日本の国際通信というものをよりよくしていくという形で、当事者となってその建設に当たるわけでございますので、そういったところのいろいろな交渉等が多々あることは推測できるわけでございます。そしてその間におきまして、日本の国際通信をよくするという一種の国益的な立場で折衝いたしておるもの、かように考えておるわけでございます。
  80. 井上一成

    井上(一)委員 外国の要人に金を贈ったり物品を渡したり常識外れの接待をして、そのことが日本の国益だ、こういうふうに考え、あるいは相手国との協定の中身というものは全部郵政省は御存じなんでしょう。御承知なんでしょう。そんなことが日本の国益になるのですか。  それから、このことについては私はさらに質問を続けたいわけですけれども、時間の関係もあるし、資料要求、いわゆる協定書、建設保守協定を全ケーブルについて出してもらいたい。中身を説明してもらいたい。おわかりですか。これはひとつ決算委員会でぜひ資料を提出していただきたい。委員長の方からそのように取り計ってもらいたいと思います。
  81. 高田富之

    高田委員長 ただいまの資料要求、よろしゅうございますね。
  82. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 お答えいたします。  建設保守協定と申しますのは相手国との間に結ぶわけでございますので、その内容につきまして相手国とのかかわりもあろうかということを私ども考えるわけでございますが、いずれにいたしましても、資料要求につきましては、委員会としてのお話でございますならば、そのように取り計らいをしたいと考えております。
  83. 井上一成

    井上(一)委員 正式に理事会で検討して、これは当然――私は持っているんですよ。あなた方が出したがらないという理由がどこにあるかということも推測しているんですよ。ぼくは持っているんです。だから、KDDの問題をこれだけ真剣に、国民すべての人の注視の中でガラス張りに、オープンに、すべてあからさまにしていこう、KDDだけじゃありませんけれども、そういうことが政治の信頼、行政の信頼ということになるのですから、これだけはもう関係ないのだというような形で横へ置いちゃいけない、私はそう思うのです。  大臣、さっきの問題もでしたけれども、むしろこの問題は大臣が十分御承知だと思って私は質問をさせてもらったのですが、全く御承知ないということ。あるいはそれぞれこの協定については、稟議の形で当時の大臣が決裁をなさるということだけで、すべて御承知だというわけにはまいりませんね。全部知っているのだというわけにはいかぬと思うのです。しかし、今回のKDDにかかわる問題としては当然承知をしてもらわないと私は質問ができませんね。このことについては私は質問を留保します、委員長
  84. 大西正男

    ○大西国務大臣 KDDに関しまして、海底ケーブル、そういったものがKDDの業務の内容として存在をしていることは、それはもう私も一般的には、もちろん常識として知っておるところでございます。ただ、具体的にどこにどういうふうに交渉してこれまでやってきたかということについては、まだ承知をいたしておりません。新聞紙上におきまして、外国の関係者にKDDがいろいろ何かをしたと言っているんだが、調べてみたらそんなこともなかった、じゃどうなっているかというふうな矛盾した報道のいろいろありますことも承知をいたしております。  いずれにいたしましても、今回の問題はKDDの経営陣における経営姿勢の問題だというふうに私は把握をして、そしてこれには対処をしなければならぬ、こういうことでいま対策を進めているところでございます。
  85. 井上一成

    井上(一)委員 大臣、本当は日本と韓国との海底ケーブルに対して、相手国の企業はどこなのか、代表者はだれなのか、どんな協定をしたのか、そういうことを皆尋ねていきたいわけなんですよ。お答えができぬでしょう。お答えができますか。いかがですか。お答えができるなら答えてください。できないという私の判断だから留保したいのですよ。いかがですか。
  86. 大西正男

    ○大西国務大臣 お尋ねの内容が具体的にどういうものかということがわかりませんので、私もお答えようがございませんが、お聞きくだされば、知っていることは申し上げますし、知らないことは率直に知らないと申し上げます。
  87. 井上一成

    井上(一)委員 いま尋ねた韓国のことは……。
  88. 大西正男

    ○大西国務大臣 韓国との関係についてのお話は、私は詳しいことは存じません。
  89. 井上一成

    井上(一)委員 だから留保しているのですよ。そうでないと、当委員会の運営というのはスムーズにいかないでしょう。あるいは、ここで私が何ぼ質問したって、わかりません、調べます、存じませんでは、これは質疑にならない。だから、私は留保しますから、この国際間の海底ケーブルについて、とりわけ日韓の問題については十分なレクチュアを受けてもらう、そして委員会に答えができるようにひとつ努力をしてください。  さらに、ここでもう一点、いずれかの委員会ですでに指摘があったと思いますけれども、KDDの外為法違反、外為法にも違反するのではないか、そういうことでお答えもあったかもわかりませんが、確認をしておきたいと思います。外為法の三十条あるいは五十二条等に抵触すると私は判断をしているわけですが、当局はこのことについて、一般論ではなく、このKDDの問題については抵触するのかしないのか、この点について聞かしていただきたいと思います。
  90. 塩飽得郎

    ○塩飽説明員 KDDの一連の事件と外為法との関連でございますけれども、この問題につきましては、ただいま関税法違反で捜査をしているところでございまして、ただいまその問題云々についてお答えしかねる次第でございます。具体的な捜査の問題にも絡みますので、何とも申し上げかねると思います。
  91. 井上一成

    井上(一)委員 捜査の段階ということだけれども、たとえば三十条の場合、居住者と非居住者の、これはもう私から説明する必要はないのですけれども、その間での債権の発生や弁済などの当事者になってはいけないという取り決めがあるわけです。ところがKDDの場合はそういうことに当てはまる、こういうことを言っているのです。だから、捜査の対象で逃げられてしまうと、これは実際、質疑にならない。私の言っていることは当てはまらないなら当てはまらないで答えてもらいたいし、むしろ当てはまるからそういう答弁で逃げられているなら、もう一度そのような答弁を繰り返してほしい、こういうことです。
  92. 塩飽得郎

    ○塩飽説明員 御趣旨はわかりますが、いま捜査の微妙な段階でございますので、答弁は差し控えさしていただきたいと思います。
  93. 井上一成

    井上(一)委員 捜査中ということで非常に答弁が慎重なので、このことは次回の委員会でもさらにまたお尋ねをする、あるいは捜査が進んでいくだろうと思いますし……。  ここで少し質問の形態を変えます。  郵政省のみにかかわる問題じゃありませんけれども、本俸以外の調整手当というこの性格ですね、ひとつ人事院の方からでも結構ですから、全般にわたる問題ですから、調整手当の性格をまず聞かしてください。
  94. 長橋進

    ○長橋政府委員 お答え申し上げます。  調整手当は、地域手当の一種でございますが、従前、勤務地手当制度が暫定手当に変わりまして、凍結の時代がございました。その後、四十二年に都市手当という勧告をしたのでございますけれども、それが結果としては調整手当というかっこうで給与法上導入されたわけでございます。これは物価、生計費及び民間賃金が特に高い地域に所在する官署に勤務する職員に対して手当を支給するということになっておりまして、最高八%、それからその次が、一部六%地域がございますけれども、大体八%地域と三%地域と二つに分かれております。これはやはり都市に勤務する人とそうでない地域に勤務する人の地域的な賃金の差というものを調整するという趣旨で設けられたものでございます。
  95. 井上一成

    井上(一)委員 物価の問題、いわば生活費ということですね。そういうものの配慮から調整手当がなされておる。そういうことであれば、むしろ本来からいくと、勤務地主義であることよりも居住地主義の方がまり適切なわけですね。どちらにしても、都市圏の中での生活というものは非常に苦しいというのでしょうか、あるいはほぼ一律に、一定の水準でそうばらつきはないわけなんですね。そういうふうに私は理解するのですが、当局はそのように理解をされますか。たとえば大阪なら大阪、東京なら東京に住んでいる場合は、それは北と南、東と西でうんと生活に差があるんだということは考えられないわけなんですね。そういうことを十分認識していらっしゃいますか、こういうことなんです。いかがですか。
  96. 長橋進

    ○長橋政府委員 お答え申し上げます。  その地域的な限界をどこに引くかということは大変むずかしい問題でございまして、現在のところ一応行政区画を用いまして支給地域の区分をやっております。
  97. 井上一成

    井上(一)委員 行政区画というのは、大枠では府県レベルという認識を持ってよろしいでしょうか。
  98. 長橋進

    ○長橋政府委員 大体市町村レベルということでよろしいのではないかと思います。
  99. 井上一成

    井上(一)委員 それでは具体的に、今度は郵政省の担当の方に……。  郵政省は、この調整手当についてどのような認識をしていらっしゃるか、まず聞かしてください。
  100. 林乙也

    ○林政府委員 お答え申し上げます。  調整手当の性格につきましては、ただいま人事院の方からお答えがあったとおりでございまして、郵政省におきましては、給与特例法の適用職員につきましては、給与準則に基づいて措置をすることになっておるわけでございますけれども、支給地域、支給区分につきましては、原則として一般職給与法に準じて定めておるところでございます。
  101. 井上一成

    井上(一)委員 人事院と同じような認識に立っていらっしゃるわけですね。いわゆる生活給、物価に対応していく、地域でのいわゆる生活給的なものである、人事院と同じだということは、物価、生活費、そういうことですね。
  102. 林乙也

    ○林政府委員 お答え申し上げます。  直ちに生活給というようにあれできるかどうかについては、いささかお答えいたしかねるわけでございますが、いずれにいたしましても、民間における賃金、物価及び生計費の特に高い地域で、指定する地域に所在する官署に勤務する職員に対して支給する手当であるというように認識しておるところでございます。
  103. 井上一成

    井上(一)委員 物価が特に高い、そしてそのことによって生活が苦しい、生活費がかさんでいく、そんなことで、その地域に対して勤務する職員に調整手当を支給していくんだということで、もう一つ、いま後段でいわゆる官署手当的なものもちょっと触れられたわけなんですね。私は、さっきのお答えでは、人事院の見解と同じだということに受けとめたわけなのです。仕事が繁雑になるからとか、あるいはそういうことでこの手当を出しているのだということじゃなく、むしろ生活費の高騰あるいは物価あるいは民間の賃金とのバランス、格差の問題、そういうもので調整手当が支給されている、こういうふうに理解をしているのですが、いかがですか。もう一度確認をして、郵政省の方の認識を聞かしてください。
  104. 長橋進

    ○長橋政府委員 私の先ほどの答弁にちょっと補足させていただきたいと思います。  物価、生計費、民間賃金と三つ挙げましたけれども、基本的には物価とか生計費と申しますと、大体民間賃金を調べましたときに、その中に盛り込まれているというのが大勢であろうと思います。ただ、国家公務員の場合ですと、全国に職員が散らばっておるものでございますから、したがいまして、やはり民間賃金と比較をしました場合に、つまり地場賃金の違いというものが各地にございますから、そういう意味で現実に調整手当がどういう面で効用を発揮しているかと申しますと、どちらかと申しますと、最後に述べました民間賃金といいますか、それとの差、これの調整をするということが現在では大きな効用を果たしているというふうに考えております。
  105. 林乙也

    ○林政府委員 お答え申し上げます。  人事院の方からも御説明がありましたように、この調整手当の支給基準といたしまして、所在する官署を基準として支給していくか、あるいは職員の居住する地域をもってしていくかというような点につきましては、技術的な問題としてはいろいろ考えるところがあろうかというように思われます。現実には、一般職給与法におきましても官署主義というものをとっておりまして、郵政省におきましても、官署の所在する地域ということによって定めておるところでございます。  ただ、一般職給与法と郵政省の場合に若干違います点は、郵便局の所在する地区と申しますのは、一般行政機関に比較いたしまして全国に細かく散在いたしております。また、実際問題といたしまして、市の多くが町村合併により相当広域となりまして、旧市の区域と合併、編入された周辺区域との間に、地況の実態につきましてかなり格差が見られるという事実もございましたので、これらの市につきましては、同一市内におきましても必ずしも支給区分を同一にするということはいたしておりませんで、一定の格差を設けて定めておるという事実がございます。
  106. 井上一成

    井上(一)委員 私は、この際、実態というものを十分承知する意味もあって、見直すべきじゃないかと思う。とりわけ、都市圏におけるその近郊への住宅開発が非常に激しい、そういう中で、たとえば大阪府の場合、これは非常にまれなケースですが、能勢、豊能という地域は無給地域になっているわけです。ここは、実際問題としてベッドタウン化しつつあり、また大阪都市圏の中にも包括されており、生計費、物価あるいは民間の地場産業との賃金の比較、どれをとっても、なぜそこだけが外されるのか、これは非常におかしいわけで、理由にならないわけです。私は、こういうことを是正すべきであることを主張したいわけです。どうですか、そういうところは早急に改善をする用意があるのだということなのか。
  107. 林乙也

    ○林政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の能勢、豊能地域の点でございますが、現在の段階におきまして私が報告を受けております限りにおきましては、一般職給与法におきましても支給対象地域となっていないということでございます。一方におきまして、私どもといたしましても、一定期間ごとに、必要に応じまして、都市及びその周辺部の発展を考慮いたしまして、再検討といいますか、こういった改定をいたすということもいたしておるわけでございます。そういった際に、ただいま申しました一般職給与法上の扱いの点も十分考慮をいたした上で、また私どもの検討をいたしてまいりたいというように考えておるわけでございます。
  108. 井上一成

    井上(一)委員 私は、さらに郵政業務の現場での実情というものをもっと承知をしてもらいたいし、そのことによって効率的な業務が保障されていくわけなんですよ。だから、一般職が対象外であるからということよりも、むしろ郵政は地域指定と官署指定をいわばダブらせてやっていこうということですから、そういう意味では、一般職よりも先行するぐらいの意欲がないといかぬと思うのです。  特定の具体的な地名を提示したわけですけれども、実情を承知をしてもらうために、私は前向きにこれは検討してもらいたい、こういうふうに思うのですが、これは全国でたくさんのこれに類似した個所があろうと思うのです。そこで働く人たちの立場理解をし、そしてその人たちの生活の安定に向けての保障を郵政当局がやっていかなければ、効率ある郵政業務が遂行できないわけなんですから、このような件についてもう一度前向きに取り組んでいただけるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  109. 林乙也

    ○林政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの段階におきまして、結論的にどうこうするということにつきまして申し上げられるだけのものを私持っておりませんが、先生の御指摘でもございますので、十分検討させていただきたいと考えております。
  110. 井上一成

    井上(一)委員 さらに私は、最近郵政業務の中で、郵袋盗難だとか犯罪事故が多発しているわけなんですが、その実態をどう把握しているのか、ここでお答えをいただきたいわけです。
  111. 吉田実

    ○吉田説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、最近特に近畿郵政局管内を中心にいたしまして、相当数の郵袋事件が発生しております。先生方に大変御心配をかけておるという点について、私も非常に残念に思っておる次第でございます。  なお、最近における郵政犯罪の状況はどうだ、どういうふうに把握しておるかという御質問の趣旨だと思いますけれども、最近三カ年におきます郵政犯罪の発覚件数は、五十一年度が四千四百件、五十二年度が四千三百七十三件、五十三年度が四千四十件ということでございまして、全体的には犯罪の発生状況というのは少し下火になっておるというふうに私ども把握しております。  しかし、先生御指摘のような郵袋事件は、大変影響するところが多いわけでございまして、われわれとしては、こういう事態が起こらないようにいろいろと措置をしておるところでございます。
  112. 井上一成

    井上(一)委員 余り時間がありませんが、このことについて特に大臣から見解を聞きたいわけです。私は私なりに調査をいたしましたし、その原因が那辺にあるのか、あるいは犯罪とまではいかなくても、生活することへの不安あるいは失望、いろいろな意味で蒸発をしなければいけない、あるいは何らかの理由で休職を余儀なくされる。現在の郵政業務の現場でのいろいろな実情というものを、私はその要因はどこにあるのかということを指摘したいわけなんです。  一つは、もっと具体的には、たとえば九月に発覚した中央郵便局の亀山文夫の場合も、昨年も同様の犯行を行った。当時は迷宮入りだとされたが、後は別にこの亀山君の日常生活がどうであったか、もっと極端なことを言えば、職場の上司から借金をしておる。管理職から金を借りてその金を何らかの生活費に充てていった。生きるためにその金を必要としたんでしょうか。あるいは遊ぶためにかもわかりません。そんなことから必要以上に金に困って、あげくの果てはそういう犯罪を犯さなければいけない。いわば、その時点で管理者が人間的な、亀山の生活状態というものをもう少し承知しておったら次の犯罪は未然に防げたのではないか、あるいは逆にその人間をして改心せしめることができたのではないか。そんなことを考えると、いまの職場に、いわゆる機械的な労務の管理体制、こういうものが非常に底辺にあり、それが災いしてこの犯罪に結びついているのではないか。日常生活をほったらかしにして、そういうことは何ら相談にも乗らないでいわゆる労務管理を集中的にやっている。そのことが本人をしてより苦しい立場に追い込み、ついには犯罪者に陥れていく、大げさではなく、私はそういう一つのパターンを考えておるわけなんです。そういうことであってはいけないので、いまの郵政の労務管理の中に思い切って人間的な触れ合い、思いやりというのでしょうか、そういうものをもっともっと取り入れていかなければいけない。あるいは上司と部下との関係というものは、仕事を離れてでも、そういう個々の生活の問題にでも相談に乗れるような、そういう体制、そういう仕組みをつくり出していかなければいけないと思うのです。  具体的な問題がありますね。十年前に郵便業務がふくそうしたからどんと地方から採用した。三年すれば故郷に帰す、そういうことも現実にはほごになってしまう。そして十年たった今日、二十七、八歳あるいは三十歳近い若い青年が一生懸命働いたあげく何なのか。住まいすら十分保障されていかない。給料すら、いま言ったように、調整手当一つをとらえても非常に不自然な形で取り残されていく。そして上司からは労務管理で締めつけられる。そんな中から生まれてくるのは、犯罪者という一つのレッテルを社会から張りつけられていくまことにもって残念なケースなんです。そういうことを考えると、婚期の適齢期の諸君にはその相談にももっと乗るんだ、そのような窓口もつくっていき、本当におおらかな中で労使双方がどんどん仕事がスムーズに運ぶように努力をする、そういう発想の転換がいま必要ではないか、大臣、こういうふうに私は思うのです。具体的な問題については時間がありませんから申し上げませんが、そういう背景というものを考えたら、今回の私がいま指摘した郵袋盗難事件等も踏まえて、ただ犯罪件数等が少なくなったということだけでは中身は済まされないと思うのです。だから、個々の問題について指摘しませんが、労務管理という面について一考を要する時期だ、こういうことを私はむしろ強く警鐘を鳴らしたいわけなんです。  大臣のお考えをお聞かせ願って私の質問を終えたいと思うのです。
  113. 大西正男

    ○大西国務大臣 犯罪の原因というものは非常に多岐多様にわたっておりまして、恐らく一般的なことで論じ去ることはできないと思いますが、おっしゃいますように、郵政省の末端の監督者においてもそういった点を十分に理解をして、その指導についてはこれまで親身になってやっておるものと思いますけれども、先生の御指摘はまことに貴重な御指摘だと思います。したがいまして、そういうふうに血の通う監督、情の通う監督をやって、単に犯罪の防止ということだけではなくて、一個の人間がそういう誤った道に陥らないように指導するという心を持ってやらなければならぬと思います。先生の御指摘をありがたく拝聴しまして、そのように指導してまいりたいと思います。
  114. 井上一成

    井上(一)委員 これで私の質問を終わります。
  115. 高田富之

    高田委員長 井上君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  116. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私は、十五分間しか質問時間がございませんから、KDD事件に対する初歩的な疑問を時間の許す範囲で指摘をして、お答えいただけるものがあればお答えをいただきたい、このように思うわけです。  この二、三年来、ロッキード、ダグラス、グラマンといわゆる構造汚職というものが非常に多くなりました。今度のKDD事件もそういう構造性を持った事件に必ず発展する、私はこのように見ておるわけです。ところが、国会は犯人捜しをするところじゃないわけでありまして、構造汚職と言いながらその構造性あるいはそのメカニズムについてメスを入れることが非常に少ないという感じがして仕方がないわけです。  それで私は、そういう観点から疑問点を提出したいと思うのですが、今度のKDDの事件は初歩的に考えて二つ問題があると思う。一つは、KDDの特殊会社としての性格上、国会あるいは郵政省がKDDのある事項について職務権限を持っておるというこの一点であります。いま一つは、何であんな高収益が上がっておるのか。もうけ過ぎているからその金を隠す必要が出てくるためにいろいろなものを買ったりあるいはばらまいたりするわけでしょう。ではその高収益はどこからきているか。とどのつまりは料金じゃないんですか。問題のルーツははっきりしているんですね。したがってそういう観点から質問を申し上げたいと思います。  初歩的な質問で恐縮ですけれども、法務省の刑事局長にお伺いをいたしますが、犯罪として成立する疑問がある問題については捜査されますね。
  117. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 お尋ねのKDDの事件につきましては、これまでいろいろと御論議がありますように、さしあたり成田の税関の方から告発のありました、いわゆる密輸事件と申しますか関税法違反等の事件につきまして捜査が開始されたところでございまして、今後のことにつきましては、いまの段階では何とも申し上げかねるわけでございますけれども、いろいろ新聞等でも報道されておりますし、また国会での御論議等もいろいろとあるわけでございますので、その点は十分念頭に置いて対処するもの、かように考えております。
  118. 楢崎弥之助

    楢崎委員 当然のことを聞いたまでです。疑惑があれば捜査なさるのはあたりまえの話ですね。  それでお伺いをいたしますが、東京税関から地検に告発があった、いま報道関係であらわれているのを見ますと、この前の強制捜査もそうですが、いま警視庁が前面に立っておりますね。いままで、古くは日通事件あるいはロッキード、グラマンは特捜が前面に立っていた。これは、告発を受けて捜査当局、検察としては、警視庁と地検が合同会議を開かれて捜査の分担をされておるわけでしょうか。
  119. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 お尋ねの点でございますが、いまの点につきましては東京地検と警視庁の方で密接な連絡をいたしまして、さしあたりこの前のような措置をとったというふうに聞いております。
  120. 楢崎弥之助

    楢崎委員 大体、地検なり特捜が前面に立つ場合と警視庁が前面に立つ場合、その区別け、分担の判断の基準というのはどういうところにあるのでしょうか。
  121. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 どうも大変むずかしいお尋ねでございますが、本件につきましてどういうわけでどうしたかということになりますと、捜査の内容なりやり方なりについても関係してくることでございますので、具体的なことは何とも申し上げかねるわけでございますけれども、検察庁といたしましては本件について今度のような形でとりあえずやるのが適当だというふうに考えましてああいう措置になったというふうに承知しております。
  122. 楢崎弥之助

    楢崎委員 先ほど申し上げたとおり、日通事件なりダグラス、グラマン、ロッキードでは特捜が前面に立った。そうすると、発展いかんによったら特捜が前面に出てくるという可能性はありますか。
  123. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 これも仮定論のようなことでございますので明確なことはお答えできないわけでございますけれども、別に警視庁にやらせているからといって検察庁の方でもう任せっきりということではございませんで、事態の進行、推移に応じまして適切に措置するもの、かように考えております。
  124. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは、地検あるいは特捜部は、別に内面の捜査をしているわけですね。
  125. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 検察庁の方でどこまでどういうことをやっているかということになりますと捜査の内容でございますので申し上げかねるわけでございますが、それなりに責任を持ってと申しますか、考えながら進めていくというふうに思っております。
  126. 楢崎弥之助

    楢崎委員 これも端的に聞きますが、KDD法によって郵政省がいろいろ認可の権限を持っている。したがって、本件について職務権限ありと思われる関係で、これだけははっきり言えるのではないか。一つは、郵政大臣それから次官並びに認可事項について直接担当している郵政省の上層幹部、国会ではその郵政大臣の行う認可問題についてチェックする機能を持つ逓信委員会、逓信委員、少なくともそれだけは――まだほかにもあると思いますが、あっせん収賄等もありましょうが、それは別として職務権限ということだけで見れば、いま私が申し上げたようなところはございますね。
  127. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 委員お尋ねの職務権限ありや否やということが何か贈収賄罪の成否とつながってのお尋ねかと思いますけれども、KDDに関して監督権があるという意味においてはあると言えばあるということになると思います。
  128. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私は特に特徴的にしぼったわけです。  そこで問題は、この政策、KDDに対する認可をめぐるいろいろな問題、特に料金問題について国会における委員会質疑、答弁は、ロッキード事件における橋本元運輸相なり佐藤元政務次官等々の例を見てもわかるとおり、政策の変更なり、たとえば料金問題の考え方の変移なり、そういうものについて検察当局は関心をお持ちですか。
  129. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 関心を持つという言葉が、ロッキードあるいはダグラス、グラマン等の事件におきましていろいろな意味に言われておりますので、なかなかその言葉も使いかねるような状態でございますけれども、先ほども申しましたように、いろいろな御論議があることは十分頭に置いていると思います。
  130. 楢崎弥之助

    楢崎委員 当然頭に入れられておるということですから関心がおありでしょう。  一例を挙げます。先月十一月二十六日の衆議院逓信委員会で、野党委員質問に答えて板野さんが参考人として答弁をしておられます。その中で、料金問題等に関して「大臣にも一、二回お目にかかりましてそういうお話もいたしました。大臣が後退されたというよりも」、つまり後退という意味は、料金問題について後退した、「というよりも、国際通信のこれからの将来を決する非常に大きな曲がり角である、大変大切な時期であるということを御了解いただいたので、料金を下げるよりも先にそういう積極的な投資を国際通信のためにやれ、こういうお考えであったように私は感じておる」。つまり板野さんは、もう御承知のとおり料金値下げ反対の方、国会でもそういう答弁をしている。大臣に一、二回会ってこれをお願いした、これも明確になっておる。それで大臣もそういう考えになった。これも板野さん自身の答弁で明らかになっている。  仮定の問題ですけれども、もしここに大臣に金品が動いているとすれば請託収賄の可能性が出てくると思いますが、いかがですか。
  131. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 大変仮定のお尋ねでございますのでお答えもむずかしいわけでございますが、そういう依頼があったという事実が片方にあり、片方に金銭の授受があったということでございますけれども、直ちにそれだけで贈収賄ということになるにはちょっとまだ早いのではなかろうかというように思います。
  132. 楢崎弥之助

    楢崎委員 もしそうであればという仮定ですけれども、全く典型的な請託事項になる。それはロッキードの田中元総理の場合でもそのようであるわけです。  次に、昨年四月十八日の参議院逓信委員会、この日の一番最後の質疑応答を見てみますと当時の服部大臣が――二月段階では値下げのため積極的にやるという答弁をなさっていることはすでにもう明らかにされている。ところが一番最終段階、四月十八日の答弁では、「値下げするなんて言った覚えはありません。」ここで明確に言っておるのですね。これは私は本人の真意を聞いてみなければわかりません。それを前提として申し上げておくけれども、与党はもちろん野党の中にも、この答弁の立場の変更がある。最初は値下げをしろという立場質問、それが最終段階では、値下げするのは無理じゃないかということをどうしてはっきり言わないかというような誘導質問が行われている。非常に私はデリケートであると思います。  もう一遍申し上げるが、これは重大なところでしてね。しかも典型的なところでして、もしもここに金品が動いておれば贈収賄罪の可能性が当然出てくると思う。これは私の疑問です。だから答弁は要りませんが、疑問点を指摘をいたしておきます。  時間がなくなりましたが、一つだけ郵政大臣に聞いておきます。先ほど、実は余り権限がないのだ、それから、いろいろな報告も受けておる、KDDに対してその報告を求めておるのは法的な根拠でなさっていらっしゃるのですか。
  133. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 先ほどお答え申し上げました本件に関しまして、郵政省といたしましてKDDからいろいろ報告を求めておりますが、これは法律の何条によってということではございませんで、一般的な行政指導という形で求めておるわけでございます。
  134. 楢崎弥之助

    楢崎委員 ここが私がまたわからないところの一つなんですね。つまり行政指導でやっているわけでしょう。これほど問題が明らかになって、大事件に発展する様相を示してきたのに、何でこの国際電信電話株式会社法の十五条を適用しないのですか。私はいろいろ調べたところ、これは罰則規定があるからそこまでやるのはどうもという、ここにも疑問を感ずるのです。なぜ十五条の命令でやらないのか。つまり、大臣は権限が余りありませんと言っているけれども、いまの現行法でもできることはできるのですよ、こういう点は。だから、郵政省は何かおかしいのじゃないか。さっきも井上委員から金品の何かがあったように聞こえる指摘がありましたけれども、こういう点にも郵政省の姿勢がおかしいと私は思う。何でやらないのですか。それが一つ。  それから、これでもう最後です。昭和五十三年五月十日の服部大臣の答弁の中に、その年の四月二十一日に経済対策閣僚会議が持たれておる。これは答弁の中にあるのです。そして、ここでいろいろ議論をした。経済対策閣僚会議はだれが、座長か何か知りませんが、主宰しているのか、そして議事録があるのか。議事録があれば資料として提出をしていただきたい。  以上です。
  135. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 御指摘のとおり、法第十五条には、KDDに対しまして業務に関し命令を出すことができる、あるいは報告を徴することができるという権限が大臣に付与されてございます。  そこで、ただいまのその件に関しましては、先ほど申し上げましたような形で報告を求めておるわけでございますけれども、これに対しましてKDDの方からそういう報告ができないというふうなこともございませんので、現在それで報告を求めておるわけでございますが、と申しまして、この十五条の適用というものを全く考えておらないのだ、そういうことは使うべきでないというふうに考えておるということではございませんで、これからの状況によりましてはそういうこともあり得るかと思います。  ただ、「業務に関し」というふうに書いてございますので、その辺がどこまで適合するかということにつきましては、なお検討の余地があろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  136. 楢崎弥之助

    楢崎委員 大臣、経済対策閣僚会議の議事録提出はいいですか。
  137. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 お答えいたします。  経済対策閣僚会議が行われていることは承知いたしておりますが、どこが招集し、どこが事務局になっておるかということに関しましては、私、承知をしておりませんところでございます。
  138. 楢崎弥之助

    楢崎委員 おかしいじゃありませんか。議事録は提出されますかと聞いているのです。
  139. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 郵政省が主宰をしておる会議でございませんので、郵政大臣が出席することもございますけれども郵政省の主宰しておる会議でございませんので、その議事録とかそういう資料が提出できるかどうかについて私から責任のあるお答えをいたしかねる、こういう意味でございます。
  140. 楢崎弥之助

    楢崎委員 委員長にお願いをいたします。  担当閣僚も来ていないようですから、この五十三年四月二十一日の経済対策閣僚会議の議事録をぜひ提出をしてもらいたい。  なぜならば、この中で服部大臣がどういうことを言ったか、そしてどういう結論になったか、それが非常に重要な意味を含んでおる。  委員長、もう一つ、この内容はすでに明らかになっているのです。つまり、KDDの社内報で六月段階で明らかにされているのです。KDDにその内容がわかって国会にその内容がわからないなどということはあり得ない、KDDにだれがしゃべったか知らないけれども。だから、その内容はぜひひとつ当委員会に資料として出していただきたい。これは委員長にお取り計らいをお願いをいたします。  いろいろな情報なりたれ込みがあっておりますけれども、きょうは時間がありませんから、まあ外堀の方からゆっくりいきたいと思います。  それでは、これで一応質問を留保しておきます。
  141. 高田富之

    高田委員長 ただいまの楢崎君の御要望につきましては、理事会にお諮りの上、さよう処置いたしたいと思います。  楢崎君の質疑はこれで終わりました。  この際、午後一時三十分まで休憩いたします。     午後零時四十六分休憩      ――――◇―――――     午後一時二十九分開議
  142. 高田富之

    高田委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。林孝矩君。
  143. 林孝矩

    ○林(孝)委員 運輸委員会との兼ね合いもありまして、運輸大臣に出席していただいておりますので、まず運輸省にかかわる問題から質問申し上げます。  鉄道建設公団の空出張、やみ手当の問題に関することでございますが、すでに運輸委員会等でも種々議論をされてきたところでございます。私は、いまの段階、いまの時点でこの問題に関して思いますときに、運輸省としてもこの段階で決意すべき問題がある、そのように思うわけです。その一つは、この鉄道建設公団の空出張の問題、職場ぐるみ、公団ぐるみのそうしたやみ手当といいますか、そういう問題に関して起こってきたことについて会計検査院が一切の調査を終えた段階でありまして、その内容については会計検査院としてすでに五十三年度の会計検査の報告の中に記載しておる、こういうことでございますので、会計検査院からまずその最終的な報告について、簡単に概略を説明願いたいと思います。
  144. 小野光次郎

    ○小野会計検査院説明員 御説明いたします。  昭和五十三年度決算検査報告は、実はまだ現在審議中でございまして、現在まだ内閣に回付してございません。とりあえずこの問題については、非常に重要な問題でございますので、会計検査院の検査官会議の議を経まして中間的に御報告申し上げたことでございます。  その内容について簡単に御報告申し上げます。  まず、日本鉄道建設公団におきましては、架空または日数等をつけ増しした旅行命令に基づいて旅費を支給いたしまして、これを職員に支給したり、別途に経理して会議費等に使用したりなどしておりました。これら不正に経理した旅費の総額は、昭和五十三事業年度において二億一千六百九十六万円、五十四事業年度において五千六百七十五万円、計二億七千三百七十一万円となっております。これはいずれも日本鉄道建設公団会計規程及び職員旅費規程を無視して不正に資金を捻出し使用したものでございまして、その経理が著しく紊乱していると認められるものでございます。  この旅費についての実態でございますが、旅行の事実の有無を調査いたしましたところ、旅行命令書、旅費請求書及び領収書等の関係書類を作為いたしておりまして、これに合わせて出勤簿等の関係書類を整理するなどの方法によりまして、旅行の事実がないのに旅行したことにしてございました。あるいはまた、旅行の事実はございますが、日数及び宿泊数をつけ増しいたしておりましたり、また旅行先を実際の旅行先よりも遠方にするなどにいたしておりまして、旅費を不正に支出しておったわけでございます。  これらの二億七千三百七十一万円の多額の経理につきまして、これを使途別について見ますと、一億八千七百六十九万円は職員個人に支給いたしまして、残余の八千六百二万円は会議費等の資金に充当しておりました次第でございます。  以上、簡単でございますが御報告させていただきます。
  145. 林孝矩

    ○林(孝)委員 運輸大臣にお伺いいたします。  この会計検査は、一応検査が終了したということで報告されたと私は認識しておるわけですけれども、そうしますと、この職員の一億八千万、また会議費として八千万という空出張あるいはやみ手当の事実、これに対してどういう事後処理をするか。すなわち、個人が受け取った場合に、それは一応所得ということになりますから納税義務が生ずるわけです。納税義務が生じて、その所得について税金を払うのか、あるいはそれを所得というふうに考えないで返還するということにするのか、そうした事後処理の問題について、この段階で結論を出さなければならない、そういう状況にあると私は思うわけです。  それで運輸大臣にお伺いしたいのは、この会議費等の問題に対する事後処理、それから職員が受け取ったとされる空出張旅費の一億八千万、これに対する事後処理について、どのような最終結論を出されるか、お伺いしたいと思います。
  146. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 先生御案内のように、この事件に対しての監督の立場であります運輸省の事務次官以下その他の処分、あるいは公団総裁等更迭をいたしまして、現在いろいろ問題になっております金銭的な問題をどのように処理するかということを鋭意検討中でございます。大変数が多いわけでございますから、早急に整理をするように要望しておりますが、当省といたしましては、いまのところ税で処理するものを含めて返還もまた検討、大体において返還を主にして、中にはやはり税で処理しなければならないものもある、こういうようなことでございますので、このような形を早急に決めて国民の納得の得られるような解決を図りたい、かように指導していく所存でございます。
  147. 林孝矩

    ○林(孝)委員 鉱道建設公団当局はどのように事後処理されるおつもりか。
  148. 仁杉巖

    仁杉参考人 ただいま会計検査院から御報告がありましたのは検査院が検査をされた額でございまして、それ以外に公団で内部監査としてやった分もございまして、総額は三億九千五百万前後の数字になっております。これのうち約二億六千万が超勤充当、一億三千万程度が会議費等に使われているものでございます。  超勤等につきましてはいろいろの事情がございますが、ある支社では空超勤のようなこともございますので、それにつきましては返還を考えておりますし、それ以外のところは、事実超勤の予算が多少不足した面もあるようでございますので、その辺の実情を調査しておりますが、その結果によりまして納税、税金を納めるというような処理でいくかというふうにいま大体考えております。  それから、雑費等につきましては返還という方法考えておりますが、中には正規の手続をいたしますと会議費等で立てられるものもございますが、この辺のところをどうするかは、いま運輸御当局その他と御相談をして決めてまいりたいと思っております。
  149. 林孝矩

    ○林(孝)委員 今回のこの事件は、いわゆる職場ぐるみ、そしてこの事件の内容を調査いたしますと完全な虚偽文書の作成ということが実在するわけでありますが、こうした犯罪行為を発見したときにどういう対応の仕方をするか、この点について検討されたことございますか、運輸大臣。
  150. 山地進

    ○山地政府委員 こういった公務に関連する違法な行為でございますが、これが実際刑法上の問題になるかどうかということにつきましては、刑事当局の御判断にまちたいと考えております。
  151. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それでは、ここに刑訴法の二百三十九条の規定がございます。この内容は、その第二項において、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」このようになっておるわけです。いまの御答弁でありますと、この刑訴法の二百二十九条の二項と全く相対峙する考え方の答弁であったと思いますが、その場合に問題は、公務員の立場として、義務規定としてこうした規定が設けられておりまして、この法の解釈は法律上の義務を課したものと解釈するのが通説になっておるわけであります。したがって、いまの答弁とは全く対峙した、この刑訴法の二百三十九条というものを無視した考え方での対処の仕方である、このように考えられるわけですけれども、いかがですか。
  152. 山地進

    ○山地政府委員 刑訴法の二百三十九条でございますが、その文章に「官吏は」と書いてございます。これは会計検査院の方の御答弁を承っておると、検査院の方の御見解といたしまして、「官吏は」というのとそれから検査院みたいに組織として検査をされている方の立場というのは若干違いがあるのじゃないか。と申しますのは、検査院の方が検査に行かれて、帳簿を見て、確かに空出張があったと知ったのは、官吏が知ったわけですね。そこで、では告発義務はその人にあるかというと、そうではなくて、検査院が全部お調べになって、全部でどれぐらいの規模になっているということを検査院全体でお考えになった上で、それからどうするかということを御判断になる。では検査院はそういったことで告発されるかといいますと、これも検査院の御見解で私がそう理解しているのでございますが、不当事項として天下に公表されるわけですね。公表されるということは、検察当局も十分それについて知る機会というものが与えられておるわけでございますから、検察当局としては告発を待つまでもなくそれを御判断いただけるものと理解できるのだと思うのでございます。  そこで、検査院ではない運輸省はどうなのだろうということでございますが、これは検査院がお調べになってこの事件が明るみに出てきたわけでございまして、検査院の方が、一体犯罪事実がどの程度あるのかというようなことについて証拠書類等は全部おそろえになっているわけでございまして、私どもの方といたしましては、検査院の検査の結果を待って、明るみに出た問題についての処理ということについては先ほど申し上げましたとおり検察御当局の御判断にまちたい、かように考えておるわけでございます。
  153. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それでは鉄建公団、どのように考えていますか。独自の調査をした立場
  154. 仁杉巖

    仁杉参考人 事件を起こした当事者でございますので、会計検査院、運輸省等の御指導等を得て処理してまいりたいと思っております。
  155. 林孝矩

    ○林(孝)委員 会計検査院は、いま運輸省の答弁によりますとげたを預けられている形です。鉄道建設公団は運輸省と検査院にげたを預けておる。残るのは会計検査院でありますが、会計検査院はどのように考えられておりますか。
  156. 小野光次郎

    ○小野会計検査院説明員 お答えいたします。  私どもの方の検査は、それぞれ現地に調査官が参りまして、そして調査官が具体的に事態を調べてまいりまして、そして課に上げてまいります。課に上げてきたものを今度は局で十分審議いたしまして、それが不当かどうかという判断を加えまして、そして最終的には検査官会議の議を経て不当事項ということで公表するというふうにしておるわけでございます。  そこで、個人的などこの段階においてそういう刑事訴訟法の告発という行為を起こすかということは非常にむずかしいことでございますので、従来から、こういう問題につきましては会計検査院としては決して隠しているわけではございませんので、検査報告に明記いたしまして、その内容についても公表いたしますので、十分それをおわかりいただいた上で処置していただけるという判断のもとに、あえて刑事訴訟法による告発等の処置は講じてない次第でございます。
  157. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この二百三十九条に対する解釈、それからこの事実関係に対する問題認識というものに非常に大きな当局の問題があると私は思うのです。といいますのは、まずこの二百三十九条に関する解釈の問題としては、これは法律の義務規定である、こういうことで解釈できる。これは異論もあると思いますが、解釈の問題ですから、どのように解釈するか、その立場によって変わってくると思うのです。しかし私は、これを厳重に考えて、シビアに受けとめていくことがこうした問題を解決する、防止する一つの大きなポイントになる、そのように思うわけです。事実関係が、これだけ職場ぐるみで虚偽の文書がつくられておる、そしてそれが会議費という名目で接待に使われたり、その結果として、新聞報道でも明らかなように大蔵省も接待された側になったり、いろいろな形で会議費が使われておる。会議費の問題については後ほど触れますけれども、そのようなことで、内部にあってそうした犯罪行為を知ったときに、その内部の人間が告発をしなければならないという義務、こういう法解釈を適用しない。そしてこれは、公表されたら、それを見た人が検察庁であり、その検察庁がそれをどうするかということを判断するのだと言うようなことは全く他力本願であって、みずから自分たちの姿勢を正そうということにはならない。こういう面について運輸大臣の見解を承りたい。  もう一つは――これが最後ですから、大臣、後は運輸委員会に行ってもらって結構です。もう一つは、公表ということであれば、こうした問題に対して検察当局にゆだねるとするならば、もっとスピーディーに全貌を公表すべきでありまして、いまの段階は公表された段階とはまだ言えない。鉄建公団内部の調査の内容とそれから検査院の中間報告とには食い違いがあることも事実でありますから、そういう意味から言いますと、では最終的に公表できるというのは一体いつの段階になり、それを検察庁が知り得るのはいつの段階になるかということになるわけです。  この二つの問題に対してお答え願いたいと思います。
  158. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 先ほども申し上げましたように、非常に多額の金額であり、また複雑なものがございますので、新しい総裁以下理事者でいま鋭意内容の調査中でございます。そしてその分け方も、返還するべきものかあるいは税で処理すべきものか、こういういろいろな問題等がございますので、はっきりした時点において、鉄監局長からもお答え申し上げましたように、検査院あるいは法務省とも相談をいたしまして態度を決めてまいりたい、かように存じます。
  159. 林孝矩

    ○林(孝)委員 運輸大臣、結構です。  あと確認しておきますけれども、いま捜査中ということでありますが、捜査は先ほど答弁された内容よりさらに進むということですね。そうしますと、いつごろをめどに捜査を終結するという計画を持って捜査をされておるのか、その点はいかがでしょう。
  160. 小野光次郎

    ○小野会計検査院説明員 お答えいたします。  私どもの調査は現在大部分は終了しております。まだ使途が十分確認できないものについて現在鋭意確認作業を行っているところでございます。そして、これはもう今月の中ほどには決算検査報告としてでき上がりますので、その段階には正式にこれを公表できることになると考えております。そのときに、前に中期的な問題で公表いたしましたものと全体の形においては変わらないのでございますけれども、金額等については確認できたものは確認いたしますので、若干の相違はあろうかと考えております。
  161. 林孝矩

    ○林(孝)委員 いま最終的なめどが公表されたわけでありますが、運輸省並びに鉄道建設公団もそのタイムリミットに対して同意できますね。
  162. 山地進

    ○山地政府委員 いまの検査院の計画に私どもといたしましても十分御協力しながら結論をうまく得ていきたい、かように考えております。
  163. 秋富公正

    秋富参考人 鉄道建設公団といたしましても、当然のことでございますが、会計検査院の作業に協力していく所存でございます。
  164. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それでは、運輸省並びに建設公団質問はこれで終わりまして、次に参ります。  一連の問題を取り上げてお伺いしようと思ったのですが、官房長官の時間がございますので、それは後にしまして、官房長官質問いたします。  一つは、不正経理の問題、それから贈答品問題、綱紀粛正とかいろいろ今回問題が続出しておるわけでございますが、公明党が先日以来党の調査に基づいて国会で取り上げました、高級官僚の自宅の電話料金を官費で負担しておるというような問題であるとか、公務員をやめているにもかかわらず官舎に住んでおるとかいうような目に余る実態が明らかにされ、それらの予算の措置の問題に関しても、自宅の電話代、こういうものについては年間十九億円、こうした金額も明らかにされて、予算上にも非常に問題があるということであるわけです。このような電話料金の官費負担または退職公務員の官舎居座りというような綱紀紊乱、このような事態を官房長官としてどう認識され受けとめられたのか。  それから、いま申し上げましたこういう問題を予算上から見ますと、今回の予算においても考え直さなければならない。これは予算ということになりますと、大蔵省原案がもう間近に出るわけでございまして、そういう中で国民の信託にこたえるために急いでやらなければならない内閣の責任であると思うのですけれども、その二点についてまずお伺いしたいと思います。
  165. 伊東正義

    伊東国務大臣 いま二つ御質問があったわけでございます。前者の方につきましては、第二次大平内閣発足以来、綱紀粛正ということは、いろいろな経済政策とかやります前に、もう政治の姿勢としてやらなければいかぬ。行政に対する国民の皆さんの不信というものが非常に大きくなっておりますので、綱紀粛正というものは大前提としてやらなければならぬということで取り組んだわけでございます。今後もそういうつもりでやってまいる決意でおります。  いま御指摘になりました自宅の電話を公費で負担している問題、退官して六カ月以上たっても公務員宿舎に入っていられるという問題、まさにこういうことは早速直すべきことじゃないか。それが少しでも国民の信頼をつないでいく一つ方法だということにかんがみまして、実はきのうの次官会議で早速申し合わせをいたしまして、公務員宿舎に不法に半年以上入っている人を早急に退去させる具体的な措置を講ずるよう、これは大蔵省が主体になって考えます。  それから電話の公費負担は、もうこれは来年というようなことを言っている必要はないので、やれることはすぐやろうということで、公費負担はもうやらない、どうしても外国へ外務省の人や何かが至急に公務上で電話をしなければならぬというような特別な場合につきましては、これは別途何らか考えていくことにしまして、原則として公費負担はしない、一月分からもうそういうふうにするということを、実はきのう次官会議で申し合わせたということでございます。  そういう御指摘の点、国民から見ておかしいなということは、改めるものは即刻改めていくという態度で取り組んでまいりたいと思っております。
  166. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それから、先ほど私指摘しました鉄道建設公団の事実関係、最終報告のスケジュールも発表されたわけでありますが、これの統廃合というようなことが報道されておりますし、また午前中、これからも議論になりますけれども、KDDの組織がえ、こういうことも話題になっております。また、住宅公団そのものをどうするかということについても話題になっております。こうした一つは行政改革という問題に対して、官房長官の明確な答弁をいただきたいと思います。
  167. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど御質問のありました綱紀粛正とあわせて行財政の刷新ということは、これはどうしてもやらなければならぬということで、初閣議でも閣議決定をしたような次第でございます。  いま御質問の点は、行政改革の中の特殊法人に関することでございますが、党の方でも行財政調査会でやっております。政府では、内閣の中に行政管理庁長官が大蔵大臣と私と三人で三人委員会をつくろうじゃないかということで、実は三閣僚でひとつ行政管理庁長官の行政改革に取り組まれることをバックアップしようということでやっているわけでございます。十二月の十日までに各省から、特殊法人に対しましてどう考えるか、まあ中期的な三年くらいの計画を出してもらって、その中で五十五年はどうするかというような案を出してもらうことになっております。でございますので、いま具体的に名前をお挙げになりましたが、こういう問題をどういうふうに考えるかということは、各省から行政管理庁に十日までに実は案として出てくるわけでございまして、その内容になっているかどうかはいまつまびらかにしませんが、われわれとしては、この行政改革の問題については本当に誠意を持って取り組んでいこうというつもりでおります。いま御提示の鉄建公団あるいはKDDがどういう形で各省から行政管理庁の長官のところへ上がってまいりますか、これは十日までの期限で出していただきたいということにしているわけでございますので、いま、これ以上私の方で内容は承知しておりませんので、それで御勘弁を願いたいと思います。
  168. 林孝矩

    ○林(孝)委員 官房長官の時間が来たそうですけれども、もう一点お伺いしておきたいのです。  この決算委員会でずっと議論してきたことの中に検査院法の改正問題がありまして、それで大平総理出席のもとに総括質問をやったときも、この院法改正について、検査院側と内閣の側に受けとめ方の違いもこれあり、議論が百出したわけでございますけれども、最終的に、内閣によってこの検査院法をどうするかについては積極的に取り組んでいく、こういう形でその議論は終わっておるわけであります。それ以後、検査院の権限拡大というものが今日も非常に重要視されてきておるわけでありますけれども、院法の改正について内閣がどのような取り組みをしてきたかについては全く不明快でありまして、そのときの総理大臣答弁が疑われるような状態にありますので、官房長官にこの際見解を伺って、官房長官に対する質問を終わりたいと思います。
  169. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げます。  いま御質問の点は、六月何日か日は忘れましたが、この決算委員会大平総理が、会計検査院法の改正につきまして内閣でひとつ受けとめて検討しますという御答弁を申し上げておるわけでございます。その後、六月の十二日でございましたか、副長官が中心になりまして関係各省、検査院の方においで願って種々議論をしたのでございますが、なかなか結論が出ない。結論が出ないというのは、各省の方は自分の政策を助長し発展させようというようなことが、そういう検査範囲がいろいろ広まると忌避感が起きてなかなかうまくいかないんじゃないか、法律でなくても協力はできるからというような議論が各省から出まして、検査院と話し合いが合わぬで六月十二日の会合をやりまして、結論が出ないで実は終わっております。その後会合は開かれておらぬのでございますが、私、十一月に官房長官になったわけでございまして、まだ私になりましてから会合は実はやっておりません。やっておりませんが、いまおっしゃいましたように総理大臣は積極的な考えをここで述べられたのでございますし、私になりましてからひとつ新しい角度でこの問題とも取り組んでみようというふうに思っておりますので、きょうのところはまだ結論的なことを申し上げかねますが、ひとつこの問題と取り組んでみるというつもりでおりますので、それで御了承を願いたいと思います。
  170. 林孝矩

    ○林(孝)委員 では官房長官、退席していただいて結構でございます。  次に、住宅公団に関する問題についてお伺いいたします。日本住宅公団の子会社、いわゆる一〇〇%日本住宅公団の天下り先といってもいい株式会社団地サービスというところは、その社員が全員元住宅公団、こういうことですね。社長も元総裁、前総裁ですね。こういうことで非常に特殊な会社になっておるわけでございますが、この株式会社団地サービスに管理を任せている団地の駐車場の賃貸料の問題、これは不当に安く抑えられて、結果的には昨年度分だけで一億四千五百万円にも上る不労所得をこの団地サービスが得ている、この問題について、調査に基づいて質問したいと思うのです。  この株式会社団地サービスの駐車場についての問題はすでに会計検査院から指摘があったと思うわけでございますが、建設大臣あるいは公団総裁はその指摘を御存じかどうかお伺いいたします。
  171. 澤田悌

    澤田参考人 すでに会計検査院からその件については指摘されてございます。
  172. 林孝矩

    ○林(孝)委員 大臣どうですか。
  173. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 私はまだ具体的な話は聞いておりませんが……。
  174. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それでは会計検査院、当委員会においてこの指摘の内容の概略を明らかにしていただきたいと思います。
  175. 肥後昭一

    ○肥後会計検査院説明員 では、内容を御説明申し上げます。  有料駐車場敷地の貸し付けについての措置要求の内容でございますが、日本住宅公団が団地サービスに貸し付けております駐車場敷地等約百十万平方メートル、この賃貸料年額十三億五千七百万円についてしたものでございます。この賃貸料の決定に関連しまして団地サービスが利用者から徴する利用料金を定めるわけでございますが、この算定基準は、公団が賃貸料のほかに団地サービスの費用等を見込んで定めておるわけでございまして、その費用の構成要素であります減価償却費、修繕費の見積額が過大であったために団地サービスの経営の実態と公団の算定の間に約一億四千五百万円の開差があった、そういう計算になります。しかし、一方、先ほどの賃貸料年額十三億五千七百万円を決定する際に公団が調整減していわゆる原価割れとなっておりますものが九千八百万円あること、それからこの賃貸料の古い団地の駐車場の分は、公団が家賃で団地建設のすべての原価を回収しておりますので、団地の環境整備に充てて住民に還元することになっているものでございますが、その財源の確保がますます必要である、こういうことを考慮すれば、この際規定を整備して賃貸料の適正を図る要がある、こういうものでございます。
  176. 林孝矩

    ○林(孝)委員 建設大臣、大体おわかりになったでしょうか、いまの御説明で。  さらに詳しく質問していきますが、この駐車場の形態として住宅用地賃貸方式と施設賃貸方式、この二つがありますが、これはそれぞれどういう方式になっておるのか、内容について説明を願いたい。また、その賃貸契約によって確保されている駐車場以外に団地サービスが独自で設置している駐車場がある。これは全く水増しということになるわけでございますが、その事実があるかどうか、この点をお願いいたします。
  177. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 お答え申し上げます。  団地を建設いたしまして当初から駐車場の計画がなされてない場合におきまして、全体が住宅用地でなされております。その後計画した場合のものが、その住宅用地の中から駐車場用地として団地サービスに貸しておるものでございます。これは三十九年から始めましたものでございますが、古いものは一台当たり三百円、なお四十五年以降改められまして、一台当たり六百円、こうして貸しているものが住宅用地の駐車場というものでございます。  それから、当初から駐車場を計画していく団地がございます。こういうものにつきましては、施設用地といたしまして初めから住宅用地から分離いたしまして、施設用地を団地サービスに貸しまして、団地サービスが駐車場を整備いたしまして貸している、そういうものがございます。  またもう一つ、当初から用地はもちろん別建てでございますが、その上に公団におきまして駐車場を建設いたしまして団地サービスに貸しているもの、こういうような種類のもの三種類がございます。  それから、第二点のお尋ねの台数の件でございますけれども、公団と団地サービスの間におきましては、それぞれ計画に基づきまして契約台数というものがございます。ただ、実際に整備されたときに、なおその計画台数のほかに多少余裕があるというふうなものがございまして、できるだけ駐車場を確保する観点から、可能な限り駐車場を設置しているというものが一部ございました。したがって、契約台数と可能台数が多少違うものがございましたが、この点につきましては、現在、公団では契約可能台数に改めまして、これでもって団地サービスから賃貸料を取っていくというふうにしております。
  178. 林孝矩

    ○林(孝)委員 大臣、いま説明がありましたように、この住宅用地の賃貸方式の駐車場、この場合に公団への賃貸料というのは一台分一律六百円、これが、その利用料金がどうなっているかと申しますと、最低千八百円から最高七千円になっておる。株式会社団地サービスは六百円の賃貸料を払うだけで、利用料金を取るのは千八百円から最高七千円。最高の場合だと、たとえば西新井第二団地では七千円取られているわけです。最低の場合は横浜明神台団地、これは一例として挙げておるわけでありますが、これだけの格差があると同時に、賃貸料に比較して利用料金が余りにも高過ぎるのではないか、常識で考えてもわかると思うのですね。その利益を株式会社団地サービスが得ているわけです。  それから、施設賃貸方式の駐車場を見ますと、公団への賃貸料が平均二千九百円、その利用料金は最高一万七千円、これは王子五丁目団地、これも一例です。このように平均二千九百円のものが一万七千円になったり、六百円の賃貸料のものが最高七千円になる。これはもう非常に利益率の高い商売ですね。このようなことが実態としてある。  それからもう一つは、いまほとんど団地の駐車場は満杯状態で、あいてる駐車場がないというのが実態なんです。ですから、どうしてもこうした実態から考えると、片一方で利益が大き過ぎ、そして実態的にあいてる駐車場がない、満杯状態である、こういうことが現実なんです。大臣、これをよく御認識いただきたい。その上で、この問題に対して、いままでで大体の概要というものは大臣わかられたと思いますけれども、見解を伺っておきたいと思います。
  179. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 ただいまお話を承りました限りにおきましては相当開きがあるという感じがいたしますが、具体的には、私どももひとつよく調べまして十分事実をつかみたいというふうに思いますが、ただいまのお話を承っておりまして、相当開きがあるという感じは率直に私ども持っております。
  180. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それではずっと質疑を聞いていただきたいと思いますが、この住宅用地賃貸方式の駐車場が約三万四千四百八十七台分あるということになっております。この団地サービスヘの賃貸料は、先ほど申し上げましたように一台六百円。この算出根拠というものはどこにあるのかという点と、この駐車場部分の地代、これはすでに家賃の中に算入されておる、したがいまして、公団の二重取りという疑いもここから生まれてくるわけです。その点についてはどのように公団考えられておるか、お伺いしたい。
  181. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 先生おっしゃられますとおり、住宅用地として最初計画したものにつきましては住宅の方の地代に入っているわけでございますので、駐車場として貸している場合の団地サービスから住宅公団への収入につきましては、私ども団地の環境整備費に全額回しているところでございます。
  182. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その団地の環境整備費に回しておるというのは、どういう算定で行われていますか。
  183. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 住宅用地を駐車場に貸しているものの収入を全額、公団としまして団地環境整備費に回しまして、それぞれの団地につきましては、具体的にはどのようなものを整備したらいいかという団地の事情、これを実態に即しまして環境整備をしているわけでございます。
  184. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それは団地サービスという子会社を通してやっておるわけですか。
  185. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 これは公団が直接やっております。
  186. 林孝矩

    ○林(孝)委員 館ケ丘の団地がございますが、この駐車場のうち、施設賃貸方式の駐車場の公団からの賃貸料は幾らになっておりますか。
  187. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 館ケ丘団地の駐車場で施設用地で経営しているものにつきましては、公団からは三千円、利用料金は六千円でございます。
  188. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、約倍ということになりますね。  これは車の台数は何台分になっておりますか。
  189. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 二回にわたり計画をいたしておりますけれども、合計いたしまして二百五十九台でございます。  なお、いま御質問のございました賃貸料でございますが、私どもの方からの賃貸料と利用料金との差につきましては、これは私どもの方は用地を貸しているわけでございまして、団地サービスにおきまして舗装をしたりマークをしたり、それから水道とか光熱とか、そういったものをすべて含めて利用料金を算定していただいているわけでございます。
  190. 林孝矩

    ○林(孝)委員 合計何台分ですか。――言いましょう。四百四十二台分ある中で、施設賃貸方式は二百五十九台、これでよろしいですか。
  191. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 そのとおりでございます。
  192. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、四百四十二台のうちの二百五十九台が施設賃貸方式、それ以外は住宅用地賃貸方式、これが百八十三台、こうなりますね。
  193. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 そのとおりでございます。
  194. 林孝矩

    ○林(孝)委員 ここで一つの問題は、先ほど申し上げましたように、施設賃貸方式駐車場の場合は公団への賃貸料が二千九百円平均になっておるわけですが、住宅用地賃貸方式の場合は六百円。賃貸方式が違うものが、利用料金は六千円と同じになっているわけですね。そうしますと、住宅用地賃貸方式の場合は六百円のが六千円になり、施設賃貸方式の場合は二千九百円が六千円。団地サービスから公団に支払われる賃貸料は六百円と二千九百円というふうに違うにかかわらず、利用料金が同じだ。  このように株式会社団地サービスというところのやっていることというのは、内容が公益性のものであるにもかかわらず、言い方が極端かもわかりませんけれども、非常に不当な利益を上げておる。こういうようなことが今回の会計検査院の指摘となってあらわれた、私はそのように解釈をするわけです。これはもう具体的な問題として、会計検査院調査の上での指摘なんですが、この指摘に対して、建設省も住宅公団も、また株式会社団地サービスというのは一〇〇%人間は公団から来た人でありますけれども、資本金も三分の二は公団が出しておる、当然こうした検査院の指摘を受けて姿勢を改めて、同時に改革をしなければいかぬと思うわけです。その改革はやはり利用者、いわゆる団地に住んでいる人たちのために供する方向への改革、高過ぎるものはもっと安くしなければならない。これはもう東京を初めとして関東全域にわたってある駐車場が問題になっておるわけでございますから、その点についての大臣の決意とそれから住宅公団の決意、こういうものをこの際明確にしていただきたい。そのいかんによって私も徹底的に調査を進めていきたい、このように思うわけでございます。いかがでしょうか。
  195. 澤田悌

    澤田参考人 ただいま御指摘の問題は、先生が述べられましたようないろんな実情を調査の上で、その諸矛盾も是正するようにという意味の検査院の是正要求であろうと率直に受けとめております。したがいまして、団地サービスの利用料の決め方、公団の団地サービスに対する貸付料の決め方、すべてを含めまして今回の指摘を十分検討し、適正化を図るためにすでに検討を始めておるところでございます。御理解を願いたいと思います。
  196. 渡辺栄一

    ○渡辺国務大臣 ただいま総裁から申しましたように、制度全般の見直しを行って適正化を図るという考えを持っておるようでございますので、建設省といたしましても、会計検査院の要求の趣旨にかんがみまして公団を指導してまいりたい、かように考えております。
  197. 林孝矩

    ○林(孝)委員 ぜひお願いしたいです。  参考のために、こういう実態もあることを申し上げておきます。たとえば空車引当金というものがその利用料金の中に含まれておる。ところが、先ほど申し上げたように、実態的には空いている駐車場はないという実態。それにもかかわらずそうしたものが利用料金の中に入っておるとか、また自治会で駐車場を持っておるところの料金との差が、団地サービスでやっているところと比較すると余りにも開き過ぎておる。たとえば先ほど例に出しました館ケ丘の場合は、自治会のやっておる駐車場の場合は二千七百円、ところが団地サービスの場合は六千円、こんなに開きが出ているわけでございまして、こうした参考に申し上げました点もよく含んだ上で早急に改革をしていただきたいということを要望しておきます。  それから、住宅公団の中の一つの問題として起こっております経理上の事件でございますが、これはもうすでに司直の手が入っておるわけでございます。その内容についていろいろ調べてみますと、当然起こるべくして起こっている事件なんですね。それが一人の人間がいま悪者になっておりますけれども、そうではなしに、これも先ほどの鉄道建設公団と同じように、当然知るべき立場にある人が知らないという形になっております。建設省自体も、こういう形が行われているという問題に対して全然知らぬ存ぜぬで来ているわけですけれども、やはりそうした実態に対して今日まで目を向けてなかった、聞けば聞くほど非常にお粗末な行政の中身を知らされるわけでございます。  たとえばその実態の中で、一つの項目として、接待に使われるそういうお金の項目、これは茶菓代だとかいうようなものであったり、あるいは接待費、そういう項目で予算の中に設けられている。また会議費というものがあるわけです。それをずっと見てみますと、内容についても内部規定も非常にあいまいな状況なんです。たとえば事業共通費、住宅等建設費、宅地造成費、住宅管理費、空き地管理費、こうした款の予算の中に、節のところを見ますと各費用に全部会議費がありますね。それから、目があってその次の節の中に募集宣伝費、こういうものもある。ですから、接待費だとか会議費だとか募集宣伝費だとか雑費、交際費、こういういろいろな項目が、実態はそうした接待という形で使われているわけですね。これはやはり交通整理をする必要があるのではないか、こういう場合にこういうふうに使うのだと。そうすると、すでにそういうものは決まっておるという大蔵省の決め方の内容を見ると、どうとでも解釈できるような大まかなものであるわけですね。もっと一つ一つきめ細かい使い方、チェックできるような決め方、これが必要だと思う。ところが実態はそうはなっていない。と同時に、たとえば本人が接待するについて、請求書は本人のところへ来るわけです。ところが、自分が書類をつくって、自分が金を受け取って、請求は自分がするというシステムになっているから、その先のことはわからないわけですね、住宅公団。そうすると、だれと、どういうところで、どういう内容の話で接待をしたかという、そういう内容の報告書が来ればわかるわけですけれども、それが来ない。お金の出し入れば、ただそうした形式的な書類が総務部長決裁というところで最終的になる。その間にはいろいろなところに行くわけですけれども、わからないで判を押しているわけです。こういう経理の処理の仕方というところには、起こるべくしてそういう問題が起こるということがこの一つの大きなポイントじゃないか。  これは大蔵省にも一つの大きな原因があります、そのやり方にしても、監督の仕方、指導の仕方にしても。各省庁において庁費というのがありますね。庁費というものの使われ方というものについても同じことが言える。ですから、あいまいなそういうものがあって、それがチェックされないようなシステムの中で起こってきているわけですね。これはぜひともそういうところに改革のメスを入れてもらいたい。そうしなければ、何回も言うようですけれども、幾らでもこういうことが行われる。この点、いかがでしょうか。
  198. 澤田悌

    澤田参考人 会計処理上の問題といたしましては、ただいま御指摘の点が今回の経験にかんがみますと最も反省を要する点であったと思うわけでございます。規則のたてまえ上から申しますと、何段階かでチェックできるようになっておるのでありますが、それが十分機能しなかった。個人が幾ら有能な者であっても、それにそういう権限が集中しておるとか、それからその他の者のチェックの仕方が粗漏であるというようなことでは、大変会計の処理上は不当なわけでございます。その点について私どもも深く反省いたしまして、不祥事件調査再発防止委員会を早速設けて最も力を入れて研究し、直ちに実施いたしましたのは、そういうチェックシステムの点でございます。  その他、いろいろ具体的な防止対策を講じておりますが、その点、最も私ども反省を要するところとして対処している次第でございます。
  199. 林孝矩

    ○林(孝)委員 建設大臣、そうした改革が行われるとしても、予算がインチキであっても、また犯罪行為があって、とにかくそれだけの金が出ていったというのは、そういう財源があるということですね。それが果たして住宅公団としての目的の遂行に役立ってきたかというと、そうではなかった。ということは、建設省自体も建設行政の中でそうした予算のむだ遣いというものがあったわけです。予算の面から、こうした財政厳しい折なのでありますから、当然のこととして、そうした緊縮財政という中での予算組みというもののこういう接待に関するいろんな項目の使われ方、それをトータルすると非常に大きな金になるわけですね。これを削減するとか、予算の面でのそうした取り組みでこういう問題を防止していく。いまは一つのシステムという話でしたけれども、そういう点については、どのようにお考えでしょうか。
  200. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 予算の組み方の問題でございますが、いま先生からお話しのございました点は大変有益な御意見だと思いますけれども、会議費そのものはそれぞれの事業についているわけでございますから、会議費だけを別に組むというような予算の組み方はなかなか困難ではないかと思います。しかしながら、やはり会議費というものは節約しなければならないわけでございますから、それぞれの事業費の中に入っております会議費を厳重にチェックいたしまして、不当な支出があるとかあるいはむだな支出がないようなことを十分に検討してまいらなければならないと考えるわけでございまして、その点につきましては、公団に対しましても十分な指導をいたしたいと存じます。
  201. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この点についても会計検査院にお伺いしておきたいのです。  交際費あるいは会議費、こうした交際に関する費用、それからそれが会議費という形であるとか、先ほど申しましたいろんな項目が出ておる。こうした点に関して会計検査院としての御意見はどのように持たれておるか。
  202. 肥後昭一

    ○肥後会計検査院説明員 会計検査院としましては、従来余り事務費関係には力が割けないものですから、そこまでやる余裕がなかったわけでございますが、今回住宅公団の不正行為の問題につきましては、住宅公団の内部の職員の姿勢、それから内部牽制組織の不徹底、そういうような問題があるということがわかりましたので、今後は十分検査いたす所存でございます。
  203. 林孝矩

    ○林(孝)委員 これは建設省関係だけではありません。各省にわたってのことでございますので、時間をかけてもやはり解決していかなければならない、改革していかなければならない、こういう問題だと思います。  建設省並びに住宅公団質問をこれで終わりますので、退席していただいて結構です。  次に、もう時間がありませんけれども、午前中も議論されておりましたKDD事件に関してお伺いしたいと思います。  まず第一点は、KDDに対して非常によろしくないと思うのは、事件発覚してから今日に至るまでの経緯の中で、郵政省がKDDを指導するあるいは監督する、こういう範囲が一体どこまであるのかという点に疑問を持たざるを得ない。といいますのは、全くわかりやすい言葉で言えば、KDDになめられておる。郵政省の言うことをもう聞かない、そういう状況になっておる。こういう背景に何があるかという点について、今日問題になっておるKDDの政治献金であるとかあるいは政治家以外の官僚に対する接待であるとか、そうしたことが背景になっておるのではないかという大きな疑問を持っておるわけでございますが、郵政省がKDDに対してどのような権限と監督ができるかという点について、たとえばきょう問題になりました、KDD法の十五条を適用しろという同僚議員の質疑もありました。九条というのもあります。九条も十五条も全然今日まで適用されていない。KDDに対しては非常に弱腰といいますか、そういう状態にあるわけです。したがって、KDDはしたいほうだいのことをして今日に及んでおる、こう思うわけです。  そこで、今回の事件の発端となったいわゆる成田空港での十一月十四日の関税法、物品税法違反の三名の告発、この問題について、経緯を大蔵省にお伺いしたいと思います。
  204. 青木英世

    ○青木(英)政府委員 お答え申し上げます。  十月一日及び二日の日にKDDの社員の方々が外国から帰国されたわけでございますが、そのときに携帯されておった品物についての申告と、それから実際の私どもの検査とは違っておる。具体的に申しますと、無申告のものがございましたり、あるいは申告があったけれどもそれが低価であった、こういう事実が判明いたしましたので、調査が終了しましたこの三名の無申告分及び関税法百十七条、物品税法四十七条による両罰規定によりまして、KDDの会社もあわせて十一月十四日に東京地方検察庁に告発をした次第でございます。  なお、この調査の過程におきまして、これら三名の方々は過去にもそういうことをした違反の心証があること、及びこれら三名以外につきましても、かなりの人数の方につきましてそういう違反の心証がございますので、これらにつきましては、現在引き続き調査中でございます。
  205. 林孝矩

    ○林(孝)委員 時間がありませんので簡単にお伺いしますが、両罰規定でありますから、この関税法百十七条、物品税法四十七条の両罰規定を適用した。いわゆる本人も会社も告発した。そういうことでありますと、その犯罪行為の内容に、業務性あるいは社命というものが構成要件にあって、それで会社の社命で、あるいは業務としてそういう犯罪行為があった、こういう因果関係が明確であるということで告発されたと思うわけですね。それでよろしいですか。
  206. 青木英世

    ○青木(英)政府委員 お答えを申し上げます。  関税法の百十七条は、これらの法人の従業者等が犯則行為を行いました場合に、その犯則行為が法人の業務あるいは財産について行われたときにこの規定を適用するということで、これは、その法人に対しまして、そういった従業員を選任したことに対する一種の監督責任を問うておるという意味でございまして、したがいまして、会社の首脳部からこれらの人々に具体的な密輸の指示があったかどうか、これは別の問題でございまして、仮にそういう指示があったとすれば刑法の共犯の問題として取り扱っていく、こういうことになろうかと存ずる次第でございます。
  207. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それは今後の大きな問題になると私は思います。  それからそういう告発、いわゆる両罰規定でもって告発されたという重大な事件でございますから、当然、郵政省はKDDの決算においても、決算の細かい内容そのものまで目を通していないという答弁が十二月三日の衆議院予算委員会での答弁でありましたけれども、そういうような考え方ではいかぬのじゃないでしょうか。株主総会で了承された損益計算書であるとかあるいは貸借対照表が郵政省に報告される。それをまた細かいところまで目を通さなくてもいいとか、非常に緩慢な考え方でそういうものに対して盲判を押してきた郵政省があって初めて、いままで実態が明らかにされないで今日に来ておる。今後の問題として、こうした書類チェック、いわゆる株式会社でありますから、株主総会の承認を得ればそれでいいということであったとしても、内容、公共性という一つの問題、また今日、こうした事件が重大問題となっておる事態を認識すると、これからのKDDの報告書類は、今日、現行行われておるだけでいいのかどうか。それとも現行のチェックの仕方についても新たなチェックシステムというものを郵政省としても考えなきゃならないのではないか、この点をお伺いしたいと思います。
  208. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 お答えいたします。  現在の国際電信電話株式会社法に郵政大臣の監督権限というものが個々具体的に定められておるわけでございまして、ただいま御指摘の点に関して申し上げますならば、決算そのものが認可の対象になっておるのではございませんで、決算の結果生じました利益金の処分、このことが認可の対象となっておるわけでございます。この利益金の処分と申しますのは、先生御案内のとおり、株主への配当をその利益金の中からどういうふうに、どのぐらいの金額で出していくかという点が主になるわけでございます。そういう関連でいままで見ておったわけでございますが、御指摘のとおり、今回の事柄が起こりましたために、KDDに対しますわれわれの郵政省といたしましての監督のあり方というものにつきましても、現在検討を始めておるところでございまして、大臣からもその検討に際して、現行法の改正ということも含めていろいろな改善策を検討するようにという指示を受けておりまして、現在、鋭意検討を開始しておる、かような段階でございます。
  209. 林孝矩

    ○林(孝)委員 時間が参りましたので、これで終わります。
  210. 高田富之

    高田委員長 林君の質疑は終了いたしました。  次に、庄司幸助君。
  211. 庄司幸助

    庄司委員 最初に、郵政省の大臣にお願いしたいのですが、KDD問題に対する取り組みの郵政省の姿勢の問題に関連するわけですが、実は私、今回の質問に当たって資料要求を幾つかしたわけです。ところが、その資料が最終的に全部はそろっていませんが、きょうの会議が始まってから来たのもある、こういう状況なのです。これでは質問がなかなか準備できない状況もあるんですね。そういう点で、本委員会から、これは委員個人でありますが、質問者が資料請求をした場合は、総理の所信表明にもありますし、あなたの前々からの決意表明にもあるのですが、ぜひこの解明を積極的に進めるという立場でひとつ資料要求に応じていただきたい。このことをひとつ御希望申し上げるのですが、まずひとつ御返事を聞かしていただきたいと思います。
  212. 大西正男

    ○大西国務大臣 資料の提出について、委員個人としてどういう資料をお求めになられましたかは、私は一つ一つは存じませんが、国会の審議が円滑に行われますよう、政府といたしましても最大限の努力をいたすべきは当然であると思います。ただし、いま申し上げましたように、資料の中には行政機関として当然出していいものと、また出すことが直ちに許されないものといろいろあると思います。でございますから、これはそれらの中で委員会の正規の御要求があれは――一般的に申しますと、中にはいわゆる権限に属さないものもございますから、正規の御要求がございましたら、その節、それらに照らして処置をとりたいと思います。
  213. 庄司幸助

    庄司委員 少し具体的にしますけれども、実は、-おたくからきのう届いた資料とけさ届いた資料と、同じ資料で若干の食い違いがある。たとえば「KDDが設立された後郵政省から直接KDDへ就職した者」の氏名、これは「本省副参事官もしくは課長補佐クラス以上」、こうなっておりますが、きのうちょうだいした資料では合計二十名となっております。これはけさちょうだいした同じ資料ですね。きのうのものは数字しか入っておりませんから、けさは氏名を入れてもらったら十九名に減ってしまっている。こういう食い違いもあるんですね。だから私は、こんなものは別段理事会に諮ってもらわなければならないようなしろものじゃない、こう思っているんですよ。だからおたくも出した。だが、それさえ朝と晩では一名食い違う、こういう事態もあるのです。  それからもう一つは、この「KDDに対する許認可の実績」、これは五十三年度から五十四年まで資料要求しました。これなんかは何の秘密もあるはずはないので、当然に出す筋合いだと思って要求したら、五十三年度九十二件で、五十四年度三十八件、それでいろいろ書いてあります。「附帯業務一件」とか役員の選任が一件であるとか「利益金処分」が二件であるとかいろいろ出ています。出ていますが、私が求めたのは、たとえば「通信回線の設定及びケーブル建設保守協定の締結等」四十七件、これは五十三年度です。それから「料金提供条件及び業務の委託等」二十九件とかとあるのです。これはどういう許認可をしたのか、年月日ごとに出してほしい、こういう要求をしたのですが、こういう簡単なものになっている。一括の資料しか来ない。  実は、私これを要求したのは、KDDに絡んでとかくのうわさのある郵政当局に対する接待の問題がいろいろ世上取りざたされておりますから、その会議あるいは認可行為があった日にちとおたくの会計上の会議費あるいは接待費あるいはKDDの接待費、こういうものを突き合わせないと接待の問題が、あるいはもう少し極言すればKDDと郵政省当局の癒着の実態が明確にならない。これでは大平総理の決意があだ花になるわけです。そういう点で求めたのですが、これさえ来ないのです。そういう点で質問を開始するに当たって冒頭に一言申し上げたわけで、こういうものぐらいはぜひ誠意を持って質問者に出していただきたい、このことを強く要望しておきます。  さて、本題に入らせていただきますが、最初、一般的な事項で検査院とそれから自治省なり警察庁なりに伺っていきたいと思うのです。  第一番目に検査院の問題で、先ほど来、検査院にはKDDを検査する法的権限がないんだというような印象を与えるような御答弁があって、検査院の権限強化を法律改正をやらなくちゃならないという議論があるのですが、私はその点ちょっと違うのです。検査院は検査院法の二十三条の五号、これでKDDの検査をすべきだと私は考えているわけです。この法文上、検査権限が明記されているもの、二十三条の五号ですが、これを何か法文上の根拠のない勝手な解釈で検査権限がないという解釈が行われているようでありますが、これはちょっとおかしいと思うのです。そういう点で、国が出資している法人がちょっと株を持ったからといってその相手を何でもすぐに検査するのがいいか悪いか、これはいろいろな面があると思いますけれども、しかし、それはあくまで二十三条五号の明文を踏まえて、該当するもののうちから検査院が十一条の三号で指定するかどうかの判断基準であって、権限そのものがないというのは不当だと私は思うのですが、この点、検査院いかがでございましょうか。
  214. 松尾恭一郎

    ○松尾会計検査院説明員 お答えいたします。  日本電信電話公社がKDDの株式を一〇%所有しております。会計検査院法二十三条第一項第五号の規定によりますと、「国又は公社資本金出資したものが更に出資しているものの会計」を検査するとなっておりまして、この規定の文言だけを見ますとKDDについても検査できるように見えるのでございますけれども、私ども、規定の趣旨からしまして本号の規定により検査することはできないんじゃないかと現在考えておるわけでございます。と申しますのは、この規定はもともと会計検査院が行う財政監督の一環としまして、出資があった場合にその出資の目的を確保する見地から、出資の目的に沿って事業が適正に運営されているかどうか、あるいは出資の効果が上がっているかどうかということを検査するための規定であると解釈しております。電電公社が株式を保有するに至った経緯もございますとおっしゃいましたけれども、その内容は単に業務上の協調性を保つとか安定株主のために株式を保有するというようなことでございまして、積極的にKDDに電電公社がある事業を推進するための原資を与えるとか、その意味から株式を持っているという内容ではないようでございます。したがいまして、このような場合に出資目的を確保するという見地からKDDを検査するという事実は事実的にはないわけでございますので、この規定を発動する、この規定を適用しまして検査をするというのは現在のところ適正ではないといま考えておるわけでございます。
  215. 庄司幸助

    庄司委員 会計検査院からKDDに天下った、いわゆる監査役になった方いらっしゃいますか。
  216. 松尾恭一郎

    ○松尾会計検査院説明員 検査院からそのような人が出たことはございません。
  217. 庄司幸助

    庄司委員 それでは、時間がありませんから会計検査院はこれくらいにします。  次に私は自治省にお伺いしたいんですが、一つは政治資金規正法の関係なんです。自治省選挙部編の改正政治資金規制法解説によりますと、政治資金規正法の二十二条の三の第二項で政治献金が禁止されている法人に該当するものとしてKDDを明記しているわけですね。これは百四十ページにありますが、「「国から資本金、基本金その他これらに準ずるものの出資又は拠出を受けている会社その他の法人」に該当するものを例示すると次のとおりである。」(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)(カ)とありまして「特殊会社」として「電源開発株式会社、国際電信電話株式会社」、こうなっているのです。ところが最近自治省はこれは間違っていたということでKDDの政治献金を認める考えのようなんですが、いつどうやって改めたのかということをお伺いしたいのです。どうも十一月の七日ごろ、つまりKDD事件が発覚してその辺で変わった、日にちが符節するようなんですが、その辺の経緯をひとつ御回答願いたいと思います。
  218. 大林勝臣

    ○大林政府委員 先ほどおっしゃいましたように、昭和五十年の選挙二法の大改正に際しまして、非常に急いで解説書を準備いたしたのでありますけれども、非常な混乱の中で準備いたしましたために、KDDにつきまして拾い誤りがございました。その後調べましたところでは、KDDには出資、金あるいは補助金等のお金が行ってないということがわかりましたので、早速現在訂正方を申し入れておるところでございます。非常に急ぎましたための整理ミスでございまして、御迷惑をおかけしましたことをおわび申し上げます。
  219. 庄司幸助

    庄司委員 それでは、解釈を変えたのはいつなんです。
  220. 大林勝臣

    ○大林政府委員 五十一年の春ごろ執筆を開始しまして、秋に出版をしたと聞いております。
  221. 庄司幸助

    庄司委員 そういうふうに解釈を変更したのは、ことしの十一月七日ごろでしょう。
  222. 大林勝臣

    ○大林政府委員 そういう意味の御質問でございましたか。  実は、この事件が起こりまして、外部から質疑がございました。それで、そのときに誤りに気づきまして、訂正方を申し入れているわけでございます。
  223. 庄司幸助

    庄司委員 私は、どうも会計検査院の答弁にしろ、いまの自治省の答弁にしろ、KDD事件が起こって世の中で大騒ぎになるとああいうふうな解釈が変わってくる問題、これはどうもおかしいのじゃないか、こう思っているのです。時間がありませんからこれだけにしますけれども、この点はひとつ申し上げておきたい。何か政治的な介入があったような感じもするわけです。  それから、警察庁にお伺いしますけれども、公職選挙法の関係なんです。KDDは、年間約五千万円の商品券を購入している、こう言われております。中でも、ことしの選挙前の八、九月に約二千万円購入した、こう言われております。その点で、この商品券の購入、これは郵政省や警察当局は確認しておられますか。それぞれお答え願いたいと思います。
  224. 塩飽得郎

    ○塩飽説明員 ただいま商品券のお話が出ましたけれども、御承知のとおり、先般捜索に着手して、その資料を現在分析し、鋭意捜査中でございまして、たびたび同じような回答で大変恐縮でございますけれども、その中身がどうであるかという捜査の内容につきましては、いまの時点で申し上げかねる次第でございます。
  225. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 郵政省といたしましては、承知いたしておりません。
  226. 庄司幸助

    庄司委員 これは、九月五日だったですか、前の逓信委員長に五十万円の商品券が贈られて、これはお返しになったと言われておりますが、どうもほかにも多数の政治家に贈られている可能性が強いわけです。そういう点で、購入した時期あるいは贈った時期から見て、これはいまのところお一人だけしかわかりませんが、選挙に関する寄付と言えるのではないかと思うわけです。それから、パーティー券の問題もありますが、これは八月中旬に、いまの小渕総務長官の「励ます会」のパーティー券百枚、二百万円分をKDDが買っている。これは、前橋で開かれる「励ます会」にKDDから百人も出席することはとうてい考えられないわけです。そういう点で、実質上の政治献金ではないか、その時期からいって当然選挙に関する寄付と見るべきだ、こう思うのですけれども、その辺は自治省はどうお考えですか。
  227. 大林勝臣

    ○大林政府委員 ただいま、KDDが商品券を贈りましたことに関する、選挙に関する寄付との関連の御質問でございますが、政治資金規正法、これは選挙に関しようが関しまいが禁止をしておりますが、先ほど申し上げましたように、KDDについては、国の出資金、基本金等が出ておりませんので、政治資金規正法の方よりも、むしろ、問題に取り上げられて御質問されておられますのは、公職選挙法の関係であろうかと思います。  公職選挙法の関係で申し上げますと、第百九十九条という条文がございます。百九十九条では、国の選挙に関しましては、国または公共企業体と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者は、当該選挙に関して寄付をしてはいけない、こういう趣旨のことが書かれてございます。したがいまして、問題となりますのは、一つはKDDと国あるいは公共企業体との関係が、ここにございますような請負その他特別な利益を伴う契約の当事者になっておるのかどうか。二つには、仰せになりましたように、当該選挙に関してなされたものであるかどうかということが問題になろうかと思います。選挙に関して寄付するということにつきましては、選挙に際して、選挙に関することを動機として行われるというふうな解釈が従来からとられておるところでありますけれども、確かに時期も一つの要素ではございますが、それ以外に、やはり選挙に関して寄付が行われたという事実関係が必要になってまいろうかと思います。
  228. 庄司幸助

    庄司委員 警察庁にお伺いしますけれども、KDDは、国の法律によって国際電気通信の独占的な地位が保障されているわけですね。明らかに特別の利益を伴う契約とも解される。そういう点で、百九十九条の趣旨からいって、まあ密輸の問題、これは密輸の疑いというよりはほぼ事実でありましょうし、あるいは政財界の贈収賄とかそういう角度、これもあるだろうと思いますが、公選法違反の角度から今度の事件を調べられる方向に持っていらっしゃるかどうか、これは警察庁ひとつ答弁してもらいたいと思うのです。
  229. 塩飽得郎

    ○塩飽説明員 現在は、御承知のとおり、関税法違反で捜査をしているところでございまして、将来どういうふうになるかという点につきましては、いまのところ何とも申し上げる時点ではございません。  ただ、新しい事実なりそういったことが出てまいった場合には、その時点で改めて判断をしてまいりたいと思います。
  230. 庄司幸助

    庄司委員 警察庁にもう一遍伺いますが、五千万円の商品券を買ったという事実とか、あるいはパーティー券の問題、こういうものは当然捕捉していらっしゃるだろうと思うのですが、その点いかがですか。
  231. 塩飽得郎

    ○塩飽説明員 ただいまの点は、捜査の内容に触れる問題でございますので、たびたび申し上げますように、申し上げかねる次第でございます。
  232. 庄司幸助

    庄司委員 警察庁にもう一つお伺いしたいのですが、実は当決算委員会でこの間参考人の要求をしたわけです。そうしたら、第一回目は、板野さんとか古池さんとかあるいは保田さん、それと佐藤陽一さん、これは国から金をもらっていないから出る必要がない、こういった趣旨で出席を拒否した。それから二回目にまた要求したら、今度は趣旨を変えて、古池会長は何か高齢な上に疲労が大分たまっているので出られないとか、体の都合になすってきた。それから板野さんも糖尿病か何か記憶に定かではありませんが、そういう病気を理由になさった。保田参与は会社に問い合わせたら所在不明だ、こういう返事が返ってきたわけです。それからあと、新聞によりますと、佐藤陽一前社長室長は、これもって所在不明だ、こういう状況なのです。私は、この間の日商岩井のグラマンの事件にしても、たびたび重要な証人に値する人物があのように奇怪な死を遂げる。島田三敬常務にしても警察庁は自殺だとおっしゃっておりますが、別な面では、「謀殺」という本なんか見ますと、他殺だという説もあるわけです。これまでの歴史の汚職事件の経過を見ましても、たびたび重要な証人がいわゆる消されているという表現を使っておりますが、こういう事態になっている。保田参与もよく政界に政治献金や、あるいは商品券をばらまいたり、贈り物をしたりした指揮をとった人だと言われているわけです。それから佐藤室長も同じような職務内容もあったようですが、こういう重要な、将来証人たり得る人が所在不明になっているという問題で大変心配しているのです。その点、警察庁は、これらの方々の身柄について十分確信を持って所在をつかんでいるのかどうか、これをひとつ御答弁願いたいと思うのです。
  233. 塩飽得郎

    ○塩飽説明員 いま何人かの人の名前が出ましたけれども、現在、関税法違反ということで捜査を始めたばかりの段階でございまして、所在云々とかそこら辺の問題につきましては、明らかにできる段階ではございません。ただ、捜査といいますと、私どもは巷間あれこれ報道されたり言われていることは承知しておりますけれども、証拠に基づいた事実を一つ一つ固めていきながら捜査を進めるというのが常道でございまして、警視庁が鋭意そのように捜査している最中でございますので、ただいまの件につきましては明確に御答弁をする段階ではないということで御了承いただきたいと思います。
  234. 庄司幸助

    庄司委員 私は、所在を明らかにして、場合によっては保護しなくちゃならない場合だってあるだろうと思うのですよ。そういう点で警察が所在不明であるというのでは、大体佐藤陽一社長室長などはこれまで浮かび上がった線からいったって明確に取り調べしなくちゃならない段階だろうと思うのですが、こういう人の所在を警察がつかんでいないのでは、いつどういうことがあるかわからない。そういう点で、私は、これらの所在を明確にしておいて、そして万々が一彼らに被害が及ばないようにする必要もあるのじゃないか、これは憶測の域は出ていませんけれども、この点を強く要望したいのですが、その辺はどうですか。
  235. 塩飽得郎

    ○塩飽説明員 新たな事態が出てまいれば、その時点でまた判断をしたいと思います。
  236. 庄司幸助

    庄司委員 次に、私は、郵政省のKDDに対する考え方についてひとつお伺いしたいのですが、これは週刊誌のサンデー毎日の記事なので、私も明確に本人と会って確めたわけではありませんけれども、ただ、大変憂慮すべきような発言があったように書いてあるのです。これはいま申し上げた「佐藤社長室長の全告白」という題ですが、この中でこういうことをおっしゃっている。   話が弾むと、佐藤氏は声をひそめて、驚くべき「構想」を話しはじめた。   チリのアジェンデ政権つぶしにITTが暗躍した話を例に、  「ITTの線を狙っていたんだ。僕もウチの海外事務所は、情報収集の仕事をやっていくべきと考えていた。そのための教育を始めた矢先なんです。外務省の出先はまるでダメ、商社は力はあるがすべての情報をもうけのために使う。じゃ、どこが国家のために情報収集するか。それをKDDがやるんだ。日本版ITT。社長室の中の審議室が核になるはずだった」 こう言っているのです。  それからもう一つは、これはもうまさに憲法違反もはなはだしい発言なんですが、「「今の日本に一番必要なのはクーデターですよ。共産党を非合法化して、キチンとやり直ししなければダメですよ」佐藤氏は真顔である。」こういうことをサンデー毎日の記者におくめんもなく話しているのがこの佐藤陽一前室長だ。これはもちろん雑誌とのインタビューでありますから、本人と会った話ではありませんけれども、私はこういう物の考え方がもしKDDの中核部にあったとすれば、きわめて重要な問題になる。そして、これは場合によっては通信の秘密も侵しかねないのです、情報収集ですから。こういうことにもなり得る。しかも議会制民主主義を踏みにじってクーデターをたくらむ、こういう人が実は郵政省から天下った佐藤陽一さんなんです。しかもこの方は郵政省におられたころは、何か大臣官房課の企画室というのですか、私正確には覚えていませんが、そこの御出身だ。そこからKDDに真っすぐにお入りになった。その点、私は、これは雑誌の記事だと言って軽々しく見過すわけきはいかないのじゃないか。郵政省当局は当然このことの真偽について、これは公衆電気通信法の通信秘密の問題にも絡みますし、またKDD法にも絡む問題ですし、皆さん方の監督の問題にも絡む問題なんですから、真偽のほどをお調べになってしかるべきだ、こういうふうに思うのですが、この点で郵政省がお調べになったかどうか、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  237. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 ただいま御指摘になりました雑誌の記事がどういう内容であるかについては全く承知をいたしておらないところでございまして、その佐藤前室長が語ったと伝えられることにつきまして、私ども、一々それがどういうことかという調査をするということは考えておりません。  なお、通信の秘密という点についての御指摘がございましたが、通信という大変大事なものを扱っております電電公社にいたしましてもあるいは国際電電にいたしましても、法律によりまして通信の秘密を守るということは厳重に義務づけられておるところでございまして、その辺は万遺漏ないことを確信いたしておる次第でございます。
  238. 庄司幸助

    庄司委員 大臣、これはあなたが監督すべき会社なんです。しかも日本の国際電気通信を一手に引き受けている独占企業です。その独占企業の社長室の中核にいる人がこういう発言をやった。事の真偽ぐらい確かめるのが私は監査官庁として当然じゃないかと思うのですよ。いまの寺島さんのお話のように調べる気もない。これは後で事が起こってから大騒ぎしたんじゃ遅いんです。だから大臣、こういう重大な問題はやはり調べる必要がある、こう思うのですが、いかがでございますか。これは大臣から答弁してください。
  239. 大西正男

    ○大西国務大臣 いまの問題は、いま監理官から申し上げたとおりでございます。
  240. 庄司幸助

    庄司委員 私は、委員長にも申し上げたいのですが、こういうこともあるから、佐藤陽一氏も含めた参考人でどうしても出ていただきたかったのですが、こういう点、大臣は全然調べる気もない、寺島さんもそうおっしゃった、そうなればやはり証人でここへ来てもらう、こういうことが必要だと思うのです。この点、後で理事会でひとつお諮り願いたいと思うのです。
  241. 高田富之

    高田委員長 先般も理事会で諮っておりまして、まだ懸案になっておるわけですから、引き続き理事会で検討いたします。
  242. 庄司幸助

    庄司委員 次に私は、郵政省が接待されたという問題、これをお伺いしたいのです。  その前にちょっと伺っておきますが、郵政省の監督上の問題でKDDの交際費の問題。これは寺島さんに伺いますけれども、五十三年度に利益金処分の認可を二回行っておりますね。五十四年の六月に五十三年度の交際費は一億四千三百万円と比較明細書を出されたそうでありますが、実際は交際費は二十二億三千八百万円だった、こういう実態があると思うのです。ところが郵政省は一億四千三百万円に基づいて五十三年度の利益金処分を認可したわけですが、これはどういうことなのか、ひとつ御説明願いたいと思うのです。
  243. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 先生御案内のとおり、会社法におきまして郵政大臣の認可の対象となっておりますのは利益金の処分でございます。この利益金の処分と申しますのは、会社が商法その他関係法令に基づきまして株式会社として監査役の監査あるいは公認会計士の監査等を経まして確定をいたしました決算、それに基づきまして生じました利益金をどう処分するかという問題でございます。この処分、具体的に申し上げますと株主への配当の問題が主でございますが、この株主への配当という、いわば会社の利益金が社外へ流出していく金、これをどうするのがKDDという非常に公益性の高い会社として適切であるかという観点からこの利益金処分の認可をいたしておるわけでございます。したがいまして、決算そのものが認可対象になっておるわけではございませんので、決算そのものを詳細に見るということはいたしておりません。ただ、利益金の出てくる根源は決算にあるわけでございますので、貸借対照表、損益計算書といったものにつきまして、会社の財務内容等につきましてこれを把握をするという努力はいたしておるわけでございます。  そこで、御指摘の交際費の点でございますが、会社の経理上の一つの区分として交際費という項目がございます。これに計上されておりますのは御指摘の一億何千万という数字でございます。それからいま一つ、昨年度におきまして二十二億円余と言われております交際費、これはいわゆる税務上の交際費的なものと申しますか、課税対象にならないのではなくて、会社上の損費として認められない額、いわゆる交際費的なものが二十二億何がしあったということでございまして、この額がどれだけであったかということは、従来の利益金処分の認可に当たります審査の過程では特にその点を注視して審査をいたしたことはない、かようなことでございます。
  244. 庄司幸助

    庄司委員 そういう点で税務上の決算と郵政省に出す数字が違う、そうやって比較明細書では実質上は二十億円以上違って出されてくる。これで果たして利益金が妥当なのかどうか。利用者から見れば、そういう交際費をこんなにむだ遣いされておれたちはこんなに高い金を払わせられる、これはまことに不当なことなんです。こういうことが平然とまかり通っているところに郵政省の監督上の問題が問われなければならない、私はこう思うのです。  時間もありませんから私は余りくどくは聞きませんけれども、こういうでたらめな決算、しかも使途不明金なんというのは平気で出てくる。「交際費の内訳」の中で、交際費、雑費、上から三番目に使途不明金、こう仕分けされて、使途不明金は五十四年度で二千万円、五十三年度で二千七百万円になっている。こんな使途不明金が堂々とまかり通るような会社の経理状況ですね、これで利益金の処分が簡単に認可されていく、ここに国民は一番疑惑を感ずるわけなんですよ。これからどういうふうに具体的にこういった問題を是正していくのか、この点ひとつ大臣から答えてもらいたいのです。
  245. 大西正男

    ○大西国務大臣 KDDが今日告発を受け、引き続き強制捜査を受けるようなこういう事態を招いておりますことは、まことに遺憾にたえないことでございます。したがいまして、従来の監督のあり方、さらにはそれに関連いたしまして法の改正まで進まなければならないのではないか、そういった点を含めていま鋭意事務当局に検討させておるところでございます。
  246. 庄司幸助

    庄司委員 私は、そういうずさんなやり方がまかり通っている問題で、何も法改正しなくたってやる気になればやれるはずだった、その点でやはり郵政当局とKDDの間に何かただならぬものがあるんではないか、こういうふうに思うのです。  そこで私は若干申し上げてみたいのですが、たとえば十月二十九日の朝日に出ているわけですが、われわれ新宿のコマ劇場なんか徘徊はしませんからあの辺の地理に詳しいわけじゃないのですが、歌舞伎町の日本料理店で、何か「郵政省幹部たかる 宴会再三・ツケ回し」、こういう見出しで出ています。この事例は、一軒で十三万七千四百七十円使った。その内訳ですが、「¥一〇〇、〇〇〇はKDD社長室診議室」、名前は消されておりますが「何とか課長様たてかえ 残額は(三七、四七〇)」ですが、「郵政省の」名前が消されて「何とか様あてに送って下さい」「客数八 部屋名十五」みたいに見えます。それでマル貸となっております。こういうものが写真入りで出るのですね。これに対する官房長の話では、耳にしてない、戸惑っている。こういうお返事だそうです。  一方、同じ店で昨年末に郵政省は通産省の官僚を接待した。四人で九万三百十円だ。この費用の処理についても、郵政省の担当官はこう言っているんですね。「このままでは会計検査院の手前もあり、とても処理できないから『〇〇会議、料理一式』として出席人数を水増しした請求書をつくってもらい、それに基づき会計文書で作成、処理した」。四人で九万三百十円、こういうことも紙上伝えられているわけです。火のないところに煙は立たない、そういう点で私はひとつ寺島さんにお伺いしたいのです。  これは東京新聞に出たのですが、十二月四日付ですか、あなたは、千代新とか環の名前も聞いたことない、千代新へは大臣のお伴をして一遍行ったことがある、こうおっしゃっていますね。十年ほど前だそうでありますが、十年前、千代新にいらしたとすれば、どなたが大臣のときだったか、これをちょっとお聞かせ願いたい。
  247. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 ただいま御指摘になりました新聞記事等を含めまして郵政省の問題につきましては、現在官房長を長といたします綱紀点検委員会というのができておりまして、そこで調査をいたしておりますので、その方からお答え申し上げます。  なお、後段の御指摘の新聞記事の点でございますが、私個人に関することでございますが、私は新聞記者の方に十数年前と申し上げたわけでございまして、その当時の大臣はすでに故人となられておるわけでございますので、お名前は御遠慮させていただきたいと思います。
  248. 庄司幸助

    庄司委員 時間がありませんから次に移りますけれども、私は、やはり郵政省官房長、徹底的に内部点検を強めないとだめだと思うのです。これは強く要望しておきます。  最後にお伺いしたいのは郵政省の物品購入の問題で、実は私が郵政省に資料要求をしてもらいました「三和物産K・K・との取引状況」これを拝見したら、昭和五十一年度本省分で二千五百六万四千八百円、五十二年度分で一千八百六万八千三百八十円、それから五十三年度分で千九百六十八万五百五十円。そのほか簡易保険郵便年金福祉事業団関係の実績では、四十九年から五十三年までで二億三千十一万五千円、これだけ三和物産から買っているわけです。  この中には電子式卓上計算機というのがあって、それぞれ五十一年百二十四万八千二百円とか、翌年は二百三十八万九千七百八十円、五十三年度は三百九十三万五千五百五十円、こういうものを買っておられるわけです。  この三和物産株式会社の登記簿をとって私が見たら、本店は東京都世田谷区粕谷四丁目の十九番の十四号、それで問題は役員に関する事項で、取締役中浦勉、取締役加藤六月、取締役加藤武徳、取締役門木和郎、同じく小山信三、植山裕右、こういうお名前が出て、代表取締役は中浦さんなんです。これは十一月八日現在の登記です。そうしますと、とかくのうわさが新聞にちょいちょい載る加藤六月代議士が取締役をなさっている会社だ。しかもお話を聞くと大して大きい会社じゃない、こう言われていますが、そういう会社から電算機――たとえば電算機だけでもいいのですが、これが買われている。これは随意契約だろうと言われているのですが、随意契約は、会計法規から言えば百六十万円以上は随意契約にする、あとは競争入札、物品納入の場合はこうなっています。これが随意契約かどうか私はよくわかりませんけれども、政治家が取締役をやっている会社に何か便宜供与をやっている感じがするわけです。その辺、物品納入に当たって随意契約なのかどうなのか、ひとつ御答弁願いたいと思うのです。
  249. 仲松次郎

    仲松説明員 お答えいたします。  資料の中の電子式卓上計算機は随意契約でございます。
  250. 庄司幸助

    庄司委員 なぜ随意契約なさるのですか。この二百三十八万九千七百八十円、それから三百九十三万五千五百五十円、分けて買ったとでも言うのですか。
  251. 仲松次郎

    仲松説明員 この調達の実績は、実は郵政本省に事務機器として購入したものでございまして、件数にしてはもっとたくさんと申しますか、各局から要望のあった機器につきまして細かく買っております。それを集計したのが百二十四万でございます。
  252. 庄司幸助

    庄司委員 割ったのかもしれませんけれども、私がもう一つ疑問に思うのは、こういう電卓ですね、電子卓上計算機。これは郵政省の関係だったらそれぞれの専門メーカーがたくさん取引しているはずですね。それが、小さいと言っては大変失礼になりますけれども、お話を聞くと、正確ではありませんが何か四、五人ぐらいしかいらっしゃらなかったと言われている会社ですね。そういうところからお買いにならなくたって、メーカーの指定業者から買えばもっともっと安く買えるはずだと私は思うのですよ。少なくとも手数料分くらいは安くなるはずだ。この辺にも私はむだがあると思うのです。  それから事業団関係なんかは布団みたいなものを大分買っているようでありますが、利用者備品であるとかあるいは家具類であるとか、いろいろあります。こういうものはそれぞれの所在地の地元の業者から買って地元の業者を潤す、こういう態度を貫く必要があると思うのです。その辺、三和物産の問題、非常に疑念を禁じ得ないのですが、ちょっと御答弁を願いたいと思うのです。
  253. 仲松次郎

    仲松説明員 ただいまの御指摘で三和物産との随意契約のやり方に問題があろうかと思いますけれども、郵政省としましては、必要とする物品につきましては、先ほど申しましたのは百六十万以下の場合でございますけれども、もう一つ銘柄指定というのがございます。各部局からこれこれの製品をという要望がございまして、私の方がここで買い入れたものはキャノン販売扱いのものでございます。ところが、キャノン販売株式会社の販売代理店として三和物産が委任されて、委任状とともにこの契約に参加しているわけでございます。  それから、もう一つの御指摘の直接メーカーから買い入れたらもっと安くなるのではないかということでございますけれども、私ども物品を買い入れる場合には、指名競争契約であってもあるいは随意契約でありましても、予定価格というのを積算するわけでございます。この予定価格の中には、実は販売手数料というのは入っておりません。したがいまして、仮にこの場合にメーカーでありますキャノンの方から買いましても予定価格は変わりませんので、購入価格は変わらないことになろうかと思います。
  254. 高田富之

    高田委員長 庄司君、時間を超過しておりますから……。
  255. 庄司幸助

    庄司委員 終わります。
  256. 高田富之

    高田委員長 庄司君の質疑は終了いたしました。  次に、永末英一君。
  257. 永末英一

    永末委員 いわゆるKDD事件が始まりましてから二カ月近くたっておるのでございますが、郵政省はこの事件について、この期間にどの点を調査をし、どういう点の報告を徴せられましたか、伺います。
  258. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 お答えいたします。  十月十三日にこのことが新聞報道されたわけでございます。その報道の内容が、成田空港におきます通関の際の過少申告あるいは無申告という問題、それに絡みまして家宅捜索等が行われたという記事でございましたので、直ちに報ずるところの事実関係につきまして会社側の責任者に報告を求めたわけでございます。その後いろいろな事柄につきましての新聞報道等がなされたわけでございまして、それらにつきまして会社側の責任者から報告を十月中二回ほど求めております。十月の下旬になりまして、会社側におきまして社長、副社長計三名の退陣という事態がございまして、会社側の経営が刷新をされたわけでございます。新しく古池会長が社長を兼任されることになったわけでございますが、古池新社長のもとでいろいろな改善策が立てられたわけでございまして、たとえば社長室の改組というようなことが行われたわけでございます。同時に、十一月八日に古池社長を長といたします経営刷新委員会というものができまして、この刷新委員会の中に四つの小委員会を設けまして、それぞれの部門におきましてこの事柄の調査並びに改善策を検討するという形でこれが進行されておりますので、郵政省といたしましては、経営刷新委員会の進行状況というものを督励をしながら、そこにおきまして判明をしました事項あるいは決まりました事項等につきまして報告を受けておる、こういう段階でございますが、まだ経営刷新委員会のやっております仕事そのものは完結をいたしておらない、かような段階でございます。
  259. 永末英一

    永末委員 お話を伺っておりますと、密輸事件が起こったのでというのですが、後はどういう点を郵政省は調査しているのか一つもわからぬ。KDDが刷新委員会をつくった、それは新聞に書いてあります。KDD事件というのは何なんですか。何だと心得て郵政省は――あなたのところは監督しなければならないことが法律に書いてあるわけでありますから、何を調査しなければいかぬと思っておるのですか。
  260. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 いわゆるKDD事件というものがどういう性格のものであるかということにつきましては、まだその全体が明らかになっておりませんので、こういうものであって、したがって原因がこういうところにあって、こういうところを正さなければならないということについて明確に申し上げる段階にはないわけでございますけれども、全体といたしまして、会社の経営姿勢と申しますか経営倫理と申しますか、そういったところが強く問われておる問題ではないかというふうに考えておるわけでございまして、そういう観点からいろいろな報告を求めておる、こういうことでございます。
  261. 永末英一

    永末委員 経営倫理が問われておるといって、どんな倫理が問われておると思っておるのですか。
  262. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 お答えいたします。  たとえば経理上のあり方というものが乱脈であったというふうなことがいろいろ報ぜられておるようでございますけれども、たとえば交際費ということについて申し上げますならば、KDDという非常に公共的な色彩の強い会社におきましては、株式会社と申しましても、やはり交際費の使い方等につきましては一定の節度というものを持って使うべきが当然と心得るわけでございまして、そういった節度というもの、あるいは合理的な範囲というものを越えておるのかどうか、もしそれが越えておって乱脈であるということになりますれば、それはまさに経営倫理あるいは経営姿勢にかかわる問題である、かように考えるわけでございます。
  263. 永末英一

    永末委員 あなたはいま交際費ということを言われましたが、それについてKDD内で設けられている経営刷新委員会が結論を出すまではわからぬというのですか。郵政省として、その交際費の使い方が、あなたの言葉を借りれば適当な規模を超えているかどうか判断がつかないというのですか。
  264. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 先ほどお答え申し上げましたKDDの経営刷新委員会の中の一つの部門に交際費等の問題を扱う小委員会がございます。ここでやっておりますことは、そういった、ただいまお答え申し上げました交際費の状況についての調査検討を行います。同時に、今後の交際費等に関します自粛改善策というものを立てておるわけでございまして、ここでの検討状況というものを督励をしながら報告を求めて判断をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  265. 永末英一

    永末委員 いままでのお話では、密輸というのがあった、それから経営倫理に欠けておる点がありはしないかということで、交際費について調べておるというのですが、ほかには何も考えないのですか。
  266. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 この問題に関しまして、先ほどお答え申し上げましたように、一つには会社側の経営姿勢と申しますか、そういった問題があろうかと思います。同時にまた、法律によりましてKDDを監督いたしております郵政省といたしまして、現在までの監督のやり方について問題はなかったか、そういう反省もございます。また、現行法の仕組みと、それからこういう事柄が起こりまして、KDDに対する国のコントロールと申しますか郵政省の監督がどうあるべきかということも一つの問題点であろうかと思うわけであります。そういう点につきまして大臣からもわれわれ事務当局に対しまして法改正を含めて検討するよう指示がおりておりまして、現在その検討に着手をいたしておる、かような事態でございます。
  267. 永末英一

    永末委員 利益金処分は郵政省が認可をいたすことになっておるようでございますが、KDDの利益金というのはどういうものですか。
  268. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 過去三年間について申し上げますならば、税引き後の当期の利益で申し上げますと、五十一年度におききまして九十一億円余、五十二年度におきまして九十二億円余、五十三年度におきまして九十七億円余でございます。
  269. 永末英一

    永末委員 KDDという会社は利益を出すための会社ですか。
  270. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 利益を追求することを本来の目的としておる会社ではございませんが、株式会社でございますので、株主の配当等もいたさねばならない、そういうことで一定の利益を結果として計上するということになっておるかと存じております。
  271. 永末英一

    永末委員 一定の利益、一定というのはどういう意味ですか。
  272. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 一定と申しましたのは、決算の結果確定をされた利益を得ておるという意味で申し上げたわけでございまして、たとえば一定の金額までの利益を上げてよろしいがそれ以上の利益を上げてはならないとか、そういう意味でお答え申したわけではございません。
  273. 永末英一

    永末委員 一定というその解釈はきわめてあいまいでございますが、九十億円余の利益が出ておって、なおかつ、先ほどのあなたのお話では、交際費について乱脈な使い方があるかもしれぬということを調査せざるを得ないような交際費の使い方である。普通の会社なら、交際費は利益隠しだということで税務署で否認をされますと利益金処分をしなければならぬ、こういうことになるわけです。それが何十億円もございますと、それは問題になるわけです。したがって、税引き後これこれの利益が出ました、それは配当しなければならぬ、こういうのでありますが、九十億円も利益が出だしたのはいつごろからですか。
  274. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、五十一年度におきまして九十一億円余の利益を生んでおるわけでございますが、その前年の五十年度は七十四億円余でございますから、御質問の九十億円を超えましたのは五十一年度以降でございます。
  275. 永末英一

    永末委員 これに乱費されておる交際費等の金額を合算すれば、優に百億円を上回る金が利益として残っておるということになります。こういう大きな利益が出ておる原因は何だと郵政省は考えておるのですか。
  276. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、KDDの収入と申しますのは、国際電気通信の電話とかあるいはテレックスとか電報とか、そういうものを御利用いただくお客様からいただきます料金が主でございます。したがいまして、こういったものの需要が伸びてまいりますならば収入が上がるわけでございまして、収入と支出の差から利益というものが生ずることは言うまでもないわけでございますけれども、こういった利益を計上してまいりましたのは、一番大きな原因は日本の国際化と申しますか、そういった諸活動の活発化に伴います業務の利用増によるもの、かように考えておるわけでございます。
  277. 永末英一

    永末委員 昭和四十八年以来、日本の円がドルに対して値打ちが上がってまいりまして、円高現象が生じておる。ところが、KDDの日本国内で円で払う場合の価格がずっと変えられずにきておる。したがって、アメリカでドルで支払う場合、円で支払う場合に明らかに価格差が出ておるということで、もっと料金を安くすべきではないかという運動がユーザー側に起こって、一連のいろいろないきさつがあったと私は承知いたしております。いまのあなたの説明によりますと、もうけたのから使ったのを引いたのが利益だ。そんなことはあたりまえのことです。そんなことを聞いているのではありません。それが原因ではないのですか。為替の問題がこの間に原因しておると私は見ておりますが、いかがですか。
  278. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 昨年あるいは一昨年の後半からと思いますけれども、いわゆる円高という問題が出てまいりまして、それに伴いまして円高差益ということが論議をされたわけでございます。KDDにおきましてもその円高差益があるのではないか、あるならば、それは当然に利用者に還元をすべきではないか、こういう御議論があったことは先生承知のとおりかと存じます。ただ、KDDの場合には、為替変動によります円高差益と申しますのは、外国の通信業者との決済が発着信の差によって行われますので、その発着信の差によって支払い勘定に回るか、受取勘定に回るかによっても得をする場合と損をする場合とございますが、為替変動によりまして円高差益を生じたことは事実でございます。ただ、この金額が五十二年度、五十三年度それぞれ数億程度でございまして、全体から見ますと金額的にそう大きなものではなかったわけでございます。  多少先走るようで恐縮でございますが、料金問題について申し上げますならば、そういった円高差益という問題が論議をされました。そしてまた、ただいま先生御指摘のように、いわゆる方向別の格差ということもまた指摘をされたわけでございます。アメリカへ日本からかける電話料と、そしてアメリカから日本へかける場合に、アメリカのドルで表示されております金額日本円に当時の為替レートで換算をいたしますならば日本の方が高いのではないかという論議がございました。これは私ども、方向別格差と呼んでおりますが、こういう問題もございました。そしてまた、先ほど来御指摘のKDDの経済全体が好調で相当の利益が上がっておるのではないかという御指摘もあったわけでございます。  そこで、郵政省といたしましては、そういった要素を総合的に考え、さらにKDDといたしまして将来とも国際通信業務というものを良好な水準で安定的に維持していかなければならないという責務を持っておるわけでございますから、そういうものもあわせ考えまして料金問題を早急に検討するように、昨年来郵政省といたしましては指導を重ねてきたところでございます。
  279. 永末英一

    永末委員 すでにおととしからそういう問題が起こっており、そして郵政省はそのことをいろいろと検討し、国会でも問題になり、そしてなおかつ最近まで値段を下げずにがんばってきておる、この間にいろいろな現象が起こっておる。なぜ今度急に下げたのですか。
  280. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 ただいまお答えを申し上げましたように、郵政省といたしましては、昨年来この料金問題についての検討方をKDDに対しまして強く指導を重ねてきたわけでございますが、なかなか返事が参りませんで、ようやくKDDの検討結果がまとまりまして去る十一月二十日に認可申請がなされ、これを郵政省といたしまして十一月三十一日に認可いたしまして、十二月一日から実施の運びとなった。したがいまして、突然出てきたのではなくて、長い間指導し、要請してきたことがやっと実を結んだ、私どもはかように考えておるわけでございます。
  281. 永末英一

    永末委員 板野社長がいた間はやれなかったが、板野社長がやめたらできた、こういうことですね。
  282. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 私ども、組織体としてのKDDにこの問題について指導を重ねておったわけでございまして、その間、KDDの検討過程におきまして、たとえばだれが賛成的であり、だれが反対的であったというようなことについては承知いたしておりません。
  283. 永末英一

    永末委員 承知いたしてないと言っても、経過があなたの言うた経過をたどれば時間的にはそうなっておるということを申しておるのである。強く指導してきたというのですから、すでに郵政省としては値段を下げるべき状態になっておるという判定をしておったに違いない。それはいつからしておったのですか。
  284. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 昨年来いたしておりました。
  285. 永末英一

    永末委員 昨年のいつごろからですか。
  286. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 手元にいま資料がございませんが、昨年の春ごろからと考えております。
  287. 永末英一

    永末委員 五十三年四月二十一日に経済対策閣僚会議で「国際電信電話料金について通貨変動による影響とそれに伴う料金改定について検討する。」ということが決定されておる。昨年の春からです。春以前に問題があるから、経済対策閣僚会議で四月二十一日に来たのじゃないですか。そうじゃないですか。全然問題がないのに経済対策閣僚会議でぽかっとこういうことが決まりますか。はっきり答えてください。
  288. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 ただいま御指摘のとおり、昨年の四月に経済対策閣僚会議が行われて、御指摘のようなことがあったことは承知をいたしております。KDDに対します指導というのもその辺からずっとなされておったものと考えておるわけでございます。
  289. 永末英一

    永末委員 郵政大臣、監理官の返答がよくわからぬ。問題があって、いろいろ各省にも影響を及ぼしてくるようになっておるから、経済対策閣僚会議が持たれて、そこで国際電電の問題が取り上げられたというのが普通の考え方です。ところが、そのころからKDDに指導を開始したようなことを言っている。そんなことなら郵政省は、この料金問題がすでに問題となっておることはそれまで全然知らなかったということになるのですか。それは適切な態度だと思いますか。
  290. 大西正男

    ○大西国務大臣 私は、従来の経緯は全く知らないのですが、お話のように、経済対策閣僚会議というものが昨年の四月に開かれたについては、突如として開かれたものではないと思います。
  291. 永末英一

    永末委員 調べれば、だれども知っていることだ。それをあなたの方は、強く指導を開始したのが昨年の春以来、あたかもこの四月二十一日の閣僚会議以来だということであるならば、それまでに、ユーザーの協議会がその前の年の秋に設立をされて、いろいろな異議申し立てが来ておるという事実がありますね。そんなことは関係ないと言うのですか。
  292. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 ユーザーの方々からいろいろ料金についての御注文があるということは当然でございますし、またそういうこともあったと考えております。
  293. 永末英一

    永末委員 この社長室なるものが決栽の面で社長に直属をしたのはいつだと考えておりますか。
  294. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 失礼いたしました。KDDにおきまして社長室という組織が社長直属になりましたのは五十二年の中ごろと承知いたしております。
  295. 永末英一

    永末委員 五十二年の中ごろに社長室が社長直属になる前は、社長室のいろいろな決裁は副社長を経由して社長に上がっておった、ところが、それ以来副社長を経由せずして社長に直接行くようになった、こういうことですね。
  296. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 社長室直属になります前は副社長がこれを管理しておったというふうに承知いたしております。
  297. 永末英一

    永末委員 それから事件が起こっているわけです、いまいろいろと伝えられている事件が。  そういう形になって、あたかも社長室に関することが社長だけにしかわからない、いわゆるKDDという会社全体にはわからなくなってきておるという状態を見て、郵政省は、いい制度になったなと思っていたのですか。
  298. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 その当時、そういった組織の変更と申しますか、重役の担務の変更と申しますか、そういうことについての報告は参っておったと思いますが、そのとき先生御指摘のような感想であったかどうかはお答えしかねるわけでございますが、いずれにいたしましても、現在の私の感じとして申し上げることをお許しいただきますならば、社長室という組織、現実に社長室長は重役でもないわけでございますから、社長との間に担当重役がおらないというのはいかがかという感じを持っておる次第でございます。
  299. 永末英一

    永末委員 役員がそれぞれのKDDの部局を担任しておるシステムをとっている場合、あるところだけが社長直属になれば、制度としておかしくなったと考えるのはあたりまえである。いま考えればとあなたは言われたけれども、そう変わったときにそれに気がつかなかったですか、おかしいことが始まりつつあると。そのときにその社長室は何を事務分掌するかとらえておられましたか。
  300. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 お答え申し上げます。  組織の変更がございましたときにはKDDから報告が参っておりますが、社長室で取り扱う事務の内容がどういうふうになったかということにつきましては承知をいたしておらないところでございます。
  301. 永末英一

    永末委員 郵政大臣、あなたは新しいお方でございますから、その当時のことは知らぬには決まっておりますけれども、知らぬと言われてもしようがないかもしれませんが、そういうことを知らぬでいいのでしょうかね。新しいことをやり始める、いままで副社長がそれに対してきちっと責任を持つ体制になっておった、それが社長直属に変わってしまった、しかし、そこで何が所掌せられておるかは知らなくてもいいという郵政省の態度があったことをいま私は言うたのですが、そんなことでいいと思いますか。
  302. 大西正男

    ○大西国務大臣 従来の実情はそうだったということだと思います。  そこで、こういう事件が起こりまして、郵政省の監督のあり方というものがこのままでいいのかどうか、これを契機に再びこういう問題が再発をしないようにということで、いま私どもその方策について苦心をいたしておるところでございます。
  303. 永末英一

    永末委員 この社長室では社長の渉外関係国会対策とをやっておるわけです。そのほかでこんなことをやっているところがありましたか。
  304. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 あるいは御質問の意味を取り違えているかもしれませんが、そのほかでとおっしゃいます意味が、KDDの中で社長室以外でもそういうことをやっておったのかという御質問でございますならば、社長室の分掌がそうなっておりますれば、そのほかでやるということはないのではなかろうかというふうに考えます。  なお、ほかの会社でどうなのかという御質問でございますならば、承知をいたしておらないところでございます。
  305. 永末英一

    永末委員 私はKDDの質問をしておるので、ほかの会社のことを質問しておるのではございません。そういう事務分掌でやっており、そして、いま私が申しましたからそのとおりでありますが、それ以来、社長室が使っている金がきわめて多額になっておるわけです。その実情を把握しておられますか。
  306. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、現在、経営刷新委員会ができまして、過去の交際費のあり方につきましても社として調査をし、私どももその報告を求めておるわけでございますが、現在まだ調査中ということで、その辺の報告を聞いておらない段階でございます。
  307. 永末英一

    永末委員 大臣、事が始まってこれは二カ月もたって、まさにそこが焦点だとされ、そして当該責任者が姿をくらまし、病気と称して。郵政省は報告が来るまで全部を知らなくていいという態度で臨むのですか、どうですか。
  308. 大西正男

    ○大西国務大臣 そういう態度で臨みたくはないのでありますが、郵政省には強制権は何らございません。したがいまして、それには限度がございます。
  309. 永末英一

    永末委員 国際電信電話株式会社法の第十五条「郵政大臣は、会社に対し、公共の福祉を確保するため、その業務に関し必要な命令をすることができる。」第二項「郵政大臣は、この法律を施行するため必要な限度において、会社からその業務に関する報告を徴することができる。」――できるじゃありませんか。答弁。
  310. 大西正男

    ○大西国務大臣 この法律の条項のあることはもうすでに承知をいたしております。しかし、その条項に基づいていまいろいろと報告がある段階でございますので、それを現状のままでいま報告を求めつついっておるところでございます。
  311. 永末英一

    永末委員 強制権がございませんからやりませんというのは先ほどの答弁で、私は法律の指摘は知っておる、それに基づいてやっておる、どっちですか。
  312. 大西正男

    ○大西国務大臣 この条項の発動はまだいたしておりません。
  313. 永末英一

    永末委員 どうするのですか。先ほどあなたは、強制権がないからしない。しかし、全部がおかしいと思っていることについて、会社側がその全貌を明らかにするまではぼやっと待っているような態度で郵政省おるということは、郵政省もKDDも同じ穴のムジナだと国民から疑われたって答弁のしようがなくなるじゃありませんか。しかも、この法律があることを知っておりながら、それはまだ発動さしていない。それなら何のためにこんな法律があるのですか。どうしてそれを発動して、あなたの方は積極的に国民の立場に立って事態の解明を図らぬのですか。
  314. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 法十五条に、業務に関します命令権並びに報告聴取権が大臣に与えられていることは御指摘のとおりでございます。この件に関しましては、先ほど申し上げましたように、逐次報告を求めておるわけでございまして、その間、KDDの方といたしましても、まだ全体の調査が終了しておらない段階でございますけれども、逐次報告が参っておる段階でございます。ただ、私どもといたしましても、これで幾ら日時がかかってもそれでいいのだ、そういうふうに考えているわけではございません。そういうことを考え合わせますと、この法十五条の適用、特に報告聴取権を使わないというふうに決めておるわけではございませんで、そういう条項のあることも頭に置きながら、できるだけ早くこの調査を終了させ、その報告を求め、この事件の性格というものを明らかにして、適確な改善策を講じたい、こういう気持ちでございます。
  315. 永末英一

    永末委員 監理官、社長室はあのビルの何階でしたか。
  316. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 申しわけございません。存じておりません。
  317. 永末英一

    永末委員 この社長室に関しては、社長が社長室長の上におるわけでございます、直属でございますから。ほかの役員は知らぬというわけですね。会長も、知らぬと国会へ来て言うておりましたな。そうしますと、KDDというのは二つございましてね、板野社長室KDDというのと、ほかのKDDとある。そういう状態を郵政省は知らないでずっとやってきたのですか。
  318. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 先生御案内のとおり、KDDが設立されました経緯、そしてこのKDD法の趣旨というものが、これを民間会社、株式会社として設立をいたしまして、株式会社の持つ自主性、機動性といったような活力を十二分に生かすことが適当であるという政策判断で民営とされたものと考えておるわけでございます。しかし、同時に、大変に公共性の強い業務でございますので、それに対します一定の国のコントロールは必要である、その株式会社に対する国のコントロールがどの程度が適当かということの一つの調和点と申しますか、そういう形で構成されておるのが現在の会社法であると私どもは考えておるわけでございまして、従前その趣旨にのっとりながら監督をいたしてきた、こう考えておるわけでございます。
  319. 永末英一

    永末委員 その自主性を保つ方がいいということは秘密主義になり、そしてこれは企業の形そのものが独占でございますから、独占に隠れて、そうして勝手なことをやっておる、そして国民には高い料金を支払わしておる。こんなことを国民は許しませんよ。私がいままで申し上げましたところでも、いままでのKDDに対する監督について郵政省は欠けたる点があると私は思いますが、郵政大臣はそう思いませんか。
  320. 大西正男

    ○大西国務大臣 結果としてKDDがこういう事件を起こしておることにつきまして、現在のKDD法における監督のあり方というものが果たして妥当であったか妥当でなかったか、従来のあり方についても検討をいたしますとともに、なおかつ現状のままではなかなかそういうところまでは入っていけないということであるならば、この際、KDDがこういうことを起こしたことは間違いない事実でございますから、そういったことが再発をしないようにということについては、もちろんKDDにおける経営責任者の経営姿勢についても大いにこれを改革していかなければならぬ点でございましょうが、それによって経営倫理と申しますか、良識ある経営というものが内部的に行われなければならないのはもう当然でございますが、そのことを制度的に保障する必要もあるのではないかということで、いまこの法律を変えるべき点があるのかないのか、あればどうすればいいかということを含めて、鋭意検討しておるところでございます。  そこで、先ほどの十五条の問題にいたしましても、もちろん報告を求める権限はあるわけでございますが、それは報告を求める権限でございまして、事実そのものを郵政省が強制権をもって調べる何らの権限もない、こういうことでございます。
  321. 永末英一

    永末委員 いまあなたが言われたように、郵政省が犯罪の捜査当局やあるいは検察庁みたいに強制捜査権、そんなものがあるなんと言うてませんよ。この報告に基づいている行為すらしていないから聞いただけのことである。  そこで、もう正月が近いのです。ことし中に、少なくとも郵政省の責任において、こうこうこういうことがいわゆるKDDの問題であって、これこれはKDDの問題だ――私から見ておれは、郵政省がKDDに対する対処の仕方も反国民的だ、その辺の責任もやはり明らかにして、国民に一切を発表する、お約束をしてください。できますか。
  322. 大西正男

    ○大西国務大臣 KDDがいわゆる乱脈経理を行って、その結果、個々にどういう具体的な事実が起こっておるかということについては、報道機関、その他でいろいろ報道されておりますが、その事実関係を郵政省が全貌をつかむなどということは私どもの能力ではできないと思いますが、ただしかし、KDDのいわゆる乱脈経理、そしてその原因が経営陣の経営姿勢にあったということは、これは否めない事実だと私は考えております。  したがって、先ほども申し上げましたけれども、そのKDDの内部における経営姿勢というものを改めるための人的構成については、これまたKDD自身が考えてもらわなければならぬところでありますが、早くそういう布陣をしてもらえるようにということを期待をいたしておりますとともに、一方におきましては、先ほど来申し上げております制度的な問題としてとらえまして、これを法改正等においてもどういうように持っていったらいいかということを、いま鋭意検討している段階でございますが、この十日には政府として、例の行政改革の問題、それから綱紀粛正等の問題につきまして、行管庁を中心にして結論を出そうとしております。したがいまして、それまでに私たちもこのKDDに対する態度を明確にいたしたいと存じております。
  323. 永末英一

    永末委員 十日にはいま申されたような会議があるので、それまでに態度を明らかにしたい、しかと承りました。  時間がございませんので、郵便個人年金について聞いておきますが、郵政省はどれくらいの金を新しい制度をつくったときに集めて、何に運用しようとしているのか。そしてそれはいま簡易保険等で行われておる預金部資金に持っていって行われておる財政投融資との関係をどう考えておるのか、以上三点、お答え願いたい。
  324. 浅尾宏

    ○浅尾政府委員 現在考えております個人郵便年金の件でございますが、これは従来ございました郵便年金を衣がえいたしまして、時代の要請に合った年金に組みかえていこう、こういうことでございます。  時代の要請に合ったということは、ある程度の物価上昇にも対応できるような年金が支給できるようにしていきたい、こんなぐあいに思っておるわけでございますが、そのためにこの運用の問題が出てまいります。  そこで、そのための具体的な運用の方法でございますが、現在、簡保資金の新規資金が年間新規資金といたしまして二兆円ほどふえておりますが、そのうちの八〇%は財政投融資の資金に流れております。あと二〇%が契約者貸付あるいは公共事業の社債あるいはまた金融債、こういう点に運用をいたしておるわけでございますが、その運用範囲を拡大をいたしまして、電力、ガス等公共的な事業を営んでおります会社の株式を購入していきたい、こう考えております。それから二番目に、国債、機関債等の内国債を購入をしていきたい、こう考えております。三番目に、貸付信託だとか投資信託等の金銭の信託に投資をしていきたい。四番目には、国、特殊法人、地方公共団体の用、その他都市開発事業等の用に供するための建物と、それに必要な土地を確保していきたい。それから五番目に、銀行等の預金ということに運用の範囲を拡大をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  そこで、財政投融資とのかかわりでございますが、現在、新規資金が二兆と申しました。そのうちの八〇%が財投に回っておると申しましたけれども、いま具体的に申しました点に拡張するために、従来の八〇%を六〇%ぐらいにいたしまして、その二〇%分で、いま申しました点への具体的な運用をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。そういたしますと、二兆の二〇%でございますので四千億程度、こんなことに相なるわけでございますが、制度を実施いたしました当初、その程度の財投への協力というものがあるいは少なくなろうかと思いますけれども、新たに年金を始めますと、総体としての原資がふえてまいります。そう考えますと、絶対額としては財投への協力というものが少なくならないのではないか、かように考えておる次第でございます。  それから、もう一点申しますと、いま申しましたような運用範囲に二〇%を即座に充てていこう、こういうこともなかなかむずかしい問題があろうかと考えておりますので、その点につきましても、その辺を目標にしながら着実に進めてまいりたい、かように考えておる状況でございます。
  325. 永末英一

    永末委員 財投へ八〇%いっておるが、それが六〇%に減るかもしれぬ、しかし、資金を集めればそうならぬかもしれぬというような話ですが、財投を扱っておる大蔵省の方は、こういう制度ができた場合にはどういうことになるという見込みか、歓迎すべきものであるか、財投が回らなくなるのでいやだと考えておるのか、どっちなんですか。
  326. 楢崎泰昌

    楢崎説明員 ただいま郵政省の簡易保険局長から、郵政省の新種個人年金の構想につきまして御説明がございました。私ども、この新規の個人年金構想については幾つかの問題点があるというぐあいにまず考えております。  幾つかの点がございますが、第一は、やはり郵政省の御要求にあっておられる新種の個人年金事業につきましては、従来郵政省が郵便年金事業を行ってはおられましたけれども、昭和四十三年以降実際上募集を休止されておりまして、休止の状態にあった。それに対しまして、一方この種の個人年金につきまして生命保険会社が昭和三十年半ば以降、少しずつではございますけれども、この分野について営業をなすっておられる。そのために、このような新種の個人年金事業が行われた場合には、貯蓄性の強い個人年金でございますので、現在生保の実施しております個人年金事業あるいは各種預金事業に大きな影響を及ぼして、全体としての民間金融機関の資金調達市場に大きな支障を及ぼしてくるのではないかということが、まず第一に私ども心配をしている点でございます。  さらに、民間との競合ばかりでなくて、この種の年金事業というものは、民間と官業が競合する分野であるわけでございます。原則的にはこのような事業は、またこれは私的年金という性格を持っております。私的な生命保険会社あるいは民間金融機関にゆだねるのが至当じゃないか。またさらに、いま行政改革ということが問題にされておりますけれども、民間でできることは民間にということが一つ考え方ではないかというような基本的なことについてまず第一に問題があるのではないか、かように考えております。  また、第二点としましては、簡保局長は触れられませんでしたけれども、税制上の優遇措置が求められております。これについても、現在の財政事情のもとでは、なかなか政策税制の創設の余地は少ない、ないというぐあいに思っている面が第二でございます。  第三が、いま先生が申されました財投その他との関係でございます。私ども、国がお預かりしている資金、簡保資金は国民の資金をお預かりしているわけでございます。こういう資金は当然、たとえば簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律にも書いてございますが、「確実で有利な方法により、且つ公共の利益になるように運用」すべきことであるというぐあいにされているわけでございます。そういうような観点からいたしますと、国の信用をバックにしております簡保積立金が民間生保と同じような高利回りの運用を目指すのではなくて、むしろ公共の利益になるように運用すべきではないかということを基本的に考えておりまして、現在、民間銀行におきましても、その預金増加量の相当量を国債の引き受けに充てていただいているという現状のもとでは、国の資金であります簡保資金も財政投融資等を通じまして、公共的な資金運用に志向すべきではないか。特に株、土地というような運用というものは、キャピタルロスであるとか為替差損であるとかそういうものを生むおそれのある資産である。国民が国営企業に期待をしておりますのは、安全確実な資産の運用ではないか。国民の資産をこのようなものに運用することは、資金を預かる国の資金の運用としては問題があるのではないかというようなことを考えておりまして、現在、予算を御要求中でございますが、私どもとしては、なかなか御要望の線に沿えないな、そういうように考えている次第でございます。
  327. 永末英一

    永末委員 時間が参りましたので、論ずる余裕はございませんが、大西郵政大臣は、この実現にきわめて御熱心であると伝えられておりますが、大西大臣のお考えをひとつ承っておきたいと思います。
  328. 大西正男

    ○大西国務大臣 わが国は、御承知のように急速に高齢化社会へ入っているわけでございまして、今日、いろいろの国民に接する場合に、いろいろの場面で、これに対する国の施策に国民が非常に期待しているということは、お互いにそういうことをひしひしと感じておるところだと思います。  そこで、この避けがたい高齢化社会を迎えるにつきまして、国としても、もちろん公的年金というものはございますけれども、これまた、制度としては欧米各国に遜色のないものができ上がっておるわけでありますが、しかし、そこから現実に支給されるものは、必ずしも国民の満足を得ているとは、正直思えないと思います。そこで、高齢化社会に日本が向かっておるということは、われわれがそれを感ずると同時に、国民の皆さん自体がそれを感じておるわけでありまして、これに対する何らかの対策というものを国が打ち出してくれないだろうかということを、繰り返して申し上げますけれども、私ども、ひしひし感じておるわけでございます。そこで、その国民が求めておるものに対する答えの一環としてこういうものをやるということは、私は、やるべきではないかと思います。しかし、大蔵省からいまいろいろお話もございましたように、この問題がすんなりと通っていくとは考えておりませんけれども、そのために最大の努力をしたいと思っておるわけでございます。  そういうことでありまして、この年金のことが新聞に発表されましてから、先生方もごらんになっておられると思いますが、もちろん二、三の反対もございますけれども、大部分は国民の声としてこれをやってくれという声が非常に多い。毎日、新聞に出ている。また、私どものところへも直接そういう手紙も来ておりますが、そういうことでございますので、何とか国民の皆様の御期待に沿うように、この御期待に背かないように何とかしたいと考えておるところでございまして、どうか先生方の御理解ある御支援も得て実現を期したいと思っておるところでございます。よろしくお願いいたします。
  329. 永末英一

    永末委員 終わります。
  330. 高田富之

    高田委員長 永末君の質疑はこれで終了いたしました。  次回は、来る十一日火曜日午前十時三十分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十五分散会