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政府委員(米里恕君) 物価に対する現状は
先生御
指摘のとおりでございます。
御承知のように、四月になりまして卸売物価は前月比一・七と、かなりの上昇になっておりますが、その
内容を見ますと、これまた
先生がおっしゃいますとおり、かなりコスト要因が強いという状態になっております。一・七のうちいわゆる円安の影響、為替要因が〇・五ございますが、そのほかにいわゆる海外市況の影響によります契約要因が〇・三、合わせまして海外要因が〇・八ということでございまして、あと国内要因が〇・九と。
この国内要因の〇・九というのは、主として海外の素原材料、特に石油のアップ、原油価格の上昇に伴いましてその騰勢が逐次国内工業製品に波及してきておると、こういう形でございます。
で、まず公定歩合の問題でございますが、過日当
委員会でも御
説明申し上げましたように、今回の公定歩合の引き上げのねらいといいますものは、あくまでも現在の非常に緩和し「おった、いわば超緩和といわれるような
金融情勢を一部是正いたしまして、それによりましてこういった海外のコスト要因が国内で騰勢を強める、国内要因によってその上昇テンポが高まるというようなことを予防的に阻止いたしまして物価上昇のテンポを極力抑制したい、こういう趣旨から引き上げたわけでございますが、したがいましてこの予防的な公定歩合、インフレ心理なり過剰流動性というものをできるだけ事前に抑えて、物価の上昇テンポを抑えようという趣旨の公定歩合の効果がどうであったかということは、なかなか直截には
数字上申し上げることは困難かと思います。
しかしながら、こういった措置によりまして、ある程度海外要因のやむを得ない
部分以上に物価が上昇していくということを、事前にそのスピードを抑えていきたいという趣旨は、一応公定歩合の先般の引き上げによりましてそれなりの効果を生みっつあるというふうに私どもは考えております。
で、二番目の御
質問のお答えにもなりますが、こういった問題につきまして、特に原油引き上げを中心といたしました物価上昇というのは世界的な現象でもございますし、なかなか国内政策だけでこれを完全に抑え切るということはむずかしい点もあろうかと思います。しかしながら政府といたしましては、特に需給
関係で物価の上昇が加速されるということを防ぎますために、供給増加が可能な
部分についてはできるだけ供給力を増加していくというようなこと、あるいはまた、コストを価格に転嫁する際に生産性の向上によってできるだけ吸収できるようにするということ、あるいはまた便上値上げを厳しく取り締まるというような観点から、これらに対して担当各省別に
調査監視の度を強めていく、あるいはまた、必要があれば業界に御協力を要請するというような措置を講じまして、去る二月の物価八項目及びその後の四月の公定歩合引き上げと相まちまして、総合的な対策でこれに取り組んでおるわけでございます。
今後につきましても、こういったコスト要因、特に海外素原材料の高騰からまいります物価上昇というものはなかなか楽観を許さない状態が続くかと思いますし、特に六月の御承知のOPEC総会で原油価格がどうなりますかというような問題もございますけれども、十分今後物価情勢には注意してまいって、国内要因によってそれが加速しインフレというような形にならないように注意してまいる所存でございます。
なおあわせて、これはあるいは主計局からお答えした方がいいかもしれませんが、五十四年度の予算執行につきましては、さきに決めましたとおり、上半期の契約率六五ないし七〇%ということで、機動的に今後の情勢を見ながら執行してまいるという考え方に変わりはないということを申し上げておきます。