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政府委員(田中敬君) 私
どもはこれという資金需給計画というものを持っておるわけではございません。と申しますのは、金融情勢の先行きを見越すということは大変困難でございますので、ある一定の前提を置きまして、ある
程度こういう形で推移するのではないかという想定のものは持っております。
それによって御
説明申し上げますと、まず金融部門に一体どれくらい資金が流入するか、いわゆる流入がどれくらいあるかというのが第一、それから流出がどれくらい、差し引きどれくらいの資金の過不足があるかというのが大体資金需給を考える場合の原則でございますが、資金流入を考えます場合には、やはり何といっても預金の増加が一番多うございます。本
年度の預金のほぼ実績見通しというものが五十三
年度は対前年比一三%
程度ふえるであろうと見込まれております。それに対しまして私
どもは、来年は恐らくこれが一三・五、六%にいくのではないか。そういたしますと、預金が約三十三兆八千億円フローでふえてまいるという計算になります。それから金融部門の資金
調達手段といたしましては、別途興長銀等が金融債等を
発行して資金準備を図る道もございます。これが本
年度四兆円見当であったと思いますが、来
年度はそれが四兆二千億円ぐらいと一応想定をいたしております。
それから、資金流入はございますけれ
ども、
日銀の金融調節によって、たとえば
日本銀行における年間の金融調節手段といたしまして資金を吸収されることがございます。これは売り出し手形でございますとか、それから貸し出しの減だとかいろいろあろうと思いますが、そういうものがございまして、これは来
年度の私
ども国会に御提出いたしました二十八条資料にもいろいろその点が触れておりますけれ
ども、それが約一兆四千億ということを想定いたしますと、差し引きで資金流入というのは三十六兆六千億ぐらいではなかろうか、これはあくまでいま申し上げたような仮定の計算をした数字でございます。
それから、資金流出でございますけれ
ども、まず資金流出の一番大きいものは貸し出しでございます。本
年度の貸し出しの実績というものがぼつぼつ出るんであろうと思いますが、私
どもは一応本
年度の貸し出し実績見込みというものを対前
年度比九%増と見ておりますが、五十四
年度試算をいたします場合も、貸し出しは九%の増であろうというふうに推定をいたしますと、流出部門におきます大きい部門でございます貸し出しの増というものは十九兆八千億見当になります。
それから、あと資金の流出といたしまして、
金融機関といたしましては、
関連会社、取引会社等の株式、社債等を引き受けます。これが本
年度実績が約二兆三千億と見込まれますが、来
年度は二兆五千億見当と一応数字を置いてみます。それと、来年じゃ金融部門が公共債を幾ら引き受けるかということが大きな
要因でございます。
来
年度の公共債というものは全体で二十六兆二千億余の
発行が予定されております。ここで申します公共債は、国債、
政府保証債、非
政府保証債あるいは地方債等でございますけれ
ども、これら二十六兆二千億
発行される公共債が金融部門でどれくらい引き受けられるかと申しますと、これらの引き受け公共債というものは資金運用部資金あるいは公営公庫資金あるいは証券会社が一般公社債市場で引き受けていくものというものがございますので、ネットで
金融機関引受分がどれくらいになるかということを計算いたしてみますと、約十五兆八千億円ということが推定されます。
それと、こういうことでございますと、貸し出しで十九兆八千、株式、社債等で二兆五千億円、それから公共債の引き受けで十五兆八千億というようなことが考えられますけれ
ども、公共債の十五兆八千億の保有はいたしますけれ
ども、年間で成長通貨の供給という形でのオペが想定されます。また、
金融機関が保有しております各種債券の
償還がございます。そういうものを考えますと、十五兆八千億引き受けるけれ
ども、一兆五千億ぐらいはオペ、
償還等で資金は還流する。そう二しますと、差し引き公共債の保有増というのは十四兆三千億になるということで、いま申し上げました資金流出の総計と資金流入の総計を見ますと、大体三十六兆六千億で均衡するであろう。
変動
要因はいろいろあると思います。預金の増加がどれくらいになるか、想定どおりにいくかどうか、貸し出しが九形の増でおさまるかどうか、変動
要因があって、ここから先は応用問題ということで一応骨格的に推定する。
しかし、これはこういう席で申し上げましたけれ
ども、決して公式のものでございませんで、私
どもがいろいろ来年の公共債の消化を考える場合に、いまの金融情勢がこのまま続くならばという大きな前提のもとに、申し上げましたような細かい柱についても前提を加えてつくった試算であるという意味で御了解を願いたいと思います。