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新谷寅三郎君 いまのお話は承っておきますがね、私はここまでくるまでに
外務省がもっと
日本の実情を知って、
電気通信事業というものの実情も
考えて、もっと事前に幅広くPRすべきじゃなかったかと思うんです。しかし、これは過去のことは言いませんが、今後はただ
アメリカがこう言っているから何とかというようなことじゃなしに、
お互いに話し合って、どこで
お互いに折り合うかということは
考えながら、
実態というものについてはもっとPRしてくれないと困るんですよ。これは特に私からの
意見として、これは
外務大臣にもお伝えください。これは幸いにして
経済局の
意見だというから、
外務大臣は知らないことでしょう。だから、
外務大臣にいま言ったようなことを十分お伝えください。
それから、時間がないんでもう次の方に入りますが、さっき
通産省からの話、私も
通産省の言っていることはそれ結構だと思うんですよ。これは従来も
ATTもそうだし、
電電公社もそうなんです。
お互いにすぐれた
機器を外国から買い入れているのは事実ですよ、これは。これは
ATTも現在、ちょっと私の耳に入ったところによると、
日本でいま開発中の
自動車用の無線
電話機、これをある会社に、またある会社に対してはマイクロウェーブのミリ波の測定器、こういったものを発注しようとしている、引き合いが来ているということは事実であります。それで、
日本のすぐれた
技術開発は何とかして取り入れようという努力をしている。
日本も同様だと思うんです。
これは古い話ですが、サンフランシスコ平和条約の締結前に、私と衆参両院議員が何人か国務省に呼ばれまして、これは二カ月半、非常に壊滅した
日本の
電気通信事業の回復を早くするために全部見せてやると、もうあらゆる物を見せてくれました。
素人だからわかりませんけれ
どもね。しかし、そこですぐに飛びついたのは
交換機だったんです。クロスバーです。現在、皆さん使っていらっしゃるクロスバーです。これが
日本にはなかった。シカゴでそのクロスバーの工場を見まして、すぐそのカタログ持って帰って
電電公社に行ったんです。これすぐ採用したらどうですか。そうしたら、総裁が非常にこれはいいと言うんで、すぐに
技術者を派遣しまして、クロスバーを入れたんです、非常に高いロイアルティー払って。これだけじゃありません。いまのマイクロウェーブだってそうでしょう、これは。
ATTやら、あるいはさっきのエリクソンあたりが開発した
技術を取り入れたんですね。ただ、それを取り入れたんで、それはいわゆる一言で言うと、
お互いにすぐれたノーハウは、これは幾らでも入れようということです。
それをさっき申し上げたような、いろんな各国の
条件があるんで、
自分の国の
電気通信の
ネットワークに合うようにそれを改良し、
技術開発をして、
製品をつくっているわけですよ。いまの
アメリカ側の要求はそういったノーハウの
輸入というようなことではなくって、むしろ
アメリカでこしらえた
製品を
輸入しようというんだな。そこに私は問題の、何といいますか
考え方、問題に対する
考え方が違ったところがあると思うんです。すぐれたノーハウなら、
電電公社も当然これは
輸入するでしょう。これは
お互いのことです。この点、
通産省の言ったことは、私はその
意味において理解をするんです。
お互いにそういうんで
世界の
電気通信というものの発展を
お互いの協力でやっていかなきゃならぬということについては全く同感です。それは現実にやっているんです。ただ、現在の問題は、さっき申し上げたように、
自分のところでつくった
製品を買え買えというのでそこに問題がある。
これは
通産省にも
郵政省にも
考えてもらわなきゃいかぬと思うのは、われわれ昨年も一昨年も補正予算を組みましたわね。補正予算はなぜ組んだかといいますと、これは景気をもっと浮揚しようというので、
国内の景気浮揚策として補正予算組んだわけです。その中で、
電電公社は実は消極的だった。ですけれ
ども、われわれももう
日本の景気浮揚には
電電公社もこれはもう大いに協力しなきゃだめじゃないかというので、八百億とか千億の補正予算を組んだんです。これはなぜそんなことをしたかといいますと、これは政府側の問題だけれ
ども、
電気通信事業については非常に波及効果が大きいというんですね、これは。波及効果が大きい。富士のすそ野のように
関係の業界というのは非常に広いんですね。しかも、それが中小
企業が多いんです。ですから、そういう
意味で、
電電公社に補正予算を組まして景気浮揚に役立たせようという努力を
日本政府はやったわけですよ。
今度のこういう
交渉の中で一番最悪の事態
考えると、まあオンラインじゃない、これはオフラインだ、補助的なものだというようなことで
機器類が
輸入されてきますと、
日本の
関係の中小
企業というのは一体どうなるかということですね。
日本の
電気通信関係の
メーカーの中には、たとえば
電話機だけつくっている者、あるいはもっと小さな部分品だけつくっているような中小
企業たくさんあるわけです。その当時の
調べで、
全国で七十五万と言われています。七十五万人と言われているんですよ。それに非常に大きな
影響を及ぼすわけです。これは、いま政府かやかましく言っている雇用問題に非常に大きな
関係を持ってくるわけです。そういった問題について、何といいますか、
政府調達コードとの
関係でどう処理していくかというのは、これは単に
アメリカがそう言っているからというだけで簡単に踏み切れない問題が雇用方面にも私はあると思うんです。
で、こういった問題について、これは労働省の問題かもしれませんが、この
通信機器の製造について管理監督しているのは
通産省だから
——係か違うかもしらぬな、きょうのは。係が違うかもしれませんが、違えばまあ御
答弁要りませんがね、これは
通産大臣にもこの点はよく話しておいてください。いまの雇用問題というのは、政府の全体を通じての
一つの柱なんですからね。それに、もうまともにぶつかってくるような政策を、これは絶対にしてはいかぬとは言えないかもしらぬけれ
ども、最小限度のものにして、やっぱり雇用問題というものは私は守っていかなきゃならぬ政府の責任があると思いますからね。これは労働大臣にも申し上げますが、
通産大臣にもよくお話しおき願いたいと思います。
それから、これはいまここで言うのはどうかと思うけれ
ども、
通産大臣が先般衆議院の予算委員会で言われたこの問題についての
考え方は、これは恐らく事実を誤解しているからああいう
答弁が出たんだと思うんです。これはもうきょうは言いません。
通産大臣の挙げた
数字も間違っています。時間があればいつでも申し上げますがね、これは間違っている。こういったのをそのままほっておいちゃいけませんよ。もっと事実を事実として
通産大臣にも伝えて、そしてその上で正しい判断をさしてください。これは
通産省の部長さんですか、これはあなたもよく知っていらっしゃるでしょう、今日になるとね。非常に間違った
答弁をしておられますからね。これについては私がそういうことを言っておったということだけ江崎さんに伝えておいてください。
それで、時間がありませんから最後になりましたが、こういう問題についてただ私が言ったように、これはもう
アメリカの言い分は一切聞かないんだというようなそういったことは、
日本政府としてもなかなかこれ取りにくいだろうと思うんです。
日本の通信政策の上に大きな
影響を及ぼさない範囲において、何かここに風通しをよくするような方法を
考えられることについては私はあえて
反対はしないんです。それをどうしたらいいかということです。それで一番いいのは、私は提言したいと思うんですけれ
ども、わけのわからぬというと失礼ですけれ
ども、全体通信事業というものを余り理解しない、また
技術的な経験も何もないというような人たちが、ただ、何といいますか、話し合いをしても、これはいい結論が出るはずはないんですよ。
だから、できれば
電電公社の
技術者と
ATTの
技術者、これは両方ともその国の
電気通信事業を円滑に
運営していく責任を持っているところですね、そのトップレベルの
技術者が忌憚なく
お互いにどうしようかと、どういったところに穴をあけたらいいのかというようなことを虚心坦懐に話し合うような
機会をつくられたらどうかと思うんです、すぐ結論が出ると思うんです。私は
ATTも
電電公社も通信事業守っていくという点については共通の責任も持つでいるし、共通の
意見持っていると思うんです。そこで
お互いにどうしたらいいかということについては、これは
技術的にも相談すれば私は結論はわりあいに容易に出るんじゃないかと思うんです。それならば
お互いの
電気通信事業というものは、これからの円滑な運用に差し支えない範囲において何か私はよい結論を
出してもらえると思うものですから、これはひとつ提言しておきます。
で、
外務省にもう
一つ言いたいことは、これも返事は要りませんが、
外務大臣にお伝えください。こういったものをやる場合に、
アメリカがこう言ったから
日本は
アメリカに対してこうしようということじゃいけないんですね。私はやっぱりこういった問題は相互主義でなきゃいかぬと思うんです、相互主義。
日本はこうするから
アメリカもこうしてくれと、
日本はこうするから
ECもこうしてくれというような相互主義の
原則を貫いてもらいたいんですよ。
日本だけがオブリゲーションを負わされて、そして苦しむというような事態は絶対に避けてもらいたい。で、
政府機関だとか政府だとか、それは形式は違いますよ。しかし、
電気通信事業というものを預かっているのは、片一方は
ATTであり
日本では
電電公社なんですから、
電電公社がこうするというなら
ATTもそうしなきゃいかぬですよ、当然のことだと思うんです。形の上じゃなくて実質的にこれは処理される必要がある、それには相互主義でなけりゃいけないと、こういうことです。これは
外務省の大臣にもおっしゃり、それから
経済局長やら審議官にもよくお伝えください、私は強く要求しておきます。
それから最後になりましたが、
電電公社に対して私はひとつ苦言を呈したいと思うんです。これは
電電公社がこの間新聞に何かこの問題について広告のようなものをお
出しになった。非常に経費がかかったようです。これは絶対に悪いとは言いません。しかし、ああいう広告をお
出しになっても、
日本のどの新聞を見ましても
電電公社の
考えているようなことは余り書いてない。どこから出たか知らぬけれ
ども、
アメリカの言い分が中心になって論説その他書かれておる。私は、
電気通信事業の
実態を、もっとあらゆる方法を講じてふだんから、国民全体にも、あるいはこういう言論
機関にも十分に知ってもらう必要があると思うのです。その努力が足りないじゃないかと思うのです。
やり方はいろいろあるでしょう。私も具体的な
意見を持たないことはありませんが、ここでは申し上げません。とにかく経営の責任を持っておられるんだから、こういうふうに内外を通じまして非常に混乱した状態になって初めてPRに乗り出すというのではいけないと思うのですよ。ふだんから
電電公社の内容はこうですと、こういったことが大事なことなんですというふうなことぐらいはもう絶えずPRする努力が必要だと思うのです。今度のこういった問題が非常にむずかしくなった
一つの原因も、
電電公社のそういったPRについての
——PRというといかにも広告するようですけれ
ども、そうではなくて、
実態を国民全体に知ってもらうということです。そういう努力についてなお一段の工夫と努力をされるように私は要望しておきます。
なお、他にきょうは放送問題についても一言ぜひ聞きたい問題があったんですけれ
ども、約束の時間ですから、一時間でやめておきます。また次の
機会にさしていただきます。私の質問は、最後に提言を申し上げまして、これをぜひ政府の方でもお
考えくださって、この問題の処理はもちろんのこと、将来にわたりましても
電気通信事業というものが国民の期待するように進んでいきますように、政府で一段の努力をしてくださることを希望いたしまして質問を終わります。