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政府委員(石原信雄君) ただいま
お尋ねの件の、初めの隔遠地補正に
関連する問題でございますが、隔遠地補正という補正は、市町村の立地条件が、具体的には都道府県庁所在地あるいは都道府県の出先機関の所在地からの距離によりまして、旅費とか通信費等の行政費が割り高につくという
関係を交付税の算定上反映させようという趣旨で昭和三十九
年度に創設されたわけでありますが、その際に、算定要素といたしまして、距離の要素と、それから同じ距離でありましても個々の
団体の規模によって小規模な
団体ほどその割り高の経費の
影響は高くなるという
意味で、一種の
段階補正的な要素を加味しております。それからもう一つの要素は人口減少率、隔遠地の市町村は、この補正が適用された時期におきましては、同時に過疎化が非常に進行しておりまして人口が急速に減っておりますが、人口が減っても行政費はそのわりには下がらない、したがって人口減少要素を多少カバーしてやる必要があると、こういう考え方から、距離の要素と人口
段階の要素とそれから人口減少の要素と、この三つの要素によりまして
一般行政経費の割り高分を補正係数に反映させようという仕組みになっているわけであります。
で、その際に、人口
段階による割り増し要素を計算するに当たりまして、算定技術上の制約もありまして、人口二千人からの計算をしております。二千人未満の
団体につきましては算定技術上の結果から非常に大きな割り増し係数が掛かってしまうわけであります。そこで、これをそのまま適用する場合には、
団体によりまして何十倍という係数が出てしまう。人口が非常に小さくなりますと、その係数の一番小さいところが二千人
段階で打ちどめになっておりますから、小さな
段階になりますと非常に大きな割り増し係数が掛かるという技術的な矛盾が出てまいります。そこで、昭和三十九
年度にこの制度を創設いたしました際には、人口
段階による補正率は最高五・〇、五倍までということにいたしました。これはその当時
関係団体のデータなどを分析して、どんなに人口が小さくなっても五倍以上になることはない、こういう基礎から五・〇〇という頭打ちを設けたわけであります。その後、この点につきましては
関係団体の御意見もあり、また私
どもも
実態を調べまして、昭和四十一年に六・五〇という最高制限率を設けたわけであります。その後今日まで至っておりまして、その後単位費用の増等もありまして、私
どもはその六・五〇という最高制限率でもっておおむね
関係団体の
財政需要の
実態を反映できているものと、このように考えているわけであります。
ただ、この点につきまして、昭和四十一
年度から今日までかなり時間がたっております。したがいまして、この点につきましては最近の
実態等についてさらに検討してみたいと思いますが、ただこの頭打ちそのものをやめてしまえという御意見につきましては、実は沖繩の
団体の場合には六・五〇よりももうちょっと高くなるぐらいの
団体が多いのでありますが、極端な例で申しますとたとえば東京都の御蔵島の場合などは人口が非常に少ないためにこの倍率が四十四倍になってしまいます。あるいは青ケ島村の場合には三十八倍になってしまう。これをそのまま制限なしで行うのが——金額はそれは
団体が小さいですからそう大きな額でありませんけれ
ども、制度としていかがなものか、こういう議論が出てくるわけであります。で、この
段階補正につきましては、
地方財政平衡交付金制度創設当初からも、余り小さい
団体まで
段階をセットすることが算定技術上もいろいろ制約がありましてこれは避けまして、そのかわり、たとえば
段階補正最高は当時は二・二とかものによっては二・五とかいういろいろな制限率を設けましたが、いずれにしても最高制限率を設けてきたわけであります。外国の例などでも補正係数についてはものによって最高制限制度で不合理を回避しているという例があります。したがいまして、この隔遠地補正につきましても、現在の六・五〇が最近の
時点において妥当であるかどうかについてはさらに
実態を検討してみたいと思いますが、制限をそのまま廃してしまってそれが何十倍になってもいいかというと、私はやっぱり問題ではないか。これを回避するためにはさらに小さい
段階まで想定をするかどうか、補正係数を設定するかどうか、こういったことも研究課題ではないかと思います。いずれにいたしましても、
実態面あるいは算定技術面それぞれにつきましてさらに研究してみたいと思います。
それからもう一つの
お尋ねは、義務教育施設につきまして、
事業費補正を適用する際に、校舎、屋体の建設費の一部、具体的には五%相当を
事業費補正に算入しまして、九五%相当は
地方債によって
措置し、その元利償還金を別途算入する方式をとっておるわけでありますが、この五%
部分につきましていわゆる地域差率を適用しております。これは一般的には各地域の建築単価の差、文部省の補助単価等による建築単価等の地域差を反映させるように係数をつくっているわけでありますが、基本的にはこれは各
事業費補正のもとに用います建設費の一般財源所要額を反映させるものでありますので、沖繩の市町村につきましては、振興法の規定によりまして、補助率が十分の九ときわめて高い補助率になっております。で、理論上の
負担額は一割ということでありますので、交付税の算定上はこのような
地方負担額における差というものは、これは反映させざるを得ないと。振興法の趣旨を棒引きするという趣旨ではありませんで、交付税算定上は理論的な
負担額というものを算定の上に反映させると、このような見地に立っていまのような地域差率を設けているわけであります。
したがいまして、この問題と、それから具体に、沖繩の各市町村の
財政実態が交付税算定と対比してどうなっているかと、この点はもちろん私
ども常に考えていかなきゃいけないと思っております。したがいまして、それらの点については
基準財政需要額全体の算定の中で、沖繩の
実態を反映させる上でさらに何か考慮すべきものがあるのかどうか今後研究してまいりたいと、このように考えております。