○
国務大臣(
渡辺美智雄君) 遺族
年金の問題ですが、これは
国民年金の付加
年金としてつくられたものでございますから、個人個人が
国民年金は
加入するというたてまえになっておるので、そのたてまえが変わらない限りはなかなか変えるのはむずかしい。全然別個なのです。
国民年金が飛び出ちゃって、全然別個な
農業者だけの
年金制度でもつくるという話ならばまた別な議論になりますけれ
ども、これは
国民年金制度の根幹に関する問題なので、今回の
改正の中では取り入れるというわけにはいかない。
それから、妻
加入の問題についても同様であります。これは、
国民年金には妻は入っておりますが、これは要するに
経営移譲というような
一つの
政策目的を持ってやっておるので、妻が地権者であって夫がどこかへ勤めているというような場合には、当然、妻
加入なわけですから、
兼業農家で主人が農協の職員とか役場の吏員とか、しかし
土地所有名義は妻の名義で妻が耕作しているという場合は、それは
農業者は妻であって夫じゃないし、耕作者が妻である場合には、
土地を借りてもいいことになっているわけですから、それは妻の
加入を否定しているわけじゃなくて、そういう場合には妻が
加入することもできるわけです。ただ、夫が
土地を持って夫が
農業者として入っておって、そこに妻も一緒に入るということは、
制度の
発足から考えられておらないことで、今回の暫定
措置でそこまで踏み込むということはできない。
制度の根幹にも触れる問題なので慎重に検討をしていかなければならぬ、こういうように考えておるわけです。
それから相続猶予
制度の問題、これも本当に
年金制度とそれから
土地制度、相続税、相続の
制度、こういうものは絡まっているわけですね、みんな。ですから、こういうようなものも都市近郊の場合のレジャー
農業あるいは僻地の場合の観光
農業等は、やっぱり相続問題というのが非常に絡まっちゃって、相反する課税を受ける。もう
政策的にやらしたいのだけれ
ども、そのために税金ががっさり来るという問題が現にあるわけですよ。したがって、これらも実情に合わない。要するに自作農主義の
農地法というたてまえからすると、人に貸したり何かするものは保護しなくたっていいじゃないか、自分でつくるやつだけ保護してやればいいじゃないかという思想がありますから、これも時代に合わないところが実際は実務上うんとあるのです。
したがって、こういうことは謙虚に
実態を表に出して、皆さんで議論をしてもらって、それで時代に合わせるようなことが、やっぱり経済立法はそれがいいのじゃないかなと。観念論だけで押し通すよりも、やはり
実態に合わして直すべきものは直すことの方が、経済的利益も多いし
現実的だというように私は割り切りまして、これらを全部ひっくるめて一遍洗いざらい出してみて研究をしてごらんなさいということで、目下農林水産省でそのスタートをしておるわけです。
したがって、その中でこの
年金制度をどう生かすか、大変でっかい問題なのですよ。そこで、
土地面積の問題もちろん出てくる。小っちゃなものはもう入れないと。ところが、
規模が小っちゃくても何百万も収入を上げているじゃないかという議論もあるし、しかし何百万も収入を上げているのでは、何も譲らなくたって自分がやったらいいじゃないかという議論もあるし、いろんな議論がありますから、これらも含めて、場所によって、同じ
農業の中でも作目によって、また都市近郊であるか
北海道であるか、これはみんな違うわけですから、そういうものもひっくるめて、
実態に応じたものの勉強会をやっておるところであります。
ですから、いま直ちにこれでいきますということをまだ申し上げられる段階にはないわけです。