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政府委員(杉山克己君) 輸入数量は、これは実量ではなくて生乳に換算した数量でございます。その場合、調製食用油脂とかココア調
製品は換算率について一応の大胆な前提をとっておりますが、それをもちまして計算した場合、
一般の乳
製品で五十三年度二百二十五万四千トン、それから調製食用油脂とココア調
製品、この二つを合わせて擬装乳
製品とよく言われているのでございますが、これが二十六万一千トン、
一般のものと全体を合わせますと二百五十一万五千トン、これだけのものが輸入されております。ただ、輸入されている中で大きいものはナチュラルチーズと脱脂粉乳、特にえさ用脱脂粉乳でございます。それから、数量が最近特に大きく伸びているものの最たるものはえさ用の脱脂粉乳でございます。五十三年一年だけで生乳換算十六万四千トン伸びております。
これは、国際的な脱脂粉乳の
価格が安いために、
国内の
畜産農家によって飼料として使われるということでふえているわけでございます。この点は、実に私
どもも問題のむずかしさを感じさせられるわけでございますが、
酪農農家も含めまして、子牛や子豚に飲ませる乳を母親の牛によらないで、
外国からの脱脂粉乳を買って飲ませているという
事態も
一つあるわけでございます。それから、豚だとか牛の、これは親の方です。成豚、成牛にも、大豆油かすやミールの代替としてたん白質飼料としてこれを与えているというような事情があるわけでございます。
こういう輸入の
実態からしますというと、これを仮に抑制するとした場合、抑制すること自体が国際的な新しいトラブルを引き起こすというようなむずかしい問題もありますが、抑制した場合、じゃ
国内産の脱脂粉乳に需要が向かうかといいますと、現在の
価格体系からいいますというとなかなかそうはまいらない。要するに、輸入の脱脂粉乳は国産の四分の一ないし五分の一だというようなところから需要があるわけでございまして、これを抑制しても大豆油かすそのほかのたん白質飼料に需要が戻るだけだということは考えられます。
それから、チーズは、私
どももできれば国産のチーズに競争力をつけてもらいたいと思っておりますが、単に経済的な問題だけでなく、技術的な、あるいはこれを嗜好される
消費者の選択の問題もありまして、同時にまた、技術能力等の問題もありまして、現在チーズがなかなかすぐ国産がふえるというような状況にもないわけでございます。
それから、調製食用油脂とココア調
製品につきましては、ここ三年ほど乳量換算で約一万トンぐらいずつふえておりますが、ふえ方としてはそれほど大きくないし、中でココア調
製品は減っている。そして調製食用油脂がふえているわけでございますが、これはむしろ
国内でも
バターよりもマーガリンが嗜好されるという状況を、国際的にも反映しているものだというふうに思われるわけでございます。
そういう意味で
実態を御
認識いただけますと、なかなかそこら辺のところが十分御理解いただけないものですから、輸入品が
国内の市場を全く圧迫してそれがけしからないというような御批判をよく承るのでありますが、必ずしもそうではない。特に脱脂用の粉乳の扱いは、
畜産農家全体がみずからもかかわっている問題として、非常にむずかしい問題を含んでいるということをおわかりいただければ、そう問題は単純でないというふうに受けとめていただけるのではないかというふうに思っております。