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参考人(
安養寺重夫君) 私のかつての履歴も御紹介いただいたわけでございますが、通じて私の
意見を申し上げれば、この膨大な他の
目的のためにつくられた
施設を転用いたしまして、
青少年の
教育と、日増しにニードが高まる
教育に対応していかなくてはならないというようなことを考えました際に、いろいろ難点があるわけでございます。これは
一つは、
特殊法人として改善すべき方法をとるか、あるいはその他いろいろの方法がございましょうけれ
ども、これは多年、私自身の
経験からしますれば、問題になっておったものでございます。私も立場をかえまして、二年前理事長を拝命いたしまして、現地のささやかな体験でございますが、早速に
経験いたしましたことは、こういうことがございます。
現在「
宿泊研修施設」という法に明記されました第一等の
目的に対して、実は宿泊
利用団体の数が年々減っておるわけでございます。おかげさまで
研修館の新設等もございました関係もあり、日帰り
利用の
研修者というものの数が年々これはふえてまいりまして、そのカーブが逆転をして数年になっておるわけでございます。
どうしてそういうことになるのかと、われわれとしましては、やはりこういう環境の地で宿泊
研修というようなことをおやりいただくということを望んでおるわけでございますが、いろいろこれには問題がある。大変卑近な例を申し上げますと、
施設が古くなってまいっておりましてよく
機能しない。あるいはさまざまな
研修団体がお見えになっていただいているわけでございますけれ
ども、
研修の意図なり、御
利用される御意図がさまざまでございまして、中でございます生活規律というようなことについての反発が大きいと。あるいは食堂が古くて手狭でございまして、そういう食環境というものの
整備が必要だと。さらには、一律に朝夕の集いというようなことをやっておるわけでございましたが、そういうことについての難点があると。これは
利用団体の意図、
目的、性格等々からくる、ある
意味ではやむを得ない御要求だと思いますが、それが右から左までいろいろにさま変わりしておると。私
どもも生活規律、食堂、朝夕の集い等につきましては、最小限皆さんの
意見を聞きまして直すべきものは改めました。最小限の共同生活を維持する、あるいは食生活を改善する食堂の手当て、あるいは朝夕の集いの画一的な実施というようなものをやめるというようなことをいたしましたが、いかんせん、この
施設の
機能上の、あえて言いますれば不十分さ、古さというものがございまして、これをそのまま
青少年の
施設ということでいつまでも維持するわけにはいかないだろうと。そのためには相当膨大な
経費が改修等々のために要ると。こういうことにつきましては
特殊法人の手に負えないんではないかと。これは単に物理的な問題ではございませんで、この
施設を
研修の場としてより
充実したものにするという基本にかかわる問題でございまして、これは
特殊法人としての経営の能力の外にあるのではないかというようなことがございます。
これは全く卑近な例でございますが、他面
教育的な問題を考えましても、三十年から四十年にかけて、いろいろ始まりました
青少年の
教育施設がいまや全国にさまざまな形であるわけでございまして、相対的にはこの
センターが果たしました大きな役割りにかげりを持ってきているんではないかと。もう少しりっぱな
施設として御
利用いただきたい。そのためには従前以上のいろいろなサービス性といいますか、ファンクションを持つということを合わせいたしませなければ、
施設としてのこれから先を展望した使命を十分に果たすわけにはいかぬのではないか。そういうことのための
事業の
整備でございますとか、職制の
交流、
充実いろんなことを考えまして、これは
特殊法人がいろいろ問題になりまして、その
あり方を考えるという際に、ひとつ国の
施設というようなことで取り上げていただくという議論も十分妥当性を持っておるんではないか。私はそういう
考え方をずっと持っておったわけでございまして、文部省の
関係者にもそういう
意味でここが
充実されるというようなことが検討されてしかるべきじゃないか、こういうことでございます。
これに関連いたしまして、現実にわれわれあそこで長年そのために苦労してまいりました先輩、同僚、現職の者がおるわけでございますので、そういう全員が在来の苦労をねぎらわれ、かつ現在の
人々が生活の安堵を得るようなことを十分この際あわせて検討していただくというようなことを、私としては
希望しておったわけでございます。