○
政府委員(
清水汪君)
お答えを申し上げます。
ただいま御
指摘のように、この
法案を提案いたしました際に、
国民の大多数の者が将来における
元号の
存続を
希望している、
政府としてはそれにこたえるということからこのような
法案を御提出して御
審議をお願いするという趣旨を申し上げているわけでございますが、その際の
政府として
考えておりますことでございますが、ただいまの点について二、三申し上げます。
まず
一つは、
元号の
存続ということにつきまして
国民一般の
考え方を
世論調査の形で
調査いたしました。これは
総理府が行いましたものは
昭和三十六年、四十九年、五十一年、それから五十二年と、四回にわたっております。この
調査は、
対象が二十歳以上の男女一万人ということで
調査をいたしました。この
調査の結果明らかになりましたことは、次の
天皇の代になっても
年号制度――ここでは
言葉は
年号という
言葉を使いましたから、その点はお断り申し上げますが、
年号制度はあった方がよいと思うか廃止した方がよいと思うかという聞き方で、四回とも同じような聞き方でございまして、その
答えは、
昭和三十六年のときには、あった方がよいというのとどちらかといえばあった方がよいという二つの
選択肢でもって、これを合計いたしますと五九%でございますが、四十九年のときはこれが八〇%、それから五十一年のときはこれが七六%、それから一番新しい五十二年のときはこれが七九%ということになっております。したがいまして、この
推移等から見ますると、おおむね大多数の
国民が次の
天皇の代になっても
年号制度の
存続を
希望しているという
意思はおおむね確認できたのではなかろうかと、このように受けとめているわけでございます。
それからもう
一つこれとよく比較されますのは、
一般の
新聞社が行っております、あるいはNHKも行っております
世論調査の結果でございますが、この
世論調査におきましても、
存続を
希望するという点におきましては、おおむね
政府の
調査と同じような大多数の
国民が
存続を
希望しているという結果は得られているわけでございます。
もう
一つの問題は、それに続く第二問と申しますか、第二問の形で、それではその
法制化というようなことについてどう
考えるかという
質問がなされているわけでございます。その
質問に対する
答えがございまして、それはまず
最初に
法制化自体賛成だというふうに非常に単純に
賛成しているのがまず
最初に出てまいりますが、これはよく言われますように約二二、三%というような
数字が大体の
ケースでございます。一社だけは五七、八%という
ケースが出ておりますけれ
ども、あとの多くは二〇%台ということですが、その次に、その
質問の二番目といたしまして、
元号はあった方がよいがその
方法についてはという
設問になっておりまして、そこの
選択肢に、ある場合には
選択肢が
一つだけ、つまり
法制化するほどのことはないというような
選択肢もありますし、ほかの
調査では、
元号はあった方がよいが、たとえば
慣習にゆだねればよいとか、あるいは
内閣告示でもよいのではないかとか、あるいは
政令で定めればよいではないかというような
選択肢が提示されているわけです。そこに、合わせまして約五〇%あるいはちょっとそれを上回るような回答が寄せられている。このことがしばしば取り上げられてきたわけでございます。
この点につきまして、私
どもとしてはこのように
考えているわけでございます。つまり、いまの
設問におきましてもやはり
昭和の後の
元号というものはあった方がよいがということが
前提になっているわけでございます。その
方法につきまして幾つかの
答えに分かれているわけでございますが、それにつきまして若干御
説明申し上げたいと思いますが、まずその
一つの、
慣習にゆだねればよいではないかという
考え方があるわけでございますが、このお
気持ちはわかるわけでございます。ただ、現在
昭和という
元号は事実たる
慣習ということで存在しているというか使われている、このように
理解されているわけですが、こうした
慣習の中には、後のその次の
元号をじゃどうするか、どういうふうにして決めるのかということについては、その
慣習の
内容といたしましてそういう
ルールはないわけでございます。
昭和というものが現在使われているということは
慣習としてそうなっておりますが、
昭和の次をじゃだれがいつ変えるのだ、あるいは決めるのかという点についてのはっきりした
慣習はございません。そうなりますと、
慣習にゆだねればよいというか、
慣習的にやっていけばよいというふうに仮に
考えたといたしましても、その
前提となっている
存続という願望は満たされないことになるのではないか。そういうふうに
考えますと、
慣習という
方法というのはどうも実際問題としてはそれでは
希望を満たすことにならないというふうに
考えられます。
そこで、あと残りますのは、たとえば
政令でやったらいいじゃないかというようなお
考えの方もいらっしゃるわけですが、これは現在の
法制度のもとにおいては、
法律の
根拠というものがなしに
政令、これは
内閣が出すわけですけれ
ども、
政令を
内閣限りで決めてその
物事をやっていくということは普通はございません、できないという
考え方になっております。それからもう
一つ、じゃ
内閣告示でどうかと、これはつまり言っております
意味は、要するに特定の
法律という
根拠はなくても
内閣が自分の判断である必要な場合においては何かそういうことをやったらいいじゃないかという
考え方を
意味するわけですけれ
ども、そこで
政府として
考えますことは、そのような行き方、これはまあ不可能とは
考えておりません。
従前の
国会審議の場におきましても、いまとっさにどうかと言われたような場合においては、そのような
方法も
考え方としてできるというふうに
お答えを申し上げていることはあるわけでございますが、しかしながら、いろいろ検討いたしました結果、やはり
元号というものは
国民が広く使っておるという
意味においては非常に重要な
影響のあるものでございます。そういたしますと、やはりこういうものは、
国会、つまり
国民を代表すると申しますか、国権の
最高機関である
国会の定める
法律の形で、そうしてその
法律に基づいて具体的な
名称自体は
政府が決めなさいというような、つまり今回の
法案のような形でその改元の
ルールを明らかにしていただくということの方が事柄といたしましてもはっきりいたしますし、それからその手順と申しますか、やり方といたしましても民主的な手法にかなっていると、このように判断するわけでございまして、結局
政府といたしましても実質的に
国民の
存続希望というものにこたえる
方法といたしまして、やはり御提案申し上げておりますような
法案の形でお願いするのが最も妥当であろうと、このように
考えたわけでございます。