○沓脱
タケ子君 計数的にはできるという計数計算の概数をぜひやってみる必要があるということを私は特に申し上げている。これは
労働者の側では、賃金が下がって
労働時間が減るというのでは話にならぬのですよ。さっき申し上げた西ドイツでも、二十時間に減らしたけれ
ども、
労働時間二十時間だけれ
ども、従来どおりの賃金を保障するということはやられている。これは国民的なコンセンサスができないとなかなかできないですよ。だから、
労働省は少なくともそういうことをやるべきだということなんです。私、時間の都合があるので余りそれで粘っているわけにいかぬのですが、ぜひやってもらいたいと思うんです。
それから次に、そういうことが非常に大事だということを前提で申し上げているんですが、たとえば、いまのような大企業における減量経営とか人減らし、合理化というのは、
一体、職場、現場ですね、どんなことになっているか、これはもう実際大問題ですね。そういうことからこの問題を提起しているんですが、たとえば、これは通産
大臣にきっちり
お話を伺いたかったのですけれ
ども、時間がないから、私、若干の
状況を申し上げてみたいと思いますが、たとえば従業員数と生産指数ですね、そういうものの
変化から見ますと、これは
昭和四十二年を一〇〇として
昭和五十一年の指数で見ますと、自動車では、従業員数は一二四にしかふえていない。ところが出荷額は四一二です。四倍にふえている。鉄鋼業ではどうかというと、やはり四十二年を一〇〇といたしまして、これは五十二年の指数で見ますと、
労働者数は九三・九ですから減っているんです。ところが製品出荷額は三三三・六、三倍以上に上がっている。民生用電気機械器具製造業はどうかといったら、これも四十二年を一〇〇として、五十一年ではこれは従業者数は一一八と若干ふえている。製品出荷額は三七三、三・七倍、こういう
状態になっているわけです。
よけい物はつくっているけれ
ども労働者はふえていない、むしろ減っている。そういうことが個々の企業で見たらどういうことになってくるかというと、たとえば、私は大阪に本社のありますダイハツ工業の実例を見てみた。そうしますと、
労働者一人当たりの生産台数というのが、一九六八年四月期の決算では、
労働者一人当たり二十八台だった、車をつくるのに。それが七八年の六月には五十五台にふえている。約二倍でしょう。
労働者の数はどうなっているかといったら、その六八年には八千五百十七人、七八年には八千三百三十人、約二百人ほど減っている。
〔
委員長退席、
理事岩動道行君着席〕
それで車の生産台数は二倍になっている。それは十年間の間に部分的な技術革新があるということは当然でしょう。しかし部分的な技術革新があったとしても、合理化がいかに厳しくやられているかということが、これはもう全く素人でもわかるわけです。こういう激しい合理化というのが
労働者の健康を大変破壊してきているという問題が起こってきています。したがって、そういう点でこれはどのように
労働者の健康が破壊されてきているか。だから私は、一口に言えば大企業の減量経営、合理化、人減らしというのは、片や
失業者群をたくさんつくり、中におる
労働者は健康破壊で、
労働者はもうへとへとにさせられているという
状態になってきているということを感じるわけです。
具体的に言うならば、たとえば、これはせんだって不破書記
局長が申し上げましたけれ
ども、松下電器のコンベヤー
労働者の
労働実態、これは
衆議院で詳しく申し上げたので触れませんけれ
ども、あそこでも、何と働く時間数は時間じゃないんですよ。二万七千秒に点検個所五万個所、こんな
状態で職業病が発生しないはずがない。してあたりまえなんだ。ですから、そこで働く
労働者はどんな
状態かというと、大体婦人
労働者でお茶わんを二百ぐらい割っておる人もおる。三十や五十のお茶わんを割っているのはざら。お茶わんや包丁を持ってて落ちてもわからぬ。血が出てても痛いのがわからぬ。夜寝るときには寒くて寒くてゆっくり寝られない。だからどてらを着てマフラーを締めて寝るんだそうです。御主人から何と色気がないなと言われるというところまで人間性が破壊されてきている。健康破壊、人間性破壊まできている。ですから、これはたまたま松下の茨木工場のライン
関係の
労働者約六百人ほどのテレビ製造部門を見てみますと、そこでは職業病の認定患者が七人、企業内協定の認定患者が八人、通院患者で三十五人、腰痛を訴えている人は六人、とにかく病人として治療をしている人が現在五十六人、約一割です。それ以外の人
たちが大体茶わんを落としてもわからぬ、茶わんをどんどん割るというようなまさに大変な
状態になっている。ソニーでは四十六年以降に四十人の労災認定患者が出ている。これはもう認定された人ですよ。いま二人が申請中です。さっき触れましたダイハツではどんなことが起こっているかというと、わずか二十五歳の青年
労働者がまるはげになっておる。まるはげですよ。これは円形禿髪症で、ぽかっと毛が抜けて、あっちこっち皆抜けて、まるまるっるつるてんになっておる。それで三カ月ほど休んだらしょろしょろ生えてきたというのです。それで出勤してきてまたそのしんどい仕事したら、またはげてしもうて、もういまはつるつるてんだそうですよ。おられますよ。それから、そんな頭の毛が全部抜けるほどじゃなくても、まゆ毛が抜けたり、ひげが第一生えないと言うんですね。そういう自律神経失調症の極限まで来ているという問題、その他薬を持っていない人はないというふうな
状態になってきているわけです。そこで、こういう
状態ということは、もう減量経営、合理化、超過密
労働というのは、さっきも言うたように、一方では
失業者をつくる、一方では
労働者の健康破壊、もうまさにほうっておけないというところへ来ていると思う。
そこで、私は特にこれははっきりしてもらいたいと思うのは、コンベヤーシステムと
労働者の健康影響への調査ですね、これはお聞きしたらやっておられないようです。これはぜひ調査をやるべきだ。というのは、全然
関係のない、これは粉じん職場の
労働環境調査を
労働省がやっておられますね。これをたまたま見せてもらいましたら、粉じん職場の疲労度の問題でも、流れ作業の中でもベルトコンベヤー方式が疲れをよく感じるという
数字が三三・三%で、他の職場よりは格段に高い。さらに、その作業の繰り返しの
程度は、繰り返しではないというのは一五%です、疲れをよく感じるというのは。ところが、作業は同じ動作の繰り返しだというところでは二五・六、約二倍近い疲れが起こる。さらにその中で繰り返しの頻度が一分未満のものが一番高い。つまり、流れ作業で同じ動作の繰り返しが短時間なほど疲れが極端にひどいというのが、これは全然
関係のないおたくの資料でも出ているんだから、少なくとも重大な問題になっておるコンベヤーシステムですね、コンベヤーシステムと
労働者の健康影響に及ぼす
変化、この調査をぜひやる必要があると思う。で、その調査をやった上で作業基準を検討するということをやるべきだと思うんですが、これは
大臣、どうですか。大切なことだと思う。