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松本(操)
政府委員 お答え申し上げます。
昭和四十九年に
航空審議会関西部会の
答申を受けましてから、その趣旨を尊重いたしまして、まず私
どもとして具体的な
調査、検討に入りました。それと同時に、やはり成田
空港に見ますような貴重な経験があるわけでございますので、
地元の
理解を得る、
地元と一体となった
空港を
建設し運営していくということを念頭に置きまして、五十年、五十一年ごろ、
地元に対して数次にわたり
説明会等を催したわけでございますが、その
時点においては、遺憾ながら、まだ
空港というもの
そのものについての
反対論者というのが非常に多うございまして、必ずしもわれわれの意を十分に尽くし得るほどの
説明ができなかったうらみがございました。そうは申しますものの、五十二年いっぱいかかって
大阪府との間にいろいろ
話し合いを詰めました結果、
関西空港の
候補地とされております
泉州沖に海上一カ所、陸上三カ所の
固定測定点をつくる——これも、
測定点を設けること自身が直ちに
空港建設の第一歩である、こういうふうな誤解がございまして大変に時間を要しましたけれ
ども、おかげさまで五十三年の一月からは、ここで連続的に地象、海象、
気象等についての
データをとることをいたして射るわけでございます。
一方、われわれなりに
研究をしておりました問題に加えまして、五十二年ごろになりまして
工法そのものについての問題が出てまいりました。御案内のように
答申そのものは四つの
工法を比較検討した上で
埋め立て工法がその
時点においては最も妥当ではないかという結論であったわけでございますが、その後、
答申当時に
考えられておった
浮体工法とは異なる
浮体工法の案が出てまいりました。したがって、私
どもの方もこれについて五十三年度に一億余の
研究資金を投入して検討いたしました。ことしの春から夏ごろにかけて、
浮体工法も一応技術的に
可能性はある、しかし、まだいろいろとむずかしい問題があるのではないかという
あたりのところまでを詰めてまいったわけでございます。
このほか、この
空港建設について最も大きく取り上げられておりました
環境影響の問題につきましては、先ほど御
説明いたしました
定点観測の
データのほかに相当の項目にわたりて
環境影響評価を委託
調査いたしております。その
成果は来年早々ぐらいには何とか取りまとめられるのではないかと
考えております。
このような
動きの中におきまして、
地元における
空港についての感触も四十九年ごろに比べますと大分変わってまいりました。いろいろと前向きに物事を
考えていこうではないかという方もふえてまいりました。そういうふうな
状況でもございますし、また
空港の
建設そのものをいつまでも放置しておいてよろしいということでもございませんので、先ほど
大臣がお答え申し上げました五十五年度を
初年度とする
長期計画の中で一兆一千九百億を計上し、そして六十年代のなるべく早い時期に、と申しますのは、この
長期計画は六十年度までの
計画でございましてそれから先の部分がブランクになりますので、六十年代のなるべく早い時期に
空港を完成させるという
計画の基本的な立ち上がりの部門についての手当てをまずしたわけでございます。
その後、十一月になりましてから
航空審議会の中で第二回目の
関西部会をおつくりいただきました。そこで
空港基本計画に
重点を置きながら、さらにその中でも特に
工法問題に
重点を置くということで
研究をしていただくことにいたしました。すでに二回の
部会の
議論を経まして、来たる十二月十三日には第三回目の
議論を行い、ここにおいて
浮体及び
埋め立ての両
工法についての基本的な
技術概念とでも申しましょうか、そういうものを御
説明して、それから
部会の方でさらに委細を詰めていただくことになろうかと思っております。
そこで、私
どもの気持ちといたしましては、
部会の
審議をできれば年度内あるいはおくれてもそうおそくない
あたりのところでおまとめいただいて、それらを踏まえ、別途、先ほど御報告いたしました
環境影響評価の
成果も踏まえ、さらに
地元には
陸岸部の
地域計画をどうするのかということについての関心が非常に強いようでございまして、
関係の
省庁とも寄り寄り
相談をしているわけでございますが、そういったものを粗く取りまとめたものも添えまして、来年度なるべく早い時期に
地元の
府県と御
相談を始めるようにしたいと
考えておるわけでございます。したがって、今後の予定をいま明確な形での
スケジュールとしてごらんに供するのはちょっと期が熟していないわけでございますけれ
ども、
審議会の
まとまりようが大体私
どもが期待しておるような時期にまとまってまいりますれば、来年の夏ごろには突っ込んだ
議論を
地元の
府県とできるような
状態になっているだろう。またもう一方で、私
どもの用意する資料のできぐあいにもよるわけでございますけれ
ども、これは
全力投球できちっとしたものをつくろうと思っておりますので、
地元府県との
話し合いがスムーズに進むという仮定をさらにもう一度置きますと、五十六年度には何とか
実行面にまで手がつけられるのではないだろうか、このようなのが大体私
どもの頭に描いておる
スケジュールでございます。