○向井長年君
政府としては一応
国民に対する
理解の、こういう問題について反省もしておるということでございますから、これは私は反省すべきだと思います。
やっぱりこの間私は
参考人の
意見聴取の中でも言いましたけれ
ども、連日やはり
国民の中で賛成論者あるいは
反対論者がわれわれに陳情に来ます。早く通してください、あるいはつぶしてください、反対してくださいと両方ありますよね。私はそういう中で、特に反対で来られる人
たちに時間をとっていろいろ
説明をするんですよね。その人
たちは深く知らないんです、毛頭。したがって、ただあれは
憲法に反するから反対だとか、あるいは
天皇制強化になるから反対だとか、そういう言論、もっと極端なやつは再軍備に通ずるというようなことを現に言ってますよ。だからそうではない、新
憲法を君らは知っておるだろうと、この
憲法はあくまでもわれわれは擁護しなけりゃならぬのだぞと、そういう立場に立って今日この
法案というものが、慣行で来ておるがこうだという
説明をし、そして使用の問題も自由であるという、こういう問題もいろいろ
説明いたしますと、ああそうですか、そんな
法律ですかというのが多いんですよ、私のところへ来る人
たちには。努めて私は反対の諸君にこれは説いている。これは
政府の立場でやっておるようなもんだ。もう
政府がやらなければならぬ問題ですよ、これは本来。
そういうことがたびたびあるんですが、やっぱりこの問題に対しては
国民の合意をとらなければならぬ、コンセンサスを得なければならぬ、こういう立場でわれわれも努力いたしておりますが、そういう実態がただいまのところあるということも
皆さん十分知らなければならぬ。それと同時にもう
一つは、そうかといって、先般私が
参考人に
質問したときにそういうことがあると言ったら、そうじゃない、逆に賛成論者がそういう
憲法に違反するようなことの宣伝をしているんだと、一部の、何といいますか、県民会議がこうだというような宮城県の問題持ち出しておりました。この中には自主
憲法制定、
元号法制化促進あるいは靖国神社の国家護持というのも、こういう問題を
一つのスローガンとして出しておるんだと思うんですよ。これは出すことは自由でしょう。しかしながら、
元号は
一つの性格を持っておる、あるいは自主
憲法という問題については、いま
国民が民主
憲法、新
憲法を守ろうという空気、これもわれわれは賛同できる問題ではない。しかし靖国の国家護持という問題については私は
意見があるんです。
ついででございますから
総務長官にもあるいは
法制局長官にもお聞きしたいんですが、あの暗い軍国
時代と申しますか、帝国主義
時代と申しますか、私も戦争に行った一人でございますけれ
ども、われわれのいわゆる同僚なりあるいは先輩なりが国に召されて亡くなっている、戦死している。こういう人
たちを国が守らぬという手はないんですよ。恐らく
国民全般の感情としては国が守るべきだと、これは私は皆そういう
気持ちを持っておると思う。私の戦友もたくさん死にましたよ。しかしながら新
憲法においては御
承知のごとく
憲法二十条で一宗教法人に対する国のいわゆる指導、援助があってはならないという規定がありますね。したがって、新
憲法下ではこれはできないですよね。ところで、いまなお遺族会の
皆さんが国家護持をうたっておりますよ。これに対して
政府はどういう指導をされているのか。確かに国家護持は必要でしょう。しかし新
憲法ではできない。だからこの問題については私
たちはこう言っている。この
憲法の趣旨から考えるならば国家護持は直ちにできませんよと、しかしながらあの靖国神社が、神社じゃなくてかわって靖国の森とかあるいは靖国の廟とかあるいは無名戦士の墓とか、こういう形において国が護持することはこれは可能じゃないんですか、宗教から離れて。各国の無名戦士の墓ですね、われわれ議長に随行していっても必ず各国へ行ったら無名戦士の墓へ連れていって、われわれ花輪を供えておりますよ。わが国だけですよ、靖国神社へ参れない、あるいはまた
天皇さんが参ったらおかしい、総理が参ったらおかしいではないか、公的で参れぬのかというような論議が出ておるでしょう。私はここに
一つの欠陥があると思う。
したがって、そういう問題も含めて県民会議でやっておるそうでございますけれ
ども、
元号法案は別であり、また自主
憲法制定も別だから、そこで靖国問題については私は現状の中では国家護持はできない。じゃ、やろうとすりゃどうするか。また当然
国民感情として国が祭るのはあたりまえだと、これは私
たちも割り切りますよね。多くの
国民は割り切ると思う。しかし新
憲法下ではできないんだから、やはり英霊を祭るその手段というか、そういう問題については、やはり総理府としては十分検討すべきではありませんか、靖国神社じゃなくて、別に。こういう問題を私は
一つ申し上げておきたいと思いますが、付随して。その点についてどうなんですか、ちょっとお聞きしたい、一点だけ。
政府の
見解言えないかしらぬが、私の
質問に対する
見解ぐらい言えるでしょう。