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1979-11-14 第89回国会 参議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年十一月十四日(水曜日)    午後一時五分開会     —————————————    委員異動  十一月十三日     辞任         補欠選任      小巻 敏雄君     立木  洋君      柄谷 道一君     柳澤 錬造君  十一月十四日     辞任         補欠選任      田原 武雄君     下条進一郎君      太田 淳夫君     藤原 房雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         青木 薪次君     理 事                 遠藤  要君                 中村 啓一君                 村沢  牧君                 原田  立君     委 員                 上田  稔君                 梶木 又三君                 金丸 三郎君                 坂野 重信君                 坂元 親男君                 下条進一郎君                 戸塚 進也君                 立木  洋君                 柳澤 錬造君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  園田 清充君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        環境庁自然保護        局保護管理課長  田村久仁夫君        国土政務次官   望月 邦夫君        国土庁長官官房        審議官      柴田 啓次君        国税庁直税部所        得税課長     西内  彬君        文部省学術国際        局学術課長    七田 基弘君        文部省体育局体        育課長      加戸 守行君        文部省管理局教        育施設部助成課        長        横瀬 庄次君        農林水産大臣官        房審議官     塚田  実君        資源エネルギー        庁公益事業部原        子力発電安全管        理課長      向 準一郎君        中小企業庁小規        模企業部参事官  山口  務君        運輸省港湾局防        災課長      浦江 恭知君        気象庁予報部業        務課長      浅田 暢彦君        気象庁観測部長  末広 重二君        建設省河川局海        岸課長      西原  巧君        建設省河川局砂        防部砂防課長   釣谷 義範君        建設省道路局国        道第二課長    本山  蓊君        自治省大臣官房        参事官      吉田 弘正君        日本国有鉄道施        設局土木課長   大橋 勝弘君    参考人        火山噴火予知連        絡会会長     永田  武君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○阿蘇火山爆発による被害に関する請願(第四一  号) ○参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (台風第十六号及び第二十号による被害に関す  る件)  (木曽御岳山噴火による被害に関する件)  (地震防災対策に関する件)  (桜島活動火山周辺地域における降灰対策に関  する件) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件 ○理事辞任の件     —————————————
  2. 青木薪次

    委員長青木薪次君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十三日、小巻敏雄君及び柄谷道一君が委員辞任され、その補欠として立木洋君及び柳澤錬造君が選任されました。  また、本日、太田淳夫君及び田原武雄君が委員辞任され、その補欠として藤原房雄君及び下条進一郎君が選任されました。     —————————————
  3. 青木薪次

    委員長青木薪次君) これより請願審査を行います。  第四一号阿蘇火山爆発による被害に関する請願議題といたします。  本請願につきましては、理事会において慎重に検討いたしました結果、議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものとすることに意見の一致を見ました。  つきましては、理事会協議のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  災害対策樹立に関する調査のうち、木曽御岳山噴火に関する件について、本日、参考人として火山噴火予知連絡会会長永田武君の出席を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  8. 青木薪次

    委員長青木薪次君) この際、園田国土庁長官及び望月国土政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。園田国土庁長官
  9. 園田清充

    国務大臣園田清充君) ごあいさつを申し上げます。  このたび新内閣の発足に伴いまして国土庁長官を拝命いたしました園田でございます。  災害から国民の生命、身体、財産を守ることは国政の基本でございまして、私は大規模地震を初め台風豪雨、豪雪、火山噴火等各般災害に対する施策の推進に積極的に取り組んでまいる決意でございます。委員長初め皆様方の御指導、御協力を心からお願いをいたします。  どうぞよろしくお願いいたします。(拍手
  10. 青木薪次

  11. 望月邦夫

    説明員望月邦夫君) このたび国土政務次官を拝命いたしまして、中央防災会議事務局長として災害対策の重責を担うこととなりました望月邦夫でございます。  今後は、大臣をお助け申し上げ、委員長初め、委員皆様方の格段の御指導を仰ぎながら災害対策に全力を尽くしてまいる所存でございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  12. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 災害対策樹立に関する調査議題といたします。  まず、先般当委員会が行いました地震防災対策実情調査のための委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。原田立君。
  13. 原田立

    原田立君 地震防災対策実態調査の御報告を申し上げます。  青木委員長中村理事村沢理事戸塚委員及び私原田は、去る十月十六日より四日間にわたり、山梨県、長野県及び静岡県における地震防災対策実情調査してまいりました。なお、静岡県下では太田委員熊谷弘君、勝又武一君が現地参加をされました。  この調査は大規模地震対策特別措置法施行後の、地方における地震防災対応を探ろうとするいわば事前調査でありますが、その詳細等会議録末尾掲載していただくことを委員長にお願いし、ここでは大要報告にとどめたいと存じます。  まず、各県下の地震防災対策の取り組みについてであります。  過日指定のありました地震防災対策強化地域に関しては、三県とも深い理解と関心を示しており、これを契機に防災施策の一層の拡充を図る決意を披瀝しておりました。しかし、全県指定となった静岡県は、国の積極姿勢のあらわれと歓迎、評価していましたが、部分指定となった山梨県、長野県は、防災行政の上で区分、格差はとれないと強調、強化地域拡大指定必要性を訴えておりました。  十二月までに策定が義務づけられている地震防災強化計画に関しては、三県とも具体的な目標数値を設定し、地域総合防災計画に位置づけたいとしており、意欲的に作業を進めておりました。  国鉄道路公団等公共機関、病院、デパート等特定企業もそれぞれ防災計画応急計画策定を義務づけられておりますが、従来の防災対策の手直しによる拡充を目指す一方で、いずれも警戒宣言発令時の避難指令操業停止等の扱いについては模索、検討中の段階でありました。強化計画にかかわるこれら機関要望点としては、盛り込まれる防災事業円滑実施を確保するための特別な財政援助融資等であり、また地方では対処できない広域輸送物資供給医療救援等に対する国の方針の早期明示についてでありました。こうした地方での地震防災への対応を踏まえ、今後具体的な防災対策を進めていく上での課題としては、次の諸点が集約されました。  第一は、強化地域外周部でも地震の危険が予想されるので、この地域観測を強め、追加指定を図ること。  第二は、基本計画を中心に強化計画応急計画の整合を図り、同一水準の防災対策が担保されるよう行政面指導を図ること。  第三は、防災体制の主体として、地域における防災コンセンサスを高め、住民による自主防災組織の育成を図ること。  第四は、新しい地震防災前提要件となる地震予知体制の一層の拡充、整備を図ること。  第五は、地震防災事業の迅速、着実な実現を裏づける特別な財政援助のための特別立法等措置を講ずること、等でありました。  次は、日程中に遭遇した台風第二十号による被災現場並びに由比地区における地すべり防止対策進捗状況についてであります。  駿河湾の高波のため、静岡海岸防潮堤海岸道路(県道)が約千メートルにわたり断続的に決壊、海水は農地を冠水して民家まで侵入、調査団も全身を波しぶきに打たれる物すごさでありました。この地区の海浜は戦後だけでも百メートル以上浸食されており、この実態を精査し、原因除去の的確な施策を実施することが必要でありますが、そのためにも地元民が強く要望する離岸堤の建設こそ不可欠と痛感したのであります。農地、家屋、人命の危標を排除する応急対策早期実施とともに、連年災害を食いとめるため、こうした離岸堤等災害予防恒久的施策に関しても、国はその実現を決断すべきであります。  また由比地すべり防止対策は、林野庁が担当する東地区状況を視察しました。この地区は、山腹斜面が海に迫るわずかな平地に国鉄道路等交通、通信の大動脈が集中しており、防災上の最重要地点とされているところであります。排土工水路工等ですでに五十億円の事業費が投入されておりましたが、今後さらに八十億円を要するとされており、事業の一層の進捗が望まれておりました。  国土庁はこの地区に関し、大地震による危険性対応策検討する新たな調査を開始しておりますが、地元ではこの調査に基づく新たな防災事業早期設定を強く望んでおりました。  なお、伊豆半島では、伊豆大島近海地震災害復旧状況を視察する予定でありましたが、台風第二十号の直撃のため、日程変更を余儀なくされましたことを申し添えます。  以上が調査大要でありますが、この間、県並びに公共機関等の各位に種々の便宜をいただいたことに対しお礼を申し上げ、報告を終わります。
  14. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 先ほど原田君から御要望のありました詳細にわたる調査報告書会議録掲載の件につきましては、これを本日の会議録末尾掲載をいたしたいと存じますので、御了承をお願いいたします。  以上で派遣委員報告を終わります。     —————————————
  15. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 次に、台風第十六号及び第二十号による被害に関する件並びに木曽御岳山噴火による被害に関する件について、政府から報告を聴取いたします。柴田国土庁審議官
  16. 柴田啓次

    説明員柴田啓次君) 台風十六号、二十号及び御岳山噴火による被害等について御報告いたします。  初めに、台風十六号でございますが、台風十六号は九月二十六日から十月一日にかけて日本列島を縦断し、このため各地に暴風雨、豪雨などによる被害をもたらしました。  その被害状況は、死者・行方不明十一名、負傷者八十四名、建物の全半壊約四百四十棟、床上浸水約五千二百棟等となっており、施設関係等被害報告額は、公共土木施設関係農林水産業関係、その他を合わせまして約二千百億円となっております。  なお、この災害激甚災害として指定する政令を昨日の閣議で御決定をいただきまして、今月十六日に公布することといたしております。  次に、台風二十号による被害でございますが、台風二十号は十月十八日から二十日にかけて、台風十六号とほぼ同じコースで日本列島を縦断し、台風十六号を上回る被害をもたらしました。  その被害状況は、現在までに判明したところでは、死者・行方不明百十七名、負傷者五百三十名、建物の全半壊約八百棟、床上浸水約七千棟等となっており、施設関係等被害報告額は、公共土木施設関係農林水産業関係、その他を合わせまして約三千百億円となっております。  政府といたしましては、この台風二十号につきましては、直ちに国土庁長官本部長とする非常災害対策本部を設置いたしまして、二回にわたり政府調査団被災地に派遣いたしますとともに、被害状況把握、緊急にとるべき対策検討等、所要の措置を講じております。  今後、災害復旧早期実施激甚災害としての指定検討等につきまして、万全を期することといたしております。  続きまして、御岳山噴火による被害等でありますか、御岳山有史以来の沈黙を破りまして、十月二十八日噴火を始め、山頂付近に噴石、灰を堆積させ、北東方向降灰をもたらしました。その後黒煙はおさまり、水蒸気噴出が次第に弱まりながら続いている状況でございます。  噴火による被害状況は、開田村におきまして降灰による野菜、牧草の被害報告されております。また、地獄谷の噴出孔から濁川に白濁水が流れ、王滝川の牧尾ダムに流入をいたしました。噴火後、直ちに御岳山周辺観側を強化し、観側結果に基づく火山情報を出しているほか、関係省庁担当者による調査団を派遣し、被害実情把握を行い、農作物対策泥流対策濁水対策地元市町村に対する財政措置等について万全を期することといたしております。  以上でございます。
  17. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 以上をもちまして、政府からの報告を終わります。  これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
  18. 村沢牧

    村沢牧君 私は、ただいま報告のありました木曽御岳山噴火について最初にお伺いいたします。  十月二十八日の早朝、木曽御岳山噴火したことは有史以来と言われ、まさに寝耳に水の出来事であったわけであります。登山の最盛期でなかったために、幸いに人命に関する被害はなかったというものの、いま報告のありましたように、農産物や養殖業、さらにまた水道等に対して大きな被害を与えておるわけであります。現在は噴火当時よりも活動が静かになったようでありますけれども、今後どうなるであろうかということについての、地元住民の不安と対策についての戸惑いが生じておるわけであります。この噴火について、火山噴火予知連絡会は、十月二十九日に御岳山火山活動に対する統一見解を発表いたしたところでありますけれども噴火後二週間以上たった今日におきまして、この統一見解に補足して説明するようなことはないのかどうか。きょうは予知連永田会長参考人としてご出席を願っておりますので、永田会長の方から御答弁をお願いしたいというふうに思います。
  19. 永田武

    参考人永田武君) ただいまのお尋ねに対してお答え申し上げます。  いまお話ございましたように、先月二十九日に統一見解を出したわけでありますが、その際に気象庁名古屋大学、東京大学が調査団を出しまして、主として火山地震観測をする、その結果を、詳しい火山情報を出すというお約束をいたしております。  私どもは、今月の十九日に在京の幹部会を開きまして、これまでやられました結果を詳しく分析する予定でございますが、私が会長といたしまして今日までに電話その他で得ました情報によりますと、木曽御岳の南の約十キロぐらい離れた地域には依然として局部的な地震が発生いたしておりますが、われわれの見解及び知識によりますと、そういう火山地震山頂に、つまり、火口に近づいてくるような傾向がございますと、下のマグマが上に上がってくるわけでございますので、非常に警戒を要するわけでございますが、ただいまのところまではそういう兆候はございません。  いま申し上げましたように、十九日さらに分析する予定でございますが、ただいま村沢先生からお話しございましたように、山頂での噴煙その他は静かになりつつありますし、それから火山地震は、と申しますか、局部的に群発地震は依然として十キロぐらい離れたところに起きてはおりますけれども火山に近づく傾向はありませんので、依然警戒はいたしておりますが、特に警戒を強めるというような必要は感じておりません。ただし、十九日にもう少し詳しく調べまして、改めて気象庁を通じまして本式の火山情報を出す予定にしております。  以上でございます。
  20. 村沢牧

    村沢牧君 この統一見解によりますと、噴火は当分の間続くであろう、こういう見解を示しておるわけですけれども、この当分の間ということはどのくらいを会長さんは想定されるんですか。
  21. 永田武

    参考人永田武君) ただいまのお尋ねにお答えいたします。  これは水蒸気爆発、つまり、温かい火山の中に雨、降水その他による水がたまりまして噴火活動しました場合と、それから本式に地下からマグマ——溶けた溶岩が上昇してまいりますときとは違うわけでございます。私どもは普通の火山活動は、少なくとも数カ月——二カ月とか、三カ月というものが普通でありますので、統一見解で申しました当分というのは二、三カ月という意味でございます。しかし、これはもしも今度の御岳活動水蒸気爆発であるということが確認されますれば、これはもっと短くなる予定でございますし、先ほど申し上げましたように、私どもはこれが下からマグマが上がってくるのかどうかということを、目下主として火山地震計を使いまして監視している最中でございます。
  22. 村沢牧

    村沢牧君 いま永田会長からこの噴火の性格についても若干お話があったわけでありますけれども、今回の噴火が、お話がありましたように、単なる水蒸気性噴火であるのか、それともマグマを噴き出す本格的な噴火であるかということは議論の分かれるところだというふうに思うのであります。しかし、学者や研究所あるいは測候所の今日までの意見を総合すると、これは水蒸気爆発という見解が非常に強いようでありますけれども、現段階においてそのように理解をしてよろしいかどうか、それともマグマ性噴火の心配もあるのか、この辺の見解はどうでしょうか。
  23. 永田武

    参考人永田武君) お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、もしも地下からマグマが上がってまいりますと、これは大変なことになりますので、主として地震計観測網を敷きまして、そうして地下からマグマ地面を破壊しながら上昇してくるかどうかという状態を観察しているわけでございますが、ただいまのところではそういう兆候はございません。  さらに、かねてから木曽御岳地質調査している富山大学並びに通産省の地質調査所から火山地質専門家が参りまして、出ました噴出物を分析いたしておりますが、現在までわかりまして私に入っております報告によりますと、灰、それから山頂近くではかなり大きな噴出の岩が落っこっておりますけれども、これらはいずれも昔噴火いたしまして堆積しているものでございまして、新しく噴出したものは見つかっておりません。でありますので、現在まで噴出しているものはいわゆる水蒸気爆発という、つまり新しいものではございませんで、前に噴火して堆積しているものが水蒸気と一緒に飛び出ているということはほぼ確かだと思っております。  以上です。
  24. 村沢牧

    村沢牧君 いままでのお話を聞いておりますと、水蒸気爆発傾向が強いというふうに理解をするんですが、そうすると先ほどお伺いいたしましたように、当分の間というのは、お話がありましたような二カ月か三カ月間、そんな程度にきょうのところは理解しておいていいですか。
  25. 永田武

    参考人永田武君) 先ほど申し上げましたように、私どもはまだ観測を続けております。と申しますのは、御岳の南方約十キロから二十キロの地域群発地震が起こっておりまして、これが本当に火山性のものであるかどうかということを確認する必要があるからであります。で、先ほども申し上げましたけれども、この山ろくにおきます群発地震活動木曽御岳山頂に近づいてくるというようなことがなくて、そして群発地震が次第におさまるならば、いま先生のおっしゃいましたように、本格的なマグマによる活動は起こらないだろうと言えると思います。でありますので、私どもは少なくとも一カ月は観測を続けまして、その結果をもちましてより確度の高い情報を出したいと考えております。  以上です。
  26. 村沢牧

    村沢牧君 なぜ噴火が起こったのかという原因についてもいろいろと学者先生方意見をおっしゃっているんですけれども、その中の一つとして、今回の噴火の近く変動との関係があったんではないか、こういうことを言われる先生もおるわけです。ということは、御岳山周辺中部山岳地帯は世界でもまれな活断層地帯でありますね。そこに阿寺断層というのが走っておる。活断層がプレートの力によって活動化して、そして噴火やそれに伴う大地震を誘導するんではないかと、こういう学説があるんですけれども、この地殻変動噴火との関係についてはどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。  それと関連をして、この御岳山のふもとの三岳村に名古屋周辺百万人の住民水源調整をする、いわゆる牧尾ダムという日本でもまれに見るような大きなロックフィルダムがあるわけですね。このダムの下にこの活断層が通っている。したがって、ダムをつくったことによって従来地下から噴き上げておった水蒸気が出口を失ってしまった、そこへダムの重圧がかかったので御岳噴火のこれが引き金になったんではないか、こういうことを関連して言われておる筋もあるんですけれども、この辺についてはどんなような見解を持っているでしょうか。
  27. 永田武

    参考人永田武君) お答えいたします。  先ほど申し上げませんでしたが、地殻がひずむということは当然考えられるわけでございますので、実は名古屋大学御岳東南山腹にわれわれはジオディメーターと申しますが、地面のひずみを正確に測定する装置を置きまして観測を続けております。今月の初めから。ただいまはわれわれの経験によりますような、つまり注目すべき変動は出ておりませんので、専門家といたしましてはそういう測定をいたしておりますが、ただいまのところただ一カ所でございます。東南の、つまり地震のある側でございますが、の観測では地殻変動が起きているという観測結果は見当たっておりませんので、ただいまお尋ねになります意見につきましては、そういうことに対する著しい変化は見当たらないというお答えを申し上げていいかと思います。  以上です。
  28. 村沢牧

    村沢牧君 現在一カ所で調査をしているけれども、そういう変化は見当たらないという御答弁だったわけでありますけれども、しかし地殻変動が全然関係がないという断定もやっぱりできないんではないかと言われる筋もあるわけですね。その辺についてここではっきりした御答弁は別といたしましても、地殻変動関係あるのかどうか、あるいはまた地元で言われておりますように、牧尾ダムもこれに関係しているんではないかというふうに言われているんですが、この辺について、これは噴火予知連の方の関係になりますか、あるいは政府機関のどこの関係になりますか、もっと検討を深めてもらうということはできませんか、今後。
  29. 永田武

    参考人永田武君) 御指摘のように、なし——これは起こらないという断定は何事でも大変むずかしいことでございまして、私の先ほどのお答えは、それを証拠立てるような著しい変化ははかられていないというお答えをしたわけでございます。でございますから、私は、私の立場を説明さしていただきませんと、私のお答え申し上げることを御理解願えないかと思いますが、長年東京大学で地球物理の教師をいたしておった者でございます。それで、その経験でいろんな火山地震その他の調査にも当たってきた者でございますが、確かに広い意味では地殻変動と、それから火山活動とは関係がございます。それなるがゆえにわが日本列島は、他国に比べまして著しく大きな破壊地震が数十年あるいは百年ごとに起こる運命にあります。それから、火山日本列島の北海道からずっと九州に至るまで日本じゅうの、四国並びに中国の一部を除きまして活火山が並んでおります。これはいずれも、先生方も御案内かと思いますが、太平洋の方から地面が西へ西へと流れてきまして、それで日本の列島の下にもぐり込んでおります。このことは最近この二十年ぐらいに確立いたしまして、いまでは専門家としてはだれも疑う者はございません。それはやはり地殻がひずんているから地震か起こり、そして火止活動もその関連作用の結果として起こるわけでございます。  そういうわけでございますから、いま先生が御指摘になりましたように、広い意味であるいはロングタームで、つまり長い時間にわたりますれば地殻変動火山噴火あるいは地震の発生というのは密接な因果関係にございます。このことは間違いございません。が、局部局部で木曽御岳はどうであるか、あるいは富士山はどうであるか、あるいは浅間山はどうであるかという局部局部では非常に複雑な変動をいたしますので、その場所場所でわれわれといたしましては専門的な、特定な地域での地殻変動の特徴をつかまえるような観測をいたしてきたわけでございますし、今度の場合も、もし木曽御岳付近の地殻変動するならば、最も大きく変わるであろうと思われる地点を選びまして、そして観測点として観測を続けているが、著しい変化はまだ見つかっていないという御返事を申し上げておるわけであります。  ちょっとプラスだかマイナスだかわからない返事をいたしましたが、もう一遍繰り返しますと、大きく日本列島あるいは何十年という時間を見れば、地殻変動地震並びに火山噴火とは密接な関係があるんだ、今度の木曽御岳噴火につきましては、それに伴う、あるいはそれに前駆すると思われるような地殻変動は見当たっていないというのが御返事でございます。  以上です。
  30. 村沢牧

    村沢牧君 次は、この御岳噴火が東海地震につながってくる可能性も心配されるんではないかとも言われるんです。ということは、太平洋に大地震が発生する前後の六十年間は内陸部の地震が活発化するという学説もあるようですから、将来発生するであろうと思われるこの東海地震とこの噴火とは全然関係がないと言い切れるものでしょうか。その辺どうですか。
  31. 永田武

    参考人永田武君) お答え申し上げます。  この内容は先ほどのお尋ねに対する御返事と同じ内容になるかと存じますが、広い区域で、そして長い時間で見ましたときには、このいま起こるであろうと考えられております東海地震も、これは日本列島のひずみによるわけでございますし、それから日本列島にあります火山活動もその結果でございますから、確かに、時間的にもそれから空間的にも大きな物差しで観察するならば関係がございます。しかし、いま起こるであろうと予想されております東海地震と、それから先月の二十八日に起こりました木曽御岳噴火との間に直接つながった関係はあるかというお尋ねだといたしますと、それには直接な関係はございませんと申し上げていいかと存じます。  以上です。
  32. 村沢牧

    村沢牧君 この爆発が起こると、有史以来の噴火であった、過去の歴史がないということを言われておるんですけれども、そのために爆発の原因やあるいは性格が容易に判断できないということにもつながってくるというふうに思いますけれども、しかし火山は、私が申すまでもありませんが、長いサイクルで活動する山もあるし、あるいはしばしば活動している火山もあるわけですね。したがって、有史以来の噴火といい、あるいは歴史的なデータがないという火山であっても突然爆発したようなケースもあるわけなんです。一体、この火山活動実態というのは、御岳に限らず、どのように見たらいいんですか。
  33. 永田武

    参考人永田武君) 大変、御返事を申し上げるのにむずかしいお尋ねが出ました。と申しますのは、時間をかけまして火山学の講義を申し上げられれば、何とか御満足いただけるようなお答えができるかと思いますが、参議院の席で端的にお答えするということでございますので……。実は、私は測地学審議会の会長でありますが、それが噴火の当時の——予知と申しますと前線でございまして、つまり、本部にいる人間が前線の指揮官と申しますか、をやるのも変な話でございますが、実は五年前に、地震予知の方は約十四年前に出発いたしておりますが、火山噴火につきましても、日本は活火山が、いま気象庁を中心としまして噴火予知連絡会で、危険であるからこれを監視しなければならないというリストアップしているのは六十七ございます。それだけの火山がございますので、火山のモニターと申しますが、監視をやはり地震予知ほどの予算規模ではないけれどもしなければならないということを私自身の責任で言い出しまして、五年前に噴火予知の計画が、日本の各大学並びに各省庁が協力して出発したわけでございます。  でございますから、この六十七の火山は、長い時間のスケールで見ますと、いずれは噴火するんだということをわれわれは予想し、その準備を進めてきたわけであります。しかし、限られた人間の数とそれから研究あるいは観測予算にも限度があることでありますので、噴火予知連絡会といたしましては、まず人間の生命に危険を冒すなり犠牲をもたらすことがないような、それに最重点を置きまして、そして順次計画を進めてきたわけでございます。で、先ほど申し上げましたように、ことしは第二次計画の初年度でございますが、順次危険度の少ない火山にも拡張いたしつつあります。でありますので、ただいま先生お尋ねになりましたことに対しましては、日本の六十七の火山は、いずれは噴火するのであるという運命にあるんだ。それで木曽御岳は、もちろんこの六十七の火山の中に入っております。ただし、われわれが口をそろえて予想外であったと申しましたのは、その中でABCの、つまり最も活動する確率の少ない部類に入っておりました。今度活動いたしましたので、今度はBランクに、上に上げざるを得なくなりましたわけでございますが、繰り返して申し上げますけれども、この六十七の火山につきましては、それぞれの監視をする必要がございます。  それで、噴火予知連絡会は、出発のときに、日本火山要覧というものをつくりまして、この中に六十七の火山、つまり病院で申しますと、お医者様が病人のカルテをつくりまして、病歴を調べてとってあるというような種類のものでございます。で、木曽御岳は、いままで余り大した病歴はなかったというわけで、ランクは低かったわけでございますが、繰り返して申し上げますけれども、われわれが要注意で監視しなければならぬと思っておる火山は、日本全部で六十七でございます。その中に木曽御岳は入っております。  以上です。
  34. 村沢牧

    村沢牧君 いま御答弁がありましたように、日本の監視をしておる活火山は六十七、これもいつ噴火するかわからない、こういうお話があったわけでありますけれども、しかし、御岳山は無警戒であった。ノーマークであった。しかし記録によれば、昭和五十一年八月に地鳴りを伴う微小地震が起き始めて、同月二十二日にはマグニチュード三・八、九月二十一日にはマグニチュード四・二の地震が発生をしておる。その後も群発地震を繰り返しながら、昨年の十月七日には再びマグニチュード五・三の地震が起きていったということが記録されておるわけですね。これらの群発地震噴火と全然関係がないのか、それともこのような地震の発生から噴火が想定をされなかったのか、その辺はどうでしょうか。
  35. 永田武

    参考人永田武君) お答えを申し上げます。  先ほど来申し上げておりますけれども、いま先生のおっしゃいました地震というのは、木曽御岳の真下ではございませんで、十キロないし二十キロ南側に起こる群発地震でございます。でありますので、もしこれが直接に噴火関係ある火山地震ならば、それが漸次火山噴火口の方へ近づいてくるのが通例でございますけれども、このたびは、先ほど申し上げましたように、噴火後の観測でも依然としてそこに起こっております。このことはいままでにも、たとえば伊豆半島などで群発地震が起こりまして、ついに地震が起きただけで地上には何も起こらなかったことがございます。しかし、これは専門科学者の考えでは火山活動みたいなものが起こったけれども、結局は地面の表面までは出てこなかった活動であるという解釈をいたしております。そういうわけでございますので、実はわれわは、いま先生のおっしゃった群発地震が、木曽御岳火山の火口の活動と直接関係あるかどうかをいま観測網をしいて追求しつつある段階で、いまも観測しておりますが、まだ直接関係あるという証拠がつかまれていないということを申します。  でありますから、では、ないのかと言われますと、お答えに窮するわけでございますが、私がはっきり申し上げられることは、あるんではないかという疑いを持って、われわれが、各大学及び気象庁が協力して測定を続けておるが、まだつながりがあるという確固たる証拠はつかまれていないんだということが正直なお答え方だと存じます。  以上です。
  36. 村沢牧

    村沢牧君 気象庁にお伺いしますがね。六十七の活火山がある。その中で常時観測体制を持っている火山は幾つですか。数字だけで結構です。
  37. 末広重二

    説明員(末広重二君) 六十七の活火山のうち、常時監視体制のしかれておりますのはそのうちの十七でございます。
  38. 村沢牧

    村沢牧君 お話がありましたようにいつ噴火するかわからない、噴火しても不思議ではないという、六十七あるうち十七という常時観測は全くおそまつだというふうに思うんですね。そのことについては後ほどお伺いしますが、つまりいままで歴史がないんだと、データがないんだというふうに言われておりますけれども、データがないんではなくてデータを記録する体制がなかったからいろいろ情報なり観測ができなかったんではないですか。現に木曽御岳の場合でも気象台なり測候所あるいは大学の観測網御岳からかなり離れている。したがって、微小地震が起きてもわからない。今度の噴火についても、第一報を入れたのは地元の営林署の職員であり山小屋の関係者だ。気象庁は松本測候所や長野気象台から送られてくるこれら地元情報だとか、あるいはまた新聞社の取材報道などをもとにしてようやくこれは噴火だという認知をする、私に言わせればそんな状態なんですね。きわめて後手後手になっている。  そこで、お話がありましたように私もここに日本火山要覧を持っておるんですけれども、これなんか見ても木曽御岳についてはわずか三行ちょっとしか載ってないわけですね、ほかのものについてはかなり細かく載っておるんですけれども、こういうふうな状態である。しかし、今回の噴火は死んだと思われている山が突然生き返ることがあるんだということを見せつけられたものだというふうに思うんですね。こうして寝耳に水の噴火が今後もあり得るんだと、こういうことを教えられたものだというふうに思うんです。そうなると、箱根は大丈夫か、あるいは乗鞍岳はどうなのかという心配もまた出てくるわけなんですよ。火山噴火は防ぎようがないにいたしましても、予知をすることによってある程度被害を最小限度にとどめることができると私は思うんです。  そこで国土庁長官、きょう就任早々ですがいままでお聞きになっておりまして、私は噴火火山に対する予知体制あるいは火山監視体制をこの際見直さなければいけない、さっき永田会長さんは予算のこともお話があったわけですけれども実態はそうだろうというふうに思うんですけれども御岳噴火火山観測のあり方について一石を私は投じたものだと思うんです。これを契機にして、この貧弱な体制を強めなければならないというふうに思うんですけれども地震だとか災害を担当する大臣としてどのようにお考えでしょうか。
  39. 園田清充

    国務大臣園田清充君) ただいま御指摘がございましたとおり、また答弁の中にもございましたとおり六十七の活火山を持ちながら、そのうちで常時監視体制がとられているのは十七ということで、五十が実は御指摘のとおり監視体制がとられていないということでございまして、そこで私どもといたしましては、当然ただいま御答弁がございましたとおりそれぞれの機関と話し合いながら、この予知というものに万全の体制を期していくということが政府方に課せられた責任でもあろうかと思います。  そこで、ただいまの御指摘のとおり、この強化について各関係省庁と話し合いながら遺憾のないような体制をとることに、しかも緊急にとることに努力をしてまいりたいと、かように考えます。どうぞよろしく御協力をお願いいたします。
  40. 村沢牧

    村沢牧君 大臣から御答弁のあったところでありますが、気象庁は今度の噴火を契機として火山体制の見直しというか強化について、どのように考えていますか、全般的に。
  41. 末広重二

    説明員(末広重二君) お答え申し上げます。  確かに御指摘のとおり五十の火山は、常時監視はされておりませんが、野放しにされているわけでは決してないんでございまして、機動観測班というのが東京に二班、さらに五十四年度に北海道と九州にこの機動観測班が一班ずつ認められまして、これらが常時監視をしていない火山を定期巡回をいたしまして、無医村を回るお医者さんのような役目は果たしているわけでございます。  それから、将来はやはり何とか日本じゅうの火山をもっと大きなスケールで監視すべきであると考えておりますので、たとえば衛生の利用というようなこともこれは非常に有力な手段であるということで、永田会長からも強い御示唆をいただいておりますので、ランドサットによりまして日本全国の火山をもう一気に監視を、ある程度の監視をするということもある程度研究の面では緒についております。  こういった面も鋭意進めまして、ただいま大臣答弁のように何とか監視体制を近い将来に質量ともに改善の方向へ持っていこうと、こういう覚悟をしているわけでございます。
  42. 村沢牧

    村沢牧君 いままでも巡回監視をしておったと。しておったけれどもこういう結果ですね。  そこで、いま永田会長等の御意見もあって衛星による監視体制もつくっていきたいというお話なんですが、大臣どうですか、こういうことは早くやらなきゃいけないというふうに思うんですけれども国土庁長官として関係省庁と打ち合わせて、そういうことに積極的に取り組んでいくという御意思をお持ちですか。
  43. 園田清充

    国務大臣園田清充君) ただいま御指摘がございましたとおり、私どもは、会長からも御答弁がございましたけれども、同時にこれが拡充強化をしていくことは必然的に今日の当面する最大の課題だというふうに考えておりますので、予算の編成期でもございます。事務当局をして関係省庁との十分な折衝をさせまして御期待にこたえるような努力をさしていただきたいと思います。
  44. 村沢牧

    村沢牧君 ぜひそのようにお願いします。  それから噴火後、気象庁御岳山麓の三岳村あるいは王滝村など地震計を設置をしたわけですが、これで御岳に関する予知体制は十分であるというふうに理解をしてよろしいかどうか。地元や県は観測体制をさらに強化してもらいたいという要望があるけれども、今後の観測体制はどうするのか、その辺についてひとつ答弁してください。
  45. 末広重二

    説明員(末広重二君) お答え申し上げます。  気象庁は直ちに、この爆発の翌日の午後から二点で臨時の地震観測を開始いたしました。気象庁の受け持っている点は二点でございますが、この噴火予知連絡会の場で検討をいたしまして、私どものほかに東京大学、名古屋大学からもそれぞれ臨時観測、これは研究の目的も大きくあるわけでございますが、臨時点を設けていただきまして、現在この山を取り巻いて六点の臨時観測点がございます。ここから上がってまいりますデータは決してばらばらではございませんで、全部気象庁へ集めて総合検討するという体制がしかれているわけでございます。現在はこの永田会長も御指摘のとおり、御岳山の真下では地震が起こっていないわけでございまして、そういった点で現在の監視体制で現在の活動への対処ということは十分ではないかと思います。この体制は、噴火予知連絡会で御岳山火山活動が鎮静化したという見解が出るまでは続行するつもりでございます。
  46. 村沢牧

    村沢牧君 いま気象庁の方から、この観測体制はいわゆる御岳山噴火が鎖静をする、別な言葉で言えば終わるまで、終息をするまで続けていくと、そういう御答弁でいいわけですね。  続いて大学の方も、いまお話がありましたように御協力願っておるのですが、文部省おりますか。文部省としてはどういうふうにしますか。
  47. 七田基弘

    説明員(七田基弘君) 御岳山につきましては、その活動記録がございません。いままでお話がございましたように、必ずしも活動の記録が十分でございません。したがいまして大学サイドといたしましては、特にその噴火後、地震活動を中心に噴火に伴います諸現象の調査観測を行う、そして基礎資料の入手に努めるということをまずいたしておるわけでございます。それで、東京大学の地震研究所及び名古屋大学の行っております地震観測につきましては、冬の期間もずっと継続をいたすということにいたしております。当面、少なくとも来年三月までは実施する予定でございますが、さらにその後の問題につきましては、噴火予知連絡会とも御相談をしながら、噴火の推移等の判断に従って対処していきたいというように考えております。
  48. 村沢牧

    村沢牧君 気象庁としては、この観測噴火が終わるまでやるというお話だったんです。それで、文部省の方では来年三月というお話があったんですが、来年三月なんて区切るんじゃなくて、気象庁の言うように予知連と連絡をとって、それ以後もやっぱり必要があれば継続をすべきじゃないですか。
  49. 七田基弘

    説明員(七田基弘君) これは各大学のそれぞれの意向もございますので、一応来年三月までというふうにしておりますが、これはこの来年の三月というものが必ずしも合理的な期限であるとは考えておりません。
  50. 村沢牧

    村沢牧君 ぜひ観測を強化してください。  次に聞きたいことは、この噴火の後の二次災害についてでありますね。この御岳周辺にはさっき申し上げました牧尾ダムも含めて八カ所のダムがある。この噴火によって積もった火山灰や土石が雨が降ったときに泥流となって、あるいは土石流となって下流の河川やダム災害をもたらすんじゃないかと、こういう心配もあるわけなんです。先ほど報告がありましたように政府からの調査団も現地を調査したようでありますけれども噴火後から今日までいろいろ調査をした中で、降灰状況などを調査して、泥流による二次災害の心配はないのかどうか、これについてどなたか答弁してください。
  51. 塚田実

    説明員(塚田実君) お答えいたします。  農林水産省関係についてまず申し上げたいと思いますけれども、現在、被害状況については調査中でありますけれども、全般的な復旧計画なり復旧対策につきましては、そうした調査結果なり気象庁等の観測結果を勘案しながら、関係省庁と調整の上行うつもりでおります。  そこで、降灰が各地にあるわけでございますけれども、最も多い地域は王滝村の濁川流域であると私ども考えますが、その地帯は上流部の斜面が非常に脆弱な輝石安山岩というものの露出地でございまして、傾斜も六〇%以上あるというような急傾斜地でございます。そこで、私ども農林水産省として、現在下流の保全対処のためにすでに堰堤が一基ございますけれども、しかしながらこういう灰が降って二次災害が起きては非常に困るということでございますので、当面の措置として早急に新たにもう一つ堰堤をつくるということで対処したいと、このように考えております。それから三岳村の白川流域にも灰が降っておるわけでございますが、量的には王滝村ほどではございませんけれども、これにつきましては、現在調査しておりますその結果を待って検討していきたいと、このように考えております。
  52. 村沢牧

    村沢牧君 ずいぶん山頂には灰も堆積しておるようでありますから、二次災害の起きないように、それぞれの機関で積極的に対処してもらいますことを要望しておきます。  次に警戒区域ですが、御岳山は登山やスキーなどで年間三十万以上の観光客があって、特にこれからはスキーシーズンになるわけです。これがまたその地域の大きな収入源となっているわけです。そこで、この噴火地元の村長は、災害対策基本法に基づいて頂上から五キロ範囲を警戒区域として立入禁止をしたわけですね。このことは地元村長として私は当然のことだというふうに思うのでありますけれども、しかし民宿やロッジの予約の解消が相次いで、一体このままでは冬場の生活ができなくなってしまうという、こういう住民の訴えもあるわけなんです。まさに観光と安全の板ばさみという状態になっているわけですがね。そこで、この規制区域を縮小してくださいと、こういう要求があり、地元の村長としても縮小はいたしたいと、しかし何を基準にして縮小していいかという、これがまた基準がなくて困るわけですね。そこで永田会長に、特に県なんかでも予知連に陳情を申し上げているようですけれども予知連として今度の十一月十九日ですか、幹事会があるという話だったんですけれども、そこらあたりで検討して、予知連の診断によってひとつ危険区域はこの程度だというようなことをお示し願うことはできませんですか。
  53. 永田武

    参考人永田武君) お答え申し上げます。  実は、ことし阿蘇で——火山予知連絡会は日本じゅうの全部の火山をモニターいたしておりますので、当然阿蘇の問題も検討してきたわけでございますが、御承知のように九月に噴火がございまして、火山弾のために人が亡くなるという事故が起こったわけでございます。あそこはわれわれといたしましては、火口から一キロは危険である、したがって絶対に安全を見るならば、それにいわゆるセーフティーファクターを掛けまして一・五キロもしくは二キロの範囲に入らないようにするというのがわれわれからの要望でございますが、いま先生の御指摘ございましたように、あそこは大変な観光地でございまして、そこで地方自治体の方が、町長さんが一キロという範囲をお決めになったわけでございます。実際は実は〇・九キロ、九百メートルだそうでございますが、そこでそういう災害が起きたわけでございます。われわれとしましては、およそ何キロぐらいまでは火山灰がどのくらい積もる、あるいはこの規模の噴火では火山弾が降るだろうということは言えるわけでございますが、観光その他ではなるべく狭く、つまり立入禁止区域を狭くしたい、それから安全から見ますと、やはり一キロ危ないならば、それは五割あるいは十割と見て倍ということになるわけでございます。  でございますから、この問題は法律に決まっておりますように、地方自治体の長があらゆることを御勘案になってお決めになるわけでございますが、われわれ噴火予知連絡会がその火山の研究者あるいは専門家の立場から、この程度の灰は降る、あるいはこの程度の石がこの距離までは降るであろうというような専門的なアドバイスを責任者の方に申し上げることはできるかと思いますが、どこまでかという判断は、やはり地元の自治体の長の方があらゆることを御勘案になってお決めになるという法律の精神が一番よいのではないかと考えております。  以上です。
  54. 村沢牧

    村沢牧君 これは、規制をするのはお話がありましたように市町村長ですけれども、市町村長が検討をするアドバイスですね、これをひとつ予知連としてお考えになっていただきたいと思いますが、どうですか。
  55. 永田武

    参考人永田武君) 先ほど申し上げましたように、専門的立場からこの程度の火山れきあるいは火山弾がこの辺までは降る危険があるというような専門的な、つまり町長さんなり村長さんなりがお考えになる基礎材料は、当然われわれ予知連といたしましてはお知らせ申し上げるべきだと思っておりますし、そのようにいたします。
  56. 村沢牧

    村沢牧君 この噴火は、いろいろな方面に影響を及ぼしたんですけれども、特にこの噴火があったことによって、地元住民なり市町村に対する影響も大きいわけなんです。地元の町村は臨時の出費もいたしておりますし、観光客が少なくなったことによって収入も減になる。あるいは農産物も被害を受けたことによって収入減になる。さらに、これから町村道の降火徐去なり、あるいは災害復旧もしなければならない。こういうふうに多くの負担を余儀なくされておるわけなんです。  そこで自治省にお尋ねいたしますけれども、こうした災害に対する自治省としての関係町村に対する援助というか、たとえば特交なり、そういう面のお考えは持っていらっしゃいますか。
  57. 吉田弘正

    説明員(吉田弘正君) 御岳山噴火に対します財政措置でございますけれども、現在自治省といたしましては、噴火に伴って関係市町村の財政需要がどの程度あるかというようなものの把握を行っている段階でございまして、この結果に基づきまして、必要があれば実情に応じまして特別交付税なり地方債によりまして財政措置を講じてまいりたい、こう考えております。
  58. 村沢牧

    村沢牧君 国土庁にお聞きをしますが、活動火山対策特別措置法という法律があるわけですね。こういう法律を適用して、このような噴火のときには何か救済すべきものはないかということで、私も調べてみたけれども、なかなか適用すべきものがない。これはつまり、せっかくこういう法律があっても政令基準が厳しくてなかなか適用されない。どうせつくった法律なんですから、やっぱりこういう噴火のときに適用できるような形に、政令が厳しかったら政令を改正したっていいんだし、あるいは法の適用をそのままストレートに適用はならないとしても、これを準用してもできるようなことをやっぱり考えるべきだと思いますが、国土庁、どういうふうに考えますか。
  59. 柴田啓次

    説明員柴田啓次君) 活動火山対策防止法によりまして、たとえば火山現象の研究観測体制の整備とか、あるいは警戒避難体制の整備とか、あるいは治山治水事業の推進というものがあるわけでございますが、これにつきましては、当然御岳山についてもこの法律に従ってやっていくわけでございます。  さらに先生の御指摘は、避難施設緊急整備地域指定、あるいは降灰防除地域指定等に関連しての問題かと思うわけでございますが、それらの点につきましては、今後の噴火状況というようなものを見ながら検討してまいりたいと、さように考える次第でございます。
  60. 村沢牧

    村沢牧君 御岳噴火についてはこの程度にしておきたいというように思います。  時間がだんだん迫ってまいりましたが、私はもう一つ災害に関連をして、国立公園の上高地の災害について、時間がありませんからはしょって質問し、また言い足らない点については後日の委員会で質問してまいりたいと思うのですけれども、八月二十二日の台風十一号による集中豪雨で、国立公園の上高地は大きな被害を受けて、上高地のシンボル的存在であった大正池が土砂の流入によって全く川のように狭くなってしまって、この土石流が押し出したことによって付近の旅館も危険にさらされ、道路も決壊して、当日は四千人の観光客が山に足どめを食ったというような現象なんです。付近一帯を調査してみますると、渓流から押し出された土石によって、これが瓦れきの山となって河床も上昇して、天然木も倒され、昔の上高地の面影はないですね。こういう地帯は数年聞こういう崩落が続いているんです。このままでは、大正池どころか上高地そのものもなくなってしまうというような現象だというふうに思うんです。そこで、上高地は国立公園であって、したがって国有林でもありますから、いろいろな官庁が絡んでおって、なかなか仕事をするについても、官庁の守備範囲だとか監督だとか、いろいろな絡みがあって仕事ができないという現象なんですね。  したがって、環境庁にお聞きをいたしますけれども、国立公園の管理ですね、特に国立公園内における災害防止、災害復旧に対してはどういう方針と責任を持っているのか、同時に、上高地の現状をどのように判断をしておりますか、環境庁ひとつ答弁してください。
  61. 田村久仁夫

    説明員田村久仁夫君) お答えいたします。  上高地の自然の災害の問題でございますが、御承知のとおりに、上高地の集団施設地区の中央を流れる梓川の河床の上昇に伴いまして、増水時に、周辺住民の方、それから公園利用者の方々に危険がまず及ぶんじゃないかということが一つございます。それからもう一つは、大正池が、先生いま御指摘のとおりに、流入土砂によりまして平地化いたしまして、その貴重な景観が失われるという二つの問題を含んでおるのではないかと考えております。この二つの問題につきましては、非常に憂慮すべき段階になっているというふうに考えております。  次に、上高地の災害防止につきましての御質問でございますが、御承知のとおりに、上高地はわが国を代表する非常に傑出した景勝地でございまして、中部山岳国立公園の中心的な重要拠点であるために、特別保護地区指定いたしまして、自然景観の保全に努めているとともに、集団施設地区を設定いたしまして利用の適正化に努めているところでございます。今後におきましても、このような貴重な自然景観の保全につきましては万全を期す必要があるかと考えますが、災害予防の緊急性につきましても十分認識しているところでございまして、両者の調整に環境庁としても十分配慮をしてまいりたいと存じております。  なお、大正池の流入土砂による景観改変の問題につきましては、基本的にはやはりもとに復するということが望ましいと考えておりますが、何せ焼岳からの土砂の流出が相当な量になっておりますので、復旧の可能性につきましてはいささか危惧を抱いているところでございます。  また、もう一つ御指摘の件でございますが、法律に基づきまして土石の採取、工作物の増改築につきましては、自然公園法に基づきます許可を要することとなっておりますが、法律の条項にもございますように、非常災害のための応急的措置として行われるものにつきましては、その緊急性にかんがみまして、着手後十四日以内に関係都道府県知事に通知すれば足りるということになっております。本年八月の台風十一号の接近に伴います豪雨によりまして生じた災害の復旧工事につきましても、かかる取り扱いを行っているところでございます。  また、恒久的な災害防止工事に関する自然公園法の運用に当たりましては、従前同様、建設省、林野庁、長野県それから地元安曇村、また地元関係者と協議いたしまして、かかる工事が災害対策を目的としているということを十分配慮いたしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  62. 村沢牧

    村沢牧君 いま環境庁から答弁があったわけでありますが、現地を調査をして、あるいは現地の人たちに聞いてみると、そんなうまいぐあいには進んでおらないのですね。  そこで、基本的な問題についてお尋ねしますが、国立公園を管理し自然を守るということはどういうことか。環境庁の関係者の皆さん方の中には、あるいは文部省もそうだけれども、自然が自然の美を破壊することも、それも自然だと言うんですね。つまり自然の動きに逆らうようなことをしなくてそのまま放っておく、まあ放置主義的な考え方を持っている人もある。たとえば大正池について、大正池が埋まるということもそれも自然の現象だと言われるわけですね。したがって、天然記念物に指定をしているこの地域について、自然にあえて抵抗するような計画に金を出すことはできないというようなことをたまたま言われているのですね。こういうことから、環境庁はこの自然保護と災害防止の調和、接点をどこに求めているんですか。
  63. 青木薪次

    委員長青木薪次君) この際、永田参考人にお礼を申し上げます。  本日は御多用中のところ、長時間にわたり当委員会に御出席をいただき、貴重な御意見を述べていただきましたこと、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  ありがとうございました。
  64. 田村久仁夫

    説明員田村久仁夫君) お答えいたします。  ただいまの先生の御質問ですが、非常にむずかしいこともございますが、私の所管として申し上げますれば、やはり住民、それから利用者の危険防止ということをまず第一に取り扱わなければならないというふうに考えております。  なお自然公園法は、御承知のとおりに、すぐれた自然景観を保護し、適正なる利用を図るという二つの柱でございますので、やはり利用上必要な施設その他の災害防止、危険、そういうものについては当然十分なる配慮をしてまいらなければならぬというふうに考えておるわけでございます。  以上でございます。
  65. 村沢牧

    村沢牧君 自然保護かあるいは災害防止かということについて、なかなかむずかしいという話もあったわけですけれども、従来見ておりますと、環境庁はやっぱり自然を保護していくという立場に立つのは当然だというふうに思うんですけれども、そういう立場に立っておりますから、たとえば建設省にしても林野庁にしても、災害復旧なりあるいは予防工事をするについて、その計画について、あるいは工法について環境庁の規制が非常に厳しいわけですね。これは災害復旧だけの問題じゃないんです。たとえば道路を舗装するについてもなかなか環境庁の許可がおりない、あるいはまた風倒木が危険だから処理しようと思っても、これも切ってはいけないというような指示が地元にあるわけですね。したがって、こういう状態であるから、事業実施機関である建設省でも林野庁でも仕事をやろうと思ってもなかなか思うようにできない、計画が立たない、やる気がしない、こういうことだというふうに思うんですね。  この際環境庁は、そういう工事の施行について災害復旧をするという、やらせるのだという理解を示すのでなくて、積極的に関係省庁に要請をして、自然を守っていくという、災害を防止していくという、こういう考え方に立つべきだというふうに思うのですが、その辺はどうでございますか。
  66. 田村久仁夫

    説明員田村久仁夫君) お答えいたします。  基本的な考え方といたしましては、やはり先ほど申しましたように、地元民の安全、利用者の安全ということでございますので、先生のただいま御意見のとおり、私たちもそういう考えは必要だろうというふうに考えております。  以上でございます。
  67. 村沢牧

    村沢牧君 きょうは時間があれば、建設省や林野庁にもお出かけ願っておりますから、この被害状況について、それぞれの立場でお聞きをしたいというふうに思いますが、せっかくお出かけになりましたけれども、残念ながら私の持ち時間が余りありませんから、そのことについての質問は後日に譲らしてもらいます。あしからずどうぞよろしく。  そこで、上高地の自然保護対策災害防止が進まないということは、関係官庁がばらばらに対応していることだからというふうに思うんですね。地元の村長は関係官庁にお百度参りをしておるけれども一向にらちがあかない。したがって、上高地の災害を防除していくためには、関係官庁が一堂に会して総合的な対策を立てなければならないというふうに思うのです。そこには崩壊の危険度の判定だとか、あるいは防災工事の工法、それが自然に与える影響、これらを検討して、それをどこの省が担当するのか、守備範囲を決定をする。こういう総合的な基本計画が立てられなければならないというふうに思うのですけれども、環境庁、いままでそうしたことをやったことがあるのですか、本省において。
  68. 田村久仁夫

    説明員田村久仁夫君) お答えいたします。  地元長野県の方で上高地地区保全対策懇談会という組織をつくりまして、すでに運用をいたしております。このメンバーでございますが、建設省それから営林局、それから私どもの方の出先の事務所、それから長野県の関係各課、それから安曇村ということで、この地区保全対策懇談会という形でいろいろ対応につきまして御検討いただいて、それを各省に上げてきているような状況のようでございます。これもまた、いま先生御指摘ございましたのですが、必要があれば私の方でまた関係各省にお集まりいただいて、こういう組織も今後つくるということで検討を加えてみたいと考える次第でございます。
  69. 村沢牧

    村沢牧君 地元ではどうしようもないから、やむを得ないから県や町村が間に入って関係機関に集まってもらって現地調査をした、そのことは事実としてあります。しかし、本省の方でそういう理解を示して指示を与えない限り、地元だけでできる問題じゃないのですね、予算が伴う問題でありますから。ですから、必要があれば中央段階においても考えるということでなくて、積極的に考えて対策を立ててもらいたいと思うのです。  そこで国土庁に尋ねますが、長官、このように各省庁にまたがっている、なかなかばらばらであって対策が立たない、こういう対策が進まないとすれば、それらを調整するのも一つの国土庁の仕事だと思うのです。国土庁設置法には「関係行政機関災害に関する事務について必要な調整を行なう」ということが設置法に決められている。こういうことが現実にありますから、それらについて国土庁としても各省が前向きに話ができるように何か取り組む気持ちを持っていますか。取り組んでくれますか。
  70. 園田清充

    国務大臣園田清充君) ただいま各省庁から実は時間があればというお話がございましたとおり、またがる問題でございまして、国土庁の所管かどうかということには若干問題があろうかと思いますけれども、やはり環境庁を初め各省庁とよく協議をいたしまして、地元関係者の皆様方に御迷惑をかけないような窓口の一本化のために努力をしてみたい、こう考えております。御協力をお願いいたします。
  71. 村沢牧

    村沢牧君 建設省や林野庁もお出かけ願っているわけでありますが、そこでいままでお聞きのとおり、皆さんもそれぞれの立場で守備範囲を守って努力をしてきておるわけですけれども、環境庁もひとつ積極的にやるというお話ですけれども、建設省、林野庁それぞれの立場で、私はこういうふうにしなさいということは申し上げませんけれども、もちろん現状についてもお聞きをしませんし、災害復旧についても、それぞれの守備範囲でやるべきことがたくさんあるわけです。いまの答弁をお聞きしておって、これから積極的に取り組む、そういう決意は聞かせてもらえますか。
  72. 塚田実

    説明員(塚田実君) いま御指摘の上高地の問題につきましては、林野庁といたしましても被害状況を早急に把握するなり、現に台風十一号の被害につきましては緊急治山事業も早急に行っているところでございます。今後ともああしたりっぱな上高地でございますので、私どもとしてもできることは前向きに取り組んでいきたいと、このように考えております。
  73. 釣谷義範

    説明員釣谷義範君) ただいま先生おっしゃいました上高地の砂防関係対応についてお答えいたします。  台風十一号によりまして焼岳周辺では五十ミリから七十ミリの時間雨量の発生に伴いまして相当量の崩壊が起こりまして、先ほどおっしゃいましたように、大正池、焼岳側の各支川あるいは左岸の各支川から大正池に向かって土石流が発生しまして、先ほどおっしゃったような状態になっております。  上高地周辺防災対策といたしましては、現在建設省の方で焼岳の四沢——上々堀上堀、中堀、下堀の各沢と八右衛門沢について直轄砂防事業で鋭意工事を実施中でございまして、また今度の災害にかんがみまして、千丈沢の三沢につきましては緊急砂防事業並びに災害復旧事業対応を図っております。今度の災害実態にかんがみまして、今回の土石流の流出土砂量を把握いたしまして、全体計画を再検討してまいりたいと考えております。また、河童橋の上流地域につきましては、先ほどおっしゃったようなことで関係省庁と十分協議いたしまして、今後の対応を考えたいと思っております。  以上でございます。
  74. 村沢牧

    村沢牧君 最後に一点だけお伺いいたします。気象庁にお伺いいたします。  私は、いま上高地の災害について取り上げたんですけれども、やはり上高地にこれだけ災害を及ぼすということは、焼岳の噴火に伴う降灰等も大きな影響なんですよ。この焼岳は、気象庁の発行した火山要覧を見ても一五八五年から一九六二年、つまり最近昭和三十七年まで私が数えただけでも二十一回の噴火をしている。その他、地震降灰がずっと続いておるわけなんです。こうした火山に対して常時観測をなぜしないかということですね。していませんね。なぜできないのか、これは巡回して見るだけじゃないんです。もう現に起こっているんですよ。幾ら予算が少なくたってこのくらいは常時観測をすべきだと思うんですが、どうなんですか。
  75. 末広重二

    説明員(末広重二君) お答え申し上げます。  私どもは、五十の常時監視をまだされていない山につきましても巡回はもちろんいたしておりますが、さらにその五十のうちでも、先生御指摘のように活動度の高いもの、あるいは一たん爆発すれば非常に社会的影響の強い山に対しては、常時監視体制の中に繰り入れる努力はいままで続けてきております。御指摘の焼岳につきましても、第二次の測地学審議会の御建議の中で、やはりこういつた山は常時監視体制をしくべきであるということが建議されておりますので、私どもはこれを基礎にいたしまして順次、常時監視体制の山をふやすという努力をいたしたいと思っております。
  76. 村沢牧

    村沢牧君 時間が参りましたから質問を終わりますけれども気象庁、いずれまた私はこの委員会で上高地の問題もとらえて質問いたしますが、その時点までには、これだけ噴火の大きい焼岳に対して常時観測体制をしくというくらいの検討をして、しっかりした答弁ができるようにしてください。  以上で終わります。
  77. 金丸三郎

    ○金丸三郎君 きょうは新しい国土庁長官がお見えになっていらっしゃいますので、第一次的には各省の担当の仕事であろうと思いますけれども、先ほど村沢委員からも御指摘がございましたように、国土庁災害関係で各省との調節のお仕事がございましたり、また大臣とされまして、わが国の災害対策の中心で推進役も買っていただかなければならないと思いますので、そういう趣旨からお伺いをいたしたいと思います。  一つは災害対策基本の問題について、新長官どのようにお考えになっていらっしゃいますかということが一つ。  もう一つは、先ほど来お尋ねがございました活火山について、わが国は世界でも最も活発な火山列島であると思います。火山に関連をしまして、地震の問題とか噴火の予知とかいうことがございます。これは気象庁やら文部省の大学等でやっていらっしゃる、いわば第一線の直接の責任はそういう省にあることは私も十分承知しております。私の経験から申しますというと、たとえば桜島の火山活動観測でございます。京都大学が中心でやっております。一番の問題は予算じゃないんです。何ぼ金をもらいましてもできる人が観測をしなければ何にもなりません。結局人であります。ところが、大学の予算でも実際一番むずかしいのが教授、助教授あるいはそれを助ける人をふやしてもらうということがむずかしいということです。これは気象庁なり文部省の担当の責任のことでございますけれども御岳噴火地元から常時観測要望が強いというのは人心の安定であります。これが私は政治だと思うんです。  で、気象庁やら文部省で観測体制の充実に御努力をなさることは当然でありますけれども、まあ調節役の国土庁長官とされまして、日本のこの火山列島全体の予知の体制というものを今後どのように整備していったらいいのか。まあ予算も増員の問題もますます厳しい環境にあるということは私も十二分に承知いたしておりますけれども、しかし、これをやっぱり十分にやることが日本火山列島の対策としては私は根本だと思います。それについて、どうしても私は各省大臣だけに任せておかないで、国土庁長官もひとつ乗り出していただいたらどうであろうかと。そうでないとなかなか各大学の予算はつかないんです。これは実は現実です。一つの大学の中でも、ほかの研究講座の方が大事だ、そちらの方に学長以下の頭が向きますと、火山なんかの予測の予算とか増員の予算がなかなか実はつかないんです。私は鹿児島の知事をしておりまして、県でも予算を出しますからどうぞやってくださいと。そう大した金じゃないんです。数百万もあれば年間を通じた観測はできます。しかし、金を出しましても能力のある人が観測に従事しなければ何にもなりません。そういう意味で、私は、観測の体制をどのようなふうにしてつくり上げていくか、各省を越えた問題として、大臣にぜひこれはひとつお骨折りをいただきたい、こういうふうに考えます。  それからもう一つ災害対策として、先般の委員会とかあるいは自民党の災害対策会議でもしょっちゅう問題になりますのは、原形復旧か改良復旧かという問題でございます。ここ数年、改良復旧に相当程度進んでまいっておると思います。ここらの、これもまあ農林省とか建設省とか各省にまたがる問題でございますけれども災害対策の根本として、政府基本の姿勢を原形復旧を原則とするのか、むしろ積極的に改良復旧を原則とするのか、やはり、そこらも政府としても考え方を改めてもいいのではなかろうか、こういう感じがいたします。この点についての大臣のお考えをお伺いいたします。  それから、次は局長で結構です。  二十号台風までを含めましてことしの公共事業だけに限定してもよろしい、先ほどは約三千億、二十号台風で、という報告でありました。総体でどれぐらいの被害総額になっておるのか。それに要する対策費ですね、本年度の災害対策、それがどれくらいになっておるのか。足りないとすれば、予算の流用ですとか、予備費の使用で全部それはやり得るのか。足らないとすれば、補正予算に幾らぐらい必要と考えておられるのか。また補正予算は、これも各省のことですから局長の責任だけというわけじゃありませんけれども、各省全部に聞くのも大変だから局長に聞いているわけです。およそいつぐらいに補正予算が組まれるという見込みであるのか。  以上、総論的なことをお伺いいたしておきます。
  78. 園田清充

    国務大臣園田清充君) お答えをいたします。  まず、さっき御質問がございました村沢先生にもお答えをいたしましたが、特に金丸先生は自分で鹿児島の知事として大きい問題を抱え、御苦労なすって、過般の議員立法の場合にも推進役の中心を買っていただきました関係上、深くその努力に私はまず敬意を表するものでございますが、私自体が、熊本でやはり阿蘇山という火山を持って非常に苦慮をいたしておりますし、きょう御採択をいただきました請願の内容に盛られているように、地元としても非常な要望の強い点でございます。御指摘の中にございましたとおり、私どもはまず人の問題という問題で、どういま六十七のうちで十七の常時観測、同時に機動観測班を使っての監視を続けておりますが、これで決して満足をいたしておるものではございません。率直に申し上げて、観測体制というものは万全を期していかなければならないが、現状では万全を期されていない。努めてこの点については努力をしてまいらなければならないと考えておりますし、あわせまして人の問題、これは各大学でいろいろ御努力を願い、御協力をいただいておりますけれども、なおかつ人的な問題、いろいろなことでいまのような機動的な観測に依存せざるを得ないという現状にある乙ともまた御承知のとおりでございます。よく関係省庁とも話し合いながら、こうした火山による予知観測というものに今後重点的に対応してまいりたいし、予算の問題につきましても私どもとしてでき得る限りの調整的な機能を発揮すると同時に、予算の獲得にも努力をしてまいりたいというふうに考えております。  なお、予知の問題につきましては、測地学審議会の建議というものを強力に推進をすということで、いま申し上げましたとおり各省庁を督励し、協議をし、私自体いま地元火山を抱えているだけに予算の確保のために最善のひとつ努力をさせていただきたいと思いますし、あわせまして災害が発生をいたしました場合の問題でございますけれども、実は、後ほど委員長を通じて皆様方に御協力をお願いを申し上げようと思っておりましたけれども、十六日に東海地方に大規模な地震が発生をしたという想定のもとに政府並びに自治体、地域住民の方百五十万を超える実は御参加をお願いをして、もし発生した場合のということで予測をして訓練を実施をするということにいたしておりますので、結果的に、災害が起きた場合に最小限度に被害を食いとめていくということが私どもに課せられておる大きな使命だと、かように考えておりますので、ここで答弁に立ってまことに恐縮でございますけれども、ひとつ十六日に皆様方にもその結果なり、あるいは静岡県の特に大規模ないまの対策等をいたしておりますので、現地を御視察いただくか、あるいは私どもの本部の方でいろいろ御視察いただき、御注意をいただければ非常に幸いだと考えておりますので、よろしく御協力をお願いを申し上げたいと思います。
  79. 柴田啓次

    説明員柴田啓次君) 先ほども報告申し上げましたとおり、十六号によりますところの災害被害額が二千百億円でございます。これはたとえば中小企業関係、厚生施設関係、そういうもの、あるいは農作物等の被害も全部含めて二千百億円でございます。それから、二十号による災害被害は、やはりそういったもの全部を含めまして約三千百億円でございます。で、これらはいずれも都道府県の報告による数字でございます。このうち、特に施設関係の予算に関連いたします公共土木施設関係にとってみますというと、十六号の台風によります公共土木施設関係被害額は都道府県の報告からでは八百八十億でございます。それから、二十号の災害では千四百億であります。合わせまして約二千二百億、こういうような数字に相なっているわけでございます。で、この十六号、二十号の前にも長雨その他による被害が相当あったわけでございます。したがいまして、公共土木施設関係を初め相当の被害が生じていることは事実でございます。  ただ、これにつきましては繰り返し申し上げますように、まだ都道府県の報告段階でございまして、国としての査定の済んだ数字ではないわけでございます。国としての査定の数字が固まりまして、そのうち昭和五十四年度においてどれだけの事業を行うか、あるいは関連事業としてどういうものが出てくるか、これによって予算の数字というものは決まってくるわけでございます。したがいまして、金丸委員からの具体的な御質問、補正予算等々についての御質問につきましては、いまのところお答えできる段階ではないわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
  80. 金丸三郎

    ○金丸三郎君 次に、気象庁と治山、砂防の関係で農林省、建設省にお伺いいたします。  最近、阿蘇山もまた活発な活動をしておるようでございますが、阿蘇の現状、並びに近い将来の見通しがどうなっておるのか、それから北海道の有珠山の現状や今後の見込みがどうなっておるのか、これをお伺いいたしたいと思います。  それから次に、治山、砂防の関係についてお伺いいたします。  実は桜島の活動が非常に激しくなりました数年前に建設省、農林省にお願いをいたしまして、直轄事業として治山事業と砂防事業をやってもらうようになり、非常に地元で喜ばれておることは御承知のとおりであります。ところで、四十七年から降灰が非常にひどくなってまいったのでございますけれども、ことしに入りましてからもやはり同じであります。改良をいたしました一昨年も非常にひどうございました。実際にかさを差して歩かなければならない。御婦人方はハンカチで鼻を覆う。それから、自動車のワイパーが動かないことが毎年数回あるんです。実はサッシで家をつくっておりましても、サッシからまだ中へ小さな灰の粉といいましょうか、微粒子が入ってくるんです。サッシの補助制度をとってもらいましたけれども、実はそれぐらいです。ゴルフをやりますと灰が飛んで目に入る、鼻に入る、耳に入る。こんなことは私が口頭で言いましても実際に御経験なさらなければおわかりになりません。それぐらいにひどいんです。二十年ほど前は桜島も九合目まで灌木がありました。一年に一、二回この溶岩の小さいのを噴き上げますと、それが落ちてきます。夜ですと、九合目から下の灌木がその赤い溶岩で焼けます。花火を打ち上げたようにきれいで夜は外へ飛び出して見たものです。四十七年以来の降灰がひどくなって九合目も灌木はありません。八合目もありません。七合目もないんです。もう六合目あたりまで灌木も焼けたかあるいは灰に埋まってしまって枯死しておる。全く鬼の顔を見るように青ざめたすさまじい山の姿になってきております。これが実情です。これは毎年毎年むしろひどくなります。だから、建設省や農林省で直轄の治山事業や砂防事業をやっていただいておりますけれども、現状でいいと、あるいは現在の計画でいいとお考えなのか、全面的に見直そうというお考えなのか、その点をお伺いいたします。  それから、これに関連しての第二の質問は、そういう状態ですから地元の三市数町、近間が三町です。防災営農その他の指定を受けている地域は県下に数十の町村があります。それからことに地元の鹿児島市、桜島町、垂水市では人心が不安であります。だから、どうしても、少なくとも既定の計画は早期に完成をしてもらう必要があります。五十四年度も相当努力をして予算をつけていただいておりましたが、明年度については砂防、治山の関係でどのようにお考えなのか、これが第二点であります。  治山、砂防の関係お尋ねの第三点は、道路、下水道、市街地等について灰の除去事業補助制度が創設されたわけでございますが、この補助率についてもっと引き上げていただくお考えはないかどうか。  それから、第四点は要望といたしまして、そのように地元が非常に不安でありますので、少なくとも桜島の周辺の道路の整備、これは実は避難道路になるわけであります。平素の交通のほかに、いざ地震が起きますとかあるいは非常に大きな岩石等が降ってまいります場合、避難の港とか避難のいわば待避ごうをつくっておりますが、道路はその避難道路になるわけでありますので、この道路の整備を急いでいただきたい、こういう御要望をいたしておきます。
  81. 末広重二

    説明員(末広重二君) お答え申し上げます。  最初に、阿蘇火山活動でございますが、この阿蘇はわれわれにとりまして火山の性質が一番よくわかっている山の一つでございまして、六月の活動あるいは九月の活動のときも事前に活動が高まるという情報を差し上げることができました。私ども検討結果では阿蘇火山の今後はやはり当分、これは数カ月ではなくて恐らく年という単位になり得る当分でございますが、いまのような活動を繰り返しながら活動状態が続いていくという判断をいたしております。  それから有珠でございますが、これは先年の噴火活動は鎮静化したという判断をいたしております。しかし、決して投げ出したわけではございませんで、現在も常時監視は依然として続けております。
  82. 塚田実

    説明員(塚田実君) ただいまの農林水産省関係の御質問についてお答えいたします。  桜島の火山活動は近年特に活発になりまして、山地の荒廃もその極に達したということで、先生御指摘のとおり、昭和五十一年度から国の直轄事業といたしまして防災事業を積極的に進めているところでございます。予算、金額的に見ますと、昭和五十三年度末までの三カ年間に約二十二億四千万円を実施しております。またさらに、本年度でございますけれども、五十四年度は約十二億七千万円をもって事業の促進を図っているところでございます。  そこで御質問の全体計画でございますけれども、これにつきましては、災害の発生や火山活動による現状の変化に応じましてこれまでも、ちょっと細かくなりますけれども、金床沢につきましては昭和五十三年度末に全体計画の見直しを行いまして、全体の事業費、当初計画では四十三億円であったものを五十一億円にしたわけでございます。その他の地区につきましても、私どもとしては必要に応じて計画の再検討を行っていきたい、それらの災害防止に万全を期したいと、このように考えております。  最後に、五十五年度についてでございますけれども、私どもとしては進捗度を上げると。それから重点的に考えていきたいと、このような考え方で予算に対処したいというふうに考えております。  以上でございます。
  83. 釣谷義範

    説明員釣谷義範君) 私の方から、建設省関係の桜島の砂防対策についてお答えいたします。  桜島の噴火に伴います災害対策につきましては、土石流の災害の激甚性にかんがみまして、五十一年度から野尻川等の七河川につきまして直轄施行区域に編入しまして、五十四年度までに野尻川等の六河川につきまして工事に現在着手中でございます。また、来年度からは新たに有村川の工事に着手する計画でございまして、逐次事業の拡大を図っておりますが、何分にも直轄事業として着工後まだ日が浅うございまして、まだまだこれら河川に対する土石流対策を今後鋭意進める必要があると考えております。  なお、全体計画の内容につきましては、今後の噴火状況の推移を勘案いたしまして、必要に応じさらに改定等の検討をしてまいりたいと考えておりますが、なお現在まで進捗率は全体計画に対して約一七・二%でございます。五十五年度、来年度以降につきましても、活火山対策としての重要性にかんがみまして、建設省としましては治水五カ年計画の中で積極的に取り組み、土石流対策を重点的にいたしたいというふうに考えております。  以上でございます。
  84. 金丸三郎

    ○金丸三郎君 それでは、今後も現状を見直しながら積極的に今後の対策を進めていただくようにお願いをいたしておきます。  次に、時間も余りございませんので、農林省関係、それから文部省の関係、それから自治省の関係、一緒に御質問いたしますので、お答えは簡潔で結構です。  まず第一は、農林省関係でございます。農作物に対する灰の被害対策は、実はいろいろと農林省でもやってもらっておりますので、ある程度の効果を上げております。実はきょうここに大臣にもごらんいただきたいと思って持ってまいりました、これはミカンです。これもそうなんです。これは皆そうです。こういうひび割れたのもあります。これは実はガスの被害が最近出てまいりました。いままでは灰でした。後ほど写真をお回しいたしますけれども、キヌサヤエンドウ、それからカリフラワー、キャベツ、それからビワ、ビワも後でごらんいただきますが、もうこんなに紅葉したようにビワの木がガスでやられまして、全然だめになっております。それからビニールハウスの中にも、ガスですから入ってまいりまして、ハウスの中のアイリス——花でございます。小麦でありますとか、それから山の木もちょうどマツクイムシが松の木をずっと食って松が枯れますように、この山の木がずっとガスが流れてくる関係から枯れてしまっております。これはガスの被害でありますから。だれかちょっと大臣やら関係の農林省の方に見ていただきたいと思いますが。(金丸君写真を手渡す)ここ二年ほど実はガスの被害がひどくなってまいりました。無風のときと雨のときにひどい。それから、鹿児島市で観測しましたところでは、そのときのガスがおりてきます通路が四つほどあるようでございます。現在、これはガスの被害だけじゃございませんで、ことしになりまして農作物の被害が桜島町が八八%の被害、桜島の中の鹿児島市の部分の農作物の被害が六七%であった。こういう壊滅的な、あるいはそれに近い打撃を受けております。  農林省やら県も一生懸命になって対策は立てておるわけでございますが、灰による被害に大わらわになっておりますのに、今度はそれに加えましてガスの被害が出てまいりました。多分硫黄分が含まれておりましょうから、雨が降りますというとこれが希硫酸になって被害を与えるのではなかろうかという予測でございますが、人体への影響もございます。これは県や市でも人体への影響は調査をするように、また対策を講ずるように私は申しておりますけれども、ガスの分析でございますとか、農作物への対応策を考えていただけないか。厚生省でほかの対策でプロジェクトチームをつくってやっていただいたことがございます。このガス対策について、人体への影響、農作物に対する対策、そういうことを総合的にプロジェクトチームでもつくって考えていただけないかと、こういうふうに思うわけでございます。  それからもう一つは、このようなふうに、なかなか園芸でも果樹でもむずかしゅうございますので、防災営農事業としてやっぱり強いと考えられますのは畜産、和牛であります。先般の法律改正で飼料の確保対策事業が取り上げられたわけでございますけれども、やはり畜産を伸ばしていった方がいいと思われますので、給水、排尿の処理、堆肥舎、関連農機具などを置くような共同利用の畜舎の設置事業というようなことを新たに考えていただけないか、これは農林省に対する御質問であります。  それから農業の関係では、ほかの地域関係があります穂発芽で不良米が出ます。あれは全国的にその地域地域で米の質が悪くなる程度が違いますから、一概にどうとも言えないと思いますが、何等米かで政府で買い上げられる措置と、あるいは自主流通米としてやられたところとどういう状況になっておるのか、そういう、もしわかっておりましたらお答えいただきたいと思います。  最後に、文部省に対するお願いとして、法律に基づきます指定地域内の公立の小学校、中学校、高等学校、幼稚園、これらの健全木造校舎及び屋内運動場の窓、建具のアルミサッシ化について助成が新たに考えられないか。第二は、運動場の散水施設、散水用の井戸の掘削に要する経費について助成が考えられないかという二点であります。  それから最後に自治省に対しまして、先ほど村沢委員からも御質問がございましたが、災害対策対策としては市町村ごとにいろいろと細かい事業があると思います。これに一々国の助成を求めるということもなかなか困難であると思います。だから、自治省の方でやはり特別交付税なりで各市町村が創意工夫をして、いろいろな災害対策をやった場合にはできるだけ見てやる、そういう気持ちでやっておられると思いますけれども、その点をよくはっきり言ってもらうと関係の市町村も安心なさると思いますから、その点をひとつ御明言をいただきたいと思います。
  85. 塚田実

    説明員(塚田実君) ただいまの御質問の中で、農林省関係の分を一括してお答えいたします。  第一に御質問がありました火山性のガスによる農作物に対する被害に関する調査研究の問題でございます。  ただいま御指摘いただきましたように、私ども農林水産省といたしましては、従来は降灰による被害対策の試験研究を重点的にやってまいりまして、それなりの成果も出てきたところでございますが、ここ一、二年、今度は火山性ガスによる、いま写真も拝見いたしましたけれども、農作物の被害が相当にあるということでございまして、その試験研究を急げということでございました。そこで、私ども第一期の試験研究は五十三年度で一応終わりまして、五十四年度からはこの火山性ガスによる被害の重要性に着目いたしまして、ガス自動分析器の設置による火山性ガスの実態調査、分析並びに火山性ガスの農作物への影響に関する調査研究を行うということにいたしまして、鹿児島県に対して総合助成試験事業と私ども言っておりますが、助成するということで、第一期よりもこの面については予算面でもできるだけ重点的にやっていきたいと考えております。五十四年度から実施しております——それも始まったばかりでございますので、残念ながら試験研究の成果はまだ出ておりませんけれども、私ども極力努力してまいりたいというふうに考えております。  第二の御質問は、このような果樹とか農作物ですと被害を受けやすいので、畜産関係事業を新しく営農対策事業の中に取り組めないかという御質問でございますが、これにつきましては、私どもの考え方といたしましては、鹿児島県において今後の防災営農対策をどのようにすべきかということで、現在県において総合的な調査研究を進めているというふうに聞いております。そこで私どもといたしましては、この畜産を新たに加えるということについては、まずそういうことがどの程度の経済性があるのか、桜島におきましてですね。あるいは粗飼料の供給とかそういう関連のものが果たして確保できるのかどうか、そういうことも含めまして私どもなりに勉強しなきゃならないこともございますけれども、できるだけ早く県の方から考え方をお聞きしまして、それでできれば来年度早々にも県から計画を出していただきまして、そこで私どもと協議して、可能であれば五十六年度からでも実施できればと、このように考えております。  それから第三点の穂発芽の問題でございますが、これは台風二十号に関するものと私ども考えておりますけれども台風二十号によりまして、全国多くの県で穂発芽が発生しております。で、かなりの被害が出ているというふうに聞いております。そこで私ども食糧庁といたしましては、これをどのように取り扱い、どのような対策をとるべきかといろいろ議論したわけでございますけれども、まず農家にとって一番有利な方法は、自主流通で対処するということでございますので、特別に販売促進費を国が負担しまして、自主流通米でこれを販売するということに努力したい。なおそれでも特定の非常に品質の悪くなっているものにつきましては、これは原料用にしかなりませんけれども、そのようなものについても、食糧事務所が間に入ってやっていきたいというふうに考えております。  かつて、確かに政府買い入れしたことございますけれども、それはそのときの被害がほとんど北海道でございまして、北海道は自主流通がなかなかできない地域でございますので買い入れた事情もありますが、まあ農家の立場に即して考えますと、やはり自主流通米でできるだけ販売する方が有利であろうと考えております。  なお、この件については、それでもなおかつ、そういう穂発芽による、それに関連して被害が生じて、被害粒がいろいろ出るわけでございますので、それを一括して共済では減収と見るということにしまして、それで共済金を支払う機会をできるだけ農家に対して多くしてあげるという措置を——特例措置と言っておりますけれども、そういう措置も現に十月末に通達を出して講ずることにしております。  以上でございます。
  86. 横瀬庄次

    説明員(横瀬庄次君) 文部省の御質問のうち、学校の施設の校舎、屋体の窓のアルミサッシ化につきましてお答えいたします。  これは法律に基づきまして五十三年度から補助を行っているわけでございますが、当初鹿児島県の計画では、五十三年度から三年間で、木造の校舎につきましてはいずれ改築をするということから、木造の校舎を除きまして、いわゆる鉄筋とか鉄骨とか非木造の校舎の窓につきましてアルミサッシ化をするという計画を立てていたわけでございます。そして、これは五十五年度までには終わろうということでございましたが、ことしになりまして、まあ最後の年、五十五年度の要求をする時点になりまして、地元の方から、木造の校舎でも健全でここ当分改築計画が行われないものについては、やはり荒廃の現状から見て対策が必要だということでございましたので、この点につきまして五十五年度の予算要求において従来の計画に追加いたしまして現在要求しているところでございます。  ただ屋体につきましては、これは何といいましても先に校舎をやるという計画でもございましたので、現在の追加ということもございまして、屋体についてはこの校舎の整備が終わった後で、続いて検討すべき課題として、今後とも十分に検討していったらどうかということで地元お話をいたしまして要求をした経過でございますので、御了承いただきたいと思います。
  87. 加戸守行

    説明員(加戸守行君) 文部省に対します御質問の第二点、運動場の散水施設並びに散水用の井戸掘削費に対します助成の問題についてお答え申し上げます。  この問題につきましては、そもそも運動場に対します補助の制度が現在予算上ないということ、並びに先生御質問の趣旨が内容的に見ますと運動場の効率的な利用といいますか、維持管理に対します経費といった色彩の問題もございまして、予算上若干理論的あるいは技術的な制約の問題もございまして、体育局関係といたしましては、五十三年度からプールの上屋建設費補助並びにプールクリーナーの補助といった対策を講じてまいってきているわけでございますけれども、そういうこの散水用の問題につきましても、地元要望の強さあるいはこれからの鹿児島県等の御意見も伺いまして、慎重に対処して、検討させていただきたいと考えておる次第でございます。
  88. 吉田弘正

    説明員(吉田弘正君) 災害対策に要します地元地方公共団体の経費につきましては、御案内のとおり、特別交付税とか地方債で自治省関係分については措置しているわけでございますけれども、そのうち特別交付税につきましては、被害状況でございますとかあるいは災害復旧事業費等をもとに実情を十分把握いたしまして、当該団体の財政状況を勘案いたしまして適切な措置を講じてまいってきたつもりでございまして、今後ともその趣旨で適切な財政措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  89. 金丸三郎

    ○金丸三郎君 じゃ一言だけ。  防災対策としましてやはり畜産が一番強いと思いますので、五十六年度ということでなく、県の計画が間に合いましたら県の方も督促をしますから、明年度から実施するような目途でひとつ御努力をお願いいたします。  なお、最後に大臣に、先ほどから申し上げますように、ひとつ積極的に各省全体の御調整やら推進役やら、閣議におきましても積極的に御発言をいただいて御推進いただくように御要望を申し上げまして、私の質問を終わります。
  90. 下条進一郎

    下条進一郎君 私は御岳山噴火につきまして御質問をさせていただきたいと思います。  今回の御岳山噴火は、全く余知しないという状況のもとでこういう事態が起こったわけでありますので、関係の王滝、三岳、それから開田、この住民の方は大変に驚き、かつまた、被害によって困惑しておられる、まことに心から同情にたえない次第でございます。  この問題につきまして、まず最初に気象庁の方にお尋ねいたしたいと思いますが、気象庁の方は従来から監視体制というものをとっておられなかったということでありますけれども、おたくの方の情報によりますと、昨年末あの地域において、木曽郡の地域において群発地震があったということが報道に載っておるわけでございます。これを放置されておいたのは、今回のこういう問題を惹起するに至っていろいろとマイナス面があったかどうか、この点についてまずお尋ねしたいと思います。
  91. 末広重二

    説明員(末広重二君) ただいま先生御指摘の御岳山の付近で起こりました群発地震でございますが、これは私ども、発生と同時にもちろん気がつきまして、これ王滝村の付近でございますが、監視は進めてまいったわけでございまして、これに関する情報地元の方に群発地震情報として何回かお流しいたしました。ただ、これが御岳山の真下ではございませんで、南東約十キロから二十キロ離れたところでございましたので、これが御岳山の爆発に関係あるとは判断しなかったわけでございます。現時点におきましても、果たしてこの御岳山活動と、距離的にいま申し上げただけ離れているところに起こっております群発地震関係があるかないかということは大変むずかしい問題でございますが、直下で起こっていないということ、それから、この群発地震火山の方へだんだん近寄っていくという傾向も全然見られないというところから、——これは十月に非常に活動が盛んになりまして、現在も活動は低くなりましたけれども続いております。これが御岳山噴火関係あるとはにわかには断じがたいと思っております。御岳山噴火に結びつけて考えなかったのは、考えが至らなかったのではないかという御指摘かと思いますが、御岳山有史以来全然活動しておらず、私ども調査では一番最近の活動でも一万年以上前ということでございまして、よもやこれが爆発しようとは思わなかったわけでございまして、われわれの大自然の変化に対する知見がまだまだ至らないということは痛感しております。
  92. 下条進一郎

    下条進一郎君 そうしますと、ただいままでの調査では双方関係があるとは言えない、わからない、こういうことのように理解いたしますが、それでは、住民は大変にいま心配をしておるという問題につきまして、気象庁の方は松本の観測所から人を派遣したりあるいは本部から出動させたりというような体制でありますけれども、それぞれ二名ずつという話でありますが、そういうような監視体制で一体どの程度できるのですか。住民が納得するような監視ができるのですか、どうですか。それを説明していただきたい。
  93. 末広重二

    説明員(末広重二君) 御指摘のとおり、私ども気象庁が派遣しておりますのはただいま二名でございますが、現地に自動車も持っておりますし、二点相当離れた観測点を常時維持しております。さらに、これは目的は主として研究でございますけれども、東京大学、名古屋大学等からも臨時観測点を設定されまして、合計で現地には現在六カ所の臨時観測点が設けられておりまして、このデータは気象庁へ集めさせていただいて、私どもで毎日解析を行っております。したがいまして、御指摘の群発地震が少しでも御岳山の火口の方へにじり寄るような気配が出れば、これは直ちに把握することのできる体制ができておりますので、その点では現在程度の噴火活動に対する対処としては十分ではないかと思っております。
  94. 下条進一郎

    下条進一郎君 それでは、おたくの御説明ではいまの観測で十分だというようなふうに考えられますけれども、見ているだけで本当にいいんですか。要するに火山というものは見ただけじゃなくて、私は素人でわかりませんけれども、ずっと深いところにいろんな状況がそれぞれの問題を生じているというように解釈するわけでありますけれども、そういう大々的な科学的な調査、落ちてきた石が何キロ飛んだとか、どの程度の大きさだとか、灰が一日にどのくらい積もったかということは当然観測されると思いますけれども、さらにそのもとになるところの観測なり調査なり、そういうのは本当にどの程度やっておられるのですか。
  95. 末広重二

    説明員(末広重二君) 説明が不足で大変恐縮でございました。  私の申し上げた六つの臨時観測点と申しますのは、これはきわめて小さい地震をはかっている観測点でございます。でございますから、決して表面現象だけではなくて、たとえば御岳山の下でマグマが——これは溶岩の溶けたものでございますが、これが本格的に揺るぎ出すというような事態が起これば、当然私どものいままでの経験では小さな地震が続発するはずでございまして、そういうことがあれば直ちにつかまえられるように、つまり地震の波を一つの信号として御岳山地下の相当深い十キロ、二十キロのところの動静を探るということを現在続けているわけでございます。
  96. 下条進一郎

    下条進一郎君 そういうことで、なるべく的確な観測をやっていただきたい。  そこで次の質問でございますが、当初この噴火が起こったときに、おたく並びに各関係大学で調査された結果、大体このくらい危いんだと、こういうデータをお出しになったわけです。それに基づいて関係市町村は、それじゃ気象庁を中心としたデータによって、これはもう五キロぐらいが安全だということで、先ほどすでに話が出ましたように、危険地域指定したわけですね。ところがその結果、えらい住民は困る。これからスキーシーズンです。夏場の最後の残りの登山客もうんと減ってしまった。こういうことでありますから、その意味での住民の願いは、早く一体どの程度この危険なものが取り除かれるか、あるいはもうそろそろ灰も減ってきたからいよくなるのか、あるいはまだこれはずっと続くのかというようなことで、当初あわてておやりになったところの調査のデータと、その後何回かやっておられるデータとどのくらいの違いがあるのか。その違いによって少しは安心できるならば、これは住民としてはぜひその輪を狭めてもらいたい。二・五キロなり三キロに狭めてもらいたい。そうしなければ飯の種もなくなってしまうと、こういう心配なんですが、その調査は、その後おやりになって悪い方にいっているんですか、いい方にいっているんですか。そこを説明していただきたい。
  97. 末広重二

    説明員(末広重二君) お答え申し上げます。  ただいまの私ども観測では、表面現象も、それからただいま御説明申し上げました地下からの信号である地震活動度も当初よりは下降、鎮静化の方向へ向かっているわけでございますが、何分私どもにとって全く初めての活動である。全く初対面の人と話をしているようなものでございまして、過去の例を引くというようなことができません。したがいまして、これで終わりになりそうだというようなことを現時点ですぐに申し上げるわけにはいかないと思います。しかしながら、御指摘のとおり、火山活動度は地元住民の方に非常な影響がございますので、できるだけ的確な情報見解を差し上げるべきであると思っております。  したがいまして、今月の十九日、私ども火山噴火予知連絡会では再度会合を開きまして、いままでの観測データをすべて総合検討いたしまして、ただいま御指摘の地元の御決断にお役に立つような情報なり見解なりを、今月の十九日に差し上げたいと思っております。
  98. 下条進一郎

    下条進一郎君 一つの答えの手がかりをいまの御説明の中から伺ったつもりでございます。十九日になれば、いまおっしゃったようにある程度下降してきたデータなど入れて総合判断されるということでございますから、今度は、それに基づいて関係町村長が危険区域を指定すればよろしいわけですから、そうすると、住民の希望に従ってある程度この輪が狭まるであろうという期待があるんじゃないか、このように思うわけでございます。これはもう多くの住民が本当に心待ちしている問題でございます。と言って、安全を無視してデータをお出しになってはこれは困るわけでございますから、十分安全を考えられた上で、そのような答えが出ることを私たちは希望するわけでございます。  それから次は、こういうような事態に対しまして、それでは国土庁の方に伺いますけれども、大体どの程度に、現在までその後調査をおやりになった結果、災害は評価されておりますか。それを各村別に簡単でラフで結構でございますが、実情を御説明いただきたいと思います。
  99. 柴田啓次

    説明員柴田啓次君) 政府といたしましては去る七日、八日国土庁ほか六省庁の担当者による調査団を派遣いたしまして被害実情把握したわけでございます。  被害状況といたしまして、開田村におきまして野菜、牧草に灰が降りまして、県からの報告では約六百万円、こういう被害報告がございました。  そのほか養殖魚につきまして被害を生ずるおそれがあるため他へ移送したというものがあるようでございます。その後の降雨によりましても泥流の発生は見られませんし、それから牧尾ダムに流入している白濁水についても、放流後下流で希釈されますので、水道用水基準については支障がないものと考えられます。しかしながら、なお関係団体と協議いたしまして、この水質につきましては監視を続けてまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。それから、道路の灰でございますが、これにつきましては清掃機械を投入いたしましたほか、消防団によって除去をいたしました。なお泥流対策につきまして、濁川におきまして谷止め工の施行、白川において砂防事業の実施について検討中でございます。  以上でございます。
  100. 下条進一郎

    下条進一郎君 まだ調査中でしかとつかんでいらっしゃらないということでございますが、私はいまの御説明で落ちておると思いますのは、先ほど気象庁の方にお尋ねした問題に関連するんでありますが、主として王滝村、ここでは夏は登山と、それから冬はスキーということで村を挙げて施設をつくってお客さんの来るのを待っておるわけですね。これがいままで年間に約八十五万人来るわけです。さらにこの設備をふやしたから九十万、まあ来年は百万ぐらいになるのではないかという期待をしている、その多くの施設をやっている方々、あるいは民宿の方々、こういう方々が大変に大きな損害を受けているわけですよ。こういう問題もいまのような直接的な損害すなわち田畑に対する損害、川の損害、道路の損害、そういうものがあるのと同じように、場合によっちゃ金額的にはもっと大きなものが私はあると思うんですが、その点の評価はどうなっておりますか。
  101. 柴田啓次

    説明員柴田啓次君) おっしゃるとおり御岳山につきましてはたくさんのお参りと申しますか、御岳講と申しますか、そういう方がただいまお話もありましたように七十万、八十万というお客さんがいらっしゃっているということは私どもも承知しております。いま私、施設被害として申し上げましたのでその点を申し上げなかったわけでございますが、施設被害としてはこれらの民宿、宿坊への被害というのは余りございません。しかしながら、今後その御岳山の立ち入り規制等がどうなるかによりまして相当の影響を受けると思われますので、そういう点につきましては、今後の噴火状況あるいは気象庁の御判断、そういうようなものも参考にいたしながらいろいろ検討させていただきたいと、かように考える次第でございます。
  102. 下条進一郎

    下条進一郎君 その問題に対しまして、なるべく的確な御調査を継続的にやっていただきたい、こう思います。その調査の結果に基づきまして、今度は関係官庁において適切な措置をとっていただきたいと、こういう問題につながるわけでございます。  そこでその被害に対しまして、それぞれの関係官庁にお尋ねいたしたいのは、全体のそういう災害に対しまして、自治省としては特別交付金の問題をどのように調査し進めていらっしゃるか、それから中小企業庁は金融問題と、こういうふうに旅館などは言っておりますけれども、そういう場合の金融は具体的にどういう制度で救済できるのか、できなければどうするのかという問題を提起して御説明願いたいと思いますし、それから大蔵省は、この各関係の方々に対して租税特別措置法あるいは災害減免法、こういう問題の取り扱い、これについてどのような調査でどのような考え方を持っておられるか、それぞれ御説明をいただきたいと思います。
  103. 吉田弘正

    説明員(吉田弘正君) 自治省といたしましては、災害対策経費に要します地元市町村あるいは県の経費等につきまして、特別交付税の事情聴取を通じましてその実態を十分把握いたしまして、必要に応じまして適切な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  104. 山口務

    説明員(山口務君) 中小企業庁におきましても、現在県当局と実態調査をやっておる段階でございますし、その実態調査と並行いたしまして、将来予想される減収等の事態に対していかに対応するか、こういった対策検討も続けていきたいと思っております。そこで、現在考えられる対応策でございますけれども、このような地域色の強い災害といいますか、そういったものに対応するために実は先生御承知のとおり昨年から国と県がタイアップいたしまして、経営安定資金助成制度というのができておるわけでございまして、その中に地域産業対策融資という制度もあるわけなんでございますが、残念ながら県の方に連絡しましたところ、長野県の方はまだ本年度この制度をスタートさせていないということでございますので、この事態にもよりますけれども、県の方と相談して、こういった制度を長野県の方におきましてスタートするかどうか、この辺をよく検討してみたいと思っております。ただ、現在長野県の方におきましては中小企業振興資金制度というのがございまして、運転資金で限度枠三百万、金利六%、償還期間三年と、こういうふうに聞いておりますが、こういった融資制度がございますので、あえて経営安定資金助成制度を活用するまで至らないかもしれないと、こういうような地元の判断でございますので、いずれにいたしましてもよく地元と調整をしたいと思っております。
  105. 西内彬

    説明員(西内彬君) 御岳山噴火による災害につきましては、納税者の被災の状況等を勘案いたしまして、被災納税者の申請に基づいて税務署長がよく事情を十分考慮いたしまして、国税通則法十一条に規定します期限の延長、それから災害減免法の適用等について適切な措置を講ずることとしております。具体的には現地の税務署、これは木曽税務署でございますが、ここにおきまして各種の救済措置を納税者に知らせるためにチラシを配布いたしました。また有線放送を通じましてその手続の広報に努めておるところでございます。被災納税者の救済あるいは租税に対する対応につきましては万全を期したいというふうに考えております。
  106. 下条進一郎

    下条進一郎君 ただいまのそれぞれの関係官庁からの特別交付金、金融あるいは税制に問題についての御回答、制度上の御説明でございますけれども、具体的にはやはり早くやっていただかないと、これは住民も困るわけでございます。ですから、たとえば先ほどの金融の問題を例にとりましても、それは従来の制度の説明にとどまるだけでございまして、それだけではカバーしない面も私はあると思いますから、そういう面についてもひとつ新たな事態に備えて、どのような措置をとったらいいかということも前向きで検討していただいて、一刻も早く関係の罹災者が救われるように措置していただきたい。国土庁長官も今度新任されましたので、ひとつこういう関係官庁がそれぞれ分野を守って、一体となって罹災者に対する救済の措置がなかなかはかどらないという面もございますので、どうか中心となってしっかり御指導いただかんことを切望して、長官からの御感想をひとついただきまして、質問を終わりたいと思います。
  107. 園田清充

    国務大臣園田清充君) ただいま御指摘がございました点、私どもも全く同感でございまして、ただ単に御岳山の問題に限らず、後ほど質問が出ようかと思いますけれども、二十号台風の問題も含めましてあらゆる問題に対して、私どもが速やかに行政が対応していくということが一番大事だと考えております。その点では、ただ単なる調整官庁としてではなくして、積極的にいま御指摘がありましたような問題については、担当省庁に対して委員会での御要望を伝えて、速やかに対応するように措置を促してまいりたいと、かように考えております。
  108. 原田立

    原田立君 去る九月七日、中央防災会議は東海地震防災基本計画策定しましたが、その中身は、単に地方自治体、指定公共機関に対する抽象的な義務規定にすぎず、国の役割り、責任が全く欠落しているとの指摘がございます。国土庁は当初、強化計画応急計画作成のかなめとも言えるこの基本計画策定については非常な情熱を傾けたようでありますが、最終的にはかなり後退したものになっておるように思うのであります。基本計画策定に至るまでの経緯についてお伺いしたい。
  109. 柴田啓次

    説明員柴田啓次君) 事務的な説明が加わりますので、私からお答えさせていただきたいと思います。  東海地域地震防災基本計画につきましては、強化地域指定と相前後いたしまして、学者を動員いたしまして専門委員会をつくりまして、多角度的な検討をして、専門委員会のつくりました案につきまして、各種案というか素案につきまして各省庁の現実の対応というものも伺いながら策定をしていったものでございます。  この計画の策定に当たりまして、私ども地震防災対策としてとるべき措置はいろいろ多岐にわたりますけれども警戒宣言が発令されてから実際に地震が起きるまでの間が非常に短いことも考えられるということから、人命の安全と、いかにしたら人命を守れるか、それを第一に置きました。その次に、理想を追えば切りなくたくさんしなければならないことがありますけれども、現実の防災機関の能力あるいは住民対応の仕方、こういうようなもので現実に実行のできるものというような見地から策定をしたわけでございます。  ただいま先生から、各省との調整の間でいろいろ後退したのではないかと、そのような御趣旨のお尋ねもございましたけれども、私どもとしては当初の予定のように、当初の私どもの方針のように基本計画をつくることができたと、かように考えている次第でございます。  なお、この基本計画これだけでは十分でないというような点もございますれば、今後ともいろいろ御指摘をいただいて、なお改善に努めてまいりたい、かように考えるものでございます。
  110. 原田立

    原田立君 一つの例として言われているのは、この小中学校の生徒の避難誘導についてもっと細かい指針を決めようとしたときに、文部省側から、職員の勤務外労働を規定されるのは困るとして計画の内容に注文がつけられた、こういうようなものが一つの問題点として挙げられておりますけれども、そういうようなこと等があって計画をつくるのに難航しているというようなことが言われておりますが、その点はどうですか。
  111. 柴田啓次

    説明員柴田啓次君) 基本計画に書いております学校関係のことでございますが、そこでは「幼稚園、小・中学校等保護を必要とする幼児、児童、生徒等がいる学校にあっては、これらの者に対する保護の方法について具体的に定めるものとする。  この場合において、学校の置かれている状況等に応じ、幼児、児童、生徒等の保護者の意見を聞いた上、実態に即した保護の方法を定めるよう留意するものとする。」このように書いているのでございます。やや抽象的な文言でございますので、あるいは先生御指摘のような御疑問を抱く向きもあったかというふうに思うわけでございますけれども、事実としてそのようなことは全くございません。文部省と私どもとの問で意見が合致してこうなったものでございます。小中学校の置かれている状況というのは、非常に地域実情によって違います。市街地にあるものもあれば、非常な山間地にあるものもある。それらのことを一言の基本計画の中で包括的に規定するにはこのような書き方しかないのでございまして、いまおっしゃられましたように教職員組合等云々の関係でこれが抽象化し、後退化したと、こういう事実は全くございませんので、御了承いただきたいと思います。
  112. 原田立

    原田立君 防災基本計画の中で、地方自治体の行うべき防災施設の緊急整備事業は五年を目途に完了するよう指摘してありますが、自治体の負担する経費は、最小限必要な事業に限定しても膨大なものになるわけであります。静岡県の場合でも、東海地震対策事業に要する費用は政令指定事業だけでも千九百七十五億円。これに対し政令指定事業は二千九億円にものぼっており、大規模地震法に定める地震防災上緊急に整備すべき施設以外にも、自治体にとってはそれを上回る負担がかかってくるのが実情であります。国は自治体の負担軽減のための財政措置に対し、どのようなことになって処置していくのか。地方自治体の方では国の対応が非常にあいまいな態度であり、非常に困るというような、そういう声も聞いておりますが、いかがですか。
  113. 柴田啓次

    説明員柴田啓次君) 地震防災対策強化地域指定された地域におきましては、国の行政機関あるいは指定公共機関地方公共団体、このような各機関におきまして、地震防災上緊急に整備すべき避難地、避難路、消防用施設等の整備強化を図ることを地震防災強化計画の中で定めて、おおむね五年を目途として実施をするというふうに指定されておりますことは御指摘のとおりでございます。それらの事業としてどの範囲のものをとらえるかによりまして、事業量の額は変わってくるわけでございます。  ただいまお話がございましたように、静岡県におきまして、静岡県としての計画額というものを見ますというと、約四千億に及ぶということはただいま御質問のとおりでございます。これらにつきましては、確かに財政上非常に重要な問題でございます。私どももこの財政措置についてどうするかということにつきましては、大臣の事務引き継ぎの際にもまず第一に取り上げて、いろいろ検討をした問題でございまして、地方公共団体の実際にこれらに要する財政需要等を勘案しながら、円滑な実施ができるように遺憾なきを期するようにいたしたい、そういうふうに考えるものでございます。
  114. 原田立

    原田立君 じゃ大臣大臣も新しくなったばかりだけれども、いまの話を聞けば引き継ぎがちゃんとなされているというようにお伺いしました。地方が大規模地震に対して一生懸命やろうと、こうしているんだけれども、肝心のお金がないということで困っているというようなことであります。審議官答弁では円滑にそれが運用されるようにしていくんだというようなことなんですけれども、御決意のほどをお聞きしたい。
  115. 園田清充

    国務大臣園田清充君) ただいま審議官の方から御答弁を申し上げましたが、特に前大臣からもこの点について、いまお答えがございましたとおり私も引き継いでおります。  そこで、それぞれの地域地域において出てくる事業も異なりますし、同時に施行の順位というものもそれぞれ自治体によって違うかと思います。計画が策定され、実施に入る場合に、いま御指摘のとおりどう財政負担をしていくのかということと同時に、順位づけをどうするのかという各自治体の御要望を聞きながら、これに対して私どもは遺憾ないひとつ措置をとってまいりたいと、こう考えておりますし、このためには最善のひとつ努力もいたしたいと思います。同時に、委員会でもさっき御報告がございましたとおり、現地を御視察いただいたし、あわせまして私ども政府調査団も現地に派遣をいたしました場合に、同様な声を聞いてまいっております。ひとつこの現地の声を実りあるものにしたいということで努力をさしていただきたいと思います。
  116. 原田立

    原田立君 努力してもらうことは大変結構なんです。また、そうしてもらわなければ困るんですが、もう少し具体的に——これ、お金の問題ですから簡単にいかないだろうとぼくは思うんですよ。だけれども、努力なさると仰せになるからには、何らかの具体的な計画というものがやっぱりある程度示されなければ納得しがたいのであります。その点はいかがですか。
  117. 園田清充

    国務大臣園田清充君) 実は、いま御指摘がございましたけれども、それぞれの関係市町村から私どもの方に、書類として御要望の提出をいただいていないという地域もたくさんございます。同時に、これらを受けて財政当局との話し合いを詰めてまいりたい。その場合に、いまお話がございましたとおり、現地の声というものを政府自体も聞いてまいっておりますので、御趣旨に沿うように努力をさしていただきたいということで御了承を賜りたいと思います。
  118. 原田立

    原田立君 たしかこれは、提出期限は十一月いっぱいでしたか、審議官
  119. 柴田啓次

    説明員柴田啓次君) お答えいたします。  強化計画それ自体には提出期限はございませんが、応急計画というものの提出期限が二月七日でございまして、応急計画に先立って強化計画が定められなければなりませんので、私どもの目標としては十一月、あるいは遅くとも年内ぐらいに強化計画が整備されることを期待しているところでございます。
  120. 原田立

    原田立君 そうならば、もう少しはっきりそうした計画というものがなされなければならないのじゃないかと思うんです。大臣のいまのお話の中で、出ているところもあるし、まだ出てないところもあるしというふうなお話でありましたが、全国知事会あるいはまた関係市町村会、そういう団体からすでに出ているはずだと思うんですが、どうなんですか。
  121. 園田清充

    国務大臣園田清充君) 知事会からも町村会からも要望としては承っております。ただし、いま申し上げましたとおり、具体的な計画というものの御提出をいただいていないということでございまして、その具体的な強化計画なり、あるいは応急計画なりをいただいたところで、私どもとしてはその順位を勘案しながら御趣旨に沿うようなことで対応をしていきたいと、こう考えております。
  122. 原田立

    原田立君 先ほども申し上げましたけれども静岡県の例でありますが、政令指定事業費が千九百七十五億円。これに対して政令指定外の事業が二千九億円、政令指定事業よりも多いんですね。どうなんですか、政令指定事業というのは今後取り上げる考えがあるんですか。
  123. 柴田啓次

    説明員柴田啓次君) 全国知事会あるいは関係県から政令指定事業として追加を希望しているものがあることは私ども承知しております。これらのもののうち、地震防災対策上最も優先して必ず整備しなければならないものにどういうものがあるかということにつきましては、関係各省とも十分に打ち合わせをして検討いたしたい、かように思っておる次第でございます。
  124. 原田立

    原田立君 審議官、質問の趣旨をちょっとはき違えておられる。政令指定事業というものが非常に多額になっている、多額のものが静岡県の例ではありますけれども、あると。政令指定外ですよ。だから、その政令指定外の事業というものは今後もう予算をつけないのか、補助をつけないのかどうなのか、あるいはつける考えがあるのかどうなのか、そのところはどうなんですか。
  125. 柴田啓次

    説明員柴田啓次君) 大規模地震対策特別措置法の仕組みといたしまして、地震防災対策上緊急に整備すべき施設について政令で指定をいたしまして、その政令で指定をしたものにつきましては、優先的に採択をして補助をすると、こういう制度ができているわけでございます。政令指定事業につきましても、それが既存の補助制度に乗るものでありますならば、その既存の補助制度に従って補助をされるわけでございますけれども地震防災対策上特に優先的に配慮をする必要があるとなれば、これを政令で追加指定をした方が優先採択等において便宜であるわけでございます。そういう意味でございますので、先ほどお答えいたしましたとおり、静岡県の数字によりますというと、現在政令で指定されている事業に該当する、その項目に該当する事業とそうでないものとが約半々、先生御指摘のとおり指定外の方がやや多いと、こういうことでございますが、その指定外のもののうち、地震防災対策上特に必要なものとしてどういうものがあるかということにつきましては、関係各省ともいろいろ詰めてまいりたい、こういうふうにお答えを申し上げているわけでございます。
  126. 原田立

    原田立君 具体的に中身に入っていくわけでありますが、十月三十一日の新聞報道によりますと、国鉄施設局は「全国の国鉄各線にあるトンネルや鉄橋の橋げたの三割近くが運転保安上、「危険ないし早晩危険」の状態にあり、これまでに発生した鉄道災害の六割までが「施設を事前に改修したり取り換えておけば回避できた“荒廃災害”だった」」と、これは新聞報道されておりますからお読みになっているだろうと思いますが、このようなショッキングな内容を盛り込んだ内部資料をまとめていることが明らかにされておるのでありますが、現在の全国的な国鉄施設の実態について、国鉄当局はどのように掌握されているのか、また危険個所に対する対策はどういうふうに考えておられるのか、この点はいかがですか。
  127. 大橋勝弘

    説明員(大橋勝弘君) 十月三十一日の日本経済新聞の記事につきましては若干事実と違う数字が載っておりまして、表現も若干オーバーだというふうに私どもは感じておるわけであります。事実、あの固定警備個所というのは国鉄の中にございまして、全国で約五千六百カ所ぐらいが固定警備個所になっておるわけでございますが、この警備個所が即運転保安上危険であるという状況にはないわけでございます。要するに、線路冠水とか落石とかまあ災害の、台風とか地震いろいろケースがあるわけでありますが、そのケースごとに危険と想定されるモニタリングポイントをつくってございまして、台風が来た場合にはこういう場所に警戒がつくのだというふうな警備体制をとっておるわけでございますが、そういうものの中から全部が危険だというふうな表現が新聞にとられているという状況でございまして、新聞に表現されているように非常な数の個所が危険であるというふうなことはございません。  それから現状、こういうたくさんの施設を抱えている中でどういうふうな守り方をしておるかということでございますが、全国に保線区が百八十六ございます。そこに構造物検査員というのが約千五百人全国で張りついておりまして、その人間が日夜構造物の検査をいたしております。そういう中で構造物が健全であるか、若干変状がきているかというようなことを整備しておるのが実態でございまして、この不健全なものにつきましてはその健全度をいろいろ計量化いたしまして、その緊急度に応じまして国鉄本社で取り上げて、修繕するなり改良するなりというふうなことで防災工事を進めているのが現状でございます。  それから、今後の問題でございますが、まだ若干そういう構造物の検査員の検査手法、災害検知手法とわれわれ称しておりますけれども、人間だけで守り切れないものをどうやって機械で守るか、いろいろな検知手法があるわけでございますが、ここら辺がまだ未解明なものが若干ある。それから、いろいろな対策工法でも合理的な、また経済的な工法というものをもっと深度化させなければいけないというようなことで、現状はまだ勉強していることもございますが、いずれにいたしましても、列車の安全確保、運転の安全確保につきましては、国鉄としては安全第一でございますので、全力を挙げて努力している次第であります。
  128. 原田立

    原田立君 新聞報道がオーバーなんて、そんなこと言うとあれだけれども、じゃ、「土木構造物の新長期投資計画(案)」というのはありますね。
  129. 大橋勝弘

    説明員(大橋勝弘君) これはもう……
  130. 原田立

    原田立君 あるかないかだけ聞いている。
  131. 大橋勝弘

    説明員(大橋勝弘君) 施設局の土木課としてございます。国鉄としてはオーソライズされたものはございません。
  132. 原田立

    原田立君 それを見せてください。ぼくのところに一部資料提出してください。この新聞報道がうそなところが一部あるだなんて、そう言われたんじゃ天下の新聞、公器たる新聞も重大な責任問題だ。そういう面から言って、あなた方そう言われるならば資料出してください。出しますか。
  133. 大橋勝弘

    説明員(大橋勝弘君) わかりました。
  134. 原田立

    原田立君 またこの新聞によると、「新幹線も盛土区間の全区間が土砂崩壊や路盤陥没を招きやすい旧式の施工法であり「防災強化工事が必要だ」」と指摘しておりますが、盛り土に対する耐震診断は過去に実施されたことがあるのか、また強化地域内における盛り土に対する耐震防災基準等明確化されているのか、その点はどうなのかということをお聞きしたいわけですが、過日、現場であなたに会って聞いたらば、盛り土については耐震度についてそんなに安全でないような意味の発言があった。これは非常に重大な問題だと思って記憶にとどめていまここで質問するんですけれども、御説明願いたいと思います。
  135. 大橋勝弘

    説明員(大橋勝弘君) 東海道新幹線の盛り土でございますが、これは、東海道新幹線の建設のころはまだ終戦後幾らもたちませんで、非常に大規模土工としては新幹線が日本としては戦後初めてぐらいの時期でございまして、その盛り土の施工というのは機械化土工が重点でございまして、非常に経済的なやり方をしたというのも事実かと思います。その中で、盛り土について耐震設計というものがあるかということでございますが、その時点では、残念ながら土の問題というのは非常にむずかしい問題がございまして、耐震設計ということはなされないで建設されているのも事実かと思います。その中で、現状の盛り土の耐震につきましては、十勝沖地震で相当国鉄の東北本線が盛り土でやられまして、学術経験者を集めて研究委員会をつくりまして、盛り土の耐震性という問題について研究を国鉄は昭和四十三年から続けて今日に至っているわけであります。  今回、東海沖地震が近いということで、鉄道土木構造物の耐震強化に関する研究ということで、これまた岡本埼玉大学学長さんが委員長でございますが、部内外の学識経験者お集まり願いまして、東海道新幹線のこういう盛り土についての耐震対策というのを五十二年から詰めている次第であります。それに基づきまして、現状の東海道新幹線の盛り土につきましてはいろいろ実態調査を行いまして、特に軟弱地盤にある盛り土が非常に問題がございますので、これの耐震補強工法を検討中でございます。
  136. 原田立

    原田立君 時間が余りありませんからね、もっと答弁簡単にやってください。  ぼくらも毎回新幹線利用して、安心してこう乗っかっているんですけれどね、いまのように安全度がまだなかった時代につくったので、その安全度が余りはっきりしないんだなんていうような発言は、非常に重要な問題を含んでいると思うんです。  それで、じゃそれをどういうふうにするのか。まあもちろんよく安全なものにするように努力はなさるんだろうと思いますけれども、その点はどうですか。
  137. 大橋勝弘

    説明員(大橋勝弘君) この補強方法でございますが、いろいろまあ現在委員会で何通りかの補強方法を検討いたしておりますが、その中で出てきておりますのは、盛り土の両側にシートパイルを打ちましてこれをパイロットで結んだ、通称シートパイル締め切り工法と称しておりますけれども、この方法が現状の中では一番耐震強度を上げられるというふうなことで、その補強方法を現状メーンとしまして進めたいというふうに考えているわけであります。
  138. 原田立

    原田立君 浜岡原子力発電所の問題についてちょっとお伺いするのでありますが、原子力発電については、目下その安全性の問題をめぐって論議の的になっておりますが、去る九月十八日、静岡県の関根副知事が中部電力浜岡原子力発電所に対し、警戒宣言が発令された時点で原子炉の操業を中止するよう申し入れを行ったが、中部電力側によると、原発の地震対策は万全で、中止すると電力供給面で支障を来すとの理由で慎重論をとっているようでありますが、私どもが視察した際にも、操業面について中部電力側は、原子炉の自動停止装置の稼働時は震度六で大丈夫との考え方でありましたが、果たして震度六の時点で安全性が確保できるのかどうか、公益性の関連から国はどう考えているのか、その点の見解をお伺いしたい。
  139. 向準一郎

    説明員(向準一郎君) 浜岡原子力発電所の耐震設計の件でございますが、先生御承知のとおり原子力発電所の耐震設計につきましては、まず地震時におきます安全性を十分考慮するということで、まず地質調査等を十分いたしまして、堅固な岩盤に直接設置する、敷設するということ、あるいは過去の地震歴を調べまして、それでその発電所等が部品が壊れまして周辺に迷惑を与えることがないようにということで、一般建築物等に対しますものより厳しい耐震設計を実施しております。そういうことで、警戒宣言が発せられましても、安全確保上原子力発電所というのは停止する必要はない。  それからもう一つ、大きな地震が参りました場合には、原子炉の地震によりますスクラムというのがございまして、それは設計基準地震以下でスクラムするようになっておりますので、そういう観点からも問題ないわけでございますが、しかしながらいまお話のございましたように、県あるいは地元の御意向も踏まえ、それから電力需要の動向その他いろいろ勘案いたしまして、支障がない場合には、原子炉が停止されることもあり得るというふうにわれわれ考えております。  しかし御承知のとおり、電気といいますのは、警戒宣言が発せられた場合でも、地震防災あるいは応急対策というようなこと等すべての活動の基礎となるものでございますので、その供給の継続を確保するということは重要なものでございますので、そのための必要な電力の供給態勢の確保ということは一方で重要なことだというふうにわれわれ考えております。
  140. 原田立

    原田立君 この中部電力から出ている「駿河湾地震と発電所の地震対策」という、こういうメモがあるんですけれどもね。この中で「安政地震の遠江地方に於ける震度分布」という表の中に、御前崎では震度五ということが書かれております。で、震度五はいわゆる強震であって、「壁に割目がはいり、墓石、石どうろうが倒れたり煙突石垣などが破損する程度の地震」と。それから、震度六については烈震、「家屋の倒壊が三〇%以下で山くずれが起き、地割れを生じ、多くの人々は立っていることができない程度の地震」、こういうことが説明されておりますけれども、そんな三〇%の家屋が倒れるとか人間が立っていることができない程度の地震の震度六だなんて、そんなところを基準にして原発の安全度を考えているんだなんというのはちょっとおかしいんじゃないですか。少なくとももっと、たとえば震度五ぐらいのところにおいてはもう十分作動するようなことにしなければならないんじゃないですか。現地でその4とをぼく質問したら、ああ震度五でもちゃんと作動するようになっていますからなんというような返事をしておったけれども、その点はどうなんですか。
  141. 向準一郎

    説明員(向準一郎君) 浜岡原子力発電所の地震のスクラムポイントでございますが、先ほどお答えいたしましたように、設計地震力といいますものが浜岡では基盤で三百ガル、これは過去の地震歴等を考慮いたしまして定まったものでございますが、これに対しまして原子炉の地震時のスクラム、その設定値が二百ガルということになっておりまして、十分余裕のある段階で原子炉をとめるというふうになっております。  それから、いま先生の御指摘のございましたスクラムポイント震度五というようなことでございますが、これは中部電力が現在そういうふうな検討をしているというのは承知しておりますが、その検討結果についてはまだ聞いておりませんので、その結果が出ましたらわれわれもまた検討してみたいというように考えております。
  142. 原田立

    原田立君 先ほど実情調査の中でも報告したんでありますけれども静岡県海岸の久能のところで台風二十号にぶち当たり塩水をかぶっちゃって、審議官も頭からかぶっちゃうし、中村理事はもう倒れちゃったりね、私なんかもびしょぬれになっちゃったんだけれども。現地で陳情を受けたんでありますけれども、二回も三回も工事を実施したけれども、みんな中途半端でどんどんどんどんえぐられていっちゃって困ると。それで先ほど報告もしたように、離岸堤をつくるということが最大の安全度ではないかというような陳情を受けたわけでありますけれども、これについては昨日も大臣にこの点については一言お耳に入れておいたわけでありますけれども、早急に取り上げて、これは住民を安心させるようにひとつしてもらいたいと思うんであります。いかがですか。
  143. 園田清充

    国務大臣園田清充君) いまお話しのとおり、昨日も御要望の中で御指摘をいただいた点でございますが、従来、ともすると原形復旧ということが災害の原則的なことでやってまいりました。しかし、やはり過去の災害あるいは復旧の状況、それから現在までの、ただいま御指摘があったとおりせっかくやったものがすぐ壊れていくということで、そこで今回の災害の査定に当たりましても、私どもとして各関係省庁要望いたしておきましたけれども、努めて改良復旧ということを加味しながら、二度と災害を起こさないということで問題に対応してほしい、査定をやってほしいということを強く実は要請をしてございます。そこで、各省庁ともいま申し上げました趣旨に沿っての査定を急いでおると、かように実は考えておりますので、十分御指摘の点は対応してまいりたいと、こう考えております。
  144. 原田立

    原田立君 大臣ね、災害対策については何か予算の上でいわゆる五、三、二ですか、というようなことで予算化して、それで三年間で仕事を完了するというようなこと、私十分承知していますけれども、そういうようなことでやってきたのだけれども台風が毎年やってくるというようなことで、つくってはぶっ壊れ、つくってはぶっ壊れるというのが実情らしいのですよね。だからここはもうここ一番五、三、二だなんて言わないでばんとつけて離岸堤だとか、ちゃんとつくってやってもらいたいと、こう思うんですが、どうですか。
  145. 園田清充

    国務大臣園田清充君) 原則的にはいまおっしゃったように五、三、二ということで三年計画で復旧をしておるというのが過去の実績でございますが、事業全体を見てみますとその緊急性あるいは応急にという点もございまして、事業全体が災害復旧終わるときにはやはりこの三年間というものを要するかと思いますけれども、これは所管庁である建設省あるいは農林省等でお答えをいたし方が適切かと思いますので、所管庁の方から答弁をさせます。
  146. 原田立

    原田立君 時間がなくなってしまったので、実は御岳山の問題で質問したかったのでありますが、あと若干ありますので一、二質問したいのですが、地元の方々が一番不安に感じているのは、観測体制の未整備に伴う情報不足等から、大噴火が起こるかどうか、今後の推移に多大の恐怖と不安の念を抱いておるわけであります。火山噴火予知連絡会では、今日の噴火水蒸気爆発との見解をとっておりますが、有珠山のときのようなマグマ水蒸気爆発も考えられるとのことでしたが、この点その後の観測でどうなったか、大噴火の可能性はないのか、この点をお伺いしたい、これが一つ。  それから現地の気象観測所長の答弁の中に、新聞報道されておりますが、桜島の場合なども一遍活動し終わって再度二十日余りたったときにまたマグマを出す噴火変化し今日に至っている、だから今後のこともなかなか大変だというようなことを言っておりますけれども、以上二点について。  一つは観測体制の問題、一つはマグマ水蒸気爆発、そういう面に移行する心配はないのかどうか、その点いかがですか。
  147. 末広重二

    説明員(末広重二君) お答えいたします。  最初の御質問でございますが、現在御岳山の周囲には六点の臨時微小地震観測点が設定されておりまして、御岳山の直下でマグマが揺るぎ出したというようなことがあれば、すぐその徴候がつかめる体制になっております。現在までのところ、各種の観測を総合いたしますと水蒸気爆発であって、これがマグマ爆発に移行するという徴候は全然見られません。  なお、来週十九日噴火予知連絡会を東京で開きまして、現在までの観測データをすべて検討いたしまして、なお正確な情報を差し上げたいと思っております。  桜島についてでございますが、桜島の活動状況は依然として高うございまして、これは当分続くというのがわれわれの考えでございます。ただ、桜島の山の癖と申しますか、これは相当よくわれわれにわかっておりますし、観測も増強されつつありますので、大正あるいは昭和二十一年のような大噴火がもしあるとすれば、事前に十分な予知情報は差し上げられると思っております。
  148. 原田立

    原田立君 体制の方は。
  149. 柴田啓次

    説明員柴田啓次君) 先生お尋ねの体制は、御岳山についてであると私理解したのでございますが、冒頭申し上げましたとおり、確かに噴火前は全く観測がされてなかった山でございますが、噴火後は直ちに翌日から臨時観測を始めまして現在六点、気象庁、東京大学、名古屋大学等が、御岳山の直下で小さな地震が起こった場合には直ちにこれをキャッチできる観測網をしいて、毎日このデータを解析しておりますので、こういった意味での観測体制は現在飛躍的に増強されているわけでございます。
  150. 立木洋

    立木洋君 私は、台風二十号の被害についての対応で若干お尋ねしたいと思いますが、十六号よりも被害の大きかった台風二十号に対して、先ほど当初説明がございましたけれども、天災融資法や激甚災害法等々の発動の見通し、その時期等々をもう少し説明していただきたいんですが。
  151. 柴田啓次

    説明員柴田啓次君) 先ほども御説明申し上げましたとおり、台風二十号につきましては激甚災害指定検討等を行っている段階でございます。現在、被害額について集計を急いでいる段階でございまして、それらが終わり次第できるだけ速やかに行いたいというふうに思っているところでございます。
  152. 立木洋

    立木洋君 最初に農林省の方からお伺いしたいんですが、今度の長雨、台風等によりまして、先ほども問題になりました穂発芽の状態が発生し、規格外米が大量に出ておる。先ほど言いましたように十月三十日ですか、政府の方の通達によりまして、食糧事務所の方に自主流通米として取り扱うというふうな説明がなされておるわけですが、宮城県等々幾つかの県でも積極的にそれに対応して行うというふうなことがありますが、いずれにしても、これは量が多かった場合、事実上消化できないということになれば、またこれは大変なことになるだろうと思うんです。量が少なければそれなりに消化できるとしても。そういうような、事実上さばけないような状態が起こった場合の対応等々についても考えておられるのかどうなのか、その点についてまずお尋ねしたいんですが。
  153. 塚田実

    説明員(塚田実君) ただいま御質問の規格外米の取り扱いでございますけれども、私どもはどの程度の数量がまずあるかというのが大きな問題だろうかと思うわけです。食糧庁といたしましても調査に努めてはおりますけれども、なかなか地元にもそれなりの事情がありまして、詳しい数字はいまのところまとまっておりませんが、私どもの推定では数万トンぐらいではないだろうかという感じは持っております。  そこで先ほども申し上げましたけれども、自主流通ルートを通じて需要先に販売するという方が生産者にとって有利な場合が多いということで、いまそういう措置を講じてやっているわけでございます。現在までに——これはそういう措置を講ずる場合には食糧庁長官の承認が必要でございますが、現在までに十件、すでに承認しておりまして、一万七千トンぐらいの数量になっております。かなりこれでさばけると思っておりますけれども、いまお話しのようにそのルートに乗れないものが出てまいりますれば、私どもは特定低品位米ということで米飯提供業者、米穀加工業者等に食糧事務所が間に入って販売するというふうにしております。  従来までの実績を申しますと、こういう米の販売実績は一万トンないし二万トンございますので、この両者の措置をもって対処すれば農家の要望にはこたえ得るのではないか、このように考えておるところでございます。
  154. 立木洋

    立木洋君 それからもう一つは、等級の低下による減収ですね。これも先ほど御説明があったんですが、もうちょっとあれしていただきたいんですが、たとえば福島県の場合、穂発芽によって十月三十一日現在の状態の検査状況ですが、一等の比率が四一・八%で、昨年同期に比べて、同期が七四・二%。ですから三二・四%もダウンしている。こういう大変な大幅な収入減になるわけですが、この品質低下による減収について、災害による被害額の中に当然見込むべきであるというのが私たちの考えですが、今回の場合には特別の措置として、共済での減収というふうに認めるというふうになっておるわけですが、この点についての考え方をひとつお尋ねしておきたいことと、それからそういうふうに今度の特例措置と認められた場合に、自創資金として資金の需要がある限り、限度いっぱい、やっぱりそれに対して対応するというふうな積極的な姿勢をとっていただきたいということなんですが、この点についてお尋ねしたいんです。
  155. 塚田実

    説明員(塚田実君) まず、御指摘の第一点についてお答えいたします。  御案内のように、共済では通常の年でございますと穂発芽のようなものは減収と見ないということでございますが、今回は減収と見るわけでございますけれども、それを具体的に申し上げますと、そういう被害粒が入った場合に食糧庁として、政府の買い入れ対象外になってしまう、そういう米につきましては私どもはその被害粒だけまず除く、その中から。それで食糧庁の買い入れ基準に達するようにする。しかし、その被害粒を除いても、なおかつ食糧庁の買い入れ基準に達しない場合があります。それにつきましては、それを精米にしてみて、それで基準に達するようにする。精米にします過程でかなりのものが除外されてきますから、それをも減収と見る。こういう二段構えの形で減収量をふやしていくわけでございます。そういたしますと、そもそもの災害被害が生じた上にそうした加工をして、なおかつ減収を足すわけですから、減収量がずっとふくらんでくるということで共済金の支払い対象がふえて、共済金の支払いの増額にもつながっていく、こういう形で被害を受けた農家の減収に対処しよう、こういう考え方でございます。  しかしながら、そういう形で被害農家が救済されるわけでございますけれども災害が起きますと農家はやはり金融上のいろいろな必要が生じてまいります。先生御指摘のとおりでございます。そこで私どもとしては天災融資法が発動されれば天災資金、それから天災資金と申しましても、御案内のように経営資金でございますので、生活資金まではめんどう見れない。そうなりますと、これは自作農創設資金、こういうことになります。私どもとしては、自作農創設資金についても資金需要を十分把握いたしまして、被害実情に応じた資金は確保してまいるように努力するつもりでございます。
  156. 立木洋

    立木洋君 いま共済制度の問題が出されたので、その点についてもう一度申し述べておきたいんですが、今度各地を回って見てみますと、十六号台風も二十号も大体ほぼ同じところ、前回も借金して、また今回もと。さらに仙台なんかの場合ですと地震があって、それでまた農家の方々がいろいろ借りておって、また今度の台風だ。これ以上借金できないというふうな事態が事実上あるわけですね。それでこういう点になっていくと、やっぱり現行の共済制度をもっと抜本的に改正をして、そして事実上、そういう災害による減収などが十分に補償されるようなもの、あるいはまた水稲の場合でも、うまい米づくりに対応して品質低下による減収もカバーできるような状態、あるいは果樹なんかの問題も聞いてきたわけですが、いわゆる加入率が四割、一部では六割というところがありますけれども、こういうふうな状態は魅力がないというふうなことでは事実上困るだろうと。ですから、そういう意味でもこの共済制度を抜本的に改正をして、そういう減収に耐え得るような、農民の事実上補償し得るような体制を確立するように強化してほしいという要望が多々出ておるわけですが、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  157. 塚田実

    説明員(塚田実君) 共済制度について種々問題があるという御指摘でございますが、確かに私ども果樹を中心にして問題がないわけではないと考えております。特に果樹につきましては、御指摘のようにリンゴをとってみましても全国平均で四三・九%ぐらいの、五十四年産でございますが非常に加入率が低い、青森県は六〇%と高いところもありますけれども、この共済制度というのは、御案内のように相互扶助の組織でございますから、加入率が非常に高いということは望ましいわけでございます。私ども果樹共済を四十八年度から実施しておりまして、累積赤字が二百億をすでに超えております。これは全部国庫負担になっているわけでございますが、その大きな原因はやはり加入率が低い。なぜ加入率が低いかということになるわけでございますけれども、これはたとえば掛金の問題なり、いろいろ問題があろうかと思うわけでございますけれども、そこで私どもといたしましても、この果樹共済については改善を要すべき点があると考えておりまして、ことしの春以来今日まで、私どもの中で検討会も設けまして議論してまいりました。  それで先月の末に一部学識経験者の結論が出まして、それを現在の時点ではどのように制度化すべきか、いま内部で議論しているわけでございます。積極的に対応していきたいと思っておりますが、しかしながら他方、農家のサイドにおいても被害を受けた農家はかなり継続的に入っていただいているわけですけれども被害を受けない農家は被害が生ずるまで入っていただけないということもありまして、農家のサイドにおいても、やはりそれなりの自覚を持っていただく必要はあろうかと思っておりますが、行政庁である私どもとしては、それなりの改善措置は講じていきたいというふうに考えております。
  158. 立木洋

    立木洋君 いま申されたように、事実上農家の方々にとっても実効あるような対応、それから魅力があるようなこと、これは一部、検討していただきたいんですけれども、たとえば篤農家の場合、被害が事実上起こらないと、被害が起こらないで掛け損みたいになる、そうすると一部払い戻しといいますか、こういうものもあると積極的に加入できるというふうなことなんかも言っておりました。これはいろいろ農林省の方でも検討されているだろうと思いますけれども、これは返答は要りませんけれども、いま言われたような点も含めて積極的に検討していただきたいということを述べておきたいと思います。  それからもう一つ、これは水産関係ですが、塩釜と松島にいろいろ視察に行ってきたわけですが、あそこではノリとカキの養殖、これの被害が大分出ておる。十一月の中旬にならないと最終的にはノリの被害状況がわからないというふうなことを言われておりましたけれども、宮城県だけでも相当数十億に上る被害があったというふうに述べられています。現地においては、養殖の漁業関係者が収入のうち九〇%がノリに依存しておるという状態ですから、これが大変な状態になれば生活資金としても問題になるわけで、ここに対するどういうふうな対策検討されておられるのか、検討されている内容があればお聞かせいただきたいと思うんですが。
  159. 塚田実

    説明員(塚田実君) 水産関係被害でございますが、私ども県からの報告を徴してみますと、いまお話しのように、台風二十号によりまして北海道、宮城県を中心にかなりの被害が出ております。この北海道、宮城県、合計で水産物では三十二億、養殖施設では十億近い被害になっております。これについての対策でございますけれども、これも農業共済と同じように、まず養殖共済の対象になって加入している漁家に対しては、共済契約の定めるところによりまして共済金をお支払いするということでございます。それから、その他経営に必要な資金については、私どもの方で沿岸漁業経営安定資金というものがございます。そういうものの資金枠も十分確保してその融通を図っていきたい、また天災融資法が発動されれば、これに基づきまして経営資金の融通を図っていきたいというふうに考えております。そのほかなお漁業近代化資金、それから公庫の中で主務大臣指定資金というようないろいろな資金の、必要に応じた資金制度がございますので、そういうものを御活用願えればと、このように考えております。
  160. 立木洋

    立木洋君 次に、建設省に二点ほどお尋ねしたいんですが、この間の同じくやはり台風二十号の高潮によって宮城県の塩釜、松島などでは大変な水害がありました。現地に行ってみたんですけれども、地図を持ってきて説明すれば一番わかりやすいんですが、もう時間がありませんから要点だけ申し上げますが、事実上護岸工事が完備できていないところというのが多々あるように見受けられましたし、そういう点では、あのときがちょうど満潮時と台風が来たのと重なったという悪条件があったにしても、これは早急にやっぱりやっていただかなければならない点ではないかというふうに思うわけですが、この点に関して県や市町村とよく相談をして、国の補助事業として積極的に検討していただきたいと思うんですが、この点が一つ。  それからもう一つは、これも同じくこの間の台風被害で出てきておるわけですが、岩手県の国道四十五号線、これも御承知だろうと思いますが、鳥谷坂のトンネルで工事をやった場合の残土を沢に埋めた、そして工事をやったあれがあるんですけれども、これが大雨が降ったりしますと、この残土が全部流されて下の住民たちに大変な被害を与えておるということで、きょうも現地の方々が建設省に申し入れ、お願いに行っているはずなんですが、この点についても、当然国の工事としてやった問題ですから、国の責任においてこれの対応を至急検討してほしい。この二点、建設省の方にお伺いしたいと思います。
  161. 浦江恭知

    説明員(浦江恭知君) ただいま先生お話しのうちの塩釜港は、港湾区域の中でございますので運輸省の所管になっております。  この点につきましては宮城県の方から報告を受けておりまして、被害の概況は承知しております。この対策でございますけれども、現在、宮城県が対応策検討中というふうに報告を受けておりますので、その結果が出てまいりました時点で可能な限り県の御要望を入れた形で、現在策定を進めております海岸事業の五カ年計画というものがございます。この中で取り組んでまいりたいと思っております。
  162. 西原巧

    説明員(西原巧君) いま御質問のございました松島湾内の大島、野々島海岸寺につきましては建設省が担当いたしておりますが、ここの災害を調べてみますと、前浜が浸食等によって流出した結果波高が高くなって、いままで計画していた越波量より多い越波がございまして、その結果被災した個所がございます。早速災害復旧の手続を進めておりますが、その場合には十分な高さに復旧するわけでございますが、なお必要がある場合には消波堤であるとか、あるいは先ほど来出ておりましたような離岸堤であるとか、そういったものを含めて再度災害の防止に当たりたい、このように考えている次第でございます。
  163. 本山蓊

    説明員(本山蓊君) 先生御質問の四十五号の鳥谷坂トンネルの工事でございますが、このトンネル工事は昭和四十二年から四十三年度にかけて実施しております。このとき、同トンネルの掘削土砂の土捨て場につきましては、付近の民有地を借り上げて使用しております。この土捨て場は四十四年の三月三十一日に、使用完了とともに土捨て場に設置いたしました擁壁等の工作物とともに返還しようとしましたが、所有者に将来宅地造成の計画があるということで一部手直しの要望がございましたので、所要の手直しをした後に、昭和四十四年の六月に、所有者立ち会いのもとに返還しております。このため、建設省といたしましては一時手を離れておりまして、現在の管理者は土地の所有者であるというふうに一応考えております。しかしながら、今回の二十号台風にも先生御指摘のような被害が出ておりますし、かつて昭和五十二年の五月にも被害が出たということを聞いております。  こういうことでございますので、土捨て場の土砂の状況につきましては、すでに所有者に十年前に返還しておりますので、道路管理の区域から離れております関係上、現在その状態を十分把握しておりませんので、今後実態調査をした上で、十分よく検討した上でまた御説明したいと思っております。
  164. 立木洋

    立木洋君 最後に一点ですが、気象庁の方、先ほど……。  青森の果樹の農家の方々からも聞いたのですが、それから北海道の滝川の江部乙の果樹の農家の方々からも聞いたのですけれども台風が来たという通報を受けて、それでトランジスタラジオを持ってリンゴをもぎ取りに行ったのですって。ところがラジオを聞いておると、台風が通過しましたという放送が、通報があって、そして風もおさまったと。ああこれで大体通過したから安心したといって帰ったというのですよ。そしたら、逆戻しの風がそれから二時間後、青森県もそうですけれども、滝川の場合も起こってきた。それで、滝川なんかの場合ですと、江部乙が北の斜面になっていますから、直撃を受けて大変な被害になったと。それで気象庁の方でお聞きしますと、何か、いや通報としては流したというふうなことも言っておられる方もおられるようですが、事実上トランジスタラジオを持って行った農民の人にしては、それほど注意するような形では出されていなかった。農民の方に聞いてみると。ですから、いま一時風がやんでいるけれども、これは逆戻しが来る可能性が多分にあるから、二時間後さらに風が来るからというふうな解説的なものでも流してもらえれば農家の方としてはいいと。もしかそれが風が後から来なかったといっても決して怒らないと。だけれども、ないと言って来られたのじゃこれはたまらぬので、気象庁の方としてもそういう点まで十分な配慮をした解説的な通報をしてほしいということを、特に青森と北海道の滝川の方でも要望されたので、この点特に要望しておきたいのですが、その点答弁を求めて私の質問を終わりにします。
  165. 浅田暢彦

    説明員(浅田暢彦君) お答えいたします。  さきの台風二十号の通過につきましては、気象庁は全国的な視野におきまして延べ二十四回の台風情報を発表しております。この中には、当然風に対する注意も含めて注意を喚起しているわけであります。  先生御指摘の青森及び北海道南部のりんごの産地の気象の通報はどうであったかということでございますが、たとえば青森地方気象台では、台風がまだ四国沖にありました十九日の六時四十分に強風注意報を発表しております。その中には、青森県地方でございますので、リンゴということも当然注意を喚起しなきゃなりませんので、情報文の中には、強い風によるリンゴの落下などに注意してくださいと、このように表現して、リンゴ生産の農家の皆さんに呼びかけてございます。  なお、台風が新潟あるいは福島県の付近にございました十九日の十四時三十分には、当然暴風雨圏に入ってまいりますので、暴風雨警報を発表しておりますし、また時々刻々、青森あるいは南北海道地方に近づいてまいりました場合には、それぞれ台風情報というものを発表してございます。特に、先生御指摘ありました台風通過後の吹き返しでございますけれども、これはある意味では常識になっている現象ではありますけれども気象庁青森地方気象台の一つの例をとってみますと、台風情報の中で、これは台風が近づいた夕方でございますけれども台風情報の中では、この後、あす朝にかけて西から北西の吹き返しがある見込みで、引き続き暴風雨に警戒してくださいということで、特にリンゴはどうするということは述べてはございませんけれども、吹き返しがありますから関係する皆さんには注意してくださいというように内容を含めてございますので、気象庁といたしましては今回の二十号の台風の気象通報は一応適切に行われたものと言えると思います。  終わります。
  166. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 私は、御岳山噴火の問題に集中して気象庁の方に最初に聞いてまいります。  先ほどからもう何人もの方がお聞きしておりますので、なるべくダブらないようにして聞いていきたいんですけれども、下条先生の御質問のときにもお答えだったんですが、群発地震があったことはわかっておった、しかし御岳山の方とは関係がないというふうに見ておったんだというふうにお話があったんですが、だからそういう点からいくと、今回の場合には事前に予報的なことはなさらなかったんだという結論になると思うんですけれども、そういうことでよろしいかどうか。
  167. 末広重二

    説明員(末広重二君) お答え申し上げます。  まさに御指摘のとおり、御岳山の南東約十キロから二十キロのところに昨年の十月から群発地震が発生していたことは気がついておりましたし、その推移についても地元の皆様に情報は差し上げていたわけでございます。しかしながら、これが火山の真下でなかったこと、それから広い意味での火山地帯、つまり温泉があったりする地帯でございますが、そういうところでは間々群発地震が起こり、これが必ずしもその付近の火山の爆発につながるというケースがむしろ少ないものでございますから、御岳山が過去一万年活動がなかったというようなこともありまして、御岳山の爆発に事前の予知が何らなされておらなかったということは事実でございます。これは、まさに私ども火山噴火予知技術がまだ完成してない、至らない点がまだ大変あるんだというところを痛感した次第でございまして、これは今後とも努力によって予知技術の練摩をいたしていきたいと思っております。
  168. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 次に、この観測体制の問題で、それとの関係でお聞きしておくんだけれども日本には六十七火山があるという。それで浅間や桜島みたいなもう常時観測していなくちゃいけないいわゆるAクラスといいましょうか、それが幾つあるんですか。それから、有珠や何かのああいうBクラスのようなのが幾つ。それから、今度の御岳のようなほとんどふだんは何もしないような状態にあるCクラスというのか、そういうのが幾つあるのか。その数だけちょっと教えてくれませんか。
  169. 末広重二

    説明員(末広重二君) 特に活動度が高く、付近への影響も大きいところは精密火山観測をいたしておりまして、これは四つございます。そのほか活動度はやや低いけれども、やはり常時監視の必要ありという山が十三ございまして、十七火山については常時監視を現在しております。で、残りの五十に対しましては常時観測はしておりませんが、東京と北海道と九州にあります機動観測班の定期巡回によりまして山の性質をできるだけ把握するよう努めておるわけでございます。
  170. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 それから、今度の御岳では六カ所で観測していると言って先ほどからも御答弁なさっている。私が向こうで何しているこの地図見ていると十四あるんですけれども、そこのところはやっぱりそうなんですか。これは気象庁のが一つ、二つ。それから名古屋大が十一、信州大が一で、全部で十四観測をしているようになっているんですが……。
  171. 末広重二

    説明員(末広重二君) お答え申し上げます。  これはどの範囲まで数に含めるかということでございますが、私が六つと申しましたのは爆発直後から始めた、つまり直後からのデータをずっととっておる観測点が六つということでございまして、御指摘のとおり、その後岐阜大、それから建設省の建築研究所もこの付近に地震計を持った班を派遣なすったことは事実でございます。それから、臨時でない、もう初めからある観測所というのがやはり幾つかこの付近にございますので、それまで入れますと先生御指摘の数になると思います。
  172. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 それから、御岳についてはまだいまのところお続けになると思うんですね、観測は。それで、だんだんいま静まってきているんだということを答弁なさっているんですけれども、あとどのくらいとか、そういう見通しはどうなんですか、お持ちになっているんですか。それとも、またいつドカンとくるかわからぬから、いまの段階ではまあ当分このままずっと続けるんだというようなお考えなんですか、それどちらになっているんですか。
  173. 末広重二

    説明員(末広重二君) これは、まさにわれわれにとって初対面の活動でございまして、山が安山岩であると。つまり人間でいえばアメリカ人でなくて日本人であるといった程度のことはわかっておりますが、どういう対応をするのかといったようなことは全く未知でございます。したがいまして、この観測は当分という意味は、種々のデータをとりまして山の性質を調べつつ、最終的には噴火予知連絡会におきまして、今回の活動は鎮静化したという結論が出るまでは、私ども気象庁では臨時観測を続行いたします。
  174. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 建設省の方は……。  ダムがわりあいに日本の場合には多いんだけれども、今度の場合も具体的に牧尾ダムですか、あそこのところにかなりどろが流れ込むということが言われて心配されているんですけれども、そういうどろが入らない、灰が入らないというような、そういう何か工事をするお考えがあるのかどうかということですね。
  175. 釣谷義範

    説明員釣谷義範君) 御岳山噴火に伴う降灰による泥流災害の問題につきましては、国有林内の濁沢の流域につきましては林野庁の方で本年度対応を考えておられます。私ども建設省の方としましては、やはり降灰量の多うございました白川流域、この流域につきまして対応を考えておりまして、とりあえず緊急性を要しますので、現在、白川流域には高さ十五メーターの既設の砂防ダムがございますので、その砂防ダムの堆砂を人工的に除去しまして、それで出てきた泥流を受けとめようという対応を考えております。なお、五十五年度以降はさらに泥流発生の実態をよく調べまして、砂防ダム設置等の対策検討してまいる所存でございます。
  176. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 そうするとこの牧尾ダムの方は心配ないってこと。ちょっとそこのところ……。
  177. 釣谷義範

    説明員釣谷義範君) 牧尾ダムに入り込みます上流に濁沢というのがございまして、その濁沢につきましては国有林の地域でございまして、営林局の方で、林野庁の所管で対応を本年度考えておられるようです。
  178. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 時間もないからそこのところはそれでやめておいて。この開田村の越というところからずっと地蔵峠を通って木曽福島へ出る道。この災害がちょっと大きくなってきたら、かなり避難をしようといってもとめられてしまう形になるわけですね。それで、国道三百六十一号線それから越からの道路の改良工事を何とか早くやってくれ、地蔵峠にはトンネルの掘削をして避難なんかが安全にできるようにしてほしいという地元要望があるんですけれども、その点についてのお考えはどうなんですか。
  179. 本山蓊

    説明員(本山蓊君) 国道三百六十一号の地蔵峠の改築でございますが、これは先生御指摘のように、現道は非常に地形が急峻でありまして、現在バイパスとして整備することにいたしております。この区間は延長が約一・五キロの長大トンネルを含みます四・八キロという区間でございますので、大規模工事でございますが、本年度長野県において事業着手したところでございまして、来年度には早急にトンネルに着工できるように、現在用地買収を急いでいるというところでございます。まあ、用地買収が済みますれば、現道の分岐点からトンネルの坑口に至ります用地買収と改良工事を促進いたしまして、来年度または再来年度に峠に着工したいというふうに計画しております。  次に、御指摘の県道、越−木曽福島線でございますが、これは五十年に昇格した県道でございまして、現況は幅員が四ないし六メーターという非常に未整備の状況でありますので、落石等の危険個所が非常に多うございますのでその解消と、また未舗装区間が非常に多い、三八%しかできておりませんので、舗装化を進めるべく現在工事を進めております。今後とも本路線の重要性にかんがみまして、五カ年計画の中では防災、雪寒等の事業を完了したいと、そういうように考えております。
  180. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 わかりました。  次に自治省の方。これも先ほど下条先生の方から出ておったようですから余り細かいことを申し上げません。結局ああいう小さな村なんで、こういう災害が起こさればとてもじゃないけれども村の財政がやっていけなくなるので、そういう点において特別交付金だとか、いろいろそういう問題についての援助の方法ということについて、いままで答弁があったものはよろしいですが、それ以外のことについて。  それから、答弁といっても先ほど下条先生の御答弁、私は聞いていてこれは答弁のうちに入らないと思うのです。ただ書いてある法律の条文を言っているだけなんだから、もうちょっとそこのところ具体的に言ってくださいよ。
  181. 吉田弘正

    説明員(吉田弘正君) 自治省といたしましては、現在御岳山噴火によります地元市町村の財政需要の把握に努めているわけでございまして、その結果どの程度の額が出るか、それによりまして、必要がございましたら実情に応じまして特別交付税なり地方債で措置してまいるということでございます。
  182. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 わかりました。  それから、これはどなたにお聞きしたらいいんでしょうか、いま御岳山に登山はとめているわけでしょう、国土庁……。
  183. 柴田啓次

    説明員柴田啓次君) さようでございます。
  184. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 それで私がお聞きしたいのは、余り山の方も荒れそうもないんだけれど、といって山へ登れるのはいつごろになったらそういうものは解除をして登ってよろしいということにするのかどうなのか。で、やっぱりあそこの王滝村にすれば、ああいう山ですから一つの観光というか、それがこの有力なやっぱり収入源になっているんで、いよいよ山へ登れない、入れないということになると、またこれ大変なことになるんで、その辺の御判断、どういうふうに思っているか、お聞きしたいと思うんです。
  185. 柴田啓次

    説明員柴田啓次君) ただいまお話しございましたように、御岳山は現在山頂周辺五キロメートルを立ち入り禁止にしております。いまお話がございましたように、十月二十八日当時のような激しい噴石や降灰を伴った噴火は弱まりまして、水蒸気噴出は続いておりますが、次第にその勢いは弱まっております。先ほどから気象庁の末広観測部長初め皆さんが御答弁申し上げておりますように、今月十九日に火山噴火予知連絡会が開催されまして、これまでの観測の成果の検討というものが行われまして、今後の噴火の推移についての見通しが出される予定のように聞いております。そういう見通しの上に立ちまして、今後の登山禁止の範囲につきまして、これは地元市町村の問題でございますが、火山噴火予知連絡会の御検討の結果というようなものも、有力な御意見として参照いたしまして再検討を行うことになるかと、さように思うわけでございます。
  186. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 そうすると、いまのところではまだ——まあわかった、それはいい、それじゃ。  時間がないんで、長官にあんまりあれこれ言っても何ですから、最後に御要望申し上げて、それでもしそれにお答えができれば、お答えといいますか、御返事がいただけるならばお聞きしたいと思うんです。  といいますのは、こういう災害というのはある日突然にやってくる。で、そこの住民の人達も予測をしているわけじゃないんですから、この被害が大変なんですね。有珠の場合も、私も行ってみてつくづく思うんですけれども、あれは大変なことで、私たちも実際に知らないと、恐らく長官もそうだと思うんですよ、灰というのは水が来て流れちゃうと思うんです。普通の灰と同じで。火山の爆発の灰はそうではなくて、鳥もちみたいなものなんですね。ぬれるとみんなひっついてしまって、そうして木でも何でも倒していってしまうんです。それで有珠の場合なんかも、二カ月ぐらいたって、ここの委員会でいろいろ議論しているときにもなかなか対策がらちが明かない。で、この対策に法律が幾つ出ているんですかと言ったら、二十の法律が出ていろいろやっているんですという。それで、結局先ほどもどなたかにちょっと答弁があったですけれども、いや、まだ農林省から資料が出ていませんから、この問題はできませんとか何とかと言って、よくそういうことになってしまうんですけれども、事災害だけは、多少こう何というんですか、アンバランスになっても拙速主義で、もっと早いとこ長官の権限でおやりになれるところをやっていっていただいて、それで、後でもって多少そこのところがアンバランスがあったらあったでいたし方がないけれども、そういう点でもって、救済なり対策なりやらなけりゃならないことはやっぱり迅速に処置をしてやっていただきたいと思うんです。  御岳山の場合も、これだんだん静まってきているから、そう心配もないような気がしますけれども、ともかくあの周辺というところは非常に財政的にも豊かじゃないんですから、そういう点についてはやはり迅速な御処置をいただきたいということを要望して、それで長官のお答えをもしいただければお聞きして終わります。
  187. 園田清充

    国務大臣園田清充君) ただいま二つの点で御指摘があったかと思いますが、いわゆる予知体制を速やかに整備すべきである、私どもも、このことにつきましてはなお一層の努力をしなければならないと考えておりますが、実は国土庁といたしましても、過去五十二年からこの地震につきまして予知体制に二十九億、五十三年度に四十一億、五十四年度に五十八億、来年度は七十八億を一応概算の要求をいたしております。ぜひ七十八億は確保したい。そして、人的にも機材的にも、御指摘いただいたように強化の方向に向かって最善のひとつ努力をさしていただきたいと思っております。  なお自治省から、いま御指摘がございました財政的な問題でございますけれども、交付税の繰り上げ支給だとかいろいろな問題等含めまして地元町村が、先生御指摘のような財政的に行き詰まらないような措置だけはひとつとっていきたいということで、関係省庁とも十分連絡をしながら、また私どもがお聞かせいただいた点について遺憾のないような指示、連絡をして、御期待にこたえるようにしたいと思います。  以上でございます。
  188. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 終わります。
  189. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 本日の質疑はこの移度にとどめます。     —————————————
  190. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  災害対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  191. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  193. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  閉会中委員派遣を行う必要が生じた場合、これを行うこととし、その取り扱い等を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  194. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  195. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 理事の辞任の件についてお諮りいたします。  遠藤要君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 青木薪次

    委員長青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、理事の補欠選任につきましては、都合により後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時七分散会      —————・—————