運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1979-03-12 第87回国会 参議院 予算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年三月十二日(月曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月十日     辞任         補欠選任      上田耕一郎君     神谷信之助君      柄谷 道一君     井上  計君  三月十二日     辞任         補欠選任      細川 護煕君     八木 一郎君      増岡 康治君     成相 善十君      鈴木 正一君     林  寛子君      浅野  拡君     岩崎 純三君      和田 静夫君     片岡 勝治君      相沢 武彦君     鈴木 一弘君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         町村 金五君     理 事                 井上 吉夫君                 岩動 道行君                 糸山英太郎君                 嶋崎  均君                 久保  亘君                 瀬谷 英行君                 多田 省吾君                 内藤  功君                 栗林 卓司君     委 員                 石破 二朗君                 岩崎 純三君                 上田  稔君                 亀長 友義君                 熊谷  弘君                 源田  実君                 下条進一郎君                 田代由紀男君                 鍋島 直紹君                 成相 善十君                 秦野  章君                 林  寛子君                 林  ゆう君                 真鍋 賢二君                 八木 一郎君                 山本 富雄君                 粕谷 照美君                 片岡 勝治君                 小柳  勇君                 野田  哲君                 広田 幸一君                 福間 知之君                 矢田部 理君                 吉田忠三郎君                 和田 静夫君                 相沢 武彦君                 太田 淳夫君                 鈴木 一弘君                 矢追 秀彦君                 矢原 秀男君                 神谷信之助君                 渡辺  武君                 井上  計君                 山田  勇君                 柿沢 弘治君    国務大臣        内閣総理大臣   大平 正芳君        法 務 大 臣  古井 喜實君        外 務 大 臣  園田  直君        大 蔵 大 臣  金子 一平君        文 部 大 臣  内藤誉三郎君        厚 生 大 臣  橋本龍太郎君        農林水産大臣   渡辺美智雄君        通商産業大臣   江崎 真澄君        運 輸 大 臣  森山 欽司君        郵 政 大 臣  白浜 仁吉君        労 働 大 臣  栗原 祐幸君        建 設 大 臣  渡海元三郎君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      澁谷 直藏君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       田中 六助君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       三原 朝雄君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       金井 元彦君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  山下 元利君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       小坂徳三郎君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       金子 岩三君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  上村千一郎君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  中野 四郎君    政府委員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        人事院事務総局        職員局長     金井 八郎君        青少年対策本部        次長       松浦泰次郎君        公正取引委員会        委員長      橋口  收君        公正取引委員会        事務局経済部長  伊従  寛君        公正取引委員会        事務局取引部長  長谷川 古君        行政管理庁行政        管理局長     加地 夏雄君        防衛庁参事官   岡崎 久彦君        防衛庁参事官   佐々 淳行君        防衛庁長官官房        長        塩田  章君        防衛庁防衛局長  原   徹君        防衛庁経理局長  渡邊 伊助君        防衛庁装備局長  倉部 行雄君        経済企画庁調整        局長       宮崎  勇君        経済企画庁物価        局長       藤井 直樹君        経済企画庁総合        計画局長     喜多村治雄君        経済企画庁調査        局長       佐々木孝男君        国土庁計画・調        整局長      福島 量一君        国土庁水資源局        長        北野  章君        国土庁大都市圏        整備局長     堺  徳吾君        法務省民事局長  香川 保一君        法務省刑事局長  伊藤 榮樹君        外務大臣官房長  山崎 敏夫君        外務省アジア局        長        柳谷 謙介君        外務省アジア局        次長       三宅 和助君        外務省欧亜局長  宮澤  泰君        外務省中近東ア        フリカ局長    千葉 一夫君        外務省経済局長  手島れい志君        外務省経済局次        長        羽澄 光彦君        外務省条約局長  伊達 宗起君        大蔵大臣官房審        議官       伊豫田敏雄君        大蔵省主計局長  長岡  實君        大蔵省主税局長  高橋  元君        大蔵省理財局長  田中  敬君        大蔵省証券局長  渡辺 豊樹君        大蔵省銀行局長  徳田 博美君        大蔵省国際金融        局長       宮崎 知雄君        国税庁長官    磯邊 律男君        文部省初等中等        教育局長     諸澤 正道君        文部省大学局長  佐野文一郎君        文部省社会教育        局長       望月哲太郎君        厚生省環境衛生        局水道環境部長  国川 建二君        厚生省医務局長  佐分利輝彦君        厚生省薬務局長  中野 徹雄君        厚生省児童家庭        局長       竹内 嘉巳君        厚生省保険局長  石野 清治君        農林水産省構造        改善局長     大場 敏彦君        食糧庁長官    澤邊  守君        通商産業大臣官        房審議官     島田 春樹君        通商産業省通商        政策局長     宮本 四郎君        通商産業省貿易        局長       水野上晃章君        通商産業省立地        公害局長    伊勢谷三樹郎君        資源エネルギー        庁長官      天谷 直弘君        運輸省鉄道監督        局長       山上 孝史君        運輸省自動車局        長        梶原  清君        気象庁長官    有住 直介君        郵政大臣官房電        気通信監理官   寺島 角夫君        郵政大臣官房電        気通信監理官   神保 健二君        郵政省電波監理        局長       平野 正雄君        労働大臣官房長  関  英夫君        建設省都市局長  小林 幸雄君        建設省河川局長  稲田  裕君        建設省住宅局長  救仁郷 斉君        自治大臣官房審        議官       石原 信雄君        自治大臣官房審        議官       関根 則之君        自治大臣官房審        議官       花岡 圭三君        自治省行政局長  柳沢 長治君        自治省行政局公        務員部長     砂子田 隆君        自治省財政局長  森岡  敞君        自治省税務局長  土屋 佳照君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    参考人        日本銀行副総裁  前川 春雄君        日本医薬品卸業        連合会会長    渡辺徹太郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和五十四年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十四年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十四年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付) ○証人の出頭要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 町村金五

    委員長町村金五君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和五十四年度一般会計予算  昭和五十四年度特別会計予算  昭和五十四年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。     ―――――――――――――
  3. 町村金五

    委員長町村金五君) まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十四年度総予算案審査のため、本日の委員会日本医薬品卸業連合会会長渡辺徹太郎君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 町村金五

    委員長町村金五君) 御異議ないと認めます。  なお、出席時刻等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 町村金五

    委員長町村金五君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  6. 町村金五

    委員長町村金五君) それでは、糸山英太郎君の総括質疑を行います。糸山君。
  7. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 総理大臣、きょう十二日は、たしか六十九回目のお誕生日をお迎えになられたと思いますので、きょうはどうもおめでとうございます。どうぞますます御健康に留意され、日本国のために、一億二千万の日本国民のためにどうか政務にお励みくださることをお願いいたします。  質問に入ります。  外務大臣けさニュースの中で、わが国としても注目したいのが、カーター大統領が調停を進めている中東和平山場へのニュースです。イスラエルのベギン首相は、カーター大統領と四時間会談した後、日本時間でけさの五時に緊急閣議を招集し、続いて全閣僚がカーター大統領と会談すると外電は伝えてきております。大詰めを迎えました中東和平をめぐる動きについて政府はどのように受けとめていらっしゃるのか、外務大臣から御見解を伺います。
  8. 園田直

    国務大臣園田直君) 御存じのごとく、イランの政変を契機として、その周辺国々は広く諸般情勢に深い関心を示し、中東和平についての非常な熱意を示しておるわけであります。しかしながら、一方において具体的条件になりまするとなかなか折り合いがつきませずに、ただいまの大統領和平工作は前途多難でございます。しかし、米国としては、仮にここでうまくいけばよし、いかなくとも、その後続けて努力を続行するものと考えておるわけでありますが、中東和平工作というものは周辺国々の非常な熱望でもございまするし、日本にとっても諸般情勢から大事なところでありまするから、日本政府としては、この和平工作に向かって日本政府がなすべき政治的経済的役割りがあれば、果たすべき検討と用意をしておるところでございます。
  9. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 次に参ります。  総理、いま日米関係が余りよくないということはこの委員会でも再三論議されてまいりました。アメリカの風当たりが強いことは、日増しに、しかも厳しくクローズアップされてきております。アメリカの対日政策が大きく変わったとでもいうのでしょうか。あるいは日本という国が余りにも甘ったれで自分本位のことばかりを続けているから、アメリカが誤解をしてしまったのじゃないか。昨年末からわずか三カ月の間に、カーター大統領から総理あてに、たしか去年の暮れの十二月、そして一月、三月と三回もの親書が総理大臣のところに届いていると思うのですが、総理の御苦労もさぞかし大変なことと察しますが、一体、アメリカのいら立ち、原因は何なのか。総理は去る八日のこの当委員会で、日米間の国際収支を見ると、わが国に百億ドルもの黒字があるので、アメリカ不満を持つのはあたりまえだ、問題はどう均衡をとるかだといったような答弁をされ、私も聞いていました。そして土曜日、十日の夜、NHKテレビの「総理にきく」では、私も拝見さしていただきましたが、やれることはできるだけやると積極的なコメントを総理はされておりました。アメリカ側不満原因要求の中身、そして対応するわが国基本姿勢について、まず総理の御見解をお聞きします。
  10. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) かねて申し上げておりますように、日米間は二国間といたしましては異常に大きな貿易を実行いたしておりまするし、その他の分野におきましての交流も大変濃密であります。そういう両国におきましては、その交流の間にいろんな問題が出てまいりますることは避けがたいことであろうと思うのであります。そういう問題が出てまいりました場合には、両国間の理解と協力によりまして、問題を早期に円満に収拾していくような努力を重ねなければなりませんし、そのようにしてまいったところでございます。  ところが、今日の日米関係は、そういう通常のあり得る状態、避けがたい状態ということから見まして、異常にかけ離れてむずかしい局面を迎えておると思うのでございまして、わが国が異常な黒字貿易収支経常収支の面で記録をしておる反面、アメリカが大変な赤字を記録しておる、世界通貨であるドルがその信認を問われておるというような状況でございますので、この状態はいかにも不自然でございまして、これは日米間の問題ばかりでなく、世界経済全体の大きな問題であろうと思うのであります。したがいまして、何としてもこれは大胆に勇気を持って早期解決しなければならぬことと思うのでありまして、普通の手段ではいけないわけでございまして、異常な決意で当たらなければならぬと考えております。  したがって、日本としての対処方針といたしましては、わが国経済を、いろんな問題はありますけれども、相当高目の成長を追求する状態において、内需の拡大輸入拡大をもたらすような経済運営をしなければならぬということが前内閣以来今日私どもが踏襲いたしておりまする経済運営基本方針でございまして、われわれはますます志をかたくしてこの方針を踏襲してまいって、そうしてわが国対外経済対外均衡を何としてももたらさなければならぬと考えております。それが第一でございます。  第二は、当面問題になっておる個々の問題、御案内のような政府調達問題等、さしあたって解決を迫られておる問題を早く解決いたしまして不信の種を取り除くということをしなければならぬと存じまして、そういう方向でいま鋭意努力をいたしておるところでございます。
  11. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 テレビでの答弁の中でもう一つございました。総理は、同番組の最後のあたりで、とにかく六月の東京サミットまではわき見をする暇はない、その後の政治日程は頭を冷やして考えると述べられました。これは一言で言うならば、解散を秋に考えている含みのある発言だと、私はそういうふうに受けとめてしまったのですが、いかがでございましょうか。
  12. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いま国会中でございまして、国会に全力投球しなければならぬことは政権としての当然の第一の任務でございます。それから、いま御質問がございました、対米折衝を急がなければならない、その解決を急がなければならぬ、そして六月末に予定されておる東京サミットを成功に導かなければならない、もろもろの内外の状況のほかにそういう当面われわれは重い任務を持っておるわけでございまするので、サミットまでのことで頭はいっぱいでございますということを申し上げたのでございまして、サミットの後のことにつきましては、またそれが終わりました時点で考えさしていただきたいということを申し上げたわけでありまして、それ以後のことは全くまだ白紙でございます。
  13. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 本論に戻ります。  当面、最大の懸案となっていますのは、電電公社門戸開放を中心とした政府調達問題です。アメリカ側要求総額七十五億ドルに対して、わが国はこれに十分こたえる態勢にはなっていないようです。電電公社だけではなく、広く政府系機関対象としてほしいと言っているアメリカ側の意向は私は理解できるのですが、いかがでしょうか。
  14. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいま御発言の、政府調達機関の問題でありますが、先ほど御発言のとおり、日米間には二つの問題があります。一つは、将来の中期、長期の日本経済米国経済との問題。もう一つは、当面のMTN絡み政府調達関税の前倒し、その他の問題があるわけであります。  アメリカ政府としてはバイアメリカン政策の手直しを考えておりまして、やはり自由経済というものを主体にやろうと考えておる、したがって、それについては関税貿易の障害をお互いに除こうではないか、こういうところからそういう要求が出てきているわけであります。したがいまして、これに対していろいろやっておりまするが、日本の国内の事情はまた相当困難な深刻な状態もあるわけであります。しかしながら、一方、日米のこの問題をめぐる関係は非常に深刻でありまして、特にインフレを心配をし、ドルの安定を考慮し、かつ雇用問題に責められておる米国議会意見というのは相当強くございまして、保護貿易の台頭、課徴金など、いろいろ次から次に楽観すべからざる様相にございまするので、困難な問題でありまするけれども、少なくとも東京ラウンドということを考えながら、早急に両方が解決をしなきゃならぬ時期であると考えております。
  15. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 総理に伺いますが、政府部内で検討中とのことでしょうから余りはっきりは言えないかもしれませんが、私は、電電、国鉄、専売の三公社門戸開放は当然だと思います。政府は、この三公社のほかにどんな機関が開放可能と考えていらっしゃるか、もしよろしければ聞かしていただきたいと思います。
  16. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいまのところは電電公社が主でありますが、やはりこれに伴って三公社というものはこれの対象にすべきかどうか検討しているところでございます。新聞等に載っておりましたNHKとか日本航空、これは政府機関じゃございませんから対象になりません。したがいまして、その三公社でどのような方にやるか、方針原則等は、いま緊迫をした状態であり、かつまた交渉という意味から言いましても、なかなかいま結論を出すべきときではありませんし、また考え方を明示することは直ちに交渉に響きますので、御勘弁を願いたいと存じます。
  17. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 外務大臣、たしか日本航空もいま入っていましたね。政府が出資して、半分ぐらい出ているはずですが、日本航空はともかく、アメリカ側政府系機関ではない特殊法人NHKまでを対象として考えているような点もうかがわれますので、アメリカ側のこれは誤認ですか、日本航空NHKに関しては。
  18. 園田直

    国務大臣園田直君) これは正式に話が出たわけではなくて、アメリカ側から記者会見でちょっと出たことでありますが、先ほど申し上げましたとおり、NHKそれから日本航空民間――政府投資はいたしておりますが、民間でありまするから、これは対象にはならぬことは当然であります。
  19. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 総理に伺います。  最近のアメリカ側動きを見ますと、この機会政治経済防衛など総合的な面で日本側基本的な調整をしておきたいと望んでいるように思えます。総理は、単に政府系機関の問題だけではなくて、八〇年代を控えて広く世界情勢について意見を交換して、たとえば日米安保条約日本側から再調整、再検討されるようなお考え総理はお持ちになっていらっしゃるか。
  20. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 中長期の展望に立ちまして、日米首脳間におきまして絶えず意見の交換を遂げ、理解を深めていくことは私は非常に大事だと考えておりまして、あらゆる機会をつかみましてそういう努力をいたしたいと考えておりますけれども、日米安保条約の再調整ということはただいま考えておりません。
  21. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 対米調整だけではなく、日米貿易収支問題の踏み絵になってきた農産物輸入、たとえば当面オレンジの輸入枠拡大し、同時に季節自由化の時期を繰り上げるなどのお考えがあるのでしょうか。
  22. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 農産物につきましては、前内閣の末期におきまして、日米交渉上当分の間の取り決めができておりますので、ただいまこれを取り上げるつもりはございませんで、この時期が満了いたしました後の問題として考えていくべきだと考えております。
  23. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 日米農産物については一応決着を見ておりますから、期限も五年間と決まっておりますので、私はさわる必要はない、こう思っています。
  24. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 牛場さんや安川さんらが訪米し、ブルメンソールさんやソロモンさんなどが来日するなど、日米間で要人の往復がしきりです。日本要人アメリカで得た感触はどんなものであったのか。たとえばアメリカ議会で騒がれている対日課徴金問題、すぐにも成立する可能性がかなり高いのか、現状ではまだそれほどの緊迫がないのか、外務大臣がキャッチしている最新情報を教えてください。
  25. 園田直

    国務大臣園田直君) 安川政府代表米国へ派遣いたしましたのは、大平内閣基本的な経済方針運営あるいは今後の問題等について理解を求めるためが主目的でありました。この目的は達し、米国政府もこれに理解を示したと考えております。  なお、その際、現在問題になっている問題が出たことも当然であります。牛場代表の交渉は、御承知のごとく、一貫してMTN問題でやっておりまするが、課徴金などの動きというものは日本で見るよりも非常に緊迫しておりまして、課徴金の法案が出ることは必至でないかと言われるぐらいに緊迫した状態であります。牛場代表と向こうの代表は依然としてぎりぎりのところで折衝を続けている段階でありますが、なるべく早く派遣をしてこの解決を図りたいと考えております。
  26. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 大蔵大臣に伺います。もう一つの焦点となっている在日外銀の問題で大蔵大臣に伺います。  アメリカ財務省から差別改善の要望がそろそろ提示された時期だと思いますが、その内容はどんなことで、大蔵省の反論は何だったのでしょうか。まだ示されていないとしても、大臣とブルメンソール財務長官との会談を含めておわかりのはずだと思います。これはアメリカ政府の公式要請なのでしょうか。
  27. 金子一平

    国務大臣金子一平君) ジョーンズ報告で、在日外銀の取り扱いの問題についていろいろ言っておりまするけれども、大部分が誤解に基づく問題だと考えております。  たとえばアメリカ銀行の日本における支店の設置の問題あるいは預金の吸収の問題、これはもう日本では全く邦銀と同一の取り扱いをいたしておるのでございまして、たとえば二支店以上持っておる外銀は十三行に達しておるというような状況でございます。それで先般ブルメンソール財務長官が参りましたときもその話が出ましたので、それは誤解に基づくのじゃないか、何か困る点があればどういう点が困るんだ、言ってくださいよと言ったのですが、何も言いませんでしたし、それから、これも全く御承知のことでございますが、長銀三行には法律で債券発行を認めております。こういうことは外銀が仮に日本へ進出いたしましても認めるわけにはいきません。手形交換所の加入の問題にいたしましても、全く邦銀と同様のオープンドア・ポリシーをとっておりますので。誤解に基づく点が多いとすれば、われわれとしても大いにPRに努め、情報交換に努めなければいかぬと考えておりますので、大蔵省も積極的に外銀に働きかけていろんなPRに今日努めております。大体以上のような状況でございます。
  28. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 小坂経企庁長官に。たしかソロモン財務次官会談で、同次官は、金融引き締めには反対との意向を表明、わが国の一部に出始めている金融引き締めの論にくぎを刺す発言を行ったと聞いています。受け取り方によっては内政干渉に近い発言で、小坂長官としてもさぞかし不愉快な思いをしたと思いますが、長官はどのようにこれを受けとめられたか、そしてどのように答えられたか、お伺いします。
  29. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) お答え申し上げます。  ソロモン次官とは四十分程度のきわめて短時間な話でございました。全般的に日米関係、それから世界経済等につきましてのグローバルな意見の交換はいたしました。その中で、日本経済成長に関連してソロモン次官から、金融引き締めあるいは金利の引き上げ等による、いまここでブレーキをかけることは経済成長に影響が多いのではないかというような発言があったことは事実でございます。私といたしましては、現在の日本が直面している問題の重要な諸点、つまり第一には、国内経済の振興によって内需を拡大してできるだけ輸入をふやしていく、そうして経常収支のバランスをとっていくということが対外的には一つ。国内的には、やはり国内経済拡大することによって雇用を前進させていくということ、これが大きな目標であって、そうしたことの判断は、われわれが十分慎重に考えながら政策を打っていくことであるからというふうに答えたわけでございまして、いま御指摘のように内政干渉というほど私は強くは感じません。  同時に、いま日本アメリカが直面している問題は、お互いにもっとフランクに話し合うことではないかと前々から思っておりましたので、こうしたような指摘がありましても、それに対してわれわれは十分率直な答えをしていくということの積み重ねが一方においては必要ではなかろうか。同時に、また日本側としても、アメリカに対する要望等がありましたら、率直にこれを表明していくというようなことで積み上げていくことが両国関係改善にはやはり重要ではないかというふうに現在考えております。
  30. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 外相と通産大臣に伺います。  ブルメンソール財務長官わが国の対中国金融協力に注文をつけたそうですが、これまでの一連の経過から言って、わが国の対中国協力の政策は変わるのか、あるいは何らかのブレーキがかけられるのか、外務大臣と通産大臣の御見解を伺うのとともに、去る七日、わが国民間銀行によるドル建てでたしか二十億ドルの融資が金利の面だけ合意延期となっていますし、十日のこの委員会で、外務大臣は、対中国大型プロジェクト計画のラッシュにきわめて慎重な姿勢を表明されましたので、その点外務大臣いかがでございましょうか。
  31. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 外務大臣の前に私の方からお答えいたしまするが、中国側が従来の交渉のすでに軌道に乗っておりました話を中断して中国へ引き揚げるとか、その後の問題で見合わせてもらいたいというような話がきたことは事実であります。しかし、その後どうなっておるかという点につきまして、公式の連絡はございませんが、日中経済協力会の理事長でありまする渡辺弥栄司君が先ごろ中国を訪問いたしました。彼が帰ってまいりまして、要路に会った結果を私どもに詳しく報告をしてくれたわけでございます。  その話によりますと、従来中国が考えておりましたいわゆる農業、軽工業、重工業の順に経済政策をあんばいするというその基本方針は何ら変化はありません。人民日報の社説等も日本で話題になっておるようだが、これは何も従来のことを再確認したというにとどまるのだ。いま年度末を迎えて、現代化路線がそれぞれの部局でそれぞれの責任において進められてきたという形がある、これは調整をしないと、中国側の現時点における支払い能力の問題で外国側に迷惑をかけたり不信になってはならないので、目下過去の経緯を聞いて調整をしておる段階である。日本は特に古い友人であるし、日本側と従来話し合ってきたものにおいて中断をしたり迷惑をかけるなどということは一切ありません。要するに、いまの計画と支払いとの問題をチェックしておるのだ、こういう話のようでございます。しかも、日中長期貿易取り決めに関しましては、劉希文さんが三月十七日から二週間の予定で日本に向かいます、その間よろしくお願いをしたい、こういうことづけもあった。この長期取り決めは、御承知のように、民間代表である稲山さんとの間において従来も継続的に話し合いがなされておるところであります。  それからもう一つ、バンクローンの問題、いわゆる対中国資金協力についてのシンジケート論ですね、これはユーロダラーを銀行が確保して、それを中国側に貸すドル建ての融資でありまするので、金利の問題においていろいろ話し合いがなされておったもののようであります。そこで中国側では本国の指図を受けたいということで一たん話は中絶したが、当事者間においては何ら支障なく話し合いは行われたというふうに聞いております。
  32. 園田直

    国務大臣園田直君) 御発言の、私の大型プロジェクトについては慎重にやるべきだということは、新聞にやや大きく取り上げられましたが、実は契約したいろんな問題が保留になっているわけであります。そこで中国の方では方針を変更したものではないということではありますけれども、たとえば日本と中国の製鉄会社を考えてみましても、ここでこのプロジェクトが完成をする、鉄板ができる、その鉄板はどこへ売るのか、あるいは中国の農業近代化にどのように使うのか、そういう先々の検討がなされてやっておるのかどうか。また、中国としても大型プロジェクトだけではなくて、農業近代化などという底辺から積み上げた近代化が必要ではないか。こういう点から、両方とももっと具体的に検討し、慎重にやるべきだということであって、日中の貿易にブレーキをかげたわけではございません。  しかし、ただいまおっしゃるとおりに、行く行く問題は資金の問題に落ちつくのは当然でありまして、したがって、これは金融等の問題に移ってまいります。現在のところ、向こうの金融関係とこちらの都市銀行、民間銀行との間の話が進んでいるわけでありますが、政府借款については正式な話はまだないわけでございます。こういう点も見ながら、間違いがないように、行き過ぎがないように、おくれをとらないように、両面から慎重にやるべきだ、こういう趣旨でございます。
  33. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 総理大臣に伺います。  たしか五月の初めごろに訪米なさる予定だと新聞では伝えられておりますが、いつごろが一番ベストだと総理自身はお考えになっていらっしゃるか。そしてカーター大統領からもうすでに正式招待状は届いているのか。何か招待が来ていないということも聞いておりますので、その点もちょっと。
  34. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 国会の展望がつくころ訪米したいという希望は持っておりまして、米国側の都合はどうかという点の問い合わせはいたしておりますけれども、まだ先方から返事をちょうだいいたしておりませんので、訪米の問題はまだ決まっておりません。
  35. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 いまの総理答弁を伺いましたけれども、なるべく早い時期に、一番いいときにぜひ行ってきていただきたいと思います。  外務大臣、続いて伺います。対ソ外交に関して、外務大臣に二つ伺います。  日ソ外相定期協議再開の見通し、打開策について、どのような御見解をお持ちでしょうか。あるいはソ連の最高首脳の訪日実現のためにどのような外交努力をされていらっしゃるのか、以上二点伺います。
  36. 園田直

    国務大臣園田直君) ソ連の最高指導者の訪日、これは前々から言われているところで、しばしばわが方も招請をいたしております。向こうも、時期を見てという礼儀的な返答はありますが、具体的な日程の検討はまだでございます。外務大臣には直接私が数回定期外相会議で、今度はおいでになる番だからぜひおいで願いたいということで、これは日中友好条約締結後も、行くことは行くと、しかし何月何日とまだ決めるわけにはいかぬと、こういうのが現状であります。  わが方といたしましては、諸般情勢にかんがみながら、御案内のとおり事務協議あるいは民間関係との経済合同委員会等は順調に話が進んでおりますから、こういうこと等とも考え合わせながら、熱心に約束の訪日を実現するよう努力をしているところでございます。   〔委員長退席、理事岩動道行君着席〕
  37. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 先に行きましょう。  外務大臣は、わが国の外交アンテナ、特に在外公館を含めた情報収集機能、分析力についてどんな評価をされていらっしゃるのか。私は、まだまだ弱いという評価です。国連の安全保障理事会非常任理事国選挙で、わが国がバングラデシュに敗れた例は、情報の不足、そして判断の甘さ、決断の遅さを暴露したケースと私は受けとめております。専守防衛、資源の少ないわが国こそ外交アンテナの強化、充実の必要性は私が申し上げるまでもないことですが、外務大臣は外交アンテナの現状についてどんなお考えを持っていらっしゃるか。
  38. 園田直

    国務大臣園田直君) 日本の外交は平和外交に徹するということ、武力のない日本としては、ウサギが耳が長いように、情報収集こそ最大の武器であることは御発言のとおりであります。しかしながら、現状としては、機構、人、金、こういう問題で非常に制限を受けておりまして、各国の情報、在外公館あるいは各国に出入の民間人の御意見等を総合して辛うじてやっておりますものの、やはり外務省の機構としては、情報の強化というものはもう急務の問題だと考えております。
  39. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 急務だとおっしゃいましたけれども、まだまだ努力が足りないと私は思いますので、少しその点で伺ってみたいと思います。  東京サミットでは南北問題が重要テーマの一つとなりますが、発展途上国勤務の若い外交官の待遇を改善して、いまよりも長期間勤務するプランはいかがでしょうか。たしか平均二年ぐらいの勤務では、せっかく地元の人たちと仲よくなったと思ったらすぐさよならということで、人間同士の心の交流もできません。日本からのマスコミ特派員や商社員たちとだけ、日本人同士だけで仲よくなるのがせいぜいで、現地の人たちとのアンテナはなかなかつくれません。これはぜひ御検討いただきたい問題だと私は外務委員会でも申し上げておりますが、ぜひこれを予算委員会で、外務大臣方針を伺いたいと思います。
  40. 園田直

    国務大臣園田直君) 真に相手の国の方々と、個人的にも公人的にも、何でも話のできる関係をつくるということから考えると、確かにいまの方法でよいとは考えておりません。一面には円満なる外交官を養成するという点もありますけれども、いまの御発言の趣旨を考え検討したいと考えます。
  41. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 ぜひやってください。  そしてさらに外相に伺います。これは私のアイデアですが、なぜこんなことを言うかと申しますと、園田外務大臣は御決断の早い大臣でもありますし、また非常に日ごろから私も尊敬している大臣ですから、大臣ならできるのじゃないかと思いまして、一つ御提案申し上げます。  情報を集めるための人工衛星ぐらいを独自に打ち上げたらいかがでしょうか。何でも一つの値段が約五十億円だそうですが、黒字減らしに役立つばかりではなく、わが国の安全保障の上からも必要な時代になってきているとはお考えになりませんでしょうか。
  42. 園田直

    国務大臣園田直君) そういうものがあれば全くありがたいと存じますが、これまた財源の問題等もこれあり、かつまた、そういうものをやるについては、外務省だけでやったがいいか、各省そろってやったがいいか。あるいは日本の国内にアンテナがたくさんできるのを一カ所にまとめればもっといいものができるということもありますので、こういう点等も考え検討してみます。
  43. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 黒字だと言われていますし、日本の国は人工衛星ぐらい上げたって決しておかしくもないと思いますし、園田外務大臣だからこそ私は提案したわけでございますから、どうかその点も、何か突拍子もないアイデアだとお考えになるかもしれませんが、何しろいま日本の外交は情報不足であるということはもうこれははっきりしているんです。あらゆる点で情報力にかけては二番せんじが多いわけですから、さらに検討していただくことをお約束していただきまして、防衛問題に入ります。  先ごろの世論調査によりますと、自衛隊の支持率がぐっと高くなってきております。大変結構なことだと私は思いますが、長官の受けとめ方はいかがでしょうか。自衛隊本来の意味というものが国民の間に幅広く浸透を見せたあらわれだと考えておりますが、長官、当然でしょう。
  44. 山下元利

    国務大臣(山下元利君) 最近の世論調査におきまして、防衛に対する国民の意識が高まりまして御理解が深まったことは、私どもといたしましても、御指摘のとおり、大変ありがたいことに思っておる次第でございます。特に、今回の調査におきまして、将来の方向につきまして、国の安全を守ることについて非常に高い理解を示されたことを私どもは率直に受け取りまして、その国民のお気持ちに対しまして真剣に努力せねばならぬと考えておる次第でございます。
  45. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 歴代の防衛庁長官にお聞きしてまいりましたので、山下長官にもお尋ねします。  長官は、五十四年度の防衛関係予算について、どのような評価、認識をお持ちでしょうか御不満の点はありませんか。閣議決定済みのGNP対比一%以下ということに関連してもどんなお考えをお持ちなのか。私は毎年この委員会でこの質問を繰り返してまいりました。二兆一千億円に近い五十四年度の防衛予算を国民一億二千万人の数で単純に割りますと、一人当たり約一万七千四百円の割合になります。そのうちの何と八〇%近くが人件費などで支払われるので、本来の防衛直接費はぐっと少ないわけなんです。長官の御所見を伺いたいと思います。
  46. 山下元利

    国務大臣(山下元利君) お答え申し上げます。  ただいま御審議願っております昭和五十四年度予算のうち、防衛関係費は二兆九百四十五億円、御指摘のとおりでございまして、初めて二兆円の大台を超えたものでございまして、この点につきましては国民総生産に対します比率は〇・九%を超えているわけでございまして、私といたしましては、現在の財政状況の中におきまして、国の各般の施策との関連におきましてはまずまずの点ではないかと思う次第でございまして、この予算の中におきまして防衛力の質的な整備を図ってまいる所存でございます。
  47. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 余りいい御答弁はもらえないですね、長官
  48. 山下元利

    国務大臣(山下元利君) はい。
  49. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 じゃいいです。次に行きましょう。  国際情勢に対する長官の御認識を伺います。中でも極東ソ連軍の増強とわが国の脅威との関連についてはどうでしょうか。また、防衛計画大綱の見直しがそろそろ必要とお考えなのかどうか、前向きの答弁をお願いします。
  50. 山下元利

    国務大臣(山下元利君) 近年におきますところのソ連極東軍の増強、特に太平洋艦隊の近代化を主体とした増強ぶりはまことに著しいものがございます。また、最近、国後、択捉両島、わが国固有の領土のこの両島地域におきます地上軍の配備及び基地の建設、その他わが国周辺におきますところのソ連軍の艦艇、航空機の活動も活発化いたしておりまして、私どもといたしましては重大な関心を持ちまして、絶えず注意を怠ってはならない状態であると考えております。また、アジアにおきましてはカ越紛争、中越紛争などの諸事件もあるわけでございます。しかしながら、御指摘でございますが、現在、私ども防衛計画の策定に当たりまして考慮したわが国周辺の国際情勢基本的な枠組みを変更する程度の情勢の重要な変化とは考えておりませんので、いまこれを直ちに見直すという必要はないものと考えておる次第でございますが、しかし、先ほど申しましたように、きわめて流動的な情勢でございますので、重大な関心を持って注視し、分析、検討を怠らずやってまいりたいと思う次第でございます。
  51. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 海と空の自衛力増強に関して、たとえば海上自衛隊は原子力潜水艦を持ってもいい時代ではないんでしょうか。原子力の推進は憲法に触れることはないし、八〇年代を考えたとき、積極的に持つべきだと私は考えております。長官の御所見はいかがでしょうか。
  52. 山下元利

    国務大臣(山下元利君) お答え申し上げます。  潜水艦の傾向といたしまして一般的に原子力化の傾向にあることはもう御指摘のとおりでございます。その原子力潜水艦は通常型潜水艦に比較いたしまして種々のすぐれたる点を持っていることも事実でございます。しかし、また、通常型潜水艦は静かといいますか、静粛性という長所を有しており、機動性という点では劣りますものの、そうした静粛性という特性を生かした運用によりましてわが国防衛上は十分な効果を持つものと認識しておりますので、われわれといたしましては、引き続き通常型潜水艦の整備を継続してまいりたいと思っておる次第でございます。ただ、原子力潜水艦の能力が非常に向上しておりますので、対処は困難になってまいりますけれども、海上自衛隊といたしましては航空機と十分な組み合わせを考えることによりまして、与えられた通常型の装備の範囲内で対処することは可能であると考えておりますので、可能な限り効率的に対処してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  53. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 原子力潜水艦によらない訓練なんて余り有効じゃないじゃないですか。どうですか、長官、持ちたいと言ったらいいじゃないですか。それくらいの気持ちがないと、これからの八〇年代に向かってどうも日本防衛力は後退、後退、あるいは野党の声に押し倒されて、いかにも力がないというような声、世界でもう十分知ってますよ、日本の力の弱いことは。だから、いろんな面でわれわれが苦しむんじゃないんですか。   〔理事岩動道行君退席、委員長着席〕 まあいいでしょう、長官いじめたってこれはしようがありません。  安保条約に基づく日米防衛協力体制はパーフェクトになりつつあるのですか。昨年十一月二十七日の第十七回日米安全保障協議委員会で、日米防衛協力のための指針として了承されたようですが、このガイドラインに基づく研究やその他の作業はどのように進められているのでしょうか、長官
  54. 山下元利

    国務大臣(山下元利君) 昨年十一月、日米防衛協力の大綱、指針が決まりまして、昨年の十二月、私が防衛庁長官に就任いたしまして、それを具体的に進めるように指示いたした次第でございまして、いま日米共同防衛につきまして、その共同研究の作業は順調に進められております。
  55. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 防衛問題の最後に、総理に伺います。  わが党の玉置委員から土曜日の日に御質問がたくさんございましたけれど、有事法制の研究はこの一年間どんなぐあいに進められておられるのか。昨年三月の当委員会で、福田前総理から有事法制の研究指示という答弁をもらっている私だけに気になります。また、金丸前長官も私とお約束をしていただいて、国会に対する中間報告はいつ、どんな方法で予定されていらっしゃるのか。まさか大平内閣になりまして研究がストップということはないと思いますが、念のため御答弁をお願いします。
  56. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) あの有事法制の研究は、引き続き防衛庁で進められております。で、いつごろ報告ができるかということにつきましては、まだ私は定かに見当をつけておりませんけれども、防衛庁の方で御報告が行われますならば、当然、国会その他にも報告しなければならぬと考えております。
  57. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 行政改革のあり方と国内経済の動向について質疑に入りますが、その前に、ちょっと法務大臣に一言、一問伺っておきます。  聾者及び唖者等に関する民法上の規定について伺います。民法第十一条は聾者、唖者及び盲者は「準禁治産者トシテ之ニ保佐人ヲ附スルコトヲ得」と規定しています。このため全国五十万人に及ぶこれらの方々が金融機関で融資の相談を拒否されたり、相続における財産分与に対し相続名義人から外されることが見受けられているほか、結婚問題などにも悪用されている実例が数多くあります。これは独立世帯を持ち、社会的に自立して生計を営んでいるこれらの方々に対する屈辱的な差別を生じかねません。法務省ではこの民法第十一条の改正を検討していると伺っていますが、法務大臣の御所見を伺います。
  58. 古井喜實

    国務大臣(古井喜實君) お答えいたします。  現行民法が何十年一日のごとく聾者、唖者、盲者、これを心神耗弱者、浪費者と同列に、それだけの身体障害の理由で準禁治産に付する事由に掲げておるというこのことは、きょうの時勢に合わなくなっておると思いますし、それから関係者の方々はむろんのこと、一般の国民感情から言っても、もはやこの現行の規定は適当でない、こういうふうに思いますので、民法は大事な法典ではありますけれども、速やかに改正したいという考えでおります。できることなら、この国会中に改正案を出したいと思って、努力しております。
  59. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 総理に伺います。  総理はチープガバメント、安上がりの政府を強調され、予算の面では国債費を除く経常部門の伸びを八・四%と一けた台に抑えました。その努力は評価しますが、行政組織の簡素化、合理化の面で血の出るような努力を一層進めていただきたいと思います。総理は、お役人のしたたかさについて衆議院ではあきらめ的な答弁をされ、参議院では去る八日、安上がりの政府という言葉は誤解を招いているようだ、効率的な政府が私の真意に近いと看板がえをなさいました。マスコミは一斉に大平さん変心宣言と書きましたが、看板を変えても変えなくても一連の増税作戦を進めるからには、補助金や行政組織の上で改革が断行されていかなくては国民は納得いたしません。この問題はもう何回も繰り返して国会で論議されてきましたが、私も強く主張いたします。総理の強力なリーダーシップを発揮し御決意を改めて伺います。
  60. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 安上がり政府ということの看板をおろしたつもりはないのですけれども、私どもそういうことを言うた覚えはないので、私の言っている意味は、簡素で効率的な政府という意味で申し上げておるのでございますということでございます。安上がり政府という言葉は私の用語ではございません。  それから行政改革の問題でございます。私もどなたにも劣らず行政改革、行政費の節減は国民の期待にこたえてやらなきゃならないわれわれの任務の最も重要な一つと心得ておるわけでございます。歴代の政府も、糸山さんも御承知のように、機構の圧縮、定員の縮減、許認可事務の整理、補助金の整理、統合、廃止、そういった一連のことはずっとやってきたわけでございます。そうしてそのことのために割きましたエネルギーは、予算編成の過程におきましても相当予算編成の中心になるほどのエネルギーを、目立たないけれども、割愛して当たってきたわけでございます。したがって、この十年間の経過をごらんいただきましてもわかりますように、中央政府に関しましては仕事の分量はふえてまいったわけでございますけれども、定員は逆に縮減を記録いたしておるわけでございますから、それはそれなりに評価していただきたいと思うのでございます。それでそういう過程を経まして私どもの政権になりました。  そこで、一月に閣議で了解を遂げて、いまやろうといたしておりますことは、従来の機構の圧縮、それから定員の削減、そういうことは引き続き精力的にやってまいります。それから補助金あるいは許認可事務の整理統合というような点も引き続きやってまいることをうたってございまして、いま鋭意その実行に当たっておるわけでございます。  中央政府の行政組織の改編の問題、これは非常に華々しいことでございますけれども、これは社会経済状況が変わりますと、行改組織もそれに応じて改編をしていくというのは当然のことでございまして、それなりのことはやってまいらねばいかぬと思いますけれども、いま求められておるのは行政費の縮減であって、行政改革の華々しい実行であるとは私は考えていないのでありまして、それに割くエネルギーがあれば、本気で行政費の節減に当たるのがまじめな政治じゃないかと考えておるわけでございますので、大がかりな政府全体にかかわるところの行政組織の再編などという問題はいま私どもは取り上げるべき時期でないと考えておりまして、じみちな機構、定員、それから事務の簡素化という点に中央、地方を通じまして鋭意努力してまいるのはわれわれの任務であろうと心得ております。
  61. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 外務省にかねて懸案の中南米局が新設されるかわりに、文化事業部や大阪事務所が犠牲になったようですが、正式には外務省設置法改正案が通った七月一日からになりますが、近ごろ何か外務省の中で犠牲が大き過ぎたという声を私もたびたび耳にいたします。この例は、これから文化の時代とたしか総理はそういうことを常におっしゃっておりますが、総理の哲学に逆行することになりませんか。
  62. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 問題は、文化の時代にふさわしい政治のあり方を追求していくのがわれわれの任務でございまして、文化、文化言うことだけが芸ではないのであります。  外務省におきましても、中南米局の新設に伴いまして、全体として機構の縮減を図らなければならない時代に新しい局を新設するということでございますから、それだけの廃止すべき部局の供出は求めたわけでございますが、それは文化を軽視するがゆえにやったわけでは決してないのでありまして、先ほどあなたが御質問になりました行政費の節減のために血のにじむような努力の一環としてやっておるわけでございますから、文化の仕事は情報文化局という局が健在でございまして、局長がこの重要な仕事にみずからが挺身して当たる姿勢でやっておりますので、一歩の後退もないことでございますので、御安心をいただきたいと思います。
  63. 熊谷弘

    ○熊谷弘君 関連。
  64. 町村金五

    委員長町村金五君) 関連質問を許します。熊谷君。
  65. 熊谷弘

    ○熊谷弘君 主計局長に伺いますけれども、あなたは最近の「金融財政事情」で、いまだわが国の財政規模はツースモールであるというような主張をされておられます。また新聞紙上で大倉事務次官のインタビューの記事を拝見いたしますと、財政危機の打開は増税以外に選択の余地はないというような主張をされておられます。この二つの議論を寄り合わせてまいりますと、より大きな政府を志向する、私はそれしかないと思うんですけれども、この考え方は大平総理の言われる簡素で効率的な政府をつくるという考え方といささかずれがあるのではないか、増税キャンペーンというか、一般消費税を導入したいという気持ちはわかりますけれども、いささか事務当局と大平総理の間に考えのずれがあるように感じますので、その点お考えを伺いたいと思います。
  66. 長岡實

    政府委員(長岡實君) お答え申し上げます。  「金融財政事情」に出ております私と石弘光教授との対談であろうかと存じますが、あれをよくごらんいただきますと、私の個人的見解ではございますが、私は、財政規模は余り大きくない方がいいと思うということをまず申し上げておるつもりでございます。  ただ、各国との財政の比較というのは非常にむずかしいのでございますけれども、国、地方を合わせましていわゆる国民経済計算ベースでGNPの中に占める財政の分野の比率を見ますと、現在のところ、日本は欧米主要先進国の中では際立って規模は小さい、その小さな規模の財政の中で非常に多様にわたります国民の行政需要と申しますか、新しいニーズ等にこたえていかなければならない。それをたしか各省官房長会議の席であったと思いますが、私ども財政当局といたしましては、財源不足に頭を痛めております現状のもとで各省の御要望いろいろ強いことはわかる、それはいま申し上げましたように、ほかの国に比べまして比較的規模の小さな財政の中で、総理の言われる効率的な行政を執行しながら賄っていかなければならないんではございますけれども、各省の御要望が強いのは、日本の財政の規模がほかの先進国に比べてツースモールの面も若干あるから、そういう形になって出ているのであろうということを申し上げたつもりでございます。  したがいまして財政規模は大きければ大きいほどいいという気持ちは毛頭ございませんし、欧米先進国並みの国民経済に占める財政の規模と申しますか、その水準までこのままわが国の財政が膨張を続けることが果たして好ましいかどうかという点については、最初申し上げましたように、私個人としては疑問を持っておるところでございます。  なお、財政の再建のために一般消費税の導入しかないという趣旨のことは、私、あの対談ではそうはっきりは申しておりませんけれども、とにかくオイルショック不況からの脱却のために、財政が無理に無理を重ねまして、五十四年度の財政で申し上げますと、公債発行の規模は米、英、独、仏の四カ国の公債発行額を合わせたよりも多いような状態になっておりまして、これを今後何年間かかかって財政の健全化を図ってまいりますためには、もちろん不公平税制の是正あるいは歳出の削減といったような努力を当然行わなければ国民の理解は得られないと思いますけれども、やはり国民の租税負担の増加ということは避けて通れないのではなかろうかという趣旨を申し上げたつもりでございます。
  67. 熊谷弘

    ○熊谷弘君 各国との財政規模の比較につきましてはなお詳しく、私異論がありますから、別の場でまた御質問申し上げたいと思いますけれども、実は、主計局長が今回の予算編成に当たりまして、骨までしゃぶれとか骨まで削れといって補助金の節減合理化に努められたこと、大変な御努力をされたことは認めるわけですが、私が承知している数字では、その金額というのはたかだか一千億をわずか超える程度でしがなかったように伺っております。そこで、結局、この支出構造というものを直していくということになりますと、とうてい事務方だけで努力するというのはむずかしい。どうしても政治のリーダーシップというのが必要になってくるのではないかと思うわけです。  そこで総理に伺いたいわけでありますが、十三、四年ぐらい前に、総理が、日本経済新聞だったと思いますけれども、非常に目のうろこが落ちるようなすばらしい小文を物にされておられた。それは松代藩の財政危機に起用された恩田木工という家老の「日暮硯」という小文を引用しながら、みずからの政治信条を述べられておったわけでありますけれども、この恩田木工のあの引用したあの考え方というのが恐らくいまの総理の信頼と合意という政治哲学に結晶したものだと私は思いますけれども、ところが、その後、数年しまして、イザヤ・ベンダサンが同じものについてやはり取り上げておられる。ところが、私それを読んでみますと、確かに信頼と合意というその一面はあるわけでありますけれども、他面、この恩田木工には大変な烈々たる改革者としての情熱というものがあったように思うんです。で、どうもずっといろいろ伺っておりますと、そうした点について、私、若干総理の強力なリーダーシップを、もう少しこの財政危機改革についての姿勢というものを打ち出していただきたい。  とりわけ、この予算の表示方式というものが景気構造に手をつけていくためには私はいまのようなやり方ではだめだと、財政制度審議会が歳出内容を洗うけれども、この議事録は非公開である。密室でやったって国民の納得を得られるわけがない。どうしても予算の表示方式を含めた大改革を総理の手によってやっていただきたい、心からお願い申し上げるわけでありますが、御見解をお願いいたします。
  68. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 改革者としての情熱と勇気と気魄を持たぬといけないのじゃないかという、考え方だけではだめだということでございますが、御注意はよく体して自分自身をむちうっていきたいと思います。  それから、したがって問題は財政改革に取り組む場合でございますが、いま仰せになりました点も含めて真剣に取り組まにゃいかぬと思います。戦後三十年たちまして、一応、そういう意味で戦後における復興の仕事は一段落ついたところでございまして、いまの時期は財政ばかりじゃございませんで、諸政全般について見直さなければいかぬ時期だと思いますし、財政はとりわけ私は見直さなければならぬことは急務だと思っておりまして、いま御注意の点を十分体して勇気を持って対処いたしたいと思いますので、国会側におきましても、きのうもここで申し上げたように、総論は賛成だが、各論は反対だとおっしゃらぬように、いろいろなことを進める場合におきましては本当にこれは国会政府も国民も一体となって当たらなければならぬ重要な課題でございますので、御鞭撻と御支援を願いたいと思います。
  69. 熊谷弘

    ○熊谷弘君 予算表示方式について。
  70. 長岡實

    政府委員(長岡實君) お答え申し上げます。  予算書が非常にわかりにくい、読みにくい、もっと表示方式を改めるべきであろうという御趣旨だろうと思いますが、予算の内容は、一応財政法にどういうものをつくるべきであるということは書いてあるわけでございますけれども、とにかく行政需要の多様化に伴いまして予算の内容がきわめて膨大になっております。その膨大な予算をいかに区分すべきかという場合に、私ども判断いたします基準は、まず第一は、予算国会、国民に理解されやすいような表現にする必要があることは申すまでもございませんが、そのほか執行面から考えまして、各省各庁が能率的に執行できるように区分されていることが必要である。また、予算を執行監督する立場から、執行の適否が速やかに判断できるように責任の所在が明確にされる必要があるといったようなもろもろの要請があわせて満たされなければならない。そういう意味で、現在の予算がある程度技術的なものになっておることは認めざるを得ないところでございます。  それからもう一つ、これは私ども財政当局の事務方の面から申しますと、政府案が決まりまして国会に提出するまでの聞きわめて期限が限られておりまして、その間にあれだけの膨大な予算書をつくるということで、しかも、それがいまコンピューターに連結しております。そういう意味から申しまして様式を変更することにはいろいろ問題がございます。ただ、御要望の趣旨はよくわかりますので、私どもはいろいろの補完資料でできるだけ御理解を賜るような努力を続けてまいりたい、かように考えております。
  71. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 先ほどの中南米局の新設について総理から答弁がございましたけれども、文化事業局の局長がみずから陣頭指揮をとってやっているとおっしゃいましたけれども、外務省には文化事業局があるのですか、文化事業部じゃございませんか。
  72. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 情報文化局。
  73. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 情報文化局ですね、はい、わかりました。  じゃ次に入ります。税制に入りますが、大蔵大臣と厚生大臣に伺います。  過去二十五年間優遇されてきた開業医の社会保険診療報酬の実態について、五十二年の十月、参議院大蔵委員会で私が質問をしたとき、大蔵省は文書で回答をしてくださいました。回答書もございますが、この実態に照らしてみても、今回の政府提出改正案は政府税調答申の改正案に比べて大きく後退、骨抜きと言わざるを得ません。この委員会においても各党各委員よりこの点に質問が集中してまいりましたけれども、大蔵、厚生両大臣、後退、骨抜きということはまだ認めませんか。
  74. 金子一平

    国務大臣金子一平君) いろいろ骨抜きじゃないかという議論も出ておりまするけれども、私どもといたしましては相当の前進と考えておるのでございます。  と申しますのは、五千万円超の所得に対する課税は政府税調の答申どおりの五二%の概算経費率を適用いたしておりまするし、それ以下の所得につきましては、政府税調と違って一段階細かく分類をいたしまして経費率を変えておるのでございますが、七二%から幾つかの経費率をずっと決めておりますのは、お医者様が日夜を分かたず地域診療に従事され、あるいは救急医療に従事され、地元の保健に専念をされておる、そのお医者様の特殊性を考慮しての特別の控除ということで段階によって経費率を変えておる次第でございまして、これは特別控除とお考えいただきたいと思うのでございます。一〇〇%普通の所得税の場合と同じように特別控除をなくしろという議論は、長い間、とにかく二十五年にわたってこういう制度が持続された今日、一遍にできるわけじゃございません。やはり一定の過渡的な制度を考えることが最も実情に即する行き方であると私どもは考えておる次第でございます。
  75. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 社会保険診療報酬課税の特例の問題と申しますものは、これは御承知のとおりに、すぐれて税制上の問題でありますし、直接の見解を申し述べることは差し控えたいと思います。ただ、今般の改正が、政府税制調査会の答申及び自由民主党の税制改正大綱というものを踏まえて、医療の持つ公共性というものにも十分配慮をされたと伺っておりまして、医療行政を担当する立場からは、特にこの問題が現場に混乱を招くことなく解決されたことは評価すべきものだと、そのように考えております。
  76. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 大蔵大臣、じゃあ一つデータを出しましょうか。政府提出案で試算しますと、年収三千万円の医師は二千五百万までこれまでどおりの七二%が認められていますから、必要経費は千八百万円ですね。残りの五百万だけに新経費率の七〇%が適用されて、これはすなわち三百五十万円。結局認められている必要経費は計二千百五十万円となります。一方、現行の七二%ではじきますと二千百六十万円ですから、その差がわずかに十万円、十万円のカットにしかすぎません。これではなまぬるいぞと指摘されても、あるいは多数の国民の声の方がもっともであるということになります。政府改正案は手をつけただけのポーズにしかすぎない。(「異議なし」と呼ぶ者あり)これは社会党の方でも異議なしと言っています。私は自民党です。自民党でもこのような、要するに十万円しか変わらない。いま大蔵大臣は五千万円の話をしたじゃないですか。まず三千万円の所得の人の率が十万円しか変わらないということはいかがでしょうか。
  77. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 大体三千万円未満の、以下のと申しますか、お医者様が全体の半分を占めております。それから五千万円までが二分の一、五千万円超が二分の一ということでございますから、三千万円前後でおとりになるとそういうことになりますけども、ごく大づかみに申しまして一千億の増収が出るわけでございますから、お医者様十万人足らずでございます、十万人といたしましても、一人百万円の増加になる。それが仮に従来どおりの据え置きの人が半分となれば二百万円の増額になるというようなことで、全体としてみたら、おっしゃるようにそう甘いものではないんですが、むしろ所得の比較的下の方にある人は、これは経費も相当かかっておりましょうし、余り大きな課税上の変化はないと、こういうふうに御理解いただきたいと思うんでございます。
  78. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 ずいぶん苦しい答弁ですね。三千万の所得者で所得が下の方ですか。大蔵大臣は幾ら所得を取ってますか。
  79. 金子一平

    国務大臣金子一平君) いや、それは経費その他を見ますと、やはり給与所得者の場合と大分違うと思うのです。それから、先ほど申しました日夜を分かたず診療に従事しておられる社会保険医の公共性という点からそういうことを申し上げておる次第でございます。
  80. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 大蔵大臣、土曜日の質疑の中で社会的環境が変われば改正するというたしか答弁をなさいましたと思います。衆議院では予算案の委員会可決をかけて新自由クラブとぎりぎりまで交渉があったこの問題、私の胸のうちは、自民党であっても、新自由クラブの主張に実は賛成です。時限立法に最低限すべきだと私も考えております。いまからでも決して遅くはありません。大蔵大臣の勇気ある答弁、またここでもってひとつはっきりしてください。
  81. 金子一平

    国務大臣金子一平君) まあやっと、とにかくここまでこの問題を片づけたところでございますので、いますぐ来年、再来年これをまた廃止しますとかいうようなことは考えておりません。当分現行の措置を継続して――まあいろいろの推移、これからございましょう。社会経済上の推移を見、それからまた私どもは常に毎年毎年いわゆる特別措置の中身を検討いたしますので、検討の時期を全然持たないというわけではございませんが、さしあたって当分はこのままの状況で継続したいと、こういうことで申し上げておる次第でございます。
  82. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 まあ医師だけをここで追及しても先が進みませんから、時間の関係上ゆっくり大蔵委員会でやるとして、租税特別措置法改正案の中には有価証券譲渡益課税の強化案が盛り込まれております。大蔵大臣は株式売買に直接タッチされた御経験をお持ちですか。  私がここで申し上げたいのは、証券会社の悪らつ商法について大蔵省が一層厳しく監督し、行政指導の面でも徹底してやってくれなければ困るのです。これが第一点。  次に、特に大手証券会社のモラルを正すために、証券取引法を厳しく運用あるいは改正しませんと片手落ちになってしまいます。私のところには大手証券会社を非難する投書がたくさん殺到しております。裏づけ証拠も実はたくさんここに持ってきておりますが、また大蔵省の証券局などは大手証券会社の言うなりになっているという。これは絶対許せない問題じゃないでしょうか。私は大手証券会社が大蔵省証券局に対してずいぶんわがままを言っていることもこの耳にしておりますが、大臣、御要望ならばそれらを全部私は申し上げてもいいんです、この場で。しかしその前に、証券法を再検討するお気持ちがあるでしょうか。証券法を再検討しなければならない問題がたくさんひっかかってくるのですが、その御見解を伺います。
  83. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 証券行政の一つの大きな目的は投資家の保護にございますから、仮にそういう御指摘のような問題がありましたならば今後厳重に戒めてまいりたいと思いますし、事、証券取引法の改正を要するような問題がございましたならば、私どもも十分検討することにやぶさかではございません。どうかひとつ糸山さん、またお気づきの点は遠慮なくおっしゃっていただきましたならば、私どもも最善の努力を尽くすつもりでおります。
  84. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 証券局長、この問題について答弁してください。
  85. 渡辺豊樹

    政府委員渡辺豊樹君) 証券取引につきましては、証券取引法に基づきまして、大蔵大臣が証券会社を監督しているわけでございますが、その精神は、先ほど大臣が答弁されましたように、基本的には投資者保護が一番大切なわけでございます。この精神に即しまして、先生御存じのように、昭和四十年に証券取引法を改正いたしまして、証券業を登録制から免許制に移行し、かつ証券会社の禁止行為等に関する新たな規定も設けたわけでございます。かつまた法律に基づくばかりではございませんので、先生御存じのように、証券取引所及び証券業協会は証券取引法に基づく機関であり、かつまた証券界の自主規制機関でございます。この取引所及び協会でも各般のルール等をつくりまして、証券会社の証券取引について規制しているわけでございます。  しかしながら、証券取引と申しますのは、どうしても、特に株式取引になりますと、いろいろと会社と投資家との間のデリケートな問題が生ずることは私どももよく承知しておりますし、個々に、検査等におきましてそういう問題が出てきました場合には適切に証券会社を指導しているつもりでございますが、なおまた、先生のいまの御指摘に即しまして今後とも証券会社の指導、監督には十全の注意を払いながら努力してまいりたいと思っております。
  86. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 現行法では非常に困るわけです。証券取引法の現行法はずいぶんざる法と言われて、いろんな盲点があります。私のところにたくさんの投書も来ております。ですから、租税特別措置法をもし改正するならば、その前に有価証券法をぜひ再検討していただきたい。これは大蔵大臣は局長からよく聞いて、再検討する必要があれば改正していただきたい。そうでなければ、この租税特別措置法の中途半端な改正については私も賛成できません。  どうか、全投資家を保護する大蔵省、そして証券局が、大手証券会社からなめられてしまって、全く何だ現在の大蔵省はと言われるような状態では困るんです。大蔵大臣、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  87. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 具体的内容につきまして検討いたしまして、行政上の措置でいけるものか、法改正を要するものか、十分検討さしていただきます。
  88. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 じゃ、一つだけここでもって例を挙げさしていただきます。  日興證券の札幌支店で最近起きた事件ですが、これはどうしても投資家保護の点から見逃せない問題として指摘しておきます。たくさん資料やあるいはデータもそろっておりますが、きょうはとりあえず日興證券の札幌支店で起きた、これは二月二日と十四日付の朝日新聞の北海道版に出ておりますが、この事件は、親の遺産の四千万円を同支店に預けたところ、二年間で二千万円の損をさせられたというのがいきさつですが、これは事実でしょうか。日興證券側は年一〇%の利回りを保証するからと客に持ちかけ、そしてもう契約しているわけです。新聞報道にはありますが、これが事実ならば、証券取引法第五十条に明らかに違反しております。この事件は北海道財務局で調査したはずですが、調査の経過と結果、そしてこの処分の方法などを伺いたいと思います。
  89. 渡辺豊樹

    政府委員渡辺豊樹君) ただいま先生が御指摘になりました北海道札幌における日興證券と投資家との間のトラブルにつきましては、私ども北海道財務局から事情は聞いております。なお、北海道で起きたトラブルでございますので、現在北海道の財務局理財部におきまして、日興證券の札幌支店及び投資者の双方からいろいろお話を聞いたわけでございますが、先生御指摘の、利益を保証したということについては、はっきりとした書面等による記録はございません。この点においては、証券会社と投資家との間の主張は食い違っております。なお、投資家の方がこの株式取引におきまして損失を生じたということは事実でございます。しかし、株式取引の場合には、先生御存じのように、常に利益が出るばかりではございませんので、無論損失が生ずる場合もこれはございます。  なお、本件につきましては、現在日興證券が札幌の簡易裁判所に調停の申し立てをいたしまして、投資家の方もそれは了承しておられますので、しばらく裁判所における調停の推移というふうなものも見守ってまいりたいと思いますし、事態をさらに私どもも把握しました上で、しかるべき対応策をとる必要がある場合にはとってまいりたいというふうに考えております。
  90. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 処分はないの。
  91. 渡辺豊樹

    政府委員渡辺豊樹君) ただいま御答弁申し上げましたように、現在北海道の簡易裁判所において、当事者双方が合意の上に調停が進められておるところでございます。かつまた、処分と申しますのは、その事態を十分把握してからするわけでございますが、現在のところまだ調査中の面もございますので、先ほど御答弁申し上げましたように、事態の推移及び把握をしました上で、必要な対応策をとる必要があった場合にはとってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  92. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 いま私が指摘した事件などは軽い方で、いま裁判中といいますけれども日興證券は見舞金まで出しているじゃありませんか。見舞金を出して何が簡易裁判所の裁判ですか。悪いことをしなければ見舞金を出す必要はないじゃないですか。こういう問題に関しては、私は大蔵委員会で徹底的に論議をします。  野村證券が業界第一位と言っていますが、年間七百十一億円の利益、そうして日興證券が六百六十七億円以上の利益を年間出しているのです。そして俗にノルマ商法と言っています。ノロマじゃないんですよ、ノルマです。各セールスマンに猛烈にノルマをかけた商法をやっているのが現在の証券会社じゃないですか。私は一般大衆投資家の考えを持って、この点については徹底的に大蔵委員会質問もしますから、大蔵大臣の答弁は要りません。要りませんけれど、どうか証券局長に、ダウが高い現在の証券について、株式について、大蔵大臣が株式を売買したことがなければ、どうか証券局長から徹底的に聞いていただきたい。そして証券局長もうそ偽りなく、事実のことを話さないと、これは大蔵委員会で、私は租税特別措置法には賛成できません。  次に入ります。二月二十一日の衆議予算委員会で、大蔵省主税局長は、利子配当所得課税の特例措置を五十五年十二月末の期限切れでやめるとの表明をされたようですが、確認をしたい。また理由は何でしょうか。また衆議院での質疑の中で、税務署員の増員は行わないという政府答弁がありましたけれども、こんなことで果たしてできるんでしょうか。
  93. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 利子配当の課税につきましては、かねてからこれを総合課税の方向で現在の制度を改めていく必要があるということが議論をされておりまして、昭和五十二年、一昨年の十月でございますが、税制調査会で相当の時間をかけました御審議の末、いわゆる中期答申、「今後の税制のあり方についての答申」というものが出されたわけでございます。その中で利子配当の課税につきましては、五十二年度改正で三五%、源泉分離の場合には。それから一般の場合に二〇%の源泉徴収に改められたわけでございますが、五十二年から五十五年までの期間において、利子配当所得に対する総合課税を実現するための方策について、具体的、専門的な検討を一層推進することが必要だということが言われたわけでございます。その線で、昨年の九月から、税制調査会で利子配当課税の総合課税化ということの具体的な検討を進められております。これは御案内のとおりでございますが、利子配当の総合課税を進めてまいります際に、本人の把握と申しますか、確実にこれが所得者御本人の利子配当所得であるということの確認、それと名寄せという二つの問題がございます。この問題が解決できませんと、利子配当所得の総合課続ということを法文の上で実現いたしましたとしても、かえって課税の不公平が起こってまいる。これが多年の懸案でございますから、その点をわきまえまして、現在、たとえば納税者番号制度の導入等を含めまして税制調査会で御検討願っておるわけでございます。現行の税制が昭和五十五年末をもって終わるわけでございますから、それらの検討の成果を踏まえて五十五年度の税制改正において措置をいたしたい、そういう趣旨を先回大蔵委員会でお答え申し上げた次第でございます。
  94. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 大蔵大臣、人員の増強は。
  95. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 人員の問題は、これと直接の関係は恐らくない場合の御答弁かと思いますが、まあ一般消費税を導入した場合に増員が相当の規模必要でないかという御質問に対するお答えだったかと思いますけれども、これにつきましては、課税の方式、それから納税者に対するいろいろな周知、広報等によりまして、できるだけ増員を少なくして課税の実が上がる方向でやっていきたい、こういうお答えだったかと思います。
  96. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 有価証券譲渡益課税の強化にしろ、利子配当所得課税にしろ、国税当局では大幅な人員が必要になるんです。これはいま一般消費税まではいっていません、そこまで触れていませんが、まず有価証券と利子配当をやるだけでも相当な人材が必要なことはこれはわかり切っていることですが、大蔵大臣の答弁が、この間は増員をしないと言っていますので、もう一度確認しておきます。
  97. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 先般の私の答弁は、これは一般消費税の導入に関連して、こういう税を入れたら相当の増員が必要じゃないかという御質問に対して、私どもは極力増員はやりたくないんです、資料整備に必要な程度の人間はやむを得ませんけれども、いま的確に何人という計算をいたしておるわけではございませんという答弁を申し上げた次第でございまして、利子配当の総合課税をやる場合に、資料整備でどういう人員が要るようになるか、どの程度からの資料収集にするか、それはこれから政府税調で真剣に検討していただくわけでございますので、その段階になりますると、この程度で済むとか、余りたくさん要らないなということの結論が出ると考えております。
  98. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 増員は余り考えていないという答弁ですが、国税庁長官に伺います。国税当局は大変な仕事だと私も思いますが、現在の人員で課税強化に対する調査が本当に不公平なく行うことができるんでしょうか。正直者が損をするような仕組みではないのでしょうか。国民がますます納税アレルギーを持つのではないのでしょうか。長官、この場をかりてどうぞ本心を言ってください。
  99. 磯邊律男

    政府委員磯邊律男君) ただいま御指摘になりました有価証券の譲渡益に対する課税、それから利子配当の総合課税、いずれもこれは税務調査にとっては非常な事務量がふえることは事実でございます。といいますのは、有価証券の譲渡益課税につきましては、まずその取引そのものがきわめて膨大なものである。それからまた、その端緒をきわめてつかみにくい。それからまた、さらに非常に残念なことでありますけれども架空名義による取引が多い、こういったことでございます。それから、さらにまた個々の株式の売買をする方にとっても、その取得の価額を正確に記録している方は比較的少ないわけでありますから、具体的な譲渡益の算定に当たっては、ややもすると納税者との間にトラブルが生じやすい、こういったもろもろの事務量があるわけであります。  もちろん、このたびの租税特別措置法の一部改正では、全般的に有価証券の譲渡益そのものに対して課税するということになっておりません。段階的に課税の強化を図るということになっておりますので、直ちにこのことをもって税務職員を急激にふやさなければいけないというようなことにはならないかと思っております。  それから次に、利子配当の総合課税の問題でありますが、これは先ほど主税局長が御答弁申し上げましたように、これを適確に執行しなければ新たな課税上の不公平が生ずるおそれがある。こういったことから、私ども税の執行に当たる者といたしましては、それを適正に、また公平に執行するための一つの手段として、納税者番号制度というものをお願いいたしておるわけであります。これについての結論は、今後の税制調査会で真剣に御討議していただくことになろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、私どもとしては今後の税法の改正がどういうふうになるか、またこれをどういうふうにわれわれが執行していくかということについては、今後の税法の改正と相まって具体的な問題として検討いたしてまいりたいと思いますが、できるだけ行政機構は簡素でなければならない、また増員というものはできるだけ抑制していかなければならないという基本的な考えがございますので、私どもといたしましては、どういうふうな機構、定員の要求につながってくるかということは、いま現在では何とも申し上げることはできませんけれども、できるだけ人員の増加というものは抑制する方向でこれを処理してまいりたい、かように考えております。
  100. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 詳しい問題は大蔵委員会に譲ります。  総理に一言申し上げます。私は与党議員ですから、日本の財政を憂え、再建に関して真剣に取り組んで参りました。大蔵委員会でもずいぶん論議しましたけれども、世界各国と比べて日本の税負担率が低いことも十分理解しておりますが、一般消費税の早期導入については大変むずかしいのではないか、税制に関する国民へのPRが行き届いていない点、あるいは国民のコンセンサスが取りつけてない点、たとえば一般消費税については税率や免除の対象などの点でまだまだはっきりした説明がございません。この一般消費税に関してはわが党の下条議員が後ほど質問をしますから、私は一般消費税には触れませんけれども、ただ、税率を上げるにはやっぱり国民の理解を得るためにより一層のPR、努力をしなければならないんじゃないでしょうか。総理に申し上げます。そうして大蔵大臣、一般消費税の名称変更などもお考えにならないと、何か野党ペースでもって一般消費税、一般消費税、こんなのをどんどんどんどん言われると選挙に負けてしまうじゃないですか。もう少し真剣に与党としても考えていただきたいんです。当然、名前もいろいろな分野で使えるような名前で、なおかつ国民に受けのいい名前があるはずですよ。いかがですか。
  101. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 糸山さんも御指摘のとおり、早く中身を詰めて、国民の各階各層の皆さんの御理解を得るような努力をしなければいかぬと思って、いま鋭意内容を詰めさせておる段階でございます。でき次第一刻も早く御審議いただきたいと考えておる次第でございます。  それから、名称につきましては、これまたお話のとおりに、一般消費税という名前がいいのか、これはもう全額を挙げてと言っていいくらい国民福祉に使われるわけですから、あるいはそういった名前に変えた方がいいのか、そこら辺のことはこれから案の作成の段階において最終的な詰めを行いたいと考えております。
  102. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 総理、税制問題の結論として、国の歳入というものは増税に次ぐ増税でふやすという言葉ではなく、景気の浮揚による増収政策と、先ほど総理が述べられました行政費の削減、経費節約が一体となって推し進められるべきではないでしょうか。これが事業家出身の私の考えです。増税作戦は安易な感覚であって、デスクプランとしては結構かもしれませんが、しかし、企業は生き物なんです。働いても働いても税金でしぼり取られては働く意欲も続きません。ばからしくなります。片一方では不公平税制の是正と言いながら、中途半端で見せかけだけではありませんか。われわれの先輩が一生懸命働き、わが国が自由国家であったからこそわが国は発展したのではないでしょうか。懸命に働く者に報いられなくてどうして国の発展、繁栄があるのでしょうか。青年たちの未来への夢もなくなってしまいます。総理大臣答弁は要りません。  ここで文部大臣に伺いたいんです。いまの青年たちには勤労意欲がないと言われておりますが、これは国家の損失とは思いませんでしょうか。総理、そうしてこの私のいま考えていることが間違っているのでしょうか。若い青年たちに働く夢、そして自分たちでかせいだらぜいたくができるんだという夢を持たしてあげなければ若者は働かないじゃないですか。いかがですか、総理
  103. 内藤誉三郎

    国務大臣内藤誉三郎君) 私はいまの青年たちが勤労意欲がないというふうには考えていません。やっぱり彼らも物を大切に、お金を大事にして、そして日本の国を発展させようという、そういう意欲に燃えていると思います。そういう意味で、今度の新しい指導要領でも知・徳・体の調和のとれた人間性豊かな教育をやっておりますから、御趣旨に沿うように一生懸命努力いたします。
  104. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 仰せのように、財政の再建は行政費の節減合理化と、それから経済自体の発展充実から、われわれが期待できる自然の増収によるべきものであって、増税に安易に頼ってはいけないということは糸山さん御指摘のとおりでございます。しかし、いよいよほかにもう道が全然ないというやむを得ない場合には、あなたも御指摘になりましたように、十分国民の理解を得るように努力いたしまして、その上で御相談を申し上げるというようにしなければならぬものと思います。  それから、若い者に対しまして勤労が公正に報いられる社会でないといけないじゃないかということは、仰せのとおりでございまして、一口に言うと、政治はそのためにやっておるようなものでございまして、私どももあらゆる努力を重ねまして、公正な報いが期待できるような国家社会をつくり上げなければならぬ、それが根本だと思っております。
  105. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 エネルギー問題に入ります。  エネルギー庁長官、三月二十六日からOPECの会議があって原油の再値上げが議題となるというニュースがあります。年一〇%、累計一四・五%の値上げが実施されたばかりですが、OPECやメジャーの動きは予断を許さぬものがあります。原油値上げが年中行事化するおそれが出てきております。エネルギー庁長官はヨーロッパから帰国されたばかりなので、この辺の感覚はきわめて新しいと思います。また、この十六日から節約第二弾はどんなところに重点を置くことになっていらっしゃるのか、エネルギー庁長官の御答弁をいただきたい。
  106. 天谷直弘

    政府委員(天谷直弘君) 三月の一日、二日にIEAの会議がパリでございまして、ここの会議におきます合意事項は、一九七九年、本年の自由世界の石油需給は約二百万バレル供給が不足する。したがいましてこの二百万バレル、パーセンテージにいたしますと五%でございますが、五%程度を節約目標として加盟各国が節約に努力することが必要であるということでございました。石油という商品は、たとえば米とか塩とかトイレットペーパーと似ておりまして、五%くらい余りますとだぶだぶになりまして価格も低落ぎみになりますが、五%ほど足りなくなりますと価格が非常に高騰しやすくなる、こういう性格を持っております。現在の石油のマーケットの状況を見てみますと、スポットマーケットにおきましては、公式販売価格に比べまして約十ドル近く値が上がっております。それからまた公式販売価格につきましても、OPECで値上げした第一・四半期五%アップに対しまして、現実にはその上に五ないし一〇%が追加されておるというような実情でございます。したがいまして、こういう状況下で三月二十六日にOPECのジュネーブ会議が開かれますと、ここで再びまた公式販売価格の変更引き上げというようなことが起こるのではないかということが憂慮される次第でございまして、このジュネーブの会議に対していい影響を与えるという意味でも、IEAにおきましては五%の節約を提唱いたしたわけでございます。日本といたしましても、IEAのメンバーでございますから、この五%の節約目標に全力を挙げて協力をするということが必要であると考えております。ただし、IEA加盟国の大部分におきましては、IEAの決議におきましても、節約の方法は各国に任せる、こういうことになっており、IEA加盟国の大部分におきましては、現段階においては強制的な節約措置はとらない、自発的に国民の節約を訴える、こういうことになっておりますので、わが国といたしましても、経済成長との関係もこれあり、当面国民の自発的な節約を訴えたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
  107. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 通産大臣に伺います。  イランの原油輸出第一陣はわが日本であったというニュースを聞いて、ほっとした気持ちになりましたのですが、逆に買い付けた値段が、日本の商社は一バレル一九ドルから二十五ドルといったばか高値でスポット買いをしたという驚いた話を耳にしました。もしそうであるのならば、他の大手商社も競い合うことになるでしょうし、日本という国は外貨減らしの努力もしないで、今度は石油マーケット荒らしのギャング的行為をたくらんでいると国際世論から袋だたきに合うのではないでしょうか。アメリカを初め関係国は、たちまち神経質な反応を示しているようですが、その辺の事実関係と、最新のイランの原油生産量、輸出量のデータも含めて、通産大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  108. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 三井物産が石油化学プロジェクトを合併で進めておることは御承知のとおりであります。これが八〇%でき上がった。それからまた、きわめて勤勉でまじめな日本の建設関係者が、混乱の中にもできる限りとどまってその職場を守ったというようなことの誠意が、イラン側には非常に深く理解されたもののようであります。したがって、わが和田大使がイランの新政権を承認する報をもたらしましたときにも、かつて国営石油公社の総裁であったバザルガン首相は、非常に好意的な発言に終始し、石油化学プロジェクトはぜひ今後も完成を期して、日本の協力を得たい。また国土の再建のためにも日本に深く期待をするということを言っております。そればかりか、そのときに日本の従来の行為に対して、石油輸出の再開は、まず日本に第一船を差し向けたい、こういうことを約束してくれまして、それがまさに三月の五日、第一船は日本へということになったものだというふうに伝承をいたしております。  そこで値段の問題でありまするが、これはスポットもの扱いであるということまでは私ども確認をいたしておりまするが、その値段は、いまおっしゃったように十九ドルから二十五ドルというような法外なものではない。しかし、その値段は国際的には言わない習慣になっておるということで、私ども確たる情報は入手しておりませんが、疑心暗鬼で見られるということはまことに残念なことでありまするが、それほど世界の価格を刺激するようなことをイラン及び日本の当面の三井物産、そうして昭和石油等々は絶対していない、こういう報告だけは聞いておるわけであります。最近の生産状況等確たる報道はありませんが、必要があればエネルギー庁長官から申し上げさせます。
  109. 天谷直弘

    政府委員(天谷直弘君) 最近のイランの石油の生産状況及び輸出状況でございますが、確認された情報ではございませんが、おおむね百七十万バレル・パ・デーくらいの生産に達しておるものというふうに推測をいたしております。輸出量につきましては統計がございませんし、これもわかりませんが、イランの内需がおおむね七十万バレルということでございますから、算術で引き算をすれば百万バレルくらいの輸出力はある、こういうことになろうかと存じます。
  110. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 通産大臣、緊急輸入のこれまでの実績はどうであったのか。また今後の問題として通産省はどのような具体的プランをお持ちなのか、何が一番ベターとお考えなのか。また、外貨貸し制度がことしの九月に切れた後、再延長するようなお考えはあるのかないのか。以上まとめて御答弁を願います。
  111. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 五十三年度は四十億ドルを予想いたしましたが、現在まで、たとえば濃縮ウランであるとか石油のタンカー備蓄であるとか、こういったものによって二十二億ドルに達しました。あと八億ドル程度が輸銀等への推薦によりまして、もう年度内わずかでありまするが、輸入ができるというふうにいわれております。もし詳しい数字が必要ならば申しますが……
  112. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 後ほど下されば結構です。
  113. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) それじゃ後から資料は差し上げることにいたします。  そして五十四年度もやはり相当な外貨量になると、これは国際協力の上から言っても好ましくありませんので、まあ臨時異例の措置ではありまするが、二十億ドル程度、再び濃縮ウランの購入であるとか航空機のリースであるとか、そういったもので緊急輸入を継続したいというふうに考えております。本来これは臨時異例のものでありまするので、やはり内需を喚起したり――いまの先進諸国の場合は日本とは環境が全然違います。高速道路で国境を接して国から国へというわけで、水平分業による中間商品というものが入ってまいりまして、これも中間製品ということでカウントされますから、おおむねサミットに集まる国々の製品輸入は五〇%を超えておるということが言われまするが、日本の場合は、五十二年は二〇%程度、ことしは大変な努力をしましたことで、ことしといいますか、五十三年度は三〇%程度には伸びた、これがいわば日本の生産の足を引っ張ることにもなったわけでありますが、本来、やはり内需を喚起して外国商品も適当に買い付けをする、これが望ましいと思います。御質問の点には私はそういうふうに考えておりますが、やはりこの場面としては、異例の措置であっても緊急輸入を継続する。九月以降をどうするかということにつきましては、もともとこれは緊急輸入でありまするので、九月と区切っておるところに意味があります。また、その時点で輸入の促進ぐあいを見て判断をすることはありましょうが、現在では九月までというふうに考えております。
  114. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 通産大臣にもう一つ伺います。  イランではイラン日本石油化学コンビナート建設が進行中でした。三月初めの報道では工事中断、邦人引き揚げ開始ということでしたが、投資総額六千五百億円に上るこのコンビナートの今後の見通しとして、万一のとき政府として何か救済措置をとるお考えをお持ちでしょうか。
  115. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 現在、この合弁会社そのものの共同の見解として、これはぜひ完成させたいという方針であります。それからバザルガン新政権も、先ほど申し上げましたように、繰り返しませんが、この完成を深く期待しておってくれるわけであります。したがって、いまわが国としてはもう八〇%までできたものはぜひ完成に向けて全力を上げるということが基本方針でありまして、いま万一の場合どうするかということについては、この場面で申し上げることは差し控えさせていただくことが穏当だというふうに思います。既定方針を貫きたいという方針でございます。
  116. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 総理に伺います。  わが国の省エネルギー政策について、この委員会で毎日論議されてまいりました。その都度江崎通産大臣は熱弁をふるって、一生懸命節約をしろ節約をしろと通産大臣がこの委員会で言ってまいりましたけれども、国民の間にはまだまだ危機感が薄いようです。きのうのNHKテレビ総理も呼びかけておりましたけれども、パリの夜は暗く、アメリカではカーター大統領テレビで国民に節約を訴えておる。石油備蓄に手をつける前にあらゆる努力をするのがわが国の務めだと思いますが、私は総理の中東歴訪をぜひ進言したいんです。福田前総理の訪問に続いて産油国に対する日本外交の継続性をぜひ強調していただきたい。総理、お出かけになる気持ちはございませんか。
  117. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) いまそういう計画は持っておりませんけれども、中東諸国とわが国との理解を深め、友好を深めてまいることは非常に大事なことだと心得ておりまして、私の訪問につきましては具体的な計画は持っておりませんけれども、あらゆる手段を傾けて御要望にこたえなければいかぬと思っています。
  118. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 そろそろ時間も参りましたので、最後の質問をいたしたいと思います。  内閣法制局長官に伺います。例のプロ野球の件ですが、プロ野球の江川選手の話題です。世間ではまるで江川選手が法律違反でもしたかのような騒ぎでした。野球協約上、江川選手サイドに何かルール違反があったのかないのか。国民はまるで違反があったかのような感覚を持っておりますが、法制局長官、いかがですか。
  119. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 野球ルールの中身について、実は私が公の立場でお答えするような筋合いのものではないと思うのですが、仄聞いたしますと何かドラフトの規定の中に、あれは何というんですか――先約権ですね。先約権が翌年のドラフト会議の前々日までだというようなことが書いてあるんだそうでございますので、それで実は空白の期間が一日入るようでございます。そのときに実は契約をなさったんじゃなかろうかと思いますが、どうもこれは先ほども申しましたように、法制局長官としての答弁というふうにはおとりにならないように、真田個人の見解としてお受け取り願いたいと思います。
  120. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 最後です。これは総理にお答えいただきたいと思います。  総理は野球を学生時代にやったことがございますか。あるいはいまでも野球をごらんになりますか。実は現在のままのドラフト制度は憲法違反の疑いが全くないとお考えでしょうか。この制度、未来に羽ばたく青年の意思を無視し、まるで縛りつけているようなものだと私は考えております。総理はどうお考えでございましょうか。
  121. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私も大変野球愛好家の一人でございます。いまプロ野球がわれわれ愛好家に大変ないいゲームを展開していただていることはありがたいことだと思いますが、健全な国民の体育の向上から申しましても大変望ましいわけで、健全なプロ野球の発達ということはわれわれからも期待してやまないところでございます。  ただ、これをどのようにルールしてまいりますかということはプロ野球球団の、球団といいますか、プロ野球界におきまして自主的にお決めになることでございまして、こいねがわくは公正なルールのもとで、すばらしいゲームが楽しめるような状況をつくっていただきたいことを心から希求いたしております。
  122. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 憲法違反か違反じゃないかということは総理はお答えにくいと思いますから、法務大臣、この答弁でもう私は終わりにしますから、時間が残っても終わりにします。プロ野球で江川の問題は憲法違反の疑いがあると国民は疑っているんですから、法務大臣、どうか勇気ある発言をお願いします。
  123. 古井喜實

    国務大臣(古井喜實君) 詳しくは究明しておりませんけれども、まあ、大体は社会的な、倫理的な、道義的な問題だと私は思うので、法律問題ということになるかどうか、ちょっとそういうふうにまでは思いませんが、これは十分私も研究しておりませんから、それくらいしか申し上げられません。
  124. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 終わります。(拍手)
  125. 町村金五

    委員長町村金五君) 以上で糸山君の総括質疑は終了いたしました。午前の質疑はこの程度にとどめます。午後一時から委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ―――――・―――――    午後一時四分開会
  126. 町村金五

    委員長町村金五君) 予算委員会を再開いたします。  昭和五十四年度総予算三案を一括して議題といたします。     ―――――――――――――
  127. 町村金五

    委員長町村金五君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十四年度総予算案審査のため、本日の委員会日本銀行副総裁前川春雄君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 町村金五

    委員長町村金五君) 御異議ないと認めます。  なお、出席時刻等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 町村金五

    委員長町村金五君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  130. 町村金五

    委員長町村金五君) それでは、和田静夫君の総括質疑を行います。和田君。
  131. 和田静夫

    和田静夫君 参考人がお急ぎのようでありますから順序を少し逆にしますので、総理しばらくお待ち願いたいと思います。  まず、自治大臣、全国の公立病院の経営状態をちょっと報告してください。
  132. 澁谷直藏

    国務大臣(澁谷直藏君) 御指摘のように、自治体の病院経営が大変な赤字を抱えて苦境におることは御承知のとおりでありますが、最近は、この関係者の大変な努力によりましてかなりの改善が見られておるというのが全体の状況でございます。
  133. 和田静夫

    和田静夫君 で、国公立病院の経営の問題との兼ね合いで、若干まず医薬品の問題について論議をしてみたいと思うんです。  公正取引委員長、おおむね御存じだろうと思うんですが、現在の病院、診療所、医院などの医療機関、ここで使われる医薬品はメーカーから第一次卸問屋を経由して購入されるものが多くて、一応安定した状態にあると。ところが、この安定というところが実は問題にしたいところなんですが、医薬品流通界に、現金問屋という現金仕入れで通常よりも安く販売している問屋がある、これが安定状態を一部脅かしている状態にある。言うまでもなく、こういう存在というのは消費者である医療機関にとっては望ましいことであるわけです。そこで公的医療機関では一部現金問屋から医薬品を購入しているのでありますが、この流通経路に非常に疑問があります。で現金問屋の仕入れ先は実質的には第一次卸問屋なのでありますが、伝票の流れと商品の流れが違うわけです。  単純なことでまず伺いますが、通常AからBへの商品の売買の場合に、商品はAからBへ、そして納品書、請求書もAからBと、こういう流れになると思いますが、これは正常な状態でしょう。
  134. 橋口收

    政府委員(橋口收君) お尋ねの問題でございますが、直ちに独禁法上の問題かどうかは別といたしまして、そういう流れが正常な状態であることは間違いございません。
  135. 和田静夫

    和田静夫君 ところが、この第一次卸問屋と現金問屋との関係はそうはなっていないのであります。現品は第一次卸問屋から現金問屋に納入される。ところが、伝票――納品書とか請求書などというのは私的医療機関、たとえば和田医院であるとか和田診療所というようなところが第一次卸から買ったような操作をする。もちろん支払いは和田医院でも和田診療所でもない、現金問屋が現金で第一次卸問屋に支払っている。  理由は、簡単なわけです。製薬メーカーが指定価格を定めて、それ以下で第一次卸問屋が売った場合に、出荷制限やリベートの減額などのペナルティーを科す。それを恐れて第一次卸問屋は直接現金問屋との間で売買したことを実は隠さざるを得ない。私はこれは独禁法十九条に違反していると思うんですが、委員長、いかがですか。
  136. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 昭和五十一年にも先生からそういう問題につきまして広範な御質問をいただいておるわけでございます。ただいまおっしゃいましたような商品の経路と伝票の経路が違うということ自体は直ちに独禁法上の問題にはならないと思いますが、後段でおっしゃいましたようなことが仮にあるとすれば、これは法律上の問題になり得ると思います。
  137. 和田静夫

    和田静夫君 参考人に伺いますが、第一次卸問屋に現金問屋が現金をもって大量に購入する場合、何割ぐらいまで値引きされますか。
  138. 渡辺徹太郎

    参考人渡辺徹太郎君) 私は、その現金問屋さんの実態というのはよく存じ上げませんのでございますけれども、通常、推測すると一〇%か一五%ぐらいのところだろうと思っております。
  139. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっと、委員長委員長の手元に資料はもう届きましたか。――そうしたら、公正取引委員長と厚生大臣と自治大臣と総理に渡してください。  参考人、いまお渡ししました一番上の解熱鎮痛消炎剤インテバンSP、これは二十五ミリグラム、三千カプセル、通常これを第一次卸問屋は公立病院に八万七千八百七十円程度で売っている。それが公立病院二百四病院をとってみた場合の平均購入価格なんです、私の計算によれば。それぐらいでしょう。
  140. 渡辺徹太郎

    参考人渡辺徹太郎君) このとおりだと思います。
  141. 和田静夫

    和田静夫君 参考人、もう一問お願いします。  そこで、民間病院には、ここに書いてあるように、五万五千円程度で販売している。これもよろしいですね。
  142. 渡辺徹太郎

    参考人渡辺徹太郎君) これは私よく存じ上げませんけれども、公立病院よりは安いということはわかっておりますけれども、この数字は確認しておりません。
  143. 和田静夫

    和田静夫君 この表には出しませんでしたが、この薬を現金問屋は約五万円ぐらいで第一次卸問屋から仕入れる。現金問屋は公立病院に納入する価格の半額ぐらいで売っている。他の医薬品についても事情はすべて同じであります。この一覧表のとおりです。つまり、それだけ価格に弾力性があるはずなのに、現実にはこの表にあるとおり、価格が二重構造になっていまして、それを破ろうとすることは公然とはできないのであります。そこにこの伝票操作の理由があるわけです。この仕組み、公取委員長おわかりですか。
  144. 橋口收

    政府委員(橋口收君) お話はよくわかります。
  145. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、国公立病院の医薬品の入札はメーカーの指示価格による談合入札が行われる。メーカーの系列卸問屋が必ず入れるように仕組まれているわけです。品目ごとに割り当てられて、高値安定の価格で納入をされる。談合は独禁法に違反すると思うんですが、この点、系列落札の関係というのはある程度調べればわかることではないかと思いますが、委員長、いかがですか。
  146. 橋口收

    政府委員(橋口收君) いまお話ございましたのは、国公立病院について有名銘柄について高値安定で、しかも談合が行われている、こういう御趣旨の御質問ではないかと思いますが、これは調べてみればわかると思います。ただ、いまのお話を拝聴いたしました限りで直ちにこうだということは申し上げにくいと思います。
  147. 和田静夫

    和田静夫君 大手の国公立病院には必ずメーカー専属のセールスがいる。で各医局ごとに配属をされて納入医薬品の価格を決定をする、談合入札を指示する。で全国の大学病院の医局等に試験研究費と称して多額の金を税法上は使途不明金としてメーカーがばらまく、こういう状態になっていることは御存じでしょうか、公取委員長
  148. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 承知いたしておりません。
  149. 和田静夫

    和田静夫君 じゃ、委員長、ここはぜひ御調査願いたいと思います。
  150. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 調査はいたしてみたいと思いますが、ただ、いまおっしゃいましたような試験研究費という名目で金をばらまいているという事実についての調査は法律上困難かと思います。
  151. 和田静夫

    和田静夫君 いや、これは国税庁がもう発表していますよ。それはもう国税庁が発表していることですから、すぐ調査できます、ここの項は。公的資料に基づいて私は述べている。  公正取引委員長、大体おわかりいただいたと思うんですが、第一次卸問屋には価格決定能力はない。病院に対する価格交渉も第一次卸問屋では決着がつかない。メーカーのセールスとの間で決めておる。メーカーにやみ再販行為があることは、もう関係者ならだれでも知っています。この点をぜひ調査していただきたいんですが、現状は余りにもひどいですから。よろしいでしょうか。
  152. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 先ほど申し上げましたのは、独禁法上の問題として製薬会社が大学病院にお金を配っていることを調査することは、これは問題があるということを申し上げたわけでございまして、その点は誤解のないようにお願いしたいと思います。  それから次の問題でございますが、おっしゃるような事態があれば、それはもちろん問題がございますから、どういう方法で調査をするのがいいか、よくひとつ考えさせていただきたいと思いますけれども、調査については検討してみたいと思います。
  153. 和田静夫

    和田静夫君 自治大臣ね、総理も聞いていただきたいんですが、公立病院は年間約二千二百億円の薬品を購入しているが、民間病院との薬品の購入の差が余りにも大きい、そういうむだがある。この表から言いまして三割から五割、七百億から一千億円節約ができる可能性があるわけです。公立病院の所管者として医薬品流通問題に一定の見解を述べておいていただきたい。国立病院の管理者として総理からちょっと見解を……。
  154. 澁谷直藏

    国務大臣(澁谷直藏君) はなはだ申しわけございませんが、このような大変な差があるということを実は初めて承知をいたしたわけであります。大きな問題だと思いますので、十分ひとつ検討してまいりたいと思います。
  155. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) そういうむだがあるとすれば、これは私どもとして看過するわけにはまいりません。政府といたしましても事態をよく調査いたしまして、対処しなければならぬと思います。
  156. 和田静夫

    和田静夫君 ところで、薬事法の改正法案が国会に上程をされようとしています。それは結構ですが、厚生大臣並びに農林大臣の諮問書に添付された改正要綱に重要な問題があるような気がするんです。  時間がありませんから一、二だけ指摘して、あとは一般質問に譲りますが、第1の8というところの薬局、販売業者への記帳義務、これはメーカーの思いのままの販売体制をつくることになるんじゃないだろうかという疑問があります。現在のこの自由経済競争を円滑に行う使命を果たしている現金問屋は、これは何か完全に締め出されるんじゃないだろうか。これとは全く異なった性格の悪質な流通体系ができて、文字どおりのやみ市場が出現することは明白なんじゃないかと思う。安全性の確保のために記帳義務を課すのならば、むしろ私は医療機関の方に優先して記帳をまず義務づける、こういうことが必要なんじゃないかと思うんですが、公取委員長どうですか。
  157. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 公取へということでありますが、薬事法提出の責任は私のところでありますので、私からお答えをさせていただきます。  確かに販売業者等に対し仕入れ先の記帳義務を課すということを私ども考えております。それはいま和田さんから御指摘がありましたような考え方では全くありませんで、医薬品の在庫管理を的確にしていくこと、品質管理の適正を図る。また不良医薬品等の問題など問題医薬品が発生した場合の回収措置等を迅速にし確実にしていくための方法として考えたものでありまして、保健衛生の観点から医薬品の規制を行う薬事法の本来の目的に沿った考え方でございます。
  158. 和田静夫

    和田静夫君 厚生省との内容の論議は別の機会にやりますが、公取委員長に、もうすでに事務的にはいろいろな処理がなされているようでありますが、不公正な取引を助長すると思われるようなこういう条項の削除なり改善というようなものを、公取委員会としてやっぱり厚生省に申し入れられるべきだ、そういうように思いますが、いかがですか。
  159. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 諮問の趣旨は厚生大臣から御説明があったとおりであろうかと思いますが、この医薬品その他商品の流通管理のために行き過ぎた行為が結果として価格の管理を伴うということは、これは警戒すべきことでございますが、ただ、問題は、まだ審議会の答申の段階でございます。法案の形になっておりませんから意見を申し上げるのは御遠慮さしていただきたいと思いますが、法令作成の段階におきましては、当然、法令調整として厚生省とよく相談をいたしてみたいと思います。
  160. 和田静夫

    和田静夫君 もう一つ、第3の1ですね、「緊急措置命令」、医薬品による被害の発生、拡大を防ぐために販売停止をするのは云々ですがね、これはよいでしょうが、医療機関に対する使用停止命令の条項をつけ加えるべきではないだろうか。それから同じ条項に応急措置とありますが、これは第3の2の(3)及び第3の4にある回収義務は私はメーカーにこそ課すべきではないだろうか。そうでないと片手落ちであって、実効が上がらない可能性があるというふうに、大臣、思うんですがね、これは。
  161. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) いまの御意見は私ども参考にさせていただいて、今後提案までになお考えてみたいと思います。  ただ、私どもとしては、かつてのサリドマイドあるいはキノホルムの回収等に苦い幾つかの経験をいたしましたそうした実態から考えまして、現在の考え方をとっておるわけでありまして、今後なお検討はいたしますけれども、また別の機会の御論議で御意見もゆっくり伺いたい、そのように思います。
  162. 和田静夫

    和田静夫君 私は、一般的に――最後にしますが、厚生省の行政姿勢はどう考えても製薬メーカーに甘過ぎるんじゃないだろうか。薬事法の改正要綱を見ても、現金問屋ルートを制度上締め出して、メーカーの価格維持行為を助長しているようにどうも思える。薬事法改正に唐突に経済条項が挿入されるというのはどうも不可解だ。  厚生省が製薬メーカーに甘いのは多数の天下りを送り込んでいるからじゃないだろうか。そこで私は調べてみた。いま一覧表を渡したとおりであります。人事院、この一覧表に基づいて一人一人について承認の理由を説明してください。
  163. 金井八郎

    政府委員金井八郎君) 先生からお尋ねのございました二十名の元厚生省職員でございますけれども、調べましたところ、うち二名が人事院の承認にかかっておりますけれども、他の十八名はいずれもかかっておりません。これは行政職俸給表(一)の二等級以上の職員で離職した者であれば、離職後二年以内に製薬会社に就職いたします場合には人事院の承認が必要となるわけでございますけれども、そういう関係から見ましても、二名の方だけが人事院の承認にかかっているようになっております。  具体的に申しますと、伊藤酉一さんという方……
  164. 和田静夫

    和田静夫君 どこへ行った人ですか。
  165. 金井八郎

    政府委員金井八郎君) これは先生からのあれではビーチャームと書いてございますけれども、私どもの方で調べましたところでは日本メルク万有という株式会社というふうになっております。これが昭和四十一年でございます。それから喜谷市郎右衛門さんという方が中外製薬に行っておりますが、これは非常に古いことで、昭和三十五年前後ではないかと思いますけれども、時間がございませんでしたので年度がはっきりいたしませんが、その二名だけでございます。他の方はすべて、これは離職後二年を経過した後で就職したものと思われます。
  166. 和田静夫

    和田静夫君 一覧では、私が調査をしましたのでは大手の製薬会社、メーカーの主要部分、副社長であるとか学術部長であるとか取締役、これらのところにずっと厚生省薬務局長経験者、部長経験者、厚生省事務次官経験者、援護局長経験者などというような形で十九社へ二十人、まあ中心的なところに行っているわけですね。二年を経過すると、すぐこういう形で行くというのは、私は薬務局と直接のつながりのあるところから見ると、製薬会社の主要ポストにこれだけ送り込まれているというのは業界との癒着以外の何物でもない。総理、こういう癒着状態というのはやっぱり十分に注意する必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
  167. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 行政と民間との不当な癒着があってはならないという趣旨でいろんな制約が立法上、行政上行われておると思うのでございまして、私どもはそれを厳正にやってまいる必要があろうと思います。現在の制度が十分かどうかということになると、よく吟味してみなければなりませんけれども、本来、そういう趣旨で制度ができておるように私は理解いたしております。   〔委員長退席、理事岩動道行君着席〕
  168. 和田静夫

    和田静夫君 じゃ委員長参考人結構です。参考人ありがとうございました。
  169. 岩動道行

    ○理事(岩動道行君) 渡辺参考人には御多忙中のところを御出席くだされ、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。御退席くださって結構です。
  170. 和田静夫

    和田静夫君 航空機輸入の疑惑について一点だけ確かめておきたいのでありますが、外務省として日米貿易是正の有力候補としてアメリカ側からの航空機の輸入、特に兵器の輸入が挙げられたのは公式、非公式を問わず、いつの時点からと認識していますか。
  171. 園田直

    国務大臣園田直君) グリーン発言によってハワイ会談後の問題はわかったわけでありますが、その以前、一年か二年前からあったという発言でありますから、これは両方で協力をしていま検討しているところであります。
  172. 和田静夫

    和田静夫君 この七二年九月の日米ハワイ会談の米国側の記録によれば、E2Cに言及した部分がある。外務省では、米国にE2C売り込みの意図があると認識したのはいつの時点ですか。その辺も同じことですか。
  173. 園田直

    国務大臣園田直君) ハワイ会談の際の話でございます。これはグリーン発言があって、外務省にはその記録、記憶が一切ございませんので、米国に問い合わせたところであります。ところが、米国の方では記録が残っていると、こういうことで、その記録を詳細知らせてもらいたいと、その知らせを受けて、それを国会に発表したわけでございます。
  174. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、アメリカにこの記録が残っているわけでありますから、ハワイ会談に先立って、四次防をめぐって、恐らく防衛庁から外務省として意見を聴取しているはずだと思うんですがね、これはないなんてとても常識で考えられないんですが、いかがですか。
  175. 園田直

    国務大臣園田直君) これは私もないとは存じません。しかし、二年にわたる記録というのはまことに膨大なものでありまして、電報、会議の記録等は数万件にわたるわけでありますから、早急にいま調査をしておるし、同時に、また米国の方にもいろんな資料並びに記録があったらお教え願いたいと、両方で、米国の方でも膨大であるからもうしばらく待ってくれと、こういうことでございます。
  176. 和田静夫

    和田静夫君 防衛庁長官ね、このハワイ会談でE2Cの話が出たことは防衛庁に伝えられましたか、伝えられていないですか。
  177. 原徹

    政府委員(原徹君) その点につきまして、当時の次官とか、防衛局長とかに聞いてみたのでございますが、ハワイ会談の前も後もE2Cに関して何ら話があったという話は一切ございませんでしたということでございます。  ちなみに申し上げますと、ハワイ会談の前に、要するに四次防でどのくらい対米の輸入があるのかということの計算はしたことがありまして、そのことは四十七年の八月の十七日の内閣委員会で当時の防衛庁長官から話してございますが、そういう全体で幾らかということだけが一応関心であったように聞いております。
  178. 和田静夫

    和田静夫君 集中審議があるわけですから、たくさん触れませんがね、どうも私は衆参を通してのずうっと答弁を聞いてきまして、日米貿易均衡がハワイ会談の最大のテーマであったにもかかわらず、具体的な対応策、いわゆる相手側の意図を読まずに漫然と会談に出かけたような印象の答弁になっているんですね。  アメリカは公式記録に残しているが、外務省は兵器輸入についてアメリカ側の意図をどう予想をし、それをどう処理したのか。当然、これはアメリカ側に公式記録があるんだから、外務省側の方針、対策等を明らかにそこではしていると思うんですね。これは当時、総理外務大臣であったのかもしれませんが、その辺全然ないというふうにはとれませんがな。やっぱりあると見ておいていいわけですね。
  179. 園田直

    国務大臣園田直君) ハワイ会談では全然ございません。  ただ、グリーン発言の、会談が終わった後、そのときの状況を詳しく申し上げますると、外務大臣総理大臣会談に出ていかれる、それから向こうの幹部は記者会見で出ていく。後に残って出入りする中でグリーンさんが座っておって、その横に鶴見君がおった。もう一人米国側が一人おった。そこで話が出たが、鶴見審議官の返答は、まだ四次防が検討されてない時期に自分にはわからないと、こういう返答であった。この点が国会の調査団が行かれたときと少しニュアンスが違っておりますので、私の方の発言は、外務省の記録によってやったんではなくて、米国からの通報によってやったわけでありますから、政府に通報したことと国会調査団に言われたことと違うが、どういうわけだ、どっちが本当だ、違うなら違う方を取り消してくれと、こういうふうな折衝をいまやっておるところでございます。
  180. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、防衛庁、いま全体の問題についての協議というのが行われたという答弁になりましたから、したがって、この外務、防衛の打ち合わせ協議記録を国会に提出をしていただきたいんですが、よろしいですか。
  181. 原徹

    政府委員(原徹君) そういう協議記録があったのではないんでございまして、国会での防衛庁長官発言で私どももそういうことがあったということを知ったわけでございます。
  182. 和田静夫

    和田静夫君 何の発言であったにしろ、そういうことがあったんですから、あったならあったその協議の事項というのがあるでしょう。議題もない、日時もないなんということはないでしょう。   〔理事岩動道行君退席、委員長着席〕
  183. 原徹

    政府委員(原徹君) 私どもも調べているのでございますけれども、そういう記録というものはございません。
  184. 和田静夫

    和田静夫君 ない。――ここのところはいま一応後日に譲ります。  総理、大都市地域には、その他の地域とは異なる特別な財政需要が生ずる。特に巨大都市東京には東京特有の財政需要がある。首都及び大都市であることによって必要となる高度なサービスや都市施設に伴う財政需要などというようなものがある。すなわち大都市特有の財政事情が存在をするということはお認めになりますか。
  185. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) わかっております。
  186. 和田静夫

    和田静夫君 ところで、自治大臣、近年、特に昭和五十年代に入って大都市、特に東京の財政需要が相対的に他の大都市よりも低下したとお考えになりますか。
  187. 澁谷直藏

    国務大臣(澁谷直藏君) 御指摘のとおりでございます。
  188. 和田静夫

    和田静夫君 それを証明する資料はありますか。
  189. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) いまの御質問は、地方交付税の計算におきます基準財政需要額の、過去たとえば十年間の伸びの状況についての御質問でございますれば、都道府県で、昭和四十四年度から五十三年度までで見ますと平均が三・九一倍でございますが、東京都は三・一九倍、大阪府は三・六三倍、交付税の基準財政需要額はそういう伸びに格差が出ております。
  190. 和田静夫

    和田静夫君 自治大臣、地方財政制度における地方交付税制度の目的をちょっと説明してください。
  191. 澁谷直藏

    国務大臣(澁谷直藏君) これはもう申し上げるまでもなく、それぞれの自治体の税収には大変なばらつきがあるわけでございますから、これを全国平均的にならす意味において交付税制度というものが採用されているわけであります。
  192. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、その交付税の配分の仕組みですね、簡単に説明してください。
  193. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 各都道府県、市町村ごとに財政需要を基準財政需要額という名称で測定いたします。これは平均的な標準団体につきましていわゆる単位費用というものを一律で決めます。それに、たとえば人口でありますとか面積でありますとか、そういう測定単位の数値と申しておりますが、これを乗じます。しかし人口、面積を乗じます場合にも、それぞれの都道府県なり市町村の態容がいろいろでございますから、それを補正いたしますために補正係数というのを乗じます。一方、税収入につきましては、基準財政収入額と申しておりますが、都道府県は八割、市町村は七割五分ということで、残りの二割なり二割五分につきましては各地方公共団体の財政運営の弾力性を保障するということで八割、七割五分の計算をいたします。その差額をそれぞれ地方交付税、まあ普通交付税ということで配分いたすわけでございます。
  194. 和田静夫

    和田静夫君 その基準財政需要額の算定の基本原則というのは何でしょう。
  195. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 合理的な水準のもとにおける妥当な行政水準というものを測定する。言葉をかえて申しますと、あるべき行政水準に基づいて計算をするということでございます。で国民や住民のニーズは常に高まってまいるわけでございますから、そう申しましても、その水準をどう決めるかということは、その時々の国民経済状況あるいは国民生活の実態あるいは国民のそれぞれの要請というものによって相対的に決まってまいる、かように考えております。
  196. 和田静夫

    和田静夫君 東京都の基準財政需要額の近年の伸び率ですね、これを他団体、全国平均と比較して、大改正のあった昭和四十四年以降おわかりになりますか。
  197. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 相対の数字は先ほど申し上げたことでございますが、その理由でございますか。
  198. 和田静夫

    和田静夫君 はい。
  199. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) その理由につきましては、私は二つあると思います。  一つは、先ほど申し上げました人口とか面積とか、いろんな指標を測定単位として用いておりますが、その指標の伸びが全国的に地域的な格差がだんだん少なくなってまいりまして均質化してきております。たとえば人口をとりましても、東京都や大阪への人口集中よりもその他の地域の方への人口集中の方が高まっておりますし、ことに人口集中地区人口というのをとりますと、むしろ東京の真ん中や大阪市内は伸び率がとまっておって、他の中小都市あるいは周辺の都市の方に大きくなってきております。そういうふうに測定単位の数値の伸び方が相対的に低くなっておるということ、これが第一でございます。  第二は、昔は下水とか屎尿処理と申しましても、大都市と地方とでは処理の仕方が違っておりました。しかし、最近は、申し上げるまでもないことでございますが、終末処理とか、あるいはその他のいろんな処理の施設についての要請というのは都市と町村とで非常に似通ってきております。そういうふうな点から都市的な態容というものの格差が縮まってきておる。そういうふうなことからいわゆる態容補正係数というものを使っておりますが、それが幅が縮まってきておるというのが理由だと私は考えております。
  200. 和田静夫

    和田静夫君 この基準財政需要額は標準的な一般財源所要額である、そういうことで理解をしていますが、その標準というのは自治省が決めた標準であると言ってよいものでありますが、それにしても、この東京都の基準財政需要額を府県分、大都市分に分析をして、それぞれ大阪府、愛知県、神奈川県あるいは大阪市、名古屋市、横浜市と比較してみると、東京都の伸び率が最も低い。私は、東京が急速に地盤沈下しているとは、自治大臣、思っていないんです。先ほどの答弁から見てもそういう現象は見当たらない。端的にどういう現象をとらえて地方交付税上東京都の地盤沈下を算定したのか。これ数字を挙げて具体的に説明できますか。
  201. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) それぞれ経費の種類が多うございますので、網羅的に申し上げることが困難でございますが、たとえば公立高等学校の生徒数を見ますと、全国平均よりも大阪の場合にはかなり上回っておるわけです、伸びが。ところが東京の場合には、私立高校が多いというふうなことも影響しておりましょうが、伸びはそれほど大きくございません。そういうふうな、一例でございますけれども、各経費につきまして、どちらかと申しますと、大阪の伸びよりも東京の伸びの方が鈍化してきておるものがかなりございます。そういうふうなことが東京と大阪の基準財政需要額の伸びの格差ということになっておるというふうに思う次第でございます。
  202. 和田静夫

    和田静夫君 地方行政委員会ででもやれって言われそうだから、余り細かいことはやらぬのですがね。私は、標準の状態で東京都の地盤沈下があると言われるわけですから、いわゆる地方交付税法上の仕組みの説明なんではなくて、客観的なデータでもってもっと明らかにすべきである。そうでないと、美濃部憎し、革新都政憎し、よってテクニックがなんていうような、都知事選挙の前、いろいろ言われていますけれども、そういうことに結びついていく危険性があるんじゃないか。私は、もっと日本におけるところの自治体財政というものを総体論として正しいものにお互い協力をして発展させるべきだという立場に立って、きょう問題として提起しているつもりなんですよ。  で、やっぱりどうしても解せないのは、昭和五十一年度から基準財政需要額を地方債に振りかえる、そういう措置がとられたが、その起債額の需要額に対する比率、全国及び東京都についてちょっとできますか、いま。
  203. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 交付税の財源が足りないものですから、建設事業の地方負担分を地方債に振りかえておりますことは御指摘のとおりでございますが、振りかえざる場合との差額は、個々の団体ごとにもう一遍振りかえざる場合の単位費用を計算しなきゃいけません。そこまでの計算を実は私どもいまの段階でできかねております。
  204. 和田静夫

    和田静夫君 これは共通の広場に立っために少しやろうじゃないですか。自治大臣、どうですか、私ももちろん計算していますけれども。
  205. 澁谷直藏

    国務大臣(澁谷直藏君) 大都市問題の財政の再建の問題は私どもが当面している大きな問題でございますから、これについてはぜひひとつ各方面の意見を拝聴いたしまして、私どもは真剣に取り組んでまいりたいと考えております。
  206. 和田静夫

    和田静夫君 この全国平均の半分程度の起債しか、結果的にはどうも私の計算によると、許可されていないということになるんです。したがって起債の振りかえ措置があったから、東京都の基準財政需要額が他団体よりも伸び率が低下した、地盤沈下した、こういう論理というのは成り立たない、ごまかしである。自治大臣、ここは御理解いただけますか。
  207. 澁谷直藏

    国務大臣(澁谷直藏君) 私どもはごまかしとは毛頭考えておりません。先ほど財政局長から答弁いたしましたように、現在の法律のもとで一定の算定のルールもつくっておるわけでございまして、そのルールに従って公正に計算をした結果が出ておるわけでございまして、その間にごまかしとか意識的な歪曲、そういったものは毛頭ございません。
  208. 和田静夫

    和田静夫君 自治大臣のお言葉ですがね、さっき答弁があったように、大都市の財政需要が相対的に低下している証拠というのは私はない。にもかかわらず、地方交付税における大都市、特に東京の財政需要の算定が相対的に低下している。近年、特に昭和五十一年度以降は、起債振りかえの影響であると考えるといたしましても、地方交付税の各需要項目と起債との対応関係にある数字というのは、いま言われたとおり、ないんですよね。そこで、私は、自治省は起債振りかえについては地方交付税における需要算定分は十分に措置すると、これは国会答弁されているわけですから、無責任のそしりをそういう意味では免れないのではないだろうかと、そういう意味で一緒に一遍やってみようじゃないかということを言ったんですよ。ともあれ、概括的な計算では東京都では起債振りかえ分も他団体より大きく落ち込んでいる。これはどう弁明しようとも、都の財政運営を危なくするだけの巨額の影響を及ぼしたことは間違いないんです。それを美濃部さんは一手に黙って――彼はまあ学者ですから、後からどういうふうに書かれるか知りませんが、いま一身に彼は背負っているんでしょうがね。  で、総理ね、こういうようなことっていうのは、やっぱり自治大臣を通じて私は提案しているんですから、再検討を命ずるべきだと思うんですが。
  209. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 全体としての基準財政需要額の伸び率につきましては、先ほど申しましたように、やはり全体的な全国を通ずる均質化の情勢がございますし、また、それに応ずるように山間あるいは農山漁村につきまして適切な財源措置をしてまいらなきゃなりません。ですから、この伸び率がこういう格差が出てくるのは私はやむを得ないことだと考えております。  それから地方債の振りかえの問題でございますが、率直に申しまして、地方債に振りかえました結果、東京都なぞは現実に行っている事業費は少ないんです。少ないものですから、振りかえて起債を満度見ましても、いままで投資的経費で交付税で計算しておりましたものよりも現実にやっている事業費が小さいものですから、地方債が少なくなってしまう、こういう実態があることは、これはもう否定できないと思います。  大臣からも申し上げましたように、大都市の特有の財政需要というのはもちろん私どもも的確に捕捉してまいらなきゃいけませんので、今後とも財政需要の算定については公正かつ合理的な態度でやってまいりたい、かように思います。
  210. 和田静夫

    和田静夫君 私は、東京の地域エゴを主張しようというのではありません。地方財政制度上のこの不当な扱いがもしある一というふうに私はいま思っているんですが、そういうことは許せないという観点で取り上げているわけです。  で地方交付税制度上こうしたゆがみが生じたのは、いま局長も申されたように、普通態容補正の改変にあるわけですね。で、この普通態容補正の問題、いま総括質問でこれ以上突っ込んだことはやりませんが、ただ、総理、次の点だけはぜひ大平内閣として理解を示していただきたいのであります。  すなわち、地方交付税の目的としている第一条には「地方行政の計画的な運営を保障する」と、こううたわれているわけです。で東京都に見るここ毎年の大幅な基準財政需要額算定の実質的低下というのは計画的運営を阻害しているんじゃないか、そういうふうに考えるんです。この低下を招いているのは、自治省令によって定められている基準財政需要額算定の三つの要素の一つ、すなわち補正係数の毎年の切り下げにあるわけです。たとえば東京都の昭和五十三年度で見ますと、補正係数による減額分というのは五百八十二億円に上るわけですね。これは都の基準財政需要額の四・三%なんです。一般会計予算ベースに直してみますと約千三百億円を節約しなけりゃならない、こういうことになるわけです。で千三百億円というと、清掃事業予算額、住宅費予算額にも匹敵する巨額な金額なんですよ。果たしてこれだけ巨額の削減が単年度の財政運用で可能だろうか、常識から言って私は大いに疑問がある。そういうふうに総理も疑問に私のいまのやつ感じられませんか。
  211. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 問題は、基準財政需要の算定に問題があるかないかということが基本だと思いますが、その点につきましては、自治大臣からもお答えいたしましたように、意識的に歪曲するというようなことはしてない、できるだけ適正にやっておるということでございますが、御指摘のように、もしそういういまのやり方に問題があるとすれば、それはいま財政局長からも答えましたように、工夫していかなきゃいかぬと思うんでございますが、そういう問題では、なお工夫をする余地があれば政府は拒むつもりはありませんけれども、いまやっていることが大変意識的に東京都が少なく出るようにやっておるというようなものでないことは御理解をいただきたいと思います。
  212. 和田静夫

    和田静夫君 これは補正係数というものが全く不透明なんですよ、実は。でこれは自治大臣、じゃあなたの出身の都市の一体交付税がどうなるんだということをあなた計算できますかと言ったら、もう歴代の自治大臣どなたも、できませんと、こう私に答えてきたわけ。それぐらい、まあ自治省のお役人に言わせれば、世界で最も精緻な科学である、数値であると、こう言う。しかし、余り精緻な数値であったところで、われわれが全然責任が持てない、計算ができないというんじゃ困るわけで、そこのところが一つ問題なんですが、地方団体の財務担当者でさえ、どうして補正係数が算定されるのかわからないという部分が少なくないんですよ、これはもう率直に認められると思うんです。それで私は自治の本旨にかなうのだろうか、補正係数は互いに相殺し合うものもあるし、あるいは結果に影響のない場合も多い。もっと簡略に、そしてオープンなものにすべきだし、私はできると思うんです。幾つかの私は提案をしてきました、今日まで十年間のうちに。第三者を入れた地方交付税算定の機関をつくれという意見も最近学者の中で強くなってきているほどです。こういうことはもう保守も革新もありませんから、ぜひ検討していただきたいと思うんですが、これは総理、自治大臣、どちらか。
  213. 澁谷直藏

    国務大臣(澁谷直藏君) 補正係数は御指摘のように非常に難解でございまして、私自身にもわからない点が多いわけであります。ただ、人間のつくっておる制度でございますから、世の中はまた大きく変化しつつありますし、だんだんとかつてはよかったものも現在には当てはまらないということも一般論としてはあるわけでございまして、御指摘の点も、現在の制度がこれでもう完璧だというわけにはまいらないわけでございますから、せっかく御意見等も十分参考にして、改正すべきものがあればこれはもう改正をすることにもちろん私どもは否定するつもりはございません。真剣に検討していきたいと思います。
  214. 和田静夫

    和田静夫君 いや、どうもありがとうございました。  私は、大都市には他の地域と異なる特別な財政需要がある、このことが確認されているわけですから、大都市問題と取り組むためには、これは首都改造もちょっと後で取り上げたいと思いますが、これに対応した財政措置が必要ですし、大平内閣総理大臣が言われる田園都市をやっていくにしたって、都市財源の問題というのはやっぱりもっと強化をされなきゃなりませんし、少なくとも私は政令都市ぐらいはちゃんとやっぱり地方税収入でもって円滑に転んでいくぐらいのことをやるというぐらいのことは私はもう必要だと思っているんです。そういう対応した財政措置というものをやっぱり考える、この機会に。現状はむしろ逆行している傾向にあるわけですから、財源充実に前向きに、地方交付税の算定やら起債やら、そういうものをいま自治大臣から答弁いただきましたが、総理もぜひ検討していただきたいと思うんですが、よろしいでしょうか。
  215. 澁谷直藏

    国務大臣(澁谷直藏君) この問題は非常に大きな問題でございまして、交付税をどうするかという問題ももちろんございますけれども、それよりも、私は、もっと基本的に、この大都市における地方税の充実強化というものを図らなければ、とうてい大都市が抱えておる現在の諸問題というものは解決できないのではないかと考えております。したがいまして交付税の合理的な運営、これに努めることは当然でございますが、あわせて地方税の充実強化という方向に向かってなすべきものはなしていきたい、このように考えております。
  216. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 問題は二つありまして、一つは、中長期を展望して地方財政をどういうように位置づけて充実さしていくかという問題でございますが、これは和田さんともかねがねからずっと論戦をいたしておるところでございますが、こういういまの時期は必ずしも適当でない、もう少し事態が落ちついたところでそういう基本的な改正は考えさしてもらいたいというのが政府の一貫した態度でございます。  第二は、しかし、こういう過渡期におきましてもおざなりであっていいというはずのものではございません。したがいまして、いま御指摘になる問題も含めまして、いまやっておることにつきまして、事柄が小さくても大きくても、それは真剣に取り上げて検討、改善していくべきものと私は考えております。
  217. 和田静夫

    和田静夫君 新しい年度も大体地方財政四兆一千億円ぐらい落ち込む、こういう、大蔵大臣、状態ですよね。私はもう明確に、交付税制度というのはこういうような状態で、この機会考えなきゃならぬ、地方交付税法六条の三の二もそう言っているわけですから。したがって地方財政制度全体を抜本的に考える。少なくとも私は地方税収入でもって二分の一が賄われる、交付税交付金は二〇%相当程度だ、国庫支出金は二〇%相当程度だ、地方債は一〇%だと、これぐらいのことにもう勇敢にやるべきだという時期が来ていると思うんです、第一段階。そのことについて協力することにやぶさかじゃないわけですからね、ひとつ大蔵大臣どうです。
  218. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 大変むずかしい財政状況にあることは御指摘のとおりでございます。これは地方も国も全く同じでございまして、いまお話しの地方交付税の算定の基準をどうするかとか、地方の独立財源をどうするかということは、お互いに知恵を出し合って、自治省ともよく相談をしながら、これから対応策を講じていかなきゃならぬと考えておりますが、いますぐこういう変動期に税率の変更をやって、それで果たして後うまくいくかどうか、そこら辺はよく先を見きわめてやっていかにゃいかぬという立場をとっております。
  219. 和田静夫

    和田静夫君 国土庁長官、田園都市、定住圏構想というこのキャッチフレーズ、まあ非常に影は薄いんですがね、三全総にも中枢管理機能等の根本的な再編成が必要である、こう指摘されているいわゆる首都東京の改造論ですね、どういうふうに計画づくりをされますか。あなたは牛込の区議会議員時代からずうっと東京というのはよく御存じのはずですからね。
  220. 中野四郎

    国務大臣中野四郎君) 首都改造という言葉をきわめて端的に表現されるようでありますが、私はもう少し深い意味で、一体首都とは何ぞやということに非常に心を痛めておる一人であります。特に東京が再建される当時から深く関係してまいりまして、今日のような過密都市になりますと、いろいろ国土庁としては遷都、分都、休都、展都、改都などという名前を並べておりますけれども、いずれを見ましても一長一短であります。しかし、この問題だけは真剣に考えなきゃならぬ、腰をしっかり割って、そうして十二分に検討する必要があると考えておりまして、少し時間を与えていただきますれば、この問題だけは何とかひとつ行く方向をしっかりと定めていきたい、自分の決意はこうであります。
  221. 和田静夫

    和田静夫君 しばらく時間を与えているうちに国土庁長官でなくなったなんというようなことになると困りますからね、これ。  五つの改造案、いま言われたように遷都、分都、展都、改都、休都ですね、国土庁のアンケートでは分都論が現実的という、そういう意見が多かったそうですが、この国土庁の調査、計画化作業との関連ではどうなりますか。
  222. 堺徳吾

    政府委員(堺徳吾君) お答えいたします。  首都機能の移転問題というのは非常に従来古くからやってきておりまして、昭和三十六年時代にすでに閣議で、東京の既成市街地に必ずしも必要としないという政府機関、付属機関でございますとか、大学とかいうものについて移転を真剣に検討するということが閣議で決められまして、その結果、具体化されましたのが筑波研究学園都市でございまして、五十四年度に施設が概成するというような段階になっておるわけでございます。  それから、その後、建設省あるいは首都圏整備委員会等でもいろいろ調査を実施しておりますし、その調査を引き継ぎまして、国土庁が発足以来また引き継いで調査をやってきておるわけでございます。で各種のいろんな調査をやっておるわけでございますが、世論調査のようなものにつきましては、すでに四十八年に総理府で実施をいたしております。このときには非常にまだ国民一般に対する認識が十分徹底しないで調査したというせいもございまして、わからないというような、何とも言えないというようなのが非常に多かったわけでございますけれども、五十二年度の有識者二十五名に対する調査につきましては、先生先ほど御指摘になられましたように、二十五人のうち二十三人までは必要である、で実質的には分都論が現実的だというような考え方が出ておるわけでございます。私どもも、今後とも、そういう各界各層の御意見も十分拝聴しながら改造計画の策定調査を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。  首都改造の場合には、すぐ首都移転の話が出るわけでございますけれども、御案内のように東京圏の人口が昭和五十年で二千七百万だったわけでございますけれども、これが七十五年になりますと恐らく三千五百万ぐらいになるだろうということが推測されておるわけでございますので、やはり東京大都市地域の都市の機能を有効に発揮するというような問題とともに、住民の生活をよくする、この二つの観点からぜひとも首都の改造を実施する必要があるだろうという趣旨でございまして、そういった場合において、やはり中枢管理機能が集中いたしておりますところのその根源になっているのは首都機能の問題でございますので、この問題にさらに取り組んでいくということはこれは避けられない問題だと思いますので、そういう問題を含めて改造計画の中で調査検討を進めていきたい、そういうように考えておる次第でございます。
  223. 和田静夫

    和田静夫君 総理、これ最後ですが、いわゆる二十一世紀を展望するという長期構想なんですが、この首都機能の移転は私は避けられないし、そうでないと首都改造の効果も上がらない、こういうのが専門家の一般的な見方だと思うんですよ。そこで政府が率先するという意味を考えますと、今後は、新設の政府機関あるいは国際機関及びそれらに準ずるものは東京大都市圏には設立を認めない、これぐらいの方針を立てるべきだと思うんですが、いかがですか。
  224. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 真剣に考えなけりやいかぬ課題だと思います。
  225. 和田静夫

    和田静夫君 大蔵省証券局に日本版SECをつくる、それが政府部内の大勢であるということでありますが、大平内閣としてそういうことを決めたんですか。
  226. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 日本アメリカは制度、慣行も違いますし、現在の証券行政ではSECのような役割りを果たしていないことは事実でございますが、それじゃしからば直ちにSECのようなものを日本に設けられるかというと、向こうは対外不正支払い防止法があったり政治献金の禁止法がございまして、SECがいわば法律的な番人みたいなかっこうで、もっぱらその違反を摘発するようなことでやっておるわけでございまして、果たしてそういった行き方が日本の実情に適するかどうか、そういった問題を含めて政府全体として検討したい。今日のままでは、しかし、これはなかなかいまのような、先般来問題になったようなことの粛正には役に立ちませんから、どういった対応策をとるか部内でいま検討中でございます。
  227. 和田静夫

    和田静夫君 その場合、日本版SECをつくる場合に、どういう権限を与える必要があると考えているわけですか。
  228. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 各会社についての調査、投資家保護の面での調査は現在でも十分できるわけでございます。したがいまして、今日の証券局といたしましては、問題となりそうなやつは、一々調査を重点的にやるとか、あるいは担当の公認会計士を通じていろんな問題点の厳重な取り扱いについての協力を求めるとか、そういうことは現状でもできるわけでございますが、犯罪捜査ということになりますと、これはいわば準検察的と申しますか司法的な仕事になるものですから、私はやはり現在の証券局でやること自体は必ずしも適切ではないと考えておるわけでございます。  ただ、アメリカのSECは、これも和田さん御承知のとおり、設立の当初から相当膨大な人員を擁してやっておりますので、果たしてそういうものをいま直ちにつくった方がいいのか、何らかの形でそういうものをつくれないか、そこら辺は十分検討しなければならぬと考えております。
  229. 和田静夫

    和田静夫君 行政担当省の中に設けるという場合の中立性の維持というのは、これは法制局長官どういうことになりますかね。
  230. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 行政はもともと本来中立的に行わなければならないものでございますが、特にその中でも中立性を強く要求しなければならないという分野があるとすれば、たとえば公正取引委員会のごとく委員会システムにして、構成、人選について十分に偏る人選が行われないようにするとか、あるいは職権の行使について余り外部から指揮監督が行われないようにするとか、いろんな構成なり手続なりについての手だてが考えられます。
  231. 和田静夫

    和田静夫君 総理、戦後三十年、日本人の平均年齢は急速に上がりましたし、心身ともに戦争直後から比べて成長も早くなっていると思うのです。で十八歳まで選挙権を私は引き下げるべきではないかというふうに思うのですが、恐らく東京サミットに集まってくる人たちの中で、わが国だけが違う、そういう状態じゃないかと思うのですがね。私は、十八歳を一つの目安として、いま大平さんの頭の中か腹の中にある解散を前にして、その辺から、まあ七月にやられるなら七月ごろに間に合うように、この通常国会でどうです、十八歳ぐらいにして選挙をやる、どちらが伸びるか青年に問うてみる、こういうことをお考えになりませんか。
  232. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 一つの意味のある御提言かと思いますけれども、そこまで考えておりません。
  233. 和田静夫

    和田静夫君 検討はされますか。
  234. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 検討することはやぶさかでございません。
  235. 和田静夫

    和田静夫君 全然時間がなくてあれですが、これは生き証人がいられる間に聞きたいと思っておったんですが、保利さんがお亡くなりになって哀悼の意を表するところですが、大平さんにぜひ聞いておきたいのは、これは将来の政権の問題との兼ね合いで、いわゆる福田・大平政権禅譲の密約説というのがかなり巷間に言われた。これは大平派の番頭格と言われる人が暴露したんですから事実だと私は考えますが、新聞報道を見てみましても、昨年十月三十日の日本テレビの竹村健一さんの質問に答えられた、総理の、約束が破られたとしても大したことはないという意見や、その他幾つかありますので、そういう裏づける状況の証拠があるわけですが、これはそういうような密約の存在――もちろん口約束だけでしょうが、あったと判断をしておいてよろしいわけですか。
  236. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 政権の移動というのは、民主国家におきましては憲法に従いました厳格なルールによりまして行われなければならぬものでございまして、特定の個人の話し合い、あるいは少数の関係者の話し合いなどで決まるはずのものではないのであります。厳密に言うと、それは床屋政談以上のものではないのでありまして、世間にはいろんなお話が巷間にあるわけでございますけれども、特にそういうものを取り上げることは大して意味のないことだと思っておるわけでございまして、私はそういう問題につきましては肯定も否定もいたしません。
  237. 和田静夫

    和田静夫君 これも古いことですが、中川一郎さんが署名されなかった、これと憲法との問題というのは私は若干問題を残しているような感じがするんです。  第一に、総辞職をしなければならないのに署名を拒否することは憲法規定に反しないかという問題。第二に、総辞職の時点との関係、いつ辞職となるのかということとの点ですね。それから第三は、これは中川さんという人は天皇崇拝者でしょう。私は天皇の国事行為に対する妨害行動を前農林大臣は行ったのじゃないだろうかと思います。意識と、いわゆるやられたことは、大変かけ離れているのじゃないだろうか。天皇の国事行為、憲法第七条第五号との関係で、国務大臣任免行為との関係においてこれはどういうふうに解釈しておいたらいいのだろう、将来の問題でまた起こるかもしれませんので、法制局長官、ちょっとはっきりしておいてもらえませんか。
  238. 町村金五

    委員長町村金五君) 和田君、時間が参りました。
  239. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) お答えを申し上げます。  内閣がその職権を行う、あるいは意思を決定するのは閣議による、それから閣議は全会一致であるということは、これはもう普通はそのとおりなんです。これはもう明治十八年の内閣官制以来もうそういう慣行として全員一致ということで行われております。  ただ、内閣総理大臣が総辞職をしたいという意思をお持ちになったときには、これはいまの憲法の原理といたしまして、内閣の存立は内閣総理大臣その人と運命をともにするというのが憲法の原理だろうと思うのですね。ですから、まあ中川国務大臣が署名をされなかったかどうかというようなことはこれは閣議の議事内容でございますから私がここで公にその事実の有無を申し上げるわけにはまいりませんが、仮に内閣総理大臣が総辞職をしたいという議案を閣議に諮られたときには、実はそれに反対する閣僚の方が仮におられましても、それは法律的には内閣総理大臣の総辞職をしたいという意思の翻意を促すというような意味しか考えられないのであって、これは学説の中にはもうそういう場合には各国務大臣の同意とかあるいは閣議など要らないのじゃないかという説もあるくらいなんで、それは先ほども申しましたように、内閣の存立が内閣総理大臣その人と運命をともにするんだという原理から、これは憲法の第七十条に内閣総理大臣が欠けた場合のことを取り上げて「総辞職をしなければならない。」と規定をしているその規定の趣旨からもうかがわれるわけなんですが、そういう次第でございますので、内閣の総辞職の場合にはもう当然各国務大臣は地位を失うわけなんであって、したがって個別的な罷免行為というものがないわけなんですね。罷免行為がないわけなんですから、したがって天皇の国事行為である認証も実は要らない、対象がないわけですから認証行為も要らないということでありますので、おっしゃいますように、某国務大臣が仮に署名を拒んだということがあったとしても、天皇の認証行為を妨害したというような御批判には当たらないというふうに考えるわけでございます。
  240. 町村金五

    委員長町村金五君) 以上で和田君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  241. 町村金五

    委員長町村金五君) 次に、源田実君の総括質疑を行います。源田君。
  242. 源田実

    ○源田実君 まず防衛庁にお伺いいたします。  防衛庁において主要飛行機を決定する場合、その性能、所要機数等は、防衛計画に基づいて各幕僚監部で原案を作成し、それを防衛庁長官の手元に提出して、長官として防衛庁の原案を決定されるようになっておったと記憶するのでありますが、ぞれに相違ございませんか。
  243. 山下元利

    国務大臣(山下元利君) 御指摘のとおりでござ  います。
  244. 源田実

    ○源田実君 続いて、そういう主要飛行機のうちで、国産にするか、輸入にするのか、あるいはライセンス生産にするのか等の選択は、防衛庁だけではなかなかできない。これには予算も伴うし、大蔵省が関係する。日本の工業水準、これも関係し、これは通産省が関係します。また、日本の技術水準、これが関係する。これは科学技術庁その他の技術関係関係する等を考慮する場合、防衛庁だけでは決定できないので、この場合防衛庁は原案をつくってそれを国防会議に提出し、国防会議において最後決定が行われると、こういうぐあいに理解しておるのでありますが、それに相違ございませんか。
  245. 山下元利

    国務大臣(山下元利君) 防衛庁で十分審議いたしまして原案を作成し、諸般の問題については御指摘のとおり関連するものがございますので、最終的には国防会議において御決定を願うことになっております。御指摘のとおりであると思っております。
  246. 源田実

    ○源田実君 続いて、輸入、ライセンス生産の場合は、用兵の専門家、技術家をもって編成する調査団を先方に派遣し、その報告に基づく原案を幕僚監部で作成する、これをもととして防衛庁長官防衛庁の原案を決定する、こういう手順だと記憶しておりますが、間違いございませんか。
  247. 山下元利

    国務大臣(山下元利君) 調査団を派遣する等御指摘のとおりの手続をもちまして防衛庁の原案身作成いたしております。
  248. 源田実

    ○源田実君 その防衛庁原案に基づいて国防会議が最後決定を行うと、こういうことに記憶しております。これ間違いございませんか。
  249. 山下元利

    国務大臣(山下元利君) そのとおりでございます。
  250. 源田実

    ○源田実君 きわめて明快な答弁をいただいて非常にぐあいがいいと思います。  次に、いまいろいろ取りざたされておるF4、E2Cの場合に、右の手順の中で、指揮系統以外から何らかの圧力が加えられたか、またその圧力によって、この指揮系統において決定されたものに対する変更が行われたことがあるのか、この点をひとつはっきりお願いしたい。
  251. 山下元利

    国務大臣(山下元利君) 先ほど来申し上げている過程におきまして、圧力が加えられたとか、あるいはそれに基づいて変更が出されたとか、さようなことは思い当たりません。
  252. 源田実

    ○源田実君 次に、これはいまの中に若干含まれるかと思うのですが、指揮系統内――この指揮系統内という意味は、総理大臣から防衛庁長官を通じて防衛庁の指揮系統から末端に至る指揮系統です。――指揮系統内の圧力で調査団が選定した機種に対し変更が行われたことはかつてあったのかどうか、この点もひとつお伺いしたい。
  253. 山下元利

    国務大臣(山下元利君) 機種選定に当たりましては、調査団を数次にわたり派遣いたしておりまして、その結果に基づきまして私どもとしては原案を作成いたしておりますけれども、調査団が純粋に専門的に技術的に検討してまいりました結果はそのとおり反映いたしておるわけでございまして、それについて、その指揮系統の中における調査団の結果について圧力を加えたり変更したことはございませんです。
  254. 源田実

    ○源田実君 次に、E2Cは防衛上絶対必要なものであるかどうか、また、このE2Cにかわる代替方法が現在の日本状況で実行可能なものがあるのかどうか、この二点について防衛庁からお伺いしたい。
  255. 山下元利

    国務大臣(山下元利君) 私から源田委員に申し上げるのはいささか恐縮でございますが、防衛庁長官として申し上げますならば、このE2Cは国の防衛上まことに必要なものでございまして、ぜひとも、ただいま御審議の予算において導入をお願いいたしておりますけれども、御承認賜りたいと思う次第でございます。  そしてまた、このE2Cにかわる機種はあるかというお問いでございますが、これも十分御承知のとおりでございますが、E3Aというのはございますけれども、これはE2Cに比べまするならば非常に多くの機能を持っておりますけれども、日本防衛の立場におきますならばE2Cが適当でございますし、また金額面につきましてもE2Cの方が適当でございますし、そうした観点からいたしますならば、E2Cに代替される機種というものはないと心得ております。
  256. 源田実

    ○源田実君 そこで、非常に重要な問題に対する私の意見を開陳したいと思います。  いままでのところ、防衛庁に関する限り、また政府関係に関する限り、このE2Cの導入において不純なものは一点もない。しかるに、このE2Cの予算の執行が停止される、これは合点がいかないんです。もしこういう先例ができたとき、今後恐るべき謀略がかけられるおそれがある。これは私の例であります。私がかつて防衛庁長官から命ぜられた機種選定の調査団の団長として渡米し、そうして数種類の機種の実験を行って、そうしてお互いには全然何をいいということを最後の会議までだれにもお互いに話すことも禁じて――もちろんアメリカとは話しません。そうして、最後の場にデータをすっかり集めて、その席上でそのデータの上で決定したのがF104であります。そうして、それをそのまま今度は防衛庁長官にこれが候補機でございますというリコメンデーションをやりました。そうして、日本でその最後の作業をやっておるときに、某氏から――もういまおりません。いまいない人です。――某氏から、国家のためにこれこれの飛行機を採用されたし、こういう電報が私のところへ入った。全くよけいなことである。その場合は、幸いにして、F104以外で、問題にならない飛行機がそこに書いてあった。しかし、いまこのE2Cの問題に関連しましてこのことをもう一度思い出すわけです。もしそのときに、ある謀略家がおって、日本防衛力を増強あるいは防衛力の正常な発達をとめようとしたならば、国家のためF104を採用されたし、こういう電報を打っただろう。これは図星なんです。われわれが腹に考えておった飛行機を名指しで来る。それを採用される。それで予算に載る。そのときに、あの飛行機はこういう経路をたどって私が言って採用されたのだ、こういう謀略をやられたときに、この飛行機はどうなりますか、その場合。こういうことがあったのか、そういう圧力に屈して、あるいは金力か何か知らないけれどもそういうものに屈してこういう飛行機が採用されるようならば、これは予算の執行停止をやれと、こういう結果になったかもしれないのです。こういうことは、今後、いやしくも防衛庁――政府と申します、政府のこれを執行しこれを遂行するその責任関係のラインの中で一切の不純がない場合には、これにどんな外で悪評があり、どんな妨害があって、どんなうわさを立てられようと、予算の執行なんか停止すべきじゃないと私は考えます。したがって、これは今後日本防衛上茶々を入れられることが出てくるのであって、これについては私はいまきょうここでその採決を迫るわけにはいきませんけれども、ひとつ委員長においても十分御考慮の上、いまの予算執行停止という問題について速やかに解除するような方法を講じていただきたい。これがまず私の申し上げる第一点でございます。  続いて、今度は外務大臣にお願いしたいのです。  実は、鄧小平副主席が昨年の秋日本に参りました。ところが、あの人のプレスクラブにおける発言、及びまたその前に、これは十月か九月か、この新聞では日にちだけ書いてあって月が書いてないが、十月ぐらいじゃないかと思うのですが、そのとき日本の各新聞社の論説委員のグループが北京に行って鄧小平副主席と会談しておる。そのときの発言、こういうものを見ますと、日本で了解しておる解釈と鄧小平副主席が言っておる解釈とには相当大きな違いがあると私は考えるのですが、この点は外務省はどういうぐあいにお考えになっておるか、ひとつお伺いいたします。
  257. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいまの源田先生の御発言は、副主席が、戦争回避のためにお互いに力を合わせなければならぬという御発言、あるいはその他覇権反対に対する問題から出てきた御発言だと存じます。私も中国の副首相が日本の記者団またその他に対してそういう発言をされたことはニュースとして承っております。しかし、これは他国のことでございますから私がこれに対するコメントを言う必要はありませんけれども、中国は国内の近代化を急ぎ、戦争回避ということが中国の願望でありますので、その趣旨を申し述べられたものと私は解釈をいたします。  覇権については、先般も私委員会発言しておきましたが、一般的には一国が力をもって自分の意思を他国に押しつけようとする行為だと、このように解釈をいたしております。この点は食い違いはないと思います。そこで、この覇権に基づいて覇権反対ということが出てくるわけでありますが、この覇権反対については、交渉の経緯におきましても結論においてもしばしば私は明確にいたしておりまして、一般的な覇権というものはそのように解釈をするが、これを事態が起きた場合にこれが覇権であるかどうか、次にはこの覇権に反対をするかどうか、こういうことは、中国は中国の立場で判断をされ中国の立場で行動される、わが日本政府日本政府の立場でこれに対する判断をし、これに対する反対の行為をするかどうかは決めると、この点は明確にしてあるところでございます。
  258. 源田実

    ○源田実君 続いて、われわれとしては、鄧小平の言ったことの中に、はなはだ気になる問題がある。どういうことを言っておるかというと、――これはプレスクラブでも言っておるんですが、同じことを訪中論説委員団にも言っておる。ところが、プレスクラブで言った中に、「新たな世界大戦の危険は客観的に存在している。私たち戦争の危険の増大をありのまま人民に伝える必要がある。各国の人民が警戒心を高め、団結を強め、準備を整え覇権主義の戦略的配置を狂わせるなら、戦争をおくらせることが可能だ。中国と日本はともに覇権主義の現実的な脅威に直面しておる。」――日本もついでに入っておるんですよ、この中には。向こうの言う中に。それから戦争をなくすることができるとは訪中論説委員団にも言っていない。この場合も、おくらせることが可能であると言っておるんです。それで、この書類はたしか外務省からいただいておると思うのですが、これは間違いがあったら訂正していただきたい。しかし、いま、この鄧小平が言ったことについて、外務省では、これが事実であるかどうか、あるいは間違った報道を私が受け取っておるのか、この点をひとつ明快にお答え願いたい。
  259. 柳谷謙介

    政府委員(柳谷謙介君) いま御引用になりましたのは、五十三年九月七日の本邦各紙に伝えられました鄧小平副総理発言だと思います。これは当時在北京の報道関係者から広く報道されましたので、北京大使館においても、後でその内容を当事者に伺って、そのとおりの発言であったということを確認しております。
  260. 源田実

    ○源田実君 そこで、もう一つ、実は参議院の外務委員会の記録を見まして、その中で園田外務大臣は尖閣列島の問題をいろいろ述べておられる。結局、最後の詰めができていなくて、尖閣列島の問題は一応たな上げみたいなかっこうになっておる。日本国民は、尖閣列島は明らかに日本の領土であると確信しておる。しかしながら、向こうは――非常におもしろい言葉を言っておるんですね。こういうはなはだ人をばかにしたことを言っておると思うのです。これは皆さんお読みになると、そういうことをここへ書いてあるんですがね。この問題について、鄧小平副主席は、「尖閣列島を私たちは釣魚島」――あれは昔は魚釣島とわれわれは言っておった。向こうは今度逆にして釣魚島、これは漢文じゃ正しいのかもしれないです。「名前だって呼び方が違っている。だから、確かにこの点については双方に食い違った見方がある。中日国交正常化実現の際も双方はこの問題に触れないことを約束した。今回中日平和友好条約を交渉した際も、やはり同じくこの問題に触れないことを約束した。中国人の知恵からしてこういう方法しか考え出せない。というのは、この問題に触れると、はっきり言えなくなってしまう。確かに一部の者はこういう問題をかりて中日関係の発展に水をさして妨害したがっている。」これは私なんかのことを言っておるのじゃないかと思うんですが、「だから、両国政府交渉する際、この問題を避けることが賢いことである。こういう問題は一時たな上げしてもこれは構わない。十年たな上げしても構わない。私たちのこの世代の人間は知恵が足りない。」これは日本も含むわけです。「この問題は話し合いがまとまらない。次の世代は」これも非常に重要なことを、「次の世代はきっと私たちより少し賢いだろう。そのときは必ずやお互いに皆が受け入れられるいい方法を見つけることができるだろう。」と、こういうことを言っておるんです。私はこれは政府でどういうぐあいにおとりになるかしれないけれども、非常に重要な問題がこの中に含まれておる。これは政府はどういうぐあいにお考えになっておるか、ちょっと政府見解をお願いします。
  261. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいまお読みになりましたのは、私と副首相との会談録でもなければ、参議院における私の発言でもなくて、副主席が日本に来たときのプレスクラブにおける会見の内容でございます。会見の内容はそのとおりでございます。  私と副主席の尖閣列島に関する会談をそのまま御報告を申し上げますと、次のとおりであります。  私は、交渉の当事者として、尖閣列島を友好条約の際に出すことは適当でないという判断を当初いたしておりました。ということは、竹島や北方四島と違って現に有効にこちらが支配しておるわけでありまして、この島が日本古来の領土であることは明白な事実であります。その後だんだんたってから、地下資源の問題が出てから、まず台湾の方が言い出し、これに続いて北京の政府が言ったことでありますが、声明を出しただけで、その後は何もなかったわけであります。ところが、条約締結の交渉が始まる直前に、ああいう尖閣列島に中国の漁船団が押し寄せるという事態があったわけでありますから、私としては、友好条約締結にこれを持ち出してこれをとかく論議することは、われわれは紛争地帯と考えていないわけでありまして、日本政府はこれは固有の領土だと考えておるわけで、そうではないというのは中国その他の言い分でありますから、向こうから言うならともかく、こちらは有効支配の現状をそのまま続けていけばいいわけでありますから、交渉としては出すべきではないと私は考えておったわけでありますが、本国からの指令で、これができなければ調印はどうもむずかしいということが出てきたわけで、そこで私の方からこの問題を切り出したわけであります。それは、副首相に私の方から、日本の尖閣列島に対する主張と立場を申し述べた後、この前のような事件があっては困ると、こう言いましたところ、副首相は、この前のような事件はもう今後起こさない、こういう話でありましたから、それさえとっておけばこちらは現に有効支配しておるわけでありますからそれでよろしいということで、それ以上こちらが突っ込んでいくことはかえってこれを紛争地帯にするおそれがありますから、私はそれで納得して帰ってきたわけであります。実情をそのまま御報告をいたします。
  262. 源田実

    ○源田実君 もう一つ外務大臣にお聞きしたいのですが、八月の十八日ですか、参議院の外務委員会の席上で、尖閣列島付近の海底資源の開発は共同でやった方がいいと考えておるという御発言がございますが、現在もその見解は変っておりませんか。
  263. 園田直

    国務大臣園田直君) 共同でやったがいいとは私考えておりませんが、やはりこういう地帯でありまするから、大陸だなその他を調査をして、これが交差するところがあれば、両方から意見を出して共同でやるべきことも一つの方法であると考えております。
  264. 源田実

    ○源田実君 いまは考えておられないんですな。
  265. 園田直

    国務大臣園田直君) まだその問題が起こっておるわけではありませんから、共同開発すべきであるとかないとか言うべき段階ではないと考えております。
  266. 源田実

    ○源田実君 では、これもここで私は非常に心配なことがある。これについてはひとつ今後政府がこの政策推進の段階において十分に配慮願いたい。いままで申し上げたように、戦争がなくなるとは言っていない。そうしてまた、共通の敵に対面しておるんだと、そうして次の世代がこの問題を解決するんだと、こういう三つのことが重なっておるんです。そうすると、これは二十年後か三十年後かわからないけれども、もし中ソの間に戦争が始まった場合には、ソ連の飛行機あるいは艦艇その他は、共同開発をもしやっておったならば、そこを攻撃するだろう。そのとき日本はどうするんだ。共同開発をやっておるけれども日本は中立であって――われわれは中立がいいと思うんです。あんな戦争なんかに巻き込まれる必要は毛頭ない。しかし、尖閣列島の共同開発には中国側も入っておるんだから、攻撃してきた場合に日本は一体どうするのか。もし日本が自分の領土だというので守ってそこで敵対行為をすれば、日本は戦争に巻き込まれるんです。戦争に巻き込まれるのがいやだというので敵対行為をしない。中国側は必ずやるでしょう。そうしたら、今度はどうなるか。中国は、自分の領土なら日本は守るはずである、守らないのは領土であることを放棄しておる、では私がもらいましょう、こういうことになるのではないかと私は心配している。私の心配がいわゆる杞憂に終わるのならばはなはだ喜ばしいことでありますが、この点についてはもう御見解を伺わなくてよろしいので、ひとつ総理を先頭にして深くお考えを願いたい。これは二十年後、三十年後のわれわれの子孫にとてつもない重荷を負わせることになります。これをもし政府の方で御発言があれば伺いますが、特になくてもいいんです。これは私の見解を述べた。  では、こういう問題はやめまして、もっと非常にセンチメンタルな問題ですね。どういうことかというと、これはあるいは総理にお伺いすることになるかもしれないが、大体まあ総理のような偉い人の余りあれを煩わさないで済ましたいと思うのです。だから、総理長官とそれから厚生大臣、文部大臣と、この三名の方に言って大体済むのじゃないかと思うのです。それはどういうことであるかというと、最近のあの子供の、少年少女の自殺ということ、こういうことなかったんですね、いままで。全く痛ましい限りである。あの少年少女はまだ独立できないんですよ。独立できない者がなぜ自分で自分の命を絶つんだと、この問題は徹底した究明を要する。それについて、これは時間がありませんから私の見解を述べておきますから、それが間違っておるようだったら反論を願いたい。  まず第一は、あの少年少女は一本立ちできないということである。それが思い詰めて自分の命を捨てるということは、何か思い余ったものがある、自分だけで解決できない問題がある。しかしながら、相談する相手がいない、世代の断絶で家族制度が破壊されて。私の場合には母親に相談した。母親がいないときはおばさんに相談した。母もおばさんもいないときは私のいとこ。すべて女性ですよ。男はそういうときさっぱり役に立たない。やっぱり目上の女性である。それに、自分の苦しい、人には言えないような恥ずかしいことを何でも打ち明けて相談する人がおったならば、こういう痛ましいことは起きないのじゃないかと私は考えるのです。家族制度の問題、これが一つ。  それからもう一つは、これは文教に関係があるのですが、学歴偏重で、何でもかんでも大学へ行かなきゃいかぬ。ところが、私立大学はそうでもないそうですが、国立大学はまあ東大出というとちょっと私なんかも初めから一目置いてかかる。そういう癖ができておる、東大出なんというと。あの学歴というのが非常に物を言っておる。本当に力があるのかどうかは別問題ですよ。しかし、その国立大学に入れようとすると、あらゆる科目の試験を受けなきゃならぬ。得意なものもあれば、得意でないものもあるんです。一応は全部及第点とらなきゃいけない。得意でない試験をやられて、それが及第点でなければならないとなったら、私なんか絶対に大学には入れない。いわんや、私に商売人の仕事をやれ、企業家になれなんてやられたら、もうさっぱりだめなんですよ、私は。いわんや、音楽なんか、まあ試験もあるかどうか知りませんが、あんなものをやられたら、さっぱり、これは零点である。しかし、いまの子供たちが当面しておる入学の難関にあの子供たちは自分の適性を外れたとんでもないものを負わされておるのじゃないか。そのために悩みに悩んで相談すると、ばかやろう、しっかり勉強しろとやられる。仕方がないから自分で自分の命を断つと、こういう悲惨なことが出ておるのじゃないかと私は思うのです。これについて、いまの三人のお方にひとつ御答弁願いたい。
  267. 内藤誉三郎

    国務大臣内藤誉三郎君) いま源田先生の御意見、私も拝聴しておりましたが、まことにごもっともでございまして、確かに学歴偏重の社会的風潮、生命軽視の社会風潮、これが一つ。いま一つは、やっぱり学校教育、家庭教育、そういうものが相互に絡み合っていると思っておるわけです。お話しのように、いままでの教育の中で、やっぱり本人の能力や適性を伸ばすという教育がおろそかであって、それはなぜかと言うと、試験勉強だから、受験勉強だから、何でもやらないと落っこっちゃうんです。そういうことでは困りますから、大学入試制度の改善をやったのはその趣旨なんです。そして、二次試験では本人の適性を見るようにして、いまお話しのように適性を見ていきたい。それから学校教育でも私はやっぱり子供の素質をよく見てほしいと思うのです。先生方が子供の素質をよく見て、そして、まず先生と生徒、それから生徒同士がお互いに楽しく遊び勉強するというそういう風潮がないんですよ。みんな一人、家へ帰っても学校へ行っても一人ぼっちですから、これじゃやっぱりさみしくなるわけですから、これがよくない。  それからいま一つは家庭ですね。もうおっしゃるように、核家族になって非常にさみしいですよ、子供は。親は働きに行っちゃっているから、家へ帰っても一人でしょう。ですから、やっぱりこれは私は家庭教育にも原因があると思うのです。そこで、文部省でも、家庭学級とか家庭総合ゼミナールなんかやって、やっぱり家庭教育をしっかりやって、親と子との結びつき、これが大事だと思うのです。いまお話しのように、核家族になってからそういう家庭のきずながなくなったと私も思うので、そういう点でこれはいろいろな点で学校教育、社会教育を通じて一層改善に努力して御期待にこたえたいと思います。
  268. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたしますが、源田委員の御意見に対して否定するものはございません。そこで、私ども本当に次の世代を担ってくれる青少年問題は非常に心配でございます。特に、最近のように自殺行為が頻繁に起こってくるという、しかもそれが社会問題になってまいっておりますことは、憂慮にたえません。そういうことでございまするので、具体的にどうこれに対処しておるかということを申し上げてみたいと思いまするが、と申し上げまするのは、この原因、動機、背景というようなものは、簡単に割り切り得ない、きわめて複雑なものがございます。  なおまた、先ほど御指摘がございましたように、家庭事情、これは文部省あたりのいままでの検討の結果から見ましても家庭の事情が一つ原因であり、あるいは学業不振、入学試験等を含んでの学業の問題が入っておるわけでございまするが、それとともに厭世的なものがございます、世をいとうという。どうして出るかというこれもまたやはり検討してみれば大きな背景なり原因があるようでございまするが、そういう問題がございまするが、今回、正月に特に顕著にあらわれましたのが、通年でとってみますと、ことし、あるいは昨年、あるいはそれから数年前と数字的には変わりませんけれども、年齢的に移動がある。それは高等学校時代の年齢に多かったのが、中小学校に今度は多くその現象があらわれておる。  そういう特殊な事情もあるものでございまするから、とりあえずの処置といたしましては、関係省庁が相寄りまして、とりあえずの十数項目にわたりましての、今日までどうして自殺が起こったか、またそれにはどう対処せなければならぬかということを各省庁で連絡会議を開いて、とりあえず都道府県の担当者、それから政令指定市の担当者に、こういう点を特にひとつ注意をして指導助言をするようにという指示をいたしました。それだけではいま申し上げましたように済みません。きわめてふくそうした原因がございまするので、そこで、精神学者でございまするとか、あるいは心理学者、教育者、警察の取り締まり関係、そういう方々の学識経験者に寄っていただきまして、この当面いたしまする青少年の自殺問題に対する検討の懇話会を形成して、それを二月の二十六日に第一回の会合をいたしましてただいま検討いたしておるわけでございまするが、それを受けて関係省庁相寄って対処いたしたい、そういう処置に出ておる次第でございます。
  269. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに、源田先生御指摘のとおり、ことしの一月だけを見ましても、百余人の青少年の自殺者の中で三割までが学校問題を原因にしておることは事実であります。そのほかに、家庭問題、あるいは病気等、それが大きな原因であることは間違いありません。厚生省の立場から言いますならば、いまお話に出ておりました核家族化、そしてまた、核家族の中における家庭の崩壊というものに対抗しなければならないということで、母親学級、その他母親クラブ等の地域活動の中からその救いを見出そうといたしております。ただ、これは総務長官、文部大臣の御見解と多少異なるかもしれませんが、世代を別にする人間として考えてみますと、一つは、私どもが受けてまいりました学校教育の中において、また第二次世界大戦敗戦後、育ち盛りの私どもが受けておりました家庭内の教育の中においてそうした意味での今日の原因があったような感じがいたします。と申しますのは、ちょうど私は小学校二年で敗戦を迎えたわけでありますが、その敗戦の習日から学校において学ぶものは従来から教えられていたものとは真っ向から違ったものを学ぶようになりまして、子供心にも大変混乱をいたしました。家庭において親から教えられておりましたことも同じような状態だったわけであります。幸いに、これは自分の親を自分で自慢して言えば世話がありませんが、ただ私の父親も母親もその点私の相談相手になってくれました。ただ、私どもの仲間の世代において、やはり親が相談相手にならなくなった、また学校の先生が相談相手にならなくなったという悩みを持っておった者は私どもの青年時代多数おりました。いまちょうどその世代かあるいは親になり、またあるいは教育の最前線に立っておるわけであります。先生方として教鞭をとられる方々も、もちろんりっぱな良識をお持ちであり、教育者としての自覚をお持ちでありますけれども、翻って自分が子供のときにそういう意味では先生方に相談相手になってもらった記憶を持っておらない者がたくさんあるだろうと思います。ですから、私は、その辺からむしろこの問題は考えていかなければいけないような気がしてなりません。現在、私は、スポーツ少年団あるいはボーイスカウト等の活動を通じて現代の幼い人たちまで含めて交流をいたしておりますけれども、やはり大人が相談相手になってやれる、また友達があって子供なりの悩みを一緒に語り合える、そうした状態をつくることが根本ではないかと私は考えております。
  270. 源田実

    ○源田実君 これ以上この問題について御意見を――これはそのとおりひとつ今後研究してやっていただきたい。  それで、これは質問の通告はしてないのですが、この問題に関連しまして本当に心配にたえない問題がある。それをちょっと、これも研究していただきたい。  それは、テレビの問題です。あのテレビの中には見るにたえないものがある。あの中のポルノだけじゃないですよ。子供と一緒に見れないテレビをやるというこんなばかな話が一体どこにあるか。さらにまた、私はいま虫一つ殺さない人間なんです、いまは。昔は戦でやむを得ずやりました。しかし、あのテレビの中にどういうのがあるか一つの例を挙げますと、「わが命わがものと思わず」――土曜日の晩にやるんですよ、十二チャンネルで。「わが命わがものと思わず」これもはなはだおかしい。「死してしかばね拾う者なし」みずから社会、家庭と親子の間、それから郷里、そういうものとすべて断絶しておるんですよ。これが英雄となってあそこへ出てくる。そうして、それが、この間数えてみると、一晩に一人の人間が殺した人間が三十八人おった。それで、それがその翌週また堂々とうれしそうな顔をしてきてまた人を殺しておるんですよ。一つも人を殺して反省の色が出ない。こういうテレビを野方図に放映しておるということについては、これは、総理大臣内閣全体の問題、またわれわれ国会議員としても、真剣にこの問題を考えないと、日本の社会、ことに現在の日本のあのやわらかい心を持った将来の日本を背負ってもらう少年少女は一体どこへ行くのか、全く心配にたえないのでございます。したがって、これについては、いまいろいろ法律的な問題があるでしょう。あるけれども、このままほうっておける筋合いのものではない。何か研究対策を、委員会をつくるか何かつくって対策を講じることを内閣としてひとつ、まあ議員もそうですが、進めていただきたい。これをお願いいたしまして、私の質問を終わりますけれども、ひとつそういう件に関して総理の御見解をお願いしたいと思うのです。
  271. 白浜仁吉

    国務大臣(白浜仁吉君) 総理の御答弁もあるかもしれませんが、一応放送関係は私がお預かりしているかっこうでございますので、お答え申し上げます。  いま源田委員から御指摘がありましたように、こんなにテレビ日本の茶の間に入り込んで、家庭に入り込んでしまっておる段階においては、よほどいろいろなことを考えなければならないということを、私どももそう考えておるわけであります。しかし、一方では、御指摘もありましたように、放送法という厳しい法律がありまして、郵政大臣あるいは総理大臣ですら、なかなかこれを直接指導云々というふうなこともできないいまの状況でありますが、幸いに番組審議会というふうなものがございまして、その中で有識者やあるいはいろいろな経験を経た人が集まってそうして世論などを考慮しながら番組編成を進めるというふうなこともありますので、私ども十分御意見を承って、また今後機会あるごとにそうしたことお伝えして今後慎重に対処していきたい。また、将来は両院関係者の皆様方のお力、御意見もおかりする機会もあるかと思いますが、よろしくお願いを申し上げまして答弁にかえる次第であります。どうもありがとうございました。
  272. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 大変世相を憂えるお話を伺いまして、私どもも非常に啓発されましたことを感謝します。  問題は放送番組に関連したことでございますが、事は文化行政のことでございますので、立法手段に訴えるというようなことは大変問題が多かろうと思いますけれども、いま郵政大臣もお話し申し上げましたとおり、民主的な手順を踏みましてできるだけわれわれが期待する放映が実現できるように行政の立場からも種々配慮してまいりたいと思います。
  273. 源田実

    ○源田実君 終わります。(拍手)
  274. 町村金五

    委員長町村金五君) 以上で源田君の総括質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  275. 町村金五

    委員長町村金五君) 次に、矢追秀彦君の総括質疑を行います。矢追君。
  276. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 初めに、私は総理に、総理の政策要綱資料の中で環太平洋連帯構想を打ち出しておられましたが、所信表明に見る限りにおいてはこの構想が余り盛り込まれているようには思わないわけです。この構想の後退を意味するものなのか、また、今後この構想を総理まだお持ちでございましたらどのような構想で具体的にお進めになろうとされておるのか、お伺いしたい。
  277. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 環太平洋構想というものを後退させたわけでも断念いたしたわけでもございませんで、いかなる内容のものをいかなる方法で実現することが最もお国のためになるかということにつきましていま検討をいたしておるところでございます。太平洋地域では、ヨーロッパと違いまして、宗教、経済、文化的伝統、大変バラエティーが多いわけでございまして、経済の発展段階もまた大変違っておるわけでございますので、ヨーロッパのようなECのようなものを構想することは無理だと思うのでございまして、緩やかな仕組みしかできないと思いますけれども、それをどのように構想することが適切であるかということにつきまして、いま政府におきましても各方面のお助けを得ましてせっかく検討いたしておるところでございます。大事なことでございますので、十分検討した上で実現すべきものは実現さしていただきたいということで、施政方針演説で取り上げる、予算で取り上げるというようなことは、当面まだ差し控えておるところでございます。
  278. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 この構想についてわからないわけでもありませんが、一歩誤ると、経済侵略、あるいは世界経済のブロック化を進めると、こういうようなことになろうかと思います。そういう危険性もありますので、いま総理は慎重にとおっしゃったと思いますが、今後どういうスケジュールで、また、具体的にはこういったことを進めるに当たっては多くの国々の首脳との話し合い等もやらなきゃならぬと思いますけれども、何か今後の具体的なスケジュールはお持ちですか。
  279. 園田直

    国務大臣園田直君) いまの問題は、国際関係が御承知のごとく多極化し多様化しております。そういう時期に、広く政治経済文化等の分野で太平洋諸国と連絡をしていくことはきわめて大事でありますから、ここで総理の構想が出てきたわけであります。しかしながら、これを実行に移すについてはいろいろ考えなきゃならぬ問題があるわけでありまして、第一は、いまおっしゃいました世界の経済ブロックにつながるものではないということ。もう一つは、この構想によってアジアというものが、日本のアジアに対する関心、立場がこれより薄れるのではなかろうかというASEANの国々の懸念もあるわけであります。次には、太平洋諸国といいましても、いま総理がおっしゃいましたとおりに、それぞれの国の様態、経済発展の状況等は多種多様であります。したがいまして、そういうことを考えながら、逐次理解を深めて具体的に進めていくべきと考えております。ASEANの諸国にはすでに総理の構想は理解されたところであって、それによってASEANに対する日本の関心が薄れるものではないということは理解を得たと存じます。逐次そういう方向を検討しながら、まず外相会議をやったがいいか、その前に民間諸団体の人との会合をお願いしたがいいか、こういう点を十分検討して、逐次段階的に進めていきたいと考えております。
  280. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 ことしじゅうには総理、行動を起こされるんですか。
  281. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) まだそんな急いで急にやっていこうというわけでもございませんで、大事なことでございますから、じっくり取り組んでいきたいと思います。
  282. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、東京サミットについて伺います。東京サミットまで東京ラウンドの結着という大変な仕事もございますし、また一次産品共通基金交渉会議、あるいはUNCTADなど重要な会議もございますが、政府としてはサミットを迎える前のこういったいろいろな諸行事、あるいはやらなきゃならないことを具体的にどういった方針で臨まれるのか、お伺いしたいと思います。
  283. 園田直

    国務大臣園田直君) 初めて東京でサミットが行われるわけであります。その後、先般のサミットからそれぞれの国の情勢も相当変わってきております。しかし、いずれにいたしましてもサミットの精神は、世界経済不況打開のために、各国が協力をして相助けようじゃないかというのがサミットの精神でありますから、その精神に基づいていろいろ議論されておりまする通貨の問題であるとか、雇用の問題であるとか、いろいろエネルギーの問題とか出てくるわけでありましょうけれども、わが国としては、アジアで初めて開かれるわけでありますから、特に大事になってきた南北問題等もこれは相当高い地位で論議をされなきゃならぬのではないかと考えております。いずれにいたしましても、いま米国のホルブルック国務次官補、続いてオーエン大使等が来日をするわけでありますが、これは第一回のサミットの準備会合のために参るわけでありまして、まず今月に第一回の会合で参加国が集まる、ここでいろいろ議題は検討されるわけでありますが、なおこのサミットの前に東京ラウンド、それからUNCTADの総会とあるわけでありますから、一方はそれまでに解決をしなきゃならぬし、一方UNCTADについては共通基金その他の問題、ASEANの国々の動向、あるいは新国際経済秩序というような問題を絡めて、UNCTAD総会で建設的な意見があることを期待し、これをできればサミットの方に反映させたい、こういうことでいま準備をしている最中でございます。
  284. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 アメリカの最近の対日批判といいますか、攻勢は大変厳しいものがあります。特にジョーンズレポートなどを見ますと相当の厳しい口調で言っているわけです。特にこの中で一つ取り上げますと、中小企業の円高対策が輸出への補助金となっておる、輸出を奨励しておる、けしからぬと、こういうことまで言っておるわけですが、こういった考え方に対して政府はどう対処されるのか。また、これは再三議論されておりますが、電電に見られる政府調達問題こういったものは内政干渉とも言えるような私は厳しい攻勢だと思いますが、特にこのアメリカの攻勢に対して、サミットまでどう対処されるのか、お伺いしたいと思います。
  285. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) アメリカ日本関係でございますが、やはりこれは日本経常収支が非常に大幅な黒字になっているということに一番問題が集中しておりますが、やはりこれに対して前内閣以来、また現内閣も引き続いて輸入の増大を一生懸命努力しておりまして、このところだんだんと輸入が、製品輸入もふえておりますし、経常収支の方も幅が縮まっております。しかし、五十三年という一つの期間をとりますると、やはり経常収支の幅は相当に大きいわけでありまして、そうした問題に対して、アメリカ側が今後どうするのかという問題が恐らく焦点になるであろう。したがいまして、われわれとしまして五十四年度の方針といたしましては、言うところの経常収支につきましても、七十五億ドル程度というものを掲げて、同時にまた輸入もしたがいまして大幅に増大していく、同時にまた日本としては、国内の経済拡大を図るというようなことを中心に計画を組んでおりまして、これらの諸点につきましては、すでに安川大使等を通じまして、米国側にもいろいろと話をしております。また、先般米国側から来られた方々にも、いろいろと説明をいたしましておるわけでございまして、なおこうしたわれわれの日本側努力というものに対して、さらに十分なる理解を得る努力をこれからも引き続いて各方面にわたって展開をいたしていくということを基本的な方針としております。
  286. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 EC諸国もかなりまた厳しい態度で最近出てきておりますが、このEC諸国に対する対応、これはどうお考えになっておりますか。あわせてEC通貨制度が発足するわけですが、これがわが国に及ぼす影響、これをどうとらえておりますか、二点。
  287. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) EC関係も、やはり同じように非常に強く日本経常収支問題を先般来言っております。しかし、これもだんだんと同じような日本努力が実ってきつつあります。われわれはやはり、こうした非常に大きな日本経済体質そのものに関する問題でございますから、そう一朝一夕に、早急にこの改善を図るということは本来きわめて至難なことでございますので、こうした事態をさらによく説明をしていくことを中心にして、先方の理解を得る努力を続けておるわけでございます。  なお通貨問題につきましては、大蔵大臣からお答え申し上げます。
  288. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 欧州の通貨問題、ようやく結着つきまして、新発足することになったと聞いておりますが、これはまあ為替の安定という点から、私どもとしても大変評価してしかるべき問題であろうと考えておる次第でございます。
  289. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に日銀総裁、IMFの会合に行ってお帰りになったんですが、きょうはお忙しくて出ていただけないので、副総裁にお伺いをいたしますが、各国の対日反応の状況はどうであったか、それが一つと、それから二番目には石油の値上げに対処する各国の姿勢、その次には過剰ドルをSDRに置きかえて凍結しようという、いわゆる代替勘定、これについてはアメリカとフランスが反対の立場のように受けとめておりましたが、この二国はどういう態度であったのか、今後SDR中心の通貨体制への長期展望としては、移行ということになっていくのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  290. 前川春雄

    参考人(前川春雄君) 森永総裁は昨夜帰ってまいりまして、そのIMFの暫定委員会が行われました模様を聞いたわけでございます。まだ詳しくは聞いておりませんので、そういうふうに御理解を願いたいと思います。  今度の会議は、世界経済の基礎的な条件が着実に改善傾向をたどっておるという中で開かれた――もっとも石油問題というのは別にございまするけれども、基礎的な経済条件というのが引き続き改善しつつある中で開かれたということもありまして、落ちついた雰囲気の中で行われたということが第一点でございます。その中で特に日本に対して批判的な面、名指しで強く非難されるということはなかったようでございまするが、日本の景気が着実に回復している状況並びに国際収支黒字がこれまた着実に減少している状況に対しましては、各国の理解を深めることができたというふうに理解しておるようでございます。もちろん中には、日本国際収支黒字の縮小傾向が、テンポが遅いとか、あるいは縮小しつつあるけれどもまだ大幅ではないとかいうような非難をする国もあったようでございますが、また一方、日本経済の中で、財政の状況等から見ると余り性急にこれが改善ということを求めることもどうかという声もあったようでございます。そういう中で、総じて申しますると、日本のいままでとってまいりました努力並びに成果というものがかなり評価されたというふうな印象を持って帰ったようでございます。  石油の問題につきましては、石油の価格がさらに引き上げられる、あるいは量的な確保が従来よりもさらに困難になるという事情に対しましては、各国とも非常な関心を持っておるようでございます。ことにこれが、せっかく安定しつつある世界経済をさらに一転してインフレに導く可能性があるではないかということにつきましては、各国ともインフレに対する懸念という面で非常な関心を持っておったようでございます。  それから、お尋ねのございましたSDRの代替勘定でございまするが、SDRの代替勘定、実はIMFの理事会並びに事務方でいろいろ検討をしておるわけでございます。その事務局から、いろいろ代替勘定を設けることによって、SDRをさらに国際通貨制度の中で大きな地位を占めるようにさしてはどうかという考え方が進められております。アメリカ、フランスがいままで必ずしも賛成でなかったといういま御質問がございました。今度この問題につきましては、なおいろいろと詰めなければならない問題がございます。たとえば、その為替のリスクをどうするか、つまりドルをそこへ納めるわけでございまするから、その為替のリスクをどうするか、その勘定に利子をどのくらいつけたらいいかとか、あるいはその勘定をだれがどの程度開設するか、そういう問題につきまして、なお事務的にもっと検討をしろと、理事会でさらに検討されることになりました。ただ、今度の暫定委員会のコミュニケには、各国がボランタリーな、任意のベースでこの勘定を開くことについてさらに検討する、しかもそれはSDRを国際通貨制度の中で真のリザーブアセッツ――準備資産としての地位を確保するために設けるんだということが書かれております。さらに事務的に検討されることになろうというふうに思います。  以上でございます。
  291. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 総理にお伺いをいたしますが、東京サミットは、私がいま申し上げたように、EC諸国の動き、あるいはアメリカの対日攻勢など、大変厳しい状況の中で行われると思います。ここでわが国としては何を一番強く訴えられるか。先ほど外務大臣は、南北問題等についても、せっかくアジアであるからということをおっしゃいましたが、一番総理が柱として言われ、議題とされたいものは何なのか。共同コミュニケにいろんなことが盛り込まれてくると思いますが、そういったものを、大体どういうふうなことを頭に置いておられるのか。  それから、特に五十三年度末で六%成長が大変むずかしいというデータがもう経企庁の方から出てきております。私も昨年の予算委員会で五・五ないし五・六ぐらいしかいかないということをいろんな数字等で申し上げたわけでございますが、六%は無理であろう。確かに景気はよくなりつつありますが、この一月、二月、三月で果たして六%までいくだけの大きな成長は私はないと思います。したがって六%ができないとなると、これまた厳しい攻勢を誘発するのではないか、そういった点でどうされるのか。  それからもう一つは、先ほどのECの通貨に絡むわけですが、国際通貨安定について、ターゲットゾーン設定の提案というものは今回の東京サミットでされるのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  292. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 第一のサミットでございますけれども、日本におきまして初めてこの首脳会議を主催する立場になったわけでございまして、何としても各国の協力を得まして成功させなければならぬと考えております。とりわけ、矢追さんが御指摘になりましたように、大変世界経済がむずかしいときで、世界経済の将来に対する信認が揺らいでおるときであるだけに、この東京サミットにおきまして、先進諸国の間で一致した認識がかためられ、できれば共同した行動がとられるというようなことになりますると、世界経済の安定に大きく寄与することと存じますので、すべての運営をその成功にかけたいと考えておるわけでございます。そのためには各国の協力を得なければならぬわけでございますが、そのためにはわが国みずからが世界経済に対する責任を果たしていかなければならぬわけでございますが、いま御指摘のように対米、対EC関係におきましても、わが国経常収支黒字幅が過大に過ぎるではないかという御指摘を受けているほどでございますので、こういう状態をできるだけ縮小する方向に持っていかなければならない、その努力を払わなければならぬと考えております。  それから第二点は何でしたか……
  293. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 ターゲットゾーン。
  294. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 通貨のターゲットゾーンを提示するという考えはいまは持っておりません。通貨問題につきましては、去年は大変為替が変動いたしまして混迷を続けた年でございまして、何とかしなければならないという焦燥感が各国にあったと思うのでございますけれども、去年の秋からことしにかけまして、為替が幸いに小康状態を続けておるわけでございます。したがって、こういう状態を続ける基礎条件をできるだけかためていくということ、撹乱的な要素をできるだけ取り除いていくということ、つまり通貨自体の問題よりは、通貨を支える世界経済、世界の金融、そういったことに対しまして、できるだけ為替の安定を導くようなベースをつくるよう、われわれはみずからの努力も傾注しなければならぬのじゃないか、そう考えておるわけでございまして、いま具体的なターゲットゾーンを提案するというような用意はしておりません。通貨問題につきましては各国との協力が必要でございますし、とりわけアメリカとの協力が必要でございますが、したがって、各国と十分打ち合わせた上でどういうように問題を提起してまいりますか、よほど打ち合わせた上でやりたいと思います。そうしないと、過大な期待を世間に与えて、しかも事が成らない場合の反動がこわいわけでございますので、特に慎重を期したいと考えております。
  295. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 もしターゲットゾーンの設定をやられるとするならば、むしろいまの安定したときにやっておいた方がいいと、どうも総理考えと私はちょっと逆なように思うんですけれども。いま少し円安になって落ちついているようですが、各商社等の輸出の成約等を見ますと、前年度比一〇%ぐらい伸びてきていますから、私は、後半にはまた円高ということが十分予想されると思うんです。したがって、もしやられるとするならば私はいまの時期の方がいいと思うので、その点は意見の違うところですからやむを得ません。  最後に、この問題の最後には、経常収支ばかりで日本が責め立てられておるわけです。特にアメリカあたりは経常収支。しかし、基礎収支になるとこれまた様子が変わってくるわけですから、私は、日本の場合は基礎収支でこの黒字の幅の物差しをした方がいいと、こういうことをむしろ私は提案をしていただきたい、こう思うんですが、いかがですか。
  296. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 前段の問題につきましては、矢追さん御指摘のとおり、各国間の協調をさらに緊密化いたしまして、現在でも必要なときは介入措置をとることにいたしておりますが、そういった協調によって通貨の安定を図るということでやっていきたいと考えておる次第でございます。  それから、貿易収支均衡を基礎収支で見るべきだというお考え、これは中長期的に見たら日本の場合は、私はやはりそれでなければならないと考えておるのでございます。特に日本の場合は構造的な黒字の傾向にございますから、それをやはり海外援助に使い、あるいは資本の海外流出に使うというようなことでいけば、当然経常収支よりは基礎収支の均衡に重点を置いて考えなきゃならぬと思っておりますけれども、ただ当面の問題としては、やはり対米関係において大きな黒字を抱えておりますから、まあそういった場合にあわせて経常収支のバランスについても大いに努力をしなきゃいかぬと、こういうことでございます。
  297. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 先ほど五十三年度の経済成長率の問題でお尋ねがございましたけれども、われわれは七%というラインで進んでまいりましたけれども、御承知のように異常な円高に見舞われまして、この影響が大きく貿易には影響しました。輸出と同時にまた、これは多少違いますが、やはり円高を反映しての輸入の増大ということで、いずれもGNPに対してはマイナスに働いたわけでありまして、その限りにおいて六%程度ということに一時考えたわけでありますが、それが現在までの調査でありますと五・七、八というところ、あるいはこの一-三月の情勢いかんにもよりますけれども、六%ぎりぎりというところが落ちつき先ではないかと見ております。  しかし、御承知のようにOECDあたりの経済の見通しでございますが、日本がもしも五%以上の実績を示すならばこれは非常な上できでありまして、OECDの見通しは五十三年度で日本は五%、アメリカが四%半ぐらい、ドイツ、イギリスが三%ちょっとくらいのところを見込んでおりまして、日本の六%にいたしましても七%にいたしましても異常な高成長ということになっておるわけでありまして、こうしたような事態が専門的な観点からいっても、恐らくいまの世界情勢の中からいっても、私は、オイルショック後のまだ回復期五年目でありますから達成できるはずはないと、恐らくだれも思っておるのではないか。しかし、まあそうしたことに甘えるわけではなくて、われわれとしましては、内需だけは相当な成長を示しておりますから、その意味においてこの傾向を続けるという努力を明確に先方に意思表示することによって、私はこの成長率問題は十分理解が得られるというふうに考えております。
  298. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 関連。
  299. 町村金五

    委員長町村金五君) 関連質疑を許します。鈴木一弘君。
  300. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまも、五十三年度の成長率の見通しが七%の国際的な公約が実現できなかったといいますか、それだけじゃなくて、経常収支も五十三年の当初見込みのいわゆる六十億ドルという見通しを完全に突破する。またもう一つは、先ほどの御答弁で、輸出の鈍化、輸入の増加ということで、その傾向もありますけれども、福田内閣のときに約束をして、鳴り物入りで実行をしようとした緊急輸入、これは四十億ドルも結局どうも三十億ドルをはるかに下回って、二十何億ドルというような結果になっているんじゃないか。  こういういろいろなのを見ますと、サミットを前にして、どうも約束を守らない日本ということになるのじゃないか。保守党政権が継続されても政策の継続もあるべきだというのが政権交代で簡単に変わるということではこれはまずいと思うので、この点で、総理がこれから臨まれる東京サミットで買う約束をして、後で信用を失墜して、実行できないで失墜するなんということじゃ困るわけでございます。その辺のことについての御覚悟のほどをひとつ聞かしていただきたい。
  301. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) この前も申し上げましたように、日本の政策は基調は変わらぬわけでございまして、前内閣方針を受けまして、私の政権になりましても高目の成長を、いろんな無理をしておりますけれども、あえて無理をしてでもそれを実行をいたしまして、国際的な期待にこたえていきたいということでございます。  で、自由経済のシステムをとっておりますのでなかなか判で押したようには約束どおりいけないわけでございますが、日本がこういう態度をとってまいりましたことの成果は、内需の順調な拡大が記録されておりまするし、先ほどもお話がありましたように、輸入、とりわけ製品輸入は増大いたしておりまするし、経常収支黒字幅も縮小の方向をたどっておりますので、それなりに私は国際的に理解をされておると思うのでございます。的確に計画どおりまいらなかったことはとがめられるかもしれませんけれども、日本が国際的に責任を果たすために果たした努力は認めていただけておるし、その誠意も認めてくれておると思うのでございまして、問題は、今後われわれがこの基調を踏まえまして最善を尽くすと、そして実績を現実にその方向で出してくるということで初めて国際的な信認も得られるのではないかと思いますので、そういう方針で進んでまいるつもりでございます。
  302. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 緊急輸入についての御質問でございまするから、先ほど糸山君には後から資料を届けるということで詳しく申しませんでしたが、架空のものではないという意味でちょっと詳しく申し上げてみます。  これは五十三年度約四十億ドルを計画したわけですが、先ほどお答えしましたように、三十億ドルにとまる。これも民間に輸銀で融資をしたり協力を求めるわけでございまするので、なかなか成約に至らないという苦労もあるわけでありまするが、これはIMFベースの輸入実績としまして今日まで確定したのが二十二億四千万ドル、通産省の関係だけでも約二十億ドルぐらいあるわけであります。そのほか三月までに実行されると見込まれておるものが七億八千万ドルほどあるわけであります。合わせるというと大体三十億ドル、ちょっといままで決まりましたものの内訳を申し上げてみまするというと、ウラン鉱石等が十億八千七百万ドル、タンカー備蓄で四億一千四百万ドル、鉄鉱のこれはペレットですね、ペレットが八千四百万ドル、ニッケル・クロムが三千万ドル、航空機のリースで三億二千二百万ドル、それから医療機器、これは少ないですが、それでもずいぶん買いまして二十万ドル、それから仕組み船が二億六千二百万ドル、鉄鉱石とか焼結鉱などで約八百万ドル、その他ヘリコプター等々三千三百万ドル、これが合わせて二十二億四千万ドル、こういうわけで、これにいま申し上げました七億八千万ドルが三月までには成約を得てプラスされると、こういう状況でございます。
  303. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 関連ですから簡単にいたしますが、先ほど南北問題も東京サミットに入ってくるという話ですが、二月中旬にタンザニアのアルーシャで開かれた開発途上国七十七カ国の閣僚会議でアルーシャ宣言を採択していますが、その中で、一次産品の価格安定のための共通基金構想と、いま一つは先進国の開発途上国に対する援助、特に政府援助を量質両面で改善させる、このことが出ております。特にわが国に対してはその中で大分厳しいようです。その中で、アメリカ、西独、日本の三国に政府開発援助の三年内倍増を求めている。すでに決定したいわゆる目標でありますGNPの〇・七%達成、日本は七八年で〇・二%台でございますから、それを強く要求していて、日本には実質ベースで倍増と、特に注文ということが言われておりますけれども、これに違いがないのか、この実質ベースで特別注文がつくという内容は一体どういうことなのか、こういう点で、この政府開発援助、この低いことがこれから東京サミットを初めUNCTAD、いろんなところでわが国が追い込まれてくる一つの大きな問題だろうと思うんですけれども、そういうことに対しての基本的な考え方を伺いたいんです。
  304. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 政府開発援助につきましては、五十四年度におきまして約七千二百十七億円のわれわれは支出を考えておりまして、これは先ほどお示しのありました五十二年の実績十四億二千四百万ドルの三年間倍増という計画のラインでは、十分この数字でまず対応できるわけであります。ただいまおっしゃいましたような、さらにこれを短期に詰めろということでありますが、私はやはりこうした問題につきましては、なお政府部内でよく検討しなきゃなりませんが、同時にまた、わが国としましてはせっかくの黒字をもっと有効な方面に活用するということも、特に先進国関係において私らは直接投資をさらに拡大する方がより効果があるという面も考えながら、いま現状におきましてはやはり三年倍増というこのプログラムでしばらく進んでまいりたい、いま私はそう思っておるところであります。
  305. 園田直

    国務大臣園田直君) 御発言の共通基金の問題、これは御承知のとおりに昨年のASEANの外相会議で強く出たことでありまして、それを引き受けて、昨年のボンのサミットではわが方から強く主張いたしまして、消極的であった米国その他もこれに共鳴をして共同宣言となったわけであります。しかし、その後まだ開発途上国の意見とそれからアメリカ初め先進国の意見との相当の隔たりがありまして、やや消極的にまたなってきた感じがいたします。そこで、UNCTADの総会を目標に、わが日本国は両方に、譲るべきものは譲ってこれを建設的な方向に持っていきたいとせっかく努力をしておるところでありまして、ASEANの国々はこのことについては高く評価をいたしております。  なお、先般、米、西独、日本政府経済援助の話が出ましたのは、大体開発途上国に対する援助は米国、西独、日本合わせてその半数以上を占めておりますので、この国々に対してまだ〇・七までいかぬじゃないかと、具体的に言えばこういう要求であります。幸い、ただいま御審議を願っております予算面では、財政当局も非常に苦労してくれまして、予算面では〇・三一、大体三年間倍増が実現するわけでありますが、わが方としても、いままでの努力にさらに重ねて、まず第一には予算面の〇・三一が次は実質面の〇・三一ぐらいにいくようにし、続いて〇・七という目標に向かって努力すべきだと考えております。
  306. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、国債問題に移ります。  五十四年度予算も大量の国債発行になりましたが、この国債が大量に出たいろんなことから、国債の金利を引き上げなければ売れないという状況にもなりました。この五十四年度十五兆二千七百億円の公債金収入の心配はございませんか。
  307. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 非常な大量の国債発行になりましたけれども、長期十年ものにつきましては、たとえば一兆円をシンジケート団にお引き受けをいただきますとか、あるいは中期のものを相当大幅にふやして、たとえば二年もの、三年もの、四年ものと、これを公募入札に付して消化をするとか、あるいは従来やっておりませんでした資金運用部資金による買い入れを、これも公募入札でございますけれども、これを一兆円以上、一兆五千億でございましたかふやすというようなことで、大体いまの状況では順調に、先般十年ものの金利を一部上げた次第でもございますが、順調に消化できるのではないかと考えておる次第でございます。
  308. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 十年ものは十兆円じゃないですか、いま一兆円とおっしゃった。
  309. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 昨年に比べて一兆円増加いたしたわけでございます。
  310. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 借金財政というのは大変むずかしいわけでして、いままでの財政運営とは全然変わってきているわけです、これはもう御承知と思いますけれども。要するにキャッシュ、現金で返すか、借りかえをするか、また借金を返すための借金をするか、こういうことになってくるわけです。そういった点で大変な困難がこれから出てくるわけですが、そういった国債の償還、借りかえ、こういったことももう現実に私は壁にぶつかっておる。で、この五十四年度においても私は問題だということで、これからいろいろ指摘をしたいんですけれども、本当に政府としては――新経済七カ年計画を見ましても全く五十年代前期経済計画と同じ言葉が書いてあるわけです。「計画期間中、できるだけ早く特例公債に依存しない財政に復帰するものとする。」と。五十五年までになくするのをまた延ばして結局六十年までかかる。それでも私はこのままいけば危ないと思うわけですが、そういった中でこの国債償還の見通しは本当にあるんですか。政府はいつもあるあるとおっしゃっていますけれども、私これから具体的にやっていってむずかしいということを論証したいわけですけれども、そのために財政収支試算で三つのタイプを出されておりますけれども、いかがですか。
  311. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 先般閣議決定になりました新経済七カ年計画に基づきまして、償還計画も新たにつくり直して、五十九年度までに現在の赤字特例公債を脱却したい、ちょうど五十年から発行しました赤字特例公債が六十年にはもう償還期限が来るものですから、それまでにはこの特例公債をなくするように、まあこれは大変むずかしいことでございまするけれども、今後も歳入歳出の全般にわたって、骨身を削って努力しながら、五十九年までには償還を終わるように努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  312. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、二、三データをお示しいただきたいのですが、まず初めに国債の所有者別の比率、四十五年度から五十三年度まで説明してください。
  313. 田中敬

    政府委員田中敬君) 所有者別を便宜、政府、日銀、市中金融機関とその他のものと、四つに区分をして御説明申し上げたいと思います。  四十五年から四十六、七、八、九、五十、五十一、五十二、五十三年十二月末という順序で、逐次各機関の保有割合を申し上げます。  政府は、四十五年四〇・三、五五・六、一九・九、四七・七、四二・七、一九・七、一八・六、一六・八、二〇・八、ここで申します政府の大部分というのは資金運用部資金が持っておりまして、あとは簡保資金その他政府関係機関が持っておるものでございます。次に日銀を四十五年から申し上げますと、三七・六、ゼロ、一九・一、一九・四、三〇・〇、三六・二、二七・〇、一九・五、一〇・六。市中金融機関につきましては、一四・九、三六・一、五〇・七、二三・五、一九・七、三六・三、四二・八、四五・七、四八・〇。以上のほか、すなわち証券で発行されまして保有者が個人あるいは事業法人、外人等と目されるものでございますが、これが四十五年から七・二、八・三、一〇・二、九・五、七・六、七・八、一  一・六、一七・九、二〇・六でございまして、ちなみに最終年度の五十三年十二月末の実数を、いまの比率に対応いたします実数を申し上げますと、政府が八兆五千五百四十五億、うち七兆九千七百八十八億は資金運用部が持っております。日本銀行四兆三千六百八十、市中金融機関十九兆七千三百十九億、その他が八兆四千七百九十億円となっております。
  314. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 大蔵大臣にお伺いいたしますが、五十年度と五十年度以前を比べますと明らかな変化が見られるわけですが、この比率の変化をどうごらんになりますか。また、その原因は何と考えられますか。
  315. 金子一平

    国務大臣金子一平君) これは御承知のとおり、政府の財政運営におきまして大変厳しい情勢になったものですから、大幅の国債増発をやらざるを得なくなったのはそれが一番大きな原因考えております。
  316. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いろいろお伺いした後でまとめて議論はいたしますが、次に、四十八年以降の借りかえ債の引き受け状況、これを説明してください。
  317. 田中敬

    政府委員田中敬君) 借りかえ債の引き受け状況でございますが、その前に、先ほど申し上げました説明と同じように保有状況を先に申し上げたいと存じます。  四十八を最初にいたしまして、四十八、四十九、五十、五十一、五十二、五十三の十二月末ということで、区分は先ほどと同じといたしまして、政府が四十八年七〇・九、一〇・五、一八・四、一六・五、一四・三、五〇・二。日銀、一九・三、八六・〇、八〇・三、八一・四、八五・一、四九・二。市中金融機関、九・九、二・三、一・〇、〇・七、〇・六、〇・五。その他が、四十八年ゼロ、四十九年一・三、〇・四、一・四、五十二、五十三年十二月末はいずれもゼロでございます。  引き受け状況でございますが、満期が到来いたしましたものの引き受けにつきましては、ほぼこれと同じでございますが、現段階で五十三年度の末、すでに借りかえ債は本年度発行がございませんので、五十三年度末の数字を申し上げますと、借りかえ債の引き受けは、個人等はゼロ、金融機関の借りかえ債の引受額は八百九十九億、それから日銀の借りかえ額は二兆六千七百二十五億、運用部の借りかえ額は二千十四億、合計で借りかえ総額が二兆九千六百三十九億でございますが、これは収入金ベースで申し上げましたので、借りかえ債として発行いたしましたものは、収入金二兆九千六百三十九億円に対しまして三兆三十八億という形になっております。
  318. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 この借りかえ債について見ますと、かなり政府、日銀がほとんど受け取っておる、だんだん下りますと。そうとってよろしいですね。
  319. 田中敬

    政府委員田中敬君) いままで発行いたしました借りかえ債というのは、昭和四十一年に公債を発行いたしまして、当初満期構成が七年でございました。この七年の満期が到来いたしたものにつきまして償還方式に従いまして、約その六分の一を現金償還をし、残余を借りかえ債で発行するということになっておりまして、ちなみに委員御指摘のように、政府、日銀が多いのではないかという点につきましては、四十八年に満期が到来いたしました――いままで満期が到来いたしました国債というものはいずれも昭和四十六、七年以前に発行された国債でございまして、御承知のとおり、当時の国債の保有状況を見てみますと、国債を大部分市中金融機関が引き受けておりましたけれども、これは当時の高度成長に応じまして成長通貨の供給ということで、一年経過いたしますと、ほとんど日銀にオぺで吸収されております。昭和四十九年末の市中金融機関が保有いたしますオペ適格国債の九九%が日銀にオペで吸収されておりますので、そういう関係で借りかえ債と申しますか、現在まで借りかえた対象の国債というものはほとんど日銀と運用部で持っておったと、こういう関係で借りかえの引き受けが日銀、政府にほとんど集中いたしまして、市中にはもともと借りかえられるべき元本となる国債がなかったということから、このような数字になっているわけでございます。
  320. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、日銀の買いオペについて、オペ適格国債中のオペ実施率、これをお示しいただきたい。
  321. 前川春雄

    参考人(前川春雄君) 日本銀行は、買いオペをいたしますときには、発行後一年を経過した後でないと買いオペの対象にいたしておりません。そういう意味で前年度までのシ団の引受国債の累計額に対しまして、その当年度までに日本銀行が買いオペをいたしました金額の累計額、これで買いオペの実施比率をはじいてみますと、五十三年度四月から十二月までに買いました分を分子にしてはじきますと三七%、ちょっとさかのぼりまするが、五十二年度は四三%でございました。五十一年度は五五%、こういうふうにだんだん減ってきております。
  322. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 五十年度はいかがですか。
  323. 前川春雄

    参考人(前川春雄君) 五十年度はちょっと数字は持ってまいりませんでしたけれども、いまのお話のように、買いオペは、高度成長期にはどうしても成長通貨の比率が多うございましたものですから、買いオペをした比率がちょっと多く出ておりますが、だんだん減ってまいりまして、本年度は三七%ということでございます。
  324. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私もいろんな資料で調べますと、五十年度まではかなりの高率の買いオペが実施されたのが、五十一年度以降はその率がダウンをしているわけです。いま高度成長であったのでと言われましたが、こういう低成長になって、この日銀の国債買いオペに私はだんだん限界が来ておると思うのですが、そういった限界はあると、このように判断してよろしゅうございますか。
  325. 前川春雄

    参考人(前川春雄君) 私どもの買いオペは金融調節上の必要な範囲だけに限っておりまするので、限界と申しますると、やはりそのときどきの金融調節上の必要以上に買うことは、インフレにつながりまするので、どうしてもすべきでないということであろうというふうに思います。いま日本銀行の金融調節は、毎日毎日あるいは月々の金融調節、それら短期の調節につきましては、貸し出しあるいは手形のオペでしておるわけでございます。しかし、一年を通じまして大体成長通貨――いわゆる成長通貨と申しまするか、通貨の発行高は大体一〇%から一一%ぐらいずつふえてまいりまするので、これは日本のGNPの増加に応じましてその程度の通貨の供給量というものがどうしても必要でございまするので、それを賄います分を国債のオペでしておるわけでございます。したがいまして、限界ということで考えますれば、やはり成長通貨の範囲内、その必要と認められる範囲内がその限界であって、それ以上買いますると、それは過剰供給、インフレということにつながりまするので、私どもとしては厳にそういうことがないように慎んでまいりたいというふうに考えております。
  326. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、日銀資産に占める年度末における国債所有の比率、これについてデータを教えてください。
  327. 前川春雄

    参考人(前川春雄君) 五十二年度末、昨年の三月末で資産の合計十八兆六千百二十九億千五百万円でございます。そのうち国債の保有高でございまするが、八兆七百五十九億二千万、その国債の中には短期債も入っておりまするので、長期国債だけでとりますると六兆四千四百四十二億九千五百万、これは簿価ベースでございます。額面でございません、簿価でございます。
  328. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 パーセントで言っていただけますか。
  329. 前川春雄

    参考人(前川春雄君) 昨年末の長期国債と総資産の比率は三四・六%でございます。
  330. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 五十一年度は。
  331. 前川春雄

    参考人(前川春雄君) 五十一年度数字をいまちょっと持ってまいりませんでしたが、計算させましてすぐお届けに上がります。
  332. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私、いろいろ計算いたしましたが、この国債の所有の比率は四十九年度以降大変高まってきておるわけです。四十九年度以前に比べ、五十年度以降国債の占める割合はそれほど増加していない。高まっていると言いながら、四〇ないし大体五〇%ぐらい、この辺が私はぼつぼつ日銀資産の中に占める国債の限界ではないかと、このように思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  333. 前川春雄

    参考人(前川春雄君) ただいまの御質問にお答え申します前に、日銀資産の中の国債の比率でございますが、五十一年度末三三・八%でございます。五十年度三三・三でございます。  日本銀行が国債を保有いたしまするのは、やはり資産の中で信用度が一番強い、高いものでございまするので、日本銀行がオペレーションをいたしまする場合にも国債を対象にしておるわけでございます。この比率は少しずつ高まってきておるわけでございまするが、借りかえ債――オペをいたしまする金額は毎年成長通貨の範囲内ということに厳に抑えておりまするので、国債の発行額がふえましても、そのうち日本銀行の国債の保有高がふえる部分というものはそれほど大きくはございません。  借りかえ債につきましては、これは日本銀行が借りかえまするけれども、その部分につきましては、これは新しい通貨の増発とは関係のないものでございます。過去に買いました分がそのまま国債として続くわけでございまするので、この分がふえましても限界ということにはなりませんけれども、いずれにいたしましても、日本銀行といたしまして買いオペをいたしまするには成長通貨の範囲内に厳に抑えていきたいと、抑えていく方針をとっております。
  334. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、日銀の買いオペで吸収された日銀所有の国債は、運用部の資金運用で運用部がその一部を所有するわけですが、この運用部の引受量というものは限界が私はあると思うわけです。その点はいかがですか、大蔵省。
  335. 田中敬

    政府委員田中敬君) 運用部の国債の引き受けの限度でございますが、御承知のように資金運用部の原資と申しますのは、郵便貯金、年金等が預託されたものが原資になっております。そういう意味におきましては、財政投融資計画に計上して、各政府関係機関その他に融資をいたします金額と国債を引き受ける金額と相対的にどちらを重く見るかということで、限度論につきましては、その比重の問題がございますのでしかと申し上げるわけにはまいりませんが、財政投融資のウエートというものが、あるいは景気刺激その他の政策要請で大きくなれば、相対的に国債の引き受け余力というものは下がるんだろうと存じます。  それともう一つ、日銀が、いま委員が御指摘になりましたように、オペレーションで吸収いたしました国債を、資金運用部が有利運用として、これを一時日銀から余資の短期運用という形で運用をいたしております。この運用の限度額でございますが、これは資金運用部の資金が、かつては三十兆、四十兆でありましたものが、現在すでに七十数兆円に上っております。総体の資金量が大きくなりますれば、預託と運用のずれと、あるいは繰越額の増大という形で短期に運用し得る余裕資金が大きくなってまいりますので、日銀からなるべくこの大きくなった余資の運用につきまして、長期国債の有利なもので運用したいという観点から見ますと、これは年々運用部の総資金がふえるに従って、余資の運用割合として日銀から長期国債を引いてくる量というものも相対的には大きくなっていくというふうに考えます。
  336. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次に、借りかえ債は四十八年から五十二年度までの累積でどのくらいの金額になりますか。
  337. 田中敬

    政府委員田中敬君) 先ほど申し上げましたように、国債を四十一年以来発行いたしまして借りかえました総額と申しますのは、満期が到来いたしました金額が五十三年度末までで三兆三千五百五十七億円、うち現金償還をいたしましたものが三千九百十八億円、よってこの差額の二兆九千六百三十九億円が借りかえられております。   〔委員長退席、理事岩動道行君着席〕 これは収入金ベースでただいま御説明を申し上げましたので、二兆九千六百三十九億円の借りかえ債というものは額面ペースでは三兆三十八億円になります。
  338. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 日銀の五十二年度末の国債保有残高が六兆二千億ですから、大体三分の一が借りかえ債ということになるわけですが、先ほど来私が申し上げてまいりました国債の日銀、運用部の保有比率の低下、また買いオペ比率のダウン、これは借りかえ債の保有比率の増大と関係があると思いますが、その点はいかがですか。  もう一つは、借りかえ債の増大と大量国債発行の両方が国債の日銀と運用部保有比率の低下の原因になっておるのかどうか、その点はいかがですか。
  339. 田中敬

    政府委員田中敬君) 御質問の御趣旨がはっきりつかめませんので、お答えが正確であるかどうかおわびを申し上げたいと思いますが、委員の御質問の御趣旨が日銀と運用部の国債の保有比率が下がるというのはどうかという御趣旨であるといたしましたら、確かに資金運用部資金におきましては、五十一、五十二年度におきましては国債発行総枠の中におきまして一兆円という相当割合あるいはかって四十一年から国債を発行いたしまして以降、大体発行枠の一〇%、二〇%というようなものを運用部が引き受けた時代がございますが、御承知のように本年度、五十三年度は十一兆円の国債の発行の中で運用部は、当初引き受けは、先ほど申し上げましたように財投資金、財投計画に充てるべき資金需要に押されまして引き受け額をゼロとしたというような経緯がございまして、そういう意味では相対的に発行される国債の中で当初運用部が引き受ける比率は下がってまいっております。これは今後も上昇するということは非常にむずかしいものだと思っております。  それから日銀でございますが、御承知のように日銀は当初から引き受けるということは絶対あり得ないことでございまして、日銀が国債を保有いたしますのは、先ほど副総裁が御説明になりましたように金融調節手段として買いオペをした金額だけでございます。買いオペの比率、額というものが経済の成長の低下を反映いたしまして、逐次相対的に比率として当年度あるいは前年度発行された国債の額に対する買いオペ実施額というもの、すなわち言ってみればオペ適格国債の総額に対応する買いオペ比率というものも低下いたしております。そういう意味では運用部と日銀の保有割合が減っていくということは事実でございます。  そこで起きます問題というものは、市中の保有が多くなるということでございまして、この市中の保有が多くなるということは、一つには市中の当初の消化の問題がございます。それともう一つは、市中で、先ほども御説明申し上げましたように、昨年十二月末市中金融機関のみで十九兆を超える国債を保有している。この保有国債に対する管理をどうしていくかというようなことが今後の大きな国債管理政策の問題になろうかと思います。
  340. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私いままでずっと聞いてきたのは、いま最後に理財局長言われたこの大量発行によって市中金融機関の国債保有比率が大変増大をしてきておる。これがもう急上昇してきているわけです。今後とも、いまのお話を聞いておりますと借りかえ債の日銀、政府の保有比率はかなり高比率で続くと考えられると思います。それから日銀の国債の買いオペ率も低くなっていくと。そうなるとますます今後とも市中金融機関に大量の国債を消化してもらわなきゃならぬと、こういう状況考えてよろしゅうございますか、大蔵大臣。
  341. 金子一平

    国務大臣金子一平君) お話のとおりでございますが、今日のところはまだ民間の資金需要が大きく伸びておりませんから、五十四年度の資金計画としては、先ほど来全体の計画を申し上げましたが、その程度の消化は十分できると考えておる次第でございまするけれども、これから毎年毎年こういう大量の国債を出せるかというと、それは景気の動向いかん、経済状況いかんによってそんなに簡単にいかないんじゃなかろうかと、私どもとしては将来の発行については十分留意していかなければいかぬというふうに考えておる次第でございます。
  342. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 先ほどからずっといろんなデータを出していただいたんですが、国債整理基金の資金繰り状況の仮定計算によりますと、借りかえ債は五十七年度には一兆円を超える、六十一年度には十兆円、六十六年度には二十兆、六十九年度には三十二兆円を超えるわけですね。いままでのこの傾向がそのまま続くと、この巨額な量が借りかえ債の場合であればもう九〇%以上、九九%ぐらいは政府、日銀の保有になるわけですね。この計算でいきますと、たとえば六十九年度には三十二兆円の九〇ないし九九%は政府、日銀で保有すると、こういうことになりますね。そういうことでよろしゅうございますか。
  343. 田中敬

    政府委員田中敬君) 委員の御指摘でございますが、委員の御指摘のようなことには必ずしもならないと思います。と申しますのは、借りかえ債というのはどういう形で発行するかということでございますが、御承知のように国債の減債制度がございまして、十年債につきましては六十年でこれを償還する。十年の満期が来た際には六分の一を現金償還し、六分の五を借りかえ債の発行をもって充てるということになっております。  先ほど来御指摘のように、従来日銀あるいは資金運用部資金が非常に借りかえ債の大部分を持ちましたということは、市中に借りかえの対象がなかった。市中金融機関が持っておった国債が全部オペレーションで日銀に吸い上げられ、日銀で吸い上げられた国債のまた一部が資金運用部の有利運用の玉として運用部に保有されたということで、借りかえ債の引受者が日銀あるいは運用部になっている実態がございますが、今後のことを考えますと、先ほど来日銀副総裁の御指摘のようにオペレーションが相対的に発行額あるいは市中保有額に対して少なくなってまいりますと市中で相当額の保有をいたすことになります。そうすると、市中金融機関も、満期が到来した国債を従来はオペによって日銀に吸収されておったけれども、自己保有をすることになる。そういたしますと、自己保有を市中金融機関がいたしておりますと市中金融機関にも当然借りかえが及ぶということで、今後はむしろ借りかえ債の保有比率というものは市中金融機関の方が高くなっていくというふうに考えております。
  344. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そういうことで大蔵大臣はいいんですかね。そうでなくてもいま市中金融機関はたくさんの国債を買わされて困っている。そこへいままで借りかえ債については政府、日銀が全部買っていた。ところがいまの理財局長の御答弁だと大量に出てくる借りかえ債も全部――全部とは言いませんけれども、かなりのパーセンテージは市中金融機関に持たせる、こういうことなんですね。ということは、ますます借金財政がだんだんずるけていくというか、崩れていくというか、いままでならばちゃんと満期が来たのは政府が責任を持って買い上げておった。それをもう銀行側にも書きかえさしてまた借りかえ債も延ばしていくと、こういうことになるとますますこれは金融政策としては大変なことになるのじゃないですか、いかがですか。
  345. 田中敬

    政府委員田中敬君) 市中金融機関が保有します国債を借りかえをいたしますということは、市中金融機関に新たな債務が増加するわけでございませんで、従前持っておりました国債の期間の延長、言ってみれば期間の延長に当たるようなものでございます。それに加えまして新発債が入ってくるということになりますと、結果といたしましては市中金融機関のポジションから申しますと、預国率、預証率、そういう債券保有率が多くなるという結果として出てくる問題でございまして、それ自身が借りかえ自体が金融に大きな影響を及ぼすという問題ではないだろうというふうに思っております。
  346. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 大変甘い御答弁だと思うんですよね。いま申し上げたように、六十九年度には三十二兆円を超えるというデータがこの試算で出ているわけですね。六十一年度をとっても十兆円ですよ。いま確かにそれは延ばしただけでもう金融機関の負担は少ないと思いますけれども、今後新発債というのはまだまだ出るわけでしょう。財政収支試算のいわゆる依存型でない標準型をとってみてもかなり出ているわけですから。いまのは、私は市中金融機関の方が聞いたら怒るのじゃないかと思うのですけどね、政府は平気な顔をしてどんどんどんどん押しつけてくると。その点いかがですか。
  347. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 七カ年の新計画でも毎年経済は六%前後の成長をすることを見込んでおりますし、やはり経済の成長に伴って金融の基盤もだんだんと大きくなることは当然でございまするから、まあそこら辺を見込みながら、同時にまた国債の発行についての圧縮を考えながらやっていけば十分いけるのじゃなかろうかと考えておる次第でございます。
  348. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 それは大変私は甘いと思いますよ。そういうことを言っているから幾らでも大量の国債を毎年毎年出して、まあ私なんか若いから、十年たったらどうなるか、ぞっとしますよ。いまの閣僚は十年後生きていらっしゃるかどうか私知りませんけれども、いや、これまじめな話なんです。  次に聞きますけれども、財政収支試算によれば、標準型を取り上げても十五兆円ないし十三兆円、また特例債依存型をとりますと十五兆円から二十五兆円毎年発行と、こういうことになっておるわけですね。そうすると、これも市中金融機関が保有する比率というのは、先ほど私がお伺いしたデータによっても、市中金融機関の所有比率はずっとふえてきているわけですから。大量国債発行になってぐんとふえているわけですから。   〔理事岩動道行君退席、委員長着席〕 それをさらにまたこういう財政収支試算の上から見ても、先ほど理財局長が言われた借りかえ債すらまた市中に持たしていくと、こういうことになってきますと、これはますますもって市中金融機関が破綻をすると、これはもう目に見えていると思うんですけどね。いかがですか。
  349. 金子一平

    国務大臣金子一平君) やはり貯蓄がどれだけ伸びるかということによって公債の市中消化の限度もあるわけでございまして、結局、公債をどこまで減らせるかは、歳出と、税収をどこまで伸ばせるか、税負担をどこまで上げられるかにかかってくるわけでございまして、まあこれからの、来年度から私はそんなに毎年毎年十五兆円というような大量の国債発行をできる状況ではない、相当圧縮していかにやいかぬ、むしろ、今後の何と申しますか財政の圧縮による国債発行の規模を抑えることに重点を置いてやっていかにゃいかぬと思っているくらいでございますから、いまの問題は、今後の経済の伸び、民間経済における預金の伸び、それから税負担の増加を絡めての財政収入の伸びの全般を絡めて考えながら決めていかなければいかぬ問題と考えております。無条件に毎年毎年ことしのような国債発行ができるなんということは私どもゆめ考えておるわけではございません。
  350. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私、後で財政支出の面についてはまた申し上げますけれども、これは鈴木委員がこの間質問もされましたが、いま市中金融機関の保有が急速に増大をしておる。いま、大臣は、貯金が伸びて経済拡大してくればお金ができてくるからいけるだろうと、こういう見通しですけれども、むしろこれから景気が伸びてくれば各企業の資金需要が伸びる。そこでクラウディングアウトが起こるということがもう――私はもうクラウデイングアウトは起きていると見ているんです。だからこの利回りを上げられたわけでしょう。そういうことで、これから実際本当に景気はいまぐんぐん回復しつつある状況ですから、資金需要は必ず出てくる。必ずここで行き詰まりが出る。それ以上に国民が貯金をするかどうか、これは私は大変疑問に思うわけでね。その点いかがですか。
  351. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 先般六分一厘債の引き上げに踏み切りましたのは、消化に行き詰まったということよりも、長期金利の引き上げ期待感がある程度高まってまいりましたので、それを打ち消すと同時に、今日の金融緩和の大勢は動かしませんよと。ただし、実勢と若干離れておった分はある程度引き上げましょうということで決意をいたした次第でございますので、今日の金融緩和の情勢が続く限りはいまの六分五厘債は相当消化されると思っております。  また、クラウディングアウトが現在すでに相当起こっておるとはまだ考えていないのでございまして、今後むしろだんだんと民間の余力が出てまいりますると、事業債その他いろいろなものが出てくると思うのでございまするけれども、そういうときは金融の繁閑を見ながらうまく調整して国債の発行をやってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  352. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 大変認識が甘いと思うわけですが、いまの利回りの改定でたくさん売れるとおっしゃっていますが、今三月期の決算で都市銀行だけで四百億円の評価損が出ると言われているわけですね。しかも、十年長期国債のみならず、中期国債が一月発行分を中心に四割も売れ残っている。これが証券会社が在庫を抱えたままになっている。こんな状況で十年債の利回り乖離が〇・八%になったということから上げるということになったのでしょうが、少なくもこの利上げについてはいま申し上げた評価損の発生が解消される程度の金利改定、これが要るのではないか。そうしないと、いま大量に金融機関に押しつけているわけですから、それが十分消化されるためにはやはりある程度の金利改定、これは大変むずかしいと思います、国債費がふえますから。そういった点で、評価損の発生が解消される程度の金利改定、これが必要だと思います。  それからもう一つは、多様化も言われておりますが、まだまだ多様化だけでは十分でないのではないかと、こう思いますが、その点あわせていかがですか。
  353. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 評価損を埋められるくらいの金利改定と言われますけれども、そのことはいま考えておりません。  それから多様化につきましては、先ほど来申しましたように、二年もの、三年もの、四年ものを出しておるわけでございまするけれども、大体市場の実勢がどういうものに指向するかは時々考えて重点的にシフトをさしていくべきだというふうに考えておる次第でございます。
  354. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 次にマネーサプライについてお伺いいたしますが、マネーサプライの最近の増加の傾向と要因について日銀の方から御報告してください。
  355. 前川春雄

    参考人(前川春雄君) マネーサプライの最近の状況でございまするが、M1あるいはM2、こういうことで私ども見ておりまするので、M1につきましては、つまり金融機関要求払い預金の増加状況でございまするが、これは昨年の初めごろは前年比六、七%でございました。これが最近では一〇%ぐらいの増加になっております。M2で見ますると、昨年の初めごろは前年比一〇%増でございます。――私が申し上げておりまするのは平均残高でございます。それが、M2につきましては昨年の春の終わりぐらいから一一%増にふえ、夏ぐらいからは一二%台でずっと推移しておるわけでございます。このM2の平均残高につきましては比較的安定的に昨年下期以来推移している状況でございます。  それから要因別の点につきましてお尋ねがございました。大きく分けまして、要因は、国際収支の黒と、それから対公共的な信用供与、それから対民間の信用供与、こういうことに分けられるわけでございます。国際収支の方はそれほど大きな比率を占めておりません。公共債、なかんずく国債の寄与度、国債を市中金融機関が保有したことによるマネーサプライの増加要因でございまするが、これは昨年の初めごろは二・七%ぐらいでございました。一-三でございます。昨年の十-十二ぐらいではこれが四・五%ぐらいにシェアがふえてきております。最近、十二月から一月にかけまして大体四・八ないし四・九ということになっております。民間に対する信用供与につきましては、これは月によって非常に振れがございまするけれども、大体八%から九%ぐらいで、これも少しずつはふえてまいっておりまするが、最近のところそれほど急激にふえているという状況ではございません。
  356. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いまのM2についても、この増加が国債がふえたことによっての寄与度というのがいま日銀の方から言われたようにふえてきているわけです。国債の大量発行というのはこういうところにも大変な影響が出てきておる。この辺を大臣はどうお考えになりますか。
  357. 金子一平

    国務大臣金子一平君) 副総裁からお話のございましたように、国債の発行が若干の影響を及ぼしていることは事実でございますけれども、やっぱり民間の資金需要というものがさらに大きく影響している次第でございまして、ここしばらくのM2の足取りを見ておりますると、一時の冷え切ったところの景気がやや動き出したという証拠というふうにわれわれは見ておるわけでございまして、これだけですぐどうこうという、むしろまだ景気が過熱したとかインフレにつながるとか、そういう心配は私どもはないと考えておる次第でございます。
  358. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 その辺は心配があるかどうか、もう少し後で私は議論しますが、次にハイパワード・マネー、すなわち日銀券発行残高とプラス市中金融機関の日銀への預け金、このハイパワード・マネーの年間増加率というのは、名目GNPの伸び率と同じにしておかなければ、これを上回るとインフレの原因となると、こう言われておりますが、このハイパワード・マネーの五十四年度以降の金額が、名目GNPの伸び五十四年度九・五、五十五から六十年度一〇・四といたしますと、それに必要なハイパワード・マネーの増加額は五十四年度が一兆五千億、五十五年度が一兆八千億、六十年度には二兆九千億と、こういうことになるわけですが、このハイパワード・マネーの、まあこれは単純な仮定になりますが、ハイパワード・マネーの増加がすべて国債の買いオペで行うとなれば、五十四年度は公債発行額十五兆二千七百億円の一〇%、それから五十五年度が十五兆七千三百億円の一一・六%、これしか実行できない、これ以上の買いオペをふやすと通貨の過剰供給となると、こういうことで、こういうところから見ますと、こういったことができるのかどうかですね。いわゆるハイパワード・マネーというものを抑えておくということが可能なのかどうか、その点いかがですか。
  359. 前川春雄

    参考人(前川春雄君) ハイパワード・マネーは、いまお話がございましたように、日本銀行券の増加額、それからそのほかには、市中の現金通貨、まあ補助貨を含めた現金通貨の保有額、それに日銀に対する市中の預け金、こういうものはいつでもすぐ購買力にかわり得るものでございまするので、そういうものは日本銀行の信用供与に直接関係しておるものでございます。このハイパワード・マネーの増加額というものをいかに調節して適切な範囲におさめていくかということが日本銀行がやっておりまする毎日毎日の金融調節であり、また年間を通じました買いオペによる成長通貨の供給ということにつながるわけでございます。私どももちろん経済情勢に応じましてそのときどきの金融調節というものには心を砕いておるわけでございまするけれども、先ほど来申し上げておりまするように、日本銀行の買いオペというものを成長通貨として妥当として考えられる範囲内にとどめませんと、これは必ずインフレにつながりまするので、現にそういう意味の金融調節をいたしまする場合の心構えといたしまして、金融調節が行き過ぎないようにということを申し上げておりまするのはそういう意味でございます。大体現金通貨あるいは日本銀行に対する預け金というものはそれほど大きなものではございませんけれども、GNPに対する比率は現在のところまあほぼ安定しておるわけで、これからGNPがふえますに応じまして、それが成長通貨として必要な部分だけは日本銀行から供給いたしまするけれども、もしこれがインフレ的になりまして、成長通貨の供給をわれわれとして抑えなければいけない、あるいはしぼらなければいけないというときには、日本銀行に与えられました金融調節手段あるいは金融政策を駆使いたしまして、十分その範囲内にとどめてまいる決心をしておるわけでございます。
  360. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 大蔵大臣ね、いま日銀副総裁は範囲内におさめると言われますが、先ほど私少し申し上げたように、このハイパワード・マネーの要するに原理といいますか、それでいきますと、今度の国債発行額の一割ですね、一〇%、シ団引受額の約一四%にしかすぎないわけですよね、ハイパワード・マネーというのが。そうなると、従来の低金利の国債発行、それがシ団で引き受ける、それで日銀が買いオペをすると、こういうのはこれはもう全然踏襲できないですね。その一〇%にだけしかできないというようなことは私はあり得ないと思うのです。いま副総裁は抑えるのだとおっしゃいますが、先ほど来ずっと申し上げてきたように、市中金融機関に大量の国債がある、借りかえをして延ばすとは言っておられますが、やはりこれがどんどんふえてきて、今後経済が成長してきて資金需要が出た場合、どうしても日銀は買いオペをせざるを得なくなる。そうすると、いま申し上げたハイパワード・マネーの増加分に日銀の買いオペがとどまることがない、したがってインフレということが出てくると、こう私は申し上げたいのですけれども、それを抑えられる自信と方途はおありですか、大蔵大臣。
  361. 金子一平

    国務大臣金子一平君) まあハイパワード・マネーも大体GNPの名目成長率に比例して伸びておるようでございますし、来年度の問題としては私は矢追さん御心配のような深刻な問題にならぬように何とか持っていけるのじゃないかと考えておるのでございますけれども、今後こんな状況がいつまでも続けられるというようなことは考えていないのでございまして、十分そこらあたりを検討して国債の発行額について注意してまいりたいと思います。
  362. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私の質問に余り答えていただいていないわけですよね。私は、具体的な数字を挙げてきて、そうしてこのままではおさまらない、結局日銀がもっと買いオペしなきゃならぬ状況になる、そうすればもうインフレになるのじゃないかと。絶対ないないとおっしゃっています。いま来年度のことをおっしゃいましたけれども、ことしが私は大変問題だと思うのですよ。要するに、いま景気はずうっとよくなりつつあるんですから、まあよほどの事態がない限り、このまま伸びてくれば資金需要はもう絶対出てくる。そうすると、市中金融機関は、政府のいままでの話を聞いていますと、もうクラウディングアウトさせざるを得ないわけですよ。そんなことは絶対しないでしょう。そうすると買いオペをやるわけでしょう。そうするとインフレになると、こうなるんですよ。大変ジレンマと言えばジレンマ、むずかしい問題ですけれども。もう一度はっきりお答えください。
  363. 金子一平

    国務大臣金子一平君) これが国債が売れないからといって安易に日銀に引き受けてもらわなきゃならぬというようなことになりますと、矢追さん御指摘のような問題が起こりますけれども、いまのところは、そういうことではなくて、資金計画全体の姿をながめてみても、五十三年度に比べて、たとえばシンジケートの引き受け額は一兆円の増、資金運用部の方は一兆五千億の増というようなことで、大体の従来の経験に経済の伸びを上積みした分を消化してもらえるようなことで話を進めておるわけでございますので、御心配いただくようなことのないようにぜひひとつ消化さしていきたいと考えております。
  364. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 大変甘いと思うんですよね。まあこれからの対応を見たいと思いますけども。財政収支試算によりますと、六十年度の利払い費が八兆円、国債費が十一兆。私の計算では、六十九年度赤字国債の償還の終わるときには十五ないし十六兆円、そういう試算をいたしました。そのときの四条債の発行は三十兆円、半分以上が利払い費になると。予算繰り入れがふえる六十五年ないし六十七年の間は国債費は二十兆円を上回る試算となる。その年度の四条債の発行額は二十一ないし二十五兆円。だから、国債発行による収入金は全額国債費にとられてしまうと、こういうことになってくるのですが、こういうのはもう全く奇想天外な発想としか考えられないのですが、こういう財政収支試算を本気で大蔵省は出されているのですか。
  365. 長岡實

    政府委員(長岡實君) 御質問の趣旨が数字の根拠がちょっと私把握いたしかねたのでございますけれども、財政収支試算を六十年度以降どういうふうに延長していった場合という前提を置いたお話でございましょうか。
  366. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 はい。
  367. 長岡實

    政府委員(長岡實君) これは六十年度以降の数字につきましては、実は私どもよりどころがございませんので、計算を申し上げて委員会の席上御説明申し上げる自信はないのでございますけれども、ただ、衆議院の予算委員会におきまして、社会党の藤田委員から、相当大胆な前提を置いて六十年度以降の財政を想定していった場合にどうなるかというものを計算したものはございます。それによりますと、二通りの計算をしたわけでございますが、一つは、負担の平準化のために予算繰り入れを行う場合でございまして、財政収支試算の五十四年度のベースを前提とし、財政収支試算からはみ出ます六十年度以降の新発債の発行額は六十年度発行額を基礎として毎年度一〇%ずつ伸びると。これはもちろん特例債は脱却いたしますから四条債になるわけでございます。六十一年度以降、定率繰り入れを含む各年度の繰り入れ額を従来の百分の一・六よりも高めてまいりまして、急激に基金が枯渇して予算繰り入れが急激にふえないように一定の割合で予算繰り入れをふやしていった場合にどうなるかという計算をしたものはございます。その場合には、先ほどおっしゃいましたのは六十年度以降で、六十五年度で申しますと、また一般会計の予算規模をどう伸ばすかということも一つの問題になるわけでございますけれども、まあきわめて大胆な計算をいたしますと、国債費は最高の時点では二十二兆円ぐらいになると。六十六年、七年度あたりでは国債費が二十二兆円ぐらいになると。一般会計の予算規模に占める割合も、現在五十四年度で一割を超えたわけでございますが、それがいま申し上げましたようなきわめて大胆な前提を置いた試算をそのまま伸ばしますと、二割に近づくというような数字を一応計算いたしたことがございます。
  368. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 総理、私いままでいろいろ議論をしてまいりましたが、仮に財政収支試算標準型どおりであっても、大量の国債発行、それに伴う、先ほど申し上げておりますように、その負担はすべて大部分が市中金融機関になり、それは結局はマネーサプライ等からしましてもM2の問題からしてもインフレになる可能性一つある。仮りに今度は利息を上げてきた場合は、国債費が大変ふえてきて問題が起こる。非常にむつかしい事態になってきているわけですね。これは本当に先ほど来大蔵大臣の答弁を聞いておりますと私はもう大変甘いと思う。こんな状況では経済運営の将来に大変禍根を残すと思うのですね。総理はこの現状をどこまでシビアにお考えになっているか、これが一つ。  もう一つは、さっきから大蔵大臣のお話を聞いておりますと、来年は来年はということで大変来年度に期待をされて、特に来年度は国債の発行を減らすと。ということは、もう歳出をぶった切るしかないわけですね。いままで日本の財政で一番問題になってきたのは、三K赤字と言われる医療関係、それから米を中心とした農業、それからもう一つは国鉄に見られる助成金、こういうものがいわゆる三Kとして再検討を要するわけです。こういったものを並べますと、医療費だけでも五十四年度予算で三兆三千億、農林水産関係の補助小計で一兆一千億、それからその他国鉄助成費、中小企業対策、私学助成等を全部入れますと、総合計いたしますと五兆六千億ぐらいあるわけですね。この中で一番やっぱり問題なのは医療費それから農林水産関係、食管というふうに代表される一兆一千億、四兆四千億あるわけですね。こういったものを何とか削っていくしか残ってこない。しかし、これを削るとなれば、これはまたいろいろな問題が起こる。大変むつかしい状況であると思うのですが、その点、総理、どうですか。あわせて各大臣からお伺いしたいと思います。
  369. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) こういう国債に過剰に依存している財政状態に対しまして、矢追さんと同様、私も大きな憂慮を持つものでございます。現にこの状態は異常な状態だと心得ております。したがって、国債が円滑に消化できる間はまだしも、ここに赤信号が出ておるというような状態になりますと、これは容易ならぬことでございますので、まず当面の事態に対処して国債の管理には周到な配慮を加えなきゃならぬと思いますけれども、何よりも財政の再建を通じまして国債費を減らしていくということで思い切った勇気ある施策を行っていかなければならぬと考えております。その際、まず問題になる象徴的な問題は、あなたの言われる三Kを初めとする問題であろうと思うのであります。それにはそれなりの抵抗があるとは思いますけれども、政府としては全力を挙げてこれと取り組みまして、そのメスを入れていかなければならぬと考えております。これはしかし、政府も一生懸命にやるつもりでございますけれども、ひとつ国会におきましても御協力を願わなければならぬと思っておりますので、その点、よろしくひとつ御配慮を願いたいと思います。
  370. 町村金五

    委員長町村金五君) 前川参考人には御多忙中のところ御出席いただきまして、ありがとうござ いました。御退席いただいて結構でございます。
  371. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 基本的には、医療費の増高を食いとめるというよりも縮小していくためには、国民の健康づくりということが一番であります。より健康な国民が育てば育つほど医療費が減っていくということはこれは間違いがありません。ただ、現実の問題といたしまして、減速経済の中で、人口の非常に急激な老齢化、また医療の高度化等の原因によりまして増高を続けておることは御指摘のとおりであります。ことに、今後の推移を考えてこのままで伸びていくとすれば、これをいかに国民が負担していくかということはきわめて大きな問題であることは間違いありません。  ですから、医療保険制度の抜本改正につきまして一昨年の十一月に本院の社会労働委員会で御提示をいたしましたいわゆる十四項目の手順に従って、現在私どもは健康保険制度の改正について、その第一着手としての健康保険法の改正案の御審議を願おうとしておるところであります。この改正によりまして給付の平等、また負担の公平、高額な家計負担の解消等を図っていくと同時に、患者負担と保険料負担のあり方を合理的に見直していく。これを第一着手として医療保険制度の改正に取り組んでいこうと考えております。
  372. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 三Kは、これは考えてみますと、私は高度経済成長になってからだと思うんです。たとえば食管にいたしましても、まあ国鉄、林野にしても、それ以前は余り赤字じゃないわけですから、結局高度経済成長になって企業がもうかって、国もどんどん自然増収で金が入ってくる。それになってから赤字になってきた。私はやっぱり考えてみれば政治の堕落じゃないかという気が私はしている、実際の話が。たとえば、食管の問題でも大幅な生産者米価引き上げと、消費者米価は据え置きという差額はだれが持つんだと。高度経済成長以前は国に金がないからこれは食管もみんな受益者負担になっておったわけです。それを差額を持つということになって習慣づいてきたということが私は大きな原因だと思います。  補助金の問題は農林水産省でもそれはありますよ。ありますけれども、これは土地改良をやるとか何をやるとかというような補助金で、必ずしもむだだと思われるものはない。食管では約七千億円赤字があります。外麦等によって一千億円からもうけていますから、まあ六千六百億というような形になっておりますが、国内だけでは約七千億の赤字になっておる。しかし、これは一食当たりにすると十一円八十銭ですから、一食当たりにすると、そのうち売買逆ざやというのが一食当たりで四円三十六銭、この四円三十六銭を一食分とれば、要するに、二千三百億という金が消えたほかに自主流通の助成金というものも千三百九十億消える。したがって、四円三十六銭一食値上げをすれば、そうすればここで三千五百億円の金が消えるわけです。だから、これは一挙にやるわけにはいかない。物価問題がありますから一挙にはできませんが、もともとこれは消費者が負担しておったものだと私は思う。  したがって、これについては生産者米価の安易な値上げということは、過剰基調の中でもあるし、私は安易にはできないと思います。しかし、やはりかかっただけの経費は、これは民間がやろうと政府がやろうと、新潟の米を東京へ運べば運賃がかかるわけですから、これはともかく国でも民間でも、どっちでもかかったものはかかったものですから、このコストは私はやっぱり消費者が負担をするというのが本当じゃないか、こういうようなことを考えておりますので、今後は少なくとも赤字を増大させないというような創意工夫を加えてまいりたいと思います。そういう点では何分の御協力のほどをお願い申し上げます。
  373. 森山欽司

    国務大臣(森山欽司君) 三K、米と健保と国鉄と、私が国鉄を担当しておるわけでありますが、国鉄についてはあなたの御承知のとおり、昭和五十四年度予算、助成前の赤字は一兆二千億円にも達しておりますから、国民一人頭約一万円の税金を主とした負担を負っておるというのが現状であります。しかも、その能率たるや、国鉄監査委員会の報告によりますれば、私鉄、特に中小私鉄の経営能率よりも劣るというような報告も出ておるわけであります。また、そういうことを打開しようということでローカル線の整理問題について委員会の答申案が出ますと、また政府としてはその線に沿って検討しようということで、まだ決めてない段階であるにかかわらず、鉄道関係の労働組合の連合体が反対をする。反対をするのであるが、私鉄の方は主たる経済問題が片づけばストライキをやめるが、国労及び動労はあえてストライキをやるというような状況でありまして、こういうことをいつまでもやっておるということはきわめて事は重大ではないかというふうに私は考えております。  この点につきまして、一昨年の十二月に国鉄再建の基本方針というものが閣議了解で出ております。この閣議了解の基礎は、共産党を除く各党において、このままじゃほっておけないという意見を中心にして閣議決定がなされたわけです。その閣議決定の要旨は、国鉄自身が徹底して経営改善をやるということを前提に、適時適切な時期に運賃値上げをやり、これを補完する意味で政府が補助金を出す、こういう三本柱の上に立って国鉄再建を図るということになっております。それで、その時期は昭和五十年代に収支相償うことをめどとして昭和五十五年度から本格的な再建工作に入り、その前の昭和五十四年度、すなわちことしじゅうに基本的な方策を立ててこれに臨むということであります。したがって、私はこの閣議決定の趣旨に沿って、およそ本年六月ごろまでに基本的な考え方というものを国鉄から提出せしめ、年度内に、昭和五十五年度以降における、そして五十年代におよそ収支のめどをつけるという態勢の再建策を確立するために全力を尽くしたいという気持ちでございます。
  374. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 断っておきたいことは、総理、ただチープガバメントであるからといって国民の負担増になることだけは厳に慎んでもらいたい、これだけは申し上げておきます。  この問題の最後に、国債整理基金特別会計の基金残高につきましては、今年度予算書で参考資料をつけ加えていただきました。これは私の二年来の質問の結果つけていただいた点については大変評価をいたします。ただ、これで基金残高はわかりますが、国債の普通国債、出資国債、交付国債等のそういった種類別の償還額、借りかえ額、現金償還額、こういったことはわかりません。こういったこともわかるようにしていただきたい。  また、現在の特別会計、この法律は大変古い法律でございます。しかも国債償還の財源づくりを規定しているだけ、そういうことでございますので、これからの実情には合ってこないのではないか、こう思います。そういった意味で、いまの問題も含めまして、さらに国会でわかりやすくするために、こういった償還の実態を国会に報告する、そういう義務も含めた改正をぜひやる必要があるんじゃないか、こう思いますが、その点、大蔵省の見解をお伺いいたします。
  375. 金子一平

    国務大臣金子一平君) いま矢追さん御指摘の資料等につきましては、十分検討させます。だんだん改善の跡を見ておると思うんでございますが、なお不十分な点がありましたら、それは検討させます。  それから、国債整理基金法の改正の問題でございますが、ずいぶん古い法律でございますけれども、たしか四十三年でございますか、改正をいたしまして、千分の十六の繰り入れを決めておるんですが、いまのところはすぐこれを改正しなきゃならぬという必要性は私ども認めておりません。しかし、国債償還全般を含めて今後どういう対策をとっていくかということにつきましては、これからも検討を続けてまいりたいと考えます。
  376. 長岡實

    政府委員(長岡實君) ただいま大臣がお答え申し上げましたことにつきまして、一つ補足をさせていただきたいと存じます。  矢追委員の昨年の国会における御審議等に基づきまして、特別会計予算書の百十七ページに「国債整理基金における国債及び借入金に係る償還財源の繰入額等、償還額及び年度末基金残高表」というものを新たに載せたわけでございますけれども、ただいま御質問にございました現金償還と、それから借りかえのところでございますが、この添付資料の「償還額」という欄がございます。これは借りかえ額を除いた実際の償還予定額を記載することとしておりますので、普通国債につきましては、その実際の償還予定額がこの「償還額」の欄に載っておるわけでございます。それから借りかえ額はこの一番下の「国債借換額」という欄に示しておるわけでございます。なお出資国債、外貨債、交付国債等につきましては、その国債の性格等に照らして借りかえは行わず、現金償還を予定しておりますので、それがそのままこの「償還額」欄に示されておるというふうに御理解いただきたいと存じます。
  377. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 それでは次の質問に移りますが、総理、スタンプ販売というのは御存じですか。
  378. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) これは私どもの所管ですから、私から先に答えさしていただきます。  スタンプ販売というのは、いまお手元に見本を持っていらっしゃいますが、五十二年度で私どもの方で調べましたところによりますると、発行機関として掌握されておるものが全国でおおよそ二千四百、このうちの半数が商工会系のいわゆる小さな機関で発行をされております。残りの分は、商工会以外の分は商店街振興組合、それから専業会社というふうになっております。中には大きな百億以上も売り上げを上げておる会社もあるようでございます。  必要があれば、事務当局から詳しく御説明させます。
  379. 島田春樹

    政府委員(島田春樹君) お答え申し上げます。  いま大臣が申し上げましたように、スタンプ販売、スタンプ業というのは、簡単に申しますと、先生御案内だと思いますが、小売業の商品の販売に際しまして、一定額について一枚のスタンプを渡すというかっこうで、お客がこれを一定数集めますと、その集めた枚数相当額の商品等と交換できるということで、一種の販売促進手段として発達してきたものでございます。業況につきましては、いま大臣申し上げたとおりでございますが、大きいところ、いまちょっと大臣申し上げました点につきましては、売り上げ規模につきましては、大手四社で五十二年で売り上げで約三百億ということでございます。大体そんな業況でございます。
  380. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 大手だけで三百億。
  381. 島田春樹

    政府委員(島田春樹君) 大手四社で三百億ということでございます。売り上げ額でございます。
  382. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いまお話しのあったように、これは大変急激に最近成長してきた、アメリカから輸入されてきた商法でありまして、わずか十数年の間に約三千を超えるスタンプ会社が生まれているわけです。これは大変うまい商法であるわけでして、利益を生む場所が三カ所もあるわけです。通産大臣、御存じですか。
  383. 島田春樹

    政府委員(島田春樹君) お答えを申し上げます。  いまおっしゃいました三回あるというふうにおっしゃいましたのは、恐らくこういうことであろうかと思います。このシステムでスタンプ業者は最初に交換商品を仕入れます場合のその仕入れ価格と、それから実際に商品を渡す場合の交換価格という間に差がございます。その差というのが一つ出てくる。それからスタンプを前もって売る場合が多うございますので、その金が前払い金のかっこうで入ってくる。それを業者としては持っておるわけですから、それの運用益というのがあり得るだろう。それからスタンプを、これはお客さんが後で渡すわけでございますが、その回収の場合に全部の枚数は回収できるかどうかという回収率の問題がございます。この三つの点でスタンプ業者としては利益が出てくる可能性がある、こういう御指摘であろうかと思います。
  384. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 現在、大手の場合と中小は違うと思いますが、大体どういう傾向になっておるかわかりますか。いまの三カ所でもうかる、何が一番主体になっておるか、比率がわかればありがたいんですが。
  385. 島田春樹

    政府委員(島田春樹君) お答え申し上げます。  スタンプに関するデータというのは必ずしもいま、最初に申し上げましたように、きわめて多数の零細業者が多うございますので、したがいまして、その実態がなかなか私ども十分には把握してないわけでございますが、大手の数社につきまして見てみますと、大体最初の第一点の、いわば商品の仕入れと販売との差額から出てくるものが利益の大体八割から九割ぐらいということではないか、これは大手二社についてちょっと私どもが調べてみた感じでございます。
  386. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 その点が私たちの考え方といいますか、調査と違うところでありまして、一つは一番最初のお金を集めてくるその資金の運用ですが、これはかなりの私は利益を生んでいるのではないか。いまのお話だと商品を交換する、その仕入れと交換の間の差は確かにこれも多いものがあります。しかし、資金の運用というのもかなり利益を生んでおるという理由は、大手のスタンプ会社はその資金を不動産あるいはリース、レジャー産業等にかなり投資をして相当大きな、スタンプだけではなくて多角経営をやっております。これはもう最初からお金を持ってきた、そのお金を流用したことはもう間違いないと思うわけです。その点で資金の運用もかなりの利益を得ていると、こう思うのですが、その点はいかがですか。
  387. 島田春樹

    政府委員(島田春樹君) お答え申し上げます。  かなりその利益が大きいのではないだろうかという、その一つとして、いまおっしゃいましたような運用益というのが相当あるのではないかという御指摘でございますが、先ほど申し上げましたように、収益の内訳を見ると、私どもが承知しておるところではその比率というのは余り大きくないように承知しております。  なお、大手二社につきましての税引き後の純利益率を二社について見てみますと、五十二年でございますが、大体大手二社平均で約一・四%という数字がございます。で、他業種の収益、その純利益率、これは私どもの方で調べておりますわが国企業の経営分析によりまして、他の業種の主要企業の税引き後の純利益率を見てみますと、製造業平均で一・四四%、それから商業の関係でも、たとえば百貨店が一・二一%、チェーンストアが〇・九三%ということでございます。したがいまして、こういった数字から見る限りにはそれほどこの業種の、少なくともいま調べた範囲では特に高い利益率を上げているということには必ずしも相ならないというふうに思うわけでございます。
  388. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 その点はちょっと認識が違うんですね。これはお金を先にもらってくるんですからね。で、一年か二年は置いておくわけでしょう。商品交換は半年ぐらいではできません、こんなの一生懸命張るんですから、大変な日数を要してようやくこれで一冊でき上がって商品にかえてもらうわけです。しかも買物をしないとこれはもらえないわけですからね、このスタンプがもらえないわけですから。少なくも最初これを小売店ないしスーパーに売った、持ってきたお金は一年ないし二年は流用できる。しかもそれが少ない金じゃないんですよ、相当巨大なお金が最初に入ってくる。これは銀行預金にして置いておくわけはないですよ、やっぱりいろいろ使うに決まっているんです、もう商売としては常ですから。その点私は通産省の認識はちょっと違う。これは指摘をしておきたいと思います。  それからその次の、商品でまあもうけておると、商品交換利益と言っておりますが、こういうカタログをつくって売っているわけですね。大変いろんな商品が交換してもらえるということで出ておる。で、この商品の中身ですが、要するに二千円の買い物をして、そうしてたくさん張ってまあ交換に来たと、あるいはまた五千円の買い物をして張って交換に来た。いろいろこれで二千円の物とかえられる、あるいは五千円の物とかえられると、まあこう来るわけですけれども、実際その品物が値段が適切かどうか、われわれの調べたところによると、どうも百貨店よりは一割ぐらい高いんじゃないか。そうすると仕入れとの間で相当のもうけが出てくる。これが先ほど九〇%ぐらいと言われましたけれども、そういう面から見るとそうかなとも思いますけれども、この点はやっぱりちょっと問題だと思うわけです。その点はいかがですか。
  389. 島田春樹

    政府委員(島田春樹君) お答え申し上げます。  いま御指摘の点ですが、やはり仕入れと実際の交換との間には当然ある程度の差があるということにはなろうかと思うわけでございます。
  390. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 違うんです、この出ているこの金額ですよ。たとえばルームエアコンとかえるためには五百六十八冊、金額換算が二十八万四千円。それを買うためには千四百二十万円の買い物をして初めて五百六十八冊にこのスタンプを張って二十八万四千円の品物をもらえる。このルームエアコンがこの二十八万四千円ではないわけです。かなり高くなっているわけです。そういうことを言っているわけです。その点調査されましたか。
  391. 島田春樹

    政府委員(島田春樹君) 申しわけありませんが、その商品のそこに表示されている値段と、それから実際のその商品の売価との間がどれぐらいの差があるかというのは私ども正確には把握いたしておりません。
  392. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 この点はぜひ把握をしてもらいたいと思います。大体一割ぐらいはデパートより高いというのがわれわれの調査です。  次に未還流ロスの問題です。通産省からの調査資料によっても、大手四社の回収率が累積で五六%となっております。結局この回収ができなければできないほどこの会社はもうかるわけです。ある民間の調査では四割という数字も出ています。まあ一般的には大体半分、というのは何年もかかってやるわけですからこれは相当根気のいい人でないとできない。途中で大体やめる。男なんて不精ですから、こういうのをきちんとかえに来られるのは大体ママさんが多いわけですね。そういうことで、この未回収ロスの問題、この点については最近は九五%までいっているとか言っておりますが、私はそんなものではないと思います。その実態はいかがですか。
  393. 島田春樹

    政府委員(島田春樹君) お答え申し上げます。  私ども承知しておりますのは五十二年の数字でございますが、大手二社平均で、これは累積の回収率でございますが約六二%、それからその年に発行したものとそれからその年に交換したものとの比率、年間の回収率と申しましょうか、それで見ますと二社平均で約七〇%という数字でございます。
  394. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そうなると、さっき商品の交換の利益がうんと多くて、いわゆる未還流ロスによるもうけがうんと少ないというのが出ておりましたが、その点は私はおかしいと思うのですが、いかがですか。
  395. 島田春樹

    政府委員(島田春樹君) お答え申し上げます。  前払い金として受け取りました金の中のいわば未回収と申しましょうか、その分に相当する部分は、業者としてはその分を当然将来交換があるということを前提にして積んでおるわけでございます。そのいわば、きちっと交換できませんとこれは大変なことでございます。その積立額というものを相当額持っておりますので、その点を考慮する必要があろうかと思います。
  396. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 大蔵省はこれに対する課税の面から、この未還流ロスはどう見ておりますか。
  397. 磯邊律男

    政府委員磯邊律男君) 御高承のように、このスタンプ業者というのはわが国においては比較的歴史の新しい業種でありまして、まだはっきりしたそういった、いわゆる回収率とわれわれ言っておりますけれども、統計は、はっきりした数字というのはわれわれはつかんでおりますけれども、それが全般的な問題であるかどうかということはここで御答弁はやりにくいと思います。ただ、アメリカの方ではたしかこれを九八%ぐらいで一応想定しております。わが国においてはそれよりはるかに低いということだけは申しておきます。
  398. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 時間がありませんので、次に公取にお伺いをいたします。  この交換の品物は景品と考えてよろしいですね。
  399. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 商店街等小売業者が販売の都度スタンプを交付するわけでございますから、そういう意味では法律上の景品になると思います。
  400. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 となると、限度額は五万円でいいわけですね。五万円以上は違反ですね。
  401. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 公正取引委員会の決めました告示によりますと、限度は五万円ということでございます。ただ、先生よく御承知かと思いますが、この五万円というのは物品を販売した業者の提供する景品の限度でございますから、いま問題になっております景品の提供はスタンプ業者でございますので、したがって、これは商品を取り扱った小売店その他の売買業者の行為に伴って行われた景品類の提供というふうに見るのには法律上いささか困難な点があろうかと思います。
  402. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 ということは、五万以上の景品、これは物すごくあるんですよ。A社で二十七品目、B社で三十七品目、このカタログに出ているわけです。先ほど言ったように、高いのでは二十八万円とかあるわけです。確かに業者は直接ではないにしても、われわれが物を買って、それについてきたスタンプを張って持っていってかえてもらう。これは景品じゃないんですかね。五万円で私は限度を切るべきだと思うんですけれども、いかがですか。
  403. 町村金五

    委員長町村金五君) 矢追君、時間が参りました。
  404. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 法律見解は先ほど申し上げたとおりでございまして、法律的に申しまして公正取引委員会の告示に違反するというふうにきめつけることは私は困難ではないかと思います。大体その取引価格の二%程度がスタンプとして交付されるということでございますから、二百五十万円の購入をした場合に初めて五万円ということでございまして、おっしゃいますように千数百万円の買い物をすればルームクーラーが当たる、こういうこともあろうかと思いますが、行政上の配慮としましては、まだそう大きな弊害が出ているというふうには見ておりません。
  405. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 通産大臣に最後に伺いますが、産業構造審議会の流通部会の中間答申でもいろんな問題点が指摘されておることは御存じだと思いますが、今後いろいろトラブルもあります。それからいろんな問題がやはり出てきておりますし、主婦の方が一生懸命にためたものですし、しかも何年もかかってやる。そういった中で大変うまい商法、極端な言い方をするとマルチばりの商法ということにもなりかねない。アメリカではかなり各州で、支払保証金制度というのが十二州でたしか確立をされております。やはりこういったことも必要ではないかと思いますし、そういうことも含めて、いまの公取は私は大変甘いと思うんですが、今後、このスタンプ業界、確かに新しいだけに問題が多い。相当、まあ百二十億の売り上げといったら大きいですね。  そういうようなことでございますから、規制ということばかりが能じゃありませんが、いままで政府は、いま国税庁長官の話でも、極端に言うと何にも方向が決まっていない、こういう状況ですから、その点は今後どうされますか。
  406. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 商店会とか小売店の連鎖店等で小売業の販売促進に役立っておる、こういういい面もあるわけですね。いま企業として比較的成り立ちやすい立場にあるのは四、五社程度ということが、比較的いま御指摘のような問題がなおざりにされてきた点であろうかと思います。アメリカにおいて、連邦政府が特段の規制をしておるということについては、ないというふうに聞いておりまするが、州においては、それぞれ多様な面にわたっての規制とか対応がなされておるもののようでありまするから、これは今後検討をしてみたいと思います。  ただ、これをどう規制するかということになりますると、小売販売の促進という面、それとまた一面から言うと消費者の保護という面、両方の面からの検討が必要だと思います。慎重によく検討してみたいと思います。御指摘の点は、よく承りました。
  407. 町村金五

    委員長町村金五君) 以上で矢追君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)  本日の質疑はこの程度にとどめます。  総理大臣以下各閣僚には、御退席くださって結構でございます。  委員各位には、恐縮ですが、あとしばらくお残りを願いたいと存じます。  速記をとめて。   〔午後五時二十四分速記中止〕   〔午後五時五十三分速記開始〕
  408. 町村金五

    委員長町村金五君) 速記を起こして。     ―――――――――――――
  409. 町村金五

    委員長町村金五君) この際、証人の出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十四年度総予算に関し、外国航空機購入予算問題について、来る三月十九日午前十時に川部美智雄君を、同日午後一時に海部八郎君を、同日午後三時に有森國雄君を、また三月二十二日午前十時に郷裕弘君を、同日午後一時に山村謙二郎君を、同日午後三時に井上潔君、以上六名を証人として出頭を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  410. 町村金五

    委員長町村金五君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、その手続等については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  411. 町村金五

    委員長町村金五君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十四分散会