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参考人(
勝部欣一君) 私は、
日本生活協同組合連合会の
勝部でございます。
消費者を組織しております
立場から、今回の
改正法案に対しましての
意見を申し上げたいと思います。
御
承知のとおり、
大変公共料金の
値上げがメジロ押しになっておりまして、いま私
どもの方でその
公共料金に対しましての、たとえば一人の
平均的な
世帯にどのような
影響をもたらすのかというようなことを
試算をした
資料がございますが、
平均の月収が月二十八万円ぐらいの
サラリーマンで大体四十の終わりに近いという、そういうような人のことで、
セブンスターを一個毎日のむというような、そういうありふれた
サラリーマンの
家計で
試算をしてみたのでございますが、
消費者米価がすでに二月から上がっておりますが、それに
たばこ、
私鉄、それから
ガソリン税——これは車を持っている人ですが、これはたまに乗る車でございますが、そういうような人、
ガソリン税あるいは
自動車税それから健保の問題、そういうような
関係をずっと
試算をしてまいりますと、一
年間で十二万五千二百九十円という、そうゆう
負担増があるわけでございます。そういうことは大体いまの
情勢ですと、私
どもいろいろ
反対運動やりましてもそのぐらいの
負担が響くという、そういうことが
公共料金だけで
試算がされるわけでございます。
セブンスター一個の
——世帯主しか
たばこを吸っていないという場合でも、
年間にしますと、今度の
改定策でございますと、約一万八百円ほど
年間でプラスされるわけでございます。
家計に響くわけでございます。そういうようなところで全体に
大変公共料金主導型の
家計圧迫というものにつきましては、非常な
消費者としまして強い
反対の
気持ちを持っておるということでございます。
なお、これも御
承知のとおり、
石油関連ということを初めといたしまして、
ナフサ製品の
値上がり、それからきのうきょう問題になっております
灯油価格の一キロ当たり四千円前後の
値上げというような問題、そしてそれが
狂乱物価をちょっと思わせるような、特に
卸売物価の二二%
上昇というような問題で、特に
石油製品関連以外のものも全く
予想もつかないような、たとえば段ボールだとか箱だとか、そんなような、あるいは例の悪名高いティッシュペーパーの問題とか
紙ロールでございますね、ああいうようなもの、そういうようなもの
自身も最近
値上がりを非常にしてきております。
そういうような
問題点をいろいろと考えまして、私
どもとしまして、全体には
生活の見直しをいま考えなき
ゃならないようなぐあいに消費者団体としては思っておりますが、非常に全体に厳しく暮らしがなっていくという中で、特に
公共料金の点はぜひとも据え置きという
方向の中で、やむを得ない場合でもとにかく率を減らして、一般の
物価上昇、いままで何とか四%台まででいるわけでございますが、まあ
公共料金が主導しないためにもやはり一けた以内の、どうしてもというような場合でも、そういうようなことでもって考える、そのぐらいの
配慮が当然あってしかるべきじゃないかと、こういうような
立場で今回の
改定案につきまして、特に二一%という
平均の
改定案でございますが、これには強く
反対をしたいという
気持ちでございます。
個別にとりましても、
個々の
たばこの
値上げ率もどうも
原案で拝見いたしますと一級品の方の
値上げ率は二〇%ぐらいになっていますが、いわゆる二級品、三級品という
大衆の
たばこ、
大衆が日常吸う
たばこの点は二五%から三〇%弱というような、そういうような率になっている。これは実は全く
配慮のない
値上げのやり方ではないだろうかという点も
個々の
部分とってまいりますと、そういう点もまたあるわけでございます。そういう点で大変この案の立て方
自身——基本的には
値上げ反対でございますが、案の立て方
自身もそういう点で
大衆の
日常生活、
セブンスター一個を吸って、辛うじてそれでもって自分の楽しみにしているといったような人に対する
打撃の方に多くなっているということは非常によくないんではないだろうかというぐあいに考えるわけでございます。
特にまた、
たばこは他の
公共料金と違いまして、先ほど
大熊先生言われましたが、
専売品でございまして、ほかに
競合がないわけでございます。他の
公共料金の場合にはいろいろ
競合がありまして、
国鉄は
私鉄の
競合とか、いろいろありますわけでございますが、これだけは全く
専売制でございますので、
外国たばこを含めて
専売制でございますから、そういう点では
政府がやはり主導できる、きちんとできる、そういうもので、しかも基本的には
赤字だという体質ではございません。
国鉄のようなものではございません。そういうような問題でもこの点はいろいろ
財政上の
負担の、
財政上カバーをするための
専売益金の使途という、そういう目的は
一つあるわけでございますけれ
ども、その辺は全体に
政府の
責任でもって調整できる性格のものだというぐあいに考えておりますので、そういう意味でもこの
公共料金の
主導型値上げという全体の中におきまして、せめて
専売公社の
専売の
たばこにつきましては、やはり非常に
配慮ある、そういう
考え方が当然出てくるべきではないだろうかというぐあいに考えるわけでございます。そういうところをひとつ、一点特に申し上げておきたいと思います。
それから第二点といたしましては、この
原案で三〇%、今度は
改定されるものからさらに三〇%の
値上げのときには
国会審議というようなことであるわけでございますが、私
ども具体的にいろいろ
資料を拝見さしていただいたり、まあ過去の
状態を拝見しておりますと、今度の
改定の仕方
自身非常にやはり問題だと、いままでも
たばこの
改定というのは、やはりそうたびたびあるというんじゃなくて、歴史的にも四十三年の
値上げ、五十年の
値上げということで、今度は五十四年ということでございますが、相当
インターバルが長いことでされているわけでございます。そういうようなことで、しかも先ほど申し上げましたような
専売制度という、そういう
制度の中身からいたしますと、やはりゆっくりと
審議ができる
内容であるというぐあいに考えますので、そういう点でも
値上げの際は
国会できちんと
審議し決定するという、その従来の
ルールをやはり守るべきじゃないだろうかと、このように考える次第でございます。
そういう点で、
物価変動という問題ももちろんこれから非常な
インフレーションの
予想等もあるわけでございますけれ
ども、全体に
インフレーションはそうあってはならないんでありまして、それを抑える
努力を全体にしなきゃならないと思っておりますが、
大蔵大臣で決めるということでなくて、やはり従来
どおり相当の
インターバルを置きまして、
国会でお決めいただくということが妥当なものではないだろうかというぐあいに考えるわけでございます。そのことを第二点目として申し上げます。
それから
最後に第三点目といたしまして、
専売経営の
あり方の問題につきまして若干
意見を申し上げたいと思いますが、特に
専売の運営につきましては、先ほど申しましたように、国によりまする
独占事業であるだけに、いわゆる全国民的なものだというぐあいに考えるわけでございます。もとより
たばこを吸わない人も相当たくさんおられるわけでございますけれ
ども、やはり何としても非常に、四千万ぐらいと思いますが、そのぐらいの——もう少し少ないですか、そのぐらいの方が吸っているということでございまして、当然その
内容につきましてはもっと民主的な運営というものが図られてしかるべきだと。
この点は、これはもう御
承知のとおり、総理が議長をしております
消費者保護
会議というのが
消費者保護基本法制定以来毎年持たれておりますが、そこの毎年の決定で各種
審議会には
消費者代表をふやすようにと、そういうことが常に決められているわけでございます。そういう点でも、やはり現在の
専売事業審議会につきましては非常に
消費者代表ということ、あるいは組織されました
消費者団体——これは経済企画庁等ではっきりと組織された
消費者団体が確認されているわけでございますが、そういうところからきちんと出ているという、そういうような代表はどうも余り見当たらないわけでございます。少ないと言った方が妥当かと思いますが、そういう点で、他の
審議会でも、私が所属しておりますたとえば郵政
審議会等でも最近は新しく
消費者代表の方をふやされましたし、その他の
審議会ではみんなそういうことを最近進めておるわけでございます。そういう点は組織的な
意見というものがやはり聞けるようなそういう代表をもっとふやすべきじゃないか、そういう
消費者の代表をふやすべきじゃないだろうかと、このように考えるわけでございます。
特に
消費者の
意見というものにつきまして、これはつかまえどころないじゃないかといういろんなお話ございますけれ
ども、しかし
専売事業であるということだけに、他に競争するものがないわけでございますから、それだけにきめ細かい愛煙家の
意見というものを、これをやはり
審議会だけでございませんで、その他あらゆる方法、手段というもので愛煙家の
意見を、それは
たばこの販売組織を通じましてもとるとか——これはもう地域的には非常にたくさんの販売業者がおるわけでございますから、そういうところを通じましても十分に日常的に把握できる、これはシステムの問題だと思っています。そういうようなシステムをつくって、ちゃんとそういうことで
たばこを買うこと、あるいは日常的に非常に多く
たばこを買うような人、そういうところからこういう
たばこをつくってはどうかといったような
意見を聞く、あるいは
たばこについてのさまざまな問題があればそれについて聞く、あるいは苦情を聞くというような
制度が当然もっときちんとあってしかるべきではないだろうかというぐあいに考えるわけでございます。そういうところをぜひともお考えをいただきたいというぐあいに思っています。
もとより健康上の問題ということで大変な大きな問題が国際的にも出ているわけでございますが、この問題につきましても、私も愛煙家でございまして、心配はいたしますけれ
ども、これは
一つの嗜好でございますのでなかなか離せないものでございますが、やはり
たばこの害の問題につきましても、相当大きな益金があるわけでございますから、その中で本当に正しく、本当のものは何なのかということを大いに調査研究を深めて正しいデータを出すべきだというぐあいに思います。
さらに、発がん性のより少ない、これは害が絶対にないということはないと思いますけれ
ども、発がん性とかそういう害のより少ないものを出す
努力というものを一層御尽力いただくということが非常に大事じゃないだろうかと思っております。
また、全体に吸い過ぎに注意ということがありますが、吸い散らかしに注意というようなものはさまざまなテレビコマーシャル等で
専売公社はずいぶん
努力はされておりますが、もう少しそこら辺なんかのエチケットの問題だとか、いろんなそういったような問題もあわせまして、社会的に本当にひとつの
たばこのちゃんとした位置づけができることを心から望むものでございます。そういう点もひとつサービス上の
改善、この点もぜひそういう点をお考えいただきたいと思います。
また、
外国ではもちろん
民営でございますけれ
ども、
たばこの量による割り引きというものもあるわけでございますが、それが
専売であるというゆえか、別にたくさん量を買ったからといって割り引きはないわけでございますが、実は
たばこをたくさん買いますと小売店の方でマッチなんかを、要らないものをよけいにくれると、こういうようなことがありまして、これなんかは実際上むだなことになっているわけで、そういうことができるならば、量的割り引き
制度というものを考えるべきじゃないだろうかというぐあいに実は考えるわけでございます。
そういうことも
最後に付言いたしまして、全体につきましてこの法案に対しましては、この
内容ですと私とすれば
反対をせざるを得ないということを申し上げまして
陳述を終わりたいと思います。