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1979-12-03 第90回国会 衆議院 外務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十四年十一月二十六日)( 月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 のとおりである。    委員長 中尾 栄一君    理事 稲垣 実男君 理事 奥田 敬和君    理事 佐野 嘉吉君 理事 志賀  節君    理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君    理事 渡部 一郎君 理事 野間 友一君    理事 渡辺  朗君       石原慎太郎君    木村 俊夫君       鯨岡 兵輔君    栗原 祐幸君       小坂善太郎君    佐藤 一郎君       東家 嘉幸君    中川 一郎君       中山 正暉君    宮澤 喜一君       岡田 利春君    勝間田清一君       河上 民雄君    武藤 山治君       浅井 美幸君    玉城 栄一君       金子 満広君    榊  利夫君       林  保夫君    山口 敏夫君 ————————————————————— 昭和五十四年十二月三日(月曜日)     午後六時十六分開議  出席委員    委員長代理 理事 志賀  節君    理事 稲垣 実男君 理事 佐野 嘉吉君    理事 土井たか子君 理事 渡部 一郎君    理事 野間 友一君       麻生 太郎君    池田  淳君       石原慎太郎君    上草 義輝君       浦野 烋興君    大城 眞順君       鴨田利太郎君    鯨岡 兵輔君       栗原 祐幸君    小坂善太郎君       勝間田清一君    河上 民雄君       武藤 山治君    玉城 栄一君       森田 景一君    金子 満広君       榊  利夫君    林  保夫君       山口 敏夫君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大来佐武郎君  出席政府委員         外務政務次官  松本 十郎君         外務省欧亜局長 武藤 利昭君         外務省中近東ア         フリカ局長   千葉 一夫君         文部省学術国際         局長      篠澤 公平君  委員外出席者         外務大臣官房領         事移住部長   塚本 政雄君         外務省アジア局         外務参事官   渡辺 幸治君         外務省経済局次         長       羽澄 光彦君         外務省経済局外         務参事官    国広 道彦君         外務省経済協力         局外務参事官  西山 健彦君         外務省条約局外         務参事官    山田 中正君         外務省情報文化         局文化事業部外         務参事官    平岡 千之君         文部省学術国際         局ユネスコ国際         部長      仙石  敬君         食糧庁業務部輸         入課長     羽鳥  博君         海上保安庁警備         救難部長    野呂  隆君         外務委員会調査         室長      高杉 幹二君     ————————————— 委員の異動 十二月三日  辞任         補欠選任   木村 俊夫君     浦野 烋興君   佐藤 一郎君     鴨田利太郎君   東家 嘉幸君     麻生 太郎君   中川 一郎君     上草 義輝君   中山 正暉君     池田  淳君   宮澤 喜一君     大城 眞順君   浅井 美幸君     森田 景一君 同日  辞任         補欠選任   麻生 太郎君     東家 嘉幸君   池田  淳君     中山 正暉君   上草 義輝君     中川 一郎君   浦野 烋興君     木村 俊夫君   大城 眞順君     宮澤 喜一君   鴨田利太郎君     佐藤 一郎君   森田 景一君     浅井 美幸君     ————————————— 十一月二十七日  教育交流計画に関する日本国政府アメリカ合  衆国政府との間の協定締結について承認を求  めるの件(条約第一号)  北西大西洋漁業についての今後の多数国間の  協力に関する条約締結について承認を求める  の件(条約第二号)  千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦  貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第五次  延長に関する千九百七十九年の議定書締結に  ついて承認を求めるの件(条約第三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  教育交流計画に関する日本国政府アメリカ合  衆国政府との間の協定締結について承認を求  めるの件(条約第一号)  北西大西洋漁業についての今後の多数国間の  協力に関する条約締結について承認を求める  の件(条約第二号)  千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦  貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第五次  延長に関する千九百七十九年の議定書締結に  ついて承認を求めるの件(条約第三号)      ————◇—————
  2. 志賀節

    志賀委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が病気のため出席できませんので、委員長の指定により、私が委員長の職務を行います。  教育交流計画に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件、北西大西洋漁業についての今後の多数国間の協力に関する条約締結について承認を求めるの件及び千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第五次延長に関する千九百七十九年の議定書締結について承認を求めるの件、以上の三件を議題といたします。  まず、政府よりそれぞれ提案理由説明を聴取いたします。外務大臣大佐武郎君。     —————————————  教育交流計画に関する日本国政府アメリカ合   衆国政府との間の協定締結について承認を   求めるの件  北西大西洋漁業についての今後の多数国間の   協力に関する条約締結について承認を求め   るの件  千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦   貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第五   次延長に関する千九百七十九年の議定書の締   結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいま議題となりました三つ案件でございますが、まず第一に、教育交流計画に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  わが国米国との間では、従来、昭和三十三年一月十一日付の交換公文に従い、学生、教授等交流を主たる内容とする教育交流計画が実施されてきましたが、その経費は、米国政府の負担によるものでありました。しかるに、昭和五十二年九月に、米国政府は、今後は米国と英、西独、仏、豪州等との間の教育交流計画と同様に経費分担方式により本件計画を実施するため、新たな協定締結したい旨の提案をしてまいりました。政府は、教育分野交流促進することは両国国民間の相互理解の一層の増進に資するところ大であることを考慮して、本件計画名実とも両国共同の新たな事業として実施するとの前提で米国政府提案に応ずることとし、米国政府交渉を行いました。その結果、本年二月十五日に東京において、わが方園田外務大臣先方マンスフィールド駐日大使との間でこの協定の署名を行った次第であります。  この協定は、第八十七回国会及び第八十八回国会に提出されましたが、審議未了となったものであります。  この協定は、両国間の教育交流計画及びそれに関連する教育事業計画を実施するための日米教育委員会を設置すること、両国政府は、委員会年次予算案を共同して承認し、各自の予算の範囲内で五〇対五〇の割合による分担原則に基づき委員会に対する資金の拠出の義務を負うこと、委員会法人格を認められ、また、直接税を免除されること等を定めております。  この協定締結により、日米両国政府拠出による共同事業としての教育交流計画が安定した基礎の上に実施されることとなり、その結果、両国国民間の相互理解が一層促進されるとともに、両国間の友好協力関係が一層強化されるものと期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、北西大西洋漁業についての今後の多数国間の協力に関する条約締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  北西大西洋漁業資源保存及び最適利用のための国際的な協力は、昭和二十五年に発効し、わが国昭和四十五年に加入するところとなりました北西大西洋漁業に関する国際条約のもとで行われてまいりましたが、昭和五十一年に至り、北西大西洋沿岸国であるカナダ、デンマーク、フランス及びアメリカ合衆国条約対象水域において相次いで二百海里水域を設定する旨決定したため、これに対応した新しい条約が必要であるとの認識から交渉が行われた結果、昭和五十三年十月にオタワにおいてこの条約が採択されるに至りました。この条約は、昭和五十四年一月一日に効力を生じ、カナダ欧州経済共同体、ノルウェー、ソビエト連邦等締約国となっております。  この条約は、第八十七回国会及び第八十八回国会に提出されましたが、審議未了となったものであります。  この条約は、北西大西洋漁業資源保存及び最適利用促進すること並びに北西大西洋漁業資源に関する国際的な協力促進することを目的としており、総務理事会科学理事会漁業委員会及び事務局から成る北西大西洋漁業機関を設立し、科学的調査に係る協力促進、一定の水域について適用される漁業資源最適利用のための措置に関する提案採択等を行う旨規定しております。  わが国がこの条約締結することは、この条約の実施についてわが国の意見を反映せしめ、北西大西洋漁業資源保存及び最適利用のための国際的な協力に参加しつつわが国漁業の安定した発展を図る上で有意義であると考えられます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  次に、千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第五次延長に関する千九百七十九年の議定書締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  千九百七十一年の国際小麦協定は、本年六月三十日まで有効期間延長されていましたが、この議定書は、同協定有効期間をさらに二年間延長するものであり、本年三月ロンドンで開催された関係国政府間会議において採択されたものであります。  この議定書は、第八十七回国会及び第八十八回国会に提出されましたが審議未了となったものであります。  千九百七十一年の国際小麦協定は、小麦貿易規約食糧援助規約との二部から成っており、小麦貿易規約は、従前の国際小麦協定に比し、価格帯供給保証等のいわゆる経済条項を欠いておりますが、小麦の市況の安定化のため加盟国情報交換協議を行うこと等を規定し、食糧援助規約は、開発途上国に対する食糧援助について規定しております。この議定書は、この両規約の実質的な内容に変更を加えることなく、その有効期間をさらに二年間延長することを定めており、小麦貿易規約有効期間の第五次延長に関する千九百七十九年の議定書食糧援助規約有効期間の第五次延長に関する千九百七十九年の議定書との二部から成っております。  政府は、本年六月二十二日この議定書暫定的適用宣言を行いました。  この議定書締結することは、小麦貿易に関する国際協力促進が期待されること、開発途上国食糧問題の解決に貢献することとなること等の見地から、わが国にとり有益であると考えられます。なおわが国としては、食糧援助規約有効期間の第五次延長に関する千九百七十九年の議定書に基づく食糧援助を米または農業物資で行う方針であるので、同議定書にその旨の留保を付しました。  よって、ここにこの議定書締結について御承認を求める次第であります。  以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
  4. 志賀節

    志賀委員長代理 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  5. 志賀節

    志賀委員長代理 これより三件に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。
  6. 土井たか子

    土井委員 いまの御提案からすると順不同で御質問をいたします。  まず、千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第五次延長に関する議定書について質問をしたいと思います。  この議定書によりますと、一九八一年の六月末まで二年間延長されるということになるわけですが、この期間内にそれぞれの利害について言うならば一番問題になる調整は一体可能なのかどうなのか、この辺大変気がかりになるわけですが、一体その辺はいかが考えたらよろしゅうございますか。  それと、時間の制約がきょうは大変厳しゅうございますので続けますが、アメリカ以外については非常に大きな輸入国であるのが日本なんですね。日本としては、安定的な供給というのを確保するために有効な協定というのが当然望まれてしかるべきだと思うのですが、こういう協定についての成立の見通しはどうなのかというのもあわせて、先ほど御質問したことの中身と同時にお答えいただきたいと思います。
  7. 羽澄光彦

    羽澄説明員 お答えいたします。  いまの小麦協定の中で一番大きな問題になっておりますのは備蓄及び備蓄の運用をめぐります価格をどこに置くかという点でございますが、いま先生がおっしゃいましたように、この二年の間にその点について現在ございますような輸出国輸入国の間の非常に大きな見解の差異が果たしてまとまるかどうかということは、いま自信を持って必ずまとまるということは言いにくい状況にございます。しかしながら、先生もおっしゃいましたとおり、日本は非常に大きな輸入国でありますし、また、この協定小麦供給及び需要の状況の安定を通じまして開発途上国にも裨益するところが大であるということで、なるべく早く締結したいというように努力しております。  実際上には、この十月、小麦理事会におきまして現在までの問題点を整理してこれからどうやったら交渉が早くまとまるかということを討議したのでありますが、結論を得ませんで、引き続きまして明年の四月、また改めて会合を開きまして、交渉促進の方途を研究することになっております。わが国としては、輸入国及び開発途上国利益ということも考えまして、できるだけこの早期締結のために努力したいと、このように考えております。
  8. 土井たか子

    土井委員 いつも決まったような御答弁しか出てこないようでありますけれども、米国からの穀物供給取り決めでございますいわゆる安倍バッツ協定というのがございます。御承知のとおりに昨年期限切れになったことに従いまして、政府はこれにかわって長期協定締結アメリカ側に申し入れて、そしてアメリカ側から供給保証を取りつけたい考えというのが出されたようでございますけれども、こういう問題について日本アメリカ側との間で話し合いが進められているのでございますか、どうですか。
  9. 羽澄光彦

    羽澄説明員 お答えいたします。  日米間の穀物供給につきましては、五月の二日、日米共同声明の第十九項におきまして、協議をするということがうたわれております。これは例の安倍バッツの際のようにきわめて具体的な供給量などにつきまして約束をするというよりは、両国政府関係者間で協議を行うということをたてまえとしておりますが、対象とします品目としましては、小麦飼料穀物及び大豆、この三つが主なものになっております。共同声明のこの取り決めに基づきまして、本年の十一月一日、二日、東京におきまして米側日本側との協議がこの三品目を中心といたしまして行われた次第であります。そしてわれわれの考えとしては、このような協議を通じて日米間の穀物をめぐる貿易関係安定化を図っていきたい、こういうように考えておる次第でございます。
  10. 土井たか子

    土井委員 いま当面話題にいたしておりますアメリカというのは、世界最大穀物輸出国でございます。いまから申し上げることは少し政治的な意味も含みますから、ぜひとも大臣からの御答弁をお願い申し上げます。  そのアメリカは、ややもすると、この食糧という問題を戦略物資として外交上のパワーに用いようとする傾向が過去しばしばございました。かつてはわが国大豆の問題で非常に苦しんだという実情がございます。ソビエトの凶作による緊急輸入に際しまして、戦略的にいろいろ取りざたをされているということが最近問題としても出てまいっております。先般ソビエト戦闘部隊のキューバの駐留問題に関しまして、アメリカ議会の中では、ソビエトへの穀物輸出を中止すべきだといういわゆる経済制裁論というのが非常に出されて、論議が沸騰したやに私たちは聞いております。また近くはイランに対しまして、イランの紛争を契機としてアメリカの国内では食糧武器論がまた表面化をいたしまして、港湾労働者イラン向け食糧の荷受けを拒否するというふうな問題も出てまいっております。  現実食糧武器として使われるというふうなことが、いま申し上げたようにしばしばございますが、いましかし、よもやアメリカ政府が対イラン政策として食糧を戦略的に用いるということはないだろうと思っておりますけれども、外務大臣としてはこれについてどういうふうな見通しとどういうお考えをお持ちでいらっしゃるかをお伺いしたい。いかがでございますか。
  11. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいまの御質問でございますが、米国が第三国との関係において食糧輸出の問題をどのように扱うかということは、基本的には米国自身の問題でございまして、日本政府としてこれに注文をつける立場にはないと考えるわけでございます。  ちなみに、対イラン輸出については、米国内の一部に輸出を中止すべしという声があることは事実でございます。またお話しのように港湾のストライキといいますか、港湾労働者荷役拒否というようなことも起こっておるようでございますが、これまで私どもの方でアメリカ政府と話し合って得ております感触からいたしますと、政府当局としては食糧、農産物の対イラン輸出を中止するという考えはないものと判断いたしております。
  12. 土井たか子

    土井委員 しかし、外務大臣とされては、しばしばアメリカとしてはこの食糧武器論というのが、現に議会内でもいろいろと論議をされ、具体的にやはりそういう傾向が過去あったわけでありますから、こういうことに対しましてはどのように考えていらっしゃいますか。
  13. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 私も従来この問題について米国側の人々と話し合ったこともございますが、これは政府に入る前でございますので個人としての話でございますが、食糧政策手段あるいは国際的な制裁的な目的に使うことは最後の手段だ、アメリカ政府としてはこれをできるだけ避けたい。日本に対する大豆エンバーゴーの問題もございましたが、アメリカ側に言わせますと、これは大豆価格が急騰いたしまして、ある程度その急騰を抑えるという意味エンバーゴーをとった。しかし、多数のアメリカ政府関係者の中では、あの措置は誤りであった、やるべきでなかったということを後で言っておる人たちも多いわけでございまして、私ども、よほどのことがなければ食糧輸出をそういう目的に使うことはあり得ないだろうと考えておるわけでございます。
  14. 土井たか子

    土井委員 非常に楽観的な見方を外務大臣も展開されているわけでありますが、そうならばそうでまことに結構なんですけれども、なかなか実情からするとそうはいかないときがしばしばございます。  さて日本の場合、昨年の十月にこの委員会で第四次延長議定書について審議をしたという過去の経緯がございますが、その際に政府余剰米の処置について答弁をされております。どういう答弁かというと、対象になる数量をどういうふうに考えるか、それから用途として工業用輸出援助用飼料用のどれを選ぶか、財政措置をどうするか、そういう具体的な取り扱いを検討している段階であるからさらにこのことに対して詰めてみたいというふうな御答弁なんですが、その後この問題についてはどういうことになってまいりましたか。  そして余剰米輸出援助については前向きに検討されたのかどうなのか、その辺は現状はどういうことになっているのですか。
  15. 羽鳥博

    羽鳥説明員 お答えいたします。  過去に累積した過剰米につきましては、その有効利用保有経費の軽減を図ります観点から、本年度以降おおむね五年間の計画で、工業用輸出用及び飼料用への特別処理に着手したところでございます。この場合、輸出につきましてもその重要な用途の一つでありまして、伝統的な輸出国との関係等に十分配慮しながら積極的に活用したいと考えておるわけでございます。  本年度におきましては、これまでインドネシア、バングラデシュ、韓国等から引き合いがございまして、すでに玄米の量に換算いたしまして六十二万トンでございますが、その契約が成り立っております。  なお、こうした米の輸出に際しましては、主として三十年間の延べ払い方式を活用しておるわけでございますが、そのほか無償援助につきましても、KRの食糧援助日本米を用いる等、積極的に取り組んでおるところでございます。  以上でございます。
  16. 土井たか子

    土井委員 さらに、時間の方が大変気になるわけで、先を急ぎたいと思います。  北西大西洋漁業協力条約についてですが、この漁業条約によって、考えてまいりますと漁獲量配分を受けられる規制区域においては、わが国の場合、漁獲高というのが逐次増加はしているものの、きわめてこれは少ないわけですね。しかも今後配分を受ける場合には、実績を考慮に入れて配分されるということになるはずですから、その量は多くは期待できないという現状にございます。  一方、従来漁獲高の大部分を占めていた水域は、沿岸国の二百海里水域宣言に取り込まれてしまいまして、その水域内の漁獲についてはわが国の場合は二国間協定によって決められていく、そういう実情にもございます。  こういうことを種々考えてまいりますと、事漁獲量に関する限りではわが国にとってこの条約は余りメリットがないというふうな印象をまず受けるわけですが、特にこの条約締結するということに対してのメリットはどの辺にあるのでございますか。
  17. 国広道彦

    国広説明員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、この条約に言う規制区域のわが方の漁獲量はわずかではございますが、漁獲を実際に行っています以上、漁業資源保護国際協力に参加することは、それ自体必要なことと考えます。  また、現実漁業を行っております各漁船は、二百海里線の内外を一体として操業を行っておりますので、この漁獲地域における割り当て量がわずかでありましても、その量を確保しておくことは必要であります。  また、わが国は、米国カナダ等条約沿岸国と御指摘のとおりに二百海里水域内で二国間協定を結んでおりますが、こういう国際的な漁業資源保護の場においてわが国が積極的に協力しているということ自身が、このような二国間協定を円滑に結び、かつ円滑に運営するのに大変役立っていると思う次第でございます。  さらに、この条約には、東西を問わず世界主要漁業国がいずれも参加しておりますので、これらの国々と協力関係を維持することは、他の国際漁場におけるわが国利益を確保するにも大変役立つことと考えております。  以上でございます。
  18. 土井たか子

    土井委員 いま世界主要国が参加していると言われましたが、日本が最も主要国だと考えているアメリカが入ってないですね。アメリカは、たしか一九七六年だったでしょうか、脱退したままでこの条約には署名をしていないというふうに私は記憶をいたしております。アメリカがこの条約に対しまして加入がおくれているという理由はどの辺にあるのですか。
  19. 国広道彦

    国広説明員 御指摘のとおり、アメリカは以前の旧条約北西大西洋条約から脱退いたしまして、その後、この新条約の作成過程に当たりましては参加してきておるわけでございます。昨年の十二月三十一日までに各国が署名いたしました際に、アメリカは手続上の問題で署名することができませんでございましたけれども、その後議会から署名権限をもらっておりますし、私どもの最近の調査では、五月にすでに本条約に加盟するために上院に法案を提出しております。その法案審議は、上院の中の都合で現在はかどっておりませんが、アメリカとしてはぜひとも早急に議会承認を得ましてこれに加盟したいという意思表示をいたしております。
  20. 土井たか子

    土井委員 いまモスクワで日ソ、ソ日漁業暫定協定交渉が行われているわけですが、この交渉が難航して、先月の二十七日には次回の交渉の日取りを取り決めるというふうなことで散会したまま、しばらく会談が中断をするというかっこうになって今日に及んでいると聞き知っておりますけれども、この見通しはどのようになっておりますか。
  21. 武藤利昭

    武藤政府委員 日ソ、ソ日の暫定協定延長交渉でございますが、ただいま御指摘ございましたとおり、これはソ連との漁業交渉はいつも難航するわけでございますが、今年につきましても、そういうことではかばかしく進捗はいたしておらないわけでございます。  本年度の割り当ては、先生御承知のとおり、ソ連側の取り分が六十五万トン、日本側の取り分が七十五万トンということになっておりますが、わが方からは、ソ連の水域で八十万トンを認めてくれるのであれば、日本側日本水域でソ連に対し六十五万トンを与える用意があるという提案をしたのに対しまして、ソ連はかねてから等量主義ということを言っておるわけでございまして、日本、ソ連双方とも六十五万トンずつという線を出してきておるわけでございます。  それで、ただいま正式の交渉は一たん中断しているわけでございますが、もちろん交渉の常といたしまして、非公式な話をいたしましたり、あるいは食事をしながら腹の探り合いをしたりということをいま行っている段階でございまして、楽観は許しませんけれども、日本政府といたしましては最大限の努力を払いたいと考えているのが現状でございます。
  22. 土井たか子

    土井委員 相手国のあることでございますし、こちら側にはもちろん譲れない主張点もあることでございますが、努力をしてもそうそう思うとおりにいかないということもあるかもしれませんが、しかしおよその見通しについていつごろ妥結するということをめどにやっていらっしゃるのですか。  実は毎年国会承認がどうしても必要であるために、十二月の通常国会の冒頭出されて、これに対して国会では審議をするということに当然なるのですが、付託されるときに条文を十分に見る時間、吟味する時間的余裕が全くないままにコンベアに乗っけたような形で、きょう提案します、さあ通してくださいというふうなかっこうでいつも臨まれる。これは国会審議に対する、国会承認に対する態度としてはいかがかと思うのですよ。その辺、やはり国会承認を得るということについて重視をなさるならば、その時間的な日取りということも念頭に置いてのいろいろな先の見通しというものを持っていただかないと困るように私は思います。その辺を含めてひとつ御答弁をいただきたいのですが。
  23. 武藤利昭

    武藤政府委員 先生指摘のとおりでございまして、例年この延長議定書国会の御承認を得るために御迷惑をおかけしておりまして、心苦しく存じている次第でございます。できるだけ早くソ連側との交渉を妥結したいと考えているわけではございますが、これはまた交渉のむずかしいところで、余りに急ぎますと向こうの方から足元を見透かされると申しますか、かえって交渉上不利になるということもございますので、そういうことでタイムリミットをできるだけ早くしたいとは思いながら、余りそういうことを表に出さず、じっくり構えて交渉しているというのが現状でございまして、その点ぜひとも御理解いただきたいと存ずる次第でございます。
  24. 土井たか子

    土井委員 最後の、教育交流計画に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定について質問を進めます。  今回、この協定締結することを一つのきっかけとして、留学を希望する学生の出願の門戸を広げるということをお考えになるかならないか。たとえば大学卒業の学生にまでこの門戸を広げるということが考えられていいのじゃないかということを私たちは思うわけですが、その点をどのように考えられるか。その節、専攻分野についても自然科学部門とか医学の部門とか、もっと幅広くいろいろな分野の留学、学生の受け入れというふうなことが考えられないかどうか。この点はどういうふうに思っていらっしゃるわけですか。
  25. 平岡千之

    ○平岡説明員 お答えいたします。  まず、フルブライトで留学するための資格の問題でございますが、ただいま私ども実施しておりますフルブライト留学生は、教授、研究員、学生、教員、その他に分かれておるわけでございまして、現在でございましても、大学を卒業してすぐ行けるようにはなっておるわけでございます。  また、分野につきましては、これは予算日本拠出によってふくれ上がりますれば、今後応用科学まで含めまして広げたいというのが私どもの考えておるところでございます。何分にも現在の委員会事業規模は一九六〇年代に比べますと非常に狭くなっておりまして、全体の人数も御案内のとおり、いまのところ七十人と五十人ぐらいの間を上下しておる状態でございます。これが六〇年代のように非常に、年間往復で三百人もいたような時代でございますると、非常に各種の分野にわたって募集することができたわけでございますが、今日の数字でございますれば、最近の傾向を見ましても、たとえほかの分野、たとえば生物、化学とか物理とかそういう方向に分野を広げましても、またそこに若干応募者がございましても、実際問題としてとれますのは社会科学と人文科学に集中してしまう。たとえば現在でも音楽などは採用することができるわけでございますが、これはなかなか受験まで足を運ぶ人がかえってない、そういうような状態もございます。したがいまして、結果的には現在このフルブライトで行く人たちの活動分野は非常に限られている、こういう現状でございます。
  26. 土井たか子

    土井委員 一九五五年、五六年の農作物協定に従いまして、返済金をフルブライト計画に流用したという事実がございますが、当時の実情はどうだったかということ、それからまた、この二協定に従って返済期間は四十年年賦ということが決められていたはずであります。その返済状況というのが具体的にはどういうことになっているかということ、これについてちょっとお伺いしたいと思いますが、いかがですか。
  27. 山田中正

    ○山田説明員 お答え申し上げます。  先生いま御指摘ございました二つの農産物協定に基づきます米国政府勘定に積み立てられました円資金のうち、フルブライトに使用されましたのは約七億四千万円と八億円であったと記憶いたしております。  それから、先生指摘ございましたこの農産物協定関係での返済でございますが、先生指摘のように長い期間のものになっておったわけでございますが、農産物協定米側に支払いましたものから日本政府に対する米国輸銀の借款になってあったわけでございますが、日本の貿易収支が改善いたしましたために、一九七三年に一括繰り上げ償還いたしております。  以上でございます。
  28. 土井たか子

    土井委員 今回のこの協定前文に、一九五一年八月二十八日付及び一九五八年一月十一日付の交換公文に従ってフルブライト計画が実施されてきた、こう述べてあるのですが、これはどのような内容でどんな資金に基づいて行われるということになっていたのですか。
  29. 平岡千之

    ○平岡説明員 お答えいたします。  五一年協定、それからその後に結ばれました五八年協定、これはフルブライトの計画につきましての骨組みを決めておる取り決めでございまして、いずれも財政に関しましては全部アメリカが金を出すという、財源を明示してある点が一つ。それから委員会をつくってその構成が四人ずつであることとか、その議長はアメリカの大使が任命するとか、そういう委員会の構成に関する部門でございます。こういうことを取り決めているものでございまして、簡単な交換公文とそれに覚書が付属しております。
  30. 土井たか子

    土井委員 資金の全額をアメリカ側が賄うということでこういう制度を設けている他の国が、いままでに日本以外にございましたか。
  31. 平岡千之

    ○平岡説明員 資金を全額アメリカが賄うのが、むしろ一九六〇年代初めまでの普通の形であったわけでございます。現在アメリカは百カ国ほどとこのフルブライト計画を推進しておりますし、そのうち四十数カ国というものと取り決めを持っておりますが、そのうち資金をアメリカ以外の相手方の国が一部負担するという取り決めを結んでいる国が二十五でございます。言いかえれば、そのほかの七十以上の国は全額アメリカの負担でやっておるというのが現状でございます。
  32. 土井たか子

    土井委員 いまおっしゃったのは、六〇年代はとおっしゃったのですが、現状についてはどういうことになっていますか。
  33. 平岡千之

    ○平岡説明員 現状につきましては、二十五カ国がアメリカとの間で分担しておるわけでございますから、申し上げましたのはちょっと言葉が足りなかったのでございますが、六〇年代初めまでは、いずれの国もすべてアメリカだけで負担していたわけでございます。それから六二年から西独を初めといたしまして二十五の国が経費分担の取り決めをいたしましたために、最近はオランダでございましたが、これらの国を除いてはみんなアメリカが全額負担している。現在の日本もそういう状態でございます。
  34. 土井たか子

    土井委員 教育交流計画について二国間で一国が全額負担をするという行き方というのは、どうもへんぱだと言わざるを得ないのですね。本来あるべき姿ではないと私自身考えます。好ましくない姿だと思います。  そういうことからすれば、日本としては過去の経緯から考えて好ましくない状況に実は甘んじてきたというかっこうだと言わざるを得ないと私は思うのですが、その辺については外務省当局としてはどういうふうに考えていらっしゃるわけですか。
  35. 平岡千之

    ○平岡説明員 御指摘のとおり、私どももこのフルブライト計画に関しましては、これがもう世界的な規模を持っており、もはやアメリカだけの事業というものではなくなりかかっている。日本との関係におきましても、日米共同事業というふうに変形しようというのが今度の御承認を求める協定の趣旨でございます。  ただ、諸種のスカラシップ、フェローシップにつきましては、たとえばわが国も国際交流基金のフェローシップなどを持っておますように、やはりこういうフルブライトのようにいわばバイラテラルでやろうという取り決め、フェローシップのほかに個々の自分の国プロパーのもの、中には私的な民間のフェローシップもあるわけでございますが、実は両方で分担するという形の方が例外をなしておるというのが現状でございます。しかし、先生の御指摘の点は実によくわかるわけでございます。
  36. 土井たか子

    土井委員 日本から欧米に留学するというのはかなり熱心なんです。また受け入れについてもそれなりにいろいろ考えるというところがあるようでありますが、日本から開発途上国に対して留学するということになると、どうも消極的であり、さらには開発途上国からの日本に対する留学生受け入れについては、いろいろと過去指摘される問題点がございました。そういうことからすると、日本の発展途上国に供与した円借款というのが、五十二年度に二千八百七十五億円余りですね。数字を見ますと、五十三年度は三千八百五十四億円ということになっていっているのですが、利率を見てまいりますと、一番低利のもので一・七五%、最高のもので六・三%というふうな数字が出ています。平均したら三%くらいになるのじゃないでしょうかね。ところが、一方、返済期間というのが十年据え置きで二十カ年分割払いというのが一番多いようです。これらの円借款の返済状況というのは現状はどういうことになっているのですか。
  37. 西山健彦

    ○西山説明員 お答え申し上げます。  手元に正確な資料はただいまございませんのですが、概要を申し上げますと、返済状況は国によってその困難の度合いがそれぞれ大変異なっております。昨年の三月にUNCTADのTDBという貿易開発理事会で、特に最貧国の国々の返済の困難にかんがみてそういう債務救済のための措置をとるべきであるという決議が出ました。それを受けまして、主要先進国はそれぞれ援助の返済をある場合にはキャンセルし、またある場合には新たなより緩和された条件に緩和するというような措置をとって今日に至っております。  しかしながら、概況として申しますと、今日返済の問題が最も差し迫っておりますのは、実は主として中進国に属する国々の方がむしろ問題でございまして、最貧国と中進国の間にある国々につきましてはむしろ状況は総体的にはいいというのが概況でございます。
  38. 土井たか子

    土井委員 いま御答弁になったような状況であるということを前提に、いろいろな考え方が出てこようと思いますが、一つの提案としてこういうことはどうかということについての御見解をひとつ聞かしていただきたいのです。  こういう返済金の一部を基金にプールしまして、イギリスのブリティッシュ・カウンシルとか西ドイツのゲーテ・インスティチュートとかフランスのアリアンス・フランセーズのような総合的な留学生政策が推進できる体制、機関を設ける、そういうことが途上国から一元的に留学生を受け入れることを具体的に検討する一つの方法として考えられていくということも言えるのじゃないかと思うのですが、こういう構想について何か御見解があったらいま述べておいていただきたいと思うのですが、どうですか。
  39. 平岡千之

    ○平岡説明員 大変貴重な御示唆をいただきまして、こういうことは今後留学生にせよその他のフェローシップの発展にせよ、その財源の一つとして私ども十分に考えていきたいと思います。  もちろん現状の海外経済協力基金法のもとにおきましてはできないことは言うまでもないことでございます。一つには債権保全の問題、それからその資金の使途の問題等限定しておりますから、現在ではできないことでございますけれども、貴重な御示唆として伺いまして今後検討させていただきたいと存じます。
  40. 土井たか子

    土井委員 欧米、特にアメリカに対する留学希望者が新学期になると相当程度に日本の国内であるようでありますが、留学という名のツアーで泣く学生が最近多いのですね。新聞でも最近よくこの問題が取り上げられます。教育開発研究所、インスティチュート・オブ・エデュケーショナル・デベロップメントという団体が品川に事務所を持って、アメリカのクレイトン大学、メキシコのガダラハラ自治大学と提携して、医学、歯学、薬学系の留学生を募集しているけれども、こういう実態について御承知ですか、どうですか。
  41. 塚本政雄

    ○塚本説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のようなツアーについて現在調査中でございます。確たることを伺っておりません。
  42. 土井たか子

    土井委員 調査中でございます、確たることを伺っておりませんで済む問題でない。これは全国的に非常に憂慮される傾向が最近ある。いま調査中というのはどういうことを調査なすっているのですか。
  43. 塚本政雄

    ○塚本説明員 六月四日に所在の在外公館に対しまして訓令を発しました。その訓令待ちという段階でございます。
  44. 土井たか子

    土井委員 訓令待ちというのですが、在外公館に対しての訓令というのはどういう訓令を出されたのですか。在外公館からのこちらに対する報告をどういう意味で待っていらっしゃるのですか。
  45. 塚本政雄

    ○塚本説明員 御指摘のとおり、本年四月にロサンゼルスで四十名の留学生の問題が起こりました。それを踏まえまして六月四日、各公館に対してこの種事件が未然に防止できるように、その実態を調査したわけでございます。
  46. 土井たか子

    土井委員 六月四日から大分日がたっておりますけれども、いまだにそのことに対しては調査中というかっこうのままで、依然として当時から事件に対する対策というのは進んでいない、そういうかっこうでございますね。
  47. 塚本政雄

    ○塚本説明員 当該の問題につきましては返事が参ってない、こういうことでございます。
  48. 土井たか子

    土井委員 督促もしないのですか。いいかげんですね。六月四日から大分日がたっていますよ。
  49. 塚本政雄

    ○塚本説明員 本件につきましては両三回にわたりまして関係各省の会議を開いております。しかしながら、当該の案件については現在正確なる情報を持ち合わせていない、こういうことでございます。督促も実はいたしておりません。
  50. 土井たか子

    土井委員 どうもいいかげんですね。  それはそうすると、幾ら待っても来ないというのはほうりっ放しということでお済ませになるおつもりですか、いかがです。
  51. 塚本政雄

    ○塚本説明員 その種の問題は、現地において問題が起こってないのではなかろうかとわれわれは承知しているわけでございますが……。  いままで承知している限りにおきましては、ロサンゼルスとニューヨーク、それからつい最近、十一月にロサンゼルスで再び問題が起こっております。最初の四十名、ニューヨークにおける二百五十名、それから十一月のロサンゼルス地区におけるアナザー四十名の問題がある、こういうことでございます。
  52. 土井たか子

    土井委員 そこまでそういう問題を掌握されていて、そしてその報告を具体的に命じられて、報告が六月四日以降いまだに届いていない、そういう現状なんでしょう。それをそのままほったらかしになさるのかと言っているのです。
  53. 塚本政雄

    ○塚本説明員 残念ながら先生指摘の本件については情報が現地公館から参っておりませんのでございますが、御指摘の次第もございますので早速現地に照会いたしたい、かように考えております。
  54. 土井たか子

    土井委員 文部省御出席ですね。——クレイトン大学医学部の場合は卒業まで八年間、授業料、教材費二千百三十四万円、ガダラハラ自治大学医学部は六年間、一千五百二十八万円、生活費は全く別です、このような案内書なるものが一部私どもの手元にございますけれども、教育開発研究所と称するところから出されているのですね。  こういう留学の方式については文部省は指揮監督なさるというお立場にはないのですか、どうですか。
  55. 篠澤公平

    篠澤政府委員 ただいまの教育開発研究所の事業につきましては私どもも十分知悉いたしておりません。早急に調べたいと思っておりますけれども、一般的なことといたしましては、前国会でいろいろ御指摘のございましたフォローアップといたしまして、全国の国立大学の事務局会議であるとかあるいは学生部の担当者の会議であるとか都道府県の指導主事の全国の集まりであるとか、そういう席に参りまして十分在学生に対する指導を徹底していただきたいということを、数回にわたりまして周知してお願いをしてまいったわけでございます。今後とも、学校におります者につきましては、十分私どもも指導してまいりたいと思っております。
  56. 土井たか子

    土井委員 どうもそのままの状況では事に対処しているとは言えないようであります。これは別の機会に、時を改めて、具体的に私は問いただしをさらに進めたいと思います。  最後に、もう時間がございませんから、大臣にちょっとお尋ねしたいことが一件ございます。  やがて大臣は、この五日の日に中国にいらっしゃいますが、六日に日中文化協定を調印される御予定ですね。この二国間の日中にわたる文化協定の調印に当たりまして、ひとつお尋ねしたいことがございます。それは昨年の秋に、日中協会学術訪中団が中国科学院との間で基本的に合意した二つの構想があるようです。一つは、日本政府が一千億円の基金を出費して東京と北京に学術交流センターというのを設置しようという計画。もう一つは、中国の大学改革に日本協力して、ハルビン科学技術大学を日本式のカリキュラムで日本人教授が講義するというユニークな大学にしようという、そういう構想らしいのですが、このことについて何らかの御見解をお持ちになって、お話の中へ織り込んで話されるかどうか、その点はどうでございますか。
  57. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 前者の問題につきまして、私、せんだって有沢広巳先生と加藤一郎教授からお話を伺っております。そういう基金があれば非常にいいんではないか。ただ、いまの段階では、まだ個別的に教育援助あるいは国際交流基金あるいは国際協力事業団の技術援助、そういうもので個々に対処していく形になっておりますので、将来の研究課題だと思っております。  第二点につきましては、担当の者から答弁させたいと思います。
  58. 平岡千之

    ○平岡説明員 ハルビンにつきましては、実はまだ交渉中と申しますか、話し合いは続いておるわけでございます。東北地方には日本語を解する人が非常に多いという特殊な事情も踏まえまして、日本語による各種の教育、ことに理科系統が多いわけでございますが、そういうものに日本として多くの先生を送り込むというラインが基本にございます。これにつきましては非常に詰めていかなければならないところがございますので、目下話し合いが続いておるわけでございます。
  59. 土井たか子

    土井委員 時間超過しましたから、終わります。
  60. 志賀節

  61. 玉城栄一

    玉城委員 教育交流計画に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件について、二点ほどお伺いをいたしたいと思います。  時間が限られておりますので、まとめてお伺いしておきたいわけでありますが、この新しい協定は、日米両国政府拠出による共同事業として教育交流計画を実施していこうということでありますが、この協定の第十一条の方には「この協定は、その承認を通知する外交上の公文が交換された日に効力を生ずる。」このようになっておりまして、当然日本側の新しい資金の支出につきましては、あくまでもこの協定発効、締結後に支出をされていくと思うわけでありますが、従来の教育交流計画とこの新しい協定締結、その間のつなぎについてはうまくいくのかどうか、学生の権利関係であるとか、あるいは資金の支出の関係について、これが第一点であります。  それから、これは機構上の問題でありますけれども、この新しい協定日米教育委員会は、第三条あるいは第四条によりますと、事務所を東京に置き、事務局長及び職員を雇用することになっておるわけであります。また、現在の在日合衆国教育委員会、いわゆるフルブライト委員会は、この協定発効の日にこの協定に基づく日米教育委員会に移転されることになっておるわけです。そこで、この新しい日米教育委員会は事務所をどこに置かれる御予定であるのか、そして事務局のスタッフであるとかそういう方々は何名くらいであるのか、できればその給与関係につきまして、新しいこの教育委員会に移ったときにどういう位置づけがされるのか、その二点、あわせてお伺いをいたします。
  62. 平岡千之

    ○平岡説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、旧委員会から新委員会への移行に伴いまして解決すべき幾多の問題がございます。現在やっております——旧と申し上げますとまだ早いわけでございます、現在の委員会でございますが、この委員会がやっております事業、たとえば現にアメリカにいる留学生であるとか、それから事務局の職員であるとか、こういう者につきまして、厳密に法律的に申しますれば新委員会のメンバーが新たに決定するということになるわけでございまして、私どもがここで申し上げられますことは、現在の委員会のメンバーとしてこういうふうに考えているということを申し上げるわけでございます。すなわち、正式には新委員会で、これは民間の方も入っておられるわけでございまして、こういう方々の御決定がないうちは正式には何も申し上げられないわけでございますけれども、私ども現在考えておりますことは、恐らくこの委員がふえましてその方の御意見が出ましても、現在の留学生をたとえば根本的に立場を変えさせるとか制度を変えさせるとか、そういう急激な変化というものはまず想定されないわけでございます。現在まで行われております選考にせよ、向こうに行きましてのいろいろな手続にしましても、幾多改善していくべきところはあるとは存じますけれども、そう混乱が起こるほどの変更を要するということはないのではないか、こういうふうに考えております。  したがいまして、資金の問題につきましては、協定に書いてございますように、現在の委員会は新しい委員会ができますとそこに全部引き継がれるわけでございますね。現在の委員会の資金と申しましてもごくわずかなものでございます。いま赤坂見附の山王ビルに委員会事務局が置かれておりまして、委員会の会合もそこで行われておるわけでございますが、この委員会自体に属しますところの資金というようなものは、ことに財産と申しますものは、その事務所そのものも借りているわけでございますから、財産の額としては非常に少ないわけでございます。  それから、職員は十数人おりますけれども、こういう人たちも大体現在満足すべき能力のある職員でございますので、これも大体そのまま雇用を続けられることになるというふうに私は考えております。  事務所の引っ越しのことも考えておりません。現在の事務所にとどまることになると思います。
  63. 玉城栄一

    玉城委員 時間が二十分しか与えられておりませんので、次の条約に移らせていただきたいのですが、この条約締約国になっていない北西大西洋漁業国の権利関係についてはどういうふうになっているのか。締約国についてはわかりますけれども、北西大西洋漁業についての今後の多数国間の協力に関する条約についての御質問であります。簡単で結構ですから、ちょっとお伺いいたします。
  64. 国広道彦

    国広説明員 現在の条約に参加してない国につきましては、もちろんこの条約による便益、すなわち、条約漁業区域において操業する権利を持ちませんし、同時にこの漁業区域の外、すなわち沿岸国から二百海里の、沿岸国漁業管轄権を行使しておりますその地域において参加国が協力して行う科学的、技術的研究に参画できない、こういう不利がございます。  ただ、わが国の場合、御案内のとおり、現在はまだこれに正式加盟しておりませんが、旧条約加盟国として積極的に参加し、同時に今回の条約審議にも参加してまいりましたので、オブザーバーとしてこれに出席し、いつでも参加し得る状態になっております。
  65. 玉城栄一

    玉城委員 この条約は、沿岸国の二百海里水域設定に伴いまして、それに対応するわが国措置として締結されようとしていると理解しておるわけであります。そこで、この二百海里水域設定問題に関連しまして、ちょっとお伺いしておきたいわけでありますが、まさに世界は二百海里時代に入っているわけであります。  そこで、去る十月八日、台湾が領海十二海里、経済水域二百海里を実施したことに関連をしてちょっとお伺いしておきたいわけでありますが、台湾は、フィリピンが領海十二海里、経済水域二百海里を実施したことにより、台湾の権益及び漁業発展に対する影響がはなはだ大きいためにやむを得ず宣言したと述べているわけであります。このことは、台湾がフィリピンに対抗するための措置と見られるわけでありますが、わが国は東シナ海域には二百海里を実施しておりませんので、相互主義の原則からいきまして、わが国は当然この適用除外になると私は思いますけれども、そのように理解してよろしいかどうか。その点、台湾と何らかのルートを通じて話し合いがされているのかどうか。  次に、あわせてお伺いしておきたいわけでありますが、今回の台湾の措置に対して、政府漁業者にどのような行政指導をしておられるのか。また、わが国は台湾の二百海里海域内で、いままで年間約三万トンの漁業実績があるわけであります。もしも規制されるようなことになりますならば、漁民にとって大変なことになるのは当然でありますし、漁獲実績の確保の見通し、これは果たして確保できるのかどうかという点。  もう一点、あわせてお伺いしておきたいわけでありますが、尖閣列島周辺水域は、アジ、サバ、カツオ、マグロ及びはえなわの好漁場であります。漁業者は尖閣周辺での安全操業の確保を強く望んでおります。今回の台湾の二百海里の線引きは、わが国の領土である尖閣列島周辺海域は当然除かれていると思いますが、政府として、その点確認をしておられるのかどうか。これは外務省、水産庁に関係してくると思いますが、お答えをいただきたいと思います。
  66. 渡辺幸治

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、本年十月八日、台湾当局は、いわゆる十二海里領海及び二百海里経済水域宣言を公布いたしました。ただ、その際に、すでに二百海里経済水域ないし漁業水域を公布した国で台湾を適用除外にしている国については、相互原則にのっとって実施しないという旨を明らかにしてございます。  他方、わが国は、東シナ海においては二百海里漁業水域を設定しておりませんことは、先生指摘のとおりでございます。わが国としても、台湾の二百海里宣言以来、その実施状況に関する情報収集、その実態について注目してまいっておりますけれども、現在のところ、東シナ海においてわが国の漁船が台湾当局により取り締まりを受けたというような事実は承知しておりません。また、いま申しましたとおり、わが国が東シナ海に漁業水域を設定しないということにもかんがみまして、台湾当局はわが国に対して、二百海里水域を事実上適用除外しているものと考えます。  それにもかかわらず、先生指摘のとおり、台湾当局の措置を前にして、政府として漁業関係者の方々にどういう措置をとっているかということでございますけれども、この点については関係当局、海上保安庁、水産庁等より、台湾周辺の水域に出漁するわが方の漁船に対しては今度の台湾当局の措置を十分周知徹底させて、不測の事故が回避できるように努めているわけでございます。  さらに、台湾当局と話し合っているかということでございますけれども、現在までのところ、台湾当局が二百海里経済水域を設定いたしましてなお日が浅く、かつ、その実施細則等についてもまだ整備されていないのではないかということもありまして、事態を静観しているところでございますけれども、なお必要があれば、かつ適当と認められれば、交流協会等民間のチャンネルを通じまして情報の収集に努めたいと思っております。  尖閣周辺の問題につきましては、二百海里宣言については一切触れておりませんで、わが国の立場については、当然のことながら尖閣列島は歴史的にも伝統的にもわが国の領土でございますので、その点について改めて確認をする必要もないというのがわが方の立場でございます。
  67. 玉城栄一

    玉城委員 まあ、そういうことで、台湾の二百海里水域設定に伴いまして、関係漁業者はいまそのことを深刻に憂慮しておるわけでありまして、これは沖繩県並びに鹿児島県、四国等もそうでありますが、先月、両県が連絡協議会を持ちまして、台湾の二百海里宣言が両県の漁業に悪影響を及ぼさないよう、また尖閣周辺水域の資源保護、安全操業の確保等について政府に改めて要請をしたい、こういうことでございますので、その点、十分御配慮をいただきたいと思います。  この問題に関連をいたしましてもう一点お伺いしておきたいわけでありますが、実は私、沖繩の選出でございますけれども、台湾の漁船がこれまで沖繩周辺海域を相当侵犯して、サンゴの不法採取と申しますか、そういうことが頻繁に起きておりまして、これまで地元では、これは沖繩だけには限りませんけれども、関係業者は大変頭を痛めているわけであります。そういう侵犯の状況あるいはその取り締まりの状況について、簡単でいいですからお答えをいただきたいと思います。
  68. 野呂隆

    ○野呂説明員 お答え申し上げます。  九州南西岸沖合いから沖繩周辺海域におきまして、本年の一月から十一月末現在まで、台湾漁船が侵犯しました状況は、延べ千二百五十五隻になっております。海域別に申し上げますと、沖繩周辺海域が二百六十九隻、鹿児島県の大隅並びに奄美周辺海域が八百二十六隻、それから長崎県の男女群島周辺海域が百六十隻となっております。  海上保安庁といたしましては、これらの海域に航空機による監視を行いますとともに、海域別に常時巡視船を一隻ないし二隻配備いたしまして、侵犯の防止並びに取り締まりに当たっております。違反船舶に対しましては厳しく検挙する方針をとっておりまして、現在までのところ三十隻の台湾の漁船を検挙いたしております。  以上でございます。
  69. 玉城栄一

    玉城委員 ただいまの問題につきましては、そのように取り締まりをしていらっしゃることは私たちもよく承知をしているわけでありますけれども、なかなか実効が上がってない。最近に至りましてもそういう事犯が起きているわけでありますので、特にサンゴ資源が非常に枯渇状態に陥るぐらいに不法採取をされているわけでありますから、その点強く取り締まりを要望をしておきたいと思います。  最後に、小麦条約につきまして、これは正式には、千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第五次延長に関する千九百七十九年の議定書について、一点だけお伺いをしておきたいわけであります。  先ほども御質疑があったやに承っておりますが、かねてからソ連のことしの穀物生産が異常気象のため凶作であると伝えられておりましたが、先月二十七日の党中央委総会で、前年を約二五%下回る一億七千九百万トンと四年ぶりに大凶作であったことが正式に公表されておるのであります。かつて一九七二年には、ソ連の不作から、大量の小麦アメリカカナダからソ連が買い入れ、需給の急変からパニック状態をもたらし、世界食糧危機を招いた例があったわけであります。幸い今年は米国の豊作で、ソ連が大量輸入をしたにもかかわらず以前のような混乱は起きなかったわけでありますが、しかし万一、七二年の当時のような穀物ショックが起きた場合、果たしてこの小麦協定がどのように有効に機能していくことができるのかどうか、その点を簡単にお答えをいただきたいと思います。
  70. 羽澄光彦

    羽澄説明員 お答えいたします。  ただいま先生が触れられましたようないろいろな混乱が生じましたときには、この小麦協定の中にございます規定に基づきまして、情報の交換や市況の検討を行うことになっておりまして、諮問小委員会というところでそういった情報の交換や、ないしは協議を行うことになっております。しかしながら、御存じのとおりに、この協定価格帯とかあるいは備蓄とかいったような経済条項を持っておりませんので、こういった活動にもおのずから限度があることは事実でございます。  したがいまして、従来より、経済条項を伴う新協定の作成の努力が続けられておりまして、非常にいろいろむずかしい問題はございますけれども、私どもとしましては、できるだけ早い機会にこういった経済条項を持ってより有効に、そういった市況に対応できるような協定をつくりたい、こういうように考えております。
  71. 玉城栄一

    玉城委員 時間が参りましたので、以上で終わります。
  72. 志賀節

  73. 野間友一

    野間委員 時間の制約がありますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。  国際小麦協定等に関する議定書について、私、質問をしたいと思うのですけれども、まず、小麦貿易規約について、これは御承知の、いまも答弁がありましたけれども、価格帯とかあるいは供給保証規定、こういうものはない、こういう状況で推移しておるわけでありますけれども、この小麦協定のいま申し上げた経済条項を踏まえた上での新たな協定づくり、これは先ほども答弁がありましたけれども、なぜ進捗しないのか。やはりこれがなければ何といいましても生産大国中心に、さらに、逆に言いますと、発展途上国の利益を損ねるということは事実だと思いますので、その点についての隘路がどこにあるのか。
  74. 羽澄光彦

    羽澄説明員 お答えします。  六七年の協定におきましては、価格帯を主とする協定でございましたけれども、この価格帯というものに対しましては、主要な輸出国の間でどこの小麦をもとにして価格を決めたらいいかということについて合意がでませんために、七一年の協定におきましても、現在のとおりに経済条項のない協定とせざるを得なかったわけであります。そこで、いろいろ交渉をしたり、あるいは話し合いを続けたりしておりますうちに、現在の小麦状況のもとにおいては、こういった価格帯による規定のやり方はやはり現実に即さない、むしろ備蓄によりまして、価格が一定以下に下がりましたときには備蓄を積み増す、あるいは価格が一定以上に高くなりましたときには備蓄を放出する、こういうことで国際的な管理を行いながら備蓄自身は各国が保有する、こういう形態で取り決めをつくろうということになったわけであります。  そうして、そういった備蓄を中心とする取り決めをつくろうということ自身に関しましては、交渉参加国のほとんどすべてのものが賛成いたしまして、その線で交渉が進められたわけでございますけれども、それでは備蓄の規模をどれだけにするか、それから、その備蓄の積み増しまたは放出の価格帯をどこに持っていくか、そういった点につきまして輸出国輸入国、あるいは先進国と開発途上国、そういったものの意見がなかなかうまくかみ合いませんで現在に至っている状況でございます。したがいまして、交渉のライン自身はその線で続けられると思います。
  75. 野間友一

    野間委員 私は、やはりこの規約の一番大きな欠陥というのは経済条項がない、こういうところにあると思うのですね。ちなみに言いますと、カナダのウィーラン農相がアメリカなど食糧輸出四カ国でカルテル結成を検討と、こういう報道も新聞に出ております。もしこういうことが行われるとなりますと、これまた途上国の経済状態が大変なところに買い付けがなかなかできにくい、できない、こういうことにもなろうかと思いますので、これは日本政府としては、やはり極力経済条項を入れた上での新たな協定を結ぶと申しますか、そういう方向でやられるのが真っ当じゃなかろうかというふうに思いますので、時間の関係でその点だけを指摘しておきたいと思います。  次に、食糧援助規約についてお尋ねをしたいと思いますけれども、七五年以降ベトナムに対する援助、この規約に基づく援助はどういう状況になっておりますか、ないというふうに私は理解しておりますけれども。
  76. 西山健彦

    ○西山説明員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問は、日本の場合についてでございますと、日本の援助はございません。
  77. 野間友一

    野間委員 豪州やカナダあるいはEC、これはたしかやっておると思いますけれども、どうですか。
  78. 西山健彦

    ○西山説明員 御指摘のとおりでございます。  ただし、ECにつきましては、七月の上旬に援助をやめたということでございまして、その後再開されたという情報はわれわれは持っておりません。
  79. 野間友一

    野間委員 ベトナムは、御承知のとおり水害とかあるいは数年続いた食糧事情の悪化に大変悩んでおるわけで、豪州やカナダあるいはECもたしかやっておったわけですけれども、日本はなぜしなかったのか、この点についてお答え願いたいと思います。
  80. 西山健彦

    ○西山説明員 ベトナム政府からは、昨年の十一月に水害による食糧不足に対処するため、わが方に日本米の供与方の要請がございました。わが方といたしましては、その要請にこたえまして、日本米の供与を行うべくベトナム側と交渉に入りましたのですが、その後ベトナム側からは、理由をはっきりさせることなく、この交渉は打ち切りたい、そういう通報がございまして、そのままになっているのが現状でございます。
  81. 野間友一

    野間委員 それについては日本政府の大変な官僚主義があったというふうに聞いておるのですけれども……。  それじゃ、その以前においてはどうでしょうか。なぜなされなかったのですか。
  82. 西山健彦

    ○西山説明員 この援助は一般に相手国から要請があったときに考えることをたてまえといたしておりまして、実は従来からも、いわゆるKR食糧援助の枠内では昭和四十五年に一回ベトナムに援助が行われただけでございまして、その後は、ほかのラオス、カンボジアの場合はインドシナでもございますが、ベトナムについてはない次第でございます。
  83. 野間友一

    野間委員 それじゃ、ベトナムから要請があれば、この規約に基づいてやるということになるわけですか。
  84. 西山健彦

    ○西山説明員 その点につきましては、具体的にベトナム側から要請が参りましたときに検討いたしたいと存じます。
  85. 野間友一

    野間委員 関連して、経済復興援助についてお聞きしたいと思うのですが。  これはベトナムに対してです。七五年から七八年までどのように日本国政府はやっておったのか。
  86. 西山健彦

    ○西山説明員 ベトナムに対する無償援助は、四十億円の無償援助をすでに昨年供与をいたしてございます。
  87. 野間友一

    野間委員 七五年から七八年までというふうに聞いておるのです。
  88. 西山健彦

    ○西山説明員 一番最初にベトナムとの間に国交の正常化が行われましたときに合計百三十五億円の無償供与が行われまして、それに引き続きまして昨年さらに四十億円の無償供与が約束されたわけでございます。
  89. 野間友一

    野間委員 七九年度、今年度のこの援助については、昨年末に当時の園田外相とベトナムのグェン・ズイ・チン外相、この両者で援助についての約束があったわけですけれども、どういう中身の約束か、お答えいただきたいと思います。
  90. 渡辺幸治

    渡辺説明員 本年度の、すなわち七九年度のベトナムに対する援助につきましては、政府としては昨年十二月、ただいま御指摘のとおりグェン・ズイ・チン・ベトナム外務大臣の来訪の際意図表明を行っておりまして、ベトナムの民生安定と経済復興という見地から昨年度と同様の援助を供与する方針でございます。  ただ、援助の実施時期については……(野間委員「それはいいです、後で」と呼ぶ)失礼しました。
  91. 野間友一

    野間委員 園田外相がことしの二月、ASEANの拡大外相会議から帰られて、そして閣議で報告されたということでありますけれども、この中身について、いま申し上げたその援助について難民問題とは直接結びつけず、ベトナムとの対話を維持する見地からも援助を継続をする、こういう報告をされて、大平総理も了承されたというふうに理解しておりますけれども、これは事実かどうかということと、この方針をいまも堅持しておるのかどうか、これは新しい外相ひとつぜひお答えいただきたいと存じます。
  92. 渡辺幸治

    渡辺説明員 先生指摘の最初の部分でございますけれども、現在も政府の方針といたしましては、ベトナムであれ、いかなる国であれ、経済援助について特定の事項について関連づけてそれを条件づけるというような方針はとっておりません。その点についてはベトナムについても同様でございます。
  93. 野間友一

    野間委員 大来外相どうですか、ベトナムに対して、いま申し上げた質問に対して。
  94. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 これはすでに約束しておることでもございますので、できるだけ時期を見て実施をしたいという考えでございます。
  95. 野間友一

    野間委員 七九年度においては、先ほども中身について話がありましたけれども、四十億と百億ですね。これはいまのところまだ全く履行はしていないわけでしょうか、いまのところゼロですか。
  96. 渡辺幸治

    渡辺説明員 七八年度については全額履行しておりまして、七九年度についてはいまだ合意に至っておりません。実施は一切されておりません。
  97. 野間友一

    野間委員 なぜ履行していないのか、理由を。
  98. 渡辺幸治

    渡辺説明員 いまだ両国政府間に実際的な合意ができてないということでございます。
  99. 野間友一

    野間委員 両政府間に合意ができていない、そういうことですか。合意ができていないということですか。
  100. 渡辺幸治

    渡辺説明員 無償援助につきましても有償援助につきましても、両国政府間に合意ができてから援助は実施される、まあ当然のことでございますけれども、その交換公文と申しますか、その合意文書ができてないということでございます。
  101. 野間友一

    野間委員 七九年と言いましても、もう十二月でしょう。あとことしもわずかですよ。なぜ合意ができていないのでしょうか。これは大来大臣どうですか。
  102. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 私の聞いておりますところでは、ことしの春、海上難民問題が発生いたしまして、その成り行きを見ておるといううちに、今度はベトナム軍のカンボジア進駐がございまして、その辺の状況がもう少し落ちついてからということで延びておると承知しております。
  103. 野間友一

    野間委員 そうすると、いまの状況のもとでは合意に関する日本国からのアクションと申しますか、そういうものはやらないということですか。
  104. 渡辺幸治

    渡辺説明員 合意を含めまして、本件に関する援助の実施時期について、その時期を含めまして検討中であるということでございます。
  105. 野間友一

    野間委員 どうもはっきりしませんね。大来外相もいよいよ訪中、総理と一緒に行かれるわけですね。中国に対しては有償無償のお金を持って援助に行かれるということを知っておるわけですけれども、理由のいかんを問わず武力で侵攻し、また第二次の制裁をというような援助まで言っておる中国に対して、ああいう形の援助、これをやられる。ところが実際ベトナムとの間では、先ほどの答弁にもありましたけれども、一たん外相との間で明確に金額も出しながら約束もしておる。しかも七九年度もあとわずかしかない。こういう状況で、まだ全く履行がされていない。これは国際上の信義の問題としても大変な問題だというふうに私は思うわけです。  先ほど難民の問題とか、あれこれありました。カンボジアとベトナムとの関係では平和友好条約がありまして、これに関していろいろなことがやられている。これに対して干渉すること自体が、これは他国の内政に対する干渉にもなるし、また一方、難民の問題についても、御承知のように第二次大戦のころの日本の侵略と、その後の引き続くアメリカの侵略の中で、爆弾が第二次大戦のころの日本よりも百倍の多い量が使われる、まるで月のクレーターみたいになっておって、大変に経済が疲弊しておる。ベトナムでも大変期待しておる。こういう報道が、新聞等でもいろいろな日本政府の優柔不断の態度がずっと出ておるわけですけれども、約束したことは守る、これが国際上の信義。ですからいま中国に対する対応と比較して考えても、非常に不平等、片手落ちだというふうに私は思うのですけれども、どうでしょうか。
  106. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 先ほど私からも申し上げましたように、この事態が落ちついてまいりましたら実行いたしたい、そういうことで目下検討しております。
  107. 野間友一

    野間委員 もう時間が参りましたのでこれ以上続けませんけれども、約束したことですから、一日も早い履行をベトナムも望んでおります。これを強く要請して、私の質問を終りたいと思います。
  108. 志賀節

  109. 榊利夫

    ○榊委員 時間が大変切迫しておりますので、手短に質問したいと思います。  新聞報道によりますと、この日米教育交流計画に関する協定、この協定実行費として、すでに五十四年度予算で二億円が組まれているそうであります。この協定は、もちろんまだ両院で可決されておりません。にもかかわらず、政府はすでに実行予算を計上しておられるわけでありまして、これはやはり国会を国の唯一の立法機関であるとした憲法第四十一条や、あるいは法律案は両議院で可決したときに法律となる、これを明記いたしました憲法第五十九条などに照らしましても問題があると思われます。立法府の無視、行政府の専行優越ではないか、こういう疑念が出てくるわけでありまして、この点政府はどういう認識をお持ちなのか、お答え願いたいと思います。
  110. 仙石敬

    ○仙石説明員 本協定の御承認を得る前に、日本政府の五十四年度予算日本側の分担金二億円を計上いたしました。と申しますのは、奨学生というのは五月までに受け入れ大学を決定し、またオリエンテーション、英語の勉強その他でございますが、そのためにサマースクール等に入る学生たちがおるわけでございまして、これらの者は七月に渡米する必要があるわけでございます。したがいまして、国会の御承認を得てから予算要求をしましたのでは、本年度事業が行われなくなることになりますので、国会において協定の御承認が得られるという期待のもとに予算の計上を行ったものでございます。  しかしながら、さきの通常国会で、国会での御承認が得られませんでしたので、現在は在日合衆国教育委員会によりまして米側の支出金だけで本計画を運営しているわけでございます。しかしながら、本協定の御承認が今度の国会で得られました場合には、新委員会を速やかに発足させ、新委員会としての年次予算案を作成し、両国政府が共同で承認してこれを実施したい、こういうように考えております。
  111. 榊利夫

    ○榊委員 釈然としないものがありますけれども、いずれにいたしましても、そういうことは議会制民主主義の原則上好ましくないということだけを申し述べておきたいと思います。  さて、協定そのものについてでありますが、私どもはもちろん、学術文化の国際交流をすべての国と自主平等の基礎の上に発展させることが、人類文化の発展にも資する道であると考えております。この点から、特定の政治的、軍事的な同盟と結びついた、あるいはそれに従属する文化交流には賛成しがたいのであります。懸案の日米教育交流計画につきましても、かかる点で疑義があります。  そこで、二、三の問題について政府の見解をただしたいと思います。  本協定は、前文で、一九五一年と一九五八年の交換公文に従って実施されてきた交流計画、いわゆるフルブライト計画の継続を図る、こう述べております。ここに本協定の特殊な性格が示されております。まず、これがアメリカの直接占領時代、一九五一年、その所産である交流計画を引き継ぐものだということであります。二国間の交流協定が自主平等の基礎の上に新たに発足するというのじゃなくて、占領時代の交流計画を継続するというのは一体どういうことなのか、御所見を伺いたいと思います。
  112. 平岡千之

    ○平岡説明員 お答えいたします。  まず、このフルブライト委員会が発足いたしました時点は一九五二年でございまして、五一年の取り決めがございましたけれども、実際に動き出しましたのは、むしろ平和条約発効後であるということが第一点でございます。  また「継続」という協定の前文に書いてある言葉でございますけれども、いまのようにアメリカが一方的に資金を出しているという状態でございますれば、アメリカの一方的な事情でいつでも非常に縮小したりあるいはやめるというようなこともできるわけでございます。両方の国が出し合ってやるというこの協定の趣旨は、人物交流を、フルブライトのこの枠の中ででございますけれども、非常に安定した基礎の上にやっていこうとする点にポイントが一つあるわけでございます。  そのフルブライトの枠という点でございますけれども、これは非常に民間の参加の多い機構になっておるわけでございまして、東京にございます委員会をごらんになりましても、現在文部省と外務省から一人ずつ、それに先生が二人入っておられます。東大の先生と筑波大学の先生が入っておられます。今度五人に拡大した場合にも、もう一人学者の方に委員になっていただきたいと私ども考えておるわけでございます。このような制度は、アメリカ側のフルブライトに関係します諸機関にも反映されておりまして、非常に民間色が強い。財政的には政府がお金を出すわけでございますけれども、そういう意味におきましてかなり政治性が少ないということは言えると思います。  そのことのしるしの一つが東欧圏とのフルブライト交流が非常にあるという事実でございまして、戦後、ソ連、ブルガリア、チェコその他東欧圏諸国とすでに四千数百名の交流がこのフルブライトの中で行われたわけでございして、この中には、アメリカから東欧圏に行った人も東欧圏からアメリカに行った人も両方ございます。むしろ東欧圏から行った者の方が多いというような状態でございます。
  113. 榊利夫

    ○榊委員 新しい協定でありますから、本来ならば新しい基礎の上に、かつてのものとは違った発展の仕方、発足の仕方というものが当然だと思います。  さらに、このフルブライト法に基づく交流を見ますと、一九四六年の米国第七十九議会で確定され、その後いわゆるフルブライト・ヘイズ法として拡大されてまいったのでありますが、この計画で特徴的なのは、交流の相手方の立場や考え方を尊重するというのではなくて、かなり常識的に見ましても一方的、独善的な目的を付しているわけであります。たとえば、米国の政策と歴史的背景及び米国民の行動を正しく認識せしめるという目的があるというようなことを説明しております。  一九五六年に出されました同計画日本における五年間の活動経過報告を見ましても、こういうふうに書かれております。「日本人にアメリカの政治、経済をよく理解させること」 「日本における労働組合活動や労資間の民主的発展に資するため、アメリカの労務管理を普及する」 こういうこと等々であります。  このように自分の側を高目に置きまして他国民にアメリカの政策を理解させよう、こういうふうな、一種の精神的な従属化ないしは手なずけを求める、こういう態度にも一つ問題がございます。  と同時に、この交流計画は年次予算を伴う政府計画でございますね。すべてアメリカ国務省の管理下に進められてまいりました。この点、間違いないですね。
  114. 平岡千之

    ○平岡説明員 お答えいたします。  年次計画そのものにつきましては、たとえば日本におきましては日本のフルブライト委員会でつくるわけでございますが、アメリカが一〇〇%お金を出しているという状態のもとにおきましては、確かに日本側にも若干発言に遠慮するようなことがあったかもしらぬと私自身委員として反省しておるわけでございます。まさに先生指摘のようなそういう状態を一刻も早く脱却いたしまして、日本は半分お金を出す、アメリカも半分お金を出す、したがって、発言権も実質的に全く平等になる、こういう状態に持っていくのが協定の一つの骨子でございまして、早くそのような事態を実現したいと念願しておるわけでございます。
  115. 榊利夫

    ○榊委員 そういう点では、いま私、指摘いたしましたようなさまざまな問題点を持っておりますし、そういう点では政治的な目的内容にクエスチョンがあります、問題があります。しかも他国政府の年次予算による計画わが国予算を支出する、これはやはり大いに問題があると思うのでありますけれども、その点どうでしょうか。
  116. 平岡千之

    ○平岡説明員 このフルブライト計画は、フルブライト委員会、昔ながらの名前を使って恐縮でございますが、実は現在は在日合衆国教育委員会協定が通りまして新しくつくり直されますと日米教育委員会でございますが、この委員会計画をつくるわけでございます。政府の介入と申しますれば、これは予算の面でございまして、日本政府アメリカ政府もそれぞれの財政状況に応じまして毎年の伸び率等を決定していく必要があるわけでございますので、予算の面では、協定八条にも書いてございますように、コントロールがはっきり出ております。総額を、たとえば政府予算の準備がないのに五割、六割と増す希望が仮に委員から出ても、それは政府がチェックする。しかし、計画の中身そのものは委員会が決定するところでございます。したがいまして、外国政府が製作する計画というわけではないわけでございます。
  117. 榊利夫

    ○榊委員 だけれども、これはもともとイニシアチブはアメリカの方からとられたわけですね。日本の方からのイニシアではありませんですね。そうしますと、やはりアメリカ政府のイニシアのもとに、しかもその年次予算による計画、この点は歴然としておりますし、それにわが国予算を支出して事業をやっていく、こういうことになるわけでありまして、やはりノーマルなものだとは、平等の基礎の上のものだとは言いがたいと思うのであります。  で、たとえばわが国と他のいずれかの国とのこういう政府レベルでの教育文化交流、それで双方が費用を直接負担するという事例はこのほかにありますでしょうか。
  118. 平岡千之

    ○平岡説明員 一つの奨学金制度につきまして両方の政府がお金を出そうというのは、このフルブライト協定わが国にとりましては初めてでございます。  ただ、ほかの第三国と日本との間の交流等は、たとえばフランスと日本との間の交流を例にとりますれば、これは日本国が文部省留学生制度という枠を使いましてフランス人を呼ぶ。日本の国費で出すのも若干ございますけれども、フランス人を日本政府のお金で呼ぶ。フランスはフランスのブールシェという制度を持っておるわけでございますから、これに乗って日本の学生が行く。こういうふうにそれぞれ交換し合っているという形が普通でございます。
  119. 榊利夫

    ○榊委員 いまの説明によりましても、まだちょっと違うと思うのです。やはり今度のこの交流計画の場合、直接の政府計画でありまして、いま説明があったものは、そういう全面的に政府計画をした交流協定ないしは交流ではないわけでありまして、そういう点で、やはり普通国際的には見られない特殊なものであろうと思います。そういうものは、私たちの知る限りでは、本協定のほかにはないと思います。どうして日米間にだけそういう特殊な協定が必要なのか、その理由をお聞かせ願いたいと思います。
  120. 平岡千之

    ○平岡説明員 御指摘の点、これは確かにフルブライト事業の一つの特色でございますが、これはやはり歴史的な沿革、戦後三十年にわたりまして積み上げてまいりましたフルブライトの留学制度と申しますか、フェローシップ、スカラシップでございますが、こういうものが持っておるところの一つの権威と申しますか、名声と申しますか、そういうものは国際的に認められているわけでございまして、また、名声だけではなく、その運用におきまして、アメリカの各大学その他教育関係の機関におきましても非常にウエートを持っていて、このフルブライト計画という仕組みにおいて行くということが交流の上で非常に円滑になっている。たとえば、大学の受け入れ等もフルブライト委員会の選考に対して非常に大きな信頼を得ている。  こういう積み重ねの実績と申しますか、そういうものの上に立ちまして、フルブライトというのは、もちろん日本のみならず、御案内のとおり、世界各国、百カ国ともそういう形で交流が進められておって、二十五カ国がこの経費の分担に応じているのも、そういう現実に積み上げられたフルブライトの仕組みについての国際的な信頼感と申しますか、評価と申しますか、そういうものが背景になっていると考えております。
  121. 榊利夫

    ○榊委員 いま歴史的経過あるいは権威を話されましたけれども、まさにその歴史的な経緯の中に問題が実はあるわけです。  私どももいろいろ資料を調べてみましたけれども、アメリカの下院での国際文化ないし教育の交流の問題について国務省側の説明では、戦後アメリカはこの面で新しい三つ手段を使っている。一つは経済援助、二つは軍事援助、三つは、いわばピープル、人民への投資であるという説明をしておりまして、非常に世界戦略的な立場からこの交流の問題を位置づけ、そして推進をしてきたという事実があるわけであります。  しかも、そういう日本との関係で申しますと、占領時代に端を発したもので、アメリカの政策を日本人に理解させる、こういった目的を持っている。しかも、今度はそれを資金まで半分日本が受け持つ、こういうわけでありますから、やはり公正に見まして自主的ではない。そこに問題がある。きわめて従属的な色彩ないしは性格がある、こういうことを指摘しないわけにいかないわけであります。  この点について、総まとめ的に、できたら外務大臣の御意見を伺いたいと思うのでありますけれども、そういう歴史的経過を含めまして、協定の性格について。
  122. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 学術交流計画あるいは教育に対する援助、協力、これは世界主要国がほとんど何らかの形でやっておるように存じます。その一つであるフルブライト計画でございまして、先ほど来事務当局から申しておりますように、従来のやり方は政府によるコントロールが非常に少ないケースだ、各国のそういう学生交換の計画に比べましてインデペンデントというか独立的な判断で行われておるように私ども従来感じておりまして、さらに今度のこの協定によって両国が全くイコールフッティングというか同じ土台に立つということで、ただいま御指摘のような心配は余りないのではないかと私ども考えております。
  123. 榊利夫

    ○榊委員 いまの自主性の問題と関連いたしまして、せっかく外務大臣が出席されておりますので、一、二質問させていただきます。  大来外相、あなたは就任早々、アメリカ政府の働きかけのもとにイラン原油の輸入増量をやめるよう通産省に申し入れたというふうに伝えられました。現在わが国の石油事情は大変厳しい冬を前に逼迫しておりまして、石油の不足、高騰、国民生活にとっても非常に深刻な問題であることは御承知のとおりです。実際にメジャーの対日石油輸出割り当ても一層削減することが明らかになっております。そういうやさきに、外務省のアメリカ気がねと申しますか追随的な態度、これは石油に悩まされる国民にとりましてはやはり見過ごせない問題ではないかと思いますし、そういう点では自主的な資源外交をとるべきではないかと私ども考えるわけでありますけれども、外務大臣の意見を伺うことができれば幸いだと思います。
  124. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 私ども、イラン側によるアメリカ大使館の占拠と大使館員を人質にとったということは国際法上及び人道上承知できない。また、その問題をめぐってイランアメリカの間が非常に緊張しておる関係がございます。いずれは何らかの形でイラン米国の間の関係が解決されるのだろうと思いますが、両国の感情が非常に高ぶっている際に日本側が積極的な買い付けを行うということは、長期的な日米関係から見ましてもやはり好ましくないのではないか。日本は石油については八割近くを中東に依存しております。主要穀物の輸入については七割を米国からの輸入に依存しておるわけでございまして、日本食糧、エネルギー、その他の原料、資源をほとんど海外から輸入しておる立場にございますので、外交上いろいろそれらの点で考慮をしなければならない点もございます。  私どももイラン及び米国状況についての情報を絶えず両方から受けておりますけれども、非常な緊張状態が存在しておりますので、石油輸入の積み増しについては十分慎重に対処すべきではないか。それからもう一つは、先般の東京サミットで余り高値のスポット買いは自粛するということを七カ国の間で申し合わせておりますので、その点についても国際的反響を十分考慮した方がよろしいのではないか、そういう立場で御指摘のようなことを申したわけでございます。
  125. 榊利夫

    ○榊委員 時間が参りましたのであと一つだけですが、そういう点ではやはりあらゆる点で日本の国民的な利益の立場から対処していただきたいと思います。  とりわけ、あさって大来外相は大平さんとともに訪中されますが、五百億円の借款問題を手みやげにということが報道されております。中国に対しましても同様に自主的な態度をとるべきであると思います。特に中国が対ベトナム再侵略をほのめかしているとき、この問題を抜きに巨額の借款を約束することは、結果的にも中国の覇権主義を激励することにならないか、こういう点につきましても不安を呼んでおりますし、こういうことにつきましてもどうかひとつ外務大臣としての真剣な考慮と判断をいただきたいと思います。もし所見を伺うことができればと思いますが、いかがでございましょうか。
  126. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 中国に対する借款につきましては、日本側三つの基本原則がございます。一つは、中国の現代化に対する協力について欧米諸国と密接な協力をとりつつやるという考え、第二に、ASEANその他、他のアジア諸国に対する影響あるいはバランスを考えつつやる、第三に、軍事的な目的には絶対に協力しない、この三つの原則に従っておりまして、今回の借款供与はその線に沿っておるものと私どもは考えておるわけでございます。
  127. 榊利夫

    ○榊委員 私の質問は終わりますが、最後に、外務大臣がいま言いましたような点で、アメリカとの関係でもあるいはその他の中東諸国あるいは中国との関係におきましても、自主的な態度をとって、あれこれの干渉に対してこれを促進するような、あるいは手をかすようなことは日本の立場から極力戒めるべきである、こういうことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  128. 志賀節

  129. 林保夫

    ○林(保)委員 私は、教育交流計画に関する日本政府アメリカ合衆国政府との協定並びにそれと関連する問題について、時間の制約がございますので率直にお伺いいたしたいと思います。  まず、この日米教育交流計画に関しまして、実際にこれを動かすのはこれからできます委員会、十人の委員で構成すると七ページに書いてございますが、現在の委員またこれから任命されるであろう委員について事務的にお答えをいただきたいと思います。
  130. 平岡千之

    ○平岡説明員 現在、日米それぞれ四人が委員であるわけでございまして、その名前と肩書きは、日本側は、平岡外務省文化事業部参事官、私でございます。その次に仙石文部省学術国際局ユネスコ国際部長、それから、筑波大学の井門先生東京大学の本間先生、この四人から成っておるわけでございます。  なお、アメリカの四人を申しますと、フォースター在京米国大使館参事官、これが議長を務めております。それからジェニングスと申しましてRCAという会社の副社長をしておりますが、これが経理に明るい人でございますので経理担当の委員ということになっております。三番目にジェームソン、ロサンゼルス・タイムズの東京局長でございます。最後に、在京米国大使館のハモルスキー一等書記官、この四人でございます。  新委員会が発足いたしましたときに双方からそれぞれ一人ずつ任命するわけでございまして、私ども人選を進めておりますが、何分協定が発効する前でございますし、人事のことでございますので、ちょっと名前は勘弁させていただきたいと思います。
  131. 林保夫

    ○林(保)委員 そういたしますと、ただいまの八人の委員は結局残るわけでございますか、どうでございましょうか。
  132. 平岡千之

    ○平岡説明員 これも実は任命の手続が、日本側委員日本政府外務大臣でございますが、アメリカ側アメリカの大使が任命するという発令行為を予定するわけでございます。したがいまして、現在のところその発令を予告するのはちょっと勘弁していただきたいのでございますが、方針としては余り変える必要はないのじゃないかといま考えております。
  133. 林保夫

    ○林(保)委員 両国政府の任命によって委員が出され、そしてまた日米の合同委員会ができるわけでございますが、そういたしますと、国民的な立場から見ますと、大変りっぱといいますか、権威のあるものができるのじゃないだろうか、このように考えます。  それと関連いたしまして、四ページでございますが、第三条に「教育交流計画及びこれに関連する教育事業計画を立案し、」このようにありますが、教育交流計画内容はどのようにお考えになっておるか、この点をお伺いしたいと思います。
  134. 平岡千之

    ○平岡説明員 交流計画自体について申し上げますれば、従来の各種のカテゴリー、教授とか学生とかジャーナリストとか、そういう人たち交流双方につきましてつくっていくわけでございまして、他方、分野につきましても、先ほどもほかの先生から御指摘のありましたように、従来実は人数的に限られておりますために、非常に分野を広げても、そのわりには顔ぶれが広い分野にわたらないという問題がございますけれども、私どもの方針といたしましては、いままで、ことにこれから日本拠出も加わりますと事業規模も拡大していけるわけでございますので、応用科学あたりも取り入れたいという方針で考えております。
  135. 林保夫

    ○林(保)委員 従来文化関係交流が多かったと思うのですが、そういう学術あるいは理科関係に枠を広げられることはまことに結構だと思うのでございますが、この教育交流計画計画自体はそういう人選だけにとどまるものか、さらにそのほかのものがあるのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  136. 平岡千之

    ○平岡説明員 交流計画の中身はあくまで人数、それから分野、その人数についての先ほどの諸種のカテゴリー、こういったものが交流計画でございまして、その計画が立ちますと、それに基づいて人選というのを進めるわけでございます。人選の具体的な名前などは、普通、交流計画という場合にはその中には入っておらないわけでございます。
  137. 林保夫

    ○林(保)委員 それでは、この教育交流計画はただ単なる人選だけというふうに了解してよろしゅうございますか。
  138. 平岡千之

    ○平岡説明員 交流計画の中身は、もちろんどういうカテゴリーの人で、どういう分野で研究している人を入れるかという問題がまずございまして、その次に、それらの人たちを募集して、選考して、送り出して、その後帰ってくるわけでございますが、私ども委員会レベルでいたしますときの計画というものは、御指摘のとおり人選がほとんどでございまして、要するにどういう交流をするかということが中身になっておるわけでございます。
  139. 林保夫

    ○林(保)委員 それでは、その下にございます「教育事業計画」というのは一体何なのか、この点についての御説明を伺いたいと思います。
  140. 平岡千之

    ○平岡説明員 協定三条(a)項に書いてございます「これに関連する教育事業計画」と申します場合には、諸種のものがございます。たとえば東京にございますフルブライト委員会事務局では教育相談という事業をやっておりまして、必ずしもフルブライトの枠に乗っていく人でない人たちに対しましても、アメリカにございます諸大学につきましてのパンフレットを用意してそれを見てもらったり、説明を求められれば、それ専門の職員がカウンセラーの形でおるわけでございますから、そういう者がアドバイスをする、これが留学相談的な業務でございます。そのほか、たとえばハワイのイースト・ウエスト・センターのようなところは、そこに日本人を招請する一種の片道の交流計画をやっておりますが、センター自身がハワイから来て選考いたしますよりも、フルブライト委員会に委託した方が簡単だということで、実費は全部徴収しておりますけれども、そういうものを請け負ってそういうサービスをする、こういうこともここで言う「教育事業計画」でございます。
  141. 林保夫

    ○林(保)委員 ただいまの御説明にもございましたように、いままでフルブライト計画ではやっていなかった事業を吸収するようなことも考えられるようでございますね。そういたしますと、現在外務省が考えておられるフルブライト計画以外の文化交流教育事業、大事なものばかりだと思いますけれども、それをどの範囲でこの日米教育協定で拾うのか、また拾えるのか、この点についての見解を伺いたいと思います。
  142. 平岡千之

    ○平岡説明員 先ほど申しましたハワイのイースト・ウエスト・センターの事業のようなものは、現在の委員会が従来からすでにやっておるところでございます。現在私どもは、御指摘のような意味での新規事業の吸収ということは全く考えておりません。このことも、形式的に申しますれば、新委員会が会合いたしまして、そのときに新しい決定が理論的にはあり得ることでございますけれども、私どもの予想といたしましては、フルブライトはやはりフルブライト本来の仕事、フルブライトの教育交流計画にのっとった仕事というのが中心でございまして、それに付随した限りにおきまして留学相談とか、それから特殊な、ハワイにあるそういうものについてのサービスとかいうことは今後もいたしますが、それぞれございます、たとえば国際交流基金のような、そういう別個の団体がやっております領域を侵すようなことは、いまのところ考えていないわけでございます。
  143. 林保夫

    ○林(保)委員 たとえば、今日、官民のベースで日米間ではかなり多くのいろいろな交流計画が現に行われておると思うのでございますが、特に民間ベースで行われているもので、今度の新しい日米交流計画に実際の事業をのっけてやろう、こういう申請といいますか、何か出た場合には、それを受け入れる用意があるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  144. 平岡千之

    ○平岡説明員 御指摘のような申請がございました場合には検討する余地はあると思います。現在、御指摘のように各種の交流が行われておるわけでございますから、フルブライトの枠に乗っていく人たちは、比較的にはその中のかなり小さな部分を占めるようになってきておるわけでございます。国際交流基金、文化庁、文部省、その他いろいろな形のものと民間のものがあるわけでございます。
  145. 林保夫

    ○林(保)委員 その点に関しまして、ちょっとくどいようでございますけれども、たとえば私どもが、というよりも民間でやっておる事業を持っていった場合に、それを受けるか受けないかの判断基準といいますか、そういうものは大体どの辺に置くかということを、もしお示し願えればひとつお願いしたいと思います。
  146. 仙石敬

    ○仙石説明員 現在民間で行っております教育交流計画をフルブライト委員会が引き継ぐということは考えておらないわけでございますけれども、今度の協定ではフルブライト計画は民間からの資金を得ることができるということになっております。それでございますので、民間の方が日米教育交流のために使ってほしいと言われた場合には、その資金をこのフルブライト計画の一環として使用する計画でございます。
  147. 林保夫

    ○林(保)委員 これからの問題でございますのでこれ以上あれでもございましょうが、しかしなお、大変大きな、何といいますか、ベルトができるような感じが実はいたします。先ほど外務大臣提案理由説明の中でも、画期的という言葉こそ使わなかったけれども、まさにそのような問題だというふうに理解できるわけでございますが、これにおける日米間の対等の原則は議長選出の面でも出ておりますが、やはりGNP一つとりましても大変違う、防衛問題にいたしましてもアメリカの方が日本に援助しているような、力をかしているような関係にある。その中でいかに公正を期するかということにつきまして、一言大臣にお言葉をちょうだいいたしておきたいと思います。
  148. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 私ども、従来諸外国との関係をいろいろ見てまいりして、対米関係も含めまして日本の国際的地位が非常に高くなってまいりまして、いろいろな問題について日本側の意見を聞きたい、相談してやっていきたいというケースが毎年ふえてまいっておるように思いますので、この傾向が続いてまいりますれば、日本の独自な立場というものを持ちながら国際的協力を進める場がふえてまいるかと考えております。
  149. 林保夫

    ○林(保)委員 これに関連いたしまして、国際的な文化交流の問題につきまして質問いたしたいと思うのでございますが、それこそ総理の施政方針演説を見ましても、外務大臣の外交演説にいたしましても、さらに外交白書にいたしましても、それから日本から要人が出ていく、あるいは外から来る、これにつきましても全部、どの共同声明を見ましても、文化交流、このようなことが本当にカラスの鳴かぬ日はあっても出ない日はないというぐらいに出ておりますが、これについて政府としてあるいは外務省として、何か原則なりあるいは文書にしたり、あるいはまた決定したものがあればひとつお示し願いたいと思うのでございますが……。
  150. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 文化交流につきましては、諸外国との相互理解、友好親善関係を発展させまして、わが国の外交上大きな意義を有するとともに、わが国及び世界の文化水準を高めるという意味できわめて重要だと考えております。この認識に立ちまして、次の方針に基づいて文化交流の推進を図っております。  第一が、現代日本についての諸外国の理解を深めるため、海外の大学等における日本研究、日本語普及事業を推進する。  第二が、外国人留学生に対する施策の充実を図り、また帰国後の元留学生のためのアフターケアに努める。  第三に、わが国の芸術に対する外国の理解を深めるため、海外における公演、展示の活動を推進する。また、わが国の諸外国、特に開発途上国の芸術に対する理解を深める。  第四に、国際友好親善を促進するための有力な手段であるスポーツ交流及び青少年交流を推進する。  第五に、文化交流の推進に当たっては開発途上国の文化、教育水準の向上のための文化協力に特に配慮する。  以上のようなことが主な方針になっておるわけでございます。
  151. 林保夫

    ○林(保)委員 ありがとうございました。  しかし、なおそれは、実は文化交流というのはサンフランシスコ講和条約発効以来の問題でございまして、吉田内閣で何か閣議決定とかあるいはまた省議決定をしているとか、いま外務大臣がお読みになったのが最近決められたとか、そういう節が何かございますでしょうか。その点についてお伺いしたいと思います。
  152. 平岡千之

    ○平岡説明員 先ほど大臣から御説明いただきましたような方針はかなり前からやっておりますが、特に節目と申しますれば、国際交流基金というものが七年前にできましたとき、ここいら辺はその一つの節目だろうと存じます。まさにあそこで述べられましたような諸点が国際交流基金の各部局として、たとえば人物交流部、事業部、日本研究部、そういうような形で構成されておるわけでございますし、国際交流基金法が審議されるときにそういう考え方が固まっていく一つの節目になったというわけでございます。
  153. 林保夫

    ○林(保)委員 時間がございませんので、それが大来外相の方針なのか、あるいはまた省議決定したのか、あるいは閣議決定したのか、詰めたいのでございますけれども、これは譲るといたしまして、御承知のように最近、入学は日本で卒業はアメリカとか、あるいは一九八〇年度アメリカの大学生の正式入学の募集とかといったいろいろなものがございまして、それがまた大変日本が恥をかかされるような形を日本自身でつくり出している、こういう問題も実は出ております。それにつきましての監督官庁は一体どこなんだという論争もあることも知っております。時間がございませんので、それは詰めません。  しかしなお、このことによって日本の対外信用が傷つき、また、私たちの同僚の在外公館の皆さんが苦労しておられる現実は目に余るものがあると思うのでございます。これらについてもやはり、そういう対外的な交流の方針がきちっとしてない、担当している省はどこなんだ、こういうものがないところから来ていると私は批判せざるを得ないと思います。これが国民的な立場から見まして、善意で出ていくわけですけれども結果においてそれが全うできないという状態がいっぱいございますので、この点をしっかり要望いたしたいと思います。機会がありましたらまたこの点、御質問いたしたいと思うのでございます。  最後に一つ、質問になるか要望になるか、お願いしておきたいのでございますが、漁業とそれからまた小麦の問題につきましては、これは承認が遅きに失するというような状態、私どもの同僚あるいはまた友党との関係で外国との関係もございますけれども、いろいろと批判が出ております。ぜひこれを促進されるように要望いたしたいと思いますが、そのことはさきの本会議における代表質問で私どもの委員長佐々木が御質問申し上げましたように、一言で言うならば、新しい八〇年代の時代に対応して外務省が旧来の陋習を破ってがんばっていただきたい、新しい時代に対応するような対応をぜひやっていただきたい、こういうことでございました。どうかそういった意味でひとつ、懸案の処理もいっぱいあるやに聞いて、私どもも新参者でございますが、実は驚いているような次第でございます。どうか促進を図られるよう要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  154. 志賀節

    志賀委員長代理 以上で各件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  155. 志賀節

    志賀委員長代理 これより教育交流計画に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件について討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。榊利夫君。
  156. 榊利夫

    ○榊委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、日米教育交流計画協定の批准承認案件について反対の討論をいたします。  すでに先刻述べましたように、私どもは学術、文化の国際交流が自主、平等の基礎の上に発展することを心から求めるものであります。  ところが、本協定は、日米対等の新しい協定という形式をとっているものの、その前文でも明らかなように、アメリカ占領時代からのフルブライト計画の事実上の継続を図るものです。ここに大きな問題があります。  実際、米国務省は、その外交政策の新しい強力な手段として、経済援助、軍事援助とともに教育、文化交流を推し進めることを明言してまいりました。フルブライト計画はまさにその一環であり、本協定は、それと縁を切って、新たに自主、平等の基礎の上に交流を進めるというものではありません。しかも、ドル防衛に一役買って、日本がその費用まで半分負担しようとするわけで、アメリカの対日知識人工作の費用を日本が半分肩がわりすることになるものであります。  もちろん、一般論といたしまして、教育、文化交流のプラス面もあるでしょうけれども、本協定の従属的性格をそれで排除することはできません。  以上の点を指摘して、批准に反対するものであります。  以上です。
  157. 志賀節

    志賀委員長代理 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  158. 志賀節

    志賀委員長代理 これより採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  159. 志賀節

    志賀委員長代理 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、北西大西洋漁業についての今後の多数国間の協力に関する条約締結について承認を求めるの件について討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  160. 志賀節

    志賀委員長代理 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、千九百七十一年の国際小麦協定を構成する小麦貿易規約及び食糧援助規約有効期間の第五次延長に関する千九百七十九年の議定書締結について承認を求めるの件について討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  161. 志賀節

    志賀委員長代理 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました三件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 志賀節

    志賀委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  163. 志賀節

    志賀委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時四十三分散会