○小山一平君 私は、日本社会党を代表し、ただいま
議題となりました
地方税法等の一部を
改正する
法律案に対し、反対の討論を行います。
一九七三年を一区切りとして、
地方財政には大きな変化があらわれております。
一つは、言うまでもなく、わが国経済が不況とインフレのどろ沼に落ち込み、高度成長の矛盾が至るところに露呈したことであります。この結果、地域経済は相対的地盤沈下をもたらし、さらに産業間格差及び企業間格差を深刻にして
地方財政を直撃し、深刻な危機に陥れています。特に、大都市
財政悪化の傾向も顕著となっています。
二つには、こうした状況下にあっても
財政需要の増大を余儀なくされ、さらに地価、建設資材を初めとする行政単価が増大する一方、不況の結果としての歳入減によって収支バランスが大きく崩壊し、国、自治体間の税
財政構造の矛盾がだれの目にも明らかになったことであります。
地方財政は
政府の借金政策によって当面の破綻を免れていますが、今後二、三年後に回ってくるこれらのツケは、
現行地方税財政では対応できないことも明らかであります。こうした状況下にあって、
政府は一般消費税の創設によって
財政危機を打開しようとしており、自治省においても地方消費税として地方財源を確保するほか、地方交付税の基本税目への繰り入れを図ろうとしておりますが、
現行税
財政制度の根本的諸問題を放置したまま国民
負担の増大によって切り抜けようとすることは断じて容認できません。
このような立場から今回の
改正案を検討すると、わが党は幾つかの基本問題を指摘しないわけにはまいりません。
一つは、地域経済及び
地方財政の変化に対応した
地方税制のあり方の問題であります。すでに申し上げましたように、
地方財政の危機の原因が地域経済の低下にあることは明らかであり、これを乗り越えるために景気対策、雇用対策など企業活動を促す
財政需要もまた増大しております。そして、集積利益に
課税する地方及び大都市税源を拡大していくことが強く望まれているのでありますが、今回の
改正案には、こうした課題への方途もまた展望も何ら示されておりません。
二つは、不公平税制の是正の問題であります。
政府は一般消費税導入によって国民の税の不公平
負担を拡大することには熱心でありますが、不公平な諸制度の是正には全く不熱心であります。社会保険診療報酬
課税の
特例措置について、
政府は国税において是正したと強調しておりますが、全くのごまかしにすぎず、肝心の
地方税制については一〇〇%
非課税措置が継続されております。このような態度が許されるはずがありません。
また、大企業へのさまざまな優遇
措置とその
地方税へのはね返りをともに廃止することは、国、自治体間の不公平を是正すると同時に、
地方財政の危機打開の有力な道でありますが、これらについても根本的な
改正策は示されていないのであります。
三つには、田園都市構想と
地方税制の問題であります。大平総理は、全く実体のない構想をうたい上げるとともに、地方分権を主張しておりますが、地方分権の基本をなす税
財政制度の改革については、今回の
改正等にはその片りんさえ見ることができません。
今回の
改正案の具体的問題点は枚挙にいとまがありませんが、二、三の点について申し上げます。
まず第一に指摘しておきたいことは、
個人住民税の
課税最低限の問題であります。生活保護
世帯とほぼ接近した
個人住民税の
課税最低限が、いかに勤労
世帯に重い
税負担となっているかは改めて指摘するまでもないところであります。
第二は、農地の宅地並み
課税の問題であります。すでに
政府は、これまで農地の宅地並み
課税について農地
課税審議会の議を経て、実質的に減額する
措置を講じており、このことは宅地並み
課税そのものが全く不要なことを
政府みずから認めたものと言わざるを得ません。生産緑地法の
規定を厳格に運用し、宅地並み
課税は全廃すべきであります。
第三は、法人
事業税の問題であります。法人
事業税について、これを外形標準
課税に転換することは緊急の課題であるにもかかわらず、一般消費税に取り込もうとすることは断じて許されません。
第四は、
軽油引取税の問題であります。今回も
税率を
引き上げ、約二百億円を
バス及びトラック業界に交付金として交付しようとしておりますが、法的裏づけのない不明朗な形でこうした
措置を講ずることには基本的に問題がございます。
以上、特徴的な問題点を指摘してまいりましたが、年々
地方税制改正においては技術的かつ末梢的な範囲にとどまり、根本的
改正を怠っている
政府の怠慢をここに強く指摘をし、私の反対討論を終わります。