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国務大臣(
森山欽司君) ただいまの御質疑は非常にむずかしいところでございますが、元来
公団、公庫、事業団、この種の
政府機関というものは法律に基づき
予算の制約を受けているわけであります。したがって、その制約の枠内において労働三法の適用があれば労使交渉の対象となるべきものである、そういうふうに私は考えるわけであります。
予算の制約というものの中には額全体もございますが、款項目節によりまして流用等の制限がちゃんと置かれておるわけでございます。したがって、
予算全体のそういう制限の枠内において労使交渉を決めるべきものである。でありますから、たとえば期末手当、勤勉手当には「
国家公務員に準じ」という文句がございますから、これが
国家公務員の割合、たとえば具体的に四・九カ月とか五カ月とかいうそのままの
数字であるかどうかということはひとまずおくといたしましても、少なくも
国家公務員に社会通念上準ずるという中身のもので決めていかなければならない、こういうふうに私は考えておるわけであります。
そういう角度から見ますれば、
役職員給与に他の費目から流用することについては
運輸大臣の承認を受けなければならないということになりますし、また
役職員給与の範囲内におきましても、
役職員の
給与はその基準を超えてみだりに増加し
支給してはならないということになっておるわけであります。その場合には一々
運輸大臣の承認を要するということは具体的に書かれておりませんけれ
ども、みだりにやってはならないと。しかし、みだりにやったということは少なくも不適切であるというふうに私
どもは考えておるわけであります。
そういうことでございますから、
運輸省所管の
公団等の
特殊法人の
職員の
特別手当等の
給与は、
運輸大臣の承認を受けた
給与支給基準に準拠しつつも、
公団等は労働三法の適用を受けるということもあり、労使交渉等の結果を踏まえて具体的
支給内容が決められる。
支給額は
国家公務員の水準に準ずべきものであって、
国家公務員の水準をはるかに上回るものとなっているという実態ははなはだ問題であると思っております。約五カ月の
ボーナスの
公務員の基準に対しまして、実際は六・五カ月分になっておるわけでありますから、これは明らかに適当ではないと思っておるわけであります。しかもその原資がもし
役職員給与以外の項目から来た場合に、しかもそれが
運輸大臣の承認を受けないというような
事態があれば、これはもう明らかに違法な
支給である、こういうふうに考えなければならないと思っております。しかし、現実には、そういう制約はあるけれ
ども、そういう制約にもかかわらず、
公務員の場合約五カ月に対して六・五カ月の
ボーナスが
支給されているという
事態は私は遺憾なことだと思っておりまして、これをやはり是正する方向に進めていかなきゃならない。
そのためにまず考えなければいかぬのは、
一般職員に対してが六・五カ月ありますが、
理事者、
管理者も
公務員の基準よりも高い基準で
ボーナスを受けておるということについて、これは
給与の基本額を含めて考えた場合、一体このままでいいのか、
一般職員のことを言う前にまず
理事者、
管理者自身も考えていくべきではないか。だから私は少し極端なことを申しますれば、
理事者、
管理者が
国家公務員に準ずるどころか
職員に準じてやっておるんですね。こういう姿勢を基本的に考えていかなければ、労使交渉と申しましても使用者側自体がそういう気構えであってはこれを直していくことはできないと思うんであります。
でありますから、先ほど申し上げましたように、まず
理事者及び使用者側につきまして、
国家公務員に準じた
給与額並びに
給与率、
支給率というものを考えて
措置することがまずその第一歩ではないかと思うんであります。一般の
職員につきましては労働三法の適用もございますから、その適用が
予算の制約の中においていかにして適切な線に将来歩調を合わしていくような対策を講ずべきかということがこれからの
検討事項というふうに考えておるわけであります。
これは非常に現実的な議論でございまして、理屈から言えば
公務員と同じでいいじゃないかという
考え方はもちろんございます。そういう
考え方は私は否定はいたしません。したがって、組合側からいろいろ
給与についての要求が出ておりましても、
公務員と同じ率、ないし
公務員と同じ
ボーナスの額、全体としての額というようなところまで、それは理屈としては言えると思いますが、しかし現実には今後の
措置といたしましては、労働三法が適用されておるという現実を踏まえますと、その方向に向かって努力をしていく、その方向に向かって、少なくも
予算上の制約に対して違法または不適当なやり方によって
給与を決めていくという
理事者側の責任に
一つは問題が帰せられる。組合の方は組合の方でいろいろ言われるでしょうが、
理事者の方は自分が第一そういう高い
ボーナスをもらうことを慎まなきゃならぬじゃないかということが第一。第二番目には、とにかく
予算上の制約というものを違法あるいは適当でないと言われるようなやり方でなくて、きちんとした姿勢をもって臨むということが私は第二の問題になろう、これは現行制度の上でございますよ。立法論としてみますれば、三公社五現業並みに、一体現在の労働三法の適用をそのまま認めるようなやり方でいいのかどうかという問題は別途ございます。しかしそういうお考えというものを私は否定はいたしません。しかし、それじゃ直ちにもってそういうやり方でやっていっていいかどうかということは、やはり現実的に物を考えていかなきゃならない。
ですから、私の御答弁は多少現実的な
意味でございまして、御質疑のように、きわめて何といいますか、割り切った角度から見ますと御不満かと思いますけれ
ども、現
段階においてはそういう形でもって臨んでいくべきではなかろうか、こういうように考えております。