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国務大臣(
古井喜實君) 灰色高官の問題でありますが、衆議院の
委員会では何回かその点に触れて私
どもの
考えも申し上げてお聞き願ったわけでありますが、言うところの灰色高官というものがあるのかないのか、今度ですね。いまの段階では
——ずっと進んでしまった後はとにかくとして、いまの段階であるのかないのかわからないんで、きょうの段階で。ですからないかもしらぬ、あるかもしらぬということをきょう議論するのは早いように思うと。ただし、お読みいただいたと思いますけれ
ども、具体的にだれだかれだ、ちらほら名前が出たり、そういう時期より何もないときに、そういうことと無関係に、純理としてこの問題はむしろ論じておく方が公正な論議ができるかもしらぬと。その意味では早いと思うけれ
ども、この段階でもその問題について見解を述べることは私はいいと思うと。そこで
——そこでですね、申しました意味は言葉が足っておるのか足らぬのか知りませんが、申しました真意ですね。いまの刑事訴訟法にいたしましても、四十七条、ただし書きもありますが、本文。本文は多分この二つのことがもとになっていると思うんです。それは
犯罪の捜査とか訴訟の追行とか、そういうことに資料を出しますために支障が起こったり悪い影響が起こっては困ると、こういう
考慮が
一つあると思うんですね、出さないと、こういう原則は。
もう
一つは、関係者の人権、どうなるかわからぬものを、まだ捜査の段階というような人のを、やってみたらシロであるかもしらぬ。そういう人の名前をやたらに出すということは、その人の人権にもかかわってくる、名誉、人権にも
——という一面があると。そういうことがこれは根拠になっているんじゃないだろうかと。その点は
憲法の大原則にもかかわってくる問題であると。われわれの
憲法で人権のことをあれだけ重要に掲げておる。これは
憲法が掲げておるより、むしろ人権宣言以来、人権の尊重ということが大体私は民主的な諸制度や社会が発展したむしろ原点かもしらぬと思うんです、人権を尊重するというところが。そこで非常に大事な原則なんだと、これは。捜査の方から申しますと、捜査をするときには
犯罪というぎりぎりの問題だから強制権まで用いることを認めてあるんですね、強制権まで。ところが、それは
犯罪だからそうなんですな、捜査だから。
犯罪以外のことに強制権を用いて
材料を集めるということは、私は非常にこれは問題があるんじゃないかと、結局。そんなことは認めてないんじゃないか。
犯罪だから認めている。そこで他に用いるということは慎重に
考えてみなきゃならぬ点があるんじゃないだろうかと。
それから大体捜査段階においてある人を調べたと、調べられた人は本当に迷惑しているんです。シロになった場合などは迷惑のかけっ放しになるんですね。いわんやその人の名前が公にされる。その人はシロであったという場合ですから
犯罪にならない。迷惑かけたわけなんです、実を言うと。で、世間だってあの人が調べられたというのは決してその人の名誉にならぬです、これは、御承知のとおりに。公にしてシロであったと、そういう人の人権というものを
考えるということをやっぱりしなきゃならぬのじゃないでしょうかと、これは
憲法の大原則とも関係してくるんじゃないだろうかと。そこで、国政
調査権は大切である。また、今回のような場合に大いに国政
調査されることはいいけれ
ども、望ましいけれ
ども、
憲法の原則というものはやっぱり
一つあると、ここはよく
考慮していかなきゃならぬのじゃないだろうかと、そういう意味でシロになった人ですね、つまり、灰色といったって
犯罪にならなかった人の名前を公にするという問題については、そういう一面もよく
考慮して慎重に
——簡単に出したらよかろうと、そう言ってしまうわけにいかぬのじゃないかと、こういうことを私は申し上げたし、これはどなたがお
考えになっても
考慮しなきゃならぬ一面ではないかと、私きょうもそう実は思っておるのでありまして、国政
調査に協力せぬ、したくないとか、そんなのじゃないんです。こういうことであるのであります。