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1979-03-28 第87回国会 参議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十四年三月二十八日(水曜日)   午前十時三分開会     —————————————    委員異動  三月二日     辞任         補欠選任      坂倉 藤吾君     小谷  守君  三月九日     辞任          志村 愛子君  三月二十七日     辞任         補欠選任      小谷  守君     片山 甚市君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         赤桐  操君     理 事                 小澤 太郎君                 成相 善十君                 案納  勝君     委 員                 長田 裕二君                 郡  祐一君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 前田 勲男君                 大木 正吾君                 片山 甚市君                 中野  明君                 沓脱タケ子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  白浜 仁吉君    政府委員        郵政大臣官房長  林  乙也君        郵政省電波監理        局長       平野 正雄君    事務局側        常任委員会専門        員        栗生澤喜典君    説明員        文部省大学局審        議官       阿部 充夫君        文部省大学局企          画官       前畑 安宏君    参考人        日本放送協会会        長        坂本 朝一君        日本放送協会副        会長       藤島 克己君        日本放送協会専        務理事      沢村 吉克君        日本放送協会専        務理事      山本  博君        日本放送協会専        務理事      川原 正人君        日本放送協会専        務理事      堀 四志男君        日本放送協会専        務理事      中塚 昌胤君        日本放送協会専        務理事      橋本 忠正君        日本放送協会理        事        武富  明君        日本放送協会理        事        坂倉 孝一君        日本放送協会経        理局長      渡辺 伸一君        日本放送協会総        務室室長     片岡 俊夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 赤桐操

    委員長赤桐操君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十七日、小谷守君が委員辞任され、その補欠として片山甚市君が選任されました。     —————————————
  3. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。白浜郵政大臣
  4. 白浜仁吉

    国務大臣白浜仁吉君) ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十四年度収支予算事業計画及び資金計画提案理由につきまして、御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定によりまして、郵政大臣意見を付して国会に提出するものであります。  まず、収支予算について、概略を申し上げます。  事業収支におきましては、事業収入は前年度に比べ四十六億七千万円増の二千二百八億三千万円、事業支出は前年度に比べ百六十九億円増の二千三百六十億円となっております。  この結果、事業収支における不足額は百五十一億七千万円となっております。  この不足額につきましては、昭和五十二年度及び昭和五十三年度からの繰越金百二億円と長期借入金四十九億七千万円をもって補てんすることとしております。  資本収支におきましては、資本収入は四百三十七億円、資本支出は二百八十五億三千万円となっており、このうち、建設費として二百十九億円を計上しております。  次に、事業計画につきましては、その主なるものは、テレビジョン放送及びラジオ放送全国普及を図るため、放送網建設を行うこと。視聴者意向視聴態様に対応した番組編成を行うとともに、昭和五十三年度に改定した放送番組定着を図ること。視聴者生活態様に即した営業活動を積極的に推進し、受信料の確実な収納に努めることなどとなっております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等について、慎重に検討いたしました結果、これをおおむね適当であると認め、お手元に配付されておりますとおりの意見を付することといたした次第であります。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどをお願いいたします。
  5. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。坂本日本放送協会会長
  6. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) ただいま議題となっております日本放送協会昭和五十四年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げます。  昭和五十四年度における協会事業運営は、受信料収入伸び鈍化傾向など、きわめて困難な事態に直面しておりますが、受信料の月額を前年度どおりに据え置くこととし、極力業務の合理的、効率的運営を推進つつ、国民の要望にこたえるため、テレビジョンラジオ放送全国普及に努めるとともに、すぐれた放送を実施して、公共放送使命を果たすことといたしております。  次に、昭和五十四年度の主な計画について御説明申し上げます。  建設計画につきましては、難視聴地域の解消を、より効率的に推進することとし、テレビジョン局建設共同受信施設の設置及びFM放送局建設などを行うことといたしております。  また、テレビジョン音声多重放送の拡充に必要な設備整備を行うほか、老朽の著しい放送設備の取りかえ整備を実施することといたしております。  次に、事業運営計画について申し上げます。  まず、国内放送では、テレビ、ラジオ放送ともに、昭和五十三年度に改定した放送番組定着を図るとともに、一部番組刷新、充実に努めることとし、また、ローカル放送についても一層充実することといたしております。  国際放送においては、国際間の理解と親善に寄与するため、番組刷新を図るとともに、受信改善に努めることといたしております。  広報及び営業活動につきましては、視聴者会議運営などの諸活動を通じて幅広い視聴者意向を積極的に吸収して、これを事業運営に的確に反映させ、また、視聴者生活態様に即した営業活動を推進して、受信契約増加受信料の確実な収納に努めることといたしております。  調査研究につきましては、放送番組放送技術向上に寄与する調査研究を推進し、その成果を放送に生かすことといたしております。  以上の事業計画の実施に当たっては、全般にわたり、経費節減業務効率的運営を一層徹底することといたし、要員数は、前年度どおり据え置き、給与につきましては、適正な水準を維持することといたしております。  これらの事業計画に対応する収支予算について申し上げますと、事業収支においては、収入総額二千二百八億三千万円を計上し、このうち、受信料収入については二千百六十億一千万円を予定しております。これは、有料契約者数について、カラー契約七十万件の増加普通契約十五万件の減少、契約総数においては五十五万件の増加を見込んだものであります。  これに対して、支出は、国内放送費などの事業運営費減価償却費支払い利息などにより総額二千三百六十億円を必要とするため、事業収支において百五十一億七千万円の支出超過を来すこととなりましたが、これについては、昭和五十二年度及び昭和五十三年度からの繰越金百二億円並びに借入金四十九億七千万円をもって補てんすることといたしております。  次に、資本収支は、支出において、建設費に二百十九億円、放送衛星を管理、運用するための法人への出資に一億四千万円、債務償還に六十四億九千万円、総額二百八十五億三千万円を計上し、収入には、昭和五十二年度及び昭和五十三年度からの繰越金受け入れ、放送債券借入金等を合わせ総額四百三十七億円を計上いたしております。  以上、昭和五十四年度日本放送協会収支予算事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、国民生活向上放送の果たすべき役割りがますます重要になっていることに思いをいたし、今後の協会事業運営に当たっては、一層視聴者理解と支持を得るよう努め、協会全体の力を結集して、業務全般にわたる合理的運営改善に不断の努力を傾注し、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございますので、委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。
  7. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 以上で説明の聴取は終わりました。  それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  8. 案納勝

    案納勝君 私は最初に、昨年の逓信委員会、三月の三十日に五十二年度NHK予算委員会承認をされました。今回の五十四年度NHK予算審議するに当たりまして、その予算案を一見をいたしますと、昨年及び一昨年、当委員会論議をしてきました問題点課題というのは何ら解消されていない。同じような課題が実は残されたままにきている、こういうふうに理解をせざるを得ない。ただ違うのは昨年、五十三年度は、五十一年から三カ年間のトータルを通じて経営中期見通しの中での予算提案。そこで提案をされたやつの中では、五十四年度からの収支についてはきわめて厳しい状態にあった。NHK財政見通しというものについて、収支見通しについて、どういうふうに長期展望を立てるのかという、実は論議が昨年もなされました。  ところが、今回提案をされているのは、実は五十四年単年度予算案になっています。その中身は、いまも会長から報告をされましたが、五十四年度事業収支は二千二百八億円、伸び率は二・二%、事業支出は二千三百六十億円で伸び率は七・七%、この結果、事業収支において百五十二億の赤字になる、これは五十四年度。しかし、そのほかにも建設費債務償還など五十九億等が必要になるので総合では二百十一億の赤字になりますと、こういう報告です。  それで、ここに出されています資料を見ましても、五十五年、五十六年、この先行きについては、そういう趨勢の中で赤字がふくらんでいきます。ただし、ことしの場合は、この二百十一億の収支不足については、五十二年度、五十三年度繰越金百二億をもって消し込みをいたします、そこで単年度予算として提起をいたします、こうなって間違いないと思います。二百十一億という要するに赤字というのは事業収支の一〇%にも当たるわけですね。これを全体見ますと、受信料収入は年々の伸び率が鈍化する一方で、現在の体系のもとでは将来にわたっても増収は期待できない。  そういう中で今日、五十四年度の全体の予算を見ると、先行きというものについて全く実は去年と同じような心配を繰り返さざるを得ないんです。単年度に出されようと出されまいと。経営基盤というのは、私は去年申し上げた基本収入基本構造自体が崩れている、そういうように理解しております。そういう中でなおかつ新しい事業計画というのは、たとえば多重放送の問題や放送衛星問題等、多くの事業計画がある。こういう中で、なぜ今回単年度ということで、先行き展望先行きNHK像というものについて確信を持って私は国民に語りかけるという先行きの問題について、長期展望について出せなかったのか。この辺を第一点お伺いをしたいのです。  去年も私は確かめましたが、最後の締めくくりの討論の際に申し上げましたが、今日のNHK現状というものについての認識というのがまだ不十分じゃないのか。今回の予算全体を見ても、事業費大変削減をされてきています。そして、それでも解決をしない。部内の事業費削減合理化というのは一定限度があります。しかし、それでもなおかつ今日の収支構造というのは解決されない、NHKの。そういう事態に置かれている今日の事態を、会長初めNHKとしては本当に深刻に受けとめられているのかどうか。  去年私は、今後の展望について、どういう場でか国民の前に共感協力を求めていく手だてというものを出さなくちゃいけないんじゃないかと。会長は、五十三年度予算承認をされたら直ちにプロジェクトを通じてこれにかかります、そしてできるだけ早い機会にコンクリートします、と。私の方は、さらに会長にお願いをしたのは、そのコンクリートされたのが五十四年度予算審議のときに提起をされても、それは問題にならないよと。事前に委員全体に配付をしてください、説明をしてほしい。そして今後の先行き展望というのを五十四年度には明らかにして、国民に求めることを求める、協力を。そして共感を求めるという、そういうものをしていかなければ働いている職員はもちろんですが、本当にNHKというものについての私は批判がこれ以上これでとどまるということにならないんじゃないでしょうかというふうに指摘をいたしました。  これらを含めて、現状について会長はどのようにお考えになっておられるのか。昨年からの経過もありますので、まずお伺いします。
  9. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) いま案納先生が御指摘のように、NHKの場合、そのテレビジョン受像機普及というものの頭打ちと申しますか、そういうことで収入伸びが二%前後という状態になり、支出が御指摘のような増高で、どうしても収支のバランスがとりにくいという、そういう状態になっているのは御指摘のとおりでございます。そして、昨年の審議の際に、その点について御指摘をいただき、それに対してお答えするというお約束を申し上げまして、正直に申しまして鋭意局内の各役員を長とするプロジェクトをつくりまして検討を進めております。  なお、これも御報告申し上げたかと思いますけれども、そういう事態に対処するために私の諮問機関という位置づけで、中山先生を長とする経営問題委員会なるものの一種の諮問機関のようなものをつくりまして、その先生方のいろいろな御献策等もいただき、これはたしか昨年の暮れに中間的な御報告をいただきまして、その資料につきましては当委員会先生方にも御報告申し上げたかと思いますが、その委員会中間報告にもございますように、やはりこのNHK財政的基盤の安定ということを図るために、協会としては視聴者理解を求めるためのさらに一層広い審議機関等設けて検討するようにというようなサゼスチョンもいただきまして、そういうものを踏まえて現在なお一層、案納先生の御指摘のような長期見通し確立ということについて努力しておる次第でございます。  しかし、何分にも現在の社会情勢等変動等からいいまして、なかなか具体的な見通しが立ちにくいという状況もひとつ御理解いただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、御指摘のような形でのお答えを何とか早い機会につくり上げたいということで、なお一層そういう方向での努力を続けていき、やはりNHKというものが国民皆様方理解の上に立って受信料制度を守り、そして、日本放送界の民放、公共放送というその世界にユニークな制度の安定を図るというための財政的基盤確立ということに具体的な施策を掲げたいと思っておりますので、現状はその御指摘のような厳しい状況の中でわれわれ役員職員一致して当たらなければならないという認識に立っておることだけ御理解いただければ幸せでございます。
  10. 案納勝

    案納勝君 それじゃ少しく中身に入りまして。先ほどちょっと申し上げましたが、五十三年度収支予算事業収支で二十九億円の赤字、さらに先ほど申し上げましたとおり、資本収支で八十九億円が不足するということになって、都合百十八億円の収支不足となる。この不足額が五十一年度と五十二年度からの繰越金百十八億の金額をもって補てんをする、こういうふうになっています。これは五十三年です、去年提案をされた。  しかし、五十四年度収支予算を見ますと、五十二年度及び五十三年両年度にわたって百二億の収支改善ができることを前提として編成をしている。ここあたりが実はよくわからないんです。この両年度収支はどのようになっているのか。まずは今日のその百二億というのは、五十二年度、五十三年両年にわたってその収支改善ができた百二億というのはどのようにして生み出されたものか、ひとつここのところはっきりお聞かせください。
  11. 川原正人

    参考人川原正人君) いまの御指摘のとおり、五十四年度予算編成に当たりましては、五十二年度、三年度、両年度から百二億円の剰余を生み出してこれを財源に充てているわけでございます。  その中身といたしまして、まず五十二年度につきましては、実は予算に対しまして決算段階で四十二億円の残りといいますか、黒字を出すことができました。さらに五十三年度においては、これは実はまだ年度いま最後段階で終了しておりませんので、具体的な決算の数字というのは正直出ておりませんけれども、私どもがいままでずっと検討してまいりまして六十億円は余り、黒字を残すことができるという確信を持ちましたので、これは財源に組み込んだわけでございます。  その内容を少し申し上げますと、五十二年度につきましては、当初の予算に対しまして実際の決算は、事業支出の方では、私どももいろいろ各方面の御要請もございまして、鋭意企業努力といいますか節約に努めまして、それに加えまして五十二年度予算編成当時に比べまして、物価状況等はかなり鎮静をいたしました。特に金利等は私どもの予想以上に下がってまいりました。そういうことから、財務費等では七億円の黒字、そのほか予備費等も十四億円を使わずに過ごすことができました。さらに事業運営費等も、先ほど言いました物価鎮静等、私ども経営努力と相まちまして約二%、三十五億の残りを出すことができました。これらを合わせますと、事業支出の方で五十二年度予算に対しまして実は五十六億円剰余を残すことができました。一方事業収入の方が残念ながら、ちょっと契約年度当初から予定どおりいかなかった点等もありまして、十四億の赤字が出たわけでございますけれども、それを差し引きまして、予算に対しまして五十二年度四十二億の黒字を残すことができたわけでございます。  それから五十三年度につきましては、先ほど言いましたようにまだ予算の執行の最後段階でございまして、各項目、費目ごと決算というのは出ておりませんけれども、これもやはり客観的に金利が引き続き低下をいたしまして、あるいは物価鎮静を続けまして、さらに円高という特別な事態もできて、これによる私どもの外国に支払うお金、あるいは電力・ガス料金還元等がありましてこれらの措置でも三億円、金利で五億円、それから予備費も現在までのところ十二億円ぐらい残し得るということで財務費予備費等々で二十億円は確実に出てくることが見通しできました。そのほかにいわゆる事業運営費の方で、これも五十三年度年度を通じまして経済情勢の好転といいますか、私どもにしては幸いな経済情勢の動きと、それから年度当初より経費節約については心を用いまして、約二%ぐらいのものは確実に残し得るだろうという見通しを得まして、それらを合わせましでいま六十億円の残余を出すことができるという確信を持ったわけでございます。それを合わせまして、結局百二億円ということになっております。
  12. 案納勝

    案納勝君 これ「日本放送協会昭和五十四年度収支予算事業計画あらまし」というのがありますね。いま説明をされたやつは、この中の十四ページをそのまま受け取っていいわけですね、数字的には。
  13. 川原正人

    参考人川原正人君) そのとおりでございます。
  14. 案納勝

    案納勝君 いま説明を受けましたが、しかしながら、それでNHKの今日、あるいは来年度、あるいは再来年の五十五年、五十六年、五十七年、仮に三年をとって考えてみても、今回の単年度収支に基づいていままでしてきたことによって、百二億の剰余金を通じて一応の収支改善を行ったとしても、明年度、五十五年度、五十六年度見通しというのは、それは従来から指摘をされた見通しは変わってこない、基本的に解決をしていない、こういうふうに提起をされている資料の中でもうかがわれますが、そんなに理解をしてよろしいですか。
  15. 川原正人

    参考人川原正人君) 協会財政の全体的な基調といたしまして、何と申しましても収入の九八%までを占める受信料につきましては、ここ数年の経緯から先を見通した場合に、やはり二%そこそこ、あるいは二%を割るかもしれないというふうな一応現段階での見通しでございますので、基本的な問題としては御指摘のとおり大きな変化は出てこないだろうというふうに思っております。
  16. 案納勝

    案納勝君 会長にお尋ねをしますが、いま説明をいただきました百二億の収支改善が本年度受信料据え置きに大きな貢献をしている、それで今回は受信料据え置き提案をされ——据え置きというか、そういう予算なんだ。これは今日まで、いま説明をされましたように、NHK自身努力に負うところが大変大きい、このことは認めます。しかし同時に、いま説明受けましたように、今日の経済事情物価あるいは金利などが大きな要因になっていることもまた事実です。特に、事業収支例年予算額を下回っていますね、事業収入が。これによって基本的に収支改善が生まれたということでなくして、今回出されている五十四年度予算なんかも、事業支出の抑制が結果的に経済的な要因と絡んで、今日百二億の収支改善によって受信料据え置きになって単年度予算提案になっている。私はこの点が、今後NHK経営展望する場合に問題点だと実は理解をするんです。  つまり、これらの要因というのは、常にNHK経営に有利に今後も作用していくというふうには理解できません。これは会長自身も先ほど言われたように、長期展望をなかなか出せないのは経済変動見通しができないからだと、そう言われた。戦後最低と言われる金利、あるいは今日の物価鎮静も、これは来年じりじりと物価は多く上昇機運、要素というのが、要因というのがたくさんあります。またもう一点は、経費節減合理化についても一定限度があります。  私がいま一番心配をするのは、そのことによって、働いている職員の皆さん、いや単に直接働いている人だけじゃなくて、ドラマやその他に出演をされている方々、これらの出演料や処遇というものが経費切り詰めによって抑えられていく、全くやる気がなくなる、あるいは将来への展望が働いている人自身も持ち得ないということになると、これは根底からNHKというものについての国民から委託されている使命というものをこれは覆すことになりはしないか。この点は五十三年度予算審議のときにも実は私が指摘をしたところであります。  この点について特に服部郵政大臣は、第一は経営基盤確立には違いはないが、いま私が指摘をしたとおりに一万六千数百の職員を擁している、この家族を入れて、これらの人々が本当にNHKをしょって、自信を持って国民の委託にこたえるということについての意欲をなくするようなことになったら大変だ、こういうふうにお答えをいただいております。それでさらに経営基盤確立、そしてここに職を求めている人方の不安感の除去、もう一つは公共放送NHKの信頼される体制の確立、この三つが実は柱でございますと去年は服部郵政大臣答弁をした。  そういう点を考えますと、今日の事態というのは、NHKがむしろ手がたく見積った事業収支の確保ができないという事実についてきわめて私は問題があるだろう。契約率の頭打ち、滞納件数の増大、欠損金償却の拡大などなどであります。NHK収支構造自体が経営体質自体に問題があるのではないか、こういうふうに私は今日の五十四年度予算を一見をして、いま説明を聞きながら深刻に考える。これらについてそれだからこそ長期展望、中期展望についての見通しを立てなきゃいけないんじゃないか、こういう点も含めて先ほど御指摘をしたんですが、会長のこれらについての御見解をまず承りたいと思います。
  17. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 先生御指摘のとおり、現在協会を取り巻く情勢というのは非常に厳しい情勢にあると、そのとおりでございます。しかし、だからといって私どもが意気阻喪をしたり、あるいは先の展望に光明を認めないというようなことで、われわれ自身がそういう心境に立てばもうこれはおしまいでございます。したがいまして、私は何としてもこの民放と公共放送という二本立ての放送体制というのは、特に視聴者の直接負担による受信料によって賄われる放送機関というもの、これは言論、報道の自由を守るというような意味から言っても非常に意味のある制度である。その制度を守るそのために、視聴者の方にNHKの存在理由を理解してもらうということにつながらなければならないんじゃないかということで、いろいろ視聴者会議その他いろんな手だてを講じながら努力をしておるつもりでございます。  それからもう一歩やはりNHKが存在して視聴者から支持されるゆえんのものは番組であろうかというふうに思いますので、何としても、いろいろな意味での経費的な節減もさることながら、番組の充実ということについてまず考えていこうではないかということで、微力ながら率先努力してきたつもりでございます。おかげさまでそういう意味での御好意ある反響は私の手元にも来ておりますので、それに力を得てなおNHKの存在というものを理解してもらうということに重点を置いて施策を進めたい。そういうことによって次の経営展望、たとえば受信料の改定等を含めての経営展望も図れるのではないかというふうに考えております。  なお、御指摘の滞納その他につきましても、確かに厳しい状況ではございますけれども、現在かなり努力いたしまして、昨年度においては、非常に成績が思わしくございませんでした東京、あるいは大阪等におけるその問題についての前進も五十三年度の中では見られたというふうに思っておりますので、一層そういう点について努力を重ねて、先生が御心配になるような事態に立ち至らせないというふうに努めたいと思う次第でございます。
  18. 案納勝

    案納勝君 大臣に御見解を承りたいのですが、昨年度、五十三年度予算事業計画について、当時の服部郵政大臣は、きわめて現状の厳しい認識の上で、長期展望に立った事業運営刷新、効率化等を中心にした意見書を出されました。今回の郵政省、大臣の五十四年度予算に対する意見書も、内容的には五十三年度服部郵政大臣意見書と余り違いはありません。しかし、いま会長と私が幾つかのやりとりをいたしましたが、この大臣の意見書は五十三年度も五十四年度も「長期的展望に立つて、」と、こういうふうに指摘をされた。今回の提起をされているNHK五十四年度予算は単年度予算。しかし、基本的にNHKの今日の収支構造改善をされたということでの単年度予算ではありません。  この辺について、去年ことしと、郵政省はこの意見書をつけるに当たって、今日のNHK収支構造についてどういう理解をされてこういう意見書になされたのか、単年度の五十四年度予算提案するに当たってこういう意見書も出てきておるわけでありますが、その辺について大臣はどういう理解をされているのか、この辺をひとつ郵政省の見解を承りたい。
  19. 白浜仁吉

    国務大臣白浜仁吉君) NHK経営は、いま御指摘をいただいたとおり、五十五年度以降一段と苦しい状況になることが予想をされますが、その厳しい経営環境に対処していくに当たっては、長期的展望に立って今後の経営を進めることが必要であり、またそのことについて国民皆様の理解を求めることが非常に重要であると考えておりまして、従来より長期的展望に立った経営のあり方について検討するよう求めてきたところであります。  NHKは先般、昭和五十四年度から昭和五十六年度までの三カ年の経営見通しを作成しましたが、日本経済全体の長期的見通しがむずかしい状況の中で、NHK自体の確たる経営計画を作成するまでには至っていないということで、これも現時点での見通しということになったのであります。NHKはこれまで経営問題委員会NHK経営のあり方を検討してきたところでありますが、この四月には改めて適切な審議機関を設けてさらに検討を加えていくということでありますので、できるだけ早くこの審議機関の答申を得て確たる経営計画を作成してもらいたいと考えているところであります。
  20. 案納勝

    案納勝君 それでは大臣、端的にお尋ねをしますが、郵政省としては、長期の計画について求めてきた。ところが、今回の五十四年度予算は、そういう郵政省の長期計画に基づいて要請をしてきたにかかわらず、単年度予算で、これにこえられていない。それは、経済見通しがなかなか立ちにくい、そういう面で実は今回単年度予算ということにならざるを得なかったということを郵政省は認めた、こういうふうに言われているように理解しますが、そういうことですか。
  21. 白浜仁吉

    国務大臣白浜仁吉君) 御指摘のとおりでございます。
  22. 案納勝

    案納勝君 それでは坂本会長にお尋ねをいたしますが、経営問題についての基本問題は、従来から各委員から指摘をされたように、あるいは今日私の方からも指摘をいたしましたように、基本的に解決をしていません。ここに資料の中で五十五年度、五十六年度見通しがございます。これ自体についても、どういう中身なのかというのは実はわかりません。実は私もこれ、きょう委員会をするについて、五十三年度に出された中期計画——当面三年ほどの、五十四年、五十五、五十六年に対する中期計画、その数字をよく見さしていただいた。で、今回また出された五十五年、五十六年度の数字を見ましたら、毎回出される資料ごとに実は数字が変わってくる。  これは、経済見通しが大変むずかしいので数字が変わるのか、実は当てずっぽうの数字——こんなことを言っては悪いですが、適当に委員会だから出しておけばいいんじゃないかというので出されているのか実はよく判断できないでいるのですが、いま大臣から指摘をされました、私はまず、去年の逓信委員会での大臣の答弁にありますように、先ほど私も引用しましたが、経営基盤をどう確立をするのか、あるいは働いている人たちの将来の不安というものを除去していく、公共放送であるNHK国民から信頼される体質をつくり上げていく、この三つの柱になって長期展望というのは出されてこなくちゃならぬ。いつそういうものについて会長としては提示をされようとしているのか、国民に明らかにして協力を求めるということについて、具体的にいつそういう措置をとろうと考えられるのか、その点はいかがですか。
  23. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 毎々の御指摘でまことに恐縮でございますけれども、先般来申し上げておりますように、私といたしましては、鋭意御指摘の点にこたえるべく努力をしておるつもりでございますけれども、いま郵政大臣からのお言葉の中にもございましたように、協会としては、新年度になりましたら早々に新しいやはり審議機関というようなものを設定いたしまして、いろいろとそこで御意見を承り御答申をいただき、できれば秋ぐらいまでの間には、確定的なものを国民理解を求めるための資料の集約をしたいというふうには考えておる次第でございます。
  24. 案納勝

    案納勝君 これは、いま答弁の点は一応いまの程度にとどめますが、会長ね、去年申し上げましたように、予算審議のその場になって、明年度から受信料の値上げをいたします、経営見通しはこういうことにならざるを得ませんとかというのを出されても、実は審議はできません。これは去年も申し上げたし、五十一年の場合も多くの委員の方から指摘をされた。いま一番大事なのは、今日の経営基盤をどう確立するかということと、国民の負託にどうこたえるかということについて、NHKが早期に国民にこのことを訴えていく、あるいは協力を求めていく、共感を求めていくというそのことがいま私は急がなくちゃならぬ問題だと思う。単に経済変動で経済政策が定まらないといいますか、見通しが立たないからなかなか立てられないじゃ済まない問題だと思う。その点だけをまず明確に申し上げておきたい。  もう一点は、この経営問題委員会の答申がなされている。これにも今年度経費節約をして計画の繰り延べなどによって据え置きをしなさいと、こういうまあ……。しかし、今後の問題については新たなる審議機関を設けて審査しなさい。何かこういう問題が起こってくると審議機関——経営問題委員会などをつくられる。しかも今回私が提起をしておきたいのは、今回のNHK経営問題委員会委員の方々を見ても、基本問題調査会から引き続いている委員先生方が実は半数を占めておられるわけです。新たなる立場から国民のサイドといいますか、そういう面からできるだけ多くの意見をという、そういう私は形になってない。基本問題の調査会のメンバーがたとえば半数を占めるというようなことでなくして、もっとやっぱり国民全体の意見を吸収できるという意味での委員会等を、つくるならば配慮すべきじゃないでしょうか。  もう一つは、積極的に公聴会などをやって、そういう国民全体の総意をできるだけ吸収をしていくという措置がこの運営の中でも見られないと思います。そういう措置を考えるべきじゃないでしょうか。もっと大胆に私はこの際やるべきじゃないだろうか、そういう施策を。私はそういうふうに思いますが、会長、今後の運営について、何かするとすぐ経営問題委員会とか審議会とかつくって、同じようなメンバーが同じような論議をしたって、出てくる内容もみな同じような内容なんです、NHKどうあるべきかというようなことから始まって。違うのは結論がそのときそのときに、ときには問題に合わせての結論が違うだけ。こういうやり方というのは私はもっと一考すべきじゃないかと思うんですが、これは私の注文として申し上げておきたい。  そこで、次に入ります。  いままで申し上げました経営基盤確立という問題に関連をしまして、営業体制の強化というのが私はどうしても考えなくちゃならぬ問題だと思う。滞納件数が今日皆さんの努力によって、それはそういうものがなくなるように努力をされていると思いますが、この滞納件数は現実にいうと年々増加をしているというのが現実ではありませんか。  たとえば、昨年は航空機障害に基づく滞納件数は五万件、本年は五万四千件、ビル障害については昨年は四万件、ことしは四万六千件、無理解は昨年は二十三万件、ことしは二十六万件、あるいは常時不在というのが昨年は五十三万件、本年は約五十三万九千件を突破しているのではないでしょうか。有料受信契約者の総数に対する比率は三・一%に達しておりますね。これに伴って受信料の欠損償却額もかなり年々増加をしている。そして最終収納率は四十六年以降というのは低下の一途をたどり、五十四年度予算で五十六億円にも上っているわけです。  私どもはこの問題について今日までどうやって歯どめをするのか、積極的な歯どめの方策をしなさいと指摘をしてきました。五十年のNHKの基本問題調査会でも能動的な働きかけが指摘をされ、経営問題委員会でも対応措置が必要だと指摘をされている。もちろんNHK自身視聴者意向の吸収ということでそれなりの努力をされていることは認めます。しかし、こういった情勢、年々増加をしていく問題点について、増加をしていく趨勢をどうやって歯どめをするのか、歯どめの措置について現状大体どうなっているのか。やっていると言っても、実際こういう状態では経営基盤、根底から崩れていっているというふうにしか理解できないんじゃないですか。こう言いたいんですよ。  だから、去年私の方から、もっと、電波を使っているんだから、NHK経営自体についてのPRをして国民に訴えなさいと、こう言いました。会長もそれは積極的に取り上げると。しかし、必ずしも国民の反応というのは私は十分であると思えません、今日。こういう点を含めて、いま申し上げました点について、会長以下協会としてどういうふうに取り組んできているのか、なぜこういう状態が続くのか、どう理解をされておるか、お聞きをしたい。
  25. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 確かにただいま案納先生から御指摘がございましたように、滞納受信者の数は年々増加いたしております。ただ五十一年度が前年度に比べまして十六万件増加いたしました。それから五十二年度は前年度に比べまして十万件増加したわけでございます。で、五十三年度、まだ最終的な数はわかっておりませんけれども、いまの見通しでは七万件ぐらいの増加に抑えられるであろうというふうに考えております。  確かに前年度に比べてふえていることは事実でございますけれども、そのふえ方が十六万から十万、十万から七万というふうにふえ方が少なくなったということは事実でございまして、私どもそれなりの努力をいたしまいりました。もちろん営業の部門におきましては、職員による訪問の強化、あるいは五十二年の十月から発足いたしました特別営業対策員、これは東京、大阪のこの両地域に五十名ずつ配置したわけでございますけれども、これの活動の効果というものが私は出てきているというふうに考えております。  ただ、先生御指摘のように、年々数はふえているということは事実でございます。で、私どもといたしましては何とかこの増加をゼロにしたいというふうに、まずそこを一つの目標にいたしております。で、来年度は年間で全然ふえないというふうに持っていきたいというふうに考えております。  ただ、先ほど先生も御指摘されましたように、この滞納件数の内訳の中で、いわゆる「無理解」と申しますのは、幾ら説得してもNHK番組は見ていない、NHK番組は偏向している、あるいはNHK経営姿勢が気に食わないというふうな理由、あるいは隣が払ってないから払わない、そういうことを理由にして、幾ら説得いたしましてもどうしても御理解いただけない、そういう方がおられることは事実でございますし、また、それを理由にして払わないという方が、先ほども指摘がございましたように五十二年度が二十三万余りあったのが、現在では二十六万というふうにふえております。で、この滞納者のふえ方が率としては高いということが私どもとしては一番問題といたしておりまして、これの対策といたしましては、営業だけではなくして、先ほどから御指摘がございましたように、NHK全体といたしまして番組の充実、刷新、それからNHKのあらゆる広報手段を通じての理解の促進ということで御理解を得なければならないというふうに考えております。
  26. 案納勝

    案納勝君 これは常時、常に予算案審議をする際、決算審議をする際問題になることですね。毎回同じことを繰り返しているわけです。これにはいま指摘をされたように、今日の受信料制度のあり方その他にまで触れてくるでしょう。それから、あるいは収入の基本構造の、要するに今日民放がこれだけ世界に例のないほど発展をしているわが国で、NHK受信料制度というものについての受け取り方が十分理解されない、また、あるいは基本構造自身が崩れているということが大きな原因かもしれません。しかし、このまま放置することはできません。そこで、私はこういうことが毎回、毎年繰り返されない思い切った措置をやはりとらなくちゃならない、こういうふうに考えます。  これは単に受信料の滞納数をゼロにするというのは、これは物理的に困難かもしれませんけれども、この点について従来の体制を単に強めるというだけじゃ私は今日の事態解決にならぬと思うんです。この辺は今後審議をする中で、協会ももちろんですが、郵政省自身としても今日の受信料制度のあり方問題を含めて、しっかりしたやはり方向性といいますか、出してもらわなくちゃならぬと思いますが、坂本さん、いかがですか。
  27. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) こういう文化的な機関を運営する場合の制度として非常に問題はいろいろございますけれども、しかし、ある時期にある決断をして、たとえば法的な問題にこれを訴えるというようなことも場合によっては考えなきゃならないような事態もあろうかと思いますけれども、私といたしますれば、そういうことをできるだけしないで解決できる方法はないだろうかということで努力をしておるわけでございますが、この問題は放送法制そのものにもかかわりますことでございますので、ここで軽々に私見を申し上げるわけにはいきかねるかと思いますけれども、そういう問題も背後にはあるということの認識の上に立ってやはり対応していくべきであろうというふうに考えております。
  28. 案納勝

    案納勝君 大臣にお尋ねしますが、この受信料の問題、要するに受信料滞納問題、あるいは欠損金がこういう状態を繰り返しているという今日のNHK経営収支の基盤にかかわるもの、これは今後の改善策としては幾つかの問題をいままでも指摘をしてきました。たとえば今日の放送法上の受信料制度というものについていま坂本さん答弁されましたが、法的に規制をするとか、いずれかの措置をとらなければ、今日の受信料の滞納は解決をしないだろうという意見もあるんですが、大臣、それから事務当局として、郵政省の所管当局としてどういうふうにこれ理解をされておりますか。その考え方があればお聞かせいただきたい。
  29. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 先生御承知のように、NHK受信者から徴収される受信料によりましてその運営が行われております一方、受信料の不払いの増加等に伴いまして財政上問題が生じてまいりましたことはそのとおりでございまして、このようなNHK財政上の問題につきましては、やはり何といいましてもNHKが第一義的にはみずからの経営努力に努めまして、国民理解と信頼を得ることによって解決していくことが最も緊要であろうというふうに思っております。  しかしながら、近年における受信料不払い等の増加は、NHK財政、あるいは国民の公平負担の観点からも大きな問題でございまして、私どもといたしまして、この受信料制度につきましても部内的にもいろいろと検討しておるところでございます。ただ、この問題がNHKの基本的性格にもかかわる非常に重要な問題であるだけに、先ほど来NHKの方からもお話ございましたようなNHK努力、あるいはNHKにおける審議機関の動静、そういったものも十分に連絡をいただきながら郵政省といたしましても慎重に検討を行ってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  30. 案納勝

    案納勝君 受信料制度は下手に手をつけるとNHKの基本問題にまで入ることはおっしゃるとおりです。NHK自身努力によるところが大きいのですが、それに伴って今日の経営基盤の問題として指摘をされる幾つかの問題があるんです。これも従来から論議をされてきている問題でありますが、附帯決議に毎年つきます受信料免除措置の見直しというものが実は毎年論議をされながら、根本的な解決というか、前向きの解決が一つも進んでいない。今日五十四年度予算の中でも免除額は五十四億にも上る、こういう状況です。これは経営問題委員会でもこの免除措置の見直しについて特に指摘をされています。これについては、特に五十三年度には一部手直しがあったとしても、本年度の場合は関係機関の協力が得られない、理解が得られないとして格別の措置もとられていない、まあこういう現状ですね。  これらはもう毎年同じこと言ってきてますから、私もこれ以上繰り返して申し上げることないんですが、郵政省も含めて、これらについての努力はどのようにされておるのか、抜本的にこれらの見直しというのがもうこれ以上進まないのか、会長や郵政省は、これに対する支援体制は私は不十分だと思いますが、これは郵政省としてどのような努力をされているのか、どう考えておられるのか、この辺もあわせてひとつ質問したい。
  31. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 先ほど先生から御指摘がございましたように、五十三年度は一部受信料の免除をやめるということで措置をいたしました。これはその対象の件数も少のうございますし、また社会的にも納得されるというものを対象にしたわけでございまして、したがって、各省の十分な御理解を得られないままこの免除廃止ということに踏み切ったわけでございます。それはそれぞれの施設の負担というものもほとんど影響を受けないというふうな件数でございましたので、そういうふうに踏み切ったわけでございます。  現在免除の対象として残っておりますのは主として学校、公民館等の教育関係、それから社会福祉施設、あるいは生活保護を受けておられるようなそういう世帯という福祉関係の対象でございまして、これは件数も非常に多うございますし、またこれについて廃止を強行した場合にはそれぞれの施設に与える影響も多い、また社会的な批判というものも出てくる可能性もございます。  したがって、われわれとしては将来廃止というふうに、そういう方向で進めたいというふうに考えておりますけれども、これを強行してそれぞれの施設に負担を強いるというふうなことはやはり慎重に考えなけりゃならないというふうに考えまして、郵政省とも御連絡をし、各省に昨年の六月に会長名の要望書を出しまして、財源措置あるいは国庫補てんについて要望をいたしまして、数次にわたりましていろいろ折衝をいたしましたけれども、各省の御理解を得ることができませんで今日に至っている。したがって、五十四年度予算におきましては、この免除は従来のとおりということで編成をした次第でございます。
  32. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) この受信料免除の問題でございますが、相当額の国庫補てんにつきましては、免除対象者が支払うべき受信料を国庫から補てんをするということになりますので、実質的には免除対象者に対する国からの助成という姿になろうと思っております。したがいまして、これはそれぞれ福祉行政あるいは教育行政の範疇の問題でもあろうかと、こういうふうに理解をしておりまして、このような性格を有する予算措置が必要でございますが、それぞれの関係省庁で予算措置が行われることが望ましいわけでございますので、郵政省といたしましても、従来から関係省庁に対しまして直接要請をしてきたところでございますし、NHKに対しましても、関係省庁とさらに十分打ち合わせをするよう指導しておるわけでございます。先ほどNHKの方からもお話がございましたように、今後とも連絡をとりながら対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  33. 案納勝

    案納勝君 局長の答弁、従来の答弁と変わりませんが、私は、今日の財政基盤の確立、あるいは今日のNHKが置かれている実情にあるだけに、積極的な見直し、私はNHK自身積極的にその方策のとるすべはもっとあるんじゃないかと思っております。主導権はNHKにあるわけですね。で、特にこれは郵政省には指摘をしておきたいんですが、諸外国で経営財源受信料のみで依存しているのはBBCですね。まあ先進諸国、ヨーロッパの例をとりますと。特にそのBBC以外のところ、西ドイツにしてもフランスにしてもイタリアにしても、経営の形は違うとしても、受信料と広告料の一部をもって経営しておる。  この中でも、実は学校等については受信料免除のことは減額、削減の方向にあり、特にイギリスの場合には、学校等については国庫——わが国のように全く免除をされている、あるいは免除されているという状態にありませんね。学校の免除されているのはフランスとイタリア、そして日本。他に広告収入等もあって、経営がそれによって賄われている放送機関の場合は私はそれでいいとしても、単に国民から徴収する受信料制度だけで成り立っている放送機関の場合を同一視することは私は困難だろうと思うんです。  したがって、私はわが国の場合には、これは文部省の方にもそれは努力をしてもらわなくちゃなりませんが、免除種別の最高は学校が三九・八%を占めて、あと生活困窮者が三九・四%占めている。大変大きな数になっているわけでありますが、学校を初め各種公的施設が設置するものまで視聴者の負担で無料にするというこの必要性は私はないというふうに思います。だから、もっとやっぱり日本NHKの、わが国のNHKの置かれている今日の経営基盤経営状態というもの、NHK受信料一本での性格の公共放送機関と、国際的に見ても収支不足を国庫交付金や広告収入で賄っている放送機関、こういうところと同一視して、私は国際的にも、外国の例から見ても、免除措置についてはやむを得ないんじゃないかという理屈にはなってこないように思う。  したがいまして、先ほど冒頭言いましたように、私は郵政省も本当にNHK財政確立というものについて、意見書にあるように、長期に展望して確立しなさいと、こういう意見書をつけるくらいならば、財政基盤確立の見地からもっと積極的な関係各省への指導は郵政省自身も私は行うべきだと思いますが、局長、いかがですか。
  34. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 先生もう十分御承知のように、NHKは、その発足以来、放送普及、社会福祉、あるいは教育への貢献等の見地から受信料の免除を実施してきておるという経緯があるわけでございますが、なおかつ御指摘のように、現在受信料免除相当額の国庫補てんということについて衆参両院から毎年御指摘を受けておるところでございまして、郵政省といたしましても、関係省庁に対しましては極力要請をしてまいっておるところでございまして、今後ともNHKともども関係省庁の理解を得るまで努力をしてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  35. 案納勝

    案納勝君 来年予算提起をされる、あるいは中期財政計画というものがこの秋には仮に出される。その中で、今日までの推移、経緯の上に立って、同じような答弁が繰り返されることがないように、具体的な措置がとられるように特段の要望をこの問題に対してしておきたい。  もう一点だけ、国際放送の問題であります。今回、国際放送の交付金が増額をされて経費負担率二五%となっています。この国際放送の問題も多く私は申し上げませんが、郵政省として命令をする、その命令した分について経費を負担をする。ところが、この二五%という数字、五十四年度見ても、余りにもこれは少額ではないかと考えます。従来この問題も繰り返し論議をしてきていますから、中身をここで多く論議をする必要ないと思いますが、今後大幅に増額されるものだと私は考えます。郵政当局はどういうふうにお考えになりますか。このままで、これが精いっぱいであるということにならないで、年々増額はされてきているとしても私は不十分だと思いますが、今後とも増額をしていくという考えについて、郵政省はどうお考えになりますか。
  36. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 御承知のように、国際放送経費全体に占める割合は、五十三年度の二三・二%に比べまして、先生御指摘の二五%になったわけでして、国家財源の非常に厳しい折から、私どもといたしましても最大の努力をいたしまして、この国際放送の重要性を認識をいたしまして、最大の努力をしてここまできたわけでございまして、今後とも専心増額方努力をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  37. 案納勝

    案納勝君 きょう私は、経営問題について、今後の中期展望、あるいは五十五年、五十六年度財政基盤の確立、こういう面で問題になります受信料不払いの点や、あるいは免除の問題、いま国際放送交付金の増額問題等指摘をしました。まだほかにもありますが、国民理解を求め——今日の事業収入は二%以上の、あるいは二%程度の増収の伸びしか年々認められない。経費は本年度予算で七・七%の支出増、前年比。そして、それを見ただけでNHK財政がインバラであることは明らかなんです。  そして、しかも当然負担をし、あるいは免除の額についても、見直しをして財政基盤確立へ一歩進めなくちゃならない課題が、今日まで多くの指摘にかかわらず不十分に行われておる。その結果は、勢い事業支出削減になり、働いている職員や、出演者を含めての処遇について多くの不安をもたらす結果になる。結果的にNHK自体が国民の期待にこたえられない。こういう結果を招くことを実は心配をするからいままで申し上げてきた。  国際放送についても平野局長から御答弁がありました。理屈は今日まで多く述べられてきていますからこれ以上申し上げませんが、NHK受信料以外でこの事業支出についてその経費を負担をしてもらうのは、実はこの国際放送しかないわけですね。しかも国際放送政府の命令によって行うわけです。命令分の一部だけを、実は政府はこれを二五%程度金を出しましたから、あとは全部国民の負担でやってくださいというやり方は、私はこれは放送法上問題があると思う。やはり命令を出したら命令を出した分については、今日の放送法上のNHKの置かれているその基本的な性格からして、政府の関係においても明確にやっぱりその責任だけは政府として果たしてもらわなければならぬ。この点だけは  私は今回努力をされて二五%になったことは、年々増加していることは認めます。認めますが、これで済む問題ではないと思う。国際放送経費負担については、NHK財政基盤が今日こういう事態にあるだけに、政府もきちんとした筋を通してもらいたい、こういうふうに要望しますが、大臣、いかがですか。
  38. 白浜仁吉

    国務大臣白浜仁吉君) 私も全く同感でございますので、なお一層今後努力して御期待に沿いたいと思います。
  39. 案納勝

    案納勝君 それから、これは私は昨年の九月IPUで海外を回る機会がありました。従来からも、国際放送についての受信状態の悪い地域が多いということが指摘をされております。  ところで、五十四年度、今年度はヨーロッパ、中東向けの受信改善のための中継放送が本格化されることになっている。ポルトガルのシネス中継局で行うことになり、昨年試験実験をされたやに聞いております。その結果どういうように改善をされているのか、私は各地でといいますか、イタリア等でその受信状況についての話をお聞きしました。やはり依然として混信が多くて聞き取れないという。これらについてどういう理解をされ、どのような対策を考えておられるのか明らかにしてもらいたい。
  40. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 先生御指摘のように、今年度ポルトガルにある中継局を借用いたしまして、ヨーロッパ及び中東向けに二カ月間わが国の国際放送の中継放送を試行いたしまして、その効果を調査してまいったわけでございます。ただしこの二カ月間の内訳といたしまして、五十三年度初頭における試行と、昨年の秋に行いました二回目の試行と二つに分かれておるわけでございまして、今年度冒頭における試行の結果につきましては、若干の先生おっしゃいますような混信等が見受けられた、必ずしもその周波数が適切ではなかったんではないかと思われる節がございましたので、第二回目の試行に当たりましては周波数を取りかえる、あるいは空中線も指向性を工夫してみるというような考慮を払いまして試行をいたしました。その結果、ヨーロッパ地域及び中近東地域いずれも受信状況は大幅に改善できる見通しが得られたわけでございまして、この試行放送に対する現地の反響も好評でございまして、本格的な中継放送を早く開始してほしいというような要望が数多く寄せられる状況になっております。
  41. 案納勝

    案納勝君 それじゃあれですか、私はちょうどイタリアでその話を駐在の方からお聞きしましたが、試験をやったのは四月と十月にやったわけですね。去年の四月と十月に実験をされましたね。いま言われたように、これじゃ従来きわめて問題であったヨーロッパ地域がほとんど良好に聞き取ることができる、カバーすることができるようになったというように受け取っていいんですか。
  42. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 第一回目の試行は昨年の六月二十五日から七月二十二日の間に行っておりまして、フラン、西ドイツ、スイス、オーストリア等のヨーロッパ中部地域の受信状況はおおむね改善されたが、中近東地域は指向方向の中心から若干外れておりまして、さらに周波数の関係で混信を受けて受信状況は必ずしもよくなかったという点を反省をいたしまして、第二回目は昨年の十月一日から十月二十一日の間行っております。それで、その結果といたしまして、フランス、西ドイツ等の中部ヨーロッパ地域以外のイギリス、北部ヨーロッパ、東ヨーロッパ等の地域におきましても受信状況は大幅に改善されております。また中東地域につきましても混信のない周波数を選定することができましたので、あるいはさらに中東地域に対してより有効な指向性を持った空中線を使用いたしましたため十分な改善効果を上げることができた。  反響につきましては、先ほど申し上げましたように、本格的な中継放送を希望する意見が強かったということを踏まえまして、実は来年度予算政府原案におきまして、ことしの十月から本実施に移行いたしたい、こういうふうな段階に入っておりますので、ただいま先生がおっしゃいましたように、相当な改善効果が今後継続的に得ることができるであろう、そういうふうに考えておりました。
  43. 案納勝

    案納勝君 わかりました。  先ほど申し上げましたように、経営問題に絡む幾つかの問題について質問をいたしましたが、最後に、今回の五十四年度予算は、冒頭に申し上げましたように、理事者側の経営姿勢、あるいは経営基盤確立のためにみずからが努力をすると、こういうことで昨年の委員会でも論議をされ、経営者の努力も相まって、あるいは経済情勢の変化もあって今日単年度、五十四年度受信料据え置きという予算提案をされている。しかし、その中を見ますと、例年になく全体の事業費伸び率は七・七%に抑えられている。このしわ寄せは事業費の中に全体しわ寄せされています。  特に昨年度と五十四年度を比較した場合に、たとえば国内放送費は五十三年度は前年度伸び率一六・二%、五十四年度は五十三年度に比して伸び率六・七%、国際放送費はこれは若干の政府の二五%引き上げたことによってふえたのでしょうが若干の増、営業費は前年度の五十三年度が前年度比の一五・五%、五十四年度は五十三年度比にして七・七%、ずっとダウンをしています。さらに、給与の面についても、昨年は、五十三年度は前年度比九%、五十四年度は六%、総体的に昨年は、五十三年度は五十二年度に比べて事業支出は一一・二%、本年度は七・七%、こういうふうに全部のしわ寄せが実は事業費にきています。  こういうふうにことしの予算を見た場合に、確かに本年度、五十四年度は百二億の収支改善によって赤字消し込みを行い、単年度予算として受信料据え置きになった。それは経営努力によってそういうようにいたしました、こういう予算案の性格だと私はいま受け取って先ほどから今後の中期の問題について申し上げているんですが、私はそこに大変心配があるわけです。  先ほどから私は申し上げますように、働いている人たち全体に先行きの不安やそういうもの、あるいは勤労意欲を低下をさせるような結果になることについて逆な結果しか出てこないのではないだろうかと、こういう心配を実はしている点もあるので、そこで、お尋ねをしたいんですが、NHKに働く出演者などを含めてここに働いている人たちの待遇についてひとつ明らかにしていただきたいんですが、NHK番組への出演料はどんな基準でつくられているのか、どうなっていますか。この辺はいかがですか。
  44. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  NHK出演料の基準は、いわゆる世間相場というものがございますので、やはり大きな一つの基準はそうかと存じております。しかし、NHKといたしまして、その性格上考えまして、世間相場に比較いたしまして、たとえば芸能人になりたての方あるいは一番最初、初めて出演なさる方等につきまして、ある程度の額を保障し、また、それによって生活を支えている方々に対してはその程度のことを考え、さらに非常に高い人たちについては、なるべく低くがまんしていただくということで、五十一年、五十二年度、そして五十三年度と通算いたしまして約六二%程度の改善を行いました。結果的にいわゆる中堅までのところはほとんど世間並みの相場と相なっておりますし、また、非常に出演料の高い方は、民放の約三分の一程度ということになっていようかと思っております。
  45. 案納勝

    案納勝君 堀さん、こういうふうに理解をしていいんですか。  私の方で調べましたところが、NHKの場合の番組出演料については、確かにいま言われたように引き上げになりましたが、ドラマ関係の番組などで、最下位ランクというのは一本について大体一万円ぐらい、中堅クラスで三万から四万、準主役クラスで八万円ぐらい、主役クラスはケース・バイ・ケースで、連続ドラマの場合は年間数百万円から千数百万円まで、こう一本で契約をされると、こういう仕組みです。で、五分間テレビ、五分間の番組の基準などの場合はテレビで三千円ぐらい。で、たとえば一般の人、朝やっていますね、主婦の人たち等が出ておられる、ああいう場合にはテレビで三十分の場合は六千円、三十分刻みで五〇%増。国会議員の場合は三十分で二万円、六十分で三万円と。その他エキストラは一人一日四千円。こういうのが一定の基準だというふうに聞いてますが、いま言ったのは大体間違いありませんか。
  46. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 特に隠し立てするわけではございませんけれど、出演料につきましては、これを公表しますと、及ぼす影響が非常に大きいということもありまして、本質的には企業秘密ということに相なっております。先生のおっしゃったことにつきまして、あえて否定はいたしませんが、そういう状況を御了承のほどをお願いしたいと思います。
  47. 案納勝

    案納勝君 テレビで働いているということは、きわめて今日の時代では華やかな職業だというふうに理解されがちですが、民放では下請、孫請、そういう形になっておりまして、ドラマに出演するについてもきわめて厳しい条件にあるようであります。NHKの場合は制作条件が民放と若干違って一概に比較はできないようでありますけれども、私は今日公共放送であるNHKが、これらの人々に率先して私はいまの処遇が社会的な相場といいますか、社会的に通用する、常識よりもきわめてそれは実態というのは抑えられているといいますか、低いところにあるというふうにしか理解をできません。もっとNHKが、公共放送NHKとしてこれらについても積極的に処遇改善をして、その人たちが本当にいい番組出演をしていただく、あるいはいい番組をつくるのに協力をしてもらう、こういう措置を私は前向きにNHKとしてやるべきだと思うのです。  これはこの委員会でもいつぞや青島先生等からこれらの問題について、木島先生等から取り上げられたことがあります。私は、今日の段階でもこれらについての問題は解消していないと思います。いま堀さんから説明がありましたが、あえてだめ詰めはしませんが、これらの問題を含めてNHKに働いている、あるいはその人たちが、本当に働きがいを持って、不安を感じないで働けるという意味での処遇の改善というものをもう一度前にやはり考えるべきではないか、こういうふうに考えますが、会長、いかがですか。
  48. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) やはり番組を支えている、出演者を含めてのいろいろな方々の処遇について適正であるべきだという努力は、責任者として当然すべきではないだろうかというふうには考えております。ただ、いろいろ財政的な条件もございますので思うに任せない点は、先生御指摘のとおりでございますけれども、しかし、少なくともそういうことに思いをいたしているということは御理解賜りたいというふうに思います。
  49. 案納勝

    案納勝君 会長、よくわかるんですが、たとえばドラマなどに出演をして、一番軽い役の人で二日間拘束されて一本一万円の出演料ぐらいだというふうに私は聞いています。エキストラに至っては一日何時間拘束をしても四千円ぐらい、こういうふうに聞いているんです。これではとても大変だというだけじゃ済まない。  それからもう一つ、NHK交響楽団に対する交付金も横ばいの状態でありますね、ここに資料もありますが、ずっと横ばいです、この五、六年。で、確かにいま財政上の大変重大な段階にあります。収入の基本構造自身が崩れている。公共放送として、いま財政確立をし国民に委託をされているその役割りを果たしていくためには企業の努力を、要するに協会自身の努力ももちろんさることながら、そういった面についての点もきわめて厳しい状態にあることも私も理解をしている。しかしながら、やはりいま言ったような問題についても、先ほど冒頭から私が申し上げましたように、一切のしわ寄せをそういうところにしわ寄せさしていくということになりますと、私は本当にNHKの将来像というものについて不安を持たざるを得ない。だから、私は冒頭からずっと昨年の逓信委員会での服部郵政大臣の答弁等を引き合いに出しながら申し上げているわけであります。  そこで、ぜひこのNHK交響楽団に対する交付金も横ばいの状態の今日でありますだけに、NHK職員、あるいは出演者を含めてのそれらの措置について十分な配慮をやはり私はしていってもらわなくちゃいけない。これに全部こういう処遇や、その他にしわ寄せをするようなやり方では、私はNHKの将来発展はないと思っていますので、処遇の改善等について積極的な必要な措置をとってもらうようにお願いをしたいと思いますが、会長、いかがですか。
  50. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 先ほど申し上げましたように、そういう点について配慮するというのが私の責任の一つであるということは言うまでもないことでございまして、そういう覚悟でございますけれども、しかし、現在NHKの置かれている状況ということも、苦をともにするという形では、ある意味では理解を求めなきゃならない点もあろうかと思いますので、そういう点もひとつ御理解賜りまして、ただ、気持ちの上では、先生の御指摘のような責任を果たす所存と申しますか、そういう決意はございますけれども、現実の問題の中においては、やはり苦をともにしてもらうということもあり得るということは御理解賜りたいと思います。
  51. 案納勝

    案納勝君 これで私、この問題を終わりますが、会長ね、要するに、単に今日のNHK財政上の問題は、今回五十四年度予算に出されましたように、事業支出をできるだけ、極力抑える。私は、七・八%に経常事業支出をことしは抑えられている、前年度比。これは、従来から見るときわめて厳しい事業支出になっています。私は、いまNHKが新しい事業計画その他の中でも、日進月歩の電波技術の開発等を含めて、放送衛星等も今度は実用放送衛星がいよいよ五十八年から始まる、打ち上げられてくる。あるいは難視聴解消についてもNHKのこれに対する責任はきわめて重大であります。そういう問題、多くの新しい事業を進めていかなくちゃならない課題を抱えておるNHKとして、事業支出あるいは建設計画自体を削減をしていくということは、私はどんなにやっても限度があると考えるんです。  そして、私は放漫になってはいけないけれども努力をする中で、NHKが持っているNHK使命公共放送使命を本当に国民に果たしていく、あるいは国民に還元をしていくというものが、逆な意味で、なくなっていったら、これは、NHKの将来というのは、私は大変な状態になると思います。そうするならば、場合によっては国民に積極的に訴え、あるいは国民理解を求めて、国民NHK公共放送ですから、あるいは受信料について協力を求めていく、みずからの責任を果たすというのは、これは当然でありますが、そういうことも私は必要だと思うんです。  みずから責任を果たすという大事なことは、たとえば先ほど言ったように、受信料についてこれだけの膨大な欠損償却をしなくちゃならぬ、不払いがある、これを一日も早くなくしていくとか、あるいは国際放送について、もっと政府から金をもらえる分だけははっきりいただくような措置をするとか、あるいは免除の問題についてはもっと見直していく、積極的に。そういうことが、それこそ責任であって、そういうことを言えば、仕方がないからこの程度でということで、十分な責任も果たさないままに、事業支出だけにしわ寄せをしていくようなやり方になりますと、大変な心配を私はするわけです。  だから、ぜひ今後の運営の中で、必要なものについて国民協力を求めるという姿勢を私はNHK自身協会自身持っていいと思う。それを訴えるに当たって、しっかりした責任をやはり私はとってもらいたい。大胆に訴えるものは訴えてもらいたい。そうして大胆に、やっぱり国民協力を求めるものを出してもらうということを、私はこの際、特段に要望しておきたい。これらの問題が働いている人たちにしわ寄せにならないように、やはり処遇の改善をしながら、本当に国民にこたえるNHKの中でそういうがんばりをやってもらう、希望を持ってやってもらうという体制を職場の中でもつくってもらいたい。この点特段にお願いしておきたい。今日の、厳しいだけに特にその辺についてお願いを申し上げておきたいと、こう思っております。  次いで私は、放送大学の問題について若干、二、三点だけお尋ねをいたしたいと思います。  放送大学の創立に当たっては、きわめて教育制度放送制度が絡んでいますだけに複雑な問題を抱えています。これは十分承知をしています。この問題については改めて別途機会がありますのでそれに譲りますが、二、三点だけ簡潔に御答弁をいただきたいと思います。  放送大学学園法案をちらっと見ますと、全額政府出資によりまして放送大学学園を設置し、この学園が放送大学を設置をする。そして同大学の主たる教育手段としての放送を学園が行う、こうしています。同学園法案の附則で、放送法を改正して、この学園の行う放送公共放送と位置づけ、今後テレビ、FMによる大学教育のための放送を全国に普及していく方針、こういうのが内容になっていますね。  ところで、お尋ねをするのですが、郵政省は、この放送大学の創立に当たって、放送法制との関連で、国営放送となることは好ましくない。こういう考えを持っておられたやに私は承っています。しかし、出てきた内容を見ますと、国立大学と実質的に変わらないといいますか、特殊法人立の大学という形になる。これに公共放送の免許が与えられる。公共放送として位置づけられて、附則で放送法が改正をされる、こういうふうに実は受け取っているわけであります。言いかえるならば、まさに今回の放送大学は、特殊法人立大学として、放送学園を中心に運営をされていくわけですが、中身は国営放送、こういう形を私は実体的に持って教育放送大学が行われる。この法体系に出されている中身は、こういう国営放送というイメージを払拭するための単なる擬制にすぎないのではないのか、いまの出され方は。こういうふうに実は理解をします。間違いだったら間違いとして指摘をしていただきたい。この結果、わが国における今日の放送法の基本体制に大きな基本的変革をもたらす結果になる、こういうふうに私は、今回の放送大学の法案については考えざるを得ないのであります。  こういう形をとったその理由と言ったらおかしいんですが、放送大学の性格について、郵政省はこの放送法の関係、今日までの放送法体系の関係の中でどういうふうにお考えになって法案を提案されているのか。放送法の改正を提案されていますが、もちろんこれは文教で、学園法の中の附則で改正をされるわけでありますが、郵政省はどういうふうにこれについて理解をしてこういう措置になったのか明らかにしていただきたいと、こう思います。
  52. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) ただいま提案中の放送大学学園でございますけれども、御承知のように特殊法人でございまして、国とは別の法人格を有することになっておりますので、私どもといたしましては国営放送には当たらないというものと考えております。しかしながら、放送大学学園の放送は、事実上田営放送的性格を持つものであり、放送法の精神にもとるのではないかという御指摘でございますが、この法律では、主務大臣は学園及びその設置する大学に対しまして財務、会計以外の監督命令は行うことができないということなど、大学の自治、学問の自由の保障及び放送番組編集の自由の保障等の見地から特に配意がしてございまして、国からの独立ということにつきましては十分確保されておるというふうに考えております。大学教育の機会に対する広範な国民の要請にこたえる放送大学の意義に着目をいたしまして、放送大学学園の放送を認めることが適当であろうというふうに郵政省といたしまして判断をしたわけでございます。
  53. 案納勝

    案納勝君 平野さんね、もう少し端的に。そういう答弁を聞こうと思わないんだがね。今日の放送体制は、受信料収入で全国放送を行うNHK公共放送、それから広告料収入で地域的に放送業務を行う民放の二本立てですね。これは放送法の今日までの経過かちして、国の思想統制や介入というものを、国民の電波を使うに当たって排除をしていくという立場で放送法の今日までの成り立ちがあって、国の国営放送というのは認めないという放送体系になっている。しかし、今度の放送大学の場合には、国からほとんど全額運営費がつぎ込まれて、理事長、学長は文部大臣が任命をする、こういうことになってきますと、事実上の国営教育放送というふうに受け取られても、いや受け取るのが本当ではないですか。三本立ての放送体制ができる、そして文部大臣の指名によって、任命によって行われる理事長及び学長、政府の影響がないとは全然言えませんから、金も出るわけですから。それはいずれの政府になったにしても思想統制、あるいはそういう統制につながってこないという理由は成り立たないんじゃないですか。そうすると、根本的に放送体制が変革をされるということになるんです。それが何でこういう附則の形で改正をしなくちゃならないのか、されてくるのか、この辺が私はどうしてもわからない点なんです。もっと私は、これについての郵政省自身の考え方というのは先ほどの答弁だけではどうしてもわかりませんから明らかにしていただきたい。  もう一つは、言われました学問の自由と編集の自由、これはこの中でも、番組編成についての項目は、四十四条の関係は適用されるわけですね、放送大学学園についても。そうしますと、放送電波の学問の自由という立場から見れば、一つの学説というものについて電波を通じて自由に教育をする、あるいは電波を送り出すことができる。ところが、この番組編集についての四十四条の関係から言うと、政治的公平や、あるいは多角的な論議を求めていかなくてはならない法律上の規制、義務づけがされている、表現の自由その他の問題もありますが。そうしますと、私はこれのところの関係の問題が出ないとは言い切れない。この番組編集権、四十四条に絡むもの、そして公平の確保、こういうものと学問の自由との関係、こういうものがどういう整理をされて出されてきているのか、これは文部省の方おられましたらあわせて答弁をいただきたいんですが、ここのところもひとつ、時間の関係ありますがお答えをいただきたい、こう思います。
  54. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) NHK、民放の二本立て放送体制に対しまして、この放送大学学園が放送法体系に取り込まれることは、放送体制の基本的変革ではないかという御質問かと思いますが、放送法制定の際の趣旨説明によりますと、わが国の放送体制といたしましては、受信料にその存立の基盤を持つ全国的な放送事業者でございます日本放送協会と、民間の発意によりまして、みずからその収入を確保しながら自由濶達に放送文化を高揚する自由な事業としての一般放送事業者の二本立ての放送体制をとることにしておることは先生御指摘のとおりでございます。したがいまして、法律によって設立されたNHKと同様に、今回は大学教育のための放送を行うことを本来の業務といたします、法律によって設立される特殊法人放送大学学園の放送につきましては、一般放送事業者の放送とはその規律の態様を異にすることが適当というふうに考えたわけでございまして、このように、学園の放送につきましては大学教育のための放送に限られておりますため、既存の放送秩序に及ぼす影響は、もしあるといたしましてもきわめて少ないのではないか、NHK、民放のいわゆる二本立ての放送体制の基本的な変革にはならないものというふうに考えておるところでございます。  それから、大学の自由等に関連いたします放送法四十四条三項の規定とのかかわり合いでございますけれども、四十四条三項につきましては、先生御承知のように、わが国における放送というものに基本的にやはり期待されるべき性格のものでございますので、このような要請がいわゆる学園当局に対してなされたといたしましても、大学の自由、学問の自由に対する問題はないものというふうに考えておるところでございまして、逆に申し上げますと、大学教育を放送という方法によってやる以上は、何と申しましても、この四十四条三項の番組準則というものは基本的に守っていただきたいという立場をとっておるわけでございます。
  55. 阿部充夫

    説明員(阿部充夫君) このたび政府から提案いたしております放送大学学園法案でございますが、この法案におきましては、先生御指摘のように、放送大学における学問の自由の問題と、それから放送事業者の番組編集の自由との問題、この間の調和を図るということにも留意をいたしまして、大学と放送局とを一体のものとして設置をするという考え方から、特殊法人放送大学学園という形でこれを設立し、この学園が大学を設置すると同時に放送局をもって放送を行う、こういう構えをとったものでございます。このようなことを行うことによりまして、同一法人の内部において学問の自由の問題と放送の自由の問題ということが円滑に調整され、処理されるということを期待をしておるものでございます。  また、この学園が行う放送につきましては、放送法四十四条第三項の準用があるということにいたしておりますので、政治的あるいは学問上意見が対立しているような問題を放送大学の教育で取り上げる場合におきましては、当然いわゆる放送コードによる制約のもとに行わなければならないということになるわけでございますが、制作の過程におきましてアカデミックスタッフ、大学側の教官と、それから放送関係のスタッフとが当初からチームを編成して番組編成にタッチをしていくということによりまして十分意見が交換され、調整を図ることができるようになるということを期待をいたしておるものでございます。なお、この場合、アカデミックスタッフの側におきましては、もちろんその教育内容が放送されるということでございますので、主体的な判断のもとに適切なやはり放送コードにのっとった自制というものをやってもらう必要があると考えております。あるいはまた、放送関係のスタッフの側におきましても、学問の自由、教授の自由という事柄の趣旨に留意をして慎重に協議をしていただくということを期待しておるものでございます。
  56. 案納勝

    案納勝君 そうすると、学問の自由と放送編集権の自由、この辺の関係については、放送法の枠の内で学問の自由、こういう形になるやにいまこれをお聞きしました。私は、これはきわめて重大な問題を含んでいると思います。いま答弁を聞きまして、平野さんも、あるいは文部省側の答弁も、期待をしているということを言われますが、それはあくまで期待をしているのであって、果たして学問の自由が守られ、編集権の自由が守られ、放送法の精神が生かされていくのかという点については、私は疑問を抱かざるを得ない。これは、先ほども申し上げましたように、別な場がありますからしませんが、最後に一つだけ、もう一点お聞きをいたします。  学園の放送は大学の教育のために放送をされる、要するに、大学の教育のための放送に内容が限られてくるというふうに理解をします。いま、文部省から私の方に資料をいただいていますが、この内容からいきますと、たとえば、専門教育に名をかりた一般人の教養を高めるためのいわゆる教養番組的なものが考えられるのでありますが、そういうふうに、この中身からいうと、いま出されている資料からいいますと理解をしていいのか。そうすると、既存の放送事業者、たとえばNHKの教育テレビ、ラジオの第二ですか、これらの関係についてどういうふうに理解をしたらいいのか。いま、NHKの教育テレビ等というのと学園放送というのは、これどういうことになってくるんですか、まさに混乱をしてきやしませんか。この辺についてはどういうふうに理解をしているのか、その点だけまずお答えをいただきたい。
  57. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 放送大学学園の放送は、大学教育のための放送でございまして、先生がおっしゃいますように、もっぱら放送大学の定める教育課程に準拠をした放送を行うということでございまして、NHKが広く幼稚園から大学までの各層を対象とした学校教育番組及び社会教育番組から構成されておりますいわゆる教育放送とはかなり異なったものになるのではないかというふうに考えております。  しかしながら、より一層の教育放送の充実、放送がもともと教育機能を持った媒体でございますので、そういった意味からも、より一層の教育放送の充実を期するために、番組内容につきましては、関係者相互の間で今後ともさらに十二分調整していただきたいものというふうに考えておるところでございます。
  58. 案納勝

    案納勝君 終わります。
  59. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分に再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十八分休憩      —————・—————    午後一時二十九分開会
  60. 赤桐操

    委員長赤桐操君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  61. 前田勲男

    ○前田勲男君 それでは、日本放送協会昭和五十四年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして若干の質問をいたします。  いただいております資料によりますと、今日NHK経営状況はまことに厳しい局面を迎えております。五十四年度収支予算によれば、百五十二億の収支不足、五十四年から五十六年度経営見通しによりますと、三年間で千二百億余の収支不足を生じるまさに危機的な様相を呈しておりまして、早急な健全化策が望まれておるところでございます。こうした事態を踏まえまして、経営状況についてお伺いをさしていただきます。  まず、事業収入でございますが、五十四年から五十六年に、三カ年にかけての伸び率も二%強でございます。そしてまた、これはもちろんこの数字は受信料を徴収する努力、これらを相当踏まえての数字であると伺っております。  それで、昨年五十三年度の当逓信委員会NHK収支予算に対する附帯決議がなされております。この決議ちょっと読ましていただきますと、「政府ならびに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。」、その二番目、「協会の存立基盤をなす受信料制度について国民理解をさらに深めるよう努めるとともに、受信契約の拒否、受信料滞納について適切な対応措置を講ずることと。」、まずこうなっております。次に、「協会はいつそう事業運営刷新効率化に努めるとともに、長期的展望にたつた財政基盤強化のため鋭意努力すること。」、この二項が附帯決議の中に入っておりますが、この決議に対しましてNHKとしてどのような具体的な対策、措置を講じられたか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  62. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) まず第一項の、受信料収納を確保する、あるいは契約者をふやすというこの問題につきましては、今年度六十万の契約増加計画したわけでございます。総数、契約者数の増六十万、二月末で約五十六万余り増加いたしました。あと三万余りを三月いっぱいでふやせば、年間の計画どおり六十万の増加の達成ができるということで、ほぼその見通しもついたという状況でございます。  それから収納の対策でございますが、これは前年度末約八十五万四千ほどの滞納契約者がございました。これが五十三年の九月末、上半期で約九十万にふえた、約半年間で四万五千ほどふえたわけでございますが、年度後半にかげて非常な努力をいたしまして、現在の見通しでは年度末で七万ぐらいの増加に抑えたい、また抑えられるであろうという見通しでございます。昨年度、五十二年度は前年度に対して約十万ほどふえました。ことしは前年度に対して七万ぐらいの増加ということで、いろいろな努力をした結果が若干あらわれているというふうに考えております。  ただ、この滞納契約者の中で一番多い約六〇%の滞納契約者、数にいたしますと、大体五十三万余りでございますけれども、この契約者はいつ行っても不在であるというふうな方でございまして、それに対しましては、休日であるとか、夜間であるとか、あるいは早朝であるとか、そういう在宅率の高いときに訪問をするということを強化いたしております。さらに在宅されておってもいろいろな理由を並べてどうしても払われない、意識的に支払いを拒否される契約者、これが約二十六万ぐらいございます。  これに対しましては営業の職員、あるいは特別の対策員、そういう者による説得をいたしておりますけれども、それだけではなかなか効果がございません。したがって、協会の全組織を挙げましてあらゆる広報手段、PR手段、番組の充実、刷新ということを軸といたしまして、NHKの性格であるとか、使命であるとか、そういうものを十分理解していただく、そういう活動協会全体としてやって、理解をし、そして支持をしてもらうという活動を今日までも続けておりますけれども、さらにこれを積極的に努力してまいりたい、このように考えております。
  63. 山本博

    参考人(山本博君) 第二番目のお尋ねにお答えいたしますが、五十三年度予算編成の御審議をいただいたときの附帯決議のいま御指摘になった項目の中に、効率化のことも入っておりますので、あわせてお答えいたしますと、効率化の問題につきましては、五十一年度から五十三年度までの前の経営計画を設定いたしましたときにほぼ五十億ぐらいの効率化の効果を上げるということで国会でも御審議をいただきましたが、現状におきましては五十三年度末までにほぼ七十億を少し超えるぐらいの実際上の効果を上げることができるのではないかという見通しを持っております。  それから財政基盤の確立のための方策ということを鋭意努力して検討せよという内容でございますが、けさ方もお話がございましたが、五十四年度につきましては受信料の改定を行わないで、もろもろの施策を講ずることによってこれをしのいでいこうというふうにいたしたわけでございますけれども、当然附帯決議にございました長期的展望に立った財政の安定方策ということは、NHKとしてこれは非常に重要な、いわば現在置かれておりますNHKの立場、状況、こういうものから考えましたら、これは早急に何らかの対策を立てなければならないという問題でございますので、当然NHKとしましてはその後問題をしぼりまして、内部的にそれぞれの課題を掲げましたプロジェクトチームをつくりまして今日まで検討いたしております。検討しておりますけれども、その中身につきましてはいわばNHK自身の持っております内在的な問題と、それから法律その他あるいは社会的な条件、こういう外在的な問題、そういうものも非常に絡み合った問題がたくさんございますので、現在におきまして、すべての問題につきまして結論を出したという状況まで至っておりません。  それでとりあえず、五十四年度は先ほど申し上げましたように受信料の改定をしないで、この期間の間にNHK自身の持っておる問題につきましてそれぞれの方向づけを得て、さらに五十五年度以降に新しい一つの経営計画というものを長期的な意味で立てて、それで、けさ方会長からも申し上げましたように、国民の御理解を得た上でそういうものを実施に移していこうという心組みでおるわけでございまして、あわせて、NHK内部のそういう作業を早急に具体化をいたしますとともに、経営問題委員会のような、いわば広く国民の御意見を伺うという組織をあわせつくりまして、そこの御意見も十分お聞きをした上で、最終的な財政基盤、これは受信料の問題も含めまして、NHKの持っておる全体の問題を総合的にそこで何らかの方向をつけようということにいたしまして、できるだけ早い機会にそういうものを国民の御理解が得られるようなそういう手順に持っていきたいというのが現在の状況でございます。
  64. 前田勲男

    ○前田勲男君 ただいまNHKの方から、いろいろ収納についての数々の御努力、また刷新の成果、受信料を改定せずに今日の経営努力をなされておるという御説明がございました。これにつきまして郵政省はどういう評価をしておるか、郵政省側の評価の見解をお伺いしたいと思います。
  65. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) ただいまNHKの方からお話がございましたように、収入の頭打ちに対しまして、公共放送としての番組充実その他の事業をとり行うためには支出増加がやむを得ないものという状況でございまして、郵政大臣の付帯意見もございましたように、ほぼ適当ということでございますけれども、何分にも国の財政見通し等が非常に立てにくい時点にございますために郵政省、私どもといたしましても、さきにNHKが策定をされました三カ年の見通しにつきましては、実はこれで満足できるものとは思っていないわけでございまして、今後NHKとも連絡をとり合いながら、NHKが本来みずからいわゆる長期計画を立てて経営努力をするという、経営の自主性、独立性というものを非常にNHKは持っておられるわけでございますので、NHKの中における努力を大いに期待をしながら、郵政省といたしましてもNHKと連携を保ちながら将来に対処いたしてまいりたい。したがいまして、従来の、あるいはさらに先に対するNHKの考え方につきましては、そういった、いま申しましたようなことを期待をいたしながら、適当であろうというふうに考えておるところでございます。
  66. 前田勲男

    ○前田勲男君 それでは収支見通しについて若干細かくお伺いいたします。  いろいろな措置をとられ、企業努力をなされて、受信契約先の開発、また徴収の徹底ということに努力されておりますけれども、いろいろお話を伺っておりましても、どうしても物理的な限界もあるようにも思われますし、また合理化企業努力もやはり限界もあるものでございます。そういった点から、五十四年から五十六年度の会計で収支不足額が千二百億、これは事業収入の約二割でございます。ここに年間現在のペース五十万から六十万の契約自然増等でとてもこの収支不足額はカバーできるものではない。  また、この事業収支一覧、四十二ページによりますと、五十七年度収支不足額は累計が二千百三十八億、これは下限の数字をとった場合でございますが、仮に二千百三十八億になったといたしますと、五十七年度においては事業収入の九一%を占めるわけでございます。そういった点から、NHK放送自体、たとえば放送時間の短縮とか、そういった後退的な措置をとれば別でございますけれども、今日のNHK使命、貢献を考えましたときに、これは当然否定されるものであると信じます。そういったときに、やはりここで受信料体系の見直しがどうしても必要になってくるのではないかと、私はかように考えております。  それで、いろいろ受信料体系の中で問題がございますが、たとえばテレビの台数制料金の採用。現在病院、ホテル等で非世帯契約数が相当ございますけれども、これに準じたようなテレビの台数制料金がとられないかどうか、またラジオの料金の復活を考えておられるかどうか、あるいは広台収入の導入、これはあくまでも地方自治体等公共的なものに限るという観点で、そういった料金体系の改定を考えておられるかどうか。また、五十四年度は約七億の副次的な収入番組の二次利用等で見込まれております。これらの収支の今後の伸びはどうなのか、どの程度見込まれておるのか、あるいはまた別途いい方法を考えておられるのか、その辺をお伺いさしていただきます。
  67. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) いま前田先生の御指摘受信料体系、NHK経営の根幹をなす問題でございまして、われわれとしても十分検討をし慎重に対処しなければいけないということで、先ほど山本専務からも御報告いたしましたような、局内における特別プロジェクトを中心に現在検討も進めておる次第でございます。しかし、一言申し上げるわけでございますけれども、現在の受信料体系というのは昭和四十三年度に、それまで契約甲と契約乙という受信料体系を改めまして、カラーテレビの設置者を対象とするカラー契約と白黒テレビを設置する方を対象とする普通契約の二つの契約種別に分けて、その際放送法の改正をいたしまして、ラジオのみの設置者は受信契約を要しないということにいたして現在に至っている、そういう歴史的な展開がございます。  元来受信料体系というのは、国民放送視聴の実態に即しまして、負担の公平と、可能な限り負担の軽減ということを旨として、総合的な判断のもとに定められるべきであろうというふうに考えておるわけでございます。御指摘の台数制、あるいはラジオ料金の復活というようなものも、NHK財政を配慮していただいたという点で十分検討しなければならないというふうには思っておる次第でございますが、なおその詳細につきましては担当の御説明をお許しいただきたいと思います。
  68. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) ただいま会長から申し上げましたように、受信料体系の見直しということにつきまして経営問題委員会でも御指摘いただいておりまして、私どもも台数制の導入、あるいはラジオ料金の復活、あるいはカーラジオだけを有料にするというふうな点、いろんな面から検討いたしております。  ただ、この台数制の導入につきましては、現在までラジオの料金時代からテレビ料金になりまして以後もずっと世帯の契約につきましては、一世帯一契約ということで長年やってきているという事実がございます。そういうことに対して、台数制を導入するということについての視聴者理解というものがどの程度、どういうふうに得られるかというふうな問題点。それから、一番私どもとして問題にいたしておりますのは、台数制にした場合に果たして正確にこれが把握できるかどうかという問題、これが私どもとしては一番の問題点というふうに考えておる次第でございます。と申し上げますのは、現在の制度、法制のもとで立入調査権というふうなものがない、あるいは届け出義務制もない、そういう状況の中で本当に正確に把握し得るかどうか、それが正確に把握できない場合に公平負担ということが崩れる危険性があるというふうな点、そういういろんな問題点があるわけでございます。  それから、ラジオ料金の復活という問題につきましては、先ほど会長も申し上げましたように、四十三年にラジオのみの受信者は契約の対象にしないということにした現行法、これをもう一度改正する必要があるというふうなこと。それから、四十三年以来ラジオだけの受信者は受信料を払っていないという現実。それから、ラジオの料金を復活いたしました場合に、そう高額なラジオ受信料というものは設定できないであろう、それの収納コストの問題、そういういろんな今後検討し、克服しなければならない問題点があるわけでございます。  それからカーラジオにいたしましても、これの収納の方法をどういうふうにするかという問題、収納コストの問題、そういう点が問題点としてあるわけでございます。  それから副次収入につきましては、先ほど御指摘がございましたように、全体の副次収入で五十三年度が五億二千万、五十四年度予算では六億八千万余を見込んでおります。その中で番組の提供、あるいは二次利用というのは、五十三年度九千万から五十四年度は一億一千万ほど見込んでおります。で、この番組の二次利用につきましては国内への番組の提供、海外への番組の提供というものがあるわけでございますけれども、こういう番組の二次利用、特に海外あるいは国内への番組の提供という点についてさらに一層の努力をいたしたいと、このように考えておりますので、年次的にどれぐらいふやすかということはまだ結論を出しておりませんけれども、可能な限りそういう面に努力をいたしまして、この副次収入全体についてもさらにふやすように努力をしたいと、このように考えております。
  69. 前田勲男

    ○前田勲男君 収支見通しの中で五十四年度予算収支不足額が、NHKからいただいた資料によりますと二百十一億円の赤字となっており、五十五年度、五十六年度、五十五年が上限だけとりますと四百三十五億、五十六年が上限だけとりますと六百三十三億、その合計が千二百七十九億と、こうなっております。しかし、五十四年度収支不足額の二百十一億というのは、五十三年度からの百二億の繰越金がございますから、ここは二百十一億ではなくて百九億で計算されるべきものと私は解釈いたしますけれども、この辺は何か含みがあるのでしょうか、お伺いしたい。  それから第二点は、これは大臣にお答えをお願いしたいんですが、債務償還充当必要額、これが五十四年度が五十九億、五十五年が七十二億、五十六年が七十八億と年々ふえていっておるわけでございます。いわゆる外部資金、銀行借り入れ等々でございますが、私は外部資金の導入ということについてNHKの性格、公正中立、あるいは放送の自主性を考えたときに、外部資金が占める比率の限界、これを無制限に入れていいものかどうか、その辺どのくらいまで適正であるか、郵政大臣の御所見を伺いたいと思います。
  70. 川原正人

    参考人川原正人君) 最初にこの資料にあります五十四年度収支の過不足について御説明申し上げますと、御指摘のように私どもの方も注記に書きましたように、実際の五十四年度予算のいま御審議いただいております執行の見込みでは、   〔委員長退席、理事案納勝君着席〕 最終的には前年度あるいは五十二年度からの繰入金で、収支は、実際に足りない分は百九億になろうかと思います。ただ、五十四年度協会財政を実態としてとらえた場合には、実質的にやはり債務償還経費等、これは当年度受信料で賄い切れないものがありまして、当年度、五十四年度財政の実態としては二百十一億の赤字であると、それを率直にここにお示しして、ただ予算の措置としては繰越金でもってそのうち半分ぐらいは一応埋められると、こういうことを申し上げておるわけです。決して他意はございません。  それから債務償還についてちょっと私の方から申さしていただきますと、この収支見通しに書きました債務償還充当必要額と申しますのは、やはり私どもが、本来借入金というのは建設事業のためにそれをすべて当年度受信料で賄うのじゃなくて、まず建設というものは借入金で賄って、それを逐次受信料で返還していくと、こういうのがたてまえだろうと思います。ここに掲げました債務償還の額は、建設費借入金で賄ってまいりまして、私ども現在借りましたお金は、これは現在のいろんな金融上の慣行もございまして、借りました金は十年間で返していくということを一つの原則で取り入れまして、それでもって算術的に出してまいりますとこういう借金の返済が毎年必要になってくる、それを書いてあるわけでございます。  借入金につきましては、本来建設費を賄うために借り入れをいたしまして、それが事業活動力となって、将来それを返済していくことができる限りにおきましては、私はそう大きな問題はないというふうに考えております。ただし、事業収入の不足に充てるための借入金となりますと、やはりその企業体が先々どの程度の回復力といいますか、その借金を返し得るかというそのときどきの時点での判断によると思いますし、特に私どものような自主独立の、しかも報道言論という性格を持っている企業の場合は、事業収支不足を賄うため余り多額の借入金をして、先々その回復力に疑問が持たれるようなことがありますと、これはやはり企業の性格からいって非常に問題であろうというふうに考えております。
  71. 白浜仁吉

    国務大臣白浜仁吉君) いまNHKの方からお答えをいたしたわけでありますが、私どもが見ましても、外部資金というものはそれは少ないにこしたことはありませんので、当然先ほどから局長からお答えの中にもありましたとおり、自主的にいろんな問題をNHKの方では検討して、私どものところに相談に参るというふうな、そういうふうなたてまえでありますので、まあそういうふうな場合には私ども十分連絡し合いながら検討していきたいと思います。あんまりそうたくさん外部からの借金をするというふうなことがいいか悪いかということは、これはもう前田委員が御指摘されるまでもなく十分NHKの方でも心得てやるものだと、私どももそういうふうに考え、同時に、NHKを信頼して私どもも相談に乗っていきたいと、そういうふうに思います。
  72. 前田勲男

    ○前田勲男君 郵政省として、NHKと相談してということですが、先ほども申し上げましたとおり、一般の会社とNHKは違うわけでございまして、放送の公共性、中立性ということを考えたときに、何らかのやはり郵政省側の見解というものが必要でないか、かように思いますので、その辺もう少し詳しくお答えいただければ幸いでございます。
  73. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) ただいま大臣からもお答え申し上げましたように、NHKが言論機関であるということからいたしまして、また経営の高度の自主性を任されておるということからいたしまして、本来NHKが検討をし、実行に移すべきことではございますけれども、郵政省といたしましてもできるだけ少ない方がいいという抽象的な形で指導をしておるわけではございません。先ほど来NHKの方からも話がございましたように、そのときどきの必要性の限度、そういったものを整理をしながら、できるだけ少ない方に持っていっていただくと、その反面といたしましても、お認めをいただきました年度予算の実行に当たりまして、できるだけひとつ節約をしていただくという点からも指導をしておるわけでございます。具体的にどれだけの、総体に対して何%というわけにはいきかねるわけでございますけれども、そのときどきのNHKの考え方を十二分にお聞きをして評価をしながら、できるだけ少ない額に抑えていく、そういったことを従来してまいっておるわけでございます。今後もそのように考えてまいりたいと思います。
  74. 前田勲男

    ○前田勲男君 それでは次に、けさほど案納委員からも御質問があった点で、若干重複いたしますが、百二億円の繰越額がございます。この内訳についてはけさほど御説明があったとおりでございますが、私は、この百二億の中身の中で、もちろん企業努力の評価は惜しまないものでございますけれどもNHKの御努力よりも、あの中身を見ますと外部的な要因が大きいと思われるような気がいたします。金利引き下げですとか円高差益、あるいは予備費で台風が来なかったというような外部的な要因が非常に多くて、これは決して将来に対する安心するいい材料にはならないと思います。またある意味では、悪い解釈をいたしますと、予算作成時の見通しが若干甘くなかったのかどうか、その辺も伺わしていただきます。  それから、このいわゆる繰越金黒字収入の達成で発生したものでなくて、むしろ収入面では赤字でありまして、これからの企業努力のなおの厳しさをあらわしているものだと思いますけれども、これに対するNHKの見解はいかがなものでございましょうか。
  75. 川原正人

    参考人川原正人君) 御指摘のとおり、五十二年度から三年度へかけましては、世界的にもそうだったと思うんですけれども日本経済情勢がいわゆる物価におきましては鎮静といいますか、あるいは金利が下がる、あるいは円高によって外国への支払いが円に換算すれば少なくて済むという、そういう条件ございまして、それに私ども予算の執行がかなり助けられていたということは事実でございます。もちろんそれだけではございませんで、私どもも五十二年度、三年度、いずれも国会の御審議等の過程におきまして、協会に対する企業努力の一層の強い御要請もございまして、私どもとしてはそれを御指摘のとおり、全協会挙げまして節減すべきところは節減努力する、それが物価鎮静とかそういうものと相まちましてかなりの節減額を出すことができたということであろうかと思っております。  なお、これからといたしましては、確かにこういう経済情勢の大きな変化といいますか、特に私どものような企業にとりまして有利な条件というものがこれ以上出てくるかどうかはかなりむずかしい情勢かというふうに思っておりますので、一層私どもとしましては、そういう条件の中でなお収入の確保、あるいは支出についての慎重な配慮ということは努力してまいりたいと考えております。
  76. 前田勲男

    ○前田勲男君 いろいろ厳しい環境の中で企業努力をなされておりまして、経費節減にも相当な努力を払っておられるわけですが、これがNHKの本来の業務に全く支障を来してないのかどうか。今後も内容の充実した番組を提供することに問題がないのかどうか、その辺を伺っておきたいと思います。
  77. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 財政基盤が御指摘のように脆弱になるということになれば、当然御指摘のような点に全く憂いなしというわけにはいきかねるかと思います。しかし、現時点においてできるだけ経営努力をいたしまして、そういうことに波及しないような形で、少なくとも五十四年度予算執行に当たっては乗り切っていきたいというふうに考えておりますので、その決意につきまして御理解賜りたいと思う次第でございます。
  78. 前田勲男

    ○前田勲男君 それでは続きまして辺地の難視聴対策についてお伺いいたします。  それでは、まず郵政省に、全国でNHK並びに民放の辺地難視聴の世帯数はどの程度ございますでしょうか。
  79. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) お答え申し上げます。  昭和五十三年三月末現在における数字がございますが、テレビジョン放送の辺地における難視聴世帯数は、NHK難視聴が約六十四万世帯、民放難視聴が約百六十二万世帯と推定しております。
  80. 前田勲男

    ○前田勲男君 それでは、まずNHKの難視からお伺いいたしますが、この辺地における放送というのは、辺地住民の生活に潤いを与えてくれるただ一つのものであると言っても過言でない状況であります。それで、この難視解除の要望というのが日を追って強いわけでございますが、五十三年度と五十四年度NHK予算建設費を比較いたしますと、難視聴の対策費、これが五十三年度が五十億、五十四年度が四十三億とダウンしておるわけであります。これは設置局数も恐らくダウンしていると思われますが、これで難視世帯数の改善は従来のペースでできるのかどうか。  いろいろ資料をうかがいますと、設置条件、またコストの面でのむずかしさがあるようでございますけれども、五十八年度に上がります放送衛星までどうもたな上げされるんではないかといった心配もしておるわけでございます。それで、現行の地上方式ではどうしてもコストアップになるので、最終的に放送衛星によらざるを得ないと見ておる世帯数はどのぐらい考えておられるか、また衛星の開発まで今日のペースで十分消化できるのか、今後長期的な見通しもあわせてお伺いいたします。
  81. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) お答え申し上げます。  難視の解消につきましては、NHKの非常に重要な使命だと考えておりますし、当委員会におきましても常々難視解消をより効率的に、あるいは抜本的に速やかに解消するように努力しろという御指摘もいただいておるとおりでございまして、私どもとしましてもこれには全力を挙げて取っ組んでおるつもりでございます。先ほど郵政省の方から現在残っておる難視世帯数は六十四万という御報告がございました。これは五十三年度当初の難視世帯でございまして、現在もう終わろうといたしております五十三年度事業計画におきましてこれを解消いたしまして、この年度末では——もう数日でございますけれども、五十六万になるというふうに考えておりますし、現在予定どおりに工事が進行いたしております。続きまして御審議中の五十四年度事業計画、これが完遂いたしますと残りは約五十一万になるというふうに計画をいたしておる次第でございます。  年々、御承知のように残っております難視地域と申しますのは山間僻地、あるいは離島のいわゆる過疎地域に入ってまいりまして、非常にこれの建設に当たりましては事前の調査、もう御承知のことでことさらつけ加えることもないかと思いますけれども、これを中継いたします親局の電波を十分良好に受信できる地点を探すことが第一点でございますし、そこからまた電波を発射しますときに、他に妨害なしに有効に使える電波はどの周波数であるかというようなことを調べなきゃなりません。対象世帯が狭くなって簡単かといいますと、決して簡単でございませんで、使いものにならないような非常に弱い、しかも妨害はするという電波はかなりな地域まで入っておるわけでございまして、そういう意味で物理的に非常にそういう設計、置局場所の選定ということに苦労をいたしております。  NHKNHKの総合、教育の二つのチャンネルだけ中継できればいいという単純な考え方でございませんで、その地域の民間放送も同時にできるためにはどういう設計をすればいいかということまで含めまして調査を進めております。また、置局でなしに共同受信でやる場合にいたしましても、いま申しましたような技術条件は同じでございますが、さらに受信者の方に後でそれのめんどうを見ていただくために受信組合のような形で意思を統一していただくということもお願いしているんでございますけれども、過疎地に入りますとそういうお世話をしてくださる方というのが見つけにくいという問題もございます。そういうような物理的な問題、あるいはそういう社会的な問題を含めまして非常にむずかしくなっておりまして、これを進めます段取りをつけるまでが大変でございます。  そういう意味で五十四年度のこの御審議いただいております事業計画の中では、先生御指摘のように従来より若干置局の数にいたしまして共聴の施設数にいたしましても少なくせざるを得ない、われわれの能力をフルに使いまして、あるいは外部の労力の手助けをもらいましてもなかなかいままでどおりの数をこなし切れないという事情がございまして、御指摘のように建設費に占めます難視解消の経費の絶対額というものが五十三年度、五十四年度にわたりまして若干減っておるというのは、そういうことが主なる原因でございます。  もう一つは、対象地域が小さくなりましたために、ミニサテ——御承知の効率的な中継放送所の設備でございますが、ミニサテの占める割合が非常に多くなりました。そういうことで平均単価というものも無線を使います中継放送所の場合には安くなっております。それで総額としては若干減っておるわけでございまして、決してNHKが難視解消ということに対しての努力を怠っておるということではございませんので、さよう御承知おき願いたいと思います。  さらに、衛星との絡みでございますけれども、衛星の打ち上げにつきましては、私ども五十八年度中にはぜひお願いをしたいということで郵政省とも御一緒になりまして努力中でございますけれども、まだ正式に五十八年度に打ち上げるということは、宇宙開発委員会で認められたわけではございません。ですが、われわれといたしましてはそれの実現に向かって引き続いて努力をしたいと思っております。  衛星にゆだねる世帯はどれくらいかという御指摘でございますが、いままでの調査結果を基礎にいたしますと、現在残っております五十六万世帯、あるいは五十四年度末の五十一万世帯のうちに、残りますのが四十万世帯程度かと思っております。そうしますと、この五十四年度年度末の五十一万世帯とその差をとりますと十一万世帯でございまして、私どもはこれは放送衛星が上がるまでのこの五十八年度までには十分解消できる、つまり地上の方式でまず効率的にといいましょうか、余り不効率にならない程度で解消できる世帯というのはその程度であろうかと思っております。
  82. 前田勲男

    ○前田勲男君 それでは、NHKの問題とは直接は関係ございませんが、民放の方もサテ局の共同建設等と関係ございますので、民放の難視聴解除について伺います。  特に辺地における民放は娯楽性がNHKより若干豊かであるというような点もございまして、辺地の難視聴解除の要望は全く強いのが現状でございます。それで、民放の放送事業としての自主性は最も尊重されるべきものでもございますけれども、電波は国民のものであり公共のものであります点から、先ほど難視聴世帯数の郵政省の発表がございましたが、NHKと民放との難視聴対策の格差がかなり広い開きがあります。そこで郵政省は、民放の難視聴解除にどのように取り組んでおられるのか、お伺いいたします。
  83. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 民放の辺地難視聴解消につきましては、従来、再免許の際に民放各社から三年間の——再免許から再免許までの期間でございますけれども、三年間の置局計画を聴取するなどいたしまして難視聴解消の促進を強く求めてまいっております。これまでに極微小電力テレビジョン放送局、先ほどNHKの方からお話がございましたミニサテの実用化も図っておりまして、NHKとの共同建設を推進をしてまいっております。また五十三年度は、電波法関係手数料の改正を行います際に、小電力放送局の手数料につきまして難視聴解消促進の見地から低額に抑える措置などを講じておりまして、さらに、現在微小電力テレビジョン放送局の低廉化の研究開発を行っております。  これは先ほど申し上げました五十三年度三月末のNHKが約六十四万、それから民放が百六十二万でございますが、この約百万の格差、こういったところに向けまして、使いやすい、いわゆるできれば低廉化された中継局を供給する必要があるということで、ただいま申しました微小電力テレビジョン放送局の低廉化の研究開発というのを行っておるわけでございます。なお、五十四年十一月の再免許に当たりましては、難視聴の解消につきまして民放各社に従来にも増して努力を要望したい、そのように考えております。
  84. 前田勲男

    ○前田勲男君 五十年の八月にテレビジョン放送難視聴対策調査会の報告が出ておりますが、この中に、「民放の放送の難視聴解消促進方策」、これが五点ばかり出ております。国庫助成、放送事業者以外の者が中継局を設置することを認める、あるいは親局、中継局一括免許方式、その他の方策と出ておりますが、この中から具体的にとれるものから採用していく、こういう報告が出ておりますが、これに対しまして郵政省はどういうふうにお考えでございますか。
  85. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 辺地難視聴の解消は省に課せられた最も重要な課題の一つでございますが、これにつきましては、御指摘テレビジョン放送難視聴対策調査会の検討結果などに基づきまして、難視聴解消のための具体的施策について難視聴対策委員会というのを省の中に設けまして検討を進めておるわけでございます。で、これによりまして、従来、先ほども申し上げましたような極微小電力テレビジョン放送局、ミニサテ局の実用化及びNHK、民放による共同建設の促進あるいは辺地難視聴の実態調査を実施してまいったところでございます。  また、五十三年度は、これも先ほど申し上げましたが、微小電力テレビジョン放送局の低廉化の研究開発を行っておりますほか、電波法関係手数料の改正に際しまして、小電力局の手数料につきまして難視聴解消の促進の見地から低額に抑える措置を講じますとともに、あらゆる機会をとらえて中継局設置の促進を指導しているところでございます。また、五十四年度からは現在政府予算原案に載せていただいておりますが、辺地難視聴解消のために地元受信者が設置をいたします辺地共同受信施設建設費の一部について国庫補助制度を導入する予定になっております。  なお、先ほど先生がおっしゃいました五点の中でまだ若干残っておる問題があるわけでございますが、御承知のように、電波法、放送法改正等の絡みがございますので現在鋭意検討を取り進めておるところでございます。
  86. 前田勲男

    ○前田勲男君 るる御説明いただきましたが、御承知のとおり、民放の難視聴世帯数は相当な数があるわけでございまして、非常に民放、会社としても厳しい状況の中ですが、全くスローテンポで行われておるのが現状でございます。そこで、郵政省は先ほどの御答弁の中にも、五十四年十月の再免許時に、より強い行政指導をされると、こういうお話でございましたが、五十一年十月の再免許のときに民法各社から提出された書類によりますと、民放会社でいわゆる放送部門以外の投資が相当行われております。中には金融業を行っておるものが二十九社、不動産業が三十社、ゴルフ場経営が二十社、旅館・ホテル業が十九社、もっともこの中には別に放送関連事業とか、放送事業とか、新聞事業とか、いわゆる関係のある事業についてはそれなりの理解もできるわけでございますけれども、これらの別途、放送部門以外の投資、これが非常に盛んであります。  そして私は、それはまだ結構としても、この国民のための電波を使ってある部門に投資しておる、その投資した収益の利益率というのが非需に悪い。二・五%というような数字が出ておりますけれども、これはやはり放送事業の会社としての自主性も尊重した上でありますが、電波が国民のものであり公共のものである、こういう点から、電波からの利益の還元についてもう少し道義的な問題があるんではないか。私としては、できればそういった投資も辺地山村の難視聴解除の資本投下にもう少し熱心にお願いしたい、かような考えを持っておりますが、この点を含めて五十四年度の再免許の許可時になお強い要望を出していただきたい、こういう要望をいたしたいんですが、郵政大臣、いかがでございましょうか。
  87. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 先生おっしゃいますように、民放は非常に限られた、有限な電波を使用して放送事業を営むものでございますので、放送を最大限普及させるように辺地難視等にも力をなお一層注いでいただきたい、こういうふうに思うわけでございまして、ただいま先生が御指摘のように、民放の他事業への投資につきましては、各社の自律に任せられておるというふうに考えておるわけでございますが、放送事業者はこの公共の電波を、国民の電波を預かる責任というものをより自覚をされまして、難視聴の解消に積極的に取り組んでもらいたい、そういうふうに思っております。そういった意味におきまして、ことし行われます再免許の時点におきましては、前回の再免許で行いました措置の結果をも勘案しながら、なお一層強力に難視聴の解消を促進するよう指導してまいりたい、このように存じております。
  88. 前田勲男

    ○前田勲男君 それでは時間でもございますので、最後に。  先ほどの御答弁の中にも、地元共聴施設に対してその設置費の一部を地方自治体とリンクして助成金を出す、こういうふうになっておりますが、たとえば私の地元の和歌山市でも、県庁所在地から数キロ以内のところでも民放の難視聴があります。それに助成金を出すということについても若干の問題がありはしないだろうか。これが山村辺地ならわかるのですが、そういった電波状況のもとに、もうどこでもこの地元共聴施設に対して助成金を出すのかどうか。その辺の線引きを考えておられるのかどうか。  それと、それから辺地の共聴施設も相当年月を経て老朽化しておるのもあったり、実情を聞いて回りますと、雷事故とか大変なその維持に経済的な負担が多くなっております。そんな点から、この助成金についてですが、既設のものに対する修理改善等の対象にならないかどうか、あわせて伺います。
  89. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) ただいま御指摘のございました辺地共聴受信施設の助成制度の導入でございますが、長年先生方の御指導をいただいておりまして、やっと実現にこぎつけつつある事項でございます。したがいまして、いま先生が御心配されましたような点につきましても現在関係方面と鋭意詰めておるところでございます。  先ほど来御指摘のございました民放につきましても、NHKにつきましても、やはりこのりっぱな文化を各国民に行き渡らせるということは、これはぜひとも大急ぎでやる必要があると思っております。また民放がより一層自覚をされまして、その難視対策に精を出されるということは非常に望ましいことだというふうに思っておりまして、線引き等によりましてかえって民放のやる気をなくさせるというような、そういったことはないと思いますけれども、その辺も考慮に入れながら、できるだけいわゆる国民聴視者の利便にプラスになるように制度の活用を図ってまいりたい、そういったことで現在関係方面と詰めつつあるところでございます。
  90. 前田勲男

    ○前田勲男君 既設のやつは。
  91. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 既設の問題につきましても、先ほどNHKの方からお話ございましたように、十年ほどたちますと、もう古くなってまいります。相当経費もかかるということでございます。そのような場合に、最近一部にはミニサテに移行したい、かえってその方がコストも安くなるし、それからサービスされるエリアも広まるというようなことを聞いております。そのような場合には、郵政省といたしましてもできるだけ前向きに便宜を図りたい、こういうふうに考えておりまして、ただこの助成制度との兼ね合いにつきましては、ちょっといままだ——一度打ち出しますと全国あまねくということに相なるわけでございますので、ちょっと検討さしていただきたいと、こう考えております。
  92. 片山甚市

    片山甚市君 NHK昭和五十四年度収支予算審査に当たりまして、まず初めに当委員会における昭和五十三年度予算審議の際の附帯決議について適切に措置をされたものかどうか、簡潔にお答えを願いたいと思います。
  93. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 五十三年度NHK予算審議に当たりまして、当委員会では七つの項目にわたる附帯決議が示されました。放送の不偏不党、それから受信料制度の徹底、それから効率経営財政基盤の強化、それからテレビ難視聴対策、それから国際放送交付金の増額、それから受信料免除の見直し、それから放送事業に従事する者への待遇改善という七つの項目が示されてございます。  NHKとしては当然のことでございますけれども、五十三年度業務運営に当たってそれぞれの事項を最大限に重視して、極力この趣旨に沿う努力を重ねてきたつもりでございます。ただ、多少言いわけめきますけれども、当年度限りの経営努力のみでは容易に成果の上がらないというものもございまして、NHKとしては単年度だけで能事終われりということでなく、翌年度以降も、言ってみれば、いま御審議いただいております昭和五十四年度以降も継続してこの附帯決議の趣旨を生かす努力をしておる次第でございます。  営業面では、受信料制度についての理解、促進、それから契約収納体制の強化ということでございますし、テレビの難視聴につきましても、いまいろいろと前田委員とのやりとりの中でも御説明いたしましたような重点的な施策として取り進めております。また、協会業務に従事する方々の待遇につきましても、できるだけ配意をしたいというふうに考えております。また、将来の長期的財政基盤の確立ということも、先般山本専務等から御説明申し上げました、引き続き検討するということで努力するつもりでございますし、その他の点につきましても一層の努力を重ねたいというふうに考えておる次第でございます。
  94. 片山甚市

    片山甚市君 もう一度お尋ねしますが、それでは昨年の附帯決議については引き続きこれを実現に向かって努力をする、こういう御答弁があったと確認してよろしゅうございますか。
  95. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) ともかく当委員会の附帯決議でございますから、それにつきまして当然努力するのがしかるべきだと思います。
  96. 片山甚市

    片山甚市君 イエス・ノーでよろしいですから、わかっていますから……。「ですか」と言ったら、「そうです」と、こう言えばいいんでありまして、時間が幾らでもいただけるならやりますから、どうぞ委員長の方で……。  私は附帯決議の趣旨を特に重視をし、場当たり的な措置であってはならない、安易なことでは解決できないという立場から今日の状況を見て若干質問したいと思います。  一つは、NHK及び郵政当局が、今日の放送事業が、長期展望に立って見れば、転機といいますか、曲がり角に来ているという認識に立っておるのかどうか質問をいたします。
  97. 山本博

    参考人(山本博君) そのように考えております。
  98. 片山甚市

    片山甚市君 郵政当局は。
  99. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 郵政省にとりましても、そのように考えております。
  100. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、どのようなところを大体重大な局面としてとらえておるか。先ほどからお話がありますのは、収支の帳じりが合わない話、難視聴の問題が出ておるのですけれども、それ以外に大体どのような局面を迎えるか、それについて御説明を願いたいと思います。
  101. 山本博

    参考人(山本博君) NHK側といたしまして、現在置かれておる状況についての基本認識を申し上げておきたいと思います。  NHK自身の持っておる問題もございますが、同時にこれはいろいろ取り巻く環境その他の問題もございまして、現在NHKといたしまして、NHK放送法を制定された当時以来非常に大きな条件が変わってきたと第一に思っております。それはNHKだけが存在をしていた時期と違いまして、民間放送が非常に大きな力を社会的に持ってきておりまして、二本立てという現在の放送法制のたてまえではございますけれども、むしろ今日におきましては、民間放送の方が収益におきましても、経済力におきましても、その他番組編成の内容におきましても、むしろNHKをしのぐというような分野が出てきておりまして、これは従来NHKが置かれておりました地位にとりましては非常に大きな問題点でございます。これが単に経済的な問題だけではなくて、社会的にもいろいろ大きな影響力を持ってきておりまして、NHKが本当に国民のための放送機関として在立をしていくためには、こういう状況の中からNHK放送番組がいかにあるべきかというようなことをこの際、非常に重要な課題として取り組んでいかなければならないということを一つ考えております。  もう一つは、これは今度の五十四年度からの先の経営計画、あるいは見通しの中に当然考えていかなければならないと思いますのは、新しく放送大学が出てきた。こういうことはNHKに全く関係がないとは私たちは思っておりません。これもやはり、たとえば受信料の問題一つとりましても、いろいろな形での影響が将来出てくるのではないかという、予想として受けとめざるを得ない。番組の点においてもしかりでございます。そういう意味におきまして、現在NHKが置かれておる状況は、民間放送あるいは放送大学、そういうものが番組の面と同時に受信料の将来のあり方というようなものにつきましても、NHKとして置かれておる担当重大な局面にある。この問題にどう対処し、どうこれをNHK側から解決する方途を見つけていくかということが、現在置かれておる非常に重要な問題であります。さしあたりいまお答えいたしますのは、そういう局面ということをNHKとしては認識いたしております。
  102. 片山甚市

    片山甚市君 その一つは、最近話題となっていますところの難視聴地域解消の手段、放送衛星が取り上げられておることや、多重放送などの新サービスに見られる技術革新を通じてでも相当の対応をせなきゃならないと思いますが、いかがですか。——意味わかりませんか。
  103. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) ちょっと御質問の趣旨を取り損なったんですけれども、どういう意味でございましょうか。
  104. 片山甚市

    片山甚市君 最近、話題になっていますところの、いま難視聴の地域解消の手段に放送衛星などが取り上げられていること、多重放送など、新サービスについて技術革新として取り入れられなきゃならない、いわゆる従来と違って相当お金の要る状態が出てくると思いますが、いかがでしょうか。
  105. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) 先生おっしゃるように、これからの新しい技術革新の時代に対処していきますために、かなりな経費を要するということはおっしゃるとおりだと思います。ただ、つけ加えさせていただきますと、放送衛星というものをわれわれが多年研究をし、近く実現に向かおうとしておりますこの趣旨は、かねがね御指摘を受けております難視解消をより効率的に、抜本的にやるというための施策として考えておるわけでございます。  また、多重放送その他につきましては、将来の問題といたしまして、技術革新としては次々に開発が進んでいこうかと思います。われわれもそのように次の時代の放送を目指して努力をいたしておりますけれども、これの実際の実施ということになりますと、その時々の社会情勢、聴視者の要望というものと十分なマッチングをとりながらやっていかなければならぬと考えておる次第でございます。
  106. 片山甚市

    片山甚市君 難視聴地域解消には当局も格段の努力をされていると聞いていますが、先ほどの話によれば、昭和五十四年度末では五十一万世帯になる、こうおっしゃっております。NHK状態からいいますと、五十三年度で六十四万ある、来年度六万五千世帯を解消する、このペースでいくとして、いわゆる完全に解消する年数は幾らで、そのための予算としてはどのぐらいかけるおつもりでありますか。
  107. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) 先ほどもちょっと前田先生の御質問にお答えを申し上げましたように、地上の従来の施策を推し進めてまいりますと、年々過疎地帯と申しますか、非常にへんぴな、世帯数がまばらな地域に入ってまいりまして、非常に効率が悪くなってまいります。そういうことで、また長年月を要するということも当然予想されるわけでございまして、私どもとしますと、より効率的に、あるいはより速やかに全国あまねくという使命を達成いたしますためには、ある時点で放送衛星によらざるを得まいということで、従来から研究を進めておったところでございます。ようやく五十八年度には上げ得るかというような情勢になったわけでございます。  地上の方の施策は、それまで鋭意いまのような努力を続けてまいりますと、その時点でほぼ四十万世帯前後にまでは進み得るだろう。つまり五十八年度末あたりには四十万世帯程度のものが残るのではなかろうか。また、これがちょうど放送衛星の対象とすべき世帯だろうというふうに考えておりますので、いまの御質問の線から申しますと、いま考えておりますような地上の施設の拡充と放送衛星と合わせますと、予定どおりにまず五十八年度に衛星が打ち上げに成功したといたしますと、五十九年度にはほぼいわゆるあまねく受信ができるという体制になろうかと考えておる次第でございます。
  108. 案納勝

    ○理事(案納勝君) 沢村さん、経費はどのくらいかかるかということなんですが……。
  109. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) 失礼いたしました。地上の方を四十万世帯にまで少なくしていく経費というのは、従来の考えておる経費の延長線で御類推いただきますと、年間四十億程度のもので五十八年度まではいこうかと思います。最後の衛星の経費につきましては、まだ明確な数字を申し上げる段階になっておりませんので御勘弁願いたいと思います。
  110. 片山甚市

    片山甚市君 放送衛星によって将来全国をカバーすることになろうという御説明でございました。当面、積極的な意義としては、散在化する難視聴地域二十万ないし四十万、残る者たちの解消のためだということでありますけれども、結果的に全世帯数昭和五十四年で三千五百三十万おりますが、そのおよその一%に対する対策ということに考えてよろしゅうございますね。
  111. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) お説のように一%強のものになろうかと思います。
  112. 片山甚市

    片山甚市君 建造物による受信障害は、都市における大きな難視聴問題となっておりますが、原因者負担の原則が貫かれているのかどうか。都市の受信対策は十分であるのかどうか。百五十一自治体で条例化したり、明確な原因者負担の基本というものをとっておるのかどうか、そういうことについて聞きたいわけです。  実は、大都市では難視聴地帯というのはビルを建てるから起こっておるんですから、つくった者がやることであって、NHKとか、国とか、公が責任を持つべき問題ではない。ビルを勝手に建てておいて、邪魔しておいて、それから税金で取ろうというどろぼうみたいな話はない、それから聴視料に全然影響のない人から金を取る、聴視料にかけるということはない、こういうふうに言明してもらいたいいんですが、いかがですか。
  113. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 都市における高層建築物障害が発生をいたしましたのは昭和四十年代、例の容積地区制度建設の中に導入されたころからかと思います。それで、高層建築物によります放送受信障害というものがだんだん顕在化してくるに従いまして、いま先生がおっしゃいましたような原因者主義という形で、郵政省といたしましては現在まで取り進んできたわけでございまして、その原因者主義という考え方がだんだん現在定着しつつあるという実は状況でございます。
  114. 片山甚市

    片山甚市君 百五十一自治体では条例化しておるようでありますから、きちんと、何でもいいから親方日の丸で、ここで予算で金をくれと言えばもらえるというような調子でやられたのでは国家財政はふえるだけであります。NHKが負担すべきものにされたのでは大変であります。  放送も、先ほどから言うように、百六十万ほどの難視聴になっておる分を、放送衛星を打ち上げたら民間は助かるというわけです。それで、もうかった金でホテルをつくったり何かして、いろいろとぼろもうけをせずにぼろまけをしておるというんですね。ようもうけもせずにそのツケを回してくるというお話がいまございましたね。二%か二・五%ぐらいしか利益がない。これは困りますから、私は、明確に、都市の受信対策としては、構造物によるものでありますから、原因者負担ということでよろしいですね、それはよろしいというお答えであった。これでよろしゅうございますね。
  115. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 現在、その原因者主義がだんだんいわゆる行き渡りつつある状況でございますけれども、実は先生のおっしゃいます法的な制度というものがまだ完備をしていないわけでございまして、そういった意味におきまして、現在、郵政省と建設省の間におきまして、建築基準法の中にこの問題が取り込めないかどうかということを検討中でございます。
  116. 片山甚市

    片山甚市君 検討は見当違いになるから、余り検討せずにやってください。  ビルを建てるから起こっておるんですよ。あそこのビルを全部取っ払ったらすぐ起こりませんよ、明くる日から。わかりますか。つくっておいて、だれがしょうかなどと考えなくてよろしい。つくった者が払ったらいいんですよ。そうでしょう。ふろ屋へ行ってふろ賃も払わず出られますか。そんなわかったこと言いなさんな。条例とかへったくれもないんだけどね、あなたたちがやる気がなければないでよろしい。答えは必要でありません。役人というのはそのくらいしか答えぬということに初めからなっておるんです。  次に、放送衛星の費用は幾らですか。
  117. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 五十八年度打ち上げを目標に検討を行っております実用の放送衛星でございますが、現在実験中でございまして、この実験中の放送衛星の開発成果及び実験成果を踏まえて、いよいよ実用衛星の製造、打ち上げという段階になるわけでございまして、衛星の製作・打ち上げ経費につきまして、現在幾ら幾らという実は答えがまだ出ておるわけではございませんので、今後慎重に関係機関と協議を進めてまいりたいというふうに考えております。
  118. 片山甚市

    片山甚市君 それは政府としては慎重でなければいけませんが、私は議員ですから慎重でありませずに、大体私の方の資料を調べてみると五百四十二億円程度かかる予定でやっておるようであります。  そこで、去る二月六日打ち上げられました実験用静止通信衛星「あやめ」は行方不明と相なりました。これは「あやめ」というんですから行方も知らずと、こういうことが考えられる、名前がそうなっておるんですから。保険で二十八億円くらい戻って、百十一億円くらいのものが開発・打ち上げ経費としてパアになってしまった。日本語で言うとむだになってしまった、こういうことになるんですが、その改良型ロケットNIIを利用することになるのか。今後、先ほどのお話よりは相当慎重なお答えのようでありますから、お答えを願いたいと思います。
  119. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 「あやめ」は、実は先生御承知のように、百二十キロ級のロケットで上がる性格のものでございまして、いわゆる従来宇宙開発事業団が開発をしてまいっておりますNロケットで打ち上げることに相なろうかと思います。
  120. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、いままでの型と同じだと理解してよろしゅうございますか。
  121. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 従来のNロケットに対しまして、「あやめ」のふぐあい状況を検討した結果がどのように反映するかということに相なろうかと思っております。
  122. 片山甚市

    片山甚市君 行方不明になるものを検討できるんだからよろしいんですが、御苦労さんです。  通信衛星の寿命は何年と見ていますか。
  123. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 現在、打ち上げ実験中の実験用中容量通信衛星の寿命は約三年でございまして、もし五十七年度打ち上げを予定いたしております実用の通信衛星についてお尋ねということでございましたならば三年以上、できれば五年ぐらいのライフを獲得したいものというふうに考えて検討中でございます。
  124. 片山甚市

    片山甚市君 先ほどお聞きをしたら答えにくかったそうでありますけれども経費はどんな方法でどのような形で負担をする予定ですか。
  125. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 通信衛星につきましては、ひとまず宇宙開発委員会昭和五十三年度の宇宙開発計画に決定をいたしましたところによりますと、通信衛星は、開発の結果、その成果が実用に及ぶべき性格のものということにいたしておりました。したがいまして、開発要素とともに実用にも使われるという性格でございますので、開発は従来どおり国が経費を負担する、実用はその実用する者が経費を負担する、こういうたてまえで、実は五十四年度予算政府原案に予定されておるところとなっております。  したがいまして、放送衛星につきましても、その以前におきましては国が開発、利用者が実用というような形でいくべきものというふうに受け取っておりますけれども放送衛星につきましては今後の問題でございますので、今後関係方面と十二分に打ち合わせをしてまいりたいというふうに考えております。
  126. 片山甚市

    片山甚市君 郵政官僚というのはそういうようなことをやって、団体交渉でもわかったかわからぬような話をして全逓をいじめるというのが主義ですから、聞いておったら胸くそ悪い。  実は、通信・放送衛星機構というのは、NHK、電電、KDDなどが加盟をして、国と折半の出資でやることになっている。機構としては、いわゆる通信・放送衛星機構というのは六〇%宇宙開発事業団に支払うと、そういうことになっておる。それはどういうことかと言うと、五百四十二億円のうち分担金は、国が三百二十五億円、機構が二百十七億円。寿命としては、大体機構——皆さんの方ですね、NHKども支払うようになるのは、二百十七億円を五年で割ると、一年間に四十三億四千万円をかければいい、五年もてばですよ。すっと「あやめ」か何かみたいに暗やみになれば別でありますが、年間償却は、国の税金は別にいたしまして、あなたたちの腹の痛いのはそのぐらいだということになると同時に、分担中、国の三百二十五億円は国税で賄われていますから、結果的に五百四十二億円、年間換算すると百億円台の経費を使って、先ほど言いましたところのいわゆる四十万世帯に使うことになる。こういうことをごりっぱにやられるそうでありまして、おめでたい限りでありますが、そういうお考えでございますね。
  127. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) この問題につきましては、現在NHKと鋭意詰めておるところでございまして、先生御承知のように、地上における放送施設は、その耐用年数が過ぎますと、再建設等の必要があるわけでございます。したがいまして、さしあたり、先ほどNHKの方からお答えのございましたように、五十八年度、実用放送衛星打ち上げによりまして難視聴対策ということに相なりました時点において、地上施設による難視聴世帯数が先ほどの数字であるということでございますので、私どもといたしましては、一個の星を打ち上げることによりまして同一番組を全国に放送できる、この衛星のいわゆる重要性というものを確信しておるわけでございます。
  128. 片山甚市

    片山甚市君 よくわかっておるんです、そんなことは。先ほどから何回も言っておるし、聞いておるんじゃない。百億円ぐらいかけて、先ほど言いましたように、大体四十万ほどの難視聴者に対してお金をかけるのですねと、こう言っておるだけです。そういうふうにしたいと言ったんですから、もう返答は要りませんが、人の金だからそういうふうに言うのでね。NHK、まさかそれを払うために料金値上げをしてくれとか何とかいうことは言うまいと思いますが……。言ったらいけませんよ。言いたかっても、質問しているんじゃないのですから。こちらが意見を述べておるだけです。言いなさんなよ。  放送施設が全世帯数の八二%強の契約者をカバーしている今日、決してそれは安い投資にならないと、通信・放送衛星というのは安くならない、わりに高くつくものだというように理解をするんですが、これは安いと思いますか。高い安いということと違う。
  129. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 日本はただいま宇宙開発の途中でございまして、やはり先進諸国から必要なノーハウその他を導入をいたしまして、日本といたしまして国産のロケット、あるいは衛星本体を開発しようとしておる途次でございます。したがいまして、そういった段階におきます経費が果たして将来に向けて高いものであるかどうかという問題かと思いますけれども、私どもは、どうしても通らなければならない道程は、少々お金がかかっても通らなければ相ならぬのではないかというふうに存じておるところでございます。
  130. 片山甚市

    片山甚市君 素人はよろしいけれども、宇宙から来るのは、いままでのアンテナと違うアンテナを使わないかぬ、つくらないかぬ。そうすると電機会社はもうかりますわな。宇宙衛星はいままでのアンテナでは受けられないですから、おわんみたいな何かつけるんですから。それから、これはいわゆる視聴者負担にはね返るということになると私は思っておるんですが、放送衛星反対言っとるのと違うんですよ。お金がかかるけどやろうじゃないかというのと、ただでやろうというのと違うんです。お互いに、みんながただだ、ただだと言ってむしり取っといて、で、金がなくなったら赤字公債でごまかす。このツケはどうするかというと一般消費税へ回しくさる。こういうような、くそ生意気なことをやめさすためには、いま言うように、百億円一年間にかけて宇宙衛星打ち上げました、放送聞くのはよろしい、そのかわり、そのところの四十一万世帯は別の受信機を買わなけりゃ受けられないようになっとる、知ってますね。それはそうでしょう。そういうことはどうですか。NHKの方から答えてください、電波局長答えたらまた役人だからいかぬから。
  131. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) 先生御指摘のように、放送衛星を受けますのには、それに適した設備が必要なのはおっしゃるとおりでございます。それで、私どもとしては、家庭用の受信機にくっつけますアンテナ、そういうものをできるだけ安く手に入れやすくするために研究を重ねておりまして、現在のところ世界的には非常に認められた、トップレベルのものの研究開発まではできたわけでございまして、あと、それをもとにいたしまして、現在メーカーを指導いたしております。かなりリーズナブルの値段のものが近くできるだろうというふうに期待いたしております。
  132. 片山甚市

    片山甚市君 そうありたいと思います。いまのままでは、やっぱりそういうものをつくった会社が、電機会社が笑いがとまらぬほどもうけても、自分のポケットに入れてごまかす。この間から、日商岩井の六十八億円か九十億円がぽろりとポケットに落ちるような、こういうことするので油断もすきもありませんから……。その結果、わが国は軍事力強化につながるロケット開発のために放送衛星が手をかすというようなことにはならない保障を電波局長持っていますか。
  133. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 宇宙開発は平和目的としてという国会決議等もあるように承知をいたしておりますので、私どももそのように存じておるところでございます。
  134. 片山甚市

    片山甚市君 先ほどいみじくも言ったように、アメリカとソビエトが、あの超大国の餓鬼というか、人たちが、宇宙を全部占拠しておるわけです。打ち上げのすきがなくなっとるんで、早う打ち上げないとおれのおり場所がない。ちょうど南極大陸にずっと居座ってわれわれが日の丸上げておるようなもんで、急いでおることはわかりますがね。国防上のようなこと、国を守る防衛方策のような形にとれますね、実際見ておると。そうでしょう。ソビエトやアメリカの側も全部この宇宙の、地球のぐるりの空間という空間に宇宙衛星を打ち上げて、ぐるぐる回して、スパイもやれば核も積み、もう危ないもんですね。ですから、そういう意味で、そういうような手をかさないということになったんですが。  そこで、安く打ち上げたいならアメリカに頼めばよいということになり、ドル減らしになるというように思いますし、一役買うということに素直に考えられるんですが、そういうことはいま考えてない。自力で、やはり研究をきちんとして、そして平和的に役に立ちたい、こういうふうに考えておるというふうに理解をしてよろしゅうございますか。——ドル減らし、アメリカは何でもいいんですよ、アメリカの品物をとにかく売りつけてやりたいと思っとるときですから、頼めばやってくれましょう。どうです、頼むんですか。
  135. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) ただいまの御質問に対しましては、科学技術庁がお答えをした方が適切かと存じますけれども、あえて私からお答えをいたしますならば、宇宙開発をいたします場合は、やはり宇宙における衛星本体ならば衛星本体、あるいはミッション機器その他が、十分に宇宙において使えるという実績が必要に相なるわけでございまして、現在実験をいたしておりますのは、国内の技術をその衛星にどんどん技術率を上げながら実績をつくっていくという段階でございまして、やはりその実績に基づきまして、最終的には国内の技術によりまして衛星が製作され、打ち上げられると、それも、先生御指摘のように、できるだけローコストで打ち上げられるという目標に向けて現在開発が進められておるというふうに考えております。
  136. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、アメリカが打ち上げた場合、打ち上げだけの請負だったら幾らになりましょうか。
  137. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 現在打ち上げて実験をいたしております通信衛星あるいは放送衛星の製作・打ち上げ費が、その後の日時によりまして、たとえば人件費等の増高によって相当そのコストが高くなってきておるというふうに理解をしておるわけでございまして、たとえばアメリカのソー・デルタ二九一四という衛星で打ち上げました場合の衛星及び打ち上げ費のコストは約三百億円程度ではないかと。これはまだ正式に契約に至っておりませんので、細かい数字としてではございませんで、ほぼまあその程度に相なるのではないかというふうにお受け取りをいただきたいと思います。
  138. 片山甚市

    片山甚市君 ありがとうございました。  通信・放送衛星機構はいかなるものであるか、この予算では、一億四千万の出資が見込まれ、調査研究費のうち放送衛星開発のために約六億計上されておる。これらの研究開発は、本格商用化への第一歩であるとすれば、NHKが、郵政省の方針まかせとか、難視聴解消の手段のみにとどまらず、民放を含めた放送体系に与える影響や、宇宙空間を利用する国際的視野での問題点をさらに考える、そうして視聴者すなわち国民的な合意を得る長期的な計画を示して、早く五十八年に至るまでの間に了解を得る必要があろうと思いますが、いかがでしょう。
  139. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) 五十四年度の衛星研究に関します予算は、先生のおっしゃったようなことでございますが、衛星機構にNHK協力をいたしまして、御一緒にこういうものを早くつくりたいという立場でございます。と申しますのは、地上の難視解消を進めます場合に、民間放送と共同建設をすることによって二重投資を避けるといいますか、より効率的にやったと同じような考え方でございます。そのために、初年度の出資金としまして、政府のお出しになる額と同額をNHK、電電公社、KDDが負担をする、三者で負担をする、したがって一億四千万円ということでございます。  で、その他の経費につきましては、放送衛星の寿命をできるだけ長いものを将来実用にしてまいりたいということで、軽量化の一番重点でございます送信管の軽量化開発に力を注ぎたいと思っておりますし、また現在上がっております実験衛星の実験をさらに来年度も引き続いて取り進めるということで、当面の五十八年度に上げられる予定の衛星に向かっての努力を進めております。
  140. 片山甚市

    片山甚市君 先ほどのお話と逆行して非常に失礼なんですが、難視聴解消の計画を、中継局では昨年は二百局を本年は百八十局、共同受信施設は九百を七百二十にしております。失礼ながら、なし崩しに放送衛星を早く導入する道を開く、先ほど申されておりましたけれども、そのようにひがんでとってもよろしゅうございますか。そうじゃなくて、お金の関係で、建設費の関係で精いっぱいやったらこれだけしかできなかった、こういうふうにとってもよろしゅうございますか。減っておるんです。
  141. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) 衛星を急ぐために地上の施設の投資拡充をスローダウンしているのではないかというふうな御趣旨かと思いますが、私どもとしてはそういうふうには考えておりません。先ほども前田委員の御質問にお答えいたしましたように、従来のように二百局なり九百施設を実施しようといたしましても非常な困難がございまして、僻地になり過疎地域に入りましてその施設計画を立てる、あるいは設置点を決めるということの非常な労力、日時を要しますので、従来の五十三年度まで努力をいたしました、完遂してまいりました二百局なりあるいは九百施設というものはとてもいまのわれわれの持っております力ではこなし切れないということで、やむを得ず少なくなったというふうに御理解いただければ幸いでございます。
  142. 片山甚市

    片山甚市君 そこで、放送衛星導入に当たって新しいメディアの開発とか、ローカル放送などをどのように御展望されていますか。
  143. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) 御承知のように、放送衛星は全国一円、一つの電波でカバーするというところに特徴がございまして、現在の地上の放送でやっておりますようなきめの細かい、各県ごとのようなローカル番組放送衛星から出すということにはいまの技術では無理がございます。また効率的ではないと思います。ただ、将来に向かってそういうものをどう補おうとしているかという点から申し上げますと、すでにもう御承知と思いますが、多重放送という技術が次第に開発をされてまいっておりまして、将来のことで申しわけございませんけれども、文字多重でございますとか、あるいは静止画放送であるとかということが実用になりますと、一つのテレビの電波を使いまして数多くの番組を同時に送ることができるわけでございまして、ローカルに向けましての情報的な放送、情報放送としては役に立とうかと思っております。  ただ、ローカル芸能のような情緒性を重んじるものにつきましてはいま申しましたような方法では無理でございまして、ローカル発の全国番組というような取り扱いでもいたしませんと、衛星を使ってのローカル、情緒性のある番組というのは無理であろうと思っておる次第でございます。
  144. 片山甚市

    片山甚市君 放送施設におけるコンピューターの利用状況、メーカー、その予算などについて御説明を願いたい。実は職員の給与計算等、あるいは事業全体でどのような状態になっておるのか。
  145. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) NHKが効率化の一つの大きな施策といたしましてコンピューターを導入いたしましたのは昭和三十七年でございまして、初期の段階では受信料の経理の問題でございますとか、給与計算でございますとか、会計処理というようなことに、いわゆるバッチ処理のできるものに限ってスタートをいたしました。その後、番組の制作あるいは番組制作に必要な機材の割り当て、接続、あるいは放送番組の送出の自動化というような非常にリアルタイム処理の必要なものに及んだわけでございます。  で、御指摘のメーカーでございますけれども、リアルタイム処理の必要な番組関係システムにつきましてはIBMのコンピューターを使っておりますし、営業あるいは事務処理のようなものにつきましては日本電気製のコンピューターを使用いたしております。それぞれ特徴を生かして使っておるつもりでございます。  これに要します経費は、年間経費といたしまして現在御審議いただいております五十四年度予算では十一億六千万円ばかりを計上いたしてございます。それで、これはレンタル経費でございます。
  146. 片山甚市

    片山甚市君 先ほどお聞きするときに、放送衛星に関するメディアのときにお答えがあったように、音声多重放送はすでに実用化されておりますけれども、これはポストカラー対策の新製品として市場開拓を急ぐメーカーの強い要望に押されて郵政省が拙速に認めたとの批評も強いと思うのですが、これはそのように考えられませんか。
  147. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) テレビジョン音声多重放送につきましては、去る昭和四十七年に郵政大臣諮問機関でございます電波技術審議会から技術的な問題について答申がすでに出されておりまして、また昭和五十一年の多重放送に関する調査研究会議報告書は、テレビジョン音声多重放送の補完的利用から実験的に行い、逐次実用化を進めなさいということが提言されておるわけでございまして、郵政省はこれらの答申、提言を十二分に踏まえまして、また視聴者サービス向上の見地から放送番組のより一層の多様化、充実化を図るために、テレビジョン音声多重放送普及発達を推進することといたしたわけでございまして、ただいま先生がおっしゃるようなことは主たる理由ではないというふうに存じております。
  148. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、視聴者のニーズにこたえたものになっているというお答えのようでありますから、大体その評価された普及現状と予測はどのぐらいになっていますか。
  149. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 正確にどれだけの世帯が多重化されておるかという数字はまだないわけでございますけれども、電子機械工業会の発表によりますと、全国的に約三十万台が普及をしておる、出荷されておるというふうに承知をいたしております。
  150. 片山甚市

    片山甚市君 NHKではまず東京、大阪に次いで神戸、京都、名古屋などが実用化に入ることになっておるようでありますが、今後の具体的な計画を示してほしい。たとえば大都市圏のみか、全国ネット化するのか、企画がどうも民放追随であったり、スピーカーやチューナーが売れるというメーカーペースに対応する程度では問題がある。いつまでにどの範囲までNHKはやるのか、これは番組制作費と関係がありますので説明を願いたい。これはNHKです。
  151. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) 先生の御説明にございましたように、昨年の十月運用開始いたしまして以来、現在までは東京と大阪でやっておるわけでございますが、次第に受信機の普及も進むということも期待いたしまして、来年度大阪の周辺——衛星都市といいますか、大阪と一体になっております京都、神戸地方並びに中京地区でございます名古屋というところまで拡充をする予定をいたしております。これによりましてNHKの音声多重放送受信できる世帯数というのが約千五百万世帯を若干上回るということに相なりまして、日本の全世帯の約半数近くのものが受信できることになろうかと思っております。  NHKとしましては都市中心主義であっていいはずのものではございませんで、いずれ全国普及に向けて努力をしてまいらなければならないと思っておりますけれども、現在のNHKの置かれております財政状況、あるいはこれの普及状況というようなことを勘案いたしまして、前向きに、しかも慎重に対処をしたいということで、現時点で、いつまでにどこまで広げるかというところはまだ結論を得ていない次第でございます。
  152. 片山甚市

    片山甚市君 番組制作費というものが関係があると思うんですが、そのぐらいのことは大したことないと、こういうことですか。値上げのときにまた要るでしょう、そういうときに。
  153. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) 現在のところ、そういう経費につきましても、いまのNHK財政を圧迫するほどの大きなことをしちゃならないと考えておりまして、御審議いただいております来年度事業計画におきましては、番組制作を含めました事業運営費といたしましては約一億足らず、ほぼ八千万円程度のものしか考えておりません。
  154. 片山甚市

    片山甚市君 文字の多重放送が開発中であるというように聞いておるんですが、どのようなもので、将来どのようになりますか。
  155. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 文字多重につきましては、郵政大臣諮問機関でございます電波技術審議会が昨年暮れに中間的な答申をいたしました。これから放送メディアに実施をいたします際の細かい詰めをいたすことになっておりまして、一年半ないし二年、その答申に至るまでには日時を要するのではないか、こういうふうに考えております。で、答申が出されました場合には、これをどのような形で、あるいはどのような利用面を踏まえまして放送制度の中に導入するかという検討を始めたいというふうに存じております。
  156. 片山甚市

    片山甚市君 これは相当の、いわゆる文字画像では四十六種類もの表示ができるというような、操作ができるというようなことで相当研究は積まれておるようでありますから、せっかくよき結果が得られるように努力をしてもらいたい。  そこで、技術革新についてですが、映写フィルムをビデオフィルムにかえ、真空管をトランジスタからICにかえ、そして一方ではビデオ方式など規格の違いによって互換性がなく、メーカー主導型の市場争いに視聴者を巻き込んでおるんでありますが、局でも結果的にいずれかを選択することになると思うがどうか。NHKのことですよ、局というのは。技術研究所は、たとえばビデオ方式などはいかなる方式を求め、あるいはどのような解決策をとっていくのか。いわゆるいかなる方式を求めて、そうしてどのような解決策をとっていくのか。技術の方の研究はどうなっておるのか。こういうことについてお答えを願いたいと思います。
  157. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) 私ども、研究所で先生御指摘のようなVTRの研究も大いに進めておるわけでございます。その重点指向方向と申しますと、できるだけ何度も編集を繰り返しても画質が悪くならないような方式、いわば最近の技術で申しますとディジタル方式のVTRというものが実用にならないかというのが一つの方向でございます。もう一つは、できるだけ機動性を持たせるためにコンパクトな形に、しかも画質を落とさないでできないかというのがもう一つのねらいでございます。こういう方向に向かいまして鋭意努力を進めております。  そういう面、そういうNHKの持っております技術力から、先生おっしゃったような一般の家庭用の機材につきましても相談を受けることはございまして、かつてオープンリールタイプのVTRが家庭用といいますか、セミ職業用と申しましょうか、生まれるときにはこれの規格統一について私どもが御相談にあずかったといいましょうか、御協力申し上げたことはございますが、すべての家庭用機材につきまして、私どもがとても手を出して御指導申し上げるというのには荷が重過ぎまして御期待には十分沿い得ない状況にございます。
  158. 片山甚市

    片山甚市君 先輩が触れましたから放送大学のことについて関連をして聞きますが、放送法の一部改正を伴うとされておりますが、本委員会での十分な審議も必要と考えておるんでありますが、そのようにされるものと考えてよろしゅうございますか。——放送大学の設置が、同法案の附則で放送法の一部改正を伴うとされております以上、逓信委員会でも十分に審議がされるものと思いますが、いかがでしょうか。
  159. 案納勝

    ○理事(案納勝君) 片山委員ね、それは院の決定ですから、当委員会が十分に検討ができる場をつくる、十分に検討をするということで当事者の大臣、局長の答弁は無理だと思いますので、それは私の方から申し上げておいて、これで質問をとめてください。
  160. 片山甚市

    片山甚市君 委員長、御親切にしていただきまして、どうもありがとうございました。  私は、大体こういうような放送法などというものを一部改正するとなれば、これは電波監理局そのものの所管に属するからと思いましたが、この委員会そのものがやることですから、これはもういまの話はよく理解できた、こういうことです。  そこで、放送大学の試験電波ですが、関東地域で最初に出されることになっておる点も、地方の学生の利便のために同法案の趣旨から言っても適当であろうかどうか、年次計画など具体的なプロセスは、同じ地域の放送事業者の放送計画に関連して重要であると考えるので、先ほどのお話にございましたけれども、どのような形で放送大学は——関東地域で試験的に電波を出すんですが、やるかというのが決まるのはいつごろでしょうか。
  161. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) ただいまの件につきましては、文部省が第一期計画を策定いたしておりまして、その計画によりますと、御指摘のように、放送施設といたしましては、放送大学学園に演奏所を設置するとともに、東京タワーに親局の送信所を設けるほか、関東広域圏に中継局を一カ所設けることになっておるわけでございますけれども、実は郵政省といたしましては、まだこの話を正式に文部省ともんだこともないわけでございまして、将来計画を含めまして十分に関係方面と検討を取り進めたい、このように存じておるところでございます。
  162. 片山甚市

    片山甚市君 宇宙衛星を打ち上げて、日本国じゅうあまねくだれもがテレビが見えるように、ラジオが聞けるようにするというのなら、それこそその大学の放送どもずっとないんでしょうから乗せるのがあたりまえだろというのが素人の私の意見です。国が出すんですから。と思いますが、あと二分しか残っていませんから、あと肝心なことをこれから本気で聞いてみます。  最後に、素朴な視聴者の要望として、私は所見を大臣及びNHKに聞きたいと思います。聾唖障害者に対する手話通訳や字幕スーパーが取り入れられた番組、すなわち「聴力障害者の時間」、第3チャンネル、日曜の午後六時四十五分から七時まで週一回、十五分ですが、好評であることは御承知のとおりです。この種の番組放送時間数や、将来文字多重放送の実用化など新しい開発の中に、ハンディキャップを持つ人々のための工夫が十分に取り入れられることを望みたい、これが一つです。  二つ目に、国際児童年対策としてキャンペーンのスポットが放映されておりますが、大人が考えた子供の番組という視点から一歩進めて、縦型の押しつけでない、自分の、子供の目で見た自主参加、自主制作番組など、たとえば現在小学校の二三%、中学校の一五%、これは文部省昭和五十二年の五月調査ですが、一〇%抽出調査によると、テレビ放送装置の有効利用と結合させ、ローカル放送に乗せてほしいという意見があります。これについていわゆる素朴な意見として、いま第3チャンネルでやっていただいておる問題を広げてもらい、そしてこれから、先ほど文字多重放送などを自由化されるまでの間に、その人たちのために開かれていくようにしてもらいたい。  放送大学もつくられるのはよろしいけれども、同じ百億円も使うんなら、四十万戸のいわゆる見えないところに打ち上げるんだなどといういいかげんなことを言わないで、もっと効果的に使うようにしてもらいたいと思うんですが、まず大臣にお答えを願って、そしてその後、いわゆるNHKにひとつ決意のほどを聞きたい。決意が不十分であればもう一遍聞きます。
  163. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) ただいま先生申されました身体に障害のある方たちに対する手話放送につきましては、テレビの放送番組編成、編集の問題でございますので、一次的には放送事業者が自主的に定めるべきものというふうに考えるわけでございますが、一般的に言いますと、すべての人が放送文化の恩恵を享受できることが望ましいわけでありますので、こういった意味におきましても各放送事業者が工夫をこらしてもらいたいというふうに考えておりますし、郵政大臣が事あるごとにそのような期待を申し上げておるというのが現状でございます。  また、聴力障害者等のために文字多重放送の実用化を考えろという件につきましては、先ほども申し上げましたように、昨年十二月に基本的な技術特性に関しまして答申を得ておりますけれども、今後さらに検討が行われまして、近い将来最終的な答申が得られるということでございまして、その段階におきましてこの技術的検討に加えて、全般的な利用方法のあり方等の中で御指摘の点を検討いたしてまいりたいというふうに考えております。
  164. 片山甚市

  165. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 聴力障害者のための放送は、先生御指摘のとおり、現状では六時四十五分から七時までということに相なっておりますが、日曜日の。再来年度昭和五十五年度にはかなり大幅な教育テレビ及びラジオ第二放送刷新を考えておりますので、その際は一般の要望に応じた形でこれを拡充したいというふうに考えておる次第です。  なお、国際児童年について、子供が主体の番組ということでございますが、子供自身がつくる番組というまでにはまだ至りませんが、たとえば子供たちがつくる版画とか、あるいは子供たちの意識調査に基づく番組等をこの秋以降に考えております。
  166. 片山甚市

    片山甚市君 実は「ねむの木学園」などでは重度心身障害児でもあれだけの絵をかいたり、いろんな詩をつくったりするのでありますから、子供ができないなどというのは、NHKが管理会社だからそんなこと言うので、もう少し子供たちを信用して、いわゆる自分たちが自分たちでつくったものに喜びを感じ、その責任を社会的に分け合う。大人から指図されるのでなくて、その放送をつくる、部屋を借りたらそこで何か友だち同士でつくり上げていく、少し間違ったら後で批判をしてこっぴどく怒る。こういう親の意見も——昔、雷と火事とおやじとが一番こわかったそうですが、いまは全然こわくなくなった、避雷針もできたし、おやじはひんぬるくなったし、火事は消防車が来るし。ですから、私は堀さんにもう一度お願いしておきます。  いわゆる版画を並べるとか、絵を並べるというんじゃなくて、逆に言えば子供たちの創意工夫、子供といっても十八歳までは子供でありますから、いわゆる相当の開きがございましょうけれども、それらがNHKという公共の場で参加ができる、自分らでやる、そういうような訓練を得ることが、これが日本の国の民主主義の原点、自己の、個我の確立だと思います。人に言われて合唱をしておるだけではだめでありますから、そういう意味では私の意見について御反論をいただければ別でありますが、御反論なければ私の意見に賛成したものとして了解してやめます。よろしく頼みます。
  167. 案納勝

    ○理事(案納勝君) いかがですか、いいですか。
  168. 片山甚市

    片山甚市君 終わります。
  169. 中野明

    ○中野明君 けさほど来、五十四年度予算審議に当たりまして、との事業収支において百五十一億七千万円の支出超過、いわゆる赤字、これを五十二年と五十三年で何とか埋めた。こういうことにつきまして、NHK経営財政事情、これが非常に大きな話題の中心になっております。また案納委員の質問に対しましても、会長より、今後の長期の見通しについてはことしの秋ごろ何とか策定をしたいというような御返事もありましたが、大体これからの長期の見通しについて、何カ年ぐらいの区切りで物を考えようとしておられるのか、最初にその点をお尋ねいたします。
  170. 山本博

    参考人(山本博君) 五十一年度の料金改定の時期におきましては三カ年間という区切りで計画をつくりました。この次、新たに経営計画を立てるにつきましてどのぐらいの期間が適当かということでこれも十分検討をいたしておりますけれども、恐らく三カ年間という区切りをつけざるを得ないだろう。と申しますのは、長ければ長いほどいいという考え方もございますし、長ければそれだけNHK財政の安定というのが長い時期にわたって行われるのではないかという考え方がございますが、実は五十三年度予算を御審議いただくときにつくりました三カ年間の見通しが、けさ方御指摘がありましたように、今度五十四年度予算をつくりますときに、五十四年度から六年度まで見通しをいたしましたものと比べましても、わずか一年の間に二百数十億の差が出てまいりました。  これは現在の政府の経済見通し、あるいは民間の権威のある経済見通しその他が非常に大きな差がございます。また、政府見通しも一年ぐらいの間に相当大きな数字で変更が出ておりますので、余り長期間にわたってそういう数字に基づいて計画を立てますと、後で誤差が非常に大きくなってくる可能性もございますので、いろいろ勘案をいたしまして、恐らくこの次につくる計画の期間というのも三カ年間という形にいたしたいというふうに考えております。
  171. 中野明

    ○中野明君 そうしますと、来年つくられるわけですから、五十五、五十六、五十七と、この三カ年計画理解してよろしいですか。
  172. 山本博

    参考人(山本博君) そのように御理解いただいて結構でございます。
  173. 中野明

    ○中野明君 それで、非常に受信料の問題も先ほど来話が出ておりますが、ことしの予算を見てみますと、収入伸び率はわずかに二・二%、そして経費伸び率が七・七ですか、これは大変圧縮をし、努力をされた結果だろうと思います。いろいろの人件費の増、あるいはその他制作費の増などを考えますと、七・七というのはもう最高に圧縮した額じゃないだろうかと思いますが、このような状態が続きますと、どうしてもこの受信料、これは何年かに一度は見直しをしなければならない、こういう状況に当然なってくるのじゃないだろうかと思います。  ところが、非常にけさほど来の議論を聞いておりましても、無理解層というのがあって、それが減るどころか徐々にふえてきておるということもお話に出ておりました。現在は非常に不況ですし、こういう状況の中で果たして受信料制度そのもの、これを理解してもらうためにNHKとしてあるいは郵政省として、両方からお答えをいただきたいんですが、どのような努力を具体的になさってきておるのか。これは後ほど触れたいと思いますが、新しくまた放送大学ができるわけです。こうなってくると、ますますこの受信料というもののあり方というのが大変問題になってくるのではないかと思います。こういう点について、NHKと、そして郵政省に御返事をいただきたい。
  174. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 先生御指摘の点は、まさにわれわれとしても一番大事な問題点で、仮に料金の改定をさせていただくといたしましても、その前提のコンセンサスと申しますか、合意と申しますか、そういうもののない中で強行突破するというわけにもいきかねますので、何と言ってもNHKの実態と申しますか、そういうものを視聴者の方に理解していただいて、視聴者の方々がやはりわれわれの放送NHKだという、そういう合意を得るための努力ということがまず第一に挙げられるべきだろうと思いまして、まあ私も及ばずながらいろいろと勉強をしている最中でございますけれども、御承知のように、全国に視聴者会議などを設けまして、できるだけ私自身を初め各役員も現地にお邪魔して、できるだけ直接視聴者との対話に努力するというようなこともいたしておりますし、なおまた、NHKが持っております電波を通じてのPRと申しますか、そういうものにつきましても相当五十三年度編成の中では努力したつもりでございますが、さらに、今後もその点について格段の努力をしていきたい。また、営業自身が契約者に直接アピールするということにおいての努力も、今朝来担当が御説明申し上げておりますような形で努力しておる次第でございます。
  175. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 先生御指摘のように、この厳しい経営環境に対処するためには、NHKはより実態に促した経営努力というものに徹していただく必要があるというふうに考えております。郵政省といたしましてもNHKと十二分に連絡をとり合いながら必要な指導を従来してきておりますが、今後とも、たとえば放送媒体を通じて、NHK使命なり、あるいは聴取料の意味を十二分に国民にPRをするとか、あるいはじかに現場で国民の声を聞くとか、あるいはPRをさしていただくというような積極的な行動が一番必要ではないかというふうに存じておるところでございます。
  176. 中野明

    ○中野明君 過日の委員会で私も、たしか郵政大臣は小宮山郵政大臣のときであったと思いますが、要するにこの放送法で書かれておること、これに対する無理解層というのは法律違反ではないだろうかということで、そういう点についても、電波放送行政を担当している郵政省の方としても、そういうやはり国民の皆さん方に法律というものはこうなっておりますというところの具体的なアクションといいますかPR、その辺を要望したことがあるんですが、そういう点については、その後何か手を打たれたようなことがあるんですか。
  177. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 先ほどもお答えいたしましたように、NHK国民に密着をした言論機関であるとともに、国民と密着をした機関であるためにその営業、企業の独立性というものが非常に強く保たれておる機関だと思っておりまして、そういった意味におきまして、なかなか郵政省がみずからNHKのありようということにつきまして申し上げるということはむずかしいわけでございます。しかしながら、大臣以下必要な場合には書物に執筆をする、あるいはその他の場があるわけでございますので、そういった機会をとらえまして、NHKのいま置かれております環境、ひいてはNHKのありようにつきまして話をしてまいっておるところでございます。
  178. 中野明

    ○中野明君 これは先ほど会長の答弁にもありましたように、やはり国民の皆さん方に受信料制度の——非常に私はこの放送法規定というのはよくできた規定だと感じておるわけなんですが、それだけにこの文化的なといいますか、りっぱな規定を一人でも多くのすべての国民の皆さんに理解をしてもらうためのPR、これは少しまだ、私、放送番組を通してももっともっと努力のやり方に工夫が要るんじゃないかという気がいたしますし、   〔理事案納勝君退席、委員長着席〕 そうかと言って、NHKが、いま申し上げたように、法律違反でございますよというような、NHKとしてはそういうことを言えるような立場じゃないので、郵政省としては、やはり法のもとに監督している立場では、あらゆる機会に、いま局長がお話あったように、その面の考え方を浸透さしていっていただきたいというような気がいたします。  これがないと、何をしましても、とても恐らくこういう情勢のもとで、もし近い将来受信料の値上げというようなことがあっても、なかなかこれ説明するのに国民理解を得ることはむずかしくて、それがまた、現在理解をしておられるとされている人たちが、いつ、どういう状況で無理解層に変わる可能性があるかもわからない、こういうことですから、現在理解しておられる人が一〇〇%全部理解してくれているんだという、そういう安易な考え方では私はならないと思います。ですから、その点を特に強調しておきたいと思います。  それでは、時間の関係で次に入りたいと思いますが、先日の委員会で、私、けさほど案納委員から出ました放送大学関係についてたしか三月一日の委員会だったと思いますが、二点ほど指摘をいたしました。この二本の放送体系の根本的な変革だということと、それから、この政治的に公平、中立を守らなきゃならぬ放送大学、この役員の欠格条項が非常に不備だと、だから考え方によれば一党一派の人たちで全役員が占められても別に不都合はないというような法律になっていると、この二点を強く指摘をしたわけであります。  その折に私から、この現在の二本立ての放送体系が三本立てになるんだということについて指摘をいたしましたところ、平野電波監理局長はこのようにお答えになっております。「放送大学学園は、大学教育のための放送を行う放送事業者と相なるわけでございますので、国の出資によるものと相なります。したがいまして、受信料にその存立の基盤を持つ日本放送協会と、民間の発意により自由濶達に放送文化を建設、高揚する自由な事業としての一般放送事業者とはその性格が異なるわけでございますので、いわゆる三本立てに相なるというふうに考えております。」。このように明確にお答えになっているんですが、けさほどの電監局長の答弁では、何かその辺が私、少しあいまいになってきているような気がするんですが、もう一度確認をいたします。
  179. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 先生御承知のように、現行の放送法におきましては、全国あまねく聴視料というものによりまして放送を行いますNHKと、一方、自由濶達に放送を実施することのできます民放と二つの体制になっておるわけでございまして、これに対しまして大学教育、もっぱら大学教育のみを行うとは申しましても、いわゆるその三番目の放送形態と申しますか、放送事業を行うものが生まれ出してくるわけでございまして、先生お尋ねに対しましては、三番目の局が出てくるということを申し上げたかと思います。  しかしながら、これも先生御承知のとおりでございますけれどもNHKも特殊法人でございますし、しかも、NHKは教育、教養にとどまらず、娯楽あるいは報道というような広い意味での総合、あるいは教育番組テレビジョンによって放送をする機関でございます。これに対しまして民放とは根本的に違います、三番目とは申しますけれども放送大学、大学教育のみをもっぱら行う特殊法人という形態が新たに生まれることに相なるわけでございますけれども、これはNHKと同じ特殊法人であるという意味におきまして、基本的には変わりはないものというふうに理解をしておるわけでございます。
  180. 中野明

    ○中野明君 これは電監局長ね、ちょっとおかしなことを言われるんですが、それじゃNHKと一緒ですか。NHKと、それから放送大学と同じということですか。明らかに前回私質問したときには、三本立てるなるということですかとお尋ねをしたら、「いわゆる三本立てになるというふうに考えております。」と、そうおっしゃったんです。ですから私たちも、なるほどそうかと、もっともな話だと。いままでの宣伝料で、広告費で賄う一般の放送事業者と、そして受信料制度で成り立っているNHKと、全額国費でやる放送大学と、この三本立てになるんだなと、こう理解したんですが、いまのお話を聞いていると、何かわけのわからぬNHKみたいなような言い方もなさるし、どういう考えでそういうふうに変わってきたんですか、もう一度納得のいくように説明をしていただきたいと思います。
  181. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 先ほども申し上げましたように、わが国の放送体制といたしましては、受信料にその存立の基盤を持つ全国的な放送事業者としての日本放送協会と、民間の発意によりましてみずからその収入を確保しながら、自由濶達に放送文化を高揚する自由な放送事業者としての民放とが併存する放送体制をとることにいたしておるわけでございますが、放送大学学園の放送は、大学教育のための放送に限られておりますので、既存の放送秩序に及ぼす影響はきわめて少ない。現行の放送体制の基本的な変更にはならないものというふうに考えておるわけでございます。で、その点、先ほど案納先生にもそのようにお答えをしたつもりでおるわけでございます。
  182. 中野明

    ○中野明君 放送秩序に影響云々というようなことをおっしゃっているわけですが、しかしいままで日本では民放とNHKと二本立てしがなかった。そして、片や広告料、片や受信料、この二つの明確な制度がここ二十五年間続いてきたわけです。ここへ新しくぽっかり全額国費で放送大学というものが出てきて、日本放送体系は三本立てになるんではないですかと。これはだれが考えても三本になるんじゃないですか。  いまのあなたのおっしゃっているのは何かこじつけて、放送の現在の二つの体系にさほど影響は与えぬから二本でよろしいと、こういう言い逃れ。結局、それは放送法を真正面から改正してこなかったことに対する言い逃れのためにそういうことをおっしゃっているんじゃないかとしかとれません。もっと率直に三本立てになったんならなったんだと明快になさった方が後々のためにいいんじゃないかという気がするんですが、重ねて御返事をいただきたいと思います。
  183. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 放送大学学園の放送が、先ほども申しましたようにNHKとの間で余り本質的には関係がないという意味におきましても、既存の放送秩序に及ぼす影響がきわめて少ないものというふうに考えられますので、現行の放送体制の基本的な変更にはならないというふうに信じておるものでございます。
  184. 中野明

    ○中野明君 どうもあなたの言うていることは、専門家のあなたがこれほど答弁を変えられたら困るんです。前回私聞いたときにこう言っていますよ、「私どもといたしましては、先ほど御指摘ございましたように、放送法の従来の二本立て体制が三本立てになるということを深く認識をしたわけでございます。」、深く認識したんですよ、あなた。深く認識しておいて、いまになったらそんなことありませんて、そんなね、一番専門家のあなたです、大臣が言うなら何ぼかぼくはわからぬことはありません。(笑声)だけど、あなたはもうこの一番の権威者ですよ、いま日本では。その人が「深く認識をした」と言っておいて、いまになって既存の放送に何も関係ありませんから二つでございますというような、そういう答弁をされるんでは困るんです。  これは先ほど片山委員も御質問になりまして、委員長が、いずれ深く議論をする機会をつくると、こういうような形になっておりますので、ぜひこれは私の方からもお願いをいたします。そして、文教と連合審査でよほど話を詰めないと、基本的なことがこんなあやふやなことでは非常に困るわけです。ですから、どうかそういう点、全然既存の放送体系に影響がないと言われたって……。  お尋ねしますがね、現にNHKは教育放送やっております。ですから、この学園法が提案されて、そして実際に放送が始まりますと、NHKの教育放送との関係、これが一体どういうことになってくるのか。きょうは文部省の方見えてますか。——どういう関係になってくるのか、NHKの教育放送の内容に何らかの変化が出るのか、その辺、文部省としてはどうお考えになっておるのか、お尋ねをします。
  185. 前畑安宏

    説明員(前畑安宏君) お答えいたします。  NHK放送にどういうふうな変化が起こるかというようなことは、私どもお答えをする立場にはないと思いますが、この放送大学学園と申しますのは、先ほど来電波監理局長からお答えがあってございますように、放送大学の教育に必要な放送を行うというきわめて限定的な、特殊な放送事業体というふうに私どもは承知をいたしておるわけでございます。  したがいまして、学園の放送番組は、放送法で言います教育番組というジャンルの中の、しかも学校教育番組、その中のさらに特殊な、大学教育のための放送番組に限定されるものでございまして、NHKの教育放送が、教育番組のほかに報道番組なり、あるいは教養番組といったものを含む幅広いものでありますとともに、教育番組につきましても、社会教育のための番組、あるいは幼稚園から大学までの広い範囲の学校教育のための番組を含むということと比べますと、かなり性格的に異なるものがあるというふうに承知をいたしておるわけでございます。その意味で私どもといたしましては、NHKの教育放送に与える影響というのはさほどのことではないんではなかろうかというふうに、まあ愚考いたす次第でございます。
  186. 中野明

    ○中野明君 じゃ、文部省として、いままでNHKの教育放送に関してどういう面、どういうふうな関与の仕方をなさっておったんですか。NHKに任しっぱなしで、文部省は全然ノータッチだったんですか、そこのところ。
  187. 前畑安宏

    説明員(前畑安宏君) ただいまのお尋ねにつきまして、私、直接に所管をいたしておりませんで、お答えをする立場にないので、はなはだ申しわけないのでございますが、私が伺っておりますところでは、NHKの方でいろんな番組の企画をされます際に、文部省におきまして教科書調査官あるいは教科調査官等がその会議に参画をしておるというふうに承知をいたしておる次第でございます。
  188. 中野明

    ○中野明君 そうしますと、文部省としては当然教育の主管省ですから、NHKのこの教育放送については何らかの形で接触されるといいますか、関与なさっておったんではないかと私は想像をしておるわけです。そういうことになりますと、全然これ関係がない、NHKの教育放送に何ら影響がないということはないというふうに私は理解をいたしております。ですから、いま文部省は担当が違うとおっしゃっているんで、これ以上詰めてもしようがありませんが、郵政省とNHK両方にお尋ねいたします。この放送が始まりましたら、一体NHKの現在の3チャンネルですか、教育放送にどういう影響が出るとお考えになるんですか。
  189. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 放送大学学園は、全国的に大学教育を行います。その手段として放送を利用するものでございますが、放送大学学園法の策定にあたりましては従来の経緯、関係者の意見等を十分に踏まえました上で、放送大学学園の放送内容を大学教育のための放送に限定をいたしております。現行放送体制に及ぼす影響を最小限にとどめるように措置をしたつもりでございまして、NHKが幼稚園から大学までの各層を対象といたしました学校教育番組及び社会教育番組から構成されておるのに対しまして、異なった内容になるものというふうに考えておるわけでございます。  以上でございますが、先ほど先生お尋ねのございました点につきましてちょっと敷衍をさせていただきたいと存じますけれども、この前先生お尋ねになりましたときに私がお答えいたしましたのは、従来の放送法における二本立ての体制に対しまして、形式的には三番目の放送大学学園というのができることになりますというお答えをしたつもりでございまして、本日申し上げましたのは、そういうことではございますけれども、根本的には従来の二つの体制に大きな影響を与えるものとは考えておりませんということを申し上げたわけでございますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。
  190. 中野明

    ○中野明君 これは一遍、あなたも落ち着いて前回の議事録をもう一遍よく読んで、それで、前後がありますから、私はそこだけとって言っておりますので、前後をよく読んで、それからまた改めて議論をいたしましょう。  それで、いまの問題ですが、NHKは幼稚園から大学までやっているわけなんですが、NHKの大学放送との関係はどうなるんですか。そこのところはどうお考えになっていますか。
  191. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) NHKの大学レベルの教育番組について、現状を調べたわけでございますけれどもテレビジョンラジオとございまして、テレビジョンにつきましては、大学講座が週六時間、これは全時間の四・九%に当たるわけでございます。それからNHKの文化シリーズというのが、同じく週四時間三十分ございますが、これが三・七%でございます。ラジオにつきましては、大学講座はございませんで、NHK文化シリーズというのが週六時間、四・八%あるわけでございます。  ただ、その内容が先ほど申しましたようにもっぱら大学教育を行いますものと、それから幼稚園から大学までという相当広い範囲の中で、いま申しましたような大学講座、NHK文化シリーズというような形態の中で放送されるものとは、かなり違った様相に相なるであろうということを申し上げておるわけでございまして、しかしながら、テレビジョン放送の教育機能ということにかんがみました場合に、そのそれぞれの番組内容につきましては、現在も行われておりますような関係者の間で十分に調整していただく必要があるんではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  192. 中野明

    ○中野明君 NHK、ちょっと。
  193. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 私たちNHKといたしましては、現在行っている放送に影響がないことを強く望んでいるものでございます。  しかし、どういう影響があるかどうかにつきましては、新しくできる放送大学の放送内容を拝見しませんとはっきりしたことは申し上げかねる状況でございます。
  194. 中野明

    ○中野明君 これはやはり相当詰めなきゃならぬところだと思いますが、やはり放送の範囲をかっちり明確にしないと混乱が起こるし、NHKもどうしていいかわけがわからないということに相なると思います。この点はぜひ範囲を明確にしていただきたい、こういうような気がいたします。  そのほかありますが、次の機会でやらしていただきたいと思います。  それでは次に、去年ちょっと指摘をさしていただいたんですが、この視聴率至上主義というんですか、視聴率というものが放送局の経営をしていく上において重要な問題になって、特に民間放送ではこれはもう視聴率ということがやはり死活問題にまでつながってくると言われております。この視聴率を上げるがためにいろいろと努力をなさうておることは当然でございましょうけれども、そのために番組を云々されてみたり、あるいは反面でスポーツその他の競技の放送独占権の争奪というものがますますエスカレートしてまいりまして、放送権料というものが大変つり上がってくる傾向にあります。  この点について、私は昨年でしたか、郵政省に、この問題についてどのような考え方を持っているのか、何かこれについてもっとお互いにつり上げないようにセーブする方法、指導、そういうようなことをできないものだろうかということを問題提起したことがあるんですが、その点について改めて御返事をいただきたいわけです。
  195. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 先生御指摘いただきました一昨伝来、スポーツ等の放送権の獲得をめぐりまして放送事業者間の競争が激化をしたわけでございます。これに伴いまして放送権料が高額化しつつあるということが新聞その他でも話題になったことがございます。しかしながら、放送番組の素材をどのような条件で獲得するかということは、放送事業者の自主的判断に本来任せられておるものでございまして、郵政省といたしまして個々の問題として申し上げるのは差し控えたい事項でございますが、わが国の放送界の健全な発展を願う観点からいたしますと、放送事業者は良識を持って公正な競争を行うとともに、協調すべきは協調をして放送文化の発展に寄与していただきたいと、こういうふうに存じておる次第でございます。
  196. 中野明

    ○中野明君 これは、こういうことを野放しにしておきますと共倒れになるんではないかというような心配もします。あるいは混乱が起こって、その結果大変迷惑をするのは国民でございます。物の言いにくいことはわかりますけれども、何かそういう肩のこらないような話し合いができないものだろうか、そういうふうな気がしてお尋ねをしているわけですが、そういうことの端的なあらわれの一つに、先日来問題になっておりますモスクワのオリンピックの放映問題があります。オリンピックということになりますと、オリンピック強化費用といいますか、このオリンピックに対して国の方からも年々多額の助成金といいますか補助金、強化費用というものが出ているわけです。言いかえれば国の行事、大げさな言い方をしたら国民的行事の一環としても考えられるぐらいのものだと私も理解をしております。  ところが、このオリンピックに国費が投入されて強化費用なんかも使われているということになりますと、国民の側から見ればその競技の実情というものを知りたい、また知る当然の権利はあると思います。ところが、その放映の独占権というものをテレビ朝日さんが取られて、そしてその後、国内における放映権の交渉というのが非常にうまくいっていない、なかなかまだ見通しが立っていないというようなことも承知しておるわけなんですが、これ、いまなお解決がはっきりしないということになると、もう来年ですから、恐らく共同取材は準備その他で不可能じゃないだろうか、時間的に。こういうふうになってくると思いますので非常に心配になっておるわけですが、まずNHKからその後の交渉の経緯、見通し、これについてお答えをいただきたいと思います。
  197. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 去る三月十六日に、来年度行われますオリンピックに先がけて行われます、プレオリと称しておりますが、ソ連のユニバーシアードの放送につきまして、ラジオにつきまして共同取材団の派遣その他の具体的なことが決定されたのは御承知のとおりかと思いますが、われわれは去年、ちょうどいまごろから一、二カ月前ぐらいからラジオについての具体的な話が始まりまして、去年の四月ごろ話がまとまった次第でございますが、その後も実は引き続いてテレビジョン放送NHKもできますように、またできれば御指摘のように共同取材による放送ができますように鋭意話し合いは続けてまいりましたし、私たちは強い希望を申し述べてまいりました。しかし、いろいろな条件がまだ固まっておらない面もございまして、今日に至るまで努力は続けたけれどもテレビジョンにつきましてはまだ具体的成果を得ないということについては私たちも残念に思っておる次第です。  ただ、モスクワオリンピックの夏季オリンピックのテレビ朝日による放送権独占が決まった後、冬季のレークプラシッドのオリンピックにつきましては、日本放送界が一致いたしまして、放送権獲得の窓口としてNHKが指定され、それが共同取材方式で実現する運びになっておるのは御承知のとおりだと思いますし、また、この次に行われますロサンゼルスのオリンピックにつきましても、現在NHKから共同でやろうということを民放連に申し入れまして、テレビ朝日だけがおりるという態度を示してはおりますが、大勢はやはり共同でいこうじゃないかという方式に傾きつつあることも事実でございます。  以上、関連のことを交えてお話しして御答弁にかえさせていただきます。
  198. 中野明

    ○中野明君 結局のところ、いまいろいろお答えいただいたんですが、話はうまくいっていないということですか。簡単に答えてください。
  199. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) うまくいっていないというわけではございませんが、まだ具体的成果は得るに至っていないということでございます。
  200. 中野明

    ○中野明君 そうすると、もうタイムリミットも過ぎているようですし非常に心配になってくるんですが、私、こういうふうにも考えてみておるんですがね。どういうのですか、先ほど申し上げましたように、オリンピック強化費用まで出して、何とかして国民の皆さん方のオリンピックを盛り上げようという気持ち、また日本のことも世界に知らしてほしいということでそのお金がつぎ込まれているんでしょうが、その競技の模様を見たいというのは、これは国民としてぼくは当然の気持ちだろうと思う。ところがそれが、放送の現在の免許制度の問題もございましょうけれども、限られた範囲を放送エリアに持つということを前提にしたといいますか、そういう期待のもとに免許をもらっている民間放送が、日本国民の皆さんが知りたがっている、また知る権利があるそういう放送の独占権を取ってきて、そして、いろいろいきさつはあって交渉もしてみたけれども、結果として全国民にそれを見せることができなかった、約二〇%の国民が見ることができなかったという結果が出てきたとしたら、これはもう当然国民の側から見れば電波行政の不信、あるいは郵政の監督といいますか指導に対する電波行政の怠慢とでも映るんじゃないかというような気がしてならぬわけです。  こういう点について、現時点において郵政大臣として、郵政省として全国民に必ずこれは実況が見えますと、こういうことを確約することができますか。それさえできればこの心配はなくなるわけなんです。私は、よけいな心配かもしれませんが、これは大変な問題になってくると思いますのであえて申し上げているわけですが、その辺、いま申し上げた点と両方ですね。全国に放送を要求しているのはNHKであって、民間放送は全国放送を法の上では要求しておらないはずです。ですから、与えられたサービスエリア、そのエリアに放送してくださいよという期待を込めての免許だろうと思う。そこが、日本全国の人がどうしても知りたがっている、日本全国に知らさなきゃならぬ、独占権を取ってきて、それがうまく国内で調整がつかなくて見えない人ができた、こんなことがたびたび起こるようなことでは非常に困るわけです。こういう点について監督官庁の郵政省、何も物が言えないものなんだろうか、それとも責任を持って全国民にあまねく実況を見せますとここで断言できるか、両方御返事いただきたい。
  201. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) このモスクワオリンピック放送放送権問題につきましては、大変御心配をおかけしておるわけでございますが、先ほど放送権問題について申し上げましたように、元来放送事業者間の自主的な企業活動と協調のあり方にかかわる問題でございまして、軽々には判断できない問題かと思いますけれども、ただいま御指摘のように、このオリンピック競技が、国民大多数がその聴視に大きな関心を有する行事でございますので、まず第一義的には各社が自主的に話し合いの上放送を実施するのが望ましいというふうに考えておるわけでございまして、そういった線の上で、ラジオ放送につきましては、先ほどNHKの方から話がございましたように話が進んできておるというふうに聞いておるわけでございます。  先ほど先生申されましたように、共同取材等の方法ということになりますと相当前から資材、人員、その他準備をする必要があるように聞いておりますけれども、私たちいま聞いておる段階では、もう少しそのオリンピック開催期の近くになりましても放送の可能性がまだあるというようにも聞いておりまして、せっかくNHKが関係方面と積極的にひとつお話し合いを進めていただくことが望ましいんではないかというふうに存じておるわけでして、従来から大臣がおっしゃっておりますように、国民的な行事という観点に立ちまして、そういう話し合いの中でぜひひとつということがございました場合には、大臣としても腹を据えよう、こういうふうにおっしゃってきているわけでございまして、現在も変わりないものというふうに存じているわけでございます。
  202. 中野明

    ○中野明君 大臣、国民の税金をつぎ込んで、オリンピック強化費用まで出してやっている一つの国民的行事ですね。ただ単に知りたがっているというんじゃなしに、強く言えば知る権利があるわけです。その辺をよくお考えいただいて、そして代々大臣は何とかなるでしょうというような考え方、放送業者の良識に待ちますというような言い方が多いんですが、白浜郵政大臣としてこの問題について、いま局長お答えになっておりますが、全国にあまねく行き渡るように、それに対する大臣の見解を改めてここでお聞きしておきたいと思います。
  203. 白浜仁吉

    国務大臣白浜仁吉君) いま中野委員から御指摘、御意見もありましたように、国民が非常な期待を持っておると思いますので、局長も繰り返しお答えしておりますように、私どもも一生懸命話をつけることに努力をしていきたいというふうに考えております。
  204. 中野明

    ○中野明君 せっかくの努力をお願いしておきます。  それからもう一点、時間がなくなりましたので次の問題として、テレビ局やラジオ、FM、これを新設しようということでチャンネルプランが発表されますと、もうものすごい申請が出るんです。御承知のとおり、長野県では一局新設をするかちという発表をすると四百九十九社の申請が出た。そのほかもう百八十とか百七十とか、めちゃくちゃな競願が出てくるんですが、なぜこのような常識外れの競願が出るとお考えになっているんですか、電監局長
  205. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) テレビ、FMの免許申請状況につきましては、ただいま御指摘のように、周波数割り当て計画におきまして、周波数の割り当てを行っておる地域を中心としまして、全国的に非常に多数の申請書が提出されておるということは事実でございます。で、これは企業としての収益性の問題、あるいは地域文化への貢献度などから放送事業が関係者の間で大きな魅力になっているということ、あるいはさらに免許申請の手続がある程度簡易であるというような事情からくるものではないかというように存じております。
  206. 中野明

    ○中野明君 その常識外れの競願といいますか、そんなにべらぼうに出てきているんですが、この数百社に及ぶ申請に対して郵政省としては現在までどのような方策をとって免許の許可と、こういう手はずになってきたんですか、改めておっしゃってください。
  207. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 提出されております免許申請につきましては、必要な検討の上で受理をいたしまして、受理になった申請につきましては、電波法令の規定に基づきまして整理をしておると、これをもって審査を進めておるということもできようかと存じます。今後の審査結果の導き出し方につきましては、郵政大臣と御相談をしながら取り進めてまいりたい、このように存じておるところでございます。
  208. 中野明

    ○中野明君 いままでよく耳にするんですが、こんなにたくさん出ているとどうしようもないので一本化ということ、こういうことをなさってきているように思うんですが、そうですか。
  209. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) これは申請の多寡にのみかかわる問題ではないわけでございますけれども、受理をされました申請書を審査いたしましたときに、法令に当てはめまして拒否をせざるを得ないというような場合も出てくるわけでございます。さらに拒否をしないでいいという申請書が上ってまいりました場合におきましては、優劣をつけるという段階になるわけでございます。ところが、先ほど申し上げましたように、地域文化への貢献度の問題等を考えられまして鋭意つくられました申請書を、軽々に優劣判断をすることの是か非かという問題もございまして、でき得ることであるならば、その地域の文化の向上に役に立つような経営基盤に見合った、しかもその土地の聴視者の要望にこたえ得るような形で一本化されることが望ましいという発想を申請者相互間でなされる場合もございましたし、あるいは地元の知事さん、あるいは財界方面の方々が、それではひとつ一本化調整に乗り出そうかというような場合もあったわけでございまして、先生がおっしゃいますような、でき得ることならば、そのような時点におきまして優劣がつけにくいということではなくて、できるだけ前向きで一本化なされることの方が望ましいと、そういうふうな考え方を持っているわけでございます。
  210. 中野明

    ○中野明君 この一本化をしろということは法律には書いておりませんね。ですから、郵政省の方から一本化してくれと、どうもかなわぬと、選別ができないと、こういうようなことを言って逃げておられるような気配を感じるわけですが、そういうとこら辺にも現在の法律の不備があるんじゃないか、そういう面も感じます。あるいは免許に当たりまして郵政大臣の裁量権といいますか、チャンネルプランを含めて非常に幅が広くってしばしばこれ問題が起こるわけです。前郵政大臣のときにもFMの免許をめぐって与党内部から反発があったというような事件も起こっております。  こういうことを考えますと、これはどうしても貴重な国民の電波というものを割り当てするわけですから、そこに不明朗なことの起こらないように、首尾一貫せぬようなこと、同じ一本化の調整をお願いするにしても、ある地域では知事だし、ある地域では商工会議所の会頭だとか、何か郵政省のやっていることがどうも首尾一貫しないような気もしないでもありません。  そういうことを含めて、また先ほど来、放送大学の問題も出てまいりました、あるいは宇宙の衛星放送の問題も出てまいりました、多量放送も出ております。こういうことを含めて、もう電波法なり放送法というものを基本的に改正をしなければどうもこうもならぬのじゃないか、時代の要求じゃないだろうかという気がします。この電波法、放送法の改正について郵政省としてはどういう考えでおられるのか、どういう準備をなさっているのか、その辺を具体的に。また、いつごろ改正をしようと考えておられるのか。
  211. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 電波法、放送法の全体的な改正につきましては、現在省内の電波放送関係法制調査委員会につきまして鋭意検討を取り進めておるところでございますが、いわゆる海上人命安全条約の批准、発効に備えましての電波法の改正の必要性とか、急を要する問題につきましては今国会に御審議をお願いしたいと思いまして、現在、鋭意関係方面と折衝を続けておるところでございます。  また、放送法につきましては、ただいま先生かち御指摘ございましたこれも長年の懸案ではあったわけでございますが、放送大学学園法案、これをお願いをする、こういう形になっておるわけでございます。  先生、多分そういうことではなくて、全体的な電波法、放送法の改正の取り運びかと思いますけれども、やはり今朝来お話のございましたNHK経営動向でございますとか、あるいは多重放送などの今後のあり方でございますとか、あるいは放送衛星の利用につきましての国連の宇宙平和利用委員会の動向でございますとか、まだ流動的な要素が実はございまして、これらの動向を見定めた上で郵政省といたしましては、特に言論の自由にかかわる重要な改正問題になろうかと思いますので、関係者の御意見及び世論の動向をお聞きするにまだ至ってないというのが現状でございます。鋭意部内の委員会で詰めてまいりたい、このように思っておるところでございます。
  212. 中野明

    ○中野明君 非常に、できてからもう二十五年もたって、そして先ほど来話が出ておりますように、民間放送はもうNHKを凌駕するというような、放送法では全然想定もできなかったような時代を迎えて、しかも日進月歩、ですから、こういう大事な法案はそう一朝一夕でできる問題じゃありませんから、外部にそういう機関をつくるなり何なりして具体的にアクションを起こされないと、いまのような局長の答弁では、これはもう五年たとうと十年たとうと、とうてい現状に合うような法律にはなってきません。ですから、早く成案を得る得ぬはこれはなかなか大変な問題でしょうけれども、行動に移らなければ、現状とかけ離れた法律で、免許一つにしたって不明朗なおかしなことばかり起こるような、そういう法律をそのまま残しておくということは、私は怠慢だろうと思います。こういう点についてぜひこれは大臣にもお願いをしておきますが、早く具体的に行動を開始しないと間に合わぬのじゃないか、このように思います。  きょうはこれ以上申し上げても詰みませんので、時間がありませんから委員長最後に一点だけお願いします。  郵政省とNHKに尋ねますが、民放でいま非常に免許の申請が多いといったときに、局長もおっしゃいましたように非常に民放はもうかるんだ、民間放送はもうかるんだという認識があるから申請が多いんじゃないか、そういうことを言われましたが、まさにそのとおり、民放というのは最近非常に利潤が上がっております。この民放の利潤ということについて、私は難視解消に当たってやはり民間放送といえども一営利企業とは同じにはいかないと思います、電波の割り当てを受けてやっているものですから。ですから、離視解消について、民放の利潤のたとえて言えば何%なら何%は難視解消に回せ、このような行政指導をする考えがあるかないか、できないものか、これをまず一点郵政省にお尋ねします。これは私は民放がこれほど利潤が上がっているということになれば、やはり一定の線を引いて、これだけのものは難視解消に向けなさい、それが公共的な使命を持っている民間放送としての電波の割り当てをもらっている者としての義務だ、このような行政指導をされる考えがあるかないかということ。  それからもう一つは、NHKでございますが、この国内放送放送費の推移をちょっと見せていただきますと、会長は非常に番組の充実に努力をする、結構なことだと思いますし、また、そうしてもらわなければ困るんですが、それには必ず金がついて回ります。やっぱりお金をかけたらいい番組ができるというのが常識だろうと思いますが、けさほど案納委員も御質問になっていましたように、そういう面ではNHKは非常に安いというようなこともあるようですが、この放送費の推移を見ますと、どうも予算よりも決算の方が少ない。大分けちっておられるような気がしてなりません。  これは予算があるから、放漫に何でも予算をとったんだから全部使ってしまえ、そういう乱暴なことを私は言っているんじゃありませんけれども、わりあいに堅実にこの厳しい財政事情の中で予算を組んでおられるNHK予算を組んでも、一番大切な番組に力を入れると言われている会長の意思とはうらはらに、予算より決算が非常に少ない。この点何かこう、先ほどのどういうんですか、出演料が安いということと関連があるんでしょうか。もうちょっと予算があるんならば、予算を十分に生かして内容のいい番組をつくるようになさったらどうなんだろうか、こういうことです。  いまの二点、御返事いただいて終わります。
  213. 平野正雄

    政府委員(平野正雄君) 民放の難視解消施策につきまして、利潤の何%ということは申し上げておりませんけれども、再免許のございますたびに、今後三年間の難視を解消するための施策につきまして計画を立てさせることにいたしております。それで、その計画を一〇〇%完遂させていくという努力を傾注するとともに、チャンスのありますたびごとに、それ以上の難視解消施策を講ずるように努力をさしておるというのが現状でございます。
  214. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  私たち放送番組をつくる身として、現在金がないからということは考えておりません。また、そういう経験もございません。ただ、むだ金を使うことは国民視聴者に対する非常な無責任な行動になりますので、一本一本の企画につきましては、かなり厳密に審査いたしまして、使うべきところには大いに使うということでやった結果でございまして、初めからびびってそういうことをいたした覚えもございません。また、これからもそういう方向で進んでいきたいと考えております。
  215. 赤桐操

    委員長赤桐操君) 本件に対する本日の審査は、この程度にとどめます。  次回は、明二十九日午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十分散会      —————・—————