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政府委員(
清水汪君) まさにその点が今回の
政府の提案になっているわけでございます。つまり、大多数の
国民が
昭和の後も
元号というものはあってほしいという願望を持っておるわけでございまして、この点につきましては
各種の
世論調査においてもきわめて明確であるわけでございます。で、同じ
存続を希望しておられる
国民の
方々が、その
存続の
方法についてどういうふうに
考えておられるかということが問題になるわけでございますが、その点につきましては、ごく簡潔に申し上げますと、たとえば
政令で次のことを決めたらいいじゃないかというようなお
考えの方もあるように伺われるわけですが、この点につきましては、現在の
わが国の法制のもとにおきましては
法律の
根拠がないままに直接
政令というものを決めて物事を決めていくということはこれはできないわけでございます。
それからあるいは
存続を希望するという
お答えの方の中に、
慣習的に使っていくということでよいのではないかという
お答えもあるように伺うわけでございますが、その点につきましては先ほど
法制局長官から御
説明がございましたように、
慣習ということの中には、
昭和の次の
元号についてだれがどうするかというようなことまではルールとしても含まれていないわけでございます。したがいまして、
昭和の次ということで
考えてみますとそれは空白になる。つまり、
元号の
存続は希望しておるとおっしゃりながら、その
方法について
慣習でもいいではないかという
お答えはいささか実際の解決
方法にならないということがあるわけでございます。
そこで、そのような場合につきまして
政府としては
国民の
存続を希望するという意思にどのように配慮したらいいかということは当然
政府として
考えなければならない責任であろうと思いますが、そのような観点から従来ずっと検討をいたしてきたわけでございます。で、その検討の一時期におきましては
内閣告示ということも
方法としては可能ではないかというお
考えを当時の
総務長官がお述べになったということも御案内のとおりあるわけでございますが、その点は私
どもとしては、それはその当時の諸般の情勢のもとにおきましていますぐ事の処理を迫られた場合には一体どういう処理が可能であるかというような
意味におきまして、それはこういう
方法が
考えられるということを申し上げたということがあったかと思います。
しかしながら、
政府といたしましてはそのような経過も含めまして、その後も鋭意検討を重ねてきたわけでございまして、そのような検討の結果として
考えましたことは、
元号というものは広く
国民に使われるものであると、そういう性格のものであるというようなことから
考えてみますと、それからまた、そういうものでありますから、それはやはり
元号であるということが明確で安定しているということがきわめて大事なことである。で、そのような
元号の
昭和の次の
元号をどうするかという、そのルールをどうするかということでございますが、そうなりますれば、たとえばいま申しましたように内閣がただ自分の判断で、内閣が自分で決めて告示をするからいいよという
考え方よりは、むしろそのような内閣が決めなさいということを
国会、つまり
国民を代表する
国会の議決する
法律の形で御委任をいただくということの方が
——固苦しい
言葉で恐縮でございますが、事の進め方としても順当であるといいますか、筋道にかなっていると同時に、結果としても
元号というものの存在が安定し、明確になるということが言えるわけでございます。
そのようなことから
政府としては、最終的には
内閣告示というようなことではなくて、
政府からこの
法案を御提案申し上げて御
審議をお願いするに至ったと、このようなことでございます。