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政府委員(松本操君) 昨年三月に公明党の
千葉県本部の方から官房長官の方にお申し越しがございました。さらに開港後、いま先生おっしゃいましたように、六月であったかと記憶しておりますが、重ねて公明党の方から私
どもの方にも直接的に具体的なお申し越しがございました。これらにつきましては、私
どもの方といたしましては、できる限り御
要望の趣旨に沿って対応するということで、関係機関とも協調をとりつつ逐次その
対策を講じてまいっておる次第でございますが、一応逐一説明せよとのことでございますので、そのあらましをお答え申し上げたいと思います。
まず第一に、騒音
対策の問題でございますが、これは何としても最大の問題であろうかと思います。そこで、ここにも書いてございますように、全室防音化の取り組みにつきましては、
全国的には五十四年度からということでございましたが、五十三年度中にこの方向に
成田空港としては踏み切りました。現在、残念ながら、三百五十五戸お申し越しを承って二十三戸着工ということで、ややペースとしては大きなことが言えないかもしれませんけれ
ども、しかし私
どもとしては積極的に
公団を督励いたしまして早期にこの
目標を達成するようにしたい。
それからさらに、その中に触れております騒音区域の見直しでございますが、開港直後の時点におきまして八十五WECPNLをもとにいたしました線引きそのものにつきましては特段重大な修正を要するということはなかったように考えておりますが、しかし、五年後には七十五Wというところが
目標になってまいりますので、まず中間の八十というところに
目標を置こうということで、これは来月中には
地元の県、その他関係の市、町ともお
話し合いをつけた上で、八十Wでの線引きということを行いまして、これに向かって、まずその中間
目標の達成ということに全力投球をしていきたいと、このように思っております。
それから次に、
監視装置その他につきましては、これはすでに
公団が開港前から固定の観測所を置きまして
監視をしておるわけでございますが、その後随時
状況に応じまして騒音測定装置を持って
現地に出かけてまいりました。御注文等があった場合、あるいは苦情があった場合、直ちに行って測定をするほか、
地元の市あるいは町あるいは県等が行いますのと共同あるいは御協力を賜るという形で具体的な調査を繰り返しておるわけでございます。
それから、電波障害につきましては、従来の電波障害というものは、いわゆるほかの
空港でもやっておりますように、一定の範囲内においてのテレビの視聴料の減免
措置ということをもって対応しておったわけで、もちろんこの点につきましては
成田空港においてもそのように
措置をしてまいってきておりますが、それとは別に、たまたま北総台地及び茨城県をも含めます一部の地域が非常に電波の強さが弱いということもありまして、航空機の航行によって画面が乱れるという影響が顕著に出ているところがございます。そこで、まずそういったような影響を防止するための特殊のアンテナが開発されたものがございますので、すでに一万二、三千本のアンテナをこれらのお宅につけたわけでございますけれ
ども、なお、さらにあと数千本は付加してつけてまいりたい。それからさらにこの種のアンテナの設置のみでは必ずしも十分な成果を期し得ないような部分もあるようでございますので、その点につきましては、たとえばサテライト局と申しますか、電波の中継局のようなものを設けるということも含めて、これはかなり専門的な分野のことでもございますので、関係のNHKその他のテレビ会社等とも協力して、現在具体的にどう
措置をとるかということを詰めさせております。
それから、その次の問題といたしまして、
周辺地域におけるいろいろな影響を逐一調査をしていくという点につきましては、これは必ずしも
公団のよくするところでもございません。しかしながら、
成田市その他ともいろいろお
話し合いをしながら、たとえば保健センターのようなものを新たに
成田市に設ける、それらの金をどうするかという議論がございますけれ
ども、他の
空港におきます燃料譲与税に相当いたします交付金というものがございますので、それも五十四年度から増額いたす予定でございますが、そういったようなものの活用の方法等をも含めて、
地元の市町村といろいろとお話しをしながらできる限りのことをしていくようにいましている
段階でございます。
交通対策につきましては、特に現在総武線の複々線化、
成田線の複線化、これは国鉄の方に依頼をいたしまして鋭意急いでおるところでございます。この点につきましては五十五年度ないし五十六年度には一応の
完成を見るのではないかと、このように考えております。
それから、農林水産関係の問題、この振興、これはあの北総台地が農業的な地域であるという点から非常に大事なことであると思っておりますので、昨年の十二月の一日であったと記憶しておりますが、「農業振興の
基本的な考え方」というものを
閣議報告をいたしました。この「
基本的な考え方」というもの
自身は、県のいろいろと示唆を受けながら、さらに農林省のアドバイスももらいまして
一つの考え方をまとめたわけでございますが、具体的には
千葉県の方が積極的に、現在
成田市あるいは芝山町及び関係農林団体というふうなところと連絡をとりながら、具体的にどう
措置をしていくか、たとえば
公団の所有に係ります百五十ヘクタールをどういうふうに具体的に農業用地として活用していくかというふうな問題をいま詰めている
段階でございます。ただいま御審議を願っておりますこのかさ上げ法の中にも
成田用水の
事業の拡張が入ってくるかと思いますが、これらに関連いたしましても、
公団はその中に所有地の何がしかを提供して
成田用水の地域の拡大がスムーズにいくようにしたいということを心がけておるわけでございます。
それから、
地元企業の育成、振興につきましては、すでに芝山の工業団地等にはかなり大きな工業が一部来ておりますけれ
ども、そういうふうな面を含めまして、最近ようやく景気が上向いてきたとか言われるような事態にもなってまいりましたので、今後ともそういう点について一層
努力をしてまいりたい、このように考えております。特に、
地元企業の
空港内の出店等につきましては、前々からの御指摘もあり、
公団をして努めてこれらに対する優先
措置を講じてきたわけでございますが、ただ、
先ほど来の御質問にもございましたように、多少、
空港の
運営上
警備を厳重にしなければならないというふうなこともございまして、一部の方々が、出店をしたにもかかわらず必ずしも当初予期したほどの経営成績を上げておられない向きもあるようでございますが、これは追って、事態の改善に伴ってそれなりの成果を上げていかれるように
公団の方もできるだけの援助をしていくようにしたいと思っております。
それから、下水道の改修、あるいは生活
道路の
整備、その他の生活環境の改善という問題につきましては、その中にはすでにかなりの程度終わったものもございますし、これもただいまお願いいたしております
法律の延長によりましてさらに積極的に手当てをしていこうという部分も含まれるわけでございます。なかんずく、芝山の鉄道の問題とか、あるいは同じく芝山から御
要望のありました航空記念館、こういったような問題については、具体的には省略させていただきますが、かなり前向きの
姿勢でここ一年取り組んでまいりました結果、ある程度のめどがつくような
段階にまで来ておるというふうに考えておる次第でございます。