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1979-09-03 第88回国会 衆議院 決算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十四年八月三十日)(木曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次のと おりである。    委員長 加藤 清二君    理事 宇野  亨君 理事 國場 幸昌君    理事 津島 雄二君 理事 森  美秀君    理事 馬場猪太郎君 理事 原   茂君    理事 林  孝矩君 理事 塚本 三郎君       天野 光晴君    玉生 孝久君       西田  司君    野田 卯一君       早川  崇君    高田 富之君       楯 兼次郎君    春田 重昭君       安藤  巖君    田川 誠一君 ————————————————————— 昭和五十四年九月三日(月曜日)     午後一時四十五分開議  出席委員    委員長 加藤 清二君    理事 宇野  亨君 理事 森  美秀君    理事 馬場猪太郎君 理事 原   茂君       越智 伊平君    野田 卯一君       羽田  孜君    早川  崇君       高田 富之君    楯 兼次郎君       春田 重昭君    安藤  巖君       田川 誠一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 金子 一平君  出席政府委員         大蔵政務次官  林  義郎君         大蔵省主計局次         長       吉野 良彦君         大蔵省理財局長 渡辺 喜一君  委員外出席者         大蔵省主計局司         計課長     石井 直一君         会計検査院長  知野 虎雄君         会計検査院事務         総局次長    松尾恭一郎君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員異動 九月三日  辞任         補欠選任   天野 光晴君     越智 伊平君   西田  司君     羽田  孜君 同日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     天野 光晴君   羽田  孜君     西田  司君     ————————————— 八月三十日  昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十二年度政府関係機関決算書  昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十二年度国有財産無償貸付状況計算書 九月三日  会計検査院法の一部を改正する法律案原茂君  外五名提出、衆法第三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十二年度政府関係機関決算書  昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十二年度国有財産無償貸付状況計算書  (全所管)      ————◇—————
  2. 加藤清二

    加藤委員長 これより開議を開きます。  昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算昭和五十二年度特別会計歳入歳出決算昭和五十二年度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十二年度政府関係機関決算書並び昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和五十二年度国有財産無償貸付状況計算書の各件を一括して議題といたします。  大蔵大臣から各件について概要説明を求めます。金子大蔵大臣
  3. 金子一平

    金子(一)国務大臣 昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書会計検査院検査報告とともに国会に提出し、また、昭和五十二年度の国の債権の現在額並びに物品増減及び現在額についても国会報告いたしましたので、その大要を御説明申し上げます。  昭和五十二年度予算は、昭和五十二年四月十六日に成立いたしました。  この予算は、国民生活の安定と経済の着実な成長に資するとともに、財政健全化を推進することを基本として編成されたものであります。  その後、内外経済情勢にかんがみ、公共事業等追加を行うほか、人事院勧告実施に伴う国家公務員等給与改善費等について所要措置を講ずるため、補正予算が編成され、昭和五十二年十月二十四日その成立を見、さらにその後における経済情勢にかんがみ、予想される税収減を補てんするとともに、公共事業追加等について所要措置を講ずるため、第二次補正予算が編成され、昭和五十三年一月三十一日その成立を見ました。  これらの補正によりまして、昭和五十二年度一般会計予算は、歳入歳出とも二十九兆三千四百六十六億千五百十四万四千円となりました。  以下、昭和五十二年度決算についてその内容を数字を挙げて御説明申し上げます。  まず、一般会計におきまして、歳入決算額は二十九兆四千三百三十六億二千二百八十二万円余、歳出決算額は二十九兆五百九十八億四千百七十三万円余でありまして、差し引き三千七百三十七億八千百八万円余の剰余を生じました。  この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計昭和五十三年度歳入繰り入れ済みであります。  なお、昭和五十二年度における財政法第六条の純剰余金は千二百八十億五千七百五十八万円余となり、この剰余金の二分の一を下らない金額は、財政法第六条第一項の規定によりまして、公債または借入金の償還財源に充てることとなるわけであります。  以上の決算額予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額二十九兆三千四百六十六億千五百十四万円余に比べて八百七十億七百六十八万円余の増加となるのでありますが、この増加額には、前年度剰余金受け入れ予算額に比べて増加した額二千三百四十億四千六百八万円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、昭和五十二年度歳入の純減少額は千四百七十億三千八百四十万円余となるのであります。  その内訳は、租税及印紙収入における増加額千九百八十九億四千七百九十万円余、専売納付金における増加額十七億七千九百九万円余、官業益金及官業収入における増加額二十八億九千九百万円余、政府資産整理収入における増加額百八十九億二千九百六十三万円余、雑収入における増加額五百四十一億五千六百十二万円余、公債金における減少額四千二百三十七億五千十六万円余となっております。  一方、歳出につきましては、予算額二十九兆三千四百六十六億千五百十四万円余に、昭和五十一年度からの繰越額二千二百十三億七千七百三十三万円余を加えました歳出予算現額二十九兆五千六百七十九億九千二百四十七万円余に対しまして、支出済歳出額は二十九兆五百九十八億四千百七十三万円余でありまして、その差額五千八十一億五千七十三万円余のうち、昭和五十三年度に繰り越しました額は二千二百八十五億千三十三万円余となっており、不用となりました額は二千七百九十六億四千四十万円余となっております。  次に、予備費でありますが、昭和五十二年度一般会計における予備費予算額は二千六百二十億円であります。その使用額は千四百七十二億八千八百八十万円でありまして、その使用につきましては、すでに、国会において御承諾をいただきましたので、説明を省略させていただきます。  次に、一般会計国庫債務負担行為について申し上げます。財政法第十五条第一項の規定に基づき国が債務負担することができる金額は一兆二千三百四十三億八千九十二万円余でありますが、実際に負担いたしました債務額は一兆千六百二十七億二千四百八十七万円余でありますので、これに既往年度からの繰越債務額九千七百七十九億八千三百六万円余を加え、昭和五十二年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額八千四百三十七億三千七百九十六万円余を差し引きました額一兆二千九百六十九億六千九百九十六万円余が翌年度以降に繰り越された債務額になります。  財政法第十五条第二項の規定に基づき国が債務負担することができる金額は八百億円でありますが、実際に負担いたしました債務額は九十八億四千三百四万円余でありますので、これに既往年度からの繰越債務額三百十三億二百三十五万円余を加え、昭和五十二年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額三百十三億二百三十五万円余を差し引きました額九十八億四千三百四万円余が翌年度以降に繰り越された債務額になります。  次に、昭和五十二年度特別会計決算でありますが、同年度における特別会計の数は四十でありまして、これらの決算内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。  次に、昭和五十二年度における国税収納金整理資金受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済額は十七兆九千五十三億三千九百九十四万円余でありまして、この資金からの一般会計等歳入への組入額等は十七兆八千五百七十七億千六百二十八万円余でありますので、差し引き四百七十六億二千三百六十六万円余が昭和五十二年度末の資金残額となります。これは、主として国税に係る還付金として支払い決定済みのもので、年度内に支払いを終わらなかったものであります。  次に、昭和五十二年度政府関係機関決算内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。  次に、国の債権の現在額でありますが、昭和五十二年度末における国の債権総額は五十二兆四千八百八十五億六千五百四十四万円余でありまして、前年度末現在額四十五兆八百四十八億四千九百九十五万円余に比べて七兆四千三十七億千五百四十八万円余の増加となります。  その内容の詳細につきましては、昭和五十二年度国の債権の現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  次に、物品増減及び現在額でありますが、昭和五十二年度中における純増加額は千九百二十億二千七百七十万円余でありますので、これに前年度末現在額一兆三千四百五十三億二千七万円余を加えますと、昭和五十二年度末における物品総額は一兆五千三百七十三億四千七百七十七万円余となります。その内訳の詳細につきましては、昭和五十二年度物品増減及び現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  以上、昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書政府関係機関決算書等につきまして、その大要を御説明申し上げた次第であります。  なお、昭和五十二年度予算執行につきましては、予算の効率的な使用経理の適正な運営に極力意を用いてまいったところでありますが、なお会計検査院から、九十三件に上る不当事項について指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。  予算執行につきましては、今後一層配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存であります。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 加藤清二

    加藤委員長 大蔵大臣は参議院本会議出席のため、残余の概要説明に関しては、今回、特に林大蔵政務次官説明することを許します。林大蔵政務次官
  5. 林義郎

    ○林(義)政府委員 引き続きまして御説明を申し上げます。  次に、昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算書並び昭和五十二年度国有財産無償貸付状況計算書を、会計検査院検査報告とともに第八十七回国会報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算書概要について申し述べます。  昭和五十二年度中に増加しました国有財産は、行政財産一兆三百四十五億六千四百二十五万円余、普通財産九千九百四十六億三千百四万円余、総額二兆二百九十一億九千五百二十九万円余であり、また、同年度中に減少しました国有財産は、行政財産二千六百五十八億五千百二十一万円余、普通財産二千五百二十九億九千百三十万円余、総額五千百八十八億四千二百五十一万円余でありまして、差し引き一兆五千百三億五千二百七十七万円余の純増加となっております。これを昭和五十一年度末現在額二十三兆千六百三十二億五千二十七万円余に加算いたしますと、二十四兆六千七百三十六億三百五万円余となり、これが昭和五十二年度末現在における国有財産総額であります。  この総額内訳分類別及び種類別に申し上げますと、行政財産においては、公用財産八兆五千七百五億七千百三十四万円余、公共用財産二千八百九十六億四千百五十一万円余、皇室用財産三千二百九十億三千二百二十五万円余、企業用財産六兆千六百八十八億千三百九十七万円余、合計十五兆三千五百八十億五千九百九万円余となっており、普通財産においては、九兆三千百五十五億四千三百九十五万円余となっております。  また、国有財産総額内訳区分別に申し上げますと、土地七兆千九十一億二千七百三十万円余、立木竹三兆八千五百十六億二千三十七万円余、建物二兆八千五百二十一億二千二百四十一万円余、工作物二兆五千二百六十一億三千三百四十二万円余、機械器具九億二千百四十六万円余、船舶四千四百三十五億二千五百四十六万円余、航空機五千二百六億四千百八十三万円余、地上権等十二億四千四百八十七万円余、特許権等二十五億九千六百七十六万円余、政府出資等七兆三千六百五十六億六千九百十二万円余となっております。  次に、国有財産増減内容について、その概要を申し上げます。  まず、昭和五十二年度中における増加額を申し上げますと、前述のとおりその総額は二兆二百九十一億九千五百二十九万円余であります。この内訳を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の異動によって増加しました財産は一兆七千百三十三億五千二十五万円余、第二に、国の内部における異動によって増加しました財産は三千百五十八億四千五百四万円余であります。  次に、減少額について申し上げますと、その総額は五千百八十八億四千二百五十一万円余であります。この内訳を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の異動によって減少しました財産は二千百八十一億九千百七十七万円余、第二に、国の内部における異動によって減少しました財産は三千六億五千七十四万円余であります。  以上が、昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算書概要であります。  次に、昭和五十二年度国有財産無償貸付状況計算書概要について申し述べます。  昭和五十二年度中に増加しました無償貸付財産総額は四百二十二億六千六百九十一万円余であり、また、同年度中に減少しました無償貸付財産総額は三百八十三億六千九百五十九万円余でありまして、差し引き三十八億九千七百三十一万円余の純増加となっております。これを昭和五十一年度末現在額三千七百八十億三千九百五十五万円余に加算いたしますと、三千八百十九億三千六百八十六万円余となり、これが昭和五十二年度末現在において無償貸付をしている国有財産総額であります。  以上が、昭和五十二年度国有財産無償貸付状況計算書概要であります。  なお、これらの国有財産の各総計算書には、それぞれ説明書が添付してありますので、それによって細部を御了承願いたいと思います。何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  6. 加藤清二

    加藤委員長 次に、会計検査院当局から各件の検査報告に関する概要説明並びに同検査報告中特に重要な事項について説明を求めます。知野会計検査院長
  7. 知野虎雄

    知野会計検査院長 昭和五十二年度決算検査報告につきまして、その概要説明いたします。  会計検査院は、五十三年十月十三日、内閣から昭和五十二年度歳入歳出決算の送付を受け、その検査を終えて、昭和五十二年度決算検査報告とともに五十三年十二月十五日内閣に回付いたしました。  昭和五十二年度一般会計決算額は、歳入二十九兆四千三百三十六億二千二百八十二万余円、歳出二十九兆五百九十八億四千百七十三万余円でありまして、前年度に比べますと、歳入において四兆三千五百七十六億六百二十二万余円、歳出において四兆五千九百二十二億二千九百六十九万余円の増加になっており、各特別会計決算額合計額は、歳入六十兆五千六百二十億八千五百八十三万余円、歳出五十二兆二千六百八十四億二千七百四十一万余円でありまして、前年度に比べますと、歳入において十一兆二千七百二十九億五千二百二十二万余円、歳出において九兆五千六百七十八億五千二百二十三万余円の増加になっております。  また、国税収納金整理資金は、収納済額十七兆九千五十三億三千九百九十四万余円、歳入組入額十七兆二千七百八十四億二百八十七万余円であります。  政府関係機関昭和五十二年度決算額の総計は、収入十七兆二千七十六億八千八百九十二万余円、支出十六兆五千六百十七億九千七百四十一万余円でありまして、前年度に比べますと、収入において二兆七千七百七十三億千九百三十八万余円、支出において二兆七千七百五十三億二千五百二十六万余円の増加になっております。  昭和五十二年度歳入歳出等に関し、会計検査院が、国、政府関係機関、国の出資団体等検査対象機関について検査した実績を申し上げますと、書面検査は、計算書二十三万三千余冊及び証拠書類六千四百九十二万余枚について行い、また、実地検査は、検査対象機関の官署、事務所等四万千九百余カ所のうち、その八・四パーセントに当たる三千五百余カ所について実施いたしました。そして、検査の進行に伴い関係者に対して、約千四百五十事項質問を発しております。  このようにして検査いたしました結果、検査報告掲記した不当事項等について、その概要説明いたします。  まず、不当事項について申し上げます。  不当事項として検査報告掲記いたしましたものは、合計九十三件であります。  このうち、収入に関するものは、三件、十三億三千六百九十五万余円でありまして、その内訳は、租税徴収額に過不足があったものが一件、十一億八千六百五十六万余円、保険料徴収額が不足していたものが二件、一億五千三十九万余円であります。  また、支出に関するものは、七十九件、四十九億千七百四万余円でありまして、その内訳は、工事に関するものとして、予定価格積算が適切でなかったため、契約額が割高になったもの、及び監督検査が適切でなかったため、設計と相違して施工したものが五件、二億五千八百二十三万余円、物件に関するものとして、契約処置が適切でなかったため購入価額が著しく高価となっているもの、及び購入した用地が遊休しているものが二件、三十五億二千六十二万余円、役務に関するものとして、計画が適切でなかったため、不経済になったもの、予定価格積算が適切でなかったため、契約額が割高になったもの、契約処置が適切でなかったため、不経済に支払われていたもの、及び監督検査が適切でなかったため、支払額が過大となったものが五件、四千六百七万余円、保険に関するものとして、保険給付金支給が適正でなかったものが二件、一億六千八百三十五万余円、補助金に関するものとして、補助事業実施及び経理が適切でなかったものが六十一件、五億八千八百十九万余円、貸付金に関するものとして、貸し付け後の管理が適切でなかったため、貸し付けの目的に適合しない結果となっているものが三件、三億千九百五十七万余円、不正行為に関するものとして、職員が、障害補償一時金及び障害特別支給金を領得したものが一件、千五百九十九万余円であります。  以上の収入支出に関するもののほか、施設等管理が適切でなく、かつ、国有財産及び物品損害を受けたものが一件、八百七十六万余円、繰りかえ払い現金等について職員不正行為による損害を生じたものが十件、一億九千九十六万余円ありまして、これらの合計は、九十三件、六十四億五千三百七十三万余円になっております。これを前年度の七十四件、四十三億千九百七十七万余円に比べますと、件数において十九件の増加金額において二十一億三千三百九十五万余円の増加になっております。  次に、意見を表示し、または処置を要求した事項について説明いたします。  五十三年中におきまして、会計検査院法第三十四条の規定により是正改善処置を要求いたしましたものは八件、また、同法第三十六条の規定により改善意見を表示しまたは改善処置を要求いたしましたものは二件であります。  このうち、会計検査院法第三十四条の規定により是正改善処置を要求いたしましたものは、総理府の、地籍調査事業実施に関するもの、文部省の、東京大学医学部附属病院精神神経科管理運営に関するもの、農林水産省の、管水路等建設に伴う地上権の設定に関するもの、農業近代化資金利子補給補助金経理に関するもの、労働省の、失業給付金不正受給金返納金債権に係る延滞金債権の取り扱いに関するもの、日本電信電話公社の、可搬形交換装置設置のための敷地造成及び基礎台工事工事費積算に関するもの、日本道路公団の、高速道路新設工事における土工工事費積算に関するもの、中小企業振興事業団の、中小企業高度化資金貸し付け適正化に関するものであります。  また、会計検査院法第三十六条の規定により改善意見を表示しまたは改善処置を要求いたしましたものは、農林水産省の、水田買い入れ事業実施及び一時貸し付け水田に係る水田総合利用奨励補助金の交付に関するもの、郵政省の、郵便局における窓口職員の責任に関するものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。  これは、検査の過程で会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定により意見を表示しまたは処置を要求すべく質問を発遣するなど検討しておりましたところ、当局において、本院の指摘を契機として直ちに改善処置をとったものでありまして、検査報告掲記しましたものは十一件でございます。  その内訳は、総理府の、P2J航空機用燃料セルの仕様に関するもの、C1航空機用メーンタイヤ所要量の算定に関するもの、文部省の、合板型枠費等積算に関するもの、厚生省の、外国製医療機器購入契約に関するもの、建設省の、下水道工事における開削工法による管渠布設工事の埋め戻し工費積算に関するもの、日本専売公社の、建築工事における鉄骨の工場加工費等積算に関するもの、日本国有鉄道の、東北新幹線高架橋工事における排水設備設計及び鉄筋加工組み立て費積算に関するもの、日本電信電話公社の、洞道工事における材料費積算に関するもの、日本住宅公団の、学校等用地に対する固定資産税等負担に関するもの、日本道路公団の、舗装工事における下層路盤工費積算に関するもの、日本鉄道建設公団の、上越新幹線高架橋工事における鉄筋加工組み立て費積算等に関するものであります。  最後に、特に掲記を要すると認めた事項について説明いたします。  この事項は、事業効果等の見地から問題を提起して事態の進展を図り、または今後の事業運営経理執行等の参考に資するために掲記しているものでありまして、昭和五十二年度決算検査報告には、次の六件を掲げてございます。  すなわち、農林水産省の、国営静清庵灌漑排水事業ほか二事業の施行に関するもの、建設省の、大滝ダム及び川辺川ダム建設に関するもの、日本専売公社の、葉たばこの生産及び調達に関するもの、日本専売公社日本国有鉄道及び日本電信電話公社の、直営病院運営に関するもの、日本国有鉄道の、経営改善に係る投資設備等建設状況稼働状況及び投資効果に関するもの、年金福祉事業団の、大規模年金保養基地建設計画に関するものであります。  以上をもちまして概要説明を終わります。  会計検査院といたしましては、機会あるごとに関係省庁などに対して、適正な会計経理執行について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例がありますので、関係省庁等においてもさらに特段の努力を払うよう、望んでいる次第であります。また、特に掲記を要すると認めた事項につきましては、国や各機関財政健全化のために、または投下した多額の資金効果を発揮するよう速やかに打開策が講ぜられ、事態の進展が図られますことを切望するものであります。  昭和五十二年度国有財産検査報告につきまして、その概要説明いたします。  会計検査院は、五十三年十月二十七日、内閣から昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算書及び昭和五十二年度国有財産無償貸付状況計算書の送付を受け、その検査を終えて、昭和五十二年度国有財産検査報告とともに五十三年十二月十五日内閣に回付いたしました。  五十一年度末の国有財産現在額は二十三兆千六百三十二億五千二十七万余円でありましたが、五十二年度中の増が二兆二百九十一億九千五百二十九万余円、同年度中の減が五千百八十八億四千二百五十一万余円ありましたので、差し引き五十二年度末の現在額は二十四兆六千七百三十六億三百五万余円になり、前年度末に比べますと一兆五千百三億五千二百七十七万余円の増加になっております。  また、国有財産無償貸付状況につきましては、五十一年度末には、三千七百八十億三千九百五十五万余円でありましたが、五十二年度中の増が四百二十二億六千六百九十一万余円、同年度中の減が三百八十三億六千九百五十九万余円ありましたので、差し引き三十八億九千七百三十一万余円の増加を見まして、五十二年度末の無償貸付財産総額は三千八百十九億三千六百八十六万余円になっております。  検査の結果、昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算書及び昭和五十二年度国有財産無償貸付状況計算書に掲載されている国有財産管理及び処分に関しまして、昭和五十二年度決算検査報告不当事項として掲記いたしましたものは、総理府の、西表国立公園における植栽工の監督検査及び事後管理が適切でなかったもの、文部省の、移転統合のため購入した用地が、校舎等諸施設の建設の目途も立たないまま遊休しているもの、施設等管理が適切でなく、かつ、国有財産等が損害を受けたものの三件でございます。  次に、五十三年中におきまして、会計検査院法第三十四条の規定により是正改善処置を要求いたしましたものは、文部省の、東京大学医学部附属病院精神神経科管理運営に関するものの一件でございます。  また、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項として掲記しましたものは、総理府の、P2J航空機用燃料セルの仕様に関するものの一件でございます。  以上をもって、概要説明を終わります。  引き続きまして、昭和五十二年度決算検査報告掲記いたしました主な指摘事例について説明いたします。  まず、不当事項のうち、収入に関する批難金額十三億三千六百万円の大部分を占めておりますのは、大蔵省において租税徴収額に十一億八千六百万円の過不足が生じたというものであります。この徴収過不足額につきましては、本院の指摘後、いずれも徴収決定または支払い決定の処置がとられました。  次いで、支出に関する批難は、件数で七十九件、金額は四十九億一千七百万円となっておりますが、一件で三十四億円余に上る指摘があったことなどもあって、前年度の批難金額二十六億九千七百万円を大幅に上回る結果となりました。ここで、その主なものについて説明いたします。  まず、国有財産管理、利用が適切を欠いているという事例が文部省関係に二件あります。その一つは、大阪教育大学で、現在三カ所に分散している校舎を一カ所に移転統合するため、用地を購入し、敷地造成工事などを一部実施したところで移転統合することについて、学内に消極的な意見が起こり、いまだに学内における意思統一ができない状況で、五十年三月に購入した大阪府柏原市旭ヶ丘地区の土地約六十六万平米、これに投入いたしました三十四億八千七百万円が、その効用発揮の目途も立たないまま遊休しているというものであります。  もう一つは、東京大学で、五十三年一月から文学部長室等を一部の学生によって占拠されるに任せていたため、同年九月二十二日には火災が発生し、国有財産物品約八百七十万円が焼損するなどの事態を招くに至ったもので、施設等管理について責任を有する職員が適時、適切な措置を講じていなかったばかりでなく、その結果、火災が発生し損害を受けるに至ったのは著しく適切でないというものであります。なお、これらの事例のほかにも、国有財産等の管理運営に関する不適切な事態として、東京大学で、医学部附属病院精神神経科病棟が、四十四年以来、部外の医師等により占拠され、外来患者の入院、学生の臨床実習及び教官の研究施設としての機能が全く発揮されていないという事態がありましたので、これにつきましては、このような異常事態を速やかに解消するよう、会計検査院法第三十四条の規定により是正改善処置を要求いたしました。  また、工事の施工が設計と相違した不良なものとなっている事例として、日本住宅公団の中部、関西両支社が、合計二億一千八百万円で施工しました団地建築工事の基礎ぐい工事があります。この工事は、設計図書でセメントミルク工法——これは、くいを埋め込む位置を、あらかじめ掘削し、その穴の中にくいを建て込んで、穴とくいの間にセメントミルクを注入硬化させて、地盤とくいを一体化させる工法でありますが、この工法で施工することにしておりましたが、現地に行き書類により、または実地に調査いたしましたところ、セメントミルクが全くなかったり、セメントミルクがあっても粘土状の質の悪いものであったりなどしておりまして、基礎としての強度が設計に比べて低いものとなっていたというものであります。  次に、補助事業実施及び経理が適切でなかったものは六十一件、五億八千八百万円あります。件数では農林水産省関係の二十九件、金額では日本私学振興財団の私立大学等経常費補助金三億三千三百万円が、それぞれ過半を占めておるわけでありますが、この両者について、それぞれ一例ずつを説明いたします。  まず、農林水産省関係では、島根県が事業主体となって実施している上野山地区の農地開発事業に関するものであります。この事業は、七十八戸の農家がブドウ栽培を行うことを目的として、四十六年度から五十四年度までに総事業費五億円で丘陵地を開発し、畑地百十七ヘクタールを造成することとし、五十年度までに国庫補助金七千五百万円を含む事業費計一億一千五百万円を投入したものの、造成予定地がブドウ栽培に適さないものであったり、予定した用地の確保ができなかったことが原因となって、結局、事業を廃止せざるを得ない事態となったものであり、このような安易な事業執行を不当としたものであります。  また、日本私学振興財団関係では、福岡歯科大学に対する私立大学等経常費補助金の事例であります。同大学には、財団から経常費補助金として、五十一、五十二両年度に計二億九千九百万円を交付しておりますが、同大学の経理の状況を調査いたしましたところ、同大学において後援会組織に行わせていた巨額に上る入学寄付金等の別途経理があり、当局の厳重な勧告があったにもかかわらず、依然としてこれが解消されておらず、大学運営が正常に行われていないと認められる状況でありましたので、このような経理その他の事務処理が著しく適正を欠く学校法人に対して交付した補助金の全額を不当といたしました。  次に、会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定により意見を表示しまたは処置を要求した事項計十件のうち、その主な事例について説明いたします。  まず、国土庁関係で、地籍調査事業実施に関する指摘について説明いたします。地籍調査事業は、国土の開発等に資するとともに、あわせて地籍の明確化を図るための基本的な調査事業として、主として市町村が実施し、国土庁は調査に要する経費の三分の二を補助金として交付しておりますが、現在行っております五十四年度を最終年度とする第二次十カ年計画における五十二年度までの事業の進捗状況を見ますと、計画末期に至っているのに、進捗率は約三六%にとどまっている状況であります。そして、このたび、事業実施状況及びその後の処理状況について、二十都道府県管内の百九十市町村を抽出して調査いたしましたところ、六十四市町村において1せっかく、原図、地籍簿案等を作成しながら、その段階でとめたまま、補助事業内容となっている公告、閲覧等の手続を行っていないもの、2せっかく補助事業で得た成果品、すなわち地図及び簿冊を、主務大臣または都道府県知事の認証を経て、登記所へ送付するという処理を行わないまま事業主体で保管しているため、補助事業実施効果が上がっていないと認められるものが見受けられましたので、今後は地籍調査事業の目的、趣旨を事業実施する市町村に十分認識させるなど、適正な事業の遂行を図り、その効果を上げる必要があるということで、是正改善処置を要求したものであります。  次に、中小企業高度化資金貸し付け適正化に関する指摘について説明いたします。中小企業振興事業団では、中小企業者が協同組合などを組織して、協同で高度化事業を行うことを目的として、土地、建物その他の施設を取得するのに必要な資金を、都道府県を通じ、あるいは直接に、中小企業者に対して、長期かつ低利に貸し付けております。この貸し付けについて、北海道ほか十八府県下の三百七十八件、約五百五億円を対象に調査いたしましたところ、1貸し付け対象施設が必要以上の規模のものであったり、貸し付け対象者が貸し付け対象となる協同組合としての資格要件を欠いていたりなどしていて、貸し付けの対象にならないものに貸し付けているもの、2貸し付け対象共同施設が特定の組合員によって分割占有されていたり、一組合員または組合員以外の者によって制限範囲を超えて利用されていたり、遊休していたり、その一部が転売されていたりなどしていて、貸し付けの目的を達していないもの、さらには、3借り受け者が事実と相違する書類を作成するなどして、貸し付け対象事業費より低額で事業実施しているもの、いわゆる不適正な貸し付けの事例が四十七件、事業団の貸付額にして二十二億円余もありましたので、今後はこのような事態を防止するため、本貸し付け制度の趣旨の周知徹底、貸し付けの審査の充実、貸し付け対象施設の事後管理の徹底などに努め、貸し付けの適正を図る要があるということで、是正改善処置を要求したものであります。  次に、水田買い入れ事業実施及び一時貸し付け水田に係る水田総合利用奨励補助金の交付に関する指摘について説明いたします。農林水産省では、米の生産調整、稲作転換対策を推進し、農地保有の合理化と農業構造の改善を図るため、四十八年度に、農地保有合理化法人に水田を農業者から買い入れさせ、これを稲作転換を実施することが確実と認められる農業者等に売り渡しさせる事業、すなわち、水田買い入れ事業実施させ、これに対する助成として、農地保有合理化法人の水田の買い入れ資金に係る借入金の利子の全額を国が補助することとし、五十二年度末までに二十七億二千万円に上る利子助成補助金を交付しています。これについて、北海道ほか八県における買い入れ水田八百七十八万八千平米を検査いたしましたところ、五十二年度末までに売り渡したのは二百七万三千平米にすぎず、買い入れ水田の約七七%に当たる六百七十二万八千平米を保有しているばかりでなく、保有中の水田の中には、無断で水稲が栽培されていたり、雑草、幼木が繁茂して荒れ地と化していたり、転作を実施することを条件としている一時貸し付け中の水田に水稲が栽培されていたりなどしていて、買い入れ事業の目的が十分達成されていないばかりでなく、買い入れ、売り渡し後の管理も適切でないと認められました。したがって、これらについて売り渡し促進の措置を講ずるとともに、道県に農地保有合理化法人をして管理を適正にするよう指導し、本事業効果を上げる要があるというものであります。  また、前に述べました一時貸し付けした水田で、四十九年度から五十二年度までの間に、延べ千七百二万八千平米について転作が実施されておりまして、これに水田総合利用奨励補助金七億円が交付されておりました。しかし、この農地保有合理化法人に買い入れさせた水田は、転作を実施することを条件として無償で農業者に貸し付けているものでありまして、これについてまで稲作転換の奨励補助金を交付しているのは、本来、米の生産調整のため設けられている、この稲作転換の奨励補助金創設の趣旨を没却するもので適切でないと認められました。したがって、この稲作転換の奨励補助金の交付対象から、これらを除外するよう措置する要があるというものであります。  以上、米の生産調整、稲作転換に関しまして、二つの態様から成る事態について是正改善処置を要求いたしました。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。これは、会計検査院が、検査の過程で不適切な会計経理を発見し、その是正改善処置を要求しようとして検討を進めている間に、本院の指摘を契機として当局是正改善処置を講じたという事例でありまして、十一件を掲記いたしておりますが、その主な一、二の事例について説明いたします。  まず、厚生省関係外国製医療機器購入に関する指摘であります。国立病院等では、近年、ガンマカメラや、自動生化学分析装置などの高価な外国製医療機器の購入が目立って増加しておりますが、その購入方法を見ますと、国内における輸入代理店が提示した見積もり価格に基づいて契約金額を確定し、これによって代金を支払うこととしておりました。しかし、輸入機器の納入は一般に長期間を要し、代理店と海外メーカーとの決済は外国通貨建てで行われ、しかも、外国為替相場は常に変動するわけでありますから、輸入契約の場合には、代理店からインボイスなどの輸入価格を証明する書類を提出させて輸入原価を確認することとし、契約金額を適正なものに変更でき得るような契約条項を設けておく必要があるわけで、今回検査いたしました輸入機器十八件約九億円についてもこのような購入方法をとっていれば、約八千三百万円は節減できたと認められました。この点を指摘いたしましたところ、厚生省では五十三年十月に新たに外国製医療機器購入契約基準を設けまして、予定価格決定の適正を図るとともに輸入原価を具体的に確認して最終的な支払い額を決める契約方式がとられるようになったわけであります。  もう一つは、日本国有鉄道日本鉄道建設公団に関するもので、新幹線高架橋工事における排水設備設計鉄筋加工組み立て費積算が適切でなかったという指摘であります。高架橋の雨水を地表に排水するための排水設備として、国鉄及び公団では、国鉄規格品である硬質塩化ビニール角型管を使うことにしておりましたが、本院で調査しましたところ、排水機能、強度ともすぐれ、価格も安い一般市販品の丸型管を使用しても何ら支障がないことがわかりました。また、高架橋のコンクリート工事に大量に使用されます鉄筋の加工組み立て費は、鉄筋一トン当たりに要する工数を定めて積算されておりますが、実際の作業形態について調査いたしましたところ、近年では、高架橋の設計が標準化されていることもあって、定尺物の鉄筋を切断しないで使用する場合も多く、また、重量のかさむ太径の鉄筋の加工は機械で効率的に行われているなど、積算で想定しているものよりも作業能率が著しく向上している実態がわかりました。以上の二点、排水設備改善、鉄筋の加工組み立て費の是正を行うものとすれば、五十二年度中に施行中の工事だけでも、国鉄と公団を合わせ三十五億二千三百万円程度節減できたと認められましたので、この点を指摘いたしましたところ、国鉄及び公団では、五十三年十月に、以後に契約する工事から本院の指摘の線に沿って是正改善処置をとったものであります。  以上、説明いたしました事項のほかに、事業効果等の見地から問題を提起して事態の進展を図り、または今後の事業運営経理執行の参考に資するため、特に掲記を要すると認めた事項として、六件を掲記いたしておりますが、その主な一、二の事例について説明いたします。  その一つは、日本国有鉄道関係で、経営改善に係る投資設備等建設状況稼働状況及び投資効果に関するものであります。日本国有鉄道では、経営の近代化、合理化を図るとともに、輸送設備の改善を行い、旅客及び貨物の輸送力を増強するなどのため、線路設備、駅設備及び貨物ターミナル等の設備を新増設し、業務改善のための機械装置等を購入するなど、毎年多額の投資を行っております。そこで、これらの投資のうち、大きく赤字経営となっております貨物営業関係の施設、設備を中心に、施設、設備、機械、装置等に対する投資効果を検討いたしました。その結果、1貨物関係等の施設、設備の建設工事計画に比べて著しく遅延していたり、完成した施設、設備がきわめて非効率に使用されているものが、五十二年度末現在の投資額で千四百五十七億円に上っている状況であり、また、2配備された機械、装置が全く使用されていなかったり、使われ方がきわめて非効率となっているものが百二十四億円ある、というように、多額の資金を投じた施設等が、その効用を発揮しないまま、いたずらに年月を経過している状況であり、これらの投資額に係る五十二年度末までの利息だけでも推算して四百三十二億円に上っておりまして、これら未稼働設備等に係る経費負担は年々累増している状況であります。この原因について考えてみますと、建設工事がおくれているのは用地の取得、支障物件の移転、損失補償など、権利者との交渉や、設計についての地元公共団体等との協議が難航していることなどが主な原因と認められ、また、機械、装置が未稼働、非効率使用となっている原因は、これらの導入が職員の労働条件の変更を伴うものであるところから、それの使用に関して労使間でなかなか合意が得られないことなどのためと認められますが、このようにせっかく多額の投資を行いながら、その効果があらわれない状態が今後も解消されないということになりますと、目下の急務とされております国鉄の財政再建にも大きな支障となるばかりでなく、輸送需要の変化に対応した的確なサービスの提供が図られないということにもなるわけであり重大問題であると考えます。  次は、大規模年金保養基地建設に関する問題であります。年金福祉事業団では、厚生年金保険の被保険者等の余暇利用を図るということで、大規模年金保養基地を全国に十一基地建設することにしておりまして、四十八年度から五十二年度までに延べ三千八百八十九万平米の土地を総額三百八十億円で取得しておりますが、五十三年九月現在、基地の建設に着手しているのは二基地だけで、残りの九基地は、用地取得後長期間を経ているにもかかわらず、基本計画について厚生大臣の承認を受けた後長期間建設に着手していないものや、極端なものには基本計画の策定すらないものがあるなど、いずれも事業の進捗が著しく滞っておりまして、多額の資金を投じて購入した基地用地が、その効用を発揮する見込みもないまま、休眠状態を続けているという実情にあります。これは、この用地取得に着手した四十八年当時、一般的に土地に対する需要が非常に旺盛であったことから、将来大きな面積の用地取得ができなくなると予想して、全体計画の策定に先行してとりあえず用地取得が行われてしまったという事情にもよりますが、石油危機以降は、経済的な理由などから余暇活動の内容に変化の傾向が見られ、また、ほとんどの基地が利用者の居住地域から離れた不便な地域にあるなどのため、当初の構想どおり基地を開設しても利用見込が立たないことなどから事業団が事業の推進をちゅうちょしていることによると認められます。しかし、一方では、基地用地のある大部分の道や県が、基地が開設された場合の地元での消費需要の拡大ないしは雇用の増加の期待が大きいとして、当初の構想どおりの周辺整備事業を積極的に進めているという現状があります。以上のような現状にかんがみまして、大規模年金保養基地建設については、現在の社会情勢に適合した基地の建設及び運営が図れるよう、当初構想の早急な見直しを行う必要があるわけでありますが、この事業について用地取得、周辺整備事業の両面で、同事業団が地元公共団体に協力を仰いできたというような経緯もありますので、この事態の打開には困難な状況があるというのが実情であります。  以上、概括的でありますが、昭和五十二年度決算検査報告の主な事例について説明いたしました。会計検査院といたしましては、関係者がこれらの事態を深刻に受けとめ、適正な会計経理執行に一段と努力されますことを希望いたします。  また、目下の国家財政は、きわめて厳しい環境の中にあり、その財政運営に各位の強い関心が寄せられておりますとき、会計検査院といたしましても、その職責の重大であることを認識し、各般の期待と要望に十分こたえられるよう会計検査の充実に一層の努力を傾注していきたいと考えております。  せっかくの機会を与えていただきましたので、私の所信を述べさせていただきました。
  8. 加藤清二

    加藤委員長 これにて昭和五十二年度決算外二件の概要説明聴取を終わります。     —————————————
  9. 加藤清二

    加藤委員長 この際、資料要求の件についてお諮りいたします。  例年、大蔵当局に対し、決算検査報告掲記された会計検査院指摘事項に対する関係責任者の処分状況調べの提出を求めております。昭和五十二年度決算につきましてもその提出を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 加藤清二

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十一分散会