○
国務大臣(
大平正芳君) 最初に、私の
政治は逃げの
政治ではないかという御
批判がございました。私は、行政の
国民生活に対する過剰介入は
国民の活力の活発な展開を阻むおそれがあり、
国民の
負担を伴うおそれがありまするので、これは避けなけりゃならぬと
考えております。これは逃げの
政治でなくて、
国民を思うゆえの
政治であると御理解をいただきたいと思います。
また、公正のないところに
信頼はなく、
信頼がないところに
合意は生まれてこないという御提言でございます。全く同感でございます。御趣旨を体して施政に当たるつもりでございます。
それから、
政治は甘い幻想をまき散らすことは慎まなければならない、
国民に対しても余り大きな期待を持っていただかないようにということについて、これは弱者を切り捨てて
増税、
物価の
値上げ等を行う
免罪符にしようとするものではないかという大変厳しい御
批判でございます。私の趣旨とするところは、行政、
政治が当然やらなければならない
役割りを果たさなければならぬと
考えておるわけでございまして、社会的公正を確保いたしまして、
構造改革の推進をするというようなことまでわれわれは忌避しようとするわけではないのでございまして、有言実行の趣旨を実行に移し、そして、たてまえと本音との乖離が生じないようにすることが
政治の要諦ではないかと心得ておるからでございまして、さように御理解を賜れば幸せでございます。
それから、その次には、外国飛行機の輸入をめぐる
疑惑の解明につきまして国会が国政調査権の発動をされる場合に対しましては、いままでも申し上げましたとおり、
政府としてできる限り協力することは当然の任務と心得ております。また、各党の間に申し合わせができました場合、自由民主党としてもこれを尊重してまいるつもりでございます。
それから、SECの
資料など全
資料の入手と
国会提出について申し述べろということでございます。すでに公開
資料につきましては入手してございまするけれども、非公開の
資料につきましては、入手の手順をいま踏んでおるところでございます。この
資料の
国会提出でございますけれども、入手につきましての条件がついておりますので、これを国会に提出するということはできないと思います。その他の
資料につきましては、国会からの御要求があれば、法令の許す範囲におきまして最大限の御協力を申し上げるつもりです。
それから、E2Cの
予算を削減しろということでございますが、これはたびたび申し上げておるとおり、
疑惑は
疑惑として一方において解明しながら、この機種選定は慎重にやってまいったつもりでございまするし、その過程に私どもは
疑惑を持っていないものでございますので、この
予算の件につきましては、このままお認めをいただきたいものと
考えております。
それから、P3C、F15につきましても、
疑惑を残したまま採用が決定しておるじゃないか、同様に措置すべきじゃないかということでございます。この両機種につきましても、純粋に防衛上の見地から専門家が分析、討議、検討いたしました結果、
導入すべきものと判断いたしまして、五十三年度
予算を通じまして国会においてお認めをいただいておるところでございます。
それから、この種の事件の再発防止など不正の摘発ができる法的な
整備と
制度の
導入を検討すべきではないかという御提言でございます。行政の腐敗防止につきましては、
ロッキード事件を契機にいたしまして、当時、各界有識者の意見を徴するなどいたしまして、法
改正や
制度の検討等を内容とする
ロッキード事件再発防止策というものを閣議で決めておりまして、このラインに沿いましていま鋭意
努力をいたしておるところでございます。一部は実現し、一部は検討中でございますことは御案内のとおりでございまして、ただいまこれと別個に
再発防止法というようなものを構想いたしておりません。
それから、その次に、
経済運営についてのお尋ねがございますが、まず第一に、六・三%
程度の
実質成長は可能か、そして
景気回復に不安はないかという御
質問でございました。最近、
内需は着実にふえておりまするし、生産、出荷も順調でございます。また、在庫整理もおかげでだんだん進んでまいっておりまして、
民間の
設備投資にも動意が見られてまいりまして、
景気の先行きにはやや明るさが見えてまいりましたことでございます。したがいまして、私ども、この基調を定着させるように
努力をしてまいりませば、
景気の順調な回復は可能であろうと
考えておりまして、六・三%の
成長というものは、そういう
努力の過程においてわれわれは実現できるものと思っております。もっとも、問題は
経済のことでございますし、自由
経済の体制のもとでございまするから、国の内外に大きな条件の変化がございます場合は別といたしまして、われわれといたしましては、そういう大きな条件変化がない限りにおきましては、この達成は可能であろうと思いますし、これを支えるもろもろの
施策の推進によりまして、
景気の回復は可能であると
考えております。
それから、この
経済成長率は
政府の
公約なのか、
努力目標なのかということでございます。
政府は、
内需の
拡大を通じまして、国内には
雇用の
機会を
拡大し、それから外に向かいましては
経済の対外均衡を図ってまいるということは、われわれの
公約と御承知願いたいと思うんでございまして、そういう
努力を重ねました結果もたらされるものがいわゆる
成長率であろうと理解いたしておるものでございます。
それから、
財政再建につきましての御所見がございました。
財政再建に取りかかるのは、いまこのように
経済が疲労いたしておるときは適切でない、二年ほど早いんじゃないかというお
考えでございます。そういう有力な御意見が、二宮さんばかりでなく、学界、評論界等にもあることは私も承知いたしております。けれども、私どもといたしましては、このような
財政状況を二年も手をこまねいて待っておるわけにはまいりません。
財政を通じまして
財政インフレの要因を生みかねない
事態を放置するわけにはまいりませんので、私どもは、ことしから
財政再建の前提条件をつくり上げにゃならぬという意味で
予算の編成に取りかかったわけでございますし、明五十五年度は本格的な
財政再建の年にしていただかなければならぬということで、ことし一年、
財政再建をテーマにいたしまして、国会内外の論議を深めていただきたいというように念願いたしておるところでございます。
それから、六%
成長というようなことで、一体国際摩擦が激化する危険はないか、また、アメリカに派遣する予定の
安川移動大使の派米のめどはどうかという御
質問でございました。国際摩擦でございますが、
わが国のこれまでの
経済拡大を通じまして、対外均衡の方向に
経済を持っていって国際
責任を果たそうという誠意は、私は、各国はそれぞれ理解していただいておると思うのでございます。この理解がまだ十分でないところにつきましては、できるだけ手を尽くしまして御理解を求めなければならぬと
考えておりまして、御
指摘のように、近く安川大使を派遣することにいたしておりまして、具体的時期をいまアメリカ側と最終的に詰めておるところでございます。近日中に決定する予定でございます。
それから、私が
東京サミットで
為替安定圏構想を提唱するというように伝えられておるがという御
指摘でございますが、私は、まだそういう具体的な構想を提唱するつもりはございません。申し上げておりますことは、国際通貨につきましては、より安定した状態をつくるための条件というものを各国協力して
考えなければならないのじゃないか、それに対しまして
日本も
日本として応分の貢献をしなければならぬとは
考えておりますけれども、まだ
考え方が
為替安定圏構想というものにまで具体化いたしていないわけでございます。御
指摘のように、アメリカにおきましては現在のフロート制でよろしいではないかという意向が強いことは承知いたしておるわけでございます。しかし、問題は、アメリカばかりでなく、世界全体の通貨当局との間に緊密な協力体制がとれるかとれないかということが問題なのでございまして、そういう協力体制をどうつくり上げるかという点に力点を置いて、これからの通貨外交を進めなければならぬと
考えております。
それから、次は
経済協力についてのお尋ねがございました。
開発援助額の
国民総生産に対する割合、まだきわめて低位にあるじゃないかということでございます。これは、国際
目標は〇・七%であることは御
指摘のとおりでございまして、
わが国がようやく〇・三一%までまいりましたけれども、この点につきましては、御
指摘のように、これを高める
努力を精力的に続けてまいるつもりでございます。
アンタイドローンにつきましては、
わが国は西独に続きまして
米国に先んじてこれを一般にアンタイ化するという方向で踏み切っておりまして、この点につきましては国際的にも高く評価されておるわけでございます。
それから、二宮さんの言われる条件の問題でございますが、無償資金協力の
拡充の問題、それから金利、返済
期間の延長等につきましては、極力努めてまいるつもりでございます。
それからその次に、
開発途上国の公的債務残高にどう対処するかということでございます。この点につきましては、
わが国はUNCTADの理事会の場を
中心にいたしまして、関係諸国と協力いたしまして南北問題の一環として合理的な解決に協力してまいるつもりでございますが、昨年三月には、国連貿易
開発理事会におきまして、貧困
開発途上国の公的債務の救済措置に関する決議案が採択されましたことは御案内のとおりでございます。
わが国は右決議に沿った債務救済措置を速やかに実施するために、五十三年度補正
予算から所要の
経費を計上いたしまして、これに備えておるわけでございます。
それから、
無償援助の
拡充の問題でございますが、五十四年度の
予算につきましては、二カ国間の
無償援助九百三十七億円、対前年度比六一・八%を
増加計上いたしております。その中には、二宮さんの御
指摘のように、不況業種の製品の買い上げも、
開発途上国からの要請がございますならば供与し得るかと
考えております。国内米の
無償援助でございますけれども、これは、
わが国の米価の形成
構造から御推察がいただけますように、大変
財政負担が大きくなるわけでございまするし、一方、ビルマ、タイ等の米の
輸出国との競合も
考えまして、この点については慎重を要するのではないかと
考えております。
それから、
開発途上国が要望しておる一次産品の共通基金
制度の実現をどう
見通しておるかということでございます。御案内のように、
わが国は、昨年十一月の交渉
会議におきまして南北問の妥協成立を目指しまして積極的に
努力をいたしまして、
開発途上国にもそれ相当の評価を受けておると思っております。本件は多国間交渉で交渉されている問題でございますので、現段階でその帰趨を申し上げることは困難であろうと思いますけれども、
わが国としては、三月に予定されておる次回交渉
会議におきまして、南北双方にとって満足のいくような形での共通基金の早期設立を目指しまして最善の
努力を払うつもりでございます。
それから、
公共事業の波及効果につきまして、これは過大視しておるのではないかという御
指摘でございました。先ほども
成長率に関連してのお答えの中で申し述べましたように、
内需はきわめていま堅調に推移いたしております。生産も出荷も順調に
伸びておるわけでございまして、これは、昨年の
予算、補正
予算等を通じまして
公共事業が大幅に
拡大された際、それを早期に実行に移した結果が出てきたものと思うのでございまして、
公共事業の
景気回復への波及効果というものはそれ相当に評価しなければならぬものと
考えております。
しかし、
公共事業費の中で、これは
生活環境、スポーツ、文化、
住宅、
病院、そういった方への配分に重点を置くべきでないかという御
指摘でございました。事実、そういうことは国会におきましても前々から御議論があるところでございまして、
政府におきましても、それを体しまして、
公共事業配分の重点を漸次
生活環境の改善、文教、
福祉施設、体育
施設、文化
施設等に振り向けておりますこと、これは
予算の配分の
実態を御検討いただければ御理解いただけるかと思います。
次には、
物価政策につきましてのお尋ねでございます。
物価上昇率を四・九%と見込んでおるようだが、これは確約できるかということでございます。もちろん、いま為替相場が安定いたしておりますようで、これまでのように
円高の
影響を大きく期待することが無理になってきております。原油の
値上がりが予告されております。御
指摘のように、
公共料金の若干の改定も予定いたしておるわけでございますから、私ども、
物価の安定基調を
維持してまいるということにつきましては決して容易ならぬ事業であろうと
考えておりまするけれども、
物価や通貨供給量の動向を十分注意しながら、
生活必需物資の安定供給を確保しながら諸
施策を慎重に進めてまいれば、この
目標は達成できない
目標ではないと
考えております。
それから、
円高差益の還元
実態を
報告せよということでございます。最近の
物価動向を見ますと、卸売
物価、小売
物価とも近年になく落ちついておりますけれども、これには、仰せのように、
円高差益が大きく
影響いたしておることは申すまでもないのでございます。
民間取扱物資につきましては、まず、主要の
消費財等を
中心とする輸入品
価格動向調べというものがございます。これによりますと、輸入
価格や、それから小売
価格も
円高のために漸次下がっておる傾向が出ております。例を挙げて申しますと、洋酒でございますとか、万年筆でございますとか、あるいはカラーフィルムというようなものも顕著にその値下げの実績が
報告されております。それから石油製品、飼料等にも
影響が出ております。たとえば灯油でございますが、灯油は前年同月比八・二%の低下でございます。ガソリンは一五・二%の引き下げになっております。電気・ガス
料金につきましては、それぞれ一世帯当たり二百七十円、二百九十円の
円高差益を還元いたしましたことは御承知のとおりであります。
それから、
公共料金の
値上げを厳しく
抑制して、
国民福祉料金体系、
公明党の主張されておる
国民福祉料金体系を取り入れるつもりはないかということでございます。わが党とわが党の
政府といたしましては、
公共料金は、
基本的には経営合理化を
徹底いたしまして事業の健全な
運営が確保されるような
料金水準をまず
考えなければならぬと
考えておりまして、どうしてもこれを
引き上げなければいかぬという場合におきまして、いわゆる
受益者負担というものを
原則に
考えておるわけでございまして、せっかくの御提言でございますが、まだ
国民福祉料金体系に同調する気持ちはございません。
それから、
税制改革に関連いたしまして、
一般消費税の
導入はやめるべきである、その前提といたしまして
不公平税制の
是正等についてなすべきことをやらなけりゃならぬじゃないかということでございます。私は、かねがね申し上げておりますように、こういう大きな
歳入政策をお願いしようとすれば、
不公平税制の
是正ばかりでなく、歳出の洗い直しも
徹底的にやりまして、
国民の理解を求めなければならぬと存じておりまして、五十四年度の
予算編成に当たりましても、そういう趣旨で、歳出の圧縮、それから節減、合理化、補助金の整理統合等いろいろいたしたわけでございまするし、また、
不公平税制の
是正でも主なるアイテムにつきまして、社会保険診療報酬の課税特例、それから
有価証券譲渡益の課税強化、
価格変動準備金の段階的な整理等、主なる項目についてはかなりの改善をいたしたつもりでございます。これにはまだ
徹底しないという御
批判はございますけれども、
政府としては精いっぱいやったつもりでございますので、それなりの評価は賜りたいと
考えております。
それから次には
雇用対策でございます。
年齢差別禁止法の制定、六十五歳を
目標にするが、当面は六十歳でよろしいけれども、そういう法を制定するつもりはないかということでございます。今後の高齢化社会の到来を考慮いたしますと、高年齢者の
雇用の場の確保を図ることは大事でございまして、その意味で定年延長を図ることは必要であると
考えておりまして、当面六十歳
定年制が一般化することを目途に指導に努めておるところでございまして、われわれは、立法手段によらないで、労使の慣行を尊重しながら適切な行政指導を行ってまいりたいと
考えております。
それから、
社会福祉、
福祉関連サービス部門の
雇用機会を増すために
雇用開発給付金を支給するように措置せよと。これは、こういう限られた部門ばかりでなく、一般的に、五十四年度
予算におきまして、
雇用開発事業を創設して、
中高年齢者雇用開発給付金制度の大幅な改善を図ったところでございまして、この
制度を活用いたしまして御趣旨に沿いたいと
考えております。
職業訓練所の増設、
施設の
整備でございますが、仰せごもっともでございまして、その
拡充整備に努めてまいるつもりでございます。
寡婦雇用促進法を制定せよということでございますが、寡婦につきましては、保育等の家庭
生活上
負担があること、技能が十分でないこと等が
雇用の障害になっておるなどからいたしまして、
雇用の義務づけによって問題が解決できるとは
考えられませんので、職業訓練、職業相談、職業指導等を
徹底いたしまして御趣旨に沿うようにいたしたいと
考えます。
それから、
各種資格、
職種の
監督官庁がばらばらで統一がとれていない、労働
情報を一元的に掌握していないということについての御
指摘でございまして、ごもっともでございまして、資格試験の内容その他いろいろ重複する部門もございまして、そういう点につきましては、各官庁間で調整を図ってまいりたいと思います。労働省の労働
情報の掌握につきましては、今後ますますこれを強化しなければならぬと
考えております。
日本型福祉社会には具体的な
最低基準保障がないじゃないかということでございますが、私は、
わが国の
社会保障はすでに
制度的には欧米に遜色のない水準になっていっておると思うのでございます。なおこれをさらに
引き上げていく、あるいは高年齢社会に合わしていくということにつきましては、もろもろの問題があるわけでございまして、これをどのようにやってまいるかということは、
日本型の事情、精神、相互扶助の仕組み等に依存することはもとよりでございますけれども、できるだけ公的な
負担をふやしてまいるように
財政の許す限り
努力してまいることが必要であると
考えております。
それから田園都市構想でございますが、これは、たびたび申し上げているように、新たな政策の提唱ではなくて、既存の政策をこの趣旨に合わすように
考えていただく政策理念でございまして、したがって、いわゆる三全総の定住圏構想はいわばそのサブシステムみたいなものと御承知をいただきたいと思いますが、どのような田園都市構想を
考えるかということでございまして、各方面の知謀をかりまして鋭意検討いたしまして、何とか
政府部内に統一した実行可能なすぐれた構想を出したいものと、いませっかく検討、
努力をいたしておるところでございます。
それから
地方自治体の問題につきましての御
質問がございました。現在国と
地方との間柄がこういう姿であっていいと思わないのでございまして、これを根本的に見直さなければならぬ時期が来ておることは二宮さんも御主張されるとおりであろうと
考えておりますが、いま問題が大変流動的な段階でございますので、本格的な
制度改革にまで移ることはできないのでございますけれども、今後国と
地方との間の適切な機能分担を踏まえながら、両者の間の合理的な事務の配分、財源の配分等につきまして本格的な検討を加えていかなければならぬと
考えております。したがって、交付税交付率をいまの段階で直ちに三二%から四〇%に持っていくというようなことはいま
考えておりません。
それから、
地方税の各種非課税措置を洗い直して、大
企業の法人事業税の外形標準課税方式を
導入したらどうだという御
指摘でございます。
地方税の非課税措置等につきましては、来年度の
税制改正に当たりましても見直していこうとしておるわけでございます。また、外形標準課税
導入の問題でございますが、
税制調査会の答申によりますと、
地方消費税の新設等でこの問題は解決しようという意向も示されておるわけでございまして、今後の検討に待ちたいと思います。
地方債につきましては、その許可制をやめて、
地方公共団体の
責任でやらすべきではないかということでございますが、
民間部門と公共部門の資金需要の調整、
地方公共団体相互間の資金配分を公正にしてまいること、それから他の財源措置の関連等もあって、
地方債の
発行額をどのように
考えるかということもありまして、いまにわかにこの許可制をおろすというわけにはいけないことを御理解いただきたいと思います。
沖繩県における
雇用創出についてのお尋ねでございました。沖繩の場合は、最近やや低下の傾向を見ておるものの、五%台の
失業率を記録いたしておるわけでございまして、全国
平均の二倍半になっておるということは注目しなければならぬ
事態であろうと思うのであります。このためには、まず
基本的には、沖繩の
産業を振興いたしまして、県内に
雇用の
機会をできるだけ確保するということに努めなければならぬと
考えておりますが、同時に、広域的な職業紹介等によりまして県外就職の促進も図らなければならぬと
考えております。
それから、沖繩における軍用地の転用、それからその跡地の利用促進でございますが、そのために特別措置法を制定してはどうかということでございます。われわれといたしましては、基地の整理縮小にいま努めておりますし、この軍用地の跡地の利用促進にも十分配慮をいたしておるつもりでございますが、御
指摘の立法の要請については慎重に検討さしていただきます。
それから、名護市におきまして、米軍の機関銃実弾乱射事件がありまして、改善策が明示されていないじゃないかということでございますが、本件の事故につきましては
政府も重大視しておるところでございまして、米側に対しまして遺憾の意を表しますとともに、原因の究明、再発防止について厳重に申し入れてありました。これに対しまして、米側は陳謝いたしますとともに、本件は発射角度の誤りによるものであり、今後は射場安全担当将校による監督を厳重にすること及び機関銃には所定の角度以上の発射角となることを防止する器材を取りつけること、それまでは本演習場においては同種の射撃は中止することを約束いたしました。
政府としては、これらの措置が十分にとられ、万全のものとなることを求めていく所存でございます。
それから、農業政策につきましては農林大臣からお答えをさしていただきたいと思いますが、私が食糧
経済をもっと正常な姿に返す
努力も相当差し迫った
課題になっておるというようなことを
総裁選挙の当時申し上げたことは事実でございます。これは食糧管理
制度についてのみ言及したものではなくて、これも含めて、食糧全体につきまして
国民に安定した
価格で供給できるような体制をつくることが焦眉の問題ではないかという問題意識を申し上げたわけでございます。
それから次には、
教育についての御
質問でございます。画一的な試験地獄、
教育費の父兄
負担の増高、大学共通学力一次試験などの
現状をどう理解し、どう対処するかということでございます。大学入試の過熱等の
現状につきましては、二宮さんと憂いを共通にいたしております。大学入試の改善につきましては、その第一歩である共通第一次学力試験におきまして、各界の理解を求めてこれをよりよいものに育てる
努力を積み重ねてまいるつもりでございます。あわせて、学歴偏重の社会的風潮の
是正、国公私立の各大学の
充実など、あらゆる
努力を続けてまいりたいと思います。また、
教育費の
負担の問題につきましては、育英奨学資金の
拡充、私学に対する助成の
充実等の
施策を講じてまいるつもりでございます。
それから、幼稚園、保育所の一元化を推進いたしまして、希望者の全入の道を開けという趣旨の御
質問でございました。両
施設の
充実につきましては今後も
努力するつもりでございます。私立幼稚園の父兄
負担につきましては、五十四年度も就園奨励費補助、経常費助成費補助の
充実によりましてその
軽減に資することといたしております。さらに、従来から幼稚園
施設費補助の
充実などによりまして幼稚園の
整備に努めておりまするけれども、入園を希望する四歳児及び五歳児が就園できるよう今後も
努力してまいるつもりでございます。
それから、小
学校の学級定員四十名削減に対する年次
計画についてのお尋ねでございます。いま、文部省におきまして、
昭和五十三年五月一日現在における教職員の配置
状況、過疎過密の
学校の
実態等について調査を行っておるところでございます。現在、その調査結果の集計作業が進められておるようでございます。この調査結果を踏まえまして慎重に検討さしていただくことにいたします。
それから、国立大学に夜間部を設置してはどうか、また、勤労学生の
所得税控除の対象範囲の
拡大、その額の
引き上げを希望される趣旨の御
質問がございました。大学、短期大学の夜間部は、勤労青年に対しまして高等
教育を受ける
機会を提供するという意味で重要なものと承知いたしております。これまで同様、国立大学の夜間部につきましてもその
充実を図ってまいりたいと
考えております。また、働きながら勉強に励んでおりまする勤労学生に対しまして、その修学に伴う
経済上の
負担を
軽減するために勤労学生控除が行われているところであり、五十四年度におきましては、
所得税における控除額等については据え置きとしておりますけれども、
住民税の面におきましてはその控除額の
引き上げを行ったところでございます。
国際児童年に対する対応策についてのお尋ねでございます。
政府といたしましても、かねがね申し上げておるとおり、これが単なるお祭り騒ぎに終わることのないよう、児童の問題を
国民全体で
考える年とすべく、あらゆる
努力を傾けるつもりでおります。
それから最後に、硫黄島の問題についてのお尋ねでございます。硫黄島の旧島民の方々が帰島したいというお気持ちは十分お察しできるところでございますが、御案内のように、火山活動による地盤隆起など、安全性がまだ憂慮される段階でございますので、帰島につきましては慎重に対処しなければならぬと
考えております。それとの関連で、総合調査団を派遣してはどうかという御意見でございますが、あわせて検討さしていただきます。(拍手)
〔
国務大臣金子一平君登壇、拍手〕