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参考人(
古賀徳継君) 先生の御質問三、四点ばかりございますから、総括的に申し上げますが、まず冒頭にいま
吉田参考人から言われましたことの中で、炭労としてあるいは
現地の
労働組合とも打ち合わせた上でのことですけれ
ども、若干見方といいますか、見解が異なる点がありますことについて冒頭申し上げておきたいと思います。
まず第一点は、
救護隊の活動ということであります。九時ごろに
災害が
発生したと。そして
救護隊の招集が一時間以上、約一時間二十分ですか、一時間十五分という時間を要しておるわけです。その間に
対策本部が設置され、そして
保安統括者から適切な
指示が行われておるわけですが、これから先は若干亡くなった方にむちを打つようなことにもなりますけれ
ども、この際
原因を
究明するためにはっきりしなければならない点があるわけですから申し上げますと、ただいま
吉田参考人は適切ではなかったかというふうに言われております、いわゆる今野課長代理以下三名の方が二十二時四十分に斉藤
砿務課長から進入を命ぜられて、そして卸口の手前でいわゆるライフゼムとマインゼム、この簡易救命器を持って進入しているということです。
救護隊が招集されたということは、異常な事態の
発生ということが前提であろう。第一の探検を行うのは何をしていてもやっぱり
救護隊がしなければならなかったんじゃないか、こういうふうに考えるわけです。
救護隊は完全着装ということです。もし考えられるとすれば、約百
メーター近くの下の方に小畑さんという人が生存しておった、助けてくれと、うめき声が聞こえるということで四人ほどが入ったのかもしれません。それは
救護隊としてはやむを得ぬ、実にわれわれ労働者からすれば一人でも多く助け出したいという心情からすればもう察するに余りありますけれ
ども、その初動の行動が果たして十分だったのかどうかということについては、今後十分考えていかなければならない点だろうと、こういうふうに一点は考えております。
第二点の第二次
災害における処置の仕方であります。これを残念ながら指摘しなければなりませんが、それは
救護隊が招集されましてから斉藤課長が入って行っておるわけですけれ
ども、二十三時四十分に
救護隊の第二班が入坑しておりますが、その前にもう第一班は二十三時三十五分に
ガス抜き卸、いわゆる当該
現場の百五十
メーター位置に到着したわけです。このときに斉藤課長——亡くなっておりますから申しわけないんですが、斉藤課長がやはりマインゼムとライフゼムを装置したまま、斉藤課長とほか何名かが今度は一番奥のところに行って探検をしております。これは通常
救護隊がやるべき作業ではないか、いわゆる探検活動というのはあくまでも
救護隊がやるべきじゃないかと、こういうふうに考えられますが、残念ながら簡易救命器を持って探検に入った。その結果、卸口の
ガス量が一七%、卸内百六十
メーター手前は二五%、奥部では四五%の
ガスがあるという
報告を司令室に斉藤課長は行っておるわけです。そのときには素面の皆さんが入っております、同時に。したがって、もし適切な
対策がとれたとすれば、
救護隊以外の者は出なさい、安全な
個所に行きなさいということが言えなかったのかどうかということが考えられますと残念でなりません。そういうことがありまして、まことに
救護隊の処置が、勇気を持って行わなければならないというのが
救護隊の任務でありますけれ
ども、その辺の判断が、
ガスの状態を前提としながらも、おれの山は
火源がないということがなかったのかどうかということが、これまた推定ですけれ
ども思われてならないということを申し上げておきたいと思います。
次に、
火源の問題ですが、この
火源の場合に、いま
吉田参考人が言われましたように、ここは全く電気製品、いわゆる電気というものは一切ございません。それから火薬というものが使われておりませんから、この二つは完全に
火源ではないというふうに思わなければなりません。では何かということになりますと、いわゆる
坑内に入ってきます場合に必ず着装するキャップランプの電池がございます。この電池が一つ。それからもう一つは静電気現象、もう一つに摩擦による火花、こういうものが考えられますけれ
ども、残念ながら取り明けがまだ完全に終わっていません。きょうじゅうに終わるんじゃないかと思いますけれ
ども、取り明け後の状態をつぶさに
調査してみなければこれはわかりませんし、必要な品物は全部警察の方に押収されておりますから、したがって私
どもの手の及ぶところがまだございませんから、その辺ではいろいろ推定はできますけれ
ども、いま断定的にこうであろうということは申し上げかねるということをお答えしておきたいと思います。
最後に、いわゆる研究開発センターの
関係ですが、先生もいま言われましたとおり、炭労としてはほとんどの山が
深部に入っております。この山もつい二、三年前はまだ浅いところでしたが、逐次六百から七百、八百、千というふうに入っていかざるを得ない山なんでございますが、そういう
深部に移行していくということを前提にして考えますと、地圧、盤圧、
ガス、あらゆるものが今日までに常識的にはそうではないというものが出てくる可能性が多分にございます。したがって、炭労としては開発センター、特に、保安流通を開発するためにセンターをつくってほしいというのはここ十年ほど叫び続けておることですが、先ほど
伊勢谷局長が言われておりますように、公資研あるいは
石炭技研あるいは技術研究センター、各大学というところでそれぞれやっておるから十分であろうというのが、今日までの当局とわれわれの
関係における平行線の状態です。でき得れば、いわゆる
ガス突出、
ガス爆発のメカニズムがまだ十分に解明されていないというふうに先ほどの
報告書の中にもございましたけれ
ども、そのメカニズムを解明するということに対して
炭鉱労働者は一〇〇%以上の期待と、早くやってほしいという希望を切実に持っております。したがって、そういうものが何とか実現できる方向に進んでもらえば、
炭鉱労働者はもっともっと期待と展望を持って働くことができるだろうということを申し添えておきたいと思います。