○上林繁次郎君 私は、公明党を代表して、
昭和五十四年
度地方財政計画及び
地方交付税法の一部を改正する
法律案に対し、
総理並びに
関係大臣に質問いたします。
地方自治制度発足以来三十年を経た今日、地方財政は、膨大な
行政需要を抱えながら、
昭和五十年度より連続して五年間も財源難に陥り、
〔
議長退席、副
議長着席〕
特に
昭和五十四年度の財源不足額は四兆一千億円の巨額に達するという、まさに前例のない最大の危機に直面しているのであります。民主主義の基盤である地方自治の健全な発展と住民福祉の向上を期するには、真に住民自治に根差した財政運営を保障するに足る財政基盤の確立を図ることが必須の要件であります。しかるに、
政府の対策は、この地方財政危機に当たって、地方交付税率の引き上げや地方税制の改正による一般財源の充実をもってこたえようとせず、交付税会計の借り入れや地方債の増発というその場しのぎの糊塗的な借金財政の押しつけを繰り返してきたにすぎないのであります。その上、ただいま
説明がありました
昭和五十四年度の地方財政
措置は、特に危機感を持って対処したという跡は全く見られません。
そこで、
総理に伺いたいのでありますが、
総理は、かねてより、田園都市構想の具体化には地方公共団体の活力によらなければならないと述べております。地方団体が活力を持つためには地方自主財源の拡充が絶対必要であり、
総理はそのための地方税財政制度の抜本改革をどう行おうとするのか、これまでの
総理の答弁は何ら具体的に示されておりません。地方財政再建のための具体的な
考え方と方策を明確にお示し願いたい。
以下、項目的に質問いたします。
まず、地方交付税制度についてであります。
昭和五十四年度の地方財政
計画によりますと、歳出規模は三十八兆八千億円で、地方財源の不足額は、これまでの過去四年間の不足額を大幅に上回り、実に四兆一千億円の巨額に達しているのであります。
地方交付税法第六条の三第二項の
規定によれば、地方財政に引き続き財源不足等の事態が生じた場合には、地方交付税率を引き上げるか、地方行財政制度の基本的改正を行うものとしております。しかるに、今回の財政対策は、過去の財源
措置と同じく、借金
政策を地方に押しつけるまことに無責任かつ安易なものと言わざるを得ません。
昭和五十四年度の国税三税は十六兆三千五百八十億円であり、その三二%の交付税額は五兆二千三百四十五億円であります。借り入れその他による交付税総額は七兆六千八百九十五億円となり、国税三税に対する割合は四七%となるのであります。また、過去三年間における実績を見ますと、五十一年度の交付税総額の割合は四三%、五十二年度は四〇%、五十三年度は四二%と、いずれも四〇%を超えております。したがって、これを制度的に交付税率を四〇%に引き上げたとしても国の財政を圧迫することにはならないと思いますが、この点お答え願いたい。
次に、交付税会計の借入金についてでありますが、これによると、二分の一の額を国が負担することにしております。残りの二分の一は地方の負担となっております。こうした
措置は地方財政の実態を無視した財政対策であり、ごまかしと言う以外ありません。地方負担分については、本来の地方交付税制度の
趣旨にかんがみ、今後の地方財政に支障のないような補てん
措置をすべきであります。
政府の
見解を伺いたい。
次に、地方債について伺います。
昭和五十四年度の地方債
計画は、総額七兆四千十億円で、このうち普通会計分は四兆九千七億円、対前年度比二二・二%と大幅な増加を示しております。本来、地方財源の不足額は地方交付税の引き上げなど自主税源の拡充によって
措置されるべきものであります。しかるに、
政府はこれを地方債に頼った結果、五十四年度末の普通会計債と公営企業債を加えた地方債総額の残高は四十兆円前後にも達することが予測されております。その結果、今後地方債の償還費は年々増大していくことは必至であります。これは地方財政にとって相当な重圧となることは明白であります。一体、
政府は借金
政策による公債費の増大をどう認識しているのか、地方の実情からして当然これに対する軽減
措置を講ずべきであると考えますが、お答えいただきたい。
さらに、こうした地方債の増発にもかかわらず、
政府資金のウエートは年々低下し、これにかわって民間資金への依存が高くなってきております。これでは、地方債の消化とコストの両面から地方財政を圧迫することは明らかであります。
政府は、今回、公営企業金融公庫の貸付利率を〇・一%引き下げたのでありますが、その融資対象は三事業と、きわめて不十分なものであります。したがって、地方債資金の安定
確保のためには、現行の公営企業金融公庫を発展的に解消し、地方公共団体金融公庫を創設し、十分な資金を
確保すべきであると思いますが、この点どう考えているか。なお、地方債増発の現状から、
政府資金の一層の拡充が必要であると思いますが、お答えいただきたい。
次に、国庫補助金、負担金の整理合理化について伺います。
これについては、地方制度調査会においてもその整理合理化を積極的に進めるべきであると
指摘しておりますが、一向に進んでおりません。
政府の発表によりますと、五十四年度の補助金の廃止あるいは統合などの整理合理化件数は千二百十七件、金額にして一千二百六億九千三百万円で、件数、金額とも五十三年度を下回っております。また、五十四年度の一般会計予算における補助金総額は十二兆八千百五十一億円で、五十三年度に比べ一三・八%も伸びております。減るどころか、むしろふえる傾向にあります。
政府は補助金の整理合理化に対し一体熱意があるのかどうか、今後補助金の統合、メニュー化など、どのように進めるつもりか、御所見を伺いたい。
さらに、超過負担について、
政府は五十四年度予算の事業費ベースで五百二十九億円の解消を図ったとしておりますが、これではとうてい超過負担の解消にはなりません。超過負担の主たる要因は、単価差、数量差、対象差でありますが、今後これに対する補助負担基準については、社会
経済情勢の推移に即した抜本的改革を行わない限り解消されないと思うが、
政府のお考えを伺いたい。
また、わが党は、超過負担について国と地方の考えが相違していることから、両者の
見解を統一するため、国と地方団体の代表から成る地方超過負担調査会を設け、速やかに完全解消を図ることを主張してまいりましたが、これに対する
見解もあわせて伺いたいのであります。
以上、
政府の明確なる答弁を求めまして、私の質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣大平正芳君
登壇、
拍手〕