○
政府委員(
田中敬君) ただいま大臣がお答え申し上げましたとおり、一月以降、長期債の下落が続いておりましたが、これは
説明いたしましたとおり、大量の国債のみならず、一般地方公共債等を含めまして大量の国債、地方公共債が発行される、しかもそれが長いものだということで、長期資金の需給バランスが崩れてきたということ。それともう
一つは、やはり金利の底打ち感ということで資金が長期資金から短期資金へ指向していったというのが基本的な原因であろうと思います。
しかしながら、この一月、二月の実勢を見てまいりますと、二月の十日前後から二月の末にかけまして急速に各種債券の利回りが上がってきております。これは当時二月の初中旬あたりから物価に対する警戒感ということが言われ始めまして、それをもとにしまして投資家あるいは市場心理というものが、先行き金利の引き上げが行われるんではないかと、一般的に。こういう心理的要因が入ってまいりましたために、二月の十日以降は急速に利回りを上げてきたという要因がございます。
で、私
どもは、市場の実勢を見ます場合に、現在、店頭気配あるいは上場価格、市場というものは、いわゆる
日本式利回り計算というのをやっておりますけれ
ども、これ以外にいわゆる直利方式と申しまして、流通価格が九十五円五十銭でございます場合に、クーポンレートが六・一であるということになりますと、いわゆる九十九円五十銭投下しまして、それの利回りが幾らになるかという単純な計算方式もございます。あるいは
日本式の計算以外に欧米で使われている流通利回り計算方式もございます。いまのように急速に価格が下げてまいりますと、
日本式の利回り計算と申しますのは、いま申し上げました直利にプラスいたしまして市場価格が九十四円あるいは九十五円であるといたしますと、償還額の百円との差が五円あるいは五円五十銭出てまいります。これが利回り計算上年々均等に入ってくるという計算をいまの
日本式利回り計算はやっております。そういうことになりますと、流通価格のアンダーパー分が非常に大きくなりますと極端に流通利回りが上がっていく、表示される流通利回りが上がっていくという特性を持っております。これらの特性も考慮しまして、別途、直利方式でございますとか、戦前
日本でも使っておりました現在の欧米式流通利回り計算ということをやってみますと、六・一%国債あるいは六・六国債というクーポンの異なります国債の平均的な実勢利回りというものがある一点にほぼ集中されてまいります。こういうことも勘案いたしまして、理論的にはそういうふうな面もながめましたが、主として私
どもが実勢〇・八ないし〇・九開いておるにもかかわらず、〇・四%の引き上げにとどめましたのは、実勢、いわゆる金利底打ち感あるいは長期資金需給のアンバランスからくる実勢というものは〇・四程度であり、残りの分は先ほど申し上げましたように、二月の中旬以降急速に起こってきた先高金利期待感であろうというふうに分析をしたわけでございます。
大臣も申しておりますように、
政府・日銀とも、現在、当面、長期金利あるいは金利の全面改定を行うことを考えておりませんので、〇・四%の引き上げを行えば、そういう心理的要因が払拭されれば、市場はある程度安定した金利感をつかんでくれるであろう、こういう趣旨で〇・四%に
いたしたわけでございます。