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戸叶武君 その、私たちの聞くところではということは、どこから聞いてくるのかわからないけれ
ども、そこいらが危ないので、やはり、前の通産
大臣の中曽根君が石油ショックのときにいち早く、変わり身が早い人ですから、イランに突っ込んで、そして高い金でイランの石油を手に入れた。さらに、イランの王室は
日本の皇室に似ているからもっと緊密な
関係を結ばなければならないというようなことを衆議院の内閣
委員会で
報告しているのを聞いて、これはイランの危機の現状というものを何にも知らないのだな、
アメリカに留
学生がいるしフランスにも留
学生がいる。イランにおいてはやがて革命が起きるであろうという予測は
アメリカもフランスも、世界で知っている。
日本では何にも知らないで、今度は、彼らは改憲論者であるから、天皇というものをダシに使って、イランの王室と
日本の皇室とを緊密な
関係に結びつけなければならないなんという、国務
大臣たる者かこういう軽率な言動をやっては後大変なことになると思いまして、私は、衆議院では内閣
委員会、参議院では
外務委員会で
報告を聞くことになっておったので、あんなばかな、無知な
報告をやれば、
大臣報告として、後で、参議院ではみんな何にも知らないでああいう
報告をそのままうのみにしたかと思われてはいけないから、私は
総理大臣じゃ若干遠慮するけれ
ども、通産
大臣は演壇から速記録へ載らないように引きずりおろすぞ、そうでもしなければみっともなくてしようがないと言ったら、自民党の
外務委員会の
理事で、熊本の知事なんかやった人で非常にあのまじめな人から、
戸叶さんは場合によってはそれをやるかもしれないぞ、大体田中正造さんを尊敬しているからそのくらいのことはやるだろうというので、参議院の
報告ではずいぶん、中曽根さんも利口な人だから遠慮して表現しましたが、ああいうふうな不安定な状態で、特にバルカン、中近東に対しては
ソ連は日露戦争前から、古い時代から、海に出なければならない、バルテック艦隊が封じ込められているときに、黒海からやはりダーダネルス海峡を経て地中海からインド洋に出ようというのが中心の対策であり、問題は、やはりダーダネルス海峡をめぐる
外交上の論争というものが国際法学者の中における中心課題であったことは御承知のとおりであります。
日露戦争を過って、
アメリカの金融資本に金を借り、シベリア鉄道をしき東方
政策をやってあのような大失敗をしたんですが、そういうわけで、
ソ連はあの地域に目をつけているが、うっかり目をつけるとイデオロギーと宗教の違い、民族的なトラブル、それから貧困の差、いろいろなそういうことがあるから、うっかり手がつけられないところだというので、インドにも借款の様式で経済的援助、最近は反ソ感情の一番強いトルコにも金を大量に貸し与えるというような方式をして、いつでも中近東の中には手が入れられるような
体制をつくっているが、
日本では極東の危機、火のないところの危機なんかばかりを騒いでおって、あの地帯における
ソ連勢力が地中海からインド洋に出ようとするために、打つべき手だけは打っている。そしてペルシャはすでに
ソ連側の中になびき、最近ではインドが離れたけれ
ども、パキスタンには勢力を打ち込んでいる、トルコも手なずけているというようなときに、簡単に
アメリカと
ソ連が正面衝突はしないであろうが、いまのような形において、お互いに拠点づくりをやっているところに何にも知らないで金持ちのどら息子みたいに迷い込んでしまうと、
日本がこてんこてんにやられてしまう危険性も私はあると思うんです。
現に、けさのテレビでは、イランの
学生たちが
アメリカの威信を傷つけて人質なんかをとっているから、断固としてこれに対抗するためにイランの石油は買わないことにする、
大統領の命令だと言ってカーターさんはがたがた力んで
演説をやっておりますけれ
ども、正しい
情報では、イランの方から
アメリカには石油を売らない、メジャーに手玉にとられてひどい目に遭ったのが発展途上国における産油国の現状だということをやはり率直に暴露している。
アメリカは民主主義国家であるから、どれだけ――石油ショック後において
アメリカのメジャーがべらぼうな金もうけをしたということが明らかになって、
アメリカ国民ですらもびっくりしている状態です。こういう点を総合的に
情報をキャッチしているのか、いま突っ込んでも大丈夫なのか、間をどうやって置くか。石油は必要だ。けれ
ども石油の中に埋没してしまって、パールハーバーの
事件も血の一滴に匹敵すると言って戦争に突っ込んじゃって無条件降伏してしまった。
軍部のやることはあのようにそそっかしい。いま大蔵官僚と通産官僚と財界の金もうけ主義の
人たちと自民党のボスの虎狼の群れにさいなまれて
日本が危険地域に巻き込まれたらどうするのか。
外務省だけでも少なくとも大蔵官僚や通産官僚のように、
自分のなわ張りを広げるというようなけちな根性を持たないで、国の
外交、防衛の問題に専念していろ骨のある人がいると思うんだよ。私はいまのままじゃ非常に危なくって、
外交も防衛もいまのような
政府やいまのような大蔵省や通産省や
外務省では任せられないという機運が
日本に起きたらどうなるんです。
韓国の状態は
日本の五・一五
事件の小型だというが、
日本のまねをして、
日本で教育された男が結局は
維新体制という形の中にとぐろを巻いたが、ついに飼い犬に殺されてしまった。昭和七年の五・一五
事件といまの
日本の
状況というものは、あのときにおける三井のドル買いと保守党のインフレとデフレの論争の中に日銀総裁のときには金解禁は必要としないと言うたのに、
井上さんが変節し、三井ではドル買いをやる、こういうような状態をほうふつさせる状態がいまの
日本の中に内在しているじゃありませんか。どこからか
事件が起きないとだれが保障できますか。少なくとも官僚は官僚としてもっとまともに国の忠実なる
一つの
外交担当者としての硬骨漢が必要であるし、大蔵だってそうだと思う。いつでも政治家に責任があるのでと言っていながら、つまみ食いのうまいんでは政治家も顔負けの状態で、いまの毎日の
新聞を賑わしているのが、今度は大蔵省や通産省官僚のOBじゃないですか。人民には命令し、
自分は勝手に悪いことやってもいいという
憲法の精神がどこにありますか。
外務大臣はエコノミストと言われているが、政治家はエコノミストではいけないんだ。政治経済は一体として哲学を持たなくちゃならない。ブレーンならば賢人グループで済むかしらないけれ
ども、愚かと思っている大衆とともに苦悩し、模索し、現実的に具体的にものを打開しなければ、そんな
大臣は要らない、そう思うんですが、あんた方に言えば幾らか向こうに響くだろうから……。
改めて今度は開き直って、私は大来君とはかなり親しい間柄であり、彼の本は全部読んでいますけれ
ども、文字どおりいかないのが政治です。要らぬ忠告かもしらぬが、聡明な人ほど間違ったら危ない、悪いくせがついたらやくざよりひどい、どうぞそういう
意味においてこのイランの問題は試金石です。イラン問題、
韓国問題ついでにベトナムの問題もありますが、
アメリカがあのような形においてベトナムを二分して爆撃まであえてし、それに協力した
人たちが負けたときにはそれをおっ放して帰ってしまう。その力の
外交の非情さの中に置き去りを食った人が難民で、人道主義的にこれを救えと言っても、問題の中心はそこから起きているのであって、難民は至るところにあるのであって、ただ単に、
アメリカ自体がしりぬぐいをしなければならないことを率先してやらないで、世界に呼びかけてこれをやらないものは非人道だと言うが、アジアの民族の悲願は、鉄砲や大砲や原爆によってアジアの民族の魂をぶち破ることはできないんです。
アメリカでも
ソ連でもそうです。そういう
意味において
ソ連だってばかじゃない。
日本人は
ソ連の
政策をだれも好んでいないが、
ソ連も危ないと思ったから、国際的孤立を避けて、急に戦術的にしろ何にしろデタントの方向へ行こう、デタントの方へ余り行かれちゃうと、
アメリカの軍需産業なりメジャーのもうけが少なくなる。国際政治と
外交がそういうどす黒い形で混沌として流れているときに、おざなりの
外交では私はこの窮地は打開できないと思うんですが、そういう点で御決意の方はどういうふうになっているか、その点、現場の
人たちの
一つの抵抗というか、抵抗というと当たりさわりがあるが、とにかく
外交の基本
路線というものはあんたたちが守っていくというだけの根性はできているかどうか。根性というのは聞くのはなかなかむずかしいんですが、まあひとつその心境を承りたいと思います。心境だけでいいです。